”物流界のUber”Lalamoveがアジア100都市以上での営業展開を目指し3000万ドルを調達

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香港に拠点を置きオンデマンド物流サービスを提供しているLalamoveは、上場を視野にこの度シリーズBで3000万ドルを調達した。

3年前にEasyVanという名前で設立された同社は、現在中国の50都市と東南アジアの5都市で営業しており、今回調達した資金を使って2017年中にさらに中国・アジアの60都市以上へとビジネスを展開していく予定だ。

今回のラウンドをうけ、Lalamoeはこれまでに合計6000万ドル以上を調達したことになる。シリーズBでは、Baiduで以前M&A部門のトップを務めていたHesong Tangによって新たに設立された、北京に拠点を置くVCのXianghe Capitalがリードインベスターとなった。そのほかにも既存の投資家であるMindWorks VenturesやCrystal Streamに加え、新規にBlackhole Capitalが同ラウンドに参加していた。

Lalamoveにて国際部門担当マネージング・ディレクターを務めるBlake Larsonは、TechCrunchとのインタビューで同社は損益分岐点に到達する寸前だと話していた。

「特にオンデマンドサービス界隈では資金調達が難しい今、今回のラウンドによってLalamoveは間違いなくビジネスを成長させる上で有利なポジションに立つことができます。既に複数の都市では黒字化できているほか、キャッシュフローもポジティブなため、今年中には全社的に採算がとれるようになるでしょう」とLarsonは語る。

「現在資金は十分にあるため再度資金を調達する必要はありませんが、今後全く資金調達をしないというわけではありません。私たちは既にもうかるビジネスモデルを持っており、上場は可能性の問題ではなく、時間の問題です。ハッキリと言うことはできませんが、現在の財務状況を考えると、2年から2年半のうちに上場することができると考えています」と彼は付け加える。

上場先の市場など、IPOについてはこれ以上Larsonは明かさなかった。

Lalamoveは、Uberのようなオンデマンドの交通サービスからヒントを得た複数存在する物流会社のひとつだ。しかしUberと違い、彼らは単価が高く利用頻度も安定している法人ユーザーを主な顧客としている。一方Lalamoveのアプリは誰でも使うことができ、ユーザーは同社のバイクやバンを利用して、食品や雑貨、オフィス用品を中心にさまざまなモノの配送を依頼できる。

「物流市場の規模は大きく、中国の市場規模は1兆7000億に達するほか、東南アジアの一部の国ではGDPの最大27%を占めています。その上、この業界はモバイルインターネットの世界ではあまり注目されていません。私たちのユーザーは、それぞれの街でより早くてシンプルな配送手段を求めており、Lalamoveは何でも1時間以内に配送できるということを証明してきました」とLalamoveのファウンダー兼CEOのShing Chowは声明の中で述べている。

現状Lalamoveのビジネスの中心は中国にあるが、全ての地域を勘案するとプラットフォーム上には50万人のドライバーと500万人のユーザーが登録されており、これまでに1500万回もの配送を行ってきたと同社は話す。Uberも2年前に香港で似たようなビジネスを展開しようとしたが、昨年Uber Cargoはサービスを停止した。

Uberと同社の中国におけるライバルであり、Uberの中国事業を買収予定のDidi Chuxingが今後数年の間に上場するかについては、さまざまな憶測が飛び交っているが、専門家のほとんどは両社ともまだ事業を黒字化できていないと考えている。

しかし、資金調達の難しさからオンデマンド物流界に残る数少ないプレイヤーのひとつであるとLarsonが話すLalamoveは、今年中の黒字化を狙っている。その原動力はターゲットとしている顧客層と、価格よりもサービス品質を重視した同社の戦略だ。

「私たちのオペレーションは表層部では(Uberと)似通っているかもしれませんが、コンシューマー市場のスイッチング・コストはとても低い水準にあります。そのため顧客ロイヤルティを保つのが、エンタープライズ市場に比べ難しくなってしまいます。(Lavamoveのように)法人顧客が中心の場合、顧客は短期的な金銭的メリットがあっても、他社に乗り換える可能性が低いんです。これは法人顧客がプロモーションに疎いというわけではなく、彼らは価格だけでは動かないということです」とLarsonは説明する。

昨年LalamoveはLINEと契約を結び、同社のチャットアプリ上のオンデマンドサービスをサポートすることになった。なおこの契約は、まずLINEのメイン市場のひとつであるタイで締結された。LINEがタイで提供しているLINE MANは、4年早くサービスを開始していたRocket InternetのFoodPandaを既にデリバリーボリュームで上回っているとLarsonは話す。さらに彼によれば、Lalamoveは現在LINEと似たようなサービスを東南アジアで展開している企業との将来的なパートナーシップの可能性を模索している。

「次のパートナーはチャットアプリを運営する企業ではないかもしれませんが、ソーシャルコマースサービスのように、今後一緒に仕事ができる可能性のあるプラットフォームはまだまだ存在します。特にオペレーション面のリソースに欠ける規模の大きなプラットフォーム(をLalamoveはサポートすることができます)」と彼は話す。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Accel Indiaが記録的な速さで4億5000万ドルのファンドを新たに組成

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約2年前に組成された3億2500万ドルの第4号ファンドに続き、Accel Indiaが5号目となるファンドを4億5000万ドルで設立した。これがインドのバブルを象徴しているのか、同国の本当のチャンスを表しているのかについては、未だ議論の余地があるものの、2011年からAccelに参加し、バンガロールを拠点に活動しているAccel IndiaパートナーのShekhar Kiraniに、メールで本件に関するインタビューを行ったので、その様子をご紹介したい。

TC: Kirani氏は2005年からインドでの投資活動を活発化し、不動産プラットフォームのCommonFloorやオンラインショッピングのFlipkart、カスタマーサポートサービスのFreshdesk、ファッション・ライフスタイルECのMyntraといったインドでも有名なスタートアップを含むポートフォリオを構築してきました。今回のファンドの設立にかかった期間は、これまでで最短といって問題ないでしょうか?普段Accelは、3〜4年周期でファンドを設立しているように記憶していますが。

SK: 今回のファンドは確かにかなりの速さで資金がまとまりましたね。これはインド市場の長期的なビジネスチャンスや、LPのサポート、私たちのポートフォリオに含まれる企業の質の現れであるとともに、インドにフォーカスして投資先を絞った私たちの投資戦略や、Accel Indiaのチームの力でもあると考えています。

TC: Accel Indiaのチームはこれまでにどのような変遷を辿ってきたんですか?

SK: Accel Indiaの母体となるErasmic Venture Fund(2008年にAccelが買収した)は、Prashanth Prakash、Subrata Mitra、Mahendran Balachandranによって設立されました。そしてAccelによる買収後、Anand Daniel、Dinesh Katiyar、Subrata Mitra(そしてShekhar Kirani自身)のリーダーシップもあり、チームは順調に成長しました。さらに、私たちはインド国内にポートフォリオサービスチームを立ち上げ、彼らがプロダクト管理やスタッフの採用、データサイエンス、テクノロジー、デジタルマーケティングなどの面で投資先企業のサポートを行っています。

TC: Accel Indiaは、ベイエリアのAccel Partnersとはどのくらい密接に関係しているんですか?Accel Partnersの投資家がAccel Indiaのファンドにも投資したり、ベイエリアのチームとお互いに関係のある投資案件について話をしたりすることはあっても、それ以外の面では独立して(Accel Londonのように)運営されているのでしょうか?

SK: 全てのAccelオフィスは、お互いのネットワークや情報、ベストプラクティスを共有し、投資先企業にも私たちのネットワークを活かしてもらいながら、協力し合って業務を進めています。Accelのゴールは、世界中の素晴らしい起業家を発掘し、ポートフォリオに含まれる企業を、どこで設立されたかに関わらず、全てのステージを通してサポートしていくことです。

TC: 大体いつもどのくらいの金額を各企業に投資しているんですか?また、特にどの段階にある企業にフォーカスしていますか?

SK: 私たちはアーリーステージの投資家なので、基本的には投資先企業にとって最初の機関投資家になりたいと考えています。初回の投資額は200万ドル以内に収まることが多いですね。

TC: インドのスタートアップシーンは最近盛り上がってきていますよね。スタートアップによる資金調達の加速化は、評価額にどのように反映されているのでしょうか?例えば2年前と比べて、各ステージにある企業の評価額に何か変化はありますか? 

SK: 2015年に過度な投資が行われていたとき、成長期にある企業の評価額はつり上がっていました。しかし、シードステージやアーリーステージにある企業への影響はそこまでなく、2015年を通して見ても、彼らの評価額は適正といえる範囲でした。

私たちは評価額よりも、健全なファンダメンタルを持つ、強固で統制のとれたビジネスを投資先企業と作り上げることに注力しています。ここ数年の間に、いくつかのカテゴリーのオンライン化がこれまでにない速度で進んでいます(EC、映画チケット、タクシー予約、生鮮食料品販売、フードデリバリー、ローカルサービス、マーケットプレイスなど)。さらに、以前はスケールするのに最大5年を要していたようなカテゴリーが、2〜3年でスケールし始めています。私たちはこのような企業を支援し続け、彼らの成長を促そうとしているんです。

TC: インドに過度の投資が集まっているという心配はありますか?最近アメリカの投資家のChamath Palihapitiyaは、なぜ彼の率いるSocial Capitalが、これまでひとつのインド企業にしか投資していないかという話をThe Times of Indiaにしていました。その中で彼は「採用や人材、サポート環境の観点から見て、インドのスタートアップエコシステムの大部分は、シリコンバレーに劣っています」と語り、さらにインドを拠点とするスタートアップは「適切な人材やガバナンス、メンターを持っておらずつまづいてしまっている」と話していました。彼は、”最後の審判の日”のようなものが向こう12〜18ヶ月の間に起きて、スタートアップの評価額が急激に下落すると考えているようです。このような彼の見解には同意しますか?

SK: まず、2015年には確かに過度の資金がインドに流れ込んでいました。しかし、だからといって、インドのスタートアップが健全な状態にないとは言えません。インドの起業家は、スケールと成長と利益の相互作用について理解しています。さらにスタートアップのエコシステムも、これまでにないほどしっかりしています。ファンダメンタルを見てみれば、インドのマクロ経済はとても良い状態にあると分かります。ビジネスに理解のある政府によって経済の形式化、デジタル化が進み、インド経済自体もよいペース(7%のGDP成長率)で成長してるほか、通貨もとても安定しています。さらに、市場はモバイルユーザーで溢れているので、以前に比べて、新たに設立されたスタートアップの成長スピードがかなり上がってきています。

私たちがどのサイクルにあったとしても、ファンダメンタルには常に気を配る必要があります。その点に関して言えば、インドでは消費者や大企業、中小企業の間でモバイル化が進んだ結果、8億7000万人以上がモバイル契約を結び、2億人以上がスマートフォンを利用しているほか、1億5000万人以上がソーシャルメディアを使い、6000万人以上がさまざまな商品をオンライン上で購入しています。つまり、インドにはテック系スタートアップが誕生・スケールする環境が整っているんです。

TC: 未だインドの人口の大半が住むとされる”ルーラル・インディア(インドの農村地域)”への投資は現在行っていますか?例えばMayfield Indiaは、ベンチャーレベルのリターンをベンチャー投資よりも小さなリスクで狙うことができると、建設業者などのローテクビジネスに最近投資していたと記憶しています。彼らの言うようなチャンスはまだ存在するのでしょうか?また、Accel Indiaはそのチャンスを追い求めているのでしょうか?もしもそうだとすれば、どのくらいの時間を都市部と農村部それぞれにかけているのか、理由も併せて教えてください。

SK: テック企業の投資家として、私たちはいつも、サービスの利用のしやすさ、使い道、価格を含むいくつかの側面に気を配っています。

ルーラル・インディアでも、最近モバイル端末の利用者が増えてきています。1億人以上の人々が住むルーラル・インディアは、上記の3つの側面を考慮しても、これからとても有力なマーケットになるでしょう。新しいファンドのテーマのひとつが、インドの新興地域での”next 100 million(1億人以上の新たなネットユーザーがルーラル・インディアから生まれるという予測)”です。現在投資している企業を見ても、インドの新興地域が今後伸びていくことが分かります。

例えば、近年のスタートアップエコシステムを活発化してきたインフラの大部分をつくったのは、Flipkartでした。初のオンライン・モバイル決済サービスや物流インフラといった、オンライン・オフラインに関わらず、アメリカでは当然のものとされている商業インフラのほとんどを彼らが構築してきたんです。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

コーワーキングスペースのSpacemobが550万ドルを調達、アジア太平洋全域でのサービス提供を目指す

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コーワーキングスペースが、アジアで大きなビジネスになり始めている。今年に入ってからWeWorkが中国市場に進出したが、同社以外にも多くの企業がアジアでその覇権を争っている。シンガポールを拠点とするSpacemobもそのうちの一社で、同社は今後アジア太平洋地域全体へサービスを拡大するため、シードラウンドで550万ドルを調達したと本日発表した。

これは、東南アジアに拠点を置く企業のシードラウンドとしては、かなり大規模なものだ。なお、本ラウンドでは、シンガポールの政府系ファンドTemasek Holdingsのベンチャー部門にあたる、Vertex Ventures Southeast Asiaがリードインベスターとなった。

SpacemobのファウンダーであるTurochas “T” Fuadは、以前立ち上げたTravemobという企業を、2013年にAirbnbのライバルにあたるHomeAwayに売却していた。現在Spacemobはシンガポールで”旗艦”スペースを運営中で、シンガポール第二のスペース、そしてジャカルタにも新スペースを設立しようとしている。また、General AssemblyやSurvey Monkeyといった企業が、早くからSpacemobのスペースを活用している。

Fuadによれば、Spacemobは今後3年間で、アジア太平洋地域に合計30のスペースを開設しようとしており、特に、東南アジア、北アジア、オーストラリア、香港の4地域に注力していく予定だ。現在設立準備中の2つのスペースの次は、タイ、香港、台湾での開業を目指している。

これはかなり野心的な計画にも映るが、FuadはSpacemobが”オペレーター”モデルをとっており、多額の資産を必要としないため、スピーディーにスケールできると考えている。

「ホテル業界で採用されているモデルのように、私たちはオペレーターとして、ディベロッパーや物件の所有者と協力しながらサービスを提供し、売上を分け合ったり、家賃なしで彼らの物件を利用したりしながら、彼らの収益を最大化しようという計画です。さらに、アジア太平洋地域の多くのオペレーターとも提携しているため、MarriotやAccorがフランチャイズを展開するように、私たちも競合他社よりかなり早いスピードでスケールすることができると考えています」と彼は説明する。

他のコーワーキングスペースのように、Spacemobは利用者に対して関連サービスと活発なコミュニティを提供しており、利用者が会議室の予約やネットワーキングのために使うソフトウェアは、インハウスで開発された。メンバーシップには、健康保険や給与支払い・決済用のゲートウェイなどが含まれており、さらにはコンテンツライターやサーチエンジンマーケター、ディベロッパーなどの専門家によるサービスも追加料金を支払えば利用可能だ。

「私たちは、コーワーキングスペース自体がサービス仲介業者になるような、エコシステムを構築しようとしているんです。Freelancer.comで外注先を探す代わりに、Spacemobを利用すれば、少し歩くだけで信頼できる人をみつけることができます」とFuadは話す。

WeWorkは、まだ中国以外のアジア市場へは参入していないが、それも時間の問題だ。つまり、Spacemobはそのうち、資金力豊富な競合と勝負していかなければならなくなる。なお、WeWorkはこれまでに13億ドルを外部から調達しており、そのバリュエーションは160億ドルに達している

「Spacemobは低価格戦略をとっており、サービス内容が成功の鍵を握っています。私たちはスタートアップに対して、お金に見合った価値を提供しようとしているんです」とFuadは語る。

コーワーキングスペースはスタートアップ業界でのみ通用するサービスだと考えている人もいるが、Fuadは小企業以外の利用者も想定しており、サービスの提供者も多岐に渡ると彼は考えている。

「(自社のオフィスを構える代わりに)200~300人の従業員の執務スペースとして、Spacemobを利用したいと考えている大企業とも私たちは話を進めています」とFuadは付け加える。「これはホテル業界の動きにかなり近いため、今後世界中でさまざまな企業が、私たちと似たような事業を始める可能性があります」

また、東南アジアのテックブログE27が今年の夏に行った220万ドルの投資ラウンドに参加するなど、Specemob自体も投資活動を行っている。アジアのテックコミュニティや将来有望なスタートアップのことを宣伝する上で、SpacemobとE27の事業には大きなシナジーがあるとFuadは考えているのだ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Olaが車内エンターテイメントプラットフォームのOla Playをローンチ

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インドにおけるUberの主要ライバル企業であるOlaが、インターネットに繋がったカーエンターテイメントプラットフォームをローンチし、優雅な車内環境を提供しようとしている。

誰もタクシーの中で長くて退屈な時間を過ごしたいとは思わないだろうが、特に混雑したインドの都市部では、乗車時間が長くなりがちだ。そんな状況を改善するかもしれない「Ola Play」は、以前UberがSpotifyPandoraとの連携を通して提供を開始した、車内エンターテイメントをアップグレードしたようなサービスだ。

ドライバー用と乗客用のふたつのタッチ式デバイスを利用するこのサービスには、エンターテイメントのほかにも、行程に関する情報やインターネットブラウザなどが含まれている。さらに、乗客は自分の携帯電話とデバイスを同期させて、Apple Music、Sony LIV、Audio Compass、Fyndなどのサービスを利用することもできる。

Appleのような企業との提携に加え、ハードウェア面では、インドを拠点とする自動車メーカーのMahindra and Mahindraや、通信機器・半導体の開発を行うQualcommと協力し、Olaは同サービスを提供している。

Olaは以前も、車内エンターテイメントの必要性について話していた。去年、Uberと時を同じくして、Olaは無料の車内Wi-Fiサービスの提供をスタートし、このサービスが乗客のエクスペリエンスを向上させるとともに、インド国内の携帯電話のサービスエリアにある穴を埋めるのに一役買うことになると同社は主張していた。今年に入ってからOlaは、このWi-Fiサービスを、ゆくゆくはOlaの顧客がアクセスできるような、公衆Wi-Fiネットワークへと展開していきたいという野心的なプランを発表した。

そしてOla Playの導入で、同社は再度エクスペリエンスの向上に注力しようとしているのだ。はじめは、ベンガルール、ムンバイ、デリーで高級ラインのOla Primeを利用している”一部の”顧客に対してのみOla Playが提供される予定だが、2017年3月にはインド中を走る5万台以上のOlaカーで同サービスが利用できるようになる計画だ。

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Olaの車内プラットフォームに、今後どのような機能が追加されていくのか楽しみだ。というのも、同社は前述のWi-Fiパッケージを含むメンバーシッププログラムである「Ola Select」向けに、ファッション系EC企業のMyntraなど、複数のブランドと既に議論を進めているのだ。乗客とサービスプロバイダーの両方が得をするように、あるブランドの商品を車内で販売するというのは、そこまで難しい話ではない。

また、Didi Chuxingへの中国事業の(近々実行予定の)売却に合意して以来、Uberは余ったリソースをインド市場にまわしており、インド市場でのOlaとUberの競争は激化している。現状、カバーしている都市数ではOlaがUberを上回っており、主要都市におけるサービス利用数でもOlaが勝っているというデータも存在する。一方でUberは、インド向け新機能の開発やマーケット拡大に力を入れていることもあり、Olaは、Uberのサービスに慣れているような富裕層を獲得するため、エンターテイメント機能の拡充に努めているのだ。

「Ola Playで、エンターテイメントを含む車内メディアを乗客がコントロールできるようになれば、彼らのエクスペリエンスが根本から変わり、ライドシェアリング業界は新たな時代に突入することになると私は信じています」とOlaの共同ファウンダー兼CEOのBhavish Aggarwalは、声明の中で語った。

「私たちの顧客は、毎日合計で6000万分もの時間をOlaカーの中で過ごしているため、彼らにとっての快適さや便利さ、生産性にOla Playが与える影響は甚大です。このサービスによって、ライドシェアを交通手段の第1候補と考える人の数が、さらに何百万人も増えることでしょう」とAggarwalは付け加える。

さらにOla Playは、Olaが近々資金調達を計画しているという噂が立つ中でローンチされた。一年前に同社は5億ドルを調達していたものの、東南アジアを拠点とする同盟企業のGrabが、インドよりも小さな市場で営業を行っているにも関わらず7億5000万ドルを調達したことから、Olaも棚ぼたを狙っているのかもしれない。今月に入ってからBloombergは、Olaがもうじき6億ドルの調達を完了すると報じており、今回の派手で華やかな発表の目的のひとつは、恐らく現在行っている投資話を前進させることなのだろう。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

インドでマイクロ・ローン事業を展開するAye Financeが1030万ドルを調達

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インドでマイクロ・ローン(小口融資)ビジネスを展開するAye Financeは、LGTがリードするラウンドで1030万ドルを調達したことを発表した。既存投資家のSAIF PartnersAccionも本ラウンドに参加している。

2年前に創業した同社が手掛けるのは、銀行などの伝統的な金融機関から融資を受けることが難しいビジネスオーナーを対象に小口融資を行う、マイクロ・ローン事業だ。創業者で元銀行員のSanjay SharmaとVikram Jetleyは、なにか「ソーシャルインパクト」のある事業を始めたいとの想いで母国インドに戻ってきた。

Sharmaによれば、同社の典型的な融資ボリュームは20万から30万インドルピー(2900ドルから4400)の間だという。融資対象となるのは、従来の金融機関から融資を受けることが難しい小規模ビジネスだ。しかしSharma は、同社は単に銀行やローン会社が手をつけていない下位マーケットを対象している訳ではないと話す。インドのEコマース・プラットフォームであるFlipkartには多数のマイクロ・アントレプレナーが参加し、そこで生計を立てている者も多い。Aye Financeは、そのようなEコマース・プラットフォームにも参加していないようなビジネスオーナーもターゲットにしている。

「融資を実行しようにも、ビジネスオーナーが納税申告書を保管していなかったり、帳簿をつけていない場合はどうすればよいか」とSharmaは同社のビジネスが抱える問題を説明する。

その問題を解決するため、同社はインド北部を中心に31の支店を設立した。これらの支店でインドの7つの州すべてをカバーしており、サイズは小さいが人員は十分に配置してある。そこでは、Aye Financeの社員がクラウドに同期されたデジタル・プラットフォームを利用して、融資希望者の財務状況を入力していく。Aye Financeでは「業種別クラスター」と呼ばれる概念を利用することで、融資希望者のビジネスを正確に評価することができるとSharmaは語る。先ほど述べたようなビジネスオーナーを極端なケースとして扱い、業種ごとに作成されたマトリックスを利用してビジネスを評価するのだ。例えば靴の製造業者の場合、日ごとの靴の製造数や、従業員1人あたりの製造数などの指標を利用することが考えられるだろう。このように、同社は従来の金融機関が見向きもしないような指標を有効活用しているのだ。

「私たちは8つの指標を利用して様々な業種の仕組みを理解しています」と彼は説明する。

同社の見込み客の多くはインターネットにあまり詳しくないため、彼らはローカルかつオフラインな方法で見込み客を開拓している。

「通常、業種クラスターはある地域にかたまって存在しています」と彼は加える。「2キロメートル四方のエリアに1万5000人もの潜在顧客がいるかもしれません—私たちが支店を設立するのに必要な(登録済みの)顧客数はたった1000人なのです」。

Aye Financeは月ベースで見ればすでに損益分岐に達しているものの、全体的な損益分岐に達するのは2017年の終わり頃だという。また、Sharmaは今後18ヶ月から24ヶ月以内に追加の資金調達を検討しており、それによって新しいタイプの金融商品にも手を広げていく予定だ。

それについてShamaは、「業務クラスターに関連した金融サービスを提供していきたいと思っています。例えば、デリーに同社の顧客を紹介できるような大規模のバイヤーがいる場合、当社が彼らにマーケットプレイスを提供したり、業務上のアドバイスや市場データの集約サービスなどを提供することが考えられます」と説明する。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

Google、クラウド・プラットフォーム東京リージョンをスタート―先行グループを追い上げへ

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今日(米国時間11/8)、Googleはクラウド・コンピューティング・プラットフォームの東京リージョンをスタートさせたことを発表した。これにより、アジア太平洋地区のGCP(Googleクラウド・プラットフォーム)は2リージョン(東京、台湾)となり、合計6つのゾーンを備えることになった。

Googleはアジア太平洋地区のGCPに関して、2017年にインドのムンバイ、シンガポール、オーストラリアのシドニーに新たなリージョンを開設することを約束している。また世界では、アメリカ、フィンランド、ドイツ、イギリス、ブラジルで新リージョンが追加される

ユーザーはGCPの利用に当たってトータルでヨーロッパ、アメリカ、アジアにまたがった6地域から選択できる。開設予定のリージョンが稼働を開始すると、 Googleのクラウド・プラットフォームはアジア太平洋地区では〔トップの図のように3リージョンが追加され〕14のゾーンが利用できるようになる。データセンターの数では先行するライバル、 AmazonのAWSMicrosoft Azureにまだ及ばない。しkしほんの少し前までGoogleはクラウド・プラットフォームとしてこうしたライバルに大きく引き離されていたことを考えれば長足の進歩だ。

またGoogleはここ数年、アジアおよび世界でリージョン間でデータを高速で転送するためのネットワーク・バックボーンの整備に巨額の投資を続けてきた

今日Googleが発表したところによれば、データセンターの開設はその地域のユーザーにさまざまなメリットをもたらす。たとえば東京リージョンの開設によって、、既存の台湾データセンターから転送する場合に比べて同じ量のデータを処理する際のレイテンシーは50%から85%も減少するはずだという。

東京リージョンはIntelの最新CPU、Broadwellを利用しており、Compute Engine、Cloud Storageなどクラウド・プラットフォームの核心をなすサービスのほとんどが利用可能だ。またCloud Databese、Cloud Datastore、Cloud Dataflow、 Cloud SQLなどデータベース、ビッグデータ、ネットワーキング関連のサービスも対応している。

〔日本版〕 東京リージョン開設に関しては多数の記事がアップされているが、Googleのクラウド・プラットフォームの利用案内の日本語ページはこちら

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Alibaba傘下のLazadaがオンライン生鮮食料品販売のRedmartを買収予定か

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今年に入ってからAlibabaは、東南アジアにある、Rocket Internet投資先のEC企業Lazadaの支配権を10億ドルで獲得した。そして今、もともとの計画通りLazadaを”新興市場のAmazon”にすべく、Alibabaが動き始めている。

3人の情報筋から入手した情報によれば、Alibabaの管理下にあるLazadaは、シンガポールを拠点とする生鮮食料品配達サービス企業Redmartの買収契約のまとめに入っている。Redmartは当初、買収ではなく投資という形を希望していたようだが、ある情報筋によれば、3000〜4000万ドルの買収額で話がまとまりそうで、早ければ来週にもこの話が公になる可能性がある。

Redmart、Lazada、Alibabaのいずれからも、本件についてのコメントは発表されていない。

現在のLazadaの取扱商品には、電子機器やファッション、ベビー用品などが含まれており、Redmartを買収すれば生鮮食料品を商品カテゴリーに加えることができる。また、Lazadaは東南アジアの6カ国でビジネスを展開している一方、Redmartはシンガポールだけでオペレーションを行っており、長い間海外展開の夢を抱いていた。

しかしRedmartのビジネスの雲行きは怪しい。これまでに同社は5500万ドルもの資金を調達しており、今となっては東南アジアの有名ベンチャー投資家である、Facebook共同ファウンダーのEduardo Saverinや、大手ゲーム会社のGarenaも同社に投資している。Redmartは5年前に、東南アジアで初めて生鮮食料品のオンラインショッピングサービスを提供する企業として誕生したが、これまで資金繰りには苦しんできた。TechCrunchでも今年に入ってから、Redmartが海外展開や資金力強化のために1億ドルの資金調達を試みていたことが報じられたが、結局これは失敗に終わった。こうなるとイグジットも当然選択肢に含まれてくる。9月にはRedmartがある投資銀行と協力して売却先候補を検討しているとBloombergが報じており、その後も同社は売却先を探すのに忙しいようだ。

Redmartの売却交渉に詳しい情報筋によれば、同社はこれまでにシンガポールの小売企業NTUCや、政府系ファンドのGICとも交渉にあたったがそこでも話はまとまらなかった。しかし、これらの売却話がどこまで進んでいたかは定かではない。さらに別の人の話によれば、Redmartは今年Amazonから買収を提示されたが、金額の低さを理由にそれを断ったという。さらにRedmartは、最近再びAmazonにコンタクトをとり、Lazadaも買収に興味を持っているという情報で買収額を釣り上げようとしたが、それも上手くいかなかった(Amazonの東南アジアでの計画はこの時点でははっきりしない)。

どうやらRedmartは、AlibabaとLazadaの中に、ほかの売却先候補にはないものをみつけたようだ。AlibabaがLazadaに投資した際、Lazadaは資金を使い切る寸前だった。そしてTech In Asiaの最近のニュースによれば、バランスシートの詳細は分からないものの、Redmartも赤字続きの状況にある。

会長のJack Maやその他のAlibaba経営陣は、東南アジアや傘下にあるEC企業Paytmが拠点を置くインドを最も優先度の高い成長市場と呼んでいた。さらにLazadaへの投資や、直近に迫った金融業を営むAscend Moneyへの投資によって、Alibabaは東南アジア市場でいち早く足場を固めるため、サービスを提供する準備が出来たことを証明している。Amazonは、インドでは既にAlibabaのライバルとされている一方、東南アジアへはまだ進出していない。またオンラインでの取引は、東南アジア全体の取引の5%にも満たないと言われているが、この地域には6億人以上の消費者がいる。Googleが共著した最近のレポートによれば、段々と豊かになってきている中産階級の存在や、インターネットの普及が進むことで、東南アジアのデジタル経済は2025年までに年間2000億ドル規模に成長するとも予測されている。そしてEC業がその成長を支えていくと考えられているのだ。

上記のような可能性にも関わらず、現状は厳しい。イグジットの金額の低さに投資家はガッカリするかもしれないが、Redmartの売却話がまとまれば、同社は豊富な資金を持つ親会社と強調して競合を打ち負かし、市場に残り続けることができるだろう。

Redmartのライバルであり、設立から18ヶ月で2000万ドルの資金を調達したHappyFreshは、”事業の継続と利益率の向上”を目的に、最近東南アジアのふたつの市場から撤退した

HappyFreshよりもさらに若いHonestBeeは、昨年150万ドルを調達し、東南アジアとその周辺の6ヶ国以上へサービスを展開するという野心的な計画を立てていた。しかしそれから1年が経った今、同社のサービスは4都市へしか展開されておらず、これは限られた資金で資本集約型の事業をスケールさせることの難しさを物語っている。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

インドのオンライン家具販売サイトPepperfryが3100万ドルを調達

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インドの急速に成長する経済を背景に、都市部に移り住んで住居を構えはじめる人が増加している。その結果、持ち家や貸し家に家具を提供するためのネットサービスを運営する企業が誕生した。Pepperfryは、そのような企業のひとつで、本日(米国時間9月22日)インド中にビジネスを展開するために3100万ドルの資金調達を行ったと発表した。

設立から4年の同社は、元eBay幹部のAmbareesh Murty(Pepperfry CEO)とAshish Shah (同COO)によって設立された。彼らは、同社設立直前に「起業家となり、インドに秘められたECの可能性を最大限利用することに決めた」とMurtyはTechCrunchとのインタビューで語った。

Murtyは、インドのインテリアデザイン市場は、売上げ額にして300〜400億ドルの規模だとふんでおり、同業界にはそろそろディスラプションが必要だと考えている。

「インドには、きちんと整備された小売業界が成立しておらず、家具市場は極めて分散しています。その証拠に、業界トップ5のブランドを合わせても、全体の売り上げの4%しか占めていません」と彼は付け加えた。

Ppperfryは、これまでに1億6000万ドル近くの資金を投資家から調達しており、今回は、以前から同社に投資しているGoldman Sachs、Bertelsmann India Investments、Norwest Venture Partners、そしてZodius Technology Fundがラウンドを率いた。なお、Goldman Sachsは、昨年の夏に行われた1億ドルのシリーズDラウンドでもリードインベスターを務めていた

Pepperfryは、自社ブランドを含む、1万以上のパートナーの製品を販売していると公表しており、家具からデコレーション、キッチン・ダイニング用品、ペット用品までさまざまな製品を取り揃えている。オンラインでの販売以外にも、同社はいくつものエクスペリエンスセンターを運営しており、インテリアデザインの専門家が、家のデコレーションに関するアイディアを求める顧客にアドバイスを提供している。Murtyによれば、Pepperfryは現在10軒あるエクスペリエンスセンターの数を30軒にまで増やし、インドの第2、第3階層の都市へも進出していく計画だ。

さらに同社は、物流拠点の拡大も目論んでいる。Murtyによれば、現在Pepperfryはインド国内の500都市へ製品を届けることができるが、物流ネットワークへの投資を行い、今年中にはこの数を1000都市まで伸ばしたいと考えている。Pepperfryは、ユーザーへ最終的に製品を届ける部分を含む、物流システム全体を独自で確立しており、彼はその理由について、「Pepperfryが誕生するまで、インドには大きな箱を消費者まで届けることができる企業がいなかったんです」と説明する。今では同社は、17箇所のフルフィルメントハブと400台以上もの輸送車を保有している。

それと並行して、Pepperfryはテクノロジーへの投資も倍増させ、エンジニアの数を現在の50人から100人まで増やそうとしている。既に同社のアプリはARをサポートしており、ユーザーは携帯電話のカメラを、家具を設置するつもりの場所に向けるだけで、例えば、購入予定のソファーの様子を確認することができる。しかし、Pepperfryは、さらなるVRテクノロジーを同社のアプリに組み込む予定で、エクスペリエンスセンターにVR機能が備えられる可能性もある。

経済力が限られている若者にアピールするため、Rentomojoのようなレンタルモデルを提供することを検討しているかMurtyに尋ねたところ、彼は、長期的に見ると、レンタルよりも家具を購入するニーズの方があると考えていると説明してくれた。

「私たちは、レンタルの段階というのは、消費者が自分で家具を購入し始めるまでの3、4年間しか続かないと考えています。もしも、Pepperfryが企業努力を重ね、顧客が家具を購入する際に素晴らしい価値を提供できるとすれば、レンタルの必要性はないでしょう」と彼は主張する。

同様に、Pepperfryの郊外への進出計画からも分かる通り、同社は、現時点でインド国外への進出は予定していない。

「インドはまだ若い国家で、その購買力は急速に増大しています。今後数年の間はインド市場に集中し、その後どうするか改めて考えようと思っています」とMurtyは付け加えた。

しかし、利益については明確な計画が立てられている。

Murtyは、今回のラウンドがPepperfryにとって最後の資金調達になると予測しており、今後半年の間で、販管費を除いた黒字化を目指していると話す。そして、それが計画通りいけば、向こう2年内に”完全な損益分岐点”に達する可能性があると彼は考えている。

「私たちは幸運にも、長期的な視点で物事を考え、そして実行できる論理的な投資家を迎えることができています」と彼は語った。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

新たなスタートアップDoorkeysがインドの不動産市場を電子化

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ようやくテクノロジーが欧米の不動産ビジネスを変えようとしているが、新興市場の方が住宅の購入や賃貸に関し深刻な問題を抱えている。世界各地で不動産に関する情報が不足している中、利用できる情報もでたらめにまとめられている上、さまざまな関係者が自分の利益を追求しながらこの業界に深く関わっているため、そのうち誰かを飛び越えてビジネスを行うこともできないでいる。

インドで誕生した新たなスタートアップのDoorkeysは、業界の透明性や効率性を高めるため、住宅売買のプロセスをオンライン化しようとしている。

Rising Straits Capitalの会長を務め、不動産業界での豊富な経験を持つSubhash Bediと、サービスマーケットプレイスMydala.comの共同ファウンダーであり実業家のArjun Basuによって設立されたDoorkeysは、200万ドルの資本金とともに9月1日にローンチした。

不動産取引のオンライン化

同社のプラットフォームは、基本的には売り手と買い手を結びつけるマーケットプレイスとして機能している。仲介業者を全て排除するNoBrokerのような競合サービスとは違い、Doorkeysは仲介業者の存在を認めている。同サービスは、言うならば既存のシステムや関係者に変更を加えず、全体をそっくりそのままデジタル化しようとしているのだ。

「アメリカでさえ仲介業者を取り除くことができていないのに、インドのような透明性が極めて低い市場でそれが実現すると思いますか?」とBediはTechCrunchとのインタビューで話していた。「仲介業者を考慮しないコンセプトは現実離れしているように感じます。私たちは、Doorkeysを仲介業者用のオンラインCRMシステムのようにとらえようとしているんです」

ユーザーはDoorkeys上で、地域や価格といった条件をもとに候補となる物件を探すことができます。さらに全ての売り手(=仲介業者)はレート付けされているため、内覧やその後の契約をアレンジする業者を選ぶ際に、買い手は高いレーティングの業者を探しだしたり、彼らの過去のパフォーマンスに基づくコメントを確認することができるのだ。つまり、Doorkeysは仲介業者が買い手の利益を1番に考えるという、現在のインドの仲介業者にはあまり意識されていない考え方に対するインセンティブを生み出そうとしているのだ。

「インドには50万以上の不動産仲介業者が存在します。不動産市場はとても細かく分散しているものの、私たちは仲介業者にツールを提供しつつ、街や近隣地域に関する彼らの知識を利用することで、この規制の行き届いていない分野のフレームワークを構築しようとしているのです」とBasuは付け加え、さまざまなオフラインのプロセスにも仲介業者の力が必要であると説明した。

Doorkeysは、売り手・買い手のどちらからも利用料を受け取っておらず、その代わりに契約時のコミッション(詳細非公表)を通じて収益をあげている。既に同社は、向こう2年間のうちに年間純利益7000万ドルを達成するという野心的な目標を掲げている。

「私たちは、既にいくつかの国内最大級の仲介業者ネットワークに入り込んでおり、Doorkeysの付加価値についても彼らに理解してもらっています。仲介業者は物件の引き合いに関する情報(旧来の広告業界で言えば虚偽の引き合い情報)に対して、そこまでの大金は支払っていません」とBasuは語る。

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ローカル市場へのフォーカス

Bediは、以前不動産テクノロジー企業に対する投資環境の偵察のためにインドを訪れたが、その結果にがっかりしたところで、BasuとDoorkeysのアイディアについて話しはじめたと説明する。

BediとBasuによれば、当分の間Doorkeysはニューデリー市場に注力し、急速な拡大路線をとることはない。

「最初にニューデリーというローカル市場でサービスを開始するのはとても重要なことです」とBasuは説明する。「私たちはまず、ローカルレベルでユニットエコノミクスを成立させなければいけません」

インドの上位8都市前後が国全体の不動産取引の約80%を占めていることから、今後の目標は、インドの全ての地域を攻めるのではなく、大きなボリュームを占める中核都市に進出することだと彼は語った。

彼らのモデルが正しいことを証明するための上記のような計画を踏まえ、Doorkeysはコスト面も”締めて”いきたいと考えている。現在同社は40人の社員を抱えており、今年の終わりまでにはその数を倍に増やす計画だ。

「創設メンバーは今後もこのサービスに資金を投入していくほか、さらに今後数ヶ月間のうちに、不動産業界に大きな影響力を持つ企業や投資家からのシードマネーの受け入れも予定しています。そして、最終的に私たちは”A級”投資家の獲得を狙っています。そうは言っても、Doorkeysは多くのアセットを必要としないモデルのため、重要なのは現金燃焼率を抑え、サービスの普及を待つということです」とBediは語る。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Google、26テラビット/秒の光ファイバーで日本と台湾を接続

FILE - This Oct. 20, 2015, file photo, shows a sign outside Google headquarters in Mountain View, Calif. Google unveils its vision for phones, cars, virtual reality and more during its annual conference for software developers, beginning Wednesday, May 18, 2016. (AP Photo/Marcio Jose Sanchez, File)

Googleのアジアにおけるインターネット接続一段とスピードアップした。昨年シンガポールと台湾でデータセンターの能力を新たに拡張したGoogleだが、今日(米国時間9/6)はアジアにおけるデータ接続に新たな海底光ケーブルを採用したことを発表した。これによりYouTubeの表示やクラウド・コンピューティングが速くなる。

このケーブルは台湾と日本のGoogleity施設を接続するもので、日本からはFASTERコンソーシアムが敷設したケーブルでアメリカと結ばれる。FASTERケーブルは地球最速の海底光ファイバーという恐るべき評価を得ていることで有名だ。

Googleによると日本-台湾ケーブルの速度は26テラビット/秒に上るという。

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Googleがアジアにおけるデータ通信の高速化に最大の努力を払っている第一の理由は人口だ。この地域では日々膨大な人々がインターネットの新たなユーザーとなっている。最近発表されたGoogleとシンガポールのTemasekの共同研究によれば、東南アジアだけで380万人が毎月新たにインターネットの利用に加わっているという。この数字にはインドその他のアジアの国は含まれていない。

「一般ユーザーはすぐにそれと気づかないだろうが、新ケーブルはこの地域のGoogleのプロダクトとサービスへのアクセスを高速化する。スピードばかりでなく、信頼性、一貫性も向上する。ケーブル敷設ルートは津波多発地帯を避けるよう戦略的に決定された。これにより天災による通信途絶の可能性は減少している」とGoogleはブログで述べている。

Googleは昨年だけでアジアにおける2箇所のデータセンターの建設費と人件費として10億ドル以上を計上している。当然ながら今後もさらに投資は継続するはずだ。

またGoogleは「アジアにおけるオンライン人口の増大は世界のどこよりもハイペースだ。われわれはアジアのインターネット・インフラの構築に全力を挙げてきた」と書いている。

画像: Marcio Jose Sanchez/AP

〔日本版〕上の画像でGoogleは26テラビット/秒という速度を説明し、「15秒ごとに台湾居住者の全員がセルフィー画像を日本の友人に送ることができる。1日あたりにすれば1380億枚のセルフィー送信能力だ」と説明している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Alibabaが急成長、モバイル売上が初めてデスクトップを越える

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Alibabaが2016年度Q2に記録的な成長を遂げた。同時期に、中国の小売マーケットプレイスが急成長し、モバイルユーザーの売上が初めてデスクトップユーザーを上回ったのだ。

売上額は前年同期比で59%増となる322億元(48億ドル)に達し、これはアメリカ史上最大となった2014年9月のAlibabaのIPO以来最高となる成長率だ。

中国経済の減速が噂される中、Alibabaの中国ビジネスにはその影響がなかったようだ。同社の中国におけるマーケットプレイスでの売上は、前年同期比49%増の234億元(35億ドル)を記録している。このうち75%にあたる175億元(26億ドル)の売上はモバイルデバイス経由で発生しており、昨年度から119%の伸びを見せた。

Alibabaの中国でのマーケットプレイスは昨年の時点で既にモバイル売上がデスクトップを上回っていたが、この度モバイルユーザーの平均売上額がデスクトップユーザーを超え、ついに同社の成長源がビジネス全体でモバイルにシフトすることとなった。IPO以前、モバイルへの移行は投資家にとって大きな不安材料であったが、Alibabaの経営陣もこの移行スピードには驚きを隠せなかった。

売上額の増加は間違いなくAlibabaの経営陣にとってのハイライトである一方、昨年発生したAlibaba Pictures関連会社からの一過性収益の影響で、純利益は前年同期比で76%減少し71億4200万元(11億ドル)となった。その他の指標については、同時期に非GAAPベースの純利益が28%増、営業利益が71%増と素晴らしい実績を残している。

主要事業以外では、Alibabaはこれまでクラウドコンピューティングにそのリソースを費やしてきた。そしてAlicloudは、前年同期比で2倍以上となる12億元(1億8100万ドル)の売上と、57万7000人の有料会員数を記録している。

しかし、Alicloudのビジネスは未だ発展途上にある。同社の営業損失は4億39000万元(6600万ドル)へと改善しており、AlibabaのヴァイスプレジデントであるJoe Tsaiは、アナリストとの電話でAlicloudが「損益分岐点に向けて前進している」と語った。

Alibabaはこれまで財務諸表の分かりにくさを非難されており、証券取引員会は、Alibaba関連の物流企業Cainaoや、O2Oプラットフォームを運営するKoubei、ビデオプラットフォームのYouku Tudou、ペイメントプラットフォームのAnt Financialなどの会計処理に関する調査を行っている

それに応えるように、Alibabaは財務に関する情報量を増やし、デジタルメディアやクラウドコンピューティング、フードデリバリーなどの売上や損益を含む情報を初めて公開した。

今の時点では下記の表の通り赤字であるものの、Alibabaはこれらの関連会社が将来的にコアビジネスを支えるような存在になると信じている。

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さらにAlibabaは、新たに大きな賭けを新興市場で行おうとしている。

同社は今年に入ってから、Rocket Internetの投資先でもある東南アジアのEC企業Lazadaに対して10億ドルを投資し、インドではモバイルウォレットやEC事業を運営するPaytmや、EC界のユニコーンのSnapdealに出資している。

「私たちは、5億人もの現地顧客候補が存在する東南アジア市場でサービスを提供しようとしています。東南アジアは今後私たちにとって極めて重要な市場になってくるでしょう」とTsaiは語った。

さらにインドに「戦略上とても重要なアセットを配置することを決め、今後はモバイルと決済サービスがインド市場でのAlibabaにとって重要になってくると考えています」と彼は付け加えた。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Funding Societiesが750万ドルを調達、東南アジアで個人出資ローンサービスを展開

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また新たに東南アジアのフィンテック系スタートアップが、注目の投資ラウンドを終えた!シンガポールを拠点とするFunding Societiesが、同社のマーケットプレイスを介したローンサービスのため、シリーズAラウンドで750万ドルを調達したのだ。

本ラウンドでは、Sequoia Capitalが設立した、東南アジアを拠点とするスタートアップが対象のファンドであるSequoia Indiaがリードインベスターとなり、エンジェル投資家もそれに加わった。

2015年6月にローンチされたFunding Societiesは、Lending Clubを例としたアメリカに既に存在する企業のように、誰でも利子狙いで貸出資金を出資できるプラットフォームを運営している。Funding Societiesは、自分たちのプラットフォームを「Peer to Business(個人から企業へ)」プラットフォームと呼ぶことで、競合他社との差別化を図っている。つまり、現状彼らは消費者向けではなく、中小企業向けにローンを提供しているのだ。しかしターゲットについては、取引のボリュームが増加してくれば変わってくる可能性もある。

Funding Societiesは、シンガポールと(Modalkuと同じ)インドネシアで営業を行っている。シンガポールは、東南アジアの国々の中でも経済発展ではトップの地位にあり、インドネシアも経済規模では同エリアのトップだ。なお、両国にはCapital MatchMoolahSenseといった競合が既に存在する。

同社は、これまでに96件で合計870万ドルのローンを実行している。返済率は94%と発表されており、Funding Societies CEOのKelvin Teoは、返済率こそボリュームではなく信頼度を測れる意味で、重要なデータだと語っている。

「Funding Societiesは、シンガポールにある他社と比べ、サイズでは劣っていますが実行したタームローンの数では1番です。これには、度を越した貸付を行うといつか不渡りの形で返ってくるという私たちの考え方が反映されています」と彼は説明する。

詳細を説明すると、Funding Societiesは主に運転資金の貸出を行っており、シンガポールの平均ローン額は9万シンガポールドル(6万7000ドル)で、インドネシアは2万5000シンガポールドル(1万8500ドル)だ。

借り主にはローン組成費用(シンガポールで3〜4%、インドネシアで5〜6%)が発生し、貸し主は月々1%の利用料を支払わなければならない。同社によれば、ローン申請の審査通過率は15〜25%とのこと。

拡大と規制対応

Teoは、TechCrunchの取材に対し、Funding Societiesがマレーシアへの参入準備を進めていると語った。マレーシアには既に数人の従業員がいて、現地での営業許可に関する当局のフィードバックを待っている状況だ。

マレーシアへの展開と全般的な規制対応のふたつが、今回調達した資金の主な使い道だ。さらに彼は、東南アジアではP2Pローン市場がまだ成長過程にあり、Funding Societiesは新たな規制導入の需要を考慮して資金力を増強したと説明した。

また、コンプライアンスの重要性を強調し、投資家から資金を調達するのにも「信じられない程の」数の法律事務所に相談しなければならなかったと話した。

「私たちのいる業界に対する規制がシンガポールで発表されましたが、これに対応するには別途資金が必要になってくるでしょう」とTeoは語る。

Funding Societiesは、インドネシアでも同様に、当局と協力しながら個人出資ローンに関する規制のフレームワーク導入に取り組んでいる。

競争の激化

Teoは市場の競争激化を見越している。そのせいもあって、彼と共同設立者であるReynold Wijayaは、去年アメリカのハーバード大学を卒業する前に、100日間でFunding Societiesを立ち上げた。

「今年の卒業まで待っていたら、市場に遅れをとることになっていたでしょう」とTeoは話す。

素早く動く以外にも、商機を掴む上でタイミングがとても重要だったと彼は主張する。というのも、規制対応にかかる費用のせいで、資金力の無い会社は事業を続けられない可能性があるとTeoは考えているのだ。

「このタイミングで資金調達を行っていない企業は、東南アジアにあるプラットフォームで規制にのっとった営業を続けられなくなる恐れがあります。私たちは、今後6ヶ月のうちに競争が激化し、その後業界再編が起きると予想しています」と彼は付け加えた。

規制対応と拡大(ここにはインドネシアの首都ジャカルタ外の都市への拡大も含まれる)の他にも、Funding Societiesは製品への投資を考えている。現在、同社はiOSのアプリを貸し主向けに、そしてAndroidアプリを借入希望の企業に対して提供している。この決断は、アジア社会においてApple製品は富裕層に人気があるという無視しがたい状況に基づいている。しかし、今後借り主と貸し主向けのサービスを整備し、「個々の投資家のニーズに合った投資オプションをつくりだすような」サービスを増やしていく予定だとTeoは話した。

まだまだやるべきことは多いようで、Funding Societiesは既に約70人規模の企業に成長したが、Teoは同社のスタートアップらしい成長と、金融商品を扱うことの責任をすりあわせようとしていると強調した。

「私たちと投資家の方々は、爆発的な成長を推し進めて不渡りを発生させる代わりに、ゆっくりと確実に積み上げていくという姿勢をとっています。利益を生み出すためには、時間をかけてスケールしなければいけません」とTeoは、Funding Societiesが「2、3年」のうちの損益分岐点到達を目指すと説明しながら語った。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

アジアの次なる一大EC市場インドネシア

Indonesia, Jakarta, View of city during sunset

【編集部注】執筆者のHugh Harsonoは、元ファイナンシャル・アナリストで現在はアメリカ陸軍将校。

アジアの他の新興経済に比べ、インドネシアのEC業界は多くのチャンスに恵まれており、現時点での予測によれば、市場規模が2020年までに1300億ドル(中国とインドに続いて3位となる規模)に到達する見込だ。毎年50%におよぶ成長率予測と、強固なモバイルファーストイニシアティブを背景に、小売企業にとってインドネシアは、EC業の成長を促進するための本当の意味でのモバイルプラットフォームを開発するのに最適な国だと言える。特に、CPGs(消費財)を扱う企業にとっては重要な市場となってくる。

現在のインドネシアのEC市場は、中国のオンラインマーケットプレイスの黎明期と似ており、多くの起業家が、主にソーシャルメディア上での口コミを頼りに商品を販売している。同様に、初期のアメリカのEC市場にもよく似ていて、消費者の多くがオンライン決済や小売企業に対して慎重な態度を示している。アメリカと中国両方のEC経済をもとに、幅広い可能性をもったハイブリッド型経済を作り出せる可能性を持っている点から、インドネシアは真にユニークな存在だといえ、今後そのオンラインマーケットプレイスが世界へと進出していくだろう。

モバイルファーストインドネシア

インドネシアが、アジアにおけるモバイルファースト国家の最前線として国を形作っていった結果、StatCounterの推計によれば、2015年にはインドネシアのインターネットトラフィックの70%以上がモバイル端末から発信されていた。

インドネシアの人々が、モバイルファーストの構想を受け入れているというさらなる証拠は、ソーシャルメディアにある。インドネシアにおける、Facebookのモバイル端末からの利用率は世界最高で、2015年人には6300万人のユーザー数を記録している。さらに、予測によれば2018年までにモバイルユーザーの割合が99%近くまで上昇すると言われており、モバイルがデスクトッププラットフォームを凌駕している様子が伺える。インドネシアがとったモバイルファーストという道によって、小売企業はモバイル機能の開発に注力することができ、とてもユニークな業界構造を形成している。

インドネシアのECスタートアップと資金調達

インドネシア国内で設立されたECスタートアップや、同国を未開の市場と見て参入を狙っているスタートアップの数は飛躍的に増加しており、インドネシアのスタートアップ投資への関心の高まりにもそれが反映されている。

一気通貫のECサービスを提供しているaCommerceは、シリーズAラウンドで1070万ドルを調達し、さらには2016年後半に予定されているシリーズBの前に、追加となる1000万ドルの資金調達に成功した。追加ラウンドは、インドネシアの通信大手Telkom Indonesiaのベンチャー投資子会社、MDI Venturesが主導していた。

インドネシアのEC市場は、アジアで最大級になろうとしている。

ジャカルタを拠点とし、食料品配達アプリを提供しているHappyFreshに関しては、2015年に行われたVertax VenturesSinar Mas Digital Venturesをリードインベスターとする、シリーズAラウンドでの1200万ドルの資金調達が印象に残っている。その他にも、インドネシアのECスタートアップHijUpは、2回目となる数100万ドル規模のシードラウンドをクローズし、Fenox Venture Capital500 Startupsから資金を調達した。

しかし、これまでのインドネシアの巨額投資案件全てが、オンラインマーケットプレイスを運営するTokopediaに関連したもので、同社はSoftbankSequoia Capital主導で行われた投資ラウンドでは1億ドルもの資金を調達している。初期段階のスタートアップ投資への関心は、既に明らかに高い状態にあるため、中期・後期段階の企業への出資を行っている投資家は、間違いなくインドネシアのスタートアップに目をつけておくべきだ。

なぜインドネシアなのか?

多様な参加者による繁栄

現在のインドネシアの小売市場は、消費財が「フラグメンテッドトレード(Fragmented Trade)」として知られる、主に個人商店から構成されるスペースで販売されることで成り立っている。EC市場は、現在その2倍のスピードでの成長を遂げており、個人商店の多くがECモデルをとらざるをえない状況を作り出しているのだ。その結果、EC市場には、オンライン上の消費者の需要を満たそうと躍起になる個人の売り主と、同じ層をターゲットとする小売大手企業が同時に存在している。

他のアジアの国々とは違い、現在インドネシアの人々はものを買うときの意思決定において、小売大手企業にのみ依存していないため、個人商店が生き残り余地がある。結果的に、EC界でも市場に影響を与える覚悟のあるプレイヤーであれば、誰でも参加できるようになっており、これは他のモバイルファースト国家ではあまり見られない現象だ。

農村地域からの専門品の購入

小売網を築くのに必要な政府の力やインフラが整っていないため、インドネシアの都市の多くが、現在全く未開発の状態にある。しかし、EC人気がこの状況を利用し、以前は地方で購入することができなかったような消費財の販売を開始したのだ。

農村・準農村地域の大きな成長可能性を背景に、インドネシアのEC市場は、消費者がみつけることの難しい商品の販売を積極的に行っている。これは、農村地域でインターネットを利用できるようなモバイル端末の普及が進んでいない他国の状況とは対照的だ。実際のところ、インドネシアの人気オンラインサイトBliBliの250万人の顧客のうち、1/3以上が農村地域に住む人々だ。BliBliは、スマートフォンがインターネットにアクセスする唯一の手段という人に向けて商品を販売しており、売上のほとんどがモバイルプラットフォーム上で発生している。この農村地域からの専門品の購入という現象から、インドネシアにはオンラインマーケットプレイスが成長する上で、他国にはない最適な環境が存在している。

真のモバイルファーストプラットフォームの提供

インドネシアのEC市場の特性から、小売企業やフラグメンテッドトレードに参加している個人商店は、本当の意味でのモバイルファーストプラットフォームの開発に集中することができる。つまり、デスクトッププラットフォームをモバイル用に作り変えのではなく、明確にモバイルユーザーをターゲット層として捉えることができるのだ。

この真のモバイルファーストというシナリオの下では、売り手側が自分たちのためにスマートフォンを利用し、インドネシアの2億5000万を越える人口の中の特定の層やグループではなく、もっと詳しいユーザーデータの収集を通じて個別の消費者をターゲットとすることもできる。

さらに、モバイルファーストの環境のおかげで、インドネシアのEC市場への参入もしやすくなっている。同市場への参入を考えているスタートアップは、どの消費財を販売するかだけでなく、モバイルアプリを介したマーケット・ペネトレーションを通じて、どの消費者を顧客にしたいかまで選ぶことができるのだ。

ソーシャルメディアを通じた採算性

他のモバイルファースト国家では、消費者が利用しているソーシャルメディアにバラつき(中国:Weibo/QZone/Tencent QQ、インド:Facebook/Google+/Twitter、フィリピン: Instagram/Snapchat/Facebook)があるものの、インドネシアは、Facebookという単一のソーシャルメディアが広く浸透している(インドネシア人の92%以上がFacebookアカウントを持っている)という意味で珍しい存在だ。

インドネシアの消費者は、オンラインマーケットプレイスが登場した当初のアメリカの消費者に似て、オンライン決済にはとても慎重な態度を示している。

今日のインドネシア人の購買力が、ここまでソーシャルメディアのおすすめ情報によって形作られていることを考慮すると、Facebookというプラットフォームとの統合に注力することで、各企業は消費財の直販や宣伝、さらにはパートナシップを通じて利益を生み出す可能性のある、ユニークなスペースを作りだすことができる。Facebookを、オンラインフォーラムのKaskus やTokobagus、さらにはSukamartのようなオンラインストアといった人気サイトと結びつけることで、高品質な製品ビデオや、製品比較、画像の最適化などのモバイルファーストの機能が実装され、EC市場の成長に繋がる可能性もある。

オンライン決済の可能性

インドネシアの消費者は、特に他のモバイルファースト国家と比較して、オンラインマーケットプレイスが登場した当初のアメリカの消費者に似て、オンライン決済にはとても慎重な態度を示している。そのため、多くのEC取引の決済が銀行送金か「bayar di tampat(代金引換)」の形をとっており、決済がうまく機能しないことから、EC市場の成長を大きく制限してしまっている。

インドネシア人の支出額が毎年10%近く伸びていることから、代金引換はすぐに継続できなくなるだろう。オンライン決済の利用を促すような信頼できるソリューションが登場すれば、それが大きな成長に繋がる可能性が高く、大小を問わず小売企業各社もビジネスの流れを効率性の高い形に整備することができる。

現代的な物流・配達プラットフォームの獲得

さらに、インドネシアの未発達なインフラや物流システムが、EC業界の特異な成長機会を生み出している。EC企業は、自社の発注システムと配達システムを垂直統合することができ、それが大きな成長に繋がるのだ。

アウトソースに頼らず、自社内でソリューションを開発するという時代にあるインドネシアでは、未開発の物流市場がEC市場に発展をもたらす。EC業界における違った形の競争として、各企業が自社専用というだけでなく、より効率的な配達システムを開発することができ、供給能力が同業界での成功のカギを握る要素のひとつとなるのだ。

まとめ

アジアにおける名高い新興各国の中で、経済発展の推進力としては過小評価されがちなインドネシアだが、実は同国が世界最大のEC業界となる上での種々のユニークなチャンスが存在している。

膨大な数のインターネットユーザーや、未発達のインフラのおかげで、企業と個人のどちらも、EC市場をこれまでにないほどの高みへと成長させる可能性を持っている。さらに、自由に使えるお金を持った中産階級の増加によって、EC市場は拡大する一方であると同時に、企業や個人の売り手が市場の覇権を狙ってさらに流入していくだろう。

インドネシアのEC市場は、市民が簡単に消費財を購入できるようなモバイルファーストプラットフォームを利用することで、アジアで最大級の市場になろうとしている。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Uberが東南アジアでの黒字化を背景にサービスの拡充を目指す

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Uberは、東南アジアの主要市場での黒字化を背景に「土地の争奪」アプローチをやめ、代わりに新しいプロダクトやサービスの提供へと焦点を移した。

Uber内部の情報筋によれば、Uberはシンガポールとフィリピンで黒字化を達成した。シンガポールとフィリピンは、乗車数と売上が最も大きい2つの市場で、その他の国も両国のすぐ後ろにつけている。Uberは本件に関して、度重なるコメント要請に応じていない。

Uberが先月西欧市場の全てで黒字化を達成したと話していたことから、この情報は興味深い。新興市場でのUberのプレゼンスに関してはあまり知られておらず、特に現在シンガポール、インドネシア、マレーシア、タイ、ベトナム、フィリピン国内の合計15都市をカバーしている東南アジアについての情報はこれまでほとんどなかった。

Uberは、3年前にシンガポールを皮切りに東南アジア市場へ参入したが、「直近」の進出国であるベトナムへの進出は2年前のことだった。それ以降、担当チームは東南アジア中でのスケーリングというタスクを課されており、この度、競争力激化とユーザーベースの拡大を目的に新サービス導入を推し進めるという決定に至った。

合計で6億人もの人口を抱えているにも関わらず、東南アジアは中国とインドの影に隠れてしまっている。これはUberにとっても同じで、子会社のUber Chinaを通じて何十億ドルもの投資を中国で行うと同時に、インドでは、Softbankの支援を受けている企業価値50億ドルOlaとの戦いのため、昨年の夏に10億ドルの活動資金に関する発表を行った。

通貨、文化、規制障壁、そして言語の違う6つの主要国に人口が散らばっていることから、東南アジアのプライオリティはこれまで高くなかったが、TechCrunchの得た情報によると、その状況が変わってきており、UberはGrabとの競争を激化させようとしている。Grabは、1900万回のアプリダウンロード数と35万人のドライバーを誇る配車サービスを提供する企業で、Olaや中国のDidi、そしてLyftと協力関係にある。

フードデリバリー、乗り合い、バイクタクシー

Uberにとって、フードデリバリーサービスであるUberEats、乗り合いサービスのUberPool、そしてバイクタクシーサービスのUberMotoが東南アジアでの優先事項のようだ。クーリエサービスのUberRushも、現在アジアでは提供されていないが、今年中に地域限定で導入されるかもしれない。

最近、UberEatsはアジアで最初の市場となるシンガポールへ進出し、Uberは同サービスを、数ある都市の中でも、タイのバンコクへ今後展開することを示唆していた

シンガポールは、UberPoolでもサービス導入が行われた最初の市場のひとつだった。UberPoolは、同じ方向に行きたい乗客をまとめて移動させるサービスで、交通費の削減と渋滞の解消に一役買っている。同サービスはインドネシアの首都のジャカルタでも提供されており、フィリピンのマニラでは今年、シャトルバスを使った同様のサービスがローンチされている。

最後にUberMotoだが、このサービスはUberが願っていたようなサクセス・ストーリーを描けないでいる。当初2月にバンコクでローンチされたものの、5月にはタイ政府からサービス停止を命じられ、ふたつ目の市場となるインドでも規制対応に苦しんでいる。

現在Uberは、インドネシアをUberMotoの主要なターゲットとして考えているが、インドネシアの競争はかなり激しい。Sequoiaの支援を受けている地場企業のGo-Jekは、バイクタクシーサービスのパイオニアだ。20万人以上のドライバーがプラットフォーム上に登録されており、単に碁盤の目のようなジャカルタの街中をA地点からB地点へ乗客を乗せて4輪車よりも早く移動するだけではなく、フードデリバリーなどのサービスも提供している。Uberも、プラットフォームとしてのバイクタクシー隊を整備してサービスを追加していくという動きをとろうとしているが、Uberは強大な既存競合企業との戦いを強いられることとなる。

ライバル関係

Uberの新サービス導入には競合や抵抗が伴う。東南アジアにはたくさんのフードデリバリー企業が存在しており、メインのライバルとなるFoodPandaのほか、最近同地域に進出したDeliverooや、オーダーメイドサービスを提供するGrainのような企業もある。

そして潤沢な資金を持った競合の存在も見逃せない。

Go-Jekは軍拡競争のための準備を進めているようで、今月はじめにWall Street Journalは、現在インドネシアだけでオペレーションを行っているGo-Jekが、新たに4億ドルの資金を調達中で、その企業価値が10億ドル以上に達しようとしていると報じていた。TechCrunchは、この交渉に詳しい情報筋との確認を通して、ラウンドが向こう数週間のうちに完了するとの情報を得た。

Go-Jekの他にも、Uberとバイクタクシー(と配車サービス)で競争を繰り広げているGrabの企業価値は16億ドルに達し、これまでに6億5000万ドルの資金を調達している。GrabBikeサービスもバンコクでは禁止されているが、同社は書類や小包のデリバリーサービスとしてその事業を継続している。Grabは最近、インドネシアが乗車数で最大の市場であると発表していたが、経営数字については明らかにしなかった。

Grabも新たなサービスの導入を進めており、GrabFoodをインドネシアで運営するほか、シンガポールで昨年ローンチされたGrab式乗り合いサービスのGrabHitchは、その後マレーシアへの進出も果たした。Grabの担当者は、先月の時点で、GrabHitchの登録ドライバー数がシンガポールとマレーシアの2国合わせて5000人に達したと語った。

これで終わりではない。Grabは、今年中にインドネシアを皮切りに、ペイメントプラットフォームを導入していくと先週発表した。このペイメントシステムを利用すればお店での買い物もできるようになり、Grabはサービス開始にあたって、インドネシアの小売コングロマリットであるLippoとパートナーシップを結んだ。これにより、Grabもサービス提供を通じたユーザーベースの拡大を模索するにあたって、方向転換をしていくこととなる。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

アジア版Tinderの「Paktor」が日本と韓国でもローンチ、YJキャピタルなどから1000万ドルを調達済み

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東南アジアでTinderと対抗するデートアプリ「Paktor」が自社のグローバル化に拍車をかける新たな動きを見せた。シンガポールに拠点を置くPaktorは、グローバル展開の一部として、日本と韓国へ進出するために資金調達1000万ドルに右スワイプしたのである。

今回の投資ラウンドはYahoo Capitalのコーポレートベンチャーキャピタル、YJ Capitalがリードし、既存投資家のVertex Ventures(シンガポール政府が持つ投資会社Temasekが所有)、MNC Media Group、MajuvenとConvergence Venturesに加え、Global Grand Leisure、Golden Equator Capital、Sebrina Holdingsといった新たな投資会社も参加した。

Paktorは昨年のシリーズBで調達した740万ドルを含め、これまでに総額2200万ドルを調達している。その資金を駆使してTinderのような出会いだけでなく、グループ旅行やスピードデートなど、オフラインでのイベントやサービスなども提供してきた。さらにPaktorが当初視野に入れていた地域を超え、シンガポール、インドネシア、フィリピン、マレーシア、タイ、ベトナムと、東南アジア6大国に進出を果たした。

今回の日本と韓国への進出は、Yahoo! Japanと強い繋がりがあるYJ Capitalが支援する。時価総額85億ドルにもなる日本最大級のポータルサイトとメディア会社であるYahoo! Japanは、ソフトバンクとYahoo! による合併会社だ。しかし、Paktorが企む進出計画はそれだけではない。

Paktorは、Match.comやTinderなどの企業を所有するInterActiveCorp(以下IAC)の元役員2名を雇用し、アジアを超えた国際進出も視野に入れている。IAC傘下のスペインの出会い系サイトMeeticの元役員であるJose RuanoとMiguel Mangasは、それぞれ現在Paktor InternationalのCEOとマーケティング部門のヴァイス・プレジデントとして、同社のグローバル化を担当している。M&Aやメディアとのパートナーシップを担うという。

Paktorはこれまでに南アメリカ拠点の「Kickoff」を未公開の値段で5月に買収している。2013年に2人の友人とPaktor起業したCEO兼共同ファウンダー、 Joseph Phuaによると、Paktorはさらに欧州とアジアの企業2社の買収を直に完了するという。現時点でPhuaはそれ以上語っていないが、バックエンド技術、ブランディングの強化や配信プラットフォームを獲得するために、すでに他国のメディア会社とパートナーシップを結んでいる。

興味深いことに、中国とインドはまだその計画に入ってはいない。

「私たちには(インドや中国)について知識がなく、今はそのような不確実性に挑戦したくはないと、明確な判断を下しました」とPhuaはあいまいに語った。(一方でTinderは、インドが同社の最大規模のマーケットとなる可能性があるとし、初の国際オフィスを同国に設置している。)

いずれにせよ、今後2ヶ月間で買収が完了すれば、Paktorと買収された企業(もうすぐ3社になる)は合計1500万の登録ユーザーを確保することになると、Phuaは言う。昨年10月に筆者がPhuaと話した際、彼は東南アジアに600万の登録ユーザーがいると言っていたが、現時点の数字は公開していない。

ただ、Paktorはユーザーエンゲージメントを向上させる様々な新機能を追加したという。それらの新機能はユーザーの1日の平均スワイプ数を160回から200回に、日々の利用時間を30分から40分に、そしてマッチされたユーザー同士の間で交わされる、3つかそれ以上の会話を200%増加させたと主張する。

さらに、Paktorはインドネシア、ベトナムやタイなどの新興国市場で新たな料金モデルの導入を決定し、今年は少なくとも1000万ドルの利益の獲得を目標としている。それらの新興国市場では、価格に敏感なユーザー向けに、会員料金をより小規模で手頃なプランに再構成する予定だ。

「既存のマーケット外にチャンスを見つけたので、今回のラウンドで資金を調達しました。今回のラウンドは、私たちを戦略的にサポートするものです」と、Phuaは電話インタビューで語った。「1、2年も経てば、投資家は私たちの長期プランに関心を持つと考えています」。

「次のステップは、運用資産をかさ上げし、収益をあげることです。12ヶ月後には、合併買収のターゲットになるか、あるいはさらなる買収を計画するなど、踏むべきステップはより明確になっているでしょう。しかし、現時点ではなんとも言えません」とPhuaは続けた。

「今はまだ私たちのブランドが強いためにチャンスが舞い降りてきます。しかしそれに挑戦するならば、今後12〜18ヶ月の間にエクジットが実現することはないでしょう。」

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(翻訳:Tomoya Mori)

アジアを拠点とするクロスボーダー決済のフィンテック企業AirWallexが300万ドルを調達

Asia Pacific cross border payment startup Airwallex lands  3M   Tec1hCrunch

フィンテック企業がアジアの投資家の興味を引いている。資金を調達した最新の企業はAirwallexだ。中国とオーストラリア拠点のクロスボーダー取引に特化したスタートアップである。

メルボルンに本社を置くAirwallexは今週、中国の投資家Gobi Partnersが率い、エンジェル投資家のHuashan Capital One、中国のEasylink PaymentsのCEOのBilly Tamらが参加するシードラウンドで300万ドルを調達したと発表(米国時間2016年7月5日)した。

Airwallexは顧客が自国通貨で国外の製品を購入できるようにし、クロスボーダー取引のコストと面倒な手間の削減を目指している。販売者と消費者の両者が異なる通貨を利用する際に発生するコストを削減する点でロンドンを拠点とするスタートアップTransferwiseと根本的に同じ原理を利用している。

AirwallexのCEOで共同創業者のJack Zhang氏はオーストラリアの銀行で働いていた時、カフェ・ショップ事業に投資していた。しかし、その事業のために国外からの輸入品に対して余分なコストがかかることに嫌気がさすようになっていた。オーストラリア・ニュージーランド銀行、ナショナルオーストラリア銀行で働いてきたZhang氏はテクノロジーでより良いソリューションを提供しようと決断した。そして、バークレイズ銀行の外国為替部門で働いていたCTOのJacob Dai氏、COOのLucy Yueting Liu氏を含む4人の共同創業者と共にAirwallexを創業したのだった。
Asia Pacific cross border payment startup Airwallex lands 3M TechCrunch

Zhang氏はTechCrunchのインタビューに対して、プレシリーズAラウンドはクローズまで2週間と、とりわけ早く終わったと語った。

「世界的にEコマースの時代の幕開けを迎えており、とりわけここアジアにおいて大きなチャンスがあるのです」とZhang氏は語った。「Eコマース企業は自国での展開のみで満足することなく、グローバルに打って出たいと考えています」。

Airwallexは外国為替を仲値で取引する銀行間為替取引を利用している。顧客にとっては外国為替レートの手数料のだいたい90%を節約できるとZhang氏は語る。

Airwallexのサービスは現在のところクローズドベータテストの段階で、1ヶ月以内にサービスを開始する予定だ。現在、オーストラリアの規制当局の承認を待っている段階である。そのコンセプトはBraintreeもしくはStripeに近い。売買の背後に存在するシステム(それも最終顧客には見えることのない)によって決済が実行される。Airwallexは支払額に応じた決済手数料からマネタイズを図ることになる。

Airwallexは本社メルボルンに約20人の従業員、中国には12人の従業員、香港には小規模な拠点を持つ。Zhang氏は調達した資金は主にマーケティング、雇用、製品開発に使うと語った。Airwallexは顧客と販売者が同時に複数の通貨を利用できる電子財布を開発している。A

中国、香港、オーストラリアはAirwallexがまず最初に重点を置いている市場だ。しかしシンガポール、日本、韓国にも拡大予定だ。今年度内には、その市場の拡大に向けて財務面を支えるためシリーズAラウンドでの資金調達を目指している。

[原文]

(翻訳:Shinya Morimoto)