共同SQLエディターのPopSQLが3.6億円のシード資金を調達

チーム作業のための共同SQLエディター(PopSQLサイト)を開発しているスタートアップのPopSQL(ポップシークェル)が、米国時間9月8日、Google(グーグル)によるAIに重点を置いたGradient Venturesファンドが主導するシードラウンドで、340万ドル(約3億6000万円)を調達したことを発表した。その他の参加者にはY Combinator、FundersClub、そしてInstacartの共同創業者Max Mullen(マックス・マレン)氏、SegmentのCTOのCalvin French-Owen(カルビン・フレンチ=オウェン)氏、VercelのCEOのGuillermo Rauch(ギレルモ・ラウチ)氏といったエンジェル投資家たちが含まれている。

この段階のほとんどのスタートアップと同様に、同社は新しい資金を使って製品ロードマップを進めていく予定だ。

PopSQLを始めたのは、市場に出回っている既存のツールに不満があったからです。美しくて、使いやすく、共同作業しやすいSQLエディターが欲しかったのです。Slack(スラック)のような新しいコラボレーションツールが、チームのコミュニケーション方法を変えたのと同様に、私たちのビジョンは、PopSQLがチームによるデータ分析と共有のやり方を変えることです」と語るのは、PopSQLのCEOで創業者のRahil Sondhi(ラヒル・ソンディ)氏だ。「Gradientからの新しい資金を使うことで、会社を拡大し、チームがデータを一緒に分析するための最良のツールを作成する、というビジョンを追求することができます」。

PopSQLを使うことで、チームはデータベースクエリを1回記述すれば、社内で簡単に共有する(PopSQLサイト)ことができる(その過程でそうした共有されたクエリのライブラリを構築することができる)。これは、多くの企業にとって大きな時間の節約となる。このようなクエリは、今でも多くの場合、電子メールまたはSlackの中のコードスニペットとして共有されることが多いが、PopSQLもこうしたものと統合される。このツールを使用することで、開発者とデータアナリストは異なるバージョン (PopSQLサイト)のクエリを簡単に作成することもできる。

画像クレジット:PopSQL

PopSQLは現在、Snowflake、Google CloudのBigQuery、AWS Redshift、PostgreSQL、MySQL、SQL Server、Oracle、MongoDB、Cassandraなどの幅広いデータベースをサポートしている。

画像クレジット:PopSQL

だが、PopSQLは共同機能に加えて、数多くの興味深い機能も提供している。例えば視覚的なスケジュールエディターを使用して、何度も繰り返し実行されるクエリを設定することができる。

ツールはまた、いくつかの基本的なチャート機能も備えている。これらは主に、ユーザーがクエリを簡単に視覚化できるようにするものだが、この機能を使用して例えば基本的なダッシュボードを作成することもできる。ソンディ氏は、PopSQLを必ずしもビジネスインテリジェンスツールと考えているわけではないが、もし必要ならコア機能はここにあると語った。

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(翻訳:sako)

自動JavaユニットテストツールDiffblueの無料コミュニティエディションが登場

オックスフォード大学からスピンアウトしたDiffblue(ディフブルー)は、機械学習を使用して、開発者がJavaコード用ユニットテストを自動的作成することを支援する。コードが期待どおりに機能することを確認するために、喜んで単体テストを書く開発者は少ないので、自動化を推進することは、開発者を真に価値のあるコードを書くことに集中させるだけでなく、バグの少ないコードにもつながる。現在Diffblueを使っている顧客は、Goldman SachsやAWSなどだ。

これまでのDiffblueは、有料(そして高額)のサブスクリプションを通じてのみ、サービスが提供されていた。だが米国時間9月8日、同社は無料のコミュニティエディションであるDiffblue Cover: Community Editionの提供を開始した。これには有料版に含まれるすべてのエンタープライズ向け機能は含まれていないが、IntelliJ(インテリJ)プラグインと、AIが生成する有料版と同様のユニットテストは含まれている。

同社はまた、Diffblue Cover向けの新しい低コストの「個人向け」プランを、月額120ドル(約1万2800円)から開始する予定だ。このプランは、サポートならびにその他の高度な機能へのアクセスも提供する。

基本的に、Diffblueは教師なし学習を使用して単体テストを構成する。「私たちがやっている手法は、かつて使われていた静的分析ツールを使うという意味でユニークです」と説明するのは、約1年前に入社したDiffblueのCEOであるMathew Loge(マシュー・ロウジ)氏だ。「そうしたツールはプログラムを分析して、基本的にはプログラムの実行パスを理解した上で、そのパスから逆算を行おうとします。つまり、パスがこの地点に到達するなら、そのためにプログラムに入力する必要があるのはどのようなものか?を逆算するのです」。だが、そうしたアプローチには限界がある。Diffblueの強化学習法が目指すのはその限界の回避である。

単純に実行すれば、Diffblueは開発者が読みやすいテストを提供する。これは重要な点だ、とロウジ氏は強調した。なぜならもし生成したテストが失敗して開発者が何が起きたのかが理解できなければ、問題修正は事実上不可能だからだ。これはチームが辛い経験を通して学んだことだ。初期バージョンのDiffblueは(ユニットテストの主要な指標である)優れたテストカバレッジを提供する、非常に意欲的なアルゴリズムを使用していたため、結果的に開発者が何が起こっているのかを理解するのが非常に難しくなってしまった。

コミュニティエディションでは、Diffblueの有料版にあるコマンドラインインターフェイス(CLI)は提供されないものの、開発者はこれまで同様にIntelliJでコードを記述し、ボタンをクリックするだけで、Diffblueにそのコードのテストを記述させることができる。

「コミュニティエディションは非常に使いやすいように設計されています。文字通りIDEの中でワンクリックするだけで、テストが生み出されます。CLIのバージョンはさらに洗練されていて、より多くのテストケースをカバーし、組織内のチームや大規模なデプロイメントを解決します」とロウジ氏は説明した。

同社は今後、Python、JavaScript、C#などの他の言語のサポートを追加していく予定だが、ロウジ氏自身も指摘するように、長い間ビジネスの世界の主力だったJavaを最初にサポートするのが一番良いと チームは考えたのだ。

Diffblueは長くはないが実際に利用されてきた。同社は2017年に、Goldman Sachsが率いたシリーズAラウンドで2200万ドル(約23億4000万円、未訳記事) を調達した。このラウンドにはOxford Sciences Innovation、Oxford Technology、Innovations Fundも参加した。Javaコードの単体テストのみに焦点を当てるために、そんな金額を調達しないことは明らかだ。より多くの言語のサポートも大切だが、ユニットテストそのものは、AIの助けを借りてプログラミングプロセスをさらに自動化するという同社の全体目標の、最初のステップにすぎない。

「私たちがまずテストに手を付けたのは、それが特にDevOpsならびにより迅速なソフトウェアサイクルへの採用に対して影響を与える、重要かつ緊急の問題だったからです」とロウジ氏は語る。次の明らかなステップは、同様のアプローチを使い、コード内のバグ(特にセキュリティバグ)を自動的に修正することだ。

「マシンにさらに多くのコードを書かせるための、こうした足がかりがもっとあると考えています」と彼はいう。「また率直にいって、これは開発者に慣れてもらうための手段なのです。開発者に受け入れてもらえることが、成功させるための重要な要素だからです」。

関連記事:Diffblue, a University of Oxford spin-out, raises $22M Series A to bring AI to software development(未訳記事)

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(翻訳:sako)

オランダ発の決済スタートアップMollieが110億円調達、バリュエーション1000億円超え

新型コロナウイルス感染症のパンデミックで家にいる時間が長くなり、消費者はさまざまなものをオンラインで購入するようになった。そうした事態を受けて、eコマースは過去8カ月かなりの利用増となっている。この影響でかなりの成長をみせているアムステルダム発の決済スタートアップが9月7日、プロダクトの充実や需要に対応する国際展開を引き続き進めるための大型の資金調達を発表した。

決済機能をサイトやアプリに統合するためのシンプルなAPIベースの方法を提供しているスタートアップのMollie(モリー)はTCVがリードする投資ラウンドで9000万ユーロ(約112億円)を調達した。今回のシリーズBで同社の累計調達額は1億1500万ユーロ(約144億円)となる。特筆すべきは、同社のバリュエーションが10億ドル(約1060億円)を超えることだ。創業者でCEOのAdriaan Mol(アドリアン・モル)氏がTechCrunchとのインタビューで明らかにした。

Mollieは2004年から事業を展開しているが、資金調達は今回がまだ2回目だ。初のラウンドは1年前で、2500万ユーロ(約31億円)を調達した。同社がスタートアップのレーダーにそれほど引っかかっていなかったのはおそらくこのためだろう。

「バックエンドとフロントエンドを、まだ両親と一緒に暮らしていた時に私自身が構築した」とモル氏は話した。「それがオランダ流。かなり長い間アイデアを温める。それが会社の礎だと思う」。

Mollieはここ数年で多くのマイルストーンを達成した。かなりのバリュエーションで突然登場したように見えるが、そうした時期を経て今がある。

同社はこのところ主に中小の事業者にフォーカスしている。そうした事業者のほとんどが十分なサービスを受けられていない。顧客は10万を超え、主にオランダ、ベルギー、ドイツにいる。名の知れているところではWickey(ウィッキー)、Deliveroo(デリバルー)、TOMS (靴の会社)、UNICEF(ユニセフ、国際連合児童基金)などが挙がる。

Mollieは2020年に、決済額100億ユーロ(約1兆2500億円)超に向けて順調で、前年比の成長率は100%となる見込みだ。ドイツなど一部のマーケットでは成長率は1000%を超えることが予想される。すでに黒字化も達成している。

「効率化という点で当社は正しい位置につけている」とモル氏は述べた。「しかし競争力を維持するために新たなプロダクトに投資する必要がある」。

実際、決済サービスプロバイダーのマーケットは激戦区だ。Stripe(ストライプ)や、Mollieの仲間のAdyen (アディエン)のような企業もAPI提供のコンセプトで確固たる事業を構築している。いくつかのコードで決済をサービスに取り込めるというものだ。これらの企業は人気があるだけでなく、かなり資金を有しており、さらなるツールの開発を継続する体勢を整えている。そして国際的に事業を拡大し続けている。

Mollieはそうした企業や他の競合他社と2つの点で差異化を図っている。1つは、かなり細分化されたままであるマーケットで、ローカライズされた決済商品を提供していることだ。そうしたマーケットでは、顧客や事業者が使いたがる決済方法は国によって異なる(それらの国ではStripeのようなサービスがまだ完全に提供されていない)。

2つ目は、さまざまな種の決済方法を統合することの難しさを少しも表に出さずに、素早く簡単に統合できるようにしていることだ。事業者そして顧客の両方にとっての使いやすさは、買い物かごに商品を残したままにすることが少なくなることを意味する。そしてサイト訪問者のコンバージョンレートはかなり高い。コンバージョン率は通常7%にもなる、とモル氏は説明した。

「もし旅がトラブルなくスムーズなものであれば、客はドロップアウトしない。それは当社の顧客にとって直接の売上高になる」とモル氏は話した(価格は明確に示されているが画一的ではない。ボリューム、そしてどの決済方法が統合されて使われているのかによる)。

そうした点は、かなりの収益性と効率性によるMollieの成長率とともに、TCVを引きつけている。

「使用場所を拡大することは極めて重要だ」とTCVのパートナーであるJohn Doran(ジョン・ドーラン)氏は述べた。「子供でも使えるくらい本当に簡単だ。いわば、決済世界のApple(アップル)を構築しようというもの」

モル氏がMollie立ち上げのアイデアを思いついたのは、自身の前のスタートアップMessageBird(メッセージバード)に決済サービスを統合しようとしていたときだった。MessageBirdはAPIベースのメッセージサービス(未訳記事)だ。Wilioの欧州版のようなものだと考えて欲しい。利用できる決済のサービスはすべて平均以下で、望む方法で使用できないことに気づいた、とモル氏は話した。そこでエンジニアであるモル氏は自ら「インハウス」でソリューションを構築することにした(文字通り、彼の両親の家でだ)。

なぜ1つの傘の下で両サービスを提供しなかったのか尋ねた。するとモル氏は2つの事業とアイデアは単にあまりにも大きすぎて1つの事業として展開するにはさほど類似性がないからだと述べた。そして同氏は役員会にはまだ残っているもののMessageBirdの経営から身を引き、Mollieにすべての時間を充てることにした。

そして決済事業への専念が報われた。

Mollieにとって次なるステップは、決済に絡むサービスの構築を進めることだ、とモル氏は語る。顧客向けの運転資本の提供や、中小の事業者が1つのプロバイダーから通常受けられない他の金融サービスといった分野だ。「従来の銀行が中小事業者に提供していないプロダクトは多い」と同氏は述べた。「従来の銀行は、中小事業者とのビジネスでたくさん稼がないために中小事業者に投資しようという動機付けが得られない」。決済に絡むサービスとしてはPoS決済、カードの発行、信用状の発行、その他の金融商品が考えられる、と付け加えた。

関連記事:新型コロナパンデミックで米国におけるeコマースへのシフトが5年分加速

カテゴリー:フィンテック

タグ:Mollie 資金調達

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(翻訳:Mizoguchi

情報共有ツール運営の「Stock」が1億円を調達、プロダクト開発・マーケティング体制を強化

情報共有ツール運営の「Stock」が1億円を調達、プロダクト開発・マーケティング体制を強化

情報共有ツール「Stock」運営のStock(旧社名: リンクライブ)は9月8日、シードラウンドとして総額1億円の資金調達を実施したと発表した。引受先はDNX Ventures、East Ventures、マネーフォワード、インフキュリオン、永見世央氏、鎌田大輔氏、その他エンジェル投資家。

調達した資金は、プロダクト開発・マーケティング体制の強化に活用する。

Stockは、チームの情報を簡単に残せる情報共有ツールで、サービスページより無料で利用可能。2018年4月の正式ローンチから2年3ヵ月で、2020年7月末時点において5万社に導入済み。「ITに詳しくない60代の方でも、何の説明もなく使える程シンプルなプロダクト」とうたっており、誰でも一切ストレスなく利用できるとしている。

情報共有ツール運営の「Stock」が1億円を調達、プロダクト開発・マーケティング体制を強化

また、テレワークの普及により、社員間のコミュニケーションや円滑な情報共有に課題感を持つ企業が増える中、「誰もが簡単に使える情報共有ツール」の需要が高まっており、直近の導入社数の増加につながっているという。

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無料の電動自転車シェアサービスのHumanForestが2.5億円調達、北ロンドンでトライアル中

今年6月にロンドンでトライアルを開始したドックレス、共有、広告サポート付きのe-bike(電動自転車)サービスを提供するHumanForest(ヒューマンフォレスト)は、初めて外部資金を調達した。ライドシェアアプリ「Cabify(未訳記事)」の創業者であるJuan de Antonio(ファン・デ・アントニオ)氏とVicente Pascual(ビセンテ・パスカル)氏を含むモビリティ業界の支援者から180万ポンド(約2億5200万円)を調達したのだ。

投資の一環としてCabifyのパスカル氏は、スウェーデンの電気自動車メーカーNEVS(National Electric Vehicle Sweden)のCEOで、元Volvo(ボルボ)の社長であるStefan Tilks(ステファン・ティルクス)氏とともに、HumanForestの取締役に就任した。なお、HumanForestの共同創業者兼CEOのAgustin Guilisasti(アグスティン・ギリサスティ)氏は、Cabifyの元カントリーマネージャーだ。

HumanForestの電動自転車シェアリングサービスは、いまのところロンドンに限定されており、移動自体も北ロンドンのアイリントンとカムデンのわずか2つの地区で終了しなければならないが、規模が拡大するにつれて首都内のほかの地区にも駐車場を拡大することを目指している。

今回調達した資金は、今月末までに電動自転車を1000台に増やすために使われる。同社は1年以内にロンドンに2000台を設置することを目標としている。

電動自転車シェアリングはここ数年で爆発的に普及しており、Uberのようなライドシェアリングの巨人がこのカテゴリーに飛び込んできている。Uberは、eスクーター(電動バイク)のシェアリングサービスを展開するLimeに大規模な投資を行った後(未訳記事)、ヨーロッパで同様のサービスを展開していたJumpの資産を同社に売却した(未訳記事)が、主要な通勤都市におけるサービス格差は急速に新たなライバルを引きつけている。たとえば、Bolt (ボルト)は現在、パリで電動キックボードの販売を進めている

このような状況にもかかわらず、HumanForestは電動自転車のシェアリングモデルを革新する余地はまだあると考えている。同社の最大の特徴は、ロンドンで唯一の「無料」の電動自転車のシェアリングサービスであり、ユーザーに1日20分の無料乗車時間を提供する。無料乗車時間は、HumanForestアプリを介して表示される広告によって実現する。その後の料金は1分あたり0.12ポンド(約17円)だが、同社によるとユーザーはプロモーションやコンテストを通じてさらに無料乗車ぶんを獲得できる可能性があるという。

HumanForestのデジタルマーケティングプラットフォームのパートナー企業は、Whole Foods(ホールフーズ)やRude Health(ルードヘルス)などが入っており、自社のマーケティングメッセージを社会的影響力のある同社の電動自転車に載せることで、利用者に無料の移動時間を提供している。

同社のモデルのもう1つの特徴は法人向けの有料電子自転車サービスだ。ロンドン市民に、新型コロナウイルスが終息した後の時代に公共交通機関に乗り込む必要がない、代替のグリーンな通勤手段を提供する機会を探っている。なおHumanForestの電動自転車は、1回の充電で80kmの走行が可能なバッテリーパックを搭載しており、バッテリーと電動自転車の両方が認定された再生可能エネルギーを使っていることを強調している。

パスカル氏は今回の資金調達について「私はCabifyで10年間HumanForestのチームと一緒に働いていましたが、同社はモビリティ業界の先駆者であると信じています。HumanForestは、3つの点で他社から頭抜けています。具体的には、パートナーシップモデルを通じてユーザーに無料の移動手段を提供し、地球を保護し、社会的影響力を示そうとするパートナー企業にアピールしています。我々はすでにこのモデルの成功を目の当たりにしており、今後の成長に携われることに興奮しています」と語った。

シェアモビリティサービスも新型コロナウイルスへの感染リスクが懸念されるが、バイクや自転車は少なくとも換気不足の心配がない屋外で使われる。またHumanForestのウェブサイトにあるFAQによると、衛生面についてはそれぞれの電動自転車には消毒スプレーが用意されているとのこと。また、乗車前後にハンドルやブレーキハンドルを拭くことを推奨しているほか、手袋の着用も推奨している。

カテゴリー:シェアリングエコノミー

タグ:電動自転車 HumanForest 資金調達

画像クレジット:HumanForest

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(翻訳:TechCrunch Japan)

D2Cブランド向け保証サービスのMulberryが年間経常収益約11億円を視野に

Chinedu Eleanya(チネデュ・エレニャ)氏がMulberry(マルベリー)を消費者直販(D2C)ブランドの保証サービスとして創業してから2年でビジネスは急成長した。

あらゆる人にあらゆる商品を販売するスタートアップブランドの出現により、消費者行動が大きく変わった。この動きに乗じたMulberryは小売業者向けの保証サービスに求められていたひねりを加えた。小売業者は長年にわたり消費者に高額の買い物を快適にしてもらうために保証サービスに頼ってきた。同社の今年これまでのARR(年間経常収益)が1000万ドル(約11億円)に近づきつつあるのは、買い物がオンラインへシフトする傾向によるところが小さくない。

新型コロナウイルスが襲う前の2020年3月の段階で投資家が1000万ドル(約11億円)を同社に投資したがったのはそのためだ。今回のラウンドは、ニューヨークに拠点を置くアーリーステージを対象とする投資会社であるPace Capital(ペースキャピタル)がリードした。既存投資家からの参加者にはFounder Collective(ファウンダーコレクティブ)も含まれる。

その後パンデミックが襲った。エレニャ氏によると、新型コロナウイルスが買い物客(少なくともまだ買い物にお金が使える人)を店頭からオンラインに動かし、保証サービスの必要性が高まった。

エレニャ氏はナイジェリアからニューヨークに移り、Cognical(コグニカル)やZibby(ジビー)などの企業を創業したシリアルアントレプレナーだ。Mulberryとそのオンラインモデルで成功を収めた。

確かに、同社はeコマース保証に取り組む唯一のスタートアップというわけではない。同様のサービスを提供するClyde(クライド)は同じ時期に1400万ドル(約15億円)を調達した(未訳記事)。

だがこの種のオンラインサービス市場は依然として急速に成長しており、エレニャ氏は複数の勝者が生まれる余地があると考えている。「POSが財務にもたらした革新を考えると、延長保証の分野が最も興味深い」と同氏は述べた。

小売という観点からは融資も良いが、より大きくは顧客獲得コストが上昇し続けてしまうという話がある、とエレニャ氏は言う。同氏は、小売業者は顧客を維持することで長期的な価値を最大化する必要があり、その方法はサービスプログラムの提供だと主張する。

「当社は中小の小売業者がこの何でも高くつく環境でも競争できるようアクセスを民主化している」と同氏は語る。

Mulberryはすでに、スマートワークアウトミラーのMirror、コーヒーメーカーのBreville、Casperとはマットレスの競争相手であるNaspar Sleepなどの消費者向けブランドと提携している。

これまでのところMulberryのARRは約100万ドル(約11億円)だが、2020年のARRは1000万ドル(約11億円)に達するペースだとエレニャ氏は述べた。

画像クレジット:Vectomart / Shutterstock

カテゴリー:ニュース

タグ:Mulberry D2C 資金調達

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(翻訳:Mizoguchi

タイの食料サプライチェーン合理化のFreshketが約3.2億円を調達

バンコク拠点のFreshket(フレッシュケット)は新鮮な農産品を農場からテーブルに届けるプロセスを簡素化する。2017年に創業された同社はOpenspace Ventures(オープンスペース・ベンチャーズ)がリードするシリーズAラウンドで300万ドル(約3億2000万円)を調達した。

本ラウンドにはタイのプライベートエクイティファームECG-Research(ECGリサーチ)、Innospace(イノスペース)、そしてインドネシアの農業テクノロジースタートアップTaniHub(タニハブ)の創業者であるPamitra Wineka(パミトラ・ウィネカ)氏とIvan Sustiawan(イヴァン・サスティアワン)氏も参加した。また、既存投資家のフランス・シンガポールの食品複合企業Denis Asia Pacific(デニス・アジア・パシフィック)とタイのファミリーオフィスSeedersclub(シーダースクラブ)も出資した。

Freshketのテクノロジーには、農家や食品加工業者をレストランなどの事業者やタイ国内の消費者につなげるeコマースマーケットプレイスが含まれる。FreshketはCEOのPonglada Paniangwet(ポングラダ・パニアングウェット)氏とCMOのTuangploi Chiwalaksanangkoon(ツアンプロイ・チワラクサナンクーン)氏が共同で創業した。3年前にFreshketを設立する前はそれぞれマーケティング業界で働いていた。

パニアングウェット氏はTechCrunchに対し、彼女自身の家族が25年間農業に従事していたためにアグリテックに参入したかった、と話した。「この業界で上手くいったこと、上手くいかないことについて多くを学びながら育った」と同氏は述べた。「結局、この業界は退屈で、乱雑で、かなり手作業に頼っている」。

Freshketの目標は「食料サプライチェーン全体の後援者」になることだと同氏は付け加えた。

Freshketの前にパニアングウェット氏は、レストランや他の業者に届ける前に生鮮卸売市場で生鮮食品を仕入れ、カットして整える加工処理センターを始めた。同氏はサプライチェーンを簡素化し、農家の収入を増やし顧客が受け取る食品の質を上げるのにテクノロジーを活用することができると気づいた。

またマーケット機会も広がっていた。Euromonitor Internationalの2019年4月のレポートによると、タイにおける食品サービスマーケットはレストラン20万店超による年間購入額として77億ドル(約8180億円)の価値がある。

パニアングウェット氏の良き友だったチワラクサナンクーン氏はタイ最大の銀行の1つを辞めてFreshketを共同で創業した。同社のプラットフォームは、加工センターやサプライヤーを集約し、そうした業者を通常仲買人に頼る農家と直接つなげることでタイの細分化された農作物サプライチェーンをまとめた。Freshketはまた、作物の需要供給を予測するのに役立つデータをユーザーに提供している。

配達事業の運営費用、特に腐りやすい商品のものはかなり高くなる。費用対効果を確保するために、Freshketは生鮮食品を保管しない。その代わり、同社は農家を含むネットワークに需要に応えるためにどれくらいの商品を必要とするかを毎日伝え、サプライチェーンを計画できるようにしている。

パニアングウェット氏はまた、B2Bの食品配達事業は注文平均額が高く、ユニットエコノミクスを高めていると語った。Freshketの注文、倉庫、物流管理システムはすべてリンクしており、「このために当社は商品の流れを管理でき、追加の費用や人件費を抑え、コストベース全体を対処できるものにしている」と付け加えた。

FreshketのB2B業界における主なライバルは従来のサプライチェーン事業者だ。コンシューマー業界ではグローサリー配達スタートアップと競合する。Freshketはすでに合理化されたサプライチェーンを利用しており、同社は安い小売価格を提供する配達アプリと競争を展開している。B2B顧客に対するFreshketのセールスポイントは、正確な配達、豊富な品揃え、農産品の格付けだ。

Freshketが新たに調達した資金はサプライ管理テクノロジーを改善するのに使われる。将来的には融資や需要予測、価格マッチングなどのサービスにも手を広げたい、とパニアングウェット氏は話した。

東南アジアマーケットでは、さまざまな国の食品サプライチェーン合理化に注力しているスタートアップがいくつかあり、Freshketはそのうちの1社だ。他には、TaniHub(未訳記事)、インドネシアのEden Farm(未訳記事)、カンボジアのAgribuddy、シンガポール拠点のGlifeなどがある。

東南アジアのアーリーステージ企業を専門とするOpenspace Venturesにとって今回が3件目のアグリテック投資となる(他の2件はTaniHubと、シンガポールのグローサリープラットフォームRedMartだ)。

投資についての発表文の中で、Openspace VenturesのファンディングパートナーであるHian Goh(ヒアン・ゴー)氏は「高品質でイノベーティブなスタートアップにとってタイのマーケットは可能性を秘めていると我々は確信している。当社のタイにおける今年2件目の投資としてFreshketは我々の確信を反映している」。

カテゴリー:ニュース

タグ:Freshket 資金調達 農業

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(翻訳:Mizoguchi

元Monzoの技術者が開発する時間管理アプリのDaybridgeが約1億円調達

Monzo(モンゾ)の元エンジニア、Kieran McHugh(キーラン・マクヒュー)氏による生産性向上と時間管理アプリのDaybridge(デイブリッジ)が、Monzoの初期支援者であるPassion Capitalが率いるシードラウンドで75万ポンド(約1億500万円)を獲得した。

また、英国ロンドンに拠点を置く多数のエンジェル投資家も参加しているが、これにはほかのMonzo卒業生たちも含まれているようだ。Passion CapitalのEileen Burbidge(アイリーン・バービッジ)氏が、Daybridgeの取締役会に参加する。

マクヒュー氏がまだMonzoのオープンバンキングチームを率いていたときに、サイドプロジェクトとして開始されたDaybridgeの目標は、人間の時間をより適切に管理できるように支援する、デジタルアシスタントを作成することだ。まだ一般公開されていないが、アプリの機能はカレンダー、To-Doアプリ、ジャーナル、イベント計画、そして実績管理に及ぶものだ。

マクヒュー氏は私に対して、Daybridgeに関するより大きなビジョンは、ユーザーが自分の計画をどのように組み立てて、時間をどのように費やしてきたかについての「真の情報源として頼る」ことができるアプリにすることだと語った。

「Daybridgeを始めたのは、生産性向上と時間管理アプリに、進歩と革新が欠けていることに、苛立ちを感じ始めたからです」と彼はいう。「うまく整理を行いたい個人としての私のニーズを、少しでも満たすことができるようなものが、市場には何もないように感じたのです。すでに出回っているアプリは時代遅れで、実際の利用シーンからかけ離れていると感じたので、すべてを投げ捨てて、そもそもの原理原則から野心的な新しいアプリを設計することにしたのです」。

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マクヒュー氏が、アイデアを洗練し、プロトタイプを作成し、デザインをシステムとしてまとめあげるのには約6カ月が費やされたが、その間誰にも内容を説明せずフィードバックももらわないままだった。そこで、アイデアを検証するために、彼はランディングページをまとめ、6月中旬にツイートを行った。「言うまでもなく、その反応に圧倒されました。待機リストには1万を超える申込があったのです」と彼は振り返る。

そのことは、マクヒュー氏に、Daybridgeに専念するために仕事を辞める自信を与えた。「Monzoを去ることは本当に難しい決断でしたが、チームは信じられないほど協力的で、私のために喜んでくれました。3年間その職場で働けたことは、非常にスケーラブルなユーザー中心の製品を開発する上で、おそらく考えられる限り最高の学びでした。私は、Monzoの文化とエンジニアリングとデザインへのアプローチを取り入れて、まったく新しい状況に適用することができる立場にいると思っています」。

ところで、マクヒュー氏が信じているのは「銀行アプリを使ったからといってお金持ちにはなれないように」アプリ1つだけでは生産性が高くなったり整理ができるようにはならないということだ。その代わりに彼は、本当にうまくデザインされたアプリなら「物事を把握し、より健全な習慣を形成するのに役立つレール、ツール、気付き」を提供できると信じているのだ。

マクヒュー氏は、短期的にはDaybridgeの初期のユーザーが「プロシューマー」であることを期待している。彼がいうプロシューマーとは既に自分自身の時間をしっかり管理する必要のある人たちのことだ。「そうした人たちは、おそらく既に何らかのデジタル生産性システムを使っているか、あるいはbullet journal(バレット・ジャーナル)手法を使っているでしょう」と彼はいう。

とはいえ、長期的には、Daybridgeはプロシューマー製品またはエンタープライズ製品だけを狙ったものではない。多くの人々が毎日自分の時間を管理するために頼れるものになることが最終的な目標だ。

Daybridgeの創業者は次のように付け加える「この製品は、これまで他の製品を使って習慣を身に着けようとして失敗した人たちを、もう一度その気にさせるためのものにしようと思っています。従来の製品は投入する労力に比べて得られる利便性が少なかったのです。Daybridgeのようなアプリを探している人はたくさんいると思います、そうした人たちはまだこのシステムに出合えていないだけなのです」。

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画像クレジット:Daybridge

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(翻訳:sako)

製品のローカライズを簡単にするLokaliseが6億円超を調達

Lokalise(ローカライズ)はラトビアのスタートアップで、アプリやウェブサイト、ゲームなどの翻訳とローカライズを専門にしている。製品内のテキストをさまざまな言語に翻訳するためのワークフローとプロセスを容易にする機能をサービスとしてのソフトウェア(SaaS)のかたちで提供する。

このたび同社は、600万ドル(約6億3700万円)の資金調達ラウンドを完了し、Mike Chalfen(マイク・カルフェン)氏のリードでAndrey Khusid(アンドレイ・クシッド)氏、Nicolas Dessaige(ニコラ・デセイジュ)氏、Des Traynor(デス・トレイナー)氏、Matt Robinson(マット・ロビンソン)氏などが参加した。

アプリのアップデートを出荷しようとした時、翻訳が必要なボタンやテキストがまだ残っていたことに気づいて、多くの会社が無駄な時間を費やす。そのためのプロセスは手作業が多く、さまざまな言語のテキスト文字列の入ったファイルをやり取りすることになる。

「実は、ローカライズで一番よく使われているツールはいまもExcelとGoogleスプレッドシートだ。その次が内部で作ったスクリプトやツール」と共同創業者兼CEOのNick Ustinov(ニック・ウスティノフ)氏は語る。

Localiseはそのプロセスのスピードアップに焦点を当てた。言語ファイルは手動でアップロードするか、GitHubやGitLabに統合すれば自動的に変更部分を探してくれる。

その後はLokalize上で各言語の文を閲覧できる。翻訳チームはLokaliseのインターフェースを使ってテキストを編集する。ウェブベースのサービスなので全員が共通の土台で作業できる。

画像クレジット:Lokalise

他のチームメンバーと共同作業するためのツールもある。コメントやメッセージを送ることもできる。タスク完了時にイベントを起動したりタスクを割り当てることも可能で、例えばレビュー担当者に翻訳が完了したことを伝えることかできる。

作業が完了したら、Lokalise経由で言語ファイルをSDKやAPIを使ってモバイルアプリに送り込むか、オブジェクト・ストレージ・バケットにファイルをアップロードすればアプリが最新の言語ファイルをサーバーから取り出すことができる。

小さな会社で翻訳チームがいない場合、Google翻訳やプロの翻訳者のマーケットプレイスを使うこともできる。翻訳サイトのGengoやLokalise自身の翻訳マーケットプレイスが利用できる。ほかに、内蔵のスペリングや文法をチェックするツールで明らかな間違いを見つけることもできる。

「顧客のほとんどは、社内外の翻訳者や言語サービス・プロバイダー(LSP)と直接やりとりしている」とUstinov氏は言う。「SaaS製品が売上の90%を占めている。翻訳マーケットプレイスの売上は10%にすぎない」

現在同社には1500社の顧客がいて、Revolut、Yelp、Virgin Mobile、Notionなども利用している。年間経常収益は400万ドル。

Lokaliseが解決するのは非常に特殊なニーズだ。おそらくほとんどの会社にとっては過剰なサービスだ。しかし、製品のアップデートが頻繁で、世界中に顧客がいる会社にとっては、プロセスをちょっとスピードアップできるだろう。

画像クレジット:Lokalise

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

東南アジアの大手オンライン不動産業者PropertyGuruがKKRとTPGから290億円獲得

東南アジア有数の上場不動産会社であるPropertyGuru(プロパティグル)は9月2日、2億2000万ドル(約230億円)の新規出資を確保し、この地域で大きな進歩を遂げると発表(PropertyGuruリリース)した。

PropertyGuruは既存投資家でありバイアウトの巨人であるKKRとTPGからの資金で、同社にとっての主要市場であるシンガポール、タイ、インドネシア、ベトナム、マレーシアですでに意欲的に進めている事業を加速する。同社はそれぞれの国に特化した不動産ポータルを運営している。

今回の未公開市場からの資金調達の約1年前に、オンライン不動産業者である同社はオーストラリア証券取引所に上場する計画を撤回(THE KEN記事)した。2007年創業の同社は当時、最大2億7500万ドル(約290億円)の調達(ロイター記事)を目指していたという。同社がKKRから1億4400万ドル(約150億円)を調達した(未訳記事)ときから数えると2年近くになる。

PropertyGuruは2019年に前年比24%の増収と大きく成長し、自身の予想を上回った。同社は自らを東南アジア最大のプレーヤーと呼ぶが、手ごわい競争相手もいる。例えば99.coとiPropertyが昨年設立した合弁会社などだ。99.coには、Facebook(フェイスブック)の共同創業者であるEduardo Saverin(エデュアルロ・サベリン)氏、Sequoia Capital(セコイアキャピタル)、East Ventures(イーストベンチャーズ)などの著名な投資家が投資している。

オンライン不動産業者は東南アジアで積極的な拡大を続けている。この地域の比較的低い投資基準と高い賃貸利回りにあやかりたい不動産投資家にとって魅力的な目的地となっているためだ。その多くは、近年不動産投機が抑制されている近隣の中国の投資家だ(Bangkok Post記事)。

PropertyGuruの2020年はこれまでのところ多忙だ。シンガポールに住宅ローン市場を、また旅行が安全でなく実行も難しいこの時期に不動産開発業者や探索者のためのバーチャル内覧機能を立ち上げた。毎月、2450万人の不動産の探索者が同社のさまざまなプロダクトを利用して住宅を探している。登録されている住宅数は、最新の資金調達のニュースの時点で、地域全体で270万件に上る。

「過去数年間の強力な財務実績により、積極的かつスマートに投資し、今日の東南アジア市場でのユニークな機会に対応する差別化された統合テクノロジープラットフォームを構築することができた」とHari V. Krishnan(ハリ・V・クリシュナン)最高経営責任者は声明で述べた。

画像クレジット:PropertyGuru

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(翻訳:Mizoguchi

Qualcomm製品を搭載した中国の複合現実スタートアップNrealが42.5億円を調達

中国で最も注目されているMR(複合現実)のスタートアップであるNrealが、高名な投資家たちのグループからシリーズBで4000万ドル(約42億5000万円)を調達した。これにより同社のポータブル拡張ヘッドセット(未訳記事)の普及が、さらに進むと期待されている。

中国版TikTokのDouyinとライバルであるKuaishouがこのラウンドをリードしたことで、既存の投資家である中国のNetflixと呼ばれるiQiyiに続きNrealとの連携を確立するビデオプラットフォームがまた1つ増えた。世界中の他の主要な動画ストリーミングサイトと同様に、KuaishouとiQiyiは拡張現実コンテンツの制作に取り組んでおり、ハードウェアパートナーの確保は彼らの初期的な実験に役立つことは間違いない。

この他にも、国有金融持株グループのShanghai International Groupや中国の大手映画スタジオであるHengdian Groupを投資家とするGP Capital、国有通信機器メーカーのChina Electronics Corporationと国有の投資銀行である中国国際金融(China International Capital Corporation)が設立したCCEIF Fund、著名なプライベートエクイティ会社のHillhouse Capitalが設立したアーリーステージファンドであるGL VenturesやSequoia Capital Chinaといった、業界の豊富な資金力を持つ企業がこのラウンドに参加している。

2019年初めにNrealはXiaomi創業者のベンチャーファンドであるShunwei CapitalからシリーズAの1500万ドル(約15億9000万円)を調達した。当時、私が書いた(未訳記事)ようにAR、VR、MR、XRは、XiaomiのIoT帝国にとって重要なピースになることは間違いない。スマートフォンの超大手企業であるXiaomiが将来的にいずれNrealにスマートグラスを求めるであろうことは、火を見るよりも明らかだ。

創業3年の企業であるNrealにとって、その他の重要なパートナーはQualcommだ。このチップメーカーはは中国における5Gの展開に積極的に貢献し、中国の大手スマートフォンメーカーの次世代ハンドセットに採用されている(Qualcommリリース)。Nrealの軽量MRグラスに対してもクアルコムはSnapdragonプロセッサーを供給し、それらが容易にAndroidスマートフォンに接続できるようにした。

ARとVRに関するコンサルタントであるSeewan Toong(シーワン・トン)氏は「クアルコムと親密になったNrealは同社の顧客ネットワークにアクセスできるようになっており、その中には通信企業もいる」と語る。

それどころかこの複合現実技術を開発するNrealはすでに日本の通信企業であるKDDIと契約(KDDIリリース)し、韓国ではLGの携帯キャリアであるLG Uplus Corp(The Korea Herald記事)と提携している。

今回の最新ラウンドで、Nrealの総調達額は7000万ドル(約74億4000万円)を超え、同社によると5G時代における複合現実技術の大量採用が加速されるという。

Nrealがどのようにしてその約束を果たし、大規模でユーザーを確保し、大手テクノロジー企業の複合現実におけるのシンボルのような役割を超えていくのかは、今後の課題となっている。

これまでのところ、大手通信企業との取引はNrealと法定で争っていた(Engadget記事)Magic Leapの取引を思い出させるが、中国の企業はまだ現金を使い果たしていないように見える。その一方で、問題を抱えた米国企業は、消費者市場の開拓に失敗した後、エンタープライズ指向へと方向を変えている(未訳記事)。

「Nrealは忍耐づよく、大量販売ができることを示すために急いでいるわけではない。現在、同社はその技術にユーザーシナリオがあることを証明しようとしている」とトン氏はいう。

カテゴリー:VR / AR / MR

タグ:中国 Nreal 資金調達

画像クレジット: Nreal

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

医療技術スタートアップのuMotifが7億円超を調達、新型コロナで患者自身がフィードバックする遠隔臨床研究が加速

医療技術スタートアップのuMotifは、患者が治療や治験のために自分自身をモニターし、それをプラットフォームにフィードバックすることで、臨床研究へのより迅速なアプローチを可能にするアプリを開発した。現在、英国の既存投資家であるAlbionVCが主導し、ノルウェー・オスロを拠点とするDNV-GLや既存のエンジェル投資家も参加しているシリーズA投資ラウンドで500万ポンド(約7億500万円)を調達した。今回のラウンドを経て調達資金の総額は750万ポンド(約10億5800万円)となった。

uMotifのプラットフォームは、患者がデータを提出するために病院などのサイトに行かなければならない中央集権的な研究に徐々に取って代わられつつある、ライフサイエンス企業に販売されている。この傾向は明らかに新型コロナウイルスの感染蔓延によって加速しているようだ。uMotifは、現在26カ国で進められている研究で使用されており、皮膚科や希少疾患からがんや心臓病まで、25以上の治療分野に渡って臨床から現実の環境までを網羅している。最大の研究では、1万3000人以上の参加者の痛みのレベルや状態を追跡した。この研究はBBCで取り上げられ、ネイチャー誌にも掲載された。

競合他社としてはほぼ米国を拠点とする企業で、SnapIOT、Medable、Clinical Inkなどの組織や、その他の大手プラットフォーム企業などがある。

uMotifのCEO兼共同創業者であるBruce Hellman(ブルース・ヘルマン)氏は声明で「今回の新たな資金調達は当社の開発を急速に加速させ、最終的には顧客がより早く新しい治療法を患者さんに届けるための一助となるでしょう」と述べている。

アルビオンVCの副社長パートナーであるAndrew Elder(アンドリュー・エルダー)博士は「臨床試験中に信頼性の高い患者データにアクセスできることは、これまで以上に重要な意味を持ちます。uMotifのプラットフォームは、すべてのステークホルダーにとってウィンウィンであり、このプラットフォームは、何百万人もの患者に治療法を提供するためのスピードと効率に革命を起こす可能性と勢いを持っています」と述べた。

画像クレジット:uMotif

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(翻訳:TechCrunch Japan)

セールスデモプラットフォームの開発のDemodeskが8.5億円調達、新型コロナでオンライン商談のニーズ高まる

2020年の新型コロナウイルスの大流行に伴い、対面でのミーティングが廃れてきていることは明らかです。それでも営業チームは、見込み客、特にSaaSベンダーに向けて製品をデモする方法を必要としている。そんな中、アーリーステージスタートアップであり、Y Combinator Winter 2019の卒業生でもあるDemodeskは、オンラインセールスデモプラットフォームを構築している。

同社は米国時間9月3日、Balderton Capitalが主導し、Target Globalが参加した800万ドル(約8億5000万円)のシリーズA調達ラウンドを発表した。同社はこれで昨年発表したシードラウンドを含め、合計1030万ドル(約11億円)を手にしている。

Demodeskは、多忙な営業マンがより自動化された方法で会議を設定できるように、知性を駆使してオンラインで営業デモをリモート配信するプラットフォームを構築した。このスタートアップは来年まで資金調達を考えていなかったにもかかわらず「新型コロナウイルスの感染蔓延がこのようなツールの市場での必要性を加速させた」とCEO兼共同創業者のVeronika Riederle(ベロニカ・リーデル)氏は語る。

「当初は来年の初めごろに次のラウンドの資金調達を予定していましたが、新型コロナウイルスの感染蔓延が起きたことで、より早く資金調達ができました。市場での需要が非常に高いため、基本的には今より少し早く成長し、より早くツールを構築することが可能になりました」と続ける。

「新型コロナウイルスの感染蔓延の中でも、営業チームは顧客と会う必要があります。Demodeskはそのための方法を提供しています」と同氏。Demodeskは、Zoom、WebEx、GoToMeetingなどの一般的なミーティングソフトウェアとは大きく異なります。「一般的なミーティングソフトウェアは画面共有が可能ですが、DemoDeskには異なる点があります」と同氏は強調する。

DemoDeskは、デスクトップのライブバージョンや、2人が同じものを見ているような録画ではなく、クラウド上に仮想デスクトップを構築し、顧客にはプレゼンテーションやデモを見せながら、営業担当者は顧客が見ることのできないメモやその他の情報も参照できるのだ。この仮想的なアプローチにより、企業はデモに関するデータを取得し、何がうまくいったのか、何がうまくいかなかったのかを営業チームが理解するのに役立つ。

さらに同社は今年、顧客と営業チームが空き時間を共有できる新しいスケジューリングツールを製品に追加した。「顧客は自分の都合のいい時間を選択し、いくつかのデータを入力するだけで自動的にカレンダーの招待状を送信して営業担当者のカレンダーに入れ、リマインダーを送信することができます。そのため、スケジュールの調整からミーティングの準備、そしてミーティング中のサポートまでをすべてDemodeskに任せられます」とリーデル氏。会議終了後は、会議のメモをSalesforceや他のCRMツールと自動的に共有することも可能だ。

同社の現在の従業員数は22名だが、来年末までに50名に増やすことを目標としている。「会社を成長させるには、多様性と包括性が重要な考慮事項」とリーデル氏。実際、多様性は同社の5つのコアバリューの一部だ。「国際的な企業として多様性の重要度は増しているが、それだけでない」と同氏は説明する。「チーム内に多様性があれば、より創造的であるため、よりよいアイデアを生み出すことができます。さまざまな方法で考え、より興味深い議論をすることができます」と続ける。

2017年創業の同社は、150社の顧客を持つまでに成長した。これまでは顧客はほとんどがソフトウェア企業だった。同氏によると、最近では他業界でもこのプラットフォームを利用し始めているという。新型コロナウイルスの感染蔓延の前に戸別訪問を行っていた太陽光パネル会社などは、顧客を直接訪問できなくなったが、このツールを利用することでビジネスの継続に役立っているそうだ。

リーデル氏は、オンラインデモのほうが効率的でコストがかからず、会議に出向く必要がないため環境にもいいと考えている。

画像クレジット:Ada Yokota / Getty Images (Image has been modified)

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(翻訳:TechCrunch Japan)

ソフトバンク・ビジョン・ファンド2がデジタル療法のBiofourmisへの100億円超投資をリード

AIによるデータ分析とバイオセンサーを結びつけて治療の進捗をモニターするBiofourmisが、いま世界で最も注目を集めている投資家からの資金を調達した。このデジタル療法企業はシンガポールで起業し、現在本社はボストンにある。同社は米国時間9月2日間、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2がリードする1億ドル(約106億円)のシリーズCを完了したことを発表した。既存投資家であるOpenspace VenturesとMassMutual Ventures、Sequoia Capital、およびEDBIもこのラウンドに参加した。

同社のこの前の資金調達の発表は、2019年5月の3500万ドル(約3億7000万円)のシリーズA(未訳記事)で、これはSequoia IndiaとMassMutualがリードした。後者は、Massachusetts Mutual Life Insurance Companyのベンチャーキャピタル部門だ。

Biofourmisのプラットホームは、AIを使った健康分析と着用型のセンサーを組み合わせて、ヘルスケアのプロバイダーによる患者の回復の進捗や薬などの処置の効果の判定を助ける。同社は2015年にCEOのKuldeep Singh Rajput(クルディープ・シン・ラージプート)氏と専務取締役のWendou Niu(ウェンドゥ・ニュー)氏が創業した。同社によると今回の投資は、東南アジアのヘルスケアスタートアップへの投資額としてこれまでで最大である。同社は、ボストンとシンガポールのほかに、スイスとインドにもオフィスがある。

同社のシリーズAの資金調達以来、Biofourmisは一連のパートナーシップにより成長を続けた。その主なパートナーは、7社の製薬企業と10社の医療システムだ。Novartis、AstraZeneca、Mayo Clinicなどの有名企業も含まれる。買収もいくつか行い、それにはバイオセンサーのBiovotionとガン患者のためのデジタル療法企業であるGaido Healthが含まれる。

今回の資金の主な用途は、心臓病や呼吸器疾患、腫瘍、痛みなどの新しい治療法を検証し、市場に持ち込むことだ。Biofourmisはまた、米国とアジア太平洋市場、特に中国と日本への拡張を計画している。

Biofourmisの本日の発表によると、今後同社は経営を、Biofourmis Therapeuticsと Biofourmis Healthの2本立てにする。前者Biofourmis Therapeuticsは、AstraZenecaや中外製薬などとのパートナーシップにより、医薬処置の効果を増強するためのソフトウェアを作る。そしてBiofourmis Healthは、同社の本拠地的医院として、ヘルスケアのプロバイダーが患者の急性期治療からの回復過程をリモートでモニターできるようにする。Biofourmis Healthは特に、心臓病と冠動脈疾患、呼吸器疾患、およびがんにフォーカスする。

EDBIはシンガポールの政府系投資企業で、ヘルスケアなど、国の産業の進歩に寄与するようなスタートアップを探している。EDBIのBiofourmisへの投資は政府としての戦略的投資でもあり、同社の技術による新型コロナウイルス再発(Channel News Asia記事)の対処が期待されている。

昨年の7月に発表されたソフトバンク・ビジョン、ファンド2は、AIを利用する技術に約12兆円を投資することを目的に創設された。最初のビジョン・ファンドは巨額の損失に直面しているが、その多くはWeWorkとUberから発生している。そこで今では、ヘルスケアなど特定の市場に集中するビジョン・ファンド2のパフォーマンスが注目されている(CNBC記事)。これまでヘルスケアの分野では、薬のデリバリーのAlto(Business Insider記事)、ライフサイエンスのKarius(Kariusプレスリリース)などに投資済みだ。これらの投資も、やがてその効果が判定される。

プレス向けの声明でSoftBank Investment AdvisersのパートナーであるGreg Moon「グレッグ・ムーン)氏は「医療の未来は予測的ヘルスケアにある」と信じている。そして「Biofourmisは、デジタル療法の進歩にAIと機械学習によるモデルを用いる技術の先頭を歩んでいる」と続けた。

画像クレジット: Biofourmis

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

おやつのサブスク「snaq.me」が2.6億円を調達、設備・生産者網整備に投資

おやつのサブスクサービス「snaq.me(スナックミー)」を運営するスナックミーは9月3日、W ventures、デライト・ベンチャーズ、SMBCベンチャーキャピタル、オイシックス・ラ・大地が運営するCVCファンドのFuture Food Fundを引受先とする第三者割当増資と、日本政策金融公庫からの融資により、総額約2.6億円の資金調達を実施したことを明らかにした。今回の調達は2019年5月の調達に続くもので、同社の資金調達額は累計で約6億円となる。

コロナ禍のフードロス対策やおつまみ商品開発にも取り組む

スナックミーは2015年9月の設立で、2016年3月におやつのサブスクリプションサービスsnaq.meをスタートした。100種類を超えるおやつの中から、「おやつ診断」でパーソナライズされたぴったりのおやつが、8種類選ばれて届くsnaq.me。それぞれが20〜30グラムの食べきりサイズのおやつは、人工添加物、白砂糖、ショートニングなどが使われておらず、自然素材でできている。1箱当たりの価格は1980円(税込)で、受け取り頻度は2週に1回、または4週に1回から選ぶことができる。

snaq.meの「おやつ診断」画面

サービス提供開始から、売り上げは月次で5〜10%ずつ伸びており、直近の1年では倍ぐらいに成長しているという。また取引先生産者は100社を超えた。今年3月にはサービス開始4周年を機にブランドの見直しも行っている。

スナックミー代表取締役の服部慎太郎氏によれば、新型コロナウイルスによる外出自粛などの影響で「在宅ワークになったことをきっかけにサブスクリプションを始めた顧客や、会社から自宅に送り先を変えた顧客など、自宅での需要は少し伸びている」とのこと。一方で「全国100社の取引先生産者の中には、コロナの影響でお土産屋さんや百貨店での売り上げが落ちたというところも多く、一緒に何かできないかといった問い合わせが来るようになっている」という。

「老舗の和菓子屋さんと商品開発をしてECで販売するなど、生産者との向き合い方が変わった。よりプラットフォーム的な動きが活発になった」(服部氏)

コロナ禍以前からスナックミーではフードロス解決への取り組みとして「アップサイクル」商品の開発・販売を行っているが、これらの商品は感染症拡大を受けて売り上げが減少した生産者の支援にもなっている。

「サブスクサービスなのでもともと破棄はほとんどないのだが、フードロスが気になるという顧客の声もあり、もう一歩進んだ取り組みを行うようになった。顧客には環境や食糧問題に関心の高い人が多い。今後も力を入れてやっていきたい」(服部氏)

新型コロナの影響では、宅飲み、オンライン飲みのニーズの高まりも見逃せないようだ。スナックミーでは4月15日、ビールに合う人気のおつまみ7種を詰め合わせたBOX「オツマミー」を販売。これが好評だったことから、第2弾としてワインに合うおつまみセットの「オツマミー for ワイン」、第3弾ではIPAとのペアリングを考えた「オツマミー for IPA」を相次いで販売してきた。

「この夏は、顧客にsnaq.meからオツマミーBOXに変更できるプランを用意してみたが、利用は多い。複数のブランドをポートフォリオとして持っておくことは、デジタル発の食品ブランド、食品メーカーを目指す当社の戦略としては正しいこと。オツマミーもブランドとしてしっかり育てていこうと考えている」(服部氏)

スナックミーでは資金調達と同じ9月3日、オリオンビールとのコラボレーションで開発した「オツマミー for オリオンビール」の販売も発表している。黒糖醤油味のジャーキーやゴーヤチャンプルー風のナッツ、ペッパーチーズ味のちんすこうなど、沖縄気分を満喫できる7種のおつまみは3日の15時から発売される予定だ。

「オツマミー for オリオンビール」イメージ

設備・倉庫へ投資、生産者のプラットフォーム構築にも力入れる

スナックミーでは商品の配送は業者が担当しているが、設備や倉庫は自社で運用を行っている。100種類以上ある商品を毎月入れ替えながら、顧客ごとにパーソナライズして組み合わせていくオペレーションも、ここで実施されている。

その倉庫の規模が顧客の増加に合わせて大きくなっていると服部氏はいう。「今後、資金調達を踏まえて、設備や機械、倉庫の自動化などへの投資は増えるだろう。ロジスティック周りの仕組みを作り込んでいくフェーズになっている」(服部氏)

また服部氏が今後もうひとつ力を入れたい、と語るのが、生産者側のプラットフォーム化だ。新型コロナで困っているという生産者との話もあり、意を強くしたということのようだ。

「自社でのマーケティングや販売はそれほど得意ではないが、いいものを作ろうというところや、地元の素材を使っているところなど、地方の道の駅に商品を卸されているような生産者さんと、スナックミーは相性がいい。全国にそうした生産者はたくさんある中で、まだまだ発掘し切れていない。そこをプラットフォーム化したい。印刷業界でラクスルなどの企業が地方の印刷会社をネットワーク化しているように、生産者のネットワークも広げていき、OEMモデルでプラットフォーム的な動きを志向していこうと考えている」(服部氏)

服部氏は顧客ユーザーのニーズと、路面店の売り上げが上がりにくいところをつなぎ合わせる役割になれれば、と話す。

「我々は『お菓子』と『おやつ』という言葉を使い分けていて、『お菓子を食べている時間も含めて、おやつ体験』と捉えている。新しいおやつ体験をつくることで、おやつの時間の価値を上げることをミッションとした、デジタル発のおやつブランドを目指している。今後もユーザー、生産者の皆さんとそこへ近づければいいなと思っている」(服部氏)

写真中央:スナックミー代表取締役 服部慎太郎氏

Impossible Foodsの元データサイエンティストが機械学習を活用してチーズ業界に参入、8億円を調達

Oliver Zahn(オリバー・ザーン)氏の最初の職業は星の研究だった。データサイエンスを利用して動物性タンパク質を植物性の代替製品に置き換えるスタートアップClimax Foodsの創業者である彼は、カリフォルニア大学バークリー校で空を凝視しながら数年を過ごし、その後、Pat Brown(パット・ブラウン)氏とImpossible Foodsを知り、同社の主席データサイエンティストになった。

この経験のため、ザーン氏は空よりも地上の物に関心を持つようになり、Climax Foodsを立ち上げるに至った。

そして今や、Google Xの共同創業者であるTom Chi(トム・チー)氏が興したAt One VenturesをはじめManta Ray VenturesやS2G Ventures、Valor Siren Ventures、Prelude Ventures、ARTIS Ventures、Index Ventures、Luminous Ventures、Canaccord Genuity Group、Carrot CapitalそしてGlobal Founders Capitalなどから750万ドル(約8億円)を調達して、ザーン氏は食べ物の未来に挑戦することになった。

投資家への売込みはJust Food(元Hampton Creek)のJosh Tetrick(ジョシュ・テトリック)氏と似ており、シンプルでエレガントだ。自然界には今、動物から作られて製品化されているものと同等、もしくはそれよりも優れた性質のタンパク質がある。話の骨子はそれだけだ。

では、動物製品の何がそれをおいしいと感じさせるのだろう。同社は植物の中にそれと同等な物を見つけて、生産を開始するつもりだ。

データサイエンスの応用がどれもそうであるように、ここでも分類学が鍵となる。Climax Foodsは、分子の構造を処理して相互参照して、最適なものを見つけ出す機械学習のアルゴリズムを構築している。同社はそれを、チーズで始めた。

チーズのような平凡な物に天体物理学に匹敵するほどの挑戦価値があるとは思えないが、現在ではさまざまな企業が、数億ドル(数百億円)を調達して大規模な乳業業界に挑戦しているのだ。

「工業化によって爆発的な人口の増加と動物製品の消費が可能になったが、そんな時代は終わろうとしている。今日では哺乳類動物の90%以上、そして地球上のすべての鳥類の70%以上が、植物の代謝というたった1つの目的のために存在し、食糧に換えられている。この産業は複雑で無駄が多い。そして気候変動の原因としては、地球上のすべての自動車を合わせたよりも大きい。しかも、地球上の水と利用可能な土地の1/3以上を使っている。Climax Foodsは、食品科学のイノベーションを加速することで、環境への悪影響なく植物を美味な食品に換えることができる」とザーン氏は声明で述べている。

チーズの巨大産業複合体とそのミルク製の怪物を倒すクエストでザーン氏の仲間になったのは、業界の経験豊富なベテランたちだ。まず共同創業者のCaroline Love(キャロライン・ラブ)氏は同社のCOOで、以前はJust Foodの営業と業務担当役員だった。そしてPavel Aronov(パベル・アロノフ)氏は、スタンフォード出身の化学者で、これまで巨大化学企業であるThermo Fisherにいた。

植物タンパクの分野に大きな投資をしているS2G VenturesのSanjeev Krishnan(サンジーブ・クリシュナン)氏は、次のように語っている「Climax Foodsは市場と食品の体系を変えるという類似他社と同じ機会に取り組んでいるが、しかし彼らの技術的アプローチはまったく新しい。彼らはデータサイエンスを利用して、新しいカテゴリーの食品を作ろうとしており、それらは既存の動物製品と競合するだけでなく、味や栄養密度そして価格の面でそれらに打ち勝つ素質がある。Climax Foodsが開拓中のマシンインテリジェンスによるアプローチは、究極のデジタルレシピを作るために用いられるおびただしい数の原料や自然な加工技術を正しく有効に活用していくために欠かせない技術である」。

クリシュナン氏は、植物タンパクの企業として最も成功している上場企業であるBeyond Meatにも投資している。

関連記事:Impossible Foodsが220億円超を追加調達、世界展開とポークやステーキ、ミルクなどの開発を推進

カテゴリー:フードテック

タグ:Climax Foods 資金調達

画像クレジット:Steven Lilley/Flickr CC BY-SA 2.0のライセンスによる

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Semalytixが世界最大の患者の体験をまとめたデータセット構築を目指し5.4億円調達

患者の実体験の深い理解に役立てるAIを活用したデータツールを製薬会社に提供する、ドイツのビーレフェルトに拠点を置くスタートアップのSemalytix(セマリティクス)が、シリーズAで430万ユーロ(約5億5000万円)を調達した。

ベンチャーキャピタルのbtov Partnersがラウンドをリードし、既存投資家からFly Venturesと未公表のエンジェルが参加した。Semalytixは、注入されたキャッシュで製薬会社と、さらにより広範なヘルスケア市場での事業開発を拡大する。

Semalytixは、研究グループであるSemantic Computing(セマンティックコンピューティング)からスピンアウトする形で2015年に設立された。データおよびAIアナリティクスのスタートアップとして売り出し中だ。同社は、新薬や治療法の開発に役立つ現実に即した情報を提供したいと考えている。Semalytixの主力製品である「Pharos」は患者に関する研究ツールでブログ、フォーラム、ソーシャルメディアなどの形で一般に公開されている非構造化データを取得して整理し、アルゴリズムを適用する。そして満たされていない患者のニーズ、治療の体験、病気が患者の生活に与える影響の深刻度に関する情報を提供する。

「我々のビジョンは、患者に関する洞察を医薬品開発における北極星のようなKPIとすることだ」とSemalytixの共同創業者兼CEOのJanik Jaskolski(ジャニク・ジャスコルスキー)氏は筆者に語った。「新しい規制イニシアチブ(および世論のプレッシャー)により、製薬会社は創薬において患者中心主義を貫いていると証明する必要がある。意思決定に患者の視点を組み込み、治療が現実世界で価値を生み出すという証拠を提供する必要がある。患者にとっての価値は、例えば血糖値がさらに3%低下するということではない。生活の質を向上させて、子供たちともっと遊ぶことができるか、単純に日々の仕事が楽になるのかに関心がある」。

しかしジャスコルスキー氏は、患者の洞察に関する根拠を入手するのは難しいと主張する。「患者は尋ねられると多くの場合、医師ならどういうかということを考えるため、病気が自分の生活にどう影響するか、改善するには何が必要かについて本心とは異なる話をする。医師や病院のデータを分析しないのはこのためだ。代わりにオンラインで入手できる世界中の患者の本物の声に注目している」。

SemalytixのAIは、非常にスケーラブルな方法で何百万ものオンライン患者の体験を識別し、読み込み、要約できるという。11の異なる言語をカバーし、データをさまざまな疾患ごとにオンライン上の目的母集団に変換することも可能だ。「WHO(世界保健機関)、FDA(米食品医薬品局)、EMA(欧州医薬品庁)にヒントを得たアルゴリズム研究ツールにより、分析を製薬業界にとって透明かつ科学的に意味のあるものにした」とジャスコルスキー氏は付け加えた。

画像クレジット:Semalytix

電子カルテや患者の登録情報のようなデータソースはすでにスタートアップから多くの注目を集めているが、ジャスコルスキー氏は今日存在する非構造化患者データの最大の情報源はなお見逃されているという。同氏は非構造化患者データが「患者のケアを改善し、新しい治療法の発見につながる可能性」を持っており、臨床試験の開発に役立つ情報を提供し、稀な症状に対する新しい治療法の開発を加速することさえ可能だと主張する。

Semalytixのビジネスモデルは実証済みだ。同社はプラットフォームにアクセスできる法人向けライセンスを販売している。企業は疾患ごとに12カ月以上の条件でライセンスを購入できる。「ライセンスにより疾患固有のサブグループ分析や母集団の評価ができるだけでなく、さまざまな疾患の重症度、治療体験、生活の質に基づくコホートを作成することができる」とジャスコルスキー氏は付け加えた。

「今後、プラットフォームにもっと多くの疾患を取り入れ、製薬会社だけでなく保険者(payer)やヘルスケアの規制当局側にも患者に関する一連の独自データを提供したいと考えている」。

カテゴリー:ヘルステック

タグ:Semalytix 資金調達

画像クレジット:Semalytix

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(翻訳:Mizoguchi

ご近所SNS「マチマチ」が東京消防庁と連携、コロナ禍対応のデジタル防災インフラ目指す

各地域に特化したSNSを運営するマチマチは9月1日、東京消防庁との協定を締結した。東京消防庁が、スタートアップ企業と提携するは初とのこと。

マチマチは、2015年10月設立のスタートアップ。居住地、勤務地、出身地を設定し、半径1〜10km内に地域設定した利用者同士がコミュニ ケーションをとれるSNSを運営している。同SNSでは、設定した地域の情報を得たり、他の利用者の投稿へコメントを投稿するなどの機能を備える。

主な用途としては、子育て中の女性が地域の保育園、幼稚園、病院、イベントなどの情報を交換するのに利用しているとのこと。サービス利用開始時に携帯電話番号を用いたSMS認証による本人確認を行っており、実名もしくはニックネームによりサービスを利用するため、不特定多数が参加する匿名掲示版に比べて安心して使えるのが特徴だ。

東京消防庁との具体的な締結内容としては、東京消防庁がマチマチのSNSを活用し、防災訓練や防災知識の情報を各地域ごと発信可能となる。さらにマチマチ上で、全国1800以上の地域で展開している「災害情報共有コミュニティ」を活用し、住民同士の共助を中心とした防災の強化が行えるという。平時の防災の強化としては、防災訓練の認知度向上、防災知識の共有 台風、地震など。災害時としては、近隣住民同士の共助、被災状況の共有などがある。

なお、東京消防庁は、「あつまれどうぶつの森」を活用した防災動画をSNSで公開するなど、ネットを活用した情報を提供を強化している。

同社は今回の東京消防庁との提携に合わせ、情報システム、化学品の販売を手掛ける三谷産業、マンションの大規模修繕、インフラメンテナンス、建築・リフォームなど事業を手掛けるカシワバラ・コーポレーション、レンタルサービス大手の三和物流サービス、個人投資家などなどを引受先とする第三者割当増資も明らかにした。

今回調達した資金は、開発体制、地方展開の強化を進めていくという。出資元の事業会社との連携で、地域コミュニティの活性化を進めるようだ。

これまでのマチマチの災害発生時の活用例としては、以下のような事例がある。

  1. 2019年台風15号および19号発生時の活用例:台風19号の接近時にマチマチは、近隣の被災状況(川の水位上昇、浸水など)や避難所のキャパシティ(満員で入れないなど)などの情報を住民同士で共有。
  2. 新型コロナウイルス感染拡大時の活用例:2020年3月ごろより、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、近隣住民同士で新型コロナウイルスの感染情報、在宅勤務時の過ごし方、近隣の店舗、公共施設の混雑情報、生活物資の在庫情報(マスクなどの販売状況)、テイクアウト・デリバリー対応店の情報などを活発に共有。

なお同社は、2020年8月31日時点で29の公共機関、1省庁および1団体と提携している。

提携及び協定締結自治体

  • 東京都:渋谷区、豊島区、文京区、港区、中野区、目黒区、江戸川区、品川区、北区、小金井市
  • 埼玉県:さいたま市
  • 神奈川県:横浜市、川崎市、厚木市、寒川町
  • 千葉県:千葉市、習志野市、鴨川市
  • 茨城県:水戸市、土浦市
  • 愛知県:犬山市、名古屋市
  • 静岡県:三島市
  • 岐阜県:関市
  • 大阪府:大阪市
  • 兵庫県:神戸市
  • 秋田県:湯沢市
  • 長崎県:佐世保市
  • 香川県:高松市

提携省庁
東京消防庁

提携団体
一般社団法人大森医師会

水産物の品種改良とスマート養殖のスタートアップ「リージョナルフィッシュ」が約4億円を調達

水産物の品種改良とスマート養殖のスタートアップ「リージョナルフィッシュ」が約4億円を調達

水産物の品種改良とスマート養殖を手がけるリージョナルフィッシュは8月31日、シリーズAラウンドにおける第三者割当増資として総額4億3200円の資金調達を完了したと発表した。

主要引受先は、きょうと農林漁業成長支援ファンド投資事業有限責任組合、Beyond Next Ventures(既存)、宇部興産、三菱UFJキャピタル、中信ベンチャー・投資ファンド5号投資事業有限責任組合、イノベーションC投資事業有限責任組合。

今回調達した資金は、水産物の品種改良(対象品種の拡大+新規特性の付与)とスマート養殖の研究開発を進めるとともに、地元京都での品種改良済み品種の上市を目指す。

  • 品種改良の対象品種および新規特性の拡大、効率的な品種改良技術の開発に向けた体制の充実
  • スマート養殖(養殖水浄化や自動化など)の実現に向けた研究開発
  • 京都での品種改良済み品種の量産および上市の体制構築

2019年4月設立のリージョナルフィッシュは、京都大学大学院農学研究科 木下政人助教、近畿大学水産研究所 家戸敬太郎教授らを創業者とし、京都大学・近畿大学などの技術シーズをコアとするスタートアップ。社名のリージョナルフィッシュ(地魚)は、各地域の環境にに合う魚を作り、地方創生に貢献したいとの思いからの命名という。

オープンイノベーションを通じた、短期間の品種改良とスマート養殖を組み合わせた次世代水産養殖システムを作り、「世界のタンパク質不足の解消」(SDGs 2番:飢餓をゼロに)、「日本の水産業再興および地域の産業創出」(SDGs 8番:働きがいも経済成長も)、「海洋汚染の防止」(SDGs 14番:海の豊かさを守ろう)を目指している。

従来は30年程度の時間がかかった水産物の品種改良において、アカデミアの超高速の品種改良技術を適用することにより、2年での品種改良に成功しているという。

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水揚げ直後の鮮魚を遠隔地のバイヤーが直発注できる「UUUO」が登場、伊藤忠系ファンドからの資金調達も実施

ウーオは8月31日、産地市場のセリに並ぶ鮮魚を発注できるプラットフォーム「UUUO」をリリースした。UUUOを利用することで、同社が買付の権利(買参権)を保有する鳥取港、網代港および全国の提携産地で水揚げされた鮮魚約60種以上がアプリ経由で発注可能になる。

UUUOでは、産地の漁港に水揚げされた魚の写真・水揚げ量・サイズ毎の相場をリアルタイムで確認できるシステムを導入。消費地市場の水産業者や鮮魚バイヤーがリクエスト機能を使って希望条件を入力すると、産地の仲卸業者に対して直接買い付け要望を出すことが可能になる。

UUUO Baseメンバー

ウーオが鳥取市に擁する自社出荷拠点のUUUO Base以外にも、現在100以上の漁港と提携しており、各産地から鮮魚・活魚の出荷も可能となっている。今後、100港以上の提携産地から直接アプリで買付けられるように開発を進めて行く計画だ。現在、買い付け可能なエリアは以下のとおり。

■山陰エリア
鳥取港、網代港、香住港、浜坂港、諸寄、浜田、宇部
■近畿・北陸エリア
舞鶴、大島、佐渡島
■四国エリア
阿南、椿泊、伊座利、阿部、志和岐、東由岐、木岐、日和佐、牟岐東、牟岐、浅川、鞆浦、宍喰、甲ノ浦、野根、愛南町、宇和島、八幡浜
■九州エリア
唐津、九十九島

また今回のリリースに併せて、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、インキュベイトファンドなど各社が運営するファンド、複数の事業会社などを引受先としたシリーズAラウンドの第三者割当増資を実施したことも明らかにした。今回調達した資金は、UUUOの開発人材と国内水産市場開拓の営業人材を強化することでサービスの拡充を図っていくという。第三者割当増資の引受先は以下のとおり(順不同)。

  • 伊藤忠テクノロジーベンチャーズ
  • インキュベイトファンド
  • ツネイシキャピタルパートナーズ
  • 広島ベンチャーキャピタル
  • Full Commit Partners
  • とっとりキャピタル

広島オフィスメンバー

ウーオで代表取締役を務める板倉一智氏は、幼いころから漁業従事者に囲まれた環境で育ち、水産業と密着した環境の中で大学時代までを過した経験を持つ人物。大学卒業後に2006年4月日本通運に入社し航空貨物を専門とする航空事業部へ配属されるが、地元での漁船の減少やセリの衰退を目の当たりにして起業を決意したという。