ソフトバンクがWeWork株3210億円買い戻しの約束に尻込みか

Wall Street Journalによると、SoftBank(ソフトバンク)は、WeWorkの既存株主から30億ドル(約3210億円)相当の株を買い取る約束を回避する手段として、規制当局の捜査を利用している。

WeWorkの華々しいIPOの失敗は、数十億ドルの価値がある後期ステージ投資を行った人々にとって良い時間に終わりがくる前兆だった。そして株式の買取りプランは、ソフトバンクの数ある投資先の中で最も問題を抱える高額高価値の非上場スタートアップの問題を、少しでも軽減しようとする取り組みの一部だった。

買い戻し計画から外れることになる1人は、元CEOのAdam Neumann(アダム・ニューマン氏)で、自身のWeWorkの持ち株に対して9.7億ドル(約1040億円)を受け取ることになっていた。

Wall Street JournalはWeWork株主宛の通知を引用し、もしソフトバンクが買い戻し行わなければ、WeWorkに命綱の50億ドル(約5350億円)を与えるという同社の約束を守ることもなくなるだろうと報じた。

WSJの記事によると、株式買い戻しの契約自体は取り消されておらず、新型コロナウィルス・パンデミックによる世界経済の減速を鑑みて再交渉することになるとみられている。

これまでのところSEC(証券取引委員会)と米司法省、およびニューヨーク州議会はソフトバンクに対して、WeWorkのビジネス慣行および投資家との意思疎通に関する情報を提供するよう求めている。

画像クレジット:Theo Wargo / Getty Images

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マルウェア研究家マーカス・ハチンズが有罪を認めた

マルウェア研究家のマーカス・ハチンズ(Marcus Hutchins)が、銀行を狙う強力なマルウェアを作り、そして売ったとされる嫌疑で2つの訴因に有罪を認め、アメリカの検察との長期戦を終わらせた。

英国籍のハチンズはMalwareTechというハンドル名を名乗り、2017年8月に、ラスベガスで行われたセキュリティカンファレンスDef Conから英国へ帰国しようとしたところを逮捕された。検察はハチンズを、さかのぼる2014年に銀行を狙うマルウェアKronosの作成に関与したとして告発した。その後彼は、保釈で出獄した。

司法取引協定がウィスコンシン州東部地裁に提出され、そこでこの訴件は米国時間4月19日に審理された。彼の裁判は今年後半に開始されると決まった。

ハチンズは、Kronosを配布した罪を認めることに同意した。それは銀行のウェブサイトからパスワードとそのほかの認証情報を盗むためのトロイの木馬だ。最近の数年間そのトロイの木馬は拡散を続けた。彼また、第二の訴因である共謀罪でも有罪を認めた。

ハチンズは最大で10年の懲役刑に直面している。検察は、そのほかの訴因を取り下げた。

自分のウェブサイト上の短い声明で、ハチンズはこう言っている。「これらの行為を悔い自分の過ちに関し全面的に責任を取る」。

「大人になってからは自分が数年前に誤用した同じスキルを建設的な目的に使ってきた。今後も自分の時間を、人びとをマルウェアの攻撃から護るために捧げ続けたい」。

彼の弁護士Marcia Hofmann氏はコメントの求めにすぐには応じなかった。

ハチンズは、逮捕の数カ月前の2017年5月にWannaCryランサムウェアの犯行の拡散を止めて有名になった。その犯行は、国家安全保障局(National Security Agency、NSA)が開発し、のちにリークした強力なハッキングツールを使って何千ものWindowsコンピューターにバックドアを作り、ランサムウェアをインストールした。後日それは北朝鮮が支援するハッカーのしわざとされ、イギリスの病院や世界中の大企業のインターネット接続を断ち業務を麻痺させた。

彼はマルウェアのコードの中に見つけたドメインネームを登録することによって、感染の拡大を止め、それによって英雄視された。

保釈の前後にハチンズはセキュリティコミュニティからさらに賞賛され尊敬された。彼はマルウェア分析の分野に寄与貢献し、また自分の発見を公開して、そこから他の人びとが学べるようにしたからだ。

司法省のスポークスパーソンNicole Navas氏は、コメントを断った。

関連記事: WannaCryのヒーローの支持者グループ、クラウドファンディングで裁判費用を募金

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アカデミー賞からストリーミング排除に対し司法省がダメ出し

Netflixの映画にオスカー(アカデミー賞)をもらう資格があるのか、という問題に司法省が関心を持っているらしい。

Variety誌の記事によると、司法省はアカデミー賞を仕切っている団体映画芸術科学アカデミー(Academy of Motion Picture Arts and Sciences)に書簡を送り、今後の受賞資格変更の可能性について懸念を表明した。

でもこれは、司法省が心配するようなことだろうか?書簡が言っているのは、こういうことのようだ。「アカデミーは複数の互いに競合する企業等が会員なので、それらが事前に競争以外の理由で正当化されてはいない不当な競争をすることを防ぐために、オスカーに対し一定の資格要件を設定しているなら、そのような行いは反トラストの懸念を惹起する」(作品の質で競争するのはよいが、ストリーミングが加わると余計な争いが起こりかねない、というアカデミー側の懸念)。

この司法省書簡事件の前には、Netflixの「Roma」が今年の作品賞の筆頭候補とされていた。結局「Green Book」に敗れはしたが、それでも監督賞と外国語映画賞と撮影賞をかっさらった。

Steven Spielberg(スティーヴン・スピルバーグ)監督は、オスカーのルール変更に賛成らしい。彼は、劇場で4週間以上上映される作品という要件を設けたいようだ。

スピルバーグ氏は公の場では何も言わないし、大物プロデューサーのJeffrey Katzenberg(ジェフリー・カッツェンバーグ)氏によると、スピルバーグは彼に「絶対にそんなことは言ってない」と言ったそうだ。でもこれによって、映画業界にNetflixが与えたインパクトをめぐる議論に、一気に火がついた。そしてNetflixはついにこんなツイートを。「私たちは映画を愛しています」。そのねらいは、同社のサービスによって映画がよりアクセスしやすいものになった、と訴えることにあるようだ。

Variety誌によると、アカデミーは書簡の受領を確認した(アップデート:本誌に対しても確認した)。同団体の理事会は4月23日の会議で、受賞ルールに関する年に一度の検討を行う。

目下司法省にコメントを求めているので、得られ次第この記事をアップデートしよう。

関連記事: Netflix defends its impact on the movie business ahead of Oscars debate(Netflixが映画業界に対するインパクトを自己弁護、未訳)

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アメリカがHuaweiを刑事告訴、カナダ政府にCFOの身柄引き渡しを求める

【抄訳】
アメリカ司法省は今日(米国時間1/28)の記者発表で、中国のモバイル大手Huaweiを起訴することを明かした。今月(2019/1月)初めのThe Wall Street Journalの報道に続いて本誌TechCrunchも、 起訴は近いとと報じていた

シアトルの大陪審はHuaweiを、企業秘密窃盗の共同謀議、企業秘密窃盗未遂、7件の通信詐欺、および複数の証人候補を中国に帰国させたとする司法妨害で告訴することを決めた。この起訴の起源は、2014年の民事訴訟に遡り、そのときはT-MobileがHuaweiを、“Tappy”という名で知られていたスマートフォン試験ロボットに関わる企業秘密を盗んだとして告訴した。

司法長官代理Matthew Whitakerは次のように述べた: “8月に中国の政府当局に言ったように中国は、法の遵守に関して説明責任のある一般国民と中国企業を拘束すべきである”。

同社だけでなく、HuaweiのCFO Meng WanzhouとHuaweiの系列企業Skycom Huawei Device USAも、ニューヨークの大陪審による13件の起訴kに直面している。Huaweiの創業者の娘であるMengは、銀行詐欺、通信詐欺、銀行および通信詐欺の共同謀議で起訴される。

参考記事: アメリカがHuaweiを企業秘密窃盗で告訴か

【後略】

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司法省が省のすべてのヘイトクライム関連リソースを一堂に集めたポータルを立ち上げ

国内テロの恐ろしい週が明けた今日(米国時間10/29)、合衆国司法省はヘイトクライムに関するオンラインリソースや報告ツールを一箇所のハブにまとめて資料源を一本化した。

司法省のプレスリリースによると、その新しいポータルは、“省のヘイトクライムリソースを法執行部門やメディア、研究者、被害者、活動グループ、そして個人のために集めた統一的なポータルを提供するためのものである”。その新しいWebサイトは、https://www.justice.gov/hatecrimesにある。

月曜日(米国時間10/29)にD.C.で行われたヘイトクライム防止のための法執行部門の行事で、司法省副長官Rod RosensteinがそのWebサイトを発表した。Rosensteinはまた、ヘイトクライムデータの収集方法に関する研究に対する、国立司法研究所の助成金84万ドルを発表した。

このサイトは、司法省の調査や訴追活動の中から得られたリソースを集める。それらは、調査報告書や、統計データ、法律案内、教材などから成る。また、国の捜査/訴追対象となったヘイトクライムの近例を提供する。それらは、人種や宗教、出生国、性、障害、性的指向性などによる個人への暴力を含んでいる。また、ヘイトクライムらしきものを見た者が連邦政府にそれを報告するための、各種報告ツールも集められている。

政治的憎悪を広めることにおけるトランプ政権の役割に対して批判的な者にとっては、このサイトはあまり慰めにはならないだろう。役に立つリソースがいくつか集まってはいるが、でもそれらも結局は、認知的不協和を招く奇妙な行為の一つにすぎない。ここで司法省は憎悪を動機とする暴力を真剣に扱おうとしているが、しかしその結果が、暴力のターゲットになることの多い弱者から保護を剥ぎとっている。中でも最近もっとも顕著な弱者集団は、トランスジェンダーのアメリカ人だ。

Rosensteinは発表の中で、“本日被害者への哀悼を表するために、私たちもまた、ヘイトクライムの真剣な防止に向けて、自分自身を捧げるものである”、と言っている。彼もまた、ヘイトクライムの多くが今後も未報告のままであり続けることを、認めているのだ。

画像クレジット: BRENDAN SMIALOWSKI/AFP/Getty Images / Getty Images

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司法省のソーシャルメディアに対する脅しは間違っている

国の法律を執行する責任を負う法律家たちが、執行すべき法律そのものをこれほど明確に無視するところを見たことがない。

TwitterおよびFacebookの幹部が上院に呼ばれ、米国選挙に対する国際介入に関する会社の責任について証言し、両社のプラットフォームを使って活動家や論客が誤情報を拡散している問題を指摘したところ、司法省の法律専門家たちは、言論の自由の論争に終止した。それは前例のないことであるだけではなく、違法の可能性すらある

米司法省:ソーシャルメディアは言論の自由を「意図的に抑圧」している

何人もの州検事総長が、ソーシャルメディア会社が表現の自由を抑圧し競争を阻害しているという「深刻な懸念」を語り合うために集合した。真の問題は、民間企業には修正第一条を守る義務があり、自社のプラットフォーム上であらゆる言論を許すべきであるという言い分を述べようとする、保守的虚報と論点だ。

単純な事実を言えば、彼らにそんな義務はない。もう一度言う。企業にそんな義務はない。

政府の法律家がやろうとしているのは、そんな義務のない民間企業に対して修正第一条を守らなくてはならない、という偽りの責任を押し付けることだ。この法律家たちはいったい何にいきり立っているのか。簡単に言えば、多くのソーシャルメディアが、自社で運用しているポリシーに反する発言を封じる決定を下したことだ。

代表的な例が、Alex Jones ——この男はサンディーフック小学校乱射事件はデマであると主張し、パークランドの高校銃乱射事件の被害者は クライシスアクターであると非難した。

先月、Jonesの発言を配信したソーシャルメディアプラットフォーム数社が、ついに、もう限界であると判断した。

Here are the platforms that have banned Infowars so far

Jonesを追放した決定は民間企業としての特権だ。Jonesには言論の自由通り(あるいは裏通り)のお立ち台で(あるいは空き缶に向かって)好きなことを叫ぶ権利があるが——そして彼は何を言っても(どんなに攻撃的で不条理で常軌を逸していても)起訴されることはない——、あらゆるソーシャルメディアプラットフォームで自分の意見を自動的に増幅させる権利はない。

大手ネットワーキングプラットフォームのほぼすべてがその結論に達した。

すでにIT系ロビー団体は、司法省のまずいやり方を非難する声明を発行している。

[The] U.S. Department of Justice (DOJ) today released a statement saying that it was convening state attorneys general to discuss its concerns that these companies were “hurting competition and intentionally stifling the free exchange of ideas.” Social media platforms have the right to determine what types of legal speech they will permit on their platforms. It is inappropriate for the federal government to use the threat of law enforcement to limit companies from exercising this right. In particular, law enforcement should not threaten social media companies with unwarranted investigations for their efforts to rid their platforms of extremists who incite hate and violence.

司法省のアプローチは事態を混乱させ、ソーシャルメディアに対する正当な批判や理にかなった規制の適用が、より困難になるだけでなく、彼らには取り組むべき重要な課題がある。

実際、発言の多くはマーク・ワォーナー上院議員夏の盛りに書いた白書が出どころだった。

Or the Justice Department could focus on the issue that Senator Ron Wyden emphasized in the hours after the hearing:

司法省は、ロン・ワイデン上院議員が公聴会の後に強調した問題に集中することもできたはずだ。

[今や個人データは政治的影響力のある広告に最適な武器であり、海外広告主にこの武器を容易に渡してはならない。個人情報の保護と制御を強化することは、国家安全保障の優先事項とすべきだ。]

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米司法省:ソーシャルメディアは言論の自由を「意図的に抑圧」している

米司法省は、大手ソーシャルメディア各社が「競争を阻害」し言論と表現の自由を「意図的に抑圧している」ことについて、ジェフ・セッションズ司法長官が「深刻な懸念」を抱いていることを公式に伝えた。

この発言は、Facebookの最高執行責任者、Sheryl SandbergとTwitterの最高経営責任者、Jack Dorseyが水曜日(米国時間9/5)に、両プラットフォームにおける海外からの政治介入広告を捜査中の上院情報委員会で証言した結果を受けている。

最近ソーシャルメディア企業は、ロシアおよびイラン政府と密接なつながりをもつとされる活動家らが、誤情報を拡散することで選挙結果に影響を及ぼそうとしてることが発覚して以来、大きな注目を集めている

「司法長官は今月、複数の州検事総長を招集し、これらの企業が競争を阻害し、プラットフォームでの自由な意見交換を意図的に抑圧している可能性があるとして、深刻な懸念を示した」と、司法省広報官のDevin O’Malleyがメールで伝えた。

実際に司法省が規制を求めているのか、競争——つまりは反トラスト法——問題について、各社のプラットフォームを具体的に捜査しているのかは不明だ。ソーシャルメディア企業は米国の言論の自由に関わる法——憲法修正第一項等——の適用を受けていないが、かねてからプラットフォーム全体での言論と表現の自由を支持する旨を謳ってきた。これには言論の制約を強く受けている一部の国々のユーザーも含まれている。

FacebookとTwitterの広報担当者はコメントを拒んだ。

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米法務省、反トランプサイト訪問者のIPアドレス提出要求を取り下げる

米国法務省(DOJ)は、大統領就任式に向けた「反トランプ」サイト訪問者のIPアドレス提出要求を取り下げた。これはDreamHostの勝利と言える。同社は先週、disruptj20.orgの閲覧者を危険であるとしてそのIPアドレスを要求したDOJをプライバシー侵害であると非難し、世間の注目を集めた

法務省は裁判所への回答の中で、DreamHostの所有する問題のIPアドレス130万件の情報は、元々存在を知らなかったと主張し、対象外とするよう要求を修正した。またDOJは裁判所に対し、非公開ブログ記事のテキストおよび写真は除外するよう依頼した。

「政府が知らなかったのは…2017年1月20日の暴動の計画、組織、および参加者に関する捜査に必要な情報以上の閲覧者データをDreamHostが保持していたことだ。DreamHostが数多くのプレスリリースや反対表明で言及している130万件のIPアドレス関連情報に、政府は一切関心がない。捜査の焦点は宣誓供述書に書かれている暴動に絞られている。」

書簡によると、政府は捜査令状の範囲を超える情報は除外する意向だが、DraeamHostは捜査令状そのものが「不適切」であるとしてこの問題についての対話を拒否している。法務省は、捜査令状が合法であるという立場を貫いている。「DreamHostの主張に反して、捜査令状は『現政権の反対派を見つけるため』に使われるためのものではなく、今後使われることもない」と裁判所宛ての書簡に書かれている。

一方、DreamHostは計画通りに行動するつもりだ。DreamHostは、”Narrowing the Scope“[範囲を狭める]と題したブログ記事で、これはプライバシーの勝利であると祝いつつ、今週裁判所で予定されている、「この令状が提起した憲法修正1条および4条の問題」の議論に向けて準備を整えている。

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司法省、対Apple訴訟を取り下げ―テロ容疑者のiPhoneはFBIがアンロックに成功

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FBIはサンバーナーディーノにおける銃乱射事件でファルーク容疑者が所有していたiPhone 5cのロックを解除することに成功した。このため司法省はAppleに対してロック解除を要求する訴えを取り下げる。当局はロックを解除した具体的な方法についての情報の取り扱いには慎重で、新たな情報は公表されていない。

取り下げの文書は非常に簡単だった。「政府はファルークのiPhoneのデータにアクセスすることに成功したので2016年2月16日付けで裁判所によってApple Inc.に命じられたiPhoneのロック解除に関して捜査当局を援助せよとの命令はもはやその必要を失った」と連邦検事、Eileen M. Deckerと司法省次官補、Tracy L. Wilkisonは書いている。

5週間にわたってAppleと司法省は激しいやり取りを繰り広げてきた。勢いの赴くところ、両者はサンバーナーディーノを管轄するカリフォルニア州リバーサイドの連邦裁判所で対決することなるはずだった。しかし先週、FBIは、ぎりぎりの瞬間になって、Appleの助力は結局必要なかったと発表した。司法省は審理の延期を要請した。Appleは抗弁せず、審理は延期された。

司法省は4月5日までにFBIがFarookのiPhoneのデータにアクセスできたかどうか捕捉意見を提出することになっていた。期限を1週間残して政府は前述の見解を示した。

当初、2月に政府がAppleに援助を要求する根拠となったのはAll Writs Act〔全令状法〕だった。しかしAll Writs Actはそれ以外に利用可能な手段がある場合には有効ではない。そこで政府はiPhoneのロックロック解除が可能なのはAppleのみであることを立証しなければならないこととなった。

実はこれが今回政府が訴訟を取り下げた理由だ。FBIはAppleの手助けなしに容疑者のiPhoneのデータにアクセスすることに成功した。つまりAll Writs Actの適用対象外となり、当初の訴えは根拠を失った。

アメリカ政府を苦境から救ったサードパーティーの身元は依然として謎に包まれている。政府もまた今回データを入手した「代替手段」については沈黙している。Appleは将来のOSのアップデートでセキュリティーを強化するためにロックがどのように突破されたのか詳細を知りたいだろう。しかし現状ではAppleがそうした情報を入手できるかどうかは不明だ。

CNNによると、司法省は「代替手段はこの特定のiPhone〔のデータ取得〕のみに有効」と語ったという。しかし同じバージョンのiOSを搭載した別のiPhones 5cをFBIがクラックできないと信じるのは難しいだろう。またFBIがiPhoneの何らかの脆弱性を利用したのであれば、Secure EnclaveとTouch IDセンサーで守られているとしても、同じ脆弱性を持つあらゆるiPhoneが同じ方法でロックを解除されてしまうだろう。【略】

All Writs Actは重大な条文であり、軽々しく持ちだされるべきではない。政府はその前にあらゆる手段を尽くすべきだ。もし政府がテロリストの攻撃を利用してAppleにプライバシー侵害の前例を作らせようとしているのなら、そのような方針は恥ずべきであり是認することはできない。

画像: Arsgera/Shutterstock

〔日本版〕AppleがTechCrunchに送ってきた声明および司法省の訴訟取下げにかかる文書は原文を参照。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

合衆国司法長官がテレビのトークショウ番組でAppleに対するFBIの姿勢を擁護…ユーザーの求めには応じよと

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iPhoneをアンロックする/しないの一件はますます過熱しているが、昨夜のテレビ番組に出演した合衆国司法長官Loretta Lynchは、連邦捜査局(Federal Bureau of Investigation, FBI)の姿勢を擁護した。

彼女の省は今朝発表した声明書の中で、当のテクノロジー企業の主張を‘腐敗的’で‘間違っている’と非難している。しかしその夜のThe Late Show with Stephen Colbert登場したLynchによると、彼女は“プライバシーの問題についてTim Cookと何度も有意義な議論を交わした”、という。

“それについて私から言えるのは、それが誰にとっても重要であると私も理解していること、なぜならプライバシーは誰にとっても重要な問題だから”、と彼女は話を続けた。“しかしそれは、司法長官としての私にとっても重要だし、一市民としての私にとっても重要だ”。

問題の中心は、本誌記事でも取り上げたように、議論の対象がカリフォルニア州サンバナディーノで14人を殺した二人の銃撃犯の一人Syed Rizwan Farookが使っていたiPhoneであることだ。

Appleは現在、法執行機関がそのデバイスをアンロックできるために特殊なソフトウェアを作れ、という政府の裁判所命令を拒否している。同社によると、それはiPhoneの全ユーザーのセキュリティを危険にさらすだけでなく、市民的自由にとって危険な前例を作る。Google, Facebook,Microsoftなど多くのテクノロジー企業は、Appleの側に立つことを公(おおやけ)にしている

LynchはColbertに、問題のiPhoneはすでに政府の所有物であり、一私人のものではない、なぜならFarookはSan Bernardino County〔の郡役所〕に雇われ、それを仕事用の電話機として支給されていたからだ、と語った。

Colbertはそれに対し、AppleのCEO Cookが、“そのバックドアを作ることは危険な状況を作り出し、セキュリティを損壊し、誰もがあらゆることに使えるようになり、あなたのiPhoneを誰かが盗んであなたをスパイすることすらありえる、と言っている”、と述べた。

Lynchはこう応じた: “まず第一に、われわれはバックドアを求めていないし、誰もが何でもできて誰でもスパイできることを求めてもいない。われわれは彼ら〔Apple〕に、彼らの顧客が望んでいることをしてくれ、と頼んでいるだけだ。その電話機の本当のオーナーは郡であり、死亡したテロリストの一人の雇用主である”。

“われわれが彼らに求めているのは、パスワード消去機能を無効にできるようにしてくれ、ということだ。その機能が生きていると、不正なパスワードを10回トライすると電話機〔のデータ〕が消去されてしまうからだ。われわれは、われわれが得た非常に限定的な裁判所命令に基づいて、その電話機から証拠を取り出したいだけだ”。

Apple vs FBI

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))