米アマゾン、Amazon Booksや4-star storeなど68の実店舗を閉鎖へ

Amazonの実店舗販売事業が大きな打撃を受けている。同社は米国時間3月2日にロイターに対して、米国と英国で展開している68の実店舗販売店を閉鎖することを確認した。これには、Amazon Booksの書店、各市場のポップアップショップ、Amazon.com全体で人気があり評価の高い商品を購入できる4-star storeも含まれている。

オンライン書店としてスタートした小売業者Amazonは、2015年にシアトルで最初の実店舗を立ち上げた後、アリゾナ、カリフォルニア、コロラド、ワシントンD.C.、イリノイ、メリーランド、マサチューセッツ、ニュージャージー、ニューヨーク、オレガン、テネシー、テキサスといった米国の州や、地元ワシントンなど米国内外の多くの場所で着実に実店舗の拠点を拡大している。

店舗は、ハードウェアを含むAmazonの商品に実際に触ることができるだけでなく、オンラインで購入した商品の受け取りや返品にも便利な場所だ。2017年に137億ドル(約1兆5844億円)で買収した食料品店ホールフーズ・マーケットに加えて、独自の食料品店Amazonフレッシュを展開するなど、同社の小売の裾野は広がっている。そしてAmazonは、今回の閉鎖計画には含まれなかったが、増え続けるコンビニエンスストア「Amazon Go」で、レジなしショッピング技術である「Just Walk Out」のテストを行ってきた。

同社はロイターに対して、実際の閉店日は店舗によって異なる可能性があるため、それぞれの店内の看板で閉店に関する情報を買い物客にアナウンスすると述べた。また、影響を受ける従業員に対しては、可能な限り新しい職務を見つけるか、退職金を支給するよう働きかけているとのこと。

新型コロナウイルス(COVID-19)の大流行によって、地域店舗への来客は減少し、オンラインで買い物をする消費者がさらに増加したため、すべての対面式の小売業は困難なものになっている。しかしながら、この決定はAmazonの小売店従業員が組織化され始めた時期のものでもある。Insider todayが報じたところによると、組合の動きによって、小売店従業員は賃金の改善、より柔軟な出勤規定、より長い休憩時間、その他の福利厚生を要求するようになったという。

このような要求の直後に数十の実店舗を閉鎖することは、Amazonが実店舗での小売事業を重視していないという、すべての同社の小売労働者に対する冷ややかなメッセージとなるようだ。しかしAmazonは、レジなし食料品店や、最近ロスアンゼルスにオープンしたAmazon Styleという衣料品の実店舗のような新しいコンセプトには引き続き取り組むという。

Amazonの実店舗は、広範な小売事業のごく一部ではあるが、同社に何十億ドル(何千億円)もの利益をもたらした。2021年第4四半期、同社は物理的な小売事業の売上高を、前年同期の40億2000万ドルから46億8000万ドルに増加させたと報告している。また、同四半期には「Amazon Style」に加えて、ニューヨークに初の「Starbucks Pickup with Amazon Go」の第1号店をオープンし、さらに2022年には2店舗をオープンする計画であるなど、小売業の発展もアピールしている。

画像クレジット:Smith Collection/Gado / Contributor / Getty Images

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  1. (文:Sarah Perez、翻訳:Katsuyuki Yasui)

アマゾンが同社初の衣料品実店舗をLAにオープン

Amazon(アマゾン)は、2021年からの噂を裏づけるように、ハイテクを駆使したショッピング体験を約束する初の衣料品実店舗「Amazon Style(アマゾン・スタイル)」をオープンする。同社によると消費者が「知っていて好きな」ブランドを提供し、アプリでアイテム、サイズ、色を選び、試着室や受け取りカウンターに直接送ることができる。最初の店舗は、ロサンゼルスのThe Americana at Brandに「2022年後半」のどこかでオープンする予定だという。

Amazonはファッションクリエイターが選んだ「数百のブランド」と「Amazon.comで買い物をする数百万人の顧客から提供されたフィードバック」を提供すると述べている。具体的な言及はなかったが、同社のオンラインストアでは現在、Oscar de la Renta(オスカー・デ・ラ・レンタ)、Altuzarra and La Perla(アルチュザラ、ラ・ペルラ)といったデザイナーの商品を扱っている。しかし、多くの高級品やハイエンドブランドは、Amazonに商品をオンライン掲載することに抵抗してきた

店舗では、従来の店舗の2倍のスタイルが提供される一方、正しいサイズや色を顧客に手作業で探させないようにしている。気に入った服があれば、Amazon Shopping Appを使ってそのQRコードをスキャンし、サイズや色、顧客評価などの詳細を確認することができる。そして気になる服を試着室に送ったり、試着不要の場合は受け取りカウンターに直接送ったりすることができる。また、想像がつくかと思うが、顧客がすでに選んだ商品をもとにさらに多くの商品を推薦するAI搭載のアルゴリズムを使っている。

アプリを使って試着室のドアを開けると、中には選んだアイテムがすべてそろっている。それぞれの試着室にはタッチスクリーンがあり、その場を離れることなく買い物を続けたり、新しいアイテムの試着を依頼したりすることができる。Amazonがフルフィルメントセンターでも使っている技術により、商品は「数分」で到着する。

店舗で見つけた商品をオンラインで購入することも可能で、価格はどちらも同じだ。商品は店頭で返品でき、スキャンした商品はショッピングアプリに保存されるので、後でもう一度見ることができる。

Amazonはすでに、書店美容室などとともに、多数のFresh食料品店を出店している。FreshやWhole Foodsに見られるレジなし技術「Just Walk Out」を使うかどうかは明言しなかったが、レジには手のひら認証サービス「Amazon One」を利用する予定だという。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のSteve DentはEngadgetの共同編集者。

画像クレジット:Amazon

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(文:Steve Dent、翻訳:Nariko Mizoguchi

大手がメタバースに夢中になる中、ARを食料品店での現実的な活用を構築する英Dent Realityが約3.9億円調達

AppleやFacebookが「メタバース」の未来に巨額の資金を投じる一方で、近年はARに勝機を見出そうとしているスタートアップに関するベンチャーの動きは明らかに低下している。Magic Leapなどの大型案件への投資で消耗した多くのVCはAR技術の短期的な成果についてテック大手にはチャンスが大いに残されていると見ているが、小規模のスタートアップも投資家にアピールするような参入の道を見つけようとしている。

ロンドンに拠点を置くDent RealityはARテクノロジーとハイパーローカルなマッピングの力を示す小規模なエクスペリエンスに特化し、まずは食料品店のような場所から取り組みを始めている。食料品店では、同社のARプラットフォームを利用して店内通路の詳しいレイアウトを買い物客に示し、店舗のデータベースと統合して特定の商品が置かれている棚のデータも提供する。AR機能を使うユーザーはスマートフォンをかざして目的の商品への経路を表示できる。

CEOのAndrew Hart(アンドリュー・ハート)氏は、オンラインの買い物客に対してパーソナライズをするツールが有益さを増しているため、小売店はオンラインのツールセットを実店舗の買い物客のエクスペリエンスに活かす方法に広く関心を持っていると語る。Dent Realityは食料品店で商品を見つけることに特化したプラットフォームではないが、同氏によれば食料品店は商品の密度が高いため技術のストレステストをするには理想的な場所だという。

同氏はTechCrunchに対し「我々が解決したい課題に対して最も難しい場所として食料品店を選びました」と述べた。

投資家はDent Realityの取り組みにチャンスがあると見ている。同社はPi Labsが主導するシードラウンドで340万ドル(約3億9000万円)を調達した。このラウンドにはSugar Capitalと7Percent Venturesも参加した。

Appleが開発者向けARプラットフォームのARKitをリリースしてからの数年間、ハート氏は自分が作った未来のAR技術のデモの多くをTwitterで紹介してきた。Dent Realityは未来へ向けたそうしたユースケースのいくつかを現在の開発者向けテックプラットフォームにしようとする取り組みだ。スマートフォンはARを利用するには完璧なデバイスではないが、同社は消費者に3Dインターフェイスの体験と操作を提供している。ハート氏は、3Dインターフェイスの利用の中心となるのは今後到来するARメガネだろうと考えている。

画像クレジット:Dent Reality

同氏は「一般にインターフェースは平らなスマートフォンの画面に制限されています。ARには平面のインターフェースでは実現できない、多くの可能性があります」と語る。

Dent Realityは今後、大規模なオフィスビルから病院、大学のキャンパスなどあらゆる場所で、ハイパーローカルなマップデータとAR、同社独自のアプローチによって、建物に新たなハードウェアインフラを導入することなく、公共のWi-Fiデータとスマートフォンのセンサーからユーザーの居場所を特定する取り組みを進めたい考えだ。

画像クレジット:Dent Reality

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(文:Lucas Matney、翻訳:Kaori Koyama)

MetaがVRヘッドセットなどが並ぶ実店舗をカリフォルニアで計画との報道

ニューヨークタイムズ紙によると、かつてFacebookとして知られていた会社は、Metaへとブランド名を変更する前から小売店を開設する可能性について議論していた。どうやら、実店舗の開設についての議論は2020年から始まっていたらしいが、最終的には何も決まっておらず、このプロジェクトはまだ破棄される可能性がある。しかし、もしMetaが実店舗を開くとしたら、それは完全な小売店ではなく、Reality Labs部門が開発したデバイスを紹介する体験型店舗のようなものになるとされている。

それらのデバイスには、仮想現実ヘッドセットOculus Quest(近日中に「Meta Quest」になる予定)や、主にビデオ通話用に設計されたガジェットPortalなどがある。また、FacebookがRay-Ban(レイバン)と共同開発したStoriesと呼ばれる拡張現実のスマートグラスも展示される可能性がある。タイムズ紙が入手した文書によると、Metaの目標は、店舗で「好奇心」と「親近感」を喚起し、顧客がヘッドセットを試しながら「判断に迷わない旅」ができるような居心地の良い雰囲気を提供することだという。

同じ資料によると、Metaはモダンでミニマリスト的な美しさを持ち、ブランドをさりげなく配置した店舗を想定している。同社は、Facebook Hub、Facebook Commons、Facebook Innovations、Facebook Reality Store、From Facebookなど、さまざまな名称を検討した。最終的にはFacebook Storeに落ち着いたが、会社名が変更された今、それも変わる可能性が高い。

Metaがこの計画を進めた場合、最初の小売 / 体験型店舗はReality Labsのオフィスがあるカリフォルニア州バーリンゲームに設置される予定だ。ただ、タイムズ紙によると、このプロジェクトは最終的には世界中に広がり、さまざまな国や地域に拠点を置くことになるかもしれないとのことだ。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のMariella MoonはEngadgetの寄稿者。

画像クレジット:Facebook

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(文:Mariella Moon、翻訳:Nariko Mizoguchi

LINEがオンラインストア作成サービス「MySmartStore」の先行リリース開始、2022年春に本格提供

LINEがオンラインストア作成サービス「MySmartStore」の先行リリース開始、2022年春に本格提供

LINEは10月21日、オンラインストア作成サービス「MySmartStore」について、2022年春の本格提供開始および先行リリース開始を発表した。10月21日現在では、LINE FRIENDS公式 MySmartStore店横濱馬油商店などが公開されている。

同サービスは、NAVER Corporation(NAVER)が韓国で展開している「NAVER SmartStore」を日本向けにローカライズしたものという。提供主体はNAVERであり、LINEはNAVERから業務委託を受け、同サービスの営業やマーケティングなどの事業運営を行う。

NAVERの知見を活かしたMySmartStoreは、豊富なデザインレイアウトと多様な編集機能を備えており、各デバイスに応じたオンラインストアを作成できるという。

LINEがオンラインストア作成サービス「MySmartStore」の先行リリース開始、2022年春に本格提供

またストアごとに、業務委託先パートナーであるLINEのLINE公式アカウントと連携可能。LINE公式アカウントを通じたクーポン訴求などの販促をはじめ、顧客からの問い合わせもLINE上でチャット形式で行える。

LINEがオンラインストア作成サービス「MySmartStore」の先行リリース開始、2022年春に本格提供

さらに、売れ筋商品など販売戦略に役立つ分析データもストアの管理画面から確認できるほか、サイトへの流入経路や主な顧客層を確認できる機能も今後搭載予定。ストアの開設や運営、集客サポートから顧客管理まで、ワンストップで提供する。

コロナ禍により、新たにEコマースへの参入や、販路を広げるために複数サービスの利用を始めた事業者も増加する傾向にあるものの、ECサイトの構築から集客・顧客管理などを個々のサービスで管理することは、事業者側の負担増につながる。そこで、事業者の負担を軽減すべく、これらを一括して管理・運営できるオンラインストア作成サービスとして、MySmartStoreを提供するという。

アマゾンが米国外で初の4-Star Storeをオープン、評価4つ星以上の商品が並ぶ

Amazon(アマゾン)は、ロンドン中心部の南東に位置するモール、ブルーウォーターに4-Star Store(フォースターストア)をオープンした。このストアは米国外で初の4-Star Storeというだけでなく、同社が英国で初めて、非食品・非生鮮品を販売する店舗でもある。ニューヨークや米国の他の都市にあるAmazonの4-Star Storeと同様に、ブルーウォーターの店舗では、4つ星以上の評価を受けた商品や、eコマース大手の英国サイトでトップセラーになっている商品、トレンドになっている商品を販売する。

Amazonがオンラインで販売している評価の高い商品をすべて取り扱うことはできないため、店舗での品揃えは厳選されたものになるが、家電、玩具、ゲーム、書籍、キッチン、ホームなどのトップカテゴリーの商品を取り扱う予定だ。また、Kindle電子書籍リーダー、Fireタブレット、Echoスピーカーなどの自社製品だけでなく、英国内の中小企業の製品も販売する予定だ。

このストアには、ウェブサイトの特定のセクションに対応したセクションが設けられており、例えば「Most Wished For」では「欲しい物リスト」に登録された商品が紹介されている。また「Trending in Bluewater」では、地元のカスタマーが購入した商品が紹介され「Most Gifted」では、ギフトとして注文の多かった商品が紹介される。Amazonは、カスタマーのフィードバックや最新のトレンドに合わせて、定期的に商品を入れ替えていくとしている。

ストア内の商品には、商品の価格、平均星評価、カスタマーレビューの数が記載されたデジタルタグが付けられる。また、プライム会員でなくても、そのストアで買い物はできる。ただし、この店舗には、ロンドンのFresh食料品店のようなAmazonのJust Walk Out技術は搭載されない。Just Walk Outは、買い物客が棚から必要なものを手に取り、有人レジやセルフレジで支払いをすることなく、そのまま外に出られるというものだ。しかし、Amazonの英国サイトから購入し、翌日に店舗で注文品を受け取ることはできる。

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者のMariella Moon(マリエラ・ムーン)氏はEngadgetのアソシエートエディター。

画像クレジット:Bluewater

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(文:Mariella Moon、翻訳:Yuta Kaminishi)

グーグル初の常設店舗がニューヨークに現地時間6月17日オープン

Googleは何年にもわたって期間限定のポップアップストアを多数開設してきたが、まもなく初の常設店舗がニューヨークのチェルシー地区にオープンする。Apple、Microsoft、Samsung、さらにはAmazonもマンハッタンに店舗を構え、そのうちのいくつかはGoogleの新しい店舗のすぐそばだ。Googleは実店舗のモデルに関してこうした同業他社の仲間入りを果たすことになる。

新しい店舗は現地時間の6月17日午前10時(日本時間6月17日午後11時)にオープンする。販売フロアの面積は5000平方フィート(464.5平方メートル、140.5坪)で、高額なウェストサイドの不動産にGoogleが大きな投資をして購入したビルにある。この場所には以前郵便局とスターバックスがあったが、新たに大家になったGoogleとのリース契約が満了となって退去した。

画像クレジット:Google and Paul Warchol

店舗レイアウトの設計は体験型で、増えつつあるGoogleのハードウェア製品と他社製品が置かれている。基本的には、スマートフォンのPixel、Home製品、Stadia、WearOS、そしてハードウェアの新製品やFitbitデバイスを旅行客や地元住民に紹介する店舗だ。

バイスプレジデントのJason Rosenthal(ジェイソン・ローゼンタール)氏はプレス向け内覧会で「我々はここ数年間ポップアップストアを通じて、Googleだけがお客様に提供できるものとして何が期待されているかについて理解を深めてきました。2016年、17年、18年、19年のポップアップストアから学び、それをチェルシーにオープンする店舗に取り入れています」と説明した。

コロナ禍による制限のため、内覧会はバーチャルで実施された。まもなく正式にオープンするが、ニューヨーク市が感染終盤期の対応をとっているため(収束を祈る)、Googleは引き続き標準的な安全対策を維持する。

コロナ禍でストアのオープンが計画より遅れたことはおそらく間違いないが、Googleは6月17日に全面開業することを約束している。オープンに先立ち、数週間の試験運用が実施された。試験運用では50人前後のストアスタッフがトレーニングを積み、Googleはエクスペリエンスの最終仕上げをした。さらにその前には、カリフォルニア州マウンテンビューの倉庫に実店舗大のモックアップを作ってアイデアを試していた。

画像クレジット:Google and Paul Warchol

17フィート(約5メートル)のウインドウには製品のスクリーンやジオラマが並び、ストア内の至るところに「サンドボックス」がある。大規模家具店にあるのと同様のリビングルームなど、実際の利用状況を効果的に試せるエリアだ。Stadiaをプレイできるゲーミングエリアや、さまざまなHome / Nest製品を試せる防音スペースもある。

Apple Storeと同様に、Pixelsなどのデバイスが故障した際に持ち込んで修理してもらうことができる。Googleは、店舗内で修理できるデバイスを増やしており、画面の破損などの特定の問題は同日修理が可能になる見込みだと説明している。

  1. Interactive-Hardware-Space

    写真:Paul Warchol
  2. Imagination-Space

  3. Here-to-Help-Support-Desk

    写真:Photos courtesy of Google and Paul Warchol
  4. Discovery-Boxes-from-interior

    写真:Photos courtesy of Google and Paul Warchol
  5. Discovery-Boxes-from-exterior

    写真:Photos courtesy of Google and Paul Warchol
  6. Discovery-Box-Sustainability

    写真:Photos courtesy of Google and Paul Warchol
  7. Discovery-Box-Organization-_-Pixel

    写真:Photos courtesy of Google and Paul Warchol
  8. Discovery-Box-Nest-Hub

    写真:Photos courtesy of Google and Paul Warchol
  9. Branded-Merchandise-Tote-Bag

    写真:Gus Van Zandt r
  10. Branded-Merchandise-Basketballs

    写真:Google and Paul Warchol

この店舗自体が実験的な位置づけであり、米国内の他の場所、そしておそらくハードウェアを販売している他の国でも、店舗をオープンする計画があるようだ。ただし現時点では、チェルシーにオープンするこの店舗以外についてGoogleは言及しないものとみられる。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:Googleニューヨーク店舗

画像クレジット:Paul Warchol / Google

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(文:Brian Heater、翻訳:Kaori Koyama)

グーグルが今夏ニューヨークに店舗を開設、ハードウェア販売に本腰

Google(グーグル)はここしばらく店舗を模索してきた。マンハッタン・ソーホー地区のポップアップ店舗をTechCrunchが紹介したのは4年以上前のことだ。しかし同社のブランドを冠した小売店舗はかなり限られてきた。同社がまずソフトウェアの会社であることを考えると、驚くことではない。

しかし今夏、同社は増えつつある小売店舗を展開する他のテック企業の仲間に加わる。初のGoogle Storeがニューヨークのチェルシー地区にある元ポート・オーソリティの建物にオープンする。このビルには同社のNYオフィスも入っている。

店舗開設はAppleやSamsungに続くものだ。2社とも近くに店舗を持っている(Amazonは本屋を展開しているが、それは少しアップタウンの方のエンパイア・ステート・ビル近くにある)。

競合するかのように、店舗はGoogleのハードウェア製品を中心に据える。つまり、PixelスマホやさまざまなNestデバイスなどだ。Googleの製品の提供はAppleやSamsungなどに比べるとまだかなり限定されているが、直近のFitbit買収完了は明るく照らされた商品棚にバラエティに富んだ商品を陳列するのに役立つはずだ。

初の小売店舗をオープンするのに、2021年は特に奇妙な年だ。Googleがチェルシーにかなりの面積の小売スペースをもってしばらく経つが、新型コロナウイルスが2020年店舗をオープンさせるという計画をほぼ台無しにした。しかしニューヨーク市は巨大な人口にかなりのスピードでワクチン接種を進めていて、2021年5月初めの時点で成人の41%が接種を完了した。

それでもGoogleは安全を優先している。ブログには以下のようにある。

Google Storeではマスク、手指消毒、そしてソーシャルディスタンシングが求められ、1日に数回全スペースを清掃します。顧客がショッピングの間、安全だと感じられるよう、入店できるゲストの数は制限されます。手軽なピックアップオプションも利用可能です。必要に応じて健康と安全に関する手順を展開するため、引き続き市や州、国の当局のガイダンスを遵守します。

店舗設置は、同社にとってよりハードウェア推進という大きな取り組みの一部のように聞こえる。ハードウェアは同社が遅れを取っている分野であり、特にモバイル部門においてはそうだ。Googleは初の店舗について「当社のハードウェア・ジャーニーにおける重要な次なるステップ」と表現している。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:GoogleGoogle I/O 2021店舗PixelGoogle Nestニューヨーク

画像クレジット:Google

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

リスボンのSenseiがAmazon Go風の自動販売店舗を他小売業者に提供

Amazon Goは注意する必要がある。リスボンのスタートアップが、同様の自動販売店舗の技術を他の小売業者にも提供する計画だ。Senseiはコンビニエンスストアが会計なしで購入できるようにするコンピュータビジョンのスタートアップで、540万ユーロ(約7億1000万円)のシードラウンドを獲得した。今回の資金調達はSeaya VenturesIberis Capitalが主導し、200M Fundが参加した。

Senseiは今後、研究開発の規模を拡大し、新しい店舗を立ち上げる予定だ。同社独自のプラットフォームはカメラ、センサー、AI(人工知能)を組み合わせて、新規および既存の店舗を自動化する。このプラットフォームは小売業者がリアルタイムで在庫を管理し、店舗の利用方法に関するインサイトにアクセスできることを意味する。

SenseiのCEO兼共同創業者であるVasco Portugal(バスコ・ポルトガル)は「Senseiの技術は、小売業者がAmazon(アマゾン)のようなテック業界の巨人と競争するために役立つでしょう。お客様にとって身近で楽しいショッピング体験を、シームレスで便利で安全なものにしていきます」と述べた。

Senseiは、主にグラブ・アンド・ゴー・ストアやフォアコート、および類似の小売フォーマットと連動するように設計されている。ライバルには8900万ドル(約97億円)を調達したTrigoがいる。

関連記事:Amazonがレジなし店舗技術をほかの小売業者に販売開始

新型コロナウイルスのパンデミックが発生している現在、自動販売店舗の利点は明らかだ。顧客は行列に並ぶ必要がなくなる。加えて小売店は在庫切れを避け、スタッフは顧客サポートに回ることができる。

「現在、目立って加速している商取引のデジタル化の一端を担うビジネスに投資できることを、私達は喜ばしく思っています」と、Seaya Venturesでプリンシパルを務めるAris Xenofontos(アリス・ゼノフォントス)氏は述べた。

Iberis CapitalのパートナーであるLuis Quaresma(ルイス・クアレスマ)氏は「Senseiは小売業界に多大な効率化とコスト削減をもたらし、同時に消費者に必要なシームレスな支払い体験を提供します」とつけ加えた。

Senseiの設立者はVasco Portugal(MIT出身のCEO)、Joana Rafael(ジョアナ・ラファエル、COO)、Nuno Moutinho(ヌノ・ムーティーニョ、CTO)、Paulo Carreira(パウロ・カレイラ、CSO)だ。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Sensei店舗資金調達リスボン

画像クレジット:Sensei founders

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(文:Mike Butcher、翻訳:塚本直樹 / Twitter

アマゾンが手のひら決済「Amazon Oneスキャナー」をスーパーWhole Foodsに導入

Amazon(アマゾン)は新しい生体認証デバイス「Amazon Oneスキャナー」をWhole Foods店舗に導入する。小売大手Amazonは2021年秋、買い物客が手のひらをスキャンして店舗に入ることができるようにするAmazon Oneスキャナーを発表していた。顧客の手のひらの特徴はAmazonのキャッシュレスストアAmazon Goのような小売店の決済メカニズムに紐づけることができる。Amazon Go店舗では顧客は買い物して従来の精算プロセスを経ることなく店を後にできる。そして今、Whole FoodsでAmazon Oneスキャナーが精算時の決済手法として加わろうとしている。

つまり、顧客は購入の際、現金やクレジットカード、デビットカードで支払う代わりにリーダーに手のひらをかざすことを選択できる。

さしあたって、Amazon OneスキャナーはシアトルのマディソンブロードウェイにあるWhole Foodsの店舗に導入されるが、数カ月内にシアトル広域にあるさらに7つの店舗で展開される計画だとAmazonは話す。シアトルはAmazonが広範に展開する前に新しいテクノロジーを試すテストマーケットとなる。

2020年9月の導入以来、Amazon OneスキャナーはすでにAmazon Go、Amazon Go Grocery、Amazon Books、Amazon 4-star、Amazon Pop UpなどシアトルエリアにあるいくつかのAmazon店舗に導入された。「何千人」もの顧客が手のひらの特徴を登録したと同社は話す。

関連記事:アマゾンが手のひらをかざして入店・決済できるスキャナー「Amazon One」をシアトルの2店舗に導入

Whole Foods店舗への導入では、顧客はキオスク、あるいは参加店舗にあるデバイスでAmazon Oneに申し込むことができる。登録は片方の手のひら、あるいは両手のひらのどちらかを選ぶことができる。スキャナーは独特の手のひらの特徴を登録するのにコンピュータービジョンテクノロジーを使っていて、手のひらの特徴は客がデバイスに挿した決済用クレジットカードに紐づけられる。

異なるロケーションでAmazon Oneに登録した既存客は、サービスを使いたい店舗で再度クレジットカードを挿し込む必要がある、とAmazonは説明した。

加えて、顧客はWhole Foodsでの買い物でPrime会員割引を受けられるようにするために、将来Amazon Oneデバイス経由でAmazon One IDをAmazonアカウントとリンクさせることができる。

「Whole Foods Marketでは顧客のために買い物エクスペリエンスを改善すべく、新しくイノベーティブな方法を常に模索しています」とWhole Foods Marketのテクノロジー担当シニアバイスプレジデント兼テクノロジー最高責任者Arun Rajan(アラン・ラジャン)氏は導入についての声明で述べた。「Amazonと緊密に連携を取りながら、Prime会員割引、オンライングローサリー配達とピックアップ、無料の返品のようなメリットを顧客に提供してきました。決済の選択肢としてAmazon Oneを今日から加えることをうれしく思います。シアトルのマディソンブロードウェイの店舗にまず導入し、この決済手法を今後他店舗でも展開しながら顧客の意見を聞くのを楽しみにしています」と付け加えた。

もちろん、Amazonの生体テクノロジーでの追跡記録を考えると、デバイスには懸念もつきまとう。同社は生体顔認証サービスを米国の法執行機関に販売した。顔認証テクノロジーはデータプライバシー訴訟の対象だった。そしてRingカメラ会社は引き続き警察と提携している。またAlexaの音声録音を削除するというオプションを顧客は持たず、音声録音は無期限に保存されていることも明らかになった(Amazonは後にそれを変更した。そして公平のためにいうと、GoogleAppleも顧客の音声データを誤って取り扱っていた)。

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ちょうど4月20日、Amazonはロンドンエリアの美容室で別の小売とARテクノロジーをテストすることを発表した。このテストには顧客のイメージをとらえるカメラが含まれる。「顧客のデータ」の保持はしないと述べたが、美容室で集められる非パーソナルデータについての質問には答えなかった。

4月21日の発表の中で、AmazonはAmazon Oneデバイスが「複数のセキュリティコントロールによって守られていて、手のひらの画像はAmazon Oneデバイスに保存されることは決してない」と説明している。画像は暗号化されて、Amazonが顧客の手のひらの特性を作るクラウドのAmazon One専用の安全なエリアに送られる、とも話している。同社はまた、デバイスあるいはone.amazon.comでAmazon Oneから脱会する方法を顧客に提供する。脱会ではすべての決済が完了したときに生体情報も削除する。

関連記事:AmazonがARなどのリテールテクノロジーをテストをロンドンにオープンしたヘアサロンで開始

カテゴリー:その他
タグ:AmazonAmazon OneシアトルWhole Foods生体認証店舗

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

AmazonがARなどのリテールテクノロジーをテストをロンドンにオープンしたヘアサロンで開始

Amazon(アマゾン)は米国時間4月20日、同社初のヘアサロンであり、新しい技術を一般の人たちに対してテストすることを目的としたAmazon Salon(アマゾン・サロン)をオープンすることを発表した。このサロンは、ロンドンのスピタルフィールズにあるブラッシュフィールド・ストリートに設置され、床面積は1500平方フィート(約139.4平方メートル)以上となる予定だ。Amazonはまず、拡張現実(AR)技術と「ポイント・アンド・ラーン」(指差しで知る)技術の使用を試験的に開始すると発表している。ポイント・アンド・ラーン技術とは、顧客が陳列棚の商品を指差す(ポイントする)ことで、ディスプレイ画面にビデオやその他のコンテンツが表示されて、商品の詳細を知ることができるシステムだ。

その後その商品を注文するには、棚のQRコードを読み取れば、その商品に対応するAmazon.co.ukのショッピングページが表示されるので、商品をカートに入れて注文することができる。

画像クレジット:Amazon

一方、AR技術は、顧客が新しいヘアカラーを購入する前に、仮想的に異なる髪色を試してみることができるようにするものだ。

すでにAmazonは、コンビニエンスストアや食料品ビジネスなどの実店舗ビジネスに参入しており、レジなし精算スマートショッピングカート生体認証システムなどの新しい技術でイノベーションを実践している。とはいえ、Amazonが実際のサロンビジネスそのものに関心を持っているかどうかは不明だ。むしろこのサロンは、アマゾンが将来的他の小売業者に販売したいと考えている新技術の実験場としての役割が大きいと思われるが、自社の店舗に導入される可能性もある。また、ARに関しては、Amazonは顧客の体験データを集めて、自社のショッピングサイトでも利用したいと考えているのではないだろうか。

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今回の目的が、サロンビジネスそのものではないだろうと思わせるヒントは、Amazonがこのサロンを「新製品や新技術を紹介する体験型の場」と表現しており、現時点では他のサロンを開設する予定はないとしていることだ。

またAmazonは、サロンを長期的に運営するために新たなスタッフを雇うのではなく、既存のサロンオーナーであるNeville Hair & Beauty Salon(ネビル・ヘアー&ビューティ・サロン)のElena Lavagni(エレナ・ラヴァーニ)氏を採用している。ラヴァーニ氏と彼女のチームは、これまでにもパリ・ファッション・ウィークやカンヌ映画祭などの他のイベントでも、ヘアドレッシングサービスを提供してきた。

画像クレジット:Amazon

Amazonは、このサロンを利用する顧客からどのようなデータを収集するのかの詳細は明らかにしていないが、新しい小売技術が実際の環境でどのように機能するのかを試すためのものであることは明らかだ。しかし、Amazonがヘアカラーのバーチャル試行を行う顧客の画像を撮影しているという事実は、新しいサロンから収集したそうしたデータをどうするつもりなのかという疑問を抱かせる。テストしようとしている特定の技術に関する学習のためだけに使われるのか、それとも他の用途にも使われるのだろうか?

多くの人が記憶しているように、Amazonは顔認識や生体認証などの技術の利用に関して複雑な歴史を持っている。同社は米国の法執行機関に生体認証の顔認識サービスを販売してきた一方で、同社の顔認識技術がデータプライバシー訴訟の対象となったこともある。また、同社のRingカメラは警察との連携を続けている顧客は、新しいテックプロダクトを楽しむだけでなく、Amazonの研究プロジェクトに参加しているかどうかを伝えられるべきだろう。

他のAmazonの実店舗と同様に、このサロンはまずAmazonの従業員にのみ開放され、その後数週間のうちに一般の人々からの予約も受け付け始める予定だ。

カテゴリー:VR / AR / MR
タグ:Amazonロンドン美容店舗

画像クレジット:Amazon

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(文:Sarah Perez、翻訳:sako)

近隣の小売り店舗の回帰など、意外な2021年の米不動産業界のトレンド

パンデミックにより、誰もが予想していたよりも早く、リモートワークやオンデマンドデリバリーが日常的なことになった。世界がパンデミックから抜け出そうとしている今、「場所」は1年前ほど重要ではなくなった。

現代社会は、超高層のオフィスビルや高級マンションが立ち並ぶ洗練された大都市を生み出した。そして今、これらの都市の中心で活躍していた人々は、ポストパンデミックの世界での都市のあり方を考えている。

ここでは取材を元に、不動産のプロパティテクノロジーに注目する10人のトップ投資家がどのように未来を見据えているかを探る。

投資家らは総じて楽観的だ。というのも、本来なら氷河期にあるはずの不動産業界では、不動産テックが将来不可欠なものになると考えているからだ。しかし、少なくともパンデミック以前の戦略を知る者からすれば、オフィス分野は最も見通しが難しいようだ。

投資家らは、リモートワークが将来的に重要な役割を担うと考えており、郊外や比較的小さな都市での住宅需要が引き続き高いと予測している。そして、一戸建て住宅の販売や賃貸などの分野に焦点を当てたフィンテックやSaaS製品を特に高く評価している。多くの投資家は大都市への投資を続けているが、代替住居(敷地を共有する付属住宅ユニット)や気候関連のコンセプトを中核に据えている。

最も意外だったことは、一部の投資家が小売りのリアル店舗に期待していることだ。最新のデータを見れば、それも納得できる。大げさに聞こえるかもしれないが、地方の小規模ビジネスにとっては、より良い時代を迎えているのかもしれない。詳細は後にしよう。

オフィスがより贅沢品となるとき

パンデミックと既存のトレンドが相まって、オフィスの賃借人は「より高級品の消費者に近くなった」と、Bain Capital Ventures(ベインキャピタル・ベンチャーズ)のベンチャーパートナーであり、古くからの不動産テック投資家および不動産事業者であるClelia Warburg Peters(クレリア・ウォーバーグ・ピーターズ)氏はいう。

「1950年代以降、優位な立場にいた」家主は、これからはテナントを第一に考えなければならないと同氏は言い「賢明な家主は、単に物理的なスペースを提供していれば良かったものが、テナントにマルチチャネルのワークエクスペリエンスを提供していかなければならないというプレッシャを感じているだろう」と続ける。

それには、複数のオフィスを行き来する従業員を管理するためのソフトウェアやハードウェアなど、具体的な付加サービスが含まれる。しかし、今日の市場では、新たな姿勢が求められている。同氏は「これらの資産は、テナントのニーズに応えることを重視した、より人間的な関係の中で提供される必要がある」とし「リース期間は必然的に短くなるため、テナントに対してこれまで以上に積極的に売り込み、サポートしていく必要があるだろう」という。

こういったオフィス環境の変化は、郊外では供給側に有利に働く可能性がある。

MetaProp(メタプロップ)のZach Aarons(ザック・アーロンズ)氏は「都市部に本社のある企業は、従業員にスペースを提供しなければならなくなるだろう」と語る(同氏の会社は、この分野に関して非常にポジティブなレポートを発表したばかりだ)。しかし、多くの企業は「時折、従業員が家を出て働く必要が生じたとしても、電車で1時間もかからないよう、郊外に何らかの代替オフィスも提供したいだろう」という。

そして「メタプロップチームの多くのメンバーが前職で行っていたように、今でも(資金提供ではなく)実際に不動産の購入をしていたとしたら、郊外のオフィスの購入を積極的に検討していただろう」と付け加えた。

ほとんどの人が、リモートワークは今後根づいていき、将来的にオフィススペースのあり方に影響を与えると考えている。

Wilshire Lane Partners(ウィルシャー・レーン・パートナーズ)の共同設立者でマネージングディレクターのAdam Demuyakor(アダム・デムヤコール)氏は、概して大都市には強気だが、スタートアップ企業自身がすでに特定の場所から移転しつつあると指摘する。これは重要な先行指標であるとTechCrunchは考えている。

「この1年を振り返って興味深かったのは、パンデミックによって地理的な柔軟性を得たことで、スタートアップ自身がどのように進化し始めたかということだ」と同氏は語り「以前は、スタートアップ(特に不動産関連のスタートアップ)は、顧客や見込みのある資金源、人材の集まる場所の近くに「本社」を置かなければならないというプレッシャーを感じていた。しかし、ここ数カ月でこうした変化が見られるようになった」と述べる。

実際、筆者の元同僚で、現在はInitialized Capital(イニシャライズド・キャピタル)のパートナーであるKim-Mai Cutler(キム-マイ・カトラー)氏は、同社のポートフォリオ企業に対して定期的に行っている最近の調査で、こうした傾向を明らかにしている。パンデミックが始まった頃、創設者が会社を設立したい場所の1位はまだベイエリアだった。今では、リモートファーストが1位になっている。一方、投資先の企業では、リモートファーストか、本社を小さくして遠くにオフィスを置くハブ&スポークモデルのどちらかに移りつつある。何らかのオフィスを維持している企業は、週5日よりも大幅に少ない日数しか使われていないと答え、また、3分の2近くの企業が、勤務地による給与調整は行わないと回答している。

これは小さなサンプルだが「スタートアップは(a)効果的なリモートワークに必要なテクノロジーの活用に長けていることが多く、(b)同時に、人材獲得のための激しい競争にさらされている。そのため、パンデミックが過ぎ去った後、スタートアップの動向を観察することで、『仕事の未来』がどのようなものになるか推測できるだろう」とデムヤコール氏はいう。

一部の(大きな融資を受けている)家主や(大きな予算を持っている)大都市は、オフィスの再配置を早急に進めており、一部の大企業はオフィススペースを増設したり、現在の所在地へのコミットメントを改めて明確にしたりしている。

そういった努力に加え、直にネットワークを築きたいという自然な欲求が、産業クラスターを元に戻し、人々を以前の場所に引き戻すことになるのかもしれない。ともすれば、以前の100%近くまで戻るかもしれない。その場合、それはどういったものになるのだろうか。

RET Ventures(RETベンチャーズ)のパートナー兼マネージングディレクターであるChristopher Yip(クリストファー・イップ)氏は、このようなシナリオでは、パンデミック時のような傾向が持続するだろうという。そして「公衆衛生への配慮に敏感になった人々は、大量輸送機関より自動車や自転車などの単独の交通手段を好んで使うようになり、駐車場関連やバイクシェアリングのテックツールが伸びる可能性がある。また、不動産管理の観点からも、タッチレステクノロジーやセルフリースを可能にするツールに消費者の関心が高まり、密集した環境での生活をより快適に、より健康的にするテクノロジーが増えていくだろう」と同氏は続ける。

もう1つのシナリオとして「多くの仕事が完全なリモートであり続ける場合」を挙げる。

同氏は「理論的には、小売店やオフィスビルは、経済的構造上苦しい状況が続く可能性があり、ある地域の政府関係者からは、オフィスビルを手頃な価格の住宅に転換するという話も出ている」と実情を話し「都市の市場の空室率が高いままであれば、住宅に対する需要が高くない市場でも家主がホテルタイプの滞在から収益を得ることができるAirbnb(エアビーアンドビー)Kasa(カーサ)のような短期賃貸プラットフォームへの需要が高まるだろう」と語る。

Fifth Wall(フィフスウォール)のパートナーであるVik Chawla(ヴィック・チャウラ)氏は、中間的なシナリオを描いている。「大都市はパンデミック後も知識労働者や優秀な人材を惹きつけると思うが、リモートワークが労働経済にとってますます重要な要素となり、オフィスとそれ以外の場所で過ごす時間の中で柔軟性が増すと予想している」。

これはやはり、ある種の長期的な価格の下落を意味する。「都市レベルでは、需要の減少により、パンデミック前の水準に比べて賃料は右肩下がりになるはずだ」と同氏は主張する。「そうは言っても、パンデミックを通して成長を遂げた都市の不動産エコシステムは、イノベーションの時期を迎え、それに伴い、住宅密度、ADU、モジュラービルディング技術の増加が見られるだろう」。

DreamIt Ventures(ドリームイット・ベンチャーズ)で都市開発テック部門のマネージングディレクターを務めるAndrew Ackerman(アンドリュー・アッカーマン)氏も、商業オフィスの価格はそのうち緩やかに下落し、その後、スペース管理に関する複雑な問題が発生すると見ている。

「仕事が平常に戻ることは、オフィスの終焉ではなく、より柔軟なワークアレンジメントをもたらすだろう。しかしそのことで、今後5年から10年で賃貸契約が更新されていく間に、オフィススペースの需要は壊滅的ではないものの、徐々に減少していくことになる。問題は、その後、余ったオフィススペースをどうするかということだ」。

「オフィスを住居へ転換することはなかなか厄介だ」と同氏は言い「レイアウトが一番の制約だ。最近のオフィスの多くは、窓がなく内部に深い空間を持っており、再利用することを難しくしている。たとえ、狭いレイアウトであっても、構造的な要素が住居には適さない場所にあることが多い。水道管やガス管を適切な場所へ移すために、建物のコンクリートに何千もの穴を開けるのは大変な作業だ」と説明する。

これは、まだ価値のある物件の新しいタイプの利用法につながりそうか、と問うと「共同生活やマイクロユニットがより魅力的な転用方法かどうかというのは、今調査している分野の1つだ。オフィスの休憩室やビル内側の大部屋を、共有のキッチンやダイニングエリア、そしてレクリエーションや仕事のためのフレックススペースに変えれば、多額の費用をかけて改装しなくても、ビル内部の深いスペースを再利用できるかもしれない。また、配管のルートをあまり変更する必要がないのであれば、時間とともに変動するオフィスや住居スペースに対する市場の需要に応じて、個々のフロアを転換することも(さらには元に戻すことも)可能かもしれない」と同氏は答えた。

投資家10人全員が、オフィス自体に対する見通しが強気か弱気かは別にして、(当然のことながら)不動産テックは次の時代の大都市の中核をなすものだと考えている。

住宅の新たな均衡

パンデミックの間、ほとんどの場所で住宅の供給は大幅に制限され、購入を希望する人が増え、売却を希望する人は減った。今まで注目を集めていた都市で、賃貸価格が大きく下落していることとは裏腹だ。

住宅問題とそのソリューションの1つとして共同生活に注目しているウィルシャー・レーンのデムヤコール氏は「パンデミックにもかかわらず、ミレニアル世代やZ世代にとって、現在の賃金水準では、物件の価格が最も高い都市(ニューヨーク、サンフランシスコ、ロサンゼルスなど)は依然として高嶺の花だ」という。そして「そのため、大都市での生活のコスト負担を軽減するための物件やソリューションに対する需要は、今後も継続すると考えている。例えば、その中核として、共同生活は経済的に1つの判断となるだろう。住みたい場所に住むことをより容易にするソリューション(ADUもその一例だ)は、今後も発展していくだろう」と続ける。

Camber Creek(キャンバー・クリーク)のマネージングディレクター兼ゼネラルパートナーであるCasey Berman(ケイシー・バーマン)氏は「都市がより充実した生活、仕事、遊びを求める人々を惹きつけ続けるのは、そういった体験を実現する住宅密度と機会を提供しているからだ。このような事実がある限り、その欲求を満たす都市空間と不動産に対する新たな需要が生まれるだろう」と主張する。

また同氏は、密度の高い生活をより安全に、より便利にする製品やサービスに投資しており「そのためのソリューションがますます普及していくことを期待している。Flex(フレックス)は、オンラインによる分割払いでテナントの賃料の管理と支払いを容易にし、それに伴い、家主にとっては期日通りに支払いを受ける可能性が高まる。Latch(ラッチ)の入退室管理システムは、新築の集合住宅の10棟に1棟の割合で導入されている。また、この1年で多くの人がペットを購入した。PetScreening(ペットスクリーニング)は、ペットが介助動物や支援動物の場合、ペットの記録の管理と確認を容易にする」と述べる。

Picus Capital(ピカス・キャピタル)のパートナーであるRobin Godenrath(ロビン・ゴーデンラス)氏とJulian Roeoes(ジュリアン・ルーエス)氏は、おおむねこの視点を共有しており、都市での新しい生活スタイルが、人々の暮らし方により根本的な変化をもたらす可能性があると述べている。

「柔軟な生活ソリューションにより、リモートワーカーは短期か長期かにかかわらず、都市生活のために完全に管理された手頃な価格の安全な賃貸オプションを使って、さまざまな都市で時間を過ごすことができる」と両氏はいう。そして「一方で、商業施設から住宅への転換は、単位面積あたりの価格を下げる効果があり、長期的に戻ってくる居住者がよりゆとりのある空間を購入できるようになる。共同生活は集合住宅を高密度化するが、リモートワークへの移行が進むことによる仕事での社会的交流の希薄化を考慮すると、私生活におけるコミュニティの重要性が増すため、今後も興味深い分野だと考えている」と述べる。

しかし、現代の不動産テックは、長期的には郊外やその他の地域も魅力的にしていると多くの人がいう。生活の役に立つすばらしい新技術は、あらゆる場所に導入することができる。

不動産テックは、新たな郊外ブームの火付け役にもなっている。「都市部への回帰の傾向が続いており、郊外型の生活への需要が高まっている」と両氏はいう。「不動産テック企業は、特に住宅の売買や賃貸の取引プロセスをデジタル化することで、このシフトを可能にする重要な役割を果たしている(iBuyer、代替融資モデル、テクノロジー対応仲介業者など)。さらに、不動産テック企業は、遠隔鑑定、3D / VR映像、デジタルコミュニケーションなどにより、物理的なやり取りの低減にも関与しており、パンデミックの間も住宅の購入者と販売者の効率的かつ安全な取引に大きく貢献している」。

最終的には、都市部の価格帯をより手頃にするテクノロジーが、郊外でも同様に役立つだろう。「当社は、住宅売買プロセスのデジタル化が加速していることに加え、郊外型住宅への需要が大幅に増加していることや、買い手のプロファイル(テクノロジーに精通したミレニアル世代など)が進化していることから、建設、交通の便、ライフスタイルなどの面で、不動産テックが郊外の生活に大きな影響を与える多くの機会が広がっていると確信している。これには、賃貸専用住宅の建設、モジュール型住宅の建設、低価格住宅、コミュニティの構築、デジタルアメニティなどに注力する企業が含まれる」と両氏は述べる。

インタビューを行った投資家の多くは、一戸建ての賃貸市場のトレンドを重視していた。再びRETのクリストファー・イップ氏の見解に戻る。

同氏は「過去10年間注目されなかったトレンドの1つに、一戸建て賃貸(Single-Family Rental、SFR)市場の成長がある」とし「多くの大手投資家がこのアセットクラスに参入している。SFR市場は都市部からの移住の恩恵を受けることができ、SFRを支えるテクノロジーは業界全体にポジティブな波及効果をもたらすだろう」という。

また「SFRの物件は、効率的かつ大規模に運営することが特に難しい。多世帯住宅と比較して、多種多様なレイアウトのユニットがあり、地理的にも分散している」と同氏は説明する。そして「テクノロジーによって、SFRの運営者はオペレーションとメンテナンスを合理化できるようになった。SmartRent(スマートレント)のようなスマートホームツールを使えば、分散した物件をリモートで監視し管理することができる。当社はこの分野を有望視しており、この市場で効果を上げる不動産テックツールに注目している」と述べる。

ドリームイットのアンドリュー・アッカーマン氏も同意見だ。「一戸建て市場は軽んじられてきたが、ここしばらく、資産と不動産テックの両方の観点から、徐々に関心を集め始めている。例えば、パンデミック前には、NestEgg(ネストエッグ)Abode(アバウド)など、この業界のエコシステムにサービスを提供するスタートアップに投資していた。新型コロナウイルス感染症はこれらのスタートアップにとって良い方に働き、概して一戸建て住宅の物件が注目を集めた」と同氏はいう。

Urban.us(アーバン・ユーエス)の共同設立者であるStonly Baptiste(ストンリー・バティスト)氏とShaun Abrahamson(シャーン・エイブラハムソン)氏は、共同生活や短期賃貸などの選択肢により人々が新しいライフスタイルを見つけることができ、地理的な自由度が増した世界が広がっていると考えている。「共同生活はコスト面だけでなく、コミュニティとのつながりという見過ごされてきた重要な問題を解決してくれるので、Starcity(スターシティ)のようなポートフォリオ企業は非常に成長している。また、ノマド的なライフスタイルが生まれる余地もある。マイアミについて話されることの多くは、移住についてだが、多くの場所にとって関心の高い問題は、人々が1年のうち何カ月をそこで過ごすかということだろう。つまり、リモートワーカーから見れば、例えばマウンテンバイク、サーフィン、スノーボードなど、特定のアクティビティにアクセスしやすい場所になるかもしれない。スターシティは都市間の移動を容易にし、Kibbo(キボ)はバンライフを中心としたコミュニティを構築することで、都市を超越したサービスを提供している」と両氏は語る。

ベインキャピタル・ベンチャーズのクレリア・ウォーバーグ・ピーターズ氏は、こういった変化が郊外不動産市場に与える影響を次のようにまとめている。

「住宅取引の混乱は、現在、iBuyers(インスタントバイヤー、売主から直接住宅を購入し、最終的には売主として物件を再販する)、ネオブローカー(一般的にエージェントを雇用し、権原ローンや権原保険などの二次サービスを利用して収益を上げる)、エリートエージェントツール(トップエージェントに焦点を当てたプラットフォームやツール)の3つのコアカテゴリーに落ち着いている」。

こういったイノベーションの組み合わせは、今までの住宅用不動産を変えつつある。「消費者は、ホームエクイティーベースの融資モデル(自宅を株式化して販売したり、自宅の完全な所有権を時間をかけて購入したりする)など、代替的な金融手段の活用にますます積極的になっている。このような新しいモデルの成長と普及により、住宅市場全体が統合され、仲介業者の販売手数料や、住宅ローン、権原保険、住宅保険の販売による手数料が、機能的に1つの大きな、そして絡み合った複雑な市場となっている」と同氏は語る。

近隣の小売店の驚くべき復活

人は、にぎやかで歩きやすい地元の店が並ぶ昔ながらのメインストリートのような雰囲気が好きなようだ。しかし、独立した小売店をやりくりしようとしている人々には難しい状況が続いている。

Amazon(アマゾン)をはじめとする90年代に登場した「Eテイラー(電子小売業者)」などの電子商取引は、薄利の従来型小売業に打撃を与えた。さらに最近では、アートギャラリーや高級レストラン、ブティックなどが多くの都市でジェントリフィケーション(富裕化)の前兆となっている。そういった場所ではより高い賃料を払える借り手が増えたため、小売業店舗の家主が積極的に賃料を値上げし、結果的に一等地では家賃が払えない店舗が続出することになった。

パンデミックの影響で地元の店が閉まっている間に、得意客さえもオンラインで注文するようになり、決定打となったようだ。

しかし、複数の投資家が妙に楽観的な見方をしている。パンデミックは1年以上にわたって社会・経済活動に大混乱をもたらしたが、ほとんどの人が、実生活において小売店の存在は現代生活に欠かせないものだと認めている。

「人間は基本的に社会的な動物であり、安全に人と会えるようになれば、誰もが直接対面での交流を求めるようになると考えている。さらに、週5日のオフィスワークからの解放は、自宅でも規律正しいオフィス環境でもない、『第3の空間』への欲求を高めることになるだろう」とピーターズ氏はいう。

「商品を販売することよりも、顧客が実際に商品を手に取りウェブサイト以上にブランドコンセプトを体感できる環境を整えることに重点を置く、『Apple Store』のような小売店が今後も増えていくだろう。パンデミックが終わる頃には小売店の賃料が大幅に下がっていると予想されるため、新型コロナウイルス感染症以前よりもさらに実験的な試みが行われると考えられる。小売業にとっては非常に興味深い時代になるだろう」。

小売関連のテクノロジーを専門に投資しているか、第3の空間のアイデアに広く投資しているかにかかわらず、他にも、複数の投資家がこの視点で見解を述べている。

「小売業が10年以上前から変化しているのは事実だ。eコマースで普通に買えるものは、書籍や衣料品だったものが今では惣菜や食料品にまで拡大している。また、パンデミックがeコマースの成長を加速させ、リアル店舗の小売業が損失を被っているのも事実だ」とRETのイップ氏はいう。そして「しかし、人はやはり人間であり、直接会って交流することを求めている。たとえ都市の完全な立ち直りまで時間がかかっても、大都市にはかなりの数の小売店を支える客足があり、ポップアップショップのような革新的なモデルを導入することで、空き店舗の問題に対処できるだろう。また、大衆市場では、小売業に対する信頼がまだあることも留意する必要がある。主要なREITは2020年初頭から半ばにかけて苦戦したものの、多くは大幅に回復しており、いくつかは実際にパンデミック前の数値を上回っている。小売業にとってはひどい10年であり、この1年は最悪の年だったが、このセクターの幕を引くにはまだ早すぎる」と述べる。

ピカスのゴーデンラス氏とルーエス氏によると、映画館は、パンデミック後に一般市民の生活が一斉に再開された場合の成功を待ち構える小売セクターの一例に過ぎないとのことだ。

「ショッピングセンターの目玉テナントである映画館は、予約席、4DX映像、劇場内のレストラン、カフェ、バーなど、より総合的な体験型ソリューションの提供により、すでに従来型の営業スタイルを刷新しており、さらにパンデミックをきっかけに、プライベートシアターのレンタルやイベントなどのサービスを拡大している。こうした傾向は、レストラン(実体験のように感じる料理エクスペリエンス)から伝統的な小売業(オンラインとオフラインを統合したショッピングエクスペリエンス)まで、小売不動産業界全体に拡大していくだろうと見ている。また、小売不動産オーナーが見込みのあるテナントを特定して物件を売り込んだり、小売業者が店舗内での顧客エンゲージメントを促進し、カスタマージャーニーに関する重要なインサイトを得たりする時にも、不動産テックが決定的な役割を果たすと考えている」。

意外なことに、最近ではインターネットも味方になっている。「また、オンラインとオフラインの体験を巧みに融合したハイブリッドモデルにも大きな可能性があると考えている」と両氏はいう。「フィットネス分野を例にとると、スタジオでのコースを配信してより多くの参加者を募ったり、スタジオでのレッスンや自宅でのワークアウトを通じてトレーニングや健康状態の推移をアプリでトラッキングしたりするという新しいスタイルが考えられる」。

インタビューで投資家から聞いたものではないが、小売業の未来を信じる理由は他にもいくつかある。

また、小売業が、投資家が出資している他の多くのソリューション、特に都市の魅力を高め、気候変動などのマクロな問題を解決するためのソリューションとどのように関わっているかもわかるだろう。

バティスト氏とエイブラハムソン氏は「都市には活用されていない多くの資産があるが、最大のものは自動車に割り当てられている公共スペースだろう」とし「永続的に変っていくだろうと思われることは、駐車スペースを自家用車からマイクロモビリティ(自転車、スクーター、キックボード用のレーンや駐輪場など)に再配分することだ。Coord(コード、スマートゾーンという技術を使い商用車などの縁石スペース利用を管理)、Qucit(キューシット、多くの大都市で自転車やスクーターのシェア事業を管理)、Oonee(ウーニー、安全な自転車、スクーター、ボード用の駐車場)などのポートフォリオ企業に多くの需要があると考えている」と述べる。

これは、両氏が予見する好循環の始まりに過ぎない。

「(自動車の排除)が起こると、物流のようなユースケースはマイクロEVにシフトできる。同様に、パークレット(車道の一部を転用して人のための空間を生み出す取り組み)やシーティングエリアによって公共のスペースが増える。EUでは自動車使用の禁止を推進しているが、全体的に道路で自動車の往来が減れば、大きな変化が起きるだろう。確かに個人の生活の空間を明け渡すことになるが、共有スペースや社会的なスペースが増え、都市を魅力的なものにする可能性がある。こうしたことにより、共同生活が促進され、都市で生活するためのコストを下げることができるとともに、低密度のコミュニティでは比較にならないほど共有スペースから多くのものを得ることができる」と両氏は話す。

ウィルシャー・レーンのデムヤコール氏も同様の見方をしている。

同氏は「当社の全体的な戦略を立てる上での原則の1つは、常にスペースの活用に焦点を当て、有効に活用されていないスペースを、テクノロジーによって収益化する最良の方法を見つけ出すことだ。このことは、StufNeighbor(スタッフ、ネイバー、地下室、駐車場、その他の空きスペースの収益化)MealCo(ミールコ、空きキッチンの収益化)WorkChew(ワークチュウ、レストランのシーティングエリア、ホテルのロビー、会議室の収益化)Saltbox(ソルトボックス、空き倉庫の収益化)など、当社の直近の投資案件の多くに明確に表れている。家主は、このようなタイプの戦略を適切に利用すれば、今日の不動産業界で見られる空室の増加を中期的に緩和できる」と述べる。

この主張が正しければ、小売業は、より共有スペースのような存在になるかもしれない。「特に、先に資金調達を発表したばかりのワークチュウの製品は、需要側と供給側の両方で多くの需要がある。ホテルやレストランは、あまり利用されていないスペースやインフラを収益化するために、同社との提携に対する関心は極めて高い」とデムヤコール氏は述べる。そして「もちろん、雇用主や企業は、本社のオフィス以外で過ごす時間を増やしたいと考えているハイブリッドな従業員に提供できる簡単なアメニティとして、この共有スペースに満足している」と付け加える。

インタビューした投資家らから明確に聞いたわけではないが、小売業の将来を信じる理由がいくつかある。

  • まず、経済学者や政策立案者さえも驚くほど、パンデミックの間に何百万もの新しいビジネスが生まれている。その大部分は、非常に地域に根ざしたもので、食品の宅配(カップケーキ)やサービス(出張ヘアカット)、地域で強い支持を得ているインターネットファーストの製品(Etsyの多く)などが挙げられる。これらの起業家らは、インターネットで事業を始め、商業施設の賃料が下がった今、実店舗を構えるに十分な収益を上げている。
  • 第2に、新型コロナウイルス感染症の期間を耐え抜いた地元企業の多くは、インターネットで成功する方法を見つけ出した。近隣でどの企業が嵐を乗り切っているかは、好みのオンデマンドデリバリーやサービスのアプリを開いて注文すればわかる。
  • 第3に、投資家の回答や入手可能なデータが示すように、家主はすでに賃料を下げ始めており、数十年ぶりに借り手市場が形成されている。
  • 第4に、従来のビジネスでも新しいタイプの資金調達が可能となり、オンラインでの副業や趣味(あるいはより大規模なプロジェクト)で成功を収めている企業は、拡大のための資金を得ることができるようになる。(この理由はおそらくかなり推測的なものだが、著者らは、ここTechCrunchで未来を見極めようとしている)。例えば、Shopify(ショッピファイ)は、新しい「定期収入を取引するためのプラットフォーム」のcom(パイプ・ドット・コム)に資金提供をしたばかりだ。両社はこの関係について今は多くを語っていないが、ショッピファイで成功している多くの小規模ビジネスが、リアル店舗の採算の目処が立ったときに速やかに新しい種類の資本注入を受けることの想像はできる。

こういったすべてのことを、都市の密度や自転車レーンの設置による気候変動への配慮など、都市に対する考え方の他の広範な変化も含めて考慮すると、パンデミック以前の世界というよりも、ニューアーバニストの空想といわれそうな世界が見えてくる。

同時に、これらのコンセプトは小規模な都市、郊外、そして町にも展開されている。産業クラスターの古いネットワーク効果が奇跡的な復活を遂げない限り、すべての都市が最高の生活の質を提供するために競争することになる。

仮に、産業クラスターがかつてのように集結しないとしよう。そうすると、多くの家主や金融業者、市の予算はすぐに支出を削減せざるを得なくなり、魅力的な都市の経済の足を引っ張ることになるかもしれない。

そのような場合でも、ニューヨークやサンフランシスコのように、住宅や小売店、アメニティを中心に据える都市が再生することは想像に難くない。もしかしたらいつの日かこの数十年を、パンデミックで全世界が底を打ち長期的に正しい答えを決める必要が生じる前の古き悪し時代だったと振り返る日が来るかもしれない。

ということで、読者には、著者がインタビューした投資家らの回答全文を紹介したい。各投資家の回答は、このすでに十分に長い記事より更に濃い内容であり、詳細を読む価値はある。このような変化に関する継続的な記事の支援のため、Extra Crunchを購読して欲しい。

不動産テックと都市の未来については、近々さらに掘り下げる予定だ。この件について他に考えがあればeldon@techcrunch.comにメールして欲しい。

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:新型コロナウイルス不動産リモートワーク住宅アメリカeコマース店舗小売

画像クレジット:Boston Globe / Getty Images

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(文:Eric Eldon、翻訳:Dragonfly)