アップルがiPhoneのデータを使ったメンタルヘルスのモニタリングに取り組んでいるとの報道

Apple(アップル)は、iPhoneを使ってうつ病や不安症、認知機能の低下などの症状を検出・診断する方法を研究していると報じられている。ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、研究者たちは、動きやすさ、睡眠パターン、人のタイピングの仕方などのデータを分析することで、これらの状態に関連する行動を発見できるのではないかと期待している。

また、そのデータには顔の表情分析や心拍数、呼吸数などの測定も含まれているかもしれない。すべての処理はデバイス上で行われ、Appleのサーバーにデータが送られることはない。

Appleは、これらの機能の開発につながる研究プロジェクトを進めている。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)では、2021年から始まる研究で、3000人のボランティアのApple WatchとiPhoneのデータを用いてストレス、不安、うつ病について研究を進めている。2020年に始まった試験フェーズでは、150人の参加者のデータを記録した。

研究者たちは、iPhoneやApple Watchのセンサーから取得したデータと、参加者が記入した気分に関するアンケートを比較するとのことだ。また、参加者の毛根に含まれるストレスホルモンであるコルチゾールのレベルも測定すると言われている。AppleとUCLAは、2020年8月に3年間の研究を発表した

今回のAppleのプロジェクトに関係しそうな別の研究プロジェクトも進行中だ。Appleと製薬会社Biogen(バイオジェン)は2021年1月、認知機能をモニターし、アルツハイマー病に発展する可能性のある軽度認知障害を発見するための2年間の研究に取り組んでいると発表した。計画では、約半数が認知機能障害のリスクが高いとされている約2万人の参加者を対象としている。

この調査で得られたデータがうつ病や不安神経症の症状と一致した場合、Appleはそのデータを、メンタルヘルス疾患の兆候が見られた場合にユーザーに警告する機能を作ることに使うことができる。iPhoneはユーザーに治療を受けるよう促すことができるようになり、早期発見が長期的には生活の質を向上させることにつながるため、この機能は重要な意味を持つことになる。

Appleとそのパートナーはこの研究の初期段階にあり、iPhoneにメンタルヘルスのモニタリング機能を追加するには、少なくとも数年はかかると思われる。また、この研究がそのような機能につながる保証はない。

先行研究では、特定の症状を持つ人は、他の人とは異なるデバイスの使い方をしているという結果も出ている。しかし、開発者がメンタルヘルスの状態を確実かつ正確に検知できるアルゴリズムを構築できるかどうかは定かではない。

しかし、火のないところに煙は立たない。ここ数年、Appleにとってヘルスは重要な分野であり、今回の研究に基づいた機能がいずれ登場する可能性はある。

編集部注:本稿の初出はEngadget

原文へ

(文:Kris Holt、翻訳:Yuta Kaminishi)

生まれ変わったiPad mini 第6世代は「いにしえの理想的な電子手帳」を超える存在だった

生まれ変わったiPad mini 第6世代は「いにしえの理想的な電子手帳」を超える存在だったあくまで”個人的に”ではあるが、2021年秋のApple新製品発表会で、最も購買意欲を湧かせてくれたのはiPad miniだった。無論、iPhoneは今回も想像以上にこだわったカメラを搭載しているが、カメラは使いやすさや画質など絶対的な性能に加えて感性領域の評価もあり、必ずしもスペックやプレゼンテーションの内容だけでは結論づけられない部分もある。

しかし第6世代iPad miniは、スマートデバイスを日常的に使う上でそれらの使い方、あるいはiPhoneの買い替えサイクルや製品選びなどをも変える可能性がありそうだ。

例えば近年のスマートフォンは内蔵カメラの画質を訴求してきたが、カメラのアップデートにさほど興味がない、どちらかと言えば動画、電子書籍、ゲームなどを中心に端末を使ってる人にとっては大画面の最新スマートフォンに買い替えるよりも、iPhone SEなどのコンパクトな基本モデルとiPad miniの組み合わせの方が使いやすいかもしれない。

あるいはiPadシリーズをタブレットとして使いつつ、シームレスで相互の行き来ができるMacと組み合わせたいという人もいるだろう。MacBook Airが仕事のために必須だが、移動時や待ち時間にはコンパクトなiPad miniを活用したいなら、両方を持ち歩くというのも悪くはない。

iPad miniの300グラムを切る重量は、大型のスマートフォン2台ぶん程度。これをどう考えるかだが、コロナ禍で変化したライフスタイルの中で、スマートフォン、パソコン、タブレットの関係性、使いどころを考え直す機会になるかもしれない。

関連記事:5分でわかるiPhone 13シリーズまとめ。iPad mini(第6世代)やApple Watch Series 7も発表

当面は現役で活躍してくれそうなパフォーマンス

電源ボタンにTouch IDを搭載する

電源ボタンにTouch IDを搭載する

第6世代iPad miniのハードウェアとしての概観を、極めて大雑把に説明するならばiPad Airをほぼそのまま小さくしたものだ。パフォーマンスの面ではiPad Proに劣るもののiPad Airよりも強力で、1世代前のA12Zを搭載するiPad ProよりもSoC性能は高い。

12MP広角カメラを備える

12MP広角カメラを備える

搭載されるSoCは最新のiPhone 13シリーズと同じA15 Bionicとなるが、A15 BionicにはGPUが5つのバージョンと4つのバージョンがある。5 GPUバージョンはiPhone 13 ProシリーズとiPad miniに。4 GPUバージョンはiPhone 13(およびmini)に搭載される。

新しいGPUはコア数が増加しただけではなくアーキテクチャや動作クロック周波数も上昇してパフォーマンスが上昇。Neural Engineをはじめとした機械学習処理のアクセラレータも強化されている。このあたりはGeekBench 5とGeekBench ML(機械学習処理のベンチマーク)のスコアを掲載しておくので参考にしていただきたい。

興味深いのは同じ5 GPU版のA15 Bionicでも、iPad miniとiPhone 13 ProではCPUのスコアが違うこと。これはiPad miniではCPUが3GHzで動作しているのに対し、iPhone 13 Proでは3.2GHzで動作しているからだ。

これについてAppleは理由を明らかにしていない。熱の制御なのか、それとも意図しての制限か。しかし、過去の製品の例からすると、おそらくラインナップや価格差などを差別化したものではないだろう。

何らかの理由で、iPad miniではCPUとGPUの性能のうちGPU性能を重視したということなのだと推察されるが、ひとつにはiPad miniをAppleがポータブルゲーム機としても訴求していることと関係しているかもしれない。

現代のSoCは電力をどこに使うかを制御しながら全体のパフォーマンスを形作ることが多いが、iPad miniの場合は(スマートフォンに比べ)十分に高速なCPUパフォーマンスを確保しつつ、画面が大きなiPad miniの画面に見合うGPUパフォーマンスを割り当てたかったではないだろうか。

インターフェースはUSB-C

インターフェースはUSB-C

いずれにしろ、ミニタブレットというジャンルは低価格を意識した製品が大多数で、このモデルのようにパフォーマンスがトップクラスというモデルはない。言い換えればライバルは不在で、当面はパフォーマンス不足を感じずに済むと言える。

高価なミニタブレットと考えるか、最高のMac製品のパートナーと考えるかで評価が分かれる

ところで本機はiPadシリーズとしては初めて、ディスプレイの縦横比が4:3ではない製品となる。そのため縦横比4:3で固定されたアプリを使う場合は少しだけスクリーンが余るのだが、実使用上、気になる場面はほとんどなかった。

今後の話では縦横比が変化しても問題なく動作するアプリが順次増えていくだろう。さらに未来の話をすれば、iPad Proなどにも縦横比が異なる(今回のiPad miniは16:10よりも縦長で3:2よりも横長)サイズの製品が登場する可能性もありそうだ。

そうした従来のiPadシリーズと少し異なる部分はありつつだが、サイズやスピーカー構成の違いを抜きにすれば、前述のとおりiPad miniはiPad Airを小型化した上で最新のSoC搭載で高性能化した製品である。

12.9インチiPad Proと重ねたところ

12.9インチiPad Proと重ねたところ

となると、サイズが小さいとはいえ、約6万円からという価格も納得の設定だ。あらゆる体験がコントロールされた最高峰のタブレットと同等の品質をそのまま電子手帳ライクなフォーマットに落とし込んでいるのだから、大昔の電子手帳大好き世代にはたまらなく夢のある製品だろう。

ただ、ミニタブレットというジャンルに6万円は払いにくいという意見があることも理解はできる。実際のところ、Apple製品の中でも「mini」という名前が付く製品は、iPhoneを含めてかなり苦戦している。スタートダッシュは良いが、一部の小型製品ファンにはウケるものの、長続きしないのが現実。そうした人の目からは”高価なミニタブレット”と映るかもしれない。

しかし、冒頭で言及したようにMacとの連携は極めて良好で、それはiPhoneとの使い分けでも同じだ。Hand Offを使えば、それぞれの作業の続きを別の端末で継続できるし、Macを使っているならば外出先でのiPad miniとの連携は魅力的だと思う。いや、個人的にはそこがこの製品のキモだろうと。生まれ変わったiPad mini 第6世代は「いにしえの理想的な電子手帳」を超える存在だった

これこそがAppleの狙いなのである。業界標準に準拠しつつも、自社製品の間は密にOSレベルで結合していく。高価なミニタブレットと考えるなら、大ヒット商品とはならないかもしれない。しかし、MacやiPhoneのオーナーが併用する端末として価格を考えずに評価するならば、バッテリー持ちが良く閲覧性の高い、そして5Gモデムを持つ端末として面白い位置付けにある製品だと思うのだ。

いにしえの電子手帳を最新の技術で作り直したなら

生まれ変わったiPad mini 第6世代は「いにしえの理想的な電子手帳」を超える存在だった古いAppleのファンならばNewtonという端末を覚えている人も少なくないだろう。Newtonは個人のあらゆる行動をサポートするコンパニオンになるはずだった。ちなみに開発に協力していたシャープは、Newtonと同じOSを導入したGalileoという端末を発売する予定だった。

Newtonとは何かといえば、それは電子手帳の発展版だ。手帳だけにさっと記録し、アイディアを書き留めておき、ほとんど意識しないうちにデータが同期されている。そんなイメージで考えればいいかもしれない。

一方で、iPad miniは全てのiPadアプリとiPhoneアプリが動作する手帳スタイルの高精度なペン入力が可能な端末。ペン入力といってもメモ書きを書くレベルではなく、絵を描くレベルの製品だ。

生まれ変わったiPad mini 第6世代は「いにしえの理想的な電子手帳」を超える存在だったもし、いにしえの電子手帳を最新の技術で作り直したなら──そんな想いがよぎるが、当時想像していた製品はこれほど完成度が高くなかった。本機が必要、欲しい人は、自分自身で判断できていることだろう。

iPad miniは唯一無二の存在だが、その重要性は使い方による。毎日持ち歩く電子ステーショナリーとしてならば買って損はない製品だ。

(本田雅一。Engadget日本版より転載)

最もスタンダートなモデルとして登場したiPad 第9世代は「廉価版」のお手本

最もスタンダートなモデルとして登場したiPad 第9世代は「廉価版」のお手本9月15日の発表イベントではiPhone 13シリーズ、Apple Watch Series 7、iPad mini 第6世代と一緒にiPad 第9世代も発表されました。ほかの製品にくらべると大きな変化もなく地味ですが、Appleの製品戦略的には、普及の鍵を握る重要な位置づけの製品と言えるでしょう。

関連記事:第9世代iPad発表 20%高速でセンターフレーム対応

ボディーは2019年に発売されたiPad(第7世代)のものを引き継いでおり、別売の周辺機器も共通となっていますが、中身はパワーアップしています。

デザインは変わらず、画面下のホームボタンがTouch IDを兼ねる

デザインは変わらず、画面下のホームボタンがTouch IDを兼ねる

現行iPadでは唯一のLightning端子搭載モデルとなる(ほかはUSB-C)

現行iPadでは唯一のLightning端子搭載モデルとなる(ほかはUSB-C)

Apple Pencilは第1世代が利用可能(税込1万1800円)

Apple Pencilは第1世代が利用可能(税込1万1800円)

miniには用意されていない純正キーボードに対応(税込1万8800円)

miniには用意されていない純正キーボードに対応(税込1万8800円)

キーボードカバーは旧デザインのものだが、後ろに畳んだりスタンドにできたりと、これはこれでなにかと便利だったりする

キーボードカバーは旧デザインのものだが、後ろに畳んだりスタンドにできたりと、これはこれでなにかと便利だったりする

質実な進化

SoCはA12 Bionic→A13 Bionicになり、処理速度は前モデルより20パーセント高速化。Appleは最も普及しているChromebookよりも3倍高速であるとアピールしています。A13 Bionicは、iPhone 11シリーズやiPhone SEが採用しているニューアルエンジンが強化されたチップ。これらは現行モデルでもあるため、無印iPadで同じチップを採用することで製造ラインを絞り、コストパフォーマンスにも貢献しているわけですね。

背面カメラは低照度とオートフォーカス性能が向上。出っ張りがないので裸で置いてもカタつかない

背面カメラは低照度とオートフォーカス性能が向上。出っ張りがないので裸で置いてもカタつかない

前面カメラは解像度12MP。超広角レンズになり、iPad Pro、iPad mini 6thと同じくセンターフレームを利用できるようになりました。

物理的にカメラが動いているかのように正確に追従

物理的にカメラが動いているかのように正確に追従

またディスプレイについても、エントリーモデルで初めてTrue Toneに対応しました。

あらゆる環境下で、画面が自然に見えるよう自動で色味を調整

あらゆる環境下で、画面が自然に見えるよう自動で色味を調整

10年の節目にふさわしいiPad

マルチタスクやクイックメモなど、iPadOS 15の機能をサクサク使えて税込3万9800円~(Wi-Fiモデル・64GB)、ペンを一緒に買っても5万円前後ですから、どう考えてもお買い得と思います。ちなみにセルラー版(LTE対応・5Gは非対応)は税込5万6800円〜。

最もスタンダートなモデルとして登場したiPad 第9世代は「廉価版」のお手本iPad誕生10年目に、最もスタンダートなモデルとして登場したiPad(第9世代)。文教市場や企業導入を視野に入れたモデルではありますが、初めてiPadを持つ方や、しばらくiPadを使っていなかったような人への再エントリーモデルとしてもオススメしたいです。

iPadとiPad miniの動画レビューも公開していますので、こちらもチェックしてみてください。

Engadget日本版より転載)

iPad mini 第6世代のミニチュア感にガジェット萌え―実機先行レビュー

iPad mini 第6世代のミニチュア感にガジェット萌え―実機先行レビュー

リーク情報はあったものの、9月15日のスペシャルイベントではiPhone 13シリーズほど発表が確実視されていなかったiPadシリーズ。第6世代のiPad miniか第9世代のiPad、どちらかはありそうくらいに身構えていましたが、まさか両方来るとは思いませんでしたねー。

とはいえ私は最新のiPad Proを持っているので、何が出ても記事にこそすれ個人的に買う予定はありませんでした。しかし、実機をひと目見て、その考えは速攻変わりました。iPad mini 第6世代のミニチュア感にガジェット萌え―実機先行レビュー

か、かわいい……

iPad mini 第6世代のミニチュア感にガジェット萌え―実機先行レビューこれは、iPadのミニチュアですね。仕様的にはTouch IDということもありiPad Airのミニチュアといったほうが正しそうです。

AppleはこれまでiPad miniに関してのアップデートが比較的緩やかだったので、無印iPad同様まだまだ同デザインの筐体を使い回すと信じ込んでいました。これは私の勝手な妄想ですが、とりあえずAirを小さくした試作機をつくってみたら意外と実用的だったのでリリースすることになったのではないかと勘ぐっています。iPad mini 第6世代のミニチュア感にガジェット萌え―実機先行レビュー

パープルとスターライトの実機(共にセルラー版)。カラーバリエーションは、ほかにピンク、スペースグレイの計4色

パープルとスターライトの実機(共にセルラー版)。カラーバリエーションは、ほかにピンク、スペースグレイの計4色

アウトカメラは1200万画素×1基。LiDARセンサーは非搭載

アウトカメラは1200万画素×1基。LiDARセンサーは非搭載

とにかくコンパクト。本体は6.3ミリという驚異の薄さ

とにかくコンパクト。本体は6.3ミリという驚異の薄さ

セルラーモデルで297グラム(実測値は296グラム)と、iPhone 13 Pro Max+60グラムほど増すだけ

セルラーモデルで297グラム(実測値は296グラム)と、iPhone 13 Pro Max+60グラムほど増すだけ

8.3インチのLiquid Retinaディスプレイを搭載

8.3インチのLiquid Retinaディスプレイを搭載

iPad Air同様、電源ボタンにTouch IDを搭載。ボリュームボタンもすべて同じ側面に備える

iPad Air同様、電源ボタンにTouch IDを搭載。ボリュームボタンもすべて同じ側面に備える

充電はUSB-C端子

充電はUSB-C端子

スピーカー穴は4か所あるが、Proシリーズとは異なり再生はステレオ。縦置き・横置きで左右が自動で切り替わる。音量も十分で、前miniと比べるとかなり迫力が増した

スピーカー穴は4か所あるが、Proシリーズとは異なり再生はステレオ。縦置き・横置きで左右が自動で切り替わる。音量も十分で、前miniと比べるとかなり迫力が増した

12.9インチのProと比較すると半分未満のサイズ

12.9インチのProと比較すると半分未満のサイズ

8.3インチに2266x1488ドット表示(326ppi)なので、表示はかなり繊細。年配者は設定で文字サイズを大きくしないと厳しいかも……

8.3インチに2266×1488ドット表示(326ppi)なので、表示はかなり繊細。年配者は設定で文字サイズを大きくしないと厳しいかも……

Smart Folioカバー(税込7480円)もまた既存品のミニチュアのような共通デザインとなっています。

12.9インチ用の上に乗せてみた。従来モデル同様、背面にマグネットでピタッとくっつく仕組み

12.9インチ用の上に乗せてみた。従来モデル同様、背面にマグネットでピタッとくっつく仕組み

フタの開閉と連動するオートスリープ対応

フタの開閉と連動するオートスリープ対応

三角に折りたたみ、2段階の角度でスタンドに

三角に折りたたみ、2段階の角度でスタンドに

パープルの実機には、マゼンダのカバーがピッタリ

パープルの実機には、マゼンダのカバーがピッタリ

ProとAirのいいとこ取り

フロントカメラはiPad Proシリーズと同じ超広角のものになり、FaceTimeやZoomなどのビデオチャット時に自動でフレームインするセンターフレームに対応しました。これは現行モデルではiPad Proでしか使えない機能です(同時に発表された第9世代iPadも対応)。

そこそこ激しく動いてもカメラが追っかけてくる

そこそこ激しく動いてもカメラが追っかけてくる

最新世代のA15 Bionicを搭載

パフォーマンスに関しては別記事でより詳しく触れていますが、SoCはiPhoneと同じ最新のA15 Bionicを搭載、2019年発売のiPad mini 5thと比べてCPUが40パーセント、GPUは80パーセント高速になっています。第5世代のユーザーは、体感的な速度の差にすぐ気づくと思います。

iPad mini 第6世代のミニチュア感にガジェット萌え―実機先行レビュー

iPad mini 第6世代のミニチュア感にガジェット萌え―実機先行レビュー

手帳のような手軽さ

Apple Pencil 第2世代(税込1万5950円)が利用できるので、小さなスケッチブック、またはメモ端末として手帳のように気軽に扱えます。iPad mini 第6世代のミニチュア感にガジェット萌え―実機先行レビュー

iPad miniにはApple純正のキーボードは用意されていませんが(Bluetooehキーボードは接続可)、手書きや音声による入力やフリック入力も使えるので、文字入力は意外と困りません。

サッとクイックメモを呼び出し、手書きによる文字入力が可能

サッとクイックメモを呼び出し、手書きによる文字入力が可能

設定でフリック入力をフローティング表示にすれば、iPhoneと同じように快適に文字入力できる

設定でフリック入力をフローティング表示にすれば、iPhoneと同じように快適に文字入力できる

Bluetoothのキーボードが接続可能。文字入力で困ることはない

Bluetoothのキーボードが接続可能。文字入力で困ることはない

5G対応で大判iPhoneみたい

ちょうどカーナビに近い本体サイズなので、地図などを表示するとより一層それっぽくなります。Macのサブディスプレイとして使うSidecarも利用できますし、カワイイだけでなく、いろいろ小回の利く便利ガジェットといった感じ。

iPhone 13 Pro Maxとサイズ比較

iPhone 13 Pro Maxとサイズ比較

マップ表示はiPhoneより広範囲。5G+GPSでカーナビとしても使える

マップ表示はiPhoneより広範囲。5G+GPSでカーナビとしても使える

Kindleとも近いサイズで、電子書籍も1ページ表示だとちょうどいい感じ

Kindleとも近いサイズで、電子書籍も1ページ表示だとちょうどいい感じ

iPadの2台持ちを決意

実際、目新しさからの一目惚れでしたが、しばらく使ってみて、すでにiPadを使っているユーザーの2枚めiPadとして全然アリだと思いました。

iPad Pro 12.9インチと2台持ちでいくことに

iPad Pro 12.9インチと2台持ちでいくことに

新しいiPad miniは64GBモデルのWi-Fi版が税込5万9800円〜ですが、ガジェット好きな方はeSIMも使えるセルラー版を是非と思います(税込7万7800円〜)。発売日はiPhone 13シリーズと同じ9月24日。動画レビューも是非ご覧ください。

Engadget日本版より転載)

新iPad miniの5Gを試す―高画質&大画面FaceTimeに感動

新iPad miniの5Gを試す。高画質&大画面FaceTimeに感動

9月24日に発売される第6世代のiPad miniは、5G対応iPadとして3機種目の端末。“Pro”のつかない一般ユーザーをターゲットにした無印のiPadとしては、iPadやiPad Airを差し置き、初の5G対応モデルになります。筆者が注目しているのも、この機能。そんなわけで一足先に実機を使い、iPad miniの通信関連機能をあれこれチェックしてみました。

フルモデルチェンジを果たしたiPad mini。5GやeSIM関連の機能をチェックした

フルモデルチェンジを果たしたiPad mini。5GやeSIM関連の機能をチェックした

まずはeSIMから。物理的なSIMカードを入れていない状態で「設定」の「モバイルデータ通信」をタップすると、auやソフトバンクを含む複数のキャリア名が表示されます。ただし、これはいわゆるApple SIMの名残。iPadのeSIMは、iPhoneとは異なり、eSIM以前から搭載していたApple SIMを統合した形になっています。第6世代のiPad miniでも、それは踏襲されています。

少々分かりづらいのはauやソフトバンクが残っているところで、ここをタップすると、Apple SIMとしてプリペイドプランを端末上から直接契約でる仕組みでした。QRコードの読み取りやアプリが必要なeSIMより進んでいるところではありますが、残念ながら両プリペイドプランは4Gまでの模様。しかもauは新規契約の受付をすでに終了しているため、既存のユーザーしか利用ができません。料金的にも1GB、1500円と高く、あまり利用価値は高くないサービスになってしまいました。

Apple SIMの名残が残る「モバイルデータ通信」のメニュー

Apple SIMの名残が残る「モバイルデータ通信」のメニュー

キャリア各社が提供するeSIMを利用する場合は、このメニューで「その他」を選択する必要があります。メニュー的に分かりづらいため、このユーザーインターフェイスはそろそろ見直した方がいいのでは……という気もしますが、後の手順は簡単。「その他」をタップするとカメラが立ち上がるので、キャリアから送られてきたeSIMのQRコードを読み込めばOKです。

「その他」をタップすると、QRコードリーダーが現れeSIMを設定できる

「その他」をタップすると、QRコードリーダーが現れeSIMを設定できる

今回は物理SIMで試しましたが、売りである5Gにもきちんと対応していました。5G関連の設定はiPhoneとほぼ同じ。消費電力を抑える「5Gオート」が用意されているほか、5G接続時のみ、FaceTimeなどのコンテンツの画質を上げる機能にも対応しています。ただし、初期設定でこれが有効になるのは一部キャリアのみ。オンになっていないと、せっかくの高速通信が生かせないので、忘れずに設定しておきましょう。

5Gと4Gを自動的に切り替え、バッテリーを節約する「5Gオート」に対応

5Gと4Gを自動的に切り替え、バッテリーを節約する「5Gオート」に対応

「データモード」で「5Gでより多くのデータを許容」にチェックをつけると、FaceTimeなどが高画質化される

「データモード」で「5Gでより多くのデータを許容」にチェックをつけると、FaceTimeなどが高画質化される

周波数的には、iPhoneと同様、4Gから転用したバンドも利用することができます。転用バンドで積極的にエリアを拡大しているKDDIやソフトバンクで使えば、アンテナピクトの横に5Gの文字を見かける機会が多くなるはずです。ただし、転用5Gは帯域幅が狭いこともあり、期待されているような爆速は出ないおそれもあります。例えば筆者の事務所周辺はソフトバンクの5Gエリアですが、スピードテストをすると、100Mbpsをやや超える程度。4G並みと言えば4G並みの速度です。

転用エリアでは、このように速度があまり出ないことも

転用エリアでは、このように速度があまり出ないことも

ここで生きてくるのが、先に挙げたコンテンツを高画質化する機能です。この自動判定機能は、接続している帯域を問わないため、爆速ではない5Gエリアでも有効になります。正直なところ、FaceTimeや動画の高画質化なら、100Mbpsを超えていれば十分。1Gbps超のスピードは必須ではありません。実際、iPad miniで5G接続時にFaceTimeを試してみましたが、その画質はご覧のとおり。肌のトーンや髪の毛の細かな部分までしっかり見えるほどになりました。思わず「おおっ」と声を出してしまったほどです。

速度的には100Mbps強のエリアだったが、高画質化が有効になり、FaceTimeの映像が精細になった。iPhoneより迫力もある

速度的には100Mbps強のエリアだったが、高画質化が有効になり、FaceTimeの映像が精細になった。iPhoneより迫力もある

このテストでは、筆者のiPad miniからFaceTimeを発信して、矢崎編集長がiPhoneで受けた格好ですが、両方が5Gに接続していたため、筆者の顔もかなり精細に表示されていたようです。ポロシャツに付着したチリまで写っているので、油断なりません(笑)。iPad miniはiPadの中では最小ですが、iPhoneと比べるとやはり大画面。ディテールまではっきり見えて、FaceTimeでも映像の迫力が増し増しになった印象を受けました。

筆者側から送信していた映像も、きちんと高画質になっていた。微妙な表情の変化まで、見逃さずに会話できそうだ

筆者側から送信していた映像も、きちんと高画質になっていた。微妙な表情の変化まで、見逃さずに会話できそうだ

特にこの機能は、iPad miniでこそ使いやすいと感じています。10インチ超のiPadの場合、利用シーンはどうしても室内が多くなり、5Gが届きにくいからです。片手でガシっと握れるiPad miniであれば、よりスマホに近い感覚で利用可能。出先でFaceTimeを着信して、そのまま通話するといったケースにも使いやすい端末だと感じました。iPad miniのモビリティがあってこそ、5Gが生かせるというわけです。

ただし当然ながら、iPadのため、VoLTEなどの音声回線を使った通話はできません。IP電話アプリはインストールできるものの、耳に当たる位置に通話用のスピーカーはなく、近接センサーも対応していないのでディスプレイも消灯しません。片手で持てるので、思わずやってしまいそうになりますが、耳に当てての通話はできないので注意してください。

思わず耳に当てたくなるが、こんな使い方はNG。スピーカーがないので、スマホのようには通話できない

思わず耳に当てたくなるが、こんな使い方はNG。スピーカーがないので、スマホのようには通話できない

ちなみに、5Gを有効化できるのは、アップルが認めたキャリアのみになります。iPadシリーズを取り扱っていない楽天モバイルのSIMカード/eSIMをセットすると、表示されるメニューが他3キャリアとは異なっていました。楽天モバイル回線だと5Gのメニュー自体が表示されなくなり、3GかLTEしか選択できません。そのため、上記のようなコンテンツ高画質化の恩恵にもあずかれません。段階制の料金プランはタブレットとの相性もよさそうなだけに、ここはちょっと残念です。

楽天モバイルのeSIMをセットしたところ、5Gを有効にできなかった

楽天モバイルのeSIMをセットしたところ、5Gを有効にできなかった

簡単な動画の編集もサクサクこなせて、コミュニケーションツールとしても使い勝手のいいiPad miniは、5G搭載のメリットが大きいと思います。FaceTimeなどの着信ができるのは、常時接続が可能なセルラーの特徴。このポータビリティを生かすのであれば、やはりWi-Fi+Cellular版一択な気がしています。

(石野純也。Engadget日本版より転載)

iPad mini 第6世代に死角なし、iPhone 13 Pro同等の最新仕様で処理も通信も高速

iPad mini(パープル)。試用したのはWi-Fi + Cellularモデルだ。別売のApple Pencil(第2世代)とともに

iPad mini(パープル)。試用したのはWi-Fi + Cellularモデルだ。別売のApple Pencil(第2世代)とともに

9月24日に発売となる第6世代iPad mini(以下、iPad mini)のレビューをお届けする。

今回のiPad miniはまさに「フルモデルチェンジ」。デザインはiPad AirやiPad Proと似た形になったが、中身はiPad AirともProとも違う、最新仕様のiPadと言っていいものだ。

ここでは、その魅力やパフォーマンスを見ていきたい。

サイズ・デザインはやはり絶妙

iPad miniの魅力が「サイズ」「デザイン」にあるのは疑いない。大きめのポケットにも入る……のは冬服などの一部のものに限られるかもだが、それでも片手で持てるサイズのiPadであることは間違いない。

ポケットにも……割と入る

ポケットにも……割と入る

本体裏面。パープルが映える

本体裏面。パープルが映える

iPad miniのパッケージと内容物。同梱されるのはUSB-CケーブルとACアダプター

iPad miniのパッケージと内容物。同梱されるのはUSB-CケーブルとACアダプター

iPad miniのパッケージと内容物。同梱されるのはUSB-CケーブルとACアダプター

特に今回は、対応するペンが第2世代のApple Pencilになり、充電時の収まりもよくなった。Lightning端子に突き刺す第1世代は、充電頻度が高くないので実用上そこまで大きな問題はなかったのだが、やっぱり見栄えが良くなかったし、なによりペンの充電キャップをなくしやすかった。マグネットで接続する第2世代はそのあたりの問題が非常に少ない。

本体右側面。ここに第2世代のApple Pencilがくっつく

本体右側面。ここに第2世代のApple Pencilがくっつく

メモ帳やコンパクトなスケッチブックのように持ち運べることに魅力を感じる人は多いと思うし、ペンはそうしたシーンで特に活躍する。

ペンをつけて片手で持ってみるとメモ帳っぽい雰囲気に

ペンをつけて片手で持ってみるとメモ帳っぽい雰囲気に

別売のiPad mini用Smart Folio(イングリッシュラベンダー)をつけて。片手にうまく収まるサイズ感だ

別売のiPad mini用Smart Folio(イングリッシュラベンダー)をつけて。片手にうまく収まるサイズ感だ

300g以下で「2020年のiPad Pro」に迫る性能

ポイントはなにより、このサイズで「速い」ということだろう。

iPad miniはiPhone 13 Proと同じ「A15 Bionic」が採用されている。A15 Bionicには、iPhone 13で使われている「GPUが4コア」のものと、Proで使われている「GPUが5コア」のものがあり、iPad miniは後者を使っている、とAppleは言う。

ただし、同社がプロセッサの動作クロックやメインメモリの搭載量を公開しないのはいつものこと。なので、iPad miniとiPhone 13 Proが「まったく同じ性能」とは限らない。

ということでGeekbenck 5でのテスト結果を見てみよう。

どうやらminiのものは、クロック周波数が低く、メインメモリ搭載量も少ないようだ。iPad mini搭載のA15 Bionicは最大クロックが2.93GHzで動いている。メインメモリは4GBだ。iPad Proが3.2GHz・6GBもしくは8GBであるのに比べるとやはりランクは下がる。

だが、速度が遅いわけではない。簡単に言えば、マルチコア処理の速度・シングルコアでの速度・GPUを中心とした「Compute処理」での値すべてが2020年発売の「iPad Pro 11インチモデル」に近いことがわかった。当時使われていたのは「A12Z Bionic」でこれもかなり速いプロセッサーだったが、それと近い性能のものが2年で300gの小型iPadに入ってくるというのは驚きだ。それだけ、Appleが積極的に自社開発プロセッサーの性能向上と生産性向上に努めている、ということだろう。

Geekbench 5を使った、iPad miniのベンチーマーク。プロセッサーの性能は2020年発売の「iPad Pro(11インチ)」に近いGeekbench 5を使った、iPad miniのベンチーマーク。プロセッサーの性能は2020年発売の「iPad Pro(11インチ)」に近い

Geekbench 5を使った、iPad miniのベンチーマーク。プロセッサーの性能は2020年発売の「iPad Pro(11インチ)」に近い

Geekbench 5を使った、iPad miniのベンチーマーク。プロセッサーの性能は2020年発売の「iPad Pro(11インチ)」に近い

同時発売となる「第9世代iPad」のテスト結果を見てみると、やはりこちらはiPad miniと比べて見劣りする。と言っても、昨年のフラッグシップスマホである「iPhone 12 Pro Max」に近い値ではあるので、けっして性能が低いわけでもない。4万円以内でこの性能が買えると思えば、それはそれでやはり驚きである。

同じく「第9世代iPad」の性能。さすがにiPad miniほどではないが、iPhone 12 Pro Maxより少し劣る程度か

同じく「第9世代iPad」の性能。さすがにiPad miniほどではないが、iPhone 12 Pro Maxより少し劣る程度か

同じく「第9世代iPad」の性能。さすがにiPad miniほどではないが、iPhone 12 Pro Maxより少し劣る程度か

一方で気になるのは、「最新のA15と、昨年のM1を比べたらどちらが速いのか」という点。

これはM1の圧勝だ。コア数がCPU・GPUともに8と多く、もともとMac向けに高負荷な処理を行うことを前提にチューニングされているから意外な結果ではない。

過去には、「iPad Proのプロセッサーを、最新の技術を使ったiPhoneのプロセッサーがすぐに追い抜いていく」現象もあったのだが、M1はちょっと違う。同じ技術を核として生み出されたプロセッサーであっても、iPhone・iPad向けの「Aシリーズ」と、Mac・iPad Pro向けの「Mシリーズ」は明確に違う路線を歩み始めている、と見て良さそうだ。

M1を搭載するiPad Pro(12.9インチ)の値。速度は圧倒的でA15 Bionicが載っているiPad miniでもかなわない

M1を搭載するiPad Pro(12.9インチ)の値。速度は圧倒的でA15 Bionicが載っているiPad miniでもかなわない

M1を搭載するiPad Pro(12.9インチ)の値。速度は圧倒的でA15 Bionicが載っているiPad miniでもかなわない

5G搭載で通信が高速化、4Gより5倍以上速い

もう一つ、速度面で魅力だったのは「5G」だ。

今回テストしたのはWi-Fi + Cellularモデルで、iPad miniは5Gに対応している。

この効果は絶大だ。今回は、同じくWi-Fi + Cellularモデルの第9世代iPadの貸し出しを受けているので比較してみたが、通信速度は下で5倍以上の差が出た。(テストはどちらもソフトバンク回線。テスト場所はJR五反田駅)

iPad miniの通信速度をJR五反田駅で計測。安定的に「下り285Mbps」程度が出ていた

iPad miniの通信速度をJR五反田駅で計測。安定的に「下り285Mbps」程度が出ていた

もちろん、通信エリアとして「5Gがしっかり入る場所」であることは重要だ。今はまだ5Gインフラも過渡期で、東京・山手線の駅で利用者数も多い五反田駅というロケーションは、それなりに恵まれた場所であるのは間違いない。

だとしても、安定的に下り285Mbpsが出ていたという事実はとても魅力的だ。ぶっちゃけ自宅の光回線と変わらない。本来なら、5Gならもっと速くなっても不思議ではないわけで、「インフラさえ整えば……」という気持ちになってくる。

4G・iPadでの「下り44Mbps」と言う値も、けっして遅くはない。だが、やはり5Gとの差は明白だ。

同じ場所で、4GのiPadの速度を計測。40Mbps台でも遅くはないのだが、5Gに慣れると人は贅沢になる

同じ場所で、4GのiPadの速度を計測。40Mbps台でも遅くはないのだが、5Gに慣れると人は贅沢になる

バッテリー搭載量が比較的大きく、これだけ通信速度が出るのであれば、単にタブレットとして使うだけでなく、「カバンの中に入れておいて5G対応モバイルルーター代わりにする」パターンも十分にアリだと感じた。

マイナス点としては「現状、5Gのミリ波に対応していない」ことが挙げられる。だが、ミリ波の利用可能な範囲がまだ狭いことを考えると、そこまでクリティカルな話ではないとも思える。日本で「ミリ波必須」と感じるようになるには、まだしばらくかかりそうだ。

「最新仕様」はゲームにも撮影にも活きる

こうした速度は、ウェブや動画を観るだけでなく、ゲームにも活かせるだろう。

SIEは先日のアップデートで、スマホ・タブレットからでもPS4/PS5が遊べる「リモートプレイ」をWi-Fiだけでなくセルラー回線にも解放した。5G環境なら(通信料の問題はあるが)問題なく遊べる。マイクロソフトも、クラウドゲーミングである「Xbox Cloud Gaming」を海外では展開中で、日本でも「2021年中」にスタートとしている。どちらもiPadに対応しているので、相性はいい。

もちろん、Apple Arcadeのタイトルやスマホ・タブレット向けのF2Pタイトルでもいい。パフォーマンスの高さはゲームにとって全ての面でプラスに働く。

また、今回のiPad miniはインターフェースが「USB Type-C」になったので、外部ストレージや使いやすいのもポイントだ。

iPad miniのインターフェースは、iPad ProやiPad Airと同様にUSB Type-Cに

iPad miniのインターフェースは、iPad ProやiPad Airと同様にUSB Type-Cに

写真や動画を扱う際、ビューワーがどうしても欲しくなる。移動先からデータを急いで転送したい時もあるだろう。iPad miniの処理能力とデータ通信性能なら、そんな要求を十分にこなしてくれる。

結局、「多くの人に求められているサイズのものが、最新のプロセッサーと最新の通信規格を使った仕様で出てきた」のが、iPad miniの最大の美点。どこにどう使うかも「最新仕様が活きるところ」がふさわしいのだ。

(西田宗千佳。Engadget日本版より転載)

iPad mini(第6世代)とiPad(第9世代)実機で確信した2021年iPadの選び方

実機で確信した2021年iPadの選び方

9月24日に発売となるアップル・iPad mini(第6世代)とiPad(第9世代)を試用する機会を得た。

iPad miniは8.3インチとコンパクトながら、iPhone 13シリーズと同じA15 Bionicを搭載。端子もUSB-C、ロック解除はTouch IDと申し分のない進化を遂げている。

SNSでつながっている知り合いも、9月15日未明に開催されたアップルスペシャルイベントが終わるやいなや予約していた。すぐに予約して24日に届く人、これから購入をしようかと思う人、iPad miniは誰もが満足できる仕上がりになっている。コンパクトで使い勝手は申し分なく、おそらく日本でかなり人気のデバイスになるのではないか。

これまでのiPad miniは長らく後継機種が出なかったり、デザイン的に変化がなかったりと、アップルとしてもどっちつかずのポジションになっていたと思う。しかし、今回は明確にハイエンド路線に舵を切ってきた。

アップルのiPadラインナップを俯瞰すると、今回、iPad miniが進化したことで、iPad Air、iPad Proなど全体的にわかりやすくなり、消費者とすれば選びやすくなったのではないか。

観るための iPad mini

今回、発売となるiPad miniは一言でいえば「観る」ためのデバイスだ。8.3インチでYouTubeやNetflix、DAZNといった動画コンテンツを観るのに最適だ。Kindleで本、dマガジンで雑誌、紙面ビューワーアプリで新聞も読めてしまう。コロナ禍で家にいる時間が増えているが、リビングや寝室、仕事部屋、トイレの中など、どこにでも持ち込んで、コンテンツを観まくりたくなるのがiPad miniなのだ。

実機で確信した2021年iPadの選び方

Apple Pencil(第2世代)に対応する iPad mini (第6世代)

Apple Pencil(第2世代)に対応する iPad mini (第6世代)

一方、去年10月に発売されたiPad Airは「書く」ためのデバイスだ。10.9インチというサイズ感、Apple Pencil(第2世代)に対応しており、イラストを描いたり、頭の中を整理するためにあれこれ書き起こすのに最適だ。オプションにはMagic KeyboardやSmart Keyboard Folioがあり、文章を書くのに向いている。

ただ実際のところ、日本語変換能力がちょっとイケてないことがあったりもする。しかし「頭に浮かんだ文書を素早くテキストに落とし込む」という点においてはiPadOSは結構、反応が早く追従性が良いのが気に入っている。

今年4月に発売した11インチ並びに12.9インチのiPad Proは「創る」人向けのiPadだ。チップセットにはMacBookやiMacと同じ「M1チップ」を搭載。写真や動画の編集、書き出しも難なくこなすスペックを持ち合わせている。実際、YouTubeに上げるための動画も、iPhoneで撮影し、AirDropでiPad Proに転送。iPad Proで編集して、5Gエリアなら5G、ダメなら4Gでアップするということも可能だ。

カメラマンや記者など、取材先で撮った画像や動画を編集して編集部に納品するには快適だ。まさにコンテンツを創る人向けのiPadだろう。

「観る」「書く」「創る」。いまのiPadはラインナップが多く、選びにくい感があるが、自分がiPadでどんなことをやりたいのか突き詰めると、自ずと選ぶべきiPadが見つかるような気がしている。

安く売るためのiPad(第9世代)

iPad(第9世代)を試用してみたが、やはり昔から代わり映えのしないデザインであり、正直いって、「ワクワク感」はみじんもない。しかし、「これぞ伝統のiPad」という風情があり、安心して使えるのは間違いない。

実機で確信した2021年iPadの選び方iPad(第9世代)はどちらかといえば、アップルが安く「売る」ためのiPadだ。今回もエントリーモデルとして、初めてタブレットを購入する人、さらには学校などの教育市場向けを意識した価格になっている。一般向けでは3万9800円からだが、学生や教職員向けなら3万6800円からとなる。

タブレット市場は、過去から熾烈な価格競争が続いている。中国メーカーなどが安価なタブレットを投入し、もはや儲けが出る市場ではなくなっている。

アップルとしては、ここで勝ち残るために、できるだけ安いiPadを作り、市場に提供し続けている。コストが厳しいなか、長い期間、同じ筐体で大量生産を行い、製造コストを下げようとしている。チップセットもiPhoneからの型落ちを採用することで、コスト効果を狙っている。できるだけ切り詰めることで、性能は落とさず、価格競争力を維持しているのだ。

一方で、iPad mini、iPad Air、iPad Proはハイエンド路線にすることで「儲かるタブレット」にしつつある。こういった戦略はアップルにしかできないやり方だ。

おそらくアップルとしては、このコロナ禍の影響で、iPad AirやiPad Proが好調で儲かるタブレットになった。そこで、方向性を見失いつつあったiPad miniも、iPad ProやiPad Airに習う路線に突き進むことにしたのではないか。まさに今回のiPad miniはアップルの「勝ちパターン」にうまいこと乗ろうしているような気がしてならない。

(石川温。Engadget日本版より転載)

【まとめ】最新iPhone 13シリーズレビュー集、13 ProからiOS 15まで、気になるのはどのモデル?

すでに予約開始、9月24日に発売され手に取ることができるiPhone 13シリーズ。TechCrunchでは、ハイエンドモデルiPhone 13 Proをはじめとした実際に触った上でのレビュー、さらに先に配信されたiOS 15の使用感など、最新iPhoneに関する記事を掲載、以下にまとめた。

新たなレビュー記事も公開予定であり、本記事もそれに合わせて更新する。お楽しみに。

iPhone 13 Pro / 13 Pro Max

カメラ機能が同等になった「iPhone 13 Pro」「iPhone 13 Pro Max」実機先行レビュー

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iPhone 13 / 13 Pro×カメラ

カメラが楽しいiPhone 13 / 13 Pro、12からの乗り換えも「アリ」な理由

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iPhone 13×eSIM

iPhone 13でデュアルeSIMを試す―自由度アップで機種変が楽に

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iPhone 13 mini

究極の手のひらスマホ、iPhone 13 mini実機先行レビュー

iPhone 13 miniは究極の手のひらスマホだ

iPhone 13シリーズ×ニューカラー

iPhone 13シリーズの新色「スターライト」「シエラブルー」実物の印象はどう?

iOS 15

【レビュー】アップルのiOS 15は欠けていた小さな機能をすべて採用、アップデートは任意だが個人的にはオススメ

米国でApple Walletに証明に使える新型コロナワクチン接種記録を保存可能に

米国では施設に入るのに新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種を証明する書類が必要になる場合もある。Apple(アップル)は電子メールを探し出したり、ポケットにカード実物を携帯したりする手間をなくしたいと考えている。同社は今後行うiPhoneソフトウェアのアップデートの中で、証明として使える新型コロナウイルスのワクチン接種記録をWalletに導入する。この機能では、国際的なSMART Health Cards規格(すでにいくつかの州で採用されている)を利用して、予防接種の証明書を作成し、秘密鍵で署名し、公開鍵を作成して情報を検証します。

リリースされたばかりのiOS 15では、すでに検証可能な予防接種や検査結果を、同じ規格を使って「ヘルスケア」アプリに保存することができる。記録は、QRコードやダウンロード可能なファイル、あるいはiPhoneの「ヘルスケアレコード」を利用する医療機関を通じて受け取ることができる。

Appleは、ユーザーの全データに対して厳格なプライバシーを約束している。同社はユーザーのインポートされたり、共有されたりしたデータへのアクセスは持たず、どこか別のところに送られるときにはすべての情報は暗号化され、安全に保管されなければならない。Appleはまた、ユーザーのワクチン接種記録や、ユーザーがどのように記録を使ったかを確認することはできない。ユーザーは「承認した」サードパーティのアプリと情報を共有できるが、その時、1回限り有効というのが基本だ。

Appleはアップデートをいつリリースするのか明らかにしていない。もしあなたがワクチン接種の有無をコンサート会場やレストランと共有するというコンセプトについて懸念しているなら、この機能は楽しみではないだろう。しかし少なくとも会場に入るプロセスを合理化し、イベントに遅刻しているときには大事なものとなるはずだ。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のJon FingasはEngadgetの寄稿者。

画像クレジット:Apple

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(文:Jon Fingas、翻訳:Nariko Mizoguchi

【レビュー】アップルのiOS 15は欠けていた小さな機能をすべて追加、アップデートはユーザーに任せだが個人的にはオススメ

iOS 15のリリースは、確かにモバイルOSにおけるビッグイベントだ。しかし2021年は、目立って重要なテーマや画期的な機能はない。今回、Apple(アップル)は、自社アプリの新しい機能に加えて、日常生活的な細部の改良に力を入れている。

その結果、アップデートはとても堅実なものとなり、論争を起こすことはなさそうだ。一部の人、自分のスマートフォンをできるかぎりパーソナルなものにしたいと考え、カスタマイズに長時間を割いているような人たちにとって新しい「集中モード」はうれしいものだろう。また、そうでない人たちは、その新機能に気づかないか、もしくは無視するだろうが。

2021年のアップデートはまた、iOS 15にアップデートしなくてもよい、という点でも変わっている。iOS 14のままで十分、AppleにiOS 15へのジャンプを強いられることはない。現在のままでも、セキュリティパッチはもらえる。だから、iOS 15を完全に無視する人も存在する。

小さな変化のように思えるかもしれないが、それはiOSの現状について多くを語っている。AppleはiOSを、成熟したプラットフォームだと考えている。Macを使っていて、必要なければmacOSを最新バージョンにアップデートしない人もいるように、アップデートは自分のペースでやればよい。

またiOSは、アプリ開発者にとっても成熟したプラットフォームであるため、多くの人が今すぐiOS 15にアップデートしないのであれば、開発者の採用も遅くなるだろう。アプリは以前と比べて長い期間、古いバージョンのiOSで動くはずだ。

もちろんiPhoneそのものを新しい機種に買い替えた場合、それに合わせてiOSの「アップデート」も行われる。

画像クレジット:Apple

スマホ以上にユーザーに「集中」する

iOS 15における最大の変化は、コントロールセンターから集中モードを変更できることだ。これは意外なほど強力な機能で、いろいろなオプションや調整項目がある。Appleの機能ではないみたいだ。

しかしこれは絶対に、iOS 15で最も興味深い機能だ。現在は多くの人が、スマホを触る時間がとても長くなっており、デバイスで行うことや気になることも非常に多くなっている。しかし今度の新機能では、人が主導権を取り戻し、ユーザーである自分が主人公になる。

必要のないときに通知をナシにする「おやすみモード」は、このユーザー主導という考え方をよく表している。iOS 15でこの「おやすみモード」を使い続けたい場合は、そのまま何も変更しなくてよい。

iOS 15からは、集中モードを作成することもできる。デフォルトで仕事、睡眠、運転、フィットネス、マインドフルネス、パーソナル、読書などが用意されている。自分に合わせて、新たな集中モードを作ることもできる。

特定の集中モードをオンにすると、基本的にデフォルトで通知がブロックされる。しかし、人やアプリを追加することで、それらの人やアプリからの通知が届くようにもできる。また、アプリ開発者は、時間的に重要な通知をマークすることで、常に通知を受け取ることも可能だ。この機能が悪用されないことを願う。

さらに3つの設定を有効にすることができる。まず、メッセージや対応するサードパーティ製アプリで、通知が現在ミュートにされていることをオプションで共有することができる。2つ目は、ホーム画面のページを完全に隠せるようになる。3つ目は、ロック画面から通知を隠したり、ホーム画面からバッジを隠したりすることができるようになる。

また、特定の集中モードと自動化機能を組み合わせることで、さらに興味深いものになります。例えば、夜になると自動的に「睡眠」をオンにしたり、出社すると自動的に「仕事」をオンにしたりすることができる。

パワーユーザーは、集中モードをショートカットと組み合わせて使うのも楽しいだろう。例えば、「スリープ」をオンにしたときに「時計」アプリを開くようにショートカットを設定できる。このように、新機能は非常に奥が深く、ベータ版ユーザーはまだ表面をなぞっただけでしかない。

画像クレジット:Apple

すべてのアプリをアップデート

iOS 15では、デフォルトアプリのほとんどすべてがアップデートされた。新たに加わった機能の一部はなかなかすばらしいが、疑問符の付くものもある。

まず、論争を招いたのがSafariの新デザインだ。しかし2021年6月のWWDCで目にしたものは、今では影も形もない。結局Appleはフィードバックを聞き入れて、夏の間にウェブブラウザのインターフェースを変更したのだ。

関連記事:アップルが不評だったSafariの変更点をiOS 15 beta 6で修正、再びアドレスバーの上部表示も可能に

まず、デフォルトではアドレスバーが画面下、ブックマークを開いたり、現在のページをシェアしたり、前のページへ行ったりするボタン列のすぐ上にある。それはとても良いと思うが、アドレスバーを下に置きたくない人は、簡単に上へ戻せる。

それ以外では、Safariの変更はすべて良い改良だ。例えばこのブラウザは今や、前からあるウェブエクステンションをサポートする。Safariは次に、Google Chromeの人気エクステンションもサポートするだろうか?もう1つのすてきな新機能は、タブグループを作れることだ。そしてそのタブグループは、他のデバイスからでも確認できる。

FaceTimeが、多機能なビデオ会議サービスになった。今度からは、リンクを作って友だちと共有したり、「カレンダー」の招待に加えることができる。これで初めて、Appleのデバイスを持ってない人でもFaceTimeの通話にウェブブラウザから参加できるようになる。また、グリッドビューでZoomのビューを見られる。

しかし残念ながら、FaceTimeの機能の大成長は、中途半端だ。オーディオやビデオの再生を友だちなどと同期するSharePlay機能は、この秋の終わりごろリリースされるという。

「天気」アプリもデザインが変更された。情報量が増えて、降雨マップもあり、次の1時間の降雨予報や紫外線指数も表示される。もう、サードパーティ製の天気予報アプリに負けないかもしれない。私は今でもSnowflakeを使っているが、その差は縮まる一方だ。

「メッセージ」は、他のAppleアプリとの統合性が向上された。誰かがあなたに、記事や写真のアルバムやポッドキャストや曲を送ると、Appleの他のアプリや「Apple News」「写真」「ポッドキャスト」「ミュージック」などにそれらのレコメンデーションが出る。これもまた、私がiOS 15をテストしているときにはすてきな追加機能と感じられたが、実際に日常の中でスマートフォンを使ってるときのデバイスの使い方は何も変わらない。

「マップ」は、サンフランシスコの住民にとっては特別に良くなった。何年も使ってなかった人には、おすすめだ。「Googleマップ」の強力な代替アプリになっている。

特にサンフランシスコやロサンゼルス、ニューヨーク、ロンドンなどでは、ビルが3Dで表示され、バスレーンや歩道などもわかる詳細地図を見ることができる。まるで、ビデオゲームの中でそれらの都市を歩いているような詳しさだ。また、場所のカードや、運転者のためのユーザーインターフェース、アプリのセットアップなどもデザインが変わった。

「 写真」も、大きく改良された。毎年、同社は「メモリー」のデザインをすっきりとしたものにしている。ユーザーがそんなに多いアプリではないと思うが、とにかく前より良くなった。写真をスワイプして表示される情報にも、シャッター速度や使用レンズなどが追加され、以前より詳しくなった。

しかし写真ライブラリにおける最大の変化は、写真の中のテキストを検索できることだ。iOSは写真をスキャンしてテキストを見つけ、それをSpotlightの検索に保存する。

同じく、カメラをテキストに向けてそのテキストを指定できる。メニュー上にレストランのアドレスを探したり、旅行中に何かのテキストを翻訳したくなって友だちとシェアしたいときなどに、とても便利だ。

画像クレジット:Apple

ちょっとした特徴や使い方

iOS 14よりもiOS 15が良いといえる小さな変化は山ほどある。ごく一部をリストアップしてみよう。

  • 家のキーやホテルのキー、オフィスのキー、IDカードなどをWalletアプリに入れられる
  • 健康データを誰かとシェアできる。愛する人と遠く離れていたり、ヘルスケアのチームをアップデートしたいとき便利だ
  • iCloudで決済する人は、今やiCloud+のユーザーでもある。ストレージの他に、ベータでiCloud Private Relayを使えるので、ウェブを閲覧するときのプライバシーがアップする。また、Hide My Emailでランダムなメールアドレスを作れるので、ウェブで新しいアカウントを作れる
  • 家族がiCloudのメールアドレスを使っているなら、パーソナルなドメイン名を作ってiCloudをセットアップできる
  • iOSは音声認識機能がデバイス内にあるので、テキストの口述入力が速い
  • しかもiOSはSiriのリクエストの一部もオンデバイスで処理するため、タイマーの起動やアラームのセット、音楽の変更なども瞬間的にできる。私の場合、これでSiriの使い方が変わった
  • iCloudのアカウントにアクセスできなくなったときのために、アカウント回復の連絡先を加えられる。できるだけ多くの人に、二要素認証の利用を説得すべきだ
  • 二要素認証(2FA)といえば、Appleが内蔵しているパスワードマネージャー「パスワード」は今度から2FAの詳細を保存でき、入力欄の自動入力ができる。それは1Passwordのときの2FAとほぼ同じだ
  • 故人を自分のApple IDにすることができるが、人によってはできない場合もあるのでご注意を。Appleが、亡くなった人の写真を使わせてくれないことがあるのだ。
  • リマインダーとノートにタグが追加された。ノートでも人を@メンションできる

ご覧のように、iOS 15の変更箇所のリストはとても長い。しかしそれでも、iOS 15へのアップデートはユーザーの任意だ。昔iPhone OS 3でカット&ペーストとコピペが加わったときは、アップデートするのが当たり前だった。今度の新しい機能も、個人的には好きなので、アップデートの価値があった。「する」か「しない」、本記事がその判断の助けになれば幸いだ。

関連記事:iOS 15へのアップデート可能に、iPadOS 15、watchOS 8も提供開始

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Romain Dillet、翻訳:Hiroshi Iwatani)

iPhone 13でデュアルeSIMを試す―自由度アップで機種変が楽に

iPhone 13でデュアルeSIMを試す―自由度アップで機種変が楽に

カメラを刷新して、Proモデルは120Hz駆動のProMotionにも対応したiPhone 13シリーズ。同モデル4機種は、iPhone 12から数えて2世代目の5G対応スマートフォンでもあります。残念ながらミリ波に対応しているのは米国版のみで、日本版はSub-6オンリーですが、Gbpsを超える通信速度は魅力的です。一足先に、その実機を試してみることができましたので、ここでは通信周りに関するレビューをお届けしたいと思います。

iPhone 13の通信関連機能をチェックした

iPhone 13の通信関連機能をチェックした

通信周りでiPhone 12シリーズまでとの大きな差分は、やはり「デュアルeSIM」への対応でしょう。発表後の記事で筆者が取り上げたように、iPhone 13は4機種とも、eSIM同士のDSDS(デュアルSIM/デュアルスタンバイ)に対応しています。これまでのiPhoneだと、主回線・副回線のどちらか一方は物理SIMにする必要がありましたが、iPhone 13であれば、eSIMだけでDSDSができてしまうというわけです。

ということで、まずはこの機能を試してみました。物理SIMを1枚も入れていない状態で、最初に楽天モバイルのeSIMプロファイルをダウンロードします。この辺の手順はeSIMおじさん……もとい、eSIMに慣れ親しんだユーザーの皆様にはおなじみなので割愛しますが、普通に1回線目としてeSIMを設定しました。ここまでは、従来のiPhoenも同じです。次に、LINEMOのプロファイルを読み込んでいきます。

いつものようにQRコードを読み込んで1回線目を設定

いつものようにQRコードを読み込んで1回線目を設定

楽天モバイルのeSIMプロファイルがダウンロードされた

楽天モバイルのeSIMプロファイルがダウンロードされた

設定途中で、どちらでモバイルデータ通信を使うかや、どちらをデフォルト回線にするかを選択する画面が出てきました。これまでは、eSIMを1回線ぶんしか有効にできなかったため、こうした設定はできませんでしたが、iPhone 13では、2つ目のプロファイルをダウンロードするだけで自動的にデュアルeSIMの状態になりました。物理的なSIMカードは1枚も入れていない状態ですが、きちんと通信は両方の回線でできています。

続いてLINEMOのeSIMをセット。こちらもQRコードを読み込んでプロファイルをダウンロードする

続いてLINEMOのeSIMをセット。こちらもQRコードを読み込んでプロファイルをダウンロードする

 

1回線目がeSIMなのにも関わらず、どちらをデフォルト回線にするかの選択肢が現れた

1回線目がeSIMなのにも関わらず、どちらをデフォルト回線にするかの選択肢が現れた

2つのeSIMがどちらも有効になっていることが分かる。これがデュアルeSIMだ

2つのeSIMがどちらも有効になっていることが分かる。これがデュアルeSIMだ

なお、現状では仕様上、5Gの通信でそのまま通話する「VoNR」という規格も存在しますが、国内キャリアは未対応。そのため、モバイルデータ通信を指定していない方のキャリアは、当然ながら4Gで待受けをすることになります。5G/5GのDSDSではなく、5G/4GのDSDSになるというわけです。

SIMカードスロットを開け閉めする必要がなく、移行も簡単でした。楽天モバイル/LINEMOの両回線は、私物の「iPhone 12 Pro」から移しましたが、SIMピンを取り出す必要なく、画面上の操作だけであっさりSIMカードの情報を移すことができました。SIMピンを挿す際にあやまって側面を傷つけてしまったり、入れ替えまくっているうちにSIMカードの端子が読み取りにくくなったりといったトラブルが起きないのは、eSIMならではと言えるでしょう。

SIMカードスロットを出し入れする必要がなく、端末に傷をつける心配がない。ケースを外さないでいいのも便利だ

SIMカードスロットを出し入れする必要がなく、端末に傷をつける心配がない。ケースを外さないでいいのも便利だ

もちろん、どちらの回線も5Gを有効にできました。5Gの設定周りはiPhone 13でも特に変わっておらず、「5Gオート」と「5Gオン」を選択可能。前者は不要な場合に自動で5Gの接続を切ることでバッテリー駆動時間を増やす設定。後者は“スピード命”のユーザーが常に5Gを有効にしておく設定です。また、5G接続時やWi-Fi接続時にFaceTimeやストリーミング動画などの画質を自動で上げる機能にも、引き続き対応しています。

ソフトバンクの転用エリアでもきちんと5Gにつながった。転用ながら、速度は速い

ソフトバンクの転用エリアでもきちんと5Gにつながった。転用ながら、速度は速い

iPhone 12発売時は、まだまだスポット的だった5Gのエリアですが、最近では都市部を中心に、かなりの広がりを見せています。特に4Gで利用していた既存周波数帯を5Gに転用しているKDDIやソフトバンクは、そうでないほか2社に比べると、5Gのアイコンを目にする機会は多いような印象があります。転用というと速度が遅いようなイメージを持たれているかもしれませんが、ユーザーの絶対数がまだまだ少ないこともあり、ご覧のようにLINEMOの転用エリアでもかなりの速度が出ます。

この点、iPhone 13は仕様が全キャリア共通なので安心です。アップルから購入しようが、4キャリアから購入しようが、変わらず全社の5Gを利用でき、主要バンドにもきっちり対応しています。5G用に割り当てられた新周波数帯のn77、n78、n79だけでなく、1.7GHz帯を転用したn3や、700MHz帯を転用したn28も利用できます。どのキャリアのSIMカードを入れても、主要な周波数でしっかり使えるのはiPhoneならではと言えるでしょう。

「5Gオート」と「5Gオン」を選択可能なのはiPhone 12のときと同じ

「5Gオート」と「5Gオン」を選択可能なのはiPhone 12のときと同じ

iPhone 13が搭載するiOS 15は、5Gの利用範囲を拡大しています。具体的には、設定の「データモード」を「5Gでより多くのデータを許容」にしておくと、今まで以上に多彩な場面で5Gを通信経路として選択するようになります。具体的には、iCloudへの自動バックアップに5Gを利用したり、十分な速度が出なかったり、セキュリティ上不安があったりするWi-Fi接続時に5Gで通信したりと、これまでよりもモバイルデータ通信でできることが増えています。

「5Gでより多くのデータを許容」をオンにすると、iCloudの自動バックアップに5Gが使われるなど、iOS 14までより用途が広がっている

「5Gでより多くのデータを許容」をオンにすると、iCloudの自動バックアップに5Gが使われるなど、iOS 14までより用途が広がっている

デュアルeSIMやiOS 15に対応したことを踏まえると、iPhone 13シリーズは5Gをより生かしやすい端末と言えるかもしれません。一方で組み合わせが多彩になった結果、思わぬトラブルが起こることも懸念されます。記憶に新しいところでは、デュアルSIMのデータ通信専用SIMで通信している際に緊急通報をすると、そのままデータSIMで発信してしまい、電話がかけられないという不具合が明らかになったばかりです。eSIM同士で挙動が違うのかどうかの確認が増えると、検証にはさらに時間がかかるようになってしまうかもしれません。

(石野純也。Engadget日本版より転載)

iPhone 13シリーズの新色「スターライト」「シエラブルー」実物の印象はどう?

iPhone 13シリーズの新色「スターライト」「シエラブルー」実物の印象はどう?

iPhone 13シリーズの新色「スターライト」「シエラブルー」実物の印象はどう?

いよいよ、2021年9月24日にiPhone 13シリーズが発売されます。先行レビューとして、新たに追加されたiPhone 13のスターライト、そしてiPhone 13 Proのシエラブルーについて、見ていきましょう。

スターライトの色味をチェック

iPhone 13シリーズの新色「スターライト」「シエラブルー」実物の印象はどう?「スターライト」と聞いて思い浮かべるのが光GENJIの人もいれば、アイカツ、アイマスの人もいたり、ジャズの名曲もあったりで、人それぞれです。

これまでiPhone、Apple Watch、iPadなどのラインアップには、「シルバー」というスタンダードカラーがありました。ガラスの背面部分は真っ白に塗られ、劣らぬ白いアルミニウムのフレームやボディを備えるカラーです。

今回のiPhone 13シリーズにはそのシルバーが用意されず、代わって「スターライト」が加わりました。シルバー同様に背面は純白で、シルバーとあまり代わらないのではないか、と思います。しかし側面は明らかに異なっていました。

シルバーが真っ白なアルミニウムの金属の色に見えていたのに対し、スターライトはやや黄色みがかった、淡いシャンパンゴールドと言えなくもない、そんな色合いの金属。見た目の印象は、環境光によって、かなり左右されるでしょう。温かみのある電球の下では、よりシャンパンゴールドに近くなるし、蛍光灯のはっきりとした白い光の下では、よりシルバーっぽく見えるかもしれません。

Appleは染料と共に酸化被膜処理を行います。金属表面の細かい孔を作り、これを埋めることで耐食性能を高め、滑らかな表面を実現、同時に色を付けます。

今までのシルバーは、アルミニウムのいわば無垢の色のように見えていましたが、これにあえて色を付けて、一手間加えたのがスターライトというカラーになります。

シエラブルーとパシフィックブルーを比較

iPhone 13シリーズの新色「スターライト」「シエラブルー」実物の印象はどう?続いて、iPhone 13 Proシリーズに新たに加わったシエラブルーを見ていきましょう。

ProシリーズではiPhone 11 Proから特別なカラーが用意されるようになりました。2019年のiPhone 11 Proにはミッドナイトグリーンが用意され、ステンレスのフレームや背面が深みのある独特の緑に染め上げられていました。

iPhone 13シリーズの新色「スターライト」「シエラブルー」実物の印象はどう?ちなみにこの染料を作ったのは埼玉県にあるセイコーアドバンスで、2019年12月にティム・クックCEOが視察に訪れた際に、ミッドナイトグリーンの染料を混ぜている様子を興味深く眺めていたのが印象的でした。

そして2020年のiPhone 12 Proにはパシフィックブルーが用意され、2021年のiPhone 13 Proでは同じブルーながら「シエラブルー」という名前で色味が変更されています。

シエラブルーのシエラは、有名なビールの銘柄にもなっているシエラネバダ山脈からきており、山です。単体で見てみると、藤にも見えるような、明るいカラー。非常に落ち着いた色合いになっています。ハイキング中にこんな色の花が見つかったら、とても豊かな気分になりそうな。

iPhone 13シリーズの新色「スターライト」「シエラブルー」実物の印象はどう?昨年のパシフィックブルーとシエラブルーを並べてみると、前者の方がより色が濃いことがわかります。若干緑の入った濃い青は、太平洋の深い青のイメージにぴったりです。シエラブルーは、やはり紫っぽさが強まっているような印象を受けます。iPhone 13シリーズの新色「スターライト」「シエラブルー」実物の印象はどう?

ただ、いずれも落ち着きのある色で、刺激がある色ではありません。

ノッチ問題

毎年専用の色味が変わってしまうので、もしミッドナイトグリーンが好き、パシフィックブルーが絶対好み、という人は乗り換えがたい難しさがあります。

その一方で、スマートフォンの性能は年々進化しており、また今年も、大きな飛躍ある進歩がありました。2021年モデルのiPhoneで注目すべき点、実はiPhone 13 Proのアップグレードです。

iPhone 13 Proは、新しいフラットなデザイン、5G対応、3つのカメラなど、iPhone 12 Proの特徴を引き継いだ製品です。一見同じデザインに見えますが、ノッチの縮小と受話スピーカーは見た目も使い勝手も大きく向上しました。iPhone 13シリーズの新色「スターライト」「シエラブルー」実物の印象はどう?

ノッチはオールスクリーンデザインのiPhone Xが登場して以来、iPhoneの前面上部に存在する「切り欠き」であり、iPhoneのデザイン上の不完全な要素でした。もちろんそれが意匠にもなっていますが、本来ない方が良いものです。

ノッチの中には、受話スピーカー、インカメラと赤外線照射ライト・センサーを備えるTrueDepthカメラシステム、その他センサー類が備わっています。iPhone 13シリーズでは、デザインの再構成でノッチの面積が20%縮小されました。

具体的には、これまでノッチの中央部にあった受話スピーカーを、エッジギリギリ、ディスプレイ表示領域の外に追いやりました。これによって画面の切り欠き部分をより小さくすることができたのです。

同時に、受話スピーカーが縁に移動したことで、iPhoneを耳に当てたときに、スピーカー位置がズレて聞こえにくいこともなくなりました。細かすぎますが、毎日通話する人にとっては、ユーザビリティ向上の効果が大きいと思います。

6.1インチのProモデル、カメラは2世代分向上

iPhone 13シリーズの新色「スターライト」「シエラブルー」実物の印象はどう?iPhone 13 Proは、iPhone 13 Pro Maxに比べて、より性能向上を実感できるはずです。その理由は、広角カメラの進歩。いってみれば、2世代分の飛躍があったからです。

昨年、iPhone 12 Pro Maxには、大型センサーとセンサーシフト式手ぶれ補正が備わりました。このセンサーは、iPhone 13、iPhone 13 miniにも採用されている17μmピクセルのものですが、昨年のiPhone 12 Proには用いられていませんでした。

つまり、iPhone 13の方が、iPhone 12 Proより大きいセンサーを使っている、ということになります。

しかしiPhone 13 Proも負けていません。2021年は、iPhone 13 Pro Maxと同じ、19μmピクセルのさらに大きなセンサーを、センサーシフト式手ぶれ補正で備えるようになりました。これが、iPhone 13 Proの広角カメラが2世代分一気に向上した、と言う理由です。

手ぶれに強く、動画も滑らかにパンすることができます。光を2.2倍多く集めることができ、森の中、夜も、撮影を楽しむ事ができました。

コンピュテーショナルフォトグラフィーも進化しています。シネマティックモードでの動画も、動画撮影が「表現」に昇華するほどのインパクトを持っています。これらの機能はiPhone 13でも利用できる、iPhone 13シリーズの共通の機能だった。また別の機会にじっくりご紹介したいと思います。

しかし光学性能はカメラの基本で、そこに妥協がなくなったiPhone 13 Proは、最もバランスの取れた魅力的な選択肢だと思いました。ところで今回の新色、どう評価しますか?

(松村太郎。Engadget日本版より転載)

カメラが楽しいiPhone 13 / 13 Pro、12からの乗り換えも「アリ」な理由

カメラが楽しいiPhone 13 / 13 Pro、12からの乗り換えも「アリ」な理由

iPhone 13シリーズ4モデル(iPhone 13、iPhone 13 mini、iPhone 13 Pro、iPhone 13 Pro Max)を試す機会を得た。

iPhone 13 Pro/Pro Max発表。120Hz画面と3眼カメラ搭載の「最もProらしいiPhone」
iPhone 13発表。「他社主要スマホより50%速い」A15 Bionic搭載、ノッチは縮小
iPhone 13 mini発表。小型サイズにセンサーシフト式手ぶれ補正、バッテリー持ちも改善

4モデルをあれこれ使って比べてみたが、改めてiPhoneは「カメラが楽しい」と思えるスマートフォンだと認識した。

9月15日未明に行われたスペシャルイベントでは動画撮影での「シネマティックモード」がやたらとアピールされていた。手前にいる人物にピントが合っているが、奥にいる人物のほうを向くと、奥の人物にピントが合うというシーンが繰り返された。

カメラが楽しいiPhone 13 / 13 Pro、12からの乗り換えも「アリ」な理由カメラが楽しいiPhone 13 / 13 Pro、12からの乗り換えも「アリ」な理由
あれを見て「別にiPhoneで映画なんて撮らないし」と思った人も多いのではないだろうか。

確かに「シネマティック」といわれれると、自分には縁遠い機能にも感じてしまう。しかし、実際に使ってみると、これが意外と楽しいのだ。

「シネマティック」というが、実際は背景がボケる静止画のポートレート撮影が動画にも対応したというのに近いかも知れない。iPhone 13シリーズでは被写体との深度もきちんと把握している上で動画撮影を行っている。

通常のビデオ撮影では深度が深く、手前も背景も比較的、しっかりととらえている感があるが、シネマティックモードにすると被写体にきっちりとピントがきて、背景がボケる感じが強調される。まさに動画版のポートレート撮影といった感じだ。カメラが楽しいiPhone 13 / 13 Pro、12からの乗り換えも「アリ」な理由

イベントでは人物が振り向くことで自動的にピント送りされる機能がアピールされたが、実際にはそんなシーンは日常生活ではあまりない。ただ、iPhone 13では画面をタッチすれば、そこにピントが合う一方、別の場所はかなりボケた感じになってくれる。カメラが楽しいiPhone 13 / 13 Pro、12からの乗り換えも「アリ」な理由

使っていて「すごい」と感じたのが、撮影した後の動画でも、自由にピントの合う場所を変えることができてしまうのだ。

実際に4歳11ヶ月の子供を撮影してみたが、背景にいる他人がボケて、子供だけにフォーカスが合う動画になるのは、ちょっとカメラ撮影が上手くなった感がある。

SNSで動画などをあげる際に、背後に映っている人が気になり、場合によって編集でぼかしを入れるなんてことも必要になるが、シネマティックモードならそうした手間も不要になる。もちろん、通常通り、背景もしっかりと記録しておきたい映像を撮りたいのならば普通のビデオで撮影すればいい。

アップルはこのシネマティックモードをiPhone 13 Pro、iPhone 13 Pro Maxだけでなく、ノーマルのiPhone 13、iPhone 13 miniにも搭載している点が太っ腹だ。より多くの人がシネマティックモードを楽しめるだろう。

ドコモの「衝撃的」購入補助で「iPhoneを毎年買い替える」が容易に

ただ、今年のiPhone 13は去年のiPhone 12と比べて小粒な進化にとどまっている感は否めない。「今年はスルーしようかな」という人もいるのではないか。

しかし、そんな空気を察知したのか、アップルとキャリアはいままで以上に気軽に機種変更できるような施策を打ち出している。

ここ数年、総務省が端末販売に対しての割引を規制しているため、スマートフォンの買い換えがしにくくなった。昨年、各キャリアで5Gが始まったにもかかわらず、5Gへの盛り上げに水を指す結果となりつつある。

そんななか、アップルはこの数年、iPhoneを購入する際、「下取り」を推している。Apple Trade Inという仕組みを紹介し、今使っているiPhoneを下取りに出しつつ、新しいiPhoneを購入する際に割引するというものだ。

海外のアップルストアではかなり前から当たり前のように展開されていたが、日本のアップルのサイトではこの数年で見かけるようになった。端末販売の割引が厳しくなる中での苦肉の策と言えるだろう。

今年、最も衝撃的なのは、NTTドコモが購入プログラムを変更してきた点だ。

いつでもカエドキプログラム」は、スマートフォンのモデルごとに残価が設定され、24回目の支払いをするか、しないで端末を返却して残価を免除してもらうかが選べるプログラムだ。しかも、2年よりも前に機種変更したかった場合、「早期利用特典」として、返済額から月に数百円から1500円程度まで割引をしてくれる。

カメラが楽しいiPhone 13 / 13 Pro、12からの乗り換えも「アリ」な理由
ソフトバンクや楽天モバイルでは、48回払いのうちの24回払い、つまり本体価格の半額は支払う必要があるが、いつでもカエドキプログラムであれば、本体の回収が前提となるが、もっと手軽な負担で最新機種を持つことが可能になる。

我々のような1年に1回、iPhoneを買い換え続ける人には十分、検討に値するプログラムだ。

これまでは、1年後に中古業者に買い取ってもらうことを考慮しながら、iPhoneを使うということをしていてたため「買い取り金額を下げないためにも絶対に傷を一つもつけない」と意識しながら1年間、過ごしてきたが、いつでもカエドキプログラムであれば、ちょっとした傷なら目をつむって回収してくれる。これだけでもいつでもカエドキプログラムを使う意味があるというものだ。

アップルやキャリアの取り組みを見ていると、もはやiPhoneは「1年もしくは2年使ったら回収されるもの」という認識で購入というか入手した方がいいのかも知れない。最新モデルを使い続けたいのであれば、そうした買い方を工夫していくのが賢いだろう。

世間で流行のSDGs的な見方をすれば、回収されたiPhoneは整備されて、「整備済みiPhone」として売られていく、いまではauやUQモバイルのオンラインショップで整備済みのiPhoneが売られるようにもなっている。リユースの観点からも「最新モデルを使いたい人は一目散に買い、1年経ったら回収してもらい、それを別の人が使う」という流れが地球にも優しかったりするのだ。

そうした「1年後の下取り前提で、最新のiPhone13を入手する」という買い方が、今の時代に合った買い方なのかも知れない。

(石川温。Engadget日本版より転載)

iPhone 13 miniは究極の手のひらスマホだ

究極の手のひらスマホ、iPhone 13 mini実機先行レビュー

9月24日発売のiPhone 13、iPhone 13 miniの実機に少し早く触れる機会がありましたので、エンガジェット日本版よりレビューをお届けします。

iPhone 13シリーズは2020年発売のiPhone 12シリーズ同様、iPhone 13│13 mini、iPhone 13 Pro│13 Pro Maxの4モデル構成で、画面サイズはiPhone 13とiPhone 13 Proが6.1インチ、iPhone 13 miniが5.4インチ、iPhone 13 Pro Maxが6.7インチとなっています。

関連記事:iPhone 13シリーズの仕様比較表

左からiPhone 13、iPhone 13 Pro、iPhone 13 mini、iPhone 13 Pro Max

左からiPhone 13、iPhone 13 Pro、iPhone 13 mini、iPhone 13 Pro Max

「無印かProか」という観点は別のレビューをご覧いただくとして、とにかく小さい・軽いスマホを求める人にはminiのアップデートポイントが何より気になると思います。ちなみに同じ6.1インチでもiPhone 13はProより約30グラム軽量になっています。

重量はiPhone 13が約173グラム、iPhone 13 miniが約140グラム(実測値も同)

重量はiPhone 13が約173グラム、iPhone 13 miniが約140グラム(実測値も同)

TrueDepthカメラ(ノッチ)の面積が約20%小さく

TrueDepthカメラ(ノッチ)の面積が約20%小さく

ピンクとミッドナイト。ほかにブルー、スターライト、レッドの全5色展開

ピンクとミッドナイト。ほかにブルー、スターライト、レッドの全5色展開

ピンクは明るめで、光の辺り加減によって印象が変わる

ピンクは明るめで、光の辺り加減によって印象が変わる

iPhone 12 miniの弱点が解消

iPhone 12同様、iPhone 13とiPhone 13 miniとの間にサイズ以外の違いはありませんが、バッテリー駆動時間はiPhone 13のほうが長くなります。iPhone 12 miniでは駆動時間に対する不満を耳にしましたが、公称値でiPhone 13 miniは約1.5時間(iPhone 13は約2.5時間)駆動時間が延長されています。まだ違いを体感できるほど試用できていませんが、1日中カメラ機能を試してもバッテリー残量が50%切らなかったので、通常使用で1日は充電しなくて十分もってくれそうな気配です。

iPhone 13|13 miniのSoCはProシリーズと同じA15 Bionic。GPUコア数は4コアですが(Proは5コア)、12シリーズで搭載していたA14 Bionicより約2割高速なので、パフォーマンスはiPhone史上最速レベルです。実際、動作はサクサクで手のひらサイズで何でもできる優越感に浸れます。究極の手のひらスマホ、iPhone 13 mini実機先行レビュー

カメラ機能がパワーアップ

カメラレンズはiPhone 12同様2眼構成ですが、センサーが大きくなったことに加え、配置が斜めに変更されました。光学センサーによる手ブレ補正や、シネマティック動画撮影といった機能も備わっています。

iPhone 12 mini(右)よりカメラ部が大型化。厚みもわずかに厚くなったため、前モデルのケースは流用できない

iPhone 12 mini(右)よりカメラ部が大型化。厚みもわずかに厚くなったため、前モデルのケースは流用できない

別売のケースはiPhone 13も同じく専用。iPhone 12とは異なり、同じ6.1インチのProともケースの互換性がなくなった

別売のケースはiPhone 13も同じく専用。iPhone 12とは異なり、同じ6.1インチのProともケースの互換性がなくなった

別売りのレザーウォレットも新しくなり「探す」機能に対応(iOS 15にアップデートしたiPhone 12でも利用可)。取り外したときの位置情報を通知してくれるようになりました。

初回装着時、「探す」に追加するダイアログが出現

初回装着時、「探す」に追加するダイアログが出現

従来のウォレットでは「探す」機能は使えない。パッケージが似ているので、購入時に注意が必要(2021の表記を要確認)

従来のウォレットでは「探す」機能は使えない。パッケージが似ているので、購入時に注意が必要(2021の表記を要確認)

超広角カメラは4倍に。ノイズリダクションにより細部を捉えることが可能に

超広角カメラは4倍に。ノイズリダクションにより細部を捉えることが可能に

ポートレートのTrueDepth(顔認証)によるボケもよりナチュラルに

ポートレートのTrueDepth(顔認証)によるボケもよりナチュラルに

スマートHDR4で、暗がりや逆光でもいい感じに撮れる

スマートHDR4で、暗がりや逆光でもいい感じに撮れる

写真撮影の機能にフォトグラフスタイルが追加。好みの画質を画面で確認しながら撮影できるようになりました。

左から「標準」「リッチなコントラスト」「鮮やか」「暖かい」「冷たい」。肌のトーンが維持されているのがポイント

左から「標準」「リッチなコントラスト」「鮮やか」「暖かい」「冷たい」。肌のトーンが維持されているのがポイント

どのスタイルで撮影したかは、写真アプリで写真を上にスワイプすると確認できます(余談ですがiOS 15から、この画面で日付などの情報を変更できるようになりました)。4つのスタイルはカスタマイズして保存しておけるので、特定のものを撮るときに自分好みのスタイルを呼び出すといったこともできます。フィルター効果とは概念が異なり、あくまで撮影時に適用されます。

なお、新機能の割にUI上では控えめな実装で、カメラの初回起動時にガイドが出るものの、有効・無効化は若干わかりにくく感じました。

カメラ撮影時、画面上部中央の矢印のような箇所をタップすると出てくるアイコン群から、ここをタップ

カメラ撮影時、画面上部中央の矢印のような箇所をタップすると出てくるアイコン群から、ここをタップ

フォトスタイル適用時は、撮影画面右上にアイコンが表示される

フォトスタイル適用時は、撮影画面右上にアイコンが表示される

シネマティックが止まらない

すっかりハマってしまったのがシネマティックという新しい動画撮影モード。簡単に言うと動画ポートレート(背景ボカシ)機能なのですが、映画でピントをどう駆使しているかを機械学習により表現に取り入れ、自動でピントが移動します。結果的に非常に「エモい」動画ができあがります。モード選択は普通にカメラモード切り替え一覧に出てきますので、すぐにわかると思います。

人物だけでなくモノでも機能する

人物だけでなくモノでも機能する

インカメラにも対応。手ブレ補正が強く働くのでジンバルを持っているかのよう。通行人のプライバシーに配慮した自撮りも動画も手軽につくれる

インカメラにも対応。手ブレ補正が強く働くのでジンバルを持っているかのよう。通行人のプライバシーに配慮した自撮りも動画も手軽につくれる

ピントやボカシの強度は写真アプリの編集機能であとから変更可能

ピントやボカシの強度は写真アプリの編集機能であとから変更可能

このシネマティックモードは、A15 Bionicでよりパワーアップしたニューラルエンジンならではの撮影機能。iPhone 13が普及したらSNSやYouTubeでよく見る表現手法になるのではないかと思うほどです。なお、シネマティックモードの撮影は現時点ではiPhone 13シリーズのみですが、AirDropによる転送でほかのiPhoneでも再生することは可能です。iOS 15にアップデートした端末上では、ピントやボカシの再調整が行なえることも確認しました。究極の手のひらスマホ、iPhone 13 mini実機先行レビュー

iPhone 13|13 miniは容量128GB〜で10万円を切る価格から購入できます。最大容量も512GBモデルまで用意され、ハイエンド志向の方でも重量・サイズを重視する人には魅力的な選択肢かと。とくにminiは、手のひらに収まるiOSデバイスとしては最も高機能が詰め込まれた作品と言えるでしょう。

iPhone 13シリーズの動画レビューも是非ご覧くださいね。

Engadget日本版より転載)

カメラ機能が同等になった「iPhone 13 Pro」「iPhone 13 Pro Max」実機先行レビュー

カメラ機能が同等になった「iPhone 13 Pro」「iPhone 13 Pro Max」実機先行レビュー

9月24日発売のiPhone 13 Pro|13 Pro Maxの実機を少し早く試す機会がありましたので、エンガジェット日本版よりレビューをお届けします。

iPhone 13 ProシリーズはiPhone 12 Pro同様、無印・miniよりもカメラ機能が上位仕様となっているほか、外装がよりゴージャスなステンレス製に、Maxは6.7インチの大画面となっているのが特徴です。

関連記事:iPhone 13シリーズの仕様比較表

重量はiPhone 13 Proが約203グラム(実測は205グラム)、iPhone 13 Pro Maxが約238グラム(実測は239グラム)と、どちらも前モデルより微増

重量はiPhone 13 Proが約203グラム(実測は205グラム)、iPhone 13 Pro Maxが約238グラム(実測は239グラム)と、どちらも前モデルより微増

こちらはゴールド。カラーバリエーションはパシフィックブルーがシエラブルーになった以外は従来通り。3眼カメラはiPhone 12と異なりProとPro Maxで同じ仕様となった

こちらはゴールド。カラーバリエーションはパシフィックブルーがシエラブルーになった以外は従来通り。3眼カメラはiPhone 12と異なりProとPro Maxで同じ仕様となった

iPhone 12 Pro Max(右)よりもカメラが大きくなっている

iPhone 12 Pro Max(右)よりもカメラが大きくなっている

これまでiPhone 12 Pro Maxのカメラは相当大きく感じていましたが、しばらくiPhone 13 Proを使ってから改めて見ると、小さく感じてしまうので慣れって不思議ですね。

ポイントはディスプレイと撮影機能

iPhone 13 Pro|iPhone 13 Pro Maxは、有機ELディスプレイも新しいものを採用しています。

関連記事: iPhone 13 Proの新OLEDディスプレイは体験レベルを引き上げる

iPhone 13シリーズ共通で、前モデル(右)よりTrueDepthカメラ(ノッチ)の面積が約20%小さくなっている。センサーだけでなくスピーカー位置も異なるため、前モデルの保護フィルムやガラスプロテクターは流用できない

iPhone 13シリーズ共通で、前モデル(右)よりTrueDepthカメラ(ノッチ)の面積が約20%小さくなっている。センサーだけでなくスピーカー位置も異なるため、前モデルの保護フィルムやガラスプロテクターは流用できない

画面輝度は、標準時で最大1000ニトに向上(HDR表示の最大値は1200ニト)。iPhone 13|13 miniも800ニトに向上しているがProはさらに明るく、炎天下でも白がクッキリと出て見やすい

画面輝度は、標準時で最大1000ニトに向上(HDR表示の最大値は1200ニト)。iPhone 13|13 miniも800ニトに向上しているがProはさらに明るく、炎天下でも白がクッキリと出て見やすい

iPhone 12 ProはiPhone 12 Pro Maxとカメラスペックが異なっていましたが、iPhone 13 Proは Maxとまったく同じ仕様になりました。iPhone 13|13 miniシリーズとのおもな違いは3眼カメラを備え、光学3倍ズームや2センチまで寄れるマクロ撮影に対応した点などです。

デジタルズームに頼らず中央のビル群をここまで拡大できる

デジタルズームに頼らず中央のビル群をここまで拡大できる

被写体に2センチまで寄れるマクロモード。近づいていくとモードが自動で切り替わる

被写体に2センチまで寄れるマクロモード。近づいていくとモードが自動で切り替わる

抹茶の粉末に寄ってみたら、未知の惑星の大地のよう

抹茶の粉末に寄ってみたら、未知の惑星の大地のよう

マクロモードはOPPO Find X3 Proの顕微鏡モードほど理科の実験的ではありませんが、モード選択も不要で日常で気軽に使えるので、新しい発見のツールになりそうです。

光学ズーム、マクロ以外の撮影機能は(レンズサイズが違うので細かい差はあると思いますが)、基本的にはiPhone 13|13 miniと同じですので、iPhone 13|13 miniのレビューも是非ご覧ください。

関連記事: iPhone 13|13 mini 実機先行レビュー

動画撮影は、デュアル光学の手ブレ補正(望遠・広角)に対応。ストレージ容量は最大1TBのモデルがあるので、最高画質の動画をたくさん撮りたい人はProを選ぶといいと思います。

とくに新しいシネマティック撮影モードは本当に使っていて興奮する楽しさがありました(iPhone 13|13 miniでも使える機能です)。被写界深度を取り込み、映画のようなピントの変化を機械学習によりiPhoneの表現に取り入れたものです。

iPhone 13 Proでは光学ズームを利用したシネマティック撮影も可能

iPhone 13 Proでは光学ズームを利用したシネマティック撮影も可能

ピントやボカシの強度は写真アプリの編集から変更可

ピントやボカシの強度は写真アプリの編集から変更可

シネマティックで撮影した動画のSNSやYouTubeでの活用が進みそうな予感がしています。

最高峰のグラフィックス性能

iPhone 13シリーズは全モデルSoCに最新のA15 Bionicを搭載していますが、ProはGPUコア数が5コア(無印・miniは4コア)になっています。これはiPhoneシリーズだけでなく、全スマートフォン中で最高のグラフィックス性能となります。また、有機ELディスプレイの描画がより高速なProMotionに対応しているのもProのみの仕様です。

画面の描画速度を状況に応じ自動で調整

画面の描画速度を状況に応じ自動で調整

ハイエンドAndroidスマートフォンで120Hz対応ディスプレイ搭載をうたっているものがありますが、ProMotionも技術的には同じもので、Apple製品ではすでにiPad Proで採用されていました。10Hz〜120Hzの可変式となっているのが特徴で、体感速度が上がっただけでなく電力効率もよくなっており、バッテリー駆動時間の延長にも貢献しています。実際に使ったうえで120Hz出ている瞬間がわかるわけではないのですが、高速スクロールや激しい動きのアクションゲームなどでは差が出ている気がします。

私の周りにはカメラ機能が同等になったことで、今回はPro MaxではなくProを選んだという方が多いのですが、個人的にはバッテリーが最も長くもち、大画面のMaxでiPhone 13の新機能をマックスで楽しみたいと感じています。

新色シエラブルーのレビューも掲載していますので、気になる方はどうぞ。

iPhone 13シリーズの新色「スターライト」「シエラブルー」実物の印象はどう?

iPhone 13シリーズの動画レビューも是非ご覧ください。

Engadget日本版より転載)

迫るiOS 15リリースでマーケティング担当者が失うデータ、計画すべきDIYメトリクス戦略

Apple(アップル)は、米国時間9月20日(日本時間9月21日)に同社がリリースするiOS 15の一部として、重要なユーザーデータへの開発者のアクセスを排除することを計画しており、メールマーケティング担当者は、これからメトリクスをどのように把握していくかジレンマに陥っている。この問題に業界がどのようにアプローチしているのか、マーケティング担当者が収集したデータに基づいて行動することを支援するソフトウェア企業Movable InkのVivek Sharma(ヴィヴェック・シャルマ)CEOに話を聞いた。

このインタビューでは、8月に掲載されたExtra Crunch記事をベースに、メールマーケティング担当者がAppleのメールプライバシー保護の変更に備える方法を探っていく

今回のアップデートでメールマーケティング担当者にとってゲームチェンジャーなのは、AppleのMailのユーザーが自分のIPアドレスを隠すことができるようになった点だ。

マーケターたちはどのようにして戦術をピボットし、メトリクスを管理し続けられるのだろうか。シャルマ氏は、開封率ではなく、クリック数、コンバージョン数、収益といったダウンストリームメトリクスがより重視されるようになるだろうと考えている。「それはいいことのように聞こえますが、その分データは少なくなります。そして定義上、ファネルは狭くなり、その時点では人数が少ないので、何かがうまくいっているのか、うまくいっていないのかを知るのに時間がかかるかもしれません」。

シャルマ氏は、企業はゼロパーティデータに注目していると語る。「これには2つの要素があります。1つは指標としての『オープン』で、もう1つはオープン時に得られるIPアドレスや時間帯、推測される天候などの情報です。IPアドレスや日時などのような情報は、データ漏洩として認識されます。これらは、マーケターがアクセスできなくなるデータポイントのほんの一部です。そのため、彼らはすでに投資しているファーストパーティデータやゼロパーティデータを利用しています」。

シャルマ氏によると、課題は次のようなことになる。マーケターはどうすれば、ゼロパーティデータをおもしろく、視覚的に魅力的な方法で収集し、そのコンテンツをすべての顧客に対して大規模にパーソナライズできるのか?

以下に示したのは、Movable Inkがゼロパーティデータを収集した方法の1つだ。

「ゼロパーティデータ戦略」
世界的なアパレル小売企業が、ロイヤルティプログラムの導入時にゼロパーティデータを巧みに取り込みました。Movable Inkを利用したEメールでは、Movable Ink ExchangeのパートナーであるOracle CrowdTwistのデータを活用して、パーソナライズされたチェックリストのヒーロー画像を作成し、受信者のロイヤルティアカウントから主要なプロフィール質問を引き出し、完了までの進捗を表示し、回答ごとにポイントを提供しました。この合成画像は、Movable Inkが受信者の受信箱で消費したロイヤルティデータに基づいて自動的に生成され、1to1ユーザー体験を実現し、手動の制作プロセスを完全に回避しました。
​​レスポンス率149%アップ、ユニークCTR340%アップ(コントロール比)
画像クレジット:Movable Ink

シャルマ氏は次のように述べている。「ここにあるものはすべてアンケート調査の質問です。『ふだん何を買いますか』『靴のサイズは?』そして、そのお返しにポイントを付与するという、価値の交換が行われているのです。彼らは明確な方法であなたのことを知り、あなたが興味を持っているブランドと簡単に関わり合える方法を提供しているのです」。

データを手に入れたら、次の問題はそれをどのように利用するかだ。JetBlue(ジェットブルー)航空の例を見てみよう。

JetBlue パーソナライズド「イヤー・イン・レビュー」データ視覚化
2020年は旅行が困難な1年だったのを受けて、JetBlueはTrueBlueマイレージ会員を認識し、個々の乗客の旅行マイルストーンを紹介するために、一人ひとりパーソナライズされた、1年を振り返るデータビジュアライゼーションを提供したいと考えました。
Movable Inkは、JetBlueの記録システムからデータを抽出し、何十万通りもの組み合わせのクリエイティブアセットを各受信者の受信箱に直接自動生成することで、高価で時間のかかる手作業による制作を不要にしました。
画像クレジット:Movable Ink

シャルマ氏は、メールマーケティング担当者向けに、iOS 15での3つの重要なポイントを説明してくれた。

  1. クリック数やコンバージョン数などのファネル下部のメトリクスを重視すること。これこそが本当の意味でのエンゲージメントの指標となります。
  2. ゼロ・ファーストパーティデータ資産に投資する。真のパーソナライゼーションとは、人々が何を体験し、何を見るかということ。そのためには、ゼロパーティデータとファーストパーティデータを活用する必要があります。
  3. Eメールは、すでに投資されている成熟したチャネルであるため、顧客のエンゲージメントを高めるのに非常に有効です。Eメールは、顧客と一対一の関係を築くのにはすばらしいチャネルであり、それ以上の効果があります。この10年、15年の間に、Eメールはさまざまな変化を遂げてきました。この業界は進化し、プライバシーとパーソナライゼーションのバランスが取れたものになっていくでしょう。

画像クレジット:FeelPic

原文へ

(文:Miranda Halpern、翻訳:Aya Nakazato)

アップルとグーグルがロシアでの圧力に屈しクレムリン批判者の戦術的投票アプリを削除

Apple(アップル)とGoogle(グーグル)は、それぞれのロシアのアプリストアから、現在収監されているクレムリン批判者の団体が作った戦術的な投票アプリを削除した。

先にロイターは、ロシアの州が連邦選挙に先駆けて外国のテクノロジー大手への圧力を強めていると報じた。それらは「選挙妨害」という言葉を使って、米国企業がプーチン大統領の高名な政敵を検閲するよう主張していた。

米国時間9月16日のTwitterでは、Navalny(ナワリヌイ)氏の中心的な側近であるIvan Zhdanov(イヴァン・ジダーノフ)氏が、彼の団体はアプリを削除したことでAppleとGoogleを訴訟することを検討している、とツイートした。その検閲行為を「重大な間違い」という。

ジダーノフ氏はまた、チーム・ナワリヌイへのAppleの返答だという文書を公開した。その中ではテクノロジー大手(Apple)がクレムリンによる分類を引用して、ナワリヌイ派の団体を「過激派」グループと呼び、ソフトウェアの削除を正当化している。

Appleの開発者への通知の詳細のスクリーンショット。ジダーノフ氏のツイートより

AppleやGoogleは、事業を展開する国の「すべての現地法」を遵守すると日常的に述べている。

しかしロシアにおいて、その姿勢は、政治的な検閲行為に加担していることを意味する。

Appleは、戦術的投票アプリの開発者に送った取り下げに関する通知の中で、「ロシア連邦検察庁およびモスクワ市検察庁も、このアプリが選挙への干渉を可能にすることでロシア連邦の法律に違反していると判断したことに留意します」と述べている。

「アプリはロシアのApp Storeから削除されましたが、あなたがApp Store Connectで選択した他の地域のApp Storeではまだ利用可能です」とAppleは付け加えている。

TechCrunchは、ナワリヌイ氏のアプリの削除について、AppleとGoogleにコメントを求めている。

アプリ削除の公式の理由はFBKが過激派組織と認められたこと。FBKが過激派組織と認められたやり方は裁判に依らず常識に対する虐待に依っている。@googleと@Appleは大きな間違いを犯している。 下図下部はAppleからの通知本文。

またジダーノフ氏はTwitterで支持者たちに、戦術的投票のミッションにフォーカスするよう促している。Googleが保有するYouTube上でホストされている動画のリンクをツイートして、本日から日曜日まで行われる議会選挙で反プーチンの投票を行なう方法を、ロシア人たちに勧めることがミッションだ。

ナワリヌイ氏の支持者たちはロシア中の有権者を動員して戦術的投票をしてもらい、与党の統一ロシア党に勝つ可能性のある候補者への投票によってプーチンを失脚させることを望んでいる。

その戦術的投票という戦略に対して批判もある。挙げられている対抗候補者の多くが、反プーチン勢力としては弱すぎる、というのだ。

しかしそれでもナワリヌイ氏の支持者たちは、システムそのものに欠陥があることは受け入れざるをえない、と言っている。

AppleとGoogleは当初、ナワリヌイ氏の「Smart Voting」アプリの削除を拒否したが、その後、2021年8月になってロシアの州は、彼の組織によるウェブサイトへのアクセスをブロックしようとしていた。

また、Googleドキュメントも狙われたという説もある。それは、ナワリヌイ氏の支持者たちが戦術的投票の取り組みを組織化するために使っていたツールだ。

英国のiOSアプリストアでのSmart Votingアプリ(画像クレジット:Natasha Lomas/TechCrunch)

2021年9月初めのロイターの報道によると、ロシアの通信規制当局Roskomnadzorは、Smart Votingアプリを削除しないと罰金を科すとAppleとGoogleを脅迫した。それは、従わなければ選挙妨害と見なす、という警告だ。

またロシアのニュース報道によると、選挙の前夜にAppleとGoogleは連邦議会の会議に召喚された。プーチン政権はそうやって、彼の反民主的な命令を強制しようとした。

Kommersantの報道によると、テクノロジー大手2社は、ロシア連邦が彼らの事業に対する規制強化を準備している、と警告された。そして、彼らが「レッドライン」上にいるという警告がまたしても為され「正気に戻れ」と言われた。

それにより、ナワリヌイ氏のアプリの削除をプラットフォームに対して強制する彼らの土壇場の努力が、成功した。

最近ではRoskomnadzorは、この国のVPNアプリも削除しようとしていた。それにより、ロシア人が外国のストアからソフトウェアにアクセスしてナワリヌイ氏のアプリの禁制をかいくぐることを、困難にしたいのだ。

ロシアの検索大手Yandexも、検索結果にSmart Votingアプリが出ないよう強制された、といわれている。

2021年初めには、プーチン政権はTwitterも狙った。禁止したいコンテンツの削除に失敗して、サーバーの能力を落とそうとした。ただしRoskomnadzorの主張では、それは政治的コンテンツとは無関係で、青少年の自殺や児童の性的虐待、ドラッグの使用などが対象だった。

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画像クレジット:TechCrunch

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Hiroshi Iwatani)

【コラム】テック系ワーカーの大多数が反トラスト法の施行を支持

米連邦取引委員会のLina Khan(リナ・カーン)委員長の登場で、ビッグテックの解体が再びワシントンの主要政策論議に浮上した。この問題は超党派的な様相を呈しており、共和党も民主党も同様に、テック業界における独占的な行動を止めることに賛成している。もちろん、立脚点の状況はもっと微妙だ。

Amazon、Apple、Microsoft、Facebook、Googleに事業分割や中核事業からの撤退を迫る5つの超党派法案を米下院司法委員会が可決してから1カ月後、共和党の委員会メンバーらは、ビッグテック企業によるオンライン検閲を阻止する法的手段を米国民に与える新たな法案を提出した。より保守的な政策措置は、ビッグテックによるコンテンツモデレーションの慣行の透明性を高めることも提案している。

ビッグテックの規制方法をめぐる議員同士の争いは、すぐには終わらないだろう。しかし、パンデミックによって加速されたデジタルトランスフォーメーションの新時代を米国が先導する中、連邦議会は、自由市場を維持するにはビッグテックの力が抑制されなければならないという信念で強固な結束を築いている。

現状では、小規模な競合企業も消費者も、今日の近代的な経済エンジンに参加するにあたってはビッグテックに縛られる以外に選択肢はほとんどない。そしてパンデミックを経て、テック最大手5社は、資本主義の歴史ではこれまで見られなかったような驚異的なスピードで成長を続けている

大手テック企業は、事業を分割することになりかねない規制に対して強い反対の意思を示しており、規制改革は研究開発の損失、非現実的な市場の細分化、消費者へのサービスコストの上昇をもたらすことを示唆している。

AppleやFacebook、Amazonなどのビッグテック企業が出資するテック業界団体が委託した調査によると、米国人はテック関連の規制を議会にとって優先度が低いものだと考えている。米国人の最優先事項として挙げられたのは、経済、公衆衛生、気候変動、インフラであった。この調査ではまた、Amazon Primeプロダクトの無料配信のようなオファリングに影響を与える規制には、米国人が反対する可能性が高いことも明らかになった。

おそらく今回の世論調査と、選挙で選ばれた指導者たちの超党派的なセンチメントは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生後、社会が良くも悪くもテック大手への依存を認識し始めたことを示しているのだろう。過去18カ月間、米国の労働者はリモートワークに適応してきた。彼らは、他の従業員とのコミュニケーション、企業の経営、食料品や必需品の購入などに対してビッグテック企業が展開するプログラムを利用している。多くの企業が完全なリモートまたはハイブリッドのワークモデルへの移行を公表しており、この動的な状況が変わる可能性は低い。

この話題に対して、プロフェッショナル、特にテック業界やスタートアップ、スモールビジネスで仕事をする人々の間で関心が高まっている。私たちFishbowlは、その多くがテック業界で働くプロフェッショナルたちに、テック大企業の分割について聞いてみようと考えた。Fishbowlはプロフェッショナルのためのソーシャルネットワークであるため、このような職場の話題について調査を行うのは自然な流れだ。

この調査は2021年7月26日から30日にかけて実施され、この分野の従業員が反トラスト法についてどのように感じているかが調査された。調査ではプロフェッショナルたちに次のように問いかけた。「AmazonやGoogleのような大手テック企業を解体させるために、反トラスト法が使われるべきだとだと思いますか?」。

Fishbowlアプリ上で11579人の認証プロフェッショナルが調査に参加し、イエスかノーのどちらかを回答するオプションを与えられた。調査は、法律、コンサルティング、ファイナンス、テクノロジー、マーケティング、アカウンティング、ヒューマンリソース、教師などを対象に、州および専門業界に分類して行われた。

調査結果は以下の通りである。

画像クレジット:Fishbowl

1万1579人のプロフェッショナルのうち、6920人(59.76%)が回答に応じた。

回答に基づくと、調査に肯定的な回答が最も多かったのは法律のプロフェッショナルで、66.67%であった。コンサルティングのプロフェッショナルは61.97%で、次いでファイナンス(60.64%)がテクノロジー(60.03%)をわずかに上回った。一方、教師の割合は53.49%と最も低かった。ヒューマンリソース(55.65%)、アカウンティング(58.51%)、その他の専門職(58.83%)と続いている。

この調査のデータは、米国25州のプロフェッショナルから集めたものである。イエスと答えた割合が最も高かったのはコロラド州で、76.83%だった。2位は73.17%のワシントン州、3位は69.70%のミシガン州となった。大手テック企業の分割に「イエス」と答えた従業員の割合が最も低かったのはミズーリ州(51.35%)であった。インディアナ州(52.59%)、マサチューセッツ州(52.83%)と続いている。全体的に見て、調査に参加した州の大半は、反トラスト法がビッグテック企業を事実上解体すべきだと考えている。

テクノロジーのプロフェッショナルは、大手テック企業が解体されるべきだと回答した割合が4番目に高かった。ビッグテック企業を解体することで得られるメリットの一部として、スモールビジネスにより多くの機会がもたらされることが挙げられる。テクノロジーのプロフェッショナルや起業家にとっては、新たなプロダクトやプログラム、サービスを立ち上げる好機となるかもしれない。また、高度なスキルを持つプロフェッショナルの雇用を増やす可能性もある。第2のメリットは、データのプライバシーと国家的なセキュリティに関する懸念を軽減できることだ。しかし、大企業を解体することのデメリットとして、研究開発の損失が考えられる。大企業は人工知能、自動運転車、ウェアラブル、ロボットなどに多額の資金を提供している。最終的には、ビッグテック企業の解体は、プロフェッショナルそして一般の人々にとってもサービスコストを増加させる可能性がある。

政策立案者たちがビッグテックの解体方法について交渉を続ける中、ホワイトハウスも動き始めている。Joe Biden(ジョー・バイデン)大統領は最近、コロンビア大学ロースクール教授のカーン氏をFTC委員長に任命した。カーン氏はビッグテックを強く批判しており、企業の濫用から一般市民を保護し、合併のガイドラインに経済の現実と実証的な学習・執行を反映させることを最優先課題としている。端的に言えば、同氏は合併について懐疑的な見方をしている。

そして7月、バイデン大統領はJonathan Kanter(ジョナサン・カンター)氏を司法省反トラスト局長に指名する意向を表明した。カンター氏は、反トラスト法を専門とする20年以上の経験を持つ弁護士で、強力かつ有意義な反トラスト法の執行と競争政策を推進する取り組みの第1人者であり、専門家でもある。

こうしたメンバーの追加により、業界全体で反トラスト法を施行するための積極的なアプローチが行われることが期待される。今後の動きに確実に違いをもたらすことが議会に委ねられよう。

編集部注:Matt Sunbulli(マット・サンブリ)氏は、リモートワークの新時代にプロフェッショナルを結びつけるワークプレイスソーシャルネットワークFishbowlの共同設立者兼CEO。

画像クレジット:Peter Dazeley / Getty Images

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(文:Matt Sunbulli、翻訳:Dragonfly)

アップルは社内メモでテキサス州の妊娠中絶法に対する法的な異議申し立てを監視していると発表

米国時間9月16日、Apple(アップル)は社員専用のメッセージボードで、同社が最近テキサス州で成立した、同社のいう「特異な制限のある妊娠中絶法」に対する法的異議申し立てを監視していると述べた。AppleはTechCrunchに対して、そのメッセージは本物だと認めている。

「我々は、テキサス州独特の制限がある中絶法に異議を唱える法的手続きを積極的に監視しています。その間、Appleの福利厚生は包括的であり、従業員が自分の州で医療を受けられない場合は州外に出て医療を受けることができることを思い出してほしい」と、署名のないメモには書かれている。

この新法は、州内で行われる大部分の中絶を実質的に禁止するもので、現在、様々な方法で法的に争われている。ここ数日、テクノロジー業界内外の企業が相次いでこの法律に反対する姿勢を見せている。Salesforceは、テキサス州でのリプロダクティブケア(性と生殖に関するケア)へのアクセスに懸念を抱く従業員に対し、同法施行後の移動を提案している。また、テキサス州を拠点とするMatch GroupとBumbleは、州外でのケアを必要とする従業員の旅費を負担するという申し出を行っている。

このメッセージでは、法案に積極的に反対するためにAppleのさらなる行動については詳しく述べられていないが、Appleは「従業員がリプロダクティブヘルスに関して自分で決断する権利」を支持していると述べている。

Appleはテキサス州オースチンの数千人規模のキャンパスを持ち、その他にも州内にさまざまな製造工場やApple Storeを展開している。

メッセージの全文は以下のとおりだ。

女性のリプロダクティブヘルスケアについてのメッセージ

Appleでは、従業員がリプロダクティブヘルス(性と生殖に関する健康)について自ら決定する権利を支持しています。

私たちは、テキサス州の独特な制限のある人工妊娠中絶法に異議を唱える法的手続きを積極的に監視しています。一方で、Appleの福利厚生は包括的であり、従業員が自分の州で医療を受けられない場合は州外に出て医療を受けることができることをお伝えしたいと思います。あなた自身やあなたの扶養家族のケアについてサポートが必要な場合は、医療保険会社が秘密裏に支援してくれます。

みなさんの健康と幸福はAppleの最優先事項です。みなさんとみなさんの家族がAppleが提供する医療サービスを受けられるよう、今後もできる限りの努力を続けていきます。

画像クレジット:Olly Curtis/Future/Getty Images

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(文:Matthew Panzarino、翻訳:Hiroshi Iwatani)

iPhone 13 Proのカメラに「マクロ」「暗所での撮影」「映画製作向け機能」のアップデート

Apple(アップル)はコンシューマ向けデバイスの写真撮影機能を向上させるという伝統を、米国時間9月14日に発表したiPhone 13とiPhone 13 Proも受け継いでいる。iPhone 13とiPhone 13 Proは、日本では9月17日21時から予約開始、9月24日に発売開始となる。

2020年発売のiPhone 12の背面カメラにはレンズが2つ、iPhone 12 Proには3つあった。これについてはiPhone 13とiPhone 13 Proでも踏襲されている。iPhone 13には広角(f/1.6絞り値)と超広角(f/2.4絞り値)のレンズが搭載され、これはiPhone 12と同じだ。これに対し、iPhone 13 Proはまったく新しいカメラシステムになっている。

関連記事:iPhone 13はバッテリー性能だけでなくはカメラ機能も向上、税込9万8800円から

iPhone 12 Proのメインのレンズの絞り値がf/1.6であったのに対し、iPhone 13 Proではf/1.5となり、明るさが足りない場所でのパフォーマンスが向上している。超広角レンズも同様で、iPhone 12 Proのf/2.4に対してiPhone 13 Proではf/1.8となった。このように絞り値が変更されたことで、バーやコンサート会場といった暗い場所でもこれまでより多くの光を取り込むことができ、画質の向上につながることが期待される。Appleは「超広角カメラは92%多くの光をとらえて」と表現しているが、これは実際にテストしたいところだ。

画像クレジット:Apple

最も注目されるのは、おそらく望遠レンズの向上だろう。絞り値こそiPhone 12 Proのf/2.4からf/2.8に変更されたが、iPhone 12 Proの望遠が52mm相当であったのに対しiPhone 13 Proでは77mm相当だ。このため、画質を犠牲にすることなく遠くのシーンにこれまで以上にズームできる。望遠レンズは、これまで対応していなかったナイトモードにも対応した。

iPhone 13 Proで利用できるマクロモードも発表された。超広角レンズとオートフォーカスシステムの連携で、2cmの距離まで寄れる。ここまで寄るのはプロ向けの、スマートフォンでないカメラでも難しい。ビデオや、さらにはスローモーションビデオもマクロ撮影ができるので、おもしろいオプションとなるだろう。

画像クレジット:Apple

フォトグラフスタイルとシネマティックモードも発表された。両方ともiPhone 13でもiPhone 13 Proでも利用できる。

フォトグラフスタイルは、写真がレンダリングされるとき必要なエリアだけをリアルタイムで編集する機能だ。4つのプリセットから1つを選んで構図を決め、シャッターボタンを押す前に仕上がりを確認できる。もちろんリアルタイムでフィルタをかけて撮る機能は以前からあるが、Appleによればフォトグラフスタイルはもっと先進的なテクノロジーで、機械学習を利用して被写体のスキントーンを損ねることなくインテリジェントに適用できるという。

画像クレジット:Apple

シネマティックモードにより、ビデオを撮影した後で背景のボケ効果を調整したりフォーカスを変えたりすることができる。この機能はどちらかというとプロの映画製作者向けのようだ。映画監督のKathryn Bigelow(キャスリン・ピグロー)氏と撮影監督のGreig Fraizer(グレイグ・フレイザー)氏が撮影しメイキングで語るビデオで、この機能が紹介された。キヤノンやニコンが心配するには及ばない。カメラであることの利点はこれからも常に存在するからだ。これに対して、こちらはスマートフォンのカメラだ。とはいえ、スマートフォンで撮影した映画がアカデミー賞で話題になったことがないわけではない。

iPhone 13の価格は税込9万8800円からで、エントリーレベルのデジタル一眼レフカメラとちゃんとしたレンズよりも高い。望遠レンズやマクロ撮影機能も備えたiPhone 13 Proは税込12万2800円からだ。

画像クレジット:Apple

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Kaori Koyama)