WaymoロボタクシーのアプリがApp Storeに到着

Waymoの自動運転ミニバンをもっと楽に呼べるようになる。米国フェニックス地区でこのWaymo Oneサービスを開始してから1年後に、同社はiOSアプリを立ち上げる。ということは、同社は徐々に大規模な商用サービスに変わりたいのだ。フェニックスの住民はこのアプリをiPhoneにダウンロードしてユーザー登録をし、これからは直接、同社の自動運転車を呼び出せる。

GoogleからスピンアウトしてAlphabet傘下の企業になったWaymoは、商用ロボタクシーの限定サービスWaymo Oneを2018年12月にフェニックス地区で開始した。そのWaymo One自動運転車サービスと付属アプリは、初乗り客を申し込んだフェニックスの住民だけが利用でき、それは選び抜かれた常連客だけを同社の自動運転ミニバンに乗せることを狙っていた。

4月になると、そのアプリはGoogle Play storeに登場した。そしてWaymo Oneがローンチして1年となる今、ついにApp Storeに現れた。それまでの数か月でアプリはかなり改良され、呼び出しを簡単にしてはやく呼べるようになった。ユーザーはアプリから車のクラクションを鳴らせるので、Waymoの説明によると、視力の弱い人でもピックアップで自分の車を見つけられる。

これでWaymoは、本当に運転者のいない車も利用する本格的な商用サービスに、また一歩近づいた。これまでは、呼ばれたWaymoの自動運転車には必ず人間の安全ドライバーがいて、ハンドルを握っていた。同社は11月に、完全に運転者不在の車の利用を開始した。

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実はかなり前から、WaymoにはAndroidとiOSのアプリがある。乗りたいと思った人はWebサイトから申し込んで、そのあとにアプリを入手できた。初乗り客として認められたら、アプリをダウンロードできるところのリンクを教えてもらえる。

こうやってWaymoにお客さんとして認めてもらえても、UberやLyftのような簡単な呼び出しはできない。乗客として認められても、まず待ち行列に並ばなければならない。そしてその後、守秘義務合意に署名してからWaymo Oneの公共サービスへ移行する。それからなら、ゲストを乗せることも、体験を公に語ることも許される。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Einrideがスウェーデンでコカコーラ関連会社と無人電動トラックの商用テストを実施へ

自動運転トラックのスタートアップであるEinrideは、スウェーデンの路上で商用テストを行う新たなパートナーと契約した。これは、同社の自動運転トラックのための有意義なテストになるだろう。EinrideはCoca-Cola European Partnersへとサービスを提供する予定で、同社はスウェーデンにおけるCoca-Cola(コカ・コーラ)ブランド製品の正規ボトラー、ディストリビューター、販売およびマーケティング会社である。

この提携によりEinrideは、Coca-Cola European Partnersのストックホルム郊外のJordbroにある倉庫と、Axfoodの流通ハブの間で自社の輸送システムを商業的に運用し、コカコーラブランドの商品がスウェーデンの地元店舗に発送される前段階として、それらをリテーラーに輸送することになる。

Coca-Cola European Partnersは、現在使用されているソリューションと比較して、EinrideのシステムによりCO2排出量を90%も削減できる可能性があることから、この提携をCO2排出量削減の継続という目標の一環として検討している。両社によると、この試験は今後数年のうちに実施される予定で、またEinrideの公道での試験は当局の承認を得て、早ければ来年中にも実施されることが期待されている。

Einrideは昨年10月に新たに2500万ドル(約27億円)の資金を調達したと発表しており、今年5月からは、同社が開発した電気トラックのEinride Podの公道走行試験を開始している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

ボルボが自動運転車両OS開発のApex.AIに投資

Volvo(ボルボ)は米国パロアルト拠点のApex.AIに出資する。Apex.AIは自動車製造に使用されるロボティックOSの開発に取り組んでいるスタートアップだ。自動システムのエンジニアJan Becker(ヤン・ベッカー)氏とDejan Pangercic(デヤン・パンジェチッチ)氏によって設立され、昨年11月にシリーズAで1550万ドル(約17億円)を調達した。そして、Robot Operating System(ロボットOSオープンソースミドルウェアの企業向けバージョンの開発に注力していることを明らかにした。

Apex.AIは現在、自社ホームページに2つのプロダクトを掲載している。Apex.OSとApex.Autonomyだ。前者は自動車製造メーカーが完全に保証された自動走行モビリティテクノロジーにアクセスできるようにする、統合が容易なAPIを提供するためのものだ。一方、後者は認識やローカル化、ルートプラニングなどを含む自動走行テクノロジーの特定要素の活用を検討している自動車製造メーカーのための特定構成要素にもっとフォーカスしたものだ。

Volvo Group Venture Capital代理CEOでボルボのコネクテッドソリューションk担当副社長を務めるAnna Westerberg(アンナ・ウェスターバーグ)氏はプレスリリースで、ボルボグループは「安全認証済みのシステム開発を容易にする企業に投資できることにうれしく思っている」と述べた。業界基準の安全上の必須要件を満たすシステムの提供では、Apex.AIは自動走行システムを量産車に搭載するプロセスをスピードアップするさせることができるかもしれない。

投資額など詳細は明らかにされておらず、ボルボグループは自社の「売上高や財務状態」に「大きな影響はない」とだけ述べている。これは詳細を明らかにするほどの中身が今はないということを意味する。それでも、巨大な多国籍メーカーの相対的な物差しと、Apex.AIが創立2年のシリコンバレースタートアップであることを考えたとき、Apex.AIに巨額の資金が注入されることはありそうだ。

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(翻訳:Mizoguchi)

自動運転シャトルのMayがトヨタ自動車のリードで約54億円を調達

米国の3都市で自動運転シャトルサービスを展開しているミシガン拠点のスタートアップであるMay Mobility(メイ・モビリティ)は、トヨタ自動車がリードしたシリーズBで5000万ドル(約54億円)を調達した。

May Mobilityが前回2200万ドル(約24億円)を調達してから1年もたっていない。今回調達した資金は自動運転シャトルバスの車両、そしてエンジニアリングやオペレーションのスタッフなどを含め、同社のあらゆる面を増強するのに使われる。

May Mobilityはデトロイトとグランド・ラピッズ、ミシガン、ロードアイランド州プロビデンスの3都市で低速の自動運転シャトルバス25台を運行している。共同創業者でCOOのAlisyn Malek(アリシン・マレック)氏は、1都市あたりの展開台数を25台に増やしたいと考えている、とTechCrunchに対し語った。この規模は同社の採算性を向上させ、サービスを展開する都市の交通に有意義なインパクトをもたらす。

今回のラウンドはMay Mobilityに資金をもたらす以上の意味がある。2017年に設立された同社は顧客も確保した。同社によると、トヨタは「未来のオープンプラットフォームのための自動運転プロバイダー」としてMay Mobilityを選んだとのことだ。

トヨタとMay Mobilityはこの提携が将来的にどのようなものになるか具体的には明らかにしなかった。しかしMay Mobilityの自動運転車両技術と、毎年1月に米国ラスベガスで開催されるテック見本市のCESでトヨタが2018年に発表したプラットフォームe-Paletteを組み合わせるというのはあり得る。

e-Paletteはコンセプト車両として発表されたが、実際はトヨタのモビリティエコシステムのビジョンを支えるプラットフォームだ。そのビジョンとは、車を製造して販売するだけの会社から、人や物のあらゆる移動に対応する会社へと移行するというものだ。

e-Paletteはフレキシビリティを前提にデザインされている。理論的には自動運転車両テクノロジーとマッチするこのプラットフォームはシャトルバスとして、あるいは顧客へ荷物を配達する車両として、はたまたモバイルショップのための移動車として活用できそうだ。

「May Mobilityはトヨタと手を携えながらマーケットの機会をうかがう」とマレク氏は話した。また、「そうしたプラットフォームを実用化するための共同開発においてMay Mobilityがトヨタの主要パートナーの1社となる」とも付け加えた。「我々が今取り組んでいる、『サービスとしての交通』を彼らは本当に信じていて、我々はそれをサポートしたい」と同氏は語る。

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(翻訳:Mizoguchi)

無料で使えるAI搭載ドラレコアプリ「スマートくん」公開、AI事業のニューラルポケットが開発

画像や映像を解析するAI技術の研究開発と事業化に取り組むニューラルポケットは12月6日、自社開発のAIを組み込んだドライブレコーダーアプリ「スマートくん」のiOS版を公開した。

同サービスは数万円するような既存のドラレコ端末を用意せずとも、市販の一般的なスマホ用スタンドに自身のスマホを設置するだけで、簡単にドラレコ機能を使えるというもの。一般的なドラレコアプリに搭載されている常時録画や動画保存・再生といった「運転録画機能」に加えて、AIを活用した「運転レポート/サポート機能」を搭載している。

スマートくんでは急発進・急停止などの動作や周辺に映る物体(自動車や歩行者、信号機など)を走行中にリアルタイムでAIが検知。たとえば車間距離を解析して他の車両に接近しすぎた場合にアラートをする、といった形でドライバーの運転を支援する仕組みがあるのも特徴だ。

2020年を目処に音でアラートをする機能を導入するほか、取得した運転データからレポートを出力する機能やそのほかの運転サポート機能なども順次追加していく計画。これらは全てスマホ端末内で処理を行うため、アプリのインストール時を除けば基本的に通信量は発生しない。映像の録画や録画データの確認も含めてスマホが1台あればOKだ。

個人ユーザーが自家用車で活用する際はもちろん、法人についても無料で使うことが可能。利用の際に個人情報の登録も必要ないが、ニューラルポケットでは個人情報に紐付けない形で道路上のデータを取得し、このデータを用いて各企業や自治体と連携しながら事業開発を進める方針だという。

要はコンシューマー向けのアプリではあるものの、そこからマネタイズをするつもりはなく、集めたデータを使って新しい事業に繋げていきたいという考え。便利な機能を搭載したアプリを無料で提供する代わりに、ユーザーからはアプリを通じて取得できる混雑状況・道路情報といった交通データをもらう構造だ。

スマホがあれば簡単にドラレコ導入、モビリティ事業の足がかりに

ニューラルポケットは3月の資金調達時などにも紹介している通り、根幹となるAI技術の研究開発とその技術の社会実装を進めるスタートアップ。現在はファッション、スマートシティ、デジタルサイネージの3領域を軸にしていて、今回のドラレコアプリを含むモビリティ事業はスマートシティ領域の1つとなる。

同社の取締役COO周涵氏によると、2018年時点でドラレコの搭載率はだいたい3割程度なのだそう。ドラレコの利用に関心があるドライバーは一定数いるものの、価格と使い勝手がネックとなり思いの外普及していないのではないかという。

スマートくんの場合はアプリ自体が無料なので、必要な料金はスマホを設置するためのスタンドを購入する費用ぐらい。設置工事の手間などもかからないほか、映像の録画や確認が全てスマホだけで行えるスムーズさもウリだ。

近年はディー・エヌ・エーの「DRIVE CHART」や米国スタートアップのNautoが展開する「ナウト」など、AIを活用したドラレコやそれに関連する取り組みが徐々に広がりつつある。ただ車載端末ではなくスマホアプリでそのような仕組みを取り入れたものは「これまでになく、世界初になるのではないか」(周氏)とのこと。ニューラルポケットとしては導入のしやすさと機能性を兼ね備えたドラレコアプリとしてユーザーに訴求していく。

同社ではソフトバンクやトヨタらの共同出資会社であるMONET Technologiesが設立した「MONETコンソーシアム」に12月4日付けで加盟したことも本日公表済み。スマートくんで集めたビッグデータも活用しながら、道路情報の収集および街づくりへの展開、自動運転の実現に向けた環境データ整備など、関係企業や自治体・官公庁とも連携しながらモビリティ事業の開発を進めるという。

EV開発のLucid Motorsがアリゾナ工場を起工、来年後半に生産開始

Lucid Motors(ルシード・モータース)は米国時間12月2日、製造施設を起工する。アリゾナ州カサ・グランデに立地するこの工場では、電気自動車セダンであるLucid Airが製造される。同社によると、2020年後半に生産を開始するとのこと。

本日の起工は、Lucid Airの市販に向けたLucid Motorsの最新の動きとなる。今年初め、同社は生産オペレーション統括責任者としてPeter Hochholdinger(ピーター・ホッホホルディンガー)氏を雇った。ホッホホルディンガー氏はLucid Motorsに来る前にTesla(テスラ)に2年勤め、そこではカリフォルニア州フリーモントや世界各地のサイトを監督した。そしての前は、Audi(アウディ)で生産担当シニアディレクターを務めていた。

9月にLucid Motorsはサウジアラビアのソブリン・ウェルス・ファンドから10億ドル(約1090億円)を調達した。当時、同社はこの資金をLucid Airの商業展開に当てると語っていた。そして2020年代半ばまでにカサ・グランデ工場に7億ドル(約760億円)超をつぎ込むとしていた。

Lucid Airはデザインからエンジニアリング、生産まで全てアメリカで行われる最先端の電気自動車だ」とCEO兼CTOのPeter Rawlinson(ピーター・ローリンソン)氏は話す。「カサ・グランデでLucid Airを生産するというプロジェクトを前進させられることを誇りに思う。協力的な投資家、優れたデザインとエンジニアリングのチーム、Air後をも見据えたプロダクト戦略のおかげで今日を迎えた。このダイナミックな町に長年にわたって拠点を置くことになり、今日はその始まりにすぎない」。

同社のカサ・グランデ施設は2029年までに直接・間接的に4800人の雇用生み出すとされている。またカサ・グランデや国に向こう20年にわたって320億ドル(約3兆5000億円)の収入をもたらすと推定されている。

アリゾナ州の Doug Ducey(ダグ・デューシー)知事は声明文で「Lucid Motorsのようなハイテクな自動車メーカーを誘致できたことは、アリゾナの人材や事業環境、立地の良さを証明している」と述べた。同社は13州60都市の候補の中からカサ・グランデを選んだとしている。事業をめぐる環境やインフラ、人材、ロケーション、アリゾナ−ソノラ地域の自動車サプライチェーンが決め手となった。

Lucid Motorsは10年前に異なる社名で、そして違う目的で設立された。当時Atievaという名称だった同社は2016年まで電気自動車のバッテリー技術にフォーカスしていた。その後社名を変更し、電気自動車生産にシフトした。

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(翻訳:Mizoguchi)

テスラの完全電動トラックのCybertruckとフォードのピックアップトラックF-150の牽引試験を数学で解き明かす

数週間前、Tesla(テスラ)は同社初のピックアップトラック「Cybertruck」 を発表した。テスラは発表の際、突如として車同士の牽引デモを提示した。このデモは馬鹿げたテストであるだけでなく、複数の点で欠陥があり、テスラ側に大きなメリットがあった。動画では、それを数学で証明している。

テスラはこのテストをやり直すようだ。最初のテストがオンラインで拡散された後、Ford(フォード)のバイスプレジデントはF-150がよりよい比較結果を出せるように、テスラCEOのEron Musk(イーロン・マスク)氏にCybertruckをフォードに送るよう提案した。同社はすぐに「このコメントは冗談だ」との声明を発表し、なにも証明するつもりはないと述べた。しかしマスク氏はすでに、「提供しよう」とフォードの副社長に回答しており、またテスラも「来週」に別のテストを行うと述べた。

2台のトラックで牽引し合う動画は注目を集めたが、大事な点は他にある。より現実的なテストには牽引重量と航続距離、ハンドリング、充電容量が含まれる。これこそ、実際の購入者にとって重要なことだ。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

ガソリンを車まで宅配するZebra Fuelが突然ロンドンの営業を停止

ロンドンのZebra Fuel(ジブラ・フューエル)は、あなたの車に燃料を「宅配」ではなく「車配」する。Robin(ロビン)とSaul Klein(ソール・クライン)兄弟のLocalGlobeや、Brent Hoberman(ブレント・ホーバーマン)氏のFirstminute Capital、そしてZooplaの創業者であるAlex Chesterman(アレックス・チェスターマン)氏といった投資家に支援されていた同社だが、突然顧客に「ロンドンでの配達をやめる」と告げた。これが完全な廃業を意味しているのか、それはまだわからない。

米国時間11月26日に顧客に送られたメールで同社は「ご不便をおかけしたことをお詫び申し上げます。これまでのご愛顧を感謝いたします」と言ってるだけで、詳細は何も述べていない。単純に困ったねとしか言えない。

Zebra Fuelの社員がポストしたツイートは(その後削除されたが)、廃業を暗示している。そのツイートには「昨晩Zebra Fuelはすごいことをした。次の機会にまたお会いしましょう」と書かれていた。同社の共同創業者であるReda Bennis(レダ・ベニス)氏にメールしたが、まだ返信はない。同社が前に使っていたPR代理店にもコンタクトしたので、何かがわかり次第お伝えしよう。

2016年にベニス氏とRomain Saint Guilhem(ロマン・サン・ギレム)氏が創業したZebra Fuelは、車の給油をオンデマンドで便利にしようとした。ただし事前予約制だから、本当のオンデマンドではない。ロンドンっ子がが同社のスマートフォンアプリで時間と場所を指定して予約すると、Zebra Fuelのミニバンのどれかと訓練された社員がやってきて車に給油してくれる。

同社のシード資金調達のときベニス氏は、ガソリンスタンドに並ぶのは不便で時間の無駄と思ったのが起業の動機だと語っていた。しかもドライバーは余計な往復ドライブをしなければならないし、待ってる間エンジンをふかしていなければならない。

Zebra Fuelのように燃料が車のところまで来てくれれば、そしてそれが大規模に普及すれば、無駄な排気ガスを減らし、渋滞も減るだろうというのが同社のピッチだった。

配達でありながら都心部のガソリンスタンドと値段が変わらないし、安いこともあるのは、スタンドと同じ卸売価格で同社の巨大タンクローリーにガソリンを仕入れ、同社のミニバンに小分けして配達しているからだ。ミニバンは、仕入れにはまったく関わらない。

以下は顧客に送られたメールの全文だ。

親愛なるZebraのお客様,
残念ながら私どもは、Zebra Fulelが今後ロンドンで燃料の配達をしないことをお伝えしなければなりません。

ご不便をおかけすることを深くお詫びします。これまでの私どものサービスを、気に入っていただけましたことを、期待いたします。

心を込めて,
The Zebra Team

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

電動キックボードから始める日本型マイクロモビリティ、“全ての人の移動の自由”を目指すLuupの挑戦

提供:Luup

「日本は豊かだ。だが、50年後、100年後を見据えると、どうだろうか。高齢者が人口の3分の1になったり、人口も1億人を割り、5000万人くらいになってしまうという試算もある。長期的な課題は山積みだ。なので、事業を立ち上げるならば、50年後、100年後に、ちゃんとインフラになっているものを作りたいと思った」(Luup代表取締役社⻑兼CEO、岡井大輝氏)

電動キックボードは近未来的な便利な乗り物としてのハードウェアに注目が集まりがちだが、代表取締役社⻑兼CEOの岡井大輝氏が率いるLuupが目指すのは、その機体を使ったシェアリング事業「LUUP」の提供を通じて、全ての人の移動の自由を実現すること。ユーザーはアプリを使い、事業者が設置した電動キックボードを検索し、利用する。解錠や支払いもアプリで行う。

電動キックボードは今や世界中で注目を浴びている。LimeやBirdといった米大手の事業者が説明するところの「環境に優しい」、「車での移動を減らし渋滞を緩和できる」、「女性でも気軽に乗れる」など、他の乗り物にはない利点があるからだ。だが一方で、事故に関する報道も目立ち、安全性を懸念する声も少なくはない。

現在、日本における「安心で安全」な電動キックボードのシェアリング事業の“あり方”を模索しているLuup。同社は実証実験を重ねることにより、この国に最も適した状態でサービスの提供を開始することを目指している。TechCrunch Japanでは、マイクロモビリティ推進協議会の会長も務める岡井氏に、同社が目指す“日本の移動の未来”について話を聞いた。

Luup代表取締役社⻑兼CEO、岡井大輝氏

Luupが解決したい課題

岡井氏はLuupを創業後、オンデマンドの「介護士版Uber」のような事業を立ち上げていた。数時間だけ働きたい主婦や元看護師らを、必要としている家庭と繋ぐマッチングサービスだ。だが、岡井氏はこの事業を断念。日本の現在の交通の仕組みでは、“人が人の元に行く”C2C事業が成り立たちにくいと考えたからだ。

「『移動のインフラを作りたい』ということが先行しているわけではない。『介護士版Uber』のようなサービスが当然のように成り立つ社会を作りたいと思い、現在の事業に至った」(岡井氏)

移動のインフラを作る上で、なぜ電動キックボードを選んだのか。岡井氏は2018年にベイエリアを訪れた際、いわゆる“ブーム”に乗っかるような若者だけではなく、主婦、女性や、子供の頃にキックボードに乗っていなかったと思われる世代までもが日常的に電動キックボードを利用している姿を目の当たりにし、「これは(日本でも)乗られる」と感じたという。

そんなLuupが目指す「移動のインフラ」とは、既存の公共交通機関と重ならない領域における移動手段だ。岡井氏は「JRが太い動脈を引いてくれたと思っている。その毛細血管を僕たちが作っていく」と説明。そんなLuupにとって、数キロメートル程度の短距離の移動に最適な電動キックボードを使用することは当然の流れだと言えるだろう。

懸念されている安全性に関しても、電動キックボードだからこそ力を発揮できる部分もある。IoTの力により、「事故多発エリアでは機体を停止」、「特定の危険エリアではスピードを遅く」、といった制御が可能だからだ。持続可能な移動インフラに構築を目指すLuupは、官庁はもちろんのこと、地域との会話を何よりも重視している。自治体や地元の警察は、例えば「どこでどれくらいの事故が起きているのか」や、混雑しやすいエリア、時間帯を理解している。ニーズの理解、そしてデータの共有によって、各地域のニーズに応じた、安心で安全なシェアリング事業が成り立つ。

地域と話を進める中、海外のように電動キックボードを街中に無造作に配置するのではなく、駐輪ポートに機体を設置する形でのシェアリング事業展開を求める声が多かった、と岡井氏。日本ではほとんどの国民が駅やバス停、駐車場から、乗り物での移動を始めるため、そのような場所に駐輪ポートを設置するのが現実的と思われる。そして同氏いわく、自動運転の社会実装後も、「ドアからドア」のシームレスな移動の恩恵を、必ずしも“全ての人”が間も無く受けられるとは限らない。そのため、Luupでは自動運転車や電車を降りた後の移動手段を、高齢者や障がいを持つ人たちに提供していきたいと考えている。機体も2輪だけでなく、3輪、4輪、そしてシート付きの4輪も用意。高齢者向けの機体に関しては、常時ブレーキがかかっている状態になっているなど、高齢者による安全な利用を重視した設計になっている。

「高齢者が下り坂を走行する際に(通常の電動キックボードを操作するように)少しづつブレーキをかけるのは不可能だ。握力も少なく、判断も難しい。高齢者向けの機体に関してはIoTにも気を使っており、転倒した時や、あらかじめ家族が設定したエリアから離れた場合は、家族にアラートが飛ぶような形にしようと考えている」(岡井氏)

Luupは11月5日、埼玉県秩父郡横瀬町にある秩父自動車学校にて、住民の高齢者を対象とした電動キックボードの試乗会を実施した。

Luupでは高齢者や障がいのある方の他にも、訪日外国人観光客のサービス利用を想定。人口の都市への集中、そして地方の過疎化は世界中で起こっており、ここ日本も例外ではない。だが一方で、インバウンド訪問者は急増。政府の「明日の日本を支える観光ビジョン」では、2030年までに訪日外国人旅行者数を6000万人に増やすことが目標として掲げられている。その際に、地方を訪れるインバウンド訪問者に、どのような交通手段を提供すべきだろうか。岡井氏は、ピーク時のみ人が流れ込む地方において、バスでは採算が合わず、そもそも「人がいない」地域において、ライドシェアは難しいと考えている。一方、世界中にユーザーがいる電動キックボードであれば、インバウンド訪問者の移動ニーズを満たす事ができるのではないか。

電動キックボードのシェアリング事業、提供開始に向けて

Luupが目指すのは、あくまでも電動のマイクロモビリティによる移動の自由。同社に電動キックボードというハードウェアに対する執着心はないが、その機体を使ったシェアリングサービスを提供開始することで、目標に向け、踏み出す。Luupはこれまで、日本の各地で多くの実証実験を行ってきた。サービスの提供開始に向けて、安心で安全な電動キックボードのシェアリング事業のあり方を模索している最中だ。

ここ日本では、電動キックボードが公道を走るには、ナンバープレート、バックミラー、ウインカー、ヘッドライトなど、国土交通省が定める保安部品を取り付け、原動機付自転車登録をし、免許証を携帯する必要がある。日本の現行規制上では、電動キックボードは原付自転車として扱われるからだ。

法制度の背景もあり、岡井氏は、Luupが日本で電動キックボードのシェアリング事業を展開するには「完全なるローカライゼーション」が必要だと話す。原付としてであれば、「対話なし」に今すぐにでも公道を走れるわけだが、同氏はそれは論外だと言う。サービス提供の開始は「必ず自治体と話をした上で」(岡井氏)。

車道は世界中で同じ規格だが、歩道は市区町村単位で違う。「なので、国ごと、市区町村ごとのローカライゼーションが必要。(電動キックボードの走行が)この街だと車道のみで歩道は不可、この街は車道も不可で自転車レーンは可、みたいなものを市区町村ごとに決めていくべき。そして日本において、課題の中心にあるのは高齢者の移動。高齢者が利用できることがマスト。でなければ、人々にとって協力する理由はない。『楽しいからやろう』は道理として通らない」(岡井氏)

Luupは最近では、事業者が規制官庁の認定を受けた実証を行い、得られた情報やデータをもとに規制の見直しに繋げていく「規制のサンドボックス制度」に認定された実証を、横浜国立大学の常盤台キャンパス内の一部区域で行っている。だが、岡井氏にとってサンドボックス制度は、あくまでもサービス提供に向けた「手段の1つ」。どういう場所では安全か、どういう場所では危険か、実証データを可能な限り多く貯めていき、それをもとに、何がどう、なぜ懸念で、逆になぜ自転車であれば問題ないのか、といった議論を進めていくのが本筋だと同氏は言う。

「座組としては、国家戦略特区もあれば、サンドボックス制度もある。それ以外にも、(道路使用許可をいただいて埼玉県横瀬町での実証実験が終わっているが)、様々な選択肢がある。だが、結果はどれも一緒。ちゃんと実証をし、その上で関係省庁と対話するしかない。それこそが王道。誰かを騙したり別の圧力などで(規制を)緩和したとしても、その後に負が生まれるだけだ」(岡井氏)

長期的なビジョン、目指すは地元と自動車メーカーを繋ぐ架け橋

Luupの運営する事業は、大きく分けて2つ。国内の電動キックボードのシェアリング事業であるLUUPと、ゴルフ場やリゾートホテルなど大きな私有地に多くの機体を卸すB2B事業だ。同社は機体を、自社で日本に合った要件として企画し、工場にOEMで依頼する形で、「自社製造」している。だが、長期的には、製造の部分に関してはメーカーに譲り、オペレーションに特化していく予定だ。

「将来的には、2輪、4輪(の機体)はメーカーが作るべきだと思っている。自治体やメーカーと話を重ね、地元と自動車メーカーを繋ぐ架け橋になりたい。Luupのサービスだったら、『ちゃんと朝、充電されている』、『便利だけど、あまり放置されていない』、『ちょっと危ない運転をするとペナルティで乗れなくなる』など、オペレーション面での“エクセレント”を強みにしていきたい。エクセレントの定義は、地元が求める水準にちゃんと合わせること。それが僕たちの役割だと思っている」(岡井氏)

ホバーバイク開発のA.L.I. Technologiesが23.1億円を調達

エアモビリティ、演算力シェアリング、ドローン・AIなどの事業を手掛けるA.L.I. Technologiesは11月28日、23.1億円の資金調達を発表した。第三者割当増資によるもので、主な引き受け先は以下のとおり。株主構成は、西部ガスやふくおかフィナンシャル、JR西日本イノベーションズ、千葉銀行、山梨中央銀行など、東京以外に拠点を持つ事業会社やCVCからの出資が目立つ。

  • SGインキュベート第1号投資事業有限責任組合(西部ガスグループ/SGインキュベート組成)
  • FFGベンチャー投資事業有限責任組合第1号(ふくおかフィナンシャルグループ組成)
  • MSIVC2018V投資事業有限責任組合(三井住友海上キャピタル組成)
  • オプトベンチャーズ2号投資事業有限責任組合(オプトベンチャーズ)
  • JR西日本イノベーションズ
  • トラスト・テック
  • 京セラ
  • サファイア第一号投資事業有限責任組合(サファイア・キャピタル)
  • 新生ベンチャーパートナーズ1号投資事業有限責任組合(新生企業投資組成)
  • テックアクセル1号投資事業有限責任組合(テックアクセルベンチャーズ組成)
  • 日本アジアグループ
  • ひまわりG4号投資事業有限責任組合(ちばぎんキャピタル組成)
  • 三菱電機
  • 三菱日立パワーシステムズ
  • 山梨中銀経営コンサルティング(山梨中央銀行グループ)

同社では今回の資金調達を、同社が手掛けるホバーバイク(地上から浮いて走る1人乗りバイク)の「XTURISMO LIMITED EDITION」の開発と販売促進、産業用ドローンの開発や操縦士提供サービスの事業成長、演算力のクラウドシェアリングサービス「Bullet Render Farm」の追加開発やマーケティングに投下するとのこと。なおホバーバイクについては、2023年をメドに販売予定の量産機の研究開発などにも投資していくとのこと。

気になるLIMITED EDITIONの販売受付ついては、販売代理店のグランムーヴジャパンが担当する。価格はさまざな条件によって決定するとして非公開。なおLIMITED EDITIONは日本国内の公道では走行できないため自動車免許など不要だ。主に私有地などでの利用に限られる。

一方、今後販売予定の量産機については、中型自動二輪車免許の既存ルールに当てはまるよう国土交通省や警察庁から要件について指導を受けながら、公道ナンバー取得に向けて協議中とのこと。同社としては、安全性の観点からドローンの教習(同社認定のカリキュラムを学習)が必要になると考えているとのこと。

インドの格安スクーターレンタルBounceが約164億円を調達

電気とガソリンで走行するスクーター1万7000台あまりをインド国内の36都市で展開しているバンガロール拠点のスタートアップであるBounceは、現在進行形のラウンドの一環として1億5000万ドル(約164億円)を調達した。このラウンドは、既存投資家であるEduardo SaverinのB CapitalとAccel Partners Indiaがリードしている。この件に詳しい2人の情報筋がTechCrunchに明らかにした。

インドのカオス的な道路をすり抜けるためのサービスに巨額の資金が注がれている

新ラウンドのシリーズDでBounceのバリュエーションは5億ドル(約547億円)を優に超えると情報筋は匿名を条件に語った。創業1年のこのスタートアップは、6月にクローズしたシリーズCでバリュエーション2億ドル(約220億円)超となっていて、そこからかなりの増加となる。なおこの件について、Bounceの広報はコメントを差し控えた。

以前はMetro Bikesという名称だったBounceでは、客は1kmあたりわずか1ルピー(約1.5円)、1時間あたり1.5ルピー(約2.3円)でスクーターをレンタルできる。利用が終わったときは、客は近くの駐車スペースにスクーターを停めて返却できる。

今回のラウンドの前に9200万ドル(約100億円)を調達しているBounceは先月、顧客が210万人を超えたと話していた。インドにおける電動バイクとガソリンバイクの市場では、リーズナブル価格が最大のアピールポイントの1つだ。また、渋滞の中では4輪車よりも2輪車の方が速く移動できると広く認識されつつあることもバイク市場を後押ししている。

そうした意味では、スマートスクーターはOlaとUberにとってはライバルとなっている。両社とも、多くのタクシーを100都市超で展開するために何十億ドルも投資してきた。New York Timesとのインタビューの中で、Bounceの共同創業者でCEOのVivekananda Hallekere(ビベカナンダ・ハレケレ)氏は「UberとOlaの従来型モデルは限界に達している」と語った。「ドライバーがいては料金を安くできない。もしユーザーがスクーターの扱い方を知っているのなら、なぜドライバーが必要なのか」とハレケレ氏はNew York Timesに話した。OlaもUberも気づいている。

なお、Bounceはいくつかの会社と競合している。その中には、配車サービス大手のOlaが巨額を出資しているVogoや、Uberと提携を維持しつつ今週800万ドル(約9億円)のシリーズAをクローズしたYuluが含まれる。

ハレケレ氏は今年初めのTechCrunchとのインタビューで、BounceがIoTハードウェアとデザインをスクーターに提供していて、独自のフォームファクターにも取り組んでいると語っていた。インドは世界最大の2輪車マーケットだ。業界の推計によると、インドでは2億人が2輪車運転免許を持っている。そして、毎年2000万台ものバイクとスクーターが販売されている。

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(翻訳:Mizoguchi)

レゴがテスラの革新的なCybertruckに挑戦

Lego(レゴ)はつい先日のTesla(テスラ)のイベントに触発されて、未来のトラックのための独自のビジョンを世界に持ち込もうとしているようだ。この、大胆なデザインに関する声明を見てほしい。Elon Musk(イーロン・マスク)氏が先週発表したTesla(テスラ)のCybertruck(サイバートラック)を、レゴが試みているのは明らかだ。ただ、その評判は分かれている。

レゴバージョンのCybertruckは「(窓ガラスが)割れることはない」とツイートしており、これはマスク氏がデザイナーのFranz von Holzhausen(フランツ・フォン・ホルツハウゼン)氏に、Cybertruckの運転席と後部座席の窓に金属製のボールを投げさせたが、ガラスが割れてしまったデモを皮肉ったものだ。マスク氏はその後、これは直前にハンマーで運転席のドアパネルを叩いたことが、窓の構造を傷つけからだと解説したが、なんとも印象的な瞬間だった。

発表時のアクシデントや見た目の奇抜さにもかかわらず、マスク氏によるとこれまでに25万人以上がCybertruckを予約し、100ドルの払い戻し可能なデポジットを支払っているため、少なくとも十分な関心を集めているといっていい。

レゴのトラックの発売に関する詳細は明らかにされていないが、おそらくFord(フォード)とのトラックの決闘にも挑戦するだろう。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

インドの配車サービスOlaが「数週間以内」にロンドンで事業開始

インドの配車サービス大手であるOlaは11月26日、「数週間以内」に英国ロンドンで事業を開始すると発表した。世界で最ももうかる都市の1つであるロンドンでの配車サービスをめぐっては、現地のロンドン市交通局(TfL)がUberの営業免許を昨日取り消したばかりだ。

関連記事:安全性懸念でUberのロンドンでの営業免許更新を当局が認めず

昨年英国マーケットに参入したOlaは、ロンドンでの立ち上げを前にロンドンにおけるドライバーの受付を開始した。同社はこれまでに35億ドル(約3800億円)あまりを調達していて、Uberの現在の規模を上回るドライバー5万人を集めることを目指している。

Uberのライバルであり、ソフトバンクグループからの出資を受けているOlaは、今年初めにTfLから営業許可を得ている。同社は「英国内27都市でユーザー700万人にサービスを提供できる」と語っていた。

ドライバーを集めるために、Olaはドライバーが売上の多くを懐に入れられるよう「都合のいいコミッション」に変更を加えている、と語った。ただ、正確な数字は明らかにしていない。インドではOlaのドライバーの取り分は運賃の70〜74%で、加えていくらかの「インセンティブ」も得られる。

Olaの国際事業を統括するSimon Smith(サイモン・スミス)氏は、同社のモビリティプラットフォームがTfLの基準を「完全に満たしている」と述べた。声明文でスミス氏は「過去数カ月にわたって我々は当局、ドライバー、ロンドンのコミュニティと建設的な対話を行なってきた。イノベーティブで意義のある方法でモビリティの問題の解決に寄与することを楽しみにしている」と付け加えた。

11月25日、Uberはロンドンでの営業免許の更新を却下された。却下は2回目で、Uberのプラットフォーム上で偽のIDを使ったドライバーが1万4000回以上の乗車を提供していたことを確認しての措置だ。この点に関してOlaは、Uberができなかったことすべてを実施しているかどうか、より明確にさせることはできなかった。

Olaは「さまざまな安全機能を提供する」としている。ドライバー本人確認のための「業界初」の顔認証システム、運転免許証写真とドライバー画像の照合、TfLの要件を満たし認可を受けたドライバーだけがプラットフォームを操作できるようにする確固としたテクノロジーシステム、客とドライバーのための年中24時間無休のヘルプライン、Olaの安全対応チームに緊急通報するアプリ内ボタンなどだ。

ロンドンへの事業拡大は、Olaの国際展開という野心を物語っている。特に、インドにおけるOlaの最大のライバルであるUberが独占しているマーケットにおいては、Olaは強い野心を抱いている。OlaはインドでUberを突き放している。

ニュージーランドの一部とオーストラリアでも事業を展開しているOlaはこれまでのところ英国では地方都市に照準を当ててきた。英国の首都が欧州における主要マーケットであることを考えたとき、ロンドンへの進出はOlaにとって意義のあるステップとなる。Uberは「ロンドンで350万人のユーザーと4万5000人の登録ドライバーを抱えている」としている。

TfLは昨日、Uberの事業に「乗客の安全とセキュリティを危険にさらす一連の過ちが見られた」と語った。認可されていないドライバーがプラットフォームを利用しているのに加えて、解雇されたり停職処分になったりしたドライバーがUberアカウントをつくって客を乗せることを招いた別の過ちもあった、とした。

UberのCEOであるDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏はTfLの決定について失望と不服申し立ての意向を表明した。コスロシャヒ氏は「TfLの決定は間違いでしかない。過去2年にわたって我々はロンドンでの事業形態を根本的に変えた」と語った。Uberは申し立ての手続きの間、ロンドンでの事業を継続できる。

画像クレジット: MANJUNATH KIRAN / AFP / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

Tesla Cybertruckとフォード F-150の綱引きバトルの再戦はあるのか?

電気自動車の世界で語られている闘いがあった。しかし誰もが待ち望んでいるFord F-150とTesla Cybertruckの綱引きバトルは、おそらく実現しそうにない。簡単にまとめると、TeslaのCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏は、Cybertruckお披露目イベントで綱引き対決と称するビデオを流し、同社の未来的電動トラックがF-150を引っ張る場面を見せた。

多くの人々がこれは公平な闘いだったのか疑問を呈し、宇宙物理学者で作家のニール・ドグラース・タイソン氏もその一人だった。しかし、何よりもマスク氏の注意を引いたのは、フォードのベンチャー・インキュベーターであるFord XのSundeep Madra(サンディープ・マドラ)副社長のツイートだった。

たちの悪い@Teslaがたちの悪いことをしている。@Ford F-150は後輪駆動なので「荷物がない」状態だと後車軸にかかる荷重は著しく小さくなり、牽引力は低くTeslaは容易に打ち勝つことができる。このコンテストはエンジンパワーよりも摩擦の物理学の問題だ

マドラ氏はマスク氏宛のツイートで、「公平な」テストを行うために

しかしフォードによると、マドラ氏のツイートは本気で戦うという意味ではなく冗談半分の煽りだったらしい。

「マドラのツイートは、テスラのビデオのばかばかしさを指摘するための冗談にすぎない」とフォード広報がTechCrunchにメールで伝えた。「42年続く米国のベストセラートラックを提供する当社は、他者が何を言おうとも、お客様を満足させることに尽くすだけです。来年の新しいF-150ハイブリッドと数年後の全電動F-150を発売することを楽しみにしています」。

フォードは考えを変えるのではないかと思う。しかし今のところ、綱引きバトルのリマッチの有無はテスラ側にかかっている。

よし、来週やろうじゃないか

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

テスラのフル電動トラック「Cybertruck」がクレイジーなスタイルになった理由

Tesla(テスラ)のCEOを務めるイーロン・マスク氏は11月22日、完全電動モデルを含むピックアップトラックのCybertruck(サイバートラック)を発表。市場に2つとないスタイルだと公言した。そのとおりだ。しかしCybertruckは、その主要部分が似ても似つかないホンダの中型スポーツユーティリティトラック(SUT)であるRIDGELINE(リッジライン)の1世代と共通している。

CybertruckもRIDGELINEも、別々に開発された標準型のピックアップトラックだが、どちらもほとんどの乗用車に採用されているモノコック構造になっている。フレームの上に載っかるのではなく、両車とも実質的に金属の鳥籠のような構造体バードケージを包むようにして作られている。モノコックボディは、ボディの下に大きくて場所を取るフレームを使わずに済むため、テスラには都合がいい。バッテリーを車体の下側に配置し、ボディでそれを保護する構造をテスラは好むからだ。

モノコックのピックアップ形状のため、牽引力を高めるためのデザイン要素を取り入れる必要があった。それがセイルピラーだ。

たいていの場合、車両の牽引力は、エンジンの出力よりもボディのデザインで制約されることのほうが多い。牽引フックを取り付ける場所では、車体のフレームに大きな力がかかる。もっと重い物を引っ張りたいなら、トラック下部のフレームを大きくすることだ。しかし、モノコックボディのCybertruckの場合、牽引力を高めるために、できるだけ大きなセイルピラーを取り付けるしかなかった。それがあの、奇抜な形状につながったのだ。

自動車の車体は捻れ曲ろうとする性質がある。タオルを絞ったときのような感じだ。フレームの上にボディが載っかる構造なら、エンジンは、たくさんの応力を吸収してくれる大きなフレームの上に固定される。モノコック構造の場合は、縦の支柱が頑張ってくれる。フロントウィンドウのAピラーから始まって、SUVのリアウィンドウのDピラーまでが縦の支柱として配置されている。

フレームの上にボディが載っかる構造では、ほとんどのピックアップトラックが採用しているように、トレーラーを引っ張るときの力がフレームにかかる。ほとんどのエネルギーは、トラックの底を支えるその構造体の中に吸収される。トラックのキャブはフレームから独立していて、キャブとフレームが相対的な動きをすることで、フレームにかかる応力がうまく相殺される仕組みだ。

CybertruckやRIDGELINEや、ほとんどのSUVのようなモノコック構造では、ボディも同じ力を受けることになるのだが、ボディを使って捻れを防ぐようにしている。バットレス(控え壁)のようなセールピラーは、エネルギーを吸収し、トラックが捻れるのを防ぐ。

モノコックのSUVには、車両後部の縦の支柱であるDピラーがあるが、ピックアップトラックにはそれがない。Dピラーは、モノコックボディの捻れと、荷重がかかったときの屈曲を防ぐ。だが、Dピラーのないモノコックのピックアップでは、セールピラーがCピラーと車両後部をつないで、同じような効果をもたらしている。

第1世代のRIDGELINEは、控えめなセールピラーが付いていたが、第2世代ではモノコックボディ全体の主要部分を補強することで、セールピラーを廃止することができた。

ホンダは、そのデザインを以下のように説明している。

2017年型リッジラインのリアフレーム構造は、ボディ全体の構造強度を強固にし、衝突安全性と、運搬、牽引能力を高める上できわめて重要なものです。ボディ側面とリアのテールゲートのフレームには、完全なボックス型フレームメンバーを利用したことで、前モデルと比較して捻れ剛性を28パーセント向上させつつも、前モデルのアッパーベッドの前部にあったバットレス型の構造材を廃し、リッジラインの伝統的な3ボックスの側面形状を保つことができました。さらに、U型のリアフレームメンバーを採用することで、リアのテールゲートに高剛性の土台構造がもたらされ、テールゲートが非常に正確に閉まるようになりました。

Chevrolet Avalanche(シボレー・アバランチ)も、Dピラーがない代わりにセールピラーを採用している。アバランチを作るために、シボレーはこれをフルサイズの郊外型SUVとし、リアクオーターを切り捨てた。

テスラが最終バージョンのサイバートラックを発表するかどうかは不透明だが、疑問は数多く残っている。もしこれが最終デザインではないならば、テスラはホンダの方式を取り入れて、大きなバットレスを縮小して、従来型のピックアップのデザインに近づけることもできるだろう。

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(翻訳:金井哲夫)

安全性懸念でUberのロンドンでの営業免許更新を当局が認めず

ロンドンでの営業免許の2カ月間の延長が認められてから2カ月が経過し、Uberは再び市交通当局に営業免許の更新を却下された。市交通当局は今日「乗客の安全とセキュリティを危険にさらす過ちが見られた」と明らかにした。Uberは「この決定に不服を申し立てる」としている。

英国の首都ロンドンはUberにとって欧州における主要マーケットで、ユーザー350万人と登録ドライバー4万5000人を抱える。配車サービス大手Uberのロンドンでのトラブルは、ロンドン市交通局(TfL)が営業免許の更新を却下するというショッキングな決定を下した2017年に始まった。市当局は、Uberが刑事事件をどのように報告してきたか、ドライバーの身元チェックの実行、規制当局の監視をブロックするのに使われる可能性がある自社開発のソフトウェアの使用などを指摘した。

そして今回の決定では、TfLは何千もの規則違反を確認したと指摘した上で、Uberが民間ハイヤー事業者営業許可を持つに「ふさわしくない」と結論づけている。ここでの最大の焦点は、認可されていないドライバーが他のUberドライバーのアカウントに写真を載せることができたUberのシステムが改善されているかどうかだった。

「このシステムにより、認可されていないドライバーが他のドライバーのアカウントを使って客を乗せていて、少なくともなりすましによるサービス提供が1万4000回行われていた。これにより乗客の安全とセキュリティをリスクにさらした」とTfLは書いている。

「これは、すべての乗車の安全が担保されておらず、一部の乗車は無認可のドライバーによるものだったことを意味する。前回TfLが営業免許の更新を却下した理由の1つだ」。TfLはまた、解雇されたり停職処分となったドライバーがUberアカウントをつくって客を乗せるという事態を招いた、安全とセキュリティ上の別の問題も指摘した。

「TfLは、Uberがこうした行いを防止するためにとった策を確認した。しかし、Uberのシステムが比較的簡単に操作されるものだったことは懸念すべきことだ」と付け加えた。「いくつかの保険絡みの問題を含め、かなり深刻な違反も確認した」とTfLは語っている。こうした問題の一部は今年初め、正当な雇用や保険なしでの車両の使用につながり、またそれを認めたとしてUber告訴につながった。

Uberが2018年6月に15カ月間の暫定営業許可を与えられて以来、「透明性のある生産的なやり方」でTfLとかかわってきたことを含め、TfLは「カルチャー、リーダーシップ、システムに多くの実際的な変更や改善がみられた」と強調する一方で、「弱いシステムとプロセス」からくる「失敗のパターン」による引き起こされたリスクを見逃すことはできないと結論づけている。

TfLは「この違反により、こうした性質の問題の再発を防止するUberの能力に関して独立した評価を委託せざるを得なかった。評価に基づき、Uberがアプリに変更を加えながらも乗客の安全を守るための確固としたシステムを有しているという確信を持つには現状では至っていないと結論づけた」としている。

Uberは申し立て手続きの間、ロンドンで営業を続けることはできる。なので短期的には利用者にとってはなんの変化もみられない。「Uberには21日間不服申し立て期間が認められている」とTfLは話す。

申し立て手続きの間、Uberは不服申し立てヒアリング時までに判事に規則に則っていることを証明するために手段の変更を模索するかもしれない。なので、システムをどのように改善するか次第ではあるが、Uberが再び暫定の営業許可を勝ち取ることはあり得る。しかし現時点では当局が主導権を握っていることは間違いない。

TfLは、2019年9月に提示した20の条件をUberが満たしているかのチェックを含め、事業継続中は「注意して監視を続ける」としている。

「乗客の安全がリスクにさらされることがないようUberアプリへの変更を管理するためにマネジメントがしっかりとコントロールしているかに特別に注意を払う」と加えている。

声明文でのコメントで、TfLでライセンス発行と規制・取り締まりを担当するディレクターであるHelen Chapman(ヘレン・チャップマン)氏は「安全が我々の最優先事項だ。Uberが改善を図ったことは認識しているが、認可を受けていないドライバーによるミニキャブに客が乗れる状態にしてきたことは容認できない」と述べた。

「こうした問題が起こることは明らかに憂慮すべきことだ。と同時に同じような問題が再び起こらないと確信できないことも憂慮すべきことだ。もしUberが不服申し立てを行うのなら、Uberは裁判所で乗客への安全リスクが取り除かれたことを保証する十分な対策がとられていることを公に示す機会がある。申し立てを本当に行うのなら、Uberは営業を続けることができ、我々はUberがアプリに変更を加えている間に安全性が損なわれることがないよう、マネジメントが確固としたコントロールができているか慎重に見守る」。

TfLの決定に対し、Uberの欧州北部・東部の事業を担当するゼネラルマネジャーのJamie Heywood(ジェイミー・ヘイウッド)氏は「異例であり、間違っている」と反論した。

「我々は過去2年間、根本的に事業を変え、安全を標準化した。TfLはわずか2カ月前にUberをオペレーターとして認識していた。そして我々はさらに改善を図ろうとしていた」とヘイウッド氏は話した。「利用者350万人とロンドンのドライバー4万5000人のために、我々は今後も通常通り営業を続け、この状況を打開するためにTfLとのやり取りでできる限りのことをする」。

ドライバーのIDに関しては、ヘイウッド氏は「この2カ月、我々はロンドンの全ドライバーの調査を行なった。我々は確固としたシステムを持っていて、ドライバーのIDを確認するチェックも行なっている。そして間もなくロンドンのタクシーや民間ハイヤーでは初めてとなる顔認証マッチング手続きを新たに導入する」。

ロンドンのSadiq Khan(サディク・カーン)市長はTfLの決定を支持する声明をツイートした。Uberのユーザーにとっては不評かもしれないが、安全は「最大の関心事だ」と述べている。

UberのCEO、Dara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏もまたツイートし、TfLの決定について「間違っている」と述べた。「我々が高いハードルを設定されていることは理解している。しかしこの決定は間違いでしかない。過去2年にわたって我々はロンドンでの事業形態を根本的に変えた。我々はかなり改善をはかり、我々を頼っている多くのドライバーと利用者のために今後も改善を続ける」。

画像クレジット:Carl Court

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(翻訳:Mizoguchi)

イーロン・マスク氏がフル電動トラック「Cybertruckの窓ガラス破壊の原因を説明

Tesla(テスラ)のCEOであるイーロン・マスク氏によれば、 Cybertruckの防弾ガラスにものの見事にヒビが入ったのは、先だって大ハンマーでボディー を叩いたのが原因だったそうだ。

我々が目撃したとおり、Cybertruckの窓ガラスに鉄球をぶつける実験は期待された結果にならなかった。ガラスには派手にヒビが入りステージ上の人間は皆動転した。マスク氏は思わず「オーマイガッ」と漏らした。

リアウィンドウも同じ結果だった。プレゼンが終わるまでトラックは窓ガラスにはヒビが入ったままの姿をさらした。マスク氏は後になって「順序を間違えた。まず鉄球をぶつけてから大ハンマーでドアを叩くべきだった」と述べた。

こちらがそのツイートだ。

そう、大ハンマーで叩いたことで窓ガラスの下部が割れてしまった。鉄球を跳ね返せなかったのはそれが原因だ。まず鉄球、それからハンマーという順序にすべきだった。この次は必す。

しかし順序がどうでも窓ガラスは保たなかったのでは?大ハンマーで叩いたのはフロントドアで、あれでリアウィンドウの窓ガラスが壊れたとは思えない。もっとも本当のところはテスラの社内のエンジアでないとわからないだろう。

マスク氏は発表イベントの後で社内テストの模様を収めたビデオを公開した。これは「イベントの直前」のもので、たしかに窓ガラスは何事もなく鉄球を跳ね返している。

イベント直前にフランツがCybertruckの窓ガラスに鉄球を投げつけているところ。量産までにさらに改良する予定。

また事後のコメントには「この事前のテストがステージ上での失敗の原因だ」と指摘するツイートもあった。つまり(ビデオのトラックがステージ上のトラックと同一個体だとして)鉄球を投げつけたときに窓ガラスに目に見えない微小な欠陥が生じたというのだ。.

理由はともあれ、ガラスは2回ともヒビが入り、トラックは(文字どおり)ダメージを受けてしまった。もちろんトラックの割れた窓はかっこうのインターネットミームの素材を提供したものの、この電動トラックへの高い関心は続いた。Cybertruckは2021年にならなければ生産を開始しないというのに、米国時間11月14日夜現在、20万人が返金可能な100ドルの予約金(総額2000万ドル)を支払ったという。テスラのことだから量産開始前に窓ガラスについてもなにか驚きの改良を加えてくることだろう。

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Limeがケープタウンで電動スクーターをローンチ

Lime(ライム)はアフリカで電動スクーターを運用する、初の大手オペレーターとなる。同社は来年初め、南アフリカのケープタウンで電動スクーターをロールアウトする。なお、米国やヨーロッパでは歩道にスクーターが設置されているが、Limeはケープタウンにてスクーターを市中のプライベートな場所に設置する。

Lime GlobalにてOperations and Strategy部門の責任者であるWayne Ting(ウェイン・ティン)氏はプレスリリースにて「ケープタウンはアフリカのテクノロジーとイノベーションを前進させる手助けをする」と述べている。「私たちの使命は持続可能で手頃な価格の交通手段を通じて、都市の生活を改善することであり、ケープタウンに住み、あるいはそこへ向かう南アフリカの人々が有意義な移動手段を利用でき、カーボンエミッションを削減できることを楽しみにしている」。

「私は電動バイクの展開を、ぜひ実現したいと思っている。なぜなら、そこには新しいソリューションをすぐに受け入れる非常に若くて革新的な住人がいるからだ」と、Birdのヨーロッパ、中東、アフリカ地域を担当するPatrick Studener(パトリック・スチューダー)氏は昨年7月に語った。

Limeは今後数週間のうちにアラブ首長国連邦、アブダビ、ドバイにも電動スクーターを配備すると述べている。同社のアブダビ進出は、Limeにとって中東における3番目の市場となる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

テスラのCybertruckはSpaceXのスターシップと同じステンレス鋼を使用

米国時間11月21日、Tesla(テスラ)のCEOを務めるElon Musk(イーロン・マスク)氏は、注目の電動ピックアップ「Cybertruck」を米国ロサンゼルスで発表した。その人目を引くユニークなデザインで新型車は多くの注目を集めた。またその姿はトラックというより宇宙探査用のローバー(惑星探査機)を思わせる。そしてこの場合そのアナロジーがとりわけ的を射ている。なぜならこのCybertruckは、マスク氏が所有する別会社のSpaceXが、来るべき宇宙船Starshipの外壁に使用するのと同じステンレス鋼を身にまとっているからだ。

「この車は、文字どおりの防弾で9 mmの弾丸にも耐えられる」とマスク氏はお披露目の壇上で語った。「このボディはそれほど強力で硬く、我々が開発した冷間圧延ステンレス鋼で作られている。同じ合金を宇宙船のStarshipとこのCybertruckで使っている」。

以前マスク氏は、フルサイズの宇宙船「Starship Mk1」のプロトタイプを発表したイベントで、外壁にはステンレス鋼を使用し、その半分を大気圏再突入の高熱に耐えるためにガラスでさらに覆うつもりであることを明かした(Starshipは地球着陸の前に大気圏に「腹打ち飛込み」のように突入する)。Starshipが乗って打ち上げられる予定のスーパーヘビーロケットは、外壁をすべてステンレス鋼で覆われている。材料選びの理由はコストと有効性の両面からであり、実際にステンレスは高熱に耐えロケットを守ることに関して高い効果を示している。

テスラとSpaceXで同じステンレス鋼を使うことでコスト削減効果が得られることは明らかであり、Cybertruckが大量生産されるとなればなおさらだ。賛否あるデザインから考えるとありそうにないが、もしテスラが先日発表した価格を維持できるのであれば、経済性を買われて売れる可能性はある。CybertruckがSpaceXの仕事に恩恵を与える可能性はほかにもある。マスク氏はイベント前にTwitterで、火星には陸上輸送も必要だと言っていた。

そう、マスク氏はツイートで「加圧型」のCybertruckは「公式火星トラック」になると言った。例によって、マスク氏のツイートでジョークと実際の計画とを正確に区別することは困難だが、私は本件に関しては文字どおりの意味だと思っている。少なくともこの段階では。

宇宙飛行士用のCybertruck火星探査機は、理屈の上でTeslaとSpaceXの両方に益をもたらす。技術開発と製造の効率が上がるだけでなく、ステンレス鋼の例が示すように、宇宙向けにデザインすることに大きな利益の一つが、出来上がったテクノロジーを地球にも応用できる場合が多いことだからだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

テスラの完全電動トラックCybertruckから我々が学んだこと

米国時間11月21日の夕方、Tesla(テスラ)のCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏がステージを去った後、イベント参加者はテスラが開発した完全電動ピックアップトラック「Cybertruck」の発表に興奮したまま、裏口へと通じる長い列へと並んだ。メディアやVIP、そして招待ゲストが分けられて列に並んだ。誰もがCybertruckに乗るのを待ちわびており、TechCrunchもその一員だった。

乗車体験は短かく、わずか2分少々だった。しかし、いくつかの機能を体験するのには十分な時間だ。砂岩のように見えるダッシュボードは、圧縮紙の一種からできている。また、その中央には17インチディスプレイが搭載されていた。

「vault(アーチ)」 と呼ばれるピックアップベッド(荷台)は、ライトが点灯することで視認できる。ただしロック可能なストレージが閉じられている場合、ウィンドウは表示されなくなる。その代わり後部ミラーに、ドライバーが車両後方を見られるようにストリーミング動画が表示される。

座席などのその他の内装は、外観と比べると平凡に映った。車内は広々としていて、天井も高い。そして、長いガラス素材のルーフが設置されている。時速60マイル(約97km)を超える加速の瞬間を捉えた、以下の動画を見てほしい。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter