AWS、モノや環境のデジタルツインが簡単に作れる新サービス「IoT TwinMaker」を発表

米国時間11月30日、AWSのre:Inventカンファレンスにおいて同社はAWS IoT TwinMakerを発表した。この新サービスを使うと、現実世界のシステムのデジタルツインの作成と利用が容易にできるようになる。

デジタルツインとは、例えば建物、工場、生産ライン、設備などを仮想的に表現したもので、実世界のデータを定期的に更新することで、表現したシステムの動作を模倣するものだ。

この新サービスにより、ユーザーはビデオフィードやアプリケーションなどのソースからデータを接続することで、単一のリポジトリにデータを移動させることなく、デジタルツインを作成することができると同社はいう。

「次のAWSサービスの内蔵データコネクタを使用できます。機器や時系列のセンサーデータ用のAWS IoT SiteWise、ビデオデータ用のAmazon Kinesis Video Streams、ビジュアルリソース(例えばCADファイル)やビジネスアプリケーションからのデータの保存用のAmazon Simple Storage Service(S3)です。また、AWS IoT TwinMakerは、他のデータソース(SnowflakeやSiemens MindSphereなど)と併用する独自のデータコネクタを作成するためのフレームワークも提供しています」と、AWSは新サービスに関するブログ記事で説明している。

同社は、デジタルツイングラフが作成されると、ユーザーは物理的環境のコンテキストでデータを可視化したいと考える可能性が高いと指摘している。これに対応するため、AWS IoT TwinMakerは、ユーザーの物理システムの仮想表現と接続されたデータソースの関係を組み合わせたデジタルツイングラフを作成する。これにより、ユーザーは実世界の環境を正確にモデル化することができる。また、ユーザーは既存の3Dモデルをインポートして、工場などの物理的空間の3Dシーンをアレンジすることができる。そこから、接続された機械学習サービスからのインサイトとともに、インタラクティブなビデオやセンサーデータのオーバーレイを追加することもできる。

AWSは、このサービスには、Grafana Labsが提供するオープンなダッシュボードおよび可視化プラットフォームのマネージドサービスである「Amazon Managed Grafana」のプラグインが付属していると指摘する。

AWS IoT TwinMakerは、バージニア州北部、オレゴン州、アイルランド、シンガポールでプレビュー版が提供されており、今後、他のAWSリージョンでも提供される予定だ。

画像クレジット:AWS

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(文:Aisha Malik、翻訳:Hiroshi Iwatani)

AWSがより早いメインフレームの移行とモダナイゼーションのための新ソリューションを発表

米国時間11月30日朝に開催されたAmazon(アマゾン)のカンファレンス「AWS re:Invent」で、同社はメインフレームの移行とモダナイゼーションのための、シンプルな名称の新プラットフォーム「AWS Mainframe Modernization」を発表した。

同社のユーザーは本日から、メインフレームから移行するために、いくつかの異なる方法を取ることができる。それは「リフト&シフト」アプローチでアプリケーションをほぼそのまま持ってくるか、リファクタリングを行ってクラウド上でアプリケーションをマイクロサービスとして分解するかだ。しかし、どちらの方法もそう簡単ではなく、アプリケーションのソースコードの複雑さを評価し、他のシステムとの依存関係を理解し、コードを変換またはリコンパイルし、さらにすべてが動作するかどうかをテストしなければならないため、プロセスが完了するまでに数カ月から数年かかることもある。

「これは非常に面倒な作業であり、多くの要素が絡み合っています」とAWSのCEOであるAdam Selipsky(アダム・セリプスキー)氏は会見で述べた。「また、AWSパートナーが移行を支援してくれるとはいえ、長い時間がかかることもあります」と付け加えた。

新しいソリューションの「AWS Mainframe Modernization」では、その代わりにAWS上でメインフレームアプリケーションの移行、モダナイゼーション、作動をより迅速に行うことができる。同社は、一連の開発、テスト、展開ツールとメインフレーム互換のランタイム環境を用いて、メインフレームのワークロードをクラウドに移行するのにかかる時間を最大で3分の2に短縮できる、としている。また、このソリューションでは、顧客がメインフレームアプリケーションの準備状況を評価・分析した上で、再プラットフォーム化とリファクタリングのどちらの方法を取るかを選択し、計画を立てることができる。

再プラットフォーム化したい場合、Mainframe Modernizationソリューションは、コードを変換するためのコンパイラと、変換中に機能が失われていないことを確認するためのテストサービスを提供する。アプリケーションのリファクタリングや分解をしたい場合、例えばコンポーネントをEC2やコンテナ、Lambdaで実行できる場合は、Mainframe Modernizationソリューションを使用して、COBOLコードを自動的にJavaに変換することができる。Migration Hubでは、複数のAWSパートナーやソリューションにわたる移行の進捗状況を1カ所で追跡することができる。

Amazonはこのシステムを、セキュリティと高可用性、スケーラビリティ、弾力性を提供する、機敏でコスト効率の高い(オンデマンドの従量制リソースによる)管理されたサービスだとアピールしている。


画像クレジット:Ron Miller

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

アマゾンが数日でプライベートモバイルネットワークの設置・拡張できるAWS Private 5Gのプレビュー版公開

米国時間11月30日午前、Amazon(アマゾン)のAWS re:Inventカンファレンスで、同社はAWS Private 5G(AWSプライベート5G)のプレビューを発表した。ユーザーが独自のプライベートネットワークを容易に展開、管理するサービスだ。新機能の狙いは、現在多くの企業が直面している5Gの活用という課題に対応することだ。AWSのCEOであるAdam Selipsky(アダム・セリプスキー)氏は、AWS Private 5Gを使えば、プライベートモバイルネットワークの設置と拡張が数カ月ではなく数日でできるようになる、と語った。

「モバイル・テクノロジーの利点を、長い計画サイクルや複雑な統合、高額の初期費用といった障壁なく享受することができます」とセリプスキー氏が基調講演で述べた。「ネットワークをどこに作りたいのか、ネットワーク容量をどうしたいのかを当社に知らせていただければ、必要なハードウェアとソフトウェアにSIMカードをお送りします」。

画像クレジット:AWS

セリプスキー氏は、AWS Private 5Gがネットワークの設定、展開を自動的に行い、デバイスの追加やネットワークトラフィックの増加に合わせて、容量をオンデマンドで拡張できることを説明した。初期費用やデバイス当たりのコストはかからず、顧客は要求したネットワーク容量とスループットに対してのみ料金を支払う。

「多くのお客様が、さまざまな制約に対応するために独自のプライベート5Gネットワーク構築を望んでいますが、プライベートモバイルネットワークの展開には、多くの時間と費用、予測されるピーク容量に合わせたネットワーク設計が必要になり、複数ベンダーのソフトウェアとハードウェアのコンポーネントを購入、統合しなくてはなりません。また、お客様自身でネットワークを構築できたとしても、現在のプライベートモバイルネットワーキングの価格モデルでは接続デバイスごとに課金されるため、数千台のデバイスを利用するケースでは価格的に利用が困難です」と新サービスを紹介するブログで会社は述べた。

Amazonは、AWS Private 5Gは展開を簡易化することで、顧客が独自の4G/LTEあるいは5Gのネットワークを迅速に展開し、接続デバイス数を容易に増減できること、使い慣れたオンデマンドクラウドの価格モデルを利用できることなどを説明している。

AWS Private 5Gのプレビュー版は米国で公開される。利用するためには、ここで申し込みができる。

画像クレジット:AWS

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(文:Aisha Malik、翻訳:Nob Takahashi / facebook

AWS CloudWatchにユーザーモニタリングとA/Bテスト機能追加

2009年に導入されたAmazon CloudWatchは、AWSの顧客が自分のクラウドの利用状況や、それに対する支出をモニタできるツールだ。ラスベガスで行われているクラウドの顧客のためのAWS re:Inventカンファレンスで同社は、このプロダクトの2つの強化機能を発表した。

Amazonは、CloudWatchが提供するデータのタイプを徐々に増やしてきた。そして米国時間11月29日、ユーザーのモニタリングを追加された。そのReal User Monitoring(RUM)機能でAWSの顧客は、いつデプロイの問題が起きるのかを理解し、顧客が実際にそれを感じる前に修正行為を行なう。

AmazonのJeff Bar(ジェフ・バー)氏はブログで次のように述べている。「Amazon CloudWatchのRUMは、この体験を見つけて理解し改善するためのインサイトを与えるメトリクスを、あなたが集めるのを助けます。自分のアプリケーションを登録し、JavaScriptのコード片を各ページのヘッダーに加えてデプロイするだけです」。

これは驚異的なイノベーションとは言い難く、AppDynamicsやNew Relicなどが何年も前からやっていたことだ。しかし、Amazonの提供物の多くに倣ってこれらもAWSの内部の顧客にフルコースの体験を提供し、特にこのようなモニタリングは、ユーザーのAWSアプリケーションがおかしくなりそうなときに、そのことを教える。

もう1つの新機能は、CloudWatch Evidentlyと呼ばれる新しい体験ツールで、デベロッパーがこの機能のフラグを立てると、AWS上で構築中のアプリケーションの中でA/Bテストができるようになる。ユーザー全員にアプリケーションのアップデートを一斉に提供するのではなく、一部のユーザーを対象にしてアップデートをテストし、ユーザーがこの新しいアプローチやデザインを選ぶと何か問題が起きないか、むしろデベロッパーは前もって知りたいだろう。

新しい機能を経験する人びとの数を制限するためには、コード中のフラグを立て、この機能のためのパラメータをセットする。しかもこの機能では、実験のもう1つの形式としてA/Bテストができる。これもやはりごく一部のユーザーに対してアプリケーションの機能をテストし、どの機能やデザインが気に入られたかを知ることができる。

これらのどれも新しいものではない。Split.ioなどはいろいろな機能フラグを管理できたし、またOptimizelyなどは、A/Bテストの高機能バージョンを開発した。

CloudWatch EvidentlyはすでにAmazonの9つのクラウドリージョンで。従量制の課金により利用できる。CloudWatch RUMは、集めるイベント10万件につき1ドル(約113円)で、10のリージョンで利用できる。

画像クレジット:SOPA Images/Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Hiroshi Iwatani)

AWS、エネルギー業界対象の「AWS Energy Competency Program」を発表、持続可能なエネルギーの未来への移行をナビゲート

Amazon(アマゾン)は米国時間11月30日、エネルギー業界に向けた専門的なソリューションを開発するAWSパートナーを正式に認定する新しいプログラムを発表した。この新しいAWS Energy Competency Program(AWSエナジーコンピテンシープログラム)は、より持続可能なエネルギーの未来への移行をナビゲートしながら、世界中のエネルギー生産者が最新の技術を用いてAWSを搭載したソリューションを構築・実装することを助けることができる技術的専門知識と顧客の成功をすでに実証している専門パートナーを特定するものだ。

現在、多くのAWSパートナーがエネルギー業界と連携し、石油・ガス資産の探査段階から集荷・加工・輸送・管理・保守に至るまでの運用管理や、再生可能・持続可能な分野での運用管理など、AWSテクノロジーの活用を支援している。これらの業界では現在、クラウドコンピューティング、モノのインターネット(IoT)、人工知能(AI)、機械学習(ML)などのソリューションの導入が加速しているとAmazonはいう。

新しいAWSエネルギーコンピテンシープログラムは、持続可能な再生可能エネルギー資産を含むポートフォリオの開発を支援できるパートナーを含め、世界のエネルギー生産者との連携に関して、特定の専門知識を持つAWSパートナーを業界がよりよく識別できるようにする。

このプログラムは、エネルギー生産者向けの新しいプログラムの開発を支援するためにAWSと協力した32のグローバルパートナーを含んでいる。このグループには、特化したソリューション分野、業界の垂直構造、またはワークロードを支援できるパートナーが含まれている。パートナーは、エネルギー業界特有のベストプラクティスに関連した厳格な技術検証を受けなければならないため、これは現在、AWSパートナーが達成できる最も厳しい指定の1つであると、Amazonは指摘している。

画像クレジット:Amazon

パートナーの1つであるSlalom(スラロム)は、北米のエネルギー企業であるTC Energy(TCエナジー)の4万4000kmにおよぶ天然ガスパイプラインの管理を支援している。TC EnergyはSlalomと協力して、顧客がガスのスケジューリングを最適化できるよう機械学習を利用したビジネスインテリジェンスアプリケーションを開発した。別のパートナーであるAIビデオ分析プロバイダーのUnleash Live(アンリーシュ・ライブ)は、風力発電所、ソーラーパーク、水力発電、天然ガスプロジェクトなどを運営するインダストリアル・エンジニアリング・ソリューション・プロバイダーのWorsley(ウォーズリー)を支援した。Worsleyは、Unleash Liveを利用して、ドローンとコンピュータビジョンを活用して検査を行っている。

その他のパートナーは上流、中流、下流、新エネルギー、基幹業務アプリケーション、ヘルス、安全、環境、データアナリティクスなどのソリューションの提供を支援できるとAmazonは述べている。現在、プログラムへの参加に関心のあるAWSパートナーは、AWS Service Partners(AWSサービスパートナー)とAWS Software Partners(AWSソフトウェアパートナー)の両方の検証チェックリストを見ることができる。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Yuta Kaminishi)

AWSが変化するデータを自動で更新できるData Exchange for APIsを公開

開発者は、他社のデータセットを利用して機械学習モデルを構築することがよくある。他社のデータセットを自分のモデルに追加するのだ。しかしデータは常に静的であるとは限らない。そのため、余分な作業ではあるが、何らかのパイプラインのようなものを構築して定期的にデータを集めることになる。

米国時間11月30日にラスベガスで開催されたAWS re:Inventで、AWSはAWS Data Exchange for APIsを発表した。これは変化する他社APIを自動で更新できる新しいツールで、更新の仕組みを構築する必要がなくなる。

AWSのAlex Casalboni(アレックス・カサルボニ)氏は同社プログの投稿で、APIを使うことによりデータサイエンティストはパイプラインがなくても株価のように頻繁に変化する情報をもとにして質問の答えを得られるようになると指摘している。APIが1つだけならこれでいいが、複数のAPIを使う場合はAPIに関する通信や認証、ガバナンスなど新たな問題が発生する。

AWS Data Exchange for APIsはこのような問題の解決に役立つ。カサルボニ氏はブログで「本日、AWS Data Exchange for APIsの公開を発表し、うれしく思っています。これはAWSのSDKを使って安定したアクセスで他社APIを見つけ、購読し、利用できる機能です。AWSネイティブの認証やガバナンスも一貫して利用できます」と述べている。

ここで重要なのは、今週発表された多くのツールと同様にこれもAWS独自のツールであるという点だ。アプリケーションやデータモデルをAWS上で構築しているなら、このツールでAWSのSDKにアクセスし、AWSの認証やガバナンスのツールを利用して、他社APIのアクセスと更新を自動化できる。

データプロバイダにもメリットがある。Data ExchangeのカタログにデータプロバイダのAPIが掲載されれば、多くの開発者の目に留まりデータソースを利用してもらえる。カサルボニ氏は「データプロバイダはOpenAPIの仕様でAWS Data ExchangeカタログにAPIを掲載し、Amazon API Gatewayのエンドポイントに配置することで、膨大な数のAWSのお客様にAPIを発見してもらえるようになります」と説明した。

Variety Business Intelligence、IMDb、Foursquareなど多くのプロバイダがData Exchangeでデータを提供している。ツールは開発者とAPIプロバイダの両方を対象に、米国時間11月30日から公開が開始されている。

画像クレジット:Blue Planet Studio / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Kaori Koyama)

コンテナ化されたアプリをオンプレミスまたはクラウドで実行できるようにする新しいAWS Marketplaceオプション

コンテナが急増するにつれ、開発者はコンテナを使用してソフトウェアを配布するようになっている。だがオンプレミスかクラウドかの環境によって、ユーザーにはコンテナのインストールに関わる一連の課題が残される可能性がある。この問題を解決するために、AWSは米国時間11月30日、ラスベガスで開催中のAWS re:Inventで、AWS Marketplace for Containers Anywhere(AWSマーケットプレイス・フォー・コンテナズ・エニウェア)を発表した。

製品の名前はあまりクリエイティブではないかもしれないが、それは何をするものかを正確に説明している。開発側がコンテナをAWSのマーケットプレイスで提供すれば、ユーザーはそれをどこにでもデプロイできるのだ。ここでの狙いは、AWS Marketplace上で、コンテナ化されたアプリケーションを検索する手段を提供し、それらをサブスクライブして、任意の環境のKubernetes(クバネティス)クラスターに簡単にデプロイする方法を提供することだ。

AWSのChanny Yun(チャニー・ヤン)氏は、新機能を発表したブログ投稿で「このリリースによって、Amazon EKS Anywhereを使ったオンプレミス環境や、Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC 2) やオンプレミス環境上でお客様ご自身で管理されているKubernetesクラスターに対して、サードパーティのKubernetesアプリケーションをデプロイできるようになりますので、最終的にどこにデプロイするかに関係なく、単一のカタログを使用してコンテナイメージを検索することができるようになります」と書いている。

ヤン氏が指摘するように、これにより、柔軟な請求オプション、アプリケーションのセキュリティスキャンが済んでいるという情報、管理の簡素化など、マーケットプレイスを使用する際のすべての利点がユーザーに提供される。なにより大きな利点の1つは、ライセンスを変更するだけでさまざまな環境に展開できる柔軟なライセンス方式だ。

またヤン氏は「この機能を使用してアプリケーションをサブスクライブすれば、独立系ソフトウェアベンダー(ISV)が提供するHelm(ヘルム)チャートを、AWS上のISVのKubernetesクラスタにデプロイすることで、ご自身のKubernetesアプリケーションをAWSに移行できます」とも書いている。

AWSは、AWS Marketplace for Containers Anywhereが、AWS Marketplaceをサポートしているすべてのリージョンで利用できるようになったと発表した。

画像クレジット:Jason Alden/Bloomberg/Getty Images

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(文: Ron Miller、翻訳:sako)

AWSが新しいロボットフリート管理支援プログラム、ロボティクスアクセラレーターを開始

AWSのフラッグシップカンファレンス「re:Invent」の開幕にあたり、クラウドコンピューティングの巨人である同社は米国時間11月29日、大規模なロボットフリートの共同作業を支援するアプリケーションを構築するための新サービス「AWS IoT RoboRunner(IoTロボランナー)」を発表した。この新サービスは、Amazon(アマゾン)が自社の倉庫で利用しているようなロボットフリートを運用するために必要な、作業およびフリート管理アプリケーションを構築するためのインフラを提供することを目指している。

また、同社は新しいロボティクスアクセラレータープログラムを発表した。

RoboRunnerは、さまざまなメーカーのロボットと統合するアプリケーションの構築や、アプリケーションのライフサイクルの管理を支援する。AWSは、現在、異なるベンダーのロボットを単一のシステムに統合することは困難であり、企業はロボットを管理するために多くのサイロを抱えていると論じている。

画像クレジット:AWS

RoboRunnerは開発者に対して、フリート全体の集中的なデータリポジトリを提供するとともに、特定の施設内のすべての目的地をモデル化するためのレジストリや、これらのロボットが実行するすべてのタスクを記録するためのレジストリを提供する。

このサービスがターゲットとしているのは、無人搬送車、移動ロボット、ロボットアームなどのフリートを運用している大規模な産業企業だ。

RoboRunnerに加えて、AWSはMassRobotics(マスロボティクス)と共同で、新しいロボティクススタートアップ・アクセラレーター「AWS Robotics Startup Accelerator」を発表した。

AWSのCTOであるWerner Vogels(ワーナー・ヴォゲルス)氏は、29日の発表で次のように述べた。「今日、成功している商業用ロボット企業は数えるほどしかありませんが、これにはいくつかの大きな理由があります。第一に、実世界の環境はダイナミックで予測不可能であるため、適切なニッチ分野と適切な能力を組み合わせることが難しく、ロボット製品市場に適合する企業を見つけることがなかなかできません。第二に、高度な自律性と知能を備えたロボットを作るには、多分野にわたるスキルが必要であり、そのようなスキルを持った人材の確保は困難です。第三に、ロボティクスは資本集約的であり、センサーやアクチュエーター、機械的なハードウェアがすでに市販されている場合でも、多額の先行投資が必要となります」。

この新しいプログラムは、アーリーステージのスタートアップ企業(売上高1000万ドル / 約11億4000万円未満、調達額1億ドル / 約114億円未満)を対象としている。選ばれた企業は、ロボティクスのエキスパートによる専門的なトレーニングやメンターシップを受けられる他、最大1万ドル(約114万円)のAWSクレジットを獲得できる。

画像クレジット:Westend61 / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Aya Nakazato)

AWSの新CEOアダム・セリプスキー氏は「re:Invent」で何を発表するのだろうか?11月29日開催

1年で最も魅惑的な時期がやってくる。いや、これから始まるホリデーシーズンのことではない。来週から始まる、AWSの年に一度のユーザー向け祭典「re:Invent」のことだ。このカンファレンスは、新機能や新製品が大量に発表される、毎回ニュースの多いイベントだ。AWSにとっては、プレス、顧客、パートナー、その他の関係者を集めてラスベガスでパーティーを行うときでもある。2021年は新たな趣向が凝らされている。

2020年は新型コロナウイルスの影響でバーチャルイベントとして開催されたが、2021年はラスベガスに戻ってきたことに加え、新CEOのAdam Selipsky (アダム・セリプスキー)氏が指揮を執る初めてのre:Inventとる。

セリプスキー氏は、Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏がAmazon(アマゾン)CEOを退任して取締役会長に就くことを発表し、ベゾス氏の後任として元AWS CEOのAndy Jassy(アンディ・ジャシー)氏がAmazon CEOに昇格した後、2021年初めにTableau(タブロー)からやってきてAWSの新CEOに着任した。

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経営陣のイス取りゲームがひと段落し、セリプスキー氏は今回のre:Inventでメインの基調講演を行うことになったが、彼が前任者の後釜を務めるのは大変だろう。ジャシー氏には、自分の会社の膨大な製品カタログを頭の中で整理し、それらすべてがどのようにつながっているのかを、即興のように語れるという不思議な能力があった。同じようなことをするのは容易ではない。

しかし、ジャシー氏は、Tableauの元幹部が自分の後継者になることを従業員に知らせるメールで、セリプスキー氏には彼自身の個人的な強みがあることを指摘している。

「アダムは、強い判断力、顧客中心主義、チームビルディング、需要創出、そしてCEOとしての技能を、すでに非常に強力なAWSの首脳陣にもたらすことになります。また、彼はかつてAWSで11年間、このような上級職に就いていたため、当社の企業文化とビジネスをよく理解しています」。

それは確かにすべて事実であり、彼が現在引き継いで運営している会社は、しっかりと市場を支配しているが、このような成功にもかかわらず、セリプスキー氏はAWSに自身の印を押し、ビジネスのやり方に手を加える準備を整えている可能性を示す徴候も見られる。

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例えば、先週Bloomberg(ブルームバーグ)が報じたところによると、セリプスキー氏はMicrosoft(マイクロソフト)やGoogle(グーグル)のクラウド作戦帳を参考にして、業界に特化したソリューションにもっと集中しようと考えているという。ジャシー氏の支配下では、このような戦略を避け、より総合的なアプローチを好み、具体的な対応はパートナーに任せるというやり方を採っていた。

セリプスキー氏は、TableauがSalesforce(セールスフォース)に買収された後、短期間在籍したSalesforceが業界主導のソリューションアプローチを好んでいたことから、AWSにとってもこれが良い方法であると確信したのかもしれない。しかし、それ以上に、彼が自分の指揮下でAWSを変えるつもりかどうかは明らかにしていない。もしかしたら来週には何かを変えようとするかもしれないし、あるいはまだ壊れていないもの、直す必要のないものを見極めているのかもしれない。

セリプスキー氏へのアドバイスを求めると、業界関係者の中にはすぐに答えてくれる人がいた。

Constellation Research(コンステレーション・リサーチ)のアナリストであるHolger Mueller(ホルガー・ミューラー)氏によれば、セリプスキー氏にまず最初にアドバイスしたいことは、AWSの増え続ける製品群を、よりシンプルで範囲を絞ったカタログに縮小することだという。「CTOたちは、開発者の創意工夫に頼らざるを得ないようなソリューションを避け、バージョン番号やロードマップが点と点を結ぶプラットフォームを提供しようとしています」と、ミューラーは語る。

第2に、ミューラー氏はクラウドの販売に関して、より企業に優しいアプローチをとること、つまりGoogleやマイクロソフト、あるいはIBMやOracle(オラクル)に寄せるやり方を提案している。同氏はさらに、Googleが行ってきたように、経験豊富な企業幹部をできれば採用することを提案し、特に、2018年にOracleから来たThomas Kurian(トーマス・クリアン)CEOや、2019年にSAPからグローバルクラウドオペレーションの社長として着任したRobert Enslin(ロバート・エンズリン)氏などの名前を例として挙げた。

Moor Insights & Strategy(ムーア・インサイツ&ストラテジー)の創業者で主席アナリストのPatrick Moorhead(パトリック・ムーアヘッド)氏は、いくつか異なる提言をしている。同氏は、Googleやマイクロソフト、Adobe(アドビ)などに対抗するために、スタックを上げてより多くのSaaSアプリケーションの開発に着手することを提案。さらに、競合他社が主導権を握ろうとしているハイブリッドにも進出して欲しいと考えている。

とはいえ、現在でもAWSは絶大な成功を収めており、直近の四半期報告書では161億ドル(約1兆8500億円)もの収益を計上している。しかし、セリプスキー氏自身は先週、BloombergのEmily Chang(エミリー・チャン)氏によるインタビューで、このような優れた競合他社が自分の会社を追いかけてきている中で、この成功がいつまでも続くと期待して安穏としているわけにはいかないと語っている。

「自分たちが反乱軍であるかのような行動を続け、現職者のような行動を始めないようにすることが本当に重要です」と、セリプスキー氏はチャン氏に語った。

それはともかく、今回のre:Inventで、セリプスキー氏はAWSの顔として初めての出番を迎え、メインの基調講演を行う。ジャシー氏の直属とはいえ、セリプスキー氏は彼自身で、この収益性の高い部門を成長させ続けるために何が重要だと考えているかを強調するだろう。それが何か大きな変化をともなうかどうかは、来週になればわかるはずだ。

画像クレジット:Ron Miller/TechCrunch

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(文:Ron Miller、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

AWSが機械学習のためのエンド・ツー_エンド機能を備えたSageMakerの機能を拡張

立ち上げからすでに3年近くになるAmazon Web Services(AWS)の機械学習開発プラットフォームSageMakerが、自動化や機械学習能力の構築工程の、各ステップをより容易に自動化しスケールできるようになった新たな機能を追加した大規模なアップグレードを行った。

機械学習がメインストリームになるにつれて、企業のさまざまな事業部門が自動化のためのアプリケーションを求めるようになり、AWSはそれらの要求に対応してそのようなアプリケーションの開発がより容易にできるよう努力してきた。

「SageMakerのようなユーザーの多いサービスには、顧客からの提案をたくさん得られるという利点があり、それが次へ向けての改善の原動力になっている。本日(米国時間12月8日)、Amazon SageMakerのための一連のツールを発表しているが、それらは機械学習のエンド・ツー・エンドのパイプラインの構築を大幅に容易にするものであり、可視性と説明性に富むカスタムの機械学習モデルと大規模なオートメーションの準備と構築と訓練、説明、検査、モニタリング、デバッグおよび実行を可能にする」とAWSの機械学習担当副社長であるSwami Sivasubramanian(スワミ・シバスブラマニアン)氏は述べている。

AWSによると、すでに3MやADP、AstraZeneca、Avis、Bayer、Capital One、Cerner、Domino’s Pizza、Fidelity Investments、Lenovo、Lyft、T-MobileそしてThomson Reutersなどの企業がSageMakerのツールを利用して、それぞれの事業を運用しているという。

同社の新しいプロダクトには、統一されてないばらばらなソースからのデータを正規化して、一貫性のあるデータの利用ができるようにするAmazon SageMaker Data Wranglerが含まれる。また、Data Wranglerはバラバラなデータソースを特徴(feature)の集まりへとグループ化し、特定のタイプのデータを目立つようにするプロセスを容易にする。Data Wranglerツールには300種類あまりのデータトランスフォーマーが内蔵され、顧客は特徴量の正規化と変形と結合をコードを一切書かずにできるようになる。

アマゾンはまた、トレーニングや推論のための機械学習機能の保存、更新、取得、共有を容易にするリポジトリを顧客が作成できるFeature Storeを発表した。

Amazon Web Servicesが自慢するもう1つの新しいツールがPipelinesだ。これは、ワークフローの管理と自動化のためのツールキットだ。Pipelinesが提供するオーケストレーションとオートメーションの機能は従来のプログラミングと異なるものではないが、デベロッパーはパイプラインを使って、エンド・ツー・エンドの機械学習ワークフローの各ステップを定義できる。このツールを使うとデベロッパーは、SageMaker Studioのエンド・ツー・エンドのワークフローを同じ設定で再実行でき、毎回同じモデルを得ることができる。あるいは再実行を別の新しいデータで行って、モデルをアップデートすることもできる。

人工知能と機械学習における長年の課題であるデータの偏りを解決するために、アマゾンはSageMaker Clarifyをローンチした。それは米国時間12月8日、まさに発表されたツールで、同社によると機械学習のワークフロー全体にわたって偏りを検出し、デベロッパーはモデルのセットアップのされ方をよく理解した状態で仕事ができるようになる。このようなオープンソースのツールがすでにあることをアマゾンは認めるが、それらのツールは手作業が多く、デベロッパーの負担が大きいと同社は主張している。

機械学習のアプリケーション開発工程をを単純化してくれるその他のプロダクトの1つとしてSageMaker Debuggerがある。これはデベロッパーがシステムリソースの使用状況をモニタリングし、その間に異常が見つかれば警報するツールで、これによりモデルの訓練を高速化できる。

そしてDistributed Trainingと名付けられたプロダクトは、データを複数のGPUに分有させて並行処理し、ディープラーニングの大型で複雑なモデルをより速く訓練できる。

またSageMaker Edge Managerは、エッジデバイスのための機械学習モデルの管理ツールだ。これによりデベロッパーは、集団として存在するエッジデバイスにデプロイされるモデルの、最適化とセキュリティとモニタリングと管理を行う。

最後に、Amazonが発表したSageMaker JumpStartは、アルゴリズムやサンプルノートを見つけるための検索可能なインターフェースを開発者に提供し、彼らが機械学習の旅を始めることができるようにする。同社によると、機械学習を初めて使う開発者には、あらかじめ構築された複数の機械学習ソリューションを選択してSageMaker環境に導入するオプションを提供するという。

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カテゴリー:人工知能・AI
タグ:AmazonAWSAWS re:invent

画像クレジット:Jason Alden/Bloomberg/Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

​AWSがあらゆるカメラに機械学習技術を搭載するデバイスPanoramaを発表

AWSはAWS Panorama Applianceという新しいハードウェアデバイスをローンチした。このデバイスはAWS Panorama SDKととも利用し、既存のオンプレミスカメラをコンピュータービジョンの能力のある超強力な監視デバイスに変える。

AWS Panorama Applianceの売り込み文句は、生産ラインで部品を点検する、安全な手順や工程が行われているか確認する、小売店で人の流れを分析するといったものだ。「AWS re:Invent」2020テーマは「新しいオートメーションサービス」。つまり「何でも自動化しよう」だ。

ユーザー企業はまず、Amazon SageMakerなどを使ってコンピュータービジョンのモデルを作る。Panorama Applianceは、そのモデルを、ネットワークまたはネットワークに接続されたフィードに対して走らせる。

近くAWSはPanorama SDKを提供するため、メーカーはPanorama対応のデバイスを開発することができる。

Amazon(アマゾン)は以前にも、デベロッパーやエンタープライズに対して監視技術を売り込んできた。2017年にはDeepLensを披露し1年後に発売した。それを使って開発者はプロトタイプの機械学習モデルを作り、アマゾンはコンピュータービジョンの能力を商用化するためのさまざまな方法を得る。

2018年の記事から引用する。

DeepLensは他のAWSサービスと深く統合されている。AWSのIoTサービスであるGreengrassはDeepLensにモデルを配信する際に利用し、アマゾンの機械学習モデル構築用最新ツールであるSageMakerとも連携する。あらかじめ用意されているモデルを使えば、10分足らずでDeepLensを設定しモデルを組み込んで利用できる。プロジェクトテンプレートの中には、20種類の物体を識別する物体検出モデルや、カメラ画像をヴァン・ゴッホ風に変換するスタイル変換モデルや顔認識モデル、猫と犬を区別するモデル、約30種類の動作(ギターを弾くなど)を認識できるモデルなどがある。DeepLensチームは、頭部の姿勢を追跡するモデルも開発中だ。そうそう、ホットドッグ検出モードもある。

ビデオのための機械学習の開発に関して、アマゾンには大量の経験と大量の議論がある。同社の顔認識ソフトウェアであるRekognitionは抗議と反発に火をつけ、その技術の使用は一時停止に追い込まれた

そして同社は機械学習をさらに、一般住宅のドアベルカメラであるRingにも搭載しようとした。

それでも企業は、セキュリティや安全、品質管理などのために、機械学習をベースとする動画認識技術を声高に要求している。むしろ新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが長引くにつれて、建物の使用や専有をめぐる新たなプロトコルが採用されるようになり、しかもそれは現在のパンデミックのためだけでなく、今後の深刻さを軽減するスペースやプロトコルのための、先行的計画にも採用されている。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:AWS re:InventAWSAmazon機械学習コンピュータビジョン

画像クレジット:Amazon Web Services

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

AWSがECSとEKSサービスをデータセンターに提供、EKSはオープンソース化

米国時間12月1日に開催された「AWS re:Invent」2020カンファレンスで、Andy Jassy(アンディ・ジャシー)氏は企業がクラウドを強力に推進していることについて多くを語ったが、同日のコンテナに焦点を当てたイベントで、オンプレミスでもクラウドでも実行できるように設計されているECS AnywhereとEKS Anywhereの発表もデータセンターに大きな反響を与えた。

これら2つのサービス、つまり汎用コンテナオーケストレーションのECSとKubernetesに焦点を当てたEKSは、顧客がこれらの人気のAWSサービスをオンプレミスで利用できるようにする。ジャシー氏によると、一部の顧客はまだオンプレミスで使用しているのと同じツールを望んでおり、今回のサービスはそれを提供するために設計されている。

ECSについては「クラウドへの移行を進める中では、まだオンプレミスで実行しなければならないコンテナをたくさん持っているというものや、AWSでもオンプレミスやユーザから作業を依頼されているのと同じ管理とデプロイのメカニズムを持っていて欲しい、という要望もあります。そこで、2つの発表を皆さんにお知らせしたいと思います。1つ目はAmazon ECS Anywhereの発表で、これによりECSと独自のデータセンターを運用することができます」と、同氏はカンファレンスで語った。

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ジャシー氏によると、これにより同等のAWSのAPIとクラスタ構成管理機能が得られるという。これはEKSでも同じように動作し、サービスをどこで使用しているかに関わらず、単一での管理方法を可能にする。

同時にAmazon(アマゾン)は、自社運営のKubernetesサービスによるEKSをオープンソース化することも発表した。これらの動きの背景には顧客にできる限りの柔軟性を与え、Microsoft(マイクロソフト)やIBM、Google(グーグル)が主張してきたこと、つまり我々はマルチクラウドやハイブリッドの世界に生きており、人々はすべてをすぐにクラウドに移行するわけではないということを認識していることになる。

実際にジャシー氏は冒頭で、2020年現在の世界のIT支出のうちクラウドに費やされているのはわずか4%にすぎないと述べた。つまり、オンプレミスでサービスを販売することで収益を得ることができ、これらのサービスはそれを実現するということだ。

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

AWSが運用上の問題を自動的に発見するDevOps Guruを発表

米国時間12月1日のAWSのre:Inventにおいて、Andy Jassy(アンディ・ジャシー)氏がDevOpsチームのための新しいツールDevOps Guruを発表した。これはアプリケーションのパフォーマンスに影響を与える可能性のある問題を、運用側が発見できるようにするためのツールだ。これは、同社が2019年に発表したCodeGuruの兄弟のようなものだと考えて欲しい。なおCodeGuruはデプロイ前にコードの問題点を見つけることができるサービスだ。

DevOps Guruも同様に機械学習を使用して、運用側の問題を発見するのだ。ジャシー氏はこう語る「Amazon DevOps Guruという新サービスを本日発表できることに興奮しています。これは機械学習を利用して、顧客に影響が出ないうちに先回りして運用上の問題を特定するというものです」。

Amazon(アマゾン)が新サービスを発表したブログ記事(AWSブログ)の中で説明によれば、その仕組みは、アプリケーションのメトリクスやログ、イベントからデータを収集・分析し「通常の運用パターンから逸脱する行動を特定する」というものである。

このサービスがAWSに基本的に提供するのは、設定ミスや容量オーバーのリソースなど、アプリケーションに影響を与える可能性のある問題について、深い運用上の知見を提供できるプロダクトであり、それはSumo LogicやDataDog、Splunkなどの企業と競合することになるだろう。

問題を発見すると、サービスはチームに対してSMSやSlackメッセージ、その他のコミュニケーションを送信し、できるだけ早く問題を解決するための推奨事項を提供することができる。

さらに、支払いは毎月発生するものではなく、サービスの個々の分析結果に対して行えばよい。アマゾンによれば、事前のコストや契約を求めることはないという。

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(翻訳:sako)

AWSが機械学習のデータ準備サービス「SageMaker Data Wrangler」を公開

米国時間12月1日、AWSはデータサイエンティストが機械学習のトレーニングに使用するデータを簡単に準備できるようにする新しいサービスのAmazon SageMaker Data Wranglerを公開した。同社はこれに加えて、SageMaker Studioで利用でき、機械学習機能の命名、整理、発見、共有を簡単にする新しいサービスのSageMaker Feature Storeも公開した。

AWSはさらにSagemaker Pipelinesも公開した。こちらはプラットフォームの他の部分と統合される新しいサービスで、ワークフローを作って自動化できるように機械学習のCI/CDサービスを提供し、トレーニングデータや構成といったモデルコンポーネントの監査証跡も利用できる。

AWS re:InventカンファレンスのキーノートでCEOのAndy Jassy(アンディー・ジャシー)氏が指摘したように、機械学習の分野ではデータ準備が大きな課題として残っている。ユーザーはクエリやコードを書いてまずデータをデータストアから取得し、それからクエリを書いてコードを変換し、必要な機能と組み合わせる必要がある。これらはいずれもモデルを実際に構築する作業ではなく、モデルを構築する基盤の作業だ。

Data Wranglerにはあらかじめ構成されたデータ変換が300以上組み込まれていて、ユーザーはカラム型を変換したり足りないデータを平均値や中間値で補完したりすることができる。視覚化ツールもあり、潜在的なエラーを特定できるほか、モデルをデプロイする前にデータの不整合を見つけたり診断したりするツールにもなる。

このようなワークフローはすべてノートブックに保存したりスクリプトにしたりして複製できる。またSageMaker Pipelinesでワークフローの自動化に利用される。

同様の問題に取り組んでいるスタートアップがいくつもあることには注目したい。結局のところ、機械学習のデータの扱いはこの分野で最もよくある問題の1つだ。しかし大半の企業は今も独自のツールを作っているため、マネージドサービスの登場には適したタイミングだ。

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(翻訳:Kaori Koyama)

AWSが機械学習のトレーニング用として新しいカスタムチップ「Trainium」を発表

米国時間12月1日、毎年開催されている開発者向けカンファレンスのre:Inventで、AWSはAWS Trainiumを今後提供すると発表した。Trainiumは機械学習モデルのトレーニング専用に開発された同社の次世代カスタムチップだ。クラウドの競合のどこよりもパフォーマンスが高く、TensorFlow、PyTorch、MXNetに対応するとしている。

このチップはEC2インスタンスとして提供され、同社の機械学習プラットフォームであるAmazon SageMakerで利用できるようになる。

このカスタムチップを利用する新しいインスタンスは、2021年の提供開始を予定している。

このカスタムチップの重要なポイントはスピードとコストだ。AWSは、標準のAWS GPUインスタンスと比べてスループットは30%向上し、推論あたりのコストは45%下がるとしている。

また、AWSはIntel(インテル)と提携して機械学習のトレーニング向けにHabana GaudiベースのEC2インスタンスを提供する。2021年に、現在のGPUベースの機械学習向けEC2インスタンスと比べて価格性能比は最大40%向上するという。このチップはTensorFlowとPyTorchに対応する。

この新しいチップは、AWSクラウドで2021年前半に提供が開始される予定だ。

この2つのチップは、2019年のre:Inventで発表されたAWS Inferentiaを補完するものだ。Inferentiaは機械学習の推論の部分を担うもので、これもカスタムチップを使用している。

注目すべき点として、TrainiumにはInferentiaと同じSDKが利用される。

AWSは次のように発表している。「Inferentiaは機械学習インフラストラクチャのコストの最大90%を占める推論のコストを下げましたが、開発者の多くは機械学習のトレーニングの予算にも制約を受けています。そのため、モデルとアプリケーションを向上するために必要なトレーニングの範囲と頻度が制限されています。AWS Trainiumは、クラウドにおける機械学習のトレーニングに最高のパフォーマンスと最低のコストを提供して、この課題を解決します。お客様はTrainiumとInferentiaの両方を利用して、トレーニングのワークロードのスケーリングから高速な推論の展開まで、機械学習コンピューティングの最初から最後までのフローを実現できます」。

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(翻訳:Kaori Koyama)

AWSがデータストア間でデータを簡単に移動できるGlue Elastic Viewsを発表

AWSは、開発者があるデータストアから別のストアへデータを移動できるようにする新しいツール、Glue Elastic Viewsを発表した

「AWS re:Invent」2020のキーノートでCEOのAndy Jassy(アンディー・ジャシー)氏は、プログラマーが複数のデータストア間でこれまで以上にシームレスにデータを移動できるようにするサービスのGlue Elastic Viewsを発表した。

この新しいサービスで、異なるサイロからデータを取得しターゲットのデータストアにコピーすることができる。このAWS ETLサービスにより、プログラマーはちょっとしたSQLコードを書けば、あるソースデータストアから別のデータストアへデータを移動するマテリアライズドビューを作成できる。

ジャシー氏は例として、依存関係をすべて処理しつつDynamoDBからデータをElastic Searchに移動し、そのデータをコピーするマテリアライズドビューをセットアップできると述べた。このようにすれば、ソースデータレイクのデータが変更された場合、移動した先のデータストアにあるデータが自動で更新されると同氏は説明した。

「データを移動できるようになれば【略】そしてそのデータをデータストア間で簡単に移動できれば、とてつもなくパワフルだ」とジャシー氏は述べている。

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(翻訳:Kaori Koyama)

AWSがMac miniのクラウド化を発表

「AWS re:Invent」2020カンファレンスが212月1日にバーチャルで開幕した。サプライズはMac miniがクラウド化された(AWSブログ)ことだ。具体的にはEC2に最新のMac miniインスタンスが追加された。料金としては必ずしも安くないが広く一般に公開され、AWSの全サービスが利用できる。

ターゲットとなるユーザーは(AWSがターゲットを絞っているのはこのサービスだけだが)は、MacとiOSアプリ用をクラウド上でビルドしテストする環境が必要なデベロッパーだ。ただしここで重要な点は、AWSのこのサービスにアクセスするとフル機能のMac miniをリモートで利用できることだ。デベロッパーはアプリ開発関連に限らず、あらゆる種類のユースケースを発見するに違いない。

最近リリースされたM1 Mac miniのスペックを考えると、AWSが利用するハードウェアは(少なくとも現在のところ)、6物理コア、12論理コア、32GBのメモリを備えたi7マシンだ。AWSは、Mac OSに組み込まれたネットワークオプションを使用して、クラウド上のMacをEC2のベアメタルであるNitroシステムに接続する。つまりネットワークとストレージへの高速アクセスが可能になる。AWSのブロックストレージをMacインスタンスにアタッチすることもできるわけだ。

当然だがAWSチームはApple(アップル)のM1 Mac mini自体をクラウドに導入することにも取り組んでいる。私が取材したところでは「2021年初め」に利用可能とする予定だという。2021年上半期に展開されるのは間違いない。ただしAWSもアップルもどちらも、Intelチップのマシンの必要性がすぐになくなるとは考えていない。実際、デベロッパーの多くは相当先までIntelマシンでテストが実行できることを望んでいるはずだ。

AWSのEC2担当副社長、David Brown(デビッド・ブラウン)氏は取材に対して「このサービスが提供するのは一切変更されていないMacm mini」だと語った。AWSがオフにした機能はWi-FiとBluetoothだけだ。ブラウン氏によればminiは、AWSの1Uラックにちょうどうまく収まるという。「Mac miniは無造作に積み重ねるわけにはいきません。実は我々のサービススレッドにマッチし、AWSが利用するカードなどもすべてにうまく対応します。データセンターのネットワークへの組み込みはMac mini付属のポートに接続するだけでした」とブラウン氏は説明した。AWSにとってこうしたサービスがチャレンジであったことを認めた。以下の動画でも冒頭にMac miniを積んだパネルトラックが登場するが、クラウドでMac miniのインスタンスを提供する唯一の方法はデータセンターに大量のアップルのハードウェアを設置するしかなかったわけだ。

画像クレジット:AWS

ここではAWSがハードウェアを仮想化していない点が重要だ。ユーザーがAWSのMac miniにアクセスするときは他の人と共有していない自分だけのデバイスにフルアクセスする。「AppleストアでMac miniを買ったのと同等のユーザー体験とサポート実現したかったのです」とブラウン氏は述べた。

他のEC2インスタンスとは異なり、新しいMacインスタンスを起動する度に、24時間分の料金を前払いする必要がある【アップデート:AWSの広報によれば、これは前払ではなくコミット(料金の確定)だという】。最初の24時間以後は他のAWSインスタンスと同様、秒単位で課金される。

具体的な料金は1時間あたり1.083ドル(約113.05円)で、秒単位で課金が可能だ。マシンを起動して24時間実行すると約26ドル(約2,714.11円)程度かかる。これは小規模なMac miniクラウドプロバイダーの料金よりだいぶ高い。こうしたプロバイダーの場合エントリーレベルのデバイスでは月額60ドル(約6264円)以下だ(RAM32GBのi7マシンでは約2〜3倍となる)。

画像クレジット:Ron Miller/TechCrunch

これまでMac miniはホスティングサービスの中でもかなりニッチな市場だったが、それなりの需要があり、Mac Stadium、MacinCloud、MacWeb、Mac Mini Vaultなどがシェアを争っていた。

小規模事業者は価格において優位性はあるものの、AWSの参入で手ごわいライバルが出現したことになる。AWSのMacを使えばデベロッパーはポートフォリオに含まれるすべてのサービスにAWS内でアクセスできるという。ブラウン氏はこう説明する。

処理のスピードやサービス粒度は(他のMac miniクラウドプロバイダーのような)サービスよりAWSのほうがずっと優れています。たとえば新たに契約した場合、マシンを起動するまでにプロビジョニングに数日かかります。小規模なプロバイダの場合、人の手でマシンをラックに入れ、接続のためのIPアドレスを用意しなければならず、ユーザー自身がOSを管理する必要があります。一般的に、契約期間は最低1カ月であり、ディスカウントの適用を受けるためにはもっと長い期間の前払いが必要になります。これに対してAWSの場合は要求後、わずか数分でマシンを起動しフルに利用できるようになります。100台、いや500台必要だとしてもリクエストするだけでいいのです。もう1つ大きな違いはエコシステムです。AWSが提供する200種類以上のサービスがすべてMac miniから利用できます。

またブラウン氏は、AWSではデベロッパーがさまざまなマシンイメージを横断的に利用できることを強調した。現在、macOS MojaveとCatalinaのイメージを提供しており、Big Sureのサポートも「将来提供される」予定だという。またデベロッパーは必要に応じて独自のマシンイメージを作成、保存できる。つまり新しいマシンを起動したときに既存のマシンイメージを再利用できる。ブラウン氏はこう述べた。

現在、我々のほとんどすべての顧客はiPhone、iPad、Apple TVその他なんであれAppleデバイスとAppleエコシステムをサポートする必要があります。そのニーズに本当に応えるサービスを求めています。我々が解決に力を入れて入る課題はこういうものです。つまり「うちの会社ではサーバー側のワークロードをすべてAWSに移した。それはいいが、ビルドのプロセスの一部がローカルに残っている。クラウドにMac miniがなかったり、あっても自分でメンテナンスしなければならない。AWSが全部引き受けてくれればいいのだが」。

このサービスのAWSのローンチカスタマーはIntuit、Ring、モバイルカメラアプリのFiLMiCだ。Intuitのプロダクト開発担当バイスプレジデントのPratik Wadher(プラティック・ワダー)氏は次のように述べている。

よく知られているEC2インターフェースとAPIから利用できるEC2のMacインスタンスを利用することで、既存のiOSおよびmacOSのアプリのビルドとテストのプロセスをシームレスにAWSに移行することができました。これによりデベロッパー生産性が大きく向上しました。当社独自のデータセンターと比較してパフォーマンスは最大30%向上しています。処理能力拡張における柔軟性、複数ゾーンを利用してノンストップで利用できるセットアップの効果によるものです。現在、我々はプロダクトのビルドの80%をEC2 Macインスタンスで実行しています。この分野でのAWSのイノベーションに期待し、楽しみにしています。

新しいMacインスタンスは多数のAWSリージョンで利用できる。現在、US East(バージニア州北部、オハイオ州)、US West (オレゴン州)、Europe(アイルランド)、Asia Pacific(シンガポール)が含まれているが、他のリージョンでも間もなく利用可能となる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

AWSがデータセットをビジネスインテリジェンスに活かす自然言語検索サービスを発表

Amazon Web Servicesが2016年にビジネスインテリジェンスサービスのQuickSightを公開したとき、同社は製品情報や顧客情報を開発者だけでなくビジネスユーザーに提供することを意図していた。

その時点で利用できる自然言語処理テクノロジーは、顧客のツールとして普段の言葉遣いで質問してデータベースを効率よく検索できるほど強力ではなかった。

現在ではそうしたテクノロジーが成熟し、Amazon(アマゾン)は「QuickSight Q」という名称で大幅なアップデートを実施した。「AWS re:Invent」2020で配信されたAndy Jassy(アンディー・ジャシー)氏のキーノートによると、このサービスによりユーザーはシンプルな質問をするだけで必要な答えを得ることができるという。

ジャシー氏は次のように述べた。「知るべきであると我々が考えていることを実現するために、自然言語を提供します。どのデータベースにアクセスすればいいか、どこにデータが保管されているかをユーザーが知る必要があるという状況は望ましくありません。ユーザーが自然言語の質問を検索バーに入力すれば答えが返ってくるようにしたいのです」。

これがQuickSight Qの目指すところだ。多数のビジネスインテリジェンススタートアップにとっては直接の脅威であり、さまざまな業界で機械学習と自然言語処理がビジネスのプロセスを変える実例の1つでもある。

「Qはこのように動作します。自然言語で質問を入力します。たとえば『製品Xの過去12カ月の売上は?』と。するとあっという間に答えが返ってきます。テーブルもデータストアも知る必要はありません」。

これは極めて魅力的なユースケースであり、AWSが機械学習を統合して顧客にノーコードサービスをさらに広めようとしていることの一端だ。ジャシー氏は「お客様は機械学習をするために我々を利用しているのではありません。質問の答えを得るために使っているのです」と語った。

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(翻訳:Kaori Koyama)

AWSがBabelfish for Aurora PostgreSQLでMicrosoftのSQL Serverを追撃

米国時間12月1日AWSは新しいデータベース製品を発表した(AWSブログ)。この製品は明らかにMicrosoft(マイクロソフト)のSQL Serverの後を追うものであり、SQL ServerユーザーのAWSクラウドへの移行を、より簡単に、そしてより安価に行えるようにすることを目的としている。新しいサービスの名前はBabelfish for Aurora PostgreSQL(バベルフィッシュ・フォー・オーロラ・ポストグレスキューエル)だ。AWSのCEOであるAndy Jassy(アンディ・ジャシー)氏が、米国時間12月1日の「AWS re:Invent」2020の基調講演で、このサービスを指して伝えたかったのは、おそらく「必要のないSQL Serverのライセンスに、お金を払うのはやめましょう」というメッセージだ。そして、このことにどれだけ真剣に取り組んでいるかを示すために、同社はこのツールのオープンソース化も行っている。

Babelfishが提供するのは、SQL Serverが独自に持つSQのL方言(T-SQL)と通信プロトコルのための翻訳レイヤーである。これを使うことで企業がAWSのAuroraリレーショナルデータベースに自由に切り替えられるようになる(ただし、既存のデータを移行する作業は残される)。SQL方言の翻訳はもちろんSQLコマンド、カーソル、カタログビュー、データ型、トリガー、ストアドプロシージャ、関数の翻訳も提供する。

ここで約束されていることは、企業がデータベースドライバーを交換したり、データベースリクエストを書き換えて検証したりしなくても、この移行が可能になるということだ。

「私たちは、Babelfishを傑出したものだと信じています。なぜならそれは単なる移行サービスの1つではなく、考えられる限り便利なサービスだからです。Babelfish使うことで、マイクロソフトのSQL Server用に書かれたアプリケーションからの、データベースリクエスト(コマンドとプロトコルの両方)を、ライブラリ、データベーススキーマ、SQLステートメントの変更を行うことなく、PostgreSQLが理解できるようにすることができます」と、AWSのMatt Asay(マット・アセイ)氏は発表の中に書いている。「これは、開発者の労力を最小限に抑えながら、はるかに迅速な『移行』を実現できることを意味します。またそれは『正しさ』を中心に考えられています。つまりSQL Serverの機能を使用するように設計されたアプリケーションが、PostgreSQL上でもSQL Server上と同じように動作するということを意味します」。

PostgreSQLは、AWSが正しく指摘しているように現在の市場で最も人気のあるオープンソースのデータベースの1つだ。多くの企業が自社のリレーショナルデータベースをPostgreSQL上に移行したい、少なくとも既存のデータベースと組み合わせて使いたい、と考えている。今回の新サービスで、その作業はかなり楽になるだろう。

オープンソースのBabelfishプロジェクトは2021年に立ち上げられ、Apache 2.0ライセンスでGitHub上で公開される予定だ。

AWSのCEOのアンディ・ジャシー氏は「リレーショナルデータベースの圧倒的多数がオンプレミスであることは、いまでも事実です。顧客の皆さまは、これまでのやり方にうんざりなさっているのです」という。re:Inventでのお約束に従って、ジャシー氏は基調講演の中ではOracleに対する多少の当てつけをしたものの、AWSが本日データベース領域でローンチした製品の真の攻撃対象は、明らかにマイクロソフトである。

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AWS Re:Inventでアマゾンがクラウド化が遅れる産業界向けプロダクト多数発表

Amazon(アマゾン)は開催中の「AWS re:Invent」2020で産業部門のシステムや機器のさらなる効率化を目的としたサービスを多数発表した。クラウドコンピューティングで取り残されている印象があった分野の1つが産業部門だ。この分野ではクラウドにフィットしないレガシーデバイスや閉鎖的な独自システムが含まれていることが多かったためだ。アマゾンはこれを大胆に変えようと図っている。

Amazon Monitronは、機器をモニターし、故障の可能性があるときにエンジニアのチームに信号を送信するサービスだ。工場管理者が機器が故障しそうだと予め知ることができれば、不都合な時間帯に突然故障するのではなく、メンテナンスチームを待機させるといった対策を取り悪影響を最小限に止めることがが可能になる。

AWSのCEOであるAndy Jassy(アンディー・ジャシー)氏は、「経験ある優秀なエンジニアなら音や振動などの微妙な変化によって機械が故障しそうだと知ることができます。しかし機械自身が常時自分自身をモニターして故障しそうだと教えてくれるならエンジニアにとって非常に好都合でしょう」と述べた。

ジャシー氏はキーノートで次のように語っている。

多くの工場では機械にセンサーが備えられていない、あるいはセンサーがあっても最新ではないことが多い。またセンサーから一貫したデータ系列を取得してクラウドに送信するノウハウがない、機械学習モデルを構築する方法がわからないこともあるでしょう。AWSが協力しているメーカーは、これらの点の解決するエンド・ツー・エンドのソリューション構築を我々に強く求めていました。ここで、そうした機器モニターのエンド・ツー・エンドソリューションであるAmazon Monitronを発表できることに興奮しています。

このサービスではまず、正常な機械の状態がどのようなものであるかを把握する機械学習モデルを構築する。その情報をベースに機械をモニターして異常を発見する。さらにシステムが利用しているデータに基づいて当該の機器のメンテナンスに必要な情報をモバイルアプリ経由でエンジニアのチームに送り返す。

最新のセンサーシステムを備える現場で、Monitronが提供するフルパッケージを必要としない場合もAWSは役に立つという。センサーは最新だが、高度な機械学習モデルはないという場合は多い。AWSはこのデータを取り込んで機械学習アルゴリズムを適用し、Monitronのフルパッケージの場合と同じように異常を発見、通知することができる。

「こうした(最新のセンサーを装備している)顧客企業向けにも発表があります。それは、機械の異常検出を行うAmazon Lookout for Equipmentです」とジャシー氏は述べた。

さらに、同社は現場で監視カメラを利用している企業向けにPanorama Applianceを発表した。これは高度な認識能力を持ったコンピュータービジョンを使いたいが、それを実行するためのハード、ソフトを欠いている企業向けだ。「企業が既存のオンプレミスのスマートカメラに機械視覚を付加できる新しいハードウェア、AWS Panorama Appliance(未訳記事)を発表します」とジャシー氏は述べた。

さらに、カメラ・ハードウェアのベンダーがPanoramaに基づいてスマートなカメラを構築するのに役立つPanorama SDKもリリースされた。

こうしたサービスはすべて顧客企業がどのレベルのテクノロジーを利用していても、その段階に適したクラウドおよび機械学習テクノロジーにアクセスできるようデザインされているのが特長だという。

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画像クレジット:Andy Jassy on stage at AWS re:Invent 2020 AWS

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(翻訳:滑川海彦@Facebook