HEREはAudi、BMW、ベンツ車の交通データをリアルタイムで共有

マッピングの専門企業、HEREはリアルタイム・トラフィック(Real-Time Traffic)をスタートさせた。これは現に道路を走行しているAudi、BMW、メルセデス・・ベンツの車両からのデータを集約して交通状況を表示するサービスだ。

HEREによれば競争関係にある複数のメーカーの車両から取得したデータを使ってリアルタイムで交通状況を提供する商用サービスはこれが初めてだという。

HEREはデータを提供するこれら自動車メーカーのジョイント・ベンチャーであり、メーカーはいずれも株主だ。Nokiaは2015年にマッピング事業を分離して自動車メーカーに売却し、HEREが誕生した。ただし同社のリアルタイム・サービスはどんな業種のどんな企業も契約が可能だという。このサービスは60カ国をカバーし、交通の流れの速度を含む多様なデータが提供される。

HEREのリストにある60カ国のうち30カ国では交通安全警報(Traffic Safety Warning)もあわせて提供される。これは車両の急ブレーキの回数から運転の障害となり得る道路上の問題を割り出すものだ。この情報もリアルタイムで提供されるので、交通事故発生の可能性を下げる効果が期待できる。

現在すでにHEREの情報源となるAudi、BMW、ベンツ車が「数百万台走行している」というものの、HEREではリアルタイム交通サービスのデータ・ソースとして他のメーカーの車両も加えようと努力している。

HEREからデータの提供を受ける顧客については、まず自動運転車のメーカーが考えられるが、現行のADAS(先進運転支援システム)を利用しているメーカーにとってもこの情報は大きなメリットとなるだろう。また公共交通機関運営者、都市計画官公庁、運送事業者を始め多数の顧客が想定されている。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

拡張現実(AR)検索エンジンのBlipparがシリーズDで$54Mを調達–現実世界の物なら何でもリアルタイム対応を目指す

visual-search-screenshot

Blipparは、スマートフォンで何かのオブジェクトを指すだけで、いろんなリッチなコンテンツを見せてくれるAR応用企業だ。その同社が今日(米国時間3/1)、シリーズDで5400万ドルの資金調達ラウンドを完了した、と発表した。このラウンドをリードしたのは、マレーシア政府の戦略的投資部門Khazanah Nasional Berhadで、これまでの投資家たちも参加した。

Blipparがローンチしたのは2012年で、そのミッションは、拡張現実を日常的なオブジェクトに持ち込んで、企業やアドバタイザー、パブリッシャーなどに貢献する、というものだ。雑誌のページでもケチャップの瓶でも、オブジェクトをBlippする(スマホをかざす)だけで、Blipparは消費者にいろんな関連コンテンツを見せる。

でも、4年間で大きく成長したBlipparは、単純に企業やパブリッシャーがARのコンテンツを利用するだけ、というサービスではなくなってきた。今では同社は、植物や動物、皿の上の食べ物など、さまざまな現実世界のオブジェクトに、リアルタイムでARコンテンツを提供する。

大企業などはBlipparの機械学習プラットホームを利用して自分たちの製品をインデクシングし、たとえばユーザーがNikeの靴をスキャンしたら、その値段や入手方法などの情報を即座に見せられる。

Blipparの協同ファウンダーでCEOのRish Mitraはこう語る: “インターネットで検索というものを初めて見たとき、その真価が一瞬にして分かった。今では誰もが、検索なしには生きられない。ただし問題は、テキストによる検索には限界があることだ。言葉で物事を説明するのは、本当に難しいからね。Blipparは、システムに言葉ではなく物そのものを見せるから、この問題を解決したと思う。ユーザーがおもしろそうな物を見たとき、すぐに結果が分かるからね”。

新たな資金は、今サンフランシスコに60名いる技術者チームの増員と、リアルタイムのAR検索に必要な機械学習および人工知能技術の増強に充てられる。

Blipparについて詳しく知りたい人は、ここへ

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

iOS 9はリリース後24時間ではやくも12%の普及率(iOS 8を上回る速度)

ios9

情報分析事業を展開するMixpanelによると、iOS 9は順調に受け入れられつつある模様だ。更新についてトラブルのあったユーザーもいたようだが、なかなかのペースで広まりつつあるらしい。

Mixpanelによると、リリース後24時間にも達しないうちに、iOS 9は12%の普及率(adoption)を示したとのこと。これはiOS 8よりも速いペースであるとMixpanelのCEOであるSuhail Doshiは述べている。これは、Appleとして始めて一般利用者向けにベータ版を公開して、新しい機能に慣れてもらいつつ、リリーススケジュールを調整した成果のひとつといえるだろう。

またDoshiは、Androidの普及ペースとも比較しつつ、次のようにも述べている。

iOS 9は24時間で12%の普及率(adoption)を示しました。昨年のiOS 8の際と同様な状況を示していると言えます。AndroidではのLollipopについていえば、同様の普及率を達成するのに5ヶ月を要しています。Appleの成功の理由のひとつとして、アップデートモジュールのサイズ(前回のアップデートモジュールよりも3.5倍も小さくなっている)を挙げることもできるでしょう。iPhoneの記憶容量がほとんど残っていないような利用者にも配慮しているともいえるわけです。ただし、サーバー側で一部不具合があったこともあってかiOS 7と比べると普及の速度は大きく遅れてはいるようです。

各OSの割合は次のようになっている。

Screen Shot 2015-09-17 at 10.04.43 AM

上の図から明らかなように、iOS 9はすでに「8以前のOS」よりも多くインストールされているようだ。

iOS 8にくらべて3.5倍も小さいというのが、やはり大きく寄与しているようだ。対応機種をもつひとは、即座にアップデートしようとすることが多い様子。現在も猛烈な速度でiOS 9が増えているようだ。

(なお、タコスの絵文字は9.1からの対応となっている)。

原文へ

(翻訳:Maeda, H

連邦航空局(FAA)、ドローンの飛行禁止区域を通知するアプリケーションのベータテストを開始

sevengables

iPhone-6-3今年のはじめ、Federal Aviation Administration(FAA)は、アプリケーションのテストを開始する旨をアナウンスしていた。ドローンの飛行可能地域(重要性に従った表現をするのなら「飛行“不”可能地域」)を示すためのものだ。そしてそのアプリケーションが、このたびベータ版として公開された。名前をB4UFLYといい、iOS版のみが用意されている。

ただし、今のところプライベートベータで、2ヶ月間の予定でテストすることになっているのだそうだ。Android版もリリース予定ではあるらしいが、リリースの時期についての情報は得られなかった。

さらに、プライベートベータはすでに申込多数で、使ってみるのもなかなか難しい状況にある様子。それでもemailing b4ufly@faa.govにてベータ版への招待を受け付けてはいる。

当方でもスクリーンショットをみただけだが、アプリケーションの使い方はいたって簡単であるようだ。飛行場や国立公園(今ではドローンを飛行させることが禁じられている)、ないしは他の飛行禁止地域に近づきすぎていないかを判定するのが、アプリケーションの主用途だ。

もちろん、実際に飛ばすときだけでなく、飛ばしてみたい場所の事前チェックに使うこともできる。非常にシンプルだが、ドローンを飛行させるにあたってはぜひとも知っておかなければならないことを教えてくれる。

飛行場から5マイル以内の地点では、飛行場の管制官や航空交通管制局の許可を得る必要がある。たいていの人はそのような手間をかけて飛行したいとは思わないもので、そういう場合には制限エリアではないところを探すことになる。FAAによれば、将来的には5マイルの制限エリア内でドローンを飛ばそうとしたときに、航空交通管制局に通知する機能も搭載する予定であるとのこと。

ドローンのを飛ばす人のほとんどは事件をおこしたいなどとは考えていないだろう。ドローンの飛行禁止区域を教えてくれるサービスや、アプリケーション(Hoverなど)もいろいろと出てきている。DJIのPhantomドローンには、制限区域内では飛行できないモデルもある。ただ、FAAのような公式機関がオフィシャルアプリケーションを出すことで、利用者の側がいっそうの安心感を得ることができるということもあるのだろう。

言うまでもないことだが、山火事などの災害現場での飛行も厳に慎むべきだ。

原文へ

(翻訳:Maeda, H

Nokia、HERE地図情報事業を30.7億ドル(3800億円)でアウディ、BMW、ベンツに売却

2015-08-04-nokia

Nokiaは先ほど、HERE地図情報事業をヨーロッパの自動車メーカーのコンソーシアムに 28億ユーロ(30.7億ドル、3800億円)で売却したと発表した。これによって数ヶ月前から流れていたHERE事業の将来に関するさまざまな観測に終止符が打たれた。

Nokiaによれば、HERE事業を買収したのはアウディ、BMWグループ、ダイムラー(メルセデス・ベンツ)が共同で組織したコンソーシアムで、買収手続きの完了は来年の第一四半期が予定されている。 Nokiaがデバイス事業をMicrosoftに売却した後、HERE事業の将来が業界の注目を集めていた。今年4月、NokiaはHEREについて売却も含む各種の選択肢を検討中と発表した。

HEREの6454人の従業員に対してレイオフがあるのかどうか、またあるとすればどれほどの規模になるのかは今のところ不明だ。NokiaがHERE事業の売却に傾いた理由の一つがこの膨大な人員だったという観測もある。 最近の財務情報によれば、HERE事業はNokiaグループの売上の1割を占めている。

HEREが売りに出ていることは自動車メーカー以外からも強い関心を集めていた。Uber(およびその投資家)と百度が共同で買収に動いているという噂も流れた。中国最大の地図情報サービス、NavinfoやAmazon、、Alibaba、Facebook、 Appleさえも関心を示したとされる。

TechCrunchのIngrid Lunden記者は先月の記事でこの問題を分析し、HERE事業が保有するテクノロジー、特許、データベース、豊富な地点属性(元HERE社員によれば300種類)について、「これほど価値ある資産が地図情報分野で市場に出ることは当分ないだろう」と述べた。

Nokiaはアルカテル・ルーセントの166億ドルの買収を来年上半期に完了するものと見られている。これらの抜本的再編によってNokiaはブロードバンド・インフラ事業、Nokia Technologiesおよび先進的研究開発事業のネットワークとして生まれ変わる。当面の目標としてNokiaグループはメーカーと提携して新たなモバイル・デバイスを2016年中にリリースすることを目指す。

社内で制作されたインタビュー・ビデオで、Nokiaのプレジデント、Sean Fernbackは「この売却によってHERE事業は独立かつ中立の企業となる。いわばデジタル地図の世界におけるスイスのような存在だ。これによってHEREは一層強くなるだろう」と述べた。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

FacebookとNokia、モバイル、Instagram、Messengerの地図強化に向けて密かに提携

screen-shot-2015-05-04-at-14-38-57

Nokiaの地図部門部門、 Hereの買い手候補として噂されていた会社の一つが、モバイル地図強化のためにフィンランド企業と密かに契約した。Facebookは現在Hereの地図をモバイルウェブ版で使用中で、InstagramとMessengerなどのネイティブアプリの位置情報に利用するためのテストを行っている。

here facebookモバイル企業のNokiaはHereの売却を検討していることを正式に認めており評価額は20億ドルと言われているが、現在同社が保有するデータを考慮すればその2倍はあるとする向きもある。Facebook以外にも、Apple、自動車コンソーシアム、Samsung、Uber、Baidu、Alibaba、Tencent、およびYahooなどの名前が挙がっている(確度はまちまち)。

新たなFacebook/Nokiaの地図における提携はどちらの会社からも発表されていないが、コメントを求めたところ両社とも基本的内容を認めた。

「当社はNokia HEREの地図をFacebook全般でテストしており、一貫した地図体験を提供するための柔軟性を模索している」とFacebookの広報担当者が本誌にメールで伝えた。また「Android版InstagramとMessengerなどのスタンドアロンアプリでもテストしている」ことも認めた。

「われわれの地図がFacebookユーザーに喜んでもらえることを嬉しく思う」とHereの広報担当者は言った。

以上の情報からHereの地図がFacebookのアプリで見られるようになることは想像できるが、信頼できる筋によるとFacebookはジオコーディングにもHereを使っているという。ジオコーディングはInstagram、Messenger、およびメインFacebookアプリで位置情報をタグ付けする際、大量の特定位置データをFacebookとユーザーに提供する。

現在FacebookはメインのFacebookアプリでHereマップを使っていないが(iOSではApple iOSマップまたは、Googleマップがインストールされていればそれを使っているようだ)、ブラウザーでFacebookのモバイルサイトへ行き、ユーザーや店の地図を見ると、左下隅に”here”と斜めに書かれたロゴが見られる。

Facebookが地図を再検討し、提携先を変更することに驚きはない。

第一に、ユーザーの位置をタグ付けするために優れた位置情報技術を使うことによって、Facebookは特定位置から近況アップデートしたり写真を投稿するユーザーにとってより親切なサービスになる。Facebookのビジネスにおけるモバイルの割合の大きさを考えれば特にそうだ。

第二に、広告的観点からも非常に重要である。企業はFacebookを広告およびマーケティング業務の一環として使用しており、Facebookは特定の位置に基づく広告や他の位置情報関連サービスを提供することによって企業との関係(および売り上げ)の選択肢が増える。

Nokiaから上質な位置データを入手することは、別の理由からも論理的である。Facebookは以前から優れた位置情報サービスを持つことに注力しており、Glancee、Tag Tile、Gowalla、およびRel8tionなどの買収を通じて技術および人材を集めてきた。

最近では、Facebookの通知機能を改定し、ユーザーは友達ネットワークの近況に合わせて近くの場所を見ることができるようになった。

とはいえ、Facebookによる位置情報サービスの独自プラットフォーム構築への努力はまだ大きな成果を見せていない。

Facebookが最初にFoursquareからFacebook Placesの独自位置情報へと切り替えた時の苦悩ぶりを覚えているだろうか。その点でもNokia Hereのような位置情報データの大手プロバイダーと組むことには意味がある。

FacebookとNokiaの提携はこれか初めてではない。Facebookは、Nokia Hereの地図にデータを供給しているいくつかのソーシャルサービスの一つだ。また数年前、Nokiaが端末事業をMicrosoftに売却するずっと前で、世界最大の携帯端末メーカーだった頃、両社は端末事業の提携を検討したことがあった。Internet.orgによって途上国の人々をつなぐ方法 についても協力している。

一方、Hereマップをすでに使っている大企業がいくつかある。AmazonYahoo、Microsoft、およびBaidu等だ。

Facebookが結局Hereを買収しなかった場合、もし他者が買ったら両社の関係はどうなるのか、それが大きな疑問だ。

原文へ
 
(翻訳:Nob Takahashi / facebook