ロマン・ジェローム、デジタルみたいな機械式腕時計Subcraftを発表

時には機械っぽいものを持つのも良いものだ。Romain JeromeのSubcraftは、この会社の最新「ノベルティー」― 量産のために作られていない時計 ― で、時間は側面の表示位置に、分は上面の文字盤に表示される。この2万4000ドル ― Apple Watch Edition 2個分 ― のウォッチは限定99個販売されている。

Romain JeromeのCEO Manuel EmchとデザイナーのAlain Silbersten、そして時計職人Jean-Marc Wiederrechtの協力によって作られたこの時計は、軽量のチタン製ケースの中に手作業で作られた機械式ムーブメントが収められている。そしてこのタイムピースには、側面ムーブメント、線型時間表示、ジャンピングアワー、レトログレード分針等、世の腕時計オタクたちがコンプリケーションと呼ぶ様々な機能を備えている。前面表示は1時間毎に数字が横へ1つずつ「ジャンプ」して行き、正午と深夜零時には先頭に戻ってくる。この「時針」には小さな蛍光管がついているので夜には光って見える。

この手の「ジャンピングアワー」と呼ばれる表示方式は特段新しいわけではなく、1970年台に「デジタル」あるいは「TVスタイル」と呼ばれていた頃から存在している。しかし、あの悪名高いTitanicウォッチを作ったRomain Jeromeが、このデザインを採用したことはなかなか興味深い。この会社はシンプルな三針式 ― 時針、分針、秒針 ― 腕時計でよく知られており、一度にこんなに多くの新奇なこと試すのは実に大胆だ。

とは言え、今年Apple Watchオーナーの仲間入りを考えている人には、少々お高いかもしれない。来年は、Jony Iveか機械式を作り始めるかも?

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Nomad Podは、Apple Watch用の賢い携帯バッテリー


Apple Watchはまだ発売されていないが、それでもこのウェアラブルの周辺機器エコシステムに食い込もうとするアクセサリーメーカーからの商品予告は止まらない。ChargeKey、NomadClip等、数多くのMFI認定電源アクセサリーを作っているNomadが、ポータブルバッテリーパックのPodと、Apple Watch用スタンド、Standで戦いに加わった。

2つのうちではNomad Pod の方がずっと興味深い ― Appleの来たるべきスマートウォッチのためのスタンドは、既にいくつも発表されている。Nomadのデザインは、1800 mAhのバックアップ用バッテリーを、アイスホッケーのパックよりやや小さなケースに組み入れ、上面にApple Watchの充電器に対応した特殊ポートを付けたもので、直接Apple Watchを充電することが可能で、他のケーブル類は不要だ。

ただし、同製品は複数のケーブルに対応している。新しいUSB-C入出力電源コネクターおよび旧型ケーブル用のUSB充電ポートだ。ケースのふたを外すとケーブル用リールが現れ、純製Apple Watch充電器の1メートルのケーブルを巻いて収納できる。

これは賢い回避策だ。Nomadは基本的に標準USBバッテリーパックを作り、出力ポートのついたケースで台座をカバーするだけで、ユーザーはケーブルが絡むこともなくコンセントも無しに(Apple発表に基づけば)最大4回Apple Watchをフル充電できる。

Nomadによると同社はAppleと話し合っていて、Apple Watch充電器の最終寸法が決まるのを待ってPodの量産に入るところだ。もちろん、既存のバッテリーパックを使っても同じ結果を得られるが、Nomadのデザインは省スペースのための創造性が光っている。発売は6月15日頃の予定で現在60ドルで予約受付中。カラーは3種類ある。

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イーロン・マスク、テスラの「走行距離不安症」を解消するソフトウェアアップデートを予告


Elon Muskは今週、Teslaに関する大きな発表を予告した ― 「走行距離不安症」の終結だ。Teslaの現行フラグシップ車、Model 3(および他の電動車すべて)は、いわゆる「走行距離不安症」を起こすことで知られている。ドライバーが、次にいつフル充電できるかを心配するあまり、バッテリーの上限近くまで走らせることが殆どないという現象だ。

Muskのツイートは、3月18日木曜日西海岸時刻午前9時から、次期ソフトウェアアップデートがどうやってTesla Sの「走行距離不安症を終らせる」かの詳細を話すと言っている。既にTesla Sは、ソフトウェアップデートを通じていくつかの魅力ある新機能を獲得しており、例えばP85Dは加速スピードが強化された。

走行距離の不安と戦うために、既にTeslaは全米急速充電ステーションネットワークの構築に投資しているほか、数分のうちにガソリン満タン分の料金でバッテリー自身を交換するパイロットプログラムを導入した。

今回のアップデートは、Tesla Sの残存電力をより高度に管理して走行距離を大きく延ばす方法かもしれないが、現在のバッテリー技術の範囲内で何らかの改善を施すものである可能性が高そうだ。いずれにせよ、木曜午前9時になればわかることだ。

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Pebble TimeのKickstarter、Apple Watchイベント後に急上昇


Pebble TimeのKickstarterキャンペーンは、先週月曜日のApple特別Watchイベントのおかげで勢いを増した。スマートウォッチのパイオニアによる新たなスマートウォッチは、3月8日の時点で1時間当たり6000ドルの資金を得ていたが、3月9日月曜日(イベント開催日)には1時間当たり1万ドルに増え、翌10日には1時間平均1万6000ドルへと跳ね上がった。

PebbleのCEO・ファウンダー Eric Magicovskyは、元Y Combinatorのボスで投資家のPaul Grahamに、Appleのメディアイベントによって、Pebbleのクラウドファンディングキャンペーンの勢いが倍増したと語ったが、実際翌日には3倍近くまで伸びた。

一新されたハードウェア、Pebble TimeとPebble Time Steelが発表されたのはサンフランシスコのAppleイベントが行われる約2週間前で、新たなKickstarterキャンペーンはたちまちのうちに史上最大の資金を集めた。現在までに同キャンペーンは1800万ドル以上の資金を7万1000人以上の支援者から集め、締切まで2週間近くを残している。

Appleの大きな発表の後に新たな関心が急増したことは驚きではない ― Appleは既存のどのウェアラブル会社よりも腕時計コンピューティングに対する注目を高めており、既存メーカーがより広く一般から注目される助けになることは必然だった。またPebbleはクロスプラットフォームのデバイスユーザーの恩恵にも預かっている。AndroidとiPhoneの両方に対応しているため、メインのスマートフォンがiPhoneではないユーザーが自然とこのキャンペーンに集まるだろう。それはPebbleがはっきりと予見していた増加でもある。

「今週のAppleイベントは、われわれを後押しして嬉しい急上昇をもたらした ― 予想通りに」とMigicovskyはTechCrunchに話した。「世界最大の会社が自分の市場に参入することは、夢のようなお墨付きだ。つまるところ、スマートウォッチへの注目が上がり、消費者の選択肢が増えれば増えるほど、全員のためになる。2015年は驚くほどエキサイティングな年になるだろう」

短期的にAppleの参入がウェアラブル業界全体を後押しすることは間違いないが、長期的にライバル製品に何が振りかかるかは定かでない。例えばAppleは、現在ストアで販売している競合ヘルス関連ウェアラブルの販売を停止するだろうから、そうしたデバイスの市場認知度は打撃を受けるが、おそらくPebbleは、Appleが理想とするターゲット市場よりもギーク寄りの非常に熱烈なユーザー層がついているというメリットを生かすことだろう。

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Apple、最新OS Xベータで “Force Click” と描画アプリの感圧機能をサポート


Appleのデベロッパー向け最新ベータ、OS X 10.10.3には、サードパーティー・ソフトウェアデベロッパーが、来たるべき12インチMacBookと13インチRetina MacBook Proのオーナーをターゲットにするためにツールが追加されている。”Force Click” の圧力に応じた入力、わずかな圧力の違いをスピードに変換して早送り等に使える加速機能、描画ソフトのための感圧機能などがサポートされる。

新しいドラッグ&ドロップ機構も追加され、デベロッパーはForece Clickの深い押し込みをトリガーにして選択されたコンテンツに応じた動作をさせられる。AppleはすでにForce Clickを自社アプリやOS部分で利用しており、例えばテキスト内の単語から関連するWikipediaの記事を表示するところを見せているが、このツールを使えばデベロッパーもForce Clickを使ってアプリ毎に最適な動作を起動できる。

感圧機能、中でも描画やクリエイティブソフトでの利用をAppleがサポートしたことは、私がMacの新しいトラックパッドを使ったわずかな体験の中でも特に興味深いものだった。Appleはベータ版のリリースノートで、デベロッパーは圧力に応じて線の太さを調整できると書いているので、新しいタッチパッドは、ペンあるいは指を使った小さいが強力なドローイングタブレットとして使えるだろう。

他のクールな使い方に、タップの強さによってビデオの再生スピードを変えるというのもある。ゲームにも多くの可能性があるので、サードパーティーがこの新機能をどう活用するか大変興味深い。

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このUSBメモリーはパソコンを物理的に破壊する


決して得体の知れないUSBメモリーを使ってはいけない。あなたのパソコン、いやあなたの命を損うかもしれない侵入ソフトウェアが山ほどある。そしてこのUSBメモリーは、USBコントローラーに過大な電圧負荷をかけることによって、パソコンを物理的に破壊する。アニメの腹ペコおおかみのACME人間大砲みたいなものだ。ドッカーン!

このUSBドライブの基本的アイデアは極めて単純だ。パソコンのUSBポートにつながると、反転DC/DCコンバーターが作動してコンデンサーをマイナス110Vに帯電させる。その電圧になるとDC/DCコンバーターは切断される。それと同時に電解トランジスタが作動する。これが -110 VをUSBインターフェースの信号線に送り込む。コンデンサーの電圧が -7Vになると、トランジスタが切断されDC/DCが動きだす。このループは破壊できる限りのものを破壊し終えるまで続く。電気に詳しい人なら、なぜ負電圧を使うのかもう想像できるだろう。それ以外の人のために説明すると、負電圧の方が整流が容易で、それを使うNチャネル電解トランジスタは、Pチャネルと比べて同じサイズでより大きい電流を作ることができる。

要するに、このUSBメモリーには巨大な電力を引き出して蓄積するしかけが入っている。あるレベルに達すると、その電力を元の供給源に戻し、それは専用のUSBコントローラあるいはCPUそのものだ。これは悪いニュースだ。戻された電力は回路に過負荷をかけ、使いものにならなくしてしまう。多くのUSBコントローラーはCPUに内蔵されているので・・・バイバイ、コンピューター。

恐ろしい。幸い作者はこのUSBメモリの設計図を公開していない。

世の中には注意するに足るほど数多くの侵入USBメモリーが出回っている。知らぬ間にマルウェアや侵入ソフトウェアをインストールするものもあるが、現在少なくとも1つ、実際にパソコンを破壊するものが存在する。これはコリン・ファレルのスパイ映画から抜け出てきたような話であり、Appleの未来へのビジョンにとっても興味深い話題だ。

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Google、Pixelに新モデル投入―パワーユーザー、デベロッパーに最高のChromebook

GoogleのChromebook Pixelはデビュー以来ずっとChrome OSに何ができるのかをGoogleがデモするためのフラグシップマシンだった。今回発表された新モデルもその伝統を受け継いでいる。

外観はほとんど変わらず、デザインの一新を期待した向きに残念だが、新Pixelは旧モデル同様、金で買える最高のChromebookだ。最安モデルが999ドルで、お買い得といっていいだろう。Googleは旧版の長所はそのままにさまざまな改良を加えている。特にバッテリー駆動時間は大きな改良点だ。 以下詳しく紹介したい。

まず基本スペックから見ていこう。新Pixelは2モデルからなる。999ドルのCore i5(2.2 GHz Broadwell-U)モデルには8GBのメモリー(旧版は4GB)と32GBのSSDが搭載される。1299ドルのCore i7 LS(2.4 GHz Broadwell-U)モデルには16GBのメモリー、64GBのSSDが搭載される。両モデルともIntelのHD Graphics 5500 GPUを装備し、重量は3.3ポンド(1.5kg)だ。LSというのはludicrous speed(馬鹿げたスピード)の頭文字だそうで、Googleもやり過ぎを自認しているハイパワーモデルだ。しかしChromebookのアプリを開発するデベロッパーにとっては最適のマシンだろう。

今回の新モデルはWi-Fiのみで、LTEモデルは発表されなかった。私の取材に対してGoogleの広報担当者は「ほとんどのユーザーがスマートフォンからテザリングして利用していることがわかったので、LTEに資源を割くことはしなかった」と答えた。

両モデルとも当面、アメリカのGoogleオンライン・ハードウェア・ストア のみで販売される。新Pixelが外国で購入できるようになる時期についてはまだ発表がない。ただしイギリスでは来月発売が開始されるという情報をわれわれはつかんでいる。

地味なアルミの筐体、ディスプレイの裏にLEDで光る細いライトバーがあるところを含め、新モデルの外観は旧モデルとほとんど同一だ。

ディスプレイを開いても依然として違いはわずかだ。キーボードは多少タッチが改良された。2560 x 1700の(美しいが反射が強い)12.95インチ・タッチスクリーンは239 ppi、430万ピクセルという高精細度だ。

ただしPixelの内部は完全に一新されている。 第5世代のi5 CPUはGoogleのOctaneベンチマークで旧モデルの21,711ポイントに対し、24,392ポイントを叩き出す。

もっともウェブサイトをブラウズするなど日常の利用ではプロセッサーの差はあまり意識されないかもしれない。しかし旧モデルはすぐに熱くなりファンがうるさく回り始めた。新モデルでは今のところファンは回らず、熱くもならない。

バッテリー駆動時間、USB Type-C充電

新Pixelのバッテリー駆動時間は大きく改善された。旧モデルはおよそ5時間で死亡したのに対し、新モデルは約12時間もつ。私の1週間のテストでも10時間は確実に作動した。つまり仕事でまる1日使った後、さらに家で1時間くらい寝そべってウェブを見ることができるわけだ。

バッテリー駆動時間の改良でGoogleが取った戦略は興味深い。新しいスクリーンは「コンテンツ対応バックライト」を装備する。さらに、最近普及が進み始めたパネル・セルフ・リフレッシュテクノロジーを用いており、静止画が表示されている間GPUを停止させることによってかなりの省電力を実現する。キーボードのバックライトも入力が30秒以上ないと自動的に減光する。

仕事でまる1日使った後、さらに家で1時間くらい寝そべってウェブを見ることができる

また新Pixelには高速充電モードが用意されている。これは15分間の充電で2時間の駆動時間が得られる。充電を忘れてきたことに外出先で気づいたときなど役立つ機能だ(もちろん電源が手に入ればだが)。フル充電には1時間半ほどかかる。

新Pixelでいちばんおもしろいのは充電の方法 だ。裏表兼用のUSB Type-Cポートが左右両サイドに一つずつ設けられており、 Chromebookで、というかノートパソコン全体でも新MacbookMacBookに次いで、次世代USBを採用 する最初のモデルとなっている。

GoogleのBowersは私の取材に対して 「ここでわれわれが目指している重要なイノベーションはユニバーサル充電の実現だ。毎日外出のたびに1ダースもの異なる充電アダプターを持ち歩くのは煩わしい」と答えた。Pixel担当のプロダクト・マネージャー、Adam Rodriguezも「ほとんどのスマートフォンは(Appleを別にして)標準的なmicro-USBポートからの充電が可能だ。そろそろノートパソコンにも標準化が実現してよい時期だ。USB Type-Cは100Wまでの電力を供給できる。これならハイエンドのノートの充電にも十分だ。このシステムは非常によく考えられているので、スマートフォンに小電力を供給するのにも使える」と指摘した。

Googleは細部にもこだわる.

Type-Cポートはもちろん充電だけでなく、周辺機器とのデータ交換の役割も果たす。アダプターを通じてディスプレイその他の周辺機器と接続することができる。Google自身もType-CとUSB、HDMI、 標準ディスプレイ・ポートとの接続など、いくつかのアダプターを用意している。またいかにもGoogleらしく、Chromebookのハードウェアを接続するアダプターの仕様を公開し、オープンソース化している。Google製アダプターは、 Type-C/USB Aが12.99ドル、HDMI、DisplayPortアダプターが39.99ドルだ。

タッチスクリーン

最初のモデル以来、Pixelはタッチスクリーンを装備している。新モデルでも大きな変化はないが、Googleによれば色彩が前より鮮やかになったという。

私はPixelの旧モデルを使っていてタッチスクリーンが弱点だと感じることが多かった。なるほど作動はするが、アプリがタッチに最適化されているとはいえず、あまり魅力を感じなかった。GoogleがAndroidアプリ多数をChrome OSにポーティングし始めたので、新モデルのユーザー体験は改善されそうだ。

Chrome OSはフル機能のOSらしくなってきた

スクリーンで依然として気に入らないのは反射がひどいことだ。見やすくするためにスクリーンを明るくしなければならないことがたびたびあった(そうするとバッテリーのもちが悪くなる)。Pixelは室内向けのマシンで、天気のよい屋外で使うのは難しい。

一方、Googleが3:2のアスペクト比を守っている点は良い。 ノートパソコンでは16:9や16:10が標準的だが、私は高精細度スクリーンはワイドな方が好きだ。標準的なアスペクト比を好むユーザーの場合、1600 x 1062が快適な解像度だろ。最大の2560 x 1700に上げると私の目にはやや小さすぎる。

ライトバー

蓋(ディスプレイの裏)に設けられたライトバーはPixelで一番目立つデザイン要素だが、新モデルではこれに多少の実用的な機能が加わった。蓋を閉じた状態でライトバーをタップするとバッテリーの充電量が表示される。小さな点だが、最近のGoogleが細部にもこだわる一例だ。また、蓋を開いてパソコンを使いはじめるとライトバーはLEDで光るようになった。

やはり最高のChromebook

もしChrome OSのいろいろな制限が不満なら、PixelでUbuntuを走らせることができる。しかしGoogleの最近のアップデートでChrome OSはフル機能のOSらしくなってきた。つまりオフラインでもある程度機能するようになった。もちろんハードディスクのスペースは限られているが、このマシンのメインのターゲットであろパワーユーザーやデベロッパーにはプロセッサーが強力になり、バッテリーのもちがよくなったメリットが大きいだろう。この種のハードウェアを必要とするユーザーにとって、きわめて高品質でお買い得でもあるモデルとなったといえる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


18金のApple Watchは理想的な大馬鹿者発見器

編集部: ケビン・ローズ(Kevin Rose)はDiggのファウンダー、 ベンチャーキャピタリスト、North TechnologiesのCEO であり、ニュース・アグレゲーターWatchvilleの開発者でもある。

私はアナログ腕時計のコレクターで、自他ともに認めるAppleファンだ。そこで私もApple Watch Edition(EditionというのはAppleが発明した「金」という意味のマーケティング用語)を好きになろうと努めた。しかし私にはApple Watch Editonに含有する金の価格(1トロイ・オンスの18金は900ドル程度)以上の価値があるとはどうにも思えないのだ。

テクノロジー愛好家としてもコレクターとしても魅力を感じない。少し詳しく説明してみよう。

テクノロジー愛好家として

テクノロジー愛好家の小切手帳は最新テクノロジーに飛びついたときに流した血で真っ赤だ。

Watch Editionがテクノロジー愛好家にとって魅力的であるためには、もっとハイテクである必要がある。これほど高価なモデルなら、安価なモデルにないセンサーが付加されているとか、ディスプレイがさらに高精細度だとか、コストの関係で大量生産モデルでは実現できなかった機能が採用されているべきだ。そういう付加価値があってこそテクノロジー愛好家は法外な出費を自分に納得させることができる。RetinaディスプレイがMacBookに採用されたとき、われわれがそれに飛びついたのは、画面の美しさそのものよりむしろそれが最新のハイテクだったからだ。

残念ながらWatch Editionにはそういう特長は一切見られない。金側であるという以外、内部は安いモデルと全く同一だ。それで値段は7000ドル高くなっている。

コレクターとして

腕時計のコレクターが求めるのは、語り伝える価値のある職人技のストーリーだ。われわれは何十年にもわたって時を刻む時計を作るために注がれた職人の技を愛する。

こういうストーリーを売る広告としてパテック・フィリップは「あなたはパテック・フィリップを所有するのではありません。あなたはパテック・フィリップを次の世代に伝えるためにその面倒を見るのです」と宣言している。

Apple Watch Editionは次世代まで残るのだろうか?

腕時計コレクターとして私がEdtionを欲しくなるためには、Appleは外部だけでなく内部にももっと洗練された高度な素材と製造技法を用いる必要がある。特に耐久性は重要だ。テクノロジーそのものとして時代遅れになっても、私の孫のために時計としてはきちんと機能してもらいたい。古いiPodのようにクローゼットの隅に放り出されて埃をかぶっているのでは困る。

たとえば、裏蓋も透明なサファイアガラスにして内部を見せるというのもよいだろう。FPJourne Eleganteのデジタル版だ。内部が見えるようにして、そこに特別な機能が組み込まれているのが見えればコレクション価値がアップする。

しかし現在のところ、349ドル版とまったく同じ内部機構の時計が金側になったとたんに1万ドル以上になる。コレクション価値をどこに見い出せばいいのか?

時計師のロジャー・スミスが偉大な時計師、故ジョージ・ダニエルズ博士(同軸エスケープメントの発明者)について語った言葉がコレクション価値について的確に述べている。

「コレクターがダニエルズの腕時計を買うのは、ダニエルズがその時計を完成させるまでに払った努力の歳月だけを買うのではない。コレクターはダニエルズがかくも偉大な時計を作り出す偉大な時計師になるまで払った自己犠牲の積み重ねを買うのだ」

中国で大量生産されたデバイスからそうした偉大な職人技、そのオーラを感じることはない。コレクターズアイテムにはこのオーラが必須だ。.

ゴールド愛好家に売る

Appleはファッションブランドになる必要はない。なるべくたくさんの腕時計が売れるようにすることを目的にすべきだろう。ゴールド(素材ではなく色)はファッション界ではトレンドのようんだ。それならゴールドの腕時計が多くの消費者の手にわたるようなテクノロジーの開発に努力すべきではなかったのか? たとえば「これまでよりも10倍丈夫なゴールド・コーティング」には大きな価値があるだろう。私ならそのアップグレードに500ドルから1000ドル出してもいい。しかし数年もすれば使い捨てになるようなデバイスに18金無垢のケースは要らない。

さて困った。私にはWatch Editionが誰をターゲットにしているのか想像がつかない。

最新のハイテクでもなければコレクターズアイテムとしての価値もないとすると、唯一残された価値は自分には金があると見せびらかすことだけになる。それなら中国の一部では十分な数が売れるのかもしれない( (ヒツジ年だということを忘れずに)。ドバイも市場として思いつく。

しかしそれ以外の地域では、Watch Editionは女優のアナ・ケンドリックがツイートしたような役割しか果たさないのではいかと思う。:

Appleがそういうイメージを喜ぶのかどうか私には謎だ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


LaCieの新しいUSB-C ハードディスクは新MacBookにぴったり

新しいMacBookの最も奇妙な仕様はポートのなさである ― マシンの両側合わせて2つだけ、左のUSB-Cは電源、データ、およびディスプレイ接続用、右は3.5 mmステレオヘッドフォンジャックだ。ポートが1つということは、アクセサリーメーカーはその限られた場所を取り合うことを意味している。LaCieは一瞬も無駄にすることなくこの革新的ノートパソコンと共に使うハードディスクドライブを出してきた。

Porsche Design USB-Cは、USB-Cポートにつながる。今後は対応ハードウェアがどんどん増えるだろう。USB-Cコネクターは上下反転可能で、この製品はドライブ側にも同じタイプCコネクターを使っているので、両端がUSB-Cのケーブルを持ってくれば、方向を気にすることなくどちらの装置にも挿すことができる。転送速度はUSB 3.0レベルなので、最大100 MB/秒でデータをやりとりできる。

LaCieの製品ラインアップは概してMac向きだが、これは必ずしも技術的な理由ではなくデザインが類似しているからで、この新しいUSB-C Porsche Designも例外ではない(ただし、カラーはシルバーのみ)。ケースは厚さ3 mmで、落下や水漏れによるダメージを防いでいる。

このドライブは、同梱のアダプターケーブルを使えばUSB 3.0および2.0ポートにも使える。容量は500GB、1TB、2TBの3種類、出荷は「次の四半期」で、価格については何も発表されていない。

目新しいUSB-Cコネクターは、少々新奇で風変わりに感じるかもしれないが、LaCieの意欲はこの規格がいずれ広く受け入れられることを示す、早期の一例にすぎない。4月10日の新MacBookが発売までにまだまだ多くの製品が出ることが予想される。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Appleの新たな裏切り


「本気でアタマに来た」とM.J.はツイートした。この人はAppleとこの会社が最近発表した新MacBookのことを言っている。同じ感情を表したツイートやコメントは他にも無数にある。今彼らの露な怒りはこの会社に向けられている。多くの消費者がこの新しいMacBookのデザインに裏切られたと感じている。この件に関する本誌の最初の記事は2万5000回以上シェアされた。正当な理由があるからだ。

新しいMacBookの考え方は普通と違う。普通のノートパソコンよりむしろタブレットと共通点がある。iPadにキーボードが付いてOS Xが動いていると考えればいい。私はiPadが好きで、ポートは1つしかついていないが、それがこの怒号の原因だ。

殆どのパソコンは周囲にいくつかのポートが散在している。充電のために1つ、様々な用途のためのUSBポートがいくつか、そして何らかのビデオ出力のためのポートが付いているのが普通だ。新しいMacBookはこの3つを、唯一つのUSB-Cポートにまとめた。これはつまり、ユーザーはパソコンとiPhoneを同時に充電することができないことを意味している。あるいは、USBドライブからデータを入力しながら外部モニターにビデオ出力することも。

ここはAppleの世界であり、われわれはそこで生きていくしかない。

あえてAppleを擁護すれば、そんなパソコンの市場は確かに存在するだろう。使っている低消費電力Intelチップセットではコンピュータゲームに必要なパワーは得られないだろうが、GIFの表示には十分だ。これはカウチ・パソコンだ。FacebookやTwitterのためのマシンだ。立派なプログラミング・コンピュータなのかもしれない。昨日のAppleイベントを見てほしい。この会社は新しいMacBookの上で何ひとつ新しいソフトウェアをデモしなかった。Photosアプリも。要するにこの新MacBookは写真編集に向いていないのだ。

Appleに対する期待は大きい。もしHPやLenovoが新MacBookのように水で薄めたパソコンを発売したら、怒号ではなく含み笑いの渦が起きるだけだろう。何らかの理由により、Appleファンはこの会社が常に自分のニーズに合った製品を作ることを期待している。そうでない時、彼らには裏切りの感情がしのび寄る。それは初代MacBook Airの時に起きた。

Appleは最初のMacBook Airを2008年に発売した。価格は1799ドルで、新MacBook同様、それはほっそりとした驚きのテクノロジーだった。しかし、ポートがなかった。業界は電源ポートと1つだけのUSBポートとMicro-DVIポートしかないことを指摘して非難を浴びせた。CD-ROMポートもEthernetポートもなかった。これは2008年においては一大事だった。ソフトウェアはまだCD-ROMで配布され、Wi-Fiは見つけるのが困難だった。Appleファンは裏切られたと思った。捨てられたと。消費者はもしAppleの最新最高のマシンを欲しければ、CDドライブも有線インターネットも使えないパソコンを受け入れなければならない。

最終的にAppleは全MacBook製品からEthernetを排除し、MacBook Airは現在Appleが販売する最も安いノートパソコンだ。

新しいMacBookは、MacBook Air、MacBook Proに加わる。いずれの代替でもない ― 少なくともまだ。しかし、MacBookというかつて引退した名前が付けられている。Airでもなく、Proでもなく。ただのMacBook、これはAppleのMicrosoftに対する強いメッセージだった。

今後1~2世代のうちにAppleがMacBookの価格を1000ドル以下に下げる可能性は極めて低い。MacBook Airは生き残るのか? 恐らくそれはない。AppleはMacBook Proを小さくし続けている。将来MacBookが唯一の低価格ノートパソコンになり、わずかにスリムになったMacBook Proが もう一つの(複数のUSBポートやSDカードやMagSafeアダプター等のヘんな物が欲しい人のための)選択肢になることは容易に想像できる。

それまでの間は、13インチMacBook Airの方が、新MacBookよりも賢い買い物だ。バッテリー持続時間はほぼ同じで、よりパワフルでポートも十分にある。そして何よりも、自分のMacBook Airがもう少し薄ければよかった、と言った人などいないのだから。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook