東大発「イノカ」と東工大発「aiwell」が海の環境保全達成に向け共同プロジェクトを開始

東大発「イノカ」と東工大発「aiwell」が海の環境保全達成にむけ共同プロジェクトを開始

「環境移送技術」の研究開発・社会実装を推進する東大発スタートアップ企業「イノカ」と、タンパク質の網羅的解析技術「AIプロテオミクス」の汎用化・社会実装を進めている東工大発スタートアップ企業 「aiwell」(アイウェル)は10月20日、海洋環境を保護するための共同事業を開始すると発表した。

海洋環境を熟知したイノカと、タンパク質解析のプロであるaiwellがタッグとが組むことで、海のコンディション管理を行い、SDGsの目標14「海の豊さを守ろう」を達成すべく、今後様々なプロジェクトを遂行する。

両社は、見た目だけでは決して判断がつかない海洋環境の実態を、タンパク質レベルで解明し、改善・保全する取り組みを順次展開。

一定の成果が出た後は、現状汚水を海に排出するしか方法のない化学工場やサンゴ礁を傷つけてしまうといわれている化粧品を開発している企業に向けて、海洋環境を守る仕組みづくりを共有。ともに海の環境を守り、企業イメージの向上に貢献していければと考えているという。

海の課題を「AIプロテオミクス」で解決し、海の豊かさを未来永劫守るため、イノカとaiwellはプロジェクトを開始。そしてこのモデルを日本全国・世界へ展開し、SDGsの達成を世界に向けて発信するとしている。

イノカとaiwellによる今後の計画

  • サンゴの健康診断: 水質の良い海でのみ生息できるサンゴが健康な状態であれば、その水質は良いといえるはず。サンゴの人工抱卵に成功したイノカが保有している、健康なサンゴに含まれるタンパク質を解析し、サンゴの生態系を解明。サンゴの状態をモニタリングすることで、海の生態系の保護へとつなげる
  • 海の健康診断: 「仮に海洋をひとつの生き物として捉えたとき、海水は人にとっての血液にあたるのではないか」。そんな高倉氏の発想より、海水中に含まれる魚などの排せつ物あるいは微生物の死骸などの物質をプロテオミクスで解析。生物にとって住みやすい海の環境の定義をタンパク質レベルで解明する
  • 人の手によって汚染されてしまった海洋環境を救う取り組み: 解明することで、実際に重油や排水などで汚染された海洋環境の改善・サンゴ礁の保全が達成できる仕組み作りを実施

イノカは、「100年先も人と自然が共生する世界を創る」というビジョンを掲げ2019年に創業。国内最高峰の「生態系エンジニア」とAI・IoTエンジニアを中心に特定水域の生態系を陸上の閉鎖環境に再現する「環境移送技術」の研究開発、社会実装を推進する東京大学発スタートアップ企業。

環境移送技術とは、水質(30以上の微量元素の溶存濃度)をはじめ、水温・水流・照明環境・微生物を含んだ様々な生物の関係など、多岐に渡るパラメーターのバランスを取りながら、自社開発のIoTデバイスを用いて実際の自然環境と同期させ、特定地域の生態系を自然に限りなく近い状態で水槽内に再現するイノカ独自の技術のこと。

2020年5月には、IoT技術により水温を沖縄の久米島付近の海面水温と同期させた完全閉鎖環境内の実験で、サンゴの人工抱卵を実現。この技術を活用し、研究機関と協同して海洋環境の健康診断技術の確立を目指す一方、民間企業と連携して環境保全活動や教育事業に取り組んでいる。

東大発「イノカ」と東工大発「aiwell」が海の環境保全達成にむけ共同プロジェクトを開始

2018年1月に創業したaiwellは、東京工業大学 生命理工学院 林宣宏研究室と次世代技術「AIプロテオミクス」に関する共同研究を2018年10月より開始。2019年4月には東京工業大学 大岡山キャンパス内に「東京工業大学・aiwell AIプロテオミクス協働研究拠点」を開設した。

AIプロテオミクスとは、林宣宏氏が発明した、生体の状態をプロファイルする次世代特許技術。二次元電気泳動技術の(大量の検体を扱うための)ハイスループット化と(微量な検体でも分析を可能とする)高感度化に成功。

生体内の遺伝子産物を網羅的に解析するプロテオミクスの基盤技術である二次元電気泳動法を用いて、血中タンパク質の二次元電気泳動画像をAIが学習することで、様々な病気や怪我になる一歩手前の状態を発見する研究として注目されているという。敗血症においては、98.2%の精度で的確な判断を可能にした。

2019年12月には東工大発ベンチャー認定企業となり、「AIプロテオミクス」に関する研究開発とその実用化、社会実装を推進。同研究開発では、生体内の遺伝子産物を網羅的に解析するプロテオミクスの基盤技術である二次元電気泳動法を用いて、画像化された血中タンパク質のデータをAIで解析することに成功し、様々な病気や怪我を起こす一歩手前の状態を発見できる技術として注目されている。

また、人間以外の動物や植物などにも幅広く応用が利くことから、SDGs達成のための技術のひとつとして今後広く活用されることが期待されている。

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カテゴリー: EnviroTech
タグ: aiwellイノカSDGs東京大学
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FloorFoundは一般向け家具ビジネスにオンラインでの中古家具返品と再販をもたらす

オースチンを拠点とする新しい家具のスタートアップFloorFoundの創業者であるChris Richter(クリス・リヒター)氏によると、今後5年間で消費者は4000万から5000万点の家具を捨て、大量ごみを出すという。

中古品の廃棄物を減らし、小売業者に別の選択肢を提供するために、FloorFoundを立ち上げた。同社は、オンライン小売業者向けに家具の返品や再販を管理するための企業だ。これまでのところFloyd HomeInside WeatherOuterそして家具レンタルのFeatherがFloorFoundのサービスを利用している。

「開業したのは4月1日だが、今ではとても大きなパイプラインがある。私たちはそれらの項目に対して検査をできるプラットフォーム層を持ってる」とリヒター氏はいう。

リヒター氏は、消費者が環境への影響を減らすためには、中古品を購入することから始めるのが簡単だと語り、さらにほとんどのブランドがバーチャルとリアルのショールームに中古品と新品を取り入れ始めるだろうと予想している。「どのブランドも、新品と再販品を混在させて販売するでしょう私たちは、小売業者を自社の返品在庫で再販ビジネスに参入させようとしている」とリヒター氏はいう。彼は自分の主張を証明するために、ThredUpと提携して古着を販売している(Retail Dive記事)REIやThe Gapのような企業を指摘している。

返品ビジネスを補完し、オンラインセラーが地元のベンダーとよりシームレスに連携する方法を提供するために、同社はPilot Freight ServicesやMetropolitan Warehouse and Delivery、J.B. Hunt Transportといった運送企業とロジスティクス面でパートナーシップを結んでいる。

共同創業者のRyan Matthews(ライアン・マシューズ)氏は、オースチンのハイエンド小売企業Kendra Scottの技術部長だった。リヒター氏と彼は、大きな品物の返品に対してもっと良いカスタマーサービスの需要があることと、家具業界で持続可能性の拡大機運が高まっていることを、商機に結びつけようとした。

サプライチェーン管理のための技術革新に特化したベンチャーファンドであるSchematic Venturesからのプレシード投資を呼び込むのに十分魅力的な提案だった。

「巨大化し過ぎたeコマースで消費者体験が悪化し、数十億ドル(数百億円)規模のカテゴリーをオフラインのままにしている。特大サイズの商品は、ハイパーフラグメンテーションされたマイクロキャリアネットワークの調整、複雑な物理的処理、そしてブランドに合わせた電子商取引チャネルへの再投入が必要となる」とSchematic VenturesのゼネラルパートナーであるJulian Counihan(ジュリアン・クーニハン)氏は述べている。FloorFoundは、この課題に特化したチームを編成して取り組んでいる。クリス・リヒター氏、ライアン・マシューズ氏、Shannon Hardt(シャノン・ハート)の3人は、サプライチェーン、配送、eコマース、エンタープライズソフトウェアの分野で活躍している。FloorFoundは、残りのオフラインカテゴリーをオンラインに移行させる最後のひと押しとなるだろう。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:FloorFound

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

建物のエネルギー消費をモデル化し持続可能性をもたらすCove.toolが6億円調達

Patrick Chopson(パトリック・チョプソン)氏とSandeep Ahuja(サンディープ・アフージャ)氏は、建物のデザインを持続可能性とコストの観点から最適化するソフトウェアを開発するcove.toolをアトランタで創業した。彼ら自身が建築家としてのキャリアの中で直面した問題を解決するためだ。

ジョージア工科大学卒業生の二人は、チョプソン氏の兄弟であるDaniel Chopson(ダニエル・チョプソン)氏とともに、EYP、P25、Skanska、JLLを始めとする世界22カ国の多数の建築家、技術者、そして開発者によって使われている一連のソフトウェアを開発してきた。同社のソフトウェアは、カリフォルニア工科大学、イリノイ大学、UNCシャーロットなどの大学や、彼らの母校であるジョージア工科大学でも教えられている。

今回同社は、ロサンゼルスに本拠を置く投資会社Mucker Capitalが主導したシリーズAラウンドで570万ドル(約6億円)の資金を調達した。ラウンドには、以前の投資家であるUrban.us、Knoll Ventures、アトランタのTechSquare Labsなども参加している。

同社が最初に生み出した製品は、建物のエネルギー消費をモデル化し、エネルギー効率を改善する方法についての洞察を提供するソフトウェアだ。cove.toolによれば、この製品は、以前なら外部コンサルタントが関与し約150時間かかっていた手作業を30分で完了できる作業に変えるという

このソフトウェアは、エネルギー消費、露光、反射、放射、水、新規および既存の建物に対する具体化されたカーボン目標などの要因を考慮することができ、さまざまなオプションを比較する機能を提供して、建築家や開発者がエネルギー目標を達成するために、最も費用効果の高い方法を決定できるようにする。最新のアップデートでは同社は、開発者が新型コロナウイルスのような感染性疾患の潜在的な蔓延を減らすための最も安全なデザインを考慮するのに役立つ、室内占有率計算ツールを追加した。

建物自身と建物の建築作業が気候変動を引き起こす温室効果ガス排出に大きく寄与している。建築建設世界同盟(Global Alliance for Building and Construction)と国際エネルギー機関(International Energy Agency)が発表したデータによれば、温室効果ガス排出は年間炭素排出用の39%を占めている(世界同盟レポート)。そして、世界中で続く都市への継続的な移住は、新しい建物や建設の需要がすぐには減速しないことを意味している。建物への需要が高まる中で、cove.toolのソフトウェアなどの技術を使えば、一般的な建設プロジェクトなら4万本ぶんの木に相当する資源を節約できる可能性があると同社は述べている。

建物の設計を最適化するためのcove.toolソフトウェアの例( 画像クレジット:cove.tool)

同社の最高経営責任者であるアフージャ氏は、「気候変動を押し止めるという意味で、建物の環境負荷を差し引きゼロにするための行動が無意味にならないようにするには、あと10年ほどの猶予しかありません」と語る。

アフージャ氏によれば、新しい資金を手にしたcove.toolは、グローバルな販売およびマーケティング活動を拡大し、いくつかの新しいプロジェクトを推進する予定だ。創業者の二人は、彼らのソフトウェアはすでにカナダ、イギリス、オーストラリアの建築基準を満たすように設計されていると語る。また同社は、火星環境向けにエネルギー効率の高い構造をデザインできるかどうかを確認する計画も立てている。

「火星のことをやるのは楽しいからです」とアフージャ氏はいう。「そのモデルがどのようなものになるかを知りたいのです」。

このソフトウェアの大きなセールスポイントは、環境の持続可能性が製品にガッチリ組み込まれていることだ。そのため、開発者がコスト削減にしか注意を向けていない場合でも、とにかく二酸化炭素排出量の改善が行われる。

「私たちのプラットフォームを使用する開発者は、持続可能性を気にするかもしれないし、気にしないかもしれませんが、間違いなくコストは節約できます」とアフージャ氏はいう。

製品ロードマップ上の次のステップは、建設管理者や開発者がcove.toolによるデザインを実際の建物に変えるために必要な、エネルギー効率の高い建材を提供できる市場の開設だ。

「誰もがまったく異なる悪いワークフローを採用しています」と、同社の共同創業者で製品開発責任者であるチョプソン氏は述べている。「私たちのソフトウェアは、すべての建物とすべての都市が実際に満たす必要のあるコストとオフセットカーボン目標の観点から、それらをまとめます」。

ここで描かれているロードマップは、建築家から請負業者までのワークフローを簡単にして、関係者全員がより緊密に調整できるようにすることだ。建築市場のそちら側に参入することで、cove.toolは非常に資金の豊富な他社と競合することになるが、それは市場の建築管理と調達に関わる領域が巨大であるためだ。

Procoreのような企業が、建築管理プロセスを簡素化するというお題目を掲げて、10億ドル(約1000億円)規模の企業になっている。

アフージャ氏によれば、cove.toolのマーケットプレイス製品は、2021年半ばに登場する予定である。リストに掲載する予定の数百のベンダーからの1000を超える製品のデータベースを、すでに蓄積しているということだ。

「製品データベースはたくさんありますが、内容を分析できるところはありません」とチョプソン氏は語る。「あるガラスが、他のどのガラスよりも優れていることを分析できるのは私たちだけです… それはあまりにもまとまりがないので、普通ならあるものと別のものを比較することはできません… 重要なのは、対象を分析し、分析結果を建物のコンテキストに反映できるようにすることです」。

最終的には、やはり効率と持続可能性に焦点が当てられるのだとチョプソン氏は語った。そして、急速に温暖化する世界では、他に重要なことはほとんどない。

Mucker Capitalのパートナーであり、cove.tool取締役会のメンバーとなったOmar Hamoui(オマー・ハモウイ)氏が声明の中で述べているように「持続可能なデザインは、建築業界で急速に必要になりつつある」のだ。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:Cove.tool、資金調達

画像クレジット:cove.tool

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(翻訳:sako)

アマゾンとパナソニックが注目するバッテリーリサイクルスタートアップRedwood Materials

Tesla(テスラ)の共同創業者で元CTOのJB Straubel(JBストラウベル)氏は、謙虚で先駆的なエンジニアとして語られることが多い。ある意味会社の最も重要な技術に対して15年間裏方として目立たぬ苦労を重ねて来た人物だ。 テスラのCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏に対する誇大宣伝とメディアの注目が高まるにつれて、その性格が対照的に語られることが多くなったものの、それだけでは真実の一部が語られているに過ぎない。

ストラウベル氏は、自己宣伝を行ったり進捗を誇ったりしがちなタイプの人物ではない。彼の個人的なTwitterアカウントも、彼のスタートアップであるRedwood Materials(レッドウッド・マテリアルス)の専用アカウントも、これまでにツイートを行ったことがない。そして彼は、込み入った問題対して苦労を重ねることを、こよなく愛する人物なのだ。

しかし、彼の控えめな表現は、2017年に共同創業したリサイクルスタートアップのRedwood Materialsに対する、彼の野心と計画を分かりにくいものにしている。Straubelは、Redwoodを世界の主要なバッテリーリサイクル企業の1つにすることを構想し、積極的に取り組んでいるが、今では多数の施設が戦略的に世界中に配置されている。

ストラウベル氏は米国時間10月7日に開催された、TechCrunchのTC Sessions:Mobilityの仮想ステージ上で「これは主要な業界であり、大きな課題です。それこそが私にとって時間を費やしたい理由の大きな部分なのです」と語った。「私は、世界の持続可能性に、実際に重大な影響を与えることができる、何かをしたいと思っています。それを行うには規模が必要です。なので私はこの会社を成長させ続けて、世界最大とは言わないまでも、主要なバッテリーリサイクル会社の1つにすることに熱心に取り組んでいます。そして最終的には、世界の大手電池材料会社の1つになります」。

ストラウベル氏が経営する、ネバダ州カーソンシティを拠点とする同社は、循環型サプライチェーンの構築を目指している。同社はB2B戦略を採用しており、バッテリーセルの製造工程からのスクラップだけでなく、携帯電話のバッテリー、ノートブックコンピューター、電動工具、モバイルバッテリ、スクーター、電動自転車などの消費者向け製品からもリサイクルを行っている。Redwoodは、家電会社やパナソニックなどのバッテリーセルメーカーから、スクラップを回収している。次に、これらの廃棄物を処理し、通常は鉱山から採掘されるようなコバルト、ニッケル、リチウムなどの材料を抽出して、パナソニックやその他の顧客に供給する。Redwood Materialsには多くの顧客がいるが、協力が公表されているのはパナソニックとAmazon(アマゾン)だけだ。

現在のRedwood MaterialsはB2B企業だが、そのビジネスモデルはいつか進化する可能性がある。関心が非常に高まっているため、ストラウベル氏は現在、より消費者向けのビジネスにも拡大すべきかどうかを検討している最中だ。これまではRedwood自身が、消費者が直接古いスマートフォンやその他の家電製品を持ち込むことができる、収集サイトを提供することは決してなかった。しかし、地方自治体や、電気自動車(EV)のバッテリーを含む電子機器をリサイクルするオプションを探している消費者からの問い合わせの数を見て、ストラウベル氏は少なくともその可能性を検討するようになっている。

わかっていることは、ストラウベル氏が、多くの施設(おそらく数十カ所)を各地域に設置し、顧客数が十分に大きい場合には、工場と同じ場所に設置することも考慮しているということだ。同社は、これらの施設が将来どこに設置されるかについては明らかにしていない。

同社はカーソンシティに、2カ所のリサイクルおよび処理施設を持っている。そして、世界最大のバッテリーリサイクル企業の1つだと呼ぶことは難しいものの、Redwoodはすでに「ギガワット規模」で運営されている。

「私たちはとても急速に成長し、生産能力を増強することができました。それはリチウムイオン生産の規模をほぼ数年遅れで追っていくことになると思っています」と彼はいう。

ストラウベル氏の言葉を理解するために、パナソニックがネバダ州スパークでテスラと一緒に運営しているギガファクトリーについて考えてみよう。現在この工場には、年間35GWh(ギガワット時)のリチウムイオン電池セルを生産する能力がある。もしストラウベル氏が狙っている規模に達した場合には、Redwoodはパナソニックにその生産能力に見合う十分な材料を供給することになるだろう。その目標を達成することで、パナソニックのサプライチェーンは、採掘される鉱物からRedwoodによってリサイクルされる鉱物へと根本的に変化を遂げることになる。これらのリサイクルされる材料は、パナソニックの製造スクラップやその他の家電製品から供給される。

北米パナソニックエナジーのバッテリー技術担当副社長であるCelina Mikolajczak(セリーナ・ミコライチャック)氏は、同社にとってリサイクル供給を無視することは愚かな行為だと語った。

ミコライチャック氏は、TC Sessions: Mobilityでのストラウベル氏との共同インタビューの中で「私たちはすでに、これらの金属を大地から掘り出し、セルに入れ、もうそこにあるのです」と語った。「もちろん、セルの取り扱いは少々難しいものです。セルは通常の金属鉱石とは多少異なる方法で処理されますが、同時に、必要な金属の濃度は通常の金属鉱石よりもはるかに高いものになっています。ですから、リサイクルを積極的に追求することは理にかなっています。なぜならリサイクル対象のものがたくさんあるからです、世界中にすでにたくさんのバッテリーがあります」。

バッテリーの再利用

今日、スマートフォンやその他の家電製品に使用されているリチウムイオン電池の大部分はリサイクルされておらず、その代わりに所有者のガラクタ入れの中で忘れられるか、廃棄物処理の流れに乗って最終的に埋め立てられている。電気自動車は、言うならば、はるかに長い賞味期限を持っている。だが、最終的には、電気自動車に使用されるバッテリーは、自動車メーカーだけでなく、廃棄物に取り組むコミュニティにとっても課題となるだろう。

ストラウベル氏は、Redwoodが電気自動車のバッテリーの、寿命末期のソリューションの一部になることを望んでいる。

「再利用問題と、これらのバッテリーをどのように復活させるかはとても興味深いものです。そしてバッテリーをそのまま2番目のアプリケーションへと組み込む方法については、さまざまなアイデアが提案されています」とストラウベル氏は語ったが、Redwood自身は再利用そのものには直接は取り組んでいないと述べた。「これらのデバイスを一定期間再利用することで、より多くの期間利用できるなら素晴らしいことですが、それは避けられない運命をただ遅らせているだけです。最終的には、適切な廃棄とリサイクルソリューションが必要になるのです」。

ストラウベル氏は、Redwoodをそのための最終関門にしたいという。

EVのバッテリーをエネルギー貯蔵用に転用することについて、話し合いを持った自動車メーカーはたくさんある。しかし、OEMがそれらのバッテリーを、消費者から回収する手段は不十分なままだ。ストラウベル氏はRedwoodを、電気自動車を製造するすべてのOEMと提携し、業界全体にその材料を提供できるような、独立した企業にしたいと考えている。

Redwoodが、どの自動車メーカーと提携するのか、あるいはすでに提携しているのかについて、公に発表したことはない。とはいえ、EV業界全体を見渡せば、可能性のあるパートナーがいくつか浮かび上がる。たとえば、電気自動車のスタートアップのRivian(リビアン)は、Redwood Materialsと直接連携する計画を発表したことはないが、しかしどちらの会社も、投資家および顧客としてのAmazon(アマゾン)と関係を持っている。RivianのCEOであるRJ Scaringe(RJスカーリンジ)氏とストラウベル氏は、お互いを知っているだけでなく共通のビジョンも共有している。

スカーリンジ氏は、まだ詳細は不明なもののバッテリー再利用計画について語り、またバッテリーの寿命が尽きたときに何が起こるかについても語った。現在Rivianは路上を走る車を供給していないので、それは一見はるか未来の物語のように思える。だがその状況は、同社が電動ピックアップトラックとSUVを消費者市場に投入し、Amazonに電動バンを提供する2021年に変わるだろう。最終的に、RivianはAmazonに10万台の電動バンを配達する契約を結んでいる。

スカーリンジ氏は先月Bloomberg Green Summitで行われたインタビューの中で次のように語っている「JB(ストラウベル氏)がやっていることに、本当にわくわくしています。車両を原料として使うことができるからです。これらの車両から回収したバッテリーを原料にして、別のバッテリーと電気自動車のライフサイクルを開始できるからです」。なおこのインタビューの行われたパネルセッションにはストラウベル氏と、AmazonのGlobal Last Mile Fleet and Productsの責任者であるRoss Rachey(ロス・ラチー)氏も参加していた。「これを本質的にクローズドなエコシステムとして制御できるようになれば、業界全体が電化だけでなく様々な消費手段へと移行する中で、こうしたことに対する条件反射的な行動を学び行うことができるようになります」。

規模について

ストラウベル氏は「Redwood Materialを公開することに興味がない、特に短期的には」と述べた。

ストラウベル氏は、テスラの現状に向けられたコメントの中で「良くも悪くも、私は上場企業であることのよって効率の悪い部分を、最前列で見ていました」と語った。「私は急いでいません。公開企業であることは、なぜか成功の証だと思われていますが、実際にはあまり意味がないのです」。

彼は、その目標はRedwoodが影響を与え、産業規模で意味のあることを行い、見返りを得ること(すなわち利益を生み出すこと)だと語った。

「それはすぐに公開するということではありませんし、投資家にすぐに利益を還元しようとするようなことでもないのです」とストラウベル氏はいう。「私が本当に時間を使いたいことは、影響を生み出すことです。そして、これは数十年に及ぶ可能性のある、非常に長期的な成長ミッションだと思っています」。

労働者がインドのニューデリーで使用済みの携帯電話の山を選別している様子 (画像クレジット:Getty Images / Kuni Takahashi/Bloomberg)

ストラウベル氏は規模に関して大いに語った。それはRedwoodに対する彼のビジョンや米国の消費者のガラクタ入れの中に眠っている電子廃棄物の現状などを含む内容だった。まず語ったのはギガファクトリーの規模に関してである。ここはパナソニックがバッテリーセルを製造するために使用し、テスラがその車両用のバッテリーパックと電気モーターを製造するために使用している工場である。ストラウベル氏がRedwoodの創業を駆り立てられた理由の一部には、この工場の存在がある。

「世界が輸送を電化する中で、非常に多くの異なる材料が必要となっています。そんな中で、工場の上流のサプライチェーンはしばしば過小評価されていると思います」と彼はいう。「ギガファクトリーは氷山に少し似ています。水面下には通常目にすることのない、サプライヤー、鉱山、精製、その他供給する必要のあるさまざまなものが、たくさん連なっているのです」。

ギガファクトリーが成長するにつれて、サプライチェーンの一部がボトルネックになったのだと彼は付け加えた。

「もちろんテスラがここににもっと焦点を合わせているのを知っているでしょう。私も当然そう思っています」とストラウベル氏は語り、ニッケルのような材料の、より広範なサプライチェーンに焦点を合わせる必要性について述べたマスク氏の最近の発言に対して賛意を示した。「それは非常に興味深い分野だと私は考えていますが、あまり注目されていません。そして材料ライフサイクルの一部を構成する最終処理とリサイクル処理は非常に大切な分野で、バッテリー作成の持続可能性に対して大きな影響を持つことができると考えています」。

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カテゴリー:EnviroTech
タグ:Amazon、パナソニック、Redwood Materials

画像クレジット:Redwood Materials

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(翻訳:sako)

ドイツの大手エネルギー企業E.ONがスマートグリッドテック向けベンチャーファンドを組成

商業用、住宅用、産業用の顧客5000万超を抱えるドイツのエネルギー企業E.ON(エーオン)は、「資産を持たない」テックスタートアップに投資するための2億5000万ユーロ(約310億円)の投資ファンドFuture Energy Venturesを新たに組成した。

公共サービスはエネルギー発生ソースの脱炭素化に移行していて、分散がかなり進んでいるソースから得られる電力を調整、統合、管理できるさまざまなテック企業にアピールする必要があることを認識しつつある。住宅や事業所に送る電気を発電するために大型の石炭プラントや天然ガスプラントに頼っていた、世紀の価値があるエネルギーインフラからの移行だ。E.ON幹部によると、アーリーステージの企業によって開発されているさまざまな新しいテクノロジーの導入を必要とする変化だ。

E.ONで長らく幹部を務めているInes Bergmann-Nolting(イネス・バーグマン-ノルティンク)氏とJan Lozek(ジャン・ローゼック)氏の2人が新ファンドをリードする。両氏はすでにE.ONの資金をアーリーステージ企業に投資している。実際、Future Energy VenturesはBidgely、Holobuilder、Intertrust、Thermondo、T-Rexの5社をポートフォリオに抱えて組成された。

企業に直接投資するのではなくベンチャーファンドを組成するという動きは、ポートフォリオにある企業によって開発されているテクノロジーを商業展開できる投資パートナー間でコンソーシアムを結成することが可能であることを意味する、とローゼック氏は述べた。

「世界の最も優れている企業に投資するために、我々はより多くの資本やパートナーを必要としています。だからこそ、他のパートナーを取り込める構造にしたのです」。

スタートアップが必要とするネットワークと、ベンチャーキャピタルの従来モデルの間の断絶をE.ONは目の当たりにしている、とローゼック氏は話した。E.ONのような大手産業パートナーは投資をするだけでなく、あらゆる商業・産業顧客を紹介したり、新たなテクノロジーを実用化するのにスタートアップをサポートする当局へのアクセスを提供できる。

「企業は成功するのに資金以上のものを必要としています」とFuture Energy Venturesでマネージングパートナーを務めるバーグマン-ノルティンク氏は声明で述べた。「コラボレーション、メンタリング、そして大規模展開するのを手伝ってくれる他の組織と提携する機会を必要としているのです。ダイナミックでイノベーティブなスタートアップ、E.ON、関係会社、増えつつあるパートナーが協業することで積極的に価値を生み出すこと、そして互いの財政や戦略的メリットに大きな大きな影響を与えることを模索しています。可能性のあるユースケースかどうかが投資の決め手となり、E.ONやポートフォリオ企業で組織的に展開するためのエコシステムの中で、試験事業やユースケースの展開をサポートすることを目的としています」。

ローゼック氏によると、Future Energy Venturesがディールをリードし、支援する企業の持ち分最大10%を取得する。同社は欧州、米国(主にシリコンバレー)、イスラエルにフォーカスし、3つの分野のテクノロジーに取り組んでいる資産を持たない企業を支援することにしている。

3つの分野について、ローゼック氏は「未来のエネルギー」あるいは既存のエネルギーインフラを統合する相互連結システム、エネルギーインフラを都市環境に統合するクラウドシティ、新たな機械学習モデルや増大しつつあるデジタル資産を保護するための新たなサイバーセキュリティテクノロジーといった最先端の技術、と定義している。

カテゴリー:Enviro Tech
タグ:E.ON、ドイツ、Future Energy Ventures

画像クレジット: piranka / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

海洋保全事業のアクセラレーター「Ocean Solutions Accelerator」の3年目の育成企業が決まる

Sustainable Ocean Alliance(SOA)とそのアクセラレーターであるOcean Solutions Acceleratorは、地球の水域が直面している問題に取り組んでおり、2020年の育成対象になった企業はいずれも、それぞれ独自の新しい問題と活用するリソースを提示している。サンゴ礁の再生から「釣り船のためのFitbit」に至るまで、それらは海が抱える問題を修復し、あるいは少なくとも私たちがそこで与えている被害を減らそうとしている。

このアクセラレーターの研修事業は4週間で、すべてバーチャルで行われ、海洋分野の社会貢献企業が直面しているユニークな課題に焦点を当てる。

アクセラレーターの共同創業者であるCraig Dudenhoffer(クレイグ・デュデンホッファー)氏「この分野のスタートアップは立ち上げ時に十分な資金がないことが多く、しかも機械類などは高価なため、必要とする初期資金の額も大きい。数百社の応募企業のうち、十分な資金のあるところはごくわずかだ。もっと多くの投資家たちが、海洋という分野にある商機に目覚めて欲しい」と語る。

SOAは2020年に9社を選んだが、米国の企業はわずか3社だ。デュデンホッファー氏は、対象企業を発表するプレスリリースで次のように述べている。「今年は、新型コロナウイルスのパンデミックにも関わらず応募企業は過去最多であり、最も多様だった。さまざまなタイプのソリューションが見られることと、現在、海が抱えている重要な問題に積極的に取り組む起業家たちの数が増えていることが特に我々の励みになった」。

SOAの創業者であるDaniela Fernandez(ダニエラ・フェルナンデス)氏によると、最近はこの分野でも国際化が進んでいるため、育成事業のバーチャル化はむしろより多くの可能性を開くという。例えば小さな企業は、デモのために装備を移動する費用を用意することも難しい。「バーチャルならむしろ選択肢が増え、さまざまな人が参加できるようになる。すべての人にとって柔軟性が増し、参加しやすくなる。いずれにしてもこの方向に進んでいたのではないだろうか」。

画像クレジット:ARC Marine

以下が、2020年の幸運な9社となる。

  • AquaAI(ノルウェー):相手に気づかれずに観察ができる魚に似た自動運転の小型潜水艇。
  • AKUA(米国):ケルプ(コンブ科の海藻など)を使った高度健康食。最初はジャーキー、次はバーガーを企画。
  • ARC Marine(英国):キューブ状のサンゴの苗床Reef Cubeを使ってサンゴ礁の保護と再生を図る。
  • Desolenator(オランダ):きれいな飲み水を提供する太陽熱利用の海水脱塩装置。
  • FlyWire(米国):規制種の捕獲と商行為を監視するデジタル監視装置。
  • microTERRA(メキシコ):動物の飼料用の持続可能なタンパク質を海洋牧場から得る。
  • Oceanworks(米国):海洋のプラスチックごみをリサイクルして販売する。
  • PlanetCare(スロベニア):洗濯機の排水からマイクロファイバーを回収して水系の汚染を防ぐ。
  • Trademodo(カナダ):倫理的なシーフード事業とサプライチェーンのための総合プラットフォーム。

参加企業は、アクセラレーターからの惜しみない愛情のこもったケアを受けることになるが、すぐにリターンを求める資本主義システムの中で長期的な目標を持つ倫理に焦点を当てた企業であることの難しさを学び、厳しい現実を知ることになるかもしれない。これらのような企業を作っていく上で重要なステップの1つは、やる気をくじくような障害を乗り越え、困難にもめげずに可能性を見出していくことだろう。

デモデーは11月5日に予定されている。そのころは、他に大きなイベントもないため好都合だろう。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:Sustainable Ocean Alliance

画像クレジット:Diane Keough/Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ポーランドのエンジニアリング専攻学生3人が起業した大気質監視サービスのAirlyが2億円調達

山火事の煙が米国西部の空を覆い、そして大気汚染が世界に広がる中、空気の質は文明社会が解決すべき問題となっている。

工業化や気候変動によって引き起こされた自然災害は有害な物質を大気に放出しており、世界中の政府は大惨事と経済成長の組み合わせが市民にとって何を意味するのか注視している。

ポーランドのクラクフを拠点とするエンジニアのチームが、大気の質を正確に測定するAirly(エアリー)を立ち上げた。自分たちが住む街の大気の質を知りたかったのが始まりだ。

エンジニアリングを専攻する3人の学生、Michal Misiek(ミハル・ミシェック)氏、Wiktor Warchalowski(ヴィクトル・ウォシャウスキー)氏、 Aleksander Konior(アレクサンダー・コニオール)氏によって設立された同社は、大気中の粒子状物質、窒素酸化物、硫黄酸化物、メタン、一酸化炭素などの排出を測定するのにセンサー技術とソフトウェアを組み合わせている。

「最善のデータを提供するためにソフトウェアとキャリブレーションアルゴリズムを活用しています」とCEOを務めるウォシャウスキー氏は話した。大気の質を収集するだけではない。3人は、収集したデータに基づいて最大24時間先の大気質を正確に予測できるとするアルゴリズムを開発した。

現在の大気質評価ツールのマーケットは約40億ドル(約4200億円)で、2025年までに65億ドル(約6800億円)に成長することが見込まれている。すでにAirlyのテクノロジーは、Philips(フィリップス)、PwC(プライスウォーターハウスクーパークーパース)、Motorola(モトローラ)、Aviva(アビバ)、Veolia(ベオリア)、Skanska(スカンスカ)などの大学や企業が欧州やアジアの400都市で使用している。またAirlyはAPIを提供しており、メディアやテクノロジー、金融の企業はリアルタイムの大気質データにアクセスできる。周囲の空気の質について知りたい消費者向けのアプリもある。

大気質評価組織であるフランス拠点のAirparifは、これまでで最も正確な大気質デバイスだと評してAirlyに賞を贈った。

同社の始まりは、ウォシャウスキー氏と同氏の友達がマラソンに向けてトレーニングする際に、大気汚染への露出を抑えるためにどの時間帯が走るのに最適かを知りたいと思ったことだった。「私が午後5時に走りたかったときに参照したデータは午後2時のもので、最新ではなかったのです」と同氏は話した。

今や200万人以上が同社のアプリを使用している。「私のようにデータを必要とする人が多いのです」と同氏は述べた。

AirlyはiPhoneほどのサイズのデバイスを消費者やコミュニティに販売し、またAPIへのアクセスを有料にすることで収入を得ている。デバイスは300ドル(約3万1600円)で、APIへのアクセス料金は1000ドル(約10万5300円)〜だ。

手元の収益、そして業界をリードする大気質モニタリング組織のお墨付きもあって、Airlyは新しく組織された投資会社Giant Venturesがリードしたラウンドで200万ドル(約2億1000万円)を調達した。ラウンド参加者はSir Richard Branson(リチャード・ブランソン)氏とSir Ronald Cohen(ロナルド・コーエン)氏の家族、Pipedrive共同創業者のMartin Tajur(マーティン・タジュル)氏、 Cherry VenturesのパートナーでSpotifyの元CMO、Sophia Bendz(ソフィア・ベンズ)氏、Gojekの元CMO、Piotr Jakubowski(ピョートル・ジャクボウスキー)氏、Henkelの役員Konstantin von Unger(コンスタンティン・ヴォン・ウンガー)氏だ。

Giant Venturesのマネージングパーパートナーで共同創業者のCameron McLain(キャメロン・マックレーン)氏は「世界の大気質データの主要ソースを構築することで、Airlyは巨大な社会的かつ経済的価値を創出しています」と話している。

カテゴリー:EnviroTech

タグ:Airly 資金調達

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(翻訳:Mizoguchi

Bolt Threadsがバレンシアガやグッチ、アディダスなどと新素材マッシュルーム代替皮革で提携

Bolt Threads(ボルト・スレッドズ)は、Stella McCartney(ステラ マッカートニー)、Balenciaga(バレンシアが)、Gucci(グッチ)、Alexander McQueen(アレクサンダー・マックイーン)、Bottega Veneta(ボッテガ・ヴェネタ)などのブランドを展開するファッションハウスのKering(ケリング)、Lululemon(ルルモン)、Adidas(アディダス)などの新規および既存のパートナーを集めてコンソーシアムを設立した。同社は、自社開発のマッシュルームをベースにした代替皮革の製品への使用を検討すると発表した。

これらの企業は、2021年にBolt Threadsのマッシュルーム由来の代替皮革を使用した製品を市場に送り出す最初の企業1つになると同社は述べている。

Keringの会長兼最高経営責任者であるFrançois-Henri Pinault(フランソワ・アンリ・ピノー)氏は声明で「高級品が直面している持続可能性の課題に対処するには、イノベーションがカギになると常に確信しています。革新的な代替素材や生地を見つけることで、長期的に環境への影響を大幅に削減できる可能性があります」と述べている。

今回の発表は、2018年に革の代替品探しに参加すると最初に発表したBolt Threadsの少なくとも2年間の取り組みの集大成となる。同社はその後すぐに最初の製品である400ドル(約4万2100円)の「Driver Bag」(ドライバーバッグ)を発表したが、これは米国オレゴン州ポートランドを拠点とするバッグ会社Chester Wallace(チェスター・ウォレス)と共同でデザインされたものだ。

11年近く前の発売以来、2億ドル(約210億円)以上の資金調達を行ってきたBolt Threadsは、かなり厳しい競争に直面している。MycoWorksやModern Meadowのような企業は、どちらも代替の革製品を開発している。しかし、これらのパートナーシップはBolt Threadsをほかの皮革製品から引き離すための、長い道のりを歩むことになるかもしれない。

Bolt Threadsのマッシュルームレザー製品「Mylo」の素材見本

Bolt Threadsへの投資家には、Foundation Capital、Baillie Gifford、Founders Fund、Formation 8、そして繊維・ファッション業界に大規模な株式を保有する香港を拠点とする非上場のコングロマリットであるNan Fung Groupが含まれる。

革製品への関心の高まりが、同社のオリジナル製品であるスパイダーシルクの代替品にとって何を意味するのかは不明だ。同社が2017年に314ドル(約3万3000年)のネクタイをデビューさせて以来、シルクに関するニュースはあまり出てこなかった。

ファッション業界のクリーンアップ能力には明らかに関心がある。消費者はそれを求めており、持続可能性に焦点を当てた新しいブランドが定期的に発表されている。

Reducetarian Foundation(レディスタリアン財団)の共同創設者兼会長であるBrian Kateman(ブライアン・ケイトマン)氏は「伝統的なファッションは地球を殺している」と昨年書いている。

毎年、繊維産業だけで12億トンの温室効果ガスを吐き出している。これは、すべての船舶と国際航空便を合わせた温室効果ガス排出量を超えており、9800万トンの石油を消費している。繊維染色はきれいな水の2番目に大きな汚染源であり、全体としてアパレル産業は世界中の全温室効果ガス排出の10%を占める。最悪なのは、膨大な資源を消費して生産された服が、すぐに廃棄されてしまうことだ2015年のEllen MacArthu(エレン・マッカーサー)財団の調査によると、衣料品の素材全体の73%が焼却や埋め立て処分されたという。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:Bolt Threads、アパレル、温室効果ガス

画像クレジット:Bolt Threads

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(翻訳:TechCrunch Japan)

自動洗浄ウォーターボトルのLARQが10億円超を調達、ブリタ式浄水器もクラウドファンディング中

2018年に最初のボトルを発売したLARQ(ラーク)は、ペットボトルを使わないようにしたい消費者の間でかなりの関心を集めた。このベイエリア拠点のスタートアップは、Nordstrom(ノードストローム)やBloomingdale’s(ブルーミングデールズ)などの販売パートナーの力を借りて、2019年だけで7万5000本のボトルを販売した。その業績をいっそう引き立たせているのが、95ドル(約1万円)という水筒としてはかなりの高額商品だという事実だ。

LARQの価値提案は、そのUV(紫外線)キャップによる殺菌機能だ。学生時代のNalgene(ナルゲン)ボトルの時代から再利用可能な水筒を持ち歩いている1人として、私はボトルの中で成長するカビの森に関する恐ろしい話をいくつか知っている。口の狭い容器では、入念な洗浄が極めて困難だからだ。

同社の製品は投資家の関心も集めている。米国時間9月29日、LARQはSeventureのリードで1000万ドル(約10億5000万円)のシリーズAラウンドを行い、DCMも参加したことを発表した。同社は2019年7月に初期のシードラウンドを行っている。このほどLARQは重要な株主も多数獲得し、Capricorn Investment Group、Heuristic Capital、Augment Ventures、さらにはNBAのゴールデンステート・ウォリアーズのパワーフォワードであるDraymond Green(ドレイモンド・グリーン)氏も名を連ねた。今回のシリーズAで同社の調達資金の総額は1570万ドル(約16億6000万円)になった。

「LARQでは、あなたにとっても地球にとってもふさわしい、新時代の水分補給を提案している」とCEOのJustin Wang(ジャスティン・ワン)氏はTechCrunch宛の声明で語っている。「消費者中心のデザインに最先端技術を組み合わせることで、健康的で持続可能ないつでもどこででも簡単に使える製品を目指している。このビジョンを実現するために、LARQは持ち運べるボトルから家の蛇口まで、そしてその間のあらゆる水分補給の場面で消費者のニーズに答える必要がある」。

LARQのボトルは現在16カ国、88の小売業者が扱っているが、このラウンドによって世界進出をさらに広げることができるだろう。2020年9月に同社は、自社の浄水テクノロジーをBrita(ブリタ)スタイルのフィルターに応用した製品のクラウドファンディングを開始した。本稿執筆時点で目標の5万ドル(約530万円)の13倍以上を集めている。外出する人が少なくなり、ホーム市場がますます重要になっている現在、同社にとって最適な製品に違いない。

 画像クレジット:LARQ

LARQは、このテクノロジーを製品化するまで開発に10年かかったという。低価格商品が次々と参入する市場でどうやってこの会社が進化を続けるのか注目だ。

カテゴリー:EnviroTech

タグ:LARQ 資金調達

画像クレジット:LARQ

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

カーボントレーディングの正規化をブロックチェーンで実現WONori

暗号通貨がカーボントレーディング(排出量取引)にやってきた。

それが、Noriのピッチ(売り言葉)だ。このシアトルのスタートアップはこのほど、暗号通貨にフォーカスしている投資家たちから400万ドルを調達した。それらの投資家はPlaceholderとNorth Island Ventures、Tenacious Ventures、そして、同社が名前を明かさない非上場の大手多国籍農業企業だ。

創業者のPaul Gambill氏は元Deloitte Technologyの社員で、同社を2015年に去り、気候変動に挑戦する企業Noriを創始した。Noriは、カーボンオフセットの市場に存在する「重複勘定」をブロックチェーンを利用して解決する。

Gambill氏はこう説明する: 「一件のカーボンクレジットが国境を超えて売られるときには必ず、二回数えられる。プロジェクトが発生するときにはカーボンクレジットそのものが資産であり、それを誰かが他の誰かに売る。彼らはそれをブローカーに売り、ブローカーはそれを他の誰かに売る。市場でカーボントレーディングを見れば、それは同じトン数が、ある手から別の手へと何度も何度も渡されている」。

例としてブラジルの雨林保存プロジェクトを見ると、Gambill氏によれば、プロジェクトの創始者のブラジル人と、そのクレジットの国際的な買い手の両方が、プロジェクトをそれぞれ自分の排出量軽減量に数えるだろう。

「それは複式簿記で容易に解決できる愚かしい問題だが、誰もそれをしていない」、とGambill氏は言う。今では多くの企業がカーボンオフセットを買って直ちに廃棄しているから、それを公開市場で再び売ることはできないが、そのような取引はオフセットの販売総量のごく一部でしかない、とGambill氏は主張する。

Gambill氏は、カーボン市場は気候変動問題の正しいソリューションだと信じている。しかも彼によるとそれは、技術の問題だ。

Gambill氏はこう述べる: 「2015年に退職して、もっと大きくて重要なことに取り組みたいと思った。そして、気候変動がまさにそれだと思った。私はこれまでずっと、それはエンジニアリングのプロジェクトだと考えていた。CO2が間違った場所にあるので、それを移動する。その技術だ。これは、人類が取り組むべき次の大きなエンジニアリングプロジェクトだ。2017年に私はチームとビジネスモデルを作り、そのレースに参加した」。

2017年にGambill氏が解決に取り組もうとした問題は、オフセットの証明と決済の仕組みが分離しているために、カーボン(炭素排出量)のマーケットが正しく機能していないことだった。バイヤーはNoriのトークンを使って払い、トークンはつねに、隔離された1トンの排出量を表すが、トークンの価格は供給と需要に基づいて変動する。

「人びとが投機的に売買する商品市場を求めているが、それを実際のカーボンそのものでやりたくはない」、とGambill氏は言う。

同社はeコマースのフロントエンドを動かして、そこで人びとがトークンを買って彼らの買いをオフセットする(同社はすでにShopifyに顧客がいる)。そしてそこにはトレーディングの仕組みがあって、そこでNoriはそのトークンを売りに出し、取引所でトレードする。それによって、炭素の排出量の軽減とプロジェクトの資金が得られる。「将来的には弊社のアプリケーションでオークションもやりたい」、とGambill氏は言う。また今後のロードマップとしては、カーボン削減のAPIを提供して、それをどんなプラットホームやアプリケーションにも統合できるようにしたい。

どこかで聞いたことがある、とお思いなら、それは、カーボンオフセットのAPIの開発を試みているのがNoriだけではないからだ。

WrenやCloverlyのような企業も同じく、排出量削減を追究しているが、でもGambill氏によれば、彼らの問題への取り組み方は間違っている。CloverlyやWrenは、顧客の需要に基づいて既存のカーボンクレジットを売ろうとしているが、NoriのGambill氏の意見では、彼の企業は需要ではなく供給の問題に取り組んで、農地に始まる新しいカーボン隔離プロジェクトの開発を振興しようとしている。

関連記事: Investors and utilities are seeding carbon markets with new startups(未訳)

同社には、Comet Farmに心強い協力者がいる。それは、米農務省が開発した温室効果ガスの計量および報告システムで、Noriの排出量削減計量フレームワークにも協力している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

サーバーを粘液に漬け込んで地球を救うSubmerの新材料技術

デジタル技術は今や世界経済の中枢神経系であり、その機能を、世界中の企業の稼働を維持するために大量の電力を猛スピードで消費する、巨大なデータセンターに依存している。

データセンターの稼働を維持するだけでなく、すべてのデータを収める膨大な数のサーバーを空調の効いた環境に置いて効果的に運用するためには、巨額の冷暖房費用を必要とする。

企業が自分たちのエネルギー消費を意識してその炭素排出量を減らそうとすると、もっと少ないエネルギーでサーバーを動かす方法を見つけなければならない。そこに、Submerが登場する。

このスペインの企業は、サーバーを保存し冷却する新しい方法を開発した。基本的にそれは、サーバーを同社の創業者たちが設計した環境親和性の良い粘液に漬け込み、それらを特製の容器に保存する。同社の創業者たちによると、この方法はエネルギー消費をを50%減らし、水の使用量を99%、スペースの使用量を85%減らす。

Submerのお話は、実は拒否から始まる。同社を創業したPol Valls氏は元プログラマーでエンジニア、そして彼の義兄弟のDaniel Pope氏は、のちにTelefonicaに売ったデータセンターを経営していた。

4年前に二人は、データセンターをもっと効率的に動かすための方法についてブレーンストーミングを開始した。彼らは、自分たちのさまざまな人脈を辿って、エンジニアや材料科学の技術者の話を聞き、無毒で不燃性で生分解性の素材を開発した。そして、その粘液を収めたコンテナにサーバーを沈めれば、もっと効率的に運転できると考えた。

自分たちの名案に感動した二人は、このアイデアをY Combinatorに売り込んだ。しかし選考の最終ラウンドまでは行ったが、結局、YCの早期アクセラレーター事業に入れなかった。

Valls氏はこう言う: 「当時はクレイジーなアイデア以外には何もなくて、クラスには入れなかったが、面接には通ったんだ」。

二人は、退職した熱力学工学の技術者の協力を求め、最初のプロトタイプを三つ開発した。そして6回の試行ののち、実際に商品になりそうな製品に到達した。

液体でサーバーを冷却するというコンセプトは、Submerの独占ではない。Microsoftは最近、スコットランドの海岸で行った実験の結果を公表したが、そこでは海水にサーバーを沈め、自然環境を利用してハードウェアを冷却し保存した。

関連記事: マイクロソフトがProject Natickで海底データストレージの実行可能性を確認、乾燥地と比べて信頼性が最大8倍

Valls氏によれば、Microsoftのやり方はおもしろいけど、データセンターの新しいインフラストラクチャ技術が対応すべき重要な問題を解決していない。

まず、コンピューティングはリアルタイムの作動を必要とするアプリケーションになるべく近いところで行われる必要がある。5Gのネットワーキング技術も、スマートカーも、そのほかのイノベーションも、すべてそうだ。

Valls氏によると、「ハイパースケールの連中やデータセンターは今、インフラストラクチャを都市の中心に移動して通信の遅延を減らそうとしている。遅延は、計算とそのユーザーがそれぞれどこにあるかに依存する。低遅延のアプリケーションは、計算が都市の中心に近いことを今後ますます必要とするだろう」。

Submerの方式には十分な説得力があるので、同社はスウェーデンのインパクト投資企業Norrsken VC(NPO Norrsken Foundationの投資部門)とJane Street Capitalの引退した共同創業者Tim Reynolds氏がリードするグループから、およそ1200万ドルの資金を調達できた。なおNorrskenは、ヨーロッパのフィンテックユニコーンKlarnaの共同創業者の一人が創立し、金融のインクルージョンと持続可能な開発において国連の持続可能な開発という目標を推進する技術とサービスにフォーカスしている。

そのNorrsken VCの投資マネージャーAlexander Danielsson氏はこう言っている: 「データセンターは人類の進歩の原動力だ。コア・インフラストラクチャとしての彼らの役割は今やこれまで以上に明白であり、AIやIoTのような新興技術がコンピューティングのニーズを増大し続けている。しかしながら、その業界の環境フットプリントは、人びとが不安を抱くほどの大きさで成長している」。そこでDanielsson氏は、Submerのソリューションに期待している。

強力な説得力は業界の規模にもある。Global Market Insightsのデータによると、データセンターの市場は近く250億ドルに達する。

画像クレジット: Submer

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ロバート・ダウニーJrやグウィネス・パルトロウ、マーク・ベニオフはトイレットペーパーに投資している

多くの著名な起業家や有名人の環境への投資が活発だ。

Greycroft Partners(グレイクロフト・パートナーズ)がリードした、新しいトイレットペーパーブランド「Cloud Paper」に、以下のセレブたちが総額300万ドル(約31億円)を投資している。

  • Mark Cuban氏(マーク・キューバン):NBAのダラス・マーベリックスのオーナー
  • Marc Benioff(マーク・ベニオフ):Salesforceの創業者の
  • Robert Downey, Jr(ロバート・ダウニー・Jr.):アイアンマン役などでおなじみの俳優
  • Gwyneth Paltrow(グウィネス・パルトロウ):ペッパー・ポッツ役などでおなじみ女優
  • Dara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ):Uberの最高経営責任者
  • Russell Wilson(ラッセル・ウィルソン):シアトル・シーホークスのクォーターバック
  • Sound Ventures,(サウンド・ベンチャーズ):Ashton Kutcher(アシュトン・カッチャー)とGuy Oseary(ガイ・オセアリー)が創業したVC
  • Hadi Partovi(ハディ・パートヴィ):Code.orgの創設者

そのほか、グラミー賞を受賞したシンガーソングライターのCiara(シアラ)、シリアルアントレプレナーのGrant Ries(グラント・リース)氏、Muse Capital、Ashley and Marc Merrill、The Chainsmokers’ Mantis Venturesもバックアップしている。

なぜトイレットペーパーなのか?それは環境を救うことを望んでいるからだ。

Uberでコスロシャヒ氏の下、物流スタートアップのConvoyで働いていた経験のあるRyan Fritsch(ライアン・フリッチ)氏とAustin Watkins(オースティン・ワトキンス)氏によって設立されたCloud Paper(クラウドペーパー)は、消費者に竹ベースのトイレットペーパーへの切り替えを促すいくつかの企業のうちの1つだ。しかし、これほど著名な投資家に大量の現金を提供してもらうのは、同社だけかもしれない。

1年半前、2人が自分たちのビジネスを立ち上げることについて話し始めたとき、彼らが最も差し迫った社会問題と考えていたのは気候危機に直ちに影響を与える可能性があるものだった。そして創業したのがCloud Paperだ。

画像クレジット:Cloud Paper

彼らがトイレットペーパーに着目したのは、気候変動の主な要因である森林破壊に多大な貢献をしているから。同社の統計によると、森林破壊の15%はトイレットペーパーの生産だけが原因であり、米国消費者がトイレットペーパーとペーパータオルで拭くために約4万本の木が伐採されている。同社は、平均的な家庭が(理想的には自分たちの)竹ベースのトイレットペーパーに切り替えることで、250本以上の木を節約できると試算している。

「私たちは、Cloud Paperが世界ためになる力になることを望んでいます」とワトキンス氏。「市場規模という点では、タクシーやトラック運送に似ていますが、初日からコミュニティや環境に大きな影響を与えることができるものを探していました」と続ける。同社は「その影響を確実にするために、同社は事業活動から発生する二酸化炭素排出量の2倍を相殺している」と主張している。

現在、同社は当初の市場である企業に直接販売しているが、最近では竹製トイレットペーパーを24ロールで28ドルで販売するD2C(消費者への直売)を開始した。これは一般的なトイレットペーパーの価格とあまり変わらない。

GreycroftのベンチャーパートナーであるAlison Lange Engel(アリソン・ランゲ・エンゲル)氏は「我々は過去5年から10年の間に、この分野の企業に投資してきました」と語る。Greycroftがフリッチとワトキンスを支援せざるを得なかったのは「物流や消費者製品のバックグラウンドと、2人の起業家が最初に市場に参入したB2B(企業間取引)に焦点を当てていたからだ」とエンゲル氏は説明する。

また、原料製品として竹を選んだのは偶然ではない。「竹はより多くの炭素を吸収し、より多くの酸素を放出します。竹は成長し続け、収穫し続けることができる魔法の植物です。特に、代替品が古木の森である場合には」と締めくくった。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Microsoftが2030年までに事業展開地域で利用する以上の水を生態系に戻すことを宣言

2020年に見られる良い流れの1つは、大規模テック企業たちが先を争うように、それぞれが環境に与える影響に関して、これまで以上に大胆な取り組みを宣言していることだ。皮肉屋なら、彼らがやっていることを止めてしまえばもっと大きな効果があるだろうにと、いうかもしれない。しかし環境への影響を最小化するだけでなく、それを実際に復元する取り組みをする企業として、新たにMicrosoft(マイクロソフト)が名乗りを上げた。マイクロソフトは、2030年までにウォーターフットプリントの黒字化を達成することを約束(Microsoftブログ)した。これが意味しているのは、その事業が行われているすべての「流域」で、取り出したものよりも多くのエネルギーを環境へ戻そうということだ。

マイクロソフトは、主に2つのタイプの活動で、この目標を達成したいと考えている。まず1つ目は、1メガワットあたりに対して会社が消費する水の量を使って計測される事業が利用する水の「消費率」を削減することだ。第2に、マイクロソフトの事業が世界の「水が不足気味」の地域で行われている場合には、実際に水を供給することも目指している。これは湿地帯の修復への投資や、アスファルトを含む特定表面の除去と交換などの取り組みを通じて行われる。アスファルトなどは水を透過することができず、雨のような自然から与えられる水が地域の保水地に戻ることを阻害してしまうからだ。

マイクロソフトは、どれだけの水を返すかはまちまちになるという。それは、それぞれの地域で同社が消費する水の量や、全体的な消費という意味で、その地域の水源がどれくらい危機的であるかに依存しているからだ。だがマイクロソフトは、この情報を単に外部の情報源だけに頼るつもりはない。同社の持つ人工知能技術を駆使して、水利用という意味でどの地域にストレスがかかっているのか、そしてどこでプロジェクトを行えば最大の効果を得ることができるかに関するより良い情報を提供する予定だ。同社は、The Freshwater Trust(フレッシュウォーター・トラスト)を含む多くの業界グループとともに、すでにこれらの目標に向けて取り組んでいる。

マイクロソフトは、2020年初めに行った2030年までに「カーボンネガティブ」になるという(Microsoftブログ)宣言を含め、グローバルな環境への影響を改善するために多くの宣言を行っている。一方、Apple(アップル)は2020年7月に、サプライチェーンを含む同社の製品が、2030年までにカーボンニュートラルになると発表し、Google(グーグル)も先週、やはり2030年までにカーボンフリーエネルギーのみを使用するということを宣言している。

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グーグルが2030年までにカーボンフリーエネルギーのみを利用する目標を設定
アップルは製品とサプライチェーンを含む事業全体を2030年までにカーボンニュートラルにすると発表

カテゴリー:EnviroTech

タグ:Microsoft

画像クレジット:Suttipong Sutiratanachai / Getty Images

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(翻訳:sako)

ディーゼルエンジンをクリーンにしたClearFlame EngineはVCのほか政府省庁も支援

ディーゼルエンジンは貨物輸送や農業の働き者であり、経済とそのサプライチェーンを支えている。しかし、環境に対しては汚れ役でもある。イリノイ州ジニーバで4年前に創業したClearFlame Engine Technologiesによると、同社はディーゼルエンジンをクリーンに利用する方法を発見した。

TechCrunch Disrupt 2020のStartup Battlefieldに出場した同社は、ディーゼル形式のエンジンをエタノールのような再生可能な燃料で運用する新しい方法を開発した。共同創業者でCEOのBJ Johnson(BJ・ジョンソン)氏は最近のTechCrunchのインタビューで「その技術は、ディーゼルエンジンの性能上の利点に、これら代替燃料のローコストと低排気を結び付ける」と語っていた。

ClearFlameによると、石油燃料100%をエタノールのような炭素を除いた燃料で置換すると同社の技術では正味の温室効果ガスの排出を少なくとも40%は削減し、特定の物質およびスモッグ(NOx)をゼロ近くに抑える。

同社は、ディーゼルエンジンの設計を変えない。むしろジョンソン氏と共同創業者でCTOのJulie Blumreiter(ジュリー・ブルムライター)氏が開発したのは、エンジンの内部の部品を変えてその熱力学を変換し、脱炭素燃料を早く点火・燃焼する方法だ。「この技術を使えば、ディーゼルエンジンの設計の80%から90%は変わらない」とジョンソン氏は説明する。

同氏によると、最終的に得られるのは炭素排出量を迅速で安価に減らす技術だ。それは、地方自治体、州、国も排気ガスに関する規制を強化しようとしているいま、企業が求めているソリューションだ。

この技術は既存の古いディーゼルエンジンに後付けできるし、トラックや工場設備などにまだ据え付けられていない新しいエンジンにも適用できる。ClearFlameはエンジンのメーカーと協働することを望んでおり、それと並行して修理や保守などアフターマーケットへのアクセスも狙っている。

ジョンソン氏は「エンジンメーカーのサプライチェーンを活用したいと考えています。メーカー各社のスケール能力とマーケットへのリーチ、そして信頼されているブランドの力も借りたいです」と語る。それが、エンジンメーカーをOEM相手にしたい理由だ。

この技術は最初、スタンフォード大学の研究室で生まれ、ブルムライター氏とジョンソン氏はこれでPh.D.の学位を取った。スタンフォードでは主に、単純な液状アルコールであるエタノールとメタノールにフォーカスした。ジョンソン氏によると、その後の研究で同じコンセプトが天然ガスやアンモニアでも等しく有効とわかったそうだ。

ジョンソン氏は「大きな違いは、これまでの技術で通常環境の液体燃料と決別するにはエンジンの噴射系の手直しが必要でした」と説明する。「アルコールのように周囲の環境に置かれたガラスの中の燃料でエンジンを効率的かつクリーンに運転できることは、ビジネス価値が非常に高いのです」と続ける、

ClearFlameは自社技術ですでに事業を進めており、初期のパートナーや資金を獲得している。同社は米エネルギー省傘下のアルゴンヌ国立研究所でキャタピラーのエンジンを用いて概念実証のデモも終えている。また、エネルギー省の助成金により、ディーゼルエンジンメーカーのCummins(カミンズ)のエンジンでのデモを実施済みだ。

4月にClearFlameは、CleanEnergy Venturesがリードするラウンドで300万ドル(約3億1400万円)を調達した。また政府助成金で数百万ドルを獲得しており、その中にはNSFとエネルギー省および農業省のSmall Business Innovation Research(小企業イノベーション研究)賞が含まれる。

画像クレジット: ClearFlame Engine Technologies

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

米国西部が燃える中、森林炭素モニタリングサービス運営のPachamがアマゾンとビル・ゲイツ支援ファンドか資金調達

森林オフセットプロジェクトで実際にどれだけの二酸化炭素が捕獲されたかを追跡する、森林炭素隔離モニタリングサービスを運営しているPachama(パチャマ)は、Amazon(アマゾン)やBreakthrough Energy Venturesなどの著名な投資家から500万ドル(約5億2300万円9)の新たな資金調達を実施した。

この投資は、アマゾンが気候誓約基金を通じて発表したいくつかの取引のうちの1つだ。Bill Gate(ビル・ゲイツ)氏やその他の億万長者が支援するBreakthrough Energy Venturesがこのラウンドを主導し、Pachamaの総資金は900万ドル(約9億4200万円)に達した。

米国西部では干ばつの影響を受けた森林を覆う数エーカーにおよぶ火災による焼失が続き、世界中で森林破壊が問題となっている中で、Pachamaのソリューションはこれ以上にタイムリーなものでは存在しなかった。同社のソリューションは、衛星画像と人工知能を活用した遠隔確認・モニタリングサービスで、森林が捉えた炭素量を計測する。

また、これ以上にパーソナルなサービスもない。同社の創業者であるDiego Saez-Gil(ディエゴ・サエズ-ギル)氏は、今年初めにカリフォルニア州を襲った山火事で自宅を失った(Medium投稿)。「何十万エーカーもの森林を修復する必要があり、炭素クレジットが資金調達のメカニズムになります」とサエズ-ギルはダイレクトメッセージで書いている。

Pachamaは、Breakthrough Energy VenturesとアマゾンのClimate Pledge Fundが共同で出資しているほかの2社に加わる。他の大企業投資家も同社を支援している。Groupe Arnaultの投資部門であるAglaé VenturesやAirbnbの同窓生ファンドであるAirAngelsが投資したほか、多くの著名なファミリーオフィスやアーリーステージファンドも投資を行った。

ゲーム会社King.comの経営陣の個人資産を投資するファンドであるSweet Capital、テニス界のスーパースターSerena Williams(セレーナ・ウィリアムス)の投資ファンドであるSerena Ventures、投資家のChris Sacca(クリス・サッカ)氏のLowercarbon Capitalファンド、Third Kind Ventures、Xplorer Venturesもこのラウンドに参加した。

Breakthrough Energy VenturesのCarmichael Roberts(カーマイケル・ロバーツ)氏は声明で「カーボンニュートラルになる方法を模索しているESG企業からの需要が高まっており、植林は現在、規模的に最も魅力的な炭素除去オプションの1つです」と語る。

「テクノロジーを活用して炭素除去の測定、モニタリング、検証を新たなレベルで行うと同時に、新規の炭素除去プロジェクトをシームレスに導入することで、どんな企業でもカーボンニュートラルを容易に実現することができます。これらの高度なエンタープライズツールとリソースを持つPachamaは、植林を通じた企業のカーボンニュートラルへの取り組みを加速させる大きな可能性を秘めています」と続けた。

画像クレジット:JOSH EDELSON/AFP / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

持続可能性データベースのHowGoodが個々の材料の環境影響を調べるツールLatisを公開

消費者製品の原材料の持続可能性に関するデータベースを提供しているニューヨークを拠点とするスタートアップであるHowGoodが、Latisという製品を公開し、すでにDanone North Americaと初期顧客契約を結んでいるという。

同社によるとLatisツールは、生物多様性、温室効果ガス排出量、労働リスク、動物福祉といった環境・社会的指標に照らし合わせて、あらゆる原材料や製品の影響を判断するために使えるという。

HowGoodのCEOで創業者であるAlexander Gillett(アレクサンダー・ジレット)氏は「消費者はもはや、最高の製品を最高の価格で提供することだけを求めていません。今日の消費者は、環境を保護し、支持するブランドが個人的な価値観に合うものであることに価値を置いています」という。

学術論文や産業界の文献、NGOやその他のソースの研究論文などから情報を集積しているLatisは、企業の研究開発グループが利用して、特定の原料を使うことの影響や結果を評価できる。

情報は企業が製品開発に情報を提供するためにのみ使用されるため、製品開発者が有毒、または環境に有害な製品を使用しないという保証はない。製品が生物多様性、温室効果ガスの排出、労働の危険性、動物福祉にどのように影響するかを確認する機会が与えられるだけだ。

声明によると、同社には現在、33000あまりの成分、化学物質、材料に関するデータを保有しているという。HowGoodを支援している投資家はFirstMarkやGreat Oaks Venture Capital、High Line Venture Partners、Joanne Wilson(ジョアン・ウィルソン)氏、そしてContour Venture Partnersなどだ。

Danoneのリサーチとイノベーション担当上級副社長であるTakoua Debeche(タクア・デベチェ)氏は声明で 「弊社各種製品の影響を評価するツールがあることで、製品開発者やブランドチームの持続可能性に対する意識を高めることができる。総合的なツールは、弊社のブランドの持続可能性への影響を改善する上で非常に重要です」と述べている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

グーグルが2030年までにカーボンフリーエネルギーのみを利用する目標を設定

Google(グーグル)は大手テクノロジー企業の先端を切って、2007年に完全なカーボンニュートラルを宣言し、その後、全世界での消費電力を再生可能エネルギーで相殺してきた。このほど同社は新たな境地に踏み込み、実際に二酸化炭素排出を完全排除する世界初の主要企業になることを宣言した(Googleブログ投稿)。これは「質の高いカーボンオフセット」を購入して実現してきたことであり、会社創設時に遡って相殺してきた。さらに同社は、カーボンフリーのエネルギー源のみを使用する目標時期を2030年に設定している。

第1の目標、二酸化炭素排出の完全除去は、大金を払うことで比較的容易に達成できる。グーグルはカーボンオフセットの購入に費やした金額を正確には発表していないが、これは再生可能エネルギープロジェクトや、自らの排出量を減らすためのエネルギー効率化への取り組みの支援も含んでいる。グーグルは、創設以来2007年にカーボンニュートラルになるまで、多かれ少なかれ自社事業が与えている影響を意識してきたはずであり、質の高いオフセットの購入が、多くの意義あるプロジェクトが目的を達成するための資金を受け取ったことを意味することを願いたい。

一方グーグルは、自身の事業全体があらゆる場所で、100%の時間カーボンフリーのエネルギー源を使用するというはるかに大きな課題に取り組んでいる。これは世界中のオフィス、キャンパス、データセンター、Gmail、検索、YouTube、Google Mapなどあらゆるサービスが対象になるという意味だ。すでにグーグルは、エネルギーの総使用量が100%再生可能に相当していると宣言しているが、これは直接カーボンフリーエネルギーを使っているという意味ではない。これはカーボンフリーの事業運営を目標に掲げながら巨大かつ広範囲に事業所をもつ企業では一般的なことだが、グーグルはクリーンな電力を直接利用できない場所のために、どこかで再生可能エネルギーを購入して相殺している。

つまり、全事業ですべての時間、カーボンフリーエネルギーを直接利用することを宣言する、というのはとてつもなく大きな仕事であり、新たなクリーンエネルギー源を実際に開発することも必要になる。グーグルはクリーンエネルギーを必要としている地域のために、5GWの新たなカーボンフリー電力源を2030年までに供給するプロジェクトも支援する計画であることも語った。

自社施設を賄うために地域のクリーンエネルギー源の開発に出資するのは新しいことではなく、クリーンエネルギー計画を謳う主要テック企業のほとんどが取り組んでいる。しかし、2030年までに全エネルギー源をカーボンフリーにするというグーグルの目標は、具体的な期限が決められており、この規模と影響力を持つ会社としては前例のないものだ。

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画像クレジット:David Paul Morris/Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

⾻折予防床材「ころやわ」開発・販売のMagic Shieldsが約4000万円を調達、量産性向上と事業拡⼤を目指す

⾻折予防床材「ころやわ」開発・販売のMagic Shieldsが約4000万円を調達、量産性向上と事業拡⼤を目指す

⾻折予防床材「ころやわ」シリーズを開発・販売するMagic Shieldsは9月11日は、事業拡⼤を⽬的に約4000万円の資⾦調達を実施したと発表した。引受先はIDATEN Ventures、(守屋実事務所 代表)、⼤冨智弘氏(ティルス 代表取締役)。

同社は「世界から怪我を無くす」を企業理念に、グロービス経営⼤学院の研究プロジェクトから創業し、2019年11⽉に法⼈化。その後、東⼤IPC 1st Round 第2回などの⽀援を受け事業を進めてきた。今回調達した資⾦は、主⼒事業である医療機関・介護施設向けの⾻折予防対策床材「ころやわPro27」の量産性向上に投資し、販売拡⼤に取り組むとしている。

 

産業廃棄物を回収する収集車の配車最適化をAIで実現するファンファーレが「配車頭」を正式リリース

ファンファーレは8月24日、廃棄物回収に特化したAIによる配車計画の自動作成サービス「配車頭」(ハイシャガシラ)を9月に正式リリースすることを発表した。併せて、Coral Capitalからの3000万円の資金調達を実施したことを明らかにした。今回調達した資金は、営業体制の強化、サービスリリースに伴うカスタマーサポートの拡充などに活用する予定だ。

「配車頭」は、廃棄物の収集運搬に特化したAIを用いた配車管理サービス。同社によると、複雑で時間のかかっていた配車計画作成に必要な作業時間を従来の100分の1以下にできるとのことで、現在特許出願中だ。

廃棄物回収は、住民の生活の維持に欠かせないエッセンシャルワークの1つだが、現在深刻な人手不足に陥っている。家族経営の業者が多く、高齢化や跡継ぎ不足などの問題を抱えているからだ。同社代表の近藤志人氏によると、業界ではこういった問題を解決するため、現在複数の会社を組織化して業界再編を進めている。ここにも特殊な事情があり、会社自体を吸収してしまうと、その会社が所持していた廃棄物回収の免許が取り直しになってしまう。産業廃棄物にもさまざまな種類があり、それに伴いさまざまな免許取得が必要なのだ。そこでホールディングス形式で子会社化するケースが増えているそうだ。そして株式上場によって、さらなる社会的な信用を得る方向に向かっている。

もう1つの問題は、工事現場などでも最後に残るのが産業廃棄物であり、廃棄物回収事業者が回収タイミングを見極めるのは難しい現状がある。「工事現場側の都合で数時間の待ち時間や日時の再調整が発生したり、住宅地や建物密集地などでは廃棄物回収トラックの長期間の乗り入れが禁止もしくは忌避されることもあるため、数km先で長時間待つというケースも多い」と加藤氏。

配車頭はこういった廃棄物回収業の特殊な事情を条件に組み込んで最適化した配車サービス。ユニック車(クレーン付きトラック)のルート回収にも対応しており、廃棄物品目ごとに最適なコンテナの積み込み、積み下ろし順を踏まえた配車計画を作成できる。もちろん、廃棄物回収・破棄後のコンテナ洗浄など、産廃の収集運搬で発生するさまざな要件もシステムに組み込まれている。配車頭の概要は以下のとおり。

  • 正式名称:配車頭(ハイシャガシラ)
  • サービス対象地域:全国
  • 料金:月額5万円〜(詳細はお問合せフォームから)

なお、今後は配車計画の最適化だけでなく、受発注のオンライン化による発注の効率化や、収集運搬後の処理の効率化にも対応していく予定とのこと。同社は、電話やFAXなどが主流のアナログな廃棄物回収業界を、AIを活用したDXによって人手不足の解消と廃棄物回収車の稼働効率の向上を進めていく考えだ。

ファンファーレは2020年3月、東京大学協創プラットフォーム開発(東大IPC)が手掛ける、起業を目指す現役東大生や卒業生などの大学関係者、起業をしてまもない東京大学関連ベンチャーに対して事業化資金や経営支援を提供するプログラムの新たな支援先にも選ばれている企業。同社代表の近藤氏は前職のリクルートホールディングス時代にUX業務を担当する傍らで、副業として産廃大手の基幹システムの改善に携わってた人物。その際に現場の課題を知ったことがの起業につながった。

関連記事:ゴミテック、道路点検AI、小型衛星エンジンなど、東大IPC起業支援プログラムが新たな支援先を発表

米海洋大気庁が成層圏中の微粒子の調査にWorld Viewの高高度気球を利用

高高度の気球を上げるサービスを提供しているアリゾナ拠点のWorld Viewが、米国海洋大気庁(National Oceanic and Atmospheric Administration、NOAA)とのパートナーシップで、地球の成層圏に関する研究データの収集を手伝うことになった。成層圏は地球の大気圏の第二の層で、地域にもよるが、地表からおよそ7〜19kmの範囲の高度にある。

NOAAは小型の計器を上空に送って、成層圏の大気中微粒子、いわゆるエアロゾルを測定する。それを調べることによって、成層圏の大気層とそこに含まれるオゾンの両方、およびそれらに人間が与える影響が紫外線放射の伝送に及ぼしている影響、そして、そこに起きている化学反応が地上の人間に与えるリスクなどを、より良く理解できるようになる。

World Viewの気球「Stratollites」は、これらの計器を1万7000m以上の上空で、数週間の調査期間中保持する。従来のNOAAの調査は、気象気球や航空機に乗せたセンサーを使うことが多く、今回のような長期的なデータ収集には向いていない。人工衛星もよく使われるが、成層圏に置いた計器から高精度のデータを得るには適していない。

NOAAがデータ収集にWorld Viewの気球を使うとどうなるのか。同庁によると、これまでの気象気球は1年の飛行でおよそ11日ぶんのデータを集められるが、World Viewの気球は1回の飛行で40日ぶんのデータが得られる。

World ViewとNOAAの最初の飛行は来年に実施され、集めたデータは6カ月後に研究用に一般公開される。それが同庁の標準的なスケジュールだ。

画像クレジット: WorldView

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa