アップルがユーザーによる悪質なアプリや詐欺行為の報告を簡単に

The Vergeによると、App Storeのトップアプリのかなりの割合が詐欺であることが明らかになった報道を受けて、Apple(アップル)はユーザーがそのような行為を報告できるようにしているという。iOS 15の一環として、最新のApp Storeアップデートでは、無料、アプリ内課金(IAP)、有料のいずれのアプリについても、問題のアプリをインストールしていれば「詐欺や不正行為を報告」できるようになっている。

Kosta Eleftheriou(コスタ・エレフテリウ)氏とRichard Mazkewich(リチャード・マズケウィッチ)氏のTwitterでの詳細によると、この機能は、従来の「問題を報告」機能よりもさらに踏み込んだものとなっている。これまでのように「疑わしい活動を報告する」「品質問題を報告する」「返金を要求する」「自分のコンテンツを探す」だけではなく、詐欺や不正行為を知らせることができるようになった。以前は、詐欺や不正行為を強調する前に、アプリ内での購入も必要だったが、それも必要なくなっている。

The Vergeが指摘したように「問題を報告」機能自体は数年ぶりに個々のアプリのリストに戻ってきた。以前は「アプリ」や「ゲーム」タブの下部にあり、報告する際には別のウェブサイトに送られていた。

Appleは、2021年6月に新しいApp Store Reviewガイドラインを発表した際に、この変更を実質的に予見していた。いくつかのセクションでは、Appleが不正行為や詐欺、開発者の不正行為に対してより厳しい姿勢で臨むという変更が含まれていたと当時TechCrunchは指摘していた。

関連記事:アップルが詐欺撲滅を目指してApp Storeガイドラインを改訂

2021年初めにWashington Postが明らかにしたところによると、App Storeで発見された悪質なアプリには、顧客を騙して不要なソフトウェアを購入させるVPN、悪質な出会い系アプリ、QRリーダー、主要ブランドを詐称したアプリなどが含まれていた。同紙の推定によると、これらのアプリは、ユーザーから推定4800万ドル(約53億円)を詐取した可能性があるという。

編集部注:この記事の初出はEngadget。執筆者のSteve DentはEngadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:TechCrunch

原文へ

(文:Steve Dent、翻訳:Yuta Kaminishi)

【コラム】クリエイティブがグロースマーケティングの決定的なXファクター

今後、グロースマーケティングがプライバシー保護を重視した、ターゲットの曖昧なものに移行するとき、Facebook(フェイスブック)などの有料ソーシャルチャネル上のクリエイティブが最も強力な手段になるだろう。重宝しているiOS 14.5で特定機能が利用できなくなってこの傾向は加速されたが、さまざまなチャネルで広告プラットフォームの自動化に向けた取り組みが強化されている。

それで筆者は、シードステージのスタートアップであれ、Google(グーグル)のような巨大企業であれ、グロースマーケティングを推進する場合は常に、クリエイティブをテストする適切なフレームワークの準備を整えるべきだと思う。

筆者は、Postmates(ポストメイツ)で3年間働き、さまざまなスタートアップのためにコンサルティングをし、直近ではUber(ウーバー)で仕事をして、多くの点でマーケティングが変化する様子を見てきた。しかし、我々が今目にしているものは我々の制御を超えたファクターによって動いており、今まで見てきたどんなものとも異なる変化が始まっている。続いて、有料のソーシャルアカウントでクリエイティブが最も強力な手段として登場した。

基本

クリエイティブの力を活用し、有料のソーシャルマーケティングで成功を収めようと考えているなら、その考え方は正しい。必要なのは、クリエイティブをテストするフレームワーク、つまり新しいクリエイティブアセットをテストする構造化された一貫性のある方法である。

次に、クリエイティブをテストするフレームワークを成功させるために必要な基本要素を示す。

  • 決められたテストスケジュール
  • テーマを構造化したアプローチ
  • チャネルに特化した戦略

クリエイティブのテストは、決められたテストスケジュールに従った、持続的で反復的なプロセスにする。目標と構造は、毎週5つの新しいクリエイティブアセットをテストするシンプルなものにできる。逆に、複数のテーマとコピーバリエーションから成る60の新しいアセットをテストする複雑なものにもできる。

出費があまり多くないアカウントの場合、イベントシグナルが限られているのでクリエイティブのテストは比較的限定的なものにする。出費の多いアカウントの場合はその逆にする。最も重要なことは、次の「優れた」アセットを探す際、テストを継続して目ぼしいものを見つけることである。

4つのテーマ×テーマごとに3つの変化形×5つのコピーバリエーション=60のアセット(画像クレジット:Jonathan Martinez)

テストのスケジュールを設定したら、思いつきのアイデアを大量にテストするのではなく、ビジネスとバーティカル市場の主要なテーマを定義する。これは、コピーや、製品とサービスの主要な価値提案と同様に、クリエイティブアセットにも当てはまる。クリエイティブのデータ分析を始めると、この構造を活用してテストすることで、何を強化し、何をカットするか、簡単に決定できることがわかるだろう。これは、テストの過程を通じて拡張または縮小するワイヤーフレームと考えることができる。

MyFitnessPal(マイフィットネスパル)のようなフィットネスアプリの場合、次のように構造化できる。

  • テーマ(製品のスクリーンショット、製品を使っている人の画像、UGCのユーザーの声、事前・事後の画像)
  • メッセージ(セグメント化された価値提案、宣伝広告、FUD)

チャネルは、クリエイティブのベストプラクティスやテストの機能がそれぞれ異なるので、チャネルに特化したアプローチになっていることを確認することは非常に重要である。フェイスブックでうまくいくことが、Snapchat(スナップチャット)やその他多くの有料ソーシャルチャネルでもうまくいくとは限らない。クリエイティブのパフォーマンスがチャネルによって異なるとしてもがっかりすることはないが、筆者は等価性テストを推奨する。あるチャネル向けのクリエイティブアセットがすでにある場合、残りのチャネル向けにサイズ変更して体裁を整えても問題はない。

何が成功かを判断する

適切なイベント選択と、テスト全体を通じて守る統計的に有意なしきい値は、クリエイティブにとって等しく重要である。クリエイティブのテストに使うイベントを選択する際、CACのレベルによっては、必ずしも自社のノーススターメトリックを使えるとは限らない。例えば百単位のCACで高額のアイテムを売る場合、各クリエイティブアセットで統計的に有意な値に達するには、多額の出費が必要になるだろう。代わりに、ファネル上部寄りのイベントと、ユーザーの転換の可能性を示す信頼性の高い指標を選ぶことができる。

ファネル上部寄りのイベントを使うと、学習の迅速化につながる(画像クレジット:Jonathan Martinez)

使用する統計的に有意な割合を決める際、クリエイティブのテスト全体にわたって一貫した割合を選択することは重要である。経験上、筆者は80%以上の確実性を好む。それによって、十分な確認と決定の迅速化が可能になるからだ。Neil Patel(ネール・パテル)氏のA/Bテスト向け有意性計算ツールは、便利な(無料の)オンライン計算ツールである。

成否を分けるもの

ソーシャルフィードをスクロールしていて、光沢のあるゴールドのペンダントに目が留まったとしよう。しかし、メッセージはブランド名と製品の仕様だけである。注意を引かれはしたが、引き寄せられるものが何かあっただろうか。考えてみて欲しい。人の注意を引くだけでなく「クリエイティブ」、つまり有料のソーシャルグロースマーケティングで成否を分けるファクターを使って、引き寄せているだろうか。

iOS 14.5のデータロスを迂回する

iOS 14.5でユーザーデータがわかりにくくなり、モバイルキャンペーンにおいてクリエイティブのテストは厳しくなる一方だが、不可能というわけではなく、ただもっと賢くなる必要があるということである。クリエイティブのパフォーマンスに関する明瞭なインサイトを得るのに役立つアイデアはいろいろあり、長続きしないものもあれば、ずっと残るものもあるだろう。

プライバシー保護のための制限はたくさんあるが、膨大な数のAndroid(アンドロイド)ユーザーには依然としてアクセス可能であり、これを活用しない手はない。クリエイティブのテストをすべてiOSで実施する代わりに、インサイトを収集する明瞭な方法としてアンドロイドを使うことができる。プライバシー保護のための制限はまだアンドロイドデバイスに課されていないのだ。アンドロイドでのテストで収集されたデータは、次にiOSでのキャンペーンに適用できる。アンドロイドでのデータにも制限が課されるのは時間の問題でしかないので、iOSでのキャンペーンに情報を提供できるこの回避策を活用するのは今である。

アンドロイドでのキャンペーンが実行可能なオプションでない場合、手早く簡単な別のソリューションは、Webサイトのリードフォームを断念し、クリエイティブアセットから記入済みフォームへの転換率を測定することである。ユーザーエクスペリエンスは確かにエバーグリーンコンテンツと比べればまったく驚くほどのものではないが、これを使えば短期間でインサイトを得ることができる(しかも、予算のほんの一部で)。

リードフォームを作成する場合は、エバーグリーンエクスペリエンスの重要な指標となるイベントを完成させるユーザーを見極めて明らかにする質問を考えよう。ユーザーがリードフォームに記入し終えたら、コミュニケーションを取ってユーザーの転換を図り、広告費を有効に使うことができる。

アカウントステージに基づいて取り組む

クリエイティブアセットのタイプに応じたテストの取り組みはアカウントステージアカウントステージによって大きく異なり、模倣、反復、イノベーションの3つに分けることができる。

クリエイティブのテストのタイプは時間とともに変化する(画像クレジット:Jonathan Martinez)

アカウントステージが初期であればあるほど、クリエイティブの方向性が他の広告主によって有効であることが証明されたものに依存する度合いは大きくなる。それらの広告主は、アセットのパフォーマンスの証明に多くの出費をしてきており、そこから強力なインサイトを得ることができる。時間の経過とともに、他の広告主から導き出す速度をわずかに落とし、ベストパフォーマンスの反復に重点を置くことができる。筆者が割合を決めるとすれば、初期段階では取り組みの80%を模倣に置く。成功事例が明らかになるにつれて自然と反復の勢いが増し、イノベーションが大きく遅れて最後の柱になる。

これは、すばらしいアイデアがある場合でも初期段階ではイノベーションを試すことはできないということではが、一般に、十分に成長した企業の方が革新的なアイデアの検証に多額の出費をする余裕がある。また、社内にデザインチームがあるにしても、フリーランスのデザイナーと一緒に取り組むにしても、50の異なる革新的なアセットを考えてデザインするより、50のバリエーションを考える方がはるかに簡単である。模倣と反復により、初期のテストは大幅に効率的になる。

競合他社のインサイトを活用する

ブレインストーミングをして、最高に美しく、目を引いて、人を引き付けるクリエイティブを思い描くことは、必ずしも数秒でできることではなく、数分でも、数時間でもできるとは限らない。ここで、競合他社のインサイトを利用することが関係してくる。

最も充実したリソースはフェイスブックの広告ライブラリである。そこには、プラットフォーム全体であらゆる広告主が使っているすべてのクリエイティブアセットがある。実際のところ、この無料の強力なツールのことを知っている人がほとんどいないことに、筆者はいつも驚かされる。

このライブラリで競合他社やクラス最高の広告主を参照すると、広告主が長く使ってきた具体的なアセットに、優れたパフォーマンスのクリエイティブの証拠を見ることができる。どうしてそれがわかるかというと、便利なことに、広告主がクリエイティブを使い始めた日付のスタンプが各アセットにあるのだ。これは非常に役に立つ。筆者は、何時間でもクリエイティブアセットを調べていられる。それぞれの広告主が、情報とひらめきをさらに提供してくれる。

有料のソーシャルグロースマーケティングで努力を傾ける分野を考えるときは、クリエイティブをリストのトップに置く必要がある。データがますますわかりにくくなるにつれ、アイデアに富んだ考え方をする必要がある。そうした考え方が、成功と失敗の分かれ目になる。実行する戦略のタイプは時間とともに変わるが、変わらないのは、強力なクリエイティブ、つまり成功を左右するファクターの重要性である。

編集部注:本稿の執筆者Jonathan Martinez(ジョナサン・マルティネス)氏は、元YouTuberで、カリフォルニア大学バークレー校の卒業生であり、Uber、Postmates、Chimeをはじめとするさまざまなスタートアップ企業の成長を支援してきた成長マーケティングのオタク。

画像クレジット:MirageC / Getty Images

原文へ

(文:Jonathan Martinez、翻訳:Dragonfly)

Apple Watchのロック解除バグを修正するiOS 15アップデート提供開始

Apple Watchでロックを解除するようにiPhoneを設定し、最近iPhone 13にアップグレードした人は、ソフトウェアのバグで、この機能を継続して使用することができないかもしれない。ただし、すでにありがたいことに修正プログラムが登場しているので、それをインストールすれば「Face ID」に頼る必要はない(もちろんパスコード入力の必要もない)。最新のiOS15アップデート(iOS 15.0.1)が登場している。変更履歴によると「iPhone 13モデルで『Apple WatchでiPhoneのロック解除』が機能しなかったことがある問題」のバグ修正が行われている。

Appleは2021年初めにwatchOS 7.4でApple Watchでのロック解除機能を追加し、外出中にマスクをしていてもiPhoneに簡単にアクセスできるようにした。この機能は、その後のiOSとアップデートで壊れ、修正するために別の無線パッケージが必要だった。Appleは最近、iPhone 13の一部のモデルでこの機能が動作しないことを認め、近日中に解決策を提供すると述べていた。iPhone 13は9月24日に販売が開始されたばかりであり、少なくともこの問題は早期に発見されたといえるだろう。アップデートが数日後に行われたのは良いことだが、ここ数カ月の間に同社がこの機能に関して抱えていた問題を見るのは興味深いことだ。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のCherylnn LowはEngadgetのレビューエディター。

画像クレジット:AleksandarGeorgiev / Getty Images

原文へ

(文:Cherylnn Low、翻訳:Katsuyuki Yasui)

Appleマップが3Dビューを展開、ロンドン、ロサンゼルス、ニューヨーク、サンフランシスコで

Apple(アップル)は、「マップ」アプリ内で、ロンドン、ロサンゼルス、ニューヨーク、サンフランシスコなど、多くの都市に3Dマップを導入する。iOS 15で提供されるこの体験は、市場をリードするGoogleマップとの競争力を高めるためにAppleのマッピングプラットフォームに数年にわたって行われた投資の結果だ。このアップデートには、現在主要な市場に導入されているような3Dマップの追加だけでなく、全体的により詳細な地図、改善された交通機関の機能、AR表示モードなども含まれている。

関連記事:AppleマップがiOS 15アップグレードでより詳細な地図、交通機関ナビ、ARビューなど追加

これらの機能の多くは、充実した機能を得るためまず米国および世界の主要都市で導入され、時間をかけて展開してきた。例えばARビューイングは、2021年に入ってから一部の都市で開始された

画像クレジット:Apple

Appleによると、3Dマップでは、ユーザーは近隣地域、商業地区、マリーナ、ビルなどの詳細を見ることができ、標高の詳細、新しい道路ラベル、さらにはカスタムデザインされたランドマークも表示されるという。

例えば、サンフランシスコのコイトタワー、ロサンゼルスのドジャー・スタジアム、ニューヨークの自由の女神、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールなど、有名なスポットのレンダリング画像がマップに表示され、今後さらに多くのランドマークが追加される予定だ。

画像クレジット:Apple

2021年後半には、フィラデルフィア、サンディエゴ、ワシントンD.C.でこの種の3Dマップが利用できるようになるとAppleは述べている。そして2022年には、モントリオール、トロント、バンクーバーでも利用できるようになる。

Appleは、より明確に表示されるターンレーン、中央分離帯、バス・タクシー用レーン、横断歩道などによって、道路レベルでのナビゲーションも強化している。これらは3D表示モードで表示されるため、交通状況に応じて最適な車線を選択したり、より良いルート計画を立てたりすることが容易になる。また、Googleマップと同様に、現在の道路状況に基づいた到着予定時刻も表示される。Appleは、これまで2021年のリリースが発表されていたこの新しいナビゲーションが、具体的な期限はなしに2021年後半にCarPlayに搭載される予定であると述べた。

画像クレジット:Apple

同様に、2021年初めに発表されていた他の地図のメジャーアップデートも現在展開中だ。これには、Citymapperのような、交通機関を利用する人たちに好まれるサードパーティのアプリケーションに対して、Appleマップがより競争力を持つように設計された機能が含まれている。近くの交通機関の駅が画面上部に大きく表示され、ユーザーはお気に入りの路線をマップにピン留めして簡単にアクセスできるようになった。また、Apple Watchでもできるように、路線を選択すると、降りる時間になるとマップが自動的に通知する。

Appleマップは、拡張現実(AR)を利用したステップ・バイ・ステップの案内で、より臨場感のある徒歩ルート案内を提供する。これは、ユーザーが携帯電話をかざして周辺の建物をスキャンすると、マップがより正確な位置を生成し、より詳細な案内を提供するというものだ。この機能は、2021年に入ってから一部の市場で提供されている。

iOS 15のユーザーは、新しい3D地球儀を見ることができる。また、マップの「ガイドを詳しく見る」ボタンをタップすると、Time Out、The Washington Post、The National Park Foundation、Complex、The Infatuationなどが提供する厳選されたガイドにアクセスすることがでる。これらのガイドは世界中の都市での観光ガイドを提案する。また、ユーザー自身がガイドを作成し、友人や家族と共有することもできる。

画像クレジット:Apple

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Yuta Kaminishi)

【まとめ】最新iPhone 13シリーズレビュー集、13 ProからiOS 15まで、気になるのはどのモデル?

すでに予約開始、9月24日に発売され手に取ることができるiPhone 13シリーズ。TechCrunchでは、ハイエンドモデルiPhone 13 Proをはじめとした実際に触った上でのレビュー、さらに先に配信されたiOS 15の使用感など、最新iPhoneに関する記事を掲載、以下にまとめた。

新たなレビュー記事も公開予定であり、本記事もそれに合わせて更新する。お楽しみに。

iPhone 13 Pro / 13 Pro Max

カメラ機能が同等になった「iPhone 13 Pro」「iPhone 13 Pro Max」実機先行レビュー

カメラ機能が同等になった「iPhone 13 Pro」「iPhone 13 Pro Max」実機先行レビュー

iPhone 13 / 13 Pro×カメラ

カメラが楽しいiPhone 13 / 13 Pro、12からの乗り換えも「アリ」な理由

カメラが楽しいiPhone 13 / 13 Pro、12からの乗り換えも「アリ」な理由

iPhone 13×eSIM

iPhone 13でデュアルeSIMを試す―自由度アップで機種変が楽に

iPhone 13でデュアルeSIMを試す―自由度アップで機種変が楽に

iPhone 13 mini

究極の手のひらスマホ、iPhone 13 mini実機先行レビュー

iPhone 13 miniは究極の手のひらスマホだ

iPhone 13シリーズ×ニューカラー

iPhone 13シリーズの新色「スターライト」「シエラブルー」実物の印象はどう?

iOS 15

【レビュー】アップルのiOS 15は欠けていた小さな機能をすべて採用、アップデートは任意だが個人的にはオススメ

米国でApple Walletに証明に使える新型コロナワクチン接種記録を保存可能に

米国では施設に入るのに新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種を証明する書類が必要になる場合もある。Apple(アップル)は電子メールを探し出したり、ポケットにカード実物を携帯したりする手間をなくしたいと考えている。同社は今後行うiPhoneソフトウェアのアップデートの中で、証明として使える新型コロナウイルスのワクチン接種記録をWalletに導入する。この機能では、国際的なSMART Health Cards規格(すでにいくつかの州で採用されている)を利用して、予防接種の証明書を作成し、秘密鍵で署名し、公開鍵を作成して情報を検証します。

リリースされたばかりのiOS 15では、すでに検証可能な予防接種や検査結果を、同じ規格を使って「ヘルスケア」アプリに保存することができる。記録は、QRコードやダウンロード可能なファイル、あるいはiPhoneの「ヘルスケアレコード」を利用する医療機関を通じて受け取ることができる。

Appleは、ユーザーの全データに対して厳格なプライバシーを約束している。同社はユーザーのインポートされたり、共有されたりしたデータへのアクセスは持たず、どこか別のところに送られるときにはすべての情報は暗号化され、安全に保管されなければならない。Appleはまた、ユーザーのワクチン接種記録や、ユーザーがどのように記録を使ったかを確認することはできない。ユーザーは「承認した」サードパーティのアプリと情報を共有できるが、その時、1回限り有効というのが基本だ。

Appleはアップデートをいつリリースするのか明らかにしていない。もしあなたがワクチン接種の有無をコンサート会場やレストランと共有するというコンセプトについて懸念しているなら、この機能は楽しみではないだろう。しかし少なくとも会場に入るプロセスを合理化し、イベントに遅刻しているときには大事なものとなるはずだ。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のJon FingasはEngadgetの寄稿者。

画像クレジット:Apple

原文へ

(文:Jon Fingas、翻訳:Nariko Mizoguchi

【レビュー】アップルのiOS 15は欠けていた小さな機能をすべて追加、アップデートはユーザーに任せだが個人的にはオススメ

iOS 15のリリースは、確かにモバイルOSにおけるビッグイベントだ。しかし2021年は、目立って重要なテーマや画期的な機能はない。今回、Apple(アップル)は、自社アプリの新しい機能に加えて、日常生活的な細部の改良に力を入れている。

その結果、アップデートはとても堅実なものとなり、論争を起こすことはなさそうだ。一部の人、自分のスマートフォンをできるかぎりパーソナルなものにしたいと考え、カスタマイズに長時間を割いているような人たちにとって新しい「集中モード」はうれしいものだろう。また、そうでない人たちは、その新機能に気づかないか、もしくは無視するだろうが。

2021年のアップデートはまた、iOS 15にアップデートしなくてもよい、という点でも変わっている。iOS 14のままで十分、AppleにiOS 15へのジャンプを強いられることはない。現在のままでも、セキュリティパッチはもらえる。だから、iOS 15を完全に無視する人も存在する。

小さな変化のように思えるかもしれないが、それはiOSの現状について多くを語っている。AppleはiOSを、成熟したプラットフォームだと考えている。Macを使っていて、必要なければmacOSを最新バージョンにアップデートしない人もいるように、アップデートは自分のペースでやればよい。

またiOSは、アプリ開発者にとっても成熟したプラットフォームであるため、多くの人が今すぐiOS 15にアップデートしないのであれば、開発者の採用も遅くなるだろう。アプリは以前と比べて長い期間、古いバージョンのiOSで動くはずだ。

もちろんiPhoneそのものを新しい機種に買い替えた場合、それに合わせてiOSの「アップデート」も行われる。

画像クレジット:Apple

スマホ以上にユーザーに「集中」する

iOS 15における最大の変化は、コントロールセンターから集中モードを変更できることだ。これは意外なほど強力な機能で、いろいろなオプションや調整項目がある。Appleの機能ではないみたいだ。

しかしこれは絶対に、iOS 15で最も興味深い機能だ。現在は多くの人が、スマホを触る時間がとても長くなっており、デバイスで行うことや気になることも非常に多くなっている。しかし今度の新機能では、人が主導権を取り戻し、ユーザーである自分が主人公になる。

必要のないときに通知をナシにする「おやすみモード」は、このユーザー主導という考え方をよく表している。iOS 15でこの「おやすみモード」を使い続けたい場合は、そのまま何も変更しなくてよい。

iOS 15からは、集中モードを作成することもできる。デフォルトで仕事、睡眠、運転、フィットネス、マインドフルネス、パーソナル、読書などが用意されている。自分に合わせて、新たな集中モードを作ることもできる。

特定の集中モードをオンにすると、基本的にデフォルトで通知がブロックされる。しかし、人やアプリを追加することで、それらの人やアプリからの通知が届くようにもできる。また、アプリ開発者は、時間的に重要な通知をマークすることで、常に通知を受け取ることも可能だ。この機能が悪用されないことを願う。

さらに3つの設定を有効にすることができる。まず、メッセージや対応するサードパーティ製アプリで、通知が現在ミュートにされていることをオプションで共有することができる。2つ目は、ホーム画面のページを完全に隠せるようになる。3つ目は、ロック画面から通知を隠したり、ホーム画面からバッジを隠したりすることができるようになる。

また、特定の集中モードと自動化機能を組み合わせることで、さらに興味深いものになります。例えば、夜になると自動的に「睡眠」をオンにしたり、出社すると自動的に「仕事」をオンにしたりすることができる。

パワーユーザーは、集中モードをショートカットと組み合わせて使うのも楽しいだろう。例えば、「スリープ」をオンにしたときに「時計」アプリを開くようにショートカットを設定できる。このように、新機能は非常に奥が深く、ベータ版ユーザーはまだ表面をなぞっただけでしかない。

画像クレジット:Apple

すべてのアプリをアップデート

iOS 15では、デフォルトアプリのほとんどすべてがアップデートされた。新たに加わった機能の一部はなかなかすばらしいが、疑問符の付くものもある。

まず、論争を招いたのがSafariの新デザインだ。しかし2021年6月のWWDCで目にしたものは、今では影も形もない。結局Appleはフィードバックを聞き入れて、夏の間にウェブブラウザのインターフェースを変更したのだ。

関連記事:アップルが不評だったSafariの変更点をiOS 15 beta 6で修正、再びアドレスバーの上部表示も可能に

まず、デフォルトではアドレスバーが画面下、ブックマークを開いたり、現在のページをシェアしたり、前のページへ行ったりするボタン列のすぐ上にある。それはとても良いと思うが、アドレスバーを下に置きたくない人は、簡単に上へ戻せる。

それ以外では、Safariの変更はすべて良い改良だ。例えばこのブラウザは今や、前からあるウェブエクステンションをサポートする。Safariは次に、Google Chromeの人気エクステンションもサポートするだろうか?もう1つのすてきな新機能は、タブグループを作れることだ。そしてそのタブグループは、他のデバイスからでも確認できる。

FaceTimeが、多機能なビデオ会議サービスになった。今度からは、リンクを作って友だちと共有したり、「カレンダー」の招待に加えることができる。これで初めて、Appleのデバイスを持ってない人でもFaceTimeの通話にウェブブラウザから参加できるようになる。また、グリッドビューでZoomのビューを見られる。

しかし残念ながら、FaceTimeの機能の大成長は、中途半端だ。オーディオやビデオの再生を友だちなどと同期するSharePlay機能は、この秋の終わりごろリリースされるという。

「天気」アプリもデザインが変更された。情報量が増えて、降雨マップもあり、次の1時間の降雨予報や紫外線指数も表示される。もう、サードパーティ製の天気予報アプリに負けないかもしれない。私は今でもSnowflakeを使っているが、その差は縮まる一方だ。

「メッセージ」は、他のAppleアプリとの統合性が向上された。誰かがあなたに、記事や写真のアルバムやポッドキャストや曲を送ると、Appleの他のアプリや「Apple News」「写真」「ポッドキャスト」「ミュージック」などにそれらのレコメンデーションが出る。これもまた、私がiOS 15をテストしているときにはすてきな追加機能と感じられたが、実際に日常の中でスマートフォンを使ってるときのデバイスの使い方は何も変わらない。

「マップ」は、サンフランシスコの住民にとっては特別に良くなった。何年も使ってなかった人には、おすすめだ。「Googleマップ」の強力な代替アプリになっている。

特にサンフランシスコやロサンゼルス、ニューヨーク、ロンドンなどでは、ビルが3Dで表示され、バスレーンや歩道などもわかる詳細地図を見ることができる。まるで、ビデオゲームの中でそれらの都市を歩いているような詳しさだ。また、場所のカードや、運転者のためのユーザーインターフェース、アプリのセットアップなどもデザインが変わった。

「 写真」も、大きく改良された。毎年、同社は「メモリー」のデザインをすっきりとしたものにしている。ユーザーがそんなに多いアプリではないと思うが、とにかく前より良くなった。写真をスワイプして表示される情報にも、シャッター速度や使用レンズなどが追加され、以前より詳しくなった。

しかし写真ライブラリにおける最大の変化は、写真の中のテキストを検索できることだ。iOSは写真をスキャンしてテキストを見つけ、それをSpotlightの検索に保存する。

同じく、カメラをテキストに向けてそのテキストを指定できる。メニュー上にレストランのアドレスを探したり、旅行中に何かのテキストを翻訳したくなって友だちとシェアしたいときなどに、とても便利だ。

画像クレジット:Apple

ちょっとした特徴や使い方

iOS 14よりもiOS 15が良いといえる小さな変化は山ほどある。ごく一部をリストアップしてみよう。

  • 家のキーやホテルのキー、オフィスのキー、IDカードなどをWalletアプリに入れられる
  • 健康データを誰かとシェアできる。愛する人と遠く離れていたり、ヘルスケアのチームをアップデートしたいとき便利だ
  • iCloudで決済する人は、今やiCloud+のユーザーでもある。ストレージの他に、ベータでiCloud Private Relayを使えるので、ウェブを閲覧するときのプライバシーがアップする。また、Hide My Emailでランダムなメールアドレスを作れるので、ウェブで新しいアカウントを作れる
  • 家族がiCloudのメールアドレスを使っているなら、パーソナルなドメイン名を作ってiCloudをセットアップできる
  • iOSは音声認識機能がデバイス内にあるので、テキストの口述入力が速い
  • しかもiOSはSiriのリクエストの一部もオンデバイスで処理するため、タイマーの起動やアラームのセット、音楽の変更なども瞬間的にできる。私の場合、これでSiriの使い方が変わった
  • iCloudのアカウントにアクセスできなくなったときのために、アカウント回復の連絡先を加えられる。できるだけ多くの人に、二要素認証の利用を説得すべきだ
  • 二要素認証(2FA)といえば、Appleが内蔵しているパスワードマネージャー「パスワード」は今度から2FAの詳細を保存でき、入力欄の自動入力ができる。それは1Passwordのときの2FAとほぼ同じだ
  • 故人を自分のApple IDにすることができるが、人によってはできない場合もあるのでご注意を。Appleが、亡くなった人の写真を使わせてくれないことがあるのだ。
  • リマインダーとノートにタグが追加された。ノートでも人を@メンションできる

ご覧のように、iOS 15の変更箇所のリストはとても長い。しかしそれでも、iOS 15へのアップデートはユーザーの任意だ。昔iPhone OS 3でカット&ペーストとコピペが加わったときは、アップデートするのが当たり前だった。今度の新しい機能も、個人的には好きなので、アップデートの価値があった。「する」か「しない」、本記事がその判断の助けになれば幸いだ。

関連記事:iOS 15へのアップデート可能に、iPadOS 15、watchOS 8も提供開始

画像クレジット:TechCrunch

原文へ

(文:Romain Dillet、翻訳:Hiroshi Iwatani)

iOS 15へのアップデート可能に、iPadOS 15、watchOS 8も提供開始

Apple(アップル)は、iPhone用OSの次のメジャーバージョンである「iOS 15」の最終版をリリースした。ダウンロードは無料で、iPhone 6s以降、両世代のiPhone SE、そして最新のiPod touchで動作うする(iPadユーザーも本日よりiPadOS 15を、さらにwatchOS 8へのアップデートも可能だ)。

iOS 15における最大の変更点は、新しい「Focus mode(集中モード)」の登場だ。「Do not disturb(おやすみモード)」に加えて、さまざまなモードを設定することができます。通知して欲しいアプリや人を選び、何をしているかによって集中することを変えられる。例えば「仕事」「睡眠」「ワークアウト」などを作ることができる。

新しい天気予報アプリ、Apple純正「マップ」における地図の更新、FaceTimeの改良版など、全体的に多くの新機能が搭載。また、Safariも一新されている。

新バージョンのiOSでは、写真をスキャンしてテキストを表示する機能もある。「Live Text」という機能を使えば、写真の中のテキストをハイライトしたり、コピーしたり、ペーストしたりすることができる。この機能は、アクセシビリティの向上にも役立つ。iOSはこの情報をSpotlightに活用する予定だ。写真の中のテキストをSpotlightで直接検索すると、関連する写真が表示される。これらの機能はデバイス上で直接処理されている。

関連記事
【インタビュー】アップルのプライバシー責任者、児童虐待検出機能とメッセージアプリの通信の安全性機能への懸念について答える
【インタビュー】アップルがiOS 15で明らかにした「ヘルスケア」の未来、同社VPが語る初期Apple Watchから現在まで

有料のiCloudユーザーは、iCloud+にアップグレードされた。ストレージ容量の増加に加えて、いくつかの新機能を利用できる。ベータ版として提供されている「iCloud Private Relay」では、プライバシーを確保しながらウェブを閲覧することができる。「Hide My Email」では、ランダムに生成されたEメールアドレスを使って、ウェブ上で新しいアカウントを作成することができる。また、iCloudメールのユーザーは、個人のドメイン名に切り替えることができる。

このアップデートはすでに提供されている。「設定」アプリを利用したワイヤレスでも、iPhoneをコンピュータに接続する有線でもアップデートを行うことができる。作業前には、iPhoneのバックアップを。iPhoneまたはiPadの「設定」アプリを開き、上部にある「アカウント情報」をタップし、次に「デバイス名」をタップして、iCloudのバックアップが最新の状態になっていることを確認しよう。さらに、iOSデバイスをコンピュータに接続して、FinderやWindows用のiTunesで手動バックアップを行うこともできる(iCloudとコンピュータの両方にバックアップをとってもいい)。

iTunesでバックアップを暗号化することをお忘れなく。万が一、誰かがあなたのコンピュータをハッキングしても、安全性が高まる。また、暗号化されたバックアップには、保存されたパスワードやヘルスケアのデータが含まれているため、すべてのオンラインアカウントに再接続する必要はなくなる。

バックアップ作業が終わったら「設定」アプリから「一般」「ソフトウェア・アップデート」の順に進もう。利用可能なアップデートが表示されるはずだ。その後、ダウンロードが可能な状態になると自動的に開始される。

関連記事
迫るiOS 15リリースでマーケティング担当者が失うデータ、計画すべきDIYメトリクス戦略
アップルが「デジタル免許証」をサポートする最初の2州を確保するも、プライバシーに関する疑問は残る
iPhoneのセキュリティ対策もすり抜けるスパイウェア「Pegasus」のNSOによる新たなゼロクリック攻撃
画像クレジット:Apple

原文へ

(文:Romain Dillet、翻訳:Katsuyuki Yasui)

迫るiOS 15リリースでマーケティング担当者が失うデータ、計画すべきDIYメトリクス戦略

Apple(アップル)は、米国時間9月20日(日本時間9月21日)に同社がリリースするiOS 15の一部として、重要なユーザーデータへの開発者のアクセスを排除することを計画しており、メールマーケティング担当者は、これからメトリクスをどのように把握していくかジレンマに陥っている。この問題に業界がどのようにアプローチしているのか、マーケティング担当者が収集したデータに基づいて行動することを支援するソフトウェア企業Movable InkのVivek Sharma(ヴィヴェック・シャルマ)CEOに話を聞いた。

このインタビューでは、8月に掲載されたExtra Crunch記事をベースに、メールマーケティング担当者がAppleのメールプライバシー保護の変更に備える方法を探っていく

今回のアップデートでメールマーケティング担当者にとってゲームチェンジャーなのは、AppleのMailのユーザーが自分のIPアドレスを隠すことができるようになった点だ。

マーケターたちはどのようにして戦術をピボットし、メトリクスを管理し続けられるのだろうか。シャルマ氏は、開封率ではなく、クリック数、コンバージョン数、収益といったダウンストリームメトリクスがより重視されるようになるだろうと考えている。「それはいいことのように聞こえますが、その分データは少なくなります。そして定義上、ファネルは狭くなり、その時点では人数が少ないので、何かがうまくいっているのか、うまくいっていないのかを知るのに時間がかかるかもしれません」。

シャルマ氏は、企業はゼロパーティデータに注目していると語る。「これには2つの要素があります。1つは指標としての『オープン』で、もう1つはオープン時に得られるIPアドレスや時間帯、推測される天候などの情報です。IPアドレスや日時などのような情報は、データ漏洩として認識されます。これらは、マーケターがアクセスできなくなるデータポイントのほんの一部です。そのため、彼らはすでに投資しているファーストパーティデータやゼロパーティデータを利用しています」。

シャルマ氏によると、課題は次のようなことになる。マーケターはどうすれば、ゼロパーティデータをおもしろく、視覚的に魅力的な方法で収集し、そのコンテンツをすべての顧客に対して大規模にパーソナライズできるのか?

以下に示したのは、Movable Inkがゼロパーティデータを収集した方法の1つだ。

「ゼロパーティデータ戦略」
世界的なアパレル小売企業が、ロイヤルティプログラムの導入時にゼロパーティデータを巧みに取り込みました。Movable Inkを利用したEメールでは、Movable Ink ExchangeのパートナーであるOracle CrowdTwistのデータを活用して、パーソナライズされたチェックリストのヒーロー画像を作成し、受信者のロイヤルティアカウントから主要なプロフィール質問を引き出し、完了までの進捗を表示し、回答ごとにポイントを提供しました。この合成画像は、Movable Inkが受信者の受信箱で消費したロイヤルティデータに基づいて自動的に生成され、1to1ユーザー体験を実現し、手動の制作プロセスを完全に回避しました。
​​レスポンス率149%アップ、ユニークCTR340%アップ(コントロール比)
画像クレジット:Movable Ink

シャルマ氏は次のように述べている。「ここにあるものはすべてアンケート調査の質問です。『ふだん何を買いますか』『靴のサイズは?』そして、そのお返しにポイントを付与するという、価値の交換が行われているのです。彼らは明確な方法であなたのことを知り、あなたが興味を持っているブランドと簡単に関わり合える方法を提供しているのです」。

データを手に入れたら、次の問題はそれをどのように利用するかだ。JetBlue(ジェットブルー)航空の例を見てみよう。

JetBlue パーソナライズド「イヤー・イン・レビュー」データ視覚化
2020年は旅行が困難な1年だったのを受けて、JetBlueはTrueBlueマイレージ会員を認識し、個々の乗客の旅行マイルストーンを紹介するために、一人ひとりパーソナライズされた、1年を振り返るデータビジュアライゼーションを提供したいと考えました。
Movable Inkは、JetBlueの記録システムからデータを抽出し、何十万通りもの組み合わせのクリエイティブアセットを各受信者の受信箱に直接自動生成することで、高価で時間のかかる手作業による制作を不要にしました。
画像クレジット:Movable Ink

シャルマ氏は、メールマーケティング担当者向けに、iOS 15での3つの重要なポイントを説明してくれた。

  1. クリック数やコンバージョン数などのファネル下部のメトリクスを重視すること。これこそが本当の意味でのエンゲージメントの指標となります。
  2. ゼロ・ファーストパーティデータ資産に投資する。真のパーソナライゼーションとは、人々が何を体験し、何を見るかということ。そのためには、ゼロパーティデータとファーストパーティデータを活用する必要があります。
  3. Eメールは、すでに投資されている成熟したチャネルであるため、顧客のエンゲージメントを高めるのに非常に有効です。Eメールは、顧客と一対一の関係を築くのにはすばらしいチャネルであり、それ以上の効果があります。この10年、15年の間に、Eメールはさまざまな変化を遂げてきました。この業界は進化し、プライバシーとパーソナライゼーションのバランスが取れたものになっていくでしょう。

画像クレジット:FeelPic

原文へ

(文:Miranda Halpern、翻訳:Aya Nakazato)

【まとめ】アップルが発表した4つiPhone 13、2つのiPad、Apple Watch Series 7のポイントをチェック!

2021年もこの時期がきた。

9月になると、2つのことが起こる。Earth, Wind, &Fireを繰り返し聴くことと、Appleが新しいiPhone(4台)を発表することだ。

予定どおり、Appleは本日、バーチャルイベントを開催し、クパチーノのキャンパスからちょっとしたライブストリーミングを行った。1時間のストリーミングを全部見る時間がなかった人も、ハイライトだけを知りたい人も、いつものようにそのすべてをそれぞれポイントにまとめてご紹介しよう。

新しい2台のiPad

エントリーモデルのiPadとiPad miniの両方がアップデートされた。それぞれの新機能は次のとおりだ。

画像クレジット:Apple

新しいiPad

  • Appleが2019年に「iPhone 11」で初めて導入した「A13 Bionic」チップを搭載。同社によると、前世代と比べて全体的に20%高速化しているとのこと
  • フロントカメラは800万画素から1200万画素の超広角レンズにアップグレード
  • また、iPad Proにも搭載されたセンターフレーム機能により、部屋の中を移動するときに顔が中央に来るように映像を自動的にリフレーミングすることができる
  • 価格は329ドル(日本では税込3万9800円)から。9月24日発売で、すでに予約可能

関連記事:アップルがエントリーモデルのiPadをアップデート、税込3万9800円から

画像クレジット:Apple

新しいiPad mini

  • スリムなベゼルと丸みを帯びたエッジでデザインを一新
  • ディスプレイは7.9インチから8.3インチへと大型化したが、本体サイズは変わらない
  • CPUは40%、GPUは80%高速化
  • USB-Cを採用
  • 5Gモデルも登場
  • 背面カメラには、大幅に改良された12MPカメラとTrue Toneフラッシュが搭載。また標準的なiPadと同様に、フロントカメラにも12MP超広角レンズとセンターフレームを採用
  • 第2世代のApple Pencilにも対応
  • 価格は499ドル(日本では税込5万9800円)。9月24日発売で、すでに予約可能

関連記事:iPad Miniが新デザイン、5G対応、8.3インチディスプレイ採用、過去最大の刷新

Apple Watch

画像クレジット:Apple

AppleはWatch紹介の最初に、iOS 8に搭載されるいくつかの新機能(自転車での転倒検知や、電気自転車での消費カロリー検知のアルゴリズム改善など)を紹介した後、新しいWatch Series 7を発表した。

Apple Watch Series 7

  • ベゼルを狭くしたことで20%の大きさのディスプレイを搭載
  • その大きなディスプレイを活かすために、UI全体でボタンが大きくなる
  • スワイプ式の予測キーボードを搭載し、外出先での文字入力が簡単に
  • Appleによれば、今回のモデルは、史上最強(最も割れにくい)のディスプレイを搭載しており、Apple Watchとして初めて防塵性能のIP6X認証を取得
  • また「最新の充電アーキテクチャ」と「新しいUSB-C充電器」で充電速度が33%向上
  • Series 7の価格は399ドル(日本での価格は未発表)で「2021年の秋の終わり」に出荷を開始する予定

関連記事:Apple Watch Series 7は20%も大きなディスプレイでもっと頑丈に

新しいiPhone

画像クレジット:Apple

iPhone 13、iPhone 13 mini、iPhone 13 Pro、iPhone 13 Pro Maxと、1台でも2台でもなく、4台の新しいiPhoneが登場した。より高速なチップ、より優れたカメラ、より優れたバッテリー駆動時間を搭載、実現している。

画像クレジット:Apple

iPhone 13とiPhone 13 mini

  • どちらもAppleの新しいA15 Bionicチップを搭載。6コアのCPU(2つの高性能コアと4つの高効率コア)と4コアのGPUを搭載し、Appleがデバイス上の機械学習に採用しているニューラルエンジンも大きく進化している
  • 「Ceramic Shield」は他のどのスマートフォンのガラスよりも頑丈だと、Appleはいう
  • IP68の防水性能
  • 28%明るくなったディスプレイ
  • iPhone 13は6.1インチ、iPhone 13 miniは5.4インチ
  • スクリーン上のスピーカーが後ろの人を見たときにカメラのフォーカスを自動的に移動させるなど、機械学習を利用したワイルドな新モード「シネマティック」。
  • 64GBモデルはついに引退。ベースモデルのストレージは128GB
  • Appleによると、iPhone 13 miniのバッテリー駆動時間は1時間半改善され、ほとんどのiPhone 13ユーザーは1回の充電で2時間半長く使えるようになるという
  • iPhone 13は799ドル(日本では税込9万8800円)から、iPhone 13 miniは699ドル(日本では税込8万6800円)から

関連記事:iPhone 13バッテリー性能だけでなくはカメラ機能も向上、税込9万8800円から

iPhone 13 Pro and Pro Max

画像クレジット:Apple

  • 「Ceramic Shield」の採用に加え、A15にアップグレードし、5コアのGPUを搭載
  • ウワサどおり、リフレッシュレートを最大120Hzまで調整できるディスプレイを搭載。動きやスクロールが非常に滑らかになる
  • 背面には光学3倍ズームの望遠レンズ、超広角レンズ、広角レンズの3つのカメラを搭載。ナイトモードは、3つのカメラ(従来は対応していなかった望遠レンズを含む)に対応している
  • サイズは2種類。Proは6.1インチ、Pro Maxは6.7インチ
  • ストレージ容量が足りないという人のために、1TBモデルも登場
  • Proは999ドル(日本では税込12万2800円)から、Pro Maxは1099ドル(日本では税込13万4800円)から。9月17日に予約開始、9月24日出荷予定。

関連記事:iPhone 13 ProとPro Maxは120Hz画面、3倍光学ズームを加えた3眼カメラでより「Pro」に

その他の情報

  • iOS 15は9月20日に配信される
  • AppleのFitness+サービスが、オーストリア、ブラジル、コロンビア、フランス、ドイツ、メキシコ、ロシアを含む15の新しい国で展開される。ワークアウトは英語で行われ、6カ国語で字幕が表示される。また、iMessageやFaceTimeから起動できるグループワークアウトも開始され、ハングアウトとワークアウトをマルチタスクで行うことができるようになる
  • AppleのMagSafeウォレットは、ウォレットが携帯電話から外れてしまった場合、「探す」アプリを通じて最後に確認した位置を表示できるようになる

関連記事
次期iOS 15のアップデートは9月21日から
アップルが瞑想やグループワークアウト機能を「Fitness+」サブスクに追加、15カ国で新たに展開
アップルの新MagSafeウォレットは紛失時に「探す」アプリと連動

画像クレジット:Apple

原文へ

(文:Greg Kumparak、翻訳:Katsuyuki Yasui)

次期iOS 15のアップデートは9月21日から

米国時間9月14日の発表イベントの直後、Apple(アップル)はiOSの次期メジャーバージョンがまもなく登場することを明らかにした。iPhoneユーザーは日本時間9月21日にiOS 15にアップデートできるようになる。同社は2021年6月のWWDCでiOS 15を初めて紹介した

iOS 15の最大の変更点は新機能の「集中モード」だ。「おやすみモード」以外にもさまざまなモードを設定できる。アプリや、通知を許可する連絡先を選び、何に集中するかを設定する。例えば「作業」「睡眠」「ワークアウト」などのモードを自分で作成できる。

新しくなった「天気」や地図が更新された「マップ」、機能が充実した「FaceTime」など、全般にわたって新機能がたくさんある。「Safari」も外観が新しくなる。発表直後はやや物議を醸していたが、その後Appleはフィードバックに耳を傾けて調整した。

関連記事
アップルがiOS 15発表、「つながり続ける」「集中する」といった4つの柱を掲げFaceTime、通知などの新機能満載
アップルが物議を醸しているiOS 15のSafariの変更を最新ベータで微調整

iOS 15では写真に写っている文字が認識される。テキスト認識表示と呼ばれているこの機能により、写真の中のテキストを選択し、コピー&ペーストできる(訳注:テキスト認識表示は英語、中国語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、ポルトガル語、スペイン語に対応)。アクセシビリティの機能としても有効だろう。iOSはこの情報をSpotlightで利用する。写真の中のテキストをSpotlightで直接検索し、関連する写真を探せる。これらの機能はデバイス上で処理される。

iPhone 6s以降、iPhone SEの第1世代と第2世代、iPod touch(第7世代)はiOS 15にアップデートできる。アップデートは無料だ。

iOS 15のベータ版が動作しているデバイスには、9月21日の正式リリースを前にRC版が公開されている。

現状のままiPhoneを使いたい場合は、iOS 15にアップデートしない選択肢もあるとAppleは公表している。当面はiOS 14向けのセキュリティアップデートが引き続き提供される。

原文へ

(文:Romain Dillet、翻訳:Kaori Koyama)

アップルが「デジタル免許証」をサポートする最初の2州を確保するも、プライバシーに関する疑問は残る

人々のお財布をデジタル化するというApple(アップル)の計画は、徐々に形になってきている。最初は飛行機の搭乗券や会場のチケットだったものが、後にクレジットカード地下鉄の乗車券学生証などに広がった。同社が次にデジタル化することを目指しているのは運転免許証や州発行の身分証明書で、年内に予定されているiOS 15のアップデートでサポートする予定だ。

関連記事
iPhoneやApple Watchでベイエリアの公共交通機関支払いが可能に
アップルは非接触型の学生証の導入をさらに多くの大学に拡大
iOS 15ではさらにセキュリティとプライバシー保護機能が充実

しかし、そのためには州政府の協力が必要だ。というのも、米国で運転免許証やその他の身分証明書を発行しているのは州政府であり、州ごとに身分証明書の発行方法は異なるからだ。Appleは米国時間9月1日、デジタル運転免許証や州発行の身分証明書を導入するために、これまでにアリゾナ州とジョージア州の2つの州との提携を確保したと発表した。

コネチカット州、アイオワ州、ケンタッキー州、メリーランド州、オクラホマ州、ユタ州がこれに続く見込みだが、展開のスケジュールは明かされていない。

Appleは2021年6月に、デジタル免許証とデジタルIDのサポートを開始すると発表した。また、米国内を飛行機で移動する際に必要なのは州発行のIDのみであることから、運輸保安局(TSA)はいくつかの空港でiPhoneからのデジタル免許証の受付を開始する最初の機関となる、とも述べた。TSAのチェックポイントでは、デジタルウォレットをIDリーダーにタップして提示することができるようになる。Appleによれば、この機能は安全で、携帯電話を係員に渡したりロックを解除する必要はないという。

デジタル免許証とIDのデータはiPhoneに保存されるが、運転免許証は参加州による照合が必要だ。何百万人ものドライバーや旅行者をサポートしつつ、偽IDの混入を防ぐためには、それが大規模かつ迅速に行われなければならない。

免許証や身分証明書のデジタル化の目的は、特定の問題を解決することではなく、利便性だ。しかし、この動きはプライバシー専門家からは信頼を得られていない。彼らは、Appleがこの技術をどのように構築し、それにより最終的に何を得るのかについて、透明性に欠けていると嘆いている。

Appleは、デジタルID技術がどのように機能するのか、また、iPhoneにデジタル免許証を登録するプロセスの一環として州政府がどのようなデータを取得するのかについて、まだ多くを語っていない。また、同社は自撮り写真を撮影してユーザーを認証するという、未発表の新しいセキュリティ認証機能にも取り組んでいるが、これは他人が勝手に免許証を使用するのを防ぐためらしい。これらのシステムに本質的な問題や欠陥があるというわけではないが、Appleが今後答えるべき、プライバシーに関する疑問が多くある。

しかし、米国内のデジタル免許証やIDの断片的な状況は、Appleの参入をもってしても、一夜にして見通しが良くなるということはないだろう。MuckRockによる最近の公文書開示請求では、Appleは2019年の時点で、カリフォルニア州やイリノイ州を含むいくつかの州とiPhoneにデジタル免許証やIDを導入することについて接触していたことがわかったが、現在はどちらの州もAppleから発表されていない。

ウィスコンシン州サウスカロライナ州ロードアイランド州は、WWDCで発表されたまさにその日にAppleのデジタル免許証計画を知ったため、導入はさらに遅れると思われる。

関連記事:また批判を浴びるアップルの児童虐待検出技術
画像クレジット:Apple / supplied

原文へ

(文:Zack Whittaker、翻訳:Aya Nakazato

iPhoneのセキュリティ対策もすり抜けるスパイウェア「Pegasus」のNSOによる新たなゼロクリック攻撃

2021年初め、バーレーンの人権活動家のiPhoneが、国家に販売されている強力なスパイウェアによってハッキングされ、Apple(アップル)が不正アクセス対策のために設計した新セキュリティ保護機能が破られたとCitizen Lab(シチズン・ラボ)の研究者らが発表した。

関連記事:自分のスマホがNSOのPegasusスパイウェアにやられたか知りたい人はこのツールを使おう

匿名希望の同活動家は、湾岸諸国の人権を促進する非営利団体として受賞歴のあるBahrain Center for Human Rights(バーレーン人権センター)に所属しており、現在もバーレーンを拠点としている。同センターは2004年に当時の首相を批判したディレクターが逮捕された後、バーレーン王国から禁止令が出されたものの、現在も活動を継続している。

トロント大学のインターネット監視機関であるCitizen Labは、同活動家のiPhone 12 Proを分析。ユーザーの操作を一切必要としない、いわゆる「ゼロクリック攻撃」を用いて2月からハッキングされていたという証拠を発見した。ゼロクリック攻撃は、AppleのiMessageに存在する未知のセキュリティ脆弱性を利用したもので、これがイスラエルのNSO Groupが開発したスパイウェア「Pegasus」を同活動家のiPhoneに送り込むために利用されたとみられている。

Citizen Labの研究者によると、攻撃者は当時最新のiPhoneソフトウェアであるiOS 14.4とAppleがその後5月にリリースしたiOS 14.6を悪用してゼロクリック攻撃を成功させているため、今回のハッキングはなおさら重要な意味を持つという。今回のハッキングでは、iOS 14のすべてのバージョンに組み込まれ、iMessageで送信された悪意のあるデータをフィルタリングすることでこの種のデバイスのハッキングを防ぐことを目的とする新しいソフトウェアセキュリティ機能(BlastDoorと呼ばれる)が回避されているのだ。

関連記事
AppleがiOS 14.4を公開、ハッカーが悪用した3カ所の脆弱性を修正
アップルがWWDC21のスケジュールやOSアップデートを多数発表

BlastDoorを回避できることから、研究者らはこの最新のエクスプロイトを「ForcedEntry」と呼んでいる。

Citizen LabのBill Marczak(ビル・マーザック)氏がTechCrunchに話してくれたところによると、最新のiPhoneをターゲットにして悪用しようとする試みが起きているという事実を研究者らはAppleに伝えてあるという。TechCrunchの取材に対してAppleは、NSOが悪用している脆弱性を発見して修正したかどうかについて明確に言及していない。

Appleのセキュリティ・エンジニアリング・アーキテクチャ部門の責任者であるIvan Krstic(イヴァン・クルスティッチ)氏は、米国時間8月24日に再度発表された定型的なステートメントの中で次のように述べている。「Appleはジャーナリストや人権活動家、その他の世界をより良い場所にしようとしている人々に対するサイバー攻撃を強く非難します【略】今回のような攻撃は、開発に莫大な費用がかかる非常に高度なもので、有効性が短いことが多く、また特定の個人を標的にしています。そのため圧倒的多数のユーザーにとってこれは脅威ではないといえますが、私たちはすべてのお客様を守るためにたゆまぬ努力を続けており、お客様のデバイスやデータを守るための新しいセキュリティ機能を常に追加して参ります」。

Appleの広報担当者は、iMessageの安全性を確保するため、同社はBlastDoor以外の対策にも取り組んでおり、2021年9月以降にリリースされる予定のiOS 15では防御をさらに強化していると伝えている。

関連記事:アップルがWWDC2021でひっそり発表した7つのセキュリティ新機能

2020年6月から2021年2月の間にバーレーンの人権活動家をはじめとする8名のバーレーン人活動家が標的にされた背景には、バーレーン政府が存在する可能性が高いとCitizen Labは話している。

バーレーンは、サウジアラビア、ルワンダ、アラブ首長国連邦、メキシコなどと並び、Pegasusの政府顧客として知られている権威主義国家の1つである。ただし、NSOは機密保持契約を理由に、数十社にのぼる顧客名の公開を繰り返し拒否し続けている。

対象となったバーレーン人のうち5名の電話番号が、スパイウェアPegasusの監視対象となりうるとしたPegasus Project の5万件の電話番号リストに掲載されていた。つまり政府顧客は対象者のデバイスにほぼ完全にアクセスでき、個人データ、写真、メッセージ、位置情報などを取得できるということである。

これらの電話番号のうちの1つは、バーレーン人権センターの別のメンバーのもので、Citizen Labによると、同センターはForcedEntryよりも前から存在する、Kismetと呼ばれる別のゼロクリック・エクスプロイトの標的に数カ月前からなっていたという。Citizen Labによると、BlastDoorが導入されて以来KismetはiOS 14以降では動作しなくなっているものの、iPhoneの古いバージョンを使用しているデバイスにはまだリスクがあるとのことだ。

現在ロンドンに亡命している他の2人のバーレーン人も、iPhoneをハッキングされている。

以前、バーレーン政府に販売されたスパイウェア「FinFisher」の標的となったフォトジャーナリストのMoosa Abd-Ali(ムーサ・アブドアリ)氏は、ロンドン在住中にiPhoneをハッキングされている。Citizen Labは、バーレーン政府のスパイはバーレーン国内と隣国のカタールでしか確認されていないとし、Pegasusにアクセスできる別の外国政府がハッキングを行ったのではないかと伝えている。最近の報告では、バーレーンの友好同盟国であるアラブ首長国連邦が、英国内の電話番号を選択している「主要な政府」であることが判明している。アブドアリ氏の電話番号もまた、5万件の電話番号リストに含まれていた。

バーレーン人活動家であるYusuf Al-Jamri(ユスフ・アルジャミリ)氏も2019年9月より前に、バーレーン政府によるものと思われるiPhoneのハッキングを受けているが、同氏のiPhoneがバーレーンにいるときにハッキングされたのか、ロンドンにいるときにハッキングされたのかはわかっていない。アルジャミリ氏は2017年に英国への亡命が認められている。

人権侵害、インターネット検閲、広範な抑圧が長年にわたって行われてきたにもかかわらず、この7名のバーレーン人は同王国で活動を続けている。国境なき記者団は、バーレーンの人権問題を、イラン、中国、北朝鮮に次ぐ世界で最も制限の厳しい国の1つとして位置づけている。米国務省が2020年に発表したバーレーンの人権に関する報告書では、同国がかなりの違反や乱用を行なっており、同政府が「コンピュータープログラムを使って国内外の政治活動家や反対派のメンバーを監視している」と指摘している。

NSO Groupに問い合わせたところ、彼らは具体的な質問に答えることはなく、またバーレーン政府が顧客であるかどうかについても言及することはなかった。NSOの広報担当者とされる人物が外部の広報会社であるMercury(マーキュリー)を通じて発表した声明の中で、同社はCitizen Labの調査結果を見ていないとし「システムの悪用に関連する信頼できる情報」を受け取った場合には調査を行うと述べている。

NSOは最近、人権侵害を理由に5つの政府顧客のPegasusへのアクセスを遮断したと主張している

バーレーン政府の広報担当者であるZainab Al-Nasheet(ザイナブ・アルナシート)氏は、TechCrunchに対して「これらの主張は、根拠のない主張と見当違いの結論に基づいています。バーレーン政府は個人の権利と自由を守ることを約束します」と伝えている。

バーレーンで逮捕され、拷問を受けたというアブドアリ氏。英国に来ればこれで安全だと思っていたが、スパイウェアの被害者の多くがそうであるのと同様に、同氏も未だデジタル監視だけでなく物理的な攻撃にも見舞われているという。

「英国政府は私を守るどころか、イスラエル、バーレーン、アラブ首長国連邦という3つの同盟国が共謀して私や他の数十人の活動家のプライバシーを侵害している間、ただ沈黙を貫いているのです」と同氏はいう。

関連記事:45カ国と契約を結ぶNSOのスパイウェアによるハッキングと現実世界における暴力の関連性がマッピングで明らかに
画像クレジット:Jaap Arriens / NurPhoto / Getty Images

原文へ

(文:Zack Whittaker、翻訳:Dragonfly)

【インタビュー】アップルのプライバシー責任者、児童虐待検出機能とメッセージアプリの通信の安全性機能への懸念について答える

先にApple(アップル)は、同社の端末を使う児童の安全性の向上を目的とした一連の新機能を発表した。この新機能はまだリリースされていないが、2021年後半にはダウンロード配信される予定だ。これらの機能は、未成年の保護と児童性的虐待画像の拡散を抑えることをも目的としており、良い機能として受け入れられているものの、アップルが採用しているやり方に疑問の声が上がっている。

関連記事:アップルがiCloud上の児童虐待画像を検出する新技術「NeuralHash」導入へ

この記事では、アップルのプライバシー担当責任者Erik Neuenschwander(エリック・ノイエンシュバンダー)氏に、アップル製端末に搭載されるこれらの新機能について話を聞いた。同氏は、この機能についてユーザーが抱いている多くの懸念について丁寧に回答してくれた。この機能の導入後に発生する戦術的、戦略的な問題についても詳しい話を聞くことができた。

また、密接に関連しているが、同じような目的を持つ完全に独立したシステム群であるこれらの機能の導入についても話を聞いた。アップルは今回3つの機能を発表しているが、これらの機能はその守備範囲においても、一般ユーザーの間でも、混同されることが多いようだ。

iCloud写真でのCSAM検出NeuralHashと呼ばれる検出システムは、全米行方不明・被搾取児童センターやその他の組織のIDと照合可能なIDを作成し、iCloud写真ライブラリにある既知のCSAMコンテンツを検出する。大半のクラウドプロバイダーでもユーザーライブラリをスキャンしてこうした情報を取得しているが、アップルのシステムは、クラウド上ではなく端末上でマッチングを行う点が異なる。

メッセージアプリの通信の安全性親がiCloudファミリーアカウントで未成年向けにオンにできる機能。画像を表示しようとする子どもたちに、その画像には露骨な性的表現が検出されていることを警告し、親にも同じ警告がなされることを通知する。

Siriと検索への介入:Siriや検索を介して児童性的虐待画像関連の表現を検索しようとするユーザーに介入して、そのユーザーに介入を通知し、リソースを紹介する。

これらの機能の詳細については、当社の記事(上記にリンクがある)またはアップルが先に投稿した新しいFAQを参照いただきたい。

関連記事:アップルがメッセージアプリで送受信される性的な画像を検知し子どもと親に警告する新技術を発表

筆者は、個人的な体験から、上記の最初の2つのシステムの違いを理解していない、あるいは、自分たちの子どもの無害な写真でも何らかのフィルターに引っかかって厳しい調査を受ける可能性があると考えている人たちがいることを知っている。ただでさえ複雑な内容の発表に混乱を生じさせる結果となっているようだ。この2つのシステムはもちろん、組織がすでに虐待画像と認識しているコンテンツと完全に一致するコンテンツを検索するCSAM検出システムとは完全に別個のものである。メッセージアプリの通信の安全性では、すべての処理が端末上で実行され、外部には一切報告されない。単に、端末を使っている子どもに、性的に露骨な画像を表示しようとしている、またはその可能性があることを、その場で警告するだけである。この機能は親によるオプトイン方式となっており、有効化されていることを親も子どもも意識する必要はない。

アップルのメッセージアプリの通信の安全性機能(画像クレジット:Apple)

また、端末上で写真をハッシュ化しデータベースを使って比較対照できるIDを作成する方法についても疑問の声が上がっている。NeuralHashは、写真の高速検索など、他の種類の機能にも使用できるテクノロジーだが、iPhone上では今のところCSAMの検出以外には使用されていない。iCloud写真が無効になっている場合、この機能は、まったく動作しない。これにより、この機能をオプトアウトできるようにしているのだが、iCloud写真がアップルのオペレーティングシステムに統合されていることの利便性を考えると、オプトアウトすることで失うものが非常に大きいことは明らかだ。

エリック・ノイエンシュバンダー氏へのインタビューでは、これらの新機能について考えられるすべての質問に答えているわけではないが、アップルの上級プライバシー担当者による公開の議論としては、最も詳細な内容になっている。アップルがこれらの新機能の内容を公開しており、継続的にFAQを更新し、記者会見を開いていることから、同社はこのソリューションに明らかに自信を持っているように思われる。

この機能については、さまざまな懸念や反対意見があるものの、アップルは、必要なだけ時間をかけてすべての人たちに納得してもらうことに尽力しているようだ。

このインタビューはわかりやすくするために編集されている。

ーーー

TC:大半の他のクラウドプロバイダーは、すでにCSAM画像のスキャンをかなりの期間実施していますが、アップルはまだ行っていません。現在、サーバー上でCSAM画像の検出を行うことを強制する規制はありませんが、EUやその他の国では規制による混乱が起こっています。今回の新機能はこうした動きを受けてのことでしょうか。なぜ、今なのですか。

なぜ今リリースするのかという点については、児童の虐待からの強力な保護とユーザーのプライバシーのバランスをとるテクノロジーが実現したということに尽きます。アップルはこの分野にかなりの期間注目してきました。これには、クラウドサービス上のユーザーのライブラリ全体をスキャンする最先端の技術が含まれますが、ご指摘のとおり、アップルはこうした処理、つまりユーザーのiCloud写真を走査するという処理を行ったことがありません。今回の新システムもそうした処理は一切行いません。つまり、端末上のデータを走査することもなければ、iCloud写真に格納されているすべての写真を走査することもありません。では、何をやっているのかというと、既知のCSAM画像が蓄積し始めているアカウントを特定する新しい機能を提供しているのです。

ということは、この新しいCSAM検出テクノロジーが開発されたことが重要な転機となって、このタイミングで今回の機能をリリースすることになったというわけですね。しかも、アップル自身も満足のいく形で、なおかつユーザーにとっても「良い」方法でこの機能を実現できると考えていると。

そのとおりです。この機能には、同じくらい重要な2つの目的があります。1つはプラットフォーム上での児童の安全性を向上させること、もう1つはユーザーのプライバシーを保護することです。上記の3つの機能はいずれも、上記の2つの目的を実現するテクノロジーを組み合わせることで実現されています。

メッセージアプリの通信の安全性機能とiCloud写真でのCSAM検出機能を同時に発表したために、両者の機能と目的について混乱が生じているようです。これらを同時に発表したことは良かったのでしょうか。また、この2つが別個のシステムなら、なぜ同時に発表されたのでしょうか。

確かにこれらは2つの別個のシステムですが、Siriと検索における当社による介入の増加に伴って開発されたものです。アップルのiCloud写真サービスの中の既知のCSAMのコレクションが格納されている場所を特定することも重要ですが、その上流部分を特定することも重要です。上流部分もすでにひどい状況になっています。CSAMが検出されるということは、すでにレポートプロセスの処理対象になったことのある既知のCSAMが存在しており、それが広範囲に共有されて子どもたちが繰り返し犠牲になっているということです。そもそも最初にそうした画像が作成される原因となった虐待があり、そうした画像の作成者がいたはずです。ですから、そうした画像を検出することも重要ですが、人々が問題のある有害な領域に入ろうとするときに、あるいは、虐待が発生し得る状況に子どもたちを仕向ける虐待者がすでに存在している場合に、早期に介入することも重要です。メッセージアプリの通信の安全性と、Siriおよび検索に対する当社の介入は、まさにその部分に対する対応策です。つまり、アップルはCSAMに至るまでのサイクルを遮断しようと試みているのです。最終的にはCSAMがアップルのシステムによって検出されることになります。

iCloud写真システムにおけるアップルのCSAM検出プロセス(画像クレジット:Apple)

世界中の政府と政府機関は、何らかのエンド・ツー・エンドまたは部分的な暗号化を組織内で使用している大規模組織に常に圧力をかけています。政府機関は、バックドアや暗号解読手段に賛成する理論的根拠として、CSAMやテロにつながる可能性のある活動を抑えることを挙げることがよくあります。今回の新機能および端末上でのハッシュ照合を実現する機能をリリースするのは、それらの要求を回避し、ユーザーのプライバシーを犠牲にすることなく、CSAM活動を追跡し防止するために必要な情報を提供できることを示すための取り組みでしょうか。

最初に、端末上での照合についてですが、このシステムはマッチング結果を(通常マッチングと考えられているような方法で)端末または(端末が作成するバウチャーを考えている場合でも)アップルに公開しないように設計されている、という点を申し添えておきます。アップルは個々の安全バウチャーを処理することはできません。このシステムは、あるアカウントに、違法な既知のCSAM画像に関連付けられたバウチャーのコレクションが蓄積した時点で初めて、そのユーザーのアカウントについて調査できるように設定されています。

なぜそんなことをするのかというと、ご指摘のとおり、これはユーザーのプライバシーを保護しながら検出機能を実現するための仕組みだからです。我々の動機となっているのは、デジタルエコシステム全体で児童の安全性を高めるためにもっと多くのことを行う必要があるという事実です。上記の3つの機能はすべて、その方向への前向きな一歩になると思っています。同時に、アップルが、違法行為に関わっていない人のプライバシーを侵害することも一切ありません。

端末上のコンテンツのスキャンとマッチングを可能にするフレームワークを作成するというのは、法的執行機関の外部のフレームワークを作るということでしょうか。つまり「アップルはリストを渡します。ユーザーのデータをすべて検索するようなことはしたくありませんが、ユーザーに照合して欲しいコンテンツのリストを渡すことはできます」ということでしょうか。そのリストをこのCSAM画像コンテンツと照合できるなら、探しているCSAM画像以外のコンテンツとも照合できますよね。それは、アップルの現在の考え方、つまり「アップルはユーザーの端末を復号化できない。端末は暗号化されていて、我々はキーを持っていないのだから」という立場を損なうことになりませんか。

その立場は一切変わりません。端末は依然として暗号化されていますし、アップルは復号化キーも持っていません。今回の新システムは端末上のデータに対して機能するように設計されています。アップルが作成したのは端末側コンポーネントです。プライバシーを向上させる端末側コンポーネントも含まれています。サーバー上のユーザーデータをスキャンして評価するやり方もあったわけですが、そのほうが(ユーザーの承認なしに)データを自由に変更できるし、ユーザーのプライバシーも低いのです。

今回のシステムは、端末側コンポーネントとサーバー側コンポーネントで構成されています。端末側コンポーネントは、バウチャーを作成するだけで何も認識しません。サーバー側コンポーネントには、バウチャーと、アップルのサービスに入ってくるデータが送信され、当該アカウントについて、違法なCSAM画像のコレクションが存在するかどうか調査されます。つまり、サービス機能です。話が複雑になりますが、このサービスの機能に、バウチャーが端末上に作成される部分が含まれているのですが、何度も申し上げているとおり、端末上のコンテンツの内容が認識されることは一切ありません。バウチャーを生成することで、サーバー上ですべてのユーザーのコンテンツを処理する必要がなくなりました。もちろん、アップルはiCloud写真の内容を処理したことも一切ありません。そのようなシステムは、プライバシー保護の観点から、より問題を起こしやすいと思います。ユーザーに気づかれずにシステムを本来の設計意図とは異なるものに変更できてしまうからです。

このシステムに関して大きな疑問が1つあります。アップルは、CSAM画像以外のコンテンツをデータベースに追加して端末上でチェックするよう政府やその他の機関から依頼されたら拒否すると明言しました。アップルには、ある国で事業展開したければ、その国の法律に最高レベルで準拠しなければならなかった例が過去にあります。中国の件が良い例です。政府からシステムの意図的改ざんを要求または依頼されても、アップルは、そうした干渉を一切拒否するという約束は本当に信頼できるのでしょうか。

まず、このシステムは米国内でのみ、iCloudアカウントのみを対象としてリリースされます。ご質問では国全般または米国以外の国からの要請を想定されているようです。少なくとも米国の法律では、こうした要請を政府が行うことは許されていないと思われます。

システムを改ざんする試みについてですが、このシステムには、多くの保護機能が組み込まれており、児童虐待画像を保持している個人を(政府が)特定するにはあまり役立たないようになっています。ハッシュリストはオペレーティングシステムに組み込まれるのですが、アップルは1つのグローバルなオペレーティングシステムのみを所有しており、個々のユーザー向けにアップデートを配信することはできません。ですから、ハッシュリストはシステムを有効にしているすべてのユーザーに共有されます。第2に、このシステムでは、(バウチャーの中身を見るには)画像のしきい値を超える必要があるため、個人の端末または特定のグループの端末から単一の画像を探し出すことはできません。というのは、システムはアップルに、サービスに保存されている特定の画像について一切情報を提供しないからです。第3に、このシステムには手動によるレビュー段階が組み込まれています。つまり、あるアカウントに、違法なCSAM画像のコレクションが保存されていることを示すフラグが立つと、外部の機関に報告する前に、アップルのチームがその画像が確かに違法なCSAM画像と一致していることを確認するようになっています。ですから、ご指摘のような状況(アップルが政府の要請に応じてシステムを改ざんするような事態)が発生するには、例えばアップルに内部プロセスを変更させて違法ではない(既知のCSAM以外の)コンテンツも報告させるようにするなど、本当に多くの作業を行う必要があります。それに、アップルは、そうした要請を行うことができる基盤が米国内に存在するとは考えていません。最後に付け加えておきますが、ユーザーはこの機能を有効にするかどうかを選択できます。この種の機能が気に入らなければ、iCloud写真を使わない選択をすればよいだけです。iCloud写真が無効になっていれば、このシステムは一切機能しません。

iCloud写真が無効になっていればこのシステムは機能しないと、確かにFAQでも明言されています。この点について具体的にお聞きしますが、iCloud写真が無効になっている場合でも、このシステムは端末上で写真のハッシュの作成を継続するのでしょうか。それとも、無効にした時点で完全に非アクティブな状態になるのでしょうか。

ユーザーがiCloud写真を使用していない場合、NeuralHashは実行されず、バウチャーも生成されません。CSAMの検出では、ニューラルハッシュがオペレーティングシステムイメージの一部である既知のCSAMハッシュのデータベースと比較対照されます。iCloud写真を使用していない場合、安全バウチャーの作成やバウチャーのiCloud写真へのアップロードなどの追加部分は、一切実行されません。

アップルは近年、端末上での処理によりユーザーのプライバシーが保護されるという事実に注目しています。今思い浮かぶ過去のすべての事例において、これは真実です。確かに、例えば写真をスキャンしてそのコンテンツを特定し、検索できるようにするといった処理は、ローカルの端末上で実行し、サーバーには送信しないで欲しいと思います。しかし、この機能の場合、外部の使用ケースがなければ個人的な使用をスキャンするのではなくローカルの端末をスキャンするという点で、ある種の抗効果が発生し、ユーザーの気持ちに「信頼性の低下」というシナリオが生まれる可能性があるように思います。それに加えて、他のすべてのクラウドプロバイダーはサーバー上をスキャンすることを考慮すると、この実装が他のプロバイダーとは異なるため、ユーザーの信頼性が低下するのではなく向上するのはなぜか、という疑問が生じるのですが。

アップルの方法は、業界の標準的な方法と比較して、高い水準にあると思います。すべてのユーザーの写真を処理するサーバー側のアルゴリズムでは、どのようなものであれ、データ漏洩のリスクが高くなり、当然、ユーザーのライブラリ上で行う処理という点で透過性も低くなります。これをオペレーティングシステムに組み込むことで、オペレーティングシステムの完全性によって他の多くの機能にもたらされているのと同じ特性を実現できます。すべてのユーザーが同じ1つのグローバルなオペレーティングシステムをダウンロードおよびインストールするため、個々のユーザー向けに特定の処理を行うのはより難しくなります。サーバー側ではこれは実に簡単にできます。いくつかのプロパティを用意しそれを端末に組み込んで、この機能が有効になっているすべてのユーザーでプロパティ設定を統一できることで、強力なプライバシープロパティが得られます。

第2に、オンデバイステクノロジーの使用によってプライバシーが保護されるというご指摘ですが、今回のケースでは、まさにおっしゃるとおりです。ですから、ユーザーのライブラリをプライバシー性の低いサーバー上で処理する必要がある場合の代替策になります。

このシステムについて言えるのは、児童性的虐待画像という違法行為に関わっていないすべてのユーザーのプライバシーが侵害されることは一切なく、アップルがユーザーのクラウドライブラリに関して追加の情報を得ることも一切ないということです。この機能を実行した結果としてユーザーのiCloud ライブラリが処理されることはありません。その代わりに、アップルは暗号的に安全なバウチャーを作成できます。このバウチャーには数学的プロパティが設定されています。アップルがコンテツを復号化したり画像やユーザーに関する情報を取得できるのは、そのユーザーが、CSAMハッシュと呼ばれる違法な画像ハッシュに一致する写真を収集している場合だけです。一方、クラウド処理スキャンサービスでは、まったく状況が異なります。すべての画像を復号化された形式でくまなく処理し、ルーチンを実行して誰が何を知っているのかを決定するからです。この時点で、ユーザーの画像に関して必要なことは何でも確定できます。それに対して、アップルのシステムでは、NCMECおよび他の児童虐待保護組織から直接入手した既知のCSAM画像ハッシュのセットに一致することが判明した画像について知ることしかできません。

このCSAM検出機能は、端末が物理的にセキュリティ侵害されたときにも全体として機能しますか。何者かが端末を手元で操作できれば、暗号がローカルに迂回されることもあります。これを防ぐための保護レイヤーはありますか。

これは難しく、犠牲が大きい問題ですが、非常に稀なケースであることを強調しておきたいと思います。この問題はほとんどのユーザーにとって日常的な関心事ではありませんが、アップルはこの問題を真剣に受け止めています。端末上のデータの保護は我々にとって最重要事項だからです。では、誰かの端末が攻撃されたという仮説の下で説明してみます。その攻撃は極めて強力なので、攻撃者が対象ユーザーに対して行えることはたくさんあります。攻撃者にはアクセス可能なユーザーのデータが大量にあります。誰かの端末のセキュリティを侵害するという極めて難しい行為をやってのけた攻撃者にとって最も重要なことが、アカウントの手動レビューを起動させることだという考え方は合理的ではありません。

というのは、思い出して欲しいのですが、しきい値が満たされていくつかのバウチャーがアップルによって復号化されても、次の段階で手動レビューによって、そのアカウントをNCMECに報告するべきかどうかを決定するわけですが、我々は合法的な高価値レポートであるケースでのみこうした報告を行うべきだと考えています。我々はそのようにシステムを設計していますが、ご指摘のような攻撃シナリオを考えると、攻撃者にとってあまり魅力的な結果にはならないと思います。

画像のしきい値を超えた場合のみ報告されるのはなぜですか。CSAM画像が1つ見つかれば十分ではないでしょうか。

NCMECに対してアップルが報告するレポートは高価値でアクション可能なものにしたいと考えています。また、すべてのシステムについて共通しているのは、その画像が一致するかどうかにある程度の不確かさが組み込まれるという点です。しきい値を設定することで、誤報告によってレビューに至る確率は年間で1兆アカウントに1つになります。ですから、既知のCSAMのコレクションを保持しているユーザー以外の写真ライブラリをスキャンすることに興味がないという考え方に反することになりますが、しきい値を設定することで、レビューしているアカウントをNCMECに報告したとき、法執行機関は効果的に調査、起訴、有罪判決まで持っていくことができると確信できます。

関連記事
電子フロンティア財団が「アップルの大規模な監視計画に反対」と声明発表、請願書への署名を呼びかけ
アップルが台湾・香港・中国向け刻印サービスで「ダライ・ラマ」「雨傘革命」など法的義務以上に検閲と明らかに
アップルがSiri改善のためフィードバック収集アプリ「Siri Speech Study」をひそかに提供開始
また批判を浴びるアップルの児童虐待検出技術
画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

原文へ

(文:Matthew Panzarino、翻訳:Dragonfly)

アップルが不評だったSafariの変更点をiOS 15 beta 6で修正、再びアドレスバーの上部表示も可能に

Apple(アップル)は、次期iOS 15でモバイル版「Safari(サファリ)」のデザインを変更し、アドレスバーを画面の下部に移して、ページのコンテンツの上に重ねる(フローティングさせる)としていたが、物議を醸したこの決定から、ゆっくりと後戻りしつつあるようだ。このデザイン変更は、片手でSafariの操作がしやすいようにすることを主な目的としていたものの、実際にはこれによって以前より使いにくくなったという批判を受けていた。今回リリースされた最新のベータ版であるiOS 15 beta 6では、アップルはユーザーからのフィードバックや不満に応え、ページコンテンツの下にタブバーを表示するようにデザインを修正。このアップデートが気に入っていた人にも、標準的な体験を提供することになった。さらに重要なのは、アップルが画面下のタブバーをユーザーに強制しなくなったことだろう。

関連記事:アップルが物議を醸しているiOS 15のSafariの変更を最新ベータで微調整

最新リリース版では、アドレスバーを以前のようにページの上部に表示するオプションが追加されたのだ。今回のアップデートが気に入らなかったユーザーは、これで「普通」に戻すことができる。

タブバーの変更前と変更後(画像クレジット:スクリーンショット)

フローティングしたタブバーに対する大きな不満は、ウェブページによってはクリックしたいボタンやリンクがこのタブバーに遮られてしまうため、ほとんど使えなくなってしまう場合があることだった(タブバーに遮られた箇所をクリックするためには、いちいちタブバーを下にスワイプしなければならなかった。これでは最適なデザインとはとてもいえない)。

iOS 15のSafariでは下のバーのせいでチェックアウトボタンが押せないので、テイクアウトの注文ができない日が続いている。

あのブルスケッタを食べさせてくれないなんて、ありがとうSafari

フェデリコ・ヴィティッチ

iOS 15 beta 6では、これらの問題が解決されている。基本的に、タブバーの外観は以前のように、つまり画面の上部に設置されていた頃と同じように、見慣れたボタンが並んでいる。タブバーがウェブサイトのコンテンツを遮ることもなくなった。

ベータ版をテストした人からは、リロードボタンやリーダーモードなどのよく使う機能を、3つのドットで表示された「その他」メニューの下に隠すというアップルの独自の判断が、Safariを以前よりも使いにくくしているという指摘もあった。iOS 15 beta 4では、この問題を解決するために、リロードボタンと共有ボタンを復活させ、リーダーモードが利用可能な場合は表示されるように修正した。しかし、それでもボタンは小さく、以前よりもタップしにくかった。

新たに変更されたタブバーと、それが画面の上下に関わらず、普通に戻ったことは、この問題に関するユーザーの不満が妥当であると、アップルが事実上認めたことになる。また、これはベータテストの本来の目的である、新しいアイデアを試して、うまくいかなかった点は修正するということのデモンストレーションでもある。

この修正とは別に、beta 6ではタブバーをページの最上部に戻すこともできるようになった。そちらの方が好みであれば「設定」→「Safari」で、デフォルトの「タブバー」と、アドレスバーを画面上部に配置する「シングルタブ」のいずれかを選択できるようになった(ただし後者を選択すると、タブバーでは可能だった、開いているタブをスワイプして切り替える機能が失われる)。

アップルがデフォルト設定の代替となる選択肢を用意するのはよくあることだ。例えばMacのトラックパッドでは、ジェスチャーやクリックがどのように機能するかをユーザーが設定できるようになっているし、かつて物議を醸した「自然な」スクロール方向のオプションをオフにすることもできる。しかし、アドレスバーを最上部に戻すオプションが追加されたことは、iPhoneで最も頻繁に使用されるアプリケーションの1つであるSafariの使い方を学び直したくないと考えるユーザーが相当数いると、認めたということである。もし、そのようなユーザーにこの変更を強要すれば、彼らは代わりに他のブラウザを使うようになるかもしれない。

アップルは通常、iOSソフトウェアの最新版を秋にリリースするため、一般公開に先立って行われるSafariの変更は、今回のアップデートが最後になるかもしれない。

関連記事
アップルがメッセージアプリで送受信される性的な画像を検知し子どもと親に警告する新技術を発表
電子フロンティア財団などが批判する中、アップルの児童虐待対策用iCloud写真スキャンに関する社内メモ流出か
アップルがiCloud上の児童虐待画像を検出する新技術「NeuralHash」導入へ

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:AppleiOSiOS 15ベータ版ブラウザSafariアプリ

画像クレジット:Apple

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

電子フロンティア財団などが批判する中、アップルの児童虐待対策用iCloud写真スキャンに関する社内メモ流出か

電子フロンティア財団などが批判する中、アップルの児童虐待対策iCloud写真スキャンに関する社内メモ流出か

Apple

アップルが予告した次期iOS 15等での児童の性的虐待対策は、メッセージアプリに添付された写真やiCloudに保存される画像をスキャンすることから、複数の方面からプライバシー侵害や監視の恐れがあると批判を集めています。

こうした反発に対して、アップルが新機能を「誤解」を招きやすいと認めつつも、これらの新機能は子供たちの安全を守るための「重要な使命」の一部だと信念を強調した社内メモが流出したと伝えられています。

アップルが5日(米現地時間)に発表した「子供のための保護機能の拡張(Expanded Protections for Children)」への反発とは、具体的にはエドワード・スノーデン氏(米国国家安全保障局の情報を持って逃亡し、米政府が個人情報を監視していることを暴露した人物)や電子フロンティア財団(EFF)など著名な関係者からも寄せられているものです。

批判の対象となっているのは、主にアップルがiCloud画像をスキャンして児童性的虐待資料(CSAM)のデータベースに照合して一致するかどうかチェックする計画であり、わずかな変更により他の個人データも監視できるようになる可能性です。

さて米9to5Macが入手したのは、アップルのインテリジェントシステムエクスペリエンス担当副社長 セバスチャン・マリノー・メス(Sebastien Marineau-Mes)が社内スタッフ向けに書いたメモです。そこでは、アップルは「子供のための保護機能の拡張」に含まれる「機能の詳細を説明していく」ことを続けていくと述べられています。

マリノー・メス氏は、これら新機能に対して「多くの好意的な反応」を確認している一方で、どのように機能するのかを「一部の人々が誤解している」ことや、「少なからずその影響を心配している」ことも認識していると述べています。それでも、これらの機能は「子どもたちを守る」ために必要であり、同時に「ユーザーのプライバシーに対する深いコミットメント」を維持するものであるというアップルの信念を強調しています。

そのメモの全文は、次の通りです。

本日、「子どものための保護機能の拡張」が正式に公開されました。この数年間の皆さんのご尽力に感謝するために、この場をお借りしたいと思います。皆さんのたゆまぬ努力とたくましさがなければ、このような節目を迎えることはできませんでした。

子どもたちの安全を守ることは、とても重要な使命です。アップルらしく、この目標を達成するためには、エンジニアリング、GA、HI、法務、プロダクトマーケティング、PRなど、部門を超えた深い関与が必要でした。本日発表した製品は、この素晴らしいコラボレーションの成果であり、子供たちを守るためのツールを提供すると同時に、ユーザーのプライバシーに対するアップルの深いコミットメントを維持するものです。

今日は多くの好意的な反応をいただきました。誤解をされている方や、その影響を心配されている方も少なからずいらっしゃると思いますが、私たちが作ったものを理解していただけるよう、今後も機能の詳細を説明していきます。また、数ヵ月後に機能を提供するために多くのハードワークが待っていますが、本日NCMEC(全米行方不明・被搾取児童センター)から受け取ったこのメモを共有したいと思います。私自身、非常に刺激を受けましたし、皆さんにもぜひ読んでいただきたいと思います。

このような素晴らしいチームと一緒にアップルで働けることを誇りに思います。ありがとうございました。

このメモには上記の通り、NCMECからのメッセージも含まれています。

そこでは「全員がみなさん(アップル)を誇りに思っており、子供の保護を優先するという名目で行った信じられないような決断を称賛したいと思い、励ましの言葉をお伝えします」と称賛が述べられるとともに、激しい批判に晒されているアップルに対して「この長い日と眠れない夜の間、御社のおかげで何千人もの性的搾取の被害を受けた子供たちが救出され、癒しと彼らにふさわしい子供時代を過ごすチャンスを得ることができることを知って、慰めにしていただきたいと思います」という励ましの言葉も添えられています。

ほかアップルは、米国外でのCSAM検出機能の拡大は、現地の法律や規制に応じて国ごとに行われると9to5Macに対して確認したとのことです。ただし、いつ、どの国や地域に拡大するのかは具体的なスケジュールは提供されていません。

アップルやNCMECが言うとおり、新機能が本当に「プライバシーを守りつつ、子どもを保護するための道筋」となり、その他の使い道へと逸脱するおそれがあり得ないのか。今後もアップルに対しては技術の詳細につき説明が求められ、専門家らの厳しい精査にさらされる展開となりそうです。

Engadget日本版より転載)

関連記事
アップルがメッセージアプリで送受信される性的な画像を検知し子どもと親に警告する新技術を発表
アップルがiCloud上の児童虐待画像を検出する新技術「NeuralHash」導入へ
Twitterが「業界初」機械学習アルゴリズムの「バイアス」を対象とする報奨金コンテスト実施
アップルが最新iOS 15のベータ版をすべての人に公開、開発者アカウント不要
【コラム】バイデン政権はインクルーシブであるためにAI開発の取り組みにもっと力を入れる必要がある
アリババは自社クラウド部門のウイグル人を顔認識する民族検知アルゴリズムにがく然
政府のデータ要求からユーザーを保護する(or しない)IT企業はここだ

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:iOS(製品・サービス)iOS 15(製品・サービス)iPhone(製品・サービス)iPadOS 15(製品・サービス)Apple / アップル(企業)子ども / 子ども向け(用語)機械学習 / ML(用語)電子フロンティア財団 / EFF(組織)プライバシー(用語)

アップルがメッセージアプリで送受信される性的な画像を検知し、子どもと親に警告する新技術を発表

Apple(アップル)は、子どもがMessages(メッセージ)アプリを通じて性的に露骨な写真を送受信した場合、子どもと親に警告する新しいツールを、今年後半に導入すると発表した。この機能は、アップルのプラットフォームやサービスにおける児童性的虐待素材(Child Sexual Abuse Material: CSAM)の拡散を制限することを目的に、同社が導入するいくつかの新技術の一部だ。

これらの開発の一環として、アップルは消費者のプライバシーを尊重しつつ、iPhoneやiPadなどのモバイルデバイスやiCloud(アイクラウド)にアップロードされた写真の中から、既知のCSAM画像を検出できる技術を導入する。

一方、メッセージアプリの新機能は、子どもたちが健全なオンライン・コミュニケーションを取れるように、親がより積極的に関わり、情報が得られるようにするためのものだ。今年後半に予定されているソフトウェアアップデートにより、アップルのメッセージアプリは機械学習を使って画像添付ファイルを分析し、メッセージアプリで送受信される画像が、性的に露骨なものでないかを判断できるようになる。この技術では、すべての処理がデバイス上で行われるため、アップルが子どものプライベートな通信にアクセスしたり、それを傍受する必要はない。クラウド上のアップルのサーバーには何も転送されることはない。

メッセージの中に、性的な問題がありそうな画像が検知された場合、その画像はブロックされ、写真の下に「これは問題があるかもしれない画像です」というラベルが表示される。タップすればその画像を見ることができるが、子どもが写真の閲覧を選択すると、さらに詳しい情報を伝える別の画面が表示される。そこには、問題のありそうな写真や動画について、「水着で隠すプライベートな体の部分が写っています」とか「あなたは悪くないけれど、刺激的な写真や動画はあなたを傷つけるために使われることがあります」というメッセージが表示される。

また、写真や動画に写っている人が、見られたくないと思っているのに本人が知らないうちに共有されている可能性があることも提言する。

これらの警告は、子どもがそのコンテンツを見ないという正しい判断をするように導くためのものだ。

しかし、それでも子どもがタップして画像を見ようとすると、さらに別の画面が現れ、写真を見ることを選択した場合、親に通知されることが伝えられる。また、この画面では、親たちが子どもの安全を願っていることを説明し、本当は見たくないのに見るようにと強制されているなら、信頼できる人に相談するように勧めている。助けを求めるためのリソースへのリンクも表示される。

画面の下には写真を見るための選択肢は残されているものの、デフォルトで選べるようにはなっていない。その代わり、「写真を表示しない」という選択肢の方が目立つように画面がデザインされている。

コミュニケーションを妨げてアドバイスやリソースを提供するだけでなく、システムが保護者に警告を発するこのような機能は、子どもを性犯罪者から守ることに役立つ可能性がある。子どもが性犯罪者から被害を受けた時、親は子どもが相手とネットや電話で会話を始めたことにさえ気づかなかったというケースが多いからだ。性犯罪者は子どもの心理を巧みに操って信頼を得ようとし、子どもを親から引き離して、コミュニケーションを親に内緒にさせようとする。あるいは犯罪者が親に近づいてくるケースもある。

アップルのテクノロジーは、性的に露骨な内容の画像や動画が共有されることに介入し、特定して、警告を発することで、どちらのケースにおいても役に立つだろう。

しかし、CSAMの中には、いわゆる自己作成型CSAM、つまり子ども自身が撮影した画像を、子どものパートナーや仲間と合意の上で共有するものが増えている。セクスティングとか、裸の写真の共有などだ。子どもの性的搾取に対抗する技術を開発している企業のThorn(ソーン)が2019年に行った調査によると、この行為は非常に一般的になっており、13歳から17歳の女子の5人に1人が、自分の裸の写真を共有したことがあると答え、男子の10人に1人が、同じことをしたことがあると答えている。しかし、その画像を共有することで、性的虐待や搾取の危険にさらされることを、子どもは十分に理解していないかもしれないのだ。

アップルの新しいメッセージアプリは、これに対しても同様の保護機能が働く。この場合、子どもが性的に露骨な写真を送ろうとすると、写真が送信される前に警告が表示される。それでも子どもが写真を送信しようとした場合には、保護者にメッセージが届く。

アップルによれば、この新機能は今年後半に行われるソフトウェアアップデートの一環として、まずは米国から、iOS 15、iPadOS 15、macOS Monterey(モントレー)のiCloudで、家族として設定されたアカウントで有効になるとのこと。

このアップデートはSiriと検索にも適用され、子どもや親がオンラインで安全に過ごせるように、安全でない状況で助けを得るためのガイダンスやリソースが拡充される。例えば、ユーザーはSiriに、CSAMや児童の性的搾取を報告する方法を尋ねることができるようになる。また、ユーザーがCSAMに関連する疑問を検索すると、Siriと検索が介入して、そのトピックが有害であることを説明し、助けを得るための情報や相談先を提供する。

関連記事:

カテゴリー:
タグ:

画像クレジット:Janis Engel / EyeEm / Getty Images
原文へ
(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アップルがiCloud上の児童虐待画像を検出する新技術「NeuralHash」導入へ

Apple(アップル)は、既知の児童性的虐待素材を検知し、ユーザープライバシーが守られる方法で警察機関に通報する技術を2021年中に展開する。

Appleは、児童性的虐待素材(CSAM)の検出は同社のサービスを使用する子どもたちをオンライン危害から守ることを目的とした新機能の一環であるとTechCrunchに語った。子どものiMessage(アイ・メッセージ)アカウントを通じて送受信される性的に露骨な画像をブロックするフィルターもその1つだ。他にもユーザーがSiri(シリ)や検索でCSAMに関連したことばを検索しようとした時にブロックする機能もある。

Dropbox(ドロップボックス)、Google(グーグル)、Microsoft(マイクロソフト)をはじめとするほとんどのクラウドサービスは、サービスの利用規約に違反したりCSAMなどの違法コンテンツを検出するためにユーザーのファイルを監視している。しかしAppleは長年、クラウド上のユーザー・ファイルの監視に抵抗しており、データがAppleのiCloud(アイクラウド)サーバーに到達する前に暗号化するオプションをユーザーに提供している。

Appleは自社の新しいCSAM検出技術であるNeuralHash(ニューラルハッシュ)について、クラウド上ではなくユーザーの端末上で動作し、ユーザーが既知の児童虐待画像をiCloudにアップロードしたことを検出できるが、一定のしきい値を超え一連のチェックでコンテンツが検証されるまで画像は復号化されないと説明した。

Appleの取り組みのニュースは、米国時間8月4日、ジョンズ・ホプキンス大学の暗号学専門のMatthew Green(マシュー・グリーン)教授が新技術の存在を一連のツイートで公開したことで明らかになった。このニュースには、一部のセキュリティ専門家とプライバシー擁護者だけでなく、ほとんどの他社にないAppleのセキュリティとプライバシーへのアプローチに馴染んでいるユーザーも抵抗を示した

Appleは不安を鎮めるべく、暗号化のさまざまな暗号化の複数レイヤーにプライバシー対策を施し、Appleによる最終的な手動レビュー審査に至るまでに複数の段階が必要になるような方法で実装している。

NeuralHashは、1、2カ月後に公開が予定されているiOS 15およびmacOS Montereyに搭載される予定で、ユーザーのiPhoneまたはMac上にある写真を文字と数字の独特な並び(ハッシュと呼ばれる)に変換する。画像がわずかに変更されるとハッシュが変更されてマッチングが阻止される。Appleによると、NeuralHashは同一あるいは外観の似た画像(たとえば切り抜きや編集を施された画像)から同じハッシュが作られるように動作する。

関連記事
iOS 15ではさらにセキュリティとプライバシー保護機能が充実
アップルの最新アクセシビリティ機能は手足や声が不自由な人へさらに寄り添う

画像がiCloud写真にアップロードされる前にハッシュは、全米行方不明・被搾取児童センター(NCMEC)などの児童保護組織から提供された児童虐待画像から得たの既知のハッシュのデータベースと端末上で比較される。NeuralHashはPrivate Set Intersection(プライベート・セット・インターセクション)と呼ばれる暗号化技術を用いて、画像の内容を明かすこともユーザーに警告することもなくハッシュの一致を検出する。

結果はAppleにアップロードされるが、そのままでは内容を見ることはできない。AppleはThreshold Secret Sharing(しきい値秘密分散法)と呼ばれる別の暗号化原理を用いることで、ユーザーのiCloud写真中の既知の児童虐待画像が一定のしきい値を越えた場合にのみコンテンツを解読できる。しきい値が何であるかについてAppleは明らかにしていないが、こんな例を示した。ある秘密が1000ピースに分割され、しきい値が児童虐待画像10枚だったとすると、その秘密は10枚の画像のどの1つからでも再構築できる。

これは、Appleが一致した画像を解読し、手動でコンテンツを検証することで、ユーザーのアカウントを停止し、画像をNCMECに報告し、その後その画像が警察機関に渡る可能性があるということを意味している。Appleはこのプロセスについて、クラウド上のファイルを監視するよりもプライバシーに配慮している、なぜならNeuralHashが検出するのは既知の児童虐待画像のみであり新しい画像ではないからだと述べている。Appleは、1兆分の1の確率で誤検出の可能性があるが、アカウントが誤って停止された場合に異議申し立てをする手続きがあるという。

AppleはNeuralHashの仕組みに関する技術情報を自社ウェブサイトで公開している。文書は暗号学専門家の査読を受けており、児童保護団体からも称賛されている。

しかし、児童性的虐待と戦うさまざまな取り組みが広い支持を得ている一方で、アルゴリズムに委ねることに多くの人々が違和感を示す監視の要素がそこにはある。また、セキュリティ専門家の間には、Appleがこのテクノロジーをユーザーに適用する前にもっと公開議論をすべきだと指摘する声もある。

大きな疑問は、なぜもっと早くではなく、今なのかだ。Appleは、同社のプライバシーが保護されたCSAM検出技術はこれまで存在しなかったと語った。一方でAppleのような会社は、ユーザーデータを保護している暗号化技術を弱体化するか裏口を提供することで警察機関の凶悪犯罪捜査を可能にすべし、という米国政府や同盟国からの大きな圧力にも直面している。

テック巨人らたちは自社システムの裏口を提供することを拒否し続けてきたが、政府によるアクセスをさらに遮断しようとする取り組みに対する抵抗を受けている。iCloudに保存されているデータはAppleがアクセスできない形で暗号化されているが、Reuters(ロイター)の2020年の記事によると、AppleはiPhoneのiCloudへのフルバックアップを暗号化する計画を、捜査を阻害するとFBIから抗議されて中止したという。

Appleの新しいCSAM検出ツールが公の場で議論されていない点についても、このテクノロジーが児童虐待画像を大量に送りつけて被害者のアカウントを停止に追い込むなど悪用の恐れがあるという懸念を呼んだ。しかしAppleは、手動レビューによって起こりうる悪用の証拠を検査するとして問題を軽視している。

Appleは、NeuralHashはまず米国で展開すると語ったが、世界的な展開の可能性や時期は明らかにしていない。最近まで、Facebook(フェイスブック)をはじめとする企業は、EU全体で児童虐待検出ツールが強制的に停止させられていた。当地でプライベートメッセージの自動監視が禁止されたためだった。Appleは新機能について、iCloud写真は使う義務がないので厳密には選択的であるが、使用するなら必須であると説明した。つまるところ、あなたの端末はあなたの所有物だが、Appleのクラウドはそうではない、ということだ。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:AppleiCloud子どもプライバシー個人情報児童ポルノ対策iOS 15macOS Monterey警察

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch / Getty Images

原文へ

(文:Zack Whittaker、翻訳:Nob Takahashi / facebook

アップルが最新ベータでiOS 15のSafariの変更点を微調整

Apple(アップル)は、米国時間7月27日のiOS 15とiPadOS 15ベータ4リリースで、以前にSafariのモバイルブラウザーに対して行い、議論を呼んだ変更に対するユーザーからの苦情やフィードバックに対応している。問題となっているSafariの新デザインは、WWDCで発表され、タブバー(URLバー)を画面の下へ移動させている。iPhoneの人気アプリにしては思い切った変更だが、狙いはiPhoneを片手で使ってるときにコントロールに届きやすいようにするためだ。しかし批判する人たちは、リロードボタンやリーダーモードなどのよく使う機能が見つけにくく使いづらくなり、モバイルブラウザーの全体として使いやすさを損なうという。

Appleの名誉のために言えば、同社は寄せられたフィードバックに耳を傾けていた。

以前のデザインではタブバーは画面上部という従来からの位置にあり、左にあるリーダーモードボタン(Aが2つ)も右のリロードボタンもアクセスしやすかった。下の方には、前進 / 後退ボタンと、シェアボタン、リーディングリスト、そしてタブボタンがあった。

iOS 15のデザインでは、よく使われる機能への便利なアクセスポイントがすべてなくなり、何よりも、タブバーへのアクセスのしやすさが優先された。代わりに3つのドットを並べた「more」メニューに、ウェブを閲覧しているときよく使うもののすべてが隠された。ウェブサイトのリロードやリンクの共有、ページをリーダーモードで見る、記事を後で読むに保存するなどすべてだ。隠されたさまざまなアクションの合計数は20以上に及ぶ。

Apple評論家のJohn Gruber(ジョン・グルーバー)氏はポッドキャストThe Talk Showで、その新デザインは、WWDCにおけるSafari発表の数週間も前から、Appleの社内ですら不評だったと語っている。例えば新デザインはクールに見えるが、あまり便利でないという評価もあった。

TechCrunchの編集長であるMatthew Panzarino(マシュー・パンザリーノ)もそのポッドキャストに招かれていたが、一般的に画面上にモノが少ないのは良いことだが、今回は失敗だとグルーバー氏に同意していた。

その際、マシューは「実際に使ってみると、かえって画面が煩雑になりわかりにくくなる。スクロールといったアクションをしないかぎり、画面が広くなった感じはしない。だから、それもおかしい」と話している。

今回ベータ4のアップデートでAppleは、この変更から生じた問題の一部をフィックスしようとした。

まずタブバーに「共有」ボタンを再び追加し、メニューの下にその他のコントロールを入れた。リンクの共有はウェブユーザーで最も頻繁に行う作業であるため、それを元に戻してワンタップで済むようにしたのは合理的だ。

Refreshボタンは、これから常にiOS 15のSafariのアドレスバーにある。

リロードボタンは再びタブバーに登場し、ドメイン名の横に置かれた。以前よりも、ちょっと小さい。

一方「リーダーモード」ボタンは、リーダーが使えるようになればタブバーに現れる。そしてワンタップでアクセスできる。

タブバーは、ユーザーがウェブサイト上のボタンと対話しているときには最小化される。以前はそれが邪魔になり、ウェブサイトのボタンに届かないときには、使いやすさを損なった。

先日、iOS 15のSafariでチェックアウトボタンがタップできずテイクアウトのオーダーができなかった。ブルスケッタが食べられなくてありがとう、Safariさん。

iPadOS 15では、デフォルトではURL下のスタンドアローンのタブバーにタブが現れることに気づくだろう。1行でURLと開いてるタブを表示する、すっきりとしたコンパクトなタブバーはiPadOS 15でも導入され「Safari Settings」で有効にできる。

なお、モバイルブラウザーのデザインについてこのように再考したのは、Appleが最初ではない。

元Google ChromeのデザインマネージャーChris Lee(クリス・リー)氏回想によると、Chromeのモバイルブラウザーでも同様のデザイン変更が行われ、URLバーを下に置いたことがあるが、そのバージョンは結局、ローンチされないことになった。それはベータテストでの評価がさまざまだったからだ。その新デザインは、テクノロジーコミュニティで熱心なファンも獲得したが、メインストリームのユーザーはその変更に戸惑うばかりだった。

Safariのように頻繁にローンチされるアプリの使用については、マッスルメモリーの問題もある。私のようにバーの新しい配置を気に入るようになってからも、ウェブサイトを訪問したり、複数のタブをスワイプするといった複雑な操作を、デザイン変更はそれを難しく感じさせてしまう。

また、習慣でいろいろなアクションのショートカットを画面上部に探さないようになるためには、一定の学習期間が必要だ。

この度のベータでは、Safariのアップデートの他にもいろいろな修正が行われた。複数の連絡先とフォーカスのステータスを共有する方法や、新たにXLサイズのウィジェットもある(これはiPadのApple Podcastsが採用)。小さな変更や工夫は他にもある。

関連記事
アップルが最新iOS 15のベータ版をすべての人に公開、開発者アカウント不要
【インタビュー】アップルがiOS 15で明らかにした「ヘルスケア」の未来、同社VPが語る初期Apple Watchから現在まで
アップルがWWDC2021でひっそり発表した7つのセキュリティ新機能

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:AppleiOSiOS 15Safariベータ版

画像クレジット:Apple

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)

アップルが最新iOS 15のベータ版をすべての人に公開、開発者アカウント不要

iOS、iPadOS、watchOSの未来を垣間見ることができるチャンスだ。Apple(アップル)は先日、iOS 15iPadOS 15、watchOS 8の最初のパブリックベータ版をリリースした。これらのリリースは、iPhone、iPad、Apple Watch用OSの次期メジャーバージョンとなる。開発者向けベータ版とは違い、これらのベータ版は誰でもダウンロードすることができる。99ドル(約1万1000円)の開発者アカウントは必要ない。ただし、ベータ版であることをお忘れなきよう。

同社はまだ、2021年秋にiOS 15、iPadOS 15、watchOS 8の最終バージョンをリリースする予定だ。しかし、Appleは夏の間、数週間ごとにベータ版をリリースするという。できるだけ多くのバグを修正し、多くのユーザーからデータを集めるには良い方法だ。

いつものように、Appleのパブリックベータは、デベロッパーベータのリリースサイクルに従っているようだ。Appleは米国時間6月30日、iOSとiPadOS 15の2回目のデベロッパーベータもリリースしている。つまり、最初のパブリックベータは、2回目の開発者用ビルドとほぼ同じビルドのようだ。

ただし、忘れてはいけないのは、ベータ版をメインで使っているiPhoneやiPadにインストールしてはいけないということだ。問題はバグだけではない。一部のアプリや機能の中にはまったく動作しないものもある。稀なケースだが、ベータ版ソフトウェアによってデバイスが壊れて使えなくなることもある。また、iCloud上のデータが失われることもある。十分な注意を払って欲しい。

余分なiPad、iPhone、Apple Watchを持っている人のためにダウンロード方法をお知らせしよう。インストールしたいデバイスからAppleのベータ版ウェブサイトにアクセスし、設定プロファイルをダウンロードする(watchOSベータ版の場合は、iPhoneからダウンロード)。この小さなファイルは、パブリックベータ版へのアップデートを、通常のソフトウェアアップデートと同様に行うためのものだ。

ファイルがインストールされたらデバイスを再起動し「設定」(または「Watch」)アプリにアクセスする。アップデートが表示されるはずだ。2021年9月になると、デバイスは自動的にiOS 15、iPadOS 15またはwatchOS 8の最終バージョンにアップデートされ、設定プロファイルを削除できるようになる。

iOS 15における最大の変更点は、新しいフォーカスモードだ。「Do not disturb」に加えて、さまざまなモードを設定することができる。通知を受け取りたいアプリや人を選び、何をしているかによってフォーカスを変えることができる。例えば「仕事モード」「睡眠モード」「ワークアウトモード」などを作ることができる。

新しい天気予報アプリ、「マップ」の地図の更新、SharePlayを搭載したFaceTimeの改良版など、全体的に多くの新機能が用意されている。また、Safariも一新されている。

関連記事
アップルがiOS 15発表、「つながり続ける」「集中する」といった4つの柱を掲げFaceTime、通知などの新機能満載
マルチタスクが改善されたiPadOS 15、新Swift Playgroundsでアプリ作成から公開まで可能に
今秋リリースのアップルのwatchOS 8にマインドフルネスと呼吸追跡の機能
【インタビュー】アップルがiOS 15で明らかにした「ヘルスケア」の未来、同社VPが語る初期Apple Watchから現在まで
【インタビュー】アップル幹部が語る次期iPad OSのメンタルモデルとマルチタスクの強化

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:iOSiOS 15iPadOSiPadOS 15watchOSAppleベータ版OS

原文へ

(文:Romain Dillet、翻訳:Katsuyuki Yasui)