Instagramがライブ配信で非営利団体への寄付集めができる新機能をローンチ

新型コロナウイルス(CODID-19)のパンデミックの渦中である米国時間4月28日に、Instagramはライブ配信を使ってユーザーが非営利団体のために寄付ができる新機能の提供を開始した。Instagramには既にストーリーズに「寄付スタンプ」を追加できる機能があるが、この新しいLive Donations(ライブ寄付)では、誰もがライブ配信で資金調達ができるようになる。個人でも、複数の人たちとバーチャルテレソンのような形にしても、寄付を募ることが可能だ。

この新機能は、TikTokが動画投稿でもライブ配信でも使える寄付機能をローンチしたその翌日に登場した。

しかし、開始時にわずかな慈善活動しか対象としていなかったTikTokと異なり、Live Donationsは、100万を超える非営利団体への寄付活動を開始できるとFacebook(フェイスブック)は話している。

さらに寄付金は全額は直接、非営利団体に渡されるということだ。一部の資金調達プラットフォームでは手数料は当たり前になっているが、Instagramは一切取らない。

ライブ配信でこの寄付機能を使うには、Instagramのフィード画面左上のカメラアイコンをタップするか、フィードを右にスワイプする。そして画面下の「ライブ」をタップし、「Fundraiser(資金集め)」を選択して援助したい非営利団体を選択する。

配信が始まると、その資金集めをどれだけの人が支援しているか、どれだけの金額が集まったかがリアルタイムで示される。「View(表示)」をタップすれば、寄付してくれた人と寄付金額を個別に知ることができる。これを見てその人に配信中に感謝を叫んだり、「Wave」をリアルタイムで送ったりできる。

資金を集めた人、資金集めを行っている人に寄付した人、ストーリーズで寄付スタンプを使った人は、ブラジルのコミュニティ・イラストレーター@leonatsumeが制作した「I donated!(寄付したよ)」スタンプが使えるようになる。このスタンプは、自分のストーリーズに貼り付けて、慈善活動の宣伝に利用することも可能だ。自分の投稿は、フォローしていて同じく寄付をした人と共通のストーリーズに統合され、ストーリーズバーの先頭に表示される。

今週は、Sergio Ramos(セルヒオ・ラモス)氏、Sofia Carson(ソフィア・カーソン)氏、@muslimgirl、@montoyatwinz、Tori Kelly(トリー・ケリー)氏、@tank.sinatra、Lisa Rinna(リサ・リナ)氏といった数多くの著名人やクリエイターが、この新しいLive Donations機能を利用した。

Instagramは、パンデミックになってライブ配信の数が急激に増したと話している。

例えば2020年3月には、Instagramのライブ配信の利用件数は70パーセント増加し、会話、ダンスパーティー、ラップバトルなどが展開された。そして多くの利用者が、公式公開以前、既にLive Donationsを通じて非営利団体への寄付を行っていたとInstagramでは話している。

ソーシャルプラットフォームは、パンデミックの間も人々を結びつけくれる1つの手段だ。以前は苦戦していたInstagramのIGTVプラットフォームですら、利用者数が驚くほど増加した。アプリ利用情報の調査会社Apptopia(アプトピカ)の報告によると、IGTVの1日あたりの利用者数は、2020年3月中旬から4月中旬にかけての前月比で48パーセントも伸びたという。

Instagramの親会社であるフェイスブックも、利用者のライブ配信への関心の高まりを利用しようと、このところ、いくつもの新機能を発表している。例えば先週、フェイスブックはライブ動画で資金集めをする機能を導入した。フェイスブックが非営利団体の資金集めを支援するところであれば、どこでもこの機能が使える。また同社は「Live With」を復活させ、ライブ配信にゲストを招待できるようにした。ここでも寄付を募ることもできる。

さらにフェイスブックはMessenger RoomsというZoomのHousepartyに似た体験ができるサービスやFacebook Gamingのゲームストリーミングアプリ、PortalシリーズのデバイスからFacebookページやグループなどにライブ配信できる機能の提供も始めている。

[原文へ]
(翻訳:金井哲夫)

ミラティブの次の一手はアバター×カラオケ配信、新機能「エモカラ」公開

2019年2月にさらなる事業拡大に向けて軍資金として30億円超えの資金調達を実施したミラティブ。調達資金の使い道としてアバター機能「エモモ」の機能開発や新規事業の立ち上げなども予告していた同社の、新しい取り組みが明らかになった。

アバターを用いて“顔出しせずに”カラオケ配信ができる新機能「エモカラ」だ。

まずは実際に見てもらった方が早いと思うので、以下の動画をチェックしてみてほしい(※途中からカラオケが流れるので再生時は音量にご注意いただきたい)。

このエモカラは本日5月22日よりライブ配信プラットフォーム「Mirrativ(ミラティブ)」内で公開された新機能。配信者はアバター機能であるエモモを通じて、好きな楽曲のカラオケ配信ができるようになる。

配信者の歌に合わせてアバターが動くと共に画面上に歌詞が表示される仕組みになっていて、視聴者は通常の配信と同様にギフトを送ることが可能だ。

エモカラ用の音源はJOYSOUNDが提供。リリース時点では5500曲がエモカラで歌えるという。

グローバルで注目集める「ライブ配信×カラオケ」領域

ミラティブが次の一手としてエモカラを選んだのはなぜか。

同社代表取締役の赤川隼一氏は(1)既存ユーザーの行動(2)マーケット(3)コンセプトという3つの軸から、その背景を明かした。

まず1つ目に既存のMirrativユーザーの行動だ。赤川氏によると初期の頃から一部のユーザーがカラオケに近い遊び方をしていたそう。たとえば配信中に他のユーザーと電話を繋いでアカペラでのど自慢大会のようなことをしたり、弾き語りをしたり。

ミラティブでは基本的なスタンスとして、ユーザーの行動を観察した上で望まれているものを作っていくことを重視してきたため、そんな使われ方を見て「ライブ配信と歌の掛け算」の可能性を感じていたという。

それに関連するのが2つ目のマーケットの話。というのもライブ配信×歌(カラオケ)領域は近年グローバルで盛り上がっている領域だからだ。

たとえば2018年に米国でIPOを果たしたテンセント・ミュージックの売上の7割は配信プラットフォームが創出していて、その中核をカラオケアプリの「全民k歌(WeSing)」が担う。4月にTwitchが初めて公開したゲーム「Twitch Sings」もカラオケとライブストリーミングを掛け合わせたようなものだった。

日本国内でも「LINE LIVE」や「SHOWROOM」を始め、ライブ配信プラットフォームのカラオケ機能の導入が進んでいる。

またカラオケアプリ単体で見ても「Smule」が様々な国でアプリランキングの上位にランクイン。日本では「nana」のようなアプリをカラオケ的に使って楽しむユーザーもいる。

これらの状況からライブ配信とカラオケの相性の良さはもちろん「カラオケに使えるアプリケーション自体にニーズがあり、マーケットポテンシャルも大きい」というのが赤川氏の見立てだ。

「マーケットに関してはVTuberの流れを見ていても、去年の夏頃から歌関連のVTuberが増えてきた。バーチャルシンガーの『YuNi』などだけでなく、人気VTuberもライブ活動に取り組み始めている。バーチャルと歌の組み合わせは初音ミクの流れを組んだものでもあり、そこの相性も良いと感じていた」(赤川氏)

歌は得意でも容姿に自信がない人が輝ける場所へ

そして3つ目がMirrativのテーマにも直結するコンセプトに関することだ。2月に取材した際にも赤川氏は同サービスの重要なテーマとして「人類の可能性を解放すること」を挙げ、アバターなどの仕組みを通じてその後押しをしていきたいと話していた。

今回のアバター×カラオケには、その観点でも大きなやりがいを感じたという。

エモカラの画面(曲「君はロックを聴かない」、作詞:あいみょん)

「世の中には歌には自信があるけど、自分の容姿には自信がないという人はたくさんいる。その人たちがエモカラを使うと『美形でイケボで歌が上手くて、超すごい』、そんな流れも作れる。ここが自分自身で1番テンションが上がっているポイント。純粋に才能にフォーカスして、その人が持っている可能性を追い求めていくことは、特にアバター機能をリリースして以降の醍醐味の1つ」(赤川氏)

これはアバターを介することの大きな特徴と言えるだろう。「セルフィー型のカラオケ配信の場合はどこまで行っても容姿の壁にぶち当たる」(赤川氏)が、アバターならその壁を壊せる可能性があるからだ。

「まさに自分もそうだが、若い時にバンドを組んで本気でミュージシャンを目指して後、現在は企業勤めをしているような人もたくさんいるはず。その中には週末の夜にカラオケに行って、思う存分弾けることを楽しみにしている人も多い。それは魂を解放している瞬間であり、同じような体験をサービス上でも提供できるのではと考えている」(赤川氏)

既存のカラオケだけでは満たせないニーズにアプローチ

アバターとカラオケの融合に以前から注目をしていたのは、エモカラのプロジェクトマネージャーである河原崎ひろむ氏も同様だ。

「(Mirrativを含む)配信サービスの根本的なサービスの価値を高めるには、配信内容に手を入れていく必要がある。世の中にある配信コンテンツの中で良い性質を持っているものは何か探していく中で、真っ先に思い浮かんだものの1つがカラオケだった」(河原崎氏)

たとえば一般の配信者にとって雑談をメインとしたライブ配信はトークスキルが必要となり、配信のハードルが上がる。顔を出して配信する場合はなおさらだ。

一方でMirrativが初期から力を入れてきたゲーム実況やカラオケは、それを楽しんでいるだけでも間が持ちやすい。「そもそも配信することの目的がゲームやカラオケ自体に向かっているのがポイント。純粋にそれが楽しいから、その様子を流している構造」(河原崎氏)であり、視聴者も喋りが苦手な配信者のコンテンツであっても楽しむことができる。

「既存のカラオケにはまだまだ切り込める余地が残っている。みんなで店舗に集まる必要があるし、歌があまり得意ではなければネガティブな気持ちになることもある。また複数人で行くと自分が歌える時間が限定される場合も多い。それはそれで楽しいが、単純にたくさん歌いたい時や思いっきり歌ってストレスを解消したい場合など、今までのカラオケ店だけでは満たせないニーズもある」(河原崎氏)

ひとりカラオケ専門店が広がってきていることからも、それを求めている人が一定数存在することがわかる。ただ近隣にそのような店舗がなかったり、もしくはヒトカラに抵抗がある人もいるだろう。

もちろん少しでもいい音響施設で歌いたい時や近隣を気にせず大声で叫びたい時など、店舗の方が適しているケースもある。たとえばマンションなどでエモカラに熱中しすぎた場合、視聴者は喜んでくれてもご近所から苦情がくるかもしれない。

その辺りは用途に渡って棲み分けていく形になりそうだけれど、エモカラでは「アバターを用いたスマホ配信」という形で、既存のカラオケとは異なる新しい選択肢を提供していきたいという。

アバターやライブ配信との掛け合わせでエンタメ市場をアップデート

写真右からエモカラのプロジェクトマネージャーを務める河原崎ひろむ氏、ミラティブ代表取締役の赤川隼一氏

河原崎氏の話では、今回の正式リリースに先駆けて一部のユーザーにテスト版を使ってもらっていたそう。最低限の機能のみを備えたプロトタイプでのテストリリースだったが、まさに1人カラオケが好きな人や、歌いたいけど顔出しはしたくない人などから反響が大きかったという。

通常のカラオケに近い感覚で「毎日はやらないけれど定期的に戻ってきて配信する」といった使い方をされた結果、継続率などのKPIが通常の配信よりも上昇する効果もあったようだ。

今後はユーザーの反応を見ながら曲数の追加や機能拡張も検討していく計画。既存ユーザーがより楽しめるだけでなく「今までいなかったような人たちが集まるきっかけとなることも期待している」(赤川氏)という。

「〇〇×アバター、〇〇×ライブ配信という形で、今後いろいろなエンターテインメント領域を塗り替えるチャンスがあると思っている。今回のエモカラをその1歩目として、これからも新たなチャレンジを続けていきたい」(赤川氏)

AIがビデオチャットに映る自分を自動でメイク、背景ぼかしも可能な「PerfectCam 2」

スタートアップで働く人や起業家のみなさんは、普段からビデオチャットで社内外の人と話す機会も多いと思う。僕もその1人で、直接会って話すほかにビデオチャットで取材を行うことも多い。

でも、そんな時に気になってしまうのが自分の画面に映る背景だ。自宅からビデオチャットをする時なんかは、ちょっと気を抜くと干しっぱなしの洗濯物が写り込んでしまうなんてこともある。オフィスの壁やホワイトボードに事業計画などの情報を書くことも多いであろう起業家のみなさんも、この「ビデオチャット背景問題」には共感してくれるはずだ。

その背景問題を解決してくれるサービスが登場したので紹介しておこう。台湾のテクノロジー企業であるサイバーリンクが本日発表したWebカメラプラグイン「PerfectCam 2」だ。

PerfectCamでは顔認識技術によって人物と背景を見分け、背景のみをぼかすことができる。リアルタイムで輪郭を抽出してぼかし効果を入れるので、ビデオに映る人物が動いていてもOKだ。これがあれば、背景に写り込んだ下着も黒い物体ぐらいにしか見えないだろう。ぼかしの度合いはスライダーで調節可能なほか、ビデオチャットに映る自分に美肌効果を加えるなんてこともできる。

ぼかし機能に加えて、PerfectCamには「ARバーチャルメイク機能」も搭載されている。これは、AR技術を利用してAIが自分の顔にお化粧をしてくれるという機能だ。プリセットとして用意されたメイクは9種類。ビデオ会議が始まる5分前までうっかり寝てしまっていたとしても大丈夫だ。

PerfectCamはTwitch、YouTube Live、Facebook Liveなどライブ配信プラットフォームのプラグインとしても機能する。だから、Web会議などの用途だけではなく、YouTuberが背景をぼかす必要のある場所で撮影を行うときなどでも利用できるだろう。PerfectCamのホーム画面からSkypeやGoogle hangoutsなどのビデオチャットアプリを直接起動することも可能だ。

PerfectCam 2はサイバーリンクのオンラインストアから購入可能。1500円の1ヶ月プラン、3780円の3ヶ月プラン、1万4580円の12ヶ月プランの3種類が用意されている。また、1月末には法人向けプランも始まる予定だ。

下の動画を観ていただくと分かるように、PerfectCamのバーチャルメイク機能とぼかし機能はかなり高いクオリティで実装されていると思う。気になる人はこちらのオンラインストアからチェックしてみるといいだろう。

Twitter、フォローアカウントのライブ配信をタイムライントップに表示

Twitterでは今後、フォローするアカウントのライブ配信やブロードキャストがユーザーのタイムライントップに表示されるようになる。フォローするアカウントが今何をしているのかをリアルタイムにわかるようにするのが目的だ。

この機能にはニュース速報やパーソナリティ、スポーツが含まれるとTwitterはツイートしている。

新機能は今週、iOSとAndroidアプリでアップデートされる。また現在、音声のみのブロードキャストもサポートしている、としている。これはTwitterの姉妹サービスPeriscopeでも使える。

Twitterは先月、iOS 9以下のアプリのサポートを終了した。Appleのデータによると、iPhone、iPadユーザーの5%ほどがまだそのバージョンを使っている。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

時間や場所の制約越えるオンラインのライブヨガ教室「SOELU」が8000万円を調達

前列中央がワクテク代表取締役CEOの蒋詩豪氏

近年エンタメやコマースをはじめ様々な領域で「ライブ動画」というフォーマットが広がってきているが、これからはフィットネスのレッスンもライブ動画化される時代になっていくのかもしれない。

女性限定のオンラインヨガサービス「SOELU(ソエル)」を展開するワクテクは6月26日、複数の投資家を引受先とした第三者割当増資により8000万円を調達したことを明らかにした。

同社では今回調達した資金をもとにプロダクトの開発体制を強化するとともに、SOELUブランドの構築や会員の最大化を目指すほか、インストラクターやトレーナーの人材育成にも力を入れる方針。

なお今回のラウンドに参加した投資家は以下の通りだ。

  • KLab Venture Partners
  • iSGSインベストメントワークス
  • ANRI
  • THIRDPARTY
  • 赤坂優氏
  • takejune氏
  • 大湯俊介氏
  • 花房弘也氏
  • 安田直矢氏
  • 水谷寿美氏
  • 飯田くにこ氏

ビデオチャットを活用、いつでもどこでもヨガレッスン

オンライン英会話サービスがマンツーマンの英会話レッスンをWeb上で手軽に受講できるようにしたように、SOELUはジムやスタジオで開かれる少人数のヨガ教室をオンライン化したサービスだ。

レッスンはビデオチャットシステムのZoomを使ってリアルタイムに実施。インスタラクターが画面越しに受講者の様子を見てフィードバックをくれるため、オンラインではあるものの孤独を感じづらく、臨場感も味わえる。

初級〜上級までレベルに応じたヨガレッスンの他にも、マタニティヨガや産後ケアヨガ、ママ&ベビーヨガ、ピラティス、骨盤トレーニング、全身引き締めトレーニングなど約30種類のプログラムを用意。オンラインの利点を活かし、これらのレッスンを朝5時から深夜24時台まで開催している。

レッスン時間は1回あたり30分〜60分ほど。多くても10名程度の少人数レッスンとなっていて、月に8回受講できる月額3980円(税抜)のプラン、1日2回を上限にレッスンが受け放題となる月額7980円(税抜)のプランがある。

長く継続できるフィットネスサービスを作る

「自分たちが作りたい健康サービスは、ライフステージが変わっても長く続けられるもの。一過性ではなく、継続できる仕組みこそ価値があると考えている」——そう話すのは、ワクテク代表取締役CEOの蒋詩豪氏だ。

ワクテクは2014年4月の設立。当初運営していたオタクコンテンツを扱うキュレーションメディア事業を2017年に譲渡し、同年9月頃から現在手がけるオンラインヨガサービスを検証してきた。その中で体験レッスンを受講した女性約100名にヒアリングしたところ、既存の手段における課題が見えてきたのだという。

「できればジムやスタジオに行きたいけど、時間などの制約があって継続して通うのが難しいという声が多い。その一方でyoutubeの動画やDVD教材ではよほどストイックな人でなければ、孤独で飽きてしまう。特に仕事や家事、育児をしながら美容や健康にも気を配りたい女性には、同じような悩みを抱えている人が多いにもかかわらず、しっかり解決できるソリューションがなかった」(蒋氏)

何もオンラインでヨガのレッスンを受ける仕組み自体は真新しいものではない。試しに「ヨガ オンライン レッスン」などのキーワードで検索すると、いくつか該当するものがでてくる。

ただそれらの多くは録画したレッスンを配信するオンデマンド型のものか、パーソナルトレーニングに近いマンツーマン型のもの。何よりも「楽しく、続けられること」を重視した結果、蒋氏は少人数のライブレッスンという方式が最適だという結論に行き着いた。

「もちろんマンツーマンのレッスンもニーズはあると思うが、レッスンフィーが変わらなければ必然的に生徒が支払う単価は高くなり、負担も大きい。自分たちがやりたいのは一部の人をターゲットにしたものではないので、コスト面も含めて続けにくくなる要因をとにかく取り除いていきたい」(蒋氏)

複数人制をとることで価格を抑え、ライブレッスンにすることで安心感だけでなく多少の強制力を持たせる。

他にも子どもを寝かしつけてから参加できるように予約なしで途中入室できる仕組みや、赤ちゃんが泣いてしまってレッスンが続けられなくなったら無償でチケットを補填する制度を導入。使い切れなかったチケットは繰り越せるなど、忙しくても続けやすい環境を整えている。

レッスンの時間帯も大きく影響するポイントのひとつ。SOELUに多くの受講者が集まるのは、子どもが起きていない早朝や深夜のレッスンなのだそうだ。

この時間帯でも受けられるプログラムはリアルな場だとなかなかないだろうし、仮にあっても自宅を抜け出して通うのは困難。実はインストラクター側にもこの時間帯で講師業をしたいというニーズがあるため、双方にとっていい仕組みだ。

今後は自作のライブレッスンシステムも

SOELUは誰でもインストラクターとしてヨガを教えられるC2Cのプラットフォームではなく、B2C型。仮に予約が0名でもSOELU側で賃金を保証するため、インストラクターは安定的な収入が見込める。集客面でも自分ひとりでやるよりかなり楽だ。

現在SOELUには研修中も含めて約30人のインストラクターが在籍。プログラムのラインナップも30種類ほどで、1日平均15〜20のレッスンが開催されている。

今回調達した資金も活用しながら今後はプログラムを100種類くらいまで増やし、ユーザーが好きな時間に好きなレッスンを受講できるような体制を目指す。また現在はZoomを活用しているが、今後は自社で独自システムを構築する計画だ。

ちなみにSOELUは女性限定のサービスだが、ライブ×フィットネスという軸で他のターゲット層向けのサービスも展開できそうな気もする。その点について蒋氏に聞いてみたところ、直近はSOELUに集中しながらも「ゆくゆくは男性向けのフィットネスサービスなども検討していく予定」(蒋氏)とのことだった。

LINEがライブクイズ「LIVEトリビア」を4月10日から開始、初回MCはふなっしー

アプリのトレンドに敏感なTechCrunch読者からは「何をいまさら」と思われるかもしれないが、昨今“ライブクイズ”サービスが流行っている。

これはその名の通りライブ配信とクイズ番組を組み合わせたもので、ユーザーはオンライン上でクイズに参加。あらかじめ賞金が設定されていて、全問正解者でその賞金を山分けできる点が特徴だ。Vineの創業者らが立ち上げた「HQ Trivia」がよく知られているほか、日本ではグノシーが「グノシーQ」を始めている。

そしてどうやらLINEもこのライブクイズに目をつけたようだ。同社は4月10日よりライブ配信サービス「LINE LIVE」において、参加型エンターテイメントSHOW「LIVEトリビア」を開始することを明らかにした。

LIVEトリビアではマル・バツで答えられる簡単な問題から、一般教養やトレンド知識、運が試されるものまで幅広いクイズを出題。全問正解者の間で賞金を山分けする(賞金は「LINE Pay」にて支払われる)。

4月10日以降は毎日20時30分から20時45分までの配信を予定しているほか、4月1日から3日間限定で先行体験版を実施。MCは日替わりで、初回は「ふなっしー」が担当する。

今後はLINE LIVEアプリに加えて、LINEのトークルーム上でもクイズへの参加ができるようになるほか、オンラインだけでなくオフラインでもLIVEトリビアがコミュニケーションツールになることを目指していくという。

AR技術でSFアニメの世界観が現実に、キャラクターに会えるライブ配信アプリ「hololive」がリリース

ここ数年でSHOWROOMLINE LIVEツイキャスなどリアルタイムに視聴者とコミュニケーションがとれるライブ配信サービスは一気に普及した。今年はそこにコマースの要素を掛け合わせてライブコマースサービスも盛り上がりをみせているが、配信を行う演者は基本的に人間だ。

でも人間だけではなく、キャラクターによるライブ配信にもニーズがあるのではないか。本日リリースされた「hololive(ホロライブ)」は、まさにキャラクターが生きているかのような感覚を味わえるライブ配信アプリだ。

hololiveではVRやARの技術を活用して、キャラクターによるライブ配信を実現。キャラクターの3D映像を現実空間にAR投影すれば、まるで自分と同じ空間でライブが行われているかのような体験ができる。ライブを視聴しながらコール&レスポンスを楽しんだり、キャラクターの写真や動画を撮影したりすることも可能だ。

キャラクターの操作にはVRデバイスを使用。装着した人間の顔や体の動きなどがリアルタイムに表示される仕組みになっている。

対応機種はARKitに対応するiPhoneとなるが、その他のデバイスでも非ARモードでライブ配信を視聴できるようにしていく方針。合わせて今後はゲームやアニメのキャラクター、バーチャルアイドルによるライブ配信を随時追加していく予定だ。

hololiveを提供するカバーは2016年の創業。2017年8月にはみずほキャピタル、TLMおよび個人投資家数人から約3000万円を調達しているほか、VR・AR関連のスタートアップを対象にしたHTCのアクセラレータープログラム「VIVE X」に日本企業として唯一採択されている。カバー代表取締役の谷郷元昭氏は、地域情報サイトの「30min.(サンゼロミニッツ)」を手がけた(現在はイードに譲渡)サンゼロミニッツの創業者。また、アエリア元取締役でエンジェル投資・スタートアップ支援を行う須田仁之氏、アジャイルメディア・ネットワーク元CTOの福田一行氏が参画している。

なおカバーでは、ARKit非対応環境のユーザーにもhololiveを体験できるよう、12月21日20時からLINE LIVEでの配信も行うとしている。

Periscope、配信者がコンテンツを収益化できるスーパーハート機能をローンチ――仮想通貨ビジネスへの参入も?

Twitter傘下のPeriscopeは新機能をローンチし、新たな収益源と人気配信者の獲得を狙っている。本日(現地時間6月21日)ローンチされた、スーパーハートと呼ばれるアプリ内購入機能を使えば、ユーザーは好きな配信者に特別なハートマークを送り、コメント欄で注目を集めることができる。さらに配信者は、集めたスーパーハートの数に応じてTwitterから毎月現金を受け取れるようになる。

スーパーハートの収益は、まずiOS・Android版どちらについても30%のアプリストア利用料と決済手数料が引かれ、残りの金額の70%が配信者へ、30%がTwitterに入るようになっている。また、この機能は世界中のiOS・Androidユーザーが利用できるが、受け取った”チップ”を現金化できるのは現在のところアメリカに住む配信者に限られており、Periscopeは今後対象エリアを広げていこうとしている。

今回発表された新機能は、恐らく中国のライブストリーミングサービスで人気のバーチャルギフトからヒントを得たのだろう。中国のYingkeやYizhiboなどでは、ファンがバラのマークや種々のステッカーをアプリ内で購入し、お気に入りの配信者に送っている様子がよく見られる。先週には、チップや換金可能なバーチャルグッズをクリエイターに送れる機能の利用をAppleが正式に許可した。しかし、Appleの決定とPeriscopeの新機能に直接的な関係はなく、同社は「私たちがやろうとしていることを(Appleが)たまたまサポートしてくれた」と語っている。

スーパーハートの買い方、送り方、換金方法

残念ながら新機能は少し複雑だ。まず、視聴画面には新しくスーパーハートのアイコンが表示されるようになっており、ユーザーはそれをタップするとスーパーハート専用のストアに移動できる。しかし、スーパーハートを購入するためには、まず枚数に応じて0.99ドルから100ドルの値段がついたバーチャル”コイン”を購入しなければならない。スーパーハートは全部で3種類準備されており、ひとつめはベーシックなハートマークにプラスサインがついたもの、ふたつめは泡で囲まれた光り輝くハートマーク、そしてもっとも高価な3つめは、中央にユーザーの顔写真がフィーチャーされており、配信者に送ると小爆発を繰り返すもの。なお、購入したスーパーハートはどの配信者に対しても送ることでき、0.99ドルだと約30個のベーシックなスーパーハートを購入できる。

多くのゲームアプリでは、普通にプレイしているだけでも無料でコインを獲得できるが、Periscopeでコインを入手するためにはお金を使う以外の方法がなく、所得の少ないユーザーは新しい機能を十分に楽しめない可能性がある。

スーパーハートを送ったユーザーは、以前からある無料のハートマークを送ったユーザーに比べて配信画面上で目立つように表示される。さらに、配信中にスーパーハートを送ったユーザーの名前はリーダーボードに掲載されるため、配信者は誰に動画内で感謝すればいいのか把握できる。他のユーザーはその様子を羨望の眼差しで見つめることになりそうだ。今のところスーパーハートの購入や送信はPeriscope上でしか行えないが、配信をTwitter上で見ている人もやりとりの様子を確認することはできる。

配信者のプロフィールには、受け取ったスーパーハートに対応するコインの枚数が”スター”として表示されるようになる。そして、175ドル分のスター(約18万5000スター)が集まると、その配信者はPeriscopeのSuper Broadcasterプログラム加入申請できるようになり、申請が受け入れられれば、月末にスターを現金化してACH送金(日本版注:アメリカの一般的な国内送金の手段)で受け取れるようになる。また、ファンからお金を受け取りたくないという配信者であれば、スーパーハートの機能をオフにすることも可能だ。

料金設定やTwitterの取り分について、PeriscopeのSara Haiderは次のように語った。

「スーパーハートは、一定の要件を満たした配信者の中で、コンテンツから収益を得たいと考えている人のために作られた機能です。私たちは、配信者が最大限の収益を得られるように、この機能の様子を観察しながら改善していこうと考えています。アプリ内購入や決済にかかる手数料を除いた金額のうち、約70%が配信者の元に渡ることになりますが、手数料や為替レート等の変動によって、実際の割合は多少変化する可能性があります」

コインを購入し、そのコインでスーパーハートを購入し、さらにそれがスターに姿を変え、その後ようやく現金化されるというプロセスをややこしく感じる人もいるかもしれない。というか、これは大変ややこしいプロセスだ。ユーザーは自分がどのくらいお金を使っているのかわかりづらいし、どのくらいの金額がお気に入りの配信者の元に届いているかもよくわからないため、ユーザーと配信者どちらにとっても新機能を利用するには多少のハードルがあるかもしれない。

しかしコアなファンからしてみれば、自分の好きな配信者のコメント欄やリーダーボードで目立つことができ、さらには配信者から直接お礼を言われるかもしれないとなれば、多少の複雑さなど問題ではないのかもしれない。

Twitterは仮想通貨ビジネスへの参入を画策中?

もしもスーパーハートが広く利用されれば、好調な2017年度第一四半期の業績でカムバックを果たしたTwitterにとっては重要な収益源となる。さらに配信者からすれば、Facebook Liveで収益をあげるには邪魔な広告を動画の途中に挟まなければならず、SnapchatやInstagramではマネタイズの手段が準備されていないため、Pericopeで動画配信を行うインセンティブが生まれる。

しかし、配信者たちはこの機能が大きな収益に繋がるとは考えていないようだ。Periscope上で有名なある配信者は「素晴らしい第一歩ではありますが、現実的に考えるとスーパーハート機能で稼げるのはお小遣い程度でしょう。つまり、これは大金を稼げるようなマネタイズ機能ではないため、配信者側もあまり期待し過ぎない方がいいと思います」と語っている。

そのため、仕事として動画配信を行いたい人は、引き続き応援機能のあるTwitchや、クリエイターの収益を中心に考えて作られたBusker、最近課金ユーザーのみを対象にした限定配信オプションが追加された月額制会員プラットフォームのPatreonなどを利用することになるだろう。視聴者のコメントを目立たせるためのSuper Chatと呼ばれる機能や広告からの収益を考えると、YouTubeも有力なオプションだと言える。

もしかしたら、Periscopeは自分たちで新たなコンテンツを追加しなければならないかもしれない。というのも、同社はユーザー数や配信者数をここ2年ほど発表しておらず、これは悪いサインである可能性が高い。

さらに、彼らはスーパーハートを使ったアダルトコンテンツの配信にも気をつけなければならない。だからこそ、Super Broadcasterプログラムは許可制で、175ドルというハードルが設定されているのだろう。元からアダルトコンテンツを配信するつもりの人の申請は通らないだろうし、急にアダルトコンテンツで稼ごうと思った人も、現金を手にする前に一定額を稼ぎ、さらには申請が許可されなければならないのだ。

今後スーパーハート機能がTwitterからも利用できるようになるかや、Periscope上のコインを他の目的で使えるようになるかに関しては、Twitterはコメントを控えている。しかし、彼らにとって初となるバーチャルグッズの導入がうまくいけば、Twitterは特別なステッカーからプロフィールを飾るバッチまで、各ユーザーのツイートがより多くの人の目につくようなものを色々と販売できるようになるだろう。

さらに、もしもTwitterが多様な意見が受け入れられるプラットフォームという信念を曲げずに、ユーザーがお金を払いたくなるようなモノを発見できれば、広告収入のためにユーザー数を増やさなくとも、コアな一部のファンから十分な収益をあげられるようになるかもしれない。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Instagramでもライブ動画配信が可能に、まずはアメリカでリリース

instagram-live

Instagramは11月にライブ動画配信機能を発表した。これはユーザーが自身のフォロワーにリアルタイムで起きていることを撮影して配信できる機能だ。また、ユーザーはInstagramのアルゴリズムが選ぶ、今この瞬間に起きているライブ動画コンテンツを視聴することができる。数日内にまずはアメリカ全土でこの機能をリリースする。

ライブ動画機能はInstagram Stories内から利用できる。Storeisのカメラをスワイプし、トグルをタップするとライブモードになる。ライブ動画はInstagramやStoriesなどに保存されることはなく、ユーザーが実際に配信している最中しかフォロワーはその動画を視聴することができない。

それがInstagramの親会社Facebookを始め、他のサービスとの主な違いだ。そして、これは大きな違いである。ユーザーは後でまた視聴できる動画を撮影するのと、本当にその時しか見ることができない、今この瞬間に起きていることを撮影するのとでは接し方が変わるだろう。

しかし、そのためにフォロワーは動画を見逃しやすくなる。Instagramはライブ動画を見つける新たな方法も提供する。アメリカのユーザーには、Exploreタブに「トップライブ動画」が表示されるようになる。そこには現在配信中の優良コンテンツがいくつか表示するという。このコンテンツはInstagramのアルゴリズムが調整しているものだ。他の競合となるライブ動画プラットフォームと比べると、簡単にライブ動画を発見できて賢い機能だ。

先ほども伝えたように、この機能は数日内にアメリカ全土でリリース予定だ。ライブ配信をしたい、あるいはライブ動画を見たい人はInstagramのアップデートが到着しているかチェックしてみるといいだろう。

[原文へ]

(翻訳:Nozomi Okuma /Website

Instagramが消えてなくなるライブ動画とメッセージをローンチ

instagram-live

Instagramは、SnapchatとPeriscopeの良い所を組合せて、ユーザーが安心してカメラの前に立てるようなサービスを提供しようとしている。Facebook LiveやMessengerとの重複を避けるため、Instagramは動画配信やプライベートメッセージ機能に、コンテンツが消える要素を加えようとしているのだ。

本日から数週間の間に、2つの機能がiOS・Android向けのInstagram Storiesに導入されることになる。ひとつ目のInstagram Liveでは、ユーザーが自分のフォロワーに向けて、リアルタイムでライブ動画を配信できるようになる。しかし、フォロワーは動画を配信中しか見ることができず、後から見直すことはできない。その代わりに、検索画面を見れば、アルゴリズムによってキュレートされた、そのとき配信が行われているInstagram Live動画をブラウズすることはできる。

ふたつ目がダイレクトメッセージ内の追加機能で、ユーザーが絵やテキストで覆い尽くされたInstagram Stories上のポストを、フォロワー全員と共有したくない場合、この機能を使って仲の良い友だちにだけポストの内容を送信することができる。但し、受け取った人はポストの内容を2回までしかみることができず、その後メッセージは消えてしまう。

Instagramでプロダクト部門のトップを務めるKevin Weilは、「Instagramはピボットしました」と話す。「Instagramは、ユーザーの生活のハイライトだけでなく、全ての瞬間を捉えるようなサービスであるべきだと考えています」と彼は続ける。新機能であるライブ動画配信やダイレクトメッセージの追加機能は、一定の条件を満たすと消えてしまうコンテンツであることから、Instagramは、ユーザーが自分の見た目やコンテンツが配信するに値するほどカッコいいか、ということを気にしないようになることを願っている。今回発表された新機能によって、Instagramのターゲットユーザーのバランスが、著名人やソーシャルメディア上の有名人から一般ユーザーへとさらに傾くことになり、これは他のサービスが読み違えているポイントだ。

Instagram Live

Instagram Liveは、Meerkat亡き今、主要ライブストリーミングプラットフォームの中で、もっともコンテンツ保存期間が短いサービスだ。

Periscopeは当初、24時間というコンテンツ保存期間の制限を設けていたものの、最終的にはFacebook Liveのようにいつまでも動画が再生ができるように仕様変更された。一方でInstagram Liveの動画は、配信が終了次第見れなくなるため、ユーザーはとっておきのイベントや市民ジャーナリズムのためだけではなく、もっと日常的に動画配信を行うようになる可能性がある。同時に視聴者側は、動画を見るチャンスが一回しかないと分かっているため、すぐに見なければならないと感じるようになるだろう。

プロダクトマネージャーのShilpa Sarkarは、Instagramが「友人とダベるためにライブ配信を行うユーザーに興味を持っていました」と話しており、このような動画配信のあり方は、グループビデオチャットアプリのHousepartyでも人気だ。Instagramは、先月ロシアでライブ機能のテストを行っているのをT Journalにみつかってしまった後、先週The Vergeに対して、ライブ動画配信のプロダクトを開発中だと語っていた。

ig-live

ライブ配信を行っている友だちがフィード画面のトップに表示され、そこから自分でもライブ配信をスタートできるほか、検索画面では人気のライブ動画をみつけることもできる。

Instagram Storiesカメラの画面からスワイプするだけで、Live機能は利用できる。ユーザーがライブ配信を開始すると、Instagramの選んだ、ライブ動画に興味を持っている親しい友だちに対して、動画を案内するノーティフィケーションが送られると共に、フィード画面のトップに表示されるInstagram Storiesのプロフィール画像にもLiveタグが表示されるため、フォロワーもライブ配信がはじまったことがわかるようになっている。フォロワー全員に対してアラートが送られるわけではないため、初期のPeriscopeに見られたような、ノーティフィケーションの洪水は起きない。

ライブ配信の視聴者は、動画に対してコメントしたり、Periscopeと全く同じように画面をタップすることで、ハートマークを送ることができる。Periscopeと少し違うのは、ときどきハートマーク上に視聴者の顔写真が表示されるという点だ。配信者もコメントを追加することができ、さらに配信者または視聴者のコメントのうちひとつを、コメント欄のトップに固定表示することもできる。さらに安全に、Facetimeのような形式でライブ配信をしたい人のために、配信者は全てのコメントやボタンを非表示にすることができるほか、嫌がらせをする視聴者をブロック・通報することも可能だ。

周りの友だちが、すぐにライブ動画を配信し始めないかもしれないという人のために、検索画面のStoriesセクションには、人気のライブ動画が表示されるようにもなっている。ビューカウントや地域、言語をもとにInstagramがキュレートしたチャンネルを、ユーザーがスワイプしながら閲覧することのできるこの機能は、現存するサービスの中で最もリラックスしたライブ動画の検索・閲覧サービスだ。

消えて無くなるダイレクトメッセージ

ダイレクトメッセージの月間ユーザー数は既に3億人を超えているが、これまでは全てのメッセージが受信箱に保存されていた。既存のダイレクトメッセージ内では、ユーザーがテキストや写真、動画、Instagramのポストを友だちに送付し、その内容について会話することができるようになっている。しかし、Instagram Storiesの登場で、テキストや絵をあしらった写真・動画を共有できるようになった今、Instagramにはグラムスター(Instagram映えする)コンテンツをプライベートに共有する方法が求められていたのだ。

今後ダイレクトメッセージ画面には、これまでのスレッドに加えて、トップに消えて無くなるStoriesメッセージのバーが表示されるようになる。そして、Instagram Storiesで写真や動画を共有する際に、友だちやグループを選択すれば、そのコンテンツをダイレクトメッセージとして送れるようになるのだ。つまりこれは、Snapchat Storiesのプライベートメッセージに、グループ機能が追加されたようなものだ。

instagram-direct-ephemeral

Instagram Storiesで撮影して、ダイレクトメッセージとして送り先を選ぶと、受信者はコンテンツが消えるまで写真や動画を視聴できる。

受信者はメッセージを一旦確認したあと、もう一度再生することができるが、その後にメッセージは消えてしまう。そのため、きわどい冗談を言いたいときや、公になっているStory上や友だち全員には共有できないような敏感な内容のものを送りたいときは、ダイレクトメッセージを使えば、メッセージがそのうち消えてなくなると安心することができる。グループでの”カメラ会話”に参加する友だちの数が増えれば、スレッドがコラボレーションを通じてできたStoryスライドショーのようになり、これはFacebookが以前開発していた、協力型動画制作アプリのRiffを彷彿とさせる。

消えてしまうメッセージと、ずっと残るメッセージを収める2種類の受信箱があるというのは少し複雑だが、Instagram内にこの2種類のメッセージが存在すること自体には意味があるため、ふたつを別けて保管する何かしらの手段が必要だった。そして、第三のオプションも今後開発される可能性がある。特定の友人に対してのみ、プライベートなライブ動画配信を行う機能を開発する意向があるのか尋ねたところ、Instagramはその機能は道理にかなっているし、どうすればそれが実現できるか考えているところだと語っていた。しかし、機能過多に陥らないようInstagramは気をつけなければいけない。

今回の機能追加の特徴は、クリエイターが自らのオーディエンスを完全にコントロールできるようになるということだ。配信者は誰がライブ配信を視聴しているか確認できるほか、視聴者はライブ動画を配信終了後に見ることはできず、さらにダイレクトメッセージでは、配信者が送り先を限定することができる。つまり、誰も配信者が気づかないうちにコソコソとコンテンツを見ることができないのだ。これはSnapchatのパブリックアカウントにさえない機能だ。

これまで、ソーシャルメディア上の情報について、投稿したユーザーの同僚や家族がこっそり見ているという可能性を排除することはできなかった。そのため、ユーザーのクリエイティビティは、最低レベルのモラルと関係性に合わせざるを得ず、全てが無害で、誰にとっても安全なものでなければならなかった。しかしその結果、今回のアップデートで解放されることになった、Instagramの真の可能性が失われてしまっていたのだ。その可能性とは、ユーザーが自分の周りにいる人を選ぶことで、自分自身をさらけ出す自由を得るということだ。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

次はPeriscopeがSnapchatを真似たARセルフィーマスクを公開

periscope-masks

SnapchatやFacebookに続いて、Periscopeが独自のARセルフィーマスクを開発している。初回リリースでは、ヒラリー・クリントンとドナルド・トランプのマスクが用意され、大統領選に合わせて来週公開される予定だ。最新バージョンのiOSアプリでセルフィーモードを選ぶと、画面下部からマスクを選べるようになる。アイコンをタップすると自動的にマスクがユーザーの顔に貼り付けられるようになっており、友だちと並んでカメラに写れば、両方のマスクを同時に利用することもできる。

Twitterの広報担当者は、「今回発表したマスクのことは、選挙の話を持ち出す楽しいきっかけや、投票の呼びかけといったくらいに考えています」と話し、Periscope CEOのKayvon Beykpourも「二人のマスクは笑えるし、その目的も理にかなっています」と語る。

Periscopeによれば、同社はこれ以外のクリエイティブツールの開発も進めており、「私たちは、ユーザーが人の心をつかむライブビデオを制作する上で、助けとなるようなツールを開発しています。大統領選マスクは、その気楽な一例にすぎません。もっと高度なツールを今後公開していくのが楽しみです」と発表している。なお、Periscopeは今年の4月に、最初のクリエイティブツールとなるお絵かき機能をアプリに追加していた。また、大統領選マスクはAndroidアプリには対応していないが、今後発表される新しいツールはAndroidにも対応予定だ。

大統領選はすぐそこだ!ヒラリー・クリントンかドナルド・トランプのマスクでライブ配信をしよう。投票へ行くのも忘れずに。

他のサービスで見られるようなイラストっぽいマスクとは違い、Periscopeのヒラリーとトランプのマスクは、口だけ動く写真をユーザーの顔に貼り付けるようなつくりになっている。実際にPeriscopeの発表には、次のように写真家へのクレジットが表示されている。“Masks image credit:“Hillary Clinton with Supporters” by Gage Skidmore, used under CC-BY-SA 2.0/ modified from original; “Donald Trump” by Gage Skidmore, used under CC-BY-SA 2.0/ modified from original.”

Beykpourが「腹話術人形スタイル」と表現する大統領選マスクは、JibJabのマンガのようにも見える。これについて彼に尋ねると、「JibJabは楽しくて面白いですからね」と話していた。

periscope-masks-hands-on

Periscopeのマスクを実際に試してみた様子

セルフィーマスクを使えば顔を隠すことができるため、ユーザーがPeriscope上でライブ配信するハードルが下がるかもしれない。恥ずかしさはユーザーをカメラの前から遠ざけている1番の理由で、だからこそSnapchatはマスクを主要機能としたのだ。同様に、Facebookはセルフィーマスク制作を行うMSQRDを買収してすぐにSnapchatをコピーし、Facebook Liveにまでマスク機能を導入した。

これでPeriscopeは他のサービスに追いつけるようになった。これまでは真剣な市民ジャーナリズムや専門家の質疑応答に利用されることの多かったPeriscopeだが、もっと遊び心のある機能を増やすことで一般層を獲得することができるかもしれない。そして今後Periscopeがマスクを追加したり、新たにフィルターをローンチしたりすれば、ユーザーは髪の調子が悪いときや、顔がやつれているときにもストリーミングできるようになる。

hillary-masks

この写真の向かって右側がPeriscope CEOのKayvon Beykpour

ここで問題となるのは、Periscopeがどこまで他社についていけるかということだ。SnapchatとFacebookは、どちらもセルフィーマスクを開発するスタートアップを買収することでスタートから勢いをつけ、さらにその後も積極的にARエンジニアを採用している。一方で、財政的に苦しいTwitterの子会社で、リソースの限られているPeriscopeは、正確な物体認識・追跡技術を開発したり、面白いマスクを素早くたくさんリリースしたりする力では、他社に劣っているかもしれない。

しかし、少なくとも初めてのマスクを公開することで、Perisocopeが今後AR技術を採用していくという姿を見せることができ、それが結果的に他社とのギャップを埋め、AR関連の技術をもったスタッフの採用につながるかもしれない。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter