Oracle、エンタープライズ向けクラウドサービスのNetSuiteを93億ドルで買収

The Oracle headquarters is shown in Redwood City, Calif., Monday, June 18, 2012.  Oracle reported Monday that it earned $3.45 billion, or 69 cents per share, for the three months ending in May. (AP Photo/Paul Sakuma)

今日(米国時間4/28)、Oracleは全額キャッシュで1株あたり109ドル、つまり総額93億ドル前後でNetSuiteを買収することを発表した。 OracleとNetSuiteの両者は買収後もエンタープライズ向けサービスの提供を継続する。「両者は同じ市場で今後永く共存する」とOracleのCEO、Mark Hurdは述べた。

HurdはNetSuiteの買収について「両社の関係は補完的だ。Oracleは今後とも両社の新しいプロダクトの開発と流通に投資していく」と付け加えた。

NetSuiteは創立後18年を超える企業で、クラウド市場におけるエンタープライズ・リソース・プランニング(ERP)の分野で支配的な地位を占めているとされる。NetSuiteのサービスには需要、供給、在庫、会計、顧客関係管理(CRM)、人材管理(HR)などの処理が含まれる。近年ERP市場では活発なM&Aが行われ、全体として統合化が進んでいた。またOracleは2016年に入って小型の買収を積極的に行ってきた。買収した企業にはOpowerTexturaが含まれる。

これらに比べるとNetSuite買収は金額の点ではるかに大きい。もっとも歴代では2004年に103億ドルで買収したPeopleSoftが依然としてトップだ。現在でも巨額だが、大型買収の数が少なかった当時としてはさらに大きな衝撃を与える金額だった。

OracleとNetSuiteのサービスは似ているが、買収によって Oracleは現在の顧客よりもサイズが小さい企業にアクセスするチャンネルが開かれる。これはOracleの主要なライバルであるSalesforceとの競争上、有利な要素になるだろう。

画像: Paul Sakuma/AP

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Googleの「公正使用」勝訴後も残る著作権に関する疑問

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OracleがGoogleを相手取った長きに渡る裁判に関し、もしも陪審員がどのような判断を下したか知らなければ、昨日(米国時間5月26日)の両社の弁護団の様子からは、その結果について推測することはできなかっただろう。判決が読み上げられた直後、両サイドの知的所有権を専門とする弁護団は、それぞれ肩を寄せあって小声で話し合っていた。その光景からは、OracleがGoogleのポケットから最高で90億ドルを手に入れる可能性のあった、重要な戦いに敗れたということは見てとることができなかった。

陪審員の、GoogleによるAndroid上でのJava APIの利用は公正使用である、という判断は、Googleが巨額の小切手を切ることを防いだだけではなく、Javaを利用したソフトの開発者にも一息つく間を与えた。しかしながら、前回の裁判では、APIが著作権による保護の対象とされるという判決が下っており、公正使用を認める判決さえ覆される可能性があるという意味で、Googleにとっては複雑な勝訴であったといえる。さらに、Oracleは既に控訴の意向を示している。

デューク大学でコンピューターサイエンスの教授を務めるOwen Astrachan氏は、今回の判決に関し「APIに著作権が認められていることを考えると、今回の判決は興味深い」と語る。Astrachan氏は、著作権に関する前回の裁判と、今回の公正使用に関する裁判両方で、Google側の鑑定人として証言しており、ホテルの部屋で、Twitter上に現れた判決に関するニュース目にしたときには、喜びで飛び跳ねたという。「Java APIの利用について、それが一件ずつ公正使用かどうか裁判で争わないといけないということでしょうか?面白いですね。Oracleは誰に対しても裁判を起こせるくらい十分なお金を持っていますし」

開発者には、これから自分たちの製品を裁判で守る必要があるかどうか、という問題がまだ残されている。彼らのJavaの再実装が、公正使用と認められる可能性はあるものの、誰もOracleのような資金力のある会社を相手に、裁判で戦おうとは思わないだろう。EFFのような支援団体は、ラベルAPIに著作権さえ認めない方が、開発者のコミュニティーにとってはよりシンプルで安心できると主張する

Googleの弁護団は、公正使用の四大原則をもとに議論を作り上げ、Astrachan氏いわく、これが陪審員に対してうまく効いたようだ。弁護士と証人は、コードの実装について一風変わった例を示した。問題となっていたAPIは、2週間に及ぶ審理の中で、キャビネット、ハンバーガー、コンセント、ハンドルさらにはハリーポッターシリーズにまで例えられていた。しかし、結果的にこの奇妙な例えが、望まれていた効果を発揮したのだ。

「多分、ハンバーガーとコンセントとハンドルの例えに効果があったんだと思います」とAstrachan氏は語り、さらに陪審員による評決が発表された後、「私たちはハンバーガーを食べにいこうかと冗談を言っていました」と話した。

一方、Googleの弁護団はシャンパンで勝訴を祝っていた。

しかし、祝福ムードはOracleのオフィスまでは届いていなかった。今回の裁判でOracle側に立った、知的所有権専門弁護士のAnnette Hurst氏は、LinkedIn上で判決内容を非難するブログ記事を公開した。Hurst氏は、今回の判決で、Oracleが不意打ちを食らったと示唆し、「GoogleによるAPIの使用法が、公正使用にあたると予想した著作権の専門家はいなかったでしょう」と綴っている。

「この度の判決が覆されることがなければ、世界中のクリエイターが苦しむことになるでしょうし、フリーソフトウェア運動自体も今大きな危機に直面しているといえます。」とHurst氏は付け加えた。「著作権で保護されている全てのソフトウェアの所有権が、この結果を受けて今後どのように守られていくのかわかりません。ソフトウェア企業は、ソフトウェアそのものとしてではなくサービスとして製品が管理されるよう、今からクラウド化を加速させなければなりません」

Hurst氏の、GoogleによるAndroidの開発でオープンソース・ソフトウェアが痛手を負ったという主張は、Oracleの共同最高経営責任者であるSafra Catz氏が証言中に述べたコメントと内容を同じくする。Catz氏は、Androidの導入によってJavaのオープンソースコミュニティーが分裂し、開発者をふたつのプラットフォームに振り分けることになってしまったと語っていた。

Hurst氏は、開発者コミュニティーを強く非難しながら、フリーでオープンなソフトウェアを推進する運動の草分け的活動家でプログラマーでもあるRichard Stallman氏の名前を挙げ、ブログ記事を締めくくった。「この戦いであなたたち開発者は、Oracle側に立つべきでした。Googleの言うフリーは、Richard Stallman氏が言っていたフリーとは意味が違うんです」

5年におよぶ法的論争をもってしても、Oracleの辛口批評家の大多数がその意見を曲げることはないようだ。しかし、そこには控訴という手段が残っている。

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(翻訳:Atsushi Yukutake

Oracle敗訴―陪審員はGoogleのAndroid中のJava APIを「公正使用」と評決

2016-05-27-oracle-google

多くのモバイル・アプリのデベロッパーが安堵のため息をついたはずだ。陪審員はGoogleの37件のJava APIのAndroidのコードへの利用を公正使用〔fair use〕と認めた。ただしOracleの弁護士はいち早く控訴の意向を明らかにしている。

Googleの広報担当者は「GoogleによるJava APIの利用を公正仕様と認めた今回の評決はJavaのプログラミングのコミュニティーだけでなく、オープンかつ無償のプログラミング言語を信頼して革新的なプロダクトを消費者に届けようとするあらゆるソフトウェア・デベロッパーにとっての勝利だ」と述べた。

もしこの訴訟でJava言語を所有するOracleが勝っていれば、デベロッパーはサードパーティーが開発したAndroidプログラムのJava APIを再利用することを恐れるようになっていたはずだ。これはきわめて一般的な慣行となっている。

OracleがGoogleを訴えたのは2010年にさかのぼる。 Oracleは「GoogleはOracleが所有権を持つJavaプログラミング言語を許可なく利用した」としてGoogleに対する訴訟を起こした。一審ではGoogleの行為は著作権侵害に当たらないと判決されたが、控訴審はこの判決を破棄し、争点となっているAPIには著作権が及ぶと認めて事件を下級審に差し戻した。このため争点はGoogleのAPI利用が一定の条件の下で使用が認められる公正使用に該当するかどうかとなった。

OracleにはJava言語をライセンスする権利がある。しかしGoogleは問題の37件のAPI利用は、オリジナルの内容を独自に改変して別のプラットフォーム、つまりAndroidで使用しているため公正使用に当たると主張していた。もしOracleが勝訴していれば、約90億ドルの損害賠償を得られるはずだった。

EEF(Electronic Frontier Foundation)の上級スタッフで弁護士のMitch Stoltzは著作権問題を専門としているが、「これはソフトウェア開発ビジネス全体の勝利だ。この評決でAPIを再利用するソフトウェア・デベロッパーは訴えられる心配をする必要がいくらか減った」と述べた。しかし Stoltzは「(APIに著作権が及ぶとした)上級審の判決は依然有効であり、小規模なデベロッパーがテクノロジーの巨人から訴えられる危険性は残っている」と指摘した。

この訴訟では、Googleの共同ファウンダーでAlphabetのCEO、ラリー・ペイジが証言し Oracleの主張に反駁した。ペイジは陪審員に対し、「私は著作権がAPI宣言に及ぶという定義に反対する。Java APIの宣言コードの利用はデベロッパー間に広く行われている慣行だ」と述べた。

William Alsup判事は前回のOracle対Googleの訴訟も担当しているが、「判断に当たってきわめて思慮深いアプローチを取っている」としてたびたび陪審員を賞賛している。またいささか異例ではあるが、Alsup判事は最終弁論の前に陪審員が事実を検討する時間を得るためにメモを自宅に持ち帰ることを許可した。

しかしOracle側は控訴の意向を明らかにしているため、訴訟はこれからも続くことになる。【略】

進行中の事件のため、この記事はアップデートされることがある。

画像:: corgarashu/Shutterstock

〔日本版〕記事末の画像をクリックするとOracle対Google訴訟関連のTechCrunch記事(英文)の一覧を読むことができる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

OracleのCEO、Amazon PaperwhiteにJavaを97.5%割引でライセンスしたと証言

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OracleGoogleは、Googleが人気のモバイルプラットフォーム、Androidで、OracleのJavaコード使用している対価を支払うべきだというOracleの訴えを巡って、90億ドル以上の再審を戦い続けている。そしてその過程で、これまで出てこなかった会社の詳細も語られた。今日(米国時間5/17)、名前が上がったのはAmazonだ。Oracleは今日、AmazonのKindle PaperwhiteではJavaが走っているが、それにはOracleがAndroidに対抗するために、97.5%ディスカウントでライセンスすることに同意する必要があったと語った。

詳細を話したのは、Oracleの共同CEO、Safra Catzで、彼女は今日、GoogleがAndroidによってどのような競争を市場にもたらしたかを示す証言を行った。それはゼロとの競争、ということのようだ。証言は、Amazonの電書リーダー、Kindle Paperwhiteが発売された2012年以前に遡る。

「Amazonは…Javaを使って何年も前から[Kindleを]作っていた」と彼女は言った。「その後、Kindle Fireという別製品を作り、そこではAndroidを使った。当時AmazonはJavaをライセンスしていた」

「私のところを通る、顧客によって異なるディスカウント率を扱う承認手続きの中で、AmazonがKindle FireをAndroidで作ろうとしていることを知った」

「今、彼らはPapwerwhiteという新製品を検討していて、そこでJavaを使うかAndroidを使うかを考えている。」

「Googleと競争するために、われわれはPaperwhiteに97.5%のディスカウントを提供することにした。ライバルはタダなので、それまでの価格ではなく、1ドルの物を数セントで提供せざるを得なかった」

ここでよく説明されていないのは、OcracleがAmazonと交渉した際に、Googleが実際どんな役割を果たしたかだ。あるいは、Catzの証言は、Kindle Fireタブレットが出来る前、JavaがKindleを支配していたことを示唆しているのか疑問を持つべきなのだろうか。しかし、もし証言が正しければ、これはライバルたちにとってAndroidに対するさらに大きな問題を強調することになる。「無料」という値札だ。

本誌は、AmazonとGoogleの両社に問い合わせ、Catzのコメントに対する反応を求めている。

法廷では、GoogleはCatzのAmazonに関する証言に対して、反対尋問をしなかった。

Catzは昨日も証言台に立ち、OracleはGoogleを訴えるだけの目的でSun(Javaを最初に作った)を買収した、という再三繰り返される主張について答えた。

真実ではない、と彼女は自らの弁護士の質問に答えて言った。買収は、SunがIBM等のライバルの手に渡ることを防ぐためであり、それはOracle自身が既に自社ビジネスの重要な部分をSunの技術に基づいて構築していたためだった。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

OracleがDocker運用管理サービスのStackEngineを買収、経営の軸足はますますクラウドへ

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長年クラウドを馬鹿にしていたOracleが最近は逆にそれを、ものすごく重視している。先週ひそかにStackEngineを買収したのも、同社のPaaSの提供物をさらに一層充実させるためだ。

テキサス州オースチンのStackEngineは、同社のWebサイト上の短い声明で、Oracle.comへの合体を説明している。それによると、データベース大手のOracleが同社を買収し、その条件の一環として社員は全員Oracleに加わる。

StackEngineは昨年、二人のベテラン技術者たちが創業し、Dockerの運用管理を提供するサービスとして2014年10月にステルスを脱した。オープンソースのコンテナシステムであるDockerは、最近の数年間で、猫も杓子も使う日用品のような、普遍的人気者になっているが、それ自体は、ITのプロたちがアドミニストレータとしてコンテナを管理するための機構を欠いていた。StackEngineは、そのことに着目した。

ChefやPuppetとスクリプトを使えばそんな管理層を作ることは可能だが、StackEngineは、もっと最初からDockerに特化された適正な管理コンソールを提供したい、と考えた。今回の買収までに同社は、二度のラウンドで計450万ドルの資金を獲得している。

単独で見ればこの買収は、Oracleの買い物としては奇妙に見えるかもしれないが、むしろこれは、もっと大きな同社のクラウド計画の一環だ。同社は今年、クラウドに向かう大きな数歩を踏み出したが、今回の買収はDockerコンテナに直接関連していて、Oracleのコンテナ市場への参入と、その市場の将来性に賭ける姿勢を表している。

この買収はDockerにとって有意義だったかもしれないが、Dockerはこの前、競合製品Tutumを買収しており、そのほかのコンテナ管理スタートアップにとっては状況が不利になったかもしれない。Docker自身が選んだ管理レイヤが、Tutumなのだ。

Oracleは別の声明で、StackEngineの本拠地オースチンに新たにクラウド専用事業所を作ると言っている。その近くに、クラウド担当社員のための住宅も買うらしいから、今後の人材獲得策も含め、このプロジェクトへのOracleの“本気度”が伺える。

今月初めに発表された決算報告(.pdf)でOracleは、クラウドの売上が26%伸びて6億4900万ドルである、と言っている。その内、PaaSの売上は4億8400万ドルで34%伸びている。対して、オンプレミスの売上は7%ダウンだ。同社の、未来に向けての伸びしろはクラウドにしかない、ということか。

StackEngineにとっては嬉しいイグジットパス、そしてOracleにとってはPaaSの持ち駒のさらなる充実だった。今建設中のオースチンキャンパスは、2016年のOracleの新しい動き(新たな買収、プロダクト開発など)のメインの舞台になるだろう。

〔訳注: ここにグラフが表示されない場合は、原文を見てください(Oracle企業プロファイル)。〕
[graphiq id=”5kqMqbO7qrH” title=”Oracle Corporation (ORCL)” width=”700″ height=”461″ url=”https://w.graphiq.com/w/5kqMqbO7qrH” link=”http://listings.findthecompany.com/l/12055771/Oracle-Corporation-in-Redwood-City-CA” link_text=”Oracle Corporation (ORCL) | FindTheCompany”]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

ビッグデータ処理のモバイル化を志向するCouchbaseが新たに$60Mを調達

分散コンピューティングの需要やモバイルデバイスの増殖に伴い、コンピューティングのインフラとなるツールの革新の歩みが加速している。そして新しいタイプのデータ管理やデータ処理技術を専門とするスタートアップたちが大きな資金を調達して、次世代のコンピューティングを推進しようとしている。

最近、新たな投資家WestSummitやAccel Growth Fundから6000万ドルを調達した新進のデータベース企業Couchbaseも、その巨額な資金により、国際展開と継続的な研究開発を、さらに加速するつもりだ。

カリフォルニア州Mountain Viewの同社は、MongoDBなどとともに、企業や組織の業務データ(operational data, オペレーショナルデータ)の管理を扱う、資金状態の良好なスタートアップの一つだ。

これまで累積で10億ドルあまりを調達しているClouderaなど、Hadoopベースのベンダと違ってCouchbaseとMongoDBは、データベースのデータ処理よりもむしろ、データの管理とリカバリに力点を置く。同社のCEO Bob Wiederholdは、そう語っている。

Wiederholdは曰く、“ユーザのところでは大量のアプリケーションが同時に動いていて、大量のデータベース操作をたえず行っている。今日のデータベースは、そのような苛酷な状況を堅牢にサポートしなければならない”。古いデータベース技術ではデータが中央一点型で存在し、Couchbaseのような分散データベースと違って、需要増に応じて機敏なスケールアップができない、と彼は語る。

WestSummitとAccel Growthから得た新たな資金は、ビッグデータ市場のなお一層の開拓に充てられる。その市場のグローバルな現在の規模は、アナリストグループIDCによれば、160億ドルあまりと推計されている。

さらに同社は、5月のローンチしたモバイル技術の展開にも力を入れていく。

Couchbaseが今市場に売り込もうとしているモバイルデータベースは、モバイルデバイス上のアプリケーションが、インターネットに接続していないときでも稼働できる状態を作り出す。

Wiederholdはさらに言う: “今モバイルアプリを使おうとすると、インターネット接続がなかったり、接続状態が悪かったりしてフラストレーションにおちいることがある。ある程度キャッシュが使われてはいるが、アプリ本体の機能は利用できない。しかし、必要なデータをモバイルデバイス上に保存できたら、非常に速いレスポンスタイムを享受できるし、インターネット接続が得られる状態になったらデータをクラウドにシンクできる”。

Couchbaseのモバイルプロダクトはまさに、そのような機能性を提供する。“モバイルへの移行は巨大なトレンドであり、そのためにまず最初に作られるのがモバイルのアプリケーションだ。しかし、今よりももっとグレートなモバイルアプリケーションを作れて、利用できるためには、モバイル対応のデータベースこそが、その鍵となる技術なのだ”、とWiederholdは自負を語る。

モバイルと並んでCouchbaseのCEOの目に映じている大きな機会が、国際展開の拡大だ。中国と合衆国を股にかけたファンドWestSummitを加えたのも、そのねらいからだ。WestSummitの協同ファウンダでマネージングパートナーのRaymond Yangが、Couchbaseの取締役会に加わる。

Couchbaseには、二つの別々のデータベース企業CouchOneとMembaseというルーツがあり、両社が2011年に合併してCouchbaseになった。

同社はこれまでに、Accel Partners、Mayfield Fund、North Bridge Venture Partners、Ignition Partners、Adams Street Partnersなどから合計1億ドルあまりを調達している。

写真はFlickrユーザElif Ayiterより

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


OracleはJava APIの著作権にあくまでも固執, デベロッパの自由が危機に

[筆者: Sacha Labourey, Steven G. Harris]

編集者注記: Sacha LaboureyはCloudBeesのCEOで元JBossのCTOだ。彼をTwitterでフォローするには@SachaLaboureyへ。Steven G. HarrisはCloudBeesの製品担当SVPで、前はOracleのJavaサーバ開発担当SVPだった。彼のTwitterアドレスは@stevengharrisだ。

OracleがGoogleを訴訟した裁判で、William Alsup判事が下した裁定は、デベロッパたちを一(ひと)安堵させた。Oracleの言い分はほとんど何一つ通らなかったが、中でもOracleに致命傷を与えたのは、次の一文だ:

メソッドを実装するために使われているコードが異なってさえいれば、著作権法の下では誰もが自由に、Java APIで使われているどんなメソッドでも、それと正確に同じ機能や仕様を実現する自己独自のコードを書いてよい。メソッドの宣言やヘッダ行は同一であってもかまわない。Javaの規則においては、同じ機能を指定するメソッドはそれらの宣言も同じでなければならない–実装が異なっていても。ある考えや機能を表現する方法が一つしかないときは、誰もが自由にその表現ができ、誰もその表現を独占することはできない。そして、Androidのメソッドとクラスの名前をJavaにおけるそれらの同等物とは違う名前にしても、たしかに正常に動作したではあろうが、しかし著作権法による保護は名前や短い語句にまでは及ばないものである。

Oracleを支持する法廷助言人たちからの具申書にも示されているように、この裁定は企業世界の超保守派大物たちの憤激を買った。OracleがライバルのMicrosoftやIBMらと(Business Software Allianceを介して)一つのベッドを共にする光景は、珍しい。彼らの今回の同床異夢ならぬ同床同夢は、スタートアップという「ファウンデーション」から彼らの老いたる「帝国」を守ることであった。さらにそこに、合衆国著作権局のトップも加わる。そしてこのごった煮に最後にふりかけるスパイスと調味料が、さまざまな業界関係者たちだ。元Sunの役員Scott McNealyとBrian Sutphinも、彼らに兵糧を送った

法廷助言人たちによるこれらの趣意書の内容は、ソフトウェアデベロッパ全般と業界の未来に対し警鐘を鳴らしている。なぜか? 彼らは口を揃えて、Alsup判事の裁定は業界にとって有害だと主張している。たしかにそれは、旧守派の事業にとっては有害だろう。それでなくても彼らは今、オープンソースとクラウドベースのサービスがますます激しく燃え立たせている変化の炎の脅威にさらされている。しかし、Alsup判事の裁定が控訴審で否定されたら、逆に、ソフトウェアのプロフェッショナルとしてのあなたにとって、有害な事態になることは確実だ。

APIは、なぜ存在するのか? それは実装の提供者とその実装のユーザ、すなわちデベロッパとの間のコミュニケーションチャネル、共通語、接触界面である。もちろん、APIを作るためには投資が必要だ。高度な専門知識と経験知と、そして良い趣味も、効果的なAPIを作るためには必要だ。しかし企業や個人がそのような投資をするのは、実装をAPIを通じて露出することにより、デベロッパたちにその実装を使ってほしいからだ。その実装は、人びとにあなたのハードウェアやソフトウェア、あるいはサービスを買う動機を与えるかもしれない。それはもしかして、広告を売るためのより効果的な方法ですらありえる。

APIを作るときには、それなりのねらいや目的がある。しかしAPI自体は、収益化のための素材…商材…ではない。収益化の対象はあくまでも、そのAPIによってアクセス可能となる何ものかだ。APIは多くの本やブログやオープンソースのプロジェクトにドキュメントされ、使われている。APIの成功は、その採用利用数によって計れるかもしれない。しかしデベロッパにAPIの使用を積極的に勧めるときに、それによって生ずる副作用を抑えることはできない。Captain PicardがOracleのレプリケータに“お茶、アールグレイをホットで”とオーダーするとき、彼はお茶だけでなく、“オブジェクト、クォリファイヤー(Object, Qualifier)”といったAPI概念も使っている。Oracleが、ほかのシンタクスを使えと言い張るなら、Googleなどは自分たち独自のレプリケータを作らなければならない。

Oracleは、特許に関する彼ら独自の定義を、通せなかった。彼らは、Googleがほんの数行のコードをコピーしたことを、特許侵犯と認めてもらえなかった。彼らの主張どおり、コミュニティがスタンダードとしてプッシュしているJava APIを、Oracleの許可なくして使えなくなったら、敗者となるのはGoogleではなくソフトウェアデベロッパとイノベーションだ。Java言語を学ぶことは比較的易しいが、そのAPIをマスターするためには、Javaデベロッパとしての相当大きな–個人としての–投資が必要だ。AndroidがJavaデベロッパに与えたものは、彼らのそれまでの個人的なキャリアと職業的投資を、Sunがその正しい取り組みを失したモバイルの市場で、そのまま活かせる、という事態だ。

Androidの分裂と互換性の問題は、どうなるのか? 私たちは、Javaの互換性、Javaというブランドの力、そしてコンプライアンス試験の価値を大きく信じている。私たちはJava Community Process Executive Committeeに参加している。Javaに比べてAndroidには互換性という問題が確かにある。Googleによる互換性努力も、完全な成功には遠い(しかしJava MEも互換性が完璧ではなかった)。Androidの、Java APIをベースとするライブラリの下には、ノンJavaの仮想マシン(Dalvik)があり、Googleはそれによって、ライセンスの問題や、それに伴う互換性、サブセットかスーパーセットか、名前空間の汚染、といった問題を避けようとした。そこまでのことができる者は、今の世界にそんなに多くはない。

いずれにしても、AndroidがJava APIを使っているおかげで、JavaデベロッパはAndroidにすぐなじめる。コーヒーカップのロゴが消えただけだ。Javaデベロッパにとっては、Androidから得られる機会の方が、AndroidがJavaの標準APIのサブセットしか提供していないことによる不完全な互換性の問題よりも、大きかった。今JCP(Java Community Process)では、現在のルールをもっと前進させ、Javaをよりフォークフレンドリーなオープンソースやクラウドの世界で円滑に共用できるよう努力している。Java APIもその多くの部分はJCPが進化させてきた。それに対してOracleが今権利を主張しているが、それによって互換性が犠牲になり、Javaがコミュニティを無視して完全に私企業の商材になることはない、ありえない、と信じたい。

IT産業がパッケージソフトからクラウドベースのサービスというモデルへ移行していくに伴い、この議論はさらに重要性を増す。企業が今後ますます、SaaSやPaaSやIaaSによるソリューションに投資していくとき、彼らのオペレーションはサードパーティAPIへの依存度を増していかざるをえない。それらのAPIは、総体的にまだ標準化が未整備であり、そこに、APIの合法的使用をめぐる不安や恐れや懸念を今回のように持ち込むことは、業界に、イノベーションを阻む無意味な足かせを課すことにほかならない。

今は、そのナイフの柄を誰が持つべきか、を決めなければならない。経済の繁栄と競争力の強化は、APIが同一だから企業がサービスプロバイダのスイッチを安心して容易にできることにかかっている。ベンダロックイン(vendor lock-in, 閉じこめ)の停滞沈滞とは、逆の状態である。APIのプロプライエタリ化によるロックインは、競争を鈍化し、経済を窒息させる。しかもそんな事態が、ほんの一握りのレガシーソフトウェアのベンダたちが彼らのフランチャイズをせめてあと数年保護したいがために起きるとしたら、一体そんなことは、許されるだろうか?

Java〜Java APIの柄を握るのは誰か? その決定が及ぼす影響は今後数十年と長く、そしてクラウドという新しいITモデルにも影響は及ぶ。それなのにその決定が今、この激しい変化の時代に生き残りを画策するレガシーベンダたちによる、強力なロビー活動によって為されようとしている。デベロッパのみなさん、あなたの今後の長期的な生計の糧、技術選択の幅広さ、そして私たちの業界の活発な競争性、それらが今、危機に瀕しているのだ。

〔訳注: 豊富な原文コメントも、ぜひお読みください。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))