Alibaba、東南アジアにおけるUberのライバルGrabへの投資を検討中か

Alibabaは、東南アジアにおけるUberのライバルGrabへの投資を通じて、同地域へさらに攻勢をかけるつもりなのかもしれない。

Bloombergの報道によれば、Alibaba社長のジャック・マーは、同社と関係の深いSoftBankが率いるGrabの投資ラウンド(総額14億ドル)への参加を検討しているとのこと。さらにTechCrunchでは、AlibabaがGrabと投資に関する話し合いを行ったという情報を入手しており、Alibaba傘下のAnt Financialが運営する決済サービスAlipayがGrabアプリに導入される可能性も出てきた。また、AlibabaはGrabの決済プラットフォーム「GrabPay」にも関わろうとしているようだ。

本件に関して両社にコンタクトしたが、Grabはコメントを控えており、Alibabaからは返答も得られなかった。

シンガポールに拠点を置くGrabは、昨年9月に行われたシリーズFで7億5000万ドルを調達しており、その際のバリュエーションは30億ドルだった。設立から5年が経ち、Grabアプリのダウンロード数は4500万回を記録しているほか、ドライバーの数は90万人を超え、現在営業している7か国での1日の合計利用回数は250万回におよぶという。

AlibabaとAnt FinancialのどちらがGrabに投資するかはまだハッキリしていないが、両社ともネット業界の成長が著しい東南アジアでいち早く礎を築くべく、同地域での投資を加速させている。Alibabaは東南アジアで活躍するEC企業Lazadaの株式の過半数を握っている一方で、Ant FinancialはAscend Money(タイ)やMynt(Philippines)といった金融サービスを提供する企業に投資しているほか、インドネシアでも金融サービス系のジョイントベンチャーを立ち上げた

AlibabaがGrabに興味を示したことで、Alibabaと同社最大のライバルTencentは、東南アジアやアジアの他の地域で新しい戦いを繰り広げることになるかもしれない。なお、東南アジアのインターネット市場は今後10年間で2000億ドル規模に成長すると予測されている

先月お伝えした通り、TencentはUberやGrabと競合するインドネシア企業Go-Jekへの投資を決め、12億ドルのラウンドでリードインベスターを務めることになった。本件に詳しい情報筋によれば、AlibabaとAnt FinancialもGo-Jekと話を進めていたが、結局Tencentが本件を勝ち取ったようだ。ちなみに、Go-Jekはまだこの資金調達について正式なアナウンスを行っていない。

両社のインドでの戦いはさらに熱を帯びている。Tencentは、AmazonのライバルであるFlipkartの投資ラウンドにMicrosoftやeBayらと共に参加した一方、Alibabaは決済・EC事業を行うPaytmをインドの投資先に選んだ

先月SoftBankが14億ドルという大金をPaytmに投資したが、それ以前にもAlibabaとAnt FinancialはPaytmに大金を投じていたのだ。そう考えると、Grab絡みの話でこの3社の名前が一緒に出てくるのも何ら不思議ではない。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

インド発、牛乳配達サービスのSupr Dialyが150万ドル調達――国内の営業地域拡大を目指す

牛乳配達はディスラプションとは無縁なサービスのように思えるが、インド発のスタートアップSupr Dailyはまさに牛乳配達の在り方を変えようとしている。Y Combinatorのプログラムを今年修了した同社は、この度サービス提供地域の拡大を目的に複数の投資家から150万ドルを調達した。

2月のSupr Dailyに関する記事の通り、同社のサービスの目的は、カオス状態にあるインドの牛乳配達システムを整備し、付随する品質問題を解決することだ。

インド政府の調査によれば、配達される牛乳の68%が配達人のせいで”汚染されている”可能性がある。彼らは収入を増やすために牛乳をかさ増ししているのだ。そのため、配達される牛乳には洗剤や苛性ソーダ、グルコースのほか、変色を防ぐために白い塗料や精製油が含まれているとTimes Internetは報じている。そこで、Supr Dailyは新鮮な牛乳を直接供給し、配達スタッフにも普通より高い賃金を支払うことで、本物の牛乳を顧客に届けようとしているのだ。さらに顧客は、牛乳と一緒に届けられるテスターを使って品質をチェックすることもできる。

Supr Dailyの主力商品は牛乳だが、定期的に食料品店に足を運ぶのが面倒という人向けに、パンや卵、バター、ココナッツミルクなども販売されている。

2015年に設立されたSupr Dailyは、現在ムンバイ市内の15地区でサービスを提供している。共同ファウンダーのPuneet Kumarによれば、配達数は間もなく100万件に達するとのこと。ローンチ時は、サービスが受け入れられるかを試すために意図的に営業地域を絞っていたが、現在Kumarともう一人の共同ファウンダーであるShreyas Nagdawaneは市場の拡大を狙っている。まずはムンバイ全体にサービスを広げ、その後に他の主要都市にも手を伸ばそうという考えのようだ。

「(調達した)資金はスケールのほか、今後インドの主要都市にビジネスを展開するため、どうやればひとつの都市を制覇できるのかという戦略を練るために使われる予定です」とKumarは話す。

また、Supr Dialyの株主には、Soma CapitalやGreat Oaks Ventures、122 West Venturesのほか、エンジェル投資家のPaul Buchheit(Y Combinatorパートナー)、Jared Friedman、Roger Eganなど、さまざまな投資家が名を連ねている。なお、昨年Roger Eganは、シンガポールを拠点に生鮮食料品のEC事業を行っていたRedmartをAlibaba傘下のLazadaに売却していた。

「食品を扱う私たちを支えてくれるような、食料品市場のことを良く知る人たちを投資家に迎えました」とKumarは話す。

Supr Dailyの業績に関する詳しい情報は明らかになっておらず、同社はY Combinatorのプログラムに在籍中の今年のQ1に売上が4倍になったとだけ語った。その一方で、Supr Dailyは他のオンデマンド事業やデリバリー事業とは違って採算がとれているとKumarは言う。

「1件1件の配達で利益が出ていますし、ユニットエコノミクスは健全な水準です」と彼は説明する。「バーンレートもかなり低いので、今回の調達資金があればスケールに時間がかかっても問題ありません」

「ラストワンマイルの配達にかかるコストは5セント以下で、Supr Dialyには(他の配達サービスと比べて)20〜30倍のコスト優位性があるので、私たちはかなり有利な立場にあると言えます」とKumarは付け加えた。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

シンガポールにスーパーカーの自動販売機ビルがオープン

シンガポールは世界でもっとも生活程度の高い国だ。同時にもっとも土地が狭い国でもある。つまりスーパーカーを吐き出す巨大な自動販売機を設置するのにシンガポール以上に適した国はない。

そう、そのとおり。車の自販機だ。普通のショールームで中古車を販売していたAutobahn Motorsはこのほど15階建ての自動車自販機ビルを建設した。子供のおもちゃ箱に隠されたミニカー陳列棚そっくりだ。

この自販機ビルにはフェラーリ、ポルシェ、ベントレーといったスーパーカーや豪華車が60台格納される。

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車の購入方法がユニークだ。購入希望者はAutobahn Motorsを訪れ、タブレットデバイスの専用アプリで購入手続きを済ませる。支払いが確認されれば2分後に自動車が手元に届く。Covered.Asiaは昨日、オープン前のデモを体験した。

Autobahn Motorsのゼネラル・マネージャー、Gary HongはReutersのインタビューに答えて「われわれは大量の自動車をストックせねばならず、同時に独創的であり優れた想像力を持っていることを印象づける必要もあった」と説明している

自動車の格納方法は大都市でよく使われているパーキングタワーだ。 実はアメリカでもよく似たコンセプトを追求するCarvanaというスタートアップがある(同社は最近上場に成功した)。

まったくクレージーな話に聞こえるが、コンセプトモデルなどではなく、自動車を売る現実のシステムだ。このビルはGoogleマップのストリートビューで見ることができる。

画像:Autobahn Motors / Facebook

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

アジア版BuzzFeedを目指すウェブメディアMedialoadーー500 Startupsのファンドから20万ドル調達

カンボジアには現地版BuzzFeedのようなウェブサイトがあることをご存知だろうか?

これまで知らなかったとしても、もうそんなものが存在するということが分かりましたね!(ご承知の通り、私は読者の皆さんがカンボジアがどこにあるかなど、基本的な情報を知っている前提で話を進めていきます)

共産党や世界最大規模の大量虐殺も去ることながら、世界的に有名な寺院新鮮でスパイシーな食べ物知られているカンボジアで、過去6年間にわたってメディア業を営んでいるMedialodは、アジア版のBuzzFeedのような存在になろうとしている。現在母国のカンボジアと隣国のミャンマーでニュースサイトを運営している同社は、今後他のアジア諸国へも進出を考えている。

東南アジアに位置するカンボジアは、スタートアップハブとしてはそこまで名が通っていないが、Medialoadは驚くことに700万人以上のユニークユーザーと5600万回もの月間PVを記録している。ちなみにこれは現地語でさまざまなトピックのニュースを提供している2つのサイト、Khmerload(カンボジア語)とMyanmarload(ビルマ語)の数字を足したものだ。

新興市場での成長

数字的にも素晴らしい成績を残している両サイトの人気は、過去数年間の東南アジアを中心とした新興市場におけるインターネット人口の増加を物語っている。Googleが共著したレポートによれば、東南アジアのネット人口は現在の2億6000万人から2020年までに4億8000万人に増加するとされており、毎月380万人もの人々が新たにインターネットを利用し始める計算になる。さらに同レポートでは、東南アジアのオンラインメディア市場も年18%のスピードで成長し、2020年までに200億ドル規模になるとされている。

東南アジア全体の広告費に占めるデジタル広告の割合は現在5%にも満たず(地域によっては1%以下)、ビジネスの観点から同地域にはかなりの可能性があると言える。

一方で、先述のレポートは東南アジアの主要6カ国に関するもので、ここにカンボジアとミャンマーは含まれていない。つまり、かなりインターネットが普及しているにも関わらず、テック企業や投資家の視界にはまだこの2国がほとんど入っていないのだ。Facebook独自の調査によれば、カンボジアの人口5000万人に対してFacebookユーザーの数は500万人、そしてミャンンマーについては人口5000万人強に対して、1500万人もの人がFacebookを利用しているという。

Khmerload利用者の大半はモバイルデバイスから同サイトにアクセスしている

Medialoadが運営するウェブサイトは、広告収入を売上の柱としている。内容としてはエンターテイメントやセレブリティ、ライフスタイルと同社が目標にしているBuzzFeedが扱う内容に近いものの、東南アジアではどのメディアも繊細になっている政治的なトピックについては、彼らも創業当時から触れていない。

コンテンツの中心はテキストだが、現在同社は動画などのマルチメディアコンテンツの制作に力を入れている。同社の狙いは売上の増加だけでなく、コンテンツをバイラルヒットさせ利用者数を増やすことなのだとMedialoadの共同ファウンダーでCEOのVichet InはTechCrunchに語った。さらに彼らは今後インタビュー記事のほか、女性の人権問題やトーク番組で扱われるような題材を中心とした記事も増やしていく予定だという。

カンボジアのスタートアップ界を活性化

Medialoadは将来有望なメディアビジネスを立ち上げただけでなく、アメリカ資本のVCから初めて投資を受けたカンボジア企業でもある。500 Startupsは今年の3月に、東南アジア企業向けの5000万ドル規模のファンド「500 Durians」を通して、Medialoadに対して20万ドルを投資したと発表した。これは500 Startupsにとっても初めてのカンボジア企業に対する投資だった。この資金調達によりMedialoadの評価額は数百万ドルに達したといわれているが、同社も500 Startupsも具体的な金額は明言しなかった。

この動きでさえもComcast NBCUやSoftbank、Andreessen Horowitzらから4億4000万ドルを調達しているBuzzFeedを彷彿とさせるが、その一方で彼らの資金調達によって東南アジアの投資家もカンボジアに目を向けるようになったかもしれない。

「ミャンマーやカンボジアには、それほど投資対象としての興味を抱いていませんでしたが、両国のエコシステムは急激に成長しています」と500 Duriansでパートナーを務めるKhailee Ngは語った。

「Vichetは起業を目指す人たちのモデルになるでしょう」とNgは付け加える。「ミャンマーやカンボジアをはじめとする国々に拠点を置くスタートアップは、VCが体勢を整えるよりもずっと早く、投資を受け入れる準備を行っています」

アメリカの博士課程学生からカンボジアのメディア企業のファウンダーになるまで

500 Duriansによる投資は、誕生間もないカンボジアのスタートアップシーンにとって重要な出来事であると共に、経済学の博士号取得を諦め、アメリカを離れてMedialoadを立ち上げたInの選択が正しかったことを証明するような出来事でもあった。学生としてアメリカに計5年間住んでいた彼は、Mediaload設立以前も空いた時間にECや教科書の売買サービスといったオンラインビジネスに手を出していた。

そして兄弟のVichea、Visal(現在は2人はそれぞれMedialoadのCTOとCOOを務めている)と共に、VichetはMedialoadをミシガン大学に在学中の2011年にスタートさせた。その後Medialoadに可能性を感じた彼は、自分の情熱は勉学ではなくスタートアップに向いているということに気づき、母国に帰ってフルタイムでMedialoadを運営することを決意した。

左からVichea In(COO)、Vichet In(CEO)、Visal In(CTO)

Vichetは「当時周りの知り合いは私の決断にショックを受けていました」と言いながら、彼が博士課程に在籍していたことを両親が誇りにしていた様子について語った。Medialoadがカンボジア国内で有名になってからは「両親も理解し始めた」ようだ。

「カンボジアではどこでも私たちのコンテンツを見かけますからね」と彼は付け加える。

Inの話を聞いていると、Medialoadの裏側はサンフランシスコやロンドン、ニューヨークなど西欧の主要都市に拠点を置くメディアスタートアップと何ら変わりないことに驚く人もいるかもしれない。

現在は30人の社員が同社に在籍しており、うち11名がミャンマーでのビジネスに特化している。現在Medialoadは登記上シンガポールに拠点を移しており、ストックオプション制度の整備に取り掛かっていると彼は話していたが、既に従業員には基本給に加えて成果に応じたボーナスが与えられている。

この話を聞くと、社員はトラフィック重視のプレッシャーに晒されているのではないかと勘ぐってしまうが、 InによればMedialoadのライターはCEOである彼の長期的なビジョンに共感しているため、離職率は極めて低いという。その証拠に企業としての規模は大きくなりつつも、ライターの3分の1がMedialoadに4年以上勤めている。

Facebookへの依存

他のウェブメディア同様、MedialoadにとってFacebookは大切な流通チャンネルのひとつだが、彼らのFacebookへの依存度は他のメディアと比べても桁違いだ。特にミャンマー向けのサイトに関しては、トラフィックの約90%がFacebookのInstant Articles上で発生しているという。つまり読者のほとんどが、Facebookから離れて彼らのウェブサイトを訪れることなくMedialoadのコンテンツを消費しているのだ。

「(ミャンマーの人にとっては)Facebookがインターネットそのもので、コンテンツの消費場所としてもFacebookが主要なポジションを占めています。モバイル通信の費用がかかることから、彼らはリンクをクリックすることもないので、私たちはFacebook Instant Articlesを使っているんです」とInは話す。

さらに彼はInstant Artciles経由でもMedialoadは「それなりに売上をあげられる」と話しているが、やはり同社のウェブサイトへの訪問者の方がお金になると認めている。同社は今後動画コンテンツを増やし、バイラル化を狙ったソーシャルメディア専用のコンテンツも制作し始める予定だが、InもFacebookのようなひとつのプラットフォームに依存している状態は好ましくないと語った(これも西欧のウェブメディアと比較したときにMedialoadが感じるフラストレーションのひとつである)。

「この状況に不安を感じ、ユーザーがMedialoadを直接訪れるよう、自分たちのウェブサイトに先にコンテンツをアップするようにしていますが、これもバランスの問題です。重要なトラフィック源であるFacebookを完全に断ち切ることはできませんからね」とInは説明する。

Facebookは特にミャンマーのメディア事業にとって重要なチャンネルだ

とは言いつつも、Facebook上でのMedialoadのプレゼンスは継続的に向上している。カンボジア向けのKhmerloadは310万人のファン(カンボジアのFacebookユーザーの半分以上)を抱え、Myanmarloadに関してはその数が510万人(ミャンマーのFacebookユーザー数の約3分の1)に登る。

「私たちの目標は、Facebookのフォロワー数でBuzzFeedを上回ることです」とInは冗談めかして語った。

BuzzFeedのフォロワー数が1000万人であることを考えると、Medialoadが新たにもう数カ国へ進出すれば、この目標も非現実的ではない。しかしFacebook上のファン数とトラフィックはまた別の話だ。

拡大計画

他のメディアと同じように、Medialoadもコンテンツをさまざまな経路で読者に届けるため、新しいチャンネルや媒体の開拓に注力している。既に彼らはLineのオフィシャルアカウントやFacebookのチャットボットを活用しているが、Inはトラフィック増加に向けてユーザーが特定の有名人に関する情報を追えるようなアプリの開発も検討していると言う。

さらに彼は、現在サイトを運営している2国以外の東南アジアの国々への進出も視野に入れているが、進出先の検討はかなり慎重に行っているようだ。

「英語コンテンツを提供するメディアの数はかなりありますが、現地語コンテンツは過小評価されていると考えています」とInは説明する。「私たちは東南・南アジアでも特にFacebookが盛んに利用されている国をターゲットとして想定しています。というのも、現在のビジネスモデルは他国でも応用できると考えているからです」

既にインドネシアではパイロット版のサイトを立ち上げ、Facebookのフォロワー数は40万人を超えているが、Inは現地メディアのトップ5に入るためには、かなりの投資が必要になるだろうと考えている。ベトナムも次なる進出先候補に挙がっており、彼はソーシャルメディアに注力するというMedialoadのプランがベトナムでうまく行くと信じている。

Inによれば、Medialoadの今年の広告収益目標は100万ドルとのことだが、細かな内訳については明らかにされなかった。一方でMedialoadは設立当初からほぼ一貫して黒字だと言う。

しかし自己資金での運営からベンチャー投資を受ける段階に移行する他のスタートアップのように、Medialoadは短期的な利益率よりも企業としての成長に重きを置いている。現時点のプランとしては、特に動画周りの新たなコンテンツの制作や、新市場への進出のために次のラウンドで200万ドル前後の資金を調達しようとしているとInは語る。

さらに彼は意図的に500 DruiansのKhailee Ngからの投資を狙っていたと話す。というのも、Ngはベンチャーキャピタリストになる前に、マレーシア語のコミュニティメディアSays.comを設立・エグジットさせており、Inは現在計画している次のラウンドにはNgのような投資家に参加してもらいたいと考えているのだ。しかし言うは易く行うは難しだ。また、ドイツのBurda(シリーズBなどのレータースタージ投資にフォーカスしている)以外にもメディアに特化したファンドは東南アジアにいくつか存在するが、500 Startupsを株主に迎えたことは、コネクション作りや将来の可能性を広げる上で間違いなくMedialoadにとってプラスになるだろう。

Ng自身も今回の投資によって、あまり名前のあがることのない東南アジアの国々に眠っている可能性に気づいたと話す。

「Medialoadは、さまざまな意味で東南アジアがまだ”夜明け”の段階にあることを象徴していて、この地域では常にさまざまな分野で何かが起きようとしています」とNgは語る。「東南アジアは今後も成長を続け、色んなチャンスが生まれてくると思っていますし、私たちも一端を担えればと考えています」

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

UberEatsがインドでローンチ――まずはムンバイに住む2000万人がターゲット

Uberは現地時間5月2日より、ムンバイを皮切りにインドでUberEatsをスタートさせた。

今年中にはムンバイを含むインドの計6都市にUberEatsを展開させる予定だと同社は語っているが、今後進出を予定している都市名については明かされなかった。インドの三大ビジネスハブのひとつで2000万人の人口を誇るムンバイは、スタート地点としてはうってつけだ。

「国内外を問わず多彩な食文化が溢れるムンバイでは、食のビジネスが盛り上がっています。そんなムンバイを最初の都市としてUberEatsがインド市場に進出するというのは、世界中へのビジネス展開を目指す私たちにとって大きなステップであると同時に、インドへの私たちのコミットメントを見せる良い機会でもあります」とUberEats Indiaでトップを務めるBhavik Rathodは声明の中で語った。

1月には既にテストが行われていたインドへの進出により、UberEatsが利用できる地域は世界中で26ヶ国78都市に拡大した。2014年にパイロットプロジェクトとしてロサンゼルスで産声をあげた同サービスは、当初Uberアプリの機能のひとつでしかなかったが、その後スタンドアローンのアプリがリリースされた。昨年3月のシンガポールでのサービス開始でアジア市場への初進出を果たし、その後東京とバンコクでもUberEatsは営業している。

もちろんインドは世界的にも注目が集まっている国だが、特にUberは中国市場からの撤退後、それまでにないくらいの熱量で同国でのビジネスに力を入れている。the Internet and Mobile Association of Indiaが共著したレポートによれば、インドのオンライン人口は2017年6月までに4億5000〜4億6500万人に到達するとされており、タクシーや車、食べ物などさまざまなモノがネットを通じて消費者と繋がるようになっていくだろう。例えばEC業界だけを見てみても、2020年までには売上額が480億ドルを突破すると、調査会社のForresterは予測している。

一方で、ムンバイにはUberEatsのライバルも数多く存在し、これまで何年間もFoodPandaやSwiggy、Zomatoなどがしのぎを削ってきた。先月には、Googleでさえもがインドでフードデリバリーサービスや家事代行サービスを利用できるアプリを発表した。しかしインドにおけるUberのライバルOlaは、フード事業に手を出したものの昨年12か月も経たないうちに同サービスを終了した

Uberは競合サービスへの対策については、あまり情報を発信していない。他の街では、利用できる飲食店のキュレーションに力を入れている(逆にFoodPandaをはじめとする他社は利用できる飲食店の数に力を入れている)が、もちろん彼らはOlaと熾烈なバトルを繰り広げている配車サービスをインドビジネスの柱としていくのだろう。

どの企業が先頭を走っているのかについては明確な指標がないが、Olaは継続的に資金調達を行っているイメージがあり、評価額の低下が懸念される。最近でも30億ドルの評価額で2億5000万ドルを調達したとThe Economic Timesが報じていたが、2015年の同社の評価額は50億ドルだった。このダウンラウンドは、インドの農村部にテックビジネスを展開することの難しさのあらわれなのかもしれない。また、常にOlaにつきまとうUberの影も関係しているのだろう。

営業地域の拡大以外にも、Uberは最近UberEatsに力を入れており、最近のアップデートではユーザーごとのレコメンデーション機能や配達場所の指定機能、新しいフィルター機能などが導入された。さらに同社は飲食店向けのマネジメントサービスをスタートさせ、経営に役立つデータの配信を行っている。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

HTCの新製品は握って操作できるスマホ

「U」と名付けられたHTCの新機種は握りしめられるスマホだ、という噂を同社が認めた。これはゴム製のデバイスを意味しているのではない。Uの金属製フレームにはセンサーが埋め込まれる予定で、ユーザーはフレームを握りしめたり、上下にスワイプしたりすることで、スマホを操作できるようになるということだ(VentureBeatでスマートフォン関連の記事を多く発表しているEvan Blassの情報)。

つまり、将来的にはスクリーン以外でもスマートフォンを操作できるようになる。

これはなかなか面白い仕組みだ。HTCのティーザー広告では、詳細は5月16日に発表予定とされているものの、おそらくその前にも、握って操作できる新機種自体や他の機能についての情報が明らかになってくるだろう。

数週間前にリリースされたU Ultraが販売促進を目的に既に20%値下げされている中、HTCは新機種Uで挽回したいところだ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Amazonがインドで電子ウォレットのライセンスを取得

Amazonがインドで電子ウォレットのライセンスを取得したとMedianamaが報じた。今後同社はインドの消費者に対して、これまでよりもスムーズな決済手段を提供できるようになる。

現在のところインドの顧客は、何かを購入するたびに2段階認証のプロセスを経なければいけない。これは法律で定められたプロセスだ。しかし今回のライセンス取得を受け、今後彼らはAmazon上の電子ウォレットにお金をチャージできるようになる。さらにAmazon側も電子ウォレットの導入によって、キャッシュバックサービスの提供、迅速な返金といったメリットを享受できる。

これまでインド事業に50億ドルをつぎ込んできたAmazonは、贈り物やギフトカードの発行を可能にするため、2014年に電子ウォレットライセンスを持つ現地企業のQwikCilverへ出資していた。昨年12月にAmazon Payへと名前が変更されたこのサービスに電子ウォレット機能が実装されるのでは、との憶測もある。

実はAmazonは電子ウォレットのライセンスを3月に取得していたが、本日その事実が明らかになった。また数日前には、インドEC界のトップを走る現地企業Flipkartが、中国企業のTencent、Microsoft、eBayなどから14億ドルもの資金を調達していた。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

日本人起業家がアジアで挑む広告プラットフォーム「AdAsia」が約13.6億円を調達

AdAsiaはシンガポールに拠点を置く、創業1年のスタートアップだ。AdAsiaはシリーズAラウンドでJAFCOから総額1200万ドル(約13.6億円)を調達した。

AdAsiaは2016年4月にCEOの十河宏輔氏が創業した会社だ。十河氏は、アドプラットフォーム事業などを展開するマイクロアドでAPACのマネージングディレクターを務めた経験がある。また、COOの小堤音彦氏もマイクロアドのベトナム事業に携わっていた。AdAsiaではリアルタイム広告取引、ソーシャルターゲティングの他、Adwords、DoubleClick、Facebook広告といった大型の広告取引といった機能を一括で管理できる広告プラットフォームを提供している。また、動画やモバイル向けのソリューションやインフルエンサー・マーケティング・プログラムも用意している。

事業を開始してから1年ほどだが、十河氏はAdAsiaはすでに利益を出しているとTechCrunchの取材に話した。2016年4月から12月の売上高は1200万ドルを達成し、毎月20%から30%のスピードで伸びているという。今年は年間売上3000万ドルを目指していて、現在300社のクライアントを抱えている。

AdAsiaはシンガポールに本社を構え、台湾、カンボジア、ベトナム(2カ所)、インドネシア、タイにオフィスを開設している。今回調達した資金は、中国(上海)、香港、フィリピン、マレージア、日本で事業を展開するために充てる。現在、合計で80名のスタッフを抱え、今年30歳になる十河氏は、来年末までにスタッフの人数を400人規模にしたいと話す。

シリーズAで調達した資金は、AdAsiaの既存の広告商品と将来提供予定の商品における機械学習と人工知能(AI)の機能を改善することにも充てる計画だ。そのためにベトナムに開発センターを開設するという。

「アジアで最大級の広告テクノロジー企業になるためにマーケットシェアを拡大していきたいと考えています。それを進めていくための調達です」と十河氏は言う。

東南アジアではデジタル広告というコンセプト自体まだ根付き始めたばかりであり、AdAsiaはそこでマーケットシェアを拡大したい考えだ。一方で、中国のデジタル広告市場はすでに飽和しつつあり、そこでマーケットシェアを獲得するハードルは高いかもしれない。十河氏は、中国市場でマーケットシェアを大幅に得るのは難しいと認めつつも、例えばTencentといった大手プレイヤーと連携することで「多少はマーケットシェアを獲得し、収益を得られるだろう」と話す。

この野心的な企業はすでにエグジットの選択肢も検討しているようだ。 十河氏は2019年、早ければ来年にも香港、あるいは日本でのIPOを視野に入れている。アメリカで上場する可能性については否定しなかったのも、それに関しては「考える必要があります」とTechCrunchに話した。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

社員数は3倍、投資額は2倍に引き上げ―、Airbnbが中国市場に攻め込む

中国進出に失敗した欧米テック企業の長いリストに、最近Uberが加わったように思われたが、Uberと共にギグエコノミーの寵児となったAirbnbは現在同国に攻勢をかけようとしている。

本日同社は、中国事業の新たなブランド名と旅行サービス機能Tripsの中国でのローンチについて発表した。さらに、Airbnbは中国でのプレゼンスを高めるために、現地にいる社員数を3倍、投資額も2倍に引き上げていくとも語った。

まず、China Broadband CapitalやSequoia Chinaらを株主に持つ現地法人Airbnb Chinaは、サービス名を“Aibiying”(爱彼迎)へと変更した。Airbnbによれば、この名前には「愛を持って互いを迎える」という意味があるようだ。

Aibnbは現在中国でのビジネスに力を入れています。この度、現地での名称を「愛を持って互いを迎える」という意味の爱彼迎 (Aibiying)へと変更しました。

一方Tripsとは、旅行中のユーザーが観光情報を入手したり、アクティビティの予約をしたりするためのサービスだ。中国最初の都市として、上海の情報が現在公開されており、Airbnbが注目しているもうひとつの市場であるインドのデリーでも最近同サービスが公開された。

Airbnbによれば、現在同社のプラットフォームには191ヶ国から約300万軒の物件が登録されており、そのうち約8万軒は中国国内の物件だ。さらに、これまでに中国の物件が利用された回数は、160万回にのぼるという。

中国は旅の目的地としても人気が高い一方で、中国人旅行者も世界から注目を浴びている。最近発表された、VISAが共著したレポートによれば、昨年の中国の旅行関連消費額は1370億ドルだった。この数字はこれから10年間で87%も増加すると予想されており、その頃の中国の旅行関連消費額はアメリカの倍、さらにはイギリス・ロシア・ドイツの消費額を足したものより大きくなると言われている。

Airbnbも、これまで530万人の中国人観光客が世界中のAirbnb物件を利用しており、2016年の1年間だけで、中国人旅行者による海外のAirbnb物件の利用数が142%も伸びたと話している。

このような背景もあり、同社は現在60人いる現地子会社の社員数を3倍に増やして、現地でのプレゼンスを高めようとしているのだ。また中国は、Airbnbがアメリカ国外で唯一開発拠点を置いている国でもあり、同社は開発スタッフの増強に注力しながら、中国事業への投資自体も2倍に増やすと語っている。

「これまでとは違うスタイルで世界中を旅行したいと考えている、新しい世代の中国人旅行者は大勢います」とAirbnb CEOのBrian Cheskyは声明の中で語った。「AibiyingとTripsが彼らの共感をよび、これまで無縁だった世界中の人やコミュニティーや地域を、彼らが訪れたいと思えるようなサービスを提供できればと私たちは考えています。Airbnbの中国事業がこれからどうなっていくかとても楽しみです」。

最近Airbnbが310億ドルの評価額で10億ドルを調達したと報じられ、さらに興味深いことに、その際2016年の下期は黒字だったことがわかった。リーチや売上という意味では、同社はこれまでとは違う地域に注目しはじめたようだが、依然中国では劣勢に立たされている。Airbnbに比べるとずっと低い10億円の評価額がついている地元企業のTujiaは、国内のAirbnbのコピー企業を駆逐しながら、中国トップの座を狙っている。

Expedia傘下のHomeAwayとパートナーシップを結んでいるTujiaによれば、現在プラットフォームには40万軒の物件が登録されており、同社は物件のオーナー・ユーザーの両方に関して中国市場を狙い撃ちしているという。Airbnbも最近Alipayでの支払いやWeChatのサポートを開始した一方、Tujiaは中国人旅行者の期待に沿うようなサービス重視のアプローチをとっている。具体的には、チェックイン専門の担当者や清掃担当者の配備や、さらに物件管理さえ行っていると、CEOのMelissa Yangは2015年のインタビューで語っていた

中国を訪れる欧米の旅行者にとっては、引き続きAirbnbが第一候補になるかもしれないが、Tujiaは徹底的に中国人旅行者のニーズを満たすことを目指しており、Airbnbのライバルで2015年に39億ドルでExpediaに買収されたHomeAwayとのパートナーシップを通じて、海外の旅行者にもリーチできる可能性がある。そうは言っても、Airbnbは中国を除く世界のほぼ全ての国を支配しており、特に中国で失敗を繰り返してきたアメリカの大手テック企業のことを考えると、今後同社の動向からは目を離せない。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

”デジタル・インディア”の波に乗って個人ローンの改革を目指すCredy

ソーシャルレンディングプラットフォームのCredyは、個人ローンをインド国民にとってもっと身近なものにしようとしている。Y Combinatorの2017年冬期バッチに参加している同社は、個人ローンの契約プロセスを電子化し、P2Pローンをより多くの借り主・貸し主に広めることで、市民が資本へアクセスしやすい環境をつくろうとしているのだ。

Credyは、現在インドで起きている、いくつかの大きな制度改革の波に乗りながらビジネスを展開中だ。改革の影響で、今後個人の特定や信用力の把握が容易になり、電子決済も増えていくと考えられている。そんな改革のひとつめが、Aadhaar IDシステムと呼ばれる、世界最大の生体認証IDシステムの導入で、既に10億人以上のインド市民が同システム上に登録されている。

ふたつめの改革が高額紙幣の廃貨だ。昨年末に施行されたこの政策によって、流通通貨の85%以上(金額ベース)が使えなくなった。政策の効果や施行プロセスについては未だ議論の余地があるものの、高額紙幣の廃貨により、インドは間違いなく現金中心の社会から、オンラインバンキングや送金中心の社会へと変わっていくだろう。

上記のような背景の中、Credyは500億ドルの規模で年間30%の成長を遂げている個人向けローン市場を変えるべく誕生した。市場規模は既にかなり大きいように感じるが、Credyの共同ファウンダーでCEOのPratish Gandhiによれば、平均でインド市民7人のうち1人しか個人ローンを借りられないという現状を考えると、市場規模は今後さらに拡大する可能性があるという。

Credyのチームは、全てオンラインで行われるローン申請や、電子IDとのリンクによって、ローンを利用できる市民の数は劇的に増えていくと考えている。紙の書類が中心で、申請完了までに数日から数週間もかかってしまうような現状の借入システムとは違い、Credyのサービスでは、申請者が基本情報を提出すると、すぐに承認が得られるようになっている。

一旦申請が承認され、本人確認のプロセスを完了すれば、Credyのプラットフォーム上でローン契約を結び、お金を借りられるようになる。平均的なローンの金額は500〜1000ドルで、返済期間は6〜9ヶ月といったところ。

Credy自体は貸付を行っておらず、彼らはマーケットプレイスとして、貸し主(主に高所得者層の個人)と承認済みの借り主を結びつける役割を担っている。Credyの創業メンバーは、以前Goldman Sachsのリスク管理部門で勤務しており、そのときの経験がコンシューマー向けの市場で活かされているようだ。

同社のプラットフォーム上では、これまでに合計約300万ドル分のローン契約が結ばれているが、この数字はバンガロール市内だけのものだ。Y Combinatorからの投資や、送金をスムーズに行うための銀行とのパートナーシップを通じて、Credyは今後数ヶ月のうちに速度を上げてスケールしていこうとしている。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

ローンチから2週間で黒字化―、インドのビジネスメディアThe Ken

元記者や元起業家から成る4人のチームが、インドの”崩壊した”ビジネスメディアに変革をもたらすと共に、高品質のジャーナリズムに対してお金を払う個人・企業がインド国内にも存在するということを証明しようとしている。

欧米ではサブスクリプションベースのメディアの人気が高まっており、The New York Timesデジタル版のユーザー数も、トランプ大統領の当選後急増した。テック業界で言えば、元Wall Street Journal編集者が創刊したThe Informationが、トレンド情報とニュースの融合で人気を博しているほか、台湾在住のライターBen Thompsonが発行している、分析記事を中心としたニュースレター兼ブログのStratecheryも、サブスクリプションモデルが儲かるということを証明してきた

しかし今回の話は、大人気のプロダクトでさえマネタイズに苦しむと言われているインドが舞台だ。iPhoneを例にとれば、インドの年間売上台数よりも、新モデルがローンチされたときの週末の売上台数の方が多く、Netflixのような中毒性の高い(かつiPhoneよりもずっと安い)サービスでさえ、これまでのところインドでは大衆の支持を集めることができていない。

まずはビジネス報道から

そんな状況の中、バンガロール発のThe Kenはサブスクリプションベースのニュースサイトを運営しており、1日1記事を有料会員のもとに届けている。年間の利用料は、インド国外のユーザー向けが108ドル、国内ユーザー向けが2750ルピー(42ドル)。

月額10ドルや四半期額25ドル/900ルピー(13.5ドル)のプランも準備されているThe Kenのサービスは、これまでインドで誕生したサブスクリプションベースのメディアとしては、1番注目を浴びている。記事のカバー範囲は、創刊メンバーの経歴に沿って、今のところテクノロジーやビジネスが中心だが、将来的に彼らは他の分野の情報も扱っていこうとしている。

「私たちは、単にスタートアップの情報だけを扱っていると思われたくないんです。そうなってしまっているメディアは多く見かけますしね」と共同ファウンダー兼CEOのRohin DharmakumarはTechCrunchの取材に対して語った。「今後は記事のカバー範囲を拡大して、毎日読んでも退屈せず、ちょっと意外性もあるニュースを読者に届けたいと考えています」。

古い英語で「知識」を意味する「ken」という単語を名前に冠したThe Kenは、読者のコミュニティをビジネスの中心に据えている。主なコミュニケーション手段としてはメールが使われ、11人のThe Kenのライターが交代しながら、それぞれのユーモアや考察が含まれたニュースレターを、有料・無料ユーザー両方に対して毎日送付している。また、誰でも読める週刊の無料記事も発行されており、彼らはそこから新たな有料ユーザーの獲得を狙っている。

毎日ユーザーに送られるニュースレターの例

またThe Kenは、広告収益モデルを採用せずに読者を増やすため、単純な有料購読以外のモデルも色々と試している。これまでに彼らは、モバイルウォレット大手のPaytmからの支援を受けて1週間分のフリーパスを提供するなど、スポンサーの協力を得つつも、広告や販促記事を掲載せずに、無料のコンテンツを公開してきた。さらに現在は、企業向けの購読プランの導入準備も進められている。

記事を読むだけのプランや1日限定のプランは、The Kenが提供するエクスペリエンスを薄めてしまい、長期的なビジョンやコミュニティの創生を妨げることにつながる可能性があるため、そのようなプランを準備する予定はないとDharmakumarは説明する。

Make Media Great Again

実は私もThe Kenの有料ユーザーだ。情報収集が私の仕事の一部ということ以外にも、私はテクノロジーが日常生活にディスラプションを起こす様子を観察するのが好き、というのが購読の理由だ。テクノロジーが日常生活のほぼ全ての側面を刻一刻と変化させている新興市場の様子は、見てて飽きることがなく、特に10億人以上の人口と多様な文化を誇るインドでは、テクノロジーの持つ影響力が新興国の中でも最も大きいと言われている。一方で、その様子を明瞭に、面白く、そして何より正確に伝えられるメディアがインドにはほとんど存在しない。

最後の点に関連し、Dharmakumarはインドの消費者全体がメディアに対して関心を失っていると考えており、それがThe Ken誕生のきっかけになったと彼は説明する。

「インドのビジネスジャーナリズムが崩壊してしまったというのは明らかでした」と彼は話す。「市民は実質的に新聞を読まなくなり、新聞からの情報収集をやめてしまったんです。しかもこれは若い人に限ったことではなく、経験豊富な投資家でさえ、最新情報をソーシャルメディア経由で集めるようになってしまいました」。

「記事の内容は低レベルかつバイアスがかかっている上、文字がぎっしりと詰まっており、次第に消費者は報道内容に共感できなくなり、新聞に何の価値も見いだせなくなってしまったんです」とDharmakumarは付け加える。

そこで、先述のサブスクリプションベースのメディアからヒントを得た(特にDharmakumarはThe InformationとStratecheryを例として挙げている)創刊メンバーの4人は、「インドのビジネスメディアに関して誰かが何かをしなければいけない」と感じ、The Kenをはじめたのだ。当初はソーシャルメディア上にポストの形で記事を配信していたThe Kenだが、その後、読者とコンテンツの間に購読というバリアを設けようと、サブスクリプション制のニュースレターの発行を開始した。

有料ニュースレターがうまくいったことを受け、彼らは有料ユーザー向けにThe Kenのウェブサイトを立ち上げることにした。

現在どのくらいの数の購読者がいるかについては明らかにされていないが、Dharmakumarによれば、現時点で彼らが予測していた購読者数は超えているという。確かにThe Kenは、ウェブサイトのローンチから2週間で黒字化し、2月には合計40万ドルを複数の著名エンジェル投資家から調達していた。さらに投資家の中には、インドの有名テックスタートアップPaytmやTaxiForSure、Freshdeskのファウンダーも含まれていた(Paytm CEOのVijay Shekhar Sharmaは、The Kenの他にもFactorDailyを筆頭とした複数のインドのニュースサイトに投資している。なおTechCrunchでは、The Kenと並ぶ野心的なメディア系スタートアップのFactorDailyについて、以前公開された記事の中で触れていた)。

「最近のスタートアップ界の基準から見れば、40万ドルというのは大した金額ではないかもしれませんが、対象を絞った効率的なメディアビジネスをつくる上ではかなりの金額ですし、私たちは初日から売上をあげることができました。またこれまで私たちはジャーナリストとして、早い段階で多額の資金を調達した企業が、目的や情熱を失っていく姿を何度も見てきました」とDharmakumarは、読者宛の資金調達に関するニュースの中に記した。

「何年も前に方向性を失いだしたインドのビジネスジャーナリズムでは、新鮮味に欠け、一方的でレベルが低く、面白くない記事が量産されてきました。私たちは、このような既存のビジネスメディアとは全く逆の記事を読者に届けるために、どんな苦労も惜しみません」とも彼は書いている。

メインストリームメディアへの成長

現在のメディア界について批判的な意見を表明している一方で、CEOのDharmakumarは、The Kenがインドの既存のメディアシステムを壊そうとしているのではなく、むしろ既存のシステムの中でビジネスを展開しようとしていると語った。

「私たちは新聞を含む従来のメディアを完全に代替しようとしているわけではありません。The Kenは、既存のメディアを補完するような存在です」と彼は話す。「新聞やニュースで何が起きているか知った人に対して、私たちは、その次に何が起き得るのか、誰がどう関わっているのか、何が狙いなのかといった情報を提供しようとしているんです」。

これから半年程度は、現状のサービスを続けつつ、購読者数およびコンテンツ量の拡大に努める予定のThe Kenだが、その後はカバー範囲を拡大して、読者に幅広い情報やニュースを伝えられるようにしたいと考えている。

さらにDharmakumarは、当初のターゲットだったビジネスマンやテック業界に注目している人以外にも、読者層を広げようとしている。

「ビジネスニュースは自分に関係ない、と考えているような若い人にも私たちのニュースを届けていきたいと思っています」と彼は説明する。

直近のニュースとして、Android・iOS対応のアプリが近々公開予定で、読者はメールやウェブサイト以外の方法でThe Kenのニュースにアクセスできるようになる。他にも、各記事へのコメント欄の設置や、読者が記者と直接やりとりできるSlackチャンネルの開設などが予定されており、将来的にはこれらの新機能が編集の方向性や記事内容に影響を与える可能性もある。

The Kenの詳しい情報については、彼らのウェブサイトで確認してみほしい。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

終わらない中国の配車サービス戦争―、DidiのライバルUCARが10億ドルを調達へ

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【編集部注】オリジナルの英語記事は、中国におけるTechCrunchのパートナーメディアTechNodeからの転載。

Uberの中国事業買収を経て、Didi Chuxingは中国の配車サービス業界に残った唯一のプレイヤー、つまり広大な中国市場を掌握する企業になったと考えられていた。しかしDidiの成功は、同時に競合企業に新たなチャンスをもたらすことになった。たとえDidiであっても、どうやらひとつの企業が中国市場全体を支配するというのは不可能なようだ。

Didiの中国における有力なライバルUCARは、中国の銀行システムを運営しているUnionPayを含む4社から、合計46億中国元(6億7000万ドル)を調達したと今週発表した。同社の株主には、Warburg PincusやJack Maといったビッグネームも含まれている。

さらにUCAR会長のLu Zhengyaoは現地メディアに対し、追加調達資金を含めた合計調達額は70億中国元(10億2000万ドル)を超える予定だと話している。彼によれば、調達資金はマーケティングや採用、オフラインでのプレゼンス向上や車両の購入に充てられるという。

UCARは過去にも巨額の資金を調達しており、昨年10月には100億中国元(14億5000万ドル)をプライベートプレースメント(私募)で調達した。これは素晴らしい数字である一方、資金調達に関してDidiは他社に大きくリードしている。同社は最近行われた73億ドルのラウンド(Apple、Tencent、Alibaba、Softbankなど大手IT企業が参加)を含め、これまでに105億ドルを投資家から調達しているのだ。

Didiはドライバーをクラウドソースで集め、個人の車を使って営業しているのに対し、UCARは自社で車を保有し、タクシー業のライセンスを持ったドライバーが業務にあたっている。認可を受けたドライバーを売りに、UCARは今後利益を拡大できる可能性があると共に、彼らは規制面でのトラブルを回避するという重要な役割も担っている。

Shenzhou Zhuancheと呼ばれる配車サービスに加え、UCAR傘下で香港株式市場に上場しているCar. Incが提供しているレンタカーサービス、その他にも自動車のオンラインマーケットプイス、自動車ローンとUCARは現在4種類のビジネスを運営している。業務内容には既にかなり広がりがあるように見えるが、CEOのCharles Luはさらに新しい分野へ進出していきたいと言う。現状のまま行けば4つのビジネス全てが今期黒字になる予定で、新たなビジネスとしては自動車製造業という案が挙がっている。

多くの中国発テック系スタートアップ同様、UCARも中国の店頭取引(OTC)市場に上場している。彼らは昨年9月に、配車サービス企業としては初となる上場を果たし、現在の時価総額は409億3000万中国元(59億5000万ドル)に達している。一方Didiはまだ上場しておらず、具体的なIPOの計画についても発表されていない

厳しい競争環境や政府の締め付けにも関わらず、中国の配車サービス市場を狙う現地企業は後を絶たない。LeEcoの投資先であるYidaoは、長引いているDidiのUber中国事業買収が完了したタイミングで生まれるギャップを狙っており、2015年には10億ドルの評価額で7億ドルを調達した。

他には、中国トップのネット企業Meituanも、最近自社のアプリに配車機能を追加し、自動車メーカーのGeelyは、Caocao Zhuancheと呼ばれる配車サービスの営業範囲を拡大させた。

2015年のDidi DacheとKuadi Dacheの合併や、現在進行中のDidiとUberの話など、大手企業の統合が進む中、中国の配車サービス業界における戦いは終わったというのが大方の見方だった。しかし、UCARの資金調達のニュースからもわかる通り、市場は成熟しつつありながらも、戦いはまだ終わっていないようだ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

中国で新たなユニコーン企業が誕生―、オンデマンドレンタサイクルのOfo

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ユニコーン企業なしに業界は盛り上がらない。最近中国で投資が集中している、オンデマンドで自転車を借りられるサービスを提供する企業の中から、初めて評価額が10億ドルを超える企業が誕生した。

オンデマンドレンタサイクル業界には、今年だけでもこれまでに3億ドル以上のお金が集まっており(しかもその投資は1社に集中している)、Ofoはついに誰もが待ち望んでいた、この業界初となる評価額10億ドルを達成した。北京に拠点を置く同社は、DSTが中心となったシリーズDで4億5000万ドルを調達したと本日発表した。

配車サービスで中国トップのDidi Chuxingは、昨年Ofoと投資契約を結んでおり、今回のラウンドでもその存在感を発揮していた。Didi以外でOfoのシリーズDに参加した投資家は、全てDidiにも投資したことがある企業だったのだ。具体的には、リードインベスターのDST、Matrix China、CITICがそうで、今回のラウンドではDidi自体も投資を行った。

Ofoと競合サービスの戦いは、DidiとUberの戦いと似ている部分が多いため、Ofoへの投資はDidiらしく映る。なお、DidiとUberの対決の結果はご存知の通りで、Uberが負けを認め中国事業をDidiに売却することになった

一方Ofoは、Tencent、Xiaomi、Sequoia China、シンガポールの政府系ファンドTemasekなどから資金を調達したライバルMobikeと、助成金・資金調達バトルを繰り広げている。Mobikeは、年明け1月にシリーズDで2億1500万ドルを調達し、その後FoxconnTemasekからの戦略的投資として少なくとも8500万ドルを追加調達した。MobikeはOfoに先んじて、レンタサイクル業界でもっとも多くの資金を集めたスタートアップだと主張していたが、今度はOfoが「初のユニコーン企業」というタイトルで反撃した。

あまり深い意味を持たない形だけのタイトルや自賛は置いておいて、彼らのビジネスモデル自体にはさまざまな疑問が浮かんでくる。Uberが考案しDidiが中国でスケールしたライドシェアサービスには、長期的な利益率に関して問題があると思っている人もいるかもしれないが、MobileとOfoの話は全く別物だ。

両社とも表向きは、テクノロジーを使って誰でも自転車を借りれるような環境をつくろうとしている。自転車にはGPSチップが搭載されているので、どこかにまとめて駐輪しておく必要がなく、ユーザーはモバイルアプリを使って簡単に自転車を借りられる。この仕組みは、ロンドンの「Boris Bikes」や世界中の国々で公的機関が提供しているレンタサイクルサービスとほぼ同じだ。

仕組み自体は大変便利だが、1時間当たり1中国元(0.15ドル≒17円)という利用料でどのくらいの利益が出ているのかはよくわかっていない。さらに自転車を壊そうとする人(どこにでも嫌な人はいるものだ)の問題やデポジットの取り扱いに関する問題もある。TechCrunchのパートナーサイトTechnodeの最近の報道によれば、レンタサイクルを提供している規模の小さな企業の中には、デポジットを資金繰りに利用しているところまであるという。

スケールに関しては、昨年6月からこれまでに2000万人の登録ユーザーに対して、100万台を貸し出したとOfoは発表している。さらに同社は中国の40都市で営業しており、現在はアメリカ、イギリス、シンガポールなどへの進出に向けた初期段階にあるという。

一方Mobikeは、これまでに1000万人のユニークユーザーが、2億回以上も同社のサービスを利用したと最近発表した。彼らは大都市を対象にサービスをスタートさせたが、その後拡大を続け、今では北京、上海、広州、深センを含む国内21都市をカバーしている。さらにOfo同様、Mobikeも今年中にアジア、ヨーロッパ、北米といった海外市場へ進出しようとしている。

Uberの中国事業の買収によって、Didiはひとつの戦いを終わらせることができたかもしれないが、またすぐに新たな戦いが起きようとしている。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Microsoftが新興国向けにSkype Liteをローンチへ―、2Gでも使えるSkype

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Microsoftは、ビジネスユーザーにおなじみのSkypeを新興国ユーザー向けに一新し、インドの現地時間2月22日に行われたFuture Decodedで、新アプリSkype Liteを発表した。

Android用アプリとして開発されたSkype Liteは、Skypeの核となる音声・ビデオ通話機能に重きを置きながら、2Gのような速度に限りのある通信規格向けに最適化されている。まずはインドでのリリースを予定しており、アプリは8言語にローカライズされているほか、SMSの送受信機能、データ通信量の確認機能も備えている。さらにMicrosoftは、インドにフォーカスしたさまざまなボットも準備しており、ユーザーはタスクの自動化に加え、ブラウザを開くよりも簡単にニュースなどのコンテンツをチェックできるようになる。また、データ通信量を抑えるために、チャットを通じて送付された写真、動画、その他のファイルは全て圧縮されるようになっている。アプリ自体のサイズも13MBしかなく、インドのような新興市場の大部分を占める、安価な携帯電話の少ない記憶容量をできるだけ食わないように作られている。

またMicrosoftは、6月以降に一部機能を有効化するために、インドの公的デジタル個人認証システムであるAadhaarとSkype Liteを連携させる予定だと話している。これが実現すれば、「Skypeユーザーは、面接時や何かを売買する際など、相手が誰なのか確認する必要があるさまざまなシチュエーションで、知らない相手の身元を確認できるようになる」とMicrosoftはブログポストに記している。

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興味深いことに、Skype Liteは「インドユーザーのために、インドでつくられた」とMicrosoftは話しており、同社がインドのモバイル革命に大きな勝負をかけようとしているのがわかる。インドのインターネット利用者数の増加率は世界一で、さまざまな社会・経済的な変化が起きているが、まだそれもはじまったばかりだ。というのも、Counterpoint Researchの調査によれば、インドの人口約12億5000万人のうち、まだ3億人しかスマートフォンを持っていない。

一方で、Microsoft以外にもインド市場を狙っている企業は多数存在する。Googleは、公共Wi-Fiプロジェクトや、さまざまな人気アプリへのオフライン機能の搭載、メッセージングサービスAllo・Duoのローカリゼーションなど、インド市場向けにさまざまな施策に取り組んできた。しかし数々の巨大企業がインド市場を攻め込んでいるにもかかわらず、Facebookが未だにインド市場では優位に立っている。同社の情報によれば、WhatsAppのユーザー数は1億6000万人を超えているほか、メッセージ以外のソーシャル機能ではFacebookがインド市場を独占しており、そのユーザー数は1億5500万人におよぶ。

この記事(英語原文)の公開時点では、まだSkype Liteはリリースされていないが、インド国内ではこのリンクから22日中にはアプリをダウンロードできるようになるはずだ。なお、インド以外でのリリース予定については明らかになっていない。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

インドのiPhoneの価格はすぐには変わらない―、Appleの現地生産に新情報

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どうやらAppleはiPhoneをインドで現地生産していくようだが、だからといってインド国内の製品価格が下がるという話でもないようだ。

The Economic Timesは、数ヶ月のうちにAppleが印度南西部のカルナータカ州でiPhone SEの生産をスタートさせると本日報じた。今月に入ってから、同州のIT大臣もAppleと生産の合意に至ったとのコメントを残していたが、The Economic Timesの報道にはさらなる詳細が記載されている。

現状インドのiPhoneの価格は、世界で1番高く設定されている。これは、iPhoneが中国で生産されているため、Appleが関税を支払わなければいけないからだと考えられている。そこでAppleは、インド現地でiPhoneを組み立てれば価格を下げられるのではないかと考えた。継続的にスマートフォン市場が成長している数少ない国のひとつであるインドで、Appleは思うようにシェアを伸ばせていないため、これは同社にとって大変重要なことだ。

最近のIDCのレポートによれば、中国メーカーが2016年Q4のインドのスマートフォン市場を席巻し、トップ5に現地メーカーは1社も含まれていなかった(これは初めてのことだった)。一方Appleはこれまでで最多となる250万台をインドに出荷したが、インドのスマートフォン市場における2016年Q4の総出荷台数が2800万台以上だったことを考えると、この数字はとるに足らないものだった。

またAppleが現地生産を開始すれば、すぐに価格が下がると思っている人もいるかもしれないが、実はそうとも言えないようだ。

「通常Appleが急激に価格を下げることはないため、現地生産で浮いたお金は小売網の構築やマーケティングに使われる可能性があります」とCounterpoint Researchでアナリストを務めるNeil Shahは話し、現在インドにはAppleの直営店が1軒もないと指摘する。

「一方でAppleは、お祭りのシーズンに絞って値引きをすることもあります。それでも値引き率はせいぜい4〜5%程度で、12〜13%(現地生産で抑えられるコスト)全てが顧客に還元されることはないと思います」

さらにShahは、Appleはすぐには「台湾や中国のような本格的な生産を行わないでしょう」と話し、当面はリスクを避けるために、四半期ごとの生産台数は40万台以内に落ち着くと彼は考えている。

もちろん彼の言っていることは短期的な話であり、もしもAppleがインドでの生産を拡大しプロセスを効率化できれば、製品価格が下がる可能性もある。現地生産開始はAppleにとってもインドのAppleファンにとっても良いニュースだが、消費者が現地生産の効果を十分に感じるまでには少し時間がかかりそうだ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Uberがインドで貸切サービスをスタートへ

BEIJING, CHINA - 2016/10/08: UBER art station in Beijing CBD.  There are 8 UBER art stations in Beijing, each with a sculpture made by some of China's promising modern designers, provided especially for the carpooling riders and drivers to gather and find each other easily. (Photo by Zhang Peng/LightRocket via Getty Images)

Uberがインドで貸切サービスのパイロットプログラムをスタートさせようとしている。ここでの貸切とはドライバー込みの車を意味し、これはレンタカーとは全く異なるコンセプトだ。

8都市でテスト予定の「Uber Hire」と呼ばれるこの新サービスは、複数のミーティングをこなすためやショッピング・探索目的などで、一日中特定のUberドライバーを予約したいというユーザーのリクエストから生まれたものだと同社は説明する。

このサービスでは、ユーザーは移動ごとに別々の車を呼ぶのではなく、同じ車とドライバーをずっと利用し続け、最後に料金を支払うことになる。料金は通常通り「距離と時間」の組合せで算出されるが、支払は現金でしかできないとUberは話す。

Uberは他の地域でこのようなサービスを提供していないので、貸切のコンセプト自体は同社にとっては新しいものだが、インドでは既に似たようなサービスが存在する。200都市以上で営業しているUberのライバルOlaが、昨年の夏に貸切サービスをローンチしていたのだ。80都市以上で同時にスタートしたOla Rentalsとよばれるこのサービスは、1時間ごとの料金が設定されており、初乗りは2時間もしくは30kmで449ルピー(約750円)となっている。

Olaは声明の中で、同社が「モビリティ業界のイノベーションを先導し、昨年初めてRentalsサービスを導入した」と述べた。

さらにOlaは、これまでに「何十万件」もの予約があったというRentalsサービスを、「近日中に」合計100都市以上に展開予定だと付け加えた。

実はUberは以前、貸切に近いサービスを人気リゾート地のバリ島でスタートし、旅行者や観光客をターゲットに5〜10時間のチャーターサービスを提供している。

Uberは、Didi Chuxingへの事業売却と共に中国から撤退後、インドや東南アジアといった勝機の見込める地域へとフォーカスを移した。そして以前まで中国につぎ込んでいた年間10億ドルもの資金を、Uberは現在この2地域(特にインド)に向けていると言われてる。

また、Uberがインド国内に設立したR&D部門は、Uber Hireの他にも、ウェブ予約や代理予約機能、さらに以前には現金精算SOSボタンといったインドだけのプロジェクトを行ってきた。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Samsungと中国ブランドがインド携帯市場を席巻、2016年Q4スマートフォン出荷台数

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現在インドは中国製スマートフォン革命の真っ只中にいる。2016年Q4の販売台数ランキングトップ5に、インド企業は1社も入ることができなかったのだ。

Samsungやおびただしい数の若い中国企業は、まだスマートフォン市場に成長の余地が残されている数少ない国のひとつであるインドをしばらくのあいだ攻め込んでおり、その成果が形になってあらわれはじめた。

調査会社Canalysの最新のデータによれば、Smasungが22%のシェアで他社を先導し、その後にXiaomi(11%)、Oppo(9%)、Lenovo(9%)、Vivo(7%)が続いた。以前大きなシェアを握っていたインド企業は、1年の間にシェアを半分以上奪われてしまったことになる。

「2015年Q4には、Micromax、Intex、Lavaがそれぞれ2位、3位、5位にランクインし、合計で約30%のシェアを占めていました。しかし2016年中にその全てがトップ5から姿を消し、市場シェアも11%まで減少してしまいました」とCanalysは言う。

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中国製デバイスの安い価格と中国企業の潤沢なマーケティング資金の他にも、ある別の要因がその背景にある。それはインド政府による高額紙幣の廃止だ。インド政府は、いわゆる「ブラックマネー」を締め出すために、最近500ルピー紙幣と1000ルピー紙幣を廃止した。Canalysはこの施策がスマートフォンを含む小売販売に大きな影響を与えたのだと言う。

「インド企業は、小規模小売店で製品を現金で買うような消費者をターゲットにしています。しかし今回の高額紙幣廃止によって短期的な流動性が下がり、消費の勢いも落ちてしまいました。結果的に小売店は、インドのスマートフォンから在庫の動きが速い中国・韓国のスマートフォンへとシフトしていったんです」とCanalysでアナリストを務めるRushabh Doshiは説明する。

実際にCnalaysのデータを見ると、2016年Q4のインド企業全体の出荷台数は1160万台と前年比で25%減少した。

一方で中国企業はインド市場で目覚ましい成長を遂げた。特にXiaomiは、2016年に初めてインド市場での年間売上が10億ドルを突破(前年比+232%)した。Lenovoもマーケットシェアを11%拡大し、Oppoの出荷台数も1500%以上の伸びを見せた。

以上からもインド市場は暗いニュースばかりではなく、むしろその逆だということがわかる。

Counterpointが行った最近の調査によれば、2016年にインドのスマートフォンユーザーの数が初めて3億人を突破し、出荷台数も前年と比べ18%伸びていた。これは世界平均の3%を大きく上回る数字で、中国企業やインドでの生産を検討しているとされるAppleが、インドのスマートフォン市場に力を入れようとしている理由もわかる。

ちなみにAppleはCanalysのレポートでは触れられていなかったが、Counterpointは2016年がAppleのインドビジネスにとって最高の1年だったと話す。実際にiPhoneの出荷台数は2015年の200万台から2016年は250万台に増加していた。これも素晴らしい数字ではあるものの、上記の表から分かる通りボリュームという点ではAppleは他社に遅れをとっている。一方でAppleが世界のスマートフォン市場の利益をほぼ全て手中におさめていることを考えると何ともいえないところだ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

インドのPractoが5500万ドルを調達、アジアの新興国でヘルスケアプラットフォームを展開

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インドに拠点を置き、医師検索・医療情報サービスを展開中のPractoが、この度シリーズDで5500万ドルを調達し、世界中の新興国へのさらなる進出を狙っている。

今回のラウンドでリードインベスターになった中国の大手ネット企業Tencentは、2015年にPractoが9000万ドルを調達したシリーズCでもリードインベスターを務めていた。またロシアのRu-Net、日本のリクルートが運営するRSI Fund、そしてニューヨークのThrive Capitalが新規の投資家として、さらに既存の投資家であるSequoia、Matrix、Capital G(旧Google Capital)、Altimeter Capital、Sofinaもラウンドに参加していた。なお今回の調達資金を合わせると、これまでにPractoが調達した資金の合計額は1億8000万ドルに達する。

Practoのビジネスにはいつも感銘を受けてきた。というのも、同社はヘルスケアという全ての人に影響を与える課題に取り組んでおり、その中でも特に問題が深刻な新興国をターゲットとしたサービスを提供しているのだ。プラットフォームの基本機能としてPractoのユーザーは、インドやその他の新興国では簡単にはいかない医師の検索や、医師から提供された医療情報の入手、さらにはQ&A機能を使って簡単な質問への回答やアドバイスを受けることができる。

新興国では医師不足が深刻な状況にあり、Practoのサービスは大きなインパクトを持っている。世界銀行のデータによれば、インドでは国民1000人に対して内科医が0.7人しかおらず、この割合は郊外だとさらに下がる。ちなみにアメリカとイギリスを例にとると、それぞれの国民1000人に対する内科医の数は2.8人と2.5人だった。

消費者側の問題解決以外にも、PractoはSaaSモデルを採用し、診療データ管理用のソフトウェアを医療施設に向けて販売している。これにより医療関係者は、Practoの消費者側のサービスを使って、自分たちのサービスを広範囲にスケールする前に、ビジネスやプロセスをデジタル化することができるのだ。

Practoによれば、同社のサービスを通じて年間4500万件のアポイントが成立しており、現在プラットフォームには20万人の”医療関係者”と1万軒の病院、そして5000軒の診療センターが登録されている。またPractoのプラットフォームは、インド以外にもフィリピン、インドネシア、シンガポール、ブラジルで利用されており、医療従事者向けのソフトウェアは世界中の15カ国で利用されている。

Practoは今回調達した資金をさらなる海外展開に利用する予定で、既存新興市場でのビジネス拡大、新規新興市場(東南アジア、南米、中東、アフリカ)への進出を狙っている。

「既存の市場でもさらに投資を加速させていきます」とPracto CEOのShashank N.Dはインタビュー中に語った。

「昨年私たちはエンタープライズ向けのビジネスを強化するために(インドで)複数の企業を買収し、インドの消費者向けサービスの拡充も進めてきました。今後は既存市場をさらに深掘りすると同時に、中東など新市場の調査も行っていきます。私たちのビジョンは、世界中の人がより健康に長く生きるためのサポートをするということです」と彼は付け加える。

Practoは海外での業績についてあまり情報を明かさなかったが、ほとんどの海外市場へ参入したのが昨年だったことを考えるとそれも理解できる。

「SaaSとマーケットプレイスを利用し、Practoはこれまでに確かな収益構造を築いてきました。現在海外からの売上は全体の20〜25%を占めており順調に成長していますが、インドでの売上の方が大きな伸びを見せています」とShashankは話す。

さらにPractoはTencentと密に協力しながら、今後医療保険の分野へ参入しようとしている。Tencentは数ある事業のひとつとしてWeChatを運営しており、これは中国で一番人気のメッセージアプリかつ驚異的なスティッキネスを誇るモバイルプラットフォームだ。WeChatのデイリーユーザー数は7億6800万人を記録しており、そのうち半分が1日あたり少なくとも90分間このアプリを使用している。

WeChatのようなプラットフォームをつくるノウハウこそ、PractoがTencentから学ぼうとしている点であり、ほかにも医療業界にいるTencentのパートナー企業を通して、中国でテクノロジーがどのようにヘルスケアに影響を与えているかについて情報を集めているとShashankは付け加える。

「昨年は一年を通して、Practoのプラットフォーム化に注力していました。ここで言うプラットフォームとは、消費者の医療に関するニーズをワンストップで満たせるような総合プラットフォームを指しています」と彼は話す。

TencentはPractoのこの動きを、実際のアクションをもって支援している。Practoへの投資は同社にとって初めての大規模投資案件であり、次回のラウンドでもTencentはリードインベスターを務めようとしているのだ。

「Practoはこれまでに素晴らしい成長を遂げ、同社がカバーする消費者と医療従事者のニーズの幅もだんだんと広がってきました。ヘルスケアの分野でフルスタックのモデルを確立することは大変難しいことですが、Practoは実際にプラットフォームを構築して急速にスケールしています。これは世界的にみても珍しい例です」とTencentの投資・M&A担当執行取締役であるHongwei Chenは声明の中で熱く語った。

2011年のシードラウンドからしばらくが経ってビジネスが成長し、海外での業況も上向いているが、ShashankはまだPractoのエグジットは考えていないと言う。

「今回のラウンドで資金に余裕が出たこともあり、特にIPOに向けた具体的な計画も立てていません。新興国のヘルスケア市場ははじまったばかりで、テクノロジーをヘルスケア分野で活用するというコンセプトも浸透していないので、まだまだ成長の余地はあると考えています」と彼は話す。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Naverが間もなく自動運転車の公道テストを開始予定

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韓国の大手ネット企業Naverは、自動運転車の公道テストに向けた最終段階に入り、現在国土交通部からの許可を待っている。同社はTechCrunchに対して、当局から最終許可を受け取り次第すぐに公道でのテストを開始すると話しており、関係者からの情報をまとめた韓国紙Yonhapの報道によれば、早ければ来月にはテストがスタートする予定だ。

Naverは韓国の巨大ウェブポータル運営企業で、同国最大の地図プラットフォームやメッセージアプリのLINE、そしてSnapchatに似たSnowなどを展開している。Naverが力をいれているAIへの取り組みの一環としてはじまった自動運転テクノロジーの開発は、同社がこれから「グローバル企業と競合していく」上で欠かせない要素だと、Naver CTOのChang-hyeon Songは語った。

さらにNaverは自動運転車がデータを集める上でもとても役に立つと考えており、彼らのコアビジネスとのシナジーも期待できる。「自動化の時代においては、自動車自体が情報交換のためのプラットフォームとなっていくでしょう」とNaverの広報担当者は話す。BaiduやGoogleのように、自動運転テクノロジーを事業ポートフォリオに加えるということは、消費者のオンライン生活の欠かせない要素になるという、より大きな目標にも上手く合致する。

Naverによると、現在の同社の自動運転テクノロジーはレベル3にあたり、まだ車が必要だと判断したときには人間のドライバーが運転を交代する必要があるが、ドライバーが実際にリラックスして全く注意を払わなくてすむレベル4に向けて改良が重ねられている。自動運転車に関連した事業は、新しくNaverの傘下に設立される会社が引き継ぎ、AIやロボットの事業もこの会社が受け持つことになる予定だ。さらにNaverはこれらの事業に4億2500万ドルを投じるとコミットしている。

自動運転テクノロジーの分野に参入している他のテック企業のように、Naverはさまざまな企業とのパートナシップを通して、この事業を加速させたいと考えている。しかし自動運転テクノロジーの製品化計画に関する時期や詳細については、まだ明かされていない。一方Naverの競合にあたるAlphabet傘下のWaymoは、FCAなど大手自動車メーカーとのパートナーシップを通じて、既に製品化に向けた準備を着々と進めている。

韓国政府は既に、自動車メーカーや研究組織あわせて10団体に公道での自動運転車のテストを許可しており、最終許可が下りればNaverは11番目となる。そして現段階ではそうなる可能性が高い。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Xiaomiが販売台数の公開を中止、長期的な成長に重きを置くことに

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Xiaomiが毎年行っている前年度のスマートフォン販売台数の発表を取りやめた。販売台数を公開することで、Xiaomiはこれまで多くのニュースの見出しを飾っていたが、本日同社のCEOはXiaomiが「早すぎる」成長を経て新たな段階に突入しようとしていると語った。

2016年の1月に、同社が2015年の販売台数が「7000万台以上」だったと発表したときには、既にこの戦略の変更がある程度予想されていた。スマートフォンの販売速度が世界中で落ちていることを考慮すると、2015年の結果も素晴らしいものだったと言えるが、この数字は当初の1億台から下方修正された8000万台という目標にも届いていない。

アナリストのレポートからも、2016年が人気企業Xiaomiの成長にとって素晴らしい年にならなかったことは明らかだった。売上では中国国内でトップに近い成績を残しており、同社が注目している新興市場インドの状況も堅調だったが、成長速度は以前に比べて落ちていた。ちなみに2012年に720万台だった販売台数は、2013年に1870万台、2014年には6100万万台へと急増していた。

Xiaomiの担当者は、TechCrunchに対して2016年の販売台数が公開されないことを認めた。

この変更は種々の状況を考えても予想できることだった。爆発的な成長を継続することが難しいことはもちろんだが、ハードウェアのコンポーネント化やオンライン限定での販売戦略など、Xiaomiを差別化していた要素が業界全体に広まってしまった。結果的にXiaomiはブランド力に頼らざるを得ず、これは”手頃な”デバイスを販売している企業としてはとても困難な課題であった。中国でAppleがXiaomiを突き放して人気ブランドの座についていることを考えるとなおさらだ。

しかしXiaomiにもその原因はある。同社は大胆な予測を立て、成長速度を誇示する宣伝を繰り返していたのだ。共同ファウンダー兼CEOのLei Junも、本日Xiaomiの戦略が拙速であったと認めている。

「最初の数年間は先を急ぎ過ぎていたため、短期的には奇跡的な成長を遂げることができましたが、長期的な成長が一部でないがしろにされてしまっていました。だからこそスピードを緩め、いくつかの点を改善し、長期的な未来のために持続可能な成長ができるような対策をとっていかなければならないと考えています」とLeiは従業員向けの文章に記した。

しかしLeiの思いがXiaomiの評価額に反映されているかどうかはハッキリとしない。同社の評価額は2014年12月の11億ドル規模のラウンドを受けて450億ドルに達したが、専門家の多くはXiaomiがそれ以後この金額を正当化できるほどのことをやっていないと感じている。

従業員向け文書には彼の正直な思いが綴られていたが、そのトーンはむしろ明るく、Leiは従業員に対して「困難の時は過ぎ去った」と記している。

売上に関する情報は発表されていないものの、Xiaomiはその他のさまざまな指標を公開し、そこからは最近採算が取れていないとXiaomi自体も認めていたスマートフォン販売だけでなく、今後どのように成長していくかを描こうとした同社の思いを感じることができる。

以下がLeiの文書に記載されていた情報だ。

  • インドにおける年間売上額が初めて10億ドルを突破
  • 現在54軒あるXiaomiのオフラインストアのうち、3店舗で2016年の流通総額が1億人民元(1450万ドル)を突破し(流通総額にはパートナープロダクトの売上も含まれている)、2017年には新たに200店舗、2020年までにはさらに1000店舗のオフラインストアを設立予定
  • ”Mi Ecosystem”にスマートTVやフィットネストラッカーなどを含む、5000万台のデバイスが接続しており、そこからの売上が150億人民元(22億ドル)を記録
  • 世界中で1万6000件の特許を申請しており、これまでにその中の3612件が認定される
  • 「インターネットサービス」からの売上が2016年に倍増(実際の数値は公表されていないが、2015年のロイターのレポートをもとにすると、初めて10億ドルを突破)

さらに興味深いことに、Leiは今後Xiaomiのオフラインストア網を拡大していきたいと考えている。これは読み違えではなく、オンライン限定販売モデルの先駆者であるXiaomiが、旧来の販売方法に力を入れようとしているのだ。

Leiは、現在の流通モデルに限りがあることからXiaomiは販売網を拡大する必要があると話しているが、もうひとつの要因としては”競争の激化”が考えられる。

私たちのEC戦略にも課題が浮上してきました。現在オンライン販売はXiaomiの中国における小売売上高の10%強しか占めておらず、スマートフォン市場全体に占めるオンライン販売の割合は20%しかありません。Xiaomiは壮大な野望を持っており、私たちはただのECスマートフォンブランドという地位に満足していないため、今後は現在の小売モデルを進化させ、オフラインの店舗を新たな小売戦略に含めていかなければいけません。

さらに彼は「インターネットサービス」の収益モデルが確立されたと感じており、このビジネスを進化させて売上を拡大していくための次のステップとして、プロダクトをより広域に販売していかなければならないと考えているようだ。

店舗網の拡大の以外にも、Xiaomiは顔認識システムに既に導入されているAIの開発に注力していくほか、海外でのプレゼンスを高め、2017年中にフィンテックソリューションを開発しようとしている。既に同社はApple Payの競合サービスを提供しており、中国でのデジタルバンキングサービスのローンチに向けて準備を進めている

スマートフォンの販売台数に関しては明確な目標を設定しないが、Lei Junは2017年の「控えめな目標」として売上額1兆人民元(145億ドル)を目指していると話す。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter