AC Venturesがインドネシアのスタートアップ向けに84.4億円の初のファンドを発表

インターネット経済が急成長(Googleレポート)している。世界で最も人口の多い国の1つであるインドネシアは、スタートアップに多くの機会を提供している。AC Venturesがそのシーンに、8000万ドル(約84億4000万円)のACV Capital III LPファンドで参加しようとしている。同社はインドネシア時間10月12日、ファンドの最初のクローズを発表した。すでに5600万ドル(約59億ドル)がコミットされている。

資本は今後3年間で、30社のインドネシアのスタートアップに投資される予定だが、最初は最大300万ドル(約3億2000万円)の小切手が、シードもしくはシリーズAステージの企業に渡される。

12人のチームでジャカルタを拠点とするACVは、AC Venturesとインディーズキャピタルによる戦略的アライアンスだ。ACVの創業パートナーは、AC Venturesの創業者でマネージングパートナーであるAdrian Li(アドリアン・リー)氏とMichael Soerijadji(マイケル・ソリジャジ)氏、並びにIndies CapitalのマネージングパートナーであるPandu Sjahrir(パンドゥ・サジャリア)氏だ。サジャリア氏また、インドネシアの2つのユニコーン、Gojek(ゴジェック)とSea(シー)の取締役も務めている。

同アライアンスはすでに、Shipper(シッパー)、Kargo(カーゴ)、Stockbit(ストックビット)、BukuWarung(ブクワルン)、ESB、Co-Learn(コラーン)、KitaBeli(キタベリ)、Aruna(アルナ)、Soul Parking(ソウル・パーキング)の9つのスタートアップに投資を行っている。同アライアンスはeコマース、金融技術、MSME(零細および中小企業)にサービスを提供するスタートアップ、ならびにデジタルメディア対応サービスに焦点を当てる予定で、リー氏はTechCrunchに対して、エンターテインメントに加えて教育やヘルスケアなどのセクターを網羅できると語った。

ACVはまた、投資先の企業と緊密に連携し、事業開発、主要な幹部の採用、その後の資金調達を通じて企業を指導していく予定だ。また、グロースハッキングや資金調達などのスキルについて創業者たちを指導するために、AC Academy(ACアカデミー)などのプログラムを立ち上げた。

インターネットの普及とオンライン決済は過去5年間で大幅に進んだが、eコマースは依然として、インドネシアの小売市場全体(JPモルガンレポート)のごく一部を占めているのに過ぎない。このことは、スタートアップにとってイノベーションを起こす余地が十分にあることを意味する。たとえば、インドネシアには600の無人島があるため、物流は非常に細分化されている。ACVの投資先であるShipperは、異なるプロバイダーを介した複数の出荷を売り手が一度に管理するのに役立つプラットフォームを提供する(未訳記事)。

ACV Capital IIIの資金調達は、COVID-19のパンデミックの前に始まったが、リー氏によればインドネシアのような国々では、危機がもたらした経済的犠牲にもかかわらず、多くの種類の技術の採用が加速する可能性があるという。たとえば、個人商店やその他の中小企業のデジタル化業務に焦点を当てているBukuWarungは、最近オンライン注文や非接触型決済の需要に応えてデジタル決済を開始した。別のACVポートフォリオ企業であるESBも、レストランに対して同じことを行っている(Deal Street Asia記事)。リー氏は、ソーシャルディスタンスの流れの中で、食品および飲料事業がオンライン注文とデリバリーに目を向けるにつれ、デジタル決済サービスへの関心が高まったのだと語る。

「私たちはインドネシアでいくつもの素晴らしいチャンスを見ています、そして私たちはインドネシアのスタートアップに世界から今まで以上の関心が集まっているのを知っています」とリー氏はいう。「インドネシアは世界で4番目に人口の多い国で、テクノロジーを通じることで、より良くより効率的に提供できる製品やサービスがたくさんあるのです」。

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画像クレジット:ACV

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(翻訳:sako)

エビ・甲殻類の細胞培養肉開発スタートアップShiok Meatsに東洋製罐グループが出資

エビ・甲殻類の細胞培養肉開発スタートアップShiok Meatsに東洋製罐グループが出資

総合包装容器メーカーの東洋製罐グループは10月8日、エビ・甲殻類の細胞培養開発に取り組むシンガポールのスタートアップ企業Shiok Meats(シオック・ミーツ)に出資したと発表した。

Shiok Meatsの今回の資金調達はシリーズAで、調達総額は1260万ドル(約13億3500万円)。リード投資家は、オランダの投資ファンドAqua Spark。また東洋製罐グループのほか、SEEDS Capital(シンガポール企業庁Enterprise Singaporeの投資部門)、リアルテックホールディングスなどが参画した。

Shiok Meatsは2022年に培養エビのミンチ肉の商業販売を目指しており、今回調達した資金は、シンガポールに建設予定となっている世界初・商用規模の細胞培養パイロットプラントの建設、運営資金にあてられる予定。

また東洋製罐グループは、食生活を支えるインフラ企業として、今回の出資によってShiok Meatsや他の共創パートナーとともに、培養エビ・甲殻類の商用生産・供給を進め、アジア地域における豊かで持続可能な食生活の実現を目指す。

Shiok Meatsの培養エビのミンチ肉を使用したシュウマイ

Shiok Meatsの培養エビのミンチ肉を使用したシュウマイ

Shiok Meatsは、幹細胞の研究者Dr. Sandhya Sriram(CEO)とDr. Ka Yi Ling(CTO)が2018年8月に共同設立した、シンガポールのフードテック・スタートアップ。エビ・甲殻類から幹細胞を分離する独自技術を有しており、クリーンなエビ・甲殻類の細胞培養製造によって、アジア地域が抱える食糧・タンパク質危機や気候変動、海洋汚染の社会課題解決を目指している。

東洋製罐グループは、1917年(大正6年)創業以来100年間で培った容器の技術やノウハウを活用し、ひとりひとりが抱える社会課題を解決し、持続可能な未来の暮らしを創るオープンイノベーションプロジェクト「OPEN UP! PROJECT」を2019年より実施。2年目となる2020年は、共創プロジェクトを促進するため、共に社会課題の解決に取り組むスタートアップ企業への投資を開始しており。今回のShiok Meatsへの投資は、その1号案件となる。

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英国の二大株式投資型クラウドファンディングCrowdcubeとSeedrsが合併に合意、未公開株式マーケットプレイス最大手に

英国の二大株式投資型クラウドファンディングであるCrowdcube(クラウドキューブ)とSeedrs(シーダーズ)が長らく噂されていた合併に合意し、世界最大級の未公開株式マーケットプレイスになる。合併後の会社価値は1億4000万ドル(約147億9000万円)となる。

合併はCrowdcubeがスキーム・オブ・アレンジメントと呼ばれる手続きを通じて、Seedrsの発行済株式をすべて買い取るかたちで行われる。既存のCrowdcube株主およびオプション保有者は合併会社の60%を、既存のSeedrs株主およびオプション保有者は合併会社の40%をそれぞれ保有する。共同声明によると、合併比率は両社の直近の資金調達ラウンドに基づく概算価値を反映している。

SeedrのCEOであるJeff Kelisky(ジェフ・ケリスキー)氏が合併会社のCEOに、CrowdcubeのCEO・共同ファウンダーがエグゼクティブ・チェアマンにそれぞれ就任する。経営チームには両社の主要メンバーが加わる。

CrowdcubeのCEO・共同ファウンダーであるDarren Westlake(ダレン・ウェストレイク)氏は次のようにコメントしている。「投資型クラウドファンディングは、野心的な企業が投資を募り顧客を獲得するやり方を再定義しました。本日の合併は極めて重要な節目であり、高成長企業とそのビジョンを信じる投資家やそれを支える起業家エコシステム全体の利益になるものです。Seedrsと一緒になることで、私たちは英国および海外への拡張計画を加速し、革新的な新プロダクトを発売し顧客体験を改善できるようになります」。

SeedrsのCEOであるケリスキー氏は「私たちはともにフィンテックのパイオニアであり、ヨーロッパにおける資金調達環境に挑戦し、非上場株式投資のマーケットプレイスを構築してきました。多くの企業とそれを支える投資家の役に立つためには、さらに大きな規模が必要であると私たちは信じています。今こそ私たちの強みを合わせて、未公開企業投資への参加と効率を高めるという共通のミッションを達成するときです」と語っている。

2つの投資プラットフォームは、2009年にJeff Lynn(ジェフ・リン)氏とCarlos Silva(カルロス・シルバ)氏がSeedrsを設立し(ただし当局の承認後にサービスを開始したのは2012年)、2011年にウェストレイク氏とLuke Lang(ルーク・ラング)氏がCrowdcubeを設立して以来のライバルだ。Crunchbaseによると、Seedrsの総調達額は2820万ポンド(約38億7000万円)、Crowdcubeの総調達額は3070万ポンド(約42億2000万円)だ。

リン氏は私に、「これは成長のチャンスです。市場は新型コロナウイルスの蔓延下でも比較的堅調ですが、スタートアップ、SME(中小企業)の株式投資分野で本格的な規模を実現するには、両社の長所を組み合わせることだと私たちはともに考えています」と語った。

2011年以来、CrowdcubeとSeedrsのキャンペーンには20億ポンド(約2745億8000万円)が投資され、1500の企業が両社のプラットフォームから生まれた。目立った企業にBrewdog、Revolut、Perkbox、what3words、Moneyboxがある。

しかし、これまでヨーロッパ(英国がEUに所属していた時)全体からスタートアップを集めてきたこの二大投資型クラウドファンディングが、果たして比較的規模の小さい英国で生き延びていけるのか、多くの評論家か疑問を呈していた。

実際、両社はスタートアップ投資(テック系に限らない)の波にこの10年間乗りながらも、しばらく前から合併を検討していた。しかし、これまで最適なタイミングがなかった。

この合併は理にかなった行動だ。どちらのプラットフォームも次のステージに向けて投資家(主として英国)の戸を叩くことになるが、合併がなければ似たような提案で競合していただろう。

いずれの会社もここまで安泰というわけではなかった。Seedrsはつい最近、セカンダリーマーケット(流通市場)をあらゆる非上場会社に開放した。一方Crowdcubeは Curveなどの著名企業からの資金調達を続けてきた。

関連記事:クラウドエクイティプラットフォームのSeedrsが既存のセカンダリーマーケットをあらゆる企業に開放

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タグ:CrowdcubeSeedrs合併

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

物議を醸したUberの元幹部が約260億円のSPACの計画を米証券取引委員会に登録

現在SPAC、つまり特別目的買収会社が大流行しており、SPACを立ち上げようとする人があらゆる場所から現れている。

最近の参入者の中には、Uber(ウーバー)の元CEOのTravis Kalanick(トラビス・カラニック)氏の副官で元幹部のEmil Michael(エミル・マイケル)氏もいる。おそらくこの人物はシリコンバレーウォッチャーの関心を引くと思われる。マイケル氏は10月2日、ブランクチェック(白紙の小切手)会社のIPOで2億5000万ドル(約260億円)を調達し、テクノロジーセクターの企業を幅広く買収する計画をSEC(証券取引委員会)に登録した(SECリリース)。

ニュースサイトのIPO Edgeは同日、SPACがすでに動きを始めた可能性があると報じた(IPOリリース)。

登録書類には、少々いわく付きの面々が特別アドバイザーとして記載されている。Uber初期の投資家で同社のアドバイザーも務めたShervin Pishevar(シャービン・ピシェバー)氏は、性的に不適切な行為により複数の女性から告発(Bloomberg記事)された後に以前勤めたベンチャーキャピタルを辞めた。Alphabet(アルファベット)の元エグゼクティブチェアマン、そしてかつてのプレイボーイのEric Schmidt(エリック・シュミット)氏(dailymai記事)。Ascend Communications(アセンド・コミュニケーションズ)の創業者であり投資家でもあるBetsy Atkins(ベッツィー・アトキンス)氏は数多くの取締役会に名を連ね、昨年それについて本を書いた(Amazonサイト)。現在はさまざまな役職につきながら、Volvo(ボルボ)、Wynn Resorts(ウィンリゾート)、Oyo Hotels(オヨホテルズ)の取締役会の一員だ。

マイケル氏は、Tellme Networks(テルミーネットワークス)のフィールドオペレーション担当上級副社長を務めた後、スタートアップのKloutのCOOに就いた。その後Uberに移り、事業担当上級副社長を4年近く務めた。

マイケル氏はUberで名を上げたが、ひんしゅくも買った。会社に批判的なジャーナリストを黙らせるため、彼らのネガティブ情報を探す会社を雇うと公にコメントしたのだ。その後、カラニック氏を含む他のUber幹部と一緒にソウルの「エスコートバー」に行ったと報じられた。 実際、同氏が2017年に会社を辞めたとき、Uberは同氏自身の意志で辞めたかどうかについて明言しなかった。

伝えられるところによると、Uberでの行状にもかかわらず、あるいはおそらくまさにそのために、ドナルド・トランプ氏が米国大統領に選出された後、マイケル氏の運輸長官への就任が検討された。同氏は現在、SPACを利用して未公開企業を公開させてテクノロジー業界へ戻ろうとしている。

確かに数は少ないが、SPACを利用する傾向はハイテク企業に多く見られるようになった。問題を抱えたNikola(ニコラ)などの電気自動車(EV)メーカーや、8月にSPACとの逆さ合併で公開する計画を明らかにしたEVトラックメーカーのHyliion(ハイリオン)などだ。ちなみにNikolaはすでに上場し、Hyliionのディールは第4四半期に完了する予定だ。

産業界の他のセクターの企業も続こうとしている。ちょうど10月2日、若い男性と女性を対象とした健康商品とサービスを提供するD2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)企業であるHims(ヒムズ)は、Oaktree Capital Management(オークツリー・キャピタル・マネジメント)がスポンサーを務めるSPACとの合併により公開すると明らかにした。

9月、住宅売買プラットフォームのOpendoor(オープンドア)は、Social Capital Hedosophia Holdings Corp II(ソーシャル・キャピタル・ヘドソフィサ・ホールディングス・コープII)との逆さ合併により公開することに合意した。Social Capitalは投資家のChamath Palihapitiya(チャマス・パリハピティヤ)氏が立ち上げに成功した多数のSPACの1つだ。

そして8月下旬、マサチューセッツ州バーリントンを拠点とする3D金属印刷システムメーカーであるDesktop Metal(デスクトップメタル)が、通信分野のベテラン投資家Leo Hindery(レオ・ヒンダリー)氏により昨年設立されたTrine Acquisition Corp(トライン・アクイジション・コープ)というSPACとの逆さ合併によって公開することに合意した。

マイケル氏は、SPACに関心を寄せ始めている人々に比べM&Aの経験が少し豊富だ。例えば2016年に、Uberの中国事業をライバルのDidi Chuxing(滴滴出行)に株式を対価として売却することに関与した。

現在、データサイト「SPACInsider」を運営する元インベストメントバンカーのKristi Marvin(クリスティ・マービン)氏によると、同氏が話をしたり聞いたりする人の中で、SPACの立ち上げに関心のある人の範囲が非常に広がった。また、そうした人々のすべてが投資ビークルを管理する能力があるわけではないともいう。

「もし『5億ドル(約530億円)以上の会社を買収したことはありますか。対象となる業種でのオペレーションの経験はありますか。報告に必要とされる項目が何か理解していますか』と聞いてみれば」と彼女は言う。「よくある答えは『ノー』です」。

カテゴリー:VC・エンジェル
タグ:特別目的買収会社、Uber

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(翻訳:Mizoguchi

「Incubate Camp 13th」の総合1位は、次世代の経営管理クラウドサービスを開発するログラス

シード・アーリーのスタートアップを中心に投資事業を展開するベンチャーキャピタルのインキュベイトファンドは10月2日〜3日、13回目となる資金調達を目指すシード・アーリーステージ起業家のための合同経営合宿「Incubate Camp」を開催した。Incubate Campは、日本の主要VCを集めたファイナンスプログラムで、会場は、千葉県木更津市にあるオークラアカデミアパークホテル。

ここでは、2日目に開催された決勝プレゼンの内容をお伝えする。なお過去12回の主な参加スタートアップは以下のとおり。
これまで約220名の起業家が合宿に参加し、累計調達金額は約270億円を突破しているとのこと。

13時から17時30分の長時間の決勝プレゼンを勝ち抜いて1位となったのは、次世代の経営管理クラウドサービスを開発するログラス。

総合順位2位は社会保険労務士向けの就業規則などの作成・編集・管理ができるクラウドサービスを開発するKiteRa。3位は売買仲介業務のDXを目指すTERASS。

4位には2社が選出され、セラピストやトレーナー、コーチなどの指導者をコーチングするアシスタントAI「Sportip Pro」を運営するSportip、サブスクリプションサービスに特化して解約率を下げるサービスを展開するKiZUKAIが受賞した。

LexxPlusss

物流センターの作業工程間のモノの運搬に特化した地蔵搬送ロボットを展開。同社が開発中の搬送ロボット「LexxHard」は、自律走行モード、軌道走行モードを搭載しており、倉庫内をフレキシブルに動けるのが特徴。多くの物流倉庫が、スペースやレイアウトなどの関係で既存の搬送ロボットを導入しずらい状況を改善する。出荷、入庫、保管。返品、在庫などの管理に活用。RaaSモデルとして、まずはEC向けから展開し、BtoB、海外展開を目指す。

park&port

製品B2B取引SaaS「PORTUS CLOUD」を開発。オンラインの展示会を開催機能と搭載しており、アクセス状態や注文状況を即時に把握できる。アパレル業界は規模に関係なくアナログで中小から大手まで試験導入している。

YAGO

予約・決済・動画配信の機能をノーコードで利用できる「YAGO」を開発。ターゲットは、ヨガ、スポーツインストラクターなどの予約、キャンセル、決済、動画配信、コンサルティングまでを一気通貫でサポートできるのが特徴。ZoomとAPI連携することで複数人での同時開催も可能。

KiteRa

社会保険労務士向けの就業規則などの作成・編集・管理ができるクラウドサービス「KiteRa」を展開。社労士とは、労働保険や社会保険など各種法令に基づいて、行政機関に提出する提出書類や申請書などを、依頼者に代わって作成する士業。社労士の業務には大きく分けて、社会保険などの手続き業務と就業規則などの帳簿作成業務がある。前者はSmartHRに代表されるさまざまな企業が参入しているが、後者は経験と熟練が必要でなかなか手が付けられないためDXが進んでいないとのこと。頻繁な法律改正などもあり、これらの煩雑な業務が社労士業務の30%を占めているそうだ。

TERASS

売買仲介業務のDXを目指すバーチャルフローカレッジを運営。固定費が高く労働集約型の不動産業界をサポートする。具体的には、見込み客集客、追客、広告作成、接客レーティング、契約書類作成などを請け負う。不動産エージェントは個人事業主や副業として働く人が前提で、これらの人材を不動産会社に派遣するという仕組みを採る。

プレカル

薬局向けの処方箋入力代行サービスを開発。薬局最大の事務作業は処方箋入力。しかし、処方箋の複雑さやソフトの難解な操作性により大きな業務負担になっているという。この処方箋入力をOCR技術など活用して遠隔で入力代行を提供するのは特徴だ。将来的には、薬局で取得できる、問診、処方箋、検査値などのデータを医療ビックデータとして集約していき、さまざまなサービス展開を進める。

Smapo

オフライン運用型コミュニケーションプラットフォーム、スマートポスティング事業を展開。現在のネット広告は、FacebookやGoogle、Instagram、Yahoo!、LINE、Twitterなど一部のメガプラフォームの寡占状態で、ウェブ広告の費用対効果が下がっているのが現状。また、2021年にはCookieの利用廃止によってターゲッティング精度が悪化することが考えられる。同社は機械学習によって収集したデータを活用した、オフラインのスマートポスティングを展開。広告を発注後、最短48時間以内にその情報を欲している消費者にカタログなどの資料が届く仕組みだ。

I’mbesideyou

動画データの解析やレポーティングなどを実現するホライゾナルSaaSを開発。

N.Code

AIデータプラットフォーム「FastLabel」を開発・展開。AI開発では、開発時間の8割を教師データ作成に費やすとされており、このデータの信頼性が低いとAIそのものが役に立たない。実際にAI開発の失敗の6割は教師データが原因とされており、低品質なデータによるやり直し、予算オーバー、運用後の仕組みが考えられておらず、徐々に精度が落ちていくなどの問題が発生する。同社では各業種に最適化した教師データ作成機能、品質管理支援、運用後のチューニングまでを一気通貫でサポートする。

Sportip

セラピストやトレーナー、コーチなどの指導者をコーチングするアシスタントAI「Sportip Pro」やオンラインAIフィットネス「Sportip Meet」を開発。Sportip MeetはSportip Proで培った解析技術を応用して、個人の身体や姿勢の状態をチェックし、AIが最適なトレーニングメニューを提案してくれるサービス。フォームを点数化して友人などとの競争を可能にする機能もある。トレーニングの内容は、トレーニング、ストレッチ。ヨガなどを予定しており、大手フィットネスジム、個人のパーソナルトレーナー、整体師、理学療法士、健康経営に関心のある企業などへの提供を計画している。Sportip Proと併用することで、オンラインとオフラインの指導をより効率的に実施可能になるとのこと。

プライシングスタジオ

クラウド型価格改善サービス「Pricing Sprit」を開発。初期設定済みの顧客データ収集機能を備えており、顧客の価格データから顧客数が減少することなく利益を改善できるような値上げを実現できる。顧客が安さを感じない不必要な値引きの回避や、価格変更するタイミングを察知して、価格分析・変更・効果検証を継続的に実施可能。従来は莫大なコストがかかっていた適正価格の設定や変更を低価格で実現することで、中小企業にも使えるツールを目指す。

Worky

リモートワークなどでも生産的な働き方を可能にするビデオコミュニケーションツールを開発。。同じコミュニケーションスペースにログインしているスタッフのステータス管理はもちろん、1 on 1の会話や呼び出しなどが可能。直感的なインターフェースで、リモートワークでの雑談や偶発的な会話、他チームとのやり取りなど、Slackなどではなかなか実現させづらいコミュニケーションを図れる。中堅・大企業のオフィスの再構築を目指す。

ノウンズ

データ分析SasS「Knowns」を開発。自社アプリで収集した不特定多数向けのアンケートと、自社の顧客向けのアンケートを組み合わせて、顧客ニーズを分析するサービス。自社のアンケートアプリに2万個のキーワードを設定しており、13万パターンのデータを事前に取得。これらのデータと各企業が共有して利用できるため、短期間でダイナミックな分析が可能になる。

CUICIN

旅行者のスマートフォンを活用したスマートチェックインサービス「aiPass」を展開。予約確認メールのほか、ホテル設置のQRコードを読み込むことチェックインが可能。ルームサービスやチェックアウトも旅行者のスマートフォンを使え、すべてを一元管理できるのが特徴だ。aiPassはプラグインで拡張できる仕様になっており、導入する宿泊施設別に機能を追加することもできる。コロナ禍のいま、非対面・非接触・三密回避というメリットがある。

ログラス

次世代の経営管理クラウドサービスを開発。ExcelGoogleスプレッドシート連携を前提にした経営管理に最適化したUXを開発。さまざまな部署に分散している情報を一元管理しつつ、閲覧権限制御をかけながら全社員に情報共有可能なほか、経営者は現場から上がる数値をリアルタイムで確認できる。将来戦略としては、営業計画の作成や原価管理、IPO支援までを手掛けたいとしている。

KiZUKAI

サブスクリプションサービス向けCXMツール「KiZUKAI」を展開。顧客ロイヤリティーを向上させ、解約率を下げるサービスを手掛けている。AIにより「解約の可能性が高い顧客」を抽出し、対象顧客に先読みしたアプローチを行うことで、解約率の改善に取り組めるという。データ分析のリテラシーがなくても簡単に高度分析が行えるのが特徴だ。KiZUKAIのAIアルゴリズムは、顧客行動から顧客の解約傾向(顧客ニーズ)を自動分析するとともに、同様傾向の顧客リストを自動作成。それぞれに適したコミュニケーション施策の検討・実施が可能になる。解約の要因も把握できるので、サービス改善にも有効としている。

kemuri venturesがフードテック特化型「食の未来ファンド」設立、ファンド規模は総額10~30億円

kemuri venturesがフードテック特化型「食の未来ファンド」設立、ファンド規模は総額10~30億円

独立系ベンチャーキャピタル「kemuri ventures」は10月1日、国内ベンチャーキャピタルとしては初となる「フードテック特化型ファンド」を設立した。ファンド名称は、「食の未来1号投資事業有限責任組合」(食の未来ファンド)。主な投資対象はフードテック領域のスタートアップ(日本国内)で、ファンド規模は総額10~30億円。

丸井グループ、バリュークリエイト、レオス・キャピタルワークスなどがすでに加入。1次募集を完了しており、今後は投資活動と並行して、食領域の大手事業会社向けに、ファンド総額の上限を30億円として2次募集を始める。また、食の未来ファンド加入会社向けに、オープンイノベーションやCVC設立・運営のサポートも行う。

kemuri venturesがフードテック特化型「食の未来ファンド」設立、ファンド規模は総額10~30億円

  • 名称: 食の未来1号投資事業有限責任組合
  • 設立日: 2020年10月1日
  • 無限責任組合員(GP):kemuri ventures
  • 運用期間: 2020年10月~2030年9月(10年間)
  • ファンド規模: 総額10~30億円
  • 主な投資対象: フードテック領域のスタートアップ(日本国内)

「食」は、日本の基幹産業のひとつになるポテンシャルがあるものの、人材不足やDX化の遅れをはじめ多くの課題を抱えており、それらが解決されなければ衰退の道をたどるリスクもあるという。kemuri venturesは、アフターコロナを見据えると、現在は、数十年続いた20世紀型の食ビジネスの大きな「転換期」を迎えていると指摘している。

また同社は、多層的な共創(日本と海外、スタートアップと大手企業、官と民、6次産業化、SDGs)を通じて、食領域で日本は「リーダーシップ」を示すべきと考えているという。食ビジネスの課題を解決し、新しい食の可能性にチャレンジする起業家を支え、共に苦悩しながら「食文化・食ビジネスの未来を創る」ために、食の未来ファンドを設立したとしている。

ミッション(使命)

  • サステナブルな世界を次世代に(SDGs)
  • 食ビジネスを日本の基幹産業のひとつに
  • 明るい未来を創ることにチャレンジする起業家を応援
  • スタートアップとの共創による大企業の変革(オープンイノベーション)
  • 食ビジネスの人材不足を解消
カテゴリー: VC / エンジェル
タグ: kemuri ventures、SDGsオープンイノベーション日本フードテック

統合マーケプラットフォーム開発のフランスSendinblueが168.8億円を調達

近年、ビジネスの運用中心をインターネットにおく会社やブランドが増えるにつれて、そうした企業を支援するツールを開発する、スタートアップの成長が強く後押しされている。

その最新の動きとして、創業8年のフランスのスタートアップであるSeninblue(セニンブル)が、1億6000万ドル(約168億8000万円)の資金を調達した。同社は、中小の組織が行うすべてのマーケティング、例えばSMS、チャットを使った自動処理、Facebook広告、リターゲティングなどを一元管理できる統合プラットフォームを開発している。

Bridgepoint、Bpifrance、Blackrock、および既存投資家であるPartechが今回のラウンドに参加した。なおPartechは、2017年にSendinblueのシリーズAで3500万ドル(約36億9000万円)のラウンドをリードしている。

今回調達した資金は、昨年100%の成長を果たした北米でのプレゼンスを増強するほか、ツールの追加を続けるために使われる予定だ。具体的なツールの追加は、自社による開発ならびに、コーディネーターとして、小さなマーケティングテックスタートアップを買収することの両建て進める計画だ。同社はまた、中小企業のバックオフィス向けのCRMツールやその隣接領域を開発しているので、この先どのように進化していくかを予想しやすい。同社は利益率が高く、すでに約60カ国ほどで活動しており、約18万社の顧客がそのリストに載っている。

おそらく青天の霹靂(へきれき)と呼んでもいいような、これまで多くの人の目には留まっていなかったであろうスタートアップであるSendiblueへの巨額の資金提供。これこそがこの時代の象徴だ。

中小ビジネス、Eコマースに力を入れる小売業者やブランドなどは、長い間インターネットをマーケティングに使用してきたが、ソーシャルディスタンスを伴う最近の新型コロナウイルスの感染蔓延が、いかに多くの人たちが時間と資金をオンラインで利用しているのかを明らかにした。結果、企業がインターネットを使って顧客とやり取りをする機会を増やすこととなった。

「新型コロナウイルスタートの感染拡大によって私たちのビジネスは加速しました」と語るのはSendiblueの北米事業を担当するSteffen Schebesta(ステファン・シベスタ)氏だ。同氏ら、自身が創業したスタートアップのNewsletter2Goが、数年前にSendiblueに買収されたときに入社した人物。「多くの中小企業が生き残るにはデジタル化する必要があることに気づいています」と語る。

また、フランスのスタートアップが大きな成長を遂げていることも注目に値する。これは、フランスのエマニュエル・マクロン大統領が着手した、国内により多くのユニコーンを生み出しそして投資することを目指す使命を果たし、同国の企業がどれほど拡大しているかを示すものだ。

Sendinblueの資金調達のニュースは、別のフランスのマーケティングテック企業であるSarbacane(サルバカン)に続くものだ。Sarbacaneは数週間前にやはり多額の資金を調達している。フランスといえばアドテックが有名だったが、マーケティングテックにも強いラインがあるようだ。

この分野ではさらに、Yotpo(ヨットポ)、Movable Ink(ムーバブル・インク)、Adverity(アドバリティ)などの多くのスタートアップが、今年多額のラウンドを達成してきたのを私たちは見てきた。

各社は、それ以上を受け入れる余地がどうやらあるようだ。シベスタ氏は、Sendinblueの典型的な顧客を、Mailchimpよりもさらに高機能で洗練されたツールを求めて「卒業」したい顧客だと表現した。Sendinblueの第一のゴールは「中小企業が使用できるツールの点で大企業と対等な立場になり、1つのプラットフォームですべての機能に手ごろな価格でアクセスできるようにすることです」と説明する。

同社が注力する中心は常に中小ビジネスだが、一方で、ルイヴィトン、キャンディの巨人ハリボー、富士通、アムネスティインターナショナル、グリーンピースなどの、多くの著名なハイエンド顧客も獲得している。

BridgepointのパートナーであるOlivier Nemsguernは声明のなかで「Sendinblueは、特に過去数か月のロックダウンで、ますます多くの中小ビジネスがデジタル化する中での成長市場に足をおろしている」と語る。「私たちは重要な市場のニーズを満たす投資先を求めています。Sendinblueは、インパクトのある企業の完璧な例です」。

Bpifranceの投資ディレクターであるLouis Molis(ルイ・ムリ)氏は「私たちがSendinblueに投資したのは、同社が中小ビジネス向けの革新的なソリューションを提供し、米国およびヨーロッパ市場で高い成長を達成した確かな実績があるためです。Sendinblueの価値はグローバルに拡張可能であり、統合マーケティングがより重要になるにつれて会社の重要性が増すことになるでしょう」と語る。

「Sendinblueはすぐに中小ビジネス向けの主要なデジタルマーケティングプラットフォームになりました」と語るのはPartechのゼネラルパートナーであるBruno Crémel(ブルーノ・クレメル)氏だ。「オールインワンプラットフォームの需要が高まる中で、Sendinblueには成功するための独自の力があるのです。Sendinblueが国際的な成長の、次の段階を加速していく中で、引き続きサポートできることをうれしく思います」と続けた。

画像クレジット:MirageC / Getty Images

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(翻訳:sako)

「渇きを殺せ」などヘビーメタルっぽい名前のミネラルウォーターなどを販売するLiquid Deathが24.3億円を調達

ある種のおかしな、ひねくれマーケティングとして始まり、人びとの興味を引いてきたサンタモニカ拠点のほぼ創業3年のスタートアップが、ラウンドBで2300万ドル(約24億3000万円)を調達した。同社はオーストラリアアルプスの水をLiquid Death(リキッド・デス)というブランド名で販売している。ラウンドの参加者は、匿名の家族事務所、ペルノリカールグループのベンチャー部門であるConvivialité Ventures(コンヴィヴィアリテ・ヴェンチャーズ)、Fat Mike(ファット・マイク)として知られるミュージシャン、そして以前からの支援者であるVelvet Sea Ventures(ベルベット・シー・ベンチャーズ)だ。

もともとロサンゼルスを拠点とするスタートアップスタジオであるScienceの助力を受けて設立された同社は、これで合計3400万ドル(約35億9000万円)強を調達したことになる。

私たちはLiquid Deathの創業者であり、元West Coastエージェンシーの幹部だった、Mike Cessario(マイク・セサリオ)氏から、創業後まもなく話を聞いた(未訳記事)。その当時の彼は、もし彼の缶入りの水をヘビーメタルっぽい名前にすれば、Rockstar(ロックスター)、Monster(モンスター)、Red Bull(レッドブル)といった甘いエネルギードリンクたちに対抗できるだろうと主張していた。

確かに、私たちがこの製品で気に入っている点の1つは、「murder your thirst.(渇きを殺せ)」というそのキャッチフレーズだ。(なんといっても、これはアルミ缶に詰められた水に過ぎないので、他の差別化要素を探すのは難しいのだ)。

明らかに、Whole Foods(ホールフーズ)も含め、世間の人たちの多くが、製品を売る同社の独創的なマーケティングを十分におもしろがっているようだ。Velvet Seaが2020年2月に、Liquid Deathの900万ドル(約9億5000万円)のシリーズAラウンドを主導したのとほぼ同時に、Whole Foodsはこれらの缶を棚に並べ直した。

Liquid Deathは、カリフォルニアの1000店を超えるセブン-イレブンの店舗でも販売されており、また当然のように消費者への直販も行われている。顧客はオンラインストア上で、ミネラルウォーターあるいはスパークリングウォーターを選ぶことが可能で、他の品目も充実しつつあるストアでは、Tシャツやパーカーも購入することができる。

ロング缶12本パックは16ドル(約1690円)だ。また「Hydrate or Die(潤すか死か)」Tシャツは26ドル(約2750円)だ。

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タグ:Liquid Death 資金調達

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(翻訳:sako)

起業家精神とソーシャルグッドとしての投資

著者紹介:Sree Kolli(スリー・コリ)氏は、全世界の優秀な事業者、ファミリーオフィス、選ばれたVCと創業者を繋ぐプレミアム投資プラットフォームのConduit(コンジット)の共同創設者。

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2020年は社会的動乱の年だ。世界各国で、文化に潜むさまざまな問題が社会的にあぶり出され、さまざまな変化が推し進められている。排他的な企業ポリシーを改めたり、行動を伴う嘆願書に署名したりなど、私たちの誰もが取りうる重要な手段がある一方で、VCと投資の世界にはそれとは別の、しばしば見過ごされがちな選択肢がある。世界を変えるスタートアップに投資することだ。

エンジェル投資家たちと機関投資ファンドは徐々に、資金の一部を多様性やソーシャルグッドに焦点を合わせるスタートアップに配分し始めている。 重視するのは医療や福祉への民主化されたアクセスであったり、気候変動のようにより大規模な問題であったりする。

ソーシャルグッドに力を貸すために資金を移転するということは、一見して手に余る業のように思えるかも知れないが、投資家たちはこの思考の変化を3つのシンプルな手順で受け入れられるようになる。3つの手順とは(1)停滞している投資を再配分すること、(2)チェンジメーカーとなるスタートアップに出会うための民主化されたアクセスを活用すること、そして(3)成功に向けて軌道に乗る創設者の目星を付けることだ。

変化を育む投資により多くを配分すること

世界中のほとんどの資金は停滞中の場所に投資されている。不動産投資であれ、債券やその他の伝統的な組織体であれ、そのような資本が投資家にもたらすリターンは往々にして控えめなものであり、社会に与えるインパクトはごくわずかだ。その考えに悪意はない。

ほとんどのファミリーオフィスや個人資産運用マネージャーは損失を最小化することに熱心で、そういった画一的なポートフォリオは安全なのである。 最も経験豊富な投資家たちでさえ、ポートフォリオにいっそうの多様性を組み入れるべきだ。ソーシャルグッドを推進しつつ高いリターンを得られ利益を生める投資先を判断することになる。投資家たちはいくつかの小さな段階を経てから、いっそう確信を持って自らの戦略を広げればよい。

始めに、思考の枠組みを作り直し、リスクよりもむしろ潜在的な機会に目を向けるようにする。これを実践する良い方法がある。過去5年間にハイリスクな上場株式のパフォーマンスがどのようなものだったかを思い起こし、それをテック分野のベンチャー企業と比べてみるのだ。大きな差異があることと別のリターンを得られたかも知れない機会に、投資家たちは気付くだろう。

この考え方はプロファイル全体をひとつのベンチャーに配分するのではない。むしろ、ポートフォリオの一部をハイリスクな上場株式やファンド構造などの投資セクターに投資すべきであり、それをよりリターンの高い同じようなリスクプロファイルに配分する。この増分を徐々に大きくしながら、15%から開始してゆっくりと拡大すると、過程に変化を生み出しつつも大きなリターンを得やすくなる。

情熱の世界はすぐ手の届くところにある

あらゆる規模のスタートアップにとって、投資家への民主化されたアクセスがあることは、ソーシャルグッドのための資本の活用を促進する。最近まで、世界中の最も裕福な人たちだけがプレミアム資本との接触を持っていたが、クラウドファンディングやアクセラレータープログラムの普及によって新たな機会が引き出され、他の方法ではあり得なかったような関係性が築かれている。

これらの手段は投資家たちとスタートアップの出会いに新たな扉を開いてきた。 シリコンバレーのような進んだネットワークやイノベーションハブは、もはや資本調達を目指す人たちにとって運命を左右する要因ではなくなった。スタートアップにはグローバルな機会が拡大し、投資家たちにとっても、場所にとらわれずに価値観の合う有望なベンチャーを探せる選択肢が増えたということになる。

ただし、クラウドファンディングやアクセラレータープログラムには、世界をいっそうアクセシブルにする一方で相当に大きな課題もある。アーリーステージの投資が身近になったにもかかわらず、往々にしてクラウドファンディングは最も重要な投資家たちを引き込んでいないのだ。

また、クラウドファンディングではプラットフォームに質の低い案件が殺到し、実りある機会を得るのは投資家にとってもいっそう骨が折れる。一方で、さまざまなアクセラレーターやインキュベーションプラットフォームが台頭している。先進的かつグローバルな繋がりを持つものだが、こちらは至って静かなことが多い。

成功する起業家に必要なのは資本だけではない。意思決定を手助けし、インパクトをもたらすやり方で事業を拡大する支えとなれる経験豊富な投資家たちから、戦略面でのサポートを受けることが必要だ。アイデアの世界はすぐ手が届く場所にあるのだから、投資家たちは選択肢をじっくりとふるいにかけ、質の高い案件を優先しながら、有望な関係性を厳選して提供するプラットフォームに目を向け、最も感動するアイデアを見つけるべきだ。

成功に向けて準備ができている起業家に力を貸す

今はスタートアップに投資する良いタイミングだ。パンデミックの期間中にイノベーションを行った人たちは、安全な経済に安住した人たちよりも動きが3倍速い。ただしタイミングが良いだけでなく、かみ合いも同じくらい重要だ。私はポテンシャルに投資することについては信念を持っている。 強気であること、揺るぎない粘り強さと共感力があることは、革新的なアイデアの実現を支える望ましい資質である。

投資家が力強いビジョンと人材を惹きつける力がある情熱的なリーダーに資金を提供するならば、意味あるものを手にするための下地作りがある。投資するチェンジメーカーを検討するとき、こう自問しよう。この会社を築き上げるのにふさわしい人物か?人材を惹きつけ導く力がある人たちか?市場の大きさは十分か、そして周りで会社を立ち上げることの支障になるのに十分な大きな問題があるか?

これらすべての問いへの答えがイエスでない場合は、理論的に出口を見いだせるか、あるいはその会社がプレシードまたはシリーズAか、彼らに会社をほどよい規模へと拡大する能力があるかどうかを正確に評価することが重要だ。

それでもスタートアップに投資するのは、相手の狙いがどれほど良かろうと、投資家には怖いことかもしれない。そんな不安を克服する方法のひとつに、リスクが低そうなよりレイトステージのスタートアップに投資し、それから自分のペースでアーリーステージのスタートアップを手掛けるという方法がある。特別目的会社(SPAC)もまた興味深い投資の選択肢になりつつある。

SPACとはIPOを通じ投資資本を調達することを唯一の目的として設立される企業だ。その収益を使用して既存の会社を1社または複数購入する。リスクを嫌う投資家のコンフォートゾーンを広げて不安を減らせる選択肢だ。

ソーシャルグッドを受け入れるために投資家が取る戦略は、どのようなものでも正しい方向への一歩だ。資本とはイノベーションに力を与えインパクトのある変化を起こすための具体的な手段なのだ。

スタートアップへの民主化されたアクセスがあることで、投資家たちには価値観の合うベンチャーを見つける機会が増え、プロファイルの多様化を図ることがとてつもない成果をもたらす可能性がある。そのリターンが現状を打ち破り、社会的な変化に力を与えることになれば、誰もが恩恵を得るのだ。

関連記事:買い手の視点でスタートアップを経営する

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(翻訳:Dragonfly)

気候テクノロジーへのVC投資はVC全体の5倍の速さで成長、PwC最新レポート

気候テクノロジーへのVCおよび企業の投資は、2013年から2019年にかけてVC全体を上回るペースで成長しており、アーリーステージの資本は600億ドル(約6兆2700億円)に上ることが主要な最新レポートで明らかになった。

PwCによる最新の調査「The State of Climate Tech 2020」では、VC市場全体から見ると気候テクノロジー分野へのVC投資はまだ黎明期であるが(2019年の総投資額の約6%)、急速に成長しており、2013年の年間4億1800万ドル(約440億円)から2019年には163億ドル(約1兆7200億円)に増加したことが示されている。同レポートによると、これは同時期のAIへのVC投資の成長率の約3倍で、VCの平均成長率の5倍になるという。

その理由に市場の経済性が関係していることは想像に難くない。関連する技術の証明とその規模の拡大において資本効率が急速に向上しており、カーボンニュートラル、さらにはカーボンネガティブのソリューションでさえ、炭素を排出するソリューションより低コストになっている。

このベンチャー資金600億ドルの半分近くを占める290億ドル(約3兆円)がアメリカとカナダの気候テクノロジー系スタートアップに流れており、中国は200億ドル(約2兆1100億円)で2位となっている。欧州市場は70億ドル(約7400億円)を集めた。米国と中国向けの投資の大半は、モビリティと輸送ソリューションに向けられている。

サンフランシスコベイエリアの気候テクノロジー系スタートアップへの投資額は117億ドル(約1兆2300億円)で、直近のライバルである上海の75億ドル(約7900億円)より56%多い。欧州は再生可能エネルギー発電(主に太陽電池)と蓄電池により多くの投資が行われている。

PwC UKでイノベーション&サステナビリティのグローバルリーダーを務めるCeline Herweijer(セリーヌ・ヘルヴェイェール)氏は声明で、「この分析により、気候危機に対処する革新的な技術やビジネスモデルを支援し拡大させる事業機会と、そこに存在する埋めるべきギャップについて、緊迫感が示されました。気候テクノロジーは2020年代のベンチャー投資における新たなフロンティアです」と述べた。

「この変革を導くのに欠かせない技術やソリューションのいくつかは実証済みで、迅速な商業化が求められています。そこでベンチャーキャピタルが鍵となります。効果を上げる目的でスタートアップに何兆もの投資をする必要はないでしょう。しかし、より複雑な技術や市場においては、研究開発を推進するターゲットを絞った支援が政府からも含めて必要であり、アーリーステージを超えてから資本がますます集まります」と同氏は続ける。

同報告書によると、気候テクノロジーの成長を促す最大の要因は、モビリティと輸送、重工業、温室効果ガス(GHG)の回収と貯留に関係しているという。次いで、食料、農業、土地利用、建築環境、エネルギーと気候、地球上で生成されるデータなどが挙げられている。

TechCrunchの読者であれば、ここ数年起きている電動スクーターと電動自転車の戦いを知っているだろう。実際、このレポートでも、マイクロモビリティスタートアップへの投資は劇的に成長し、過去7年間でCAGR151%、気候テクノロジーへの全投資額の63%に相当する374億ドル(約4兆3950億円)に達していることが報告されている。

Exponential Viewの創設者であり、レポートの共同執筆者でもあるPwC UKのシニアアドバイザーAzeem Azhar(アジーム・アジャール)氏は次のように述べている。「気候テクノロジー市場は成熟しつつあります。より多くの起業家がスタートアップを立ち上げ、より多くの投資家がそれを支援し、高い拡大可能性を有するレイターステージの事業に向けた大型の資金調達ラウンドの数が増加していることが、社会的な動きとして顕著になっています。しかし、PwCの分析で、同市場のエコシステムに関してはまだ萌芽期にあり、創業者が利用できる資金の深さとその性質に重要なギャップが存在し、事業を拡大していく上で慎重に対処すべき構造的障害を抱えていることが認められました」

投資はどこから来ているだろうか。幅広い資金源から集まっている。伝統的なベンチャーキャピタルや持続可能性に特化したベンチャーファンド、エネルギー大手を含む企業投資家、世界的な消費財企業や大手テクノロジー企業、政府が支援する投資会社、プライベートエクイティプレーヤーなど多岐にわたる。

同報告書によると、このセクターではコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)が増大しており、特にエネルギー、重工業、運輸などの参入障壁が高い既成産業への進出を目的とした高資本コストのスタートアップが目立っている。モビリティと輸送に関しては、気候テクノロジー事業の30%にCVCファームが含まれ、エネルギーに関しては、導入資金の32%がCVCからとなっている。全体では、気候テクノロジー事業のほぼ4分の1(24%)に企業投資家が含まれている。

「企業の関与は気候テクノロジーの継続的な成功の鍵となるでしょう。新ソリューションへの需要を駆り立てるネットゼロのコミットメントと、イノベーションの商業化への投資の両方の観点からそのことが言えます。スタートアップが新たなイノベーションを迅速に展開し、市場拡大を図るには、単に資金面の手段だけでなく、商業的なノウハウや業界の知識も必要です」とヘルヴェイェール氏は説明する。

気候テクノロジーへの新規投資において、アメリカと中国以外で上位10都市に入っているのは、ベルリン、ロンドン、ラベージュ(フランス)、インドのバンガロールで、主にエネルギー、農業、食料、土地利用分野で13億ドル(約1370億円)の資金を集めている。

おそらくTechCrunch読者に最も関係の深いセクションは44ページ以降だろう。そこでは、気候テクノロジー市場が、急成長を続けるテクノロジー系スタートアップの軌跡と似た様相を呈し始めていることが記されている。技術的リスク、製品リスク、市場リスクといった既存の障壁に対処しており、Sequoia、GV、Kosler、Horizons、YC、USVなどの有名なVCが揃って関与しているという。

また、300社ものグローバル企業が、2050年までにネットゼロエミッションを達成することをコミットしている。「気候テクノロジーは、地球の温室効果ガス排出量の半減を10年ほどで実現し、地球温暖化を1.5°Cに抑えることを見据えています。その可能性を確実なものとし、より迅速かつ大胆なイノベーションを構築し加速するために、資本、人材、官民の支援を速やかに投入する必要があります」とヘルヴェイェール氏は付け加えた。

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タグ:環境問題 再生可能エネルギー

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(翻訳:Dragonfly)

ニッセイ・キャピタルのアクセラレータープログラム「50M」が3期生秋バッチの募集開始

ニッセイ・キャピタルのアクセラレータープログラム「50M」が3期生秋バッチの募集開始

ニッセイ・キャピタルは9月28日、アクセラレータープログラム「50M」(フィフティ・エム) 3期生秋バッチについて、参加スタートアップ企業の募集開始を発表した。募集期間は2020年10月1日から11月1日。オンライン説明会は10月5/12/19/26日19時開始。「独自の事業仮説」と「やりぬく熱意」を持つ起業家を最大6社採択予定。

50Mは、ニッセイ・キャピタルの豊富なノウハウと資金力を活かし、最大5000万円のシード投資を実施するアクセラレータープログラム。創業前または創業間もないスタートアップ企業を発掘・育成する最大10ヵ月の起業家支援を行う。

3期秋バッチ 募集概要・プログラムスケジュール

  • 募集対象企業: 強い意志と人間的な魅力をもった、創業前または創業間もないスタートアップ企業
  • 募集期間: 2020年10月1日~11月1日
  • オンライン説明会: 10月5日、12日、19日、26日19時開始
  • 申込方法: 公式サイトより必要資料を入手、準備後、専用エントリーフォームからエントリー
  • DemoDay(5000万円調達企業による投資家向け発表会): 2021年3月中旬

同プログラムは、実質的な返済義務がない事業推進資金500万円を採択時に投資し、続くシード投資資金も原則シリーズA時点で普通株へ転換されるなど、起業家の資本政策の自由度を確保できるような設計を特徴のひとつとしている。

また、「プログラム終了後も1社当たり累計30億円を超える投資が可能」、「ベンチャーキャピタリストと二人三脚で事業のプロトタイプを完成」、「AWS、GCP、HubSpotなど各種スタートアッププログラムの優待提供」なども実施される。

  • 採択時500万円、その後進捗に応じて4500万円出資
  • 出資時の企業価値評価は一律4億円
  • プログラム終了後も1社あたり累計30億円を超える投資が可能。1期生:14社採択、2期生:10社採択、3期生春:7社採択。現在までのシリーズS以降累計投資実行:17社・総額47.1億円(うちNCC24.5億円)
  • 採択企業は、ニッセイ・キャピタル内の50Mシェアオフィス利用可能
  • ベンチャーキャピタリストと二人三脚で事業のプロトタイプを完成。週1回:メンタリング、組織構築、仮説の検証、資金調達戦略に関するレクチャー実施。月1回:ゲストを招いたピッチイベント開催(VC、起業家、金融機関)
  • Demodayの参加者はシリーズS到達、もしくは到達見込みの企業のみ。到達しなかった場合、2022年3月開催予定「Demoday」まで参加継続が可能
  • AWS、GCP、HubSpotなど各種スタートアッププログラムの優待提供

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Reddit共同創業者アレクシス・オハニアン氏が約158億円の新ファンド立ち上げ

SEC(米証券取引委員会)に提出された書類によると、Reddit(レディット)とアーリーステージVCのInitialized Capital(イニシャライズド・キャピタル)の共同創業者であるAlexis Ohanian(アレクシス・オハニアン)氏は新たなファンドを立ち上げることがわかった。。「776」という名称のファンドで、目標額は1億5000万ドル(約158億円)だ。同氏は3カ月前にInitialized Capitalを去り、新たなファンドの立ち上げ計画については、1カ月前にThe Informationが報じていた。同氏は一般勧誘の制限を理由に、ファンドに関する詳細についてのコメントを却下した。

書類提出とともに、同ファンドは意図的に謎めいたウェブサイト「sevensevensix.com」を立ち上げた。ファンド名は初のオリンピックが紀元前776年に開催されたことに因んでいるようだ。

ウェブサイトには「最初のオリンピックでは最も優れている人を決めるために既知の世界の各地からアスリートが集った。最初の競技は192mの徒競走で、近くの村に住む料理人が勝った。我々は最初のスタートラインに戻る」とある。

強いて言うなら、オハニアン氏はプレシード期とシード期のスタートアップに投資する。もちろんギリシャ・オリンピア中の村に住む料理人が経営するスタートアップに投資するわけではないだろう。

同氏のオリンピックとの結びつきは個人的なものだ。同氏はテニス界のスーパースターでチャンピオン、4つのオリンピック金メダルを持つSerena Williams(セリーナ・ウィリアムズ)氏の夫だ。なお、ウィリアムズ氏も投資を行っていて数年前にBumbleの投資ファンドに参加している(未訳記事)。オハニアン氏とウィリアムズ氏の間にはAlexis Olympia Williams(アレクシス・オリンピア・ウィリアムズ)という名の娘がいる。776というのは単なるゲームではなく、オハニアン氏の金メダルファミリーを鑑みてのことなのだろう。

同氏の新ファンドについての詳細、何にフォーカスする計画なのかは不透明だ。

声明の中でInitialized Capitalは「オハニアン氏がテックと、その他の業界の創業者をサポートする新たなプロジェクト」に取り組むために社を去った」(The Information記事)と述べた。同社は8月に2億3000万ドル(約243億円)を調達した(未訳記事)。

今年初め、オハニアン氏は警察による暴力への抗議活動が展開されたのを受けてRedditの役員を退いた。同氏は自身の後釜に黒人を選ぶよう社に求めた。そしてRedditは最終的にY CombinatorのCEO、Michael Seibel(マイケル・サイベル)氏を選んだ。

画像クレジット: Clive Rose / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

中国のクロスボーダー企業に目を向ける東南アジアの新ファンドAltara Ventures

米中関係が緊迫する中、東南アジアは投資家やテック企業が海外進出を模索する中で注目の的となっている。Google(グーグル)、Facebook(フェイスブック)、Alibaba(アリババ)、Tencent(テンセント)、Bytedance(バイトダンス)などの巨大企業がこの地域に参入している。一部の投資家は店舗を構え、他の投資家は提携を結び、地元の新興企業に出資している。

現在、この地域を拠点とする5人の著名な投資家が、市場の一角を占めようと動き出した。シンガポールを拠点とするAltara Venturesが、東南アジアのアーリーステージのテック系スタートアップに焦点を当てた初のファンドを、1億ドル(約105億円)以上の資金調達を目標として設立された。同ファンドは中国との関係も視野に入れている。

Altara Venturesは、Fidelity International(フィデリティ・インターナショナル)の投資部門であるEight Roads Ventures(エイト・ロードス・ベンチャーズ)の元代表のDave Ng(デイブ・ン)氏が、ほかの4人のジェネラル・パートナーとともに共同で設立した。

その一人は、DBSグループとSingapore Telecommunications(シンガポール・テレコミュニケーション)の元会長であるKoh Boon Hwee(コー・ブーン・フィー)氏。二人目と三人目は、フィー氏とOmni Industriesを共同設立し、後にプライベートエクイティ投資を共同で管理した。Tan Chow Boon(タン・チョウ・ブーン)氏とSeow Kiat Wang(ソウ・キアト・ワン)氏だ。なお、Omni Industriesは創業後にCelesticaに買収されている。

4人目は、XboxとZyngaの元プロダクトマネージャーを務めたGavin Teo(ギャビン・タオ)氏だ。同氏は、Facebookの共同設立者であるEduardo Saverin(エドゥアルド・サベリン)氏が立ち上げたファンドB Capitalでン氏の同僚だった人物でもある。

Altaraは、英語の「Altitude」(高度)という言葉と、東南アジアの歴史的呼称である「Nusantara」(ヌサンタラ、インドネシアの島嶼群を表す言葉)という言葉に由来しており、この地域の技術進歩と同時にアーリーステージのスタートアップを支援するという当社の狙いを表している。同社は、フィンテック、消費者、企業向けソフトウェア、物流、ヘルスケア、教育に至るまで、幅広い分野を投資対象とする。中国のインターネットの世界で起こったことは、近隣諸国の起業家にとってインスピレーションの源となっており、中国から東南アジアへさまざまな方法でアイデアが流れている。

「第一は、、中国の創業者が、中国で手掛けてきたこと、そして中国で得たことから得た専門知識を、新しい市場として東南アジアに持ってくることです。これはまったく新しいスタートアップで、彼らは東南アジアの起業家と一緒になって、ホワイトスペース(事業展開の余地)の機会に取り組んでいます」とン氏は説明する。「また、アリババやLazada(ラザーダ)、Ant Financialsなどのテック大手の下で東南アジア地域に最初に赴任した中国の起業家が、自分たちで起業するのも見てきました」と続ける。

第二のタイプは特にAltaraが興味を持っているもので、「東南アジアでの経験、専門知識、ネットワークを彼らに還元すること」とのこと。

同ファンドは、米国と中国が「二分化の段階」に入っている現在でも、東南アジアのハイテク産業の将来に強気の姿勢を示している。「我々は、東南アジアは東西のコネクターとしての地位から恩恵を受けると考えています。今後10年から20年の間に、より多くの才能と資本がこの地域に入ってくることが予想されます」と締めくくった。

画像クレジット:The five GPs of Altara

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(翻訳:TechCrunch Japan)

レオナルド・ディカプリオ氏がStruck Capital出資を通じてLAテックの未来に投資

Leonardo DiCaprio(レオナルド・ディカプリオ)氏が、LAをテック開発の原動地にしようという自身の取り組みの一環として、ロサンゼルス拠点の投資会社Struck Capital(ストラックキャピタル)に多額を出資する。

Struck Capital創業者Adam Struck(アダム・ストラック)氏の、ロサンゼルスを「世界を救うためのイノベーションの主要ハブ」にするというビジョンを支える動きだ。

2つめのファンドに5500万ドル(約58億円)を現在投資しているStruck Capitalはディカプリオ氏の出資額を明らかにしないものの、かなりの額だと述べた。

「ロサンゼルスには、他のところにはないクリエイティブでイノベーティブなスピリットがある。ホームタウンの次世代の起業家やビジネスリーダーに投資することに興奮している」とディカプリオ氏は声明で述べた。

アカデミー賞受賞俳優であるディカプリオ氏は、すでに益を得ているスタートアップに数多くの投資を行っている。マットレス小売のCasper(キャスパー)と代替肉製造のBeyond Meat(ビヨンドミート)へも投資していて、この2社はいまや上場企業だ。実際、Beyond Meatの上場は昨年最も成功した株式公開の1つだった。

Crunchbaseで確認できるディカプリオ氏出資のスタートアップに共通するのは消費者イノベーションと持続可能性であり、前述の2社への投資はそうしたテーマを強調するものだ。他の投資先には、人工ダイアモンド製造のDiamond Foundry(ダイアモンド・ファウンドリー)、持続可能な熱帯雨林保護を推進する紅茶の会社Runa Tea(ルナティー)、リサイクリングテクノロジー開発のRubicon(ルビコン)、持続可能な準備食企業Love The Wild(ラブ・ザ・ワイルド)、自らをShazam(シャザム)アート版とうたうアプリのMagnus(マグナス)がある。ディカプリオ氏はまた、倫理性と持続可能性にフォーカスしているロサンゼルス拠点の金融サービス会社Aspiration(アスピレーション)の投資家でもある。

ディカプリオ氏の出資について「彼はLAをサポートする手段だと考えている」とストラック氏は述べた。

ファンドへの出資に加え、ディカプリオ氏はStruck Capitalチームと共同投資を行う。実際、ディカプリオ氏はすでに太陽光発電所の生産性やオペレーションを分析するのにドローンを使っているRaptor Maps(ラプター・マップス)に投資している。

「彼は当社のサービス委託の価値を認め、当社を選んだ」とストラック氏は話した。Struck Capitalは影響力のある投資ファンドではないかもしれないが、同社のディールは第一原則として金融インクルージョン、持続可能性、技術革新にフォーカスしている、と同氏は述べた。

「基本的に、もし事業が使命感によるものであれば、かなりの確率でより大きな企業価値を手に入れ、才能ある人材を有するようになる」と同氏は語った。

Struck Capitalはシードファンド専門の投資会社としてはロサンゼルスで4番目の規模で、管理する資産は1億5000万ドル(約158億円)近くになる。同社のポートフォリオにはSendoso、ScratchPay、Mythical Games、Brainbase などが含まれ、Mojo Vision、Postmates、Nutanix、Latch、Grab、Wunder Mobilityといったレーターステージ企業にも投資してエグジットさせた。

「Struck Capitalのチームとともに、LAの次世代のリーダーが事業を成長させ、互いに学び合い、ビジョンを達成し、世界をより良いものにするコミュニティを創造する」とディカプリオ氏は声明で述べた。

画像クレジット:Lucas Jackson / REUTERS

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(翻訳:Mizoguchi

AllBirdsとBonobosを支援していたPeterson Venturesが約68億円ファンドをクローズ、ユタ州中心に投資を続ける

Peterson Ventures(ピーターソン・ベンチャーズ)は、ユタ州ソルトレイクシティに拠点を置く12年の歴史を持つシードステージファンドだ。長い間地道かつ脈々と運営されてきたが、その投資先の多くは消費者向けプロダクトや企業向けソフトウェア投資のそれぞれの世界で有名なブランドに成長している。その中には、スニーカーメーカーのAllbirds(オールバーズ)、数年前にWalmart(ウォルマート)に買収されたメンズアパレルメーカーのBonobos(ボノボス)、4月に最新の5200万ドル(約55億円)のラウンドを終えた作図ツール開発のLucid Software(ルシッド・ソフトウェア)などがある。

同社が新たに組成した6500万ドル(約68億円)のファンドは、3300万ドル(約35億円)のセカンドファンドの2倍以上の規模となり、現在さまざまなスタートアップ企業に25万ドルから100万ドルの範囲で出資するための資金を豊富に持つようになった。

そこでTechCrunchは、PetersonのパートナーであるIlana Stern(イラーナ・スターン)氏に話を聞くことにした。スターン氏も、自身の消費者向けスタートアップであるWeddington Wayを2016年にGapに売却する前に同社から資金を調達していた人物だ。Peterson Venturesnには昨秋に入社し、サンフランシスコを拠点に活動している。ここではPetersonの最新ファンドと今後の展開について詳しく語ってもらった。

TC: PetersonはPeterson Partnersという大きなプラットフォームの一部です。同社はどのくらいの規模のスタートアップに資金を提供しているのですか?

スターン氏:Peterson Venturesは Peterson Partnersのプラットフォームの一部で、中規模以下のプライベートエクイティやサーチファンドに投資しています。ベンチャー側には4人のフルタイム投資チームを含め、全体で30人以上のスタッフがいます。来年にはさらに1~2名のメンバーを加える予定です。

TC:コンシューマー対SaaSについてどのように考えていますか?例えば、First Round Capitalは以前は資本の半分をコンシューマー向けのスタートアップに投資していましたが、数週間前に(Uberのシードラウンドをリードした)Josh Kopelman(ジョッシュ・コペルマン)氏が語ったように、現在はそうではありません。

スターン氏:最初の2500万ドルのファンドでは、ほぼ50/50の割合で出資していましたが、2回目のファンドでは65/35の割合に変更し、コンシューマーよりもB2BのSaaSに重点を置きました。今後は、SaaSに60%から70%、コンシューマに30%から40%程度の投資を行う予定です。

ユタ州市場の主力はSaaSであり、今後もユタ州の優れたSaaS企業を支援していくことを考えています。一方で、ヘルスケアや金融サービスなどの分野では、Eコマースやコンシューマー企業のエコシステムが成長しており、これら2つの分野の「コンシューマー化」が進んでいると考えています。

TC:Petersonの最近の投資先の中には、どのようなものがありますか?

スターン氏:ViaとTava Healthは当社の新規シード投資のうちの2つです。Viaは、企業と消費者をお気に入りのメッセージングや音声プラットフォームで結びつけます。コマースインフラは、過去5年ほど我々が非常に積極的に取り組んできた分野で、電子商取引や小売業に参入しているSaaS企業の完全なクロスセクション(横断面分析)です。

Tava Healthは、雇用主から支給される従業員のメンタルヘルスのための遠隔医療プラットフォームを構築していますヘルスケアSaaSは当社が多くの投資を行っている分野です。実際、創業者のDallen Allred(ダレン・オールレッド)氏の以前の会社であるArtemis Health(アルテミ・ヘルス)も投資先の1つでした。

TC:興味本位で聞きますが、PetersonはどのようにしてアパレルメーカーのBonobosに関わったのでしょうか?

スターン氏:Bonobosの共同創業者であるAndy Dunn(アンディ・ダン)氏とBrian Spaly(ブライアン・スパリー)氏は、スタンフォード大学経営大学院(GSB)で、Petersonの創業パートナーであるJoel Peterson(ジョエル・ピーターソン)氏の学生でした。GSBは、私たちのためのディールフローの重要な領域です。ジョエルは30年近くそこで教えています。GSBは、当社にとって取引フローの重要な分野です。ジョエルはそこで30年近く教えています。(2010年からPetersonのパートナーであるBen Capell(ベン・キャンペル)氏は、過去8年間でスタンフォードGSBの卒業生が率いる20社以上の企業の支援に携わり、私は7年間ゲスト講師を務めています。

TC:ユタ州だけに投資しているわけではありませんが、地元のスタートアップ企業に多くの時間を割いていますね。Petersonが設立されてから、ユタ州の起業シーンはどのように変わりましたか?

スターン氏:Petersonの歴史は1995年までさかのぼりますので、会社として25年間ユタ州市場に身を置いてきました。2008年にジョエルの個人的な資金を投資するPeterson Venturesを始めたときは、シードステージの企業はありませんでした。現在では、機関投資家向けのシードステージVCが3社、シリーズAスタートアップに投資するVCが数社、そして積極的なスタートアップやファミリーオフィス、エンジェル投資家がいます。

また、以前はユタ州に投資するよう西海岸や東海岸の企業を説得するのに苦労していましたが、今では両海岸にミドル・レイタースタージの投資家がたくさんいて、豊富な時間をかけてユタ州に意味のある投資してくれています。

画像クレジット:Allbirds

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(翻訳:TechCrunch Japan)

欧州スタートアップが同じ収益を得るために米国ローンチに費やす費用が大幅減

かつては世界的な拡大をするためには、ヨーロッパの企業は希望する成長を成し遂げるために、米国での立ち上げに多額の資金を投じるものだった。これは通常、そのチームの大きな一部を、サンフランシスコ/ベイエリア、あるいはニューヨークに再配置することを意味していた。だが新しい調査によれば、それがもはや成り立たないことが示された。

これは米国のコストが上昇し、ヨーロッパでの機会が改善されたことが原因だ。すなわち、ヨーロッパのスタートアップが米国でのローンチに費やすチームとリソースの量ははるかに少なくなり、それでもまともな結果を得られていることを意味する。とはいえ、ヨーロッパの企業はイノベーションでは遅れをとっているので、依然として米国への進出は狙い続けている。

米国時間9月23日に発表された、Index Venturesによる新しい調査(Index Venturesサイト)によれば、ヨーロッパのハイテク企業たちは、10年前の一般的な戦略とははっきりと対照的に、米国に進出する際にエンジニアリング拠点を移転することを選択するのは5分の1以下(275社中50社)だということが示されている。Indexによれば、その代わりに、ヨーロッパのトップのスタートアップたちは、はるかに小さな「設置面積」で、米国で必要とする成長による利益を得ることに成功している。

過去10年間のヨーロッパのスタートアップ275社に対する調査(100社以上の詳細な調査を含む)結果は、米国を拠点とするエンジニアリング、技術、R&Dチームの設立があまり支持されなくなり、ヨーロッパの大幅に改善された人材と資金を活用しながら、ヨーロッパにより長く留まるようになっていることを示している。

2008年から2014年にかけては、ヨーロッパのスタートアップのほぼ3分の2(59%)が、シリーズAの資金調達ラウンドに先立って米国に拡大、または完全に移転を行っていた。それが2015年から2019年にかけては、その数は3分の1(33%)に減少した。

これは、600万人を超える開発者がヨーロッパに居住し、これに比べると米国には430万人しか居住していないことから、ヨーロッパのテックシーンが発展していると結論付けたStackOverflowの調査結果とも合致している。米国の移民ルールが厳しくなり、需要が供給を上回ったことで、米国のテック企業の給与は、サンフランシスコではロンドンより42%高くなり、ヨーロッパのスタートアップが米国に注力しようとしても、コストが高くなり、コスト効率も低くなっている。特に在宅でも同じような成長を達成できるならなおさらだ。

ヨーロッパの創業者たちもまた、これまで以上に多額の資金調達を行っている。過去4年間で総ラウンドは153億ドル(約1兆6074億円)から343億ドル(約3兆6036億円)規模に増加している。

Index VenturesのパートナーであるDanny Rimer(ダニー・ライマー)は声明の中で次のように述べている。「一部の創業者にとっては、事業があるマイルストーンに到達したら、米国での拠点を確立するのは良い決断ですが、それは徐々にコストがかかり難しいものになっています」。

しかし同時にIndexは、ヨーロッパの一般企業によるソフトウェアへの投資額が米国の企業よりも4分の3(76%)少ないことを発見した。しかも多くの場合それはイノベーションのためではなく規制変更に対応するために使われているのだ。これは、ヨーロッパのスタートアップたちが、企業のエグジットを米国に求め続ける可能性が高いことを意味する。

調査結果は、国内および国際的な成長を目指すテクノロジー創業者向けの、Index Venturesによる3冊めのハンドブック「Expanding to the US(Index Ventureサイト)」で公表されている。また同ハンドブックには、スタートアップが米国でのローンチに向けて準備を始める必要がある段階を把握するための「性格テスト」も含まれている。

また過去10年間に米国に拡大した353のVC支援スタートアップ(ヨーロッパ(275)とイスラエル(78))の分析に加えて、米国の拡大戦略とそれを行った創業者へのインタビューも含まれている。

画像クレジット: NurPhoto/Contributor / Getty Images

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(翻訳:sako)

VCのコペルマン氏インタビュー:SPACについてはまだ結論を出せないが、いわゆるローリングファンドは威力を発揮すると考えている

TechCrunchは、アーリーステージ投資を専門とする創業16年のベンチャー企業First Round(ファースト・ラウンド)の共同設立者ジョシュ・コペルマン氏に会い、さまざまな問題について話す機会を得た。当然ながらその際に、現在ベンチャー業界で起きている大きな変化、例えば、いたるところで立ち上げられているSpecial Purpose Acqusition Company(SPAC、特別目的買収会社)、勢いが増しているローリングファンド構想、さらに多様性に関するファースト・ラウンドの考えなどについて、同氏に意見を尋ねた(このインタビュー全編は今週末にポッドキャストで皆さんにお届けする予定だ)。

コペルマン氏は創業者たちからも高く評価されているため、前述のような新しい変化に対する同氏の意見を知りたい読者は多いと思う。以下が今回のインタビューの内容だ。長さを調整し、わかりやすくするために、多少の編集が加えられている。

TC:ファースト・ラウンドの設立以来、あなたの業界は明らかに大きく変化しましたね。現在、何百もの企業がアーリーステージの取引を求めています。市場で起こっていることは御社の業績にどのような影響を及ぼしてきましたか。以前と変わらない投資収益率を維持していますか。

過去5年間の変化については、まだ結果は出ていません。そのため過去5年間の未実現のマークアップについて言えば、確かにうまくいっているように見えます。とはいえ、私はこのビジネスに長く携わっているため、実現利益と未実現利益の間には大きな違いがあることはわかっています。ただし中間指標を見ると、一般的には、我々が最初のラウンドをリードする企業は、次のラウンドを調達する可能性が業界平均の2倍高くなっていることがわかります。まだ明るい兆しがあるということです。しかし15年前には逆張り的だと言われていたもの(組織化されたシード投資)が、今では広くコンセンサスを得ているということは認識しています。

TC:結果が出るまでに時間がかかる一因は、ここ10年ほど、企業が上場するまでに要する時間がどんどん長くなってきたことにあります。IPOプロセスは破たんしていると思いますか。スタートアップを上場させるには新しい手段が必要だという意見が多く聞かれます。

IPOが破たんしているとは言い切れないと思います。あなたは、はるかに多くの企業がイグジットするのを目にしていると思いますし、我々は、そのようなイグジットの件数も規模も実際に拡大しているのを目にしています。これは期待できる状況です。

公開市場で発揮されている企業の透明性にはメリットがあると思います。なぜなら透明性こそが真に価値を持続させる方法だからです。非公開市場で実際に評価額Xを獲得した企業を調べたことがありますが、その評価額は、完全に透明性のある公開市場においては、同企業の決定的な価値を正しく反映するものではありませんでした。

現在、SPACの登場によりまったく新しい要素が入ってきています。

TC:SPACについてはどう思われますか。

これは半分冗談ですが、SPACを立ち上げたくなった場合に備えてLastround.comを所有しておこうとあらためて思いました(笑)。とはいえ、SPACの本当のメリットを知るのは難しいです。そして、資金調達要素をともなうダイレクトリスティング(直接上場)を認める方向に市場がシフトし始めた今、あなたはダイレクトリスティングの方がはるかに実行可能性が高く、頻度の高い資金調達または資金繰りの手段だと考えるかもしれません。

TC:SPACと比較して、ダイレクトリスティングのメリットは何だと思いますか。

ダイレクトリスティングの方が経済的だと思います。ダイレクトリスティングなら、キャップテーブル(資本構成表)の多くの部分をプロモーションに配分することはありません。[編集者注: SPACのスポンサーは通常、創業者株式を名目的な対価で取得し、発行済み普通株の20%を保有することになる。]ダイレクトリスティングは業績ベースのワラントではありません。はっきりと言えるのは、ダイレクトリスティングにおける実質的な作業は、企業にとって適切な市場清算価格を見つけることだけだということです。

ここ数年の変化を見ていると、なんとなく自分は[ダイレクトリスティングの提唱者である]Gurley(ガーリー)氏寄りだと思いました。

TC:ポートフォリオ企業が、SPACを使用して株式を公開することに興味があるかどうかを尋ねられた場合は…

実際に今、そのようなことが起きています。

TC:そのことについてどう思いますか。どのようにアドバイスしますか。

1つのことについて選択肢がないまま話し合うのは意味がないと思いませんか。腰を据えて、「何の解を求めようとしているのですか。流動性ですか。それとも資本増強、公共通貨ですか。最古参の従業員に流動資産と現金を提供して、彼らが会社にささげた時間の恩恵を受けられるようにすることはできますか」といった話をすべきです。あらゆる選択肢を検討する必要があります。選択肢を検討せずにSPACについて検討するのは意味がないと思います。また、ダイレクトリスティングを熟考しているのなら、SPACの利点や欠点も検討すべきです。

TC:四半期ごとのサブスクリプションベースで運用担当者がファンド投資家とディールフローをシェアできるローリングファンドについて、どう思われますか。

とてもクリエイティブだと思います。私自身もリミテッドパートナーとして、いくつかのローリングファンドに参加したことがあります。私が2004年にHoward Morgan(ハワード・モーガン)氏とファースト・ラウンドを創業したときには、どちらもいつまで続けるのかわかりませんでした。創業時には、3つの課題がありました。1つ目は「起業家ではなくVCであることを楽しめるか」、2つ目は「地理的ハンディキャップを克服できるか」でした。当時私たちはフィラデルフィアに住んでいましたが、出資していた企業の大部分は西海岸にあったからです。そして3番目の課題は「私はVCに向いているか」というものでした。従来型の資金調達には本当に苦労しましたが、資本市場では苦労知らずでした。また、この仕事を10年続ける、と最初からコミットすることはなかなかできませんでした。

FRC Iは、実際には1年ファンドを積み重ねたものです。当社は「2005年に投資して様子を見る。気に入ったら2006年にも資金を調達する。そして2007年にも同じことを繰り返す」というように、1年の期間で資金を調達しました。そして3年後、前述の3つの課題に対応できるという十分な自信を得たので、安心して10年間の任務に就くことができました。ですので、投資の分野でキャリアを積みたい人が、最初から10年契約を結ばなくても、キャリアを追求し模索できるようにすることは、本当に効果的だと思います。

TC:先ほどハワード・モーガン氏について言及されましたが、同氏はその後、投資会社Bキャピタルの会長になりましたね。VCの多くはアクティブに投資を行う立場から脱却しつつあります。ファースト・ラウンドの継承についてはどのようにお考えですか。ファースト・ラウンドは、今から20年後も存在すべきだと強く感じているブランドなのでしょうか。この業界は、個々のプレイヤーとドアの上の看板に重きを置く形で発展しているようです。

個人的にはすぐにどこかに行くつもりはありません。今やっていることが楽しいのです。当社には将来性を持つ非常に強いチームがあると思っています。当社は現在、積極的に新しいパートナーを探しています。ますます資本が調達しやすくなる世界で、何よりも差別化できるのはブランドだと思います。

ファースト・ラウンドをスタートした頃は、シードファンドがあまりにも少なかったため、Footlocker(フットロッカー、アメリカのスポーツ用品店)に入り、棚に並んだスニーカーを3足だけ見るようなものでした。創業者は3足すべてを試し、どれが合うかを確認してから選ぶことができました。しかし現在は、靴屋に入り、棚に並ぶ1000足の靴を見て、最初にどれを試せばいいのかわからなくなっている状態です。私たちは、これまで勝者を生む能力があることを証明してきたブランドこそが本当に重要だと信じています。例えば、Nike(ナイキ)の価値は、その製品から利益を得た企業家によって決まります。同じように、実のところブランドは今まで以上に重要になっていると思います。

TC:現在、新しいパートナーを募集していますね。スタートアップの世界のVCや起業家にとって多様性が明らかに大きな課題になっています。あなたのファンド内だけでなく、ポートフォリオ企業内でも多様性を促進するために、どんな取り組みを実施していますか。

当社は実際にパートナーの職務内容を掲載し募集をかけるという手段を取りました。大抵の場合、パートナーの採用活動は独自のネットワーク内で行われるからです。そのような方法は良くないと思います。他の3人の投資パートナー、Bill(ビル)氏、Haley(ヘイリー)氏、Todd(トッド)氏を見ると、彼らには以前ファースト・ラウンドの創業者だったという共通点があります。

そのため、自分たちのコミュニティの中だけで採用活動を行うのではなく、それ以上のことをしようとしていますし、採用活動をフェアでオープンなプロセスにしようと非常に熱心に取り組んでいます。私たちは、Kapor Capital(ケイパー・キャピタル)のBrian Dixon(ブライアン・ディクソン)氏のブログ記事から強く影響を受けました。その記事の中で同氏は「自分のベンチャー企業の求人情報を公開しないのは、意図的に排他的になっているためだ。人はその存在を知らない仕事に就くことはできない」と述べています。

当社もディクソン氏と同じ意見です。それで、パートナーとなる有望な人材の新たなソースを見つけることに注力しており、会社全体で多くの取り組みを行っています。その一環として、先日、当社が提出するすべての条件概要書において有色人種の資金提供者や過小評価された資金提供者に対する配分が確保されるようにするための誓約書を作成して署名しました。このように当社は、事務所や会社内での多様性だけでなく、キャップテーブル(資本構成表)における多様性についても考えています。

さらに当社では多くのトレーニングプログラムも実施しています。また採用時に多様な人材パイプラインを構築することに注力できるよう新たな投資を行い、かなり強力なプロセスを用意しています。なぜなら、一般的にはネットワーク内から採用する傾向があるため、最初の10人を採用する時点で多様なチームを構築することに注力しなければ、多様性を拡大するのはますます困難になるからです。多様性が欠けた状態でスタートすると、後から苦労するだけです。

TC:ここ数年、シリコンバレーの文化について多くの問題が提起されてきましたが、投資家と、テクノロジーを取材するジャーナリストとの間で衝突することが急に増えたような気がします。なぜだと思いますか。

そのことについて私個人は特に深い考えはありません。以前は別個のエコシステムだったテクノロジーが、今ではあらゆるものに関与しているということを、私たちは目にしているのだと思います。医療テクノロジーは医療と同じようになり、消費者向けテクノロジーやソーシャルテクノロジーは世界の一部にすぎなくなりました。

これまでエコシステムに縛られていたであろうジャーナリストが、テクノロジーの世界で起きていることに今まで以上に懐疑的な目を向けなければならなくなったのは、当然のことだと思います。成熟段階にあるだけだと思います。テクノロジーは発達すればするほど、あらゆる業界を象徴する存在になっていくのではないでしょうか。近い将来、すべてのジャーナリストがテクノロジーを取材するのを目にする日が来ると思います。

関連記事:Facebook共同創業者サベリン氏が語る「シリコンバレー後のイノベーション戦略」

カテゴリー:VC / エンジェル

タグ:インタビュー IPO

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(翻訳:Dragonfly)

ベンチャーキャピタリスト3人が大手ファーム卒業とコロナ禍で自身のファーム立ち上げについて語る

おそらく業界を推進するエンジンでもあるが、テクノロジー業界における最も顕著な傾向の1つは、大手企業で才能を磨いた後にスタートアップを立ち上げ、自身のビジネスを始める人々が絶え間なく現れるということだ。Max Levchin(マックス・レブチン)氏のように意図的に起業家タイプの人材を雇って(未訳記事)積極性の高いチームを作り上げ、そのサイクルを永続させる人もいる。

その傾向は企業だけでなく、企業に投資する投資家にも当てはまるようだ。Disrupt 2020では、そのような道をたどった3人のベンチャーキャピタリストに話を聞いた。彼らは大手ベンチャーキャピタルファームで経験を積み名を上げ、最近、自身の力で自分の「スタートアップ」ファンドを立ち上げている。

マクロレベルでは2020年は、全世界が困難な時期を迎えた。だがこれまで何度も見てきたように、テクノロジーの世界では車輪が回り続けている。

IPOが復活し、プロダクトが展開される。人々は多くをオンラインで購入し、インターネットを利用して「つながり」を維持する。多くのM&Aが起こり、有望なスタートアップが資金を獲得する。

実際、起業家とそのイノベーションがテクノロジーの世界の原動力なら、資金は燃料だ。資金の提供こそ、Dayna Grayson(デイナ・グレイソン。以前はNEAに在籍、現在はConstruct Capitalの創業者)氏、Renata Quintini(レナタ・キンティニ。以前はLux Capitalに在籍、現在はRenegade Partnersの創業者)氏、Lo Toney(ロー・トニー。以前はGVに在籍、現在はPlexo Capitalの創業者)氏が狙う機会だ。

グレイソン氏が共同創業者のRachel Holt(レイチェル・ホルト)氏とConstruct Capital(コンストラクト・キャピタル)を始めた理由の1つは、民間セクターのスタートアップに資金を提供するファーム立ち上げに機会を見出したからだ、とグレイソン氏は語った。

「米国経済のGDPの半分、この国のGDPの半分が実際にはデジタル化されていない」とグレイソン氏はいう。「企業はテクノロジーに対応できていない。投資不足に陥っている。今こそアーリーステージの起業家と一緒に構築するときだ」。

Constructは特定のセクターに絞っているが、Renegadeの狙いは異なる。開発段階のスタートアップ、特に同ファームが「超臨界」と呼ぶシリーズBの会社だ。そうした会社はもはや単に何かを始めるという段階にはなく、規模を拡大するために適切なチームと戦略が不可欠となる。

「どうすれば規模を拡大できるかを理解し、実行に移せる企業を取締役会で何度も見てきた」と、Roseanne Wincek(ロザンヌ・ウィンセック)氏とRenegadeを共同で創業したキンティニ氏は述べた。「人の面に関していえば、そうした企業は実際にさらに前進し、より大きな時価総額と市場シェアをより速く獲得した。そういうチャンスを目の当たりにして手をつけないわけにはいかなかった」。

キンティニ氏は「超臨界」ステージの会社を構築・拡大する方法に特化する現在のミッションと、15年前に発展段階にあったスタートアップエコシステムで特徴的だったアーリーステージの資金調達を比べた。「100万ドル(約1億円)を調達してビジネスを始めたはいいが、本当に顧客に刺さるものが何かを理解する時間が足りなくなっている」と同氏は述べる。「それがまさに今日の姿だ」。

トニー氏はさらに別のアプローチをとった。セクターやステージを絞るのではなく、資金を利用してまったく新しい層の創業者の芽を出す。より多様でインクルーシブな創業者らに資金を提供することは、単に平等な競争環境を用意するためだけではない。幅広いユーザー層に向けたバランスのとれたプロダクトのためにも有効だ。

「私はGVで素晴らしい時間を過ごしたが、この機会を前にして何もしないのは難しいと思っただけだ」とPlexoを創業したトニー氏は述べた。Plexoはスタートアップだけでなく、同氏と同じ投資原則に従うファンドにも投資している。GVもファンドと創業者の両方に投資していたが、社会的要請に応える投資を加えることが重要だった。「エコシステムで多様性とインクルージョンが増す、という副産物を手に入れることに私は情熱を燃やしている」と同氏は語った。

我々はテクノロジーの世界が資本で溢れる時代を生きている。世の中に成功したテクノロジー企業が多いことの副産物の1つは、限られた数のパートナーが多くのベンチャーキャピタリストに投資しようと殺到することだ。多くのファームが記録的な速さと申し込み超過の中でファンドをクローズする。それが資金調達するスタートアップだけでなく、そうしたことがますます頻繁に起こるベンチャーキャピタリスト自体にもノックオン効果をもたらしている。3人全員が、具体的な目的を持つことにより「単なる新しいVC」以上の存在になることができ人の目に留まって良い取引に参加しやすくなると述べた。

グレイソン氏は、世界的なパンデミックの真っ只中にファームを始めるという挑戦は、「ディスラプション(混乱)」という概念に乗じて繁栄する業界では、姿を変えた幸運の一部だということがわかったと語っている(TechCrunchではお馴染みだ)  。

「新型コロナウイルスの世界で投資を始めたことは本当に幸運だった」とグレイソン氏はいう。「非常に多くのことがひっくり返ってしまった。ご存知のように民間企業によるソフトウェアとテクノロジーの採用は10〜20年早まった。働き方も本当に変化した」 。同氏はまた、探しているのはほぼ「新型コロナの環境下で創業した」会社のみだということに気づいたという。そうした会社には戦場の試練をくぐり抜けたビジネスモデルがあるからだ。

資金調達自体に関してトニー氏は、シードステージで企業に資金を提供するベンチャーキャピタリストが急増した時期と、その時に増えた「ソロキャピタリスト(外部からも資金調達する個人投資家)」のことを思い出した。

「ソロキャピタリストについて本当に興味深いのは、彼らが大企業と起業家両方のオペレーションと広い技術者ネットワークへの理解があり、それらを活用してディールフローを見つけ出し、資産家やファミリーオフィス、さらには機関投資家から資金を調達することだ」とトニー氏は述べた。

カテゴリー:VC / エンジェル

タグ:Disrupt 2020

画像クレジット:courtneyk / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

アーリーステージ投資を中心とする米VCのLightspeedがシンガポールを拠点に東南アジア事業の立ち上げを発表

エンタープライズ技術と消費者分野の事業を進めるスタートアップ向けた初期投資に焦点を当てている米VCのLightspeed Venture Partnersは米国時間9月16日、東南アジア事業の立ち上げを発表した。シンガポールに新たに設立された地域本部を拠点とするLightspeed Venture Partnersのチームは、今年初めにクローズした総額約40億ドル(約4200億円)の3つのグローバルファンドから東南アジア全域のスタートアップ企業に投資を進める。

Lightspeedの東南アジアチーム。写真に向かって左から、アクシャイ・ブシャ氏、マーシャ・スガナ氏、ピン・ロージンダク氏、ベクル・ソマリア氏

東南アジアチームは、5年前にLightspeedに入社する前に、インドのEコーマス企業のFlipkartで企業開発チームの創設メンバーでだったパートナーのAkshay Bhushan(アクシャイ・ブシャン)氏、Lightspeed Indiaの設立を支援したパートナーのBejul Somaia(ベクル・ソマリア)氏、GrabとTiger Global ManagementのベテランであるPinn Lawjindakul(ピン・ロージンダク)副社長、米VCノL CattertonとGoldman Sachs(ゴールドマンサックス)デ勤務したことのあるシニアインベストメントアソシエイトのMarsha Sugana(マーシャ・スガナ)氏で構成されている。

ブシャン氏はTechCrunchに「Lightspeedが1月にシンガポールオフィスを開設したのは、チームが地域全体の起業家と会う際の拠点としての役割を果たすためです」と語った。新型コロナウイルスの感染蔓延により出張が制限されたのは明らかだが、ビデオ通話やEメールでのやり取りは継続している。

Lightspeedはアーリーステージの投資に力を入れており、すでにGrabをはじめとする東南アジアで最も勢いのある新興企業に投資している。この地域における同社の他の投資先企業は、ソーシャルコマースプラットフォームのインドネシアのスタートアップのChilibeli、B2BホールセールマーケットプレイスのUla、Eコマース物流プラットフォームのShipper、シンガポールのソフトウェア開発者NextBillion.AIなどがある。

Lightspeedの他の国への投資の中には、インドの新興企業のOYO Rooms、Darwinbox、Yellow Messengerなど、東南アジアをグローバル展開の重要な市場として注目している企業もある。

「地域で事業を展開することで、Lightspeedは投資先企業とより密接に連携し、起業家とより深いつながりを持つことができるようになります」とブシャン氏は述べた。

また「新型コロナウイルスの感染蔓延の影響で中小企業の業務のデジタル化やオンライン販売を支援するプラットフォーム、サプライチェーンソリューション、リモートワークやオンライン教育関連サービスなどのテクノロジーの急速な導入が促されています」とも付け加えた。

現在、フィンテックや物流などの分野では、東南アジアのいくつかの国で、変革的なプラットフォームやサービスを構築するための多くの機会がある。ブシャン氏によると」Shipperはインドネシアの電子商取引の売り手が直面している最大のサプライチェーンと物流の課題のいくつかを解決することに注力しており、Grabはデジタル決済や保険などの金融サービスへのアクセスを容易にしています」と説明する。

「東南アジアのほとんどの市場に当てはまる、ほとんどの新興市場では、基本的なインフラが壊れていることが多く、創業者はテクノロジーを活用してそのギャップを埋めることができます。私たちがワクワクするのは、こうしたインフラの問題を解決しようとしている創業者であり、私たちの投資の多くはそのためのものです」とブシャン氏は締めくくった。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Alchemist AcceleratorデモデイXXV出場19社を紹介(その2)

Alchemistは企業向けアクセラレーターとして、消費者に商品やサービスを販売する企業ではなく、主に他の企業から収益を得るシードステージの企業に焦点を当てている。25回目となる今回の最新のコホートでは、20社近くの企業がプログラムに参加した。内訳は、理学療法機器から営業担当者のためのAIコーチ、ソフトウェア開発者のための生産性向上ツールまでバラエティーに富んでいる。ここでは参加19社のうち、後半の9社を紹介する。

これらの企業が世界に進出するのを見てみたいと思わないだろうか。AlchemistはデモデーをYouTubeでストリーミング配信し、現在葉アーカイブを視聴できる。

HyPoint

航空輸送におけるCO2排出量を大幅に削減するため、航空用の高出力・高密度水素燃料電池システムの開発に取り組んでいる。

Mobiz

ブランドの既存データに基づいて、ユーザーごとに「パーソナライズされたマイクロサイト」を構築し、SMSを介して既存の顧客ベースにパーソナライズされたマーケティングメッセージを送信するためのプラットフォーム。同社によると、すでにバーガーキングやオーストラリアの小売大手Woolworths(ウールワース)などの企業と提携しており、現在は600万ドル(約6億2700万円)のARR(年間経常収益)があるという。

Nano Diamond Battery

自己充電可能で持続可能なバッテリーの開発を目指している。ここではすべてを語りきれないので、Nano Diamond Batteryに関する詳しいこちらの記事を参照してほしい。

Node App

ブランドとインフルエンサーをつなぐマーケットプレイス。Nodeは各インフルエンサーのオーディエンスを確認し、ブランドとインフルエンサーを事前に交渉した取引条件で結びつけることができるという。

Rectify

組織外でドキュメントを共有する際に、機密情報を自動的に検出して再編集するツール。最初のターゲットは保険市場で、創業者のMelissa Unsell-Smith(メリッサ・ウンセル=スミス)氏によると、Rectifyの創業チームはAT&Tの法務部門で15年間一緒に働いていたという。

RubiLabs

ドローンやバイクなどの専用車両を使って、アフリカの病院や薬局にワクチンや薬などの医薬品をオンデマンドで配送することに焦点を当てたプラットフォーム。RubiLabsによると、すでに7000人以上の命を救っているとのこと。

Seventh.ai

「知的財産のカルタ」と表現するSeventh.aiは、創業者が自分たちのビジネスのどの部分で特許を取得できるか、取得すべきかを分析する。一方で、競争相手が何の特許を取得しているのかをよりよく理解し、特許取得のプロセスを支援する。同社によると、現在は約25万ドル(約2600万円)のARR(年間経常収益)を得ているという。創業者のAlex Polyansky(アレックス・ポリアンスキー)氏は、米国特許商標庁(USPTO)で特許審査官として10年を過ごした経験があるという。

Tocca

B2B企業がブランド化されたバーチャルセールスイベントを開催するためのプラットフォームを開発。バーチャルロビー、ステージ、ブレイクアウトルーム、人と人とのネットワーキングツールなどを提供している。HubSpotやSalesforceなどのツールと統合することで、イベント後のフォローアップをより効率的に行うことができるとのこと。

Veamly

Slack、GitHub、Jiraのスレッドやメッセージを1つのビューにまとめ、これらのツールを横断して検索できる統合検索機能を備えた、開発者向けの「統合受信トレイ」フィードを開発。創業者のEmna Ghariani(エムナ・ガリアーニ)氏によると、同社の「独自の優先順位付けエンジン」は、タスクやチケットを重要度でソートし、1週間を通して各ツールに費やしている時間を分析するのに役立つという。

画像クレジット:Veamly

関連記事:Alchemist AcceleratorデモデイXXV出場19社を紹介(その1)

画像クレジット:Alchemist Accelerator

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(翻訳:TechCrunch Japan)