アマゾンが最新の透明性レポートを黙って発表

絶好調の決算報告でご機嫌のAmazon(アマゾン)が、いつものように無言で最新の透明性レポートを発表し、ユーザーデータに関する政府の要求がわずかに減ったことを明かしている。

同じ時期に透明性レポートは、FacebookやGoogle、Microsoft、Twitterなどのテクノロジー大手にも届き、そしてそのほとんどすべてが政府からの要求の増加を示していた。 減っていたのは、Appleだけだった。

アマゾンの場合は、1841通の召喚状と、440通の捜索礼状、ユーザーデータを求めるそのほかの裁判所命令114を2019年の後半6か月に受け取った。それらの対象デバイスはEchoやFireなどだ。以上は、前年同期に比べて4%の減少だった。

また、同社のクラウドサービスAmazon Web Servicesも、顧客が保存しているデータへの要求は約10%減少した。アマゾンの消費者サービスとクラウドサービス両方が受け取った国家安全リクエストの数は0から249の間だった。これは司法省の規則により具体的な値でなく値域しか開示できない。

この記事を書いている時点では、アマゾンは法執行要求ページを今度の透明性レポートでアップデートしていない。

年に2回来る透明性レポートは、テクノロジー業界全体の中でアマゾンのものがいちばん軽い。前にTechCrunchdでも報じたように、アマゾンの透明性レポートは長年、意図的に曖昧にされ、業界のトレンドである明晰に反していた。同社はわずか3ページの報告で、それぞれの法的要求にどう応えたかを述べ、その数字は明かしていない。

法執行当局とのなれ合い的関係お粗末なセキュリテと批判を浴びたスマートカメラのRingも、データ要求の数を明かしていない

関連記事:スマート家電メーカーは見聞きした情報を政府に開示するのか?

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

MLのモデルをチューニングするオープンソースのツールNeo-AIをAWSがローンチ

AWSはどちらかというとオープンソースとは縁の薄い企業と思われているが、それが変わりそうな兆しもある。この、Amazonのクラウドコンピューティング部門は今日(米国時間1/24)、Neo-AIのローンチを発表したがそれは、Apache Software Licensetheによるオープンソースのプロジェクトだ。この新しいツールは、同社が機械学習サービスSageMaker Neoのために開発して使っている技術の一部を、オープンソースのエコシステムに持参した(お返しした)ものだ。

その主な目的は、機械学習のモデルを複数のプラットホームで使うために行なう最適化を、もっと容易にすることだ。そしてAWSの文脈では、その複数のプラットホームとは多くの場合、これらのモデルをエッジで動かすマシンのことだ。

今日の発表声明でAWSのSukwon KimとVin Sharmaがこう書いている: “通常、機械学習のモデルを複数のハードウェアプラットホームのために最適化することは、プラットホームのハードウェアやソフトウェアの構成に合わせて手作業でモデルを調整しなければならないから難しい。とくに難しいのが、エッジデバイスの場合だ。コンピューターのパワーやストレージが限られていることが多いからだ”。

Neo-AIは、TensorFlowやMXNet、PyTorch、ONNX、XGBoostなどのモデルを最適化できる。AWSによると、Neo-AIがこれらのモデルのスピードを、精度の損失なく最初の倍ぐらいに上げてしまうことも多い。ハードウェアに関しては、IntelとARMとNvidiaのチップをサポートし、Xilinx、Cadence、そしてQualcommにも近く対応する。Nvidiaを除きこれらの企業のすべてが、このプロジェクトに寄与貢献している。

IntelのArtificial Intelligence Products GroupのトップNaveen Raoはこう語る: “AIが価値をもたらすためには、ディープラーニングのモデルがデータセンターでもクラウドでも、そしてエッジのデバイスでも、等しく容易にデプロイできなければならない。IntelがNeo-AIに寄与貢献することによって、nGraphで始めたイニシアチブを拡張できたことは、きわめて喜ばしい。Neoを使えば、デバイスのメーカーとシステムのベンダーが、オールIntelのコンピュートプラットホーム上の、ほとんどどんなフレームワークで開発されたモデルでもパフォーマンスをアップできる”。

このツールはモデルの最適化に加え、それらを新しいフォーマットに変換して、モデルが実際に実行されるデバイス上の互換性と、ローカルなランタイムの問題を防ぐ。

AWSによると、Neo-AIコンパイラーの開発の一部はワシントン大学のTVMTreeliteのプロジェクトで始まった。“本日、AWSのコードをNeo-AIプロジェクトとしてオープンソースにお返しすることにより、だれもがプロダクション級のNeoコンパイラーでイノベーションを追究できる”、とAWSは言っている。AWSはオープンソースのプロジェクトを自分のクラウドサービスに利用するだけ、という世評もあったが、今度からはお返しもするようになったのだから、めでたい。

Amazonのオープンソースへの取り組みとしては、同社のFirecrackerハイパーバイザーを挙げておくべきだ。これは今ではOpenStack FoundationのKata Containersプロジェクトをサポートしている。そのFirecrackerもオープンソースだから、いずれOpenStack Foundationに寄贈されたとしても、意外ではない。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Microsoftの$7.5BのGitHub買収計画にEUの規制当局が青信号を点灯

Microsoftが計画していた、Gitを利用するコード共有コラボレーションサービスGitHubの買収を、欧州連合(European Union, EU)の規制当局が無条件で承認した。

この巨大ソフトウェア企業がGitHubの買収意思を発表したのは6月で、同社の株式で75億ドルを支払う、とされた。そして当時同社は、“GitHubはそのデベロッパーファーストの精神を維持し、独立した事業活動により、すべての業界のすべてのデベロッパーにオープンなプラットホームを提供する”、と誓った。

EUの執行機関欧州委員会(European Commission, EC)が今日、その計画を承認し、その査定が、関連市場における競争を阻害しないと結論した、と述べた。この併合後の企業実体の方がむしろ、継続的に“厳しい競争”に直面するであろう、と。

ECはとくに、Microsoftには自社のdevopsツールやクラウドサービスをGitHubに統合してサードパーティのツールやサービスの統合を制限する能力や誘因はない、と言っている。

委員会は、MicrosoftにはGitHubのオープン性を損なう動機はない、とも結論している。そして、そのようないかなる試みもデベロッパーにとっての価値を減損させるだろう、とも言っている。委員会の判断では、そのようなときデベロッパーは他のプラットホームに切り替える意思と能力を持っているだろう、という。

Microsoftの前の発言では、同社は買収の完了を年内と予想している。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

企業のクラウド化を助けるServiceNowが自然言語検索のFriendlyDataを買収、データ駆動の裾野を広げる

企業のクラウドサービスの導入や管理を助けるServiceNowが今日(米国時間10/10)、FriendlyDataの買収を発表した。これにより同社のNowプラットホーム上のアプリケーションが、自然言語による検索をできるようになる。2016年に創業されたFriendlyDataの自然言語クエリ(natural language query, NLQ)技術により、企業顧客は、専門用語を知らないユーザーでも技術的な質問ができる検索ツールを、作れるようになる。

FriendlyDataのNLQ技術は、ユーザーが何を言おうとしているのかを推察し、答をテキストや、分かりやすい視覚化データで提供する。ServiceNowによると、同社はFriendlyDataの技術をNow Platformに統合して、そのサービスメニューの充実を図る。同プラットホーム上には今、企業のITや人事、セキュリティ、カスタマーサービスの管理、などのアプリケーションがある。FriendlyDataの技術は、デベロッパー用のプロダクトや、ServiceNowのパートナーからも利用できるようにする。

ServiceNowのdevops担当SVP Pat Caseyが、声明で述べている: “ServiceNowはNow PlatformにNLQを導入して、企業が技術的質問を日常的な英語でできて、答をすぐにもらえるようにする。これによって誰もがデータに基づく意思決定をできるようになり、生産性の向上と企業のより速い成長に資することができる”。

ServiceNowはこれまでも、さまざまなAIツールで企業顧客におけるサポート業務の円滑化を図ってきた。FriendlyDataの買収も、その一環だ。たとえば同社は5月に、チャットボット構築ツールVirtual Agentを立ち上げたが、これによって同社の企業顧客は、SlackやMicrosoft Teamsのようなツールを内製でき、機械器具の購買リクエストなど、ルーチンのインクワイアリを自動的に処理できるようになる。同じ時期に同社は、チャットボットにNLP(自然言語処理)を導入しているParloを買収した

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

AWSのDynamoDBが継続的自動バックアップと事故時の即時リカバリを提供

クラウドコンピューティングはいろいろ便利だが、データの扱いもクラウドのベンダーがやってくれるのがありがたい。でもそれは、ソフトウェアをアップデートしてくれるとか、ハードウェアのスケールアップ/ダウンを勝手にやってくれる、ぐらいのことだった。しかし今日(米国時間4/4)AWSはそれを一歩進めて、Amazon DynamoDB Continuous BackupsおよびPoint-In-Time Recovery(PITR)〔継続的自動化バックアップと即時リカバリ〕なるものを発表した

この新しいサービスでは、ユーザーがバックアップツールを有効にしておくと、バックアップが自動的に行われる。あとのことはすべてAmazonが面倒を見て、ユーザーのDynamoDBデータベースにあるすべてのデータを継続的にバックアップする。

しかもそれだけではなく、バックアップシステムは記録もつける。つまり、そのおかげで、過去35日以内ならデータの“巻き戻し”ができて、その粒度は秒単位だ。しかもそのツールにはユーザーがAWS Management Consoleからアクセスでき、AWS Command Line Interface(CLI)でAPIを呼び出せる。

スクリーンショット提供: Amazon

この新しい機能を発表するブログ記事でAmazonのRandall Huntが書いている: “この機能を作ったのは、事故的な上書きや削除からユーザーとデータを守るためだ。デベロッパーがステージングではなくプロダクションに対してスクリプトを動かしたとか、どこかのファットフィンガー(fat-finger, 指が太すぎるやつ)が間違ってDeleteItemボタンを押してしまったときには、PITRが助ける。また、ユーザーにとって予想外の事態にも対応できる”。

35日のリミットが気になる人は、通常の定期的なオンデマンドのバックアップならいくらでも長期保存できることを、おぼえておこう。

AmazonのCTO Werner Vogelsが、今日サンフランシスコで行われたAWS Summitでこの新しいサービスを紹介した。そして、どれだけ大量のデータがあっても平気だ、と言った。つまりこれらの新しいサービスは、データ量がテラバイト級でも使える。“これはAWSの本当に強力な仕組みなんだ”、とVogelsは自画自賛した。

この新しいサービスは今日からいくつかのリージョンで可利用になる。それらがどことどこか知りたい人は、このページを見てみよう。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Amazon AWS、73億ドルヒジネスに。アクティブ企業顧客100万社を超える

screen-shot-2015-10-07-at-16-35-11

今日(米国時間10/7)AmazonのAWSは、同社の大規模カンファレンス、Re:Inventで、クラウドベースのデータサービス分野を同サービスが支配していることを示すデータを公開した。AWS担当SVP、Andy Jassyは今日、AWSのアクティブ顧客数が100万を超えたと言った ー これは企業数であり個人ではない。AWSの売り上げも急増している。AWSは現在73億ドルのビジネスとなり、データベースビジネスだけで,年間10億ドルのペースで売れている。

同社によると、AWSは対前年比81%成長した ー クラウドベースのストレージ、データ処理、その他データベースサービスを提供する会社の中でも「圧倒的に成長が早い」とJassyは言った。他に、AWSのEC2ビジネスは95%、S3が120%、データベースが127%、それぞれ成長した。

DSC01737

しかし、ライバルクラウド企業の一社は、自分たちの方がAWSより大きいと、すかさず反論した。

[第2四半期現在、IBMの過去12ヶ月間のクラウドビジネスは 87億ドルだった   ー IBM Facts]

AWSの成長ぶりを示す証として、AmazonはQ2に、AWSの売り上げ18億ドル、利益3.91億ドルを計上した。

DSC01735

AWSは、データサービスに対して同社のEコマースビジネスと同様のアプローチをとることで大企業、中小企業の間に数多くの波を起こした。安値で市場に切り込み、スケールの経済を元にビジネスを築く。そしてこれは、今も同社がサービスの発見を続けているやり方だ。

Jassyはまた,現在800社のソフトウェアベンダーが、25のカテゴリーにわたってAWSと統合していることも指摘した。

AWS re:Invent 2015

原文へ
 
(翻訳:Nob Takahashi / facebook

今やシャドーITは怖がらないで歓迎すべき時期にきている

ideas_1

[筆者: James Quigley ](CanvasのCEOで協同ファウンダ、Washington, DC郊外のコワーキングスペースRefraction Restonの協同ファウンダ。)

今ぼくが原稿を書いているまさにこの時点でも、多くの企業のIT部門は、社員や部課などからのITプロジェクトのリクエストの、膨大なリストを抱えている。それらにはたとえば、倉庫業務のためのモバイルのカスタムアプリもあれば、Salesforce.comをバックエンドのオフィスシステムと統合したいというリクエストもあるだろう。

この無限に長いリストを管理するために、IT部門は、リクエストを会社の業績に与える影響の大きさや、現時点での重要性の順に並べ替えたりする。そして整列したリストの上の方に来るのは、売上を上げたり、顧客体験を改良するプロジェクトになりがちだ。逆に、ロジスティクスを合理化するなどの内部的なリクエストは後回しにされる。そしてこのやり方では、プライオリティの高いリクエストは完了するが、その他大勢は未着手のまま放置されたり、着手されてもだらだらとデリバリが遅れがちになる。

これらの問題は、IT部門の責任ではなく、また彼らのさまざまな社内顧客が悪いのでもない。イノベーションが急速に進む今日では、社員や各部課等は、自分たちのアイデアが実装されるのを何週間も何か月も待つことはできない。ITが慢性過負荷であることを知った彼らは、Webやモバイル上などですぐに使えるアプリケーションや、クラウドサービスを利用しようとする。それが、今ではShadow IT(シャドーIT)と呼ばれているトレンドの起源だ。それは、大まかな定義としては、IT部門が知らないうちに、あるいは認めたおぼえがないのに、社内的に作られて/使われてしまうアプリケーションやITソリューションを指す。

シャドーITはイノベーションを推進するか?

世界の200名のCIOにアンケート調査をしたBrocadeの報告書によると、回答者の83%が、部課等によるクラウドサービスの勝手な利用を経験している。それどころか最近まで、企業の役員やIT部門は、シャドーITをセキュリティやコントロールを脅かす危険な兆候とみなしていた。しかし、シャドーITを悪者視せずに、むしろ、イノベーションを促進し費用を低減するための貴重なツール、と考えたらどうだろうか? 企業が社員を‘市民デベロッパ’とみなし、プロダクトやプロセスが完成するまでの過程で革新的なアイデアを自由に持ち込んでよい、と彼らを奨励したらどうだろう?

ITのスペシャリストでない社員が社内でイノベーションを主導する機会は、現状では、従来的なアプリケーション開発や製品開発の方式に、邪魔されてぽしゃることが多い。しかしシャドーITの勃興は、ある面では、人不足力不足のITにまかせていたのではいつまで経ってもらちが明かないプロジェクトを、自分たちで前へ進めたい、という社員の欲求を反映している。

そうすることによって、一般社員が‘市民デベロッパ’(citizen developers)になる。それは、組織内のITスペシャリストでない人たちが、自らの力を発揮して、 ITが無関与のまま、自分たちのビジネスニーズを満たすソリューションを即席で構築展開することを指す。それがうまくいき、他の部課が見倣うようになると、このイノベーションが全社化する。

シャドーITはIT部門の仕事を楽にするか?

リストのうしろの方へ追いやられてしまいがちなITタスクは、現場仕事の生産性を上げるものとか、コミュニケーションを簡素化するもの、プロセスを改善するもの、などが多い。これらは顧客や消費者に関連するセクシーなプロジェクトではないが、でも、業績向上に大きく貢献するものもありえる。

企業はシャドーITのセキュリティリスクと、市民デベロッパによるイノベーションを封殺する機会損失とを、秤(はかり)にかけてみるべきだ。

今人気が盛り上がっている企業向けのメッセージングアプリSlackは、シャドーITがイノベーションを刺激しITのリソースに余裕を作り出す好個の例だ。Slackのデプロイは多くの企業において“land and expand”方式(まず上陸、それから拡大)で行われている。ひとつの部署が使い始めて好評が社内に広まり、まるで山火事のように利用が全社に広がる、というパターンだ。

IT部門が自分たちの過負荷を防ぐためには、自ら進んで社内の顧客たちの先手をうち、彼ら自身の力で問題解決に取り組むよう仕向けるべきだ。そうすればIT部門は、専門知識と専門技能を要する高度なイノベーションのプロジェクトに専念できる。言い換えると企業のIT部門は、率先して、シャドーITの推進役に徹した方がよい。

シャドーITのセキュリティは大丈夫か?

2015年のVanson Bourneの調査によると、イギリスのエンタプライズのCIOの89%が、未承認のシャドーITは企業に長期的なセキュリティリスクをもたらす、と感じている。もちろん、目の届かないところで社員たちがアプリケーションやサービスをデプロイするときには、セキュリティの弱点について十分注意しなければならない。ときには、IT経験の浅い社員が勝手に導入したテクノロジによって、既存のシステムやネットワークが破壊されることもありえる。それは、不注意によって弱点を見過ごすことよりも、さらに危険だ。

企業はシャドーITのセキュリティリスクと、市民デベロッパによるイノベーションを封殺する機会損失とを、秤(はかり)にかけてみるべきだ。シャドーITが、会社のメインシステムのデータに触るかどうかも、よく調べなければならない。データを変えないまでも、重要な企業情報の勝手なアーカイブを作ったりしないか? そのシャドーITの環境は、どれだけ安全か? シャドーITはデフォルトではセキュアではないが、事前に重要なパラメータをすべてチェックすれば、良い防備ができる。

シャドーITにおけるIT部門の役目

シャドーITのネガティブなイメージは、それがIT部門に隠れて秘密裏に行われる、という考え方にも原因がある。そういう場合も少しはあるかもしれないが、でもいちばん多いのは、そういうことが行われているのをIT部門は知っているけど、そのwho、what、howなどの詳細を知らないケースだ。その効果も、IT部門は認識していない。今年の初めにCloud Security AllianceがIT部門の役員に対して行った調査[PDF]によると、役員たちの72%は、自分の会社でどれだけのシャドーITアプリケーションが使われているか知らない。会社内のシャドーITの全体像を把握している者は、わずかに8%だった。

組織がシャドーITから十分な利益を得るためには、IT部門が具体的に指導的役割を発揮すべきである。その背後にあるプラットホームを技術的によく調べて承認したり、あるいは自ら新しいサービスやアプリケーションを発見してもよい。そしてそれらの発見を社内の市民デベロッパたちに伝えれば、シャドーITの効果そのものが大きく向上するだろう。

社内における市民デベロッパの登場は今後数年間で業界共通のテーマになり、そしてシャドーITのポテンシャルを前向きに歓迎する企業こそが、明日のイノベーションと繁栄にいちばん近い位置につけるだろう。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Red HatがCephベースのストレージサービスInktankを買収, ビッグデータ時代の超巨大クラウドストレージでトップをねらう

オープンソースソフトウェアのプロバイダRed Hatが、ストレージの市場でAmazonなどと張り合う気のようだ。同社は今日(米国時間4/30)、オープンソースのストレージシステムを開発しているInktankをキャッシュ1億7500万ドルで買収する、と発表した。Red Hatによると、同社はInktankの主製品であるInktank Ceph Enterpriseと同社のGlusterFSによるストレージ製品を併合させる、そして今回の買収により同社は、オブジェクトやブロック、ファイルシステムといった多様な高レベルのストレージシステムを支えるオープンなソフトウェア定義ストレージの、最大のプロバイダになる。

Red HatのEVPでCTOのBrian Stevensは、声明文の中で次のように述べている: “Inktankが作り上げたきわめて活気あるコミュニティを今後も尊重し、ソフトウェア定義ストレージのデファクトのチョイスをよりオープンにしていく仕事に、共に取り組んでいきたい。Inktankは、Cephを軸とする強力なエコシステムを組み立てるという、すばらしい仕事を成し遂げた。今後われわれは彼らと一緒になって、この成功をさらに拡大していきたい。これらの強力でワールドクラスのオープンストレージ技術は、顧客がソフトウェアベースの、スケールアウト*可能なストレージシステムに移行していくときに、無視することのできない能力をを提供するだろう”。〔*: scale-out, 分散化による規模拡大。〕

これは、公開企業であるRed Hatの9つめの買収だ。これまでで最大の買収はミドルウェアのベンダJBossを4億2000万ドルで買ったときだが、Inktankはこれに次ぐ。そのほか、オンラインストレージのGluster、1億3600万ドルも、大きな買収だった。Glusterは、Red Hatの現在のストレージサービスのベースになっていると思われる。

Ceph EnterpriseのベースであるCephは、レガシーのストレージシステムをリプレースするものとして開発されたが、実際にはAmazon S3など既存のストレージサービスに代わるもの、あるいはそれらと競合するものとも見られている。AmazonのS3やElastic Block Storageなどのように、各種のオプションを通じてユーザが構成を決めるのではなく、Cephではサービスプロバイダや企業などのユーザが独自のストレージシステムを組み立てられる。Cephのねらいは、エクサバイト級あるいはそれ以上の巨大なストレージシステム/ファイルシステムを、高いコスト効率で提供することにある。

Inktankの顧客はCisco、CERN、Deutsche Telekomなどで、パートナーはDell、Alcatel-Lucentなどだ。今後彼らは、Red Hatの顧客およびパートナーとしてCeph Enterpriseとの関係を持続する。

サンフランシスコに本社を置くInktankは、2012年の創業以来、およそ1440万ドルの資金を獲得してきた。主な投資家は、(Ubuntuの)CanonicalのファウンダMark ShuttleworthとクラウドホスティングDreamHostのオーナー企業New Dream Networkだ。後者の協同ファウンダSage Weil(Cephのデベロッパの一人)が、InktankのファウンダでCTOだ。

今回の買収によってInktankの主製品がRed HatのRHELなどと最初からセットになって売られる可能性が生じるため、Inktankにとっては大きな成長の機会になる。〔*: Ceph本体は最近のLinuxカーネルにデフォルトで含まれている。〕

Weilは、声明文の中で次のように述べている: “Red Hatとわれわれは、かねてから、オープンソースとオープンスタンダードと顧客の成功へのコミットメントを共有している。この二者がこのたび合体したことは、きわめてエキサイティングな事件である。われわれのオープンストレージテクノロジは、これからのクラウドコンピューティングの時代におけるデータ管理業務にとって、必須の技術になると確信している。Red Hatとの協働により、さらに重要なイノベーションを推進できるようになり、業界全体に大きな貢献を果たしていけるものと信ずる。とくに、OpenStackのような既存及び近未来のデータセンターのアーキテクチャが、オープンストレージのソリューションを統合していくことは確実であり、われわれはその需要にお応えしていきたい”。

Cephという奇妙な名前は、同社の注記によれば、ペットの蛸(たこ)のニックネームだ。社名やプロダクト名は、そこから派生している:

“Ceph”は、ペットの蛸、すなわちcephalopod(頭足動物)によくつけられる名前だ。Cephは最初、弊社のCTO Sage Weilの、UC Santa Cruz(カリフォルニア大学サンタクルーズ校)における博士論文のためのプロジェクトとして始められた。UCSCには前から、Sammyという名のウミウシのペットがいたが、蛸も軟体動物として、大人気のSammyの仲間である。蛸は複数の足を高度に並列で動かすことができるので、このプロジェクトの名前としても合っていた。そしてCephのプロダクトを作っていく企業を作ったときには、蛸が出す“インク”にあやかって、その社名をInktankとした。いわばわれわれInktankの社員一人々々は、Cephが放出するインクの一滴のようなものである。

買収の完了は、2014年5月と予定されている。

画像: Flickr

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))