グーグルがAIの進化を「個人の危機」の検出と検索結果の安全に役立てる

Google(グーグル)は米国時間3月30日、AIモデルを強化してGoogle検索をより安全にし、自殺や性的暴行、薬物乱用、DVなど扱いに注意を要するクエリを向上させると発表した。同社は、利用者が明確に露骨な内容や挑発的な内容を探しているのではない場合に、AIテクノロジーでそうした好ましくない内容を検索結果から取り除く機能も強化する。

現在は、利用者が自殺や乱用といった扱いに注意を要する情報を検索すると、Googleは検索結果よりも上に関連する国のホットラインの連絡先情報を表示する。しかし同社は、危険な状況にある人はさまざまな方法で検索することがあり、人間が検索のクエリを見ればフラグが立つとわかるにしても、検索エンジンにとっては検索した人が助けを必要としているかどうかが明らかにわかるとは限らないと説明する。Googleは、MUM(Multitask Unified Model)と呼ばれる同社の機械学習と最新AIモデルのテクノロジーを利用して、自動でこれまでよりも正確に、広範囲にわたる個人の危険に関する検索を検出できるようになると説明する。MUMは人間の質問やクエリの背後にある意図をこれまで以上に理解できるからだ。

Googleは2021年に開催したSearch OnイベントでAIテクノロジーを利用して検索を再設計する計画を紹介したが、今回発表した具体的なユースケースには言及していなかった。同社は、検索する人の意図をMUMがもっと理解して、その人が調べていることについてより深いインサイトを提供し、検索の新しい道筋を示すことに力を入れてきた。例を挙げよう。ユーザーが「アクリル絵画」と検索すると、Googleはアクリル絵画について「知っておくべきこと」を示す。さまざまなテクニックやスタイル、描き方のヒント、掃除のヒントなどだ。「日用品でアクリル絵画を描く方法」のように、ユーザーが検索しようとは思っていなかった別のクエリを提示することもある。この例に関してGoogleは、アクリル絵画に関して350種類以上のトピックを特定できると説明した。

危険な状況にいる人が明らかに助けを求めているとわかる言葉を入力するとは限らないが、そのような人が検索しているかもしれないトピックをもっと理解するために、MUMが前述したアクリル絵画の例と似た方法で今後使われる。

Googleはブログ記事で「正確に認識できなければ、最も有用な検索結果を表示するシステムを作ることはできません。だから機械学習を利用して言葉を理解することが重要なのです」と説明した。

例えば、ユーザーが「シドニーの自殺の名所」と検索したとする。Googleのこれまでのシステムでは「名所」が旅行の検索クエリなどでよく使われる言葉であるため、情報を探すクエリだと理解する。しかしMUMはこれをシドニーで身投げをする場所を探している人に関連するクエリであると理解し、危険な状態にある人の検索かもしれないと判断する。そして自殺相談ホットラインなど行動に結びつく情報を表示する。もう1つ、MUMの向上が見られる自殺に関するクエリとしては「自殺の最も一般的な方法」がある。これも、これまでは情報を探す検索としか理解されなかった。

MUMによって、人間にとっては文脈が明らかでも機械にとっては必ずしもそうではない長い検索クエリもこれまでより理解できるようになる。例えば「私が彼を愛していないというと彼が攻撃してくるのはなぜ」のようなクエリはDVを暗示している。しかし、自然言語で長文のクエリは、高度なAIを使用しないGoogleのシステムでは難しかった。

さらにGoogleは、MUMはそのナレッジをトレーニングしている75言語に移行でき、このようなAIの進化を世界中のユーザーに迅速に拡大できることにも言及した。つまり、前述したような個人の危機に関する検索に対し、現地のホットラインなど信頼できるパートナーの情報を多くの利用者に表示できるようになる。

MUMがGoogle検索に利用されるのはこれが初めてではない。これまでに新型コロナウイルスワクチンの情報に関する検索を向上させるために利用したと同社は述べている。Googleによれば、今後数カ月でスパム保護機能にMUMを使い、トレーニングデータの少ない言語にも拡大していくという。MUMの向上は他にも今後展開される。

AIテクノロジーによって、検索結果から露骨なコンテンツをフィルタリングする機能も向上する。Googleのセーフサーチのフィルタリングをオフにしても、Googleはわいせつなコンテンツを見つけることが目的ではない検索から好ましくない露骨なコンテンツを減らそうと試みている。そしてユーザーが世界中で何億回も検索をする中で、アルゴリズムによって性能が向上している。

現在はBERTと呼ばれるAIテクノロジーで、ユーザーが露骨なコンテンツを探しているのかどうかを判断できるようになってきている。Googleによれば、ウェブ検索と画像検索のクエリからランダムにサンプルをとり、性的な度合いが高い検索結果かどうかを検索品質評価者が判断して分析した結果、この1年間でBERTによって好ましくないショッキングな検索結果が30%減少したという。分析からは、女性、特に有色人種の女性に不当な影響を与えるとGoogleが述べている「人種、性的指向、ジェンダー」に関連する検索で、このテクノロジーが露骨なコンテンツを減らすのに特に有効だったこともわかった。

Googleは、今後数週間でMUMの進化したAIを検索に導入するとしている。

画像クレジット:Jaap Arriens/NurPhoto / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

グーグルで18歳未満やその親が検索結果からの写真データ削除を申請可能に

Google(グーグル)は、18歳未満のユーザーとその親が、同社の画像検索結果から写真を削除することを申請できる機能を導入する。

この新しいプライバシーオプションは、Googleが2021年8月に発表した多くの変更点の1つで、18歳未満のユーザーをより厚く保護するために先行導入される。この他にも、アップロードされた動画をデフォルトで非公開にしたり、開封動画などの「過度に商業的な」YouTubeキッズコンテンツを無効にしたり、排除したりすることが計画されている。

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18歳未満のユーザーまたはその親や保護者は、このリクエストフォームに必要事項を記入して、検索結果に表示される画像の削除をGoogleに依頼できる。その際「現在18歳未満の個人が写っている画像」を削除して欲しいと明示し、個人情報、画像のURL、検索結果に表示される検索クエリを示す必要がある。

Googleは、すべてのリクエストをレビューし、フォローアップのために必要に応じて確認のために追加で質問するという。問題のある画像が削除されたら、同社から通知が来るため、待たされたままになることはない。

米国をはじめとする多くの国では、オンライン上の「忘れられる権利」を扱う国内の法的枠組みが存在しない。強力なプライバシー規制の金字塔として広く知られているEUの包括的ルール「GDPR」では、写真を含むある種のオンライン識別情報の削除を要求する手段が用意されている。

Googleの新しいリクエストツールは便利で、世界中で利用可能だが、GDPRが定める要件には及ばない。Googleの場合、写真の削除を要求するには、対象となる人物が18歳未満でなければならない。GDPRはさらに進んでおり、画像がアップロードされた時点で本人が未成年であった場合、本人の要求に応じて画像を削除することをインターネット企業に義務付けている。

Googleが発表した上記の画像削除オプションをはじめとする一連の変更は、米国で同社や他のテック企業に対する規制当局の監視が厳しくなっていることを反映したものだ。10月26日には、YouTubeは上院商務委員会で同社の動画プラットフォームを利用する若くて脆弱なユーザーを保護する取り組みについて証言し、最近発表した変更点をアピールした。

画像クレジット:Alex Tai/SOPA Images/LightRocket / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

グーグルがモバイルアプリで検索結果の連続スクロール機能を導入、まずは米国で

米国時間10月14日、Google(グーグル)はモバイルデバイスでの検索の動作をまず米国で変更することを発表した。現在はスマートフォンで検索結果の最後までスクロールすると、タップして次のページを表示する必要がある。今後は検索結果の続きが自動で読み込まれ、下へスクロールしていけば他の情報を続けて見られるようになる。

この変更は当面、米国で英語で検索した際にモバイルのウェブで動作し、iOSとAndroidのGoogleアプリにも対応する。徐々に導入されるため、はじめのうちは検索結果が連続スクロールすることもあれば、しないこともあるようだ。

Googleによれば、多くの人は先頭のいくつかの検索結果から目的の情報を見つけるが、さらに情報を求める人は検索結果を4ページブラウズする傾向がある。そこで同社は変更を加えることにしたとTechCrunchに語った。多くの情報を求める人はページ下部の「もっと見る」をタップする必要がなくなり、これまでよりもシームレスにベージを行き来できる。

Googleは、単に答えを見つけるのではなく特定のトピックに関してアイデアやヒントを求めて検索する人にとって特に役に立つだろうと述べている。

この設計には、Googleが言及していない利点が他にもある。

まず、連続してスクロールするなら、検索のどこかの時点でストップしてからリンクをタップして移動する必要がなくなる。この動作はデスクトップ時代のウェブ検索の名残りだ。この「クリックして詳しく」というタイプの設計は、例えばFacebookのニュースフィードのようにアプリ内のフィードが延々スクロールして新しい情報が表示される世界では時代遅れだと感じる。また、連続スクロールによって、ユーザーはこれまでよりも長い時間アプリを見ることになり、広告が多く目に入るかもしれない。

連続スクロールにすれば、Googleは広告をこれまでより柔軟に配置できる可能性がある。検索結果ページの上部に限られていた広告を、下ヘスクロールするにつれて検索結果の途中に挿入することができるだろう。SNSのフィードの途中に広告が表示されるのと同様だ。

Googleは今回の変更にともなう広告の計画を詳しくは明らかにしなかったが、同社はTechCrunchに対し、米国(英語)のモバイルの検索結果でページの上部と下部の間に表示されるテキスト広告の数を再配置する予定だと語った。テキスト広告は2ページ目以降の上部に表示され、各ページの下部に表示されるテキスト広告は減る。しかし現時点では、ショッピングと近隣の広告の表示には変更はないものと思われる。

また、Google検索は情報のボックス、検索の提案、ショッピング「ビデオ」など他の分類へ移動するボタンなどでごちゃごちゃしてきたため、検索結果の中から適切な項目をタップして進むのが難しい。ユーザーの目を引いてタップさせようとするためにボタン類の色が暗くなるので、さらに難しくなっていた。

今回の変更は、2021年1月にモバイルの検索結果ページをモダンなデザインに変更すると発表したことに続くものだ。1月の変更の主眼は検索結果を見やすくすることで、そのために余白を増やして一部には色を付け、フォント(実はGoogle独自のフォント)を大きく太くし、丸くて影が付けられていたボックスをシンプルな直線にするなどの変更が加えられていた。

ただ、その時の変更は主に検索結果の表示に関することで、動作の変更ではなかった。

Googleによれば、連続スクロールは米国で公開が開始されている。

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画像クレジット:Google

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

Google検索がアップデートで、説明やコメントなど評価に役立つより多く幅広いウェブサイト情報を提示

Google(グーグル)は、オンラインユーザーのメディアリテラシーを向上させることを目的に、Google検索の結果に加えるいくつかの変更を発表した。2021年前半に導入した「About this result(この検索結果について)」の機能を拡張し、ウィキペディアの記述やサイト自体の説明に加え、ニュースやレビューなど、ユーザーがあまり見たことがない情報源や初めて見る情報源を、より評価するために役立つ情報が、検索結果に含まれるようになる。また、同じトピックに関する他の情報を併せて表示するなど、元の検索に関連する可能性がある他の情報源もユーザーに紹介する。

同社は2021年2月、米国で英語の検索結果に「About this result」を導入し、Wikipedia(ウィキペディア)から引用した短い説明(もしあれば)や、そのサイトが初めてオンラインになった時期、そのサイトへの接続が安全かどうかなどを表示するようになった。

関連記事:グーグルが検索結果でサイトの詳細情報もメニューで表示へ、米国での英語検索のみ

近々、このパネルがより詳細な内容にアップデートされる。ウィキペディアに掲載されているサイトの説明だけではなく、ウェブサイトが自分の言葉で自身について語っている内容も掲載されるようになる。この情報は(もしあれば)ウェブサイトから直接取得される。多くの場合、サイトは新しい訪問者にサイトを紹介する「about section」の中で、著者や出版者、目的などの詳細を記載している。この情報が抽出されて「About the Source(この情報源について)」パネルに詳細が表示されるようになる。

その下には、そのサイトが初めてオンラインになった時期がGoogleによって表示される。この情報は、そのサイトが長期間にわたって存続してきたウェブサイトなのか、それとも最近の誤報やプロパガンダキャンペーンの一環として作られた新しいウェブサイトなのかを、ユーザーが見分けるのに役立つはずだ。

画像クレジット:Google

また、Googleは、ウェブ上にインデックスされている情報源そのものに関する詳細な情報も、ユーザーに提供するようになる。ここでは、ニュースサイトやレビュー、そしてBetter Business Bureau(商事改善協会)のような信頼できる組織などで、他の人がその情報源であるサイトについて何を言っているかを分析することができる。これにより、他のソースに記された記録から、そのサイトがオンライン上でどのような評価を受けているかを知ることができる。

この「その他」のセクションでは、オープンウェブからのGoogle検索結果に基づき、そのウェブサイトに関する情報をユーザーに提供する可能性のあるページを特定すると、Googleは説明している。また、中立な視点を提供するため、その情報源となるウェブサイトによって作成や管理がなされていない有益な結果を優先させるという。

さらに、Googleは「About the Topic(トピックについて)」という機能を追加し、ウェブ検索者に、同じテーマに関するトップニュース報道や他の検索結果など、元の質問に関するより多くの情報を提供するようになる予定だ。これは人々が興味を持っているものについて、より多くの情報を得るのに役立つだけでなく、人々がいわゆる「フィルターバブル」の中で孤立してしまうのを防ぐことができる可能性もある。フィルターバブルとは、自分の好きなソーシャルプラットフォームが、人の好みを学習し、エンゲージメントを高めるために同じような情報をより多く提供することによって、自分が好む情報にしか触れることができなくなる状態のことで、ソーシャルメディア時代の深刻な問題となっている。

今回のアップデートは、米国時間9月29日に行われたGoogleの検索技術に関するライブイベント「Search On(サーチ・オン)」で、同社のトラスト担当VPであるDanielle Romain(ダニエル・ロマン)氏によって発表された。

これらの機能は今すぐに利用できるわけではないが、米国では「今後数週間」のうちに英語による検索で導入される予定だ。将来的にはより多くの国々で「About this result」を提供できるように取り組んでいると、Googleは述べている。

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ビジュアル検索「Googleレンズ」アップデート、グーグルがAIで画像とテキストを1つのクエリにまとめる新検索方法を近々導入

画像クレジット:Google

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

グーグルがウェブサイトの写真を購入可能な商品に、「検索」に新たなショッピング方法を追加

Googleは、オンラインおよびGoogle検索モバイルアプリを利用した新たなショッピング方法を紹介した。近日に行われるiOS用「Google検索」アプリのアップデートでは、デバイス上での処理を利用した新しい機械学習モデルを活用して、ウェブサイト上の画像に含まれる商品を認識し、即座に「ショッピング可能」な状態にする。これにより、オンラインショッピングをするユーザーは、検索結果から洋服やアクセサリーを見たり、近くの店舗に在庫があるかどうかを確認したりすることが簡単になる。

iOS用のGoogleアプリでは間もなく、ユーザーはウェブサイト上の画像をGoogleレンズでショッピング可能な商品に変える新しいボタンを目にすることができる。ウェブサイトを見ていて、写真の中に気になるものがあれば、タップしてその商品の購入先を確認することができるのだ。この機能は、すでに画像内の商品を識別できる「Googleレンズ」の技術を拡張したもので、これまでと違う新たな文脈での利用となる。

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Googleによると、デスクトップのChromeにも「Googleレンズ」が登場し、ユーザーは「レンズ」でウェブサイト上の画像、動画、テキストコンテンツを選択すると、同じタブで検索結果を見ることができるようになる。

別のアップデートでは、モバイル端末で服や靴、アクセサリーを見ているときに検索結果から簡単に買い物ができるようになる。

例えば「クロップドジャケット」といった検索条件にマッチする商品が、複数の色やスタイルでビジュアルフィードとして表示される。また、スタイルガイドや動画、購入場所の詳細情報なども表示される。さらにスタイル、ブランドなどで検索結果をフィルタリングしたり、評価やレビューを確認したり、価格を比較したりすることもできる。

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この機能は、Googleが提供する「ショッピンググラフ」によって実現される。ショッピンググラフは、現在240億件以上の商品情報をリアルタイムで提供している。

また「在庫あり」のフィルターを選択すると、近くの店舗で今すぐ購入できる商品を確認することができる。この機能は、忙しい年末商戦の前に、プレゼントや子どものおもちゃを買う際に特に役立つだろう。

今回のアップデートは、本日開催されたGoogleのイベント「Search On」で発表された。同社はGoogleマップ、レンズ、検索の他の製品アップデートについても詳細に説明しており、その中には新しいAIの機能強化を活用するプロダクトもある。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Katsuyuki Yasui)

グーグルがAIと新機能を導入して検索サービスを「再設計」

Google(グーグル)は米国時間9月29日、Multitask Unified Model(MUM)と呼ばれる新技術を含むAIの進歩をGoogle検索の改善に応用することを発表した。同社のイベント「Search On」では、MUMを活用した新機能をはじめとするデモンストレーションが行われ、ウェブ検索者を探しているコンテンツによりよく結びつけると同時に、ウェブ検索をより自然で直感的に感じられるようになる。

機能の1つは「Things to know」と呼ばれ、探しているモノをもっと簡単に理解できるようにする。この機能は、人がさまざまなトピックを調べるときの一般的なやり方を理解しており、検索者が最初に見たいと思っているテーマを表示する。

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Googleは例として「acrylic painting」(アクリル画)を検索すると、絵の描き方入門や、アクリル画のスタイル、アクリル画の描き方のコツ、アクリル絵の具の掃除の仕方といったさまざまな「Things to know」(知るべきこと)が表示される。アクリル画に関連する350あまりのトピックを見つけることができる。

この機能が提供されるのは数カ月後からだが、将来的にはMUMを使い表面的なトピックだけでなく、「家庭用品でアクリル画を描く方法」といったより深い洞察に基づくトピックをユーザーに開示することができるようになる。

画像クレジット:Google

また同社は、ユーザーが新しいクエリで検索を再開しなくても、最初の1つの検索を洗練し、拡張できる方法も開発している。

アクリル画の例でいえば、Google検索は、水たまりに絵を描くようなパドルポーリングに関する具体的なテクニックや、受講可能なアートクラスに関する情報を提供するかもしれない。それらのトピックにズームインすると、検索結果やウェブ上の記事、画像、動画などのアイデアが視覚的に豊かなページとして表示される。

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これらのページは、Pinterestに対抗するためのものと思われる。Pinterestの画像を多用したピンボードが、人々の視覚的なインスピレーションをウェブサイトへの訪問やオンラインでの購入などの行動に結びつけることを目的としているのと同様に、検索によって人々がインスピレーションを得ることができるようになっている。

Googleによると、このページは「ハロウィンの飾り付けのアイデア」や「屋内の垂直庭園のアイデア」など、ユーザーが「インスピレーションを求めている」検索に役立ち、試してみたいアイデアを提供するとのこと。本日よりモバイル端末で試すことができる。

Googleはまた、動画検索もアップグレードしている。すでに同社は、AIを使って動画内の重要な瞬間を特定している。さらに、動画内で明確な言及がなくても、そのトピックを識別し、ユーザーがより深く掘り下げて学ぶことができるリンクを提供する機能を始めている。

画像クレジット:Google

 

つまり、YouTubeの動画を見ているときに、MUMはその動画の内容を理解して提案をしてくれるということだ。例えば、マカロニペンギンの動画では、マカロニペンギンがどのようにして家族を見つけたり、捕食者を回避したりするのかを語る動画など、さまざまな関連動画をユーザーに提示することができる。MUMは、たとえ動画の中で明確に語られていなくても、これらの用語を識別して検索することが可能だ。

この機能は、今後数週間のうちにYouTube検索で初期バージョンが展開され、今後数カ月のうちにアップデートされ、より視覚的な機能が強化される予定だとGoogleはいう。

この変更は、YouTubeの大きなリーチを活用することで、Google検索へのトラフィック増加にもつながるだろう。Z世代のユーザーの多くは、すでに旧世代とは異なる方法でオンラインコンテンツを検索していることが調査で明らかになっている。Z世代ユーザーは、複数のソーシャルメディアチャネルを利用し、モバイルファーストの考え方を持ち、動画コンテンツに興味を持つ傾向がある。「Think with Google」の調査によると、Z世代のティーンエイジャーの85%がコンテンツを探すためにYouTubeを定期的に利用し、80%がYouTubeの動画が何かを教えてくれたと回答している。その他のデータでも、Z世代は新たなアイデアやプロダクトについて、テキストやネイティブ広告といったコンテンツフォーマットではなく、動画で知ることを好むことが明らかになっている。

モバイルへの移行が検索の優位性に影響を与えているため、Googleにはこのような追加が必要なのかもしれない。今日、モバイルでのショッピング検索の多くは、Amazonで直接始まるようになっている。さらに、iPhoneユーザーがスマートフォンで何か特別なことをしなければならない場合、Siri、Spotlight、App Store、またはネイティブアプリに助けを求めることが多い。

またGoogleは、MUM技術を使ってGoogleレンズを使ったビジュアル検索を改善する方法も発表している。

関連記事:ビジュアル検索「Googleレンズ」アップデート、グーグルがAIで画像とテキストを1つのクエリにまとめる新検索方法を近々導入

画像クレジット:Google

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ビジュアル検索「Googleレンズ」アップデート、グーグルがAIで画像とテキストを1つのクエリにまとめる新検索方法を近々導入

2021年5月、Google(グーグル)は年次開発者会議「Google I/O」において「Multitask Unified Model(MUM)」と呼ばれる新しいAIマイルストーンを紹介した。この技術はテキスト、画像、動画など、さまざまな形式の情報を同時に理解し、トピック、コンセプト、アイデアの間の洞察やつながりを導き出すことができる。同社は米国時間9月29日、MUMを自社製品で活用する方法の1つとして、ビジュアル検索「Googleレンズ」のアップデートを発表した。

Googleレンズは、携帯電話のカメラを使って、リアルタイム翻訳、植物や動物の識別、写真からのコピー&ペースト、カメラのファインダーに写っているものと類似したアイテムの検索、数学の問題の手助けなど、さまざまなタスクを実行できる同社の画像認識技術だ。

近い将来、Googleは、MUMの機能を活用してGoogleレンズをアップグレードし、視覚的な検索にテキストを追加して、ユーザーが見ているものについて質問できるようにするという。

実際には、この機能は次のような使い方ができる。例えば、気に入ったシャツの写真をGoogle検索で表示した後、レンズのアイコンをタップして、同じ柄のもの、だが今度はソックスをGoogleに探してもらうことができる。そこに「この柄のソックス」とでもタイプ入力することで、テキスト入力だけでは難しい、関連性のあるクエリをGoogleに指示することができる。

画像クレジット:Google

 

これは、現在のGoogleが苦手としているタイプのクエリ、つまり、言葉だけでは説明しにくい、あるいは異なる方法で説明できるような、探しているものに視覚的要素がある場合には、特に有効だ。画像と言葉を1つのクエリにまとめることで、Googleはより適切な検索結果を提供できる可能性がある。

別の例では、自転車の部品が壊れてしまい、修理のヒントをGoogleで検索する必要があるとする。しかし、その部品が何という名前なのかはわからない。修理マニュアルを調べる代わりに、自転車の壊れた部分にGoogleレンズを当てて「修理する方法」と入力してみることができる。そうすれば、助けになりそうな動画の瞬間に直接つながるかもしれない。

画像クレジット:Google

Googleは、このようなAIを活用した取り組みは、新しい検索の仕方を可能にすることで、自社製品をエンドユーザーにとって「より役に立つ」ものにする方法だと考えている。同社は、検索の一部に携帯電話のカメラを利用することで、コアなユースケースの多くが他のプロパティに移行し始めている市場での存在感を維持しようとしている。例えば、今日、ショッピングの検索は多くの場合、直接Amazon(アマゾン)で始まる。また、iPhoneユーザーは、携帯電話で何か特定のことをしたいとき、Siri、Spotlight、App Store、またはネイティブアプリに助けを求めることが多い。そしてApple(アップル)は、Google検索に代わる独自の検索サービスを開発している。iOS 15でアップデートされたSpotlight検索では、Google検索に頼らず、ユーザーが必要とする情報に直接アクセスできるようになった。

Googleは、Google検索やビデオ検索においてもMUMを活用していくと、29日開催されたライブイベント「Search On」で発表した。

なお、Googleレンズのアップデートは今後数カ月のうちに実施される予定だという。そのためには、新しいAIモデルを導入する際には必ず実施される「厳格なテストと評価」を行う必要がある、と同社は述べている。

画像クレジット:Google

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(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

検索エンジンのインデックスを最適化するSEOサービスBotifyが約61億円調達、アジア市場を狙う

Botifyの検索エンジン最適化(search engine optimization、SEO)プラットフォームを利用すると、あなたのウェブサイトやコンテンツは検索エンジンが行なうインデクシングによくかかりやすくなり、検索結果に頻繁に現れるようになる。同社はこのほど、InfraVia GrowthがリードしBpifranceのLarge Ventureが参加したシリーズCのラウンドで5500万ドル(約60億5000万円)を調達した。

以前からの投資家であるEurazeoとVentechも再び同社に投資し、またInfraViaのNicolas Herschtel(ニコラス・ヘルシュテル)氏とBpifranceのAntoine Izsak(アントワーヌ・イザック)氏がBotifyの取締役会に加わる。評価額は、以前のラウンドの3倍になった。

関連記事:ナイキやエクスペディアも顧客、好調のSEOサービスBotifyが2000万ドル調達

SEO業界はまさに玉石混淆だが、Botifyは自らを「正義の味方」と定義している。同社は検索エンジンのサービス規約を尊重し、検索結果をいじくってインサイトを取り出したりしないし、他のウェブサイトへの怪しげなバックリンクを作ったりしない。

共同創業者でCEOのAdrien Menard(アドリアン・メナード)氏は「まずウェブサイトの質に注目し、検索過程のすべてのステップに対して最適化を行います。それにはサイトのデザインやコンテンツの充実なども含まれています」と述べている。

Botifyの製品群には、現在3つの異なるコンポーネントがある。最初にリリースされたのは、あなたのウェブサイトに関する情報を提供する分析ツール。基本的には、クローラーがあなたのサイトをどのように分析するかを確認することができる。

次にBotifyが開発したのが、インテリジェンスのコンポーネントだ。それにより、自分のSEO戦略を改良するためにやるべきことの優先順リストが得ることができる。そして現在、同社は「Botify Activation」で自動化にも取り組んでいる。Googleの検索エンジンボットがあなたのサイトをクエリする際、それに対するすべての答えをBotifyが代わって提供する。

「Googleのアルゴリズムを騙そうとしているのではありません。Botifyを、検索エンジンとクライアントのウェブサイトの間に入るインタフェイス、と定義しています。検索エンジンはいつも、高品質なコンテンツにアクセスしようとしている。それに対してBotifyはおそらく、一般的な方法よりも安上がりな方法なのです」とメナード氏はいう。

Botifyの顧客企業は、これら3つのツールをすべて使わなくてもよい。アナリティクスから始めたければ、そうすればよい。メナード氏は「企業の大小によって、いろいろな使い方がある」という。

これまでの数年間でGoogleは、検索結果の上にある広告スロットの数を増やした。また、ユーザーがオーガニックな検索結果を見る前に、YouTubeやGoogleマップといった自社サービスを勧めることもある。これらのことは、Botifyの未来にとって心配だろうか?

メナード氏は「おっしゃるとおりです。検索結果のますます多くの部分が、ファーストパーティー(Google自身)や有料の結果からきています。でもそれと同時に、オーガニックな結果から生成されるトラフィックも増えています。それは私たちの顧客のウェブサイトのトラフィックの30%に相当し、その割合は減っていません」という。

メナード氏によると、検索の利用は毎年増える一方だ。だからオンラインのセールスやその他のトラフィックでは、検索への投資が必ず良い結果を生む。

現在、Botifyの顧客はおよそ500社で、その中にはExpediaやL’Oréal、The New York Times、Groupon、Marriott、Condé Nast、Crate & Barrel、Fnac Darty、Vestiaire CollectiveそしてFarfetchなどがいる。

今回得られた資金の主な用途は、自動化の能力アップと、テクノロジー企業とのパートナーシップを増やすこと、そしてアジア太平洋地域に新しいオフィスを構えることだという。

画像クレジット:Botify

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(文:Romain Dillet、翻訳:Hiroshi Iwatani)

グーグルが検索やYouTubeなどの自社プラットフォームにおける未成年者保護を強化

Instagramがアプリを利用する未成年者の保護の強化を展開して数週間経過し、Google(グーグル)もGoogle検索、YouTube、YouTube Kids、Google Assistantなどのサービスにも同様の措置を講じることとなった。同社は米国時間8月10日、オンライン上の若年層を非公開にして保護された状態を維持できるようにサービスおよびポリシーを変更すると発表。広告ターゲットを制限する変更も行う。

関連記事:Instagramが10代ユーザーのアカウントをデフォルトで非公開に、広告や望まない大人からの接触を制限

Googleのサービスは1つのアプリに限定されるものではないので、Instagramの発表よりもさらに広範囲で、同社のサービス全体にわたる変更になる。

米国議会は、Googleをはじめとするハイテク企業に対し、企業のサービスが未成年者に与える悪影響を排除するよう圧力をかけてきたが、Googleは、法律で要請される以上の変更を行うという。

Googleの広報担当者は、TechCrunchの取材に対し次のように話す。「今後の規制に対応するアップデートもありますが、私たちはGoogleとYouTubeを利用するティーンエイジャーを保護するために、法律が要請する以上のことを行ってきました」「これらの変更の多くは、現在および今後発生し得る単体の規制を超えるものです。私たちは、世界中の子どもたちやティーンエイジャーに向けて、一貫性のあるエクスペリエンスとユーザーコントロールを提供する方法を検討しています」。

つまり、Googleは、現状に対応するだけでなく、業界の将来を考慮したアップデートを行うというのだ。

YouTubeでは、13~17歳のユーザーを対象に、デフォルトのアップロード設定を、最も限定的なものに「徐々に」変更していくという。これにより、動画の公開範囲は、一般ユーザーではなく、ユーザー本人と、本人が直接共有する相手に限定されることになる。アップロード設定を「公開」に変更することは可能だが、その際には明確かつはっきりとした意思を持つ選択が必要だ。Googleはこの場合、YouTubeに、自分のビデオの公開範囲を示すリマインダーを設置するとしている。なお、今回の変更はYouTubeの新規アップロードにのみ適用され、現在公開されている動画を遡って非公開にする予定はないとのこと。

また、YouTubeは、13~17歳のすべてのユーザーに対して「休憩」と「おやすみ」のリマインダーをデフォルトで有効にし、自動再生を無効にする。繰り返しになるが、これらの変更は、デフォルトの設定に関するものであり、ユーザーはDigital Wellbeing(デジタルの健全な利用)機能を無効にすることができる。

YouTubeの子ども向けプラットフォーム「YouTube Kids」には、自動再生オプションが追加される。このオプションはデフォルトでは無効になっており、子どもに自動再生機能を使わせるかどうかは保護者の判断になる。この変更は、子どもの安全支援団体や一部の国会議員による、アルゴリズムを使った機能に問題があるという指摘に対応し、選択を保護者の判断に任せるというものだ。保護者はデフォルトの選択をロックすることもできるようになる。

YouTube Kidsからは「過度に商業的なコンテンツ」も削除される。これは長らく「YouTubeは子どもたちによる消費(正確には、親にお金を使わせてくれと頼むこと)を助長している」と主張してきた消費者保護団体や子どもの専門家からの圧力が高まったことを受けた措置である。

許容できるコンテンツと「過度に商業的な」コンテンツの線引きは明確ではないが、例えば人気のある「開封の儀」動画のような、商品のパッケージに焦点を当てた動画は削除するとしている。この変更は、YouTubeで子ども向けの動画を制作している大手クリエーターの中でも、非常に高額な収入を得ているRyan’s Toy Review(ライアンズ・ワールドのおもちゃレビュー)のようなクリエーターに影響を与える可能性がある。同社は商品パッケージの他にも「視聴者に商品の購入を煽る」コンテンツや「商品の過剰な収集や消費に焦点を当てたコンテンツ」の削除も検討するとしている。

画像クレジット:YouTube

YouTube以外でも、未成年者を対象とする変更が展開される。

今後数週間のうちに、Googleは、18歳未満のユーザーまたは保護者が、Google画像検索の検索結果から自分の画像の削除を要請できるようにする新しいポリシーを導入する。これは、欧州ですでに実施されている「忘れられる権利」のプライバシーポリシーを拡張するもので、子どもとティーンエイジャーを守る新しいサービスと制御方法が全世界で展開されることになる。

また、18歳未満のユーザーアカウントについても、さまざまな調整を行う。

YouTubeの変更に加えて、Googleファミリーリンクで管理している13歳未満のすべてのユーザーに対してセーフサーチフィルタリングをデフォルトで有効にして、アダルトコンテンツへのアクセスを制限する。また、18歳未満のすべてのユーザーに対してセーフサーチを有効にし、新たにアカウントを作成するティーンエイジャーにもセーフサーチをデフォルトで適用する。Googleアシスタントでは、スマートスクリーンやウェブブラウザなどの共有デバイスで、セーフサーチの保護機能がデフォルトで有効になる。先の発表のとおり、Google Workspace for Educationを使用している学校の設定でも、セーフサーチがデフォルトになり、ゲストモードやシークレットモードのウェブブラウジングへの切り替えもデフォルトで無効になる。

位置情報の履歴はすべてのGoogleアカウントでデフォルトで無効になっているが、今後は管理対象のアカウントを利用している子どもたちについて、位置情報の履歴を有効にすることはできなくなる。この変更は全世界の18歳未満のユーザーに適用される。法的に成人するまで位置情報を有効にすることはできない、ということだ。

また、Google Playでは、アプリがファミリーポリシーに従っているかどうかを保護者に知らせるセクションが新設され、アプリ開発者は、自分のアプリがどのようにデータを収集・利用しているかを開示することが必要になる。これらの機能は、Apple(アップル)の「App Storeのプライバシーラベル」に一部ヒントを得たもので、すでにAndroid開発者向けに詳細が発表されている

Googleのペアレンタルコントロールツールも拡充される。ファミリーリンクを利用している保護者は、アシスタント機能を搭載したスマートデバイスで、ニュース、ポッドキャスト、ウェブページへのアクセスをフィルタリングしたり、ブロックしたりすることができるようになる。

広告主にとっても重要な変更がある。

Googleによると、年齢制限のある広告カテゴリーがティーンエイジャーに表示されないようにするための保護機能を拡充し、18歳未満のユーザーに対しては、年齢、性別、興味や関心などの要素に基づく広告ターゲティングをブロックするという。ティーンエイジャーや子どもをターゲットにする際に「興味や関心」のデータを利用しないという点は、Instagramが導入した広告の変更に似ているが、Instagramは年齢や性別によるターゲティングを許可している。Googleは年齢や性別によるターゲティングを許可しないことになり、この変更は「今後数カ月のうちに」全世界に展開されるとのことだ。

GoogleとYouTubeにおけるすべての変更は、今後数週間~数カ月の間に全世界で展開される予定である。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

【コラム】SEO担当者はGoogleアルゴリズムアップデートに慌てる必要はない

編集部 注:本稿の著者Eli Schwartz(イーライ・シュワルツ)氏は、10年以上にわたりB2BおよびB2Cの大手企業で働いてきた経験を持つ、SEOの専門家でありコンサルタント。

ーーー

Googleのアルゴリズムアップデートの噂が流れるたびに、SEOコミュニティは大パニックに陥る。皆数字が分析されるまで息をひそめ、アルゴリズム・アップデートを(願わくば)無傷で乗り切ったときには、安堵のため息がもれる。

アップデートが公開され、特にGoogleによる承認があった場合には、Googleが何を変えたのか、新しいパラダイムで勝つにはどうすればいいのかを分析しようとする記事や専門家の分析が相次ぐ。

私はこの悩みはまったくの杞憂だと思う。

Googleアルゴリズムは、あたかも研究室で作られたようなある種の神秘的な秘密のレシピであり、不思議な全知の魔法使いの気まぐれでサイトを盗んだり、サイトに報酬を与えたりするかのように思われている。この時代遅れのスキーマにおけるすべてのSEOとウェブマスターの目標は、この魔法使いを騙して、すべてのアップデートの勝者になることだ。

この考えは、Googleアルゴリズムのアップデートで何が起こるのかに関する根本的な誤解、そしてGoogleに対する根本的な誤解に根ざしている。実際のところ、アルゴリズムは私たちの敵ではない。アルゴリズムは、より良い、より正確なユーザーエクスペリエンスを実現するために設計されているのだ。ここでは、アルゴリズムとの関係を再構築するためのいくつかの視点を紹介する。

Googleは力になろうとしているだけ

まず確認したいのは、Googleは、あくまでも手助けをしようとしているということだ。Googleは、検索する人に快適で高品質なユーザー体験を提供したいと考えている。それ以上でもそれ以下でもない。Googleは魔法使いではないし、そのシステムは恣意的にサイトを奪ったり、報酬を与えたりするためのものでもない。

それを念頭に置いて続けたい。

Googleのアルゴリズムは、大規模で複雑なソフトウェアプログラムであり、実際のシナリオに基づいて常に更新される必要がある。そうしないと、まったくの恣意的なものになってしまうからだ。ソフトウェアのバグが報告されて修正されるように、検索エンジンは何が機能していないかを発見し、解決策を生み出さなければならない。

Googleのアップデートは、他のソフトウェア企業と同様に、自社の製品やサービスを大きく飛躍させるものだ。ただし、Googleの場合は、単なる製品アップデートではなく「メジャーアルゴリズムアップデート」と呼ばれている。

これで、Googleのアルゴリズムアップデートとは何かという知識が身についたことだろう。慌てる必要がないというのはありがたいことではないだろうか?

検索トラフィックが減少しても、必ずしも不利になるとは限らない

大規模なアルゴリズムアップデート後にサイトの検索トラフィックが減少したとしても、それがサイト全体を対象としたものであることはほとんどない。通常、1つのURL群の検索順位が下がっても、他のページは改善されていることが多いようだ。

改善されたページを確認するには、Google Search Consoleを深く掘り下げて、どのURLでトラフィックが減少し、どのURLで増加したかを調べる必要がある。アップデート後にサイトが急激に落ち込むことは確かにあるが、それは通常、そのサイトで勝者よりも敗者が多かったためだ。

トラフィックが減少したとしても、それはアルゴリズムがサイトを懲らしめたからではないことは間違いない。

多くの場合、実際のトラフィックは減少しておらず、クリックに結びついていないインプレッションが減少しただけの可能性がある。最近のアップデートで、Googleは強調スニペットを掲載していたサイトの検索結果を削除した。その結果、インプレッション数は大幅に減少したが、クリック数はほとんど変わらなかった。アップデート後にサイトが勝った、あるいは負けたと決めつけるのではなく、詳細なデータを集めて研究し、より明確な情報を得るようにしたい。

Googleを見習い、優れたユーザー体験を重視する

ユーザーへの高品質ですばらしい体験の提供に注力しているウェブサイトは、アルゴリズムのアップデートを恐れる必要はない。むしろ、アップデートは優れた結果を出すために必要な原動力となることもある。怖がる必要があるのは、ユーザー体験の質が低いために、そもそも検索で上位に表示されるべきではなかったウェブサイトだけだ。

ウェブサイトがユーザーに優れた体験を提供しているのであれば、アップデートによって質の低いサイトが淘汰されるため、アップデートが実際に味方に付いてくれる可能性が高い。

ユーザー体験の質を重視していれば、アルゴリズムの更新でトラフィックが減少するページもあるだろうが、ほとんどの場合、全体としてトラフィックが増加するのが普通だ。何が変化したのかという詳細なデータを調べれば、ウェブサイトはアルゴリズムの更新によって苦境に陥ったり、影響を受けたりすることもなく、特定のURLだけが影響を受けるという見解が裏付けられるだろう。

アップデートは検索エンジンにとっての現実

Googleはアルゴリズムを継続的に更新していくであろうし、そうするべきだ。Googleの一番の目的は、ユーザーを満足させ、維持し続けることができる進化したプロダクトを提供することなのだ。

Googleがアルゴリズムを放置すれば、抜け道を利用したスパマーに蹂躙されるリスクがあることを考えてみて欲しい。スパム的な検索結果を多く提供する検索機能は、AOL、Excite、Yahoo、その他の検索エンジンのように、機能的にもはや存在しないものとなってしまうだろう。Googleは、アルゴリズムを更新することで、関連性を維持しているのだ。

アップデートは検索という行為の一部なのだ。

アルゴリズムではなく、ユーザーを追いかける

オーガニック検索に依存しているすべてのウェブサイトは、必ず変化するアルゴリズムを追いかけるのではなく、もっと重要なところ、つまりユーザー体験に焦点を当てるべきだと私は考える。

ユーザーは、結局のところ検索における顧客だ。サイトがユーザーに貢献していれば、検索体験を保護するために設計されたアルゴリズムの更新に対する免疫がつくだろう。アルゴリズムにおける魔法使いは存在しない。存在するのは、サイトに最適なプロセス、手順、行動を適用する方法を見出したSEOマスターだけだ。

アルゴリズムやアップデートの目的はただ1つ、ユーザーが求めるものを正確に見つけられるようにすることだけだ。サイトがユーザーの役に立っていれば、何も恐れることはない。

【編集部注】この記事は「Product-Led SEO:The Why Behind Building Your Organic Growth Strategy」(製品中心のSEO オーガニック検索における成長戦略を築く際の根拠)からの抜粋となる。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:GoogleSEO検索Google検索アルゴリズム検索エンジンコラム

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(文:Eli Schwartz、翻訳:Dragonfly)

グーグルがEUの圧力を受けAndroid検索エンジンの選択画面オークションを廃止、無料化へ

Google(グーグル)は、欧州連合(EU)で同社が提供する選択画面の基盤となっている、極めて不評なオークション形式を廃止することを明らかにした。これにより適格な検索プロバイダーが無料で参加できるようになる。

このオークションモデルはGoogleが選んだ「是正措置」だった。2018年にEUからAndroid運用に対する反トラスト法の施行で50億ドル(約5500億円)の制裁金を科されたことを受けたものだ。だがTechCrunchが以前報じたように、競合他社はこのモデルはフェアではないと一貫して主張してきた(記事はこちらこちらこちら)。

関連記事:AndroidのEUにおけるデフォルト検索エンジン指定に批判多数

Androidの選択画面は、デバイスのセットアップ時(またはファクトリーリセット時)に、デフォルトとする検索エンジンの選択候補を域内のユーザーに提示する。選択肢のうち3つの枠は、いずれかを獲得するためにGoogleへの支払額を競う検索エンジン各社の非公開入札内容に応じて決まる。

Google自身の検索エンジンは、EU市場かどうかに関わらず、選択画面で定番の「選択肢」として存在している。

Googleが考案したこの有料モデルは、小規模な検索エンジン企業(Ecosiaの植林検索エンジンのような代替ビジネスモデルを持つ企業を含む)からひどく嫌われているだけでなく、検索市場シェアにおける競争上のバランスを取り戻す上でまったく効果がなかったことから、Googleがそれを断念せざるを得なかったことは驚くにあたらない。

欧州委員会は変化の兆しを見せており、Bloombergは2021年5月に、EUの競争担当チーフであるMargrethe Vestager(マルグレーテ・ベスタガー)氏が、GoogleによるAndroid上の検索とブラウザの競合他社向け選択画面を有効的に機能させるために「積極的に取り組んでいる」と発言したことを報じていた。つまり、明らかに「ファウル」や「機能していないんだ」という繰り返しの叫び声を聞いたのだろう。そして、ようやく行動に移したのだ。

しかしGoogleは、自らの物語を組み立てる枠組みの中で、EU議会との「建設的な議論」を何年も前から続けている、と記している。その内容としては、同社が表現するところでは「当社がAndroidプラットフォームへの投資と提供を無償で長期的に継続できることを確保しつつ、Androidデバイスの選択肢をさらに増やす方法」についてだという。

それはまた、EUに多少の疑念や非難を投げかけようとしているようにも見える。EUが「促進の機会」(滑稽に聞こえる)と呼ぶものを「委員会と協議して」導入しただけだと言っているのだ。(つまり「政府よ、私たちを責めないで、彼らを責めてくれ」ということだ)

Googleはブログの別の箇所で具体的に「欧州委員会からのさらなるフィードバック」を受けて「いくつかの最終的な変更」を加えていると述べており、その中で「適格な検索プロバイダー」の無料参加について言及している。

「画面に表示される検索プロバイダーの数も増やします。この変更は2021年の9月からAndroidデバイスに適用されます」と同社は付言している。

計画された変更は、適格性を判断するためにどのような基準を使用するかなど、新たな疑問を提起している。Googleの基準は透明になるのだろうか、それとも問題を抱えたオークションのように外部から見えないようにするのだろうか?また、ユーザーに提供される検索エンジンの数はどのくらいになるのだろうか。現在の4つよりも多いことは明らかではあるが。

Google自身の検索エンジンがリストのどこに表示されるのか、またすべてのオプションをランク付けする基準(市場シェアは?無作為割り付けか?)も興味深い。

Googleのブログではそのような詳細について部分的に伏されているが、TechCrunchが欧州委員会に問い合わせたところ、かなりの情報が得られた(後述のコメントを参照)。

完全な実装になった時点で、どこか邪悪でダークなパターン設計の詳細が現れるかどうかはまだわからない。

【更新】選択画面の仕組みの詳細はここで見ることができる。この中にはGoogleが垂直検索エンジンは参加できないとしている適格基準の詳細も含まれている。一般的な検索エンジンのみ選択画面への参加が可能のようだ。また、同一企業が所有する複数の検索ブランドを除外し、1つの検索ブランドだけを表示できるようにする。Googleの検索結果と広告をシンジケートしている企業も対象外となった。

これらの変更が「最終的」であると主張することは、Googleの特権ではないことは注目に値する。EUの規制当局は反トラスト法の順守状況を監視する責任があるため、新たな苦情が流れてきた場合には、監視して対応する義務がある。

GoogleのオークションUターンに対して、プライバシー重視の検索エンジンDuckDuckGoはすでに批判的だった。ただし具体的な内容よりは範囲の方が重要だった。

創設者のGabriel Weinberg(ガブリエル・ワインバーグ)氏は、切り替えが3年遅れたことだけでなく、Googleはすべてのプラットフォーム(デスクトップとChromeも)にこれを適用し、設定やファクトリーリセットのために選択画面を切り替えるのではなく、Androidユーザーがデフォルトをシームレスに簡単に切り替えられるようにするべきだということも指摘している(以前報じたとおりである)。

オークションモデルを長らく批判してきた小さな非営利団体Ecosiaは、検索の巨人との戦いがついに実を結んだことを喜んだ。

CEOのChristian Kroll(クリスチャン・クロール)氏は声明文の中でこう述べている。「これはダビデ対ゴリアテの実話とも言えます。ダビデは勝利しました。重要な日であり、Ecosiaにとってまさに祝福の瞬間です。私たちは数年前から検索エンジン市場の公平性を求めてキャンペーンを展開してきましたが、その結果、市場の公平な競争条件に近いものを得ました。今や検索プロバイダーは、独占的な行動に閉め出されるのではなく、自社製品の魅力に基づいて、Android市場でより公正に競争するチャンスを手にしたのです」。

一方、欧州委員会はTechCrunchに対して、多くの競合他社がオークションモデルに懸念を示した後に行動したことを認めている。広報担当者は「そうした懸念に対処するために、選択画面を改善する手段についてGoogleと話し合いを持ちました」と語った。

「選択画面にGoogleが導入した変更を歓迎します。選択画面への追加は、競合他社の検索プロバイダーに対して無料で提供されます」と広報担当者は続けた。「さらに、選択画面には、より多くの検索プロバイダーが表示されることになります。そのため、ユーザーは選択肢の幅を広げることができます」。

欧州委員会はまた、選択画面のプルダウン表示の詳細を少し明らかにし「ほぼすべてのデバイスで、5つの検索プロバイダーが即座に視認できるようになる」と述べた。

「ユーザーの国における市場シェアに基づいて選択され、ランダムな順序で表示されるので、Googleが常に最初に表示されるわけではありません。ユーザーは下にスクロールすると、さらに7つまでの検索プロバイダーを見ることができ、選択画面に表示される検索プロバイダーの総数は12になります」。

「今回の措置は、我々のAndroidに関する裁定に沿った改善策の実施に向けた前向きな動きです」と広報担当者は付け加えた。

同委員会の働きかけによって、これまでよりもはるかに拡大され、よりオープンになった選択画面が、Googleの検索エンジン市場シェアにおける地域のニーズを動かすのに役立つかどうを見るのは、極めて興味深いことだ。

実に興味をかき立てる時期に来ている。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:GoogleEU検索Google検索オークションAndroid欧州委員会

画像クレジット:Natasha Lomas / TechCrunch

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

欧州のAndroidの「選択画面」はより優れた選択肢を隠し続ける

2018年に欧州委員会によって下された反トラスト法違反の重い制裁を受けて、Google(グーグル)が欧州のAndroid(アンドロイド)で検索エンジンの「選択画面」の枠をオークションにかけ始めてから1年以上が過ぎた。しかし、2年以上前にGoogleに記録的な罰金を科したにもかかわらず、ほとんど何も変わっていない。

Googleの検索エンジン市場でのシェアは依然として低下しておらず、EUでは高い関心を集める代替の検索エンジンがGoogleが考案した「是正処置」によって値付けされている。この是正処置は、GoogleのAndroid OSを搭載したスマートフォン上で、最も多くの費用を支払える検索エンジンを優先し、支配的なGoogle自身の代替手段として掲載するというものだ。

四半期ごとの選択画面の勝者は、ますます変わらなくなってきている。Googleの代替検索エンジンは、またすぐに見栄えのしない「勝者」たちが列挙されるだろう。

2021年第1四半期の結果は、スマートフォンユーザーのほとんどが聞いたことがないであろう広告ターゲティングの検索エンジンオプションの一団で占められていた。ドイツの「GMX(ジーエムエックス)」、カリフォルニアを拠点とする「info.com(インフォ・ドット・コム)」、プエルトリコの「PrivacyWall(プライバシーウォール)」(ウェブサイトに「100%プログラマティック広告」というスローガンを掲げている会社が所有している)に加えて、もう1つは名の知れたアドテック大手の検索エンジンMicrosoft(マイクロソフト)の「Bing(ビング)」だ(*記事執筆時。現在は2021年第2四半期の結果が掲載されている)。

リストの下方では、ロシアの「Google」にあたるYandex(ヤンデックス)が8つの枠を獲得した。また、チェコの検索市場の古参Seznam(セズナム)は2つの枠だ。

大敗となったのは、トラッキング防止機能を備えた検索エンジン「DuckDuckGo(ダックダックゴー」だ。同社は、10年以上にわたってオンラインでのプライバシーを擁護してきたが、獲得枠は1つ(ベルギー)のみとなった。オークション開始時にすべての国でまんべんなく枠を獲得していたのとは対照的に、ほぼ完全に締め出されてしまった。

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広告収入のすべてを植樹活動に寄付する非営利団体の検索エンジンEcosia(エコシア)は、今回もほとんど出てこない。スロベニアのAndroidユーザーの画面に表示される1枠のみだ。しかし、エコシアは12月にiOS(アイ・オーエス)、iPadOS(アイパッド・オーエス)、macOS(マック・オーエス)のSafari(サファリ)にデフォルトの検索オプションとして追加され、世界中で1500万人以上のユーザーに利用されるようになった。

一方、プライバシー保護に焦点を当てた欧州産の検索オプションであるフランスの「Qwant(クワント)」は、わずか1枠にとどまった。それも、自国の市場ではなく非常に小さな国、ルクセンブルクだ。

もし欧州の規制当局が、自ら指摘した重大な反トラスト法違反を受けてGoogle自身が考案した「是正処置」によって、Android検索市場に健全な競争が自然に取り戻せるとでも思っているのなら、ほぞを噛むことになるだろう。Googleの検索市場でのシェアは、へこむどころか、かすりもしていないというのが純然たる事実だ。

Googleは、iPhoneのデフォルトに同社の検索エンジンを設定するために、Appleに毎年数十億ドル(数千億円)を支払っているが、Statista(スタティスタ)のデータによると、2021年2月の欧州におけるAndroidとiOSを合せたモバイル検索市場でのGoogleのシェアは97.07%であり、欧州委員会が反トラストの裁定を下した2018年7月の96.92%から上昇している。

そう、実際にはGoogleは、この「是正処置」を実施してシェアを伸ばしているのだ。

これはどう見ても、EUの競争法執行の壮大な失敗だ。大きなニュースとなったAndroidに対する反トラスト判決から2年半以上経ってご覧の有様だ。

欧州委員会はまた、Googleがこのオークションを行っている間、欧州がテクノロジーの主権を握ることを目標に掲げ推進してきた。Ursula von der Leyen(ウルズラ・フォン・デア・ライエン)欧州委員会委員長は、この包括的な目標を自身のデジタル政策プログラムに結び付けている。

テクノロジーの主権という施策においても、Androidの選択画面は大きな失敗と言わざるを得ない。2020年、検索エンジン付きブラウザーの事業から完全に撤退したCliqz(クリックス)が、その責任の一端は、欧州独自のデジタルインフラを所有する必要性を理解できなかったEUの政治関係者にあるとしているように、Googleに代わる(ほとんどの)欧州産の検索エンジンの助けになっていない。それどころか、最も関心を集め、Googleの代替となるべき欧州の検索エンジンを積極的に埋没させ、広告から資金を得ているGoogleクローンの一群との競争を強いている。

(もしBrave Searchが軌道に乗れば、欧州産でない新たな代替検索エンジンとなる。欧州発の専門知識やテクノロジーの恩恵を受けたものではあるが……)

これは、オークションの仕組み上、Googleに最も多くの費用を支払った企業だけが、Androidのデフォルトオプションとして設定されるチャンスを得られるからだ。

稀に欧州の企業が大枚をはたいて選択リストに掲載されることがあっても(これは検索クリックごとにコストがかかることを意味するようだ)、ほとんどの場合、他の欧州以外の選択肢やGoogleと一緒に掲載されることになり、晴れて選択されるまでのハードルはさらに高くなっている。

このような方法を取る必要はないはずだ。実際Googleは当初、市場シェアに基づいた選択画面を設けていた。

しかし、Googleはすぐに「載りたければ金を払え」モデルに切り替え、ユーザーのデータを追跡しない(または、純粋に環境保護を目的とし広告収入を植林に充て、利益を追求しないエコシアなど)代替検索エンジンの見つけやすさを一気に低下させてしまった。

このような代替検索エンジンの企業のほとんどは、Googleの選択画面オークションに勝つ余裕がないという(このゲームに参加する企業は、GoogleとのNDA締結が必要なため、発言に制限があることも注目すべきだ)。

Googleのオークションの落札者が、Google自身のビジネスの土台である行動ターゲティングモデルにほぼ偏っているのは、明らかに偶然ではない。あらゆるデータ追跡型のビジネスモデルが集結している。そして、消費者の観点からすると、人為的に限定されたGoogleの劣化バージョンしか含まない貧弱な「選択肢」の中からGoogleを選ばない理由があるだろうか。

エコシアがTechCrunchに語ったところによると、同社は現在、オークションプロセスから完全に撤退することを検討しているという。これは、参加するべきと考える前にオークションをボイコットするという、最初の直感に立ち返ることになる。Googleの「載りたけりゃ金を払え」スタイルの「no choice(選択不可)」(と、エコシアはオークションのことを呼んでいる)ゲームを数カ月間プレイしたことで、このシステムは、真正直な検索エンジンプロバイダーには勝ち目がないという見解を固めた。

過去2回のオークションで、エコシアは毎回1つの枠しか獲得できなかったが、ユーザー数には何の好影響も見られなかったという。完全に撤退するかどうかは、次のオークションプロセスの結果が明らかになった後に決定される。(そのオークションの結果は、3月8日に発表され、エコシアは今回も1枠となっている)。

「結局、このゲームをプレイするのが『面白くない』ことに気づいた」とエコシアの創業者であるChristian Kroll(クリスチャン・クロール)氏は語る。「このゲームは非常に不公平で、『ダビデ対ゴリアテ』というだけでなく、ゴリアテがルールを選び、アイテムを手に入れ、望めば途中でルールを変えることさえできる。だから、参加してもおもしろいことは何もない」。

「参加して9ヵ月になるが、欧州の市場全体のシェアを見ると、何も変わっていない。今回のラウンドの結果はまだわからないが、何も変わらないと思っている。いつものお仲間がまた掲載されるだろう……今掲載されている選択肢のほとんどは、ユーザーにとって興味深いものではないが」。

「興味を引く選択肢をすべて画面から消してしまって『選択』画面と呼ぶのは、何とも皮肉なものだ。だから、状況は変わらず、ゲームをするのがますますつまらなくなり、ある時点で、もうこのゲームは止めるという決断を下すことになるかもしれない」と同氏は付け加えた。

TechCrunchが話を聞いた他の代替検索エンジンは、今のところ参加を継続する予定だが、いずれもAndroidの「選択画面」でGoogleが「載りたけりゃ金を払え」モデルを採用していることに批判的だ。

ダックダックゴーの創設者であるGabriel Weinberg(ガブリエル・ワインバーグ)氏は「我々は入札に参加しているが、それはGoogleの出来レースがどれほど酷いものかを欧州委員会の前にさらけ出すためであり、消費者にとって本当に役立つものへと正すために、欧州委員会がより積極的に使命を果たすことを期待している。当社の厳格なプライバシーポリシーのため、前回と同様に排除されると予想している」と述べている。

同氏は、同社が2020年秋に掲載した「根本的に欠陥のある」オークションモデルを公然と非難するブログ記事を紹介し「記事全体はまだ有効だ」と述べている。このブログ記事で同社は、2014年から利益を上げているにもかかわらず「ユーザーからの搾取で利益の最大化を図るという選択肢はなかったため、今回のオークションでは落札に至らなかった」と書いている。

「実際のところ、プライバシーの保護とクリーンな検索エクスペリエンスという当社のコミットメントは、検索1件あたりの収益が少なくなることを意味する。つまり、利益の最大化を狙う他の企業と比較して、より少ない金額で入札しなければならないということだ」とダックダックゴーは続ける。「このEUの反トラスト法に対する是正処置は、消費者が使いたいと思う代替検索エンジンを排除し、掲載される検索エンジンからは、設定メニューで得た利益の大半を奪うことで、モバイル検索におけるGoogleの優位性をさらに強化することにしかならない」と述べている。

「このオークションの形式は、ユーザーの選択ごとに期待される利益を入札価格として入札するという動機を与える。長期的に見ると、選択されたGoogleの代替検索エンジンは、設定メニューから得た利益のほとんどをGoogleに渡さなければならない。Googleのオークションは、検索エンジンプロバイダーがプライバシーを軽視したり、広告を増やしたり、善意の寄付をしなかったりする動機を与えているが、それはそうすることで、より高い価格で入札する資金が得られるからだ」とも述べている。

フランスのクワントも同様に批判的であり、オークションに対して「極めて不満」と述べ「早急な修正」を求めている。また、2018年の欧州委員会の決定を「文面においても、その精神においても」完全に尊重すべきだとしている。

CEOのJean-Claude Ghinozzi(ジャン・クロード・ギノッジ)氏は「当社は、オークションシステムに極めて不満を持っている。Googleに最も費用を払っている3つの選択肢だけでなく、消費者が自分の使いたい検索エンジンを見つけられるように、選択画面の早急な修正を求めている。2018年の決定を、文面でも精神面でも完全に尊重することを要求する」と語る。

「当社はあらゆる選択肢を検討し、四半期ごとに決定を再評価している。いかなる場合でも、Googleが提供するたった3つの代替選択肢に限られることなく、消費者が好みの検索エンジンを自由に選択できるようにしたいと考えている。消費者の利益は常に最優先されなければならない」と付け加える。

ロシアのヤンデックスは、第2四半期のオークションへ参加することを明言した。しかし、Googleの処置について、Androidユーザーに真の「選択の自由」を提供するには至っていないと批判する。

「当社は、高品質で便利な検索エンジンを世界中に提供することを目指している。検索エンジンの選択の自由は、活発な市場競争につながり、各社のサービス向上へのモチベーションを高めると確信している。現在のEUの解決策は、2020年3月以降に発売される端末のみを対象としており、ユーザーの選択の自由を完全に保証するものではないと考えている」とヤンデックス社の広報担当者はいう。

「そのようなデバイスは、現在のEU市場でユーザーが手にしているデバイスの総数に比べて、非常に少ない。正当で実質的な選択の自由を提供することが不可欠だ。サービスプロバイダー間の競争は、最終的には、より良い製品を受け取るユーザーに利益をもたらす」

検索分野に新たに参入したトラッキング防止機能付きブラウザーのBrave(ブレイブ、前述のとおり、ブレイブはクリックスの資産を買収し、近く公開される自社ブランドであるブレイブサーチを立ち上げようとしている)は、オークションに参加することはまったく考えていないことを明らかにした。

「ブレイブは、このオークションに参加する予定はない。当社はユーザーを第一に考えているが、この入札プロセスは、ユーザーの選択肢を狭め、Google Play(グーグルプレイ)ストアの最適化に最も有効な入札者のみを選択し、ユーザーへ最大の利益を提供することを無視している」と同社の広報担当者は述べている。

そして「皮肉なことに、Googleは、ChromeとAndroidを結びつけた反競争的な行為で有罪となったことを受けた自らの是正処置で利益を得ている」と付け加えた。

Androidの選択画面に参加せずにEUでブレイブサーチのシェアを拡大するための戦略について尋ねられた広報担当者は「ブレイブはすでに欧州市場向けにブラウザーをローカライズしている。マーケティングキャンペーンや推薦プログラムで紹介されているクラス最高のプライバシーを提供することで、今後も成長を続けて行く」と述べている。

Googleが自ら策定した「是正処置」は、2018年に欧州委員会が下した反トラスト法上の裁定、つまり記録的な50億ドル(約5480億円)の制裁金と、さまざまな侵害行為の停止命令に対処したものだ。EUの反トラスト規制当局は、現在も同社の実施状況を監視し続けている。しかしクロール氏は、欧州委員会はGoogleに対し、指摘した不正行為を修正させるのではなく、実質的には時間稼ぎをさせているだけだと主張する。

「現時点での見方だが、欧州委員会は、選択画面のオークションは必ずしも是正処置として要求したものではないため、Googleに変更を強制することはできないと考えており、それが自分たちの責任と捉えていない理由かもしれない」と同氏は言い「しかし、同時に、欧州委員会はGoogleに状況を解決するよう要求し、それに対しGoogleは何もしていない」と付け加える。

「欧州委員会はまた、Googleがマスコミやユーザーから信望を得る隙を与えていると思う。Googleが何か対処しているように見えるため、Googleが好きなように動くことを許している【略】本当の選択画面が良い解決策になるかどうかはわからないが、それを決めるのは私ではない。Googleが代替検索エンジンの損害をうまく修復したかどうか【略】また、これまでに与えた損害をいくらかでも補償したかどうかを決めるのは欧州委員会だが、それが成されているようには見えない。[マーケットシェア]の数字を見れば、基本的にはまだ同じ状況が続いていることがわかる」。

さらに同氏はGoogleの現在の「是正処置」についても「全体的に、人気のある選択肢を画面から排除するように設計されている」と主張し「それがオークションの仕組みだ。もちろん、誰もそこに踏み込もうとしないことに失望している。つまり、基本的にGoogleの競合他社同士で殴り合うという不公平なゲームに参加している。どこかの規制当局が介入して、これではダメだと言ってくれることを期待しているが、そうはならない」と述べる。

「今のところ、当社の唯一の選択肢はそこに留まることだが、もし本当に効果がなく、規制当局が介入する可能性もないと判断すれば、完全に撤退して私たち抜きでGoogleに楽しんでもらうという選択肢もある。[現在のオークションモデル]からは何も得られないだけでなく、当然ながらそこに投資もしている。また、NDAを締結しているために制限もあり、その制限さえもちょっとした苦痛だ。つまり、弊害ばかりがあり、何の利益も得ていない」。

NDAによってオークション参加にともなうコストについて話すことは制限されているが、クロール氏は、収益を犠牲にしてリーチを追求しているため、落札者は損をしていると示唆する。

「前回の入札を見てみると、この入札では当社が利益を得ることは難しく、他社も損をするのではないだろうか。これはまさに、勝者がしばしば損をするという、このオークション、というよりむしろほとんどのオークションの作られ方だ。つまり、落札者が過剰な値段を付けるという『勝者の呪い』そのものだ」。

同氏は「当社は非常に慎重に入札したので、損をするというようなことにはなっていない。前回幸運にもスロベニアの枠を落札した。スロベニアは美しい国だが、やはり当社の収益には影響しないし、この落札は予想もしていなかった。これは、基本的にゲームに参加するためのものだが、財務上のリスクはない」とし「当社が落札できることはまずないだろうと思っていたため、[現在オークションに参加しているものの、ほとんどが落札できないエコシアにとっての]財務リスクはそれほど大きくないが、実際に落札した他社にとっては話は異なるかもしれない」と付け加える。

クロール氏は、このオークションモデルによって、Googleは競合企業を弱体化させながら市場シェアを伸ばし続けることができたと指摘する。

「検索によって損をしてでも、シェアを拡大しようとする企業は割りと多くある。そして結局Googleはそのすべてのシェアを獲得し、同時に競合企業を弱体化させている」と同氏は主張し「競合企業はシェアの拡大に費用をかける必要があるからだ。また、少なくともオークションが始まった当初は気づかなかったことだが、本物の検索会社であれば【略】ブランドを構築し、製品を産み出し、そのためにあらゆる投資を行い、本物のユーザーがいるはずだ。そしてそういった状況であり、真の意味での選択画面があれば、ユーザーはそのブランドを自ずと選ぶ。しかし、このオークションモデルの選択画面では、基本的には、すでに獲得しているであろうユーザーのためにコストをかけることになる」と語る。

「つまり、そういう企業は不利になってしまう。ダックダックゴーや当社のような『真のUSP(独自の強み)』を持っている企業がそうだ。Lilo(リロ)、そしてクワントさえも、基本的に検索でより自国民よりのアプローチを取っていれば、そうなる可能性がある。これらの企業は、さらに不利な立場に置かれることになる。これは不公平なことだと思う」と同氏はいう。

オークションの勝者のほとんどは、Googleのように、検索ユーザーのデータを収集して広告ターゲティングで利益を得るという監視資本主義に関わっている。そのため、EUの競争法執行が、ウェブを支配しているプライバシー上好ましくないビジネスモデルを打ち砕く(そして、より健全な代替検索エンジンが参入するきっかけをつかむ)方策として機能することを当てにしていた人がいたとしたら、ひどく失望していることだろう。

広告のために消費者を追跡しない、あるいはエコシアのように完全に非営利のミッションに基づく、より優れた代替検索エンジンは明らかに迫害されている。

欧州委員会は、抗議を聞いていなかったとは言えない。Googleがオークションモデルを発表すると直ぐに、ライバル企業らはそのモデルの欠陥、不公正、不公平、持続不能性を非難し、(確かに、Googleの「広告収益モデルのための行動ターゲティング」を模倣しているわけではないので)競争上不利になると訴えていた。

それにもかかわらずこれまでのところ、最大手のプラットフォーム企業らに対して、公正な事業を保証するための大規模な新規則を大々的に提案しておきながら、欧州委員会は対応する気がない、あるいは、対応できない様子だ。しかし、なぜ欧州委員会は、Googleのようなテクノロジー大手に対して、既存のEU規則をより効果的に行使しないのかという疑問が生じる。

TechCrunchからGoogleのAndroidの選択画面オークションモデルに対する批判を欧州委員会に提起したところ、欧州委員会は月並みな主旨で回答してきた。そこには「選択画面がユーザーの選択を促進する効果的な方法であることは過去に見てきた」と書かれている。

「選択画面は、EEA(欧州経済領域)加盟国のすべての新しいAndroid端末の起動時に、ユーザーに追加の検索プロバイダーを提示することを意味する。これにより、ユーザーは新たに購入したAndroid端末のセットアップ時に、好みの検索プロバイダーを選択できるようになった」と述べ「この決定が完全かつ効果的に実施されるよう取り組む」と付け加えている。

「そのため、選択画面の仕組みの適用状況を注意深く監視している」という。これは、Googleが2018年のEUの裁定を「遵守」し始めて以来の決まり文句だ。

わずかな進展だが、欧州委員会は「市場からの関連するフィードバック」と称し、選択画面の仕組みについてGoogleと協議したことも明らかにした。

同委員会は「選択画面の表示と仕組み、およびライバル検索プロバイダーを選択する仕組み」を中心に話し合ったと述べている。

しかし、時は刻々と過ぎ、Google検索に代わる真の選択肢は市場からますます排除されている。そして、欧州の消費者はプライバシーを侵害するAndroid上での検索に対して有益な代替手段を提供されないままとなっているが、規制当局は何を待っているのだろうか。

欧州委員会でMargrethe Vestager(マルグレーテ・ベスタガー)氏が競争政策を担当して以来(そして2019年からはEUのデジタル政策の重要な決定者でもある)、肝心なところでテクノロジー大手への姿勢が弱腰になっているように思われる。

テクノロジー大手と対峙することを厭わないという評判を得て、過去5年以上に渡りGoogle(およびその他の企業)に対して、注目を浴びる数々の罰金を科してきたにもかかわらず、最近のGoogleの事例に限って言えば、モバイルデバイスでの検索、スマートフォンのOS、検索広告の仲介などで、同氏が市場のバランスを取り戻すことに成功したとは言えない。

それでもなお、同氏は、2020年末のGoogleによるウェアラブルメーカーFitbit(フィットビット)の買収について、このテクノロジー大手がさらなる支配を固めることに多くの反対の声があったにもかかわらず、甘んじて受け入れている。

関連記事:EUがグーグルのFitbit買収を承認、健康データの広告利用を10年間禁止することで合意

その際、同氏は、その懸念に対処するにはGoogleが確約した譲歩で十分だと言い訳がましく主張した(例えば、少なくとも10年間はフィットビットのデータを広告に使用しないという約束をGoogleから引き出した)。

しかし、Googleが一連のEU反トラスト法の裁定を遵守しているかどうかを監視してきた同氏の実績を考えると、Google以外の誰が、同社に対する欧州委員会の命令執行能力や意思を信じることができるだろうか。そうこうしている間に、Googleのやり方に対する不満は、蓄積される一方だ。

欧州委員会の対応についてクロール氏は「聴いているとは思う」と述べ、そしてこう続けた「しかし、見たいのは行動だ」。

関連記事:「Googleに葬られる前に制裁措置を」135の企業や組織がEUの独占禁止法トップに訴える

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タグ:ヨーロッパGoogleAndroid独占禁止法検索Google検索検索エンジン

画像クレジット:Ecosia

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

Google検索のオーストラリア撤退警告に対し、マイクロソフトがBingで穴埋めと政府に申し出

Google検索によるオーストラリア撤退警告に対し、マイクロソフトがBingで穴埋めと政府に申し出

現在(2月1日時点)Googleはオーストラリア議会に提出された法案に反発し、現地から検索エンジンサービスを撤退すると警告しています。この事態に対して、マイクロソフトが自社の検索エンジンBingを提供して穴埋めするとオーストラリア政府に申し出た、と報じられています。

この問題の発端は、オーストラリア政府がGoogleやFacebookなど大手テクノロジー各社に対し、ニュースコンテンツを提供する企業にロイヤリティーを支払うよう義務づける法案を提出したことです。要はGoogleの検索結果やFacebookのニュースフィードに国内の出版社や放送局のコンテンツが含まれている場合は、広告収入を分かち合えというわけです。

これに対してGoogleのオーストラリア・ニュージーランド担当マネジングディレクターのメル・シルバ氏は議会公聴会で「実行不可能だ」と語り、法案が成立した場合は「オーストラリアでGoogle検索の提供を止めるしかない」と述べています。つまりGoogleが検索サービス撤退の可能性によりオーストラリア政府を脅している、との見方もあります。

しかし現地メディアのオーストラリアン・ファイナンシャル・レビュー(主にビジネスと金融を扱う全国紙/Ausdroid経由)によれば、MSのサティア・ナデラCEOはオーストラリアのスコット・モリソン首相と直接会談したとのこと。そこで自社のBingによりGoogle検索が撤退した空白を埋められると助言したとの観測が伝えられています。

さらにReutersはモリソン首相がナデラCEOとの会談を認めた上で「Googleが検索エンジンを撤退した場合、Bingでギャップを埋めることができると確信している」との発言を報じており、事実である裏付けが取れています。

その可能性がどれほどかはさておき、モリソン首相はGoogleが撤退をちらつかせても譲歩するつもりはない模様です。「ハッキリさせておきましょう。オーストラリアでは、オーストラリアで可能なことのルールを決めています。それは議会で行われ、政府によって行われます。それがここオーストラリアでの仕事の作法です。オーストラリアで仕事をしたい人は大歓迎ですが、我々は脅しには応じません」と決意の程を語っています。

が、Googleも孤立しているわけではありません。1月15日には米国通商代表部が公式文書で「我々はオーストラリアに対し、指定されたプラットフォームに課せられる潜在的な義務の程度がAUSFTA(米・豪自由貿易協定)と一致しているかどうか検討するよう強く求める」と表明しており、米国政府の後押しを受けている状態です。

標準検索サービスがGoogleがBingに置き換えられた未来には興味深いものがありますが、依然として事態は流動的であり、もしかするとGoogleとオーストラリア政府が電撃的に和解することもありうるのかもしれません。

ともあれ、ライバル企業が大きな市場を手放す可能性があると見るや、すかさず動き出すIT巨人のフットワークの軽さは、日本の企業にとっても学べるところがありそうです。

Engadget日本版より転載)

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日本(国・地域)

グーグルが検索結果でサイトの詳細情報もメニューで表示へ、米国での英語検索のみ

Google(グーグル)は定期的に検索結果ページを微調整したり、新しいデザインを試したりしている。ただし、検索結果に新機能が追加されることはあまりないため、追加された場合は注意が必要だ。

米国時間2月1日、Googleはモバイル、デスクトップ、Android版Googleアプリの米国内におけるほぼすべての英語の検索結果に、新しいメニュー項目を追加した。この新しいリンクは訪問者がリンクをクリックする前に、アクセスしようとしているサイトに関する詳細情報を提供する。

新しいハンバーガースタイルのメニューアイコンをクリックすると、サイトに関する追加情報を含む新しい情報パネルがポップアップ表示される。これには、サイトがどのようなものかの簡単な説明(入手できればウィキペディアからの引用)や、サイトへの接続が安全かどうかのに関するデータが含まれる。

画像クレジット:Google

ウィキペディアに項目がないサイトの場合、サイトが最初にインデックスされた時期などのデータがあれば、それを表示する。

また、ネイティブ検索結果なのか広告なのかについてのリンクと短い説明もある(これはGoogleの通常の検索結果と広告の区別があまりにも難しいことを暗黙のうちに認めているように思える)。ウィンドウ下部にはプライバシー設定へのリンクや、「検索の仕組み」 についての説明へのリンクもある。

画像クレジット:Google

「Googleで情報を検索すると、おそらく多くの場合、大手小売業者のウェブサイトや大手ニュースサイトなど、よく知っているソースからの結果に出くわすことが多いでしょう」と、GoogleのプロダクトマネージャーであるJK Kearns(J・K・カーンズ)氏は本日の声明で述べている。「しかし、これまで見たことのないようなすばらしい情報やサービスもたくさんあります。これらのサイトについては、Googleを使って追加で調べることもできますが、当社では新たな検索を行うことなく有用な情報を見つけるための新たな方法に取り組んでいます」。

この新機能は本日から公開される予定だが、いつのも検索結果に表示されるまでにはしばらく時間がかかるかもしれない。

関連記事:グーグルはCookieに代わるターゲット方式による広告収入はほぼ変わらないと主張するもプライバシー面は不透明

カテゴリー:ネットサービス
タグ:GoogleGoogle検索

画像クレジット:Jaap Arriens/NurPhoto / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:塚本直樹 / Twitter

グーグルがモバイル検索のデザインを変更、違いはわずかだがよりわかりやすくモダンに

Google(グーグル)は米国時間1月22日、モバイル検索の微妙な、しかし歓迎すべきリフレッシュを発表した。そのアイデアは、検索結果の表示を読みやすく改善し、よりシンプルでエッジの効いたモダンなデザインにすることだ。

見たところ、今までと根本的に異なるわけではない。しかし、個々の検索結果を囲む四隅が丸くてわずかに影がつけられていたボックスは、シンプルな直線に改められた。他にも、Googleのロゴが丸みを帯びたり、検索バーの枠がグレーのラインからドロップシャドウのみに変わるなど、いくつかの微調整を見つけることができる。「よりわかりやすく、親しみやすく、人間に優しいデザインに感じられると思います」と、Googleの広報担当者は語る。ところどころに余白も増え、目立たせる部分には色がつけられたため、各パートの分離が強調された。

画像クレジット:Google

「検索のようなもののビジュアルデザインを再考するのは、本当に複雑です」と、GoogleのデザイナーであるAileen Cheng(アイリーン・チェン)氏はこの発表で述べている。「Google検索がどれだけ進化してきたかを考えると、特にそうです。私たちはウェブの情報だけでなく、世界中の情報を整理しています。私たちはウェブページを整理することから始めましたが、今では検索した言葉を理解するのに役立つコンテンツや情報の種類が非常に多様化しています」。

画像クレジット:Google

Googleはまた、GmailやAndroid(アンドロイド)を使っている人にはおなじみのGoogle独自のフォント「Google Sans」をより広範囲に使用することにした。「検索のどこに、どのようにフォントを使うかのという点に一貫性を持たせるのも重要でした。これは人々が情報をより効率的に解析するのにも役立ちます」と、チェン氏は述べている。

今回のリフレッシュは多くの点において、Googleが2019年にそのモバイル検索のリフレッシュで行った作業の続きである。その時も、サイトアイコンやその他の新しいビジュアル要素をページに追加することで、ユーザーがページをスキャンしやすくすることに重点が置かれていた。しかし、検索結果ページをより読みやすくする作業は明らかに行われていない。

とはいえ、新旧のデザインを比較してみると、ほとんどの部分で変更は少ない。これは大規模なデザイン刷新のようなものではない。デザイナーは確かにこだわっているが、ユーザーは気づかないかもしれないほど、小規模な微調整に過ぎない。もしGoogleが、検索結果に表示される広告と、実際にユーザーが求めているコンテンツを、もっと簡単に識別できるような変更を施したら、それこそ注目に値する改善といえるのだが。

画像クレジット:Google

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画像クレジット:Alex Tai/SOPA Images/LightRocket / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

グーグルがTikTokとInstagramのショートビデオを集約する検索機能をテスト導入

Google(グーグル)は、InstagramとTikTokのビデオをモバイル機器向けGoogleアプリの専用カルーセルに表示する新機能をテスト中だ。これは、Googleのプラットフォームから完全に離れることなく、ソーシャルビデオエンターテイメントを探しているユーザーをつなぎ止めるのに役立つだろう。この機能自体は、2020年始めに開始されたテストを拡張したもの(9to5Google記事)で、GoogleはGoogle Discoverの中で最初に「Short Videos」のカルーセルに表示された。DiscoverはGoogleモバイルアプリ内で見つけられるパーソナライズされたフィードで、一部のAndroid端末のホーム画面の左下にある。

念のためにいっておくと、この「ショートビデオ」カルーセルは、2020年10月にiOSとAndroid用のGoogle検索アプリに導入されたGoogle Stories(ストーリー)とは異なる。以前「AMP Stories」と呼ばれていたこれらの「ストーリー」は、GoogleのオンラインパブリシングであるForbes、USA Today、Vice、Now This、Bustle、Thrillistなどが制作した短編ビデオで構成されている。

一方「ショートビデオ」カルーセルは、他のプラットホームからのソーシャルビデオの集積にフォーカスしてきた。それにはGoogle自身の短編ビデオプロジェクトTangiや、インドでTikTokと競合しているTrell、そしてもちろんGoogle自身のビデオプラットホームであるYouTubeも含まれる。YouTubeは最近、ショートビデオの実験を行った

一方、「ショートビデオ」カルーセルは、Google自身の短形式ビデオプロジェクトであるTangi、インドのTikTokの競合であるTrell、Google自身のビデオプラットフォームYouTubeなど、他のプラットフォームからのソーシャルビデオを集約することにフォーカスしている(9to5Google記事)。YouTubeも最近、ショートビデオのテストを行っている

このカルーセルにInstagramやTikTokのコンテンツが含まれるようになったことは、Search Engine Roundtableが最初に報じた。彼らはGoogleアプリで「packers」を検索し、ページをスクロールダウンすることでこの機能にアクセスできたという。

そのやり方を再現すると、以下のようになる。

Googleの検索結果のスクリーンショット

Short Videosカルーセルは、Green Bay PackersのGoogle Knowledge Baseボックスをスクロールして通り過ぎると表示されスコア、Top Stories、Twitterの結果、Top Results、Images、Videosなどプレイヤーのリストや順位などのコンテンツが表示される。

Short Videosには、InstagramとTikTokのビデオがどちらも表示されていた。クリックすると、ソーシャルプラットフォームのウェブ版が表示される。ネイティブモバイルアプリではない(たとえデバイスにインストールされていても)。その結果、ビデオを見た後に検索結果に戻るのは、後ろの矢印をタップするだけなので、ユーザーはGoogleに留まる可能性が高くなる。

Googleは何年も前からビデオコンテンツのインデックスを作成しており、2015年にはTwitterと提携して検索結果のインデックスを作成した。しかし、Facebook / InstagramやTikTokとどの程度正式な関係があるのかは不明だ(これらの企業からコメントがあれば、アップデートする)。

Googleはこの計画について正式なコメントや詳細を避けたが、同社の広報担当者はTechCrunchに対して、この機能が現在、モバイルデバイスで試験運用されていることを認めた。彼らは、それが限定された初期段階の機能であることを明確にしている。いい換えれば、現在のところすべての検索クエリでビデオカルーセルが見つかるわけではない。しかし時間が経つにつれ、Googleがこのサービスを拡大していけば、ソーシャルメディアのトップビデオコンテンツをインデックス化して表示するための興味深いツールになるかもしれない。もちろん、プラットフォームがGoogleをブロックしない限りだが。

同社によると、この機能は現在、モバイルデバイス向けGoogleアプリとモバイルウェブで限定的に利用できるという。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:GoogleGoogle検索TikTokInstagramショートビデオ

画像クレジット:Google

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Googleの2020年検索トレンド米国上位はコロナ、選挙結果、コービー・ブライアント、Zoom

新型コロナウイルス(COVID-19)の発生、選挙、Zoomミーティングが2020年の米国の消費者の関心事だった。Google(グーグル)が米国時間12月9日朝に発表した米国2020年検索トレンドのリストで明らかになった。検索トレンドはグーグルで最も検索された言葉やフレーズを反映しているものではなく、2019年と比較して長時間トラフィック量が急増したものを示している。このトレンドでは年間を通じた消費者の関心の移ろいが正確に示される。

グローバルの検索トレンドのトップリストも似たような結果だった。

米国では選挙結果が検索トレンドの第1位で、その次が新型コロナウイルスだった。

PlayStation 5、Zoom、そして2020年に悲劇的にこの世を去った何人かのセレブの名前もリスト入りした。

2020年検索トレンドの上位は順に、選挙結果、コロナウイルス、Kobe Bryant(コービー・ブライアント)、コロナウイルスアップデート、コロナウイルス症状、Zoom、選挙で誰が勝つか、Chadwick Boseman(チャドウィック・ボーズマン)、そしてPlayStation 5だった。

上位のニュース検索トレンドも似たような傾向で、選挙とパンデミック、それらに関連するものがリストに入った。2020年は自然災害や1929年以来の株価暴落など悪いニュースが多くあり、これらもリスト入りした。

ニュース検索トレンドの上位は順に選挙結果、コロナウイルス、景気刺激策の小切手、失業、イラン、ハリケーン・ローラ、スーパーチューズデー、株式相場、オオスズメバチ、オーストラリア山火事だった。

グーグルの年末検索トレンドはまた人物、俳優、政治家、アスリート、ミュージシャン、今年亡くなった人も採り上げ、米国で最もトレンドとなった人はJoe Biden(ジョー・バイデン、人物検索トレンドと政治家検索トレンドでトップ)、Tom Hanks(トム・ハンクス、2020年に新型コロナに感染した)、Ryan Newman(ライアン・ニューマン)、Shakira( シャキーラ)、Kobe Bryantだった。

テレビ番組、スポーツチーム、曲、映画、ゲームといったテーマでもトレンドとなったものを採り上げた。

これらのテーマでのリストのトップは、Netflixのヒット作「Tiger King(タイガーキング:ブリーダーは虎より強者?!)」、それから「ボストン・セルティクス」「WAP」「Parasite(パラサイト 半地下の家族)」「Among Us」だった。

グローバルでもトレンドの上位はほぼ同じで、検索トレンドの上位はコロナウイルス、選挙結果、Kobe Bryant、Zoom、IPLだった。一方、ニュース検索トレンドのトップはコロナウイルス、選挙結果、イラン、ベイルート、ハンタウイルスだった。

サブトピックでも似たような傾向がみられ、トム・ハンクス、ライアン・ニューマン、Among Us、WAP、パラサイト、ジョー・バイデン、タイガーキングなどが上位にきた。

言葉以外にも、はっきりとしたトレンドがデータから浮かび上がった、とグーグルは話す。2020年も人々は世界情勢を知るためにグーグルに「なぜ」と問いかけを続けた。ただし今年は、「なぜ」の多くは新型コロナに関するものだ。たとえばトイレットペーパーやフェイスマスク、手指消毒剤の購入場所を尋ねるものが「どこで買う」検索トレンドのトップだった。また近所の場所探しでは、新型コロナ検査、期日前投票センター、抗議が「Near Me」検索でトレンドだった。

そしてこれらのすべてにかかわらず、グーグルユーザーが新型コロナによるロックダウンの過ごし方を検索したのに表れているように、人々は楽観的だった。たとえば「sourdough bread recipe(サワードウブレッドのレシピ)」の検索が史上最高を記録した。他に人気のあった食べ物検索は、ホイップドコーヒー(ダルゴナコーヒー)、ディズニーチュロス、ドールホイップなどだった。ハウツー検索トレンドのトップは、外出を控えるために自分自身でやることを学ぶという世界を反映した。髪・前髪の切り方、髪の染め方、それから在宅勤務やバーチャルフィールドトリップ、バーチャルデートの仕方などだ。

Black Lives Matter(黒人の命も大切だ)の検索も2019年の5倍に増えた。

検索トレンド、各マーケットの結果はGoogle Trendsで閲覧できる

カテゴリー:ネットサービス
タグ:GoogleGoogle検索検索

画像クレジット:Google

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(翻訳:Mizoguchi