Facebook、AIによる誤報やヘイトスピーチの検出に関する最新情報を公表

誤報対策に取り組むFacebookの戦いが終わりを告げることはないだろうが、だからといって同社は諦めたわけではない。それどころが、自動化されたシステムに絶え間なく改善を加えているおかげで、ヘイトスピーチや誤報をある程度は減少させることができている。CTOのMike Schroepfer(マイク・シュロープファー)氏は米国時間11月20日、一連の記事の中でこれら改善点の最新情報を公表した

今回の変更は、スパムや誤解を招くニュース、人種差別的中傷などを未然に防ぐために同社が利用しているAI関連システムに対するものだ。Facebookのコンテンツモデレーターさえもが目にする前の時点で阻止してしまうというものである。

改善点として、Facebookがヘイトスピーチなどを検出するために採用している言語分析システムが挙げられている。シュロープファー氏の説明によると、これは同社が細心の注意を払うべき分野の1つだという。広告スペースで誤検知(何か詐欺っぽいというような)された場合のリスクは低いが、ヘイトスピーチと誤解されて記事を削除される場合の誤検知は深刻な問題だ。そのため決断を下すときにはしっかりした確信を持つことが重要である。

残念ながら、ヘイトスピーチやそれに近いコンテンツは非常に微妙なものである。議論の余地なく人種差別主義者と思われるようなものでさえ、たった一言の言葉で意味が反転したり、ひっくり返ったりすることがある。言語の複雑さと多様性を反映した機械学習システムを構築するというのは、想像を絶するほどの計算資源を必要とするタスクである。

「linear」+「transformer」からの造語であるLinformerは、1日に何十億もの投稿をスキャンすることで膨れ上がるリソースコストを管理するためにFacebookが作った新しいツールだ。正確に計算するのではなく、トランスフォーマーベースの言語モデルのセントラル・アテンション・メカニズムを概算するものだが、性能におけるトレードオフはほとんどない(この意味をすべて理解できる読者がいたら拍手を送りたい)。

これは言語理解の向上につながるが、計算コストはわずかに高くなるだけで、例えば、最初のウェーブに悪いモデルを使用して、疑わしいアイテムに対してのみ高価なモデルを実行する必要はない。

同社の研究者らは、画像内のテキスト、画像、テキストの相互作用を理解するという、やや形のはっきりしない問題にも取り組んでいる。テレビやウェブサイトの偽スクリーンショットやミームなど、投稿によく見られるものはコンピューターにとって驚くほど理解しにくいものだが、膨大な情報源となっている。また、視覚的な詳細がほとんど同じでも、たった1つ言葉が変更されただけで意味を完全に反転させてしまうこともある。

外観がわずかに異なる、同じ誤情報の2つのケースの例。左側を認識したシステムが右側を認識した。画像クレジット:Facebook

 

Facebookは無限大の種類の誤情報を検出できるようになってきているとシュロープファー氏は説明する。まだ困難さを極めてはいるものの、例えばCOVID-19の誤報画像、マスクが癌を引き起こすといったような偽ニュース報道でそれを掲載している人々が、たとえデザインを操作したり変えたりしても検出することができ、そういった意味で大きな進歩を遂げているという。

これらのモデルの展開と維持も複雑で、オフラインでのプロトタイピング、デプロイメント、オンラインテスト、そしてそのフィードバックを新しいプロトタイプに反映させるという作業を絶えず繰り返す必要がある。レインフォースメント・インテグリティ・オプティマイザー(RIO)には新しいアプローチを採用しており、ライブコンテンツに対する新しいモデルの有効性を監視し、その情報を週間レポートなどではなくトレーニングシステムに常に伝えている。

Facebookが成功していると言えるかどうかを判断するのは容易ではない。しかし、同社が発表した統計によると、ヘイトスピーチや誤報が削除される割合は増加しており、前四半期に比べるとヘイトスピーチや暴力的な画像、児童搾取コンテンツが何百万件も多く削除されているという朗報が伝えられている。

Facebookがどのようにして成功や失敗をより正確に追跡することができるのかについてシュロープファー氏に尋ねてみた。数字の増加は、削除のためのメカニズムが改善されたか、あるいは単にそのコンテンツが同じ速度で大量に削除されたためかもしれないからだ。

「ベースラインは常に変化するため、これらすべてのメトリックを同時に確認する必要があります。長い目で見たとき、念頭におくべきものはまん延率です」と同氏は説明し、あるタイプのコンテンツが先制して削除されたかどうかではなく、実際にユーザーが遭遇する頻度について言及した。「誰も見ることのないコンテンツを1000個削除しても、あまり有効とはいえません。バイラルになろうとしていたコンテンツを1つ削除すれば、それは大成功です」。

Facebookはヘイトスピーチのまん延率について四半期ごとの「コミュニティ標準実施報告書」に含め、次のように定義している。

まん延率とは、当社のプラットフォーム上で違反コンテンツを目にする回数の割合を推定したものです。ヘイトスピーチのまん延率は、Facebook上で見られているコンテンツのサンプルを選択し、その中でどれだけのコンテンツが当社のヘイトスピーチポリシーに違反しているかをラベル付けすることで算出します。ヘイトスピーチは言語や文化的背景に大きく関係するので、私たちはこれらの代表的なサンプルを異なる言語や地域のレビュアーに送っています。

この新しい統計の最初の測定値は次のようなものだ。

2020年7月から2020年9月までは0.10%から0.11%となりました。つまり、Facebookのコンテンツ閲覧数1万件のうち、10から11件がヘイトスピーチだったということです。

この数字が間違っていなければ、現在Facebook上にある1000のコンテンツのうち1つがヘイトスピーチに該当することを意味し、これは少し確率的に高いように感じられる(Facebookにこの数字をもう少し明確にするよう求めた)。

この数字の完全性を問う必要もあるだろう。エチオピアのような戦争で荒廃した地域からの報告によると、ヘイトスピーチがまん延しているにも関わらず十分に検出や報告がなされず、取り除かれていないことが多いと伝えられている。一方、Facebook上の白人至上主義者や民族主義者などによる爆発的なコンテンツは適切に記録されている。

シュロープファー氏は、自身の役割は物事の「実装」側にあり、ソーシャルネットワークの巨大なオペレーションにおけるポリシーやスタッフの配置、その他の重要な部分は多かれ少なかれ彼の管轄外であることを強調している。率直に言って、世界で最も影響力のある企業に属するCTOが言う言葉としてはガッカリなものである。この問題に深刻に取り組んでいるはずなのだから尚更だ。しかし、同氏とそのチームが上記のような技術的な救済策を追求することにそれほど熱心でなかったなら、Facebookは不意打ちで撃墜されたというより、ヘイトとフェイクで完全に埋もれてしまっているのではないかとも思う。

関連記事:YouTubeが投稿前にユーザーに再考を促す機能を導入、悪意的なコメント対策で

カテゴリー:人工知能・AI
タグ:Facebook ヘイトスピーチ
[原文へ]

(翻訳:Dragonfly)

米の銘柄判定をAI搭載スマホアプリで実現する「RiceTagプロジェクト」の実証実験が成功

米の銘柄判定をAI搭載のアプリで実現するRiceTagプロジェクトの実証実験が成功

総合米穀卸業のKAWACHO RICEと、東北地方の企業・サービスのクラウド化およびDX化を支援するヘプタゴンは12月7日、米の銘柄をAIで判定するスマートフォンアプリを開発し、実証実験に成功したと発表した。

米の流通過程において、異品種混入(コンタミ)を防止するための銘柄チェックは、資格を有した検査員が目視で行われているものの、現在の検査方法では、具体的なデータを示せないという課題があるという。

そこでKAWACHO RICEは、プタゴンと協力して、2019年夏頃にAIを用いた米の銘柄判定を行う「RiceTagプロジェクト」を立ち上げ。約1年をかけてAIの開発・実証実験を行い、検査対象からサンプリングで無作為に抽出した複数の米粒をスマートフォンのアプリで撮影するだけで銘柄を判定することに成功した。実証実験は、青森県産米4銘柄および秋田県産米4銘柄に対して行い、資格を有する検査員と同等以上の正解率を得られた。

今後は、さらなる精度の向上や判定できる銘柄を増やしていき、検査員の負担を減らすとともに、流通の過程でより正確に銘柄のチェックができるように実用化に向けて開発を進める。

KAWACHO RICEは、「すべては米からはじまる」を理念に、産地プラットフォーム米穀卸として、生産から消費までの米流通を総合的にコーディネート。

検査米をはじめ備蓄米や輸出米など多種多様な実績とノウハウを持ち、産地の有力生産者との強固な信頼関係の構築など、米作りを第一に、常にリスクヘッジを考えた栽培プランの提案・支援を実施。流通業者としても、時代の流れを敏感に察知し、取引先に最適なプランをご提案すると同時に、消費者ニーズに合わせた商品開発・販売活動も積極的に進めている。

ヘプタゴンは、「世界中の顔を知らない100万人よりも自分たちの身近な100人をクラウドで幸せにする」を経営理念に掲げ、主に東北地方の企業/サービスのクラウド化やDXの支援を実施。

地方ならではの課題を地方のことをよく知る地方の企業が解決する「ビジネスの地産地消」というビジネスモデルで、これまで200プロジェクトを超える実績を東北であげており、東北エリア初のAWS Partner Network(APN)アドバンストコンサルティングパートナーにも認定されている。

近年では、AI/IoT技術を用いた地方の企業/自治体のDX化にも力を入れており、先端技術を取り入れ成長する意欲的な企業とヘプタゴンが協力して、生産性の向上や業務の改善、新しい働き方の導入支援などを進めている。

なお、今回のAIおよびシステムのプラットフォームには、Amazon SageMakerを採用。開発環境や推論環境の構築が非常に簡単に行えるため、モデル開発に注力でき、また、KAWACHO RICEへ迅速に結果のフィードバックを行えたとしている。

関連記事
AWSがウェブベースの機械学習用IDE「SageMaker Studio」を発表
AWSが機械学習のデータ準備サービスSageMaker Data Wranglerを公開
​AWSがあらゆるカメラに機械学習技術を搭載するデバイスPanoramaを発表
AWSが機械学習トレーニング用の新カスタムチップTrainiumを発表
水田向けスマート農業サービス「paditch」開発・運営を手がける笑農和が1億円を調達
産業用リモートセンシングのスカイマティクスが日本初のAI米粒等級解析アプリ「らいす」公開

カテゴリー:人工知能・AI
タグ:Amazon Web Services / AWS(製品・サービス)KAWACHO RICE機械学習(用語)食品(用語)農業(用語)ヘプタゴン日本(国・地域)

東大・松尾研発のAIスタートアップACESが3.2億円調達、IGPI川上登福氏が取締役に就任

東大・松尾研発のAIスタートアップACESが3.2億円調達、IGPI川上登福氏が取締役に就任

画像・映像認識AIアルゴリズムの力でリアル産業のDXを目指す東大松尾研発のAIスタートアップACESは12月3日、総額約3.2億円の資金調達を発表した。引受先は、経営共創基盤(IGPI)とVCファンド「Deep30投資事業有限責任組合」。また取締役として、川上登福氏(経営共創基盤 共同経営者 マネージングディレクター、一般社団法人日本ディープラーニング協会 理事)の就任が決定したと明らかにした。

ACESは、「アルゴリズムで、社会をもっとシンプルに。」というミッションのもと、人の知見を数式化することで、人とデジタルが接続された「なめらかかつ構造的な社会」の実現を目指しアルゴリズム事業に取り組むスタートアップ企業。

2017年11月の設立以降、スポーツ、小売、建設、自動車をはじめ、数多くの産業現場における共同DX事業を実施。2020年9月には、陸上自衛隊のAI活用・デジタル化推進への協力や、国土交通省の革新的技術の導入・活用に関するプロジェクトにおいて最高評価を獲得するなど、官民問わずDXの推進に尽力しているという。様々な業界のデジタル化ニーズが高まる中、さらなるアルゴリズムのライセンス領域の拡大、ソフトウェア化による事業拡大を加速すべく資金調達を実施した。

また今回、IGPIにおいてAI・IoT戦略立案・実行などの案件を統括し、ビッグデータ解析・DX支援を行うIGPIビジネスアナリティクス&インテリジェンスの代表取締役CEOを務め、ACESの顧問としても事業、経営戦略立案に尽力してきた川上登福氏の取締役就任が決定。今回の資金調達と川上氏の参画を機に、業界のサプライ/バリューチェーンのデジタル化を加速するとしている。

関連記事
東大・松尾研発のAIスタートアップACESと陸上自衛隊がAI技術活用の助言について合意
東大・松尾研発のAIスタートアップACESとメガネブランドZoffが業務提携、行動認識技術を用いたDXに取り組む
東大・松尾研発AIスタートアップACESがAI活用のプレスリリースデジタル管理を開始、テレ東とタッグ
東大・松尾研発AIスタートアップACESが資金調達、画像認識アルゴリズムをパッケージ化して提供へ

カテゴリー:人工知能・AI
タグ:ACES(企業)資金調達(用語)ディープラーニング / 深層学習(用語)東京大学(用語)日本(国・地域)

​Loonの成層圏気球はGoogle AIの力で自ら最適なナビを行い飛行する

​Alphabet(アルファベット)のLoonは、数年前からアルゴリズムを使って成層圏気球の飛行を最適化しており、その結果として上空で過ごした時間の記録を作っている。​しかし、同社は現在、はるかに優れた可能性を秘める新たなナビゲーションシステムを展開しており、真の強化学習AIを使ってナビゲーションを、人ではできなかったほど最適化する方法を自らに教えている。

同社によると、Loonが開発した新しい強化学習システムが、実際の航空宇宙分野の製品で使われるのは航空機で使われるのはこれが初めてだという。開発したのはAlphabetのモントリオールにあるGoogle AIの部門で、2年以上前のことだ。これまでのアルゴリズムによる航行ソフトウェアと違い、これは航路を完全にマシンが決定する。マシンは人が作ったシステムよりもはるかに速く、効率的に気球にとって最適な飛行経路を計算する。気球が以前よりも同じ距離、またはより長い距離を移動するために消費する電力が大幅に削減される。

どうやってLoonは、それがより良い航路であることを知るのか?実は彼らは新しいAIナビを、人間のアルゴリズムを使う前のシステムと競争させて、太平洋上で39日間テスト飛行をした。その結果、強化学習モデルは、従来のシステムよりも少ないエネルギーで、Loon気球をより長時間連続的に目標エリアの上空に浮かせ続け、チームがこれまでに見たことも考えついたこともない新しいナビゲーションの動きを考え出した。

​このテストや他のテストで目覚ましい成功が証明された後、Loonは実際にすべての成層圏気球にそれを展開し、現在、ケニアの商業顧客にサービスを提供するためにアフリカの一部に展開している。

​これは強化学習を使用して、実際の環境で使用されるより良いパフォーマンスを積極的に学習、生産能力で動作し、有料顧客にサービスを提供する実際のハードウェアのパフォーマンスを制御するAIシステムの数少ない実際の例の1つです。​これは目覚ましい成果であり、間違いなく航空宇宙やその他の分野で注目されるだろう。

関連記事:Alphabet傘下のLoonがケニアで気球によるインターネットの提供を開始

カテゴリー:人工知能・AI
タグ:​AlphabetLoon

画像クレジット:Loon

原文へ

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ウェブエンジニア向けローコードサービスのTsunagu.AIがプレシリーズAで1億円を資金調達

ウェブエンジニア向けローコードサービスのTsunagu.AIがプレシリーズAで1億円を資金調達

Tsunagu.AI(ツナグドットエーアイ)は12月3日、プレシリーズAラウンドにおいて、J-KISS型新株予約権方式による総額1億円の資金調達を発表した。引受先はANOBAKA(旧社名:KVP)、East Ventures、DNX Ventures、NOW、日本スタートアップ支援1号ファンド(日本スタートアップ支援協会、フューチャーベンチャーキャピタルが運営)、個人投資家。

同社のウェブエンジニア向けローコードサービス「FRONT-END.AI」は、2019年4月のクローズドβ版のリリース以降、ウェブ制作会社・広告代理店を中心とした企業への導入が進んでいるという。調達した資金により、FRONT-END.AIのさらなる機能開発、また機械学習エンジニア、カスタマーサクセスなどの採用強化をしていく予定。

今後、利用企業への手厚いフォローを実施するとともに、新規のデータ取得・学習による精度向上に努める。20年変わっていないフロントエンド開発のワークフローを改善することによって、開発者がよりクリエイティビティを発揮できるよう支援していく。

FRONT-END.AIは、フロントエンド開発における初期工程をAIによって自動化するウェブエンジニア向けローコードサービス。複数のディープラーニングのモデルを独自に結合し、フロントエンド開発に特化した学習を行ったAIにより、ページ全体のデザインカンプ(JPEG)とウェブ用素材をアップロードするだけで、HTMLの構造および、デザイン要素の分析を行う。

分析結果から自動でコーディングを行うことで、開発初期工程にかける時間を大きく削減できる。削減した時間で、ウェブ制作会社が多くの案件を受注し、売上の最大化を追求することや、自社エンジニアが最新言語の学習など成長する機会を提供し、長期的な利益最大化を目指す取り組みを行えるとしている。

ウェブエンジニア向けローコードサービスのTsunagu.AIがプレシリーズAで1億円を資金調達

ウェブエンジニア向けローコードサービスのTsunagu.AIがプレシリーズAで1億円を資金調達

2017年4月創業のTsunagu.AIは、「ヒトとデータを繫ぐ」をコンセプトに、AIを使ったイノベーションで人々を単純作業から開放し世界を前進させるというミッションを掲げるAIスタートアップ企業。2019年12月に初のプロダクト「FRONT-END.AI」有料課金版をリリースし、サービスを提供している。

関連記事
B Dash Camp 2019 FallのPITCH ARENA優勝は複数のSaaSをつなぎ合わせるiPaaSのAnyFlow
ICC KYOTO 2019スタートアップ・カタパルト優勝はファストドクター

カテゴリー:人工知能・AI
タグ:Tsunagu.AI資金調達(用語)日本(国・地域)

ServiceNowが法人向けAIサービス開発のカナダのスタートアップElement AIを買収

クラウドベースのITサービス企業であるServiceNow(サービスナウ)は、自動化と人工知能の法人向け分野でビッグプレーヤーとなるための長期戦略遂行に向け、11月30日に重要な買収を行った。ServiceNowはカナダのスタートアップであるElement AI(エレメントAI)を買収する。

Element AIはAIのパイオニアが創業し、世界最大級のAI企業が複数投資している。これまでにMicrosoft、Intel、Nvidia、Tencentなどから数億ドル(数百億円)を調達した。Element AIの狙いはAIベースのITサービスの構築と提供だった。企業は多くの場合、そもそもがテクノロジー企業ではない。

契約条件は公表していない、と広報担当者はTechCrunchに語った。だが、価格は約5億ドル(約520億円)だったとの情報が複数ある。参考情報として、Element AIは最後の資金調達で6~7億ドル(約620~730億円)、2019年9月には1億5100万ドル(約160億円)という評価だった。

5億ドル(約520億円)でも、この取引はServiceNowにとって最大の買収になると思われる。ただ最後の資金調達時の価格と比べるとかなりの切り下げだといえるだろう。

広報担当者は、ServiceNowがElement AIを完全に買収し、AIのサイエンティストや実務担当者を含むのテック人材のほとんどの雇用を維持するが、必要な部分を統合した後は既存のビジネスを縮小すると認めた。

「今回の買収における当社の重点は、テック人材とAIの能力です」と広報担当者は述べた。これには、Element AIの共同創業者でCEOでもあるJF Gagné(JF ガネー)氏がServiceNowに加わり、同じく共同創業者のYoshua Bengio(ヨシュア・ベンジオ)博士がテクニカルアドバイザーの役割を担うことも含まれる。

彼らのチームに属していない人は、ServiceNow内で他の仕事を探す支援を受けるか、退職金の対象となる。ある情報筋によると、Element AIの約半数が影響を受ける可能性がある。

Element AIはモントリオールに本社を置く。ServiceNowの計画は「Now Platform(自動化サービスのブランド名)で顧客中心のAIイノベーションを加速」し、AIイノベーションハブを創造することだ。

最後だが重要なこととして、ServiceNowはElement AIの機能の一部の再プラットフォーム化を始めると広報担当者は述べた。「取引成立後、Element AIのほとんどの顧客との契約を順次終了する予定です」

この買収取引は、我々の時代に合った最新のプラットフォーム構築を目指す企業としての最新の動きとなる。

ServiceNowは、2019年10月にSAPから加わったCEOのBill McDermott(ビル・マクダーモット)氏の下で、SaaS企業へAIと自動化の恩恵をもたらすべく大規模な投資を行ってきた。これには、SweaglePassage AILoomそれぞれ、2500万ドル=約26億円、3300万ドル=約34億円、5800万ドル=約60億円)を含む多くの買収に加えて、より大規模なワークフロー自動化プラットフォームの定期的な更新が含まれている。

ServiceNowは2004年から始まったため、厳密にはレガシービジネスとはいえない。同社の現在の時価総額は約1030億ドル(約11兆円)だ。全ての上場企業同様、同社は「デジタルトランスフォーメーション」といえばこの会社に頼め、といわれるようなポジションを競っている。デジタルトランスフォーメーションは今年の法人向けITサービスのバズワード(流行語)だ。健康に関わる世界的なパンデミックやそれに伴って起こる何があってもオペレーションを継続するために、誰もがオンライン、クラウド、リモートでより多くのことを実行しようと急いでいる。

「テクノロジーはもはやビジネスをサポートするものではありません。テクノロジーそのものがビジネスなのです」とマクダーモット氏は今年初めに語った。SalesforceがSlackをさらって行く可能性が十分にありそうな(編集部注:米国時間12月1日にSalesforceはSlackの買収を発表した)タイトな市場で、ServiceNowは自社の領域におけるピースを埋めるためにより多くのツールを求めている。

「企業が20世紀のプロセスとビジネスモデルをデジタルに変換するための競争が進むにつれ、AIテクノロジーは急速に進化しています」とServiceNowの最高AI責任者であるVijay Narayanan(ビジェイ・ナラヤナン)氏は11月30日の声明で述べた。「ServiceNowは人々の仕事を改善するために、世代でたった一度ともいえる機会を主導しています。Element AIの強力な能力とワールドクラスの人材により、ServiceNowは従業員と顧客が創造的な思考、顧客とのやり取り、予測不能な仕事など、人間だけが得意とする分野に集中できるようにします。よりスマートなワークフローの方法です」

Element AIは、世のスタートアップにとっていつも非常に野心的なコンセプトだった。2018年にチューリング賞を受賞したベンジオ博士は、AIの専門家であるNicolas Chapados(ニコラス・シャパド)氏、Jean-François Gagné(ジャン・フランソワ・ガネー氏、Element AIのCEO)、Anne Martel(アンネ・マルテル)氏、Jean-Sebastien Cournoyer(ジャン・セバスチャン・クルノイエ)氏、Philippe Beaudoin(フィリップ・ボードワン)氏とともに会社を共同で創業した。

彼らのアイデアは、「DNAからテック企業」というわけではない企業向けにAIサービスを構築することだった。それでもテック企業との競争力を維持するためには、テック業界のイノベーションを活用する必要がある。テック企業は幅広い業界により深く参入しつつあり、企業自身も経営と成長のために高度化する必要が高まっている。つまり企業は、他社によって不意に破壊される前に、自らを破壊する必要があるというわけだ。

さらにElement AIは、同社に戦略的投資を行っているテック企業のために、または彼らと協力して仕事を進めてきた。投資家らは、自身の専門知識の一部を活用したりElement AIと協力したりして、より多くのサービスを提供し、より多くの取引を法人顧客から獲得したいと考えていた。Element AIの(時には同社と激しい競合関係にあった)投資家4社に加えて、マッキンゼーのような投資家もいた。

しかし、その姿がどのような形をとるのかが完全に明らかになったことはなかった。

昨年、Element AIの最新の資金調達について取り上げたとき、同社の顧客が実際はどこにいるのかがよくわからないと述べた。同社のウェブサイトには対象とする業種がいくつか提示されているものの、結局顧客についてはよくわからない。業種には、保険、製薬、物流、小売、サプライチェーン、製造、政府部門、資本市場が含まれている。

他にもいくつか良い点はあった。Element AIは、2018年にはAmnesty、最近ではMozillaとの共同作業から始めたAI For Good(善きことのためのAI)の取り組みで倫理的に強力な役割を果たした。実際、2018年(Element AIの創業1年後)は、AIがメインストリームの意識に影響を与えたようにみえた年でもあった。またAIは、アルゴリズムの不発、広範な顔認識、より「自動化された」アプリケーションがうまく機能しないことなどにより、やや不気味に見え始めた。倫理的な目標を設定することは間違いなく理にかなっていた。

だが、そのすべてのために独立したビジネスとしてより大きな布を必要とするような十分な針の持ち合わせがなかったようだ。Glassdoorのレビューでは、同社内の混乱についても説明されている。それは避けられなかったのかもしれないが、おそらくより大きな問題の兆候だった。

「Element AIのビジョンは常に、企業がAIを使用して人々がよりスマートに働けるようにする方法を再定義することでした」と、Element AIの創業者でCEOのガネー氏は声明で述べた。「ServiceNowはワークフロー革命をリードしており、我々は仕事の世界を人々にとってより良くするという目的に触発されました。ServiceNowは、我々の人材とテクノロジーにより今日の企業が直面している最も重要な課題に立ち向かう適切なパートナーです」

買収は2021年初めまでに完了する予定だ。

カテゴリー:
タグ:

画像クレジット:DKosig / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

気象災害に備える企業にAIを組み合わせた天気予報分析を提供するAtom

「地球上のほぼすべてのビジネスは天候の影響を受けています」と、投資家で連続起業家のAlexander Levy(アレクサンダー・レビー)氏はいう。同氏の最新の会社は、新しい天気予報スタートアップのAtmoだ。

2020年初めにY Combinatorを卒業した同社は、予測ソフトウェアのためにSignia Venture PartnersとSound Venturesから200万ドル(約2億800万円)を調達した。時にビジネスでは、ボブ・ディランの歌とは違って、風向きを知るために天気予報士が必要になることもあるからだ。

Atmoは元Google Xの社員で、Project Loon(プロジェクト・ルーン)に携わっていたJohan Mathe(ヨハン・マテ)氏によって設立された。Project Loonとは、新興国市場でワイヤレスネットワークを構築するために、気球を使ったインターネット接続を提供することに注力した事業部門だ。

「私は天候に取り組むことに多くの時間を費やしました」とマテ氏はいう。彼の仕事は、様々な地域で気球をナビゲートする方法を見つけることだった。そのナビゲーションの多くは、気象パターンによって複雑だった、と彼は語った。

「天候と膨大な量のデータが非常に複雑に絡み合う中で、私はそれを構築しなければなりませんでした」と、マテ氏はいう。「そこで私は考えたのです、天気とAIの交差点を、もっと誰もが利用できるようにするために、何かを構築しなければならないと」。

これが4年間におよぶ旅の始まりだった。やがてそれは、Atmo (以前はFroglabs.aiとして知られていた)というカリフォルニア州バークレーを拠点とするスタートアップに結実した。同社は現在、再生可能エネルギーからアイスクリームショップまで、さまざまなビジネスに天気予報分析を提供している。

創薬会社Atomwiseの共同創業者であるレビー氏は、マテ氏を社会的に知っており、彼の会社がまだアイデアだけの時に最初に投資した。しかし、気象データに価値を見出したレビー氏は、投資家やアドバイザーから共同創業者へと跳躍することにした。

現在、マテ氏とレビー氏そして最高技術責任者のJeremy Lequeux(ジェレミー・ルキュー)氏は、バークレーにあるレビー氏の家で、ソフトウェアを開発し、会社を次のレベルに引き上げるために働いている。

そして最近の出来事が同社のサービスの必要性を十分に明らかにしている。全米海洋大気庁がまとめたデータによると、2019年以降、気候関連の出来事は米国におよそ890億ドル(約9兆2500億円)ものコストをかけているという。

「すべてのビジネスは、天候に左右されます」とレビー氏はいう。「たとえばアイスクリームを販売する場所について考えてみましょう。気温が1度、高くなるか低くなるかによって、売り上げは10%も影響を受けます。私たちは汎用的な予測システムの作成に向けて取り組んできましたが、気象データを使用する一方で、世界中から集めた過去の天気のデータも用います。この2つを比較して、主要なビジネス指標のすべてが天候によってどのように影響を受けるかを分析します」。

レビー氏によると、同社はすでに、再生可能エネルギーやeコマース、物流業界の20億ドル(約2000億円)規模の企業を含む半ダースほどの顧客を抱えているという。

「私たちが取り組んでいる分野の1つに、リスクと異常気象があります。たとえばほとんど人間が介入できない異常気象を、どうやって予測するのかということです」とレビー氏はいう。「私たちは、このような予測を、比較的正常な状態にあるときに最適化する方法とは切り離して行っています」。

このような異常気象が増えるにつれ、需要は増加する一方だ。政府や企業はこれらの破局的な状況に耐え、適応する能力を向上させる方法を模索しているからだ。

「ニーズはあります。最近では、誰もがレジリエンス(回復力)について話しているからです」とレビー氏は語る。「Atmoは、現在そんな問題について不安を抱えている大企業に、これらの洞察を提供する会社だと、私は考えています」。

カテゴリー:人工知能・AI
タグ:Atmo天気Y Combinator資金調達

画像クレジット:Justin Sullivan / Getty Images

原文へ

(翻訳:TechCrunch Japan)

ディズニーの微妙な表情も表現する3D技術は「不気味の谷」を越えられるかも

現在、顔の3Dレンダリングは映画やゲームの重要な部分を占めている。しかしレンダリングをキャプチャして自然なアニメーションにする作業は非常に難しい。ディズニーグループのDisney Researchではこのプロセスの強化に取り組んでいる。中でもいわゆる「不気味の谷」に転落せず自然な表情を見せる3Dの顔を生成する機械学習ツールの開発は注目だ。

その昔、人工的な表情はこわばっておりディテールも限られていた。もちろんこのテクノロジーはその後、大きく進歩した。高解像度で説得力のある3Dの表情を短時間でアニメーション化できるようになった。しかし人間の表現の微妙さは多様であるだけでなく、わずかの差が大きな違いになりやすい。

たとえば笑顔を考えてみよう。具体的な顔全体の変化には個人差があるが、その人が「本当に」笑ったのか「つくり笑い」をしたのか私たちは判別できる。人工の表情でそのレベルのディテールをどのように表現」したらいいのか?

現在の「線形モデルによるシミュレーションは表情の微妙さを単純し、『うれしさ』や『怒り』を細かく調整できるようにしている。精度を犠牲にして、すべての可能な顔を表現することはできないが、容易に不可能な顔を作り出すことができる。一方、最近研究されているニューラルモデルは、表現の要素を相互接続させてモニターすることで複雑な表情を学習させる。しかし他のモデルと同様、その結果は多義的で制御が難しい。またそうして学習した特定の表情を超えて一般化することができない。映画やゲームのアーティストははるかに高度なレベルで表情を制御したい(人間は表情から微妙なニュアンスを検出するのが非常に得意だ)のでこの方式の有効性も限られる。

これに対してディズニーの研究者チームは、双方の長所を生かした「セマンティック・ディープフェイスモデル」という新しい手法を提案する。テクノロジーの詳細には立ち入らないが、簡単にいえば「部分的表情要素が顔全体にどのように影響するかを学習するニューラルモデル」だ。これは単一の顔を超えて一般化できる。また演繹的に要素を操作するリニアモデルではない。部分が全体と相互作用することにより、極めて高い柔軟性がもたらされる。

このように考えてもいいだろう。リニアモデルを使用して、100種類の3Dの顔に表情(笑顔になる、キスするなど)を生成できるとしよう。しかしその結果には極めて非現実的なものが混じってしまう。ニューラルモデルを使用すると、学習によって100種類のリアルな表情を生成できるが、学習に利用した特定の顔でしか利用できない。これに対してディズニーが開発しているモデルは、どんな3Dの顔に対しても100種類の自然なニュアンスを生成できる。これは単純化しすぎだが、おおよそそういうこととなる。

画像クレジット:Disney Research

結果は非常に強力だ。さまざまな顔つき、肌色の顔を1000種類作り、そのすべてに簡単に同じ表情のアニメーションを作ることができる。つまり何回かクリックするだけで「いっせいに驚く」群集をCGで作れるわけだ。また個別に手作りすることなく、アルゴリズムによってゲームのキャラクターにリアルな表情をさせることもできるだろう。

この手法は万能ではなが、リアルな表情を生成するためにアーティストやエンジニアが行っている膨大な努力の一部をなすだろう。TechchCrunchでもディズニーの「デジタル顔交換テクノロジー」を紹介している。また人物が顔に丸印などマーカーを貼っていないビデオからの表情の取得や、皮膚や目の動きのさらなるリアル化なども重要な部分だ。

Disney Researchから発表された論文は、3D視覚についての国際会議で発表された。興味があれがこちら(PDF)で全文を読める。

関連記事:ディズニー・リサーチがニューラルネットワークを活用した顔交換技術を開発、高解像度映像を作成可能に

カテゴリー:人工知能・AI
タグ:Disney機械学習

画像クレジット:Disney Research

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

病院の請求事務のための医療コーディングをAIで正確化効率化したDiagnoss

カリフォルニア州バークリーのDiagnossは、機械学習にフォーカスしたスタートアップスタジオであるThe Houseに支援され、医療請求事務のためのコーディングアシスタントをローンチした。

そのソフトウェアは、ドキュメンテーションとコーディングに対するリアルタイムのフィードバックを提供する。

Diagnossによると、医療コーディングは病院の成功と失敗を左右する。ヘルスケアのプロバイダーたちは新型コロナウイルス(COVID-19)の急な発生で弱体化し、病院は容量の60%以下で稼働している。そしてその1 / 4は、パンデミックによるケアへの妨害が続くかぎり、今後1年以内の閉鎖の可能性に直面している。

費用圧力のためどんなコーディングエラーでも財務的負担になり、ヘルスケアのプロバイダーを追い詰める。

「診察する1人の患者につき医師は、1回に平均16分間を管理業務に費やす(Annals of Internal Medicine記事)。1日の合計では数時間にもなる。さらに、入力されるコードにはエラーが多く、エラー率は最大で30%といわれている。そのため、請求ができなかったり、遅れたりしている。しかし人工知能と機械学習の現在の大きな進歩で、ついに医師に燃え尽き状態と財務的な重荷をもたらす非効率性の一部を、退治できるようになった」と声明で語るのはDiagnossの創業者でCEOのAbboud Chaballout(アボウド・チャボールアウト)氏だ。

Diagnossがやることは、一種の文法チェックだ。同社の自然言語処理ソフトウェアは、医師が書いたメモを正しく読むことができる。同社のツールは患者の診療に関する評価と管理のコードを提供し、医師のメモに欠けている情報を指摘し、診断と処置を表すコードの予測を提供する。その予測は、医師のメモを解読した後でそのまま適用できることもある。

Diagnossのあるレビューによると、3万9000人分の、匿名化した電子カルテを使って行った調査では、同社のマシンが行うコーディングサービスは人間コーダーよりも50%以上正確だった。

医師たちは、前に発表されたモバイルの電子カルテベンダーDrChronoとのパートナーシップから、Diagnossのサービスをすでに使っている。

カテゴリー:人口知能・AI
タグ:Diagnoss医療

画像クレジット:Aleutie / Getty Images (Image has been modified)

原文へ

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

服を着たままAI身体推定採寸を行える「Bodygram」がカンコー学生服「スマート採寸」に採用

服を着たままAI身体推定採寸を行える「Bodygram」がカンコー学生服の「スマート採寸」に採用

Bodygram Japanは11月25日、「カンコー学生服」を展開する菅公学生服の学校制服採寸サービス「スマート採寸『スマレコ(AI採寸)』」に、「Bodygram」のAI推定採寸技術を提供したと発表した。

菅公学生服は、AIを活用した自宅採寸や、蜜を避ける予約採寸が可能な学校制服採寸サービスとして「スマート採寸」を新たに発表。コロナ禍においては、学校・販売店などでの採寸は「3密」となることから、実採寸の拘束時間低減・学校関係者側の採寸対応作業の負荷軽減といった課題解決ソリューションとして提供を行う。

服を着たままAI身体推定採寸を行える「Bodygram」がカンコー学生服の「スマート採寸」に採用

菅公学生服への導入に向けては、2020年1月より試験的に取り組みを実施しており、今回その採寸の技術として、スマートフォンで簡単な数値入力と正面・横の2枚の写真で24ヵ所のAI採寸が行えるBodygramが採用された。

Bodygramは、これまで主に成人対象の企業に採用されてきたが、成長期の方もターゲットとして展開できるよう、成長期年齢の方のAI技術の精度をあげるための追加研究開発を実施。今回菅公学生服に正式に導入となった。

Bodygramでは、常に年齢や体型を幅広く学習させることで日々AI採寸技術の向上に向けて取り組んでおり、より多くのユーザーや企業で活用できるように精度を上げているという。さらに今回のように、各クライアントのターゲットに合わせたAI精度の学習も実施している。

関連記事
服を着たまま全身の推定採寸を行えるAI採寸技術のBodygramが約18億円を調達
誤差1cmで全身をAI採寸できるBodygramアプリが登場

カテゴリー:人工知能・AI
タグ:Bodygram Japan日本(国・地域)

AIでレストランの電話注文を受けるKeaが10.5億円調達

Keaはレストランが注文を受ける昔ながらの方法を変えようとしている新しいスタートアップだ。その昔ながらの方法とは、電話だ。

Keaは米国時間11月20日、シリーズAで1000万ドル(約10億4500万円)を調達したと発表した。このラウンドはMarbruckが主導し、Streamlined Ventures、Xfund、Heartland Ventures、DEEPCORE、Barrel Ventures、AVG Fundsが参加した。エンジェル投資家で、Lyftの最高戦略責任者であるRaj Kapoor(ラージ・カプール)氏、Panera Breadの創業メンバーの1人であるCraig Flom(クレイグ・フロム)氏、WingstopのフランチャイジーであるTony Lam(トニー・ラム)氏、 Five GuysのフランチャイジーであるJonathan Kelly(ジョナサン・ケリー)氏も参加した。

Keaの創業者でCEOのAdam Ahmad(アダム・アフマド)氏は、レストランは常に人手不足で電話応対に割ける人員はいないと語る(その結果、おそらく多くの人がレストランに電話をかけたらすぐに保留にされてしまった経験があるだろう)。

同時にアフマド氏は、特に新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大により多くのレストランにとってテイクアウトやデリバリーが最大の収入源になっている現状では、電話はいまも重要な注文手段であるとも指摘する。New YorkerのHelen Rosner(ヘレン・ロズナー)氏は、レストランを応援したいと思うなら「面倒でもレストランに直接電話をかけよう」と端的に提案している(New Yorker記事)。

同様にアフマド氏も、レストランがすべての注文に対して他社に多額の手数料を支払うのは「長く継続できる戦略ではない」と語る。そこでKeaは、レストランが電話でもっと多くの注文をさばけるようにするテクノロジーを提供する。アフマド氏が「バーチャルキャッシャー」と呼ぶように、最初に顧客に対応し、注文のルーティンを処理し、必要な時には従業員が対応にあたるというものだ。

自動音声アシスタントと聞くと、銀行などのカスタマーサービス部門に電話をかけた不快な記憶が蘇るかもしれない。しかしアフマド氏は、既存の電話システムは「スマートではない」がKeaのAIはそれとはまったく違う、なぜならレストランの注文に特化しているからだ、という。

「我々は極めて狭い分野に取り組んでいます。ピザであれば、順列組み合わせはたかだか数千です。我々は辞書全体を開発するわけではありません。限定的なモデル、特定のメニューを開発するだけです」と同氏は語る。

筆者はKeaからシステムを試用する電話番号を教えてもらった。プロセスはわかりやすく簡単で、住所と注文したいピザを話すだけだった。そして繰り返しになるが、いつでも従業員に電話に出てもらうことができる(実は試している間にうっかり従業員に転送されてしまい、あわてて電話を切るはめになった)。

Papa John’s、Donatos、Primanti Brothersなど250以上のレストランでKeaがすでに稼働している。Keaによれば、導入したレストランでは週あたり平均10時間分の仕事が減り、注文数は平均で23%増えたという。今回調達した資金で、2021年中に米国の37州、1,000カ所のレストランへの導入を目指す。

カテゴリー:人工知能・AI
タグ:Kea資金調達

画像クレジット:Fernando Trabanco Fotografía / Getty Images

原文へ

(翻訳:Kaori Koyama)

LINEがOpenAI「GPT」・Google「T5」同様の超巨大汎用言語モデルをNAVERと共同開発、世界初の日本語特化

LINEがOpenAI「GPT」・Google「T5」同様の超巨大汎用言語モデルをNAVERと共同開発、世界初の日本語特化

LINEは11月25日、韓国NAVERと共同で、日本語に特化した超巨大言語モデル開発と、その処理に必要なインフラ構築についての取り組みを発表した。超巨大言語モデル(膨大なデータから生成された汎用言語モデル)は、AIによる、より自然な言語処理・言語表現を可能にするもので、日本語に特化した超巨大言語モデル開発は、世界でも初めての試みとしている。

従来の特化型言語モデルは、Q&A、対話など各ユースケースに対して、自然言語処理エンジンが個別に学習する必要がある。一方、OpenAI開発の「GPT」(Generative Pre-trained Transformer)や、Googleの「T5」(Text-to-Text Transfer Transformer)に代表される汎用言語モデルでは、新聞記事や百科事典、小説、コーディングなど膨大な言語データを学習させた言語モデルを構築し、その上でコンテキスト設定を行うための「Few-Shot Learning」(FSL)を実行するだけで、対話・翻訳・入力補完・文書生成・プログラミングコードなど様々な言語処理が可能。これにより、個々のユースケースを簡単に実現できることが期待される。

FSLとは、ブログの書き出しや、プログラミングコードの一部など少ない情報を新たに与えると、事前に構築した情報を基に、最もそれらしいと判断した文字列を生成すること。事前に学習させた上で、新しい言葉(「おはよう」)を与えると、最もそれらしいと判断した文字列(「おはようございます」など)を返すなどが例として挙げられる。

今回のLINEおよびNAVERによる取り組みでは、日本語に特化した汎用言語モデルを開発するにあたり、1750億以上のパラメーターと、100億ページ以上の日本語データを学習データとして利用予定。これは現在世界に存在する日本語をベースにした言語モデルのパラメーター量と学習量を大きく超えるものとなる。パラメーター量と学習量については、今後も拡大していくという。今回の取り組みにより、日本語におけるAIの水準が格段に向上し、日本語AIの可能性が大きく広がることが予想されるとしている。

また現在、超巨大言語モデルは世界でも英語のみが存在・商用化しており(OpenAIが開発し、Microsoftがライセンスを保有する「GPT-3」)、他言語の開発についても、ごく少数の取り組みが発表されているのみとなっている。

これは、超巨大言語モデルの処理には数百GBものメモリーが必要と考えられているためで、世界でも指折りの性能を持つスーパーコンピューターなど、高度なインフラ環境が必要となる。

今回LINEはNAVERと共同で、同モデルを迅速・安全に処理できる700PFLOPS(ペタフロップス)以上の性能を備えた世界でも有数のスーパーコンピューターを活用し、超巨大言語モデルの土台となるインフラの整備を年内に実現予定。

LINEは、英語において実現している精度に匹敵またはそれ以上の、日本語の超巨大言語モデルを創出。開発された超巨大言語モデルは、新しい対話AIの開発や検索サービスの品質向上など、AIテクノロジーブランド「LINE CLOVA」をはじめとするLINEのサービスへの活用のほか、第三者との共同開発や、APIの外部提供についても検討予定。

GPTは、OpenAIが2019年2月に発表した、文章生成に強い能力を持つ汎用型言語モデルに関する論文。2019年11月に15億のパラメーターをもつ汎用型言語モデル「GPT-2」がリリースされた。2020年5月に1750億のパラメーターを持つ「GPT-3」の構想が発表され、 翌月にベータ版を公開、8月には商用化。「GPT-3」は「GPT-2」と比較して圧倒的なデータ量を持つことにより、長文の文章生成能力が飛躍的に向上し、世界的に注目されている。

GoogleのT5は、GPTと同じくトランスフォーマー(Transformer)と呼ばれる自然言語処理技術を用いるが、文章生成よりも翻訳・質疑応答・分類・要約などの文書変換処理を目的とした構成を採用。入力(タスク)と出力(回答)の両方をテキストのフォーマットに統一して、転移学習を行うことで、すべてのタスクを同じモデルで解く。学習データを変更することで、同じモデルで様々なタスクが解けるとされる。

関連記事
LINEがブロックチェーンサービス開発プラットフォーム「LINE Blockchain Developers」提供開始
LINE Fukuokaが自治体向けにLINE公式アカウント機能のソースコードを無償提供、福岡市アカウントがモデル
OpenAIがテキストベースのAI機能利用が簡単になる汎用APIを開発
マイクロソフトはOpenAIと協力してAzure上に世界第5位となるスーパーコンピューターを構築
世界で戦えるAIテックカンパニーを目指す、ヤフーとLINE経営統合の理由
Microsoftがイーロン・マスクらのOpenAIに1000億円超を投資、Azueクラウドの人工知能化を目指す
LINEがAI基盤「Clova」を発表、今夏にはスマートスピーカーも発売——さらに「Gatebox」も子会社化

カテゴリー:人工知能・AI
タグ:Elon Musk / イーロン・マスク(人物)OpenAIMicrosoft / マイクロソフト(企業)LINE(企業・サービス)

​英国が過去30年で最大の国防費増額、人工知能とサイバー分野に積極投資

英国は国防費の大規模な増額を発表した。その額は4年間で165億ポンド(218億ドル、約2兆2770億円)であり、30年間で最大の増加となる。Boris Johnson(ボリス・ジョンソン)首相は「一世代に一度の近代化」「後退の時代の終焉」と表現している。

英国の首相は全体的に支出の増加により4万人の雇用が創出されると述べ、英国は欧州で最大の国防支出国であり、NATOでは米国に次ぐ規模の国としての地位を確固たるものにすると付け加えた。

ジョンソン首相は、投資の焦点は戦争を「革命化」することができる最先端技術になると述べ、人工知能とセンサーを搭載したコネクテッドハードウェアが我々の軍事資産を「敵を克服するために設計された1つのネットワークにする」点で重要な役割を果たすことを示唆し、安全保障、防衛、開発、外交政策に関する(現在進行中の)レビューの最初の結論を発表した。

「敵地にいる兵士たちは、センサーや衛星、あるいは無人偵察機によって察知した遠隔地からの奇襲に対する警告を、人工知能を使って瞬時に送信することで、空爆の要請から大量のドローンによる攻撃命令、サイバー兵器で敵を麻痺させるなど最適な対応策を考えたり、さまざまな選択肢を持つことができるようになる」と、ジョンソン首相は米国時間11月19日に開かれた庶民院での講演で述べ、新型コロナウイルスとの接触後も自己隔離を続けていることをビデオ会議で明らかにしている。

「これまでの物流の限界を超えた、新たな進歩が期待される」と彼は続け、軍事技術の向上に投資することの合理性を強調した。「我々の軍艦や戦闘車両は、無尽蔵のレーザーで標的を破壊する指向性エネルギー兵器を搭載するだろう。『弾薬切れ』という言葉は不要になる」。

「各国は戦争における新たなドクトリンをマスターしようと競い合っており、我々の投資は英国を勝者にすることを目的にしている」と彼は付け加えた。

今回の見直しでは、軍事研究開発に少なくとも15億ポンド(約2070億円)、合計58億ポンド(約8000億円)の追加支出が予定されており、ジョンソン首相は「戦争の新しい技術をマスターするように設計された」と述べている。

またジョンソン首相は、人工知能に特化した研究開発センターも新設すると述べている。

英国宇宙司令部も準備中で、2022年にスコットランドから英国初のロケットを打ち上げるなど同国の衛星を軌道に乗せることを目指している。

英国空軍はジョンソン首相が指定した新しい戦闘機システムを手に入れるが、それにはAIとドローン技術が組み込まれる。

彼はまた、英国の情報機関の職員とテロ、組織犯罪、敵対的な外国籍の者を標的とした、サイバー作戦を実行する同国情報機関のメンバーと軍人から成る合同部隊である国家サイバーフォースの存在を認めた。

ジョンソン首相は議員らに対して、「新たな技術への軍事費の増加は、我々の軍隊だけではなく航空宇宙から自動運転車に至るまで広範な民生用途があり、経済発展の新たな展望を開くだろう」と述べており、今回の軍事支出増加が、より社会的技術の進歩に広くつながることを示唆した。

ジョンソン首相の声明を受けて、野党党首である労働党のKeir Starmer(キール・スターマー)氏は、国防と軍隊のための支出増加の発表を歓迎したが、また「戦略のないプレスリリース」を出したと政府を非難、歴代の保守党政権が過去10年間にわたり国防支出を侵食してきたことを指摘した。

「これは戦略のない支出発表だ。政府は、統合的な見直しにおける重要な部分を再び後退させており、政府の戦略的優先事項が明確ではない」とスターマー氏は続け、新型コロナウイルスによるパンデミックの結果として英国が直面している経済危機を考えると、支出の増加分の財源はどうするのか、つまり増税が必要なのか、あるいは国際開発予算など他の分野での公共支出を削減する必要があるのか、と疑問を呈している。

スターマー氏はまた、ロシアに関する報告書(未訳記事)の問題も指摘し、なぜジョンソン政権は、報告書で特定された「緊急」な国家安全保障上のリスクに対処しなかったのかと指摘している。

議会の情報・安全保障委員会による報告書によると、英国にはロシアや他の敵対国がオンラインで偽情報を流し影響力のある作戦を行うことで、民主的な制度や価値観を標的にしていることから生じるサイバー脅威に対応するための首尾一貫した戦略が英国にはないことを明らかにした。

また、ロシアの資金が英国の政党にどれだけ流れ込んでいるのかについても警鐘を鳴らしている。

「首相は、世界的な安全保障上の脅威への取り組み、サイバー能力の向上を口にしている。それは歓迎すべきことであり、我々はこれを歓迎しているが、情報・安全保障委員会が報告書を発表してから4カ月後、ロシアは【略】我々の国家安全保障に対する緊急の脅威をもたらしたと結論づけた」とスターマー氏は指摘した。

これに対してジョンソン首相は、スターマー氏の質問をすべてかわし、彼の批判を「へまをする」と決めつけ、英国の防衛費増額を支持しなかった労働党の元指導者であるJeremy Corbyn(ジェレミー・コービン)氏の下にいたことをを理由に労働党党首であるスターマー氏を攻撃することを選んだ。

カテゴリー:人工知能・AI
タグ:イギリス軍事

画像クレジット:Andrew Brookes

原文へ

(翻訳:TechCrunch Japan)

日本ディープラーニング協会がビジネス活用人材向けG検定で7250名受験・累計合格者数3万人突破と発表

日本ディープラーニング協会がビジネス活用人材向けG検定で7250名受験・累計合格者数3万人突破と発表

東京大学大学院工学系研究科 松尾豊教授が理事長を務める日本ディープラーニング協会(JDLA)は11月19日、「2020年 第3回G検定」(ジェネラリスト検定)を11月7日に実施したところ、7250名が受験し、4318名の合格者が誕生したと発表した。合格率は59.56%。ディープラーニングをビジネスへ活用する人材であるG検定の合格者は、累計3万1695名となった。

日本ディープラーニング協会がビジネス活用人材向けG検定で7250名受験・累計合格者数3万人突破と発表

  • 名称:2020年 第3回 G検定(ジェネラリスト検定、JDLA Deep Learning for GENERAL 2020 #3)
  • 概要:ディープラーニングを事業に活かすための知識を有しているかを検定する
  • 受験資格:制限なし
  • 試験概要:120分、小問191問、オンライン実施(自宅受験)
  • 出題範囲:シラバスより出題
  • 受験料(税抜):一般1万2000円、学生5000円
  • 試験日:2020年11月7日13:00より120分

JDLAでは、ディープラーニングの知識を有し、「事業活用する人材」(ジェネラリスト)と、「ディープラーニングを実装する人材」(エンジニア)の育成を推進。JDLA資格試験の合格者には認定ロゴと合格証の配付のほか、合格者コミュニティ「CDLE」(Community of Deep Learning Evangelists)に招待している。

ジェネラリストについては、「ディープラーニングの基礎知識を有し、適切な活用方針を決定して事業応用する能力を持つ人材」と定義し、2020年までに10万人規模で輩出することを目指し、知識面から育成を支援する活動に取り組んでいる。

エンジニアは、「ディープラーニングの理論を理解し、適切な手法を選択して実装する能力を持つ人材」と定義し、2020年までに3万人の輩出を目指している。

AI(人工知能)分野の中でも特に成果を出しているディープラーニング技術の産業応用が進み、日本の産業競争力が向上することを目指し、JDLAではより多くのビジネスパーソンが学べるよう、引き続きジェネラリスト人材の育成に取り組むという。

JDLAは、ディープラーニングを事業の核とする企業が中心となり、ディープラーニング技術を日本の産業競争力につなげていこうという意図のもとに設立。ディープラーニングを事業の核とする企業および有識者が中心となって、産業活用促進、人材育成、公的機関や産業への提言、国際連携、社会との対話など、産業の健全な発展のために必要な活動を行っている。

関連記事
日本ディープラーニング協会が高専生対象コンテスト開催、最優秀賞の東京高専チームが企業評価額5億円を獲得

カテゴリー:人工知能・AI
タグ:ディープラーニング / 深層学習(用語)日本ディープラーニング協会(用語)日本(国・地域)

Mac向けに最適化されたTensorFlowでM1とGPUが力を競う

機械学習の環境TensorFlowのMacに最適化されたフォークは、大きな性能向上が報告された。この話の重要な部分は、少なくともこれまではモデルの訓練にGPUが使われていない(!)というものだが、M1ベースのデバイスにはそれ以上のメリットもあるので、このようなよく使われるワークフローの最適化が今後さらに増えると思われる。

TensorFlowとApple(アップル)の両方のブログで発表されたように、Mac向けに改良されたバージョンは最良のケースで一般的なトレーニングタスクのスピードを10倍以上に上げた。

毎日のようにモデルが焼き上がるのをじっと待っているML関係者にとってめでたいことだが、TFのこの以前のバージョンがMacのCPUだけを使用し、GPUの強力な並列プロセッサーを使わなかったという事実は、その問題(CPUかGPU併用か)を自分自身に課すような人びとの数を最初から制限したかもしれない。しかも大規模なML訓練の多くは、クラウドコンピューティングを利用して行われている。

CPUオンリーからCPU+GPUに変わったことによって、IntelベースのMac Proのベンチマークが示すように同じハードウェアでも大きな改善とメリットが実現した。これまで6〜8秒かかったトレーニングが、1秒未満でできるようになった。

M1が有能でないという意味ではないが、M1を搭載した新しいMacにも新しいGPUがあり、2019年のMacBook Proで10秒近くかかったタスクが新しいM1マシンでは2秒足らずで行うことができる。このことは必ずしも、アップルの極上のファーストパーティーシリコンだけの殊勲ではないだろう。

現在、アップルにこのパフォーマンス改善の寄与要因の内訳を確認しているので、回答が届き次第、この記事をアップデートしたい。

おそらく開発者にとっては、バッテリー寿命の改善や、M1デバイスの熱管理も重要だ。性能の向上は大いに結構だが、それでマシンがホットプレートになったり、ファンが壊れて交換に1時間もかかったら、あまりうれしくない。しかし幸いなことにM1は、重い負荷でも効率が良く(未訳記事)、予備を空にしたり過熱したりはないようだ。

今後、「M1の方がタスク処理が速い」という話が続々出てくるだろう。新しいMacが登場して、主な企業の多くが待望のアップデートをしていけば、当然、そんな話になりそうだ。

関連記事
MacBook Air M1レビュー、ほとんどの人にお勧めできるAppleシリコンMacだ
Apple Siliconファミリー初のチップ「M1」が登場

カテゴリー:人工知能・AI
タグ:AppleApple Silicon

画像クレジット:Apple

原文へ

(翻訳:iwatani、a..k.a. hiwa

Googleが機械学習を利用した悪夢のような「怪物ジェネレーター」を開発

Google(グーグル)が、Chimera Painter(キマイラ・ペインター)を披露した。このウェブ上のツールを使うと誰でも、神秘動物学に出てくるような恐ろしい怪物を生み出すことができる。インターフェイスはまるで、MS Paintを使って「ディアブロ」の敵キャラを作るようだ。グーグルはなぜ、このようなものを作ったのだろうか?それはよくわからない。

この奇妙なツールはGoogle AI Blogで1カ月前から紹介されている。そのため、存在する理由もあるのだろう。おそらく開発チームは、ゲーム用の幻想的でクリエイティブなアート制作を速くする方法を探していた。AIのアシスタントが、狩りをしているオウルベアのまあまあな画像を描いてくれたら、作画のヒントを探していたアーティストは助かるはずだ。2019年にNVIDIAは同様のツールをリリースしているが、それは写真のようにリアルな、ゲームの背景画像を作ってくれる。

当然ながらチームはこの摩訶不思議な目標に向かって、空想上の生き物が登場するファンタジーカードゲームを作ることに決めた。そこではプレイヤーが動物たちを組み合わせて戦わせる。しかし、そこまでは、まあ普通だ。

画像クレジット:Google

そこでチームはこう考えた。ゲームに100種類の動物が登場して、それらを互いに組み合わせることができたら、どんなアーティストに描かせるよりも速く、大量の組み合わせを作れるだろう。しかも、機械学習のシステムなら不平をいわないし、請求書も来ない。

AIのエージェントに勝手な生き物を作らせるためには、まず最初にそれを実在する動物とその多くのパーツで訓練する。そのためシステムに、CGで作った生き物とそのラベルを貼ったパーツの画像を与える。ラベルは爪、前足、目といったパーツの名前だ。

やがてそのエージェントは、ユーザーが任意に組み合わせたパーツの組み合わせから、動物らしきものを作れるようになり、本物の動物を学習して覚えた毛皮、皮膚などの特徴を描けるようになった。それは敵対的生成ネットワーク(generative adversarial network、GAN)と呼ばれる学習システムで、画像を生成する側と、それを批判する側がペアとなり、生成する側は批判のフィードバックを得て生成を何度も繰り返す。

画像クレジット:Google

ポイントは、ラベルのついたパーツを組み合わせたものが実際の動物に似ていなくてもシステムは平然としていることだ。それがまるで恐竜とコウモリの混血のようであっても。この「キマイラジェネレーター」が学んだことに照らせば、頭がカメレオンのようで鼻が長く、小さくて役に立たない翼のある犬は存在するのだ。

以前、同社がGoogle Play Musicをやめたときは、グーグルはケチになったと書いたが、Chimera Painterはその逆で誰でも自由に利用することができる。ただ私がやってみると、絵筆は最も太いものしか使えないし、テクスチャーもスーパーのお惣菜肉のようなのしか使えなかった。

しかしながら、それが問題になって自分のビジョンを描けなかった、というほどではない。

画像クレジット:Devin Coldewey / Googl

傑作だ!

グーグルはブログの最後で「機械学習を絵筆として使って何を創れるだろうか?」と尋ねている。創れる物の限界は、まったくないだろう。あった方がいいかもしれないけど。

関連記事:スケッチを数秒でリアルな写真に変えるNVIDIAのAI

カテゴリー:人工知能・AI
タグ:Google

画像クレジット:Google

原文へ

(翻訳:iwatani、a..k.a. hiwa

Googleが感染症の数理モデルとAIを組み合わせた都道府県別の新型コロナ感染予測を公開、慶応大監修

Googleが都道府県別の新型コロナ感染予測(日本版)を公開、慶應義塾大学監修

Google(グーグル)は11月17日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染予測(日本版)を公開した。感染症の数理モデルとAIを組み合わせることで、対象期間である将来28日間に予測される死亡者数、感染確認者数、入院・療養等患者数などを都道府県別に表示する。全国の予測値は都道府県の予測値を足し合わせている。

これらの情報はダッシュボードで閲覧できるほか、Google Cloudのデータ分析用ツールBigQueryや、CSVファイルとして利用可能。利用の際はユーザーガイドを必ず参照するよう呼びかけており、予測データをダウンロードまたは使用するには、Googleの利用規約に同意する必要がある。

日本版モデルの開発にあたっては、使用データの包括性、予測結果と国内感染状況との整合性、さらに、モデルの設計および予測データの検証において慶應義塾大学 医療政策・管理学教室 教授 宮田裕章氏および研究室が監修した。

またこのモデルは、医療機関や公的機関をはじめとするCOVID-19の影響を受ける組織が、今後に向けてより適切な対処を検討・準備する上で参考情報のひとつとして利用されることを目的に公開している。例えば感染者数の予測値をデータポイントのひとつとして参照することで、医療機関における医療資材やスタッフ、スケジュールなどのリソースプラニングや、検査実施計画の立案、感染拡大の兆候が見られる地域の早期発見などに活用できるという。

Google Cloudは2020年8月、Harvard Global Health Institute(ハーバード グローバル ヘルス研究所)と協力し、予測モデル(COVID-19 Public Forecasts )を米国で公開。同サービスは予測開始日から将来 14日間における米国内のCOVID-19陽性者数や死亡者数などの予測を提供するもので、日本のデータでトレーニングし十分な精度検証ができたことから、今回日本版の提供を開始したという。日本での提供は米国についで2ヵ国目となる(現在、米国と日本で提供中)。

米国で提供しているCOVID-19 Public Forecastsは、AIと膨大な疫学的データを組み合わせ、さらに、時系列の予測を扱う斬新な機械学習のアプローチを採用することで実現。米国向け初期モデルは今年8月に初公開され、現在も無償で予測情報を提供している。この情報はジョンズ ホプキンス大学、Descartes Lab、米国国勢調査局などの一般公開データを基にしており、Harvard Global Health Instituteの監修のもとで更新を続けている。

今回の日本版では、新たに95%予測区間やデータセットの追加に加え、予測対象期間を拡張した他、モデルの強化による予測精度の改善を行った。

米国版モデルを日本に対応させるにあたって行った調整

まず、感染の態様や広がり方(ダイナミクス)の基本条件は、米国版モデルでも日本版モデルでも同じ(例えば、感染は離れた場所よりも近隣の地域で広がりやすい)といった前提のもとに開発。その上で、日本版モデルでは、日本のデータセットのみを利用してトレーニングを行っており、使用したデータには厚生労働省が発表している新型コロナウイルス感染症陽性者数および死亡者数などのオープンデータ、Googleが特定の場所(食料品店、公園など)を訪れた人の数の変化を地域別にまとめた「コミュニティ モビリティ レポート」、平成27年国勢調査結果などが含まれている。

これら陽性者数や入院・療養等患者数、死亡者数、また人々の移動状況について国内のデータを使用しているため、予測結果には国内の感染状況やそれに対する人々の反応、さらに生活環境といった日本独自の状況が反映されているとしている。

予測モデルの精度検証では、特定の日付までのデータでトレーニングを行った後、その先28日間の予測データを出力させ、実測値と予測値を比較した。例えば10月1日までのデータでトレーニングを行った場合は、10月2日から30日までの予測値を出力させ、そのデータを同期間の実測値と比較している。検証の結果、一般的な疫学的コンパートメント モデルや検証用の米国データで十分な精度を示した簡易版モデルと比較して、この予測モデルの精度が優れていることを確認した。さらに28日間の予測以外の各種指標についても米国向けモデルと変わらない精度であることを確認した。

関連記事
ニュースアプリNewsDigestが居住地域の新型コロナ新規感染者数・事例を確認できる「第三波アラート」提供
GoogleがGoogle Travelで新型コロナ関連の健康・安全情報を提供へ
オープンソースによる総務省「住民記録システム標準仕様書」準拠のシステム開発が開始
新型コロナ研究データを集めた「COVID-19データポータルJAPAN」が公開、国立情報学研究所と国立遺伝学研究所が管理
コード・フォー・ジャパンが飲食店情報をオープン化する「OPEN EATS JAPAN」プロジェクトを開始
Geoloniaと不動産テック協会が日本全国の住所マスターデータをオープンデータとして公開

カテゴリー: 人工知能・AI
タグ: オープンデータGoogle / グーグル(企業)慶應義塾大学(組織)COVID-19(用語)新型コロナウイルス(用語)日本(国・地域)

MLOpsの自動化プラットホームArriktoが10億円相当を調達

エンジニアとデータサイエンティストがデータをコードのように扱うことによって、機械学習の開発ライフサイクルをスピードアップするArriktoが、今日(米国時間11/16)ステルスを終えて1000万ドルのシリーズAを発表した。このラウンドはUnusual Venturesがリードし、UnusualのJohn Vrionis氏が取締役会に加わった。

ArriktoのCEOで共同創業者のConstantinos Venetsanopoulos氏は、次のように説明する: 「Arriktoの技術により企業は、機械学習のアプリケーションの実装と管理に伴う複雑性を克服できる。弊社は、エンドツーエンドの機械学習パイプラインのセットアップをきわめて容易にする。もっと具体的に言うと、われわれはMLのモデルのプロダクション向けの構築と訓練とデプロイをKubernetesを利用して容易にし、すべてのデータをインテリジェントに管理する」。

今日のデベロッパー中心のプラットホームの多くがそうであるように、Arriktoも「シフトレフト」(前倒し)がすべてだ。同社によると、現状では機械学習のチームとデベロッパーチームが同じ言葉で話をしていない。むしろ、別々のツールを使ってモデルを作り、そしてそれをプロダクションに導入している。

画像クレジット: Arrikto

「DevOpsがデプロイメントをソフトウェア開発ライフサイクル中のデベロッパーへシフトレフトしたように、Arriktoはデプロイメントを機械学習ライフサイクル中のデータサイエンティストにシフトレフトする」、とVenetsanopoulos氏は説明する。

Arriktoはまた、機械学習の実装を多くの企業にとって困難にしている技術的障害を減らすことも狙っている。Venetsanopoulos氏によると、Kubernetesが企業に、シンプルでスケーラブルなインフラストラクチャの形を見せたように、Arriktoは、MLのプロダクションパイプラインのシンプルな形を見せる。しかもそれを、Kubernetesネイティブなやり方で行う。

ArriktoのCEO、Constantinos Venetsanopoulos。画像クレジット: Arrikto

ArriktoのコアにはKubeflowがある。それはGoogleで生まれた、Kubernetes用のオープンソースの機械学習ツールキットだ。そして多くの点でArriktoは、Kuberflowのエンタープライズ対応バージョンと考えることができる。また同社が作ったMiniKFはKubeflowをラップトップで動かせるようにし、そのためにKaleを利用している。それによりエンジニアは、自分のJupyterLabノートブックからKubeflowのパイプラインを構築できる。

Venetsanopoulos氏によると、Arriktoの技術は三つのことをする: Kubeflowのデプロイと管理を単純化して、データサイエンティストが既知のツールでそれを管理できるようにし、データサイエンスのためのポータブルな環境を作って、複数のチームやクラウドにまたがるデータバージョニングとデータ共有ができるようにする。

Arriktoが2015年にギリシアのアテネでローンチしたときは、ほとんど報道もされなかったが、共同創業者のVenetsanopoulosとCTOのVangelis Koukis氏はすでに、そのプラットホームを複数の大企業に採用させることに成功していた。Arriktoの現在の顧客は100社あまりで、同社は名前を具体的に挙げないが、Venetsanopoulos氏によると、世界最大の石油や天然ガス企業も含まれている。

それに、アテネとスタートアップハブは結びつかないかもしれないが、Venetsanopoulos氏によるとそれも変わりつつあり、今では多くの才能が育っている。ただしArriktoは、今回の資金でシリコンバレーに営業とマーケティングのチームを置くつもりだ。Venetsanopoulos氏は曰く、「ギリシアは人材も大学も最上級だが、未開拓だ。競争のないことが、弊社に幸いしているかもしれない」。

UnusualのVrionis氏は、こう言っている: 「エンタープライズはクラウドネイティブなソリューションを利用して機械学習を有効に使おうとしている。今そこに、強力な市場機会がある。Arriktoは、データとモデルとコードのライフサイクル全体をカバーするMLOpsへの革新的で全体的なアプローチを採用している。データサイエンティストたちは、エンジニアリングのチームがいなくても、自分たちが力を持ち、自動化とコラボレーションを増強して、市場化までの時間を加速できる」。

画像クレジット: Arrikto

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

医療・産業分野でAIソリューション開発を手がけるHACARUSが累計13億円のシリーズB調達

医療・産業分野でAIソリューション開発を手がけるHACARUSが累計13億円のシリーズB調達

医療分野・産業分野でのAIソリューション開発を手がけるHACARUS(ハカルス)は11月16日、第三者割当増資による資金調達を発表した。引受先は、既存株主の大原薬品工業、みやこキャピタル、中信ベンチャーキャピタル、またMTG Ventures、りそなキャピタル6号投資事業組合、PARKINSON Laboratories。京都銀行、日本政策金融公庫からの融資も実施している。今回の資金調達は、2020年4月に実施したシリーズBと同じラウンドで、これにより累積資金調達額は約13億円となった。

調達した資金は、マテリアルズ・インフォマティクス(MI)および創薬支援のR&D強化、大手企業との共同事業を推進するビジネス開発・コンサルタント人材の採用、日本国内向けに開発されたAIソリューションの欧州、北米、東南アジア地域での展開に用いる。

情報科学を用いた材料開発の手法MIでは、近年、AIの適用が進んでいるものの、AIや提示した新材料の有効性確認には実験が必要であり、ひとつの実験には数ヵ月かかる。このため、いかに少ない実験で最適な新材料に辿り着けるかが課題となっているという。

HACARUSが注力するスパースモデリングは、この課題に対する解決策を提供。ヒトが持つ経験・勘とスパースモデリングを組み合わせることで、短時間で最適な新材料に辿り着くための手法の研究開発に取り組んでいる。医療・産業分野でAIソリューション開発を手がけるHACARUSが累計13億円のシリーズB調達

MIおよび創薬支援のR&D強化

創薬分野においても、MIと同様AIが提示した化合物の有効性・毒性の確認には実験が必要であり、ヒトでの治験を含めると数年単位の時間がかかり、いかに少ない実験で最適な化合物に辿り着けるかが課題となっている。

さらに近年では、ゲノム創薬と呼ばれる、ゲノム情報と患者の反応性情報から、副作用の少ない薬の開発する手法が注目を集めている。また既存の化合物から、様々なデータベースを網羅的に探索することでターゲット疾患の候補を導き出す手法も注目されている。HACARUSは、これら分野においても、スパースモデリングを用いた独自の創薬支援の研究開発に取り組んでいるとした。

AI導入のためのコンサルティングを強化

HACARUSは、100社超の企業・団体に対してAI技術の開発・実用化を行ってきた知見を活かし、企業へのAI導入を支援するコンサルティング業務の強化も行う。AI導入前のビジネスインパクト解析、要件定義、データ解析、アノテーション、モデル開発、アプリケーションのプロトタイプ開発など、AI導入に必要な作業をすべてワンストップで提供する。

AI導入の失敗原因の大半は、AI導入により得られるビジネスインパクトが小さすぎること(誤った課題設定)、AIに対する現実的ではない期待(誤った目標設定)が占めているという。同社はこれまで培ったAI導入の成功事例のノウハウを駆使して、企業でのAI導入を成功に導くとしている。

またAI導入後の運用に必要な人材の育成についても、サービスの強化を実施。企業において不足するデータサイエンス人材をトレーニングプログラムを通じて迅速に育成することで、企業はAIを自社で運用する人材を自社で確保できるようになり、さらに企業内での他の課題に対してAIを適用可能となる。

東京R&Dセンター

HACARUSは2020年10月、東京R&Dセンターを開設。これまでは本社機能を京都、アプリケーション・システム開発をフィリピン子会社(マニラ市内)に持たせる2拠点体制を採用していたが、これに加えてHACARUSが今後注力する分野の研究開発を東京にて実施する。

東京R&Dセンターでの活動は、論文やセミナーなどを通じて発信。国際的な視点を持ったサービス開発に取り組み、将来的に世界進出を行う足掛かりにする。

HACARUSは、AIベンチャーとして、2014年に京都で創業。同社の強みは、少量のデータからの特徴量抽出に優れ、解釈性の高いスパースモデリング技術にあるという。HACARUSでは、このスパースモデリング技術をAIに応用している。

現在、AIの主流技術となっているディープラーニングは、学習に大量のデータが必要であり、AIの意思決定の過程がブラックボックス化されてしまうという課題を抱えている。また、学習フェーズにおいて大量の計算資源が必要になることから、分析に膨大な時間がかかったり、電力の消費量が多いという課題もある。

HACARUSは、このようなディープラーニングが抱える課題を独自のAI技術によって解決。また、スパースモデリングを使うことにより幅広い業種・業態のAIに関連する課題解決を実現しており、これまで100社を超える企業・団体に対してAI技術の開発や実用化に取り組んできたという。今後も、AI技術基盤のさらなる強化と既存サービスの拡販に注力し、さらなる事業拡大を目指すとしている。

関連記事
AIスタートアップのHACARUSが大阪ガスから数億円規模の資金調達、Daigasグループのシステムを開発へ
企業向けウェルネスサービスも提供開始、ハカルスが5000万円を追加で調達
“ディープラーニングで解決できない課題”に独自AIで挑むハカルスが1億円を調達
少量のデータから特徴を抽出する独自AI開発、ハカルスが1.7億円を調達

カテゴリー: 人工知能・AI
タグ: HACARUS資金調達(用語)日本(国・地域)

データサイエンティストコミュニティ「Nishika」が8300万円を調達、特化型求人メディアも

データサイエンティストコミュニティ「Nishika」が8300万円を調達、特化型求人メディアも

データサイエンティストコミュニティ「Nishika」運営のNishikaは11月13日、第三者割当増資および金融機関からの借入による総額8300万円の資金調達を発表した。引受先はサイバーエージェント・キャピタル、G-STARTUPファンド(グロービス)、シナモンのCAIO堀田創氏など。

また、AI人材やデータサイエンティストに特化した求人メディア「Nishika Connect」の2020年10月ローンチを明らかにした。

今回の資金調達により、プロダクト開発と人材採用を進め、ユーザー体験の向上、サービス認知の向上、新規事業の開発を加速させる。

Nishika ConnectはAI人材・データサイエンティストの就職・転職に特化した求人メディア。世界的に課題となっているAI人材・データサイエンティストの人材不足を解決することを目的に、2020年10月にβ版がローンチした。データサイエンティストコミュニティ「Nishika」が8300万円を調達、特化型求人メディアも

NishikaはデータサイエンスやAIの力により企業の経営課題を解決することを目的として2019年5月に設立。2019年11月のサービスローンチ以降、累計で1600人以上のユーザーが同社コンペティションに参加しているという。ユーザーの半数以上が20代であり、30代までを含めると9割を占めるなど、若年層が中心としている。

2020年3月にはAIやデータサイエンスに関する疑問を解決するQ&Aフォーラムを実装するなど、データサイエンティストコミュニティの活性化と企業のAI活用・DXの推進に貢献している。

同社のデータサイエンスコンペティションは、数百人のデータサイエンティストがAIモデルの精度を競うという大会で、これまでのコンペ開催実績は6回。期間は2〜3ヵ月間に渡り実施されることが一般的であり、最終的に最高精度を達成した機械学習モデル(AIモデル)を開発したデータサイエンティストが優勝となり、賞金を受け取れる。コンペのホスト企業は、自社データに最適化する形で優勝者が開発した独自AIモデルを自社システムに実装することが可能になる。

関連記事
吉野家とIdeinがAIオープンイノベーションプログラム「⽜丼テック」の募集開始
Facebookの判別コンペはディープフェイク抑止に有望な第一歩
アフリカのZindiは、同地の複雑な諸問題をAIと機械学習で解決する
英国の国民保険サービスが6500万円の資金提供をかけた新型コロナ技術コンペを開催
Googleがデータサイエンスと機械学習のコンペ主催プラットホームKaggleを買収

カテゴリー: 人工知能・AI
タグ: Nishika資金調達(用語)日本