Sonos Moveはオールマイティなポータブルスピーカー

Sonosは、同社初のバッテリーをビルトインしたポータブルスピーカーをリリースした。 399ドル(約4万3000円)のSonos Moveは9月24日から出荷が始まる。Moveを数日使ってみて、僕は自信を持って言う。MoveにはSonosのワイヤレスオーディオシステムの素晴らしさすべてが備わっていて、さらには自由に家の中を持ち運べ、ドライブにも持っていけるというアドバンテージも加わった。

サイズと音質

Sonos Moveは小さなスピーカーではない。重さは約3kg、高さ約25×幅16×奥行きは13cm弱だ。おそらくSonos Oneほどのサイズだろうと想像しているなら実物を見て驚くだろう。というのも、下の写真を見てもらえばわかるが、Sonos Oneよりもだいぶ大きい。

またSonos Moveは、バッテリーが大きくなってエクステリアが新たな外観になったSonos Oneというものでもない。内部においてもまったく新しいデザインになっているとSonosは教えてくれた。SonosはMoveが違うスピーカーになるようデザインに手を加えた。というのも、Moveは屋外を含めあらゆる環境での使用を想定していて、Oneとは使用方法が異なるからだ。

その結果、周囲の騒音と競うことになることが予想されるものの、低音がより深くなるなどMoveはOneよりも少し音が大きくなった。サウンドプロファイルは下の方に向いているツイーターにも頼っている。ツイーターはMoveが幅広いサウンドステージをつくりだすのに使われている。実際には、例えばピクニックやキャンプファイヤーのような、人が散らばっている状況であらゆる方向に音を流すのに活躍する。

屋内外でSonos MoveはあらゆるSonosデバイスに期待される高品質のサウンドを提供する。そしてWi-Fi、Bluetoothのどちらのモードでもほぼ同じように素晴らしく僕の耳には聞こえるが、質においてはWi-Fiのほうが少しだけ分がいいようだ。もし真にステレオサウンドを楽しみたいのなら、Move2台をペアリングできる。ただ、僕はレビュー用のMove1台しか持っていなかったので、Move2台をペアリングしての音を試すことはできなかった。

ワイヤレス、そして防塵・防水性能

Moveの特徴はあちこちに運んでバッテリーで作動することだ。それゆえに2つの接続モードを利用できるようになっている。ユーザーはスタンダードのSonos Wi-Fiスピーカーとして使うことができる。Sonosアカウントに接続させると、同社がこれまでに手がけた他のスピーカーと同じように、SonosアプリにMoveが現れ、そこでグループにしたりコントロールしたりできる。

Bluetoothモードでは、他のBluetoothスピーカーと同じようにペアリングする。背面にあるボタンでモードを切り替えできる。そしてBluetoothに初めてスイッチを入れる時、Moveは自動的にペアリングモードになるのでスマホにつなげるのはかなり簡単だ。僕はものの数分でBluetoothのセットアップができた。

便利なハンドルは、Moveの背面に位置し、ペアリングや電源、Sonosシステムコネクトのボタンの上にくる。デザインで最も特徴のある点の1つで、エクステリアの一部であることから耐久性においては丈夫に違いない。全体的にMoveはかなり頑丈につくられているようで、倒しても衝撃を吸収し、少し雨に降られても防水になっているとSonosは宣伝している。

BluetoothモードではAlexaやGoogleアシスタントは利用できない。たとえ、そうした音声アシスタントをホームシステムと連動するようMove上で設定してもだ。他のSonosとステレオペアリングしてもだめで、マルチルームコントロールのためのSonosアプリにも出てこない。しかし自宅では、家の中あるいは裏庭で持ち歩くときにはWi-Fiを使えばいい。そうれすれば音声アシスタントを利用できる。家を離れて使用する場合は、どうせワイヤレススピーカーとしてベーシックな機能を使うだけだろうから、Bluetoothモードで音声アシスタント機能にアクセスできないというのは大した問題ではない。

僕がこのスピーカーをテストしている間、ワイヤレス接続はWi-Fi、Bluetoothどちらのモードでも安定していて、途切れることはなかった。スピーカーとしてのSonosは別にしても、僕がこれまで試した防塵・防水・耐衝撃のBluetoothスピーカーでこの価格帯のものとしては最高の音質だ。

音声アシスタントとAuto Trueplay

Sonos Moveには、Sonos BeamやSonos Oneで利用できるヴァーチャルアシスタントのAmazon AlexaやGoogleアシスタントのサポートもある。ビルトインの遠方マイクが音声コマンドをよく拾い、もし他のSonosハードウェアでこれらのアシスタント機能を使ったことがあるなら、Moveでもまったく同じ使用体験となる。もちろん上で述べた通り、BluetoothではなくWi-Fiでだ。

マイクを使ってSonosはSonos Moveに新たな仕掛けもしている。 Auto Trueplayだ。これは他のSonosスピーカーにもあるTrueplayサウンドのチューニング機能の自動バージョンだ。通常はサウンドを評価するにはスマホのマイクを使ってマニュアル操作で行う必要がある。だがSonos Moveは搭載のマイクを使って自動で調整する。しかも常時チューニングを行い、部屋から部屋へ、あるいは外へ移動するたびに空間に合わせたサウンドプロファイルにする。

実際の使用では、そのチューニング効果はかすかなものだが、それは時間とともに音が調整されるからに違いない。しかしこのチューニング機能が紛れもなく大きな違いを生み出していることに僕は気づいた。それは、すでに聴いた曲を、Moveの置き場所を変えて再び聴いたときだった。私は最初の再生からしばらく(1時間かそこら)してから曲を再度聴いたのだが、2回目のときのサウンドでこの機能の明らかなメリットを実感した。

充電とバッテリー

初となるバッテリー駆動のスピーカーのすべてにおいて、Sonosは素晴らしい仕事をした。同社によると、ビルトインの電源では10時間連続で音楽を再生でき、私のテストでは実際にはそれよりも長く再生できた。しかしもちろん、接続の種類やどれくらいの音量で音楽を流すのかによってもこの再生時間は異なるだろう。

充電はふたとおりの方法がある。Sonosネットワークスピーカー、そしてポータブルオーディオデバイスというMoveの2つの特性を考えたときに、このふたとおりの充電方法は歓迎すべきことだろう。Moveの箱には、写真上のような充電ベースが入ってくる。Moveの後ろ側にある接続ポイントを経由して給電を行う金属のコンタクトが付いている。このベースはMoveを最も頻繁に使うホーム的な場所に置くとよさそうだ。

それからMove側のベース部分にある充電コンタクトの上には標準のUSB-Cポートがある。これは、Moveを車の中で使用するときや、あるいは単に屋外で使用する場合でコンセントが近くにあって充電ベースを移動させたくないときに最適だ。ユーザー側でなんら特別なものを用意しなくてもMoveのスマートなデザインが2役を兼ねるという格好の例となっている。Sonosのラインアップでの位置付け

Sonos MoveはSonosのラインアップにある他のスピーカーとは異なる。その他のスピーカーとうまく連携させられるが、連携は完全ではない。例えば、Moveはリアサテライトスピーカーにはならないし、Sonos Subとペアリングすることもできない。これらは他のスピーカーではできることだ。Sonosによると、これはMoveが持ち歩くことを前提にデザインされているからとのこと。動かすので、ホームシアターのような据え置かれたものに結びつけるのは意味をなさない。

つまり、Moveはすでに持っているSonosネットワークに追加するものとしても、あるいは初のSonosデバイスとしてもいい選択肢となる。Sonosネットワークへの追加という点では、壁に穴を開けたり、あるいは業者を呼んだりしなくてもパティオにスピーカーを設置する最適の方法だ。初のSonosデバイスとしては、家の中で動かせて、音を自動調整し、ドライブやビーチに繰り出す時には車に積み込めるという、オールマイティの素晴らしいワイヤレススピーカーだ。まとめ

399ドルという価格をみると、Sonos Moveは間違いなく他のBluetoothやワイヤレスホームスマートスピーカーよりも高価だ。しかし、フル充電で1日中バッテリーで作動すること、どこで使おうともベストなサウンドに調整する賢さを備えていること、もし今後スピーカーのセットアップを拡大しようと考えているなら他のSonosデバイスと連携させられることを考えた時、この価格は経済性のある設定に思え始める。特に、AppleのHomePodのような、似たような価格で機能は半分というものと比較した時にはそうだろう。

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(翻訳:Mizoguchi)

スマートグラス「Focals」のフィッティングと購入をアプリで完結可能に

NorthのスマートグラスことFocalsは、このカテゴリーで初めてメインストリームへとアプローチできたが、これまで製品を手に入れる唯一の方法はNorthショールームに行ってフィッティングし、ピックアップと最終調整を待つ必要があった。そして今回、Northは米国とカナダにてFocalsをアポイントなしで購入できるShowroomアプリをリリースした。

このアプローチは大いに手間を減らすことができ、iPhone Xかそれ以降に搭載されているFace IDに用いられているのと同等の技術を利用している。ユーザーは、新しいiPhone(Android、または古いiOSデバイスを使っている場合は、友人のものを借りる必要がある)を使いってサイジングとフィッティングを行い、その後に度入りか度なしのFocalsが製造され、数週間後に直接自宅に配送される。

ShowroomアプリにはAR(拡張現実)を使ったバーチャル試着機能もあり、フレームの見た目や好きな色を選んだりできる。そして丁度いいサイズの製品を手に入れるために、最終的なフィッティングが自宅でできるのだ。

ショールームで実物を見たければ、ブルックリンとトロントの店舗を訪れればいいし、また北米全域でもポップアップ店舗が運営される。

Focalsは今年の初めに出荷が開始され、視界の中の小さなプロジェクターとレンズ内の透明ディスプレイを利用し、実用的なスマート通知、ガイダンス、その他のソフトウェア体験をもたらした。Northは以前はThalmic Labsとして、ジェスチャコントロールアームバンドのMyoを作っていたが、スマートグラスのようなウェアラブルテクノロジーを実用化しているメーカーがまだないことを発見した。そしてThalmic Labsは昨年にNorthとなり、Focalsに注力している。

NorthはFocalsを一般向けにローンチして以来、ソフトウェアに新しい機能を追加し、より使いやすいものにしてきた。早期の値下げは価格への驚きを低減し、スマートグラスの注文とピックアップのためにストアを訪れる必要がなくなったことから、顧客ベースはさらに拡大するはずだ。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

ソニーのRX100 Ⅶでハチ公前から江ノ島まで理想の写真と動画が撮れた

ソニーの最新のハイエンドコンパクトであるRX100 VIIは製品名が示すとおりRX100の7代目だ。登場以来、このシリーズは軽量、コンパクトでかさばらず高画質という点がビデオブロガー、プロのライターなどのエンスージアストから強く支持されてきた。RX100 VIIは現在のテクノロジーが許すかぎりこの方向を洗練させたモデルだ。1200ドルという価格(日本では15万6600円)を払う用意があるなら躊躇なく推薦する。

ソニーがこのカメラに搭載した機能を考えるならならこの価格は決して高くはない。35mm換算で24-200mmというあらゆる場面に対応可能なカールツァイスのズームレンズ、AF、手ブレ補正、毎秒20コマの連写、フリップアップ式タッチスクリーンなど最高のテクノロジーが詰め込まれている。

Sony RX100 VII 2

ポケットにパワーを

RX100 VIIは携帯性と機能を最高レベルでバランスさせることに成功している。携帯性の点で最も優れているのはいつでも身につけていられるという点でスマートフォンだ。一方、画質ということになればフルサイズの撮像素子と明るいズームレンズを載せたデジタル一眼だが、こちらは大型犬に負けないく重くてかさばる。

RX100 VIIの驚くべき点は携帯性ではスマートフォンよりわずかに大きいだけなのに専用カメラバッグが必要になるハイエンドのデジイチ並みの画質が得られる点だ。

RX100 VIIには1インチの撮像素子が搭載されている。これはスマートフォンの撮像素子に比べると4倍程度あるはずだ。画質の点で撮像素子のサイズを補うものはない。このハンデをAppleとGoogleはソフトウェアで補おうと懸命に努力し、それなりの成果を得ている。しかし残念ながら完全に成功してはない。

Sony RX100 VII 4

The RX100 VIIが1インチの撮像素子を使い、フラッシュ、外部マイクのジャック、可動式液晶ディスプレイを内蔵しながら全体がほぼ手の中に収まってしまうサイズにまとめられているのは驚く。特にフリップアップ式ディスプレイは自撮りする際に必須となる。ビデオブロガーにはなくてはならない機能だ。

Sony RX100 VII 5

もうひとつ重要な点は本体にUSB-Cポートが設けられていることだ。直接充電ができるのでバッテリー充電器を持ち歩く必要がないのは非常にありがたい。このポートは充電、データ交換双方をサポートする。もちろん専用充電器を使ったほうがチャージは速い。

ズーム性能

ソニーがRX100 VIIに搭載したレンズは24-200mm(35mm換算) f2.8-4.5のカールツァイスだ。ズーム比が8倍以上ありさまざまな撮影条件をカバーする。

望遠側が200mmまであるのは旅行先やカンファレンスで簡単に近寄れないない対象を撮影したいときに威力を発揮する。しかも200mmでも画質は驚くほど鮮明だ。下の作例でもわかるように、光が十分に回っているときの描写は申し分ない。作例では同じシーンをワイド端とテレ端で撮影してみた。


 

24mmにはディストーションがあるが、ソニーの画像補正ソフトによりJPEG画像では気にならない程度に軽減されている。下の例のように腕を伸ばして自撮りすることも可能だが、ビデオブログを撮影するなら自撮り棒を使ったほうが自然な絵になるだろう。

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瞳追従AF

このモデルには他のハイエンド・コンパクトにはない魅力的な機能がいくつか搭載されている。私はAF方式が気に入った。ソニーでもこれまではA9や新しいA7R IVなど最高級機種だけにあった機能だ。

RX100 VIIでは人間であれ、動物であれ、瞳追従AFが使える。これは同種の自動追従AFの中でも最高の出来だと思う。特に動物でも瞳追従可能なのはソニーの成果だ。なんとソニーのAiboにも追従した(東京のソニー銀座パークで撮影)。

DSC02975 DSC02967瞳追従AFは静止画、動画とも詳細設定が可能だ。追従エリアの大きの設定に加えて追従先を右目、左目も選択できる。これは顔認識と同時に利用できるので顔に追従し、さらに瞳にフォーカスすることができる。

実際の撮影でもこの機能は非常に便利だった。ソニーはこの追従機能が優れている点として多数のオブジェクトの中から目標の顔を正確に選択できること、対象がいったん何かの影になってから再び現れたときに素早くピックアップできることを上げていたが、まさに宣伝のとおりに機能した。あらゆる価格帯を通じてコンパクトカメラとして最高の自動追従AFだ。下の作例では流し撮りでオートバイのライダーを驚くべき精度で写し止めていることがおわかりいただけると思う。

 

低照度

もうひとつ、RX100 VIIの1インチ撮像素子が威力を発揮するのは光が不足している状況だ。スマートフォンにくらべて撮像素子が格段に大きいため個々の受光セルのサイズも大きい。低照度下でも十分に光子を集めることができるためノイズも少なく解像度も高い。内蔵の光学手ブレ補正に加えてソニーがこの撮像素子に裏面照射方式を採用しているのも高画質を実現する一助となっているようだ。

ただし室内で本当に低照度の条件で動きを止めようとするとフルサイズやAPS-Cのデジイチに比べてややノイジーになるのはやむを得ない。

GoogleのPixel 3と先ごろ発表されたiPhone 11が驚くべき成果を上げていのと比較すると、またソニーは低照度下でのソフトウェアによる画像処理にはさほと注力していないようだ。しかしその場で肉眼で見たままに近いため、これは必ずしも欠点とはいえないと思う。いずれにせよ解像度の点でスマートフォンはRX100 VIIとは比較にならない。

 

上の作例でもわかるとおり、画面内に十分光が回っている箇所が一つでもあれば素晴らしい画質が確保できる。ただし全体が暗い場合にはやや質が落ちる。こういう状況で満足できる写真を撮るためにはフルサイズのセンサーに明るいレンズを搭載したフラグシップ級のデジタル一眼カメラが必要になるだろう。

動画撮影も強み

RX100 VIIの大きなセールスポイントはこのサイズとして異例に充実したビデオ撮影機能だ。箱から取り出したそのままの状態でも十分に高い能力があるが、別売のアクセサリーを追加すればプロ級のビデオが撮影できる。
ホームビデオはもちろん、プロ向けの高価でかさばる機材を使わずにビデオをアップグレードしたいと考えているユーチューバーやビデオブロガーにも十分な能力がある。

こうした場合、高倍率ズームは圧倒的に便利だ。下の動画作例の2番目の室内のショーは低照度だが十分鑑賞に耐える。3番目のシーン(ハチ公前交差点)は200mmを使っているが手ブレ補正が強力なため人物の動作がはっきりわかる。最後のシークエンス(築地場外)では歩きながら周囲を広く撮影してみた。

本格的動画を撮影したい場合、外部マイク用ポートがあることは重要だ。別売のシューティンググリップ「VCT-SGR1」に小型のショットガンマイクや、さらに本格的にいくならRode Wireless Goのようなマイクを接続すれば軽量コンパクトな理想的取材カメラとなる。ズームレンズ、外部マイクによる音質はスマートフォンではとうてい太刀打ちできない。

結論

サイバーショット、RX100 VIIはコンパクトカメラの最高峰として自信をもって推薦できる。このサイズ、カテゴリーでは比較の対象がない。画質はもちろんズームレンズのカバー範囲、オートフォーカス、ビデオ撮影どれをとってもトップだ。特にトラベルカメラとしてはジャンルを通じて最高だろう。
5年前だったら空想するだけだったレベルに到達している。

スマートフォンに飽きたらなくなってステップアップを考えているユーザー、すでにハイエンドのデジタル一眼を持っているが携帯性のいいコンパクトカメラを探しているエンスージアスト、定期的にビデオブログを公開しているプロ、いずれにもRX100 VIIは理想的だ。唯一のハードルは価格かもしれないが、能力を考えれば極めてリーズナブルだと思う。

 
 
 

原文へ]作例全88枚は原文末ギャラリー参照

(翻訳:滑川海彦@Facebook

SpaceXのStarship宇宙船プロトタイプの製造進捗が明らかに

SpaceX(スペースX)は同社CEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏が公開した新しい写真で確認できるように、宇宙船ことStarshipのプロトタイプの製造を進めている。このフルサイズのプロトタイプ機は、Raptorエンジンによる低高度の「ホップ」飛行をテストするために使われた、縮小バージョンのStarHopperを引き継ぐものだ。

テキサス州南部とフロリダ州にあるSpace Xの施設にて、同時に建設中のStarshipのプロトタイプ機ことMk IとMk IIは、より高い高度とより高速でのテスト飛行に使用される予定で、StarHopperでは1基搭載されていたRaptorエンジンを3〜6基搭載する予定だ。

上の写真に写っているプロトタイプ機の直径9mの丸いパーツは重ねられ、またStarHopperとは違なり上部が滑らかにカーブしている。

そして完成すれば、SpaceXは12マイル(約19km)の高度に到達する最初の飛行テストを行い、その後に同等の高度でのより高速なテストを実施し、最後に最初の軌道飛行をおこなう。

最終的なStarshipでの目標は、Falcon 9やFalcon Heavy、Dragon宇宙船を完全におきかえ、軌道打ち上げだけでなく将来的には火星への宇宙飛行士や補給品の輸送といった、両方のニーズに対応することだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

ロスレス音楽ストリーミングAmazon Music HDをローンチ

Amazon(アマゾン)は高品質な新音楽ストリーミングサービスのAmazon Music HDを提供する。Primeメンバーは月額12.99ドル(約1400円)で一般向けは月額14.99ドル(約1600円)、既存のAmazon Musicの会員は個人プランであろうと家族プランであろうと、月額5ドル(約540円)で追加できる。そして追加コストで体験できるのは、AmazonがHD(CD音質とほぼ同じ16ビット、44.1kHz)と呼ぶ5000万以上の楽曲へのアクセスと、Ultra HD(24ビットかつ最大192kHz)の数百万の楽曲で、これはAmazonによればあらゆる音楽ストリーミングの中でも最高の品質だという。

近年の高音質な楽曲を求めるオーディオファンにとって、最も人気の高い音楽ストリーミングサービスははおそらくTidalだろう。Tidalは、AppleやSpotifyのような業界トップの音楽ストリーミングサービスには加入者数では勝てないが、サービスが存続していることは、その需要があることを示している。Amazonはこれを追加コストのあまりかからないニッチなアップセルとして、既存サービスと一緒に提供できるので、収益化という意味で有利な立場にありそうだ。

Amazon Music HDはローンチ時点では90日間無料で試聴でき(高品質楽曲にもストリーミングとダウンロードの両方のオプションが存在する)、その品質を判断するのには十分な期間のはずだ。もしかしたら、通常音質に戻れないほど素晴らしいものかもしれない。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

SpaceXが宇宙船Starshipの飛行に向けFCCに書類申請

SpaceX(スペースX)は、軌道に到達できる宇宙船ことStarshipの飛行試験を開始するために必要な準備を整えており、同社が提出した申請書類(ソース:Teslarati)は、飛行中のプロトタイプ機と通信するために必要な許可をFCC(連邦通信委員会)に求めている。

SpaceXは今週、米規制当局にテスト飛行のための書類を提出したが、その最高高度は7万4000フィート(約23km)で、地球軌道には遠く達しないが、宇宙船運用の準備のためのテスト機「Starhopper」 のデモンストレーションの約500フィート(約150m)よりは、はるかに高い高度だ。

SpaceXのCEOことElon Musk(イーロン・マスク)氏はツイートにて、これが準備中であることを認めた。同氏は以前、成功したStarhopperの最終的テストを、実物大のプロトタイプ機でも迅速に実施したい伝えていた。また、この低高度飛行テストと同じく、SpaceXはStarshipのプロトタイプ機を打ち上げて、わずかに少し離れた場所に着陸させる予定だ。

プロトタイプ機の組み立てと建設は順調に進んでいるようで、マスク氏は9月28日のイベントにて、Starshipのアップデートを予告していた。これはおそらく、組み立てられているプロトタイプ機や10月に予定されているテスト飛行に関するものとなるだろう。

Starshipは、最大限に再利用が可能なSpaceXの次世代宇宙船で、現在と将来の顧客のニーズに応えることができ、最終的にはFalcon9とFalcon Heavyの両方を置き換える宇宙船となる。Starshipはまた、火星に継続的な人間のプレゼンスを確立するという、マスク氏の野心的な計画の重要な要素でもある。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

JAXAのこうのとり8号機とH-IIBロケットの打ち上げがライブ配信

三菱重工業の打上げ部門は、国際宇宙ステーション(ISS)へとJAXAの補給機を打ち上げる準備を整えた。打上げ時刻は日本時間の9月11日6時33分で、種子島宇宙センターからミッションが実施される。

打ち上げには三菱重工業のH-IIBロケットが利用され、これは日本で開発し製造されるこうのとり(HTV、H-11 Transfer Vehicle)にとって8回目の打上げとなる。

H-IIBの構成では、液体燃料ロケットの中央コアと、打上げ能力を向上させるための4基の固体ロケットブースターが利用される。こうのとり8号機には与圧部、非与圧部をあわせて5.3トンのISSへの補給物資が搭載されている。

積荷には、小型衛星放出機構「J-SSOD」を備えた日本実験棟「きぼう」の保全部品も含まれる。きぼうからは、JAXAと初めて民間オペレーターとして衛星放出について契約したスタートアップのSpace BDと東京大学が開発した推進技術のデモ機など、さまざまな超小型人工衛星「CubeSats」が放出される。

JAXAはH-IIBロケットの打上げを、上のYouTube動画にてライブ中継する。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

手持ちのステレオをSonosとAirPlay 2対応にするSonos Port

Sonos(ソノス)は、ユーザーの手持ちのステレオやAV機器に接続して使える新製品を発表した。アップルのAirPlay 2の機能を、アンプを通して既存のスピーカーシステムで利用できる。それが399ドル(約4万2700円)のSonos Portだ。これまでにもSonosシリーズにあったSonos Connectと同様の機能だが、仕様を一新し、かなり小さなボディで実現した。

Sonos Portの本体は、つや消し黒の小さな箱だ。出力ポートとしては、アナログRCAと同軸デジタルを備える。それらを家庭にあるステレオやホームシアターに接続して、音を鳴らすことができる。また音声入力ポートとしては、アナログRCAを用意する。これにより、レコードプレーヤー、プロジェクター、あるいは一般的なAVデバイスから音声を入力できる。たとえば、デジタル入力しかないSonos Beamのような製品には接続しにくいものにも対応できる。

Sonos Portは、デジタルからアナログに変換するコンバーター(DAC)を内蔵している。インターネット経由で流れてくるメディアを、既存のシステムに接続したいと考えている人で、特に音質にこだわるマニアックな人にも魅力的な製品と言える。そして、Sonos Portをアンプに接続すれば、どんなスピーカーでも自動的にAirPlay 2対応となる。さらに、AlexaやGoogle Assistantに対応したこれまでのSonos製品と組み合わせて使うこともできる。つまり、マイク内蔵のSonosやAlexaを持っていれば、ボイスコマンドによってSonos Portの再生をコントロールできるのだ。

さらにSonos Portは、10/100Mbps対応の2つのイーサネットポートも装備している。ルーターに直接接続することで、より信頼性の高い通信が確保できる。12Vの電源トリガー出力も備えているので、スタンバイモードから復帰した際などに、接続したステレオやレシーバーの電源を自動的にオンにすることも可能だ。

Sonos Portの仕様の多くは、現行の同Connectと類似している。それが、よりコンパクトな、つや消し黒のパッケージに収められたというもの。その結果、既存のシステムに、目立つことなく組み込むことが可能となった。基本的には接続性を向上させるためのアクセサリなので、定価は少し高く感じられるかもしれない。しかしSonos Connectを導入すれば、基本的にDACというものが不要となる。DACは、単体では、かなり値が張る製品だ。もちろん、Sonosならではの接続性とストリーミング機能も実現できる。

Sonos Portの予約注文は、米国では9月5日から開始され、9月12日から出荷される。世界的な展開は、来年初めからとなりそうだ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Logitechの最新最高のマウス「MX Master 3」はUSB-C充電が可能に

Logitech(日本でのブランド名はLogicool)は、人気の高いMX Masterシリーズマウスの最新版「MX Master 3」を発売した。このワイヤレスマウスの新バージョンでは、ついにUSB-Cによる充電が可能となった。これで、最近のほとんどのスマホや、アクセサリー類で標準となった充電手段が利用できるようになったわけだ。MX Master 3と合わせて、ワイヤレスキーボードの新製品、MX Keysも発売された。これは、素晴らしいLogitech Craftキーボードのメリットの多くを、手頃な価格で実現したもの。大きさもやや小さくなっている。

USB-Cポートの追加は、それだけでも十分買い換える価値があると個人的には感じているが、もちろんそれだけがMX Master 3マウスの特長というわけではない。Logitechによれば、90%高速で精度も8%高く、ほぼ完全な静音化を実現したスクロールホイールを新たに搭載した。

また、これは以前と変わらないが、非常に正確な4000dpiの精度を誇るトラッキングセンサーを搭載している。同社の「Darkfield」(ダークフィールド)と呼ばれる技術を採用したもので、透明なガラスを含む、ほとんどどんな面でも使用できる。内蔵バッテリーは、フル充電で最大70日間も使用できる。またUSB-Cによる新たな急速充電機能により、たった3分の充電で、丸1日使うことが可能となっている。

マウス本体のデザインは微妙に変更されているが、違いはわずかだ。従来のMX Masterシリーズのマウスが気に入っている人なら違和感を覚えることはないだろう。MX Master 3の価格は99.99ドル(約1万650円)で、すでにLogitechの直販と米Amazonで注文を受け付けている(日本には出荷不可なのでLogicoolブランドでの発売を待つ必要がある)。

MX Keysキーボードも、すでに販売中で、価格は同じ99.99ドルだ。キーには、手の動きを検出して点灯するバックライトを内蔵しているが、バッテリ寿命を優先する場合には、オフに設定することもできる。オプションで、分離型のパームレスト(19.99ドル)も用意され、人間工学的に配慮されたタイピングが可能となる。これまでのLogitech Craftの高い評判を考えると、それがこの価格で入手できるのだから、成功は間違いないものと思われる。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Nintendo Switch Onlineにスーファミのゲームが登場、コントローラーも提供

任天堂のSwitchゲーム機の、サブスクリプション方式のオンラインサービスNintendo Switch Onlineが、日本時間9月6日からSNES(スーパーファミコン)ゲームの提供を開始する。最初に提供されるのは20本のゲームだが、今後もっと増える。

ゲームのソフトウェアと並んで、Switch用のワイヤレスSNESコントローラーもあり、それはUSB-Cで充電し、29.99ドルで任天堂から直販される。

Nintendo Switch OnlineのSNES部門の最初のラインアップを見ると、今後に期待できそうだ。すでに人気作品Star Fox(スターフォックス)、Breath of Fire(ブレスオブファイア竜の戦士)、F-ZERO(F-ZERO)、Super Mario World(スーパーマリオワールド)、Super Metroid(スーパーメトロイド)などが揃っている。下図は、それらの完全なリストだ。(日本語タイトルのリスト

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FCCに提出されたSNESコントローラーのファイルを見ると、これが今月の初め頃から起きていたことがわかる。同様に昨年は、NES(初代ファミコン)ゲームのNintendo Online Serviceデビューと並行して、NESのコントローラーもリリースされた。

今回のサプライズ発表で嬉しいのは、まさに今からプレイできることだ。9月6日からあなたのSwitchのNintendo Onlineアプリを開けば、これらの懐かしいゲームの古典をプレイできる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

UPSが場所により完全EVモードに切り替え可能なハイブリッド長距離トラックを導入

UPSは英国で15台の新型車両を導入する。これは従来の電気自動車に比べて航続距離が長いが、排気ガス規制がある地域や密集した都市部などで、必要に応じて完全にEVモードでも移動できるものだ。これらのトラックは、商用電気自動車技術のスタートアップであるTevvaとの提携により開発されたもので、ハイブリッドモードと完全EVモードを切り替えることで、同サイズのディーゼルトラックと同じ積載量で、400kmの総走行距離を実現する。

これらのトラックは、通常約60マイル(約97km)の走行距離の完全EV配送トラックよりも、はるかに長い距離を走ることができる。また、地域の交通規則にのっとるためにモードを切り替えることもできる。これは特に、英国のバーミンガムとサウサンプトン地域にて展開するのに役立つ。バーミンガムは、市内中心部で電気自動車以外の商用車を遮断するためのクリーンエアゾーンを来年中に導入するからだ。

UPSはすでにEV配送車両を導入しているが、走行距離が長いため、中央倉庫から市内の集配拠点まで移動できなかった。さらにUPSによれば、このハイブリッド方式の配送車両ソリューションは、完全EVトラックよりも多くの荷物を運ぶことができるため、路上の車の台数を減らすことができる。

これらのトラックと標準的なハイブリッドトラックの決定的な違いは、純粋な電気モーターとディーゼルハイブリッド動力を自動で切り替えることができ、排気ガス規制区域に入る時にはジオフェンシングで切り替えることができる点だ。

UPSはこれらのトラックのうち15台を、英国のタムワースとサウサンプトンの顧客向けにすでにしている。これはUPSによる排気ガスの削減と、環境への配慮の取り組みの1つにすぎない。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

ロシアのヒューマノイドが国際宇宙ステーションに着任

ロシアのソユーズ宇宙船は、米国時間8月27日の夜遅く、国際宇宙ステーション(ISS)にドッキングした。本来は、8月24日に予定していたが、その際にはうまくいかなかった。

この2回目の試みは順調に進行し、カプセルはISSのロシアのZvezda(ズベズダ)モジュールのポートに駐機した。このカプセルの船長席は、もちろん人間が乗るように設計されたものだが、今回は代わりにSkybot(スカイボット)のF-850が座っている。ロシアのRoscosmos(ロスコスモス)宇宙局によって開発されたヒューマノイド型ロボットだ。

ロボットが実際に宇宙船を操縦したわけではない。今回は手動操縦をする人間も搭乗しない、完全自動操縦による運行だった。また今回は、ロシアのソユーズロケットの新しいバージョンを使って、ソユーズ宇宙船を打ち上げた。これまでは、貨物を運搬する無人の宇宙船を打ち上げるためにしか使われていなかったロケットだ。このミッションは、人を乗せないソユーズ宇宙船を使って、改良されたロケットをテストするために計画されたもの。来年以降、同じモデルのロケットを使った有人飛行を始めるための準備としてだ。

Skybot F-850には、多数のセンサーが内蔵されている。乗員の体に加わるGや振動、温度、その他の値を測定して、実際にロボットではなく人間が座席に座った場合に体験することを、正確に把握することができる。

今回は、こうした能力を持ったRoscosmos製ロボットの最初の任務であり、SkybotはISSに2週間ほど滞在してから地球に帰ることになる。Skybotは、打ち上げ時の状態を計測するだけではない。一般的なAlexaスピーカーのような機能も備えていて、質問に答えたり、短い会話をしたり、たまには冗談も言う。しかし本当の目的は、Skybotやその後継機が、船外の真空状態など、人間を寄せ付けないような環境でも活動できる能力を持つ相棒となるよう、開発を進めることにある。

画像クレジット:Rocsosmos

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Volocopterの電動垂直離着陸機がヘルシンキ国際空港で初フライト

Volocopter(ボロコプター)の2Xエアタクシー機は、国際空港で他の商用旅客機の空域と完全に統合されつつ、飛行を行った世界初の電動垂直離着陸機(eVTOL、electric vertical take-off and landing)となった。この重要なマイルストーンが実現したのはヘルシンキ国際空港で、同機が従来の航空管制と、パイロットが搭乗せず手動で操縦される航空機専用に設計された航空管制システムの両方と、うまく統合されていることを示すことをミッションとしていた。

このテストの目的は、従来の有人飛行と自律型航空機(エアロボタクシーを含む)の両方のために設計された航空管理システムが、たとえ都市上空を含む混雑した空域でも互いに協調して動作できることを示すことだった。

Volocopterは、有料顧客向けに商用サービスを開始した際に利用することを狙った新しいeVTOLを最近発表したばかりだが、今回ヘルシンキ空港ではAirMap、Altitude Angel、そしてUniflyという無人航空機の航空管制プロバイダーたちと一緒にテストを実施した。テストを通じてVolocopterのシステムが各プロバイダーたちとうまく機能することが確認された。これは商用フライトの認証を取得するための重要なステップである。

ドイツのスタートアップであるVolocopterは、9月14日にシュトゥットガルトで開催されるイベントで2Xを飛行させる予定だが、次の大きなマイルストーンは、今年後半にシンガポールで行われる予定の新しいVoloCity商用機と離発着施設VoloPortプロトタイプのお披露目である。

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(翻訳:sako)

中国Didiはほどなく自律運転配車を運用開始、2021年までには中国外への展開も狙う

Didi Chuxing(滴滴出行)のCTOである张博(チャン・ボー)氏によれば、同社は2、3カ月のうちに上海で、自律運転車による乗客のピックアップを始める予定だ(Reutersの報道)。計画では、自律運転車によるピックアップをまず上海の特定の地区で開始し、そこから運行範囲を広げて行く予定だ。最終的には2021年までに中国国外に対しても自律運転車を展開できるようにする。

Uberの自律テスト車両のように、Didiの車には開始後しばらくの期間には人間の運転手が同乗する。実際に人間の乗客を乗せてサービスを開始するために、あといくつかのライセンスを待っている状態だ。(パイロット運用期間中の)自律運転車のサービスは無料だ。チャン氏によれば30種類以上の自律運転車両がパイロット運行には投入されるという。

上海での最初のパイロット運行開始後、Didiは北京と深圳にもサービスを拡大し、2020年までには3都市すべてで運行を始めることを望んでいる。

Didiは中国最大の配車サービス企業であり、Uberが市場で存在を確立することを阻止した。結果的にUberは中国ビジネスをDidiに売却し2016年に撤退した(Uberは引き換えに少数のDidi株を手に入れた)。その年の後半に、私たちはDidiのCTOに対して、何故同社はUberやその他の配車サービス企業に対して、データ駆動型技術開発に関する優位性を持つと考えているのかと尋ねた(そのとき彼は「Bob」と呼んでくれと申し出ていたので、下の動画にもそのように表示されている)。

自律運転が(技術にフォーカスを当てた配車ならびにその他のモビリティサービスの必然的な最終ゴールではないとしても)、この先実現する可能性が高い、という業界の一般的な感覚は横に置いたとしても、Didiは需要を満たすドライバー、そして乗客に対して安全で安心な体験を提供できるドライバーの確保の必要性にも動機づけられているようだ。昨年安全基準を見直した同社は、この7月にその基準を満たしていなかったドライバーが30万人以上いた事を見出したことを発表した。

今月の始めに、Didiは自律運転部門を独立した会社としてスピンアウトさせることを発表した、新会社のCEOはチャン氏である。新会社は自社向け車両の技術を開発し、自律運転の商用化と展開を追求するために、トヨタを含む自動車会社たちと協業する予定だ。

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(翻訳:sako)

ソニックブームのない音速飛行へ、NASAの超音速機X-59の仮想コックピットのテストが完了

NASAは研究開発用の超音速航空機「X-59」で、最終的には静かな超音速飛行による商業航空の実現を目指している。同機はこのほど、パイロットに大空の完全に仮想的な視野視界を与えるシステムのテストに成功し、夢の実現に一歩近づいた。

そのシステムはeXternal Visibility System(頭字語の先頭にXを付けたがるNASAの好みに合わせるとXVS)と呼ばれ、前を向いたカメラとディスプレイの組み合わせにより、拡張現実で増強された視野視界をパイロットに提供する。その拡張現実、すなわちARが提供する情報は目的空港へ向かうためのガイダンスや、空域に他の航空機が入った場合の警告や警報、離着陸の際のさまざまな情報や重要な合図などだ。

コックピットに座ったパイロットの前には4Kのモニタがあり、センサーと4Kカメラが捉えた情報がそこへ出力される。機体の下部にもカメラが収納されており、着陸時などの低速飛行の際に出てきて重要な視野視界を提供する。

XVSは最初、テスト機Beechcraft King Air UC-12Bに搭載して検証され、搭乗したパイロットがディスプレイを見ながら他機の検出機能を確認した。テストには、このままでは衝突しそうな非常に難しい状況も含まれた。

そもそもなぜXVSのようなものが必要かというと、X-59は大音響のソニックブームのない静かな超音速飛行を目指しているので、機体のデザインに今の商用機と違って完全に近い流線型を採用したからだ。だから従来機のような上部の操縦室の出っ張りなどがない。操縦室は完全に仮想化されている。規制をクリアして超音速機が陸地の上や人口過密地帯の上空を商用機として飛ぶには、静音が絶対的な条件だ。

X-59には前面の窓はないが透明な天蓋はある。そしてテストパイロットによると、XVSがもし失敗しても天蓋からの視野視界と航空機のセンサーおよびアビオニクスシステムからの情報を利用して飛ぶことはできる。

現在建造中のX-59はLockheed Martin(ロッキード・マーティン)が作っていて、最初のフライトは2021年を予定している。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

MITのヒモ型ロボットは脳血管の中を通って手術を安全にする

MITが開発したヒモ型ロボットは、脳外科手術の侵襲性を軽減し、動脈瘤や脳卒中の原因になる脳血管の閉塞や損傷の治療を効果的かつ容易にする可能性がある。

MITの研究チームが新たに開発したのは、ロボット工学と血管内手術技法を組み合わせることで、極細ワイヤーを脳血管の複雑な経路を通す際のリスクを軽減する。現在この種の治療は過去の脳手術と比べてはるかに侵襲性が低くなってはいるが、ワイヤーを手作業で通すために著しく熟練した外科医が処置する必要がある。外科医にとっては非常に困難な手術であるだけでなく、患者の脳内の経路を見るために必要なX線に曝されるリスクもある。

MITが開発した新しい「ロボスレッド」(ヒモ型ロボット)は、「ヒドロゲル」と呼ばれる物質の研究から発展して生まれた。ヒドロゲルは成分のほとんどが水からなり、人体内での利用に適している。ヒモ型ロボットの中核をなすのが「ニチロール」と呼ばれる合金で、よく曲がり、反発力があるため、曲げられた時もとの形に戻る性質をもっている

金属材料はインクのような材質で被覆したあとヒドロゲルと結合させることで、磁気的に操作可能でかつ人体内で使用できる。研究者は大きな磁石を使って、手術時の状況を再現したデモ用障害物コースの中を進めていくところを見せた。

MITによると、ロボスレッドの材質を別のものに変えて、異なる機能をもたせることもできるので、ニチロールの代わりに光ファイバーを使い、レーザー光を通して脳血管内の閉塞を破壊することも考えられるという。

この新技術を使えば、外科医がロボスレッドを安全な距離(遠隔地でも)から操作できる可能性もある。これは医師にとって安全であるばかりでなく、患者は特別な技術をもつ専門医に診てもらえる可能性が高くなるという意味でもある。。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

MITの自動操船ロボは複数の船の自動編隊が可能に

完全自動操縦のロボット船、ここで駄洒落を言うなら「ロボート」を作る努力がMITで続いている。今回彼らが試みたのは、個々の船が自分の位置を自分で変えて、全体として船隊の形を自動的に変える能力だ。

この前TechCrunchが「ロボート」を見たときは、ふつうの航行ができるほどの自律性は持っていたし、複数の船がお互いをつかまえて基本的な形の船隊を作ることができた。しかし今度は、相手をつかまえて接続するだけでなく、相手から離れて違う形の船隊を自力で作れる。

自動編隊を実現するロボートのために研究者たちが考えたアルゴリズムは、ロボット船がお互いから離れて、他船に衝突しない航路をたどり、他の船と再接続して別の形の船隊を作るまでの過程を、すべて自分で計画する。彼らはそれを、シミュレーションとMITのプールの両方で見せてくれたが、そこでは上図のような矩形の平底船のロボットが、自分たちを直線状や矩形、そしてL字形にさえも編成した。

つまり彼らはテトリスの基本形をマスターしたのだが、でもそれは、ロボット船が自分たちの力で、いろんな形とサイズの橋や海に浮く台座、はしけなどになれるための、重要なステップだ。容易に海上作業ができるようになれば、都市再開発の仕事もはかどるだろう。

船隊の形を自由に変える能力には、「ワーカー」と「コーディネーター」という2つのタイプのロボット船が貢献している。両者が組み合わさることによって船隊の形が決まり、そのときGPSと測定器のあるコーディネーターが、お互いの相対的な向きや移動速度を決める。ワーカーにはアクチュエータがあって、船全体の操縦を助ける。コーディネーターはお互いに協調しながら、現在の並び方を常時チェックし、目標とする形と比較する。比較に基づいて各船に動きの指示を出し、新しい隊形を達成する。

実験に使われたロボット船は90cm×45cm程度の大きさだが、今後はその4倍になる。でも、船が大きくなってもアルゴリズムは変わらない。アルゴリズムが一定であることは、今後巨大な実用船を作って動かす場合などにとても重要だ。その当面の目標は、アムステルダムのネモ科学博物館の60mの運河の上を、歩いて渡れる浮橋を来年作ることだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

自律航空機スタートアップのElroy Airが大型貨物用の垂直離着陸機の初飛行を実施

サンフランシスコに拠点を置くElroy Air(エルロイ・エアー)は、250ポンド(約110kg)の貨物を300マイル(約480km)先まで運べる初の垂直離着陸機(VTOL)「Chaparral」で、航空機による貨物輸送を変えたいと考えている。UAS(無人航空システム)で働いた経歴のある経験豊富な専門家によって2016年に設立されたこのスタートアップは、Chaparralのプロトタイプ・テスト機の初飛行を完了した。

重量1215ポンド(約550kg)のこの航空機は、最終的に商業運用が計画されているChaparralの本格的なテストモデルで、高度10フィート(約3m)まで浮上することができ、制御着陸までのわずか1分強をホバリングした。このVTOLは、カリフォルニア州中部のCamp Roberts(キャンプ・ロバーツ)近くのMcMillan(マクミラン)飛行場にて、同社の機長が遠隔から操縦した。

Elroy Airは今年の2月に920万ドル(約9億8000万円)の資金を調達し、2017年に最初のデザインを発表して以来、プロトタイプの実用化に向けて開発をすすめていた。CEOのDavid Merrill(デビッド・メリル)氏によると、このスタートアップの目標は「空港から航空貨物を切り離す」ことだという。つまり、現在小型貨物機が航空貨物用で処理しているような任務を、大型のVTOLに任せるということだ。

Elroy Airが採用しているアプローチは、航空機にハイブリッド電動パワートレインを採用することで、完全電気式のVTOLに比べて長距離の飛行が可能になる一方、内燃機関のみを使用している航空機に比べて燃費が向上する。また、事前に梱包されたポッドを使用するように設計されているため、目的地に到着した貨物と帰りの便の荷物を簡単かつ迅速に入れ替えることができる。

同社は今回のホバー飛行のデモの成功により、プロトタイプ機によるさらなるテストを実施する予定であり、順調にいけば早ければ来年にも、いくつかの小規模な商用サービスの開始を目指している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

SpotifyがCreate podcastをテスト、ポッドキャストのファンをクリエーターに

EngadgetのJane Manchung Wong(ジェーン・マンチャン・ウォン)が最初に発見したように、Spotify(スポティファイ)はアプリ上でユーザーが購読しているポッドキャストのリストの一番上に表示される、新しい機能「Create podcast」をテストしている。このボタンは、Spotifyが2月に買収したポッドキャスト作成アプリ 「Anchor」 をダウンロードするように、ユーザーを誘導するプロモーションを提供する。

これはSpotifyがポッドキャストに投資しているひとつの例で、消費と制作という両面の意味がある。同社はまた、ポッドキャスト向けの新しいアナリティクス・ダッシュボードを今年発表し、8月にすべてのクリエーターに向けにリリースした。これには、ポッドキャストクリエーターに彼らのリスナーがなにに関心を寄せているかを示すことが含まれている。

Spotifyはまた、2019年だけでも音楽とPodcastをミックスしたパーソナライズ・プレイリストをローンチし、Podcast配信ツールをすべてのクリエーターに公開し、アプリのナビゲーションを再設計してPodcastを音楽と対等な立場においた。同社は、コンテンツと制作の両面で数々の買収を行い、プラットフォーム全体の重要な要素としてポッドキャストに力を入れている。

現在の音楽レーベルとのライセンス契約では、楽曲ストリームにもとづいて加入者からSpotifyに支払われる金額はごくわずかでしかないため、Podcastは同社が収益を多様化し、より多くの利益を得るための新しい事業分野を生み出す手段となっている。特に、クリエイターや広告主に広告を販売することで、Spotifyはリスナーの利用を増加させ続けられればポッドキャストからより多くの利益を得られる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Insta360の6軸ブレ補正内蔵超小型カメラGOがソーシャルビデオに革命を起こす

Insta360は、360度ビデオキャプチャのリーダーとしての地位を、少なくとも一般消費者市場では、あっという間に確立した。同社の新製品GOは、ブレ補正機能を内蔵した超小型のビデオカメラ。同社の技術を、360度カメラではなく、より一般的なカテゴリのビデオカメラに応用した製品だ。

GOの価格は199.99ドル(約2万1000円)で、大きさは本当に小さい。重量は18.3gで、高さは49.4mm、幅は21.4mm、厚みも14.85mmしかない。Insta360が、このデバイスのユースケースとして考えているのは、ユーザーの服や帽子など、どこにでも取り付けて短いクリップを撮影するというもの。もちろん、この小ささは、それにぴったりだ。実際にGOは、手軽に短時間だけ撮影することに特化している。クリップの録画時間の上限は30秒だ。デバイス上にたった1つしかないボタンを押すと、30秒の録画が始まる。30秒以内にボタンをもう1回押せば、録画を停止できる。

GOは、間違いなくソーシャル共有を意識して設計されたもの。その秘密兵器は、Insta360独自のFlowStateと呼ばれる内蔵のブレ補正機能だ。これは、スマホや、他のデバイスを使った撮影とは、まったく異なった結果をもたらす。すでに同社のInsta360 One Xという360度カメラでも大きな効果を発揮している、デジタルビデオのブレ補正機能なのだ。映像を滑らか撮影し、激しいアクションを含むような場面でも、観ていて気持ちが悪くなったりしないようにする効果を持つ。

GO本体には磁石が内蔵されていて、いろいろなアクセサリーと組み合わせて使えるようになっている。たとえば、目立たないように衣類に付けるための背面プレート、水中ハウジング、サーフボードや乗り物に取り付けるためのアタッチメントなどだ。ちなみに、GO本体はIPX4に対応した防沫タイプなので、水滴などの飛沫からは保護されるが、そのまま水中に入れることはできない。GOは、最大2720×2720の解像度でクリップを撮影できるが、ブレ補正をかけた結果として、1080p(25fps)で映像を出力する。

撮影モードには、標準の25fpsに加えて、いくつかのバリエーションがある。30fpsのタイムラプス(低速度撮影)モードでは、最長で8時間の撮影が可能で、それを9秒のビデオとして出力する。また、ハイパーラプスモードも装備する。最長30分の撮影で、5分のビデオとして出力できる。静止画の撮影も可能だ。2560×2560の解像度の正方形の画像として出力できるだけでなく、そこからトリミングして何通りかのランドスケープ画像を得ることもできる。

Insta360 GOは撮影を簡単にするだけではない。FlashCutと呼ばれる自動編集機能によって、映像の編集と共有を非常に簡単なものにしている。このツールは、iOSとAndroid上で動作するアプリとして提供されている。Insta360によれば、AIを利用して、その日に撮影したものの中からベストなクリップを探し、いくつかのクリップを自動的につなぎ合わせて最終的な作品に仕上げてくれる。たとえば「食べ物」といったカテゴリーを指定して、クリップを選ばせることもできる。また、やはり無料で提供されるWindowsやmacOS用のアプリを使って、クリエーターの領域に踏み込むような、より突っ込んだ編集も可能となっている。

まだ、この製品を実際に試してみる機会は得られていないが、仕様を見る限り、もっとも気になる制約はバッテリー寿命だ。1クリップあたり20秒とした場合、1日で撮影できるのは200クリップ程度に限られる。これは、付属のチャージケースを使って、使っていないときにGOを充電する操作も含めての数字だ。このチャージケースに内臓のバッテリーは、GO本体を約2.5回フル充電できる。このバッテリー寿命と録画時間の制限は、このカメラを使って多くのコンテンツを作成しようと考えている人にとっては障害になる可能性もある。とはいえ、このGOは、何の苦もなく常に持ち歩くことができる。そしてスマホが近くになくても、すぐに撮影できる。

199.99ドル(約2万1000円)という価格は、それほど安いものではない。しかし、この価格には、チャージケース、首から下げられる磁石付きのペンダント型ホルダー、スタンド、衣服に直接付けられるクリップ、さらになめらかな面に張り付くタイプのマウントが、すべて含まれている。Insta360のウェブサイトから直接購入した場合には、レーザー刻印することも可能だ。このカテゴリには、Google Clipsカメラや、それより早く製品を発売したMemoto、Narrative Clipといったライフログカメラなど、先行する失敗例がある。そうしたものより多くの特長を持ったInsta360 GOが、新たなカテゴリを確立できるのか、注目して見守りたい。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)