カナダの食品スーパーがTeslaの電動トラックを25台導入

TeslaのSemiは幸先の良いスタートを切った。公式の価格情報すらまだないのだが。Walmartのパイロットテストに加え、カナダの食品スーパー最大手のLoblawがこの頑強な電動トラック25台を購入する(via Canadian Press)。価格は未定だが前金は1台につき5000ドル。出荷は2019年からの予定だ。

Loblawには各店舗に配送する車両群を完全電動化するという目標がある。これは2030年までに排出ガスの影響をなくそうという同社の目標の一環だ。計画ではその時までに最大350台の排出ゼロ車を導入し、路上からディーゼル車を減らすことで、内燃機関で走る一般車約2万台に相当する二酸化炭素排出量を減少させる。

Teslaは、Semiの運用コストは1マイルあたり費用で運送会社が今すぐ節約できるレベルだと言っていて、これは、いずれ正式価格が発表されたときのショックを和らげるために違いない。しかし米国とカナダで15台のSemiを使用するWalmartの試験運行の記事にも書いたように、Semiの導入には主要運送会社にとってグリーン化目標達成を助ける付加価値がある。

このたびLoblawの支持を得たことは、Teslaのクレイジーなトラックドリームがそれほどクレイジーではなくなる新たな兆候だ。これはまた、膨大な輸送業務をともなう大手小売業が、排出量削減の方法を探しつつ、長期的なコスト効果も期待しているビジネス環境を活用する完璧なタイミングでもある。

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Walmartが店内の商品棚の在庫チェックを行うロボットを50店でテスト、人間社員を駆逐しない

オートメーションの福音を説き回る人なら誰もが、産業用ロボットの目標は“単調で汚くて危険な”仕事を人間に代わってやることだ、と言うだろう。小売業で相当な数のパートやバイトをやった経験者として言わせてもらえば、店頭の在庫管理はずばり、最初のカテゴリー…単調で退屈…に当てはまる。Walmartはこのほど、全米の50あまりの店でシェルフスキャンロボット(shelf-scanning robots, 商品棚の陳列状態を走査して調べるロボット)を使い始めたが、それを見た同社の社員たちはあらためて、そのことに思い至っただろう。

その身長2フィート(約60センチ)のロボット(上図右)は、一見、人畜無害に見える。要するにそれはキャスターを転がして移動するグレーのボックスで、煙突のように上へ高く伸びたアームの先端にはカメラがある。そのアームが棚をスキャンして、売り切れの品目や、欠品、誤配置などの品目を探す。プライスの正不正もチェックできる。情報は人間の同僚へ送られ、彼/彼女が陳列量や価格を調整し、必要なら発注もする。

同社のアメリカのCTO Jeremy Kingがロイターに語っているところによると、同社は人間社員をロボットでリプレースすることはやっていない。各店舗の頭数は前と同じである。ロボットはブルーのベストを着た人間社員を補助するだけだ。Kingによると、ロボットの自分にできる仕事の生産性は人間がやるより50%高い。またロボットはその仕事を毎日でもできるが、既存の社員はほぼ1週間に2回が限度だ。

もちろん、専用ロボット(単機能ロボット)が、雑多な仕事もこなす人間を完全にリプレースすることはありえない。でもWalmartは今後もっと大々的にテクノロジーを導入することによって、ネット上の巨大ゴリラAmazonに対抗していくつもりだ。本誌も報じてきたように、同社は次々とスタートアップを買収してきた。AmazonもKiva Systemsを買収して、倉庫内作業ロボットのAmazon Roboticsに生まれ変わらせたのだから、Walmartもうかうかしていられない。

Amazonのロボットは今のところ倉庫内と発送作業専門だ。Walmartの新人ロボットたちは最初、カリフォルニアとアーカンソーとペンシルベニアの3州でテストされ、人間とロボットが問題なく協働する姿を、広く一般大衆にも見せていくことになる。

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AmazonのWhole Foodsは、今日の値下げでWalmartに対抗できるのか

本日(米国時間8/28)Amazonは、Whole Foodsとの137億ドルの買収契約を完了し、それを受けて同チェーンの食料品価格の引き下げを開始した。この買収はAmazonにとってもっと大きな意味を持っているが、今回の値下げ(有機食品が多い)の目的は、Whole Foodがをライバルチェーンと対等に戦うための施策だ。しかし、AmazonがWhole Foodsの利益率を削るつもりだとしても、一般の食料品でWalmartと戦えると本気で期待しているのだろうか。

現在Walmartのブランドは低価格路線と結びついている。一方Whole Foodsは、”whole paycheck”[給料全部]と揶揄されるくらい、価格が高い。

Amazonが発表したWhole Foodsの値下げ対象商品は、バナナ、有機アボカド、有機卵、有機「責任ある養殖」のサーモンおよびテラピア、有機ベビーケールとベビーレタス、動物福祉水準の85%赤身牛ひき肉、クリーミーおよびクランチーのアーモンドバター、ガーラおよびフジ有機リンゴ、有機丸ごとチキン、365 Everyday Valueの有機バターなど。牛乳、チーズなどその他の食料品の値下げもすでに始まっていた。

実際の価格比較は本誌のギャラリーで見られたい。

Whole Foodsが今回値下げした商品をWalmartと比べるために、東海岸の同じ地域の両店舗で同じ時刻に同じものを買ってみた。もちろんこれで上記の疑問に答えようというのではなく(それにはまだ早すぎる)、初日の価格を比較したスナップショットを残そうすいうものだ。Walmartがすばやく値下げで対抗したとしても驚くに当たらない。

調べたのは、Whole Foodsが今日値下げした商品だけだ。全体的にWalmartの方が今も安い ―― 有機や「責任ある養殖」、グルテンフリーなど〈ではない〉商品では特にそうだ。ただし、そうではないものもある。

今日の値下げの結果、Whole FoodsがWalmartに価格で勝ったのは、有機牛乳、アーモンドバター、有機パスタソース、有機バナナなどだった。「勝った」と言ってもわずか数セントのものもあればもっと違いの大きいものもあった。

Walmartが勝ったのは有機卵、リブアイステーキ、12本パックの水、サーモンなど。大差のものもあった。

しかしWalmartは有機食品のセレクションが少ないため、比較できなかったものもあった(もちろん、店によっても品ぞろえは違う)。

このWalmartには有機アボカド、有機りんご、有機ベビーケールサラダミックス、有機アーモンドミルク、プライベートブランドの有機バターやチースがなかった。いずれもWhole Foodsで今日値下がりした商品だ。

結局のところ、有機食品が重要な人にとっては、たとえ価格が高くてもWhole Foodsが適しているのかもしれない。そもそも、人々がこの店に行くようになった理由がそれなのだから。

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Amazonの買収履歴一覧、Whole Foodsだけが異様に突出

Amazonが今日(米国時間6/16)、Whole Foodsを137億ドルで買収すると発表したが、これは同社のこれまでで最大の買収だ。

第二位はZapposの12億ドルだが、それは2009年という大昔だ。その後同社は、Twitchの約10億ドル、Kiva Systemsとその大量のロボットを7億7500万ドルと、大きな買い物がいくつかあったが、それらは今日のビッドとは比べ物にならない。でも、それも当然だ。大型食料品店グロサリーというモーレツに複雑なオペレーション、そしてそれを支えるロジスティックスというオペレーション、そのための物理的および人材的資産、全部合わせれば当然100億のオーダーにはなるだろう。

今日のWhole Foodsへのビッドで、AmazonはWalmartの互角のコンペティターになる。Walmartはその試合に備えて最近ネットショップのJetを買った。今朝は。Bonobosを3億1000万ドルで買う、とも言っている。でもAmazonの今回の買収は断然でかいから、Walmartを始めとするグロサリー小売企業の株価は軒並み急落した。Amazon自身にとっても、かつてなかったほど巨額の今回の買収は、同社がグロサリーの配達と、もしかして物理店の展開に対し、本気であることを示すのだろう。

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Walmartがアウトドア用品大手のMoosejawを5100万ドルで買収

Female hiker looks out above fog bank, mtns

Walmartは現地時間15日、アウトドア用品大手のMoosejawを約5100万ドルで買収すると発表した。買収費用はすべて現金で賄われる。ミシガン州マディソンハイツに拠点を置くMoosejawは、オンラインで大きなプレゼンスをもつとともに、ミシガン州をはじめとするアメリカ中西部に10の実店舗をもつ。Walmartによれば、同社による他の買収先と同じく、Moosejawは今後も独立した経営を維持される。そして今後、両社が互いに補完し合うようなブランドを開発していくという。

Walmartは、先月もオンラインの靴販売店であるShoeBuyを買収している。さらに、それ以前の昨年夏には30億ドルのjet.comの買収もあった。今回から加わるMoosejawをはじめ、Walmartは傘下にいくつかの独立ブランドをもつ。jet.comが買収していたHayneedle.IncやSam’s Clubなどがその例だ。

Moosejawは先日、Internet Retailerが発表した「2017年に『ホットな』小売店100」にも選ばれている。しかし、Walmartが注目したのはMoosejawのビジネスカテゴリーと、同社の業界との関係性だ。それに加えて、Moosejawは若い顧客を引き込むためのソーシャルメディア戦略に長けているという点も挙げられる。

Moosejawの買収によりWalmartは、アパレルというオンラインショッピングで人気のカテゴリーに新たなエントリーポイントを獲得することとなった。Patagonia、the North Face、Marmot、Arc’Teryxなど400のブランドから発売される12万以上のSKUが新たにWalmartに加わることとなる。Moosejawは服やアクセサリーの他にも、登山、ハイキング、キャンプ、スノースポーツ、ヨガ、水泳、サイクリングなどに使われる装備品も取り扱っている。

comScoreの調査によれば、2015年にはじめて、服とアクセサリーがオンラインショッピング最大のカテゴリーとなった。そして、今後そのカテゴリー内の競争が激しくなっていく。

Amazon Fashionというアパレル専門ストアももつAmazonは、ファッションカテゴリーの拡大を急速に進めている最中だ。また同社は、いくつかのプライベートレーベルブランドを通してファッションアイテムの販売もしている。Amazonが独自ブランドのトレーニングウェア女性用下着の販売をはじめるという報道もあった。加えて、Amazonがイギリスで独自のファッションブランドを立ち上げるというニュースもある。

Robert Wolfe氏とDavid Jaffe氏が1992年に創業したMoosejawは、現在350人以上の従業員を抱えている。今回のディールは2月13日午後に締結。Moosejaw CEOのEoin Comerford氏および同社の役員は、今後Walmartの北米向けEコマースチームに加わることになる。Moosejawの従業員たちは今後もミシガン州を拠点に活動を続けるが、Comerford氏はScott Hilton氏が率いるWalmartのアウトドア用品チームの監督を務める予定だ。

Moosejawの実店舗も通常通り営業を続けていく。しかし、同社はその収益の大半をオンラインから得ている ― その割合は85%にものぼるそうだ。

「WalmartのEコマースチームに加わることができ、とてもワクワクしています。そして、彼らのアウトドア用品ビジネスを率いることができるチャンスを楽しみにしています」とComerford氏は話す。「MoosejawとWalmartの新しい関係により、ブランドパートナーのためにマーケットプレイスを運営するという私たちのビジネスはユニークなポジションを獲得することになります。ただし、これまでMoosejawで取り扱ってきたブランドをjet.comやWalmartで取り扱うかどうかは、各ブランドの裁量次第です」。

Jet.comと同じく、Moosejawは独立したコンシューマー向けブランドとして経営を続けていく。しかし、これらのブランドを統合することでWalmartは恩恵を受けてきた。Jet.comとWalmartは、それぞれがもつ倉庫やサプライチェーンを統合することで、今年1月から商品を2日以内に届ける手数料無料のサービスを開始することが可能になった。

Mossejawとのケースでは、同社がこれまでに培ってきたトップブランドとの良好な関係性を引き継ぐことができる。これは、Walmartがそれらのブランドの商品をWalmart.comやJet.com、そしてShoeBuyなどのストアで取り扱うための交渉力につながるだろう。

「バックエンドでは広範囲な統合が行なわれることになります」と、WalmartのスポークスパーソンであるRavi Jariwala氏は今回の買収が与える影響について説明する。「より大きくなるスケールを利用することで、配送コストやクレジットカード利用料、各種取引にかかるコストなどを圧縮することもそれに含まれます」と彼は加えた。

またJariwala氏は、Jet.com傘下であるHayneedleの独立性を維持したことは成功だったとした上で、Moosejawに関しても同様の方針だと語った。

「それが、私たちが再現しようとしているモデルです」と彼は話す。

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(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

WalmartLabsがWalmart.comのアップグレードに使ったReactベースのアプリケーションプラットホームをオープンソース化

SPRINGER, NM -  MAY 15:  A Wal-Mart truck sits on the side of the highway May 15, 2005 near Springer, New Mexico.  Wal-Marts are now nearly ubiquitous on the American landscape, with over 3,000 stores coast-to-coast.  With growth, Wal-Mart continues to weather criticism of low wages, anti-union policies as well as accusations that it has homogenized America's retail economy and driven traditional stores and shops out of business. (Photo by Chris Hondros/Getty Images)

オープンソースソフトウェアという言葉と、あの大手スーパーマーケットWalmartが頭の中で結びつく人はあまりいないと思うが、同社のイノベーション意欲旺盛な技術開発部門WalmartLabsはこれまでにも、さまざまなオープンソースプロジェクトを一般公開している。その中でいちばんおもしろいと思えるのがDevOpsプラットホームOneOpsだが、今日(米国時間10/3)はそれと同等に意欲的なプロジェクトを立ち上げた。

Walmartのeコマース部門Walmart.comは、今や月間ビジター数が8000万、販売品目1500万に達する。そこが昨年1年間をかけて、React(react.js)とNode.jsに移行した。その移行過程でWalmartLabsのチームがWalmart.comのために作ったReactベースのアプリケーションプラットホームElectrodeがこのほど、オープンソースになった

デベロッパーは、Electrodeが提供しているいくつかの定型句的なReactコードに自分なりに手を加えて必要なモジュールを作り、それらの機能をNodeで作るアプリケーションに加えていく。たとえばそれは、Node.jsアプリケーションの構成を管理するツールや、アバブ・ザ・フォールド(above-the-fold)を素早く表示するReactコンポーネントなどだ。〔above-the-fold, アバブ・ザ・フォールド, ページの最上部、スクロールしないで見れる部分。 〕

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チームによると、このプロジェクトにはいくつかの特定の目標があり、それらはほかの企業の問題解決にも役立つはずだ、という。Electrodeは社内のデベロッパーがアプリケーションを早く作れることが目的であり、彼ら自身がこれまでの経験の中で開発してきたベストプラクティスに従った、堅実な構造をそのまま利用できる。

WalmartLabsの技術部長Alex Grigoryanはこう語る: “Electrodeはとりわけ、われわれが作るアプリケーションのパフォーマンスとデベロッパーの生産性を上げた。オープンソースにすることによって、コミュニティがそれをさらに良くしていくことを期待したい。もちろんそれは、うちだけではなく、これを使うデベロッパー全員にとってね”。

このプラットホームは、できるかぎりモジュール的な構造にするよう努めた。その結果それは、コア、モジュール群、ツール類、という三つの部分から成り、それぞれを単独で利用することもできる。

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Electrode今、WalmartでWalmart.comを動かしているが、今後はSamsClub.comなど、Walmart社のそのほかのWeb資産にも適用していく意向だ。Electrodeは昨年の12月に発足したプロジェクトだが、Grigoryanによると、プロジェクト自身は若くても内部で大量のオープンソースプロジェクトを利用している。オープンソースコミュニティの助けがなければ、これだけのものは到底作れなかっただろう、と彼は言う。

Electrodeに移行する前Walmartは主に、Thorax(Backbone.jsとHandlebars.jsによるフレームワーク)と、Javaを使っていた。

WalmartLabsがこれまでに発表したオープンソースプロジェクトはおよそ140あり、Electrodeもその仲間に加わる。まさしく、「今やすべての企業がソフトウェア企業だ」と言われる由縁である。Walmartのような一見保守的な企業でさえ、オープンソースの意義と効用に目覚めるのだから。

Grigoryanは述べる: “うちはいつも、大量のオープンソースを利用しているから、そのお返しをすることをつねに念頭に置かなければならない。Electrodeはアプリケーションのパフォーマンスとデベロッパーの生産性の両方を上げるから、オープンソース化する意義が十分にある。そしてまた、オープンソースのコミュニティによって、うちばかりでなく、それを使うほかのデベロッパーの役に立つ改良改善が為されることも、働きかけていきたい”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ウォルマートがeコマースの有力スタートアップ、Jet.comを30億ドルのキャッシュで買収と発表

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このところ小売業はAmazonが君臨するeコマースが主戦場となっている。今日(米国時間8/8)、Walmartはデジタル・コマース・ビジネスにおける過去最大の買収を発表した。Walmartは運用開始後ちょうど1年のオンライン専門ショッピングサイト、Jet.comを30億ドルのキャッシュで買収する。またJet.comのファウンダーや関係者に最高3億ドル分のWalmart株式を与えるという。

Walmartの発表によれば買収後もJet.comは独立のブランドとして運営される。この買収は〔実店舗のスーパーマケットチェーンという〕Walmartのコア事業を多様化し、ターゲットの消費者を拡大する戦略に沿うものだという。

Jet.comの共同ファウンダー、CEOのMarc LoreはJet.comの責任者を続けるだけでなく、Walmartのオンライン事業のトップの地位をNeil Asheから引き継ぐ。Walmartの社長、CEOのDoug McMillonは買収についての電話記者会見で「われわれはeコマース事業にさらに注力していく。〔この人事は〕買収に伴う自然な成り行きだ」として次のように述べた。

「LoreがJetで確立した〔システム〕はWalmartでも採用される。Loreがこのポジションをは引き継ぐことは、Walmartをeコマースの世界にさらにコミットさせる役割を果たすだろう。これは理にかなったことだ」と述べた

2012年からグローバルeコマース部門のトップになったAsheは2016年からWalmart Technologyの責任者も兼ねているが、Asheが買収後も後者の地位に留まるのかは不明だ(取材中)。

McMillonは「Jet.comは「〔Jet.comは〕2020年までに黒字化を達成することになっているが、グループに入ったことで配送、人的資源、サプライチェーンなどにスケールメリットが活かせることになり、黒字化の目標達成は早められるだろう。ただし〔Jet.comに対して〕しばらく投資を続ける期間が必要必要だ。今日はWalamartのガイダンスの修正は行わないが、いずれにせよわれわれの企業文化は短期の損益に拘泥しない。われわれは消費者と共に勝利することに集中している」と述べた。

規制当局に承認されれば買収手続きの完了は年内を目標としている。【略】

WalmartとJet.comの買収交渉は1週間にわたって大きなビジネス・ニュースとなっていた。買収金額についてBoombergre/codeだけでなく、われわれTechCrunchも30億ドルになると報じたが、この情報は正しかったことになる。

今回の買収は急成長中のeコマース企業と世界最大の実店舗小売業の合併として大きなインパクトを与えている。現在Walmartは世界28ヶ国に1万1527店舗を展開し、会員制スーパーのSam’s Clubを始め63のグループ企業を展開している。1週あたり顧客は2億6000万人、会計年度の2016年には4820億ドルの売上を記録し、従業員は(なんと!)230万人に上る。

一方Walmartの発表によれば、Jet.comは事業を開始した最初の年に通年換算の流通総額 (Gross Merchandise Value=GMV)が10億ドルに達した。Jet.comの取扱商品は単品管理単位(Stock Keeping Unit=SKU)で1200万、月間新規顧客は40万、処理注文数は1日当たり2万5000、登録小売企業および提携企業数は2400となっている。

eコマース・ビジネスのインフラ構築のためにWalmartがこれほどの巨額を投じたことは強い関心を集めている。Walmartは世界最大の小売業だが、このところ採算性の悪い分野でのダウンサイジングにも努めている。たとえばWalmart Expressと名付けられたミニ・スーパーを実験的に開設している。

今日の電話記者会見で WalmartのCEO、McMillonは「Jet.comは「〔Walmartよりも〕都会的でありミレニアル世代を惹きつける力がある。現在われわれが扱っていないブランドにとっても魅力だ」と説明した。【略】

Jet.com―離陸したのか、滑走中か?

WalmartはJet.comのビジネスについは、売上総額、顧客総数、収益性など具体的な数字を発表していないが、買収以前にJet.comが発表したところによれば2019年までは赤字が続く見込みだ。

Jet.comは2013年に Lore、Mike Hanrahan、Nate Faustによって創立され、巨額のベンチャー資金を集めることに成功している。投資額は5億ドル以上と報じられているが、8億ドル以上の可能性もある。会社創立後、2015年7月に運用を開始するまで評価額上昇を続けた。30億ドルの買収額は、昨年末の資金調達ラウンドにおける評価額の1つとして報じられた額だ。

Jet.comはスタートアップとしても非常に若い会社で、事業の運営もアメリカに限定されている。しかしLoreはイギリスでドメイン名を登録しており、ヨーロッパ、少なくともイギリスには事業を拡張する計画かもしれない。

Walmartの広報担当者によれば、「JetはWalmartを助け、WalmartもJetを助けることができる」という。

この記事はアップデートでWalmartのCEO と広報担当の発言を追加している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

WalmartがAmazon Primeに対抗して“2日以内に配達”のテストを開始

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Walmartが昨年、Amazon Prime対策としてベータで立ち上げた、品物が三日で届くサービスShippingPassに、重要な変化を加えた。すなわち今朝(米国時間5/12)同社は、三日を二日に短縮する、と発表した。これでこのサービスは、Amazonの特別会員制の配達サービスと、より互角に競争できることになった。

これはWalmartとしては興味深い動きで、ShippingPassの最初の考え方は、通常の配達よりも早いがAmazon Primeほど早くはない、というものだった。その利点は、特別配達のコストが、当日や翌日を謳うPrimeより低いことだ。

WalmartのShippingPassの年会費は、Amazon Primeの99ドルのほぼ半額49ドルだ(最初の50ドルを値下げ)。それで、配達はPrimeより一日遅くなる。

しかしこれからは二日待つだけだから、Primeと同じになる。

Amazon Primeには早期配達以外に音楽やビデオなどさまざまなサービスがあるが、WalmartのShippingPassサービスは、早期配達のみで、ほかは何もない。

しかしWalmartに言わせると、フルフィルメントのインフラストラクチャがAmazonより優れているので、早期配達を低コストで行える。そこが、Amazonにない利点だそうだ。

この早期配達サービスの対象となるのは、同社Webサイトで買える約700万点の商品のうち、100万あまりだ。今後いくらでも、対象拡大の余地がありそうだ。

ShippingPassのアイテムは、顧客に2日以内で配達される。最少購入額の要件はなく、返品は手数料無料だ。

ShippingPassについて、現在の会員数や売上など、詳細はまだ公表されていない。

ShippingPassまだ一般的に可利用ではないが、ここで登録すると、パイロット事業への待ち行列に並ぶことができる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Walmartがオープンソースのクラウド&アプリケーション管理プラットホームOneOpsをローンチ

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Walmart(そう、あのWalmart)が、クラウドとアプリケーションのライフサイクル管理のためのDevOpsプラットホームOneOpsを、オープンソースでローンチする。Walmart Labsが開発したそれは、アプリケーションをよりはやく書いてローンチし、それらのメンテナンスをより容易にすることがねらいだ。

そのサービスをオープンソースにすることは、昨年発表されていた。

“われわれのミッションは、顧客に、もっともアジャイルでコスト効果が高く柔軟性に富むアプリケーションライフサイクル管理のソリューションを、クラウド上のエンタープライズクラスのワークロードに対して提供することだ”、とチームは語っている。

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Walmartのような企業がこんなツールをローンチするのは奇妙とも思えるが、しかしむしろ、レガシーのリテイラー(小売企業)においては、テクノロジの有効利用が今のWalmartほどには進んでいない、と言えるのかもしれない。ただし同社が今日(米国時間1/26)述べたように、同社はクラウドのユーザであり、クラウドのプロバイダではない。

今日の発表声明の中でWalmartのCTO Jeremy KingとWalmartLabsのプラットホーム担当VP Tim Kimmetはこう述べている; “WalmartがOneOpsをオープンソースでリリースすることは、理にかなっている。オープンソースにすれば、コミュニティがそれを改良したり、既存のテクノロジに適応させるための方法を築いたりできるからだ。われわれはオープンソースの門外漢ではない。これまでもずっと、積極的なコントリビューターであり、Mupd8やhapiのような技術をコミュニティにリリースしてきた”。

実際にはOneOpsは2011年に企業として創業され、Walmartが2013年に買収した。今日では同社の約3000名のエンジニアが、新しいプロダクトの構築や管理に利用している。walmart.comやSam’s Clubなどの、同社のeコマースサイトは、OneOpsで管理されている。同社によると、同社のエンジニアたちは、このプラットホームを使って毎月3万あまりの変更をコミットしている。

それでは、OneOpsは一体何をするのか? Walmartによると、このプラットホームの重要な利点のひとつは、そのままで複数のパブリックおよびプライベートなクラウドプラットホームに使えることだ。それらのクラウドプラットホームは、Microsoft Azure, Rackspace, AWSおよびCenturyLink Cloud, そしてOpenStackのクラウドだ。OpenStackはWalmartがそのアーリーアダプターであり、今でも最大のユーザの一つだ。

“クラウド環境はコントロール性が優れているから、クラウドのプロバイダがプロプライエタリなツールや技術の使用をユーザに指定したり、使える帯域を制限したりするのではなくて、OneOpsを使えば、デベロッパがコントロールを自分の手中に取り戻すことができる”、とチームは書いている。

Walmartのチームによると、NoSQLデータベースのCouchbaseとも協働して、自分たちのプロダクトを統合してもらっている。OneOpsはそのほか、Node.jsやDocker, ElasticSearchなどなどさまざまな技術と一緒に使えるようセットアップされている。

OneOpsにはさらに、モニタリングツールや、不具合時の自動治癒/自動リプレース機能、クラスタのサイズを管理する自動スケーリングツールなどが含まれている。アドミン向けには、企業向けのアイデンティティサービスやクォータ管理、構成管理などとの統合もできる。

プロジェクトのコードはGitHubにある。GitHubのプロダクト管理担当VP Kakul Srivastavaは、こう言っている: “Walmartはオープンソースへの重要な貢献を続けている。これからGitHubのコミュニティがOneOpsとどうエンゲージしていくか、楽しみに見守りたい。小売企業の大物がソフトウェアの大物にもなるところを目撃するなんて、すごいことだよ”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

パニック的騒乱もあった中、感謝祭当日に140万台のタブレットを売り上げたウォルマート

記事執筆時点、アメリカではまだブラックフライデーの売り上げ結果など出ていないが、しかしウォルマートが満足気に成果を報告している。なぜウォルマートが結果を予測できているかと言えば、それは単純な話だ。ブラックフライデーの売り上げは、前日の感謝祭の売り上げと同様の傾向を示すもので、そしてホリデーシーズンの間もだいたいそうした傾向が続くことになるからだ。

売り上げ額の詳細については1日が終わらなければ出てこないが、取り敢えず前日の感謝祭には、ウォルマートは全米で140万台のタブレットを売り上げたようだ。メーカーや機種などの分類はまだできていないが、ウォルマートによれば、iPad miniが全製品の中でも最もよく売れた製品のひとつとなると述べている。

ウォルマートの売り上げリストには大画面テレビや、ノートPCなど、よく売れる製品もある。その中でiPad miniが「最もよく売れた製品のひとつ」となるというのは、「140万台のタブレット」の中でも、iPad miniがかなりの割合を占めたということを意味するのだろう。他にどういったものが人気だったかと言えば、Microsoftの新しいXbox Oneや、ソニーのPlayStation 4などだ。モバイルゲームが広く流通し、また昨年には任天堂Wii Uが振るわなかったということがあった。しかし家庭用ゲーム機は、まだ一定の人気を保ち続けているようだ。

ちなみに、タオルの売上数をみるとタブレットの2倍となっている。感謝祭の1日をまとめれば、多くのアメリカ人が家族で集まり、感謝の気持ちを伝え、七面鳥を料理してタオルを買った日ということになる。すべての人が最優先でハイテク製品を買ったのではないことは確認しておこう。

ちなみに当然のことかもしれないが、ウォルマートのプレスリリースには、あちこちの店舗で暴動のような状況、喧嘩、マナー違反など人間の愚かしさを示す行為がみられたことには触れていない。140万台売れたというタブレットを巡っても、戦いがあったのだとするツイートが投稿されている。

(ブラックフライデーのウォルマートなんかにはもう*絶対*行かない。タブレットを奪い合う人の喧嘩に巻き込まれてひどい目にあったわ。お馬鹿な人を見たければぜひウォルマートに行ってみることね)

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(翻訳:Maeda, H