SpaceXの有人宇宙船Crew Dragonがメキシコ湾に着水し船上回収成功

SpaceXと NASAはこれまでで最大の共同ミッションを遂行中だ。Crew Dragon Demo-2による有人宇宙飛行を完了する準備を整えている。Crew Dragonは、一般人の宇宙飛行を可能にするよう設計された宇宙船だ。今回のミッションはCrew Dragonが商用宇宙飛行に適格であると認定するもので、SpaceXとNASAの協力の成果の集大成となる。

NASAの2名の宇宙飛行士は数時間にわたって高度を下げ、フロリダ半島東側、アラバマ州ペンサコラ沖に着水する。

Behnken(ベンケン)氏、Hurley(ハーリー)氏の両宇宙飛行士は米国東部時間8月1日午後7時30分(日本時間8月1日午後9時30分)にすでに国際宇宙ステーション(ISS)を離脱しており、以後の飛行はCrew Dragonのシステムが自動操縦となる。SpaceXは、Crew Dragonの打ち上げと帰還飛行を完全に自動化するようデザインされているのだ。前回の無人無人宇宙飛行ではこれに成功している。

Demo-2ミッションは ベンケン氏とハーリー氏をメキシコ湾のペンサコラ沖に米国東部標準時8月2日午後2時48分(日本時間8月3日午前43時48分)着水させること完了する。ここにはSpaceXの回収チームが待ち受け、回収船に収容する。Crew Dragonは 5月30日にEndeavourの飛行を成功させているが、今回は宇宙飛行の歴史上最初の商用宇宙飛行の成功となる。

Dragonカプセルは大気圏を降下し、まず小型のパラシュートを使って姿勢を安定させ、さらにメインパラシュートを展開して時速24km程度に減速する。ISSを離脱してから着水までに非常に長い時間が必要な理由は、ISSをスタートしたきは時速2万8000km程度で飛行しており、非常に大きな減速の必要があるためだ。

NASAとSpaceXは回収の模様をペンサコラ沖とカリフォルニア州ホーソーンのミッションコントロールの双方からライブで中継している。新しい情報が確認でき次第、記事をアップデートする。

【Japan編集部追記】ペンサコラ沖の洋上回収に成功。両宇宙飛行士に異常はなく、カプセルは回収船のU型クレーンによって船上引き上げられハッチが開かれるのを待っている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

SpaceX Crew Dragonが国際宇宙ステーションから無事離脱、地球への帰還の途に就く

NASAの宇宙飛行士であるBob Behnken(ボブ・ベーンケン)氏とDoug Hurley(ダグ・ハーリー)氏は、地球への帰還の最初の重要なミッションとなる国際宇宙ステーション(ISS)からのドッキング解除に成功した。このあと彼らは、宇宙から大気圏を通って地球に戻ってくるコースを下降し、SpaceXCrew Dragon(クルー・ドラゴン)宇宙船のパラシュートを広げ、機体回収のために大西洋に落下する準備をしながら速度を落として進むことになる。

ドッキング解除と沿岸作業およびスプラッシュダウン(宇宙船をパラシュートで水域に着陸させる方法)の作業は、SpaceXCrew Dragonのために設計したシステムを利用してすべて自動制御される。これにはISSから離脱したカプセルの移動と大気圏へ突入する際の噴射も含む。大気圏に再突入する間、Crew Dragonはとてつもないストレスを受けるため、二人の宇宙飛行士の安全を確保しながら降下角度を調整しつつ、パラシュートを安全に展開できる地点までコントロールするのだ。

機体回収作業には何時間もかかる。SpaceXとNASAは、米国東部標準時(EDT)の8月2日午後2時42分(日本時間8月3日午前3時42分)ごろに、カプセルは最終的なスプラッシュダウンになると予想している。

今回は、NASAとの商用クループログラムにおけるSpaceXのDemo-2ミッションの最終段階。NASAが宇宙飛行士を宇宙ステーションと地球を往復させる通常運用ミッションのためにCrew Dragonを認証するために必要なプログラムだ。ベーンケン氏とハーリー氏は、5月30日にSpaceXが製造した民間宇宙船に搭乗した初の宇宙飛行士で、歴史的なミッションの第1部で打ち上げに成功し、それから数カ月間は宇宙ステーションで通常のクルーミッションに従事してきた。

Crew Dragonは、Demo-2を終了するためにフロリダ沖に着水する。SpaceXの地上クルーは、その時点で宇宙飛行士を回収したあと陸地を目指す。すべてが計画どおりに進めば、前述したようにSpaceXは正式に宇宙飛行士の定期飛行を開始する準備が整う。

今後の動きについては最新情報が入り次第、記事をアップデートする。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

オンラインヨガ、セルフヘアカラー、荷物管理、リモートワークを快適に過ごすサービスの需要増

新型コロナウイルス感染拡大を防ぐためリモートワークを導入する企業が増える中、自宅時間を有効に過ごすためのサービスに需要が高まっている。緊急事態宣言解除後も働き方の見直しや第二波のリスクなどを考慮し、日立製作所や大和証券グループをはじめ、在宅勤務を継続している企業も多い。

リモートワークが長期化してくると、「慣れない在宅勤務や生活の場の一部に仕事が組み込まれる環境にストレスを感じる」という声も。そんな中、オンラインヨガやセルフヘアカラー、荷物管理といった自宅時間を快適に過ごすためのサービスのユーザー数が増加している。

オンラインヨガの会員数が1.7倍に増加

SOELUオンラインヨガを提供しているSOELUは2020年に入り3カ月間で有料会員数が1.7倍に伸長。スポーツジムやフィットネスクラブのほとんどが少人数性や自担営業となり予約が取りづらくなっているため、自宅でできるオンラインフィットネスに人気が集まっている。「新型コロナウイルスの予防のため自宅で運動をしたい」という理由で入会している人も多い。

また、12歳以下の子どもがいるユーザーを対象に「withコロナ時代」におけるお子様の心身の健康に関するアンケートをとったところ、76.2%が健康に関して心配なこととして「外出によるウイルス感染のリスク」を挙げていた。

これを受けて、レッスンプログラムの中に、未就学児と一緒にできる「親子ヨガ」や12歳以下の子ども向けの「キッズヨガ」を開講。在宅による子どもの運動不足や親子間のコミュニケーション低下の改善が期待できる。

パーソナライズヘアカラーのCOLORISはユーザー数1万人を突破

COLORIS

パーソナライズヘアカラーを販売するCOLORIS(カラリス)は2020年3〜5月の合計受注数は1万個を突破。ユーザー数が1万人を達成している。COLORISはオンラインカウンセリングで自身の髪質や希望する髪色などを入力すると、ヘアカラーとトリートメントを郵送してくれるサービス。

リモートワークの拡大やマスクの常時着用など生活スタイルの変化によりメイク用品の売り上げは減少している。その一方で、マスク着用時でもオンライン会議の時でも常に人目に触れるヘアカラーに大きな変化はないとのこと。「感染がこわくて美容室に行けない」という声が多い中、ヘア美容の新たな選択肢としてパーソナライズヘアカラーを利用する人が今後も増えそうだ。

収納サービスのサマリーポケットは年平均成長300%を維持

新型コロナウィルスの影響により自宅にいる時間が増え、部屋の環境を整えたいというニーズも増えている。収納サービスのサマリーポケットは、年平均成長300%を維持。

サマリーポケット1箱250円から始められることから移動制限や外出自粛の中でも、手軽に自宅の環境を整えることができる。今までは衣類やアルバムや子どもの作った工作など、思い出の品を大切に保管したいというユーザーが多かった。しかし、緊急事態宣言後はリモートワークで部屋の散らかりが気になった男性ユーザーの利用も増加しているという。

サマリーポケット

さらに、同社が2020年7月6日〜7月12日にかけて実施したユーザーインタビューでは、83%の人が「おうち時間が増えた」と回答。そのうちの4人に1人が「今後、預ける荷物量が増えそう」と答えており、在宅時間の増加により、これからも外部収納ニーズがより増えることが予想される。

色温度を調整可能なE Inkディスプレイ搭載Androidタブ「BOOX Note 2」

色温度を調整可能なスクリーンライトをE Inkディスプレイに搭載

BOOX Note 2は10.3インチのE-inkディスプレイを搭載したAndroid 9.0タブレット。開発元は中国広州に本社を置く文石で、日本では正規代理店としてFOXが販売している。

以前に紹介した13.3インチ端末「BOOX Max3」との最大の違いは、色温度を調整可能なスクリーンライトを搭載していること。好みに合わせて色みを調整でき、もちろんスクリーンライトを消灯可能だ。

BOOX Note 2の価格は6万5780円(FOXの直販価格)

左がデフォルトの色温度。色温度はふたつのスライダーで調節する。月のアイコンのスライダーを右にずらすと色温度が高くなり、青みがかった色になる

ある程度の光量があればE Inkディスプレイにスクリーンライトは不要。室内灯だけで十分な視認性が確保できる

BOOX Note 2は最新Androidスマホの約15%の処理性能

BOOX Note 2はプロセッサーに「Snapdragon 625(MSM8953)」を採用。メモリーは4GB(LPDDR3)、ストレージは64GBを搭載している。定番ベンチマーク「AnTuTu Benchmark」のスコアで比較すると、BOOX Note 2の総合スコアが93399、最新の「Snapdragon 865」を搭載する「OPPO Find X2 Pro」の総合スコアが609045(7月28日時点のランキングデータより)とされているので、BOOX Note 2はOPPO Find X2 Proの約15%の処理性能ということになる。

とはいえ、BOOX Note 2は電子書籍、電子ノート用途に特化したタブレットだ。またOPPO Find X2 Proは記事執筆時点のAndroid最速スマホでもある。このスコア差だけでBOOX Note 2の善し悪しを判断するべきではない。

BOOX Note 2でAnTuTu Benchmarkを実行すると、CPUは36781、GPUは10803、MEMは27398、UXは18417、総合スコアは93399という結果となった

ディスプレイは前述のとおり10.3インチで、解像度は1872×1404ドット(227ppi)。本体サイズはは横177.8×縦249.5×厚さ7.1mmで重さは378g。カメラは非搭載で、インターフェースはUSB Type-Cのみ。microSDメモリーカードスロットは用意されておらずストレージは増量できないが、本製品の用途を考えれば64GBのストレージで事足りるはずだ。

前面(左)には指紋認証センサー一体型戻るボタンを配置。背面(右)には技適を含む認証情報などが記載されている

上面(上)には電源ボタン、下面(下)にはUSB Type-C端子が用意されている

右側面(上)と左側面(下)にはなにもない

パッケージには本体以外に、ワコム製専用スタイラスペン、ディスプレイ保護フィルム、USBケーブル、クイックスタートガイド、保証書が含まれている

コンテンツに合わせてリフレッシュモードを変更可能

BOOX Note 2にはCarta世代のE Inkディスプレイが搭載されている。E Inkディスプレイは数ページおきにページリフレッシュが必要となるが、BOOX Note 2には画質を優先させた「通常モード」、画質より速度を優先させた「高速モード」、画像やテキストをスクロールする場合に適した「A2モード」、動画の視聴に最適な「Xモード」が用意されており、コンテンツに合わせて変更可能だ。

基本的に、通常→高速→A2→Xの順番で描画が速くなるが、そのぶん画質が低くなる。個人的には、コミックを読むなら通常モード、ウェブページを見るなら高速モードまたはA2モードを適していると感じた。動画の視聴については端末をお勧めする。

ディスプレイのリフレッシュモードには、通常モード、高速モード、A2モード、Xモードの4種類が用意されている

通常モードは最も高画質に画像を表示できる(画像クレジット:鈴木みそ氏、「ナナのリテラシー1」より)

高速モードは濃い色の部分にゴーストが残りやすかった(画像クレジット:鈴木みそ氏、「ナナのリテラシー1」より)

A2モードは白地の部分にゴーストが残りやすかった(画像クレジット:鈴木みそ氏、「ナナのリテラシー1」より)

Xモードは画像が不鮮明になる。動画はともかく、漫画を読むには厳しい画質だ(画像クレジット:鈴木みそ氏、「ナナのリテラシー1」より)


高速モード、A2モードでも漫画を読めなくはないが、漫画家が絵に込めた気持ちを考えると、やはりゴーストがない状態で鑑賞したい


Xモードであればフレーム落ちはほとんど気にならないが、精細さは大きく低下する。動画をあえてBOOX Note 2で鑑賞する必要はない

E Inkディスプレイの特性を理解している中・上級者向けのタブレット端末

iOS端末にE Inkディスプレイを採用したデバイスは存在しない。BOOX Note 2はサードパーティーが自由に仕様を決められるAndroid搭載端末ならではの製品だ。ただ、Androidタブレットとまったく同じように使えると思うと、ガッカリすることになる。ホームアプリは一般的なAndroid端末とは大きく異なるし、配色や、描画速度の点でE Inkディスプレイが不向きなアプリもたくさんあるからだ。

BOOX Note 2はE Inkディスプレイならではの目に優しい表示が真骨頂。電子書籍、電子ノートが主目的な方や、常用しているアプリが使いにくかったときにカスタマイズしたり、ほかのアプリを見つけられる中・上級者向けのタブレット端末だと筆者は考える。

ワコム製専用スタイラスペンの書き味は滑らか。滑りすぎると感じる場合は「ペーパーライク」をうたうディスプレイ保護フィルムを貼るといいだろう

Twitterが白人至上主義団体KKKの元リーダーのアカウントをついに永久追放

Twitter(ツイッター)は、白人至上主義団体のKu Klux Klan(クー・クラックス・クラン)の元リーダーであるDavid Duke(デービッド・デューク)氏のアカウントを永久に凍結したことを明らかにした。

デューク氏は何年にもわたりTwitterのプラットフォーム上で自由に活動してきた。約5万3000人のフォロワーを擁し、最近はトランプ大統領の再選を支持するとツイートした(Gizmode記事)。現在、同氏の@DrDavidDukeアカウントページに行くと「アカウント停止」のお知らせが表示される。

Twitterの広報担当者はTechCrunchに対し、デューク氏追放は恒久的な措置であると認め、次の短い声明を電子メールで送った。

あなたが参照したアカウントは、悪意ある行為に関するTwitterのルールに繰り返し違反したため永久に停止されました。この強制措置は、最近更新された有害なリンクに関するガイダンスに準拠しています。

この動きはどこでも「反ナチス」によって歓迎されたが、Twitterが「KKKの顔」を追放するのにこれほど時間がかかったことを喜んでいる人はいない。同社は長い間、プラットフォームにおける悪意ある行為を禁止するポリシーについて主張してきたが、一方で独自ルールの実際の施行には何年もかかった。

Twitterはポリシーに定義されている「許容される行為」の制限に関して積極的に行動しないことで悪名高い。同社は長年にわたり、誹謗や有害なヘイトスピーチを実質的にチェックせず、それらが蓄積され、拡がるのを許してきた。 最終的に同社は、ユーザーが怖がって逃げていく動きを止めるために自社の行動指針の整理を余儀なくされた。2017年にTechCrunchが指摘(未訳記事)したように、これはどんな基準によっても優れたリーダーシップの定義に当てはまらない。

それから数年の間にTwitterは施行の準備を徐々に進めてきた。2018年には、Jack Dorsey(ジャック・ドーシー)CEOによる「対話的健全」(未訳記事)に向けた動きがあり、ヘイト行為に関するポリシーをさらに拡大した。施行の状況は依然つぎはぎ(未訳記事)で、まだら模様(未訳記事)だが、今年は大きく前進したようだ。それは悪名高い英国の右翼ヘイトコメンテーターの追放で始まった。

Twitterによる2020年の施行の原動力は、パンデミックと関係が深いかもしれない。Twitterは3月、新型コロナウイルスの偽情報がオンラインで広まることを懸念し、新型コロナデマと戦うためのステップとして、有害なリンク、または「悪意あるURL」の拡散をゼロにすべくルールを変更(@TwitterSupport投稿)した。

公衆衛生上のリスクがTwitter本部を施行に集中するよう後押ししたようだ。プラットフォームの誰もがその恩恵を受けるはずだ。

Twitterは最近、右翼の陰謀論グループQanon(Qアノン)を取り締まり、今月初めに7000アカウントを凍結した。同社はトランプ米大統領によるプラットフォーム乱用に対応する方法もついに見つけた。トランプ氏はプラットフォームを利用して暴力的な脅しを拡散し、人種戦争をあおろうとしている(そして政治的偽情報を広めようとしている)。同社は表示方法ファクトチェックラベルをトランプ氏のポリシー違反のツイートに適用することにした。

7月には新型コロナのパンデミックに関して命を脅かしかねない誤った主張を行う動画を共有したとして、大統領の息子であるDonald Trump Jr.(ドナルド・トランプ・ジュニア)もアカウントに一時的な制限が適用された。

これはトランプ氏に放つ意図的な警告ショットのようにみえる。つまり、Twitterは公職に就いているため大統領自身を追放するつもりはないかもしれない(未訳記事)が、トランプ氏が一線を越えれば息子を追い出すつもりだ。

Twitterのリンクのブロックに関するポリシーでは、マルウェアやスパムなどの悪質なものに加えて、テロ、暴力、悪意ある行為を含む多くのコンテンツカテゴリーに関連するリンクの拡散を制限するための措置を講じることができるとしている。さらに「当社がブロックするコンテンツを共有するアカウントやリンク共有ブロックを回避しようとするアカウントは、停止を含む追加措置の対象となる場合がある」としている。

Twitterは以前、デューク氏がKKKを去ったため追放の対象とならなかったと述べた(Washington Times記事)。これにより同氏は実質的に悪意あるURLの拠点となる力を得たようだ。巧妙に人間の体裁をとり、同氏のアカウントを利用して憎しみの福音を説くコンテンツへのリンクを広めた。

パンデミックの嵐の中でも密かに恩恵を受けた者がいたわけだ。

似たような右翼のヘイトスプレッダーと同様、デューク氏はTwitterのアカウントで批判者を脅し、嫌がらせをしていた。Twitterで同氏を支持する「ネット荒らしのナチス軍」を個人の中傷に向かわせた。彼らのツイートが大量に報告されることによりTwitterのシステムを騙し、彼らのアカウントが停止されるよう仕組んだ。

言うまでもなく、デューク氏もすべてのナチスと同様、見逃されることはない。

また、Twitter独自のコミュニティ基準への挑戦に関心が集まったのは、7月に行われた「#StopHateForProfit」広告ボイコットの影響であることは間違いない。ヘイトスピーチの排除に失敗したことに対する抗議として、主要なソーシャルメディアプラットフォームで複数の著名な広告主が広告を取り止めた(未訳記事)。

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:Mizoguchi

アップルの委託企業とサムスンがインドのスマホ製造促進プログラムに申し込み

韓国の大企業Samsung(サムスン)とApple(アップル)の委託製造パートナーである台湾拠点のFoxconn(フォクスコン)、Wistron(ウィストロン)、Pegatron(ペガトロン)、そしてインドのスマホメーカーであるMicromax (マイクロマックス)とLava(ラヴァ)などが、インド政府の国内スマホ製造推進を目的とする66億ドル(約7000億円)のインセンティブ・プログラムに申し込んだ。インド政府が8月1日明らかにした。

Production-Linked Incentive Scheme(製造推進インセンティブスキーム)と呼ばれる計画は、インド国内で製造された製品で2019〜2020年水準を上回る販売に対し向こう5年にわたって6%の財政援助をするなど、幅広いインセンティブを提供する。インドのIT大臣、Ravi Shankar Prasad(ラヴィ・シャンカール・プラサッド)氏が記者会見で説明した。

電子部品を製造する企業を含め22社がこのプログラムに申し込み、インド国内で生産された端末の60%を輸出することに同意した、とプラサッド氏は述べた。企業は5年間で1530億ドル(約16兆円)分のスマートフォンや部品を製造することを想定しているとも話した。

製造推進インセンティブスキームは、インドを高品質スマホ製造の世界的ハブに変え、Narendra Modi(ナレンドラ・モディ)首相のインドを自立した国にするという取り組みを支えるのが狙いだ。

プログラム申し込みに際し、企業は約120万人のインド国民の直接・非直接雇用を提供することに同意した、とプラサッド氏は述べた。

グローバルのスマホ販売額の50%超を占めているSamsungとAppleがインドに関心を向けていることは、2社が世界第2位のインターネット市場であるインドに機会を見出していることの表れだ、と同氏は話した。

同日、明らかにされた企業リストから漏れているのは、プログラムに申し込んでいない中国のスマホメーカーのOppo(オッポ)、Vivo(ビボ)、OnePlus(ワンプラス)、Realme(リアルミー)だ。

インド政府はあらゆる国の企業のプログラム参加を妨げていない、とプラサッド氏は同日の記者会見で述べた。調査会社Canalys(カナリス)によると、インドのスマホ市場のおおよそ80%を中国のスマホメーカーが牛耳っている。

「我々は楽観主義で、バリュー・チェーン全体で強固なエコシステムを構築し、グローバルバリュー・チェーンと統合することを楽しみにしている。だからこそインドにおける電子製造エコシステムを強化する」とプラサッド氏は話した。4月に始まったプログラムの申し込み期限は7月31日だった。

Wistron、Foxconn、Pegatronの参加は、将来インドで製造するというAppleの計画を示している。同社の委託製造パートナーで台湾拠点のWistronは2017年にiPhoneの組み立てを開始した。先月Foxconnは小ロットのiPhone 11組み立てをスタートさせた。AppleのサプライヤーがインドでiPhone最新機種を組み立てるのは今回が初となる。

画像クレジット: Karen Dias / Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

トランプ大統領がTikTok米国事業を禁止する執行権を行使すると記者団に語る

ドナルド・トランプ大統領は、世界で最も人気のあるショートビデオアプリ「TikTok」を米国で禁止するため「早ければ米国時間8月1日にも行動する可能性がある」と語った(The Hill記事)。

大統領は、7月31日にエアフォースワンの機内で記者団に、TikTokを米国から追放するために「緊急経済権限または執行命令」を行使できると話した。

このニュースは、マイクロソフトがTikTokを買収するために協議中であるとの報道が出てから数時間後に発表された。投資家は3年前のTikTokの価値を500億ドル(約5兆3000億円)と評価していると報じられている(Reuters記事)。トランプ大統領の7月31日の発言では、米企業がTikTokを買収することを支持していないことも示唆している。

同日、トランプ大統領がByteDanceにTikTokの所有権の売却を命じる可能性があると報じられた(Bloomberg記事)。大統領の決定を受けてTikTokはいつものように、アプリを維持することが米国の利益になり、国家安全保障上の脅威にはならないと主張しようとした。

1億人の米国人、特に新型コロナウイルスの感染拡大の時期には、エンターテイメントや人との繋がりを求めてTikTokに来ています。今年だけでByteDanceは1000人近くのスタッフを米国チームに採用し、さらに1万人の従業員を全米の企業の中でも厚待遇で採用できたことを誇りに思っています。当社が設立した10億ドル(約1050億円)のクリエイターファンドは、当社のプラットフォームで生計を立てている米国のクリエイターをサポートしています。TikTok USのユーザーデータは米国内に保管され、従業員のアクセスは厳重に管理されています。そして、TikTokの最大の出資をしているのは米国の投資家です。私たちは、私たちのプラットフォームで創作する人たちに家族の喜びと有意義なキャリアをもたらすために活動を続けているので、ユーザーのプライバシーと安全性の保護に努めています。

トランプ大統領の発表は、米国規制当局が米国の十代の若者たちの間で絶大な人気を誇るTikTokを、北京のスパイツールになる可能性があるという懸念からブロックすることを計画したという、数週間にわたる憶測を裏付けるものだった。

問題は、TikTokの売却や禁止がどのようにかたちになるかということだ。TikTokは北京に拠点を置く中国企業のByteDanceが所有しており、最近では中国で最も有望なテック系スタートアップとして浮上。その評価額は1000億ドル(約11兆円)と言われている。ちなみに同社は、TikTokの中国語版にあたるDouyinを中国のユーザー向けに別途運営している。

ByteDanceは、TikTokを中国の関連団体から遠ざけるために、さまざまな方法を模索してきた。ここ数カ月を見ると、ディズニーの元幹部であるKevin Mayer(ケビン・メイヤー)氏をTikTokのCEOに任命(未訳記事)したほか、アプリのデータを米国内に保存されていると主張するために、米国で1万人の雇用を創出(未訳記事)すると約束するなど多岐に渡っている。

TikTokの通信チームはまた、親会社であるByteDanceの5つの取締役会のうち4つの席が「世界で最も尊敬される世界的な投資家によって占められている」ことを繰り返すことで懸念を和らげようとしている。その中には、Susquehanna International GroupのマネージングディレクターであるArthur Dantchik(アーサー・ダンチク)氏、、General AtlanticのCEOであるWilliam Ford(ウィリアム・フォード)氏、Coatue Managementの創設者であるPhilippe Laffont(フィリップ・ラフフォント)氏、Sequoia ChinaのボスであるNeil Shen(ニール・シェン)氏などが含まれる。ByteDanceの創業者でCEOのZhang Yiming(チャン・イーミン、張一鳴)氏は取締役会の会長を務めている。

注目すべきは、Musical.lyとTikTokの合併が米国に対する国家安全保障上の脅威となるかどうかについての決定(未訳記事)を、対米外国投資委員会(CFIUS)がまだ発表していない(CFIUSリポート)ことだ。TikTokにMusical.lyの売却を命じたとしても、実際にどのように売却が行われるかは不明だ。ByteDanceが2018年にこの2つのアプリを合併した際、同社はMusical.lyの既存ユーザーにTikTokアプリのダウンロードを提案(Digital Music News記事)したが、すでにTikTokのユーザーがいたため、TikTokの現在のユーザーはすべて、厳密にはTikTokのユーザーである。

もし今回の売却がTikTokを対象としたものであれば、ByteDanceは国際的な資産をすべて売却せざるを得なくなるのだろうか。TikTokは米国外にも相当なユーザーがいる。インドが国家安全保障上の懸念を理由にTikTokを禁止する前は、多くの米国政治家の間で批判の的となっていたが、インドはアプリの最大の海外市場であった。

イーミン氏の最悪の悪夢が起こる可能性が高くなってきている。同氏は当初から国際市場を制覇することを目標としてきたが、今では彼のスタートアップが米中関係の格好の標的となっている。

画像クレジット:Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

米国の成人の大半はニュースをソーシャルメディアに頼っている

Pew Research(ピュー研究所)の最新のレポートは、ニュースの大半をソーシャルメディアプラットフォームで得ている米国の成人をより理解し、最近の出来事や政治情勢をどの程度理解しているのかをテレビやラジオ、ニュース出版物を情報ソースとしている人と比較しようという試みだ。同研究所によると、調査結果の最も注目すべき点は、ニュースをソーシャルメディアに頼っている人はニュースをさほど熱心に追いかけない傾向にあり、結果としていくつかの重要なテーマで情報不足となっていることだ。

これは、もちろん多くの人がすでに感じていることを裏付けている。それは、たとえば主にFacebook(フェイスブック)でニュースを得ている人はさほど情報が十分ではない、ということだ。

しかしピュー研究所がなぜこうした結論に至ったのかを理解し、データでは明確ではないが、そうしたプラットフォームにどの程度落ち度があるのかを議論することは重要だ。

ピュー研究所はまず、通常どのようにニュースを得ているかを人々に尋ねた。

おおよそ5人に1人(18%)が世間の動向を把握するためにソーシャルメディアを使っている、と答えた。この割合は、ローカルテレビ(16%)、ケーブルテレビ(16%)とほぼ同じだが、ニュースウェブサイトまたはアプリで直接チェックすると答え人(25%)より少なかった。他の13%はネットワークテレビと答え、新聞を読むと答えた人はわずか3%だった。

画像クレジット:Pew Research

はっきりさせておくと、自身がどれだけ何かをやっているかをユーザーに答えてもらう調査は、消費者が実際にやっていることについてのハードデータを集める調査ほど有益ではない。平たくいうと、ニュースの大半をテレビから得ていると考えている人たちは実際にはソーシャルメディアで費やしている時間を過小評価しているかもしれない。その逆もまた然りだ。

「主に」ソーシャルメディアニュースの消費者グループの8%だけが2020年米国大統領選の主要ニュースを「かなり熱心に」フォローしていると答えた。これに比べ、ケーブルテレビ視聴者では37%、印刷媒体を利用するユーザーは33%だった。ソーシャルメディアグループは、ローカルテレビグループ(11%)に近かった。

新型コロナウイルスに関しては、主にソーシャルメディアニュースに頼っている人のおおよそ4分の1(23%)が、新型コロナ(COVID-19)のニュースを「かなり熱心に」フォローしていると答えた。他のグループはまたしてもこのトピックに関する割合は高く、ケーブルテレビ利用者で50%、全国ネットワークテレビ利用者も50%、ニュースウェブサイト・アプリ利用者で44%、ローカルテレビ利用者で32%だった。

こうした結果に関連して、調査参加者はまた、トランプ大統領の弾劾や新型コロナパンデミックなどを含む最近のニューストピックに関する29種の事実ベースの質問を尋ねられた。こうしたトピックで最もスコアが低かったのは、ニュース源を主にソーシャルメディアに頼っていると答えた消費者だった。

基礎的な政治知識に関連する9つの質問では、ソーシャルメディアユーザーの17%のみが9つの質問で8つ正解という「高い政治知識」のスコアとなった。27%が「中程度の政治知識(6~7問正解)」、57%が「低い政治知識(正解は5問以下)」だった。「低い政治知識」割合が最も高かったのはローカルテレビのグループだった。

画像クレジット:Pew Research

一方、ニュースを主にウェブサイトやアプリから得ている人の45%が「高い政治知識」を有していた。ラジオでは42%、印刷出版物で41%、ケーブルテレビで35%、ネットワークテレビで29%だった。

ソーシャルメディアに頼るグループはまた、他のグループよりも陰謀論にさらされる傾向にあった。陰謀論とは、例えば新型コロナパンデミックは意図的に計画されたものだった、というような考え方だ。主にソーシャルメディアで情報を得ている人の4分の1近く(26%)が陰謀論について「かなり」見聞したと答え、81%が少なくとも「少しは」と答えた。この割合は他のニュースプラットフォームよりもかなり高く、陰謀論がいかにソーシャルメディアで多く拡散するかを示している。

画像クレジット:Pew Research

にもかかわらず、ソーシャルメディアを利用するグループは、作られたニュースの影響についてさほど心配していない、と答えた。おおよそ10人に4人の割合(37%)で、たとえば2020年大統領選に関する作られたニュースの影響について「かなり憂慮している」と答えた。これは、ローカルテレビ視聴者(35%)を除いて、他のグループよりも低い。ケーブルテレビ視聴者は58%と、最も憂慮していた。

おそらく最も心配なのは、そうした陰謀論が人々の心を支配するパワーだ。ソーシャルメディアニュース利用者の一部は新型コロナ陰謀論を認識していて、ソーシャルメディアで新型コロナ情報を頻繁に得ている44%が陰謀論のセオリーは少なくとも「おそらく正しい」と答えた。新型コロナ情報でさほどソーシャルメディアに頼っていない人では33%にとどまった。

画像クレジット:Pew Research

この調査ではまた同様の手法で、新型コロナ影響やそれに関する健康問題ニュースといったトピックについて、ソーシャルメディアニュース利用者の知識を他のソース利用者のものと比較した。そしてまたしても、ソーシャルメディアグループは知識の欠如を示した。

画像クレジット:Pew Research

今回の調査の結論はというと、ソーシャルメディアユーザーは情報を多く得ていないということだ。これはこうした特定のテーマに関してはかなり正確のようだ。しかし、結論が暗示するところ、少なくとも一部の人がこのレポートから得ることは、主要情報源としてソーシャルメディアに頼っているから情報が不足しているということだ。しかしこのデータからするに、それは必ずしも真実ではない。

そうした結論の問題の1つは、ソーシャルメディアの人口統計だ。ピュー研究所の踏査ではまた、ソーシャルメディアを主要ニュースソースとする人は若く、48%が18〜29才だ。彼らはまた受けた教育が高等ではない傾向にあり、カレッジを卒業している人は26%にとどまる。対照的に、ニュースウェブサイトを利用する人でカレッジ卒は47%、出版メディア利用者では49%だ。もちろん、高等教育の欠如は部分的にはソーシャルメディア利用者が若い世代に多いという事実と結びついている。

画像クレジット:Pew Research

これまでもそうだが、若い人は年配の人と同様には政治に関心持たない。また投票にも熱心ではない。彼らは大学や新たな仕事のために引っ越したり、あるいは投票する習慣がなかったり、そして往々にして有権者登録の期限を過ぎたりするため、地元の政治にさほどかかわらない。そもそも市民の義務について十分に教育を受けていなかったり、年配の人が受けてきた教育とはギャップがあったりするのかもしれない。若者の多くが政治から疎外されていると感じていたりする。

他のトピックに関しても、若い人は同様に距離を感じてさほどかかわらないのかもしれない。たとえば、多くの若年成人が新型コロナは年配の人にだけ影響を及ぼすと考えていつものような行動をとり、感染拡大に無頓着だ。

そうであれば、ニュースについての知識の欠如は使用しているプラットフォームのせいではなく、彼らの全般的な話題への関心や関わりの欠如のせいなのかもしれない。

画像クレジット: SuperStock / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

TikTokの米国事業に対する圧力が高まる中、Bytedanceはユーザーのつなぎ止めを模索

TikTok(ティックトック)の米国事業が存亡の危機に瀕したジェットコースターに乗っている間、親会社であるBytedance(バイトダンス)が事業の維持継続できるように、米国の企業と言論の自由、大量の資金、そして議論で、規制当局と一般大衆を揺さぶろうとしている。

同社の米国内でのビジネスを検証しようとする動きは、TikTokの米国事業を継続するために大統領の禁止令の回避やMicrosoft(マイクロソフト)からの入札の可能性があるとの報道が渦巻いていることを受けてのことだ。

米国内の競合他社や政治的な攻撃に直面する中、TikTokとその親会社であるBytedanceは、米国の公民権運動の擁護者をいくつかピックアップした。米国時間8月1日夜遅く、米国公民権連合(American Civil Liberties Union、ACLU)はトランプ大統領が提案した禁止措置(未訳記事)に異議を唱えるツイートをした。

「いかなるインターネットプラットフォームでも、我々は機密の個人データが政府に漏れる危険性を懸念すべきである」とACLUと説明したあとで「しかし、今回のTikTokの米国事業の禁止が法的に可能であったとしても、1つのプラットフォームをシャットダウンすることは、オンラインでの言論の自由を害し、不当な政府の監視というより広範な問題を解決するものにはならない」と続けた。

一方中国では、米国がBytedanceに米国の利益を売却することを強要することに抵抗感を持っているよ人が多いようだ。新浪科技がソーシャルメディアプラットフォーム「微博」で実施した調査(Weibo投稿)では、BytedanceがTikTokをマイクロソフトに売却する可能性があることについてどう思うかを尋ねたところ、回答者75.3万人のうち36.7万人が「消極的で無力な解決策であることは理解できる」とし、35.1万人が「失望している、もう少し持ちこたえてくれることを期待している」と答えている。

サービスの所有権が不明のままであるにもかかわらず、TikTokは米国での運営を継続することをユーザーに安心してもらうために迅速に動いた。同社はまた、ユーザーデータの取り扱いを誤る可能性があることを理由に離反者に直面しているにもかかわらず、クリエイターへのアピールを強化している。

米国時間7月28日には、同社の最大のセレブたちが集まって4700万人の視聴者を集め、Trilerと呼ばれるTikTokのプラットフォームを捨ててはるかに小さなライバルのTrilerに乗り換える(Los Angels Times記事)ことを明らかにした。

Trilerは、TikTokが米国で爆発的な人気上昇を始めた2年前の2015年に設立され、Snoop Dogg(スヌープ・ドッグ)、The Weeknd(ザ・ウィークンド)、Marshmello(マシュメロ)、Lil Wayne(リル・ウェイン)、Juice WRLD(ジュースWRLD)、Young Thug(ヤング・ジューク)、Kendrick Lamar(ケンドリック・ラマー)、Baron Davis(バロン・デイヴィス)、Tyga(タイガ)、TI、Jake Pual(ジェイク・ポール)、Troy Carter(トロイ・カーター)を含む米国の音楽やエンターテイメントの大物が支援している。

Trilerには現在、TikTokのスターであるJosh Richards(ジョシュ・リチャーズ)、Griffin Johnson(グリフィン・ジョンソン)、Noah Beck(ノア・ベック)、Anthony Reeves(アンソニー・リーブス)が投資家やアドバイザーとして参加している。また、リチャーズ、ジョンソン、ベックとリーブスはTrillerからも補償を受けているが、TikTokをやめる理由として挙げているのは、政府のセキュリティー上の懸念だ。

Trillerは「取引の詳細は非公開だがリチャーズ、ジョンソン、ベック、リーブスにも補償を行っている。にもかかわらず、クリエイターは中国に所有されている会社のセキュリティ慣行を警戒するようになったのでTikTokを離れることになった」と説明する。

「米国や他の国の政府がTikTokを懸念しているのを見て、私のフォロワーや他のインフルエンサーを保護し、導く責任があることを知って、起業家としての本能に従い、解決策を見つけることを使命としました」と、最高戦略責任者に就任するリチャーズ氏はLos Angels Times紙に語っている。

TikTokはこういった動きに同社のクリエイターファンド(未訳記事)の大幅な増額で応えた(TikTokブログ投稿)。当初は2億ドル(約212億円)に設定されていたが、今週初めにTikTokの最高経営責任者である(ケビン・メイヤー)氏は、ファンド総額は今後3年間で10億ドル(約1060億円)に達すると発表した。

TikTokのこの魅力的な攻勢はユーザーの流出を食い止めることができるかもしれないが、同社はユーザーデータに関する懸念に対処する必要があるだろう。ユーザーデータの保護は同社にとって最も差し迫った脅威であり、対処するための準備が最も不足している。

Mammoth BiosciencesのCRISPRベースのCOVID-19テストがNIHのRADxプログラムを通して資金獲得

米国時間7月31日、CRISPR(クリスパー)技術スタートアップのMammoth Biosciences (マンモス・バイオサイエンス)が、米国立衛生研究所(NIH)のRapid Acceleration of Diagnostics(RADx)プログラムから資金を獲得したことをに明らかにした。Mammothは、自社が開発するCRISPRベースのSARS-CoV-2(新型コロナウィルス)診断テストを拡大し、米国全体の検査不足問題に対応するために、この契約を締結した。

MammothのCRISPRベースのアプローチは、PCR技術に基づく既存の方法と比較した場合、検査の手法が非常に異なるために、現在の検査のボトルネックを解消するための重要なソリューションとなる可能性がある。またスタートアップは製薬大手のグラクソ・スミスクライン(GSK)の協力を得て、新しいCOVID-19検査ソリューションの開発および生産を行っている。これはわずか20分で医療現場で結果を判定することができる、携帯性に優れた使い捨て式の検査手段である。

同社の検査はまだ開発中だが、今回受け取ったRADxの資金は、民間検査室で利用できるように、同社のDETECTRプラットフォームの製造を拡大するために使われる。これは、GSKと一緒に開発しようとしている「その場検査」ではなく、検査室で行うソリューションだが、それでも「検査能力を何倍にもできる」ものである。

すでに、カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)は、FDAからSARS-CoV-2の検査のためにDETECTR試薬セットを使う緊急使用許可(EUA)を受けているが、スタートアップは同様の検査能力を米国内の他のラボにも拡張できることを望んでいる。

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(翻訳:sako)

TikTokは保留中の米国事業の禁止を受けて「米国から離れる予定はない」と表明

TikTokの米国事業のゼネラルマネージャーを務めるVanessa Pappas(ヴァネッサ・パパス)氏は米国時間8月1日、トランプ大統領が米国で中国製アプリの「禁止」に取り組んでいるという報道への対応と思われるビデオメッセージを投稿した。彼らがこれを実行できるかどうかは未解決のままだが、その間にTikTokは米国のユーザーを安心させたいと考えているようだ。この漠然とした、しかし潜在的に存在する脅威に対応して運営計画を変更するつもりはないようだ。

パパス氏のメッセージは保留中の米国の禁止に対して「米国から離れる予定はない」という内容が、米国のTikTok全ユーザーに通知された。

TikTokはこれを、アプリのプッシュ通知やウェブサイトで公表し、コミュニティ全体を安心させる狙いだ。ユーザーへの感謝の意を表す内容から始まり、米国を拠点とした貢献、すなわちこれまでに創出した雇用と今後の創出を約束した雇用、米国および世界のクリエイターを支援するために設立した基金の一部について強調している。

パパス氏は最後に、TikTokは「長期的に米国に留まる」と主張し「TikTokのために立ち上がる」ためのコミュニティの支援を呼びかけている。

トランプ大統領は早ければ米国時間8月1日に米国からのアプリへのアクセスを禁止する命令に署名する予定だと主張したが、これに続いてマイクロソフトが同社の中国に拠点を置くオーナーであるByteDanceと米国事業の買収の可能性を巡って協議中であるとの報道があった。

トランプ大統領はホワイトハウスでの報道陣へのコメントで、その可能性を否定しているように見えたが、米国時間8月1日の朝に発表された内容によると、マイクロソフトはTikTokの株式を取得し、米国ユーザーのデータの管理を引き継ぐために実際に交渉中で、あらゆる禁止を食い止めるための水面下の取引を進めているようだ。

しかしByteDanceは、中国企業が米国を拠点とするTikTokの運営を米国の所有者に完全に売却しない限り、トランプ氏がそうすることができると仮定して、米国内の関係者と取引を進めているようだ。

繰り返しになるが、トランプ大統領が米国中でアプリを禁止することについて実際にどのようなに裁定を下すのかは明らかではないが、ByteDanceは米国の関係者と協力して、中国企業が米国のオーナーにTikTok事業を完全に売却しない限り、アプリが利用できなくなることを前提にした取引を進めているようだ。

Chesnot / Getty Images

(翻訳:TechCrunch Japan)

米国TikTok事業の売却でByteDanceとマイクロソフトが合意、米国内ではマイクロソフト以外の企業が運営か

ロイターの報道によると、中国のByteDance(バイトダンス)が米国でのTikTok(ティックトック)事業を売却することで合意したという。この取引では、Microsoft(マイクロソフト)は米国に拠点を置くユーザーのデータの管理を引き継ぐことになる。またこの契約により、マイクロソフト以外の別の会社が米国でTikTokを運営することが可能になる。これによりTikTokは、トランプ大統領が脅したとされる執行命令の疑惑を回避し、米国内でのサービス運営を継続することができるようになる。

執行命令の疑惑とは、ByteDanceは以前に同社の少数株主を維持できるような取引を模索していたこと。結局はホワイトハウスがこの提案を却下したため、この計画は最近になって頓挫したようだ。

今回の新しい取引のもとでは、マイクロソフトは米国に拠点を置くユーザーのデータ保護を担当し、米国に拠点を置く別の会社がTikTok の運営を許可されることになる。ただし、この契約でTikTokが米国内での運営を継続することができるかどうかは不明だ。

マイクロソフトとホワイトハウスにコメントを求めたが現在のところ得られていない。

このニュースは、トランプ大統領が中国系アプリの米国内での運営を禁止する執行命令に署名(未訳記事)すると記者団に語った数時間後に発表された。これを受けてByteDanceは以下の声明を発表した。

1億人の米国人、特に新型コロナウイルスの感染拡大の時期には、エンターテイメントや人との繋がりを求めてTikTokに来ています。今年だけでByteDanceは1000人近くのスタッフを米国チームに採用し、さらに1万人の従業員を全米の企業の中でも厚待遇で採用できたことを誇りに思っています。当社が設立した10億ドル(約1050億円)のクリエイターファンドは、当社のプラットフォームで生計を立てている米国のクリエイターをサポートしています。TikTok USのユーザーデータは米国内に保管され、従業員のアクセスは厳重に管理されています。TikTokの最大の投資家は米国から来ています。TikTokの広報担当者は「私たちは、私たちのプラットフォームで創作する人たちに家族の喜びと有意義なキャリアをもたらすために活動を続けているので、ユーザーのプライバシーと安全性の保護に努めています。

画像クレジット:Lionel Bonaventure / AFP (opens in a new window)/ Getty Images

アマゾンのインターネット衛星コンステレーションKuiperがFCCの承認を獲得、1兆円超の投資を発表

Amazon(アマゾン)は、これまで計画していた3236基のインターネット用衛星コンステレーションの打ち上げに対する米国連邦通信委員会(FCC)の承認を得た(Amazonリリース)。その衛星群はアマゾンのProject Kuiperの柱であり、それまで高速インターネット接続を得られなかった米国の世帯に高速低遅延のブロードバンドインターネットサービスを人工衛星から提供しようとするものだ。

当局からの重要な承認と並行してアマゾンは、Kuiperに100億ドル(約1兆500億円)あまりを投じると発表した。その費用は衛星の構築や試験ばかりでなく、顧客が実際に接続を利用できるために必要な地上局ネットワークのインフラストラクチャの構築も含む米国に雇用を生み出すものだ。

アマゾンのKuiperの計画には、消費者直通のサービスだけでなく、キャリアのための中継回線(バックホール)のネットワークサービスも含まれる。これによりキャリアは、高速のLTEおよび5Gワイヤレス接続を、対応した地上局がない圏域の顧客にも提供できる。アマゾンによると、これは米国だけでなく全世界に提供される。つまりKuiperのネットワークは最初は米国市場だけのものだが、その後グローバルに拡張される計画になっているのだ。

実際のところ、アマゾンはSpaceXの後を追う形になっている。後者はすでにそのStarlinkネットワークのために衛星を打ち上げており、2020年の夏にはベータテストが行えるようになるという。しかしJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏が率いるeコマースの巨人は、ワシントン州レドモンドにKuiperの開発専用の新たなR&D施設をオープンさせること。そして同じくベゾス氏の宇宙への打ち上げ企業であるBlue Originもそのパートナーであることから、この強力でパートナーシップによりKuiper用衛星の打ち上げサービスは比較的早く準備が整うかもしれない。

低地球軌道衛星と呼ばれるこの新興市場において、勝者は1人ではない。遅延と速度と接続の質に関してこれらのネットワークがその約束を十分に守れるのであれば、複数のプロバイダーが文字通り地球規模で十分に競争できるだろう。アマゾンによる100億ドルの投資も、その実現することに賭ける理由の1つだ。大きな衛星コンステレーションの打ち上げには、その前段階のインフラの費用も膨大であるため、それだけの資金を確実に用意できる競合他社はそれほど多くはない。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

CiscoがModcamを買収して自らのスマートカメラ製品ラインを強化

IoTの普及に歩調を合わせ、セキュリティカメラの高性能化も進んでいる。現在、こうしたデバイスには機械学習機能が備わっており、カメラの視野にあるものが何かを自動的に識別できるようになっている。例えば動物なのか、あるいは侵入者なのかなどを見分けることが可能だ。米国時間7月31日、Cisco(シスコ)はスウェーデンの新興企業であるModcam(モッドカム)を買収したこと、そしてそれを自社のMeraki(メラキ)スマートカメラポートフォリオの一部に加え、Modcamの技術を統合することを発表した。

両社は買収価格を明らかにしなかったが、Ciscoは買収が完了したと語っている。

契約を発表したブログの投稿の中で、Cisco MerakiのChris Stori(クリス・ストーリ)氏は、Modcamの獲得によってMerakiの機械学習が強化されると同時に、優れたエンジニアリング人材も手に入ることになると語る。

Modcamを買収することで、Ciscoは機械学習、コンピュータービジョン、クラウド管理カメラに対する豊富な専門知識を持つ、非常に才能のあるエンジニアのチームに投資することになるのです。Modcamはカメラを今よりもさらにスマートにするソリューションを開発したのです」と彼は書いている。

彼が語りたいのは、Merakiはすでにモーション検知機能や機械学習機能を備えたスマートカメラを持っているものの、これは現在1台のカメラだけに限定されているということだ。Modcamが提供するのは、情報を収集し複数のカメラ出力に機械学習を適用できる追加機能であり、カメラの機能を大幅に強化してくれる。

「Modcamのテクノロジーを使用することで、非常に微細なレベルの情報をつなぎ合わせることができるようになり、複数のカメラが現実世界に対するマクロレベルのビューを提供できるようになるのです」とストーリ氏は語る。例えば実際に、施設管理チームに対して利用可能なスペースのより完全なビューを提供することができる。これは企業がパンデミックの中で、安全な方法で営業を行おうとするときに特に重要なシナリオだ。Modcamが売り込んでいた別のシナリオは、製造現場で何が起こっているかをより完全に把握することだ。

Ciscoが「小さなチーム」としか説明していなかったModcamsの全従業員がCiscoに加わり、ModcamのテクノロジーはMeraki製品ライン内に組み込まれ、スタンドアロン製品としては提供されなくなると、Ciscoの広報担当者はTechCrunchに語った。

Crunchbaseのデータによると、Modcamは2013年に創業され、これまでに760万ドル(約8億円)を調達している。一方、Ciscoは2012年にMerakiを12億ドル(約1270億円)で買収していた。

関連記事:Cisco、企業向けWi-FiスタートアップのMerakiを現金12億ドルで買収

画像クレジット:Cisco

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(翻訳:sako)

マイクロソフトがTikTokの米国事業買収で中国のByteDanceと協議中

Bloombergの記事によると、Donald Trump(ドナルド・トランプ)大統領は大人気ソーシャルビデオアプリTikTokのオーナーである中国のByteDance対してに、同社からの売却を命じる計画を立てているようだ。このアプリは親会社が中国の企業であり、米国のセキュリティ上の懸念の対象になっている。

この報道に続いて話題になっているのは、米国などの国々でもユーザー数が多い中国のソーシャルネットワークサービスをMicrosoft(マイクロソフト)が買収する商談を行っているというBloombergThe NewYork Timesの報道だ。TikTokは中国では利用できず、中国のユーザーは代わりにByteDanceが所有する類似アプリであるDouyinを利用している。

この売却が何を意味しているのか、果たして大統領が関与しているのか、詳細はまだ何もわかっていないが、もし実現すればテクノロジーの世界に巨大な波がやってくるだろう。TikTokは、YouTubeやFacebook(フェイスブック)のような米国を拠点とするソーシャルネットワークにとって、唯一の規模などにおいても無視することができない外部の競争相手だ。

また、売却によってTikTokの米国事業がなんらかの形でスピンアウトするのか、それとも同社の幅広い国際的事業がそのまま残るのかもわからない。

TikTokは、米国におけるトラブルを承知している。米国のテクノロジー企業でさえ規制当局から攻撃される時代である現在、同社は中国の所有権に関する米政府の懸念を払拭しなければならないことを知っている。TikTokは2020年5月に戦略的な動きを見せ、Disney(ディズニー)の役員であったKevin Mayer(ケビン・メイヤー)氏を同社のCEOおよびByteDanceのCOOに迎えた(未訳記事)。

関連記事:Disney streaming exec Kevin Mayer becomes TikTok’s new CEO(未訳記事)

米国のテクノロジー大手がTikTokItを買収するとしたら、今は確かに奇妙なタイミングだ。米国時間7月29日には議会の委員会が、テクノロジー業界の最大の合併と買収を厳しく追及した。ホワイトハウスはTechCrunchに対して、記事へのコメントを拒否している。

7月29日水曜日にはApple(アップル)、Google(グーグル)、フェイスブックそしてAmazon(アマゾン)が4時間あまり議会で締め上げられたが、その中にマイクロソフトの姿はない。マイクロソフトはすでに以前、反トラストの嫌疑で米政府にやられたことがある。またマイクロソフトが消費者よりもエンタープライズにフォーカスしていることも、規制当局が見逃した理由だろう。しかしTikTokの一件は連邦政府からの特例でもないかぎり、議会や政府の新たな注意を招きかねない。

TikTokに対する政府の監視は最近ますます厳しい。ついに大統領までもが(未訳記事)、米国でのTikTokの禁止に関心を示している(The New York Times記事)。今週、Joe Biden(ジョン・バイデン)氏はキャンペーンでスタッフに対して仕事用でも個人用でも、自分のデバイスからTikTokのアプリを削除するよう求めた(The Verge記事)。

米国の一部の企業は、やはりオーナー企業が中国籍である懸念から、社員たちにこのアプリの使用を禁止している。

画像クレジット: Lionel Bonaventure/AFP/Getty Image

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Apple Watchかと見まがうようなOppo Watchが登場

このOppo Watchは注目に値する。Apple(アップル)の製品から多くのものを取り入れているスマートウォッチは少なくないが、ここまで大胆不敵に実行したのはOppoくらいのものだろう。FitbitもVersaシリーズでは角の丸い四角形の形を真似したではないか、と思われるかもしれないが、そうした漠然とした類似性を言い出したらキリがない。そもそも伝統的な丸い文字盤の腕時計の形状から抜け出そうとしたとき、ハードウェアメーカーには、それほど多くの形状の選択肢は残されていないのだ。

画像クレジット:Oppo

プレス資料で見る限り、Oppo Watchは控えめにいってもApple Watchの生き写しのようにしか見えない。もちろん根本的な違いは、いくつかある。まず挙げるべき大きな違いは、その存在が忘れられがちなGoogle製のウェアラブル用OSであるWear OSで動いているということ。もう1つの違いは、「2重カーブ画面」を採用していること。それによって、デバイス上で文字盤の占める面積を極大化している。サイズは2種類あるが、45mmモデルでは本体の74%が画面、41mmモデルでは65%が画面となっている。ディスプレイ部分の物理的な対角サイズは、それぞれ1.91インチ(約48.5mm)と1.6インチ(約40.6mm)だ。

Wi-Fiに加え、45mmモデルにはLTEバージョンもある。いずれのモデルもGPSとGLONASSを併用した位置検出機能、心拍モニター、睡眠分析機能を備える。バッテリー容量は、大きい方が430mAh、小さい方は300mAhとなっている。Oppoによれば、大きい方のモデルは、1回の充電で約36時間使用でき、75分でフル充電が可能だという。またバッテリー節約モードに設定すれば、2、3週間は持続可能としている。

Oppo Watchは、米国時間7月31日に一部の市場で発売された。Wear OSを装備したスマートウォッチの種類は多いが、ここまでApple Watchにそっくりな製品は他に見当たらない。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

TikTokが特許侵害でライバルのTrillerに提訴される

ソーシャルビデオプラットフォームのTriller(トリラー)は、最大のライバルであるTikTok(ティックトック)と親会社のByteDance(バイトダンス)に対して特許侵害訴訟を起こした。米テキサス州西部地区の連邦地裁への提訴では、TikTokがTrillerの米国特許第9691429号を侵害したと主張している。この特許は「音声トラックと同期する音楽動画を作成するためのシステムと方法」を対象としている。

この特許は、Trillerの共同創業者であるDavid Leiberman(デビッド・リーバーマン)氏とSamuel Rubin(サミュエル・ルービン)氏を発明者として認めている。もともと2015年4月11日に出願され、2017年6月27日に登録された。

この特許は、ある音声トラックが流れているときに複数の動画が再生される場合などに、音声と同期させた動画を作成する方法を記述している。同社によれば、TikTokでは現在、同じ音声トラックに対し複数の動画をつなぎ合わせることができるため(特許による)機能を侵害しているという。

Trillerは訴状で、動画といっしょに再生する単一の音声トラックを選択する点でTikTokがどう機能するかについて説明している。また、2019年12月11日付のTikTok Newsroomブログの投稿についても指摘している。TikTokは新しい「グリーンスクリーンビデオ」効果を紹介した。この投稿では、ユーザーが撮影した動画を背景に流し、曲と同期させる方法の効果について説明している。訴状の中ではこれを侵害的な利用例として提示している。

Trillerは訴状で、2020年7月27日に電子メールでTikTokに侵害の通知が送達されたと述べている。

TikTokは音声トラックに動画を同期するアプリを提供する唯一の会社ではないが、最大の会社だ。アプリストア情報会社のSensor Tower(センサータワー)のデータによると、TikTokアプリの現在のインストール数は米国で1億8900万件を超えているが、Trillerは2300万件超だ。Trillerよりもインストール数が多い競合他社はDubsmash(ダブスマッシュ)のみで、これまでに米国で4150万件ダウンロードされた。米国でのインストール数はLomotif(ロモティフ)が2120万件、Likee(ライキー)が1600万件、Byte(バイト)が250万で、いずれもそこまでの影響力はない。

TrillerはDubsmash、Instagram(Reels機能)、Lomotifなど、他の競合他社に対しても同様に特許訴訟を起こす可能性がある。ただし、個々のアプリのエクスペリエンスの侵害状況を弁護士が詳細に調査するため、提訴は一度に全部ではなく1社ごとに行われる可能性がある。

Dubsmashにコメントを求めたところ、Trillerからは何も受け取っていないと答えた。

「Dubsmashの立ち上げがTrillerのApp StoreとPlay Storeでのサービス開始6カ月前だったことを踏まえると、彼らが訴えるとしても無理があると思う」と、Dubsmashの共同創業者兼社長であるSuchit Dash(スチット・ダッシュ)氏は述べた。TikTokはこれまでのところ、コメントの要請に回答していない。Instagramもコメントしていない。

執筆時点でTrillerによる他の提訴案件はない。

Musical.ly(ByteDanceが買収したTikTokの前身)には、2016年出願、2017年登録の「リップシンクビデオの生成と共有」に関連する特許があるが、この特許については訴状では言及していない。

この訴訟に必要な資金をどう調達するつもりなのかTrillerに問い合わせたところ、同社は「複数の世界最大級の金融機関の支援がある」と回答し、法廷へ持ち込む準備は整っているという。

実際Trillerには、Lowercase Capital(ローワーケースキャピタル)、Carnegie Technologies(カーネギーテクノロジーズ)、映画制作会社のProxima Media(プロキシマメディア)、台湾のFubon Financial Holding Co.(富法金控)、インドネシアのGDP Venture(GDPベンチャー)(The Wall Street Journal記事)が出資している。WSJ(ウォールストリートジャーナル)は2019年にTrillerがベンチャーキャピタルから2800万ドル(約30億円)を調達し、事業が1億3000万ドル(約140億円)で評価されたと報じた。Crunchbaseによると同社は現在までに3750万ドル(約40億円)を調達している。

Trillerによる訴訟のニュースは、The Wrap(ザ・ラップ)とBloomberg Law(ブルームバーグロー)が最初に報じた。

訴訟は、TikTokのアプリが米国で厳しい視線にさらされているタイミングで行われている。

Steven Mnuchin(スティーブン・ムニューシン)財務長官は米国時間7月29日に対米投資委員会がTikTokのアプリを調査中であると認めた(CNBC記事)。同氏の発言はMike Pompeo(マイク・ポンペオ)国務長官の発言に続くものだ。ポンペオ氏は2020年7月初め、米国が国家安全保障上の懸念からTikTokやその他の中国のソーシャルメディアアプリの禁止を検討していると述べた。

禁止されればTrillerにとってはプラスだ。こうした背景を考えれば提訴のタイミングはまったく偶然ではない。

同社はまた、新たな資金調達を計画していると報じられた。Fox Business(フォックスビジネス)は、TikTok禁止が話題になる中、Trillerは2~3億ドル(約210~320億円)を調達する予定だと報じた。

特にTrillerの経営陣は、TikTokがユーザーにTikTokのプラットフォームだけに動画を投稿するようインセンティブを与えていることに驚いている。

「TikTokはインフルエンサーがTrillerに投稿しないよう、実際にはTrillerへの投稿を禁止するために、インフルエンサーファンドの資金からインフルエンサーに金を払っていることを知りショックを受けた」とTrillerのCEOであるMike Lu(マイク・ルー)氏は語った。7月29日の反トラスト法(独占禁止法)の公聴会で明らかになったような大手テック企業に対するネガティブな感情の高まりが利用できると期待して、ルー氏はTikTokの動きが反競争的だと付け加えた。

「それは倫理的でも合法的でもないというのが当社の意見だ」とルー氏は述べた。「もしすべての『200B企業(時価総額2000億ドル=約2兆1000億円以上の企業)』が顧客に金を払って競争相手のスタートアップに行かないよう促すなら、米国の起業家精神は死に絶え、新しい企業は存在できなくなるだろう」。

Triller v TikTok by TechCrunch on Scribd

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:Mizoguchi

Google Oneが15GBまでのスマホバックアップ機能をAndroidとiOS向けに無料提供

ストレージの追加購入とライブサポートが提供されるGoogle(グーグル)のサブスクリプションプログラムのGoogle Oneが、米国時間の7月29日にアップデートされた。これによりAndroidとiOSデバイスの無料バックアップが有料会員でなくても、アプリをインストールした全員に提供される。注意点として、この機能は無料だが無料で提供されるGoogleストレージの容量は15GBだ。もしより大きなストレージが必要な場合には、Google Oneの有料メンバーになることで100GBの容量が月額1.99ドル(約210円)から利用できる。

画像クレジット:Google

2019年よりAndroid版の有料会員がこの機能を利用できるようになっており、グーグルのクラウド上にテキスト、連絡先、アプリ、写真、動画を保存可能だ。現時点でこの無料バックアップはAndroidユーザーのみの機能で、iOSユーザーは近い将来にGoogle OneアプリがiOS向けにリリースされた時点で、同機能を利用できるようになる。

画像クレジット:Google

今回のアップデートでは、Google Oneにアプリやウェブ上で利用できる新しいストレージマネージャーツールが導入されており、必要に応じてファイルやバックアップが削除できる。このツールはグーグルのサービス全体で動作し、例えば非常に大きな添付ファイルが存在するメールや、Googleドライブのストレージ内にある大きなファイルを見つけることができる。

この無料バックアップ機能で、グーグルはあきらかにGoogle Oneのユーザーを増やそうとしている。また、無料プランでの15GBのストレージ制限にすぐに到達してしまうが(さらに、Gmailなど他のグーグルのサービスと共有される)、 100GBプランの1.99ドルはGoogle Photosのようなアプリを使うグーグルのエコシステムの一部になっていて人にとっては大きな出費ではないだろう。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

ツイッターが「送信取消」などユーザーが有料会員制で実装して欲しい機能をアンケートで調査

2020年7月初めにTwitter(ツイッター)は投資家たちに対して、売上を増やし経営を支えるためにサブスクリプション方式を検討していると告げた。そして米国時間7月31日、そのためにツイッターが考えている付加価値機能が明らかになった。同社はアンケート調査で、有料の機能をユーザーに評価させた。その中には(エディットボタンに代わる)「undo send(送信取消)」や色指定、長くて高画質のビデオ、プロフィールバッジのサポート、自動応答、「ソーシャルリスニング」の追加、広告に関するブランド調査などがある。

アンケート調査はユーザーに、最も重要だと感じる機能と、その逆である不要な機能を選択させている。

調査の詳細はツイッター自身が、ユーザー「@WFBrother」で公開されている。その内容を見た目ざといソーシャルメディアコンサルタントであるMatt Navarra(マット・ナバラ)氏が盛り上げている(Twitter投稿)。

ツイッターの有料/サブスクサービスでは、こんな機能が検討されている。あなたはどれにお金を払いたいかな?

ツイッターの広報担当者は、これらの質問がアンケートにあるように、ある会員制のためのオプションを評価する調査の項目であることを確認している。

同社から他のコメントは得られていないが、Q2の株主宛書簡(Twitter投稿)では計画の詳細を次のように説明している。

「広告収入を補完する、今後の新たな売上製品の可能性を探る初期的な段階にある。それにはサブスクリプションやその他の方法もありますが、調査はまだ極めて初期のものであり、2020年の売上に貢献するようなものはない。調査の今後の進展に伴い、テストを行ったり、テストを参照したり、それらについての説明を聞いたりすることがあるかもしれません」。

今回のアンケート調査では、ユーザーに次のような選択肢を尋ねている。

  • Undo Send(送信取消): 30秒以内ならそのツイートを誰も見る前に取り消すことができる。これは、同社が以前、「Edit(編集)」ボタンと同様のオプションとして提案したことがある。ユーザーは何年も前から要望してきた。しかし、技術的に大きな変更となるツイートの無制限編集を許すのではなく、投稿した直後に間違いを手早く修正できた方が良いかもしれない。
  • Custom Colors(色指定): 「ダークモード」に加えて、スマホやコンピューターの上でフォントやテーマの色を変えられる機能。背景色やリンク、メンション、ハッシュタグ、アイコンなどの色を好きなものにできる。
  • Video Publishing(ビデオ投稿):現在、デフォルトで最大で5倍長い動画を投稿できる。最大解像度は8192×8192となる。
  • バッジ:あなたの会社へのリンクをバッジとしてプロフィールに載せることができる。例えばジャーナリストなら、自分が連載している雑誌を他のユーザーに知らせられるようになる。
  • Auto responses(自動応答): 自動応答を書いて設定しておくと、リプライでそれが使われる。これは、顧客を自社の公式チャネルへリダイレクトしたいブランドにとって便利だろう。
  • Social listening(ソーシャルリスニング):あなたのツイッターアカウントに関するやりとりを読表示させることができる。やりとりの量やよく投稿している人や企業、何をつぶやいているのかなどがわかる。これもブランドマーケティングに役に立つ。
  • Brand Surveys(ブランドのアンケート):多くの人に広告効果(その広告を憶えていたか、その品物やサービスを買う気になったかなど)をアンケートできる。アンケート付き広告はツイッター上にすでに存在するため、容易に実装できる機能だろう。

今回のアンケート調査には、ツイッターが今後の会員制方式で間違いなく搭載する機能を表すものではない。有料でも使いたいと消費者が思う機能を探る調査の第一歩でしかない。

このアンケートに、欠けてるものは何だろうか?それはもちろん、本当の意味での「エディット」ボタンだ。しかしそれは、永遠に実装されることはないだろう。

関連記事:広告売上減少のTwitterがサブスク導入の可能性を投資家に示唆

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

AtlassianがスウェーデンのMindvilleを買収、企業の資産管理ツールを自社ラインアップに加える

米国時間7月30日、AtlassianはMindville買収したことを発表(Mindvilleリリース)した。スウェーデン拠点のMindvilleは、バグトラッキングや課題管理、プロジェクト管理などに使われるAtlassianのJiraを利用する企業向けの資産管理ツールを提供している。その1700あまりの顧客の中には、NASAやSpotify、Samsung(サムスン)などもいる。

画像クレジット: Atlassian

この買収でAtlassianは、資産管理サービスツールを自社サービスに加え、新しい市場に進出する。Mindvilleの主力プロダクトであるMindville Insightsは、企業のITやHR、営業、法務、施設などの部門を支援し、各部門が企業全体の資産を追跡するのに役立つ。資産の種類やタイプは特定しないが、Atlassianのユーザーベースから考えると、サーバーやラップトップなどIT関連の資産が対象になるだろう。物理的な資産のほかに、AWSやAzure、GCPなどのクラウド上のサーバーも自動的にインポートでき、またService NowやSnow Softwareなどのサービスへのコネクターも開発している。

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Atlassianの技術チームのトップを務めるNoah Wasmer(ノア・ワズマー)氏は本日の発表で、新市場について「Mindville Insightはエンタープライズに彼らの資産とサービスの完全な可視性を提供するが、それは優れた顧客サービスと従業員サービスの体験を提供するために欠かせない要素である。これらの能力はITサービスの管理の要であり、Atlassianがかねてから継続的に強力な勢いと成長を見ている市場でもある」と語った。

Crunchbaseによると、Tommy Nordahl(トミー・ノルダール)氏とMathias Edblom(マティアス・エドブロム)氏が共同創業したMindvilleは、これまで外部資金を導入してこなかった。また、Atlassian、Mindvilleはともに買収の価額を公表していない。

Code BarrelなどのAtlassianの最近のそのほかの買収と同様、MindvilleもすでにAtlassianのパートナーであり、そのサービスをAtlassian Marketplaceで販売して成功していた。

前出のワズマー氏は「この買収はAtlassianのITサービス管理への投資の延長線上にある。投資の最近の例としては、インシデント管理のOpsgenieや、コード不要の自動化を提供するAutomation for Jira、会話型チケット作成のHalpなどの買収が挙げられる」と語る。

Mindvilleのチームによると、同社は既存の顧客のサポートを続け、Atlassianは引き続きInsightのツールを利用するが、同時にJira Service Deskとの統合も進めていく。Atlassianによればこの統合は、自社の資産へのより完全な可視性を与え、企業がより良い顧客サービス体験と従業員サービス体験を提供できるようになるという。

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一方Mindvilleの創業者は発表声明で「MindvilleのInsight系列のプロダクトは多くの業界と多様な分野で重用されてきた。中にはとても意外な業界や分野もある。しかし、一番人気のある分野といえばIT サービス管理であり、そこではInsightが、すべての関連資産をインシデントや変化、問題、リクエストなどに結びつける重要な役割を演じる。弊社のソリューションとAtlassianのプロダクトを組み合わせれば、より高度なサービス管理のためのより緊密な統合化が可能になり、そしてそれは根底にある資産データから力を得るものである」と述べている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa