ランボルギーニは同社初のEVについて未だ思案中、4人乗りクーペになる可能性が有力

Lamborghini(ランボルギーニ)の会長兼CEOであるStephan Winkelmann(ステファン・ヴィンケルマン)氏は、超高級SUV「Urus(ウルス)」の需要に支えられて2021年の販売台数が過去最高を記録した自動車メーカーの指揮を執っているにもかかわらず、祝杯を挙げる暇もない。

このイタリアのスーパーカーメーカーを率いるヴィンケルマン氏は、販売台数が前年比13%以上増加したことや、1月が終わる前に2022年の生産台数をほぼ完売させた成功の余韻に浸るよりも、もっと差し迫った問題を抱えている。

それ以上にヴィンケルマン氏は、同ブランドを電動化の世界に導くことに集中しているのだ。これは、効率性よりも大げさなエンジンで知られるランボルギーニとは、相反する動きのように思える。

ランボルギーニは、2023年にハイブリッド車を投入するなど、いくつかの目標を設定している。しかし、そこから先のEV計画は不明瞭だ。

ガソリンの代わりに電気を使ってどのように車を走らせるのか、また、顧客にどのような体験を提供するのか、ランボルギーニは未だ決定できていない。

「私たちは、ランボルギーニのためのクルマを作るだけでなく、10年後にも対応するために、バッテリー技術やどのようなタイプのエンジンを搭載する必要があるのかということについて、よく検討しているところです」と、ヴィンケルマン氏はTechCrunchに語った。

「私たちには、EVを真っ先に採用する必要はないという利得があります」と、ヴィンケルマン氏はいう。それは、世の中の動きに目を光らせ、未来を見極めるようとしているという意味だ。EVの技術は急速に進化し続けているため、それは簡単なことではない。「もしかしたら、5年後には誰も気にしていないようなことを話しているのかもしれません」とCEOは認めている。

先行しようとする中で、自動車メーカーとしては、いくつかの点で間違っているかもしれないことを認めなければならないと、CEOは語った。それはつまり、適切なタイミングで適切な判断を下すことであり、あまり先を見過ぎてはいけないということだ。

「良いアイデアを持っていても、それが5年後、6年後、7年後、8年後には正しくないとわかるかもしれません」と、ヴィンケルマン氏は付け加えた。

ランボルギーニは、少なくとも全体的なデザインプランは持っている。

ヴィンケルマン氏によると、ランボルギーニ初のEVは2020年代の後半に登場する予定だという。それは現行モデルの「Aventador(アヴェンタドール)」や「Huracan(ウラカン)」のような純粋なスーパーカーではなく、(ウルスを除く)ランボルギーニに人々が期待する以上の地上高を持つ、より実用性が高い2+2シーターの4人乗り2ドアクーペになるとのこと。

もちろん、それはランボルギーニらしいルック&フィールを備えた車になるだろう。スーパーカーではないランボルギーニというものが冒涜のように感じる人は、同社が1968年から1978年まで、4人乗り2ドアクーペの「Espada GT(エスパーダGT)」を販売していたことを思い出していただきたい。

Lamborghini Espada GT(画像クレジット:Lamborghini)

そのクルマのデザインは、電気自動車であるがゆえに未来的になると同時に、ランボルギーニのDNAに沿ったものになると、ヴィンケルマン氏はいう。パワートレインも、EVならではの強大なトルクで、ランボルギーニ車のオーナーがこのブランドから思い描くパフォーマンスを実現するだろう。しかし、1つだけ決定的に失う要素がある。エンジンの咆哮だ。

「その代わりとなり得るスーパーカーとは何かという新しい見解を、どうやって示すことができるか、我々は見極めなければなりません」と、ヴィンケルマン氏は語った。ランボルギーニの魅力の1つは、そのエキゾーストノート(排気音)だ。これは、ランボルギーニの車を所有することで得られる「俺を見ろ!」という威勢の誇示に欠かせない。ランボルギーニには、ブランドに相応しい何かを考え出すための時間がある。それが車内にだけ聞こえる音なのか、それとも車外にも聞こえる音になるのかは、まだわからない。

今後のハイブリッド車については、まずアヴェンタドールのV12プラグインハイブリッドが登場する予定だ。PHEVパワートレインの採用は、特定の都市において排ガスを出さない電気駆動を求める規制の拡大に対応するためだ。

2021年発表された限定生産モデル「Lamborghini Countach LPI 800-4(ランボルギーニ・カウンタックLPI 800-4)」。2019年に発表された限定モデル「Sián(シアン)」のために開発されたスーパーキャパシタ技術とV12エンジンを組み合わせたハイブリッド・パワートレインを搭載する(画像クレジット:Lamborghini)

内燃機関については、2022年がランボルギーニにとって新型の非電動車を導入する最後の年となる。パワートレインの進化の始まりが、2023年に迎える同自動車メーカーの創立60周年と重なるのは、ある意味で相応しいとも言える。

ランボルギーニは、規制と筋金入りのファンの両方を満足させる方法として、今度のプラグインハイブリッド車をできるだけ長く製造したいと考えている。もし、合成燃料を使った低排出ガス化が実現すれば、2030年代に入ってもスーパーカーの導入と生産を続けることができるだろう。

しかし、最終的にランボルギーニとそのCEOは、同社初のEVとその後に続くモデルについて、決断を迫られることになるだろう。「この変化の一端を担えることを誇りに思いますし、光栄に思います」とヴィンケルマン氏は語る。

しかし、同氏はこれから起こることの重さを理解していると主張する。

「その一方で、私には当社で働く人々やその家族の将来に対する責任だけでなく、ブランドとその新製品という船を安全な場所に導き、対岸で待っているお客様の情熱的な手に引き渡すという、大きな責任があります」。

将来のランボルギーニの電気自動車に搭載されるバッテリーやパワートレインの技術について語るのは、少し時期尚早かもしれない。だが、ヴィンケルマン氏は、やや胸を張って次のように語った。「本当に信じられないほどパワフルで、ランボルギーニの精神に非常に忠実な車になると期待してください。まだ我々には時間が十分にあります。この車が発表されるときには本物のランボルギーニになっていると、私は強く確信しています」。

画像クレジット:Lamborghini

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(文:Roberto Baldwin、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

リアルな宇宙の「お宝」も付いているランボルギーニのNFT、2月1日にオークション開始

Lamborghini(ランボルギーニ)は、非代替性トークン(NFT)の分野にスーパーカーを投入する。しかし、NFTコミュニティを代表するようになった、コンピュータ設計された霊長類ベースのTwitterアバターとは異なり、ランボルギーニは暗号資産の提供において物理的世界とデジタル世界の架け橋となっている。

正確には、世界の「外側」だが。

NFT PRO、RM Sotheby’sとの提携の下、ランボルギーニは2月1日から2月4日まで、デジタルとフィジカルがリンクした5組のアートを自社の専用NFTウェブサイトでオークションにかける。

ランボルギーニは、NFTを導入しているNike(ナイキ)、Samsung(サムスン)、その他のテック企業の輪に加わる。例えば、Twitter(ツイッター)では、NFTの所有者が、特別なプロフィール写真の六角形のフレームを使ってお気に入りのNFTを披露することができるようになっている。Reddit(レディット)も最近、ユーザーが自分の作品をプロフィール画像として設定できるようにしてNFTに足を踏み入れた

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他の多くのNFTとは異なり、ランボルギーニのアート作品には、デジタル作品と対になる5つの有形アイテムが用意されている。これらの物理アイテムは、NFTブームが去ったとしても、その価値を持ち続けるはずだ。

ランボルギーニは、共同研究プロジェクトの一環として、2020年に国際宇宙ステーションにカーボンファイバーを送った。そのカーボンファイバーのごく一部を収めた物理的なSpace Keyは、オークションの落札者が手にして自慢できるものになる。

カーボンファイバーは特別なケースに収められ、それぞれQRコードが刻まれている。このQRコードは、刺激的な写真で機械の世界を際立たせる一連の作品で知られるアーティストFabian Oefner(フェビアン・エーフナー)氏が制作したデジタルアート作品に対応する。

デジタル作品は、地球の写真の上に浮かび上がるランボルギーニUltimateが爆発するというものだ。「Space Time Memory」と名付けられたこの作品は、ランボルギーニ車両のパーツの写真1500枚を使っている。宇宙船が地球から飛び立つのを真似てデジタル処理で組み立てられており、宇宙に向かう車両の後ろに小さな機械部品が軌跡を描く。背景の地球は、成層圏まで飛ばした気象観測気球で撮影したものだ。

5つの画像はそれぞれ微妙に異なっている。これらを組み合わせると、動きのある魅力的な画像の連続となる。

つまり、かなりすばらしいGIFに仕上がっている。

画像クレジット:Fabian Oefner/Lamborghini

「私にとって、Space Time Memoryは、人生で作る思い出のアナロジーです」とアーティストたちは声明で述べた。それがどんな意味であれ、とても壮大に見える。少なくとも、漫画のサルのJPEGよりもはるかに興味をそそるものだ。

ランボルギーニのCEOであるStephan Winkelmann(ステファン・ヴィンケルマン)氏はTechCrunchに、自身と同社にとってNFTはコミュニティとその若い精神、そしてデザインだと語った。同氏は、NFTのコミュニティが、少なくともNFTの世界に挑戦するためにランボルギーニに注目していると指摘し「というのも、我々の顧客が非常に革新的で、このようなことを調べていることを知っているからです。だから、彼らは同じように考える人たちと話をしているのです」と述べた。

同社はまた、エーフナー氏からこのプロジェクトの話を持ちかけられた。実際、複数の代理店がNFTの制作を打診してきたという。しかし、このアーティストの存在が、契約に導いたのかもしれない。エーフナー氏側は、2018年からMiuraを含むランボルギーニ車両を使って作品を制作している。エーフナー氏とランボルギーニは売上を折半する予定だ。

ランボルギーニはこの販売を評価し、その結果次第では今後さらにNFTを制作する可能性もある。それでも、ヴィンケルマン氏は、ランボルギーニが性急にNFTに手を出すことはないと強調した。

「我々が持つ最高の価値はブランドなので、非常に慎重に行動しなければなりません」と語った。

NFTがリアルな要素を持つ理由について同氏は、自動車メーカーの世界は非常にフィジカルであり、そのことを決して忘れてはならないと述べた。フィジカルとデジタルの組み合わせが、同氏とランボルギーニの好奇心を引きつけた。

注目を浴びることを好む顧客層によって繁盛しているランボルギーニにとって、NFTのオークションは華やかさも兼ね備えていなければならない。人類の宇宙探査というテーマを継続するために、ランボルギーニのSpace Time Memoryオークションは75時間50分続く予定だ。これは、アポロ11号が地球を離れ、月の軌道に乗るまでに要した時間と同じだ。

もしオークションが成功すれば、ランボルギーニが宇宙や月にアイテムを送り、将来のデジタルアート作品とリンクさせるきっかけになるかもしれない。これを実現するために、同社が将来、月飛行でSpaceX(スペースエックス)と組まないという理由はない。

しかし、3月初旬に7年間の宇宙旋回を終えて月に衝突する見込みのSpaceXのFalcon 9ブースターが注目されなくなるまで、ランボルギーニは待ちたいと思うかもしれない。

NFT、スーパーカー、そして宇宙開発に関していえば、クラッシュは常に悪い言葉だ。

画像クレジット:Lamborghini

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(文:Roberto Baldwin、翻訳:Nariko Mizoguchi

ハイブリッド、EV、代替燃料の未来に対するランボルギーニのビジョン

自動車愛好家には、電気自動車を敬遠してきた歴史がある。電化やハイブリッド化を全面的に支持する人もいる一方で、依然としてガソリンにこだわりを持つ人もいる。Lamborghini(ランボルギーニ)のような、高尚で価格設定の高い領域では特にその傾向がある。

電動化とハイブリッドパワートレインの推進は、世界最大級のパワフルなガソリンエンジンを備えた印象的な特注車両を作ることで知られる自動車メーカーに、大きな課題を突きつけている。ランボルギーニの上層部からは、それに対する若干の抵抗感が感じ取れる。

ランボルギーニは2024年までにすべてのモデルをハイブリッドパワートレインに移行するとしている。すでにハイブリッドの限定モデルとしてSián FKP 37(シアンFKP 37)とCountach LPI 800-4(カウンタックLPI 800-4)を発表しているが、ハイブリッド化されたパワートレインを搭載した初の量産(つまり限定ではない)車両が来年までにリリースされるという。Ferrari(フェラーリ)、McLaren(マクラーレン)、Porsche(ポルシェ)などはハイブリッドパワートレイン搭載の量産車と限定車の両方を作り続けており、ランボルギーニはこの分野に参入する最後のスーパーカーメーカーの1社となる。

ランボルギーニは、同社の忠実な顧客の力を借りて、彼らの象徴的なスーパースポーツカーの未来を革新したいと考えている。

ランボルギーニの燃料の未来

「一方で、当社は極めてニッチな存在であり、CO2の方程式に占める割合はごくわずかです。しかし私たちは自分たちの役割を果たしたいと考えています」と、ランボルギーニの北米の新CEOであるAndrea Baldi(アンドレア・バルディ)氏は、今後もリリースを予定しているガソリン駆動車として同社最後のモデルとなるHuracán(ウラカン)の1つ、Huracán STO(ウラカンSTO)のローンチイベントで語っていた。「ハイブリッド、電気、そして代替のパワートレインへのシフトは、私たちにパフォーマンスの再考を迫るものであり、電動化が長期的な方向性であるかは確信が持てません」。

「ハイブリッドや電動パワートレインを搭載した4番目のモデルをリリースするにしても、異なる種類の燃料を使用する内燃機関のソリューションを見つけるにしても、私たちは今後もさらに学びを進めていきます。エモーション(感情)と真のランボルギーニ体験という、共通の目標を実現する必要があるのです」とバルディ氏は語っている。

同氏は自社が採用する可能性のある燃料や技術の詳細については語らなかったが、ランボルギーニのCTOであるMaurizio Reggiani(マウリツィオ・レッジャーニ)氏からは、ランボルギーニの将来的な完全電動化を示唆する興味深い研究についての言及があった。

「ハイブリッドパワートレインは、私たちがイノベーションを起こせると確信している次のフロンティアです」とレッジャーニ氏は分けて語っている。「当社の存在意義は、独自のDNAを有していることにあります。私たちはエモーションをエンジニアリングしているのです。例えば、振動のような物理的な事象が感情の流れにどのようなインパクトを与えるかについて、ミラノ工科大学と共同で研究を行っています」。ICEエンジンの物理的効果がジャイロスコープとオーディオトラックによってシミュレートされる世界を見ることができる。

技術的には、サンタアガタ・ボロネーゼにあるランボルギーニの工場は2015年以来カーボンニュートラルであるとバルディ氏はいう。しかし、従業員1800人のこの企業は、はるかに規模が大きく、炭素排出量の多いVW(フォルクスワーゲン)グループの一員である。自動車生産台数は少なく、イタリア政府が今後の内燃機関の規制からランボルギーニやフェラーリのような自動車メーカーを除外する動きを見せているにもかかわらず、ランボルギーニは代替燃料への移行を余儀なくされている。

バルディ氏によると、ランボルギーニは世界の自動車の1万1000台に1台を占めているが、トヨタやホンダのような巨大自動車メーカーと比べれば小さな数だ。「ハイブリッド化と電動化は、エモーションの未来を広げる機会をランボルギーニのオーナーに提供します。夢を手に入れるのです。大多数の顧客は、自分の成功を表現する車を求めています」とバルディ氏。それでもやはり、将来にわたって内燃エンジンを使い続けたいとランボルギーニの顧客がいくら望んだとしても、そうしたエンジンの時代は終わりに近づいている。

顧客との直接的なつながりの構築

ランボルギーニは一貫して、顧客のニーズに応えることをブランドの核に据えてきた。2025年のCO2排出量50%削減に向けた今後のモデルの方向性を見極めるために、忠実なオーナーたちからの協力を得ている。すでに完売したCountach LPI 800-4のペブルビーチでの最近のローンチは、ランボルギーニが顧客ベースを活用してハイブリッドパワートレイン搭載の高需要の新製品を生み出したことを物語る好例だ。

「関りを持つことなくただクルマを作るだけということはありません。顧客体験の全体を通して、顧客との絆を深めてきました」とバルディ氏は語る。「Countachで実施した特別プロジェクトは、会社と顧客の間の直接的な信頼を高めるものでした。1対1のミーティングを友人同士のように行い、Countachでの当社の取り組みを伝えることができました。エモーショナルな決断が生み出したこの車の構築は、優れたビジネスケースとなったのです」。

新型コロナウイルス感染症の発生とその結果としての旅行制限により、工場訪問は2020年の間にほぼ中止された。しかしランボルギーニは、2018年にUnicaというデジタルプラットフォームをローンチしており、オーナーが期待する特別な顧客コンタクトやサービスを提供することを可能にしている。アプリはスマートフォンにダウンロードでき、オーナーは専用のイベント、ローンチ、ソーシャルメディアへのアクセスを得る。サインアップするには、ランボルギーニのVINと所有権証明書の提出が必要だ。

このアプリは、結果的に会社と消費者間の直接販売の可能性を開いた。「直接販売は、私たちが探究する必要のある分野です。私たちは加速する時代の中にあり、顧客と直接的な関係を持ちたいと思っています。問題は、顧客との直接接触をどの程度拡大できるかです」とバルディ氏はいう。「車の価値が維持されるという感覚を確実にするためには、顧客との人間的な触れ合いが必要です。現在、車の待ち時間は平均で1年を超えています。待機時間はこれらの車を販売する時間であり、顧客との直接的なコンタクトがありますので、価値は維持されます」。

ランボルギーニの最新モデル、Huracán STOはストリートホモロゲーションレーシングカーだ。現在2022年まで売り切れの状態で、Unicaアプリと車両を介したコネクティビティが付属している。このシステムでは、ラップタイム、スロットルとブレーキのインプット、ハンドルアングルなどのドライビングセッション中のデータや、内蔵カメラが撮影したトラック上のラップの動画を記録し、アプリにアップロードすることが可能だ。ランボルギーニのオーナーにとっては一種のエリートソーシャルネットワークであり、より直接的につながる方法が会社にもたらされる。

「顧客はランボルギーニを体験するための適切なコンテキストを求めています」とバルディ氏。「スーパースポーツカー市場は拡大の一途を辿っています。このようなカーライフスタイルやモータースポーツにおける体験を提供し、人間的な触れ合いの幅を広げていくことができれば、顧客はブランドの範囲内に留まり続けるでしょう」。

関連記事:【レビュー】ランボルギーニ Huracán STO、強力なエンジンの代名詞的企業がハイブリッド化に向かうとき何が起こるのだろうか

画像クレジット:Lamborghini

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(文:Abigail Bassett、翻訳:Dragonfly)

【レビュー】ランボルギーニ Huracán STO、強力なエンジンの代名詞な企業がハイブリッド化に向かうとき何が起こるのだろうか

Lamborghini Huracán(ランボルギーニ・ウラカン)。ランンボルギーニで最大の販売台数を誇るスーパースポーツカーは、ガソリンエンジン車としての時代を終えようとしている。

2014年にHuracánが登場して以来、同社は全世界で1万7500台を販売したという。しかし、顧客がどれほど望んでいても、V10エンジンを救うには十分ではなかった。ランンボルギーニのラインナップに加わる最新のスーパースポーツカー、新型Huracán STO(ウラカン スーパートロフェオ・オモラガータ)は、ランボルギーニの未来を垣間見せてくれると同時に、轟音を放ちながら、激しくパワフルなガソリンエンジンの終焉を称えている。

「Huracán STOはガソリンエンジンの最後の祭典です」。Willow Springs Raceway(ウィロー・スプリングス・レースウェイ)でのプレスイベントで、トラックサイドに座りこんだランンボルギーニの新しい北米CEO、Andrea Baldi(アンドレア・バルディ)氏はTechCrunchにこのように語る。このスーパースポーツカーの価格は32万7838ドル(約3600万円、税金と配送料を除く)から。公道からサーキットまで対応する。

画像クレジット:Lamborghini

ランンボルギーニの最高技術責任者、Maurizio Reggiani(マウリツィオ・レッジャーニ)氏は、その後筆者に「エンジンは単なるエンジンではなく、音楽であり、ランンボルギーニブランドのDNAの一部です」と語ってくれた。

このDNAは、印象的なデザイン、パワー、そして2人の経営者が「感情」と呼ぶもの、すなわち富裕層がランボルギーニに惹かれる排他性と喜びの感覚を体現する抽象的な概念に強く結びついている。

熟練したプロのレーシングカー・ドライバーを気取るつもりはない。筆者はトリッキーで起伏のあるビッグ・ウィロー・トラックを先導されながら走行しただけだが、ランンボルギーニが最後に発表するガソリンエンジン車に何か特別なものを取り入れたことは明らかだ(次回は、公道を走るHuracán STOを見てみたい)。

街乗りできるレーシングカーとしての親しみやすさ

新型Huracán STOは、ランボルギーニが世界各地で開催しているSuper Trofeo EVOシリーズやGT3 EVOシリーズなどのワンメイクレースで成功を収めていることから学び、それに「快適性、実用性」と「公道走行」を融合させている。Huracán STOは、高度な空気力学と素材、ブレーキ、テレメトリ(車両の状態の遠隔監視)を備えた、競技団体が規定する規格を公道に降ろしたとも言える公道仕様のレーシングカーであり、サーキットで高速走行することもできるし、Huracán STOで人目を引きつけながらデートを楽しむこともできる。

Huracánは後輪駆動で、巨大な5.2リッターV10エンジンは631馬力。7速デュアルクラッチ・ギアボックスと組み合わせることで、ビッグ・ウィローのストレートでは一瞬で時速200kmに加速した。STOの最高時速は300km/hなので、まったくもって余裕である。ANIMA(アダプティブネットワークインテリジェンスマネジメント)の設定が最も緩いストリート(STO)モードであっても、アクセルを踏んだ途端に走り出す。このSTOモードは、Lamborghini Dinamica Veicolo Integrata(LDVI、ランボルギーニ・ディナミカヴェイコロインテグラータ)システムによってサスペンションとダイナミクスが管理され、他のモードよりも反応が良く、より緩やかな走りになっている。

コーナーでのスライドをもう少し高めにして、ラップタイムを上げたければ、ANIMAボタンをもう一度押すと、Trofeoモードに切り替わる。このTrofeo(トロフェオ)モードでは、LDVIによって管理されるトルクベクタリングが変更され、テールの動きが良くなる。Piaggio(ピアッジオ)モードは雨天用のモードで、ウィロー・スプリングスのあるカリフォルニア州ローズミード周辺の砂漠地帯では久しく見られなかったものだ。

Huracán STOは、ビッグ・ウィロー周辺の険しいオフ・キャンバーやダブル・エイペックスの急カーブでも、コース上と同じ乗りやすさを感じることができる。シャークフィンと手動で調整可能な巨大なウイングが代表する、この車両の高度な空気力学がその理由だろう。後部のウイングは3つのポジショニングが可能で、重心を最大13%変化させ、ダウンフォースを90kg以上増減することができる。

最先進の素材とブレーキ

また、ランンボルギーニは、ボディ剛性と重量の最小化を両立させるために軽量のカーボンファイバーを採用している。Huracán STOのボディは75%以上がカーボンファイバーで構成され、Miuraにヒントを得たクラムシェル型のフロント「コファンゴ」(イタリア語のボンネットとフェンダーを組み合わせた造語)もその1つだ。ボンネットの下には小さな収納スペースがあり、その日のドライブプランに合わせて、レーシングヘルメットやバッグを入れるのに十分な大きさである。ベースとなったPerformanteに比べ、STOはカーボンファイバーの採用やインテリアの軽量化などにより、約45kg軽量化されている。

レース上で重要なのは、高速走行ではなく、ブレーキが甘くなく、何度でもすばやく止まれることだ。STOには、F1用に開発されたBrembo(ブレンボ)製CCM-R(Carbon-ceramic Resin Matrix)ブレーキが、民生車としては初めて採用されている。この技術は、ブレーキの温度を下げ、長時間の走行時のフェード現象を防ぐことができる。また、フェンダーに設けられた通気孔により、キャリパーやディスクに空気を送り込み、熱がこもらないように工夫されている。ブレーキの温度はインストルメントパネルで確認でき、LDVIもフェード現象をチェックする。

速く走るためのテクノロジー

Lamborghinは、サーキットでのタイムの向上を実感したいオーナーのために、サーキットでのタイムやパフォーマンスを記録し、比較するためのテレメトリシステムを提供する。プロが使用するVBOXと同じようなものだ。

このシステムは、ブレーキやスロットルの入力からステアリングの角度まですべてを分析し、オーナーやドライバーが馴染みのサーキットでより速く走行できるように支援する。記録されたデータと動画はランンボルギーニ独自のソーシャルネットワークにアップロードされ、オーナーはスマートフォンのUNICAアプリでアクセスすることができる。自分のトラックタイムを他のオーナーや友人、コーチと共有することも可能だ。

画像クレジット:Lamborghini

(ランンボルギーニのブレーキはいうに及ばず、)自分の車に装着されていた特注のブリジストン製ポテンザでさえも限界まで走行した訳ではない筆者だが、Huracán STOは、筆者が経験した中で最も自分に自信を与えてくれて、コミュニケーションを取りやすく、親しみやすい車両の1つであるとは言えるだろう。ステアリングはダイレクトかつリニアで、私がサーキット内外で運転したことのある他のランンボルギーニ車とは異なり、STOは車の能力ギリギリまで使っても、動きが乱れたり、操作性が悪くなったりすることはない。高速走行時でもコントロールされ、洗練された走り……これは従来の、サーキット志向のランンボルギーニとは結びつかなかった言葉だ。

富裕層にとっては、Huracán STOの生産の制約となるのはSant’Agata Bolognese(サンタガタ・ボロニェーゼ、イタリアの自治体)の工場の生産能力だけだ、というのは良いニュースだろう。バルディ氏によれば、Huracán STOは生産量は年間2500台程度で、すでに2022年の分まで完売しているとのことだ。「制約となるのは私たちの生産能力です。生産能力には限界があります。私たちは2024年までにHuracánをハイブリッド化して、既存のガソリンエンジンバージョンを廃止する予定です」とバルディ氏。

ランンボルギーニによれば、STOは3秒以内で時速100kmまで加速するという。プロのレースドライバー、Richard Antinucci(リチャード・アンティヌッチ)に先導されてサーキットを回ったのはほんの数周だったが、Huracán STOが、レース仕様の車を限界まで走らせるだけの資金と度胸のある人に、何か特別なものを届けてくれるのは間違いない。

画像クレジット:Lamborghini

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(文:Abigail Bassett、翻訳:Dragonfly)

高級感とテクノロジーが両立したデザインを追求する自動車メーカーたち、「ペブルビーチ・コンクール・デレガンス」開催

2021年の夏はモントレー、デトロイト、そして夏の終わりには英国オックスフォードで恒例のカーイベントが開催され、自動車コレクターが集結して高級車やビンテージカーを鑑賞し、オークションを楽しんだ。

2020年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックの影響で多くのカーイベントが中止。2021年は屋外に高級車を集めたイベントが復活し、7月の「Goodwood Festival of Speed(グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード)」、8月の「Monterey Car Week(モントレー・カーウィーク)」「Woodward Dream Cruise(ウッドワード・ドリーム・クルーズ)」、そして9月上旬に開催された「Salon Privé(サロン・プリヴェ)」などのイベントでは、魅力的なクーペや派手なハイパーカーだけではなく、さまざまなクルマが展示された。

COVID-19の変異株「デルタ」の流行にもかかわらず集まった観客と、豪華な会場に並んだ自動車に対する彼らの反応は、ビンテージカー、そして未来の超高級車に対する抑えきれない興奮を反映したものだった。

Gooding & Company(グッディングアンドカンパニー)のオークション・スペシャリスト、Angus Dykman(アンガス・ダイクマン)氏は「現地で参加できるオークションの需要が高まっていました」「私たちは現地でのセールスに強い関心があり、ビジネスは活発です。皆がさまざまな自動車を応援してくれました」と話す。

カリフォルニア州ペブルビーチの「ペブルビーチ・コンクール・デレガンス2021」に出品されたPorsche 917(2021年8月15日)(画像クレジット: Getty Images、撮影:David Paul Morris / Bloomberg)

この屋外の展示には、新興自動車メーカーも歴史あるブランドも、未来を反映させた最新の自動車を顧客に提示する必要がある、という緊迫感があった。高級車メーカーにとって、8月のモントレーは、次世代モデルのデザインをアピールできる重要なイベントだ。Bentley(ベントレー)、Bugatti Automobiles(ブガッティ・オートモービルズ)、Mercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)などの老舗の自動車メーカーに加え、新規参入のRimac Automobili(リマックアウトモビリ)やLucid Group(ルシードグループ)もモントレーでの存在感のアピールに資金を投じた。

ビンテージカーでもコンテンポラリーカーでも、その一貫したテーマは新しい顧客を惹きつける見事なデザインである。

マイクロチップが不足し、車両数も限られている中、カーコレクターは生産開始前から新型車の予約を行っていた。各ブランドのトップもコレクターたちと交流を図り、ペブルビーチでは、Ford Motor(フォード・モーター)のJim Farley(ジム・ファーレイ)CEO、メルセデス・ベンツ米国プレジデントのDimitris Psillakis(ディミトリス・プシラキス)氏、Aston Martin(アストンマーティン)のTobias Moers(トビアス・モアーズ)CEO、Lamborghini(ランボルギーニ)のMaurizio Reggiani(マウリツィオ・レッジャーニ)CTOなど、少なくとも十数名の経営幹部が目撃された。

現地時間2021年8月13日(金)、米国カリフォルニア州カーメルで開催された「The Quail, A Motorsports Gathering(ザ・クエイル、ア・モータースポーツギャザリング)」で、ブガッティ・オートモービルズのSAS Bolideを鑑賞する参加者たち(画像クレジット:David Paul Morris / Bloomberg via Getty Images)

モアーズ氏は、アストンが建設した大きなスタンドからビンテージカーショーを見下ろし「私たちのラグジュアリーカービジネスに関していえば、この場所が最適です」と話す。「ここでは、これまで会ったことのない新しい顧客に出会うことができます。私たちのブランドは、F1(フォーミュラワン)でかつてないほどの注目を集めています」。

同社は未来のレース仕様のアストンを展示。F1マシンを中心に、ValkyrieやValhallaなど、アストンの今後の方向性を示す指標となっている。

「これは私たちのメッセージです」とモアーズ氏。「2020年は、誰もがアストンは終わったと思っていたでしょう。そこにLawrence Stroll(ローレンス・ストロール)氏が乗り込んできて、多額の投資をしてくれました。私たちは復活し、お客様との関係はかつてなく強化されています」。英国で多くの地域がロックダウンされている中、同社はベントレー、フォード、Porsche(ポルシェ)から新しい部門長を採用した。

モアーズ氏自身もパンデミックの最中に新しいCEOとして就任しているが、同氏は北米の従業員、ディーラー、顧客と初めて顔合わせをした。

Mercedes-AMG(メルセデスAMG)出身のモアーズ氏は自信に満ちた経営者で、電動化の経験が自分の強みになると考えている。同氏は「アストンは超高級車を開発しており、その美しさは昔から有名でした。新しい技術を使えば、もうどこにも妥協する必要はありません」と語る。

ペブルビーチの観客を魅了することも重要だが、同氏はアストンの中国でのビジネス、そしてメルセデスのエンジニアリングをアストンの事業拡大にどのように利用するかという点にも注目している。

「中国では北米とは異なり、18歳~30代の若い顧客層に対応する必要があります。それから60代以上。その間の購買層は今のところ存在しません。中国のペースは信じられません。世界の富豪層の増加という点では、中国とアジアがトップだと思います」。

アストンにとっての未来とは、電動化と車内のユーザーエクスペリエンスの再考であり、これはメルセデス・ベンツの前世代の技術を採用するという過去の計画を破棄することを意味する。

「私たちは、メルセデスのインフォテイメント(情報とエンターテインメントを組み合わせた造語)やHMI(ヒューマンマシンインターフェース)を使用しないと決めました。未来を見据えてHMIを構築するなら、もう少し魅力的なものが必要です」とモアーズ氏。同社はメルセデスのMBUXインフォテイメントを取り入れずに、ランボルギーニやApple(アップル)と仕事をしているイタリアのサプライヤー、ART(アート)と一緒に新しいインフォテイメントシステムを構築しているという。

アストンマーティンは、電動化という業界の要求に応えるため、メルセデスのV8エンジン技術を利用して効率化を図る計画だ。

パワー、情熱、テクノロジー

Audi skysphere concept(画像クレジット:Tamara Warren)

ペブルビーチでは、自動車メーカーの経営者たちの間で、コンプライアンス基準を満たすために新しい動力源を開発する一方で、顧客の自動車に対する情熱を維持し、最新の車内エクスペリエンスで新しい顧客を惹きつけるというテーマが浮上した。

1社でできることではない。オーダーメイドの小さな超高級車ブランドは、エンジンや電子プラットフォームの供給を大手自動車メーカーや親会社の投資に頼っている。また、開発には競争力のある人材が必要だ。その上で、これらの小さなブランドは、大企業とは異なる独自性を強く打ち出す必要がある。

ランボルギーニのレッジャーニCTOは次のように話す。「将来に向けて一年前から開発が続けられている最も重要で高価なものの1つが、電子プラットフォームと呼ばれるものです」「ユーザーが電子プラットフォームに触ることはできません。電子プラットフォームはまさしく自動車の神経系(nervous system)です。私たちはグループ内でこれを使おうとしています。そうすれば、従来の車両に使用されていたパーツの多くや、識別できなかったシステムやコンポーネントを使用することが可能になります」。

ランボルギーニはVolkswagen Group(フォルクスワーゲングループ)の傘下にあり、ブガッティ、ベントレー、Audi(アウディ)、ポルシェなどの主要な競合車もフォルクスワーゲングループの企業である。

「グループで共有できるものは利用していますが、私たちは他とは違うことをしようとしています」とレッジャーニ氏。ランボルギーニはAmazon Alexaとのパートナーシップに着手した最初の自動車ブランドであり、顧客にAlexaが受け入れられたことで将来的な思考への扉が開かれたと話す。「『音』は、音声認識のフィルターを構成する手段です。未来を想像してみてください。トラブルが発生してランプが点灯しているときに、Alexaに『どうすればいいか教えて』と尋ねたとします。Alexaは、車を停め、サービスアシスタントを呼ぶようにと教えてくれます。そして人工知能が訓練されます」。同氏は、サウンドデザインと音声の新しい使い方を構築するためのデータ収集に取り組んでいるという。

しかし、目の肥えたランボルギーニの顧客には、高価なテクノロジーも時代遅れにならないような魅力的なデザインで魅せる必要がある。「デザインはランボルギーニを購入する1つ目の理由です」とレッジャーニ氏は話す。「しかし、従来のようにデザインが良ければそれでいい、というわけではありません。今や多くが、美学の中にエンジニアリングを統合したデザインになっています。車を構成する部品の1つ1つに機能性が求められます。そして空気力学と冷却の融合。PHEV(プラグインハイブリッドEV)の登場で、冷却系はますます複雑になりました。バッテリーマネジメントも今後ますます複雑になるでしょう。それらすべての要件を満足するクールなデザインが必要です」。

今という時代のテクノロジーとデザイン

モントレー・カーウィークに展示されたビンテージカーと比較すると、特にモータースポーツカーでは、空気力学と重量配分が常に車の設計原理を支配し、進歩を促してきたことがわかる。しかし、現代におけるテクノロジーとデザインとは、スピード、電動化、ADAS(先進運転支援システム)、コネクティビティなどが、時代を超越する洗練されたシステムに収められていることを意味する。レッジャーニ氏は「最も重要なポイントの1つは、必ず感動を呼び起こすデザインであることで、これは譲れない条件です」と話す。

未来をデザインするということは、その方向性を伝えることだ。急速に変化する世界で、高級車メーカーはそのペースに必死で追いつこうとしているが、これは非常に難しい課題である。モントレー・カーウィークに参加しなかったTesla(テスラ)は、同社のAIの発表をこの週に合わせて行った。テスラでさえも電動化を進化させようとしている。

モントレーで、完璧に手入れされ、限られた数しか生産されず、それゆえに数億円もの価値があるビンテージカーを運転することは魅惑的な体験だ。筆者は1957年式Mercedes-Benz 300 SLというエレガントなマニュアルトランスミッション(MT)オープンカーを太平洋沿いの道路で試乗し、(パンデミックにより入場料が高額な)この神聖な世界を少しだけ垣間見ることができた。

グッドウッド、ウッドワード、そして今週末に終了したサロン・プリヴェも同様に魅力的だったが、豪華な屋外イベントが終了した今、自動車業界は、輸送機関の未来に焦点を当てたショーに視線を移したようだ。

現地時間9月7日にミュンヘンで開幕したIAAモビリティ(旧フランクフルト・モーターショー)では、旧態依然の自動車ショーのイメージを一新しようとする自動車メーカーの姿勢が感じられ、より臨場感のある体験を楽しむことができる。展示されているEVのモデルやコンセプトの数々は、進化のスピードは金銭では予測できないものの1つであることを思い出させてくれる。

画像クレジット:David Paul Morris/Bloomberg / Getty Images

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(文:Tamara Warren、翻訳:Dragonfly)

モントレー・カーウィーク開催、未来のEVと高性能ハイブリッド車が注目を集める

現地時間8月15日(日曜日)に閉幕したMonterey Car Week(モントレー・カー・ウィーク)では、ペブルビーチにコンクール・デレガンスが戻ってきた。太平洋を望むペブルビーチ・ゴルフコースで開催され、2021年で70回目を迎えるこのショーでは、黒の1938年式メルセデス・ベンツ540K Autobahnkurierがベストショーの栄冠に輝いた。しかし、2021年目立ったのは、ビンテージカーではなく、EVハイパーカーや高性能ハイブリッド車である。

絵画のように美しいモントレー半島一帯で、自動車レース、展示、パレード、販売を中心としたさまざまな催しが一週間以上も開催されるモントレー・カーウィーク。このペブルビーチのイベントは年を追うごとに華やかになり、2020年は中止となったが、2021年は(新型コロナウイルスの蔓延が懸念されていたにもかかわらず)シャンパンが振る舞われた。

デルタ型変異ウイルスの懸念を受け、2021年8月初めにニューヨークモーターショーの中止が決定した際には、モントレー・カーウィークも中止になるのではないかという憶測が流れた。しかし、秋に向かって先行き不透明なパンデミック禍でもショーを行う必要があることから、カーウィークは事実上のショーとして開催された。

2021年8月15日、ペブルビーチで開催された「2021年ペブルビーチ・コンクール・デレガンス」で、ベスト・オブ・ショーを受賞した1938年式メルセデス・ベンツ540K Autobahnkurier(画像クレジット:David Paul Morris / Bloomberg)

コンクール・デレガンスまでの数日間、カーメルやモントレーの街は静かで人通りも少なく、走行しているビンテージカーも少ないように感じられた。駐車スペースでは、ランボルギーニやベントレー、フェラーリなどのモダンカーがスタンバイしていた。霧のような雨と低い気温にもかかわらず、ほとんどが屋外で行われたイベントでは、多くのゲストがマスクをつけたり外したりしていた。日曜日になると、大勢の観客がやってきて、コンクールは例年のような賑わいとなった。

メインイベントであるペブルビーチ・コンクール・デレガンスは、かつては戦前のレストアされたビンテージカーを対象としたイベントだったが、世代や嗜好の変化に伴い、会場のゴルフコース上には新車も登場するようになった。来場者の年齢層が若くなったことから、今では高性能なスポーツカーが数多く展示されている。

8月13日(金曜日)の夜に行われたGooding & Company(グッディングアンドカンパニー)のオークションでは、1995年式マクラーレンF1が2000万ドル(約22億円)という記録的な高値で落札された。一方、自動車メーカー各社は、高額なスーパーカーの限定モデルを、メディアやプライベートイベントに参加している上顧客に向けて、慌ただしく発表した。

Lamborghini(ランボルギーニ)のCTOであるMaurizio Reggiani(マウリツィオ・レッジャーニ)氏は「ペブルビーチは要です」と話す。「ペブルビーチのイベントは、車の美しさという側面で、人々が何を好んでいるかを教えてくれます」。

注目すべきは、現地時間8月11日(水曜日)、Audi(アウディ)が未来的なSkysphere conceptを展示したことだ。金曜日にはMercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)が、カリフォルニアスタイルの新しいコンバーチブルSLをプレビューしたが、このモデルは9月まで正式には発表されない。Aston Martin(アストンマーティン)は、ペブルビーチのゴルフコースを見下ろす広々としたスタンドで「Valkyrie」と「Valhalla」のモデルを展示したが、モデルを間近で見ることができたのはメディアと十分に吟味された顧客のみだった。

Rimac Automobili(リマックアウトモビリ)とLucid Group(ルシードグループ)の両社は、最も高価なEVパワートレインに投資する余裕のある潜在顧客と接触するためにペブルビーチに登場。Rimacは台座の上に圧倒的なスピードを誇るスポーツカー「Nevera」をデビューさせた。2021年のモントレー・カーウィークは、モダンカーと新しいプレイヤーが、周りの古い車を追い抜いてしまったように見えた。

超高級車に対する1年越しの鬱積した需要の高まりの中で、モントレーやカーメル周辺のレーストラック、道路は、パンデミック禍で購入したすべての車を披露できる最高の舞台だ。オークション価格が高騰し、7桁台(日本円では1億円以上)のスポーツカーが完売する中、ハイパフォーマンスカーへの情熱が衰えていないことが明らかになった。今回、ペブルビーチでお披露目された新車には、高価格、スポーツカーテクノロジーの集結、生産台数が少ないという共通点がある。以下、ハイライトを紹介する。

Aston Martin

画像クレジット:Tamara Warren

ここ数年、何度か延期されていたAston Martin Valkyrie Spiderだが、新CEOのTobias Moers(トビアス・ムアース)氏によってすでに完売したと発表された。Valkyrieは、取り外し可能なルーフパネルを備え、最高速度は時速350kmにも達する。パンデミック中にCEOに就任したムアース氏は、同社の生産方法を大幅に改良している。

ムアース氏は、新しい車載技術を加えることはブランドの将来にとって不可欠であり、それによって前世代のメルセデス・ベンツの技術から脱却できると話す。Astonのブースでは、ハイブリッドパワートレインを搭載したValhalla(2024年モデル)も展示されていた。

Audi Skysphere

「ザ・クエイル、ア・モータースポーツギャザリング」(カリフォルニア州カーメル)に出展されたEVコンセプトカー「Audi AG Skysphere」(画像クレジット:David Paul Morris/Bloomberg)

自動運転のコンセプトカー「Skysphere」は、ビンテージカーのコンクールというよりも、CES(コンシューマー・エレクトロニクスショー)に出展されているような印象を受けたが、ペブルビーチで発表された車の中で、最も興味深い車として注目を集めていた。Audiによれば、グランドツーリングモードとスポーツモードでホイールベースを変化させられるとのこと。

Bentley Flying Spur Mulliner

Bentley Flying Spur Mulliner(画像クレジット:Bentley)

Bentley Flying Spur Mullinerの豪華なインテリアは、贅沢なレザーで賛辞を集めたが、Bentley(ベントレー)にとって重要な意味を持つのはハイブリッドパワートレインを搭載するというニュースだ。

Bugatti Bolide

2021年の「ザ・クエイル、ア・モータースポーツギャザリング」でBugatti Bolideの横に立つBugatti Automobiles(ブガッティ・オートモービルズ)のプレジデント、Stephan Winkelmann(ステファン・ヴィンケルマン)氏(画像クレジット:Bugatti)

Bolideはペブルビーチではなく、金曜日にザ・クエイルで開催されたプレスカンファレンスで発表された。超高級自動車メーカーにとって、新型車は大きな意味を持つが、特に最後のガソリン車となるモデルは重要である。Bugattiによれば、Bolideは40台製造され、価格は1台400万ドル(約4億4000万円)。最高速度は時速480kmにもなるという。

Lamborghini Countach LPI 800-4

「ザ・クエイル、ア・モータースポーツギャザリング」に出展された「Lamborghini SpA Countach」(画像クレジット:David Paul Morris / Bloomberg)

デビュー50周年を記念し、初代モデルをオマージュしてデザインされたCountach。ボンネットの中には2.8秒で時速100kmに達するというハイブリッドパワートレインを搭載した、まったく新しいモデルである。

Acura NSX Type S

Acura NSX Type S(2022年モデル)。(画像クレジット:Acura)

Acura(アキュラ)は、現行最後のスーパーカー「NSX」の最終モデルとして、ハイエンドのハイブリッドバージョンを発表した。350台限定生産を予定し、価格はおよそ17万1000ドル(約1900万円)から。

Rimac Nevera

「ザ・クエイル、ア・モータースポーツギャザリング」に出展された高級EVスーパーカー「Rimac Nevera」(画像クレジット:David Paul Morris / Bloomberg)

Rimacは、244万ドル(約2億7000万円)のEVスーパーカー「Nevera」を米国でデビューさせ、モントレーにその名を刻んだ。Rimacによると、Neveraはフル充電で最大400マイル(約640km)走行可能で、最高速度は時速258マイル(約410km)とのこと。モントレーでのRimacの華やかな存在感は、かつてはビンテージカーの象徴だったペブルビーチで、競争相手を凌駕する新たなEVプレイヤーが求められていることを示している。

画像クレジット:David Paul Morris/Bloomberg via Getty Images

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(文:Tamara Warren、翻訳:Dragonfly)

ランボルギーニカウンタックLPI800-4は802馬力のハイブリッドスーパーカー

編集部注:著者のIgor Bonifacic(イゴールボニファシック)は、 Engadget寄稿者である。

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様々なリークや焦らし情報のあと、ランボルギーニはついにその新しいハイブリッドエンジンのカウンタックを発表した。

ありがたいことに、車について知りたいことのほぼすべてが、LPI800-4というモデル名に集約されている。

最初の部分(LPI)はLongitudinale Posteriore Ibridoの略で、これはエンジン機構が「縦置き」「後方」「ハイブリッド」だという事実を表現したものだ。

一方、2つの数字は、カウンタックのV12 6.5リッターエンジンと48ボルトの電気モーターが合わせて出力できるのが約802馬力であることと、4輪駆動であるという事実を示している。

画像クレジット:ランボルギーニ

それらが合わさって1台のパワフルな車が生まれた。このカウンタックは、時速0マイルから時速60マイル(約97キロ)までを3秒未満で加速し、時速0マイルから時速124マイル(約199.6キロ)までを9秒弱で加速することができる。最高速度は時速221マイル(約355.7キロ)、最大トルクは531lb-ft(約720N・m)だ。

画像クレジット:ランボルギーニ

カウンタックの電気モーターに電力を供給するのは、同じ重量のリチウムイオン電池と比較して3倍の電力を供給できるとランボルギーニが主張しているスーパーキャパシターだ。ランボルギーニは、V12エンジンから得られるパワー伝達の感覚を保持するために、ギアボックスに直接電気モーターを取り付けたという。

カウンタックLPI800-4のシャーシと外装の大部分をカーボンファイバーが占めている。「70年代と80年代の象徴的なカウンタックが、ここ10年間のカウンタックににどのように影響を与え進化させたかを想像させてくれます」とランボルギーニ社は、元のモデルよりもアヴェンタドールを彷彿とさせる今回のデザインについて語っている。内部には、CarPlay(カープレイ)統合が行われ「Stile」(スタイル[イタリア語])というラベルの付いたボタンを持つ、8.4インチのタッチスクリーンディスプレイがある。そのボタンを押すと「カウンタックのデザイン哲学が、その特権的な顧客に対して説明される」のだ。

特権的な顧客と言ったが、ランボルギーニはこのカウンタックLPI800-4を112台しか製造しない。自動車メーカーが送ったプレスリリースには価格さえ言及されていない。ランボルギーニも熱心に取り組んでいるようだが、カウンタックはあまりにも重要なので、限定といえども無視するわけにはいかなかった。

編集者注:この投稿は元々Engadgetに掲載された

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(文: Igor Bonifacic、翻訳:sako)