怪我をしたら治し方を自分で見つけて実践するロボット

もしもあなたが、昆虫を真似た六脚ロボットで、その脚が一本折れたらどうするかな? ギブアップするか? 倒れて炎上するか? 涙の出ない目で泣くか? それとも、試行錯誤をしながら自分の怪我の手当をして、折れた脚を隠し、歩く努力をするか?

そう、そのとおり。

ロボット研究家のAntoine CullyとJeff CluneとJean-Baptiste Mouretの三人は、六脚ロボットを訓練して、“知能を伴う試行錯誤”により、いろんな歩き方をトライできるようにした。アルゴリズムの最初のバージョンでは、20分間よたよた歩いて、転んだりしているうちに、だんだん直線上をまっすぐ歩けるようになる、というものだった。最新のシステムでは、ロボットは約2分間で歩き方を覚える。

上のビデオでお分かりのように、ロボットはいろんな歩行スタイルを試みる。最初は、ちょっと跳んでみる。次に負傷した脚を上にあげてバランスを保とうとする。ロボットはつねに、部屋の中の自分の位置と自分の速度をセンスしている。まっすぐにはやく歩ける足取りを見つけたら、それを最後まで続ける。

このアルゴリズムでは、データが物を言う。研究者は六脚ロボットのシミュレータ(ソフトウェア)を使って、そいつにいろんな歩き方をさせ、13000種類の足取り〜歩行スタイルを収めたデータベースを用意した。またロボット自身は、自分のダメージを分類して(支柱の破損、脚の挫傷、など)、データベースをクェリする。それからいろんな歩行スタイルを試行して、最良の足取りを見つける。

これはいわゆる人工知能ではないが、データベースを使うおかげでロボットは現場で短時間で解を見つけることができる。そして自力で使命を続行できることが、重要なメリットだ。不死身のロボットが完全に人間を支配する未来においては、この能力こそがいちばん重要だ。

出典: Spectrum

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


LEGOにRFコントロールを追加するSBrick

Lego(LEGOと書かないと気持ちが悪いという人もいるかもしれない)は面白い。マインドストーム(Mindstorms)がさらに新しい楽しみ方をもたらしてくれている。ところでさらにその先はあるのだろうか。まさに「その先」を狙うのがSmartBrick(SBrick)だ。これまでのLegoブロックと組み合わせて使えば、モーターやライトを細かく制御することができるようになる。Mindstormsと同様の部分もあるが、サイズが非常にコンパクトにまとめられていて、見えない場所に配置することもできる。Bluetooth LTEに対応しており、スマートフォンからの制御も可能だ。

さらにこのSBrickはRFコントロールにも対応している。いってみればRF版マインドストーム互換ブロックといった感じだ。プログラムで制御できる機能も増えており、マインドストーム利用者なら誰でも触ってみたくなることだろう。


製作したのはハンガリーのデザイナーおよびプログラマ集団だ。現在はkickstarterにて6万ポンドのキャンペーンを展開中だ。二週間弱のキャンペーン期間を残し、現在のところは4万2000ポンドを集めている。

「もっとLEGOを楽しみたいと思ったのです。私達はリモート制御技術に強みを持っているのですが、これをLEGOと組み合わせれば、非常に面白いプロダクトができあがると考えたのです」と、共同ファウンダーのLénárd Pásztorは述べている。「LEGOにリモートコントロール機能を備えるというのは非常に面白いことだと思うのです。LEGO社すら赤外線通信しか実装していないのが不思議ですが、それならば作ってしまおうと考えたのです」。

本プロダクトはLego社とはなんの関係もなく提供されているものだ。すなわち最悪の場合、訴訟沙汰に巻き込まれる可能性もある。しかしそうした心配はとりあえず脇におき、SBrickとしては各種アプリケーションを開発してシェアしていきたいとも考えているそうだ。スマートフォンをハンドル風にもジョイスティック風にも使ってコントロールすることができ、たとえば自動車と戦車を全く違った風に操縦することもできる。

「LEGOコミュニティからも大いに関心をもってもらっているようです。LEGOが大好きだという人は多く、LEGOをより面白くするツールとして、私達のプロダクトにも興味を持ってもらっているようです。多くの方から賞賛のお手紙を頂いたりもしています」とLénárdは述べている。Lego社が何かしらの対応をとるつもりかどうかは今のところわからない。いずれにせよミサイルを発射できたりするRF戦車が作れるのは楽しそうだ。我が物顔に部屋でくつろぐ猫と対戦することもできるかもしれない。

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(翻訳:Maeda, H


本が本でなくなる日

Hachette vs. Amazonの戦争があり、Kindle Unlimitedが登場、そんな中で、出版者であることと、ライターであること、そして読者であることの意味が、今非常に悩ましく問われようとしている。Laura MillerがSalonに書いた優れた記事は、“自費出版本の熱心な読者たちは、アメリカ中のぬかるみ*の中を歩きまわることに合意した”、と言っている。それは、今やAmazonが、誰でも壁に糞を投げつけてよいと言っているので、われわれ読者はそれらの糞が壁に張り付くか床に落ちるかを確認しなければならない、という意味だ。〔*: slush pile, 愚作の持ち込み原稿の山。〕

でも、現実はこうだ: われわれが知っていた本の姿は、変わりつつある。本は、雑誌や新聞と同じ運命をたどりつつある。 散文テキストの分厚い塊は価値を失いつつあり、人びとがそれに対して払う価格も下がっていく。たとえばKindle Unlimitedがスタートしたとき9歳の息子に、好きな本を何でもダウンロードして読みな、と言った。彼はHarry Potterなどの長編フィクションには見向きもせず、すぐさまMinecraft関連の大作をダウンロードしたが、それはしかし私が見ればRedditのMinecraftギャグを本の形に集めたようなものだ。“それは本じゃないよ”、と彼に言ったが、今や、それが、本なのだ。

Amazonは積極的に、われわれの本に対する考え方を変えようとしている。前世紀には、出版社は限られた数の作品を、“安い”製品を作ることが善とされる経済システムの中で生産し、配布した。紙とボール紙で作られた本(ハードカバーの本、ペーパーバックでない本)は、高級品のように売られた。売れ残りは砕かれてパルプになり、新本として売られることはなかった。そして、古書市場というニッチの市場ができあがった。

そして今や、eブックの登場により、ハードカバーの本の価値は大幅に減価した。しかも、大手出版5社は、本をおかしな、新しい方法で売るはめになった。その形は、サンドイッチに似ている。彼らは大量の本を売るが、それらはAmazonのUnlimitedのMinecraftストアで売られるような本だ…セレブの伝記、料理本、政治的暴言集、などなど。それらの厚いパンにはさまれた薄い具の部分が文学書だが、その売上の大半はStephen Kingなど少数の人気作家に依存している(とよいのだけど)。昔の文学書ジャンルの、厚いハムだった部分は、今や干からびた薄いカルパッチョだ。

出版人たちは、口癖のように、自分たちは大きな付加価値を提供している、と言う。それには同意しよう。彼らのところには、偉大なる編集者と、優れたアーチストと、有能なPR部員がいる。歴史的には、大手出版社は文化の司祭であり、言葉の大法官だった。人類の知的生活に仕える執事でもあった。でも彼らの強大な権力も、必勝とは言えない。最近友人が立派な本を有名出版社から出して、1年で750部売れた。ぼくはIndiegogoとAmazonを利用して、自分のインディー本を同じ期間に数千部売った。ぼくも、出版社と心中すべきだっただろうか? 全国の書店まわりをやって、サイン会もして、Jon StewartがホストするDaily Showで自分の本を宣伝すべきだったか? それもいいけど、ぼくは死なずに生き延びたい。

Amazonは、金目当てでHachetteやそのほかの取次と喧嘩しているのではない。Amazonは、有料コンテンツを配布するための新しい市場を自分が支配するために、彼らを蹴落としたいのだ。もちろん、そのコンテンツの要(かなめ)が、eブックだ。

今では、ブログというものがある。ブログ記事と本は、本質的に異なっている。本は長いし、完璧な編集作業を要するし、製作に長時間かかる。良い本を作るためには、時間をかけるか、またはエキスパートたちのチームに良い仕事をさせるか、だ。でもインディーのライターには、コピーエディタ(原稿整理編集者)を雇うほどのお金がない。だからインディー作品のクォリティには、今後も疑問符がつく。

でも、ブログはどうか。これまでは、とにかく早く書いて早くお金をもらうライターといえば、ジャーナリストだけだった…自称ジャーナリストも含めて。でも今では、MediumやWordPressなどのソフトの上で出版が行われるので、平均的なライターたちが早く書いてわりと早めにお金をもらえる。彼らには、コンサルタントなどの副業もある。対して、大手出版社や大手マスコミだけを相手にしているジャーナリストは、今や泥の中でもがいている。誰しも、昔からやってきたことしか、できない。コピーエディタがしっかり手を入れた記事、事実をチェックされて、ジャーナリズムの黄金律と呼ばれるThe New York Timesに載った500語の力作を、懐かしむのもよい。ぼくもTimesに記事が載ったことがあるが、でもあそこの人たちは、たしかに優秀だけど、ここTechCrunchやTMZやBuzzfeedやJoeの釣りブログなどで仕事をしている人たちと比べて、とくに良いとか悪いということはない。違いは、NYTはかつて強力であり、その記憶の残像のおかげで世界中の寄稿者のネットワークが維持されていることだ。でも、ぼくたちみんなは、TMZもEngadgetもBuzzfeedも、短編記事でマネタイズしてきた。NYTがそれをやって生き延びることは、まずできない。

そして、かくして出版産業は衰退していく。なんとか生きていけるインディーのライター1000人に対して、大きく稼ぐ者が数十名、そして大手出版は対応を誤る。音楽産業のように派手な無様(ぶざま)さにならないのは、大手出版による、印刷物による、堅牢な本の顧客が、ある程度は残るからだ。でも、彼らが時代に取り残されることは、間違いない。Kindle Unlimitedはインディーライターが好きな読者層を獲得し、Amazonはインディーの本を値引きしてでも売るが、大手出版5社は逆に彼らに対し大手いじめ屋になる。そして、Bezosが勝つ。

ぼくはライターであり、書くことが好きだ。書いたものは、読んでほしい。Laura Millerがぬかるみと呼んだライターや作品も、そこらにたしかにある。でも、それはかまわない。ここ10年ほどは、ブログにも色とりどりのぬかるみやジャングルがあった。しかし今では大手インターネットメディアの傘下に入ったものと、多数の小さなインディーに両極している。インディーの出版にも、同じことがやがて起きるだろう。それは避けられないことだし、Amazonはそういった動きのすべてから稼ぐつもりでいる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


インドの発明家がセクシーとは言えないけどクールなGoogle GlassクローンをRaspberry Piで制作

おっと、笑わないで。こんなのごみだ、と誰もが言いたいだろう。でもね、自分の位置データや写真や活動データをGoogleのような私企業に委ねたくない、ハードウェアもオープンソースがいい、という主義の人なら、Google Glassよりは絶対にこちらを使いたくなると思う。

上の写真のArvin Sanjeevは、発明家である。彼はRaspberry PiとLinuxと、それに音声認識ソフトウェアをちょろっと使ってGoogle Glassのクローンを作った。名前はSmart Capだが、なぜかキャップではなく、相当醜いハット(hat, 帽子)にくっつけている。でも、そこらで売ってるありふれた部品と小さなソフトウェアを使って彼は、既存のARヘッドセッの、機能的にそれほどちゃちくはないそっくりさんを作った。誰にでも朝飯前にできることでは、ないね。

もちろん世界最高のARヘッドセットではないし、読者の中にはもっと上手に作れる人もいるだろう…時間とやる気があれば。でもこのプロジェクトがおもしろいのは、すべて手作りで超ローコストであることだ。つまり、Raspberry Piでウェアラブルコンピュータを作れることを、彼は実証した。

それに、すごいと思うのは、今ではこれぐらいのプロジェクトを世界中どこでも、簡単に作れることだ。ラズパイを初めとして、高機能なコンポーネントがどんな僻地からでも安く手に入るから、アマチュアがほんの数時間でスマートフォンを作れるし、能力のある人ならアーケードゲーム機や人工衛星、Bitcoinのキオスクも作る。5年前には、どれもこれも、そう簡単にはできなかった。本格的な資金が必要だった。10年前には、“理論的には可能”だったものが、今ではすぐ作れる。

だから、Sanjeevと彼のSmart Capに、敬意を表したい。彼のクレイジーな挑戦に、乾杯しよう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Amazon Unlimitedに出版ビッグ5が参加しない理由

Amazon Unlimitedは、本のNetflixと評された。これは、Netflixが、低予算インディーズ作品の山と、いくつかの主要小スタジオの作品からなるという意味である限りは正しい。実は、Amazonの新しい9.99ドル読み放題サービスには、「商業出版社ビッグ5」の本が含まれていない。Amazonが口をつぐんでいる話題だ。

私はAmazoに説明を求めているが未だに回答はない。しかし、Unlimitedのリストにある人気作品を見渡せば、いずれも、小さな出版社 ー 「小さな」は相対的表現 ー あるいは独立系作品であることがわかる。例えば、 Life Of Piの発行元は、Mariner Booksで、ここは教育系出版社、Houghton Mifflin Harcourtの傘下だ。Michael LewisのThe Flash Boysは、W. W. Norton & Companyから出ている。そして目玉作品のHarry Potterは?これを所有するのはPottermore Limited、J K Rowlingのビジネスベンチャーだ。要するに、大物たちは参加していない。

実際、主要出版社の多くは、他のパートナーの開発と投資に必死だ。 例えば、Oyster Booksは、このアンチAmazon感情の恩恵に預かっているし、Zola Booksのように、出版インサイダーらが出資した会社もある。これらのサービスが実を ー 現金を ー 成らせられるかどうかは、別問題だ。

インディーズ作家の一人として私は、Amazonがロングテールのためにしていることは重要だと知っている。自分の本を[試して」みる人たちからお金をもらえるのはすばらしいことだ。しかし、Amazonの行動にまつわる騒動はまだ終わっていない。Hachetteとの戦いは収まる様子がなく、今やビッグ5は、Amazonが味方であるより、はるかそれ以上に敵であることに気づき始めている、全体的に見て、Unlimitedの人気作品に関する見通しは明るくない。しかし、Netflixが実証したように、少数の大ヒット作品を前面に掲げ、そこそこ人気のタイトルを無限リストに加えることは、堅実なビジネスモデルだ。

ついでだが、Unlimitedは電子デバイスでの読書を探求したい子供たちにとって、実に有難いサービスだ。例えば私の息子は、Minecraftの電子書籍をすでに数十冊ダウンロードしており、著者はロボットか小学生らしい。一冊など、全編がインターネットから集めてきたMinecratf用語から成っていた。ちなみに、彼はまだハリーポッターを読もうとしない。無料なのに。

この事実は、ビッグ5をためらわせるにちがいない。もしAmazonが一儲けすることができなければ、富は広く分散されることになり、Oprah Book Club受賞作品の著者たちも実入りは少なくなるだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


YouTube上の音楽ビデオに合わせてその曲の弾き方を覚えるRiffstation Play

孤独なティーンエイジャーの人や、前はそうだったけど今は音楽が上手になった大人の人はご注目。YouTube上のどんな曲でも、Riffstation Playのとても簡単なインタフェイスを使って、弾き方を覚えられるのだ。このWebアプリケーションのベースとなっているRiffstationは、インターネット上のほとんどどんな曲でも、コード進行と音符を教えてくれるサービスだ。

昨年取り上げたCapo 3と同じく、とてもシンプルなシステムだ。複雑な曲は無理かもしれないが、ロックのヒット曲ぐらいなら大丈夫。すでにコードパターンを記録した大量の曲のライブラリと、それ用の検索エンジンもある。これをステージでiPadなどで利用すると、Fake Bookよりも効果的かもしれない。

ウクレレのコードもサポートしているから、友だちと気軽にウクレレバンドを作れる。同社が作った厚顔無恥なデモビデオも、おもしろい。

Riffstationの協同ファウンダDan Barryは曰く、“世界中のどんな曲のどのバージョンでもコード進行を提供できるだけでなく、うちはギターを弾いてる人たちのあいだで人気がある曲の、ヒットチャートも作っている。コードの認識は自動的に行われるので、うちのカタログのサイズは事実上無限大だ。うちのインデクスにはすでに、1000万曲以上の曲が載っている”。

このアプリケーションにはプロ用バージョンもあり、曲を詳しく分析し、スローな再生もできるから、派手々々なリフやリードなどでも弾けるようになる。でも、コードを知るためだけなら、いろんな無料の演奏サービスでも、十分に役に立つけどね。


〔ここにスライドが表示されない場合は原文を見てください。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Amazon、月額$9.99で読み放題サービスを提供するKindle Unlimitedを正式スタート

Amazonが公式にKindle Unlimitedの開始をアナウンスした。電子書籍およびオーディオブックの「食べ放題」サービスだ。

これはまさに「書籍版Netflix」といったサービスで、KindleおよびKindleの動作するデバイスにて60万点にものぼる電子ブックや、あるいはAudibleのオーディオブックを楽しむことができる。

さまざまなベストセラー作品が対象に含まれていて、Diary of a Wimpy Kidシリーズやハンガー・ゲーム三部作、フラッシュ・ボーイズなども読むことができる。

また『灯台へ』や『猫のゆりかご』といった古典作品や、Kindleオンリーで提供されるさまざまな作品群もサービスの対象となっている。

オーディオブック化されているものについては、読んでいる位置を同期しながら文字と音声を切り替えて楽しむことができるのも大きな魅力だ。

何冊でもライブラリに加えることができるようになっていて、Amazonのサイトでは「Read for Free」という新しいボタンが表示される。著者との間でのロイヤリティの割り振りなどについての情報はまだ入っていない。

これはビデオ見放題のサービスであるAmazon Prime Videoとも似たところのあるサービスだ。有名なベストセラー作品も多く対象となってはいるが、対象作品となっているものの多くは、Unlimitedにて新たな読者開拓を狙う、ニッチな作品が多い。ただしメジャー出版社であるいわゆる「ビッグファイブ」も、いくつかベストセラーや有名作品をUnlimitedの対象作品として提供している。出版社との間での利益配分がどうなっているのかにも興味がわくところだ。Unlimitedサービスには多くの人が登録するものと思われ、出版社としてもそれなりの利益配分を求めているはずだ。

ちなみにOysterなどにとっては悪夢のような出来事と言って良いかもしれない。Amazonのような業界リーダーが読み放題サービスに参入することで、小規模な競合サービスなど蹴散らされてしまうことが予想される。そうしたある意味での「問題点」はともかく、たとえばインディーライターとの関わりを考えても、Unlimitedサービスは大いに注目に値するだろう。

訳注:英文オリジナル記事の方には、プレスリリース文書も添付されています。

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(翻訳:Maeda, H


アイスクリームを成形プリントする3DプリンタをMITの学生が開発


[三度目のテストでやっと成功]

もうすぐ、3Dプリントを利用した家庭用ソフトクリーム製造機が買えるようになる。MITの三人の学生、Kyle HounsellとKristine BunkerとDavid Donghyun Kimが作った家庭でアイスクリームを作る3Dプリンタは、ソフトクリームを押出成形したらすぐにそれを冷凍するので、冷やしたお皿におしゃれに盛り付けることもできる。

そのシステムはまだ概念実証の段階だが、甘い甘いクリームから、かなり複雑な形でも作り出すことができる。Bunkerはこう説明する:

このプリンタを設計しようと思ったのは、3Dプリントという最新の技術で何か楽しいものを作り、とくに子どもたちの心をつかみたいと思ったからだ。新しい技術を生み出すことも重要だが、若い世代に科学や技術への関心を持ってもらうことも、それに劣らず重要だから、極端なことでもやってみたい、と思っている。


[Cuisinart製のソフトクリームサーバを改造, 台の下部が冷凍機(液体窒素容器は上部に)]

春学期にこのプロジェクトを始めた彼らは、まず星の形をプリントするところまでこぎつけた。まだ商用化する意思は彼らにないが、でも実用性は十分にありそうだ。

“このマシンを作ってるときは大量のアイスクリームを食べた。とくに、二日間徹夜したときには、夜中の間食も朝食もアイスクリームだった。でも、とっても楽しいプロジェクトだった”、と彼女は言っている。

彼らはJohn Hart教授のクラスで食品添加物について勉強している。プリンタの製作も勉強の一環だ。Solidoodleの3Dプリンタを使って、受け皿と押出成形をコントロールし、成形されたアイスクリームを液体窒素で冷凍する。そこがうまくいかないとアイスクリームは溶けて、甘い液のプール、食べられる悲惨ができあがる。アイスクリームが大好きなぼくは一度に3ガロンも食べることがあるぐらいなので、このマシンはぼくの頭の中でも3Dプリントしまくっていた。



[上の図の現物写真]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


東京のアーチストが自分のヴァギナを3Dプリントして逮捕さる

Megumi Igarashiという名前の42歳のアーチストが、彼女のヴァギナの3Dモデルを送信したため、日本の刑法175条わいせつ物頒布の容疑で、東京で逮捕された。彼女は自分のWebサイトで購入した顧客に、ファイルをメールで送っていた。彼女は、ヴァギナの形をしたボートを作るために、資金を集めていた。

問題のファイルは、はっきり言って、女性の構造の、彼女のアートの多くがそうであるように、かなり様式化された表現である。Igarashiは自分のことを“ろくでなし子”、つまり“何の役にも立たない女の子”と呼び、自己の性と日本の文化における女性の構造(ヴァギナ)の役割を探求しようと決めたときから3Dプリントを始めた。日本の文化において男性の器官はタブーではないが(例(職場不適))、女性の性器はほとんどの場合隠される。

彼女はWebサイト上に書いている: “アーチストとして、私は自分自身のヴァギナを自分のアートのモチーフとしてのみ見ている。私の作品はヴァギナに対する差別や無知な扱いに対抗するものだ”。

彼女は、“警察がなぜ3Dデータをわいせつ物とみなすのか、理解できない”、とも言っている

彼女の資金募集の目標は、Manko-boatないしManboと呼ばれる物を作るためだ。Manko-boatを英語で言えば”pussy boat”、すなわちヴァギナの形をしたボートだ。彼女の天真爛漫人畜無害でチャーミングなピッチ(売り込み)を、下のビデオで見られる。

この逮捕が喚起する問題は言うまでもなく、自分をスキャンした3Dプリント物が、果たして、犯罪としてのわいせつ物に該当するのか、だ。道理をわきまえた人間なら誰しも、Igarashiの作品をポルノと見間違えることはないだろう。しかし明らかに、彼女が今日相手をした人たちは、道理をわきまえた人間ではなかった。結局のところ、彼女の体と彼女の2D/3D画像に対するコントロールは彼女だけのものであり、だから、アートは必ず世に出るはずだ、とぼくは予感する。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


撮影用照明ドローン、MITとコーネル大で研究中

いったい空飛ぶクワッドコプターに出来ないことはあるのだろうか?MITおよびコーネル大学の研究者らは、空飛ぶ撮影用照明システムを作った。露出計、カメラフラッシュ、連続照明を備え、フォトグラファーはどんな角度からでも完璧なショットが撮れる。

ロボットは、ホバーリングしながら被写体の位置と撮影者の位置を考慮して、極めて厳密なライティングで被写体を照らすことによって、完璧なスナップショットを撮ることを目的にしている。

このシステムは、「rim width[リム幅]― 照らされた被写体の縁の理想的な幅」という考えに基づき、「動きのあるショットでも繊細なリムライティングを可能にする」。この照明効果は、写真ハウツーサイトによると、背面照明あるいはヘアーライトなどと呼ばれることもあり、被写体の後方から照明を当て、光の輪隔を作るものだ。

もちろん、いつでもリムライティングが欲しいわけではないので、もう少しバラエティーに富んだ写真を撮れるよう、ヘルパーロボットを訓練できるものと思いたい。これは、ロボット飛行体がいかに人間と一緒にスムーズに働けるかを示す、コンセプト証明でもある。

「苦労したのはUAV[無人飛行体]の非常に複雑な動きと、照明推定のフィードバックだった」と研究者のFrédo Durandは言った。「われわれはそこに力を注ぎ、ドローンが飛び続けるために必要な非常に高速な状態でも動作するように、またライダー[レーザー式レンジファンダー]や照明推定システムから来る情報を確実に処理できるようにした」

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


ブログのように簡単な個人出版プラットホームTablo、KindleやiBookで再出版もできる

21歳のAsh Daviesが作った個人出版プラットホームTablo.ioが、Y CombinatorのパートナーKevin HalePaul Reiningから40万ドルを調達した。Tablo.ioは、テキストのYouTubeと呼ばれるWattpad的な個人出版サイトだが、ルックスはずっと良い。それに、ここで作った作品を、AmazonやiBooksであらためて再出版することも簡単にできる。

Daviesはこう言う: “ぼくはブロガーだったから、何かをタイプして[Publish]ボタンをクリックすることに慣れっこになっていた。でもこれからは、まだ無名の著者たちに創作と共有と読者につながる場を提供したいと思った。Tabloで本を出版することは、ブログをパブリッシュすることと同じぐらい簡単で、しかも作品が完成したら、すでに読者がそこにいるんだ”。

このサービスは今、およそ100か国の著者たち約10000名が利用している。各著者のプロフィールもあり、また読者を招待して作品の評価について彼らをフォローすることもできる。このサービスのインタフェイスはとてもなめらかで使いやすく、ブックエディタの画面でテキストを入力したら、それをすぐにパブリッシュ/出版できる。本の各章はこのサービスの中の‘ポスト’(投稿)として扱われ、ユーザがそれらを読んだり、会員登録をしてアップデートの通知をもらったりする。

インディー出版のためのツールはすでにいろいろあるが、Daviesは良いデザインと使いやすいインタフェイスで人気を得たいと考えている。なかなか魅力的な取り組みだし、今回のシード資金でさらに細部を磨くことができるだろう。なお、今このサイトが無料で提供している超常現象を扱ったおとぎ話は、とても楽しい。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


ステッキをつきながら瓦礫の上を歩く2足歩行ロボット登場

Oussama KhatibおよびShu-Yun Chungの2人がSupraPedというロボットを開発した。両名はスタンフォード大学の研究者で、2足歩行ロボットにステッキをもたせることで歩行安定性を確保しようとする研究を行なっている。強靭なロボットに道具を持たせることで、とても踏破不能に見えるクレバスなどもロボットならではの姿勢制御で進んでいくことができる。

被災地などの物理的に混乱した場所でヒューマノイドロボットに作業させる場合、移動手段および制御方法を工夫する必要があります。私達は視覚・知覚機能を有する道具をもたせることで、2足歩行ロボットを3足ないし4足化することで状況に対応できるようにしました。多足化して安定性を増すだけでなく、ヒューマノイド型ならではの操作性も維持できているのです。

ヒューマノイド型を採用する理由は、たとえばタイヤを使ったものやキャタピラ型、あるいは空中移動型の場合、適用範囲が限定的になってしまうという理由があるようだ。また物体の操作に適した腕を使うことで、より詳細な分析が可能にもなる(その際はステッキは脇においておくことになる)。加えて、ステッキをついたロボットというのがおしゃれに見えるという理由もあるのではなかろうか。

このロボットについては論文がPDFで公開されている。香港で開催されたIEEE International Conference on Robotics and Automationにて発表されたものだ。

via Spectrum

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Maeda, H


気候〜環境データを何でも送信する飴玉サイズの超小型センサ集合+送信機Clime

小さな環境センサを、誰が何のために使うのだろう。まだよく分からないが、Climeが作っているのはそれだ。 小さな飴ぐらいの大きさにまとめたセンサの集合+送信機が、現在の気温などを無線で携帯などに送信する。今後センサの種類を増やしていけば、いろんなおもしろいデータを送れるようになる。

Bart ZimnyとAndrzej Pawlikowskiが作ったこのデバイスは、要するにゴムで包んだ送信機だ。窓枠でも、無人の部屋でも、幽霊が出そうな地下室でも、どこにでも置いておける。あとのことはすべて、センサがやってくれる。目標は、これらのセンサを使って低コストなホームオートメーションシステムを作ることだ。

“作りたいのは大衆向けの製品だ。新しいものなら何でも買うギークが対象ではない”、とZimnyは言う。二人の作者は共にプロダクトデザイナーで、3Dプリントの仕事をこれまでしていた。この小型センサ/送信機は、彼らの最初の製品だ。

このセンサが今測れるのは、湿度、温度、明るさ、そして動きだ。CO2と圧力と色も今後加える予定だ。発売予定は10月で、値段は未定だが彼らのサイトで予約できる。

さらに将来は、このセンサに管理される何らかの実動システムを作るためのアクチュエータ各種と、いくつかの応用システム(電源on/offなど)も作るつもりだ。たしかに、いろんな実動システムが提供されるようになれば、多様な機能を持つホームオートメーションの構築が、しろうとにも簡単にできるようになる。この飴玉が送ってくるデータを、スマホで見ているだけでも、楽しいだろうけど。

ご両人の資金的な現状は、これまでのところ、自己資本のみ、である。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Samsungもコモディティー化による「死の価格レース」に巻き込まれている

テクノロジーの歴史で繰り返し起きてきた現象がまた起きている。あるジャンルの製品があまりに多様化し、無数のメーカーによってありとあらゆる機能とデザインが試されると、ユーザーの選択の基準は最後には価格に収斂してしまう。いったんそういう状況になると、小回りの効く新興メーカーが低価格を武器に既存の大メーカーに挑戦し、大メーカーは高価なハイエンド製品にシフトして売上高を確保しようと試みる。たとえばDellはネットブック市場の不振にDell Adamoで対応しようとした。そしてけっきょくは底なしの価格競争に疲れ果てて全員が倒れることになる。

ノートパソコン、フィーチャーフォン、上記のネットブックなどみなこの運命をたどった。

どうやらこの「死の価格レース」がスマートフォン市場にもやって来たようだ。いっとき絶好調だったLGもHTCも不振が続いている。次にコモディティー化の波に飲まれそうなビッグ・プレイヤーはSamsungだ。今後ひどいことになりそうな予感がする。

私はGalaxyシリーズの大ファンだ。しかし最新のS5には乗り換えなかった。理由はソフトウェアだ。もともとAndroidは完璧には遠い(といえば非難のコメントが殺到しそうだ。こう感じるのは私だけなのだろう)システムだが、マルウェアがはびこり、Play Storeにはガラクタのアプリが大量に並んでますますユーザー体験を損ねている。私は我慢して使っているが、楽しんでいるわけではない。

そのうえSamsungにはライバルが次々に現れている。300ドルのCyanogenmodベースのギーク向けスマートフォンもあれば、HuaweiやLenovoのエントリー・モデルもある。特に中国ではSamsungのシェアが急速にXiaomiに奪われつつある。130ドルと手頃な価格ながらスマートなRedMiハンドセットはSamsungの安っぽいプラスチックのエントリーモデルから魅力を失わせている。KantarWorldPanel ComTechの5月末のレポートによると、4月にはXiaomiは販売台数トップの座を再度奪った。しかも顧客の4分の1はSamsungからの乗り換えだったという。

つまりSamsungはシェアは低いものの天文学的利益を積み上げているAppleから無名のハードウェア・スタートアップまで全員と競争しなければならない。

この好ましからゼル状況はSamsungの売上高の推移に現れ始めている。売上高は9%から11%ダウンし、利益は24%ダウンした。S5は起死回生の特効薬という触れ込みだったが、 そうはならなかった。笑ってしまうのはこのブルームバーグの記事と記事のURLの食い違いだ。〔記事のタイトルは『Samsung、四半期決算はアナリストの予想を下回るも業績回復を予測』だが、URLの文字列には『Samsung予測を下回る―低価格製品が不振』とある〕。ビジネス界は皆Samsungに回復してもらいたいのだが、そういう情勢にはなっていない。

テクノロジー・アナリストのBen Thompsonはこの点について鋭い説明を与えている。まず第一に「ほとんどの消費者は価格を第一に考える」。たとえばMoto GとSamsungのスマートフォンという選択では結局価格がものを言う。無数の類似製品の山の中ではブランドは無力だ。

Thompsonはこう書いている。

結局のところSamsungの最大の問題はソフトウェアで差別化ができていない点だ。そうなれば長期的な競争力の源泉は価格しかなくなる。この点ではHPとDellを先例として学習する必要があるだろう。スマートフォン市場はパソコン市場とよく似ている。独自のOSを搭載したハードウェアのメーカー〔Apple〕だけが巨額の利益を積み上げる一方で、それ以外の全てのメーカーはソフトウェアの支配者に利益を吸い上げられるだけの敗者となってしまう。

と、これが偽らざる実情だ。どんぐりの背比べの参加者で満員となった市場(そうではないと言っても無駄だ)では差別化の要因は価格だけになる。誰もそんな競争はしたくない。しかしけっきょくはそこに落ち込んでいくのだ。今後状況はさらにひどくなるだろう。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


18世紀の時計技術「ツールビロン」を3Dプリントでモデル化した美しいアートを見よう

何年も前から、友だちのNicholas Manousosには注目している。彼は時計のいろんな部品やムーブメントを設計したりプリントしてこれまでずっと、Facebookに投稿してきたが、このたび、彼自身の最高傑作を完成させた。カラフルなプラスチックで作った、実際に動くツールビロンだ。

ツールビロンは18世紀の技術で、チクタクと振り子しているガンギ車(escape wheel)への重力〜姿勢変化の影響を少なくして時計の精度を保つ。初期の時計制作者たちは、そのホイールを360度回転させれば、全体として加わる力が均質になり狂いを相殺する、と考えた…その機構を実装したムーブメントが、ツールビロンだ。その理論の正しさは未だに立証されていないが、考え方としてはクールだ。Manousosはすべてのパーツを自分で設計して組み立てた。彼は、自分の作品を売らない(売ればよいのに)し、人のための仕事はしない。彼は、3DプリンタMakerbotにいつも没頭している謎の人だ。

このモデルは、ローラースケートのベアリングと、大量の手製の歯車を使っていて、ツールビロンの原理がとてもよく分かる。Facebook上でManousosの作品をぜひ見てほしい。数週間後には本誌のTC Makersシリーズで彼を取り上げようと思っているので、お楽しみに。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Amazon、Hachetteの著者に「交渉が決着するまでeブック売上の100%を支払う」と提案

AmazonはHachetteとの戦争が長引く中で新しい手を打ってきた。New York Timesによれば、AmazonのKindleコンテンツ担当副社長、DavidNaggarはHachetteの一部の著者に向けて「交渉が決着するまで売上の100%を著者に払う」と提案するメールを送ったという。このメールはAmazonの宿敵、AuthorsGuildにも転送された。

Naggarのメールにはこうある。

Hachetteとの交渉が長引く中、これに巻き込まれた著者が不利益を被っていることをわれわれは認識している。特に新人、中堅の著者に与える影響が深刻であることに留意している。しかしHachetteはわれわれの提案に対してなかなか反応せず、交渉を進展させようという意欲に著しく欠けている。Hachetteがこの態度を劇的に改めない限り、交渉は非常に長引くだろう。

Hachetteが同意するなら、この交渉が続く期間中、Hachetteの著者はAmazonが販売するeブックの売上の100%を受け取ることにするようわれわれは提案する。AmazonとHachetteは双方ともに、新たな合意に達するまでの期間中、eブック売上からの利益を放棄するものとする。

これと同時に、AmazonはHachetteの印刷版書籍の在庫、販売価格についてもすべて従来のレベルに戻す。また近刊書の予約受け付けも再開する。

この書簡に対してAuthors Guildは「著者を助けると見せかけてHachetteを骨抜きにしようとする企みだ」とブーイングしている。しかしAmazonが出版社を必要とする度合いよりも出版社がAmazonを必要とする度合いの方が大きい。主にAmazonの支援によって、インディー出版社は質量ともに四半期ごとに急成長しつつある。インディー出版社が既存の巨大出版社を追い越す日も近いのではないか。

出版社に対する著者の感情も厳しくなっている。先週、ミステリー作家のRobert Chazz Chute はAuthors GuildのAmazonに対する頑な態度について「Amazonは市場で競争に勝っているに過ぎない。これを独占と呼んで非難するのは奇妙だ」と批判した。

Amazonが著者が失っている収入の埋め合わせをするのは正しい。しかしこれがAmazonにできる最良のことかといえばもちろんノーだ。しかし両者とも簡単には引き下がらないだろう。SF作家のコリー・ドクトロウが論じたように、出版社は海賊行為を恐れるあまり、最大、最強の海賊、ジェフ・ベゾスに権利を預けてしまった。出版社が2000年代にeブックにDRMを設定することを決めたとき、われわれがAmazonの鉄の腕に囲いこまれるという運命が決まってしまった。AppleでさえAmazonからわれわれを救い出すことはできなかった。

いずれHachetteは妥協を余儀なくされるだろう。Amazonの支配力は一層増すに違いない。Authors Guildはまたもやイノベーションに歯ぎしりして食ってかかるチャンスを得るだろう。そうした中で割を食うのはいつも著者だ

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Bashよりもずっと便利で多機能なコマンドインタフェイスXiki/xshが抜本的大改造を目指して資金募集中

このところ眠っていた(かもしれない)、あなたのおたく魂の出番だ。このたびは、MemorizeのファウンダCraig Muthが作ったXikiの偉業を、たっぷりと共有しよう。Xikiとそれをシェル化したxshが提供するコマンドラインのすばらしい自動補完機能と対話的なコマンドラインを見ると、bashの名人でもよだれを垂らすかもしれない。Xikiの今のバージョンは今でも入手できるが、Muthは機能のより充実した新バージョンのためにKickstarterで資金を募集している

Muthは語る: “Xikiは最初、自分で使うために作った。13年前にオハイオで銀行や保険会社のための退屈なソフトウェア開発のようなことをしていたとき、これを作り始めた。自分のノートパソコンから直接コマンドを動かしたり、ファイルをナビゲートしたいと思ったんだ。実際に作ってみると、もう、これなしには仕事ができなくなった。今では、あらゆることにこれを使ってるね”。

開発資金として8万ドルを募集しているMuthは、次のように言っている:

この資金募集に成功したら、Xikiの徹底的に改良された次期バージョンをみんなに提供できる。要望の多かったSublimeとVim用のプラグインも作る。インストールの過程と、初心者のユーザ体験が大幅に改良される(コンテキストメニュー…そのときの状況に応じたメニュー…があちこちにあるからね)。シェルとの統合(xsh)も改良される。今後いろんなアプリケーション向けのXikiプラグインを作りやすいように、Xikiのコアをリファクタリングする。面倒なことを全部コアがやるから、プラグインの負担が軽くなる。

非常に斬新なシェルだから、慣れるためには時間を要する。従来のシェルでももちろんコマンドラインの編集はできたが、それをもっともっとテキストエディタ的にしたのがXikiだ、と言えるかもしれない。それに、パイプ機能は何でもパイプできる。別の言い方をすると、シェルのインタフェイスをGUI的にした(マウスも使える)、とも言える。ビデオでお分かりと思うが、ぼくが実際に使ってみても、すごいパワフルであることが分かる。

“xshはフレンドリなコマンドインタフェイスとして、GmailやTwitter、Bootstrapなど何百もの現代的なツール、それにデータベースの閲覧やWeb開発などでも、対話的な利用ができる。テキストのアウトラインやスペース2個ぶんのインデントなど、共通的なUIのパラダイムに即しているから、どんなツールやAPIとも対話できる。また、従来のシェルのようにコマンドラインからコマンドを使うだけでなく、テキストエディタやWebブラウザからでもコマンドを取り出せる。それに自分が新たに作ったxyzコマンドも、’xsh +xyz’でxshに登録できる”。

“xshは、怖くないコマンドインタフェイスだ”、とMuthは語る。でもビデオで、彼が複数のディレクトリを操作したり、新たなコマンドを作ったりしている様子を見ると、このプラットホームの奥の深さが、実は怖いかもしれない、と思った。Kickstarterの出資者は、Tシャツなどをもらえるだけだ。だからそれは、単純な寄付行為だ。でも完成した新バージョンこそが、出資者にとっての最大の報酬だろう。オープンソースで無料だから、あなたがさらに改良することもできる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Appleが高級腕時計のTag Heuerから営業部長を引き抜く、iWatchを高級ブランドに育てる気?

Appleがまた、高級品名門ブランドの役員を引きぬいた。今度のPatrick Pruniauxは、高級腕時計Tag Heuerの営業担当VPで、彼は7年いた高級時計の世界を去り、Appleに加わる。上の写真で右から二人目がPruniauxで、iWatchの噂がやや盛り上がってきたタイミングでAppleに入ることになる。

Tag Heurは、Formula Oneシリーズの腕時計と、イメージキャラクターがTiger Woodsであることで知られている。

Reutersの記事によると、時計業界のアナリストたちはiWatchは高級品市場には食い込めない、と見ている。腕時計の中級品市場は、顧客がきわめて浮気っぽいことで悪名高い。しかしiOSで動くスマートウォッチは、うまくいけばクォーツや機械式腕時計からの浮気を誘うステータスシンボルになりうるかもしれない。スイスの時計メーカーの多くが、 スマートウォッチでは出遅れているが、でもSwatchのPaparazziウォッチは、WiFiでニュースをユーザの手首に運んでくれる。

Tim CookのAppleは、Pruniauxの前にも高級ブランドから人を引きぬいた。5月にはBurberryの元CEO Angela Ahrendtsを、そしてその前にはYves Saint LaurentのトップPaul Deneveを、かっさらったのだ。

これでいよいよ、iWatchの登場も間近か? それはPruniauxだけが知っている。われわれ外野から見てて分かるのは、Appleが高級品市場に三倍賭けしていることだけだ。

画像出典: ishida-watch.com

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


自転車が夜道で追突されないための警報装置つきバックライトBacktracker、Dragon Innovationで資金募集中

南アフリカ共和国のハイテク企業iKubuが、サイクリストの安全を守るためのBacktrackerと呼ばれるデバイスを開発した。このデバイスは、後ろから接近してくる車までの距離と速度を教え、車が近づきすぎると車に対してはライトを点滅し、ライダーに危険を教える。

ファウンダたちはこのデバイスを、ライダーとドライバーの両方に対する通知システム、と位置づけている。ファウンダの一人Franz Struwigは曰く、“これは後ろから接近してくる車のスピードと距離を教え、また車に対してはライトの点滅で自転車の存在を教える”。このシステムは自転車用のレーダーセンサと、ライダーに対する通知機構から成る(iKubuはレーダーのメーカーでもある)。接近する車は、最初のうちは前方に、ゆっくり動く白いライトを見るが、高速で接近すると点滅によって危険を知らせる。

同社は南アフリカのStellenboschにあり、主にコンピュータビジョンを手がけている。自転車用の製品は、これが初めてである。試作とテストは完了した、とみなしている同社は今、本格生産のための資金をクラウドファンディングサイトDragon Innovationで募金している。

目標額22万6000ドルに達したら、製品は12月に発売される。初期支援者は149ドルで入手できるが、最終価格は199ドルだ。これだけ高度な機能をもつ自転車用後尾灯は、これまでありそうでなかっただけに、意外とヒット作になるかもしれない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


GPS時刻補正機能付き機械式腕時計のOx One

機械式時計の欠点をひとつあげるならば、おそらく正確性ということになろう。数多くのパーツを必要とし、どのように細かな調整を行っても多少の狂いがでるのは必然ともいえる。もちろん、クオーツ化すれば正確性についての問題は解決する。これにより時計は正確な時刻を刻むようにはなるが、しかしやや面白みのないメカになってしまうことは否めない。しかし正確性と面白さをともに満たす方法は他にもある。それを実現したのがVCXOだ。

産みだされたプロダクトは名前をOx Oneという。機械式のムーブメントをもちながら、「マジックボタン」(実際にそういう名前だ)を押すことで、GPS衛星を利用して時刻調整を行うのだ。内蔵バッテリーは、機械のネジを巻くのに使うオモリを使って発電するようになっている。竜頭は備えておらず、時刻調整は「マジックボタン」で行う。GPSにつながらない場合には、内部クロックによる調整を行うそうだ。

この腕時計を開発したAdrian Pedrozoは、機能の詳細については詳しく教えてくれなかった。機械式ムーブメントにはSwiss Technotime SAのTT-738を用いている。

詳細についてはこちらに写真などが掲載されている。但しビデオはゴジラ風のサウンドトラックを利用しているので再生には注意が必要だ。また価格も、心の準備をしてから確認した方がいい。なんの覚悟もなしに見てしまっては心臓に負担を掛けることになってしまうかもしれない。桁を間違えないようにしてもらいたいが、価格は41,000ドルとなっている。

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(翻訳:Maeda, H