人工肉のNuggsがSimulateにリブランド、資金とCTOを得てチキンナゲット代替品のみから製品ライン拡大へ

シリアルアントレプレナーでソーシャルメディアアプリ「Monkey」の共同創業者(THE NEW YORKER記事)であるBen Pasternak(ベン・パステルナーク)氏が創業した人工肉企業のNuggsが、410万ドル(約4億4000万円)を調達した。また社名を変更し新たなCTOを迎えて、チキンナゲット以外の製品に手を広げようとしている。

Simulateという社名に変更したこの企業は、スパイシーナゲット、チキンバーガー製品、そしてゆくゆくはホットドッグを発売する予定だ。肉を食べたいという消費者の衝動を変えるために競争の激烈な業界で目標を広げ、それにふさわしいブランドに変更する必要があった。

1年ちょっと前にパステルナーク氏がチキンナゲットの代替品を消費者に届け始めて以来、約450トンのナゲットを販売した。7月13日の週に、Simulateの冷凍ナゲットはカリフォルニアの約30店舗のGelson’s Marketに登場する。同社は今後数カ月のうちにチキンパティを、第4四半期にはホットドッグ代替品のDOGGSを発売する計画だ。

同社は6月にナゲットを新しくし、それに合わせてパステルナーク氏はリブランドを開始した。

新しくなった同社に、Lerer Hippeau、AgFunder、Reddit共同創業者のAlexis Ohanian(アレクシス・オハニアン)氏、ホールフーズのCEOだったWalter Robb(ウォルター・ロブ)氏、モデルのJasmine Tookes(ジャスミン・トゥークス)氏が新たに投資した。さらにパステルナーク氏は、新しいCTOを迎えた。

ダノンのリサーチ&イノベーション担当シニアディレクターだったThierry Saint-Denis(ティエリー・サン=ドニ)氏をCTOに迎えたのは、同社にとっては素晴らしいやり方だ。Nuggsという企業は、急成長する人工肉市場を獲得しようとするやり手の創業者と冷凍食品大手のマーケティング活動のように見えていた。新たにCTOになったサン=ドニ氏は10億ドル(約1070億円)近くを売り上げた食品開発者で、機能性成分、プロバイオティクス、酵素に関連する少なくとも14の特許を持つ人物だ。

新しいエグゼクティブを迎えて、McCain Foods、Rainfall Ventures、Maven Ventures、NOMO Ventures、MTV創業者のBob Pittman(ボブ・ピットマン)氏、Casper創業者のNeil Parikh(ニール・パリク)氏といった新規および既存の投資家たちにとっては、これまでよりもやや技術面の充実した企業を支援することになった。

Nuggsがこの1年間、製品ラインを改善してこなかったということではない。パステルナーク氏は製品をイテレーションで開発する同社のアプローチを誇示しており、さまざまな製法を試して「リリースノート」に記している。

このようなソフトウェアドリブンのアプローチによって、サブスクリプションサービスのような販売のオプションも生まれるかもしれないとパステルナーク氏は述べた。「コアなコミュニティの人々は新しいバージョンを買うのに夢中だ。我々は間もなくサブスクリプションのベータテストのようなことを始めようとしている」。

画像:Simulate

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(翻訳:Kaori Koyama)

ジャックフルーツで人工肉を作るシンガポール拠点のKaranaが1.8億円調達

シンガポールでは植物ベースの代替肉への需要が増しているようだ。事実、Beyond Meat(ビヨンド・ミート)、Impossible Foods(インポッシブル・フーズ)、Quorn(クォーン)といった企業の製品への関心度は、このパンデミックの間にも上昇している。その理由には「消費者が健康重視の選択をするようになったことがある」とシンガポールの大手新聞であるThe Straits Time(ザ・ストレーツ・タイムズ)は書いている。そしていま、この市場に新規参入者が登場した。シンガポールに本社を置くKarana(カラナ)は、米国時間7月9日、シード投資として170万ドル(約1億8000万円)を調達し、最初の製品の発売計画を発表した。ジャックフルーツを原料とする豚肉の代替品が今年中に発売される。

Karanaのシードラウンドには、Quorn Foods(クォーン・フーズ)を2015年に買収したMonde Nissin Group(モンド・ニッシン・グループ)のCEOであるHenry Soesanto(ヘンリー・ソエサント)氏、アグテックの投資企業Big Idea VenturesとGermi8、そして、食品と清涼飲料水の業界で豊かな経験を持つ香港の起業家でエンジェル投資家のKevin Poon(ケビン・プーン)氏とGerald Li(ジェラルド・リー)氏が参加している。Karanaによれば、このラウンドにはさらに、名前は未公開ながらアジアを拠点とするFMCG(日用消費財)の大手卸売り業者も含まれているという。

Karanaは、ジャックフルーツを、すでにそれが代替肉として定着しているスリランカから仕入れている。Karanaの処理技術によって、豚の挽肉や細切れ肉の食感がうまく再現されており、餃子、肉まん、バインミーといったレシピに簡単に使える。

2018年、Dan Riegler(ダン・リーグラー)氏とBlair Crichton(ブレア・クライトン)氏によって創設されたKaranaは、有機栽培のジャックフルーツを、独自の機械的技術によってポークの代替肉に加工する。同社によれば、化学処理は一切行っていないという。この代替ポークは、今年中にレストラン向けに出荷される。小売店に並ぶのは来年からだ。

リーグラー氏とクライトン氏は、Karanaがジャックフルーツを使う理由は、「天然の肉に似た食感」のみならず、環境に優しい作物だからだとTechCrunchに電子メールで話してくれた。通常これは、間作物として(またはほかの作物と同じ畑で同時に)栽培され、収穫量は多く、水をあまり必要としない。だが、現在収穫されているジャックフルーツのおよそ60パーセントは廃棄されていると彼らは言う。「将来、商品化される余地が十分にあります。つまり、農家の新たな収入源になるということです」。

Karanaの創業者が手始めにポークを選んだのは、それがアジアで最も多く消費されている肉だからだ。今回のシード投資は新製品の研究開発に使われる。また同社は、アジアの戦略的パートナーとの話し合いも進めているという。将来Karanaの製品には、アジアで生産される他の作物を使った別の代替肉も加わる予定だ。

「Karanaは、完全な植物由来肉のメーカーです。私たちの目標は、自然が私たちに与えてくれるものを利用し、その驚くほどに多様な生物食材を最大限に活かしておいしい製品を作ることです。将来、ポーク以外の代替肉の製造を可能にするその他の地産作物を使った製品も発売します」と彼らは話す。「そこが、全般的に加工された農産物製品に依存している他社との最大の違いです」。

画像クレジット:Karana

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(翻訳:金井哲夫)

マイクロソフトが「Together」モードでビデオ会議の疲れを軽減

ビデオ会議。新型コロナウイルスのパンデミック中のリモートワークへの移行に伴い主流になったかもしれないが、問題がないわけではなく、いま使うのをやめる人も増えつつある。それにはもっともな理由がある。結局、きっちりとした四角に入った20人(全員背景が異なり、カメラを見ていない)に注意を向けようとしても、脳が集中力を維持するのは非常に難しい。これについては証拠となる逸話も多い。Microsoft(マイクロソフト)7月8日、この分野に関する調査の一部と、ビデオ会議を使いやすく疲労も抑えるTeams(チームズ)の新機能を発表した。

最初はTogether(トゥギャザー)モード。アイデアは実際にはかなりシンプルだ。TeamsにはすでにマイクロソフトのAIセグメンテーションテクノロジーが搭載されており、参加者を認識して背景から切り出し、背景を変更したりぼかしを入れたりできる。Togetherモードでは、全員の画像を共通の背景上に表示する。まず仮想の「講堂」から提供する。たくさんの小さな四角ではなく、会議参加者全員がこの講堂に座っているように見える。マイクロソフトの調査によると、標準のリモートコラボレーションツールより脳内の処理がかなり簡単になる。

画像クレジット:Microsoft

「当社の予備調査ではかなりのことがわかった。ただし調査はまだ予備的で、ほんの数カ月前しか調査していない」とマイクロソフトのMarissa Salazar(マリッサ・サラザール)氏は本日の発表に先立ち筆者に説明した。「何よりもまず、お互いを見る方法がこれまで慣れ親しんだものと明らかに異なることに気づくはずだ。人物がグリッドから外れただけでなく、『鏡の中の自分達』を見ることになる」。この方法についてマイクロソフトは、例えばよくやるように理髪店で鏡に向かって話しかけるのと同じだと主張する。こうして我々自身の脳を騙して、参加者がビデオ会議で必ず経験するアイコンタクトの問題を軽減する。

画像クレジット:Microsoft

「当社の調査によると、このモードで参加するよう頼まなくても、人々は会議をより楽しく感じ、積極的に参加し、カメラの前に長くいても快適だと感じる傾向があることも示した。そして私が最も重要だと思うのは、人間同士の対話にとって重要性の高い振る舞いとは何か、その手がかりをつかんだことだ」とサラザール氏は述べた。

マイクロソフトのヒューマンファクターエンジニアリンググループのディレクターであるMichael Bohan(マイケル・ボーハン)氏は、グリッドビューを削除するだけで大きな違いが生まれると指摘した。「グリッドビューがあると、すべての人がハコに入るため、脳はそれらを個々の部分として扱う必要がある。つまり、すべての情報を解析する必要がある。グリッドの枠を取り払うと、脳は物事を統合された風景として見る」。

現時点では、Togetherモードは最大49人の参加者を収める講堂ビューのみを用意しているが、マイクロソフトはより親密さを感じる「コーヒーショップ」モードなど他のビューにもすでに取りかかっている。

画像クレジット:Microsoft

マイクロソフトが導入したもう1つの新しいモードはDynamic(ダイナミック)ビューだ。これはTogetherモードがあらゆる種類の会議に適しているわけではないという考え方に基づいて用意された。このビューでは、共有コンテンツと会議参加者の表示方法をより詳細に選択できる。コンテンツと特定の参加者を並べて表示する機能などが含まれる。

また、今回のアップデートで新しく追加される機能には、たとえば照明レベルを微調整するビデオフィルターや、もうすぐ追加されるライブリアクション機能がある。後者は、会議を中断せずに感情を絵文字で共有できる機能だ。さらに、近日中にPowerPoint Live Presentations for Teamsも追加される。チャットの吹き出しが表示される機能で、チャットビューをいつも開いたままにしておく必要がなく、キャプションやトランスクリプト(議事録)に発言者が誰かを表示できる。マイクロソフトはTeamsのチャットにGmailのような「返信サジェスチョン機能」を導入する予定だ。

まだある。Teamsの会議では最大1000人が参加者できるようになるため、全社で集まる会議を開催できる。プレゼンテーションの場合は最大2万人が参加者できる。

マイクロソフトの音声アシスタンス機能であるCortana(コルタナ)はまだ生きている。「彼女」はTeamsモバイルアプリにも登場し、電話発信や会議参加を助けてくれる。またマイクロソフトは本日、CESで最初に発表した専用のTeams Displays(チームズディスプレイ)を再導入した。

画像クレジット:Microsoft

マイクロソフトのCVPであるJared Spataro(ジャレッド・スパタロウ)氏が本日の発表に先立って筆者に強調したもう1つの新機能は、新しいReflect(リフレクト)メッセージング拡張機能だ。「これにより、マネージャーにチームの健康状態をチェックしてもらうことができる」と説明する。「チェックは匿名・公開いずれでも可能だ。我々自身のチームですでにいくつかの機能を使っている。従業員の状況を確認したいだけだが、この機能があれば構造化された方法で確認できる。マイクロソフトの顧客と話した内容から考えて、これは本当に受け入れられると思う。こうしたウェルビーイング(健康や幸福)の部分が非常に重要になりつつあるからだ」。

画像クレジット:Microsoft

画像クレジット:Alistair Berg / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

アマゾンがイランやシリアなどへの制裁違反の容疑について約1440万円で示談へ

米財務省は今週発表した声明で「Amazon(アマゾン)が13万4523ドル(約1440万円)で制裁違反容疑を示談で解決することになった」と述べている。その容疑とは、クリミアやイラン、シリアを住所とする人びとに物品とサービスを送ったことに関連していて、それらは2011年11月から2018年10月までの外国資産管理局(OFAC)による制裁の対象になっている。

財務省は声明の中で「アマゾンが『数百件もの』商行為を適切なタイミングで報告しなかった」と説明している。すなわち財務省は、

アマゾンはまた、同社のウェブサイト上で、キューバ、イラン、北朝鮮、スーダン、およびシリアに居住、またはこれらの国の外国使節団に雇用されている者のために注文を受け入れて処理した。さらにアマゾンは、OFACの特別指定国および阻止人物のリストに載っている人物で、麻薬取引制裁規則と大量破壊兵器拡散制裁規則、多国間犯罪組織制裁規則、コンゴ民主共和国制裁規則、ベネズエラ制裁規則、ジンバブエ制裁規則、グローバルテロリズム制裁規則、および外国麻薬組織中心人物制裁規則により阻止されている者からの注文を受け入れて処理した。

この示談による解決はもちろん、巨額な時価総額のアマゾンにとっては微々たる負担だ。しかもそれらの商取引の多くが少量の小売商品やサービスに関するもので、違反の総額は示談の清算額13万4523ドルの倍程度になる。

財務省は、制裁領域への販売をチェックしなかったのは何らかの悪意によるものではなく、アマゾンのシステムの欠陥と見ている。原因は1つではない。例えば、外国のイラン大使館に送るケースをサイトは見過ごしたのかもしれない。

アマゾンはこの件にコメントしないが、2016年に制裁が法制化されて以来同社は、目立つほど自己開示に努めてきた。The Wall Street Journalによれば、そのほかのテクノロジー大手も同じ問題で上げられている。昨年アップルは、同様の違反で46万7000ドル(約5000万円)の示談に応じた。

画像クレジット: Philippe Lopez/AFP/Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

トランプ大統領の突然の留学ビザ制限は米国社会に広く影響する

フィリピンで育ったAndreia Carrillo(アンドリア・カリージョ)はいつも星が好きだった。そのため彼女は天文学を勉強しようと米国にやって来た。そうしたことから彼女は他の人にも自分と同じ道をたどって天文を研究してほしいと考えている。
「ただ、今はそれができるかどうかはわからない」とカリージョは話した。

カリージョは、米移民・関税執行局(ICE)がこのほど発表した、大学での授業が完全にオンラインに移行した場合、留学生の滞在を認めないとする規則変更で影響を受ける数十万もの学生の1人だ。

7月6日に発表された規則変更は、新型コロナウイルスパンデミックの脅威が全米に広がり、一部の大学が秋からオンライン授業に完全移行することを余儀なくされた中でのものだ。

規則変更のニュースは移民弁護士にとって不意を突くものだった。トランプ政権は、「SCHOOLS MUST OPEN IN THE FALL!!!(学校は秋に再開しなければならない!!!)」との大統領のツイート以外に、この政策について説明しなかった。この決定は政府がほとんど権限を持たないものであり、3月の政権の方針から急な反転となる。米国で新型コロナ感染が深刻だった3月、政権は対面式の授業が一時中止になっても学生は合法的に米国に滞在できるとしていた。

急な規則変更は大学を難しい状況に陥れている。大学は、留学生を米国にとどまらせるためにキャンパスを開けることもできるがウイルス拡散のリスクを負う。もしくはキャンパスを閉ざし、ソーシャル・ディスタンシングを維持して留学生を追い出すかだ。

しかしこの影響は、学生だけに及ぶものではなく米国中に連鎖する。大学の収入は主に留学生が払う高額な授業料に頼っていて、大学を擁する街の経済は学校が門戸を開いていることで回っている。規則変更はまたこうした学生が追究している主にエンジニアリング、数学、コンピューターサイエンスといった分野、そして米国のイノベーションの進度にも影響を及ぼす。イノベーションは往々にして目につかない人材によって支えられる。留学生にとって最も人気のある留学先の1つはシリコンバレーの中心地、カリフォルニア州だ。

Contrary Capitalの創業者Eric Tarczynski(エリック・タルチュンスキ)氏は「『大学に入るのが米国での企業設立の玄関口になるために、海外から大学にやってくる多くの起業家』を目にしてきた」と話した。

「ある意味では、米国は彼らのエリス島であり、我々はこのようにして会社を設立してきた」と同氏は述べた。そして、才能のある学生がオンラインにシフトするのをサポートするLambda Schoolのような代替のプログラムの存在を指摘した。

ニューヨーク大学(NYU)学長の Andrew Hamilton(アンドリュー・ハミルトン)氏は米政府の規則変更を受けて「健康問題、そしてを政府が命令したニューヨーク市のシャットダウンを無視して、留学生に対面式授業を続けるか、米国から出ていくかを求めることは、純粋に間違っているし、不必要に厳しいものだ」と述べた。「教育の提供で今求められているのはフレキシビリティだ」と同氏は書いた。

NYUは他の学校と共に政府に規則変更を撤回するよう求めることにしている。ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学は規則変更の実施を阻止しようと、さらに踏み込んでICEを提訴した。

「新型コロナは政権が反移民政策をさらに進めるための手段として活用されている」と移民専門弁護士のTahmina Watson(タミナ・ワトソン)氏はTechCrunchに述べた。「数カ月後に選挙を控え、政権は移民を阻止するあらゆる手段を探している」。「見えない壁は本物で、壁は日々高くなっている」とワトソン氏は述べた。

学校にとって1つの選択肢は、一部の授業を対面で行い、他の授業をオンラインで行うというハイブリッド方式だ。たとえば、ハーバード大学は今秋、学生の40%のみをキャンパスに入れると明らかにしている。オンラインで授業を行う大学は、従来かなりの額になる授業料を正当化するのに苦労するかもしれない。

規則変更は、パンデミック中に議論となっていた痛い所を突いている。リモート教育が学べるものであるということをいかに形成するか、さらに重要なことには、誰が学ぶ機会を持つことができるか、だ。一部の人は、リモート教育へのシフトは他国と関係のある留学生に特に大きく影響するかもしれないと指摘した。また別の人は、米国において高学歴を持つ魅力は主にそれに伴うネットワークだと言う。

カリージョの場合、フィリピンでは天文学を学ぶ機会がなかった。理想のキャリアを追求するには彼女は米国に来なければならなかった。規則変更は訴訟をおこされる可能性がある。ワトソン氏は、6日に発表されたポリシーが合法かどうか疑わしいと述べた。トランプ政権は「一時的な最終規定」と言及した。ワトソン氏が言うには、この規定は通常あるパブリックコメント期間を設けることを避けている。

「中でも学校はこのポリシーについてたくさん言いたいことがあるはずだ」とワトソン氏は話した。「トランプ政権が長年のポリシーを変えたければ、各ステップで連邦行政手続法を経なければならない」。

このようにルールについては政権からの方向性と説明を待たなければならない。それまでは、この抜本的な変化をどう処理するかは大学や学生次第ということになる。

ビザのステータスを恐れて匿名を条件に語ったワシントン大学に通っているとある留学生は、規則変更で母国に戻ることを余儀なくされた場合、留学生の研究や奨学金を危うくすることになると話した。そしてもし留学生が通っている大学がハイブリッドモデルを取れば、留学生は健康について心配することになる。

「米国でこんなにも無礼を感じたことはない」と留学生は語った。「留学生が対面式の授業に戻ることを求められればウイルスを拾う可能性があり、新型コロナに感染するリスクを負う」と話した。

カリージョが規則変更を聞いたとき、彼女はパニックに陥り、所属する学部に電子メールを送った、と話した。幸いにも、彼女が通うオースティンにあるテキサス大学は今秋からハイブリッドモデルを取るとのことだった。当面、彼女は米国に滞在できる。

しかし安心することはできない。カリージョのような留学生はトランプ政権下では偽りの安心感に慣れている。「ハイブリッドになってほしいと願うのは不愉快だ。道徳的には、私は安全に過ごしたいし、オンラインで済ませたい。しかしそうすると米国滞在が危ぶまれる」。

画像クレジット: Alex Wong / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

コロナ禍でダイバーシティを後退させないために経営者がすべきこと

本稿を執筆したRachel Sheppard(レイチェル・シェパード)氏は、世界中でプレシード・アクセラレータ投資を行うFounder Institute(ファウンダー・インスティテュート)のグローバルマーケティング部門ディレクターだ。

どんな災厄でも、一番悲惨な影響を受けるのはすでに社会の主流から取り残された人々だ。だから、新型コロナウイルス感染症によるロックダウン(都市封鎖)の中で、雇用や事業経営に関して、女性や民族的少数派の市民が他の誰よりも深刻な影響を受けていることも驚くにはあたらない。

今年4月、米国の女性失業率は15.5%に跳ね上がった。これは、男性に比べて2.5%も多い数字である。また、アフリカ系市民とラテンアメリカ系市民の失業率は白人よりも高く、ラテンアメリカ系市民の失業率は過去最高の18.9%に達した

女性たち―特に社会的に不利な条件下で生活する女性たち―はコロナ禍の中、自宅で介護や看護など家族を世話する責任を一手に担うことになる。そのため、職場では解雇の対象になりやすい。同時に、雇用の確保が危機に瀕している今、過小評価されている従業員の多くはこれまでよりさらに会社から軽視されていると感じることになるかもしれない。

ダイバーシティ(多様性)とインクルージョン(包含性)が現在の状態まで推進されるに至るには、多くの苦労があった。ゆっくりと、だが確実に、ダイバーシティとインクルージョンがどの企業でも目に見えて重視されるようになってきたのだ。しかしコロナ禍により世界中の企業が窮地に立たされ、ダイバーシティとインクルージョン(D&I)推進の取り組みが後回しにされた結果、これまでの成果が危うく台無しになりそうになった。ジョージ・フロイド氏殺人事件とそれに続く抗議活動がD&Iの取り組みを大々的に再燃させたが、この勢いと決意を今後も長い期間にわたって確実に維持していくために、我々スタートアップ経営者はどうしたらよいのだろうか。

今回の衝撃的な出来事によって、ダイバーシティ推進がお飾りや企業アピールの手段ではなく、従業員1人ひとりが送る毎日の生活と切り離せない重要な要素であることをビジネス界全体が認識するようになるだろう。昨今は、消費者も、あなたと同じ職場で働く従業員たちも、社会的課題に対する意識の高い会社を求めている。だからこそスタートアップとしてバランスの取れた企業になるには、D&I推進に取り組むことが絶対に必要なのである。これは、より大規模に経済を復興させるためにも欠かせない。新型コロナウイルスとの戦いに際してD&Iの維持と改善をなおざりにすると、平等性の実現を目指す取り組みにおいて何年分も後退するばかりでなく、社会全体として力を合わせてこの動乱の時代を無事に乗り切る可能性を低下させてしまう。

D&I推進なくしてビジネス存続なし

今後、ほとんどのスタートアップが存続していくだけで精いっぱいになるのは仕方がないことだと思う。しかし、D&I推進を自社にとって不要不急の課題として脇に押しやるべきではない。不要不急どころか、その正反対の位置づけとすべきだ。ダイバーシティが優れていることは、業績も優れていることを示す指標となることが知られており、不景気の中でも成長していく可能性を高めることにもつながる。

ダイバーシティにより社内でイノベーションが促進されるという話はよく聞く。今、それがいかに重要であるかを考えてみてほしい。前代未聞の危機に直面している今、賢明なロックダウン戦略を見つけ出すには、さまざまな知見や解決策を比較検討することが欠かせない。我々ビジネスリーダーは、世界の現状がどうなっているのかを知る必要がある。そして、それを知るには、あらゆる背景の人々が何を経験しているかを理解しなければならない。

また、現在の行動が長期的に及ぼす影響も無視するわけにはいかない。存続のために会社の理念を犠牲にしてはならないのである。今、ダイバーシティを犠牲にするとどうなるのだろうか。当面の間は従業員をつなぎ留めることができるかもしれないが、それは単に彼らが失業を恐れているからにすぎない。実際は、経営者に対する従業員の信頼が損なわれ、労働市場が改善した暁には、彼らはいとも簡単に会社を辞めていくだろう。同じことは顧客にも当てはまる。今回の危機により、世間はパーパス・ドリブン型(社会課題解決を志向した経営を実践している)かつダイバーシティを実践している企業をこれまで以上にサポートするようになっている。そのため、これらの価値観を実践しない企業は取り残されていくことだろう。

雇用を増やせなくてもD&Iは推進できる

では、まだ慣れないこの新しい日常の中で、スタートアップはどのようにダイバーシティ推進に優先的に取り組み続けることができるのだろうか。確かに、これ以上雇用を増やすことはできないかもしれない。しかし、ダイバーシティを推進するには他にも方法がある。よい機会なので、ここで少し時間を取って社内の文化について見直してみよう。同僚の自宅の様子が垣間見えたり、仕事に影響する個人的な問題や、逆にプライベートに影響を及ぼす仕事上の問題について耳にしたりなど、コロナ禍により我々は自社のビジネスを違う角度から見ることを余儀なくされている。まずは、会社の文化が従業員の問題の原因にならないようにしよう。

経営者は近づきやすい存在でなければならない。中には自分が抱える問題について経営者に話すのを恐れる従業員もいる。あなたは経営者として、従業員の士気が大幅に下がっているのに何の改善策も実行できずにいるだろうか。もしそうなら、職場の雰囲気をより開放的で、誰もが参加しやすいフレンドリーなものにする必要がある。これは単にZoomで朝のコーヒータイムを一緒に過ごして楽しく会話するとか、終業後にお互い知り合う時間を設けるとかいうことではない。自分の心配事を意見として表明する従業員が何らかの煽りを食うような仕組みを社内から一掃する、意見を遠慮なく言うよう従業員に促す、上級管理職だけではなく、チーム内のどのメンバーについても、ミーティングに出席しているどの参加者についても、その貢献度を認めるという意味だ。

ロックダウンが実施された結果、多くの人がリモートで効果的に働けるということが証明された。これを今後、自宅がオフィスから遠い従業員や、子どもや高齢の親族を世話しなければならない従業員が成功するチャンスを広げるために活用できないだろうか。多くの企業の人事部では今、新規雇用を見送っていることだろう。その代わり人事部には、個々の従業員が成功できるよう、各スタッフが抱える独特の問題を見きわめて解決することに注力してもらうのはどうだろうか(こうした仕事にフルタイム社員を1人、担当者として割り当てることも検討できるかもしれない)。

このような取り組みは、過小評価されている従業員(多くの場合、職場環境について同僚よりも気苦労が多い)にとって今も、これからも居心地のよい会社を作るのに欠かせない。また、そのような従業員が成長しても、ずっと働き続けたいと思うような会社にするのにも役立つ。さらに、将来的により多様性のある従業員プールを確保することにもつながる。

雇用を増やせる場合は、より多様性のある求職者を引きつけるのに革新的なソリューションがある。Joonko(ジューンコ)が提供するテクノロジーは、募集企業側の応募者トラッキングシステムに統合でき、過小評価されている人材の中から候補者を見つけやすいようにしてくれる。Pitch.Me(ピッチミー)では、偏見を防ぐため、経験とスキルに関する情報のみが記載された匿名プロフィールが提供される。このプロフィールには、性別、年齢、民族的な背景に関する情報は掲載されていない。DiTal(ディタル)などのように、テック企業と多様性に富んだ候補者とのマッチングを行うサービスを提供している企業もある。

社内における成功の尺度を見直す

コロナ以前、あなたの会社のKPI(主要業績評価指標)は営業担当1人あたりの売上や週あたりのリード獲得件数だったかもしれない。現在、そのようなノルマは今、非現実的であるばかりでなく、より重要なこととして、同僚と比べて手持ちの時間が少ない従業員―家族を世話する責任を担う人(多くの場合は女性)や可処分所得が少ない人―にとっては、達成することが非常に困難になる。また、統計によると、民族的少数派に属する人の方がコロナウイルスの影響を受ける可能性が高い

経営者は、他の人より時間や資金が少ない従業員でも仕事で目標を達成できるような労働環境を整えなければならない。最も価値のある仕事のうち80%に、チームが持つ時間の20%が費やされているという話をよく聞く。であれば、スタッフが自分の持つ力のほぼすべてをその貴重な20%のエネルギーとして費やせるようにしよう。また、会社としての短期的な目標を見直す新たなビジネスプランを作成し、その目標を絶対に達成するための新しいメトリクスを設定しよう。そのことが、共に働く仲間1人ひとりが困難に直面しても目標の達成に向けてやる気を日々維持していくためにどれだけ重要か考えてみてほしい。さらに、従業員の福祉に配慮して柔軟性を示すことは称賛に値する特質であり、簡単に忘れ去られることはない。

ここで重要なことが1つある。各従業員が成功できるよう助けるということは、そうするために必要なリソースを各々に支給するということである。例えば相応の性能を備えたノートパソコンや他のデバイス、高速インターネット接続など、この「ニューノーマル(新たな常態)」に適応するのに必要なツールを全従業員に支給すべきである。このようなものを必要とする従業員のために投資することをためらってはならない。

キャリア開発に力を入れる

過小評価されている従業員にとって昇進は他の同僚より難しいのが常である。そのため、彼らにとってキャリア開発は非常に重要だ。マイノリティに属する人は、そうではない人に比べて、他ならぬ「ビジネス界でマイノリティだから」という理由で、ビジネス上の人脈が弱い。この悪循環と戦うことを決してやめてはならない。

あなたのチームを見渡して、キャリアアップを手助けできる人がいないか考えてみよう。今は特に過小評価されているグループを中心にそのような人材を探そう。なぜなら、過小評価されている人たちは、ロックダウンによってより深刻な影響を受ける可能性が高く、立ち直ることもより困難になりがちだからだ。彼らを利他的な動機で見ることができなくても、過小評価されている従業員を今からリーダー職に抜てきすれば地元経済の回復に貢献でき、さらには会社の業績も改善することになるだろう

もう1つの方法として、スポンサーシップ制度を設け、経営者であるあなたや他の上級管理職が選抜した従業員を直接指導し、そのキャリアアップを後押しすることができる。これは、ビジネスリーダーたちが積み上げてきた人脈や影響力をより多様な人材プールの中で均等に分け合うようなものだと考えるとよい。

自社のブランドにダイバーシティを組み込む

これまでは社内に目を向けてきたが、次に対外的な側面について考えてみよう。あなたの業界に対して人々が抱くイメージを、危機に面しているこの時期であっても好転させるにはどのようにしたらよいのだろうか。例えばファッション業界におけるブランディングのように、これまで我々が目撃してきた目に見える大きな変化は、強い影響力を持つ人たちが業界において権威のある場で決断することによって実現してきた。しかし皮肉なことにその方法は、物事をより不均衡な状態へと簡単に傾ける可能性も秘めている。

それを防ぐには、そのような重大な決断を経営者であるあなた自身が下すこと、そして他の人の賛同を集めることで団結を促すことが必要である。自社のブランドを活用して、社内で推進したダイバーシティを―例えばスタートアップ企業にアドバイスするメンターからオンラインイベントで登壇させる講演者に至るまで―対外的に行うすべてのことにおいて前面に押し出そう。対外的なマーケティングに可能な限りダイバーシティを反映させるよう意識的に取り組む必要がある。コロナ禍のせいで広告におけるダイバーシティ基準が低下するのではないかと危惧されている今は特にそうすべきだ。

過小評価されている創業者を支援する

資金に余裕がある場合、苦戦する創業者がロックダウンを乗り切れるように支援しよう。女性やマイノリティ市民によってあなたのコミュニティで経営される中小企業が支援を必要としているかもしれない。自社の従業員に支援物資やギフトを贈る計画があれば、そのための物品を、過小評価されている市民が経営する地元企業から調達するために余分の手間をかけることを惜しまないでほしい。何も難しいことではない。米国各地にあるそのような企業を見つけるのを助けてくれるWomen Owned’s business directory(ウィメン・オウンズ・ビジネス・ディレクトリ)Help Main Street(ヘルプ・メイン・ストリート)などの組織を活用すれば簡単だ。

大企業はHello Alice(ハロー・アリス)と協力して、退役軍人からLGBTQ+まであらゆるタイプの過小評価グループに属する創業者が経営する小企業へ直接資金を提供できる。IFundWomen(アイファンドウィメン)は女性が創業した事業が多数登録されているネットワークで、どの企業に出資または参画するかを利用者が自分で選ぶことができ、有色人種の女性が経営する会社だけを集めた部門もある。あなたはビジネスリーダーとして、常に多様な創業者とのコラボレーション機会を探すことができる。例えば、米国の巨大なラテンアメリカ系市場をカバーするラテンアメリカ系創業者をまとめたこちらの優れたリストをチェックしてみてほしい。こうした創業者はまた、ビジネスにおいてダイバーシティを向上させる方法も知っている。

NAACP(全米黒人地位向上協会)は1世紀以上にわたり有色人種の市民に平等の権利が与えられるよう戦ってきた。重要な改革の実現を目指す運動に参加する、頭角を現している黒人経営企業に注目する等の方法でNAACPとその取り組みを支援することもできる。

今はダイバーシティ推進の手を緩めるべき時ではない。単なるお飾りだと考えたい誘惑にかられるのはわかる。しかし、コロナ禍を乗り切るだけなく、業界全体がより平等な社会を目指して何十年もかけて苦労して築き上げてきたものを台無しにしないためにも、今こそダイバーシティを推進することが絶対に必要である。

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カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ

タグ:コラム

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(翻訳:Dragonfly)

フォードの主力ピックアップトラック「2021 F-150」で採用されたテクノロジーのすべて

Ford(フォード)社は木曜日の晩、エレキギターのリフをバックに、ビデオの中から飛び出してくるような演出を用いて、フルモデルチェンジを果たしたF-150トラックの新型車を大々的に発表した。MCにはなんと、あの歯に衣着せぬDenis Leary(デニス・リアリー)を起用した。

もちろん、そんなことはどうでも良いことで、注目すべきは、フラグシップとして、また最も収益を望めるモデルとして、同社が改良を重ね、形にしてきた内容だ。前回のマイナーチェンジから実に6年が経過している。このまったく新しいF-150は、フォードトラックのファンが大いに期待してきた高い性能と豊富なオプションを備えている。例えば、フォードでは11のグリルオプションを提供している。

しかし、今回際立っているのは、組み込まれているテクノロジーと、マイルドハイブリッドを飛び超えて、いきなりフルハイブリッドパワートレインを採用したことだ。

新しいF-150で採用されたすべてのテクノロジーを以下に紹介する。まずは、インテリアと車載インフォテインメントシステムから。

コントロールセンター

ベースバージョンとなる XL には、8インチのセンタータッチスクリーンディスプレイが標準装備される。しかし、XLT 以上のグレードでは、画面を分割できる12インチのディスプレイが装備されている。これにより、ナビゲーション、音楽、トラック機能など、複数の機能を同時に操作できる。

Image Credits: Ford

接続性とOTA

搭載されている機能をサポートする接続性を備えていなければ、そのディスプレイにいったい何の意味があるだろうか。注目に値するのが、F-150には新しいSYNC 4システムと、最大10台のデバイスまで Wi-Fiアクセスを提供できる4G LTE内蔵モデムが搭載されている点である。前の世代より2倍のコンピューティング性能を備えたSYNC 4は、F-150のすべてのモデルに標準装備され、音声制御やリアルタイムマッピングといった機能も備えている。SiriusXMが提供するオンデマンドオーディオコンテンツも利用できる。

またスマートフォンをワイヤレスでApple CarPlayやAndroid Autoに接続できる。

このマストなシステムは、外部に委託せず、自社で製造しているため、無線ソフトウェアアップデートをサポートする。つまり、対象車種にアップグレードがロールアウトされ、運転アシストシステムの追加や改善を行ったり、地図を最新の状態に保ったりすることができる。SYNC 4はAppLinkシステムを介してサードパーティアプリも提供し、Wazeや「Ford+Alexa」と呼ばれるAmazon(アマゾン)社のAlexa(アレクサ)などにも対応する。

オフィス、寝室、それともダイニングルーム?

フォードが仕事のためにトラックで長い時間を過ごす人にターゲットを絞っていることは明白だ。この新しいF-150のセンターコンソールエリアは作業台へと変化する。この作業台は、書類に署名したり、15インチサイズのノートパソコンを使用したり、サンドウィッチを置いたりできるように設計されている。コンソールシフトレバーをうまく格納することによって、この快適な空間を作り出すことに成功した。ドライバーがボタンを押すとシフトレバーが折りたたまれて格納場所に収まり、ノートパスコンを広げるスペースがつくりだされる。

Image Credits: Ford

テールゲートを外に倒すと、物差しやモバイルデバイスを固定でき、カップホルダーや鉛筆収納ケースにもなる別の作業台が現れる。

Image Credits: Ford

発表前に少しリークされていたが、車内後部座席は完全フラットになる。この「マックスリクライニング」シートはほぼ180度倒すことができ、宣伝されている通り、King Ranch(キングランチ)、Platinum(プラチナ)、Limited(リミテッド)などのハイエンドモデルに装備されている。

ハイブリッドシステム

フォードは、F-150 XLからリミテッドまでのモデルで、フルハイブリッドパワートレインとも呼ばれる「PowerBoost」システムを提供している。このシステムは、フォードの3.5リッターV6エンジンと10速トランスミッションを35キロワットの電気モーターと組み合わせることによって実現されている。この電気モーターは、回生ブレーキによるエネルギー回収を利用し、トラックの下部に設置されている 1.5kWhリチウムイオンバッテリーに充電している。

フォードによると、一度の給油でEPA推定航続距離約1126キロメートルを目標としており、少なくとも約5.5トンの牽引が可能である。

電力

このトラックは、「Pro Power Onboard(プロパワーオンボード)」と呼ばれる車載発電機も備えている。オプションのガソリンエンジンで、2.0キロワットの電気出力が可能となる。ハイブリッド F-150では2.4キロワットの電気出力が標準で、オプションで7.2キロワットの出力を選べる。

所有者はキャビンにあるコンセントに差し込んで電源を利用できる。また、荷台には最大4 つの120ボルト20アンペアのコンセントが装備される。7.2キロワットの電源オプションの場合、240ボルト30アンペアのコンセントが備えられている。自動車で移動中に工具のバッテリーを充電することが可能になる。

アシスタント機能が満載

走行時には多くの危険が潜んでいるため、いつも安全に運転するのは容易なことではない。そのためフォードが提供する Co-Pilot 360 2.0システムの一部には運転アシスト機能が含まれている。注目すべき点は、これらの高度な運転アシスト機能はベースモデルの XL から標準装備されていることである。これには、自動緊急ブレーキと歩行者検知を利用した衝突を事前に避けるアシスト機能、ダイナミックヒッチアシストを備えたバックカメラ、ヘッドランプのハイビーム自動切り替え機能、ヘッドランプのオン/オフ自動切り替え機能が含まれる。

フォードはこれまで10個の運転アシスト機能を新たに追加してきた。最も有名なのは、Active Drive Assist(アクティブドライブアシスト)と呼ばれる、ハンズフリー運転機能である。2021年の第3四半期に、全電動式Mustang Mach-E(マスタング・マッハ E)を含む特定の車種にソフトウェアアップデートを介してロールアウトする予定。

ハンズフリー機能は、米国およびカナダの中央分離帯のある、事前に地図に登録されている約16万キロの高速道路で利用できる。モニタリングシステムには、ドライバーが道路に注意を払い続けているかを確認するため、視線や頭の位置を追跡する高度なドライバー顔認識赤外線カメラが含まれる。 DMS は、ドライバーが車線維持モードを選択したときに、ハンズフリーモードで使用される。これは、車線が引かれている道路で機能する。ドライバーが視線を前方から逸らすと、インストルメントクラスターに視覚的に警告が表示される。

ドライバーが左折しようとするときに対向車があればそれを検知する「Intersection Assist,(交差点アシスト)」機能や、縦列駐車や直角駐車を行う際にボタンを押すだけでステアリング、シフトチェンジ、ブレーキ、アクセルを制御する「Active Park Assist 2.0(アクティブ駐車アシスト 2.0)」機能もある。

さらに、「Trailer Reverse Guidance(トレーラーバックガイダンス)」機能や 「Pro Trailer Backup Assist(プロトレーラーバックアップアシスト)」機能もある。これらは新しいものではないが、トラックを運転するものにとってどれも重要な機能である。

関連記事:2020年ベントレー新型フライングスパーは極上の乗り心地とパフォーマンス

カテゴリー:モビリティ

タグ:Ford 自動車 レビュー

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(翻訳:Dragonfly)

イーロン・マスクが脳コンピュータインターフェイス企業Neuralinkの最新情報を8月28日に発表

イーロン・マスク氏は今週、Twitterで自身が2016年に創業した脳コンピューターインターフェイス企業であるNeuralink(ニューラリンク)の最新状況に関する報告を8月28日に行うと発表した。Neuralinkのインターフェイスは、人間が高度な人工知能に歩調を合わせるのを助けるという明確な目的に向けて開発されている。最後にNeuralinkからの情報が発表されたのはおよそ1年前のことだ。そのとき発表されたのは、外科手術ロボットを使って極細の糸を人間の脳に埋め込んで、外部のコンピューターユニットへ接続し、最終的には両者の接続をワイヤレスにして最大限の自由度と柔軟性を提供したいというビジョンだった。

2019年7月には、マウスだけでなく類人猿さえも使ったそのテクノロジーのテストを成功裏に実行できたことを公表した。そして、もしそのときのことを覚えているなら、同時に翌年、つまり2020年、今年には、人間の最初の被験者を対象にテストを実施すると発表していた。

共同創業者でCEOであるJared Birchall(ジャレド・バーチャル)氏が率いるNeuralinkは、サンフランシスコに本社を置き、カリフォルニア大学デービス校と共同研究を進めている。同社の当初の目標は、この技術を利用して患者の運動や日常機能に影響を与えている神経障害を緩和することだが、最終的には、コンピューティングデバイスと、思考の速度で相互作用できるように、人間を本質的に「アップグレード」することも狙っている。

マスク氏は、キーボードやマウスなどの従来の手段を介して思考を入力に変換するやり方が、いかに「無駄の多い欠落的なもの」であるかを一貫して指摘し続けており、人とコンピューター間のより緊密でより高精度な結合が、高度なAIが人間の知能の能力を追い越してしまうリスクを減らすことができると信じている。マスク氏は、制御されず規制もされない高度な汎用人工知能が、人類の存亡に関わるリスクをもたらすと彼が考えていること、そしてNeuralinkはその脅威に対する保護手段となることを意図していることを繰り返し表明している。

マスク氏とNeuralinkが、2019年に行った最後のアップデート以後進めてきた進捗がどのようなものかはまだわからないが、できれば人間を使った臨床試験に関する計画についての何かを耳にしたいものだ。マスク氏はまた、同社による最新情報発表日程とともに、Neuralinkの「ミッションステートメント」と呼ぶものを発表した。それは「If you can’t beat em, join em.」(打ち倒せない相手とは仲間になってしまえ)というものだ。

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(翻訳:sako)

コロナ禍で落ち込んだPCの売上は第2四半期にやや回復基調、リモートワークが影響か

本年第1四半期のPCの売れ行きは、除菌ウェットティッシュやN95マスク以外のすべてのものに共通する同じ理由で厳しかった。そもそも人々は、新しいデバイスに大金を投じるという気分ではなかった。企業のIT部門や個人がリモートワークという新しい現実に適応したため、新型コロナウイルスの影響はやや落ち着いたが、ウイルス蔓延の影響で中国やアジアのその他の部分でサプライチェーンが回復しないため、理想的な数字には戻らなかった。

しかし調査会社のGartner(ガートナー)の数字によると、Q2は回復の始まりと見ることができる。大きな揺り戻しではないが、前年同期比2.8%増は厳しい第1四半期に比べると注目すべき増加だ。それには理由が2つある。第一は、家庭の環境を仕事や勉強用に整えたこと。第二は、一部の店舗が再開店し、サプライチェーンの不具合の中で店頭在庫をなんとか充実させたことだ。

出典: Gartner

トップは依然としてLenovo(レノボ)で、僅差でHPが2位だ。各社の売上増加率は4.2%から17.1%までの範囲でばらついている。Dell(デル)とApple(アップル)、Acer(エイサー)が5位以上に入る。以上により、米国市場のQ2の売上も3.5%アップした。特に大きく伸びたのがモバイルコンピューターでデスクトップの減少を補っている。

しかしガートナーは、成長は一時的と見ているから、PCメーカーにとってこのニュースは貴重だ。ガートナーのアナリストである北川美佳子氏は 「モバイルPCの需要の改善は2020年に限定される。売上の増加は主に新型コロナウイルスのパンデミックの影響による短期的なビジネス用途によるものだ」と説明している。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

VRヘッドセットは次なるPelotonになれるのか?

仮想現実(VR)スタートアップへの投資は、ここ数年間、まばらになりつつある。普通の人たちに受け入れられるまでの長い時間を、投資家が耐えて続けなければならないからだ。その一方で、インターネットに接続できる「コネクテッド・フィットネス」機器は爆発的に伸びている。自宅待機で関心が高まり、Peloton(ペロトン)などの企業はユーザー数を大幅に増やしたほか、Lululemon(ルルレモン)はMirror(ミラー)を5億ドル(約540億円)で買収した。

FitXR(フィットエックスアール)は、VRヘッドセットが次なるコネクテッド・フィットネス分野の売れ筋になると見ている。人気のVR運動アプリBoxVR(ボックスブイアール)を開発するこのスタートアップは、Hiro Capital主導による750万ドル(約8億円)のシリーズB投資をクローズしたとTechCrunchに伝えた。この投資の内訳は、630万ドル(約6億7000万円)がエクイティー投資、120万ドル(約1億3000万円)がイギリスの政府系金融機関Innovate UKからの融資となっている。その他、Adam DraperのBoostVC、Maveron、TenOneTen Venturesが投資に参加している。

FitXRのゲームBoxVRは、VR機器で使えるエクササイズ専用アプリとして知られるようになった。Beat Saber(ビートセイバー)の影響を受けたGuiter Hero(ギターヒーロー)的なインターフェイスを備えたボクシングゲームだが、素早いアッパーカットやジャブなど、体を激しく使う動きに重点が置かれている。同スタートアップは、現在、FixVRをOculus Store、PlayStation Store、Steam
を通じて29.99ドル(日本では2990〜3259円)で販売している。追加コンテンツは9.99ドル(日本では1000円前後)で用意されている。

BoxVRの画面。画像クレジット:FitXR

VRを利用した運動は、ゆっくりとヘッドセットの一般的な使用事例になってきた。それは、体を動かす必要のある激しいゲームタイトルのお陰だ。昨年、価格は未公開ながらFacebook(フェイスブック)が買収したBeat Saberは、そうした機会を本格的に実現した最初のタイトルとなった。今年の初め、16zが支援するVRスタジオ、Within(ウイズイン)は、Supernatural(スーパーナチュラル)というタイトルの運動アプリをサブスクリプションで提供開始した。昨年末には、サンフランシスコのYUR(ユア)が、そのVR運動ソフトウェアに110万ドル(約1億1800万円)のプレシード投資を獲得している。

VR市場は、自宅待機要請によって大きく成長したが、この業界を支える柱であるOculus(オキュラス)がサプライチェーンの問題に苦しむと、多くのVRスタジオはその好機に恵まれずに取り残されてしまった。399ドルのスタンドアローン型Quest(クエスト)を含むOculusのすべてのヘッドセットは、今年の初めから売り切れか品薄が続いている。この状態は、次第にFacebook(フェイスブック)への依存度を高めるこの業界の成長に、悪影響を及ぼしている。

VRヘッドセットには心拍数モニターやその他のフィットネス用のトラッキング機能はないが、VR開発者は、ユーザーのヘッドセットやコントローラーの運動量や速度に関するデータを大量に収集できる。FitXRは、そのデータからユーザーが燃焼したカロリーを計算することで、1日に燃焼したいカロリー量をアプリ内でユーザーに設定させることが可能になっている。

今のところ、FitXRの製品はVRヘッドセットの中に留まっているが、同社は今回の投資を使って現在20名のスタッフを増員することにしており、ヘッドセットを超えた展開への興味を同社トップはほのめかしている。

「私たちは、製品の独自の利用法を考えています。それは仮想現実に縛られません」と、FixXRのCEO、Sam Cole(サム・コール)氏はTechCrunchのインタビューで話していた。「しかし、もっとも楽しい運動方法はVRヘッドセットにあるという信念が変わることはありません。そのため、私たちは企業として、その分野での開発とイノベーションを続けてゆきます」

画像クレジット:via FitXR

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(翻訳:金井哲夫)

ショートムービーの「Quibi」は無料トライアル期間終了後にユーザーの92%が離脱との報道

独立記念日(7月4日)の週末、Quibi(クイビ)は大きな収穫を得た。そして今、初期の登録者のうちどれだけが、無料ユーザーから有料登録者に切り替えたのかを知るときが来た。

報道によると、同ストリーミングサービスはこの期間にある程度の有料登録者を捕まえたが、最近スタートしたライバルサービスには及ばなかったようだ。Sensor Tower(センサータワー)がTechCrunchに提供したデータによると、Quibiアプリの公開後3日間にサインアップしたユーザー91万人のうち、3カ月の無料トライアル期間終了後に残ったのは約8%だった。具体的には、91万人の登録ユーザーのうち、無料トライアル期間後もQuibiを使い続けているのは「最大」約7万2000人だとSensor Towerは説明している。

ただしこれは、Quibiの全ユーザー数ではなく最初の3日間にサインアップした人のみの有償化率であることに注意してほしい。Sensor Towerは比較のために、Disney+は最初の3日間にダウンロードした950万ユーザーのうち、約100万人(11%)が有料購読に変更したことを挙げている。ここでの大きな違いは、Quibiが長期間の3カ月無料トライアルを採用したのに対して、Disney+はわずか7日の無料トライアルだったことだ。

Sensor Towerでは、4月6日以来Quibiは450万回ダウンロードされたと推定している。5月以降、Quibiは無料トライアル期間を3カ月から14日間へと変更し、初期の登録者増強への取り組みを縮小した。TechCrunchはQuibiにコメントを求めている。

同じデータに関するThe Vergeへの声明で、Quibiの広報担当者はSensor Towerの報告に反論し、「有料購読者数の数値は不正確で桁が違っている。現在までに560万人以上がQuibiアプリをダウンロードした。当社のダウロードからトライアルへの転換率はモバイルアプリの基準を上回っており、有料購読への切り替えも、4月の90日間、5〜6月の14日間無料トラアイルともに完璧だ」。

Quibiの声明に対し、Sensor Towerの広報担当者は総ダウンロード数の不一致について、同社のデータがインストール数を「『単一のApple IDまたはGoogleアカウントによる最初のダウンロードのみを数えている。このため同じユーサーがアプリを削除した後や別のデバイスに再度インストールしたケースが反映されていない』ためかもしれない」と語った。

画像クレジット:CES

関連記事:What went wrong with Quibi?(未訳記事)

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Karma AutomotiveがEVプラットフォームの他社再販へ約110億円を調達

Bloomberg(ブルームバーグ)が報じたところによると、Karma Automotiveは外部投資家から1億ドル(約110億円)の資金を調達した。同社は2014年にWanxiang Groupに買収される前に倒産に直面していたFisker Automotiveの生まれ変わりだ。

Karma Automotiveは2019年に最初の電動スポーツセダン 「Revero」 を約500台出荷するなど、以前のFiskerよりも大きな進歩を遂げており、小売価格が14万ドル(約1500万円)前後の 「Revero」 の販売を継続するほか、高馬力の 「GTE」 バージョンやさらに上位顧客向けのスーパーカーの追加を検討している。

Karma Automotiveはまた、商用配送トラックのパートナーと交渉中であり、年内にプロトタイプを開発する予定だという。UPSやFedExのように宅配業者向けの配送車を模索している企業は数多くあり、参入者が殺到しているにもかかわらず、Eコマースの普及により複数のプレーヤーががこの分野で成功するチャンスがある。

Karmaは新規投資を活用し、他の自動車メーカーやOEMにも同社のEVプラットフォームを展開し、最終的には純粋なEVからハイブリッド燃料車へも拡大していくという。要するに、Karmaはあらゆる方法で収益化への道を切り開こうとしているようだが、それが賢明な戦略なのか、あるいは散漫な自暴自棄なのかは、時がたてばわかるだろう。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

SpaceXのStarlink衛星打ち上げは天候悪化で延期

【アップデート】ミッションは米国時間7月8日、天候を理由に中止された。次回の打ち上げ時期については検討中だ。


SpaceX(スペースX)は次回の打ち上げスケジュールを決定した。ミッションはフロリダ州ケネディ宇宙センターの第39A発射施設から、米国東部夏時間7月8日午前11時59分(日本時間7月9日0時59分)に打ち上げられる。またその15分ほど前から、ライブ中継が実施される。

このミッションにより同社のアクティブなStarlink衛星群は536機に拡大され、今年後半に一般向けのブロードバンドインターネットサービスを開始するという目標に近づくことになる。今回打ち上げられる57機の衛星には、同社が開発した新しい「サンバイザー」システムが搭載されており、衛星による太陽光の反射を阻止する。

同社は以前にもこのシステムを搭載した試験衛星を1機打ち上げているが、Starlinkのすべての衛星がこのシステムを搭載するのは今回が初めてだ。同社は自社の衛星に加えて、新しいライドシェアプログラムによりBlackSkyの人工衛星を打ち上げる予定で、これは同社の既存の地球観測ネットワークに加わることになる。

今回のミッションで使用されているFalcon 9のブースターは、国際宇宙ステーション(ISS)へのCrew Dragonの初のデモンストレーション飛行を含め、これまでに4回のミッションをこなしている。さらに、大西洋に浮かぶSpaceXの着陸船による着陸も試みられる予定だ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

グーグルが3D広告フォーマットのSwirlを世界展開

Google(グーグル)は1年ほど前にベータ版を公開(グーグルブログ投稿)した広告フォーマット「Swirl」が、全世界で利用可能になったと発表した。Swirl形式には、インタラクティブな3D製品モデルを含むバナー広告が含まれる。同社はブログ記事で以下のように述べている。

「Swirlでは消費者が広告の中のプロダクトを回転させたり、ズームしたり、拡大したりできるようにすることで、目前の商品へとエンゲージできるようにする。同技術による広告ではブランドが行動の変化、新しいテクノロジーのパフォーマンス、ユニークな製品機能などを説明できるようになる」。

投稿ではSwirlのフォーマットを使用してすでに作成されたさまざまなキャンペーンについて説明しており、その中には日産スペインのSUV「Qashaqai」の新機能をアピールする広告や、アディダス・ラテンアメリカによる「Ultra Boost 2019」の広告などが含まれる。

広告は純粋に製品に焦点を当てる必要はない。ドッグフードのPurinaはSwirlを使って潜在的な顧客に3D犬のモデルを表示し、これは標準的な2D広告の6倍のエンゲージメントを得たという。

Swirlのキャンペーンを作成するために、広告主は3DアセットをGoogle Web Designerにアップロードするか、Polyを使用してモデルを編集できる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

GoProの「Hero 8 Black」が約2.7万円のウェブカメラになる

アクションカメラのGoPro Hero 8が、ソフトウェアユーティリティのおかげでウェブカメラとして使用できるようになった(Engadget記事)。ソフトウェアはまだベータ版だが、ユーザーはHero 8カメラをUSB接続してウェブカメラとして使用できる。このユーティリティの登場以前は、コンピューターとカメラをドングルとHDMIケーブルで接続(未訳記事)しなければならなかった。

GoProアプリがリリースされたのは、ほとんどのカメラ会社が最新のデジタル一眼レフカメラ用に同様のユーティリティをリリースしているためだ。ソニーは顕著な例外だ。対応メーカーのリストは別の記事(未訳記事)で確認できる。

GoProのこの新しいソフトウェアを使えば、Hero 8カメラとその便利な広角レンズを使って、ZoomやMicrosoft Teams、Discord、その他多くのビデオチャットで使用できる。Chromeを介するとWebex、Skype、Slackなどでも動作する。

新型コロナウイルスの大流行により、在宅勤務への需要増からウェブカメラが不足していた。世界経済がホームオフィスにシフトしていく中、Logitech(日本名ではロジクール)やMicrosoft(マイクロソフト)のウェブカメラはすぐに売り切れた。DLSRをウェブカメラとして動作させることができる数少ないHDMIアダプタも完売していた。そしてカメラメーカーは急遽、HDMIではなくUSBを介してウェブカメラとして動作させるためのソフトウェアの改造を始めた。

GoProの対応はスマートだ。249ドル(約2万7000円)という新たな価格によりGoPro Hero 8 Blackは、ウェブカメラとして高画質なカメラを使用するための最も安価なルートの1つとなった。今のところソフトウェアはMacでしか動作しない。GoProによればWindows版も開発中だという。Hero 8をウェブカメラとして使用するには、GoProから最新のファームウェアをダウンロードし、GoProの新しいWebcam Desktop Utilityアプリを入手する必要がある。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

スマートウォッチに偽の「薬を服用」アラートを送れる脆弱性が発覚

セキュリティ研究チームによると、高齢者や認知症患者が多く利用しているスマートウォッチに攻撃者が簡単にデバイスの制御を奪える脆弱性があった。

こうしたスマートウォッチは、利用者が医療関係者に簡単に電話をかけたり、医療関係者が利用者の居場所を追跡したりするためのものだ。携帯電話回線を利用できるため、どこにいても動作する。

しかし英国のセキュリティ企業であるPen Test Partnersの研究チームが、スマートウォッチをだまして偽の「薬を服用」リマインダーを利用者に何回でも送信できることを発見したと述べた。

Vangelis Stykas(ヴァンゲリス・スティカス)氏はブログの投稿で「認知症患者は薬を飲んだことを覚えていない傾向があり、簡単に過剰摂取になりかねない」と記した。

脆弱性のあるスマートウォッチに研究者が「薬を服用」アラートを表示させた(画像提供:Pen Test Partners)

この脆弱性は、スマートウォッチで利用されるSETrackerとして知られるバックエンドのクラウドシステムで発見された。このクラウドシステムは、ほかにもヨーロッパ中で多数のホワイトラベルのスマートウォッチや車両追跡デバイスで利用されていて、研究チームによればそのすべてに初歩的な攻撃に対する脆弱性があったという。

研究チームはバックエンドのクラウドシステムを利用するソースコードのコピーを発見し、コード中のセキュリティの問題を見つけた。発見された大きな欠陥のひとつはサーバーがハードコードされたキーを使っていたことで、この場合、攻撃者はデバイスをリモートで制御するあらゆるコマンドを送信できる。

このキーを使うと、攻撃者は「薬を服用」アラートを起動したり、デバイスからひそかに電話をかけたり、テキストメッセージを送信したり、車両追跡デバイスの場合はエンジンを完全に切ったりすることができる。

このコードには、デバイスからアップデートされたデータが保管されていると考えられるSETrackerのクラウドストレージのパスワードとトークンも含まれていた。しかし英国のコンピュータハッキング法違反になるため、研究チームはこれを確かめることはできなかった。

研究チームは、脆弱性は今は修正されていると述べた。この欠陥が悪用されたかどうかは不明だ。わずか数カ月前にPen Test Partnersは広く利用されているホワイトラベルの子供の見守り用スマートウォッチで同様の脆弱性を発見しており、今回の最新の研究はそれに続くものとなった。

スマートデバイスメーカー、それも適切なサイバーセキュリティの実装を考慮せずにデバイスを作ってしまうメーカーの間では、セキュリティ、そしてセキュリティの欠如が問題になりつつある。このため英国政府は、スマートデバイスに一意のパスワードなど最低限のセキュリティを備えた上で販売することを義務づけてセキュリティを強化する(未訳記事)、新たな法律の制定を提議している。

画像:TechCrunch

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(翻訳:Kaori Koyama)

コンテナ仮想化のDockerがAWSと提携しワークフローを改善

DockerとAWSは米国時間8月9日、DockerのComposeとDesktopの開発者ツール、およびAWSのElastic Container Service(ECS)とECS on AWS Fargateの深い統合を発表した。これまでComposeファイルを取り込んでECS上で実行するワークフローは、開発者にとって困難なことが多かったと両社は指摘している。今回両社はこのプロセスを簡素化し、ローカルで実行中のコンテナとECS上で実行中のコンテナの切り替えを容易にした。

「Dockerと協力して、コンテナ化されたアプリケーションの構築とAWSへのデプロイに関する開発者の経験を単純化できることに非常に興奮している」 と、AWSのCompute Services担当VPであるDeepak Singh(ディーパック・シン)氏は語った「これにより顧客は、コンテナ化されたアプリケーションをローカルのDocker環境からAmazon ECSに直接デプロイすることが容易になった。このようにアプリケーション開発とデプロイメントが迅速になることで、顧客はアプリケーションの独自の価値に集中することが可能になり、クラウドへデプロイする方法を考える時間を削減できる」。

なお意外なことにDockerは昨年、エンタープライズ事業をMirantisに売却し、クラウドネイティブの開発者体験にのみ注力していた。

DockerのCEOであるScott Johnston(スコット・ジョンストン)氏は今年、TechCrunchのRon Miller(ロン・ミラー)に対し、「11月には業務や経営幹部、直販モデルに重点を置いていたエンタープライズ事業を切り離し、Mirantisに売却した」と語った。「その時点で残りのビジネスに開発者を注力させることが、2013年と2014年におけるDockerの本当の目的だった」。

このパートナーシップによって解決されるワークフローの問題は、すでにかなり前から存在していたことを考えると、本日の動きは新しい提携の一例といえるだろう。

Dockerは最近Microsoft(マイクロソフト)と戦略的パートナーシップを結び、Dockerの開発者エクスペリエンスをAzureのContainer Instancesと統合したことも注目に値する。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Lucidが電気自動車の販売・サービス拠点を20カ所に開設

電動セダンのLucid Airは2020年9月9日にデビューする予定だが、米国時間7月8日にLucidはそれらの車を販売し、サービスする計画の詳細を発表した。同社によると、2021年までに20カ所のいわゆる「スタジオ」とよばれるサービス拠点を開設するという。これらの拠点は北米全域に設置され、Tesla(テスラ)の顧客拠点と似たような役割を果たす。

現時点で明かされているスタジオとサービスセンターの所在地は、カリフォルニア州ビバリーヒルズの2拠点、サンノゼ、ウェストパームビーチ、ニューヨーク市、DCメトロエリア、カリフォルニア州ニューアークにあるLucidのシリコンバレー本社だ。

Lucidはこれらの販売店に電話をかけないように注意している。なぜなら、販売会社は州の規制を遵守する必要があるからだ。多くの州では、実店舗をつうじて直接顧客に自動車を販売することを禁じている。その代わり州の規制により、自動車メーカーは第三者、つまり独立したディーラーを利用して取引を行うことが義務付けられている。テスラと同様、Lucidのこれらのロケーションはブランド認知度を高め、顧客のオンライン購入を支援する。

サービスに関しては、Lucidはモバイルサービスプロバイダーや衝突修理センターを含む認定サービスセンターのネットワークを構築している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

コーヒーショップのモバイルオーダーを支援するJoe Coffeeが約1.4億円を新規調達

コーヒーショップに入り浸り、1杯のコーヒーを3時間かけて飲みながら無料のWi-Fiでインターネットをだらだらと見る日々は消えてしまった。少なくとも、そんなことはしばらくしていない。いまとなっては別世界の話のようだ。これはちょっと不安でもある。

しかし依然としてコーヒーショップはビジネスを安全に続ける方法を見つけたいと思っているし、人々はコーヒーを求めている。多くの州で注文が持ち帰りのみに制限されている中、飲食業全体でモバイルオーダーが大幅に増えている。スターバックスなどすでにモバイルオーダーを導入していた企業はいいが、多くの小規模店舗は何とかしようと急いでいる。とはいえ独自アプリをつくるのは厄介だし、人々にそのアプリをダウンロードしてもらうのも難しいだろう。

ここ数年、シアトルを拠点とするJoe Coffeeは独立系コーヒー店のためのモバイルオーダーの「ネットワーク」を構築してきた。基本的には、近所にあるスターバックス以外のコーヒーショップに注文をするためのワンストップのアプリだ。同社は以前に220万ドル(約2億3600万円)を調達していたが、この数カ月で利用が急増しコーヒーショップからの関心も高まってきたことから、需要に応えるために新たに130万ドル(約1億4000万円)を新たに調達した。

CEOのNick Martin(ニック・マーティン)氏は筆者に対し、3月以降に売上がおよそ20倍になったと述べた。また、パンデミックの間にチップの平均額が2倍以上になったという。これは、この時期に人々がカウンターの向こうにいる人に思いやりを示そうとしているいい兆候だ。同社が2回目のシードと呼んでいる今回のラウンドは、Craft Venturesが主導し、前回も投資したFlying Fish Partnersが支援した。

Joe Coffeeの役割は2つある。消費者に対しては、注文とプロモーション機能を持つモバイルアプリとウェブのインターフェイスを提供し、「Joeネットワーク」全体で利用できるポイントシステムもある。コーヒーショップに対しては、アプリを顧客に紹介する看板と、バリスタが注文を処理し取引をするインターフェイスを提供し、傾向を知るためのレポートと分析の機能もある。対価として、同社はクレジットカードの手数料を含めて注文ごとに9%の手数料を受け取る。

Joe Coffeeはもともと地元のシアトルだけを対象として、およそ300軒のコーヒーショップを支援していた。2019年8月に他の地域にも拡大し、2020年1月からは米国全土へと展開している。米国時間7月9日にマーティンは筆者に対し、米国全体で1000店以上と提携していると述べた。

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(翻訳:Kaori Koyama)

Swiftmileが電動バイク・スクーター向け充電ステーション整備へ約5.4億調達

都市部に電動バイクやスクーター用の充電ステーションを製造・設置するスタートアップのSwiftmile(スイフトマイル)は、Thayer Venturesが主導しVerizon Ventures、Alumni Ventures Groups、WSGRが参加するラウンドにて500万ドル(約5億4000万円)の資金を調達した。このラウンドにより、Swiftmileの資金調達総額は1100万ドル(約12億円)となった。

「いま起きているのは道路の完全な再構築だ」と、Swiftmileの共同創業者でCEOのColin Roche(コリン・ロッシュ)氏はTechCrunchに語った。「どの都市のプランナーに話を聞いても、古いルールが捨てられ新しいルールが作られているという。人々が閉鎖環境での新型コロナウイルスの感染を恐れているため、公共交通機関の利用は激減している。そして、我々の役目はより重要になっている」。

Swiftmileは都市と協力して充電ハブを配備し、分単位でオペレーターに課金するが、市場によっては一定額を超えないようにしている。当初はどのように機能し、どれだけのメリットがあるかを示すために、すべての事業者にドッキングシステムが開放される。一定期間が経過すると、Swiftmileは顧客のスクーターにのみ課金することになる。

今回の新たな資金調達により、Swiftmileは米国の3都市にシステムを展開するとともに、ヨーロッパへの進出も計画している。現在、Swiftmileは米国で150カ所のスマート充電ステーションを展開している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter