SpaceXのドラゴンが3回目のISS補給ミッションを完了

7月から国際宇宙ステーションにドッキングしていたSpaceXの商用カプセル「ドラゴン」は、米国時間8月27日に太平洋に着水し、ISS往復を3度経験した初の宇宙船となった。SpaceXは商用カプセルのドラゴンを使って、実験器具、補給品などの貨物をISSに運搬するだけでなく、カプセルを再整備して別の飛行ミッションで再利用することによって、宇宙飛行をより経済的にしようとしている。

SpaceXは、昨日着水したカプセルを回収し陸地に引き上げた。宇宙船にはISSから戻ってきた約2700(1.2トン)の材料や実験結果が積載されていた。今後NASAの地上スタッフが調査、研究に使用する。ドラゴンは5000ポンド(2.3トン)以上の貨物をISSに運び、その半分以上が科学および調査ミッションに関連している。戻ってきた荷物の中には、球形ロボットのCIMONもいた。

CIMON new1609

AIコンパニオンロボットのCIMONは、ISSで過ごしたあと、SpaceXのドラゴン・カプセルで地球に戻ってきた

SpaceXのドラゴンカプセルは、地球に帰還する際に機体が損なわれないため、壊れやすいものを持ち帰るのに適している。そして同社の次期バージョン、クルードラゴンが運行を開始した際には、補給品や機器の運搬だけでなく、宇宙飛行士を連れ帰ることも期待されている。最初の有人飛行は今年末か来年に実施する計画だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

コンパクトで高性能な3軸安定スマートフォン・ジンバル「Smooth-Q2」

 中国のZhiyun(智雲、ジウン)はこの5年間スマートフォンやデジタルカメラで安定した動画を撮影するときに必須となるジンバルを多数リリースしてきた。当初に比べてZhiyun製品の機能、信頼性は飛躍的にアップしているが、今回Kickstarter(キックスターター)で出資を募っているスマートフォン用ジンバル「Zhiyun Smooth-Q2はは優れものと思う。

Smooth-Q2の最大のセールスポイントはコンパクトさだろう。プロレベルの動画撮影に必要な機能がフルに装備されているにもかかわらず、同社の表現を借りれば「文字どおりポケットに入る」サイズだ。

私が使ってみたのは同社が送ってきた評価用モデルなので、今後量産されるモデルとは細かい部分で相違が出てくるだろうと思う。しかし評価モデルも完成度は高かった。

Zhiyunの主張どおり、Smooth-Q2は上着やズボンのポケットに入る。外から見えないくらいすっかり収めてしまうにはある程度の深さが必要だ。しかしそういうポケットがなくてもSmooth-Q2の携帯性は文句なしに優秀だ。ジンバルは便利だがかさばるため旅行の際に持ち出すのをついためらってしまうが、これならおおいにスペースが節約できるだろう。

Smooth Q2 1

写真に向かって左から、DJIのOsmo Mobile 3、ZhiyunのSmooth-Q2

最近、市場に出て我々も紹介したスマートフォンジンバルにはDJIのOsmo Mobile 3がある。こちらも折り畳式だが、Smooth-Q2のほうがデザインが巧みで、サイズは同程度ながらジャケットやバッグのポケットに収めやすい。両方とも簡単にバランスが取れるが、Smooth-Q2のほうが操作がややシンプルかもしれない。.

作りはZhiyun Smooth-Q2のほうが堅牢に感じる。ただコントロールの機能(トリガーまわり、ズームレバー)のデザインには多少改良の余地があるかもしれない。しかしスプリングが内蔵されたクリップでスマートフォンを固定する方式は便利だ。ジンバルから脱着を繰り返すたびにバランスを取り直す必要がないのでスマートフォンを単独で使いたいとき、気軽にジンバルから外すことができる。

さらに撮影に使われるスマートフォンカメラのネイティブアプリはBluetooth接続でジンバル側からコントロールできる。この場合Zhiyunの専用アプリを使う必要はない。ただし撮影対象を指定してトラッキングするような高度な機能を利用したいときはアプリが必要となる。

Smooth-Q2のバッテリーはデバイスを16時間駆動可能なのでフル充電すれば1日中もつはずだ。タイムラプスモードも用意されている。ジンバルは3軸安定でヘッドは360°自由回転する。ボディは航空機グレードのアルミ製でバッグの中で少々乱暴に扱われても平気だ。

肝心のカメラ安定能力だが、私がiPhone XS Maxでテスト撮影した2本の動画(上と下)を見ていただきたい。いちばんベーシックなPFモードで撮影している。このモードではジンバルを左右に向けるとそれに応じてカメラもゆっくりパンする。

ZhiyunはSmooth-Q2をクラウドファンディング中なので入手を考えているならKickstarterで出資するのが手っ取り早い。同社の規模、実績、口コミなどから考えて製品が実際に納入されることは間違いないだろう。スーパーアーリーバードの出資枠はまだ100件程度残っており、854香港ドル(約1万1500円)だ。これは予定市販価格の30%程度のディスカウントだという。今年10月の出荷予定で全世界に発送可能だ。

Smooth Q2 2

【Japan編集部追記】 Kickstarterのページによれば、スーパーアーリーバードを選択した場合日本向け送料は78香港ドル(約100円)、出資総額は約1万6391円となっている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Space XのStarhopperが高度約150mのテスト飛行に成功

SpaceX(スペースX)は、次世代の宇宙船ことStarshipの建造に使用される技術実証のためのデモプロトタイプ機となる、Starhopperの2回目の低高度テスト飛行を完了した。今回のテストでは米国テキサス州にあるSpaceXのテスト施設で、これまで飛行した中で最高となる高度約150mまで「ホッピング」した。約50秒(上のGIFは2倍速)のホップ飛行の後、わずかに離れた着陸パッドにきちんと着陸した。

これは、Starhopperの2回目の係留なしのテスト飛行であり、また最後のテストで、SpaceXは現在フロリダとテキサスで同時にStarship Mk IとMk IIのプロトタイプの建設を進めている。今回のテストは、昨日予定されていたテストが最後の1秒で中止されたあとに仕切り直し、1分足らずのホップ飛行のためにすべてを確認したあとの2度目の試みだった。

7月には、SpaceXがスターシップ用に開発中しているRaptorエンジンと他のサブシステムの動作をテストするために、非係留でのテストが実施された。飛行時間はわずか22秒で、高度はわずか20mだった。

現在、SpaceXのテキサスとフロリダの両施設で、フルサイズのStarshipのプロトタイプの建設が進められている。より大型のプロトタイプは、実際に打ち上げに近くより多くのRaptorエンジンを搭載し、またより高い高度を目指す予定で、これは同社が初の軌道テスト打ち上げに向けて取り組む上で重要なステップだ。

最終的にSpaceXは、Falcon 9とFalcon Heavyの両方を異なる構成のStarshipで置き換えたいと考えている。Starshipは完全に再使用が可能なためコスト削減に役立ち、またロケット開発を1種類の機体に集中させることになる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

iPhoneのカメラをリアルタイム絵文字映像マシンに変えるアプリ

iPhoneには魅力的なコンピューター画像処理機能がいろいろあるが、デベロッパーのGabriel O’Flaherty-Chan(ガブリエル・オフラハーティ-チャン)氏が作った新しいアプリは、そのパワーをクリエイティブに使う方法を示すものだ。Emojivisionは、世界が絵文字だけで出来ているのように見える。

この無料アプリ(2.79ドルのアプリ内購入で追加の絵文字パックを使える)は、iPhoneのカメラセンサー入力をアプリのカラーパレットの要素に分解し、絵文字のサブセット(アプリ内でテーマにそって選ばれる)から最も近いものを見つけて、画像を再構築する。60fpsで動くのでほとんどリアルタイムで絵文字画像を見られる。

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アプリは自撮り写真を撮ることも、iPhoneのフォトギャラリーの写真を使うこともできる。解像度を変えて、絵文字画像の精細度を変えることもできる。これは、誰かの顔をリアルに表現するものではないが、友達に見せるのは楽しいし、ちょっとしたソフトウェアエンジニアの作品でもある。

同氏はこれまでにも注目すべきモバイルソフトウェアを作っている。Apple WatchでプレイできるPokémon Yellowもそのひとつ。現在は大規模なリアルタイム戦略ゲームを開発中。「No Man’s Sky」のように手続き的に生成された世界が舞台だが、リアルタイム対戦要素に焦点を当てることで、非常に魅力的で進化的なアプローチで資源を集めて帝国を拡大していく。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

「マリオカート ツアー」は9月25日リリース、iOS版とAndroid版を用意

任天堂の次のモバイルゲーム「マリオカートツアー」が、9月25日からiOSとAndroidデバイスでリリースされる。ゲームの公式Twitterアカウントは発売日を明らかにし、両プラットフォームのユーザーが発売時にゲームを入手するためにサインアップできる事前登録リンクを公開した。

任天堂の非常に人気の高いカートレーシングシリーズのモバイル版は昨年発表され、その時点では2019年3月末までにリリースされる予定だった。しかしその後、任天堂の決算報告書によると「ゲームの品質を向上させ、発表後のコンテンツの提供を拡大する」ために、スケジュールを今夏へと変更していた。

9月25日は厳密には秋といえなくもない。任天堂は今年に「Dr.Mario World」をリリースしており、人気シリーズのモバイル版をローンチするという意味で、同社にとって忙しい1年となっている。

マリオ・カート・ツアーは今年、米国と日本で非公開ベータテストが開始されたが、これはAndroid OS専用だった。ベータ版からの詳細には、数多くのキャラクターや、シリーズのファンを失望させるかもしれない多くのゲーム内課金などが含まれている。

http://www.youtube.com/watch?v=1V6XecP27wE

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Google マップに自転車とライドシェアのオプションが追加、複数モードでの乗り換えを表示

Google(グーグル)は、ライドシェアと自転車のオプションを交通案内と組み合わせたコンボナビゲーションを導入する。米国時間8月27日から、Google マップで道順を検索して 「乗り換え」 をタップすると、最寄り駅への徒歩での移動がすこし遠い場合に、ライドシェアのオプションが表示されるようになる。同様に、特定の区間では自転車の提案があるルートも表示され、同一手段での乗り換えと一緒に表示される。

新しいハイブリッドナビゲーションのオプションには、ライドシェアの価格、待ち時間、交通状況などが含まれる。地域で利用可能なライドシェアのプロバイダを指定したり、希望の方法(つまり、安価またはエコノミー)を選択することもできる。

自転車利用者は、自転車が通るのに最適な道順を知ることができ、どちらの場合も、利用可能な情報はすべてETA(予測到着時間)から提供されるため、目的地にいつ到着する必要があるかにおうじて、どの経路や交通手段を利用するかを、十分な情報にもとづいて決定することができる。

Googleによると、乗り換え/ライドシェアの複合ナビゲーションは今日からAndroidとiOSの両方でロールアウトされ、自転車のオプションはiOSユーザーには今日から、Androidユーザーには数週間以内に提供される。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け 映像が初公開

Disney(ディズニー)は先週末のD23エキスポにて、スター・ウォーズ映画の最新作となる「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」の新しい映像を公開した。現在、この映像はオンライン上で一般に公開されている。

この映像には以前の三部作のうち2作からの巨大なモンタージュと、シリーズの最後の2つの映画が含まれており、その伝統の歴史と重みを追加している。個人的に私はこれらが嫌いで記憶から消し去りたい程なのだが、それでも前日譚の映画を懐かしく思うことがある。

実際の新しい軌跡は終わりに近づいており、時間とコンテンツ量の点で非常に限られている。ただし、レイがダークサイドを示唆する赤い双刃のライトセーバーを振りかざすシーンや、皇帝パルパティーン(彼は映画の新しいポスターにも登場している)によく似た人物からのナレーションなど、気になるネタがいくつも含まれている。

実に気になるこの最新作、公開日は12月20日だ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

米空軍のスペースプレーン実験機が軌道周回飛行の記録更新

米空軍が発注し運用しているBoeing(ボーイング)のスペースプレーン実験機「X-37B」が、飛行時間の記録を更新した。今回のミッションは719日間続いていおり、Space.comによれば2017年に終了した前回のミッション期間を上回った。人工衛星は5年以上の寿命があるため全体をみれば新記録ではないが、再使用可能な宇宙船などに関する米国の技術実証を目的とした、秘密のベールに包まれた米空軍のスペースプレーンにとっては大きなマイルストーンだ。

SpaceX(スペースX)のFalcon 9ロケットで打ち上げられたX-37Bは、現在のミッションを2018年9月に開始した。ミッションの具体的な詳細は秘匿されているがが、明らかに宇宙での時間が増え続けており(ミッションのたびに期間が延長されている)、「地球に持ち帰り調査できる実験を行っている」とされている。これらのテストには誘導、ナビゲーション、サーマルプロテクション、高温材料と耐久性、飛行と推進システムなどに関連する技術が含まれている。

X-37Bに搭乗している乗組員はいないが、NASAのスペースシャトルのように、自律的に地球の大気圏を降下し、滑走路に水平着陸できる。

NASAは1999年にX-37のプログラムを開始した。これは2004年にDARPAとアメリカ空軍に移管され、X-37Bはこれまでに4回飛行している。これらの最初の4回のミッションで、2085日間の宇宙飛行を完了したことになる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

衛星インターネットスタートアップのAstranis、Falcon 9ロケットによる初打ち上げを契約

Y Combinatorが支援するスタートアップのAstranis(アストラニス)は、来年の第4四半期にFalcon 9ロケットで初となる商用通信衛星を打ち上げる予定だ。Astranisの目標は、現在ブロードバンドインターネットにアクセスできない世界の膨大な人々の市場を開拓することで、既存の衛星よりもはるかに早く製造して打ち上げられる低コストな人工衛星を使い、既存のグローバルな携帯通信ハードウェアの価格を大幅に下げることだ。

Astranisの衛星は小型で製造が簡単なため、コスト効率が非常に高く、今後の通信事業者や接続プロバイダーのパートナーの事業展開を変えうる。このアプローチは、すでにアラスカ州で衛星ブロードバンド接続の拡大を目指して設立された、Microcom(マイクロン)の子会社であるPacific Dataport(パシフィック・データポート)との提携を獲得している。Astranisによると、SpaceXのロケットで静止軌道に1機の衛星を打ち上げることで、アラスカのインターネットプロバイダーのネットワーク容量を3倍となる7.5Gbps以上に拡大し、さらに潜在的にコストを「3分の1」にすることができる。

なお、これはAstranisが宇宙に送る初めての衛星ではない。2018年にデモ衛星を打ち上げ、技術が宣伝どおりに機能することを示した。Astranisのアプローチは、SpaceX自身のStarlinkプロジェクトなど、衛星ベースのインターネットを提供しようとする他のアプローチとは異なり、サービスを提供する地域の上空に留まる衛星を構築することに焦点をあてている。これは、地球低軌道に衛星コンステレーションを構築して、カバーエリアを広げるアプローチとは対象的だ。後者では、常に1機以上の衛星がカバー範囲に存在し、さらに衛星から衛星へと接続を引き継ぐ必要がある。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Bellの革新的な貨物用垂直離着陸機が初の自律飛行に成功

Bell Helicopter(ベル・ヘリコプター)のAutonomous Pod Transport 70(APT 70)がForth Worth(フォースワース)で実施されたテストにて最初の自律飛行を行うという、大きなマイルストーンを達成した。この航空機は小型のVTOL(垂直離着陸機)で、空中で揚力と推進力を提供するために4個のローターを使用し、最終的にはBellが小型の自律飛行が可能な商用貨物機として構想しているプロトタイプだ。

APT 70は最高速度が時速100マイル(約時速160km)を超え、70ポンド(約32kg)の荷物を運搬できるので、貨物の配送から救助活動までの利用が想定される。また、ローターの向きを垂直から水平に変えて飛行するため、従来のローターを搭載した航空機よりもはるかに速く飛ぶことができる。

APT70でのBellの目標は、来年半ばに予定されているNASAのSystems Integration and Operationalizationのデモの一環として、商用ミッションのシミュレーションに成功することだ。この実証実験は、自律航空機をアメリカでの商業サービスのために準備する上で重要なステップである、集中コマンドと障害物の回避技術によって、航空機がどのように運用されるのかを示すことを目的としている。

NASAとの米国でのデモミッションに加えて、Bellは日本の物流企業のヤマト運輸とも協力しており、来年半ばには顧客へのオンデマンド配送のための、初の共同サービスをを市場展開したいと考えている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

日本のispaceは2021年の月面着陸、2023年のローバー月探査を目指す

民間月面探査機のミッションを目指している民間企業の1社がその計画のスケジュールを変更したが、その任務の重要さを考えれば、驚くようなことではない。日本初のスタートアップのispaceは、2021年の初めての月面着陸と、2023年のローバー(探査車)による月面探査を予定しているのだ。

ispaceの「HAKUTO-R」プログラムは、当初は2020年にペイロードと搭載しない技術実証目的の月周回衛星を送る予定だったが、かわりに2021年までに商用顧客の実際のペイロードを届けることに注力することとなった。

同社によると、この変更の目的は世界市場で商業打ち上げサービスとペイロード輸送が加速したことが理由で、これには月に荷物を輸送する民間企業を支援するNASAのCommercial Lunar Payload Servicesプログラムも含まれる。

ispace自身はNASAのプログラムの第1ラウンドの9社には含まれていないが、同社は米NPOのDraperを支援するという形で支援している。Draperとispaceの協力は、ispaceの2020年の月周回衛星計画の発表の後に実現したもので、この新しい協力の優先度を考えれば、計画の変更は理にかなっている。

HAKUTO-Rは初めのミッションでSpaceX(スペースX)のFalcon 9を使用し、同社はまたJAXAやスズキ、住友商業、小学館、シチズンホールディングスを含む新たなコーポレートパートナーとの提携にも署名した。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

NASAの新HPE製スパコンが月面着陸する宇宙飛行士を支援へ

NASAとHewlett Packard Enterprise(HPE)は、米国カリフォルニア州にあるNASAのエイムズ研究センター向けに新しいスーパーコンピューターを開発し、アルテミス計画の月面着陸における着陸プロセスのモデルとシミュレーションを支援する。

このスーパーコンピューターは、米国の天文学者のRobert Grant Aitken(ロバート・グラント・エイトケン)氏の名前から「Aitken」と名付けられ、理論性能で最高3.69ペタフロップスでのシミュレーションが可能だ。AitkenはHPEとNASA、エイムズ研究所が共同設計したモジュール式のデータセンターで、2017年からスーパーコンピューターのハードウェアの冷却に使用する水とエネルギーの量を大幅に削減するプロジェクトがすすめられてきた。

Aitkenは第2世代のIntel(インテル) Xeonプロセッサ、Mellanox InfiniBandの高速ネットワーク、221TBのメモリをストレージとして搭載する。これはNASAとHPEにおける4年間の協力の成果であり、月に打ち上げられるアルテミスの宇宙船の突入、降下、着陸のさまざまな方法をモデル化し、シミュレーションを実行してその可能性を判断し、最良かつ最も安全なアプローチを決定するのを助ける。

HPEとNASAの協力はこれだけではない。宇宙空間の環境にも耐えられる新型のエンタープライズ向けコンピューターを開発し、火星を含む長期間ミッションのテストを準備するために、2017年に国際宇宙ステーションへと送った。その後、このパートナーはこのスーパーコンピューターをサードパーティーの実験用に昨年公開した。

HPEはまた、スーパーコンピュータを開発しているCrayを13億ドル(約1400億円)で買収すると今年発表した。CrayはNASAのスーパーコンピューター開発における長年のパートナーで、NASAの専用のコンピューターモデル部門の設立や、エイムズ研究所のCentral Computing Facilityの立ち上げに携わったこともある。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Waymoが研究コミュニティが無償で津かっる自動運転のオープンデータセットをリリース

Waymo(ウェイモ)は、その重要な自動運転の蓄積データを、新しいOpen Data Setとして開放し、研究目的での利用を可能にする。このデータセットは商用利用向けではないものの、その「研究」の定義は極めて広く、大学はもちろん、他の企業の研究者も対象になっている。

昨年Waymoに入社する前に、ZooxとGoogleの両社に勤めていたこともある、Waymoの主任科学者兼研究責任者であるDrago Anguelov(ドラゴ・アンゲロフ)氏によれば、このデータセットは「これまで研究向けにリリースされた自動運転データセットの中で、最大かつリッチで、最も多様なものの1つ」だということだ。アンゲロフ氏は、ブリーフィングの中で、このデータ提供を推進し始めた理由を、この分野で仕事を進めているWaymoやその他の企業たちが「適切なデータセットが不足しているために、現在動きが鈍くなっているから」だと述べた。

「私たちは、最終的に学界の研究者たちが適切な質問を発することができるように、私たちのできる寄与を行うことを決断しました。そのためには研究者たちは適切なデータを必要としているのです」とアンゲロフ氏は語る。「そして私は、このことはこの分野にいるすべての人を助けることになると思います。私たち自身がこうした課題を解決できないと言っているわけではありません。しかし、効率、拡張性、必要なラベルの量に関しては、改善の余地が常にあります。これは発展途上の分野なのです。現状を考えると、あまりインパクトのない仕事を行うのではなく、主に他者を巻き込んで、私たちの問題を考えてもらい、私たちと一緒に仕事をしてもらおうとしているのです」。

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WaymoのOpen Data Setは、路上の自動運転車によって収集された1000個の運転セグメントを研究者たちに提供することで、ギャップを埋めようとしている。それぞれのセグメントは20秒の連続運転のデータを表したものだ。含まれる運転データには、アリゾナ州フェニックスで行われたもの、ワシントン州カークランドのもの、カリフォルニア州マウンテンビューのものが含まれる、そしてまた夜間や雨天、夕暮れ時などの様々な運転条件のものも提供されている。セグメントには、Waymo製の5つのライダーから収集されたデータと、正面および側面を向く5つの標準カメラのもの(高解像度でキャプチャされた360度のビューを提供)、そしてWaymoがライダーと画像データを融合するために使う同期データが含まれる。車両、歩行者、自転車、そして標識などの対象物にはすべてラベルが付けられている。

これまでのWaymoは、特にその収集されたデータに関してはより閉鎖的な企業の1つであり、その長い経験こそが競争上の優位性であることをしばしば口にするプレイヤーでもあった(Waymoは、当初GoogleのX Labとして、2009年に公式に産声を挙げた)。同社はまた、自動運転技術のライバルであるUberが、Waymoの元チームメンバーを雇用した際には、Uberとの間で知的財産権に関する有名な法廷闘争を行った。当然のことながら、このデータが実際にどのくらい「オープン」に利用できるかについて、懐疑的な人もいるだろう。

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Waymoの製品リーダーであるVijaysai Patnaik(ビジェイサイ・パトナイク)氏によれば、「研究」利用は多くの分野をカバーしていると説明する。ご想像のとおり、データセットには特定のライセンス契約が伴うがが、パトナイクは、ブリーフィング中に、誰がデータをどのような目的で利用するのかについて、彼らがどのように想定しているのかも説明した。

「想定されているのは、例えば学部やPhDの学生たちや、この分野に興味を持っている様々な大学の教授たちです、そして独立研究機関や、ロボット研究所なども含まれるでしょう」とパトナイク氏は語った。「ベイエリアにはそうした人たちがたくさんいます。【中略】企業は、ライセンス契約に準拠している限り、このデータセットを使用できます。あるいはドラゴ(アンゲロフ)のような個人や、他の組織内の彼のチームなども対象に含まれるでしょう」。

自動運転に取り組む他の企業も似たようなアプローチを採用しており、最近の例としてはLyftArgo AIの2つが挙げられる。とはいえWaymoは路上の実際の走行時間と走行距離に関して、この分野では圧倒的な優位を誇っている。このため自動運転と関連するロボット分野(コンピュータービジョンを含む)の研究者たちは、おそらく彼らのリリースするものを見たいと熱望するだろう。

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(翻訳:sako)

来月、Appleはカメラ3台のiPhone Proを投入、16インチMacBook Pro、新AirPodsなども

Apple(アップル)は恒例の秋の新モデル発表イベントに向けて準備を進めている。われわれにつかんだ情報では9月10日だということだが、まだ正式な発表はない。Bloomberg(ブルームバーグ)は今年のイベントでAppleがお披露目するハードウェアのプレビュー記事を掲載した。

既存のiPhoneに新モデルが登場するのは当然だが、XSの後継機種はiPhone Proとなる。このモデルではメインカメラが3台となり、広角レンズが追加される。スタンダーモデルではiPhone XRがリニューアルされ、2台目の光学ズーム機能つきカメラが追加される。内容はTechCrunch記事に準じており、我々の推測が裏付けられたかっこうだ。

iPhone Proにはカメラ以外にも多数のアップデートが投入されるが、外観はメインカメラ部分を除けば現行XSとほとんど変わりない。Qi規格ワイヤレス充電がサポートされるため、その規格のケースに入っていればAirPodsのワイヤレス充電も可能になる。出先で長時間AirPodsを利用する場合たいへん便利だ。

iPhoneといえばゴージャスな光沢感が特徴だが、新しくマットフィニッシュのモデルも出るようだ。Face IDは認識される角度が広がる。また防水性能も「飛躍的にアップ」するということだ。またガラスの傷耐性も改善される。

来月のイベントで発表されるかどうかはまだわからないが、Appleは今年の16インチ以上のディスプレイを搭載するMacBook Proを投入する。Bloombergによれば、ディスプレイの大型化にもかかわらず新型のベゼルにより全体のサイズは現行15インチモデルとほぼ同様だという。また防水性能が強化され、ノイズキャンセル機能が追加された現行モデルより価格帯が高い新型AirPodsが準備されている。

iPadに関しては今年AppleはiPad Proをカメラやパフォーマンスなどの点でフレッシュアップするはずだが、基本的な外観、能力は変わらないはずだ。エントリーモデルのiPadは9.7インチから10.2インチにディスプレイが大型化される。こちらもベゼルのスリム化とハードのホームボタンの廃止によってフォームファクターは変化しないだろう。ただしBloombergの記事にはこの点についての解説はない。

Apple Watchもアップデートされる。昨年発表されたケースのデザインは変わらないが、新しい素材、フィニッシュが用意される。watchOS 6のアップデートでチタンとセラミックのケースが導入されるはずだ。

apple watch titanium ceramci

今後予定されている他のアップデートには、メインカメラの3D化や5Gのサポートが含まれる。来年はHomePodスピーカーも後継機が出るはず。サイズも小さくなり、何より価格が現在の300ドルから大きく値下げされるはずだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Volocopterが初の商業エアタクシー「VoloCity」を公開

どの企業が垂直離着陸できる電動航空機による、オンデマンドなエアタクシーサービスを展開できるかというレースが激化しているが、ドイツのスタートアップのVolocopter(ヴォロコプター)は初の商用機となるVoloCity(ヴォロシティ)を発表したことで、重要なステップを迎えた。

VoloCityはVolocopterが開発した第4世代の電動VTOL(Vertical Take-Off and Landing Aircraft、垂直離着陸機)だが、最初の3機はデモンストレーション目的で作られ、1000回以上の飛行を実施した。VoloCityは18ローターのVTOLで、航続距離は約35kmかつ最高飛行速度は約70マイル(約110km)、バックパックやブリーフケース、ハンドバッグなど少量の荷物を持った2名を輸送できる。

Volocopterはデザインにおける安全性と快適性に細心の注意を払っており、欧州航空安全機関が定めた安全基準に適合している。また飛行中の安定性を高めるために、テスト機には搭載されていないスタビライザーが採用されている。

現在、Volocopterは離着陸のための「VoloPorts」の設置や、航空交通管制に関する都市との協力など、インフラとエコシステムの開発に注力している。同社によると、フランクフルト国際空港を運営するFraportなど、この目標に必要な世界的なオペレーターとすでに会合をこなしているという。

VoloCityがレンダリングから現実になるにともない、Volocopterは今年の第4四半期にシンガポールにて初の公開テスト飛行を実施し、また下のコンセプト画像のようなVoloPortのプロトタイプを初披露する予定だ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

国際宇宙ステーションに商用ドッキングアダプターの取り付け成功

ISS(国際宇宙ステーション)は、民間宇宙企業が運用する有人ロケットによる訪問者の受け入れ準備OKとなった。NASAの宇宙飛行士、ニック・ハーグとアンドルー・モーガンの宇宙遊泳により、ISSには2つ目のIDA(国際ドッキングアダプター)が設置された。

このドッキングアダプターは2個目であるにもかかわらずIDA-3と呼ばれる。実はIDA-1はCRS-7ミッションのペイロードに含まれていたが、2015年6月28日のSpaeceXの打上失敗で失われてしまった。そのため2016年6月のSpaceX CRS-9ミッションに搭載されたIDA-2が最初のIDAとなった。

既存のIDA-2はすでに充分に有効性を実証している。今年3月3日にSpaceXのく有人ドラゴンの実験機、Demo-1がドッキングアダプターに自動操縦で結合し、実際にクルーが搭乗した状態での結合に重要な装置であるいことを示した。

IDA-3は自動操縦結合をサポートする2番目のドッキングアダプターだ。従来、ドッキングする機体はISSの至近距離に近づいて同一軌道を飛行し、ISSのロボットアーム、Canadarm2で慎重に引き寄せられる必要があった。新しいドッキングアダプターではプロセスが標準化され、マニュアル操縦なしにドッキングできるだけでなく、SpaceXの有人宇宙往還機、Crew Dragonからボーイングが計画しているCST-100など各種の機体と接続可能となっている。これによりISSへの人員、カーゴの搬入、搬出はきわめて容易となる。

ドッキングアダプターを設計、製造したのはボーイングで重量は521kg(1150ポンド)、サイズは高さ約1m(42インチ)、幅1.6m(63インチ)だ。つまりこのアダプターは普通の体格の男性にはやや狭い(SF映画で見るような立派な通路ではない)。

IDAの設置はISSが民間宇宙飛行の利用者を受け入れるために必須のステップの1つだったが、これでハードルがすべてクリアされたわけではない。まずは有人飛行によるドッキングを実証する必要がある。

【 Japan編集部追記】上のNASAの公式ビデオはライブ配信のためビデオの最後が現在。過去のシーンはタイムラインをスクラブして探す必要がある。今のところPDA-3の取り付けシーンはタイムラインの冒頭にある。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

ISSドッキング設備を宇宙遊泳で取り付ける様子をNASAがライブ放送

NASAの宇宙飛行士、Nick Hague(ニック・ヘイグ)氏とAndrew Morgan(アンドリュー・モーガン)氏は米国時間8月21日、新しいInternational Docking Adapter(IDA)の国際宇宙ステーション(ISS)への設置を実施する。これは、未来の民間企業による宇宙船が宇宙飛行士をISSへと輸送するための新しい設備となる。

ISSにIDAが設置されるのは今回が2回目で、宇宙飛行士による宇宙遊泳は東部時間で午前8時20時に実施される。このドッキングアダプターは、7月に実施されたSpaceX(スペースX)のCRS-18補給ミッションにて打ち上げられた。アダプターはBoeing(ボーイング)のCST-100 StarlinerやSpaceXのCrew Dragonといった、未来の有人宇宙船に自動ドッキング手順を提供し、将来ISSへと到達する他の民間宇宙船でも使用されることとなる。

2つのIDAとその運用は、予定されている運用期間をとうに過ぎているISSへと、用途と最終的な後継機の開発の両方への民間企業からの支援を目的とした、NASAによるISSの民営化と基本的にオープンな事業化を目指す、NASAの計画の重要な一部となる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

MITは色々なデバイスに同時に高品質のビデオストリームを配信する方法を開発

画像:Getty Images/aurielaki

自宅ネットワークの接続状況と世帯の規模にもよるが、ビデオストリーミングはまったく悲惨な状態になることもある。バンド幅には上限があるからだ。みんながそこに群がって、できるだけ多くのデータをもぎ取り、カクカクした映像にならないようにしたがる。同時に要求される複数のストリームにバンド幅を分配するやり方をコントロールする新たな手法があれば、世界に平和をもたらすかもしれない。山ほどのデバイスが1つの接続を共有して、すべて同時にビデオをストリーミングしようとしているような状況に対処できるとしたら。

MITのコンピュータ科学とAI研究室(Computer Science and Artificial Intelligence Lab)の研究者は、「Minerva(ミネルバ)」と呼ばれるシステムを開発した。バッファリングに起因するカクカクを防ぎ、ストリームがダウングレードされてしまうことによるギザギザを最小限にとどめようというものだ。NetflixやHuluのようなストリーミングサービスには、基本的に大きな効果が見込めるという。特に、一軒の家に住む複数の家族が同時にビデオを観ようとしている場合に有効だ。ただし、このシステムの基盤となっている技術は、一軒の家に限らず、近隣の家庭、さらには地域全体など、より広範囲にも適用できる。理想的な状態に届かないストリーミング環境の問題を緩和する効果が期待できるのだ。

Minervaは、1つのネットワークからストリーミングを受け取ろうとするさまざまなデバイスの、それぞれ異なるニーズを考慮する。たとえば、フルHDさえ表示できないディスプレイの古いスマートフォンと、4KのApple TVを同列に扱うようなことはしない。またMinervaは、コンテンツの性質も考慮する。たとえば、スポーツのライブ中継を高品質で観ようとすれば、子供向けのアニメのTV番組などとは比べものにならないほど、多大なバンド幅を要求する。これは重要なポイントだ。

というわけで、ビデオは、実際のニーズに従って視聴者に分配される。けっしてどんなデバイスにも均等に割り振られるわけではない。さらにMinervaシステムは、ストリームの配信中にも変化するニーズに対応して、分配する速度を最適化し続ける。

実際の環境でのテストでMinervaは、720pが1080pになったのに相当するほどのビデオ品質の向上を、全体の3分の1ほどの時間、実現できた。再バッファリングの必要性も、ほぼ50%近くまで低減できた。これは、実際にビデオストリーミングのコンテンツをシームレスに連続再生することを考えた場合、非常に大きな改善と言える。こうしたことを、ネットワークのインフラに対する根本的な変更なしに実現できるという点も優れている。つまり、ストリーミングのプロバイダーは、ユーザー側には何の変更も加えることなく、このシステムを採用し、導入できるというわけだ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

スターシップ・テクノロジーズがロボ配達10万回を達成、新たに資金調達も

Starship Technologies(スターシップ・テクノロジーズ)は歩道を自動で車輪走行する配達ロボットを開発し、これまでに10万回超の客への配達を行った。StarshipがシリーズAで4000万ドル(約43億円)を調達したタイミングでこの大台を達成。今回のシリーズAで累計調達額は8500万ドル(約90億円)となった。2018年6月に2500万ドル(約27億円)の調達を発表した時、Starshipは大学構内での初の運行を試していた。そしていま、Starshipはそのパイロット事業をもとに今後2年かけて100の大学のキャンパスに拡大するという計画を持っている。

「私がCEOになった時、さまざまな種類のビジネス拡大戦略をテストしていた」とCEOのLex Bayer(レックス・ベイヤー)氏は説明する。「我々はグローサリー配達、大学のキャンパス、企業敷地、産業敷地をテストしていた。そして我々はこうした環境のほとんどでかなりの需要が実際にあることに気づいた。ロンドン北部のミルトン・キーンズで展開しているグローサリー配達事業は予想以上にうまくいっている。しかし実験の一つは大学のキャンパスだった。私が思うに、企業として(まだスタートアップだが)我々はいかに今後成長するかに常にフォーカスし、それを追求しなけれなならない。そうした意味で大学のキャンパスは我々の事業を前進させるものだ。これは学生をひきつけているだけではない。レストランからのオーダー、そしてロボットが対応できる件数よりも学生からのオーダーが多く、我々は利用可能なレストランや稼働時間を拡大しなければならなかったほどだ。なので、我々は学生からよい感触を得ることができた。と同時に、大学やフードサービス事業者からの引き合いもあった」。

大学にフォーカスした結果、ピッツバーグ大学では今日から、インディアナ州のパデュー大学では9月9日からStarshipのロボットが展開され、今後も多くの大学にお目見えする。Starshipの野心的な目標は、前述した通り、今後2年間で100の大学で展開することで、この事業拡大に今回の資金を使う予定だ。Bayer氏が述べたようにマーケットの反応はよく、公道や歩道に接しているキャンパスで展開することは、ロボットがあらゆる環境で作動することを示す手段となる。加えて、学生の数は初期顧客ベースとして理想的だ。

「若い世代を相手に何かを始めるというのはいつだって素晴らしい。というのも、彼らの世界の見方の多くは、世界がそうなるかもしれない方向と一致するからだ。彼らは過去や従来のやり方にとらわれない。だから、彼らにより良いソリューションを示すと、彼らはそれを活用し『物事はこうあるべきだ』と言う」。

当たり前ととらえることは高頻度の利用につながる。Starshipが展開している大学で稼働しているロボットの一つは、サンフランシスコーニューヨーク間の距離を走行した。最高速度が時速4マイル(約6.4km)であることを考えると、この距離はすごい。Starshipの電動ロボットは全部で、配達のために距離にして計35万マイル(約56万km)を走行し、さまざまなグローサリーや食品を届け、中でも9000個ものロールと1万5000本ものバナナを運んだ。

「最初の数年間は、これもできるはずだということを実際に展開していた」とBayer氏は説明する。「なので、配達1万回を達成するのに4年を要し、配達1万回から5万回となるのには8カ月かかった。そして10万回を達成するのには4カ月もかからなかった。10万回というのは大きな金字塔で、これを達成した企業は我々が初めてだ。当然誇りに思っている。我々が行なっていること、いかに拡大しているかを如実に反映している」。

Starshipの今回の資金調達はMorpheus Venturesが主導し、既存投資家のShasta Ventures, Matrix Partners, MetaPlanet Holdings等、そして新規投資家のTDK VenturesやQu Ventures等が参加した。

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(翻訳:Mizoguchi)

SpaceXの宇宙を旅するRoadsterが太陽を一周した

この宇宙のどこかで、SpaceXの宇宙服を着用し、かつてElon Musk(イーロン・マスク)氏が所有していたチェリーレッドの初代Tesla Roadstarを運転する1体のマネキンが、初めての太陽一周を祝福している。「スターマン」とRoadsterというこのバカバカしいコンビは、昨年Falcon Heavyロケットのテスト飛行でケネディ宇宙センターから打ち上げられ、このたび太陽の周回を完了したことが、whereisroadster.comの追跡情報からわかった(via Space.com)。

Roadsterと偽ドライバーは、Falcon Heavy初飛行の搭載貨物としてSpaceXおよびTeslaのCEOであるElon Musk氏によってに選ばれた。最初のテスト飛行に載せられる貨物は燃え尽きて灰になる可能性も十分にあったが、打ち上げは問題なく成功した。ただし、Musk氏自身は失敗の可能性を警告していた

地球の軌道を離れたあと、Roadsterのラジオはデビッド・ボウイの「ライフ・オン・マーズ」のセットをリピート再生し、搭載カメラは内蔵電源を使って中継放送していた(ライブストリームの録画を下で見ることができる)。

Roadsterのメンテナンス情報が気になる人のために書いておくと、走行マイルに応じた保証期間は2万1000倍以上切れており、現在世界一周33.9回分の距離にいる。バッテリー残量不安症の人たちに捧げたい。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook