Astra、フロリダからの初ロケット打ち上げに失敗

Astra(アストラ)は米国時間2月10日、フロリダ州の「スペースコースト」から初となるロケットの打ち上げを行った。これは当初、2月7日に予定されていたが、技術的な問題で中止されていた。二度目の試みとなった今回、ケープカナベラル宇宙軍基地のスペースローンチコンプレックス46から打ち上げられたロケットは、発射台を離れたものの、残念ながらペイロードは軌道に乗らなかった。

同社によると、ロケットは飛行中に問題が発生し、ペイロードを目的地に届ける機会が得られなかったという。これはロケットに積まれていたNASAの4基のCubeSat(キューブサット)が失われたことを意味する。NASAのLaunch Services Program(ローンチ・サービス・プログラム)に基づきこの契約を獲得したAstraは、小型のペイロードを宇宙に届ける低コストの軽負荷ロケットという代替手段の有効性を示すことを目標としていた。

本日の飛行中に問題が発生し、ペイロードを軌道上に届けられなくなってしまいました。

お客様であるNASAおよび小型衛星チームのみなさまに深くお詫び申し上げます。より詳細な情報は、データの確認が完了した後にお知らせします。

Astra

Astraによる打ち上げライブ中継では、ロケットのメインエンジンが切り離され、ブースターと上段が分離した直後に、何か問題が発生したように見えた。上段が制御不能な状態で転回しているように見えたが、その後、映像は切断された。

Astraのアプローチは、スピードと効率を重視し、業界の競合他社よりも大量に小型ロケットを生産することに重点を置いている。以前、AstraのChris Kemp(クリス・ケンプ)CEOは、より低コストのアプローチには、トレードオフとして競合他社よりも高い故障率を負う可能性があることを十分に認識しており、そのことはビジネスモデルに織り込み済みであると、TechCrunchの取材に対してコメントしている

しかし、これでAstraは、比較的近い時期に二度の失敗を経験したことになり、いずれもSPAC(特別買収目的会社)合併によってニューヨーク証券取引所に上場した後に起きている。前回の失敗は2021年8月、同社の最初の公式な商業打ち上げ(米国宇宙軍のためのテストペイロード輸送)で問題が発生し、軌道に到達することができなかった。しかし、Astraはそれから3カ月後の11月、商業ペイロードの軌道投入に成功している。

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画像クレジット:Astra / John Kraus

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

【コラム】米国で増えている暗号資産市長

Bitcoin(ビットコイン)をはじめとする暗号資産の価格は、2021年に急騰した。パンデミックの時代、この分野では暗号資産で大富豪になったという話もよく聞く。

暗号資産といえば、元々は民間セクターの話である。ビットコインやその他の暗号資産プロジェクトは、非中央集権的で政府の金融政策の影響を受けない変更不能なデジタル通貨を作ることを意図して始まったものだ。

しかし、この市場の価値が2兆ドル(約230兆円)を超えた近年、公的機関も暗号資産に注目するようになった。初期の規制を導入した国、全面的に禁止した国、大規模な導入を行った国など、対応も国によってさまざまである。

自国の不換紙幣を印刷する国家政府と地方自治体とでは、暗号資産に対する見方は大きく異なり、最近では、暗号資産をこの新しい産業が持つ技術的、財政的、経済的発展の可能性を活用する機会と見る都市も増えている。

確かに、市役所でビットコイン、ブロックチェーン、NFT(非代替性トークン)といった言葉を聞くことはあまりない。しかし、マイアミ、タンパ、ニューヨーク、ジャクソン(テネシー州)などの4都市ではこれらの言葉を耳にすることも増えてきた。というのも、市長が自身の給与の一部をビットコインで受け取ることに合意するなど、暗号資産の分野に参入するためのきっかけを示したからだ。

都市のイノベーションに関する多くのストーリーがそうであるように、このストーリーも1人の市長が話題を先導し、他の市長たちに挑戦状を叩きつけることから始まる。今回のケースでは、マイアミ市長のFrancis Suarez(フランシス・スアレス)氏が、次の給料をビットコインで受け取るとツイートしたことに対抗して、次期ニューヨーク市長のEric Adams(エリック・アダムス)氏が複数回の給料をビットコインで受け取ると発言している。

スアレス氏は次のように話す。「教育は、暗号資産にまつわる恐怖や誤解を払拭するための最良の方法であり、アダムス市長と私の発言の根本は教育を狙ったものです。私たちが真っ先に水に飛び込む姿を見れば、おそらく他の人々も自信を持って水に足をつけることができるでしょう」。

1人目の市長は注目すべきで、2人目の市長はその模倣だろう。しかし、3人以上の市長がビットコインの勢いに乗るのであれば、これは明らかにトレンドといえる。

ジャクソンは人口約7万人。Scott Conger(スコット・コンガー)市長は、同市が選出した市長の中では最も若い部類に入るが、この友好的な挑戦に参加し、給与をビットコインで受け取ると発言した。コンガー氏とスアレス氏は、これについてツイッターでやりとりをしている。コンガー氏はジャクソンという小さな都市で、暗号資産分野のイノベーションを起こしてきた。

これに負けじとフロリダ州の別の市長も参入してきた。タンパの Jane Castor(ジェーン・キャスター)市長は、コンガー氏のツイートからわずか数日後、タンパで開催された暗号資産カンファレンスで、給料をビットコインで受け取ることを発表したのだ。最近、新興技術都市のトップに選ばれたタンパは、フロリダ州内の技術系雇用の25%を占め、暗号資産という新興分野と親和性が高い。

コンガー氏は、スアレス氏の行動は大都市だけに当てはまるものではなく、あらゆる規模のコミュニティで通用すると指摘する。彼は、大都市で起きているテクノロジーや暗号資産に関する興味深い出来事を観察し、それがジャクソンのような(小さな)都市にはどのように反映されるかを考え、(優れた市長なら当然だが)ジャクソンの経済発展の可能性に目を向けた。

彼は次のように話す。「マイアミや大都市に限定される必要はありません」「ジャクソンにはそのチャンスがあります。ジャクソンは、テネシー州で家庭にギガビットの光ファイバーを導入した最初の都市です。新しい技術をいち早く取り入れるのは当然でしょう?」。

ジャクソンでは超高速のインターネットサービスが普及しており、ハイテク企業の獲得競争に大きく貢献している。コンガー氏は、この結果としてジャクソンに暗号資産や分散型金融(DeFi)の企業が増えるはずだ、と考える。

「場所は存分にあります」とコンガー氏。小売業界が縮小し、既存の企業が使用する物理的な空間が減る中、彼はチャンスを見出している。「DeFi、暗号、技術系の企業が生まれれば、彼らには事業を行う場所が必要になります」。

この小さなコミュニティの利点を強調し、コンガー氏は次のように付け加える。「人口7万人の都市で十分なのに、なぜ数百万人の都市に行く必要があるのでしょうか」。

経済発展を重視する姿勢は、4人の市長だけでなく、暗号資産の世界を知ることとなった他の地域のリーダーたちも共通していて、彼らはそれぞれの都市で雇用の未来について考えている。マイアミでは、暗号資産分野における市長の取り組みの中核にそれが見て取れる。

スアレス氏は次のように話す。「マイアミは共通のテーマの上に成り立っています。マイアミに来る人たちは、自国の政府に取り残されたり、さらにひどいケースでは迫害されたりすることに嫌気がさし、より良い生活を求めてここに来ています。そしてお返しにとこの街をもっと良いものにしてくれます」「マイアミムーブメントは、質の良い、高収入の仕事をこの街にもたらしています。私は、マイアミの将来を見据え、次世代のリーダーたちをこの街から輩出したいと考えています」。

人材の誘致と定着に力を入れているのは、国内の多くの都市でも同じである。マイアミは、テクノロジー、金融、(そしてこの記事で紹介するようにその両方が融合した)暗号資産といったあらゆる分野を成長させることを目指している。

「マイアミムーブメントは、パンデミックなどの数々の要因で人々がマイアミに集まったことに起因するものですが、成長中の金融やテック部門への支援は何十年も前から行っています 」とスアレス氏。「多くの人が思っているほど『突発的』なものではありません。この街にイノベーションと成長を呼び込むことは、すべてのマイアミの住人にとって大きな利益となります」。

金融の分野で長年の優位性を持ち、テック部門も引き続き強化されているニューヨークのような都市が、暗号資産の分野で何ができるかは想像することしかできない。同様に、何年も前から成長を続けるタンパも、テック系の人材を惹きつける力と経済的なポテンシャルがますます高まっている。暗号資産分野が成熟するにつれて、興味深い違いが見えてくるかもしれない。

メタバースで重要なポジションを取る最初の都市は?最初に自治体のNFTを導入する都市は?このデジタル分野の成長に取り組む市長たちのリーダーシップが現場レベルで発揮されれば、その答えはすぐに出るはずだ。

編集部注:本稿の執筆者Brooks Rainwater(ブルックス・レインウォーター)氏は、Center for City Solutions and Applied Research at the National League of Citiesのディレクター。

画像クレジット:Alexander Spatari / Getty Images

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(文:Brooks Rainwater、翻訳:Dragonfly)

Astraが2022年1月に初めてフロリダ州ケープカナベラルからロケットの打ち上げを行うと発表

Astra(アストラ)はこれまで、初期のロケット数機をアラスカ州コディアックで打ち上げてきたが、今後は打ち上げ場所を拡大する予定だ。同社は米国時間12月6日朝、クライアントであるNASAから請け負ったミッションを、2022年1月にフロリダ州のケープ・カナベラルから打ち上げると発表した

この打ち上げは、ケープ・カナベラル宇宙軍基地の広大な敷地内にあるSpace Launch Complex 46 (スペース・ローンチ・コンプレックス46)で行われる予定だ。この施設は、かつてミサイル試験用基地として使われていたが、しばらく使用が停止されていた後、1997年に商業宇宙事業のために再開された。以降は2019年に実施された直近のミッションまで、散発的に使用されている。

Astraが計画している打ち上げは、同社にとってだけでなく、米国からの打ち上げに尽力している米宇宙軍のSpace Launch Delta 45(第45宇宙航空団)にとっても大きな価値がある。これまでの宇宙開発では、打ち上げに必要な承認には数年を要していたが、今回のミッションはわずか「数カ月」で承認を得ることができた。

Astraにとっては、打ち上げのために利用可能な選択肢が増えることになり、顧客のペイロードを届ける軌道の幅を広げるという意味でも重要だ。また、フロリダという土地は歴史的に天候が比較的安定していることもあり、打ち上げ場所として人気が高い。

Astraのコアバリュープロポジションの1つは、ロケットが小型であり、現場における打ち上げ業務に必要な装備も軽量であるため、最小限の人員と準備だけでさまざまな場所から効果的に打ち上げを展開できることだ。ゆえに、それを証明するためにも、打ち上げ場所を多様化することは重要になる。

AstraのBenjamin Lyon(ベンジャミン・リオン)氏とKelyn Brannon(ケリン・ブラノン)氏は、来週の「TC Sessions:Space 2021」に講演者として参加する予定なので、2022年の計画についてはそこでより詳しく知ることができるだろう。

画像クレジット:Astra / John Kraus

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ディズニーが新しいアトラクション予約サービス「Disney Genie」開始、まずは10月19日よりフロリダのWalt Disney Worldで

Disney(ディズニー)の新しいデジタルサービス「Disney Genie(ディズニー・ジーニー)」が、米国時間10月19日より、Walt Disney World Resort(ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート)で始まる。8月に初めて発表されたこのサービスは、従来のディズニー・パークの行列予約ツールをアップデートしたもので、ゲストは旅程を計画・更新したり、最も人気のあるアトラクションの時間帯を予約したり、さらにオプションとして、人気アトラクションではアラカルトまたはアドオンの「Genie+(ジーニー・プラス)」を通して、並ぶ時間を短縮できる「Lightning Lane(ライトニング・レーン)」入場口の有料アクセスを購入することができる。

ディズニーによれば、このDisney Genieは、旧来のFASTPASS(ファストパス)、FastPass+(ファストパス・プラス)、Disney MaxPass(ディズニー・マックスパス)に代わるサービスとして、フロリダのウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートとカリフォルニアのディズニーランド・リゾートで導入されるという。

Disney Genieの中核となるのは、ゲストがパーク内で必ず体験したいと思っている乗り物やアトラクション、食事やエンターテインメントに基づいて、パーソナライズされた旅程を作成するスマートな旅行計画機能だ。つまりDisney Genieのユーザーは、人気アトラクションだけでなく、ディズニープリンセスとのミート&グリートを予定に組み込んだり、パーク内のバーで最高のカクテルを楽しみたいといった自分の興味に基づいて、1日の旅程をカスタマイズすることができる。

画像クレジット:Disney (choosing your interests in the app)

Disney Genieの導入以前は、パークに行く前に「FastPass+」と呼ばれる予約システムでアトラクションを3回まで予約でき、3回目以降はアプリ「My Disney Experience(マイ・ディズニー・エクスペリエンス)」を使って予約を継続することができた。しかし、この無料システムでは、60日前から予約できるディズニー直営ホテル宿泊者が有利で、それ以外の人は30日前にしか予約できないため、人気のある乗り物の予約が取りにくいという問題があった。また最初の予約時には、すべての人気アトラクション(いわゆるTier1アトラクション)を3つ予約できるわけではなかった。

Disney Genieは、これらの問題を解決するためのものだが、しかし有料となる。そのため、ディズニー・ファンからは「ディズニー旅行にはすでに十分お金を払っているのに、さらに追加料金を払いたいとは思わない」という反発の声が上がっている。実際、Disney Genieの発表動画には、本稿執筆時点で、1万2000件もの「低評価」が付けられているのに対し「高評価」は948件に過ぎない。しかし、テーマパークの主要アトラクションに有料で優先的に並べるサービスは、ディズニーに競合するテーマパークでは一般的なものであり、タイトなスケジュールで確実にすべてのアトラクションを体験したい人にとっては役に立つ。

10月19日に発売されるウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートのDisney Genieでは、ゲストは2つの有料オプションから選択できるようになる。最大2つのライトニング・レーンを個別に利用するか、あるいはGenie+のより幅広いセレクションを利用するかだ。

ディズニーによると、アラカルト・オプションで利用できるアトラクションは以下の通り。Magic Kingdom(マジックキングダム)の「Seven Dwarfs Mine Train(七人のこびとのマイントレイン)」と「Space Mountain(スペース・マウンテン)」、Epcot(エプコット)の「Remy’s Ratatouille Adventure(レミーのラタトゥイユ・アドベンチャー)」と「Frozen Ever After(フローズン・エバー・アフター)」、Disney Hollywood Studios(ディズニー・ハリウッドスタジオ)の「Star Wars:Rise of the Resistance(スター・ウォーズ:ライズ・オブ・ザ・レジスタンス)」と「Mickey & Minnie’s Runaway Railway(ミッキー&ミニーの暴走鉄道)」、Disney’s Animal Kingdom(ディズニー・アニマル・キングダム)の「Avatar Flight of Passage(アバター・フライト・オブ・パッセージ)」と「Expedition Everest(エクスペディション・エベレスト)」。

これらの中から、2つのアトラクションを選ぶことができ、待ち時間を短縮できる可能性はあるものの、あなたがどうしても乗りたいアトラクションは含まれていないかもしれない。

一方、Disney Genie+では、4つのパークにある合計40以上のアトラクションでライトニング・レーンを開放し、しかもその中には、多くのTier1ライドが含まれる。販売開始時の価格は、ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートでは1日1枚15ドル(約1700円)、ディズニーランド・リゾートでは1日1枚20ドル(約2300円)になる予定だ。

画像クレジット:Disney

アラカルトの価格は、日付、アトラクション、パークによって異なるとディズニーは述べている。ディズニーは各ライドの具体的な価格を発表していないが、いくつかの例を提示している。例えば「レミーのラタトゥイユ・アドベンチャー」のライトニング・レーン入場は、10月19日には1人9ドル(約1020円)だが、10月23日には1人11ドル(約1250円)になるとのこと。しかし、同じ日に「エクスペディション・エベレスト – 禁断の山の伝説」は1人7ドル(約790円)「スター・ウォーズ:レジスタンスの台頭」は1人15ドル(約1700円)となっている。

ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートで10月19日より開始するというニュースに併せて、ディズニーはこの機能がMy Disney Experienceアプリにどのように統合されるかについても詳しく説明している。これは、チケット、パークマップ、ショータイム、オンラインフードオーダーなどにアクセスするためのアプリだ。

画像クレジット:Disney

現在は多くのパーク来場者が、TouringPlans.comをはじめとするインディーデベロッパーによるサードパーティ製アプリや、ディズニー・ファンのブログなどを利用して、主要なアトラクションやイベントをすべて見て回るルート計画のヒントを得ている。しかし、Disney Genieは、同社が把握している待ち時間やパークの変化(一時的に閉鎖されている乗り物やその他の遅延など)などの情報も組み入れながら、自社の「My Disney Experience」アプリで直接、ユーザーが旅の優先順位を決めるための手助けをすると約束している。この自社開発のオプションは、パーク・プランニングのニーズに対応するために作られたサードパーティ・ビジネスの収益源に影響を与える可能性がある。

しかも、固定されたプランとは異なり、Genieによる体験は、ユーザーの要望や予期せぬ計画変更にも対応する。例えば、小さな子どもを昼寝させるためにホテルへ戻る必要が生じたり、予定外の軽食で休憩を取ったり、気に入ったアトラクションにもう一度乗りたいと思ったりすることがあるだろう。そんなふうに予定を変更すると、Genieはあなたの旅程をアップデートしてくれる。このサービスは、ライトニング・レーンの入場料を払っていなくても、無料で利用できる。

ディズニーは、カリフォルニアのディズニーランド・リゾートではDisney Genieがいつから導入されるかを発表していないが、以前「2021年の秋」と言っていたので、ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートからそれほど遅れることはないだろう。

画像クレジット:Disney

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Terran Orbitalが世界最大の衛星製造、部品工場をフロリダ州スペースコーストに建設

人工衛星製造会社のTerran Orbital(テラン・オービタル)は米国時間9月27日、3億ドル(約334億円)を投じてフロリダ州スペースコーストに世界最大の宇宙機製造施設を開設すると発表した。

この約6万1000平方メートルの工場では、年間1000基の人工衛星と100万個以上の衛星部品を含む「年間数千種類の宇宙機」を製造することができると、同社は声明で述べている。

2013年に設立されたTerran Orbitalは、同年に超小型衛星開発企業のTyvak(タイヴァック)を買収したものの、その後は目立たない存在だった。2017年には、Lockheed Martin(ロッキード・マーティン)が同社に少額出資している。Terranは現在、カリフォルニア州アーバインで約1万2000平方メートルの施設を運営しているが、CEOで共同創業者のMarc Bell(マーク・ベル)氏は、現在の製造能力やこれまで製造した衛星の数については公表していないと、最近のインタビューでTechCrunchに語っていた。

Terran Orbitalは、主に米国政府向けに人工衛星の設計、製造、エンジニアリングを行う受託製造会社である。ベル氏によると、Terranの仕事の約95%はNASAと米国防総省に関連するとのことだが、同社の商業顧客については明言を避けた。

同社は独自の衛星コンステレーションも開発する予定だと、ベル氏は付け加えた。これらの衛星は、合成開口レーダーの一種を使用し、雲や雷雨などの視界に影響を与える気象現象があっても、画像を撮影することができるようになる。Terranによると、これらの衛星の打ち上げは2022年末に開始する予定だという。

新たな施設は2025年に完成する予定で、約2100人の雇用を生み出すことが期待され、平均賃金は8万4000ドル(約935万円)になる見込みだという。この施設は、同州の航空宇宙開発局であるSpace Florida(スペース・フロリダ)とのパートナーシップのもとで建造され、同局がコンジットファイナンスを提供する。

フロリダ州のスペースコーストには、すでにSpaceX(スペースX)、Blue Origin(ブルー・オリジン)、Redwire(レッドワイア)などが施設を構えている。今回の発表によって、同地の発展はさらに進みそうだ。2020年は1200個以上の衛星が宇宙に打ち上げられ、前年の2倍以上の数が軌道に乗った。

画像クレジット:Terran Orbital

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

初の民間人だけの宇宙ミッション成功、Inspiration4の着水はSpaceXにとって始まりにすぎない

いとも簡単に彼らは帰還した。

Inspiration4のクルーが米国時間9月18日夜にフロリダの東海岸に着水し、晴々しく帰還した。ほぼ完全に民間人だけの初の宇宙ミッションとなった。着水から1時間弱してSpaceX(スペースエックス)のGo Searcher回収船がResilienceと命名されたCrew Dragonカプセルを曳航した。その後クルーはヘリコプターでNASA(米航空宇宙局)のケネディ宇宙センターに移送され、そこで標準的なメディカルチェックを受けた。

ミッションの成功はElon Musk(イーロン・マスク)氏、全ミッションを遂行したSpaceX(そして広範にとらえると技術開発の資金を提供したNASA)にとって重要な勝利だ。そしておそらく、はっきりと宇宙旅行時代の幕開けを告げるものだ。

SpaceXの有人宇宙プログラム担当シニアディレクター、Benji Reed(ベンジ・リード)氏は、潜在顧客からのプライベートミッションについての問い合わせが増えている、と報道陣に語った。「年に少なくとも3〜6回ミッションを実施できる」とも述べた。

もちろん、今回のミッション司令官のJared Isaacman(ジャレッド・アイザックマン)氏は宇宙に行った初の富豪ではない。2021年夏、 Richard Branson(リチャード・ブランソン)氏とJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏もそれぞれが所有するVirgin Galactic(ヴァージン・ギャラクティック)とBlue Origin(ブルーオリジン)が開発した宇宙船で宇宙飛行を楽しんだ。しかしその宇宙飛行はかなり短いものだった。ベゾス氏と同乗者3人は宇宙に行き、15分もせずに地球に帰還した。必然的に放射線アーチを描く移動だった。

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それとは対照的に、Inspiration4のクルーは最高高度590キロメートルで地球を周回しながら3日間を過ごした。この高度は国際宇宙ステーションよりも高く、宇宙にいる人間の中で最も「外側」にいたことを意味する。ミッションの間、クルーは1日あたり平均15回地球を周った。

軌道にいる間、クルーはいくつかの科学実験を行った。その大半は宇宙旅行が人体に及ぼす影響を理解することを目的とする自身のデータ収集だ。クルーはまた、SpaceXが「キューポラ」と呼ぶ大きなドーム型の窓で宇宙の写真を撮ったりして過ごした。

決済処理会社Shift4 paymentsで財を成したアイザックマン氏以外のクルーは、医師助手で子どもの頃にがんを患って克服したHayley Arceneaux(ヘイリー・アルセノー)氏、地球科学者のSian Proctor(シアン・プロクター)氏、ロッキード・マーティンのエンジニアであるChris Sembroski(クリス・センブロスキー)氏だ。クルーの中でアルセノー氏が宇宙に行った最も若い米国人で、かつ義足をつけて宇宙に行った初の人間であり、プロクター氏は宇宙ミッションを行った初の黒人女性だ。

この歴史的なミッションの費用はすべてアイザックマン氏によるものだが、同氏とSpaceXはどちらも費用が合計でいくらだったのかについては口を閉ざしている。このミッションはセント・ジュード研究病院のための2億ドル(約218億円)の募金活動として行われ、ここにアイザックマン氏が1億ドル(約109億円)、マスク氏が5000万ドル(約55億円)を寄付した。さらに募金活動には市民から6020万ドル(約65億円)が寄せられた。

Resilienceが安全に人を宇宙に運び、そして連れ帰ってきたのは今回が2回目だ。2021年5月の最初のミッションCrew-1では宇宙飛行士4人(NASAの3人、日本の宇宙航空研究開発機構の1人)を国際宇宙ステーションへと運び、そして宇宙飛行士を地球に連れて帰った。SpaceXは今後6カ月でいくつかの有人ミッションを実施する予定で、ここにはNASAと欧州宇宙機関の代わりに行う国際宇宙ステーションへのミッション、Axiom Spaceの依頼で行うプライベートAX-1ミッションが含まれる。

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「SpaceXにとても感謝しています。すばらしいフライトでした」とアイザックマン氏はカプセルが帰還した後に述べた。「まだ始まったばかりです」。

着水の一部始終は下の動画で閲覧できる。

画像クレジット:SpaceX

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

フロリダ州の「禁止の禁止」令はSNS企業の言論の自由の試金石となる

フロリダ州のRon Desantis(ロン・デサンティス)知事は、ソーシャルメディア企業が州議会候補や報道機関による利用を禁止する行為を制限する法案に署名した。これは企業に与えられた言論の自由の権利に真っ向から挑戦するものだ。同法が法廷で異議を唱えられることはほぼ確実であり、違憲であるだけでなく連邦法とも直接衝突する。

その法律、フロリダ上院法案7072は、テック企業とソーシャルメディア企業に新たなチェック項目をもたらす。いくつか例をあげると以下のとおりになる。

  • プラットフォームは州議会候補の利用を禁止あるいは優先度を下げてはならない
  • プラットフォームは一定の規模要件を満たす報道機関の利用を禁止あるいは優先度を下げてはならない
  • プラットフォームは管理プロセスに関して透明でなくてはならず、ユーザーに管理行為の通知を送る必要がある
  • ユーザーおよび州は同法に違反する企業を訴訟する権利をもつ。一部の違反に対しては1日当たり最大25万ドル(約2700万円)の法定罰金が課される。

この法律が該当企業の管理手続きに影響を与えることは明らかだ。しかし、そうすることが検閲(政府による実際の検閲であり、しばしばこの用語が使われる一般的概念における制約のことではない)につながるかどうかは定かではない。明白なケースであれば、上院法案7072に対する法的行為によって強制される可能性は高い。

これに関する状況の前例と分析は膨大な数に上るが「ソーシャルメディアによる管理プロセスが憲法修正第1項によって保護されるかどうか」の問題はは未解決だ。法学者や判例は強く「イエス」に傾いているが、Facebook(フェイスブック)やTwitter(ツイッター)が例示できるような決定的な前例は存在しない。

この言論の自由論争の要点は、ソーシャルメディアは新聞や出版社とは大きく異なるが、政府の介入からは概ね同じように憲法によって保護される、という主張に始まる。「言論の自由」は驚くほど自由に解釈される用語であるが、もし企業がお金を使うことがアイデアの保護された表現の1つであるとみなされるなら、その同じ会社がコンテンツを公開するか否かのポリシーを適用することも同様であるべきだと容易に想像できる。もしそうであれば、当局は保護されない言論の非常に狭い定義(満員の劇場で「火事だ」と叫ぶことなど)を越えて介入することは禁止される。これはフロリダ法の憲法に基づく根拠を崩すものだ。

もう1つの衝突の相手は連邦法、具体的にはかなり話題になった通信品位法230条で、企業を発信するコンテンツの責任から守る(代わりにクリエイターが責任を持つ)ものだ。さらに、企業自身の選んだルールに基づいてコンテンツを削除することも選択できる。同法の共同提起人であるRon Wyden(ロン・ワイデン)上院議員(民主党・オレゴン州)が指摘するように、これは企業に盾と剣の両方を与え、彼らはそれを使ってプラットフォームにおけるリスキーな発言と戦うことができる。

しかし上院法案7072は、その剣と盾の両方を奪う。誰を管理できるのかを制限し、さらには残された管理行為に対する法的行為に関する新たな条項を加えている。

連邦法と州法とはしばしば矛盾をきたし、両者を調停する方法の教科書は存在しない。一方では、州で合法化されているマリファナ店舗や栽培者が連邦当局の手入れを受けている。もう一方では、強力な州レベルの消費者保護法が、もっと弱い連邦法に先んじらずにいる。なぜならそうすることが人々を危険に晒すからだ。

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第230条については、誰が誰を保護しているのか容易にはわからない。フロリダ州の現行州政府は「真のフロリダ人」を「シリコンバレーのエリート」から保護していると言っている。しかし、そんなエリートたち(率直に言ってまさしくそのとおり)はこれを、明白な政府の勇み足であり、文字どおりの検閲であると主張するだろう。

こうした強力な法的異議申し立ては、影響を受ける企業からの必然的な訴訟を引き起こし、おそらくその法律が発効される前に提起され、覆されることを目標とするだろう。

興味深いのは、同法の影響を受けないであろう2つの会社は、世界で最も大きく最も妥協しない会社、Disney(ディズニー)とComcast(コムキャスト)だ。なぜだろうか?それはこの法律には、一定規模の「テーマパークまたはエンターテインメント集合施設を所有する」企業に対する特別免除条項があるからだ。

そう、この法律にはネズミの形をした穴があり、Universal Studios(ユニバーサルスタジオ)を所有するComcastは、たまたまそこにぴったりはまっただけだ。注目すべきはこれが修正条項として付け加えられたことであり、州内の二大雇用者が、自分たちのいかなるデジタル財産に対してでも新たな責任を負わされるアイデアを喜ばなかったことが推察される。

地元献金企業に対するこの露骨な迎合は、同法の推進者たちをエリートとの正義の戦いで倫理的に不利な立場に追い込むものだが、その効果も、数カ月後に現在起草されているであろう訴訟が起きた時には、上院法案7072対する禁止命令が施行意味をなくすだろう。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:フロリダSNS言論の自由

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nob Takahashi / facebook