iOS版Microsoft OfficeアプリがiPadに対応、ワード・エクセル・パワポが1アプリで利用可能に

iOS版Microsoft OfficeアプリにiPad対応、ワード・エクセル・パワポが1アプリで利用可能に

Microsoftは2月16日(現地時間)、iOS版のMicrosoft Officeアプリをアップデートし、iPadに対応させました。Microsoft OfficeはWord、Excel、PowerPointを1つのアプリで利用できるようにするもので、iPhoneとAndroid向けには2019年11月からプレビューを開始、2020年2月に正式リリースしていました。

スマートフォン向け「Office」アプリのプレビュー版公開。iOS版は登録終了、Android版は利用可能

これまでもiPadにインストールは可能でしたが、iPad向けに最適化されておらず、iPhone向けの小さな画面で表示される状態でした。しかしアップデート後は、iPadに最適化されたフルスクリーンで利用できます。また、新しい機能として、日付、図形、画像、メモを PDF に簡単に挿入できるようになりました。

なお、これまで通り、WordやExcel、PowerPointを個別にインストールもできます。こちらでは、マウスやトラックパッドのサポートも追加されています。

注意点として、10.1インチ以上のiPadでMicrosoft Officeを利用する場合、ドキュメントの新規作成や編集にはMicrosoft 365サブスクリプションが必要です。9.7インチのiPad / iPad Proと7.9インチのiPad miniは無料で新規作成・編集が可能ですが、全機能を利用するにはやはりサブスクリプションが必要となります。

(Source:App StoreEngadget日本版より転載)

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ITチャネルパートナーに販売促進プラットフォームを提供するZomentumが事業拡大に向け13.8億円調達

経済のバックボーンを形成する中小企業の多くは、ITニーズに対応できるだけのリソースがない。たとえばレストランの経営者は、おそらく経費を削減するためにITの専門家と契約し、この手の仕事を外注しているだろう。

POSレジや新しいコンピューター、プリンターなどを購入したり、従業員にビジネス用メールアドレスを割り当てたりする必要がある度に、彼らは信頼できるITアドバイザーに連絡を取り、契約している業者を通じて、ビジネスに必要な製品やサービスを確保する。

「中小企業は、顧客の応対に集中しているため、ビジネスニーズに合った適切なテクノロジーを選択するための時間が取れなくなってしまうことがよくあります。そのため中小企業のテクノロジーニーズについて信頼できるアドバイザーの役割を担うITチャネルパートナーが増えています」と、Zomentum(ゾメンタム)の共同創設者であり最高経営責任者であるShruti Ghatge(シュルティ・ガットゲ)氏は語っている。

ITアドバイザーは、企業の売上を支える上で非常に重要な役割を果たしている。Microsoft(マイクロソフト)のような大手企業でさえ、売上の多くを牽引しているのは再販業者のパートナーたちだ。しかしこれらの専門家は、未だにレガシーツールを使用している。

3年前に設立されたZomentumは、ハイパーローカルIT市場を促進するための効果的な販売チャネルとして機能する強力なITパートナーネットワークの構築を目指している。同社は米国時間2月16日、シリーズAラウンドで、既存の投資家であるElevation Capital(エレベーション・キャピタル)、Accel(アクセル)、Greenoaks Capital(グリーンオークス・キャピタル)から、1300万ドル(約13億8000万円)を調達したと発表した。Eight Roads Ventures(エイト・ローズ・ベンチャーズ)も参加したこのラウンドによって、Zomentumのこれまでの調達額は1710万ドル(約18億1000万円)となった。

社内調査によると、Zomentumのプラットフォームを利用しているITパートナーは、平均でドキュメントの作成が70%速くなり、取引の数が2倍近くに増え、取引額が600%増加し、コンバージョンは2倍に増加していると同社は述べている。

「AIとデータサイエンスを活用することで、これらのチャネルパートナーにビジネスインサイトを与えることができると、私たちは考えています。私たちのパートナーとその顧客が、AIで可能になるビジネスインテリジェンスを活用し、実用的な洞察を得て、スマートな意思決定を行うことができるようになってもらいたいのです。こういうことは、これまで大企業しかできませんでした」と、Zomentumの共同創設者であり最高技術責任者であるRahil Shah(ラヒル・シャー)氏は声明の中で述べている。

現在、Zomentumの顧客は80%以上が米国にいるという。ガットゲ氏は、このスタートアップ企業が新たな資本を投入して、市場でのプレゼンスを拡大し、vCIO、QBR、アセスメントなどの機能を備えた製品の提供を拡大していくと語っている。

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タグ:Zomentum資金調達

画像クレジット:Zomentum

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(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

SaaS企業に新規顧客の呼び込みスピードと内容の向上を提案するOnboard

サービスとしてのソフトウェア(SaaS)企業の提案を受け入れる企業は多いが、その新しいサービスをシームレスなかたちで最初から導入するのは容易ではない。中には、契約書のデジタルインクが乾くや否や、忘れ去られた気にさせられる企業顧客もある。

そこに現れたのがOnboard(オンボード)だ。創設10カ月目のこのスタートアップは、SaaSビジネスで新規顧客を失望させることなく、むしろ喜ばせることを目指してる。

同社は、CEOを務めるJeff Epstein(ジェフ・エプスタイン)氏が共同創設した。エプスタイン氏は以前、リファーラルマーケティングとアフィリエイトマーケティングのためのソフトウェアを開発する企業Ambassador(アンバサダー)を立ち上げ、その8年後の2018年に売却している。

現在はIntrado(イントラド)となったWest Corporation(ウェスト・コーポレーション)への売却条件は公表されていないが、株主には「いい結果」になったとエプスタイン氏は話している(Ambassadorは2021年1月、小さなシアトルの企業にさらに売却された)。

Onboardの仕組みは、エプスタイン氏が簡潔に説明している。「顧客層の変数を定めるのです。計画タイプが違えば、企業のやり方も変わるからです」(たとえばAPIを使うか、コードスニペットを使うかなど)。その後、OnboardはSaaS企業と協力して、できればセールスの過程で収集した必須要件を含めた全体的なタスクリストを作り、担当者、期限、警報、通知を含む動的なタスクのドロップダウンリストの作成を支援する。

基本的にセルフサービスの製品であるため、責任の所在が明確になる。しかし導入過程においては、最終的に同社と顧客企業との「共同責任」になるとエプスタイン氏はいう。同社はさらに、洗練された通知レイヤーの開発にも取り組んでいる。相手に不快感を与えることなく、自動的に計画の進捗を促すというものだ。

従業員5人のこの会社では、現在行われているベータテストの数十社の参加企業からは料金を受け取っていない。収益化の段階へシフトチェンジする前に、製品をしっかりしたものにしておきたいのだとエプスタイン氏はいう。いずれは、ターゲットとする中堅規模の企業顧客から数百ドル(数万円)の月額料金と、人数につき月あたりの料金を徴収する予定だ(「とにかく業務用らしくならないように」と、エプスタイン氏は長期契約を控える方針を述べている)。

Onboardにも、競合相手がいないわけではない。それどころか、企業社会のこの問題が多い分野には、新しい企業が次々と生まれ出ている。それが、多くの新規顧客の悩みを悪化させていることを、共同創設者William Stevenson(ウィリアム・スティーブンソン)氏の話でエプスタイン氏は知り、注目した。Ambassadorでカスタマーサクセス担当副社長を務めていたスティーブンソン氏は当時、他企業の同じ役職の人たちと同様、Monday、Asana、Basecamp、Google Docsといった理想的とはいえない製品の寄せ集めに対処していた。

Ludlow Ventures(ラドロー・ベンチャーズ)のJonathon Triest(ジョナサン・トリエステ)氏も同じ問題点を熟知していた。Ludlow Venturesは2020年夏、Onboardのシードラウンドを密かに主導し、Zelkova VenturesとDetroit Venture Partnersを加えて125万ドル(約1億3200万円)を投資している。

画像クレジット:Onboard

「私たちのポートフォリオ全体を通して、特にB2BのSaaSセールスの企業は、常にそれを経験しています」とトリエステ氏。Ludlowのポートフォリオに含まれる企業は、「ソリューションの断片を繋ぎ合わせるか、自分たちのために作られたものではないツールの使用を強いられているのです」。

問題は、Onboardがライバル企業に先駆けて足場を築けるか否かだが、スタートを切るにあたって必要なものは揃っているとエプスタイン氏が自信を見せるのは、意外なことではない。つい先日、Ambassadorを退社した3人目の共同創設者Matt Majewski(マット・マジュースキー)氏も、Onboardの勢いを増してくれた。

自身の経歴も強い味方だとエプスタイン氏はいう。デトロイトの起業家であり、会社の売却に成功した彼の名前は、地元のみならず数多くの投資家の間に知れ渡っている(「私たちは小さな世界の大物になりました」と彼はいう)。

さらにエプスタイン氏は、投資家たちが「この分野には可能性がある」と気づいているという。しかも「共同出資者ではない、複数のベンチャー投資企業のパートナーから電話がかかってきました。LinkedInで第三者の人脈を辿ってきてくれた人もいます」

過去において「たしかにある程度の資金を調達した」が、これほどの額は初めてだとエプスタイン氏。「妙な感じ」だが「いい気分です」と話している。

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(文:Connie Loizos、翻訳:金井哲夫)

プロジェクト管理ツール「Trello」が大幅刷新、新たなボードビューやカード機能を追加

2017年にAtlassian(アトラシアン)が買収した、かんばん方式のボードを中心にしたプロジェクト管理ツール「Trello(トレロ)」が、ここ数年で最も重要なアップデートと思われるものを、米国時間2月16日に発表した。

5000万人を超える多くのユーザーを持つTrelloは、現在最も人気のあるプロジェクト管理ツールの1つであり、多くの点でデジタルかんばん方式を主流に押し上げた。今回発表されたアップデートでもその重点は変わらないが、開発チームは新しいボードビューを多数追加するとともに、それらのビューを構成する個々のカードに新しい機能を追加。特に外部ツールからデータを取り込むことに注力した。加えて、サービス全体のルック&フィールにも多くの変更が加えられている。

「何年もかけて、私たちはこの巨大で情熱的なオーディエンスを築き上げてきました」と、Trelloの共同創業者であり、現在はAtlassianのTrelloの責任者を務めるMichael Pryor(マイケル・プライアー)氏は、今回の発表に先立ち筆者に語った。「私たちは、5000万人以上の登録ユーザーを抱えています。この5000万人というのは2018年頃の数字で、現在の数字はまだ知らされていません。【略】そして2020年、新型コロナウイルス感染流行が発生しました。以前、未来の仕事のやり方について話しましたよね?それが突然、現実になったのです。いや、単に仕事のやり方のことです。今ではみんながそのとおりに仕事をして、すべてが分散されています。まさに一晩で変わったのです。以前は爆発的に増えるアプリについての話をしていました。ブラウザのタブの話とか。情報の拡散で人々が迷子になるという話をしていました。それが一気に最大値を超えた状態になったのです」。

Trelloに多くの新機能が追加された理由は、ユーザーがTrelloの中でより多くの作業をより容易に行えるようにするためと、チームが自分たちで取り組んでいることだけでなく、各チーム間や組織内で何が起こっているのかを、よりマクロ的に見ることができるようにするためだ。さらに、この新バージョンには、さまざまな外部ツール形式のデータを、いちいちツールを切り替えなくとも、Trello内でネイティブに見る方法が追加されている。

画像クレジット:Atlassian

実際に使ってみると、Trelloに5つの新しいビューが追加されたことがわかる(そして、それらは簡単に切り替えることができるようになっている)。

1つ目は、会社全体やプロジェクト間にまたがる仕事をスプレッドシート式の表示で把握することができるテーブルビュー。2つ目は作業間の障害となるギャップがないことを確認し、開始日や期限を調整するためのタイムラインビュー。3つ目は期日や期間を確認するためのカレンダービュー。4つ目は仕事に関わるさまざまな場所や位置情報を視覚的に確認するためのマップビュー。そして5つ目はプロジェクトの進捗状況や指標をわかりやすく視覚化したりリポートを作成するためのダッシュボードビューだ。

これらのほとんどは、名称からどういうものかわかる。しかし、ここで最も興味深い機能は、新しいテーブルビューが、複数のボードからカードを取り込めるTrello初のビューであるということだ。

「これによって、単一のボードレベルだけでなく、ポートフォリオレベルまで視野を広げることができます」と、プライアー氏はいう。「最終的には、すべてのビューで同じことができるようになります。ボード上でカードを回転させて、プロジェクトの内容や必要性を確認できるようになります」。このアイデアは、Trelloの既存のビジュアル言語を使用・拡大し、共有された視点を加えるためであると、同氏は説明した。

また、ここでもう1つ重要なのは、Trelloはこの機能を、独自のビューを構築したいと考えるサードパーティに開放することも計画しているということだ。たとえばTrelloチーム自身は、プロジェクト内のすべてのカードを使ったスライドを自動的に作成するスライドビューを構築し、たとえば会議で簡単にプレゼンテーションできるようにすることを考えている。

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だが、Trelloが新しいカードで何をできるようにしたかということは、おそらくもっと重要だと、プライアー氏は主張する。新たに導入された「リンクカード」は、リンクするURLを貼り付けるだけで、YouTube(ユーチューブ)、Google Drive(グーグルドライブ)、Figma(フィグマ)、JIRA(ジラ)など、30種以上の外部プラットフォームのデータを、Trelloカード内でプレビューすることでができる。同様に「ボードカード」は、他のボードのURLをカードのタイトルとして貼りつければ、そのボードを参照できる。

「これが何を意味するかというと、カードに現れているものが、Trelloの中だけに存在するものから、他のすべてのツールにまたがって起きている作業を表すものへと昇華されるということだと、私は思います」と、プライアー氏は説明する。「JIRA(Atlassianの課題管理システム)のチケットをTrelloカードと一緒に存在させることができるようになるということです。そしてJIRAで起きていることとは独立した状態で、それを分類し、移動させ、それについて話すことができます。他のカードとつなぐこともできますが、ダッシュボードを作成する機能が追加されたので、すべての作業を1カ所でまとめて見ることができるようになりました」。

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開発チームは、Trelloのユーザーがすでに気に入っているシンプルさと視覚的な言語を活用し、それを他のツールにも応用したいと考えていたと、プライアー氏は指摘している。「競争に巻き込まれて、プロジェクト管理の機能だけを構築することもできました」と彼はいうが、チームは単なるプロジェクト管理アプリ以上のものを作りたいと考えた。Trelloを、ユーザーがすべてのプロジェクトを管理するのに役立つアプリにしたいと考えた。

機能を追加するだけでは、ただ肥大化するだけだと彼は主張する。そうではなく、チームはカードのメタファーを利用してそれを拡張し、ユーザーがすでに慣れ親しんでいる視覚的な言語を使って、Trelloの中で新しいソリューションを構築できるようにしたいと考えたのだ。

もう1つの新機能も近々導入される。それはTrelloコミュニティで長らく待ち望まれていたもの、「ミラーカード」だ。これは基本的に、複数のボードで同じカードを共有できる機能で、元のカードから他のボードのカードにリンクさせるだけで、元のカードの情報が他のボードのミラーカードに表示される。元のカードを更新すると、他のボードのミラーカードにも自動的に反映される。

関連記事:AtlassianがTrelloにテーブルビューを導入、複数プロジェクトを俯瞰チェック可能に

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

最近の企業買収に見られる「少額の投資で速やかに自社製品の拡張を図る」3つの例

2021年に入ってから、筆者はすでに9件のM&A案件を取材してきた。最大の案件はCitrix(シトリックス)が22億5000万ドル(約2360億円)でWrike(ライク)を買収したことだ。しかし、すべての取引が巨額な金額をともなうわけではない。本日紹介する3つの案件は、もっと低い金額帯の買収が活発に行われていることを示すものだ。

企業は自社製品を強化する方法を模索しており、同時に有能な人材を導入したいと考えている。小規模な買収は、すべてを社内で構築することなく、製品のロードマップを埋める方法を得ることができる。

買収した企業は、少額の現金で機能性を追加できる。小規模な買収では、金額が明らかにされないこともある。買収が公開企業に重大な財務的影響を与えるほどの規模でなければ、価格を発表する義務はないからだ。

それでは、この数日の間に起こった3つの買収を見ていこう。

TenableがAlsidを買収

2018年に株式を公開したネットワークセキュリティ企業のTenable(テナブル)は、Active Directory(アクティブディレクトリ)のセキュリティを専門とするフランスのスタートアップ企業Alsid(アルシド)を9800万ドル(約103億円)で買収した。ユーザー情報管理ツールとして人気が高いマイクロソフトのActive Directoryは、ハッカーの標的にもなりやすい。ユーザーの資格情報を手に入れることができれば、ネットワークに侵入するのは簡単になる。Alsidの製品はそれを防ぐために開発された。

セキュリティ企業は、時間の経過とともにサービスの幅を広げていく傾向がある。Alsidは、Tenableのセキュリティプラットフォームに新たなツールを追加し、より広い範囲をカバーできるようにする。

「Alsidの買収は、ユーザーアクセスとパーミッションに向けた自然な拡張であると、我々は考えています。契約が完了すれば、この買収は当社の『Cyber Exposure(サイバー上のリスク変動資産管理)』のビジョンを戦略的に補完することになり、企業が攻撃の全体像を理解してサイバーリスクを低減するために役立つでしょう」と、Tenableの投資家向けFAQには書かれている。

AlsidのCEO兼共同創業者であるEmmanuel Gras(エマニュエル・グラス)氏は、この種の攻撃を防ぐために会社を立ち上げたと語る。「Alsidを設立したのは、企業が直面するセキュリティ上の最大の課題の1つであり、脅威行為者が企業のシステムを横断するために用いる最も一般的な方法であるActive Directoryの脆弱性という問題の解決を支援するためです」と、グラス氏は声明で述べている。

パリに拠点を置くAlsidは、2014年に設立された。Crunchbaseのデータによると、2019年には1万3000ユーロ(約165万円)という小額の資金調達を行った。

CopperがSherlockを買収

Google Workspace上に構築されるCRMツールのCopper(カッパー)は、顧客体験プラットフォームのSherlock(シャーロック)を買収したと発表した。金額については明らかにしなかった。

新型コロナウイルスの流行は、多くの買い物客をオンラインに導いた。顧客をより理解して、よりカスタマイズされた体験を提供すれば、より多くのエンゲージメントを促進させ、売上の増加に貢献する。Sherlockの買収によって、Copperは同社のクライアントが顧客をよりよく理解するために役立つツールを手に入れることになる。

「Sherlockは革新的なエンゲージメント分析とスコアリングのプラットフォームであり、見込み客や顧客の意図を表面化させ、営業、アカウント管理、カスタマーサクセスの専門家に行動を促します」と、CopperのDennis Fois(デニス・フォイス)CEOは、この取引を発表するブログ記事で書いている。

彼はさらに、「顧客との関係はエンゲージメントに基づきます。Sherlockとともに、私たちは行動と勢いに焦点を当てたCRMを作成していきます」と付け加えている。

RapidAPIがPawを獲得

APIがソフトウェア開発の考え方を変えたことは明らかだが、大規模な組織にまたがって増殖することで、それ自体が管理の問題を生み出している。API管理プラットフォームのRapidAPI(ラピードAPI)は米国時間2月10日、Paw(ポー)の買収を発表した。

Pawを買収したことで、RapidAPIは顧客が独自のAPIを設計する機能を追加でき、本質的に企業内におけるAPI環境の作成と管理に関連するすべてのものをワンストップで顧客に提供できるようになる。「今回の買収により、RapidAPIはそのオープンAPIプラットフォームをAPI開発ライフサイクル全体に拡張することができ、APIの開発から購入まで、複数のクラウドやゲートウェイを横断して、接続された体験を開発者に提供することが可能になります」と、同社は声明で説明している。

2015年に設立されたRapidAPIは、Crunchbaseのデータによると6700万ドル(約70億3000万円)以上の資金調達を行っている。同社の直近の資金調達は2020年5月に行われたもので、Andreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)、DNS Capital(DNSキャピタル)、Green Bay Ventures(グリーン・ベイ・ベンチャーズ)、Microsoft(マイクロソフト)のベンチャーファンドであるM12、Grove(グローブ)から2500万ドル(約26億2000万円)を調達したラウンドだった。

これらの買収は、いずれも買収企業にとって重要なニーズを満たし、既存のプラットフォームの能力を拡張して、多額の資金を投入することなく、より多くの機能を顧客に提供できるようするものだ。

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タグ:TenableAlsidCopperSherlockRapidAPIPaw買収

画像クレジット:courtneyk / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

物流のボトルネックとなる搬入出口のスマート化を手がけるKargoが6.3億円の資金を調達

Sam Lurye(サム・ルリー)氏は、トラックが荷物の積み降ろしをするローディングドック(搬入出口)について、物流のボトルネックであると同時にチャンスでもあると考えている。

このチャンス、つまり配送センターの倉庫や工場といった物理的なインフラとデジタルの間に生じる今日の緊張や、将来に向けた自動運転の推進から、そこにチャンスがあると考えたルリー氏は、スマートローディングドックのプラットフォーム開発を手がけるKargo(カーゴ)を設立した。このスタートアップ企業は先日、Founders Fund(ファウンダーズ・ファンド)、Accomplice(アカムプリス)、Sozo Ventures(ソーゾー・ベンチャーズ)ほか、名前の明かされていない投資家たちから、600万ドル(約6億3000万円)のシード資金を調達した。

同社を2019年後半に設立した当初、ルリー氏は数カ月かけて米国中を旅し、配送センターの倉庫や工場を訪ねて回り、何百人ものトラック運転手、工場労働者、サプライチェーンの管理者から話を聞いた。流通の自動化における変化が、彼らのどんなところに影響を与えているかを理解するためだ。

彼らの主な不満は、ローディングドックだった。

「自動車やエレベーターなどを使って物流を自動化しても、結局はローディングドックを通ることになります」と、ルリー氏は最近のインタビューで語っている。「ローディングドックは産業界のユニバーサルAPIのようなもので、どんな産業施設でも、これによって外の世界と接続しているわけです」。

ローディングドックはどこにでもあるが、それが問題になってもいる。平均的なトラックがドックで積み込みや荷降ろしをするのに2時間半も待たされるのは、一般的にこれがボトルネックになっているからだ。米国運輸省の調査によると、トラックがその平均滞留時間を超えて待機する時間が15分増えるごとに、その後のルートで衝突事故が起こる可能性が6.2%増加するという。

物流の自動化というと、自動運転トラックや倉庫ロボティクスに注目しがちだが、来たるべきそれらへの投資の波に対して倉庫や工場は準備ができていないと、ルリー氏は結論づけた。

Kargoは単にデジタルなプラットフォームを提供するだけでく、物理的なセンサータワーを積荷ドックに設置する。このコンピュータビジョンセンサーは、リアルタイムで出入りするすべての貨物を自動的に識別し、確認することができる。専用のソフトウェアプラットフォームが、そのデータをすべて取り込むため、顧客はそれを使用して、サプライチェーンをマクロまたはミクロの視点で見ることができる。

画像クレジット:Kargo

Kargoは、このセンサーの販売と、顧客がデータにアクセスできるソフトウェアのサブスクリプションを提供することで収益を上げる。

ルリー氏によれば、このプラットフォームによって顧客は積荷時間を40%以上短縮することができるという。プラットフォームに接続するローディングドックが増えるほど、Kargoが構築した予測機能は改善が進み、顧客は情報に基づいて出荷の遅延や積み残しを予測することが可能になる。

2021年におけるルリー氏の目標は、この新たに調達した資金を使って、現在7人の従業員を今後数カ月間で倍増させること、そして初の商業化となる50カ所のローディングドックを立ち上げること、さらに年末までにその数を3倍に増やす計画を実現することだ。2022年には1000カ所以上のローディングドックをプラットフォームに追加したいと、ルリー氏は考えている。

Amazonのような電子商取引の巨人だけでなく、何百もの販売業者や流通業者が倉庫や工場内の自動化を進めることで、Kargoのプラットフォームやセンサーの需要が高まる可能性がある。

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タグ:Kargo物流資金調達

画像クレジット:Kargo

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

コンピュータービジョンで職場の安全性を監視するIntenseyeが約4億円を調達

米国のシンクタンク経済政策研究所によると、同国での業務上の傷害や病気のコストは毎年2500億ドル(約26兆円)を超える。ERA(起業家ラウンドテーブルアクセラレーター)が支援するスタートアップで機械学習プラットフォームのIntenseye(インテンスアイ)はこの数字を経済的かつ効果的な方法で抑制しようとシードラウンドで400万ドル(約4億円)を調達した。

Point NineとAir Streetが本ラウンドを共同でリードし、エンジェル投資家としてTwitter、Cortex、Fastly、Even Financialが参加した。

Intenseyeは施設内のネットワークに接続した既存のカメラを統合し、業務中の従業員の健康や安全をモニターするのにコンピュータービジョンを使う。これは、Intenseyeがヘルメット未着用から社会的距離プロトコルの無視、その他のさまざまな健康・安全に関する規則違反をリアルタイムに特定できることを意味する。

Intenseyeのダッシュボードはリアルタイムに労働者の安全をモニターするために連邦そしてローカルの職場安全法、ならびに各組織のルールを取り込んでいる。Intenseyeのプラットフォームは職場でありがちな全部で30の安全でない行動を特定できる。管理者はさらにドラッグ&ドロップのインターフェースを使ってこうしたルールをカスタマイズできる。

違反が見つかった時には、問題を解決するために雇用側の健康・安全の専門家はすぐさまテキストや電子メールでアラートを受け取る。

Intenseyeはまた、コンプライアンスのスコアを算出したり問題のエリアの診断をするために施設内の職場安全コンプライアンスの集計も取る。

同社は基本展開料金、そして施設がIntenseyeのモニタリングポイントとして使いたいカメラの台数に基づく年間料金を課す。

共同創業者のSercan Esen(セルカン・エセン)氏は事業の最大の課題の1つはテクニカル上のものだと話す。Intenseyeは、従業員の健康・安全の反則アラートを送るためにコンピュータービジョンを通して職場の安全性をモニターするが、個人の顔を分析したり個人を特定したりはしない。全てのビデオはすぐさま破棄され、Intenseyeに保存されることはない。

Intenseyeのチームは20人だ。

「現在Intenseyeのチームの20%が女性、80%が男性で、メンバーの国籍は4カ国になります」とエセン氏は話した。「当社のチームにはコンピューターサイエンスで理学修士を持っている人、高卒の人がいます」

チームの多様性とインクルージョンはどの企業でも重要だが、コンピュータービジョンのソフトウェアを構築する企業においては特にそうだ。

同社はパンデミックを受けてリモートワークに移行し、バーチャルオフィスの構築とZoomよりも投入型の方法で従業員を結びつけるためにVRを使っている。

Intenseyeは現在30都市で利用されていて、今回調達した資金はチームの増強、特にセールスとマーケティング部門での雇用、そして市場開拓戦略の実行に使う予定だ。

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(文:Jordan Crook、翻訳:Nariko Mizoguchi

長いポッドキャストを60秒のパーソナライズされた「音声ニュースフィード」に変えるPodz

PodzはM13、ジャーナリストのKatie Couric(ケイティ・クーリック)氏、Paris Hilton(パリス・ヒルトン)氏などの投資家から支援を受けて、ポッドキャストの発見という問題を解決しようとしている最新のスタートアップだ。

米国では1億人がポッドキャストを聞いていますが、勢いを増しているとはいえ、オーディオが日常生活の一部になるようなクロスオーバー行動はまだ見られません」とCEOのDoug Imbruce(ダグ・インブルース)氏は述べている。「それは、ポッドキャストを発見して消費するという体験が古いからだと考えています。まさに、1997年にウェブブラウジングしたような感覚です」。

インブルース氏の名前は長年のTechCrunch読者には馴染みがあるかもしれない。彼は以前、2010年のTechCrunch Disruptでスタートアップ戦線を制したQwikiのCEO(Cloudflareが次点の1つだった)であり、同スタートアップは数年後にYahooに買収された

同氏も認めているように、Qwikiはオンラインメディア消費を再構築するという彼の期待には決して応えられなかったが、その「機械で作成されたメディア」のビジョンは、彼がPodzによって切り拓いていきたいと思っている未来の「一端」を垣間見せてくれたという。

このスタートアップが解決しようとしている問題は非常に単純だ。ポッドキャストは多くの場合、30分または60分以上の口語音声で構成されているため、それらを聞くするのは難しく、新しいものを発見したとしても、それは通常、口コミでの推薦や不便な検索ツールを介して行われている。

Headlinerのようなツールは、ポッドキャスターがソーシャルメディア上の短いクリップでコンテンツを宣伝することを簡単にするが、Podzはその作成プロセスを自動化し、それらのクリップをリスニング体験の中心にする。

画像クレジット:Podz

Podzモバイルアプリでは、ユーザーは60秒のポッドキャストクリップで構成された、同社が「初の音声ニュースフィード」と呼ぶものを視聴することができる。これらのクリップは、各ポッドキャストの最高の瞬間をハイライトするように設計されており、現在ユーザーが購読しているポッドキャストよりもはるかに幅広いタイトルを簡単に試せるようになっている。それぞれのクリップは独立しているが、より深く掘り下げたい場合は、全エピソードを保存しておいて後で聞くこともできる。

これらのクリップは自動的に作成され、インブルース氏によると「Podzプラットフォームの鼓動している心臓部」は、「ポッドキャストの最も興味をそそる部分を識別する」機械学習モデルだという。このモデルは、ジャーナリストやオーディオ編集者と相談し、10万時間以上のオーディオを使って訓練された。

ここでたとえばTC Original Contentポッドキャストの最新の3つのエピソードから選ばれたクリップを見て(聞いて)みよう。「Soul」「The White Tiger」そして「Bridgerton」に対する我々のレビューだ。各クリップはまあまあ自己完結しているように思え、(より雄弁な共同ホストではなく)すべて私に焦点が当たっていたことには少し落胆したが、Podzの広報担当者は、アプリが「最高密度のスピーカーに焦点を当てるためだ」と説明してくれた。

Podzのニュースフィードは、ユーザーの興味に合わせてパーソナライズされている(そして、そう選択した場合、ユーザーがApple Podcastsでフォローしているポッドキャストや、Twitterでフォローしているアカウントを参考にすることもできる)。インブルース氏は、リスナーの行動を観察しながら、時間の経過とともに賢くなっていくはずだと述べている。

同社のチームは時間の経過とともに、ポッドキャスターのためのより多くの創造的なツールやマネタイズツールを導入していきたいと考えていると彼はつけ加えた。「作成されるオーディオの量を10倍に増やし、オーディオの収益化を100倍にすることができると実際に期待しています」とも。

インブルース氏に加えて、Podzの設立チームには、CTOのSeye Ojumu(セイエ・オジューム)氏、デザイン責任者のRasmus Zwickson(ラスマス・ズウィックソン)氏、iOSリーダーのGreg Page(グレッグ・ページ)氏がいる。同社はM13、Canaan Partners、Charge Ventures、Humbitionの他、前出のクーリック氏、ヒルトン氏(自身のポッドキャストを立ち上げる予定)、ABCのThe Trend ReporterのジャーナリストであるMara Schiavocampo(マーラ・スキアヴォカンポ)氏など、著名なエンジェル投資家からプレシード資金として250万ドル(約2億6000万円)を調達している。

「私たちはオーディオの黄金時代を生きていますが、5000人以上の聴衆に到達しているポッドキャストはわずか1%です」とM13のゼネラルパートナーであるLatif Peracha(ラティフ・ペラチャ)氏はメールで筆者に話してくれた。「Podzは既存のオーディオの視聴者を増やすことを計画していますが、本当の焦点は、クリエイターツールを活用して新しいオーディオを増やすことにあるでしょう。すでに、平均的なポッドキャストリスナーは7つのポッドキャストを購読していますが、Podzでは30近くのポッドキャストをフォローしています。初期の段階では、同社のチームはこのカテゴリで変革的な製品を構築できると楽観視しています」。

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画像クレジット:Podz

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(文:Anthony Ha、翻訳:Aya Nakazato)

SLO(サービスレベル目標)管理プラットフォームのNobl9がシリーズBで22億円調達

「SLA」に「SLO」に「SLI」。ソフトウェア開発の管理業務に携わる人たちが共通して大好きなものは「略語」だ。しかし、サービスレベル合意(SLA)の意味は誰もが知っているだろうが、サービスレベル目標(SLO)とサービスレベル指標(SLI)についてはあまり知られていない。だがそれらの考え方は意外にわかりやすく、「SLO」はSLAで約束した合意内容に合致させるために開発チームが達成すべき目標であり、「SLI」はそれら2つを具体的な数値でサポートする基準だ。DevOpsの登場により、これらの考え方は企業の総合的なサイト信頼性エンジニアリング(SRE)において大切な要素となり、主流になりつつある。とはいえ、これらを実行するとなると、ひと筋縄では行かないのが通常だ。

Nobl9(ノブルナイン)は、SLOを中心とした運営方法と組織内の適切なフィードバックループを構築し、エンジニアリング、機能開発、信頼性の間での厳しい経費のやりくりを軽減しつつSLOの達成を助けるツールを企業に提供する。

同社は米国時間2月10日、2100万ドル(約22億円)のシリーズB投資の調達を発表した。このラウンドを主導したのは、同社のシリーズAラウンドにも参加したBattery VenturesCRV。そこに、やはりシリーズAに参加したBonfire VenturesとResolute Ventures、さらに新規の投資者としてHarmony PartnersとSorenson Venturesも加わっている。

Nobl9を立ち上げる前、共同創設者でCEOのMarcin Kurc(マーシン・カーク)氏とCPOのBrian Singer(ブライアン・シンガー)氏は、ともにOrbitera(オービテラ)に在籍していた。当時シンガー氏は共同創設者でCOOであるカーク氏はCEOだった。2016年にOrbiteraがGoogle Cloud(グーグル・クラウド)に買収された後は、そちらに移っている。そこで2人は、Googleのサイト信頼性エンジニアリングの枠組み作りと評価を行ってきた。

次に何をしようかと考え始めたころ、それまでに得た経験から、SREの考え方を製品化しようと心が向いていった。「もしKubernetes(クバネティクス)を使うとしたら、サービスベースのアプリケーションやモダンアーキテクチャーを運用するとしたら、現実にSREよりも優れた方法はないという結論に達しました」とカーク氏は私に話した。「そこに注目し始めると、必然的にSREは完全な枠組みとなり、プロセスが見えてきました。そしてSREの構成要素を調べてみると、SLO、つまりサービスレベル目標が基本であることに気づきました。SLOなしにはSREは実現できません」。

シンガー氏も指摘しているが、SLOを採用するためには、企業は自社が保有している、たとえば稼働時間や遅延で測定されるサービスの信頼性に関するデータを、適切な目的のために役立てる方法を知らなければならない。これはなかなか難しい。実際のところそのデータは、いろいろなデータベースやログの中に点在しているためだ。しかし本当に難しいのは、各企業ごとに、そのデータに基づいて適切なSLOをどう定義するかだ。

同社は、2020年のβテストを終え、先週、そのプラットフォームを一般運用を開始した。最初の顧客には、Brex(ブレックス)やAdobe(アドビ)も含まれている。

彼らは今回の資金調達をシリーズAラウンドと考えている。すでに750万ドル(約7億8500万円)というかなり大規模なシリーズA投資を得ているため、これはシードラウンドではなくシードAとすることに決めたのだと、カーク氏は私に話してくれた。「定義が難しいのです。ある一定の収益を基準に決めるのなら、正式版を公開したばかりの私たちには、まだ収益がありません」とシンガー氏。「しかし、単純に製品と会社の成熟度という点で考えれば、我々はシリーズBに相当すると思っています」。

そのラウンドは2020年11月にクローズした。新規のベンチャー投資者も呼び込もうと考えていたのだが、既存の投資者がすでに同社へのさらなる投資に興味を示していた。また、前回のラウンドが定員超過になってしまったこともあり、シリーズAの恩恵が得られなかった一部投資家のために新しいラウンドの追加を決めたという。

同社は新しく調達した資金を使って、そのロードマップの推進と、主に営業、マーケティング、カスタマーサクセスの分野の人材増強を行う予定だ。

 

 

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Nobl9資金調達

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:金井哲夫)

アップルの「マップ」に道路情報やスピード違反の取り締まりを報告する機能追加

Apple(アップル)のマップにドライバーが道路の危険情報や事故、スピード違反取り締まりなどを報告できる機能が追加された。新機能は一般ベータ版テスターとデベロッパーに公開されているiOS 14.5ベータ版で利用できるが、2021春まで一般展開はされないと同社は話している。

新機能では、ドライバーは道路の問題や事故をiPhoneのSiriかAppleのCarPlayを通じて報告できる。たとえばナビの途中、ドライバーはSiriに「この先で事故がある」「道路上に何かがある」「ここにスピード違反取り締まりの計測器がある」などと報告できる。また「危険はなくなった」「事故はもうない」と報告して時間が経った事故や危険アラート情報を訂正することもできる。

Siriを使うことで報告エクスペリエンスを安全なものにする一方で、アップデートされたアプリではユーザーは他人に事故や危険情報、スピード違反取り締まり計測器を警告する際、報告ボタンをタップするためにマップ上で上方向にスワイプできるようになってもいる。

アップデートはGoogle(グーグル)が所有するナビゲーションアプリ「Waze」にとって脅威となるかもしれない。Wazeは長い間、道路の状況や事故、警察の存在などを警戒するための人気ツールだった。Wazeではユーザーはスクリーンをタッチしたり、Google Assistantを通じてコマンドを出したりして操作できるが、当然のことながらiOSユーザーのための音声サポートはかなり限定されている。たとえばWazeは現在、Siriショートカットの使用をサポートしているが、マニュアル操作で設定してSiriに加えなければならない。

Appleはこれまで消費者のプライバシーを優先するという姿勢をとってきた。そのおかげで、Appleのエコシステム内だとユーザーデータはより安全だと感じているユーザーに対して、新しいマップの機能はよりアピールするものかもしれない。

また、特筆すべきはスピード違反取り締まり計測器の追加であり、これはマップの方向転換を意味する。Appleは歴史的に自社プロダクトに警察の警告を入れることに反対してきた。しかしそのサポートの欠如が、モバイル端末でのナビとマッピング分野におけるGoogleの支配を許してきた。

Appleの決断は、Wazeにある機能がGoogleマップへと拡大したことに続くものだ。Googleの2つのナビプロダクトの差は次第に曖昧になっている。そしてGoogleは事故や交通、スピード違反取り締まり計測器などをiOSのGoogleマップユーザーに報告する機能を引き続き提供し続けており、今回の機能追加によりAppleのマップから乗り換えを考えていたはずの人は、それが実行しづらくなった。

関連記事:Googleがマップアプリを強化、iOSからも事故や交通取締をレポート可能に

Appleは遅ればせながらこのことに気づいたようだ。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Appleマップ

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

企業の物流における意思決定を最適化しテストするnextmvが8.4億円調達

物流企業の配車スケジュールなど、企業の意思決定モデルを最適化しテストするnextmvが米国時間2月9日朝、シリーズAの800万ドル(約8億4000万円)のラウンドの完了を発表した。

同社の既存投資家であるFirstMarkが、nextmvに肩入れしてシリーズAをリードした。その他GitHubのCTOであるJason Warner(ジェイソン・ワーナー)氏やSeamlessの創業者Jason Finger(ジェイソン・フィンガー)氏、StripeのCOOであるClaire Johnson(クレア・ジョンソン)氏、Greenhawk CapitalのAnkit Agarwal(アンキット・アガルワル)氏など、そして2048DynamoAtypicalなどの機関投資家が参加した。

画像クレジット:nextmv

Carolyn Mooney(キャロリン・ムーニー)氏とRyan O’Neil(ライアン・オニール)氏が創業したnextmvは、ロジスティクスにフォーカスした意思決定モデルを最適化しテストする工程を単純化する。たとえば2人が前に仕事したフードデリバリーのGrubhubの場合はどうか。Grubhubは、オーダーが届く度に、デリバリーのスピードや、ドライバーの車の走行距離、全体的な効率などさまざまなプライオリティを計りにかけなければならない。

そのために大量のリソースと人材を要し、そのプラットフォーム上で動いているアルゴリズムを会社の業績評価指標(KPI)に基づいて最適化する。KPIが変わればアルゴリズムを修正し、さらに多くのリソースを注ぎ込んでアルゴリズムの変更をテストしなければならない。

変更をテストするためにはシミュレーションの環境が必要だが、nextmvはそれをローンチ時から提供している。

最新ラウンドの直後から、nextmvはプロダクトの単純化に取り組んでいる。同社はnextmvのクラウドを立ち上げて、オペレーションズリサーチャーだけでなくデベロッパーもソフトウェアを使えるようにした。クラウドサービスにはルーティングとデリバリースペースの即席モデルがあって、デベロッパーが意思決定を自動化できる。また今後は、ロジスティクス以外の別の分野への応用も考えている。

nextmvが存在しないときには、オペレーションズリサーチャーの大きなチームが意思決定モデルの最適化とテスト環境のシミュレーションを行っていた。nextmvが登場してからは、プロダクトを操作するオペレーションズリサーチャーが1人いればいい。さらに現在では、デベロッパーがプラットフォームを実際に使用してみることもできる。

ムーニー氏は、デベロッパーの活用について次のように述べている。「共同創業者もそうだが、世の中には何十万人ものオペレーションズリサーチャーがいて、調査会社や企業内の専門グループでいろいろな問題解決をあたっている。デベロッパーは何百万人もいる。デベロッパーからでも、能力を引き出せるはずだ。すべての技術者がメッセージングの技術者になることができるTwilioと同じ考え方だ」。

画像クレジット:nextmv

今回の巨額な資金は、同社のクラウドプラットフォームをプロダクトとして完成させることに充てられる。これによりnextmvの技術を広めて、アクセスしやすくし、また一方ではコンテンツ部門を充実してユーザーがそのソフトウェアを探求できるようにしたいという。

nextmvは最終的に、このプラットフォームを軸とするデベロッパーたちが意思決定の自動化の方法を共有するデザインツールFigmaのコミュニティのようなコミュニティを育てたいと考えている。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:nextmv資金調達ロジスティクス

画像クレジット:nextmv

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(文:Jordan Crook、翻訳:Hiroshi Iwatani)

アプリの市場データと分析ツールを提供するApp Annieの新アプリはPulseは経営者が迅速に判断するためのもの

モバイル分析と市場データ会社のApp Annieは米国時間2月10日、新アプリを発表した。CEOのTed Krantz(テッド・クランツ)氏はこのアプリは「データに埋もれた」アナリストのためではなく「より高度なトップダウンの視点」を必要とする経営者のために作られているという。

アプリApp Annie Pulse最大の新機能はApp Annie Performance Scoreと呼ばれるもので、クランツ氏はこれをモバイルアプリのFICOスコアと比較している。同機能はアプリのユーザー獲得、エンゲージメント、マネタイズ、センチメントを1つのスコアにまとめ、アプリが競合他社と比較してどのようなパフォーマンスを発揮しているかを評価するものだ。

クランツ氏によると、最終的にはパフォーマンスストアは顧客ごとにカスタマイズできるようになり、「重要なメトリクスにあわせてカスタマイズできるようになります」と述べている。同アプリはまた主要なアプリのメトリクスの変化をハイライトし、潜在的な原因を特定し、ユーザーがフォローしているアプリやマーケットで何が起きているかを示すニュースフィードを備えている。

画像クレジット:App Annie

クランツ氏は特に「モバイルが非常に重要」になっており、経営陣が必要なデータを調べたりレポートを待ったりすることなく、必要なデータの概要をすばやく知ることができるようになるのが目標だとつけ加えた。経営陣が毎日チェックするアプリを作成することがチームの「最終目標」だが、当初は必ずしもそうなるとは思っていない。

アプリApp Annie PulseはApp Annieの市場レベルのデータに基づいているため、Apple(アップル)の今後のプライバシー変更の影響を受けるべきではないと、クランツ氏は述べている。同時にファーストパーティとサードパーティのデータを統合するという同社の広範な目標が「少しトリッキー」に見え始めていることも認めた。

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App Annie Pulseは現在iOSで利用可能だが、同社は2021年の第2四半期(4月〜6月)にAndroid版をリリースする予定だ。またPulseはApp Annieの有料顧客のみが利用可能だが、クランツ氏によれば「無料プランを見直し、さらに充実した内容のものにする計画もある」と述べている。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:App Annieアプリ

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(文:Anthony Ha、翻訳:塚本直樹 / Twitter

暗号化データを無解読で利用できるDataFleetsをエンタープライズデータのLiveRampが買収

LiveRampがDataFleetsを買収した。この新進のスタートアップは、暗号化されている大量のデータを、解読や転送などをせずに利用できるようにする。エンタープライズのデータ接続性プラットフォームであるLiveRampは、同社に6800万ドル(約71億円)ほどを支払ったが、それは2020年秋のDataFleetのシード資金450万ドル(約4億7000万円)の10数倍の額となる。

DataFleetsは、医療や金融関連の機密データが最近、分析や機械学習のモデルの訓練に利用されるというニーズに着目した。そのようなデータベースは、複雑巨大であるだけでなく、転送も困難だが、それらを解読してどこかで使おうとすると、エラーや濫用、ハッキングの危険性が一気に増してしまう。

同社のソリューションは、病院や銀行などデータのプロバイダーとアナリストやAIの開発者などデータのクライアントの両方にソフトウェアを置き、両者間の安全な仲介者として振る舞う。クライアントは機密データがほしいのではなく、分析のシステムや機械学習のモデルにデータを適用したいだけだであり、値の取り出しと比較や、MLのモデルの構築といったデータに対して自動化されたタスクを実行できればそれでよい。データそのものに直接アクセスする必要はない。

明らかにこのやり方は、LiveRampにとっても価値あるものだろう。同社は大企業に数多くのデータ接続性サービスを提供する企業として、世界中で知られている。同社は先に発表した決算報告で、DataFleetsに前払いで6800万ドル(約71億1000万円)を支払ったことを発表したが、その額には、この種の取引によくある、その他のさまざまなインセンティブや延べ払いは含まれず、しかもそれらは非公開だ。

買収によってDataFleetsというブランドは若くして引退すると思われるが、おそらく同社のさまざまな顧客はLiveRampを目指すだろう。その最新の例がHCA Healthcareで、この全国的にメジャーなプロバイダーは新型コロナウイルスのデータ共有コンソーシアムを発表したばかりだが、そこでもDataFleetsのサービスを利用すると思われる。2020年に商用化したばかりの技術にとって、それは強力なお墨つきになるし、LiveRampにとってもヘルスケアのクライアントが増えたことで良いセールストークの材料になる。

LiveRamp自身は、サービスが強化されたことを機に、2021年にはヨーロッパとアジアとラテンアメリカの事業を拡張したい。さらに同社は国レベルでのプライバシー法を求めている。新政権では、それができるかもしれない。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:LiveRamp買収

画像クレジット:LiveRamp

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hiroshi Iwatani)

プログラミング言語RustにGoogle、Microsoft、AWSなどが開発とメンテの拠点を提供

サバイバルゲームではなくてプログラミング言語のRustが、Rust Foundationという新たな拠点を手にいれた。AWSとHuawei(ファーウェイ)、Google(グーグル)、Microsoft(マイクロソフト)そしてMozillaが米国時間2月8日に立ち上げたこの団体は、2年分で100万ドル(約1億500万円)の予算をかけては「各種のサービスや事業やイベントによりRustプロジェクトのメンテナーを支援し、最高のRustを構築していく」という。

Rustは、C / C++に代わる言語を作ることを目的として、Mozillaの副次的プロジェクトとして始まった。Mozillaの研究員であるGraydon Hore(グレイドン・ホア)氏が設計し、JavaScriptを開発したBrendan Eich(ブレンダン・アイク)氏らが協力したRustは、FirefoxブラウザとそのGeckoエンジン、そしてMozillaのレンダリングエンジンServoの基盤作りに貢献している。Rustは現在も、プログラマーたちの間で人気の高い言語だが、MozillaのレイオフによってRustのチームの多くが仕事を失い、主力のサポーターを失った言語の将来が危ぶまれた。しかしそれでも、そのプロジェクトには数千名のコントリビューターと多くの企業ユーザーがいたため、言語そのものは健在だった。

オープンソースの大きなプロジェクトは多くの場合、方向性を決めていくリーダーや、商標などコミュニティのさまざまな側面を管理する法務的な機能も必要もあり、この新しい団体がその役を担うのだろう。団体の理事会には、創設メンバー5社から理事が1人ずつが選出され、プロジェクトのリーダーとして5名のディレクターが選出される。

MozillaのメンバーでRust Foundationの理事を務めるBobby Holley(ボビー・ホリー)氏は声明で次のように述べている「MozillaはRustを育てFirefoxを改良し、インターネットの改善にも貢献しました。新しい拠点であるRust Foundationは、Rustが言語として独自に成長し成功するための基盤を与えます。それと同時に、MozillaがRustのコミュニティと共有する重要な価値も、そこで継続的に増幅されるでしょう」。

すべての企業スポンサーがRustの受益者ユーザーであり、彼らのソフトウェアスタックの重要な部分をRustで構築している。たとえばGoogleは最近、ウェブのApacheサーバーをより安全にするRustベースのプロジェクトに資金を提供し、MicrosoftはRustのチームを作って、WindowsのAPIの中核部分をリライトしようとしている。またAWSが最近立ち上げた、コンテナのための新しいLinuxディストリビューションBottlerocketには、その大部分がRustで書かれているビルドシステムがある。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:RustプログラミングRust Foundation

画像クレジット:Fernando Trabanco Fotografía/Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hiroshi Iwatani)

フィックスターズ独自開発の視差計算ソフトがOpenCVに正式実装、自動運転などへの活用に期待

フィックスターズ独自開発の視差計算ソフトがOpenCVに正式実装、自動運転などへの活用に期待

マルチコアCPU・GPU・FPGAを用いた高速化技術を手がけるフィックスターズは2月8日、同社が開発した視差計算のオープンソースソフトウェア(OSS)「libSGM」が、コンピュータビジョン向けOSSライブラリー「OpenCV」に正式実装されたと発表した。ライセンスは、Apache License 2.0を採用している。

ステレオカメラの画像から視差計算をするlibSGMは、複雑化・高度化する自動運転システムの前方注視能力の向上など様々な用途に活用が期待されているという。推定1800万ダウンロードを超えるOpenCVに採用されたことで、コミュニティを通じて世界中のデベロッパーがlibSGMを活用しやすくなったとしている。

libSGMは、Semi-Global Matchingというアルゴリズムを用いて、ステレオカメラの画像から被写体までの距離を計算するソフトウェア。

同ライブラリーは、フィックスターズの高速化技術を基に開発を行い、NVIDIA製GPUで高速に視差計算ができるように最適化しているという。GeForce RTX 3080を使ったベンチマークでは650fpsを超え、Jetson AGX Xavierでもクロック最大時で110.7fps、省電力モードでも57.7fpsの計算スピードを記録したそうだ。

OpenCV(Open Source Computer Vision Library)は4万7000人以上が使うコンピュータビジョン用ライブラリ。「New Year’s update」と銘打たれたバージョン4.5.1のリリースで、libSGMの実装が報告された。同バージョン以降のOpenCVを導入するユーザーは、libSGMも使えるようになる。

2002年8月設立のフィックスターズは、「Speed up your Business」をコーポレートメッセージとして掲げるソフトウェアカンパニー。マルチコアプロセッサーを効率的に利用するためのソフトウェアの並列化・最適化と、省電力かつ高速I/Oを実現する新メモリー技術を活用したアプリケーションの高速化を通じて、医療・製造・金融・エンターテインメントなど、様々な分野の企業のビジネスを加速し、グリーンITを実現している。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:NVIDIA(企業)NVIDIA JetsonOpenCV(製品・サービス)オープンソース / Open Source(用語)カメラ(用語)GeForce RTX 3080自動運転(用語)フィックスターズ(企業)日本(国・地域)

信頼できるデータパイプラインの構築を支援するIterativelyが5.7億円を調達

企業が大量のデータを集めるようになると、データの信頼性を確保することがますます重要になる。データ分析のパイプラインの質は、集めてくるデータの質に依存し、混乱したデータや露骨なバグはそれだけで、下流の問題の原因になる。

シアトルのIterativelyは、企業による信頼できるデータパイプラインの構築を助ける。同社は米国時間2月4日、Google(グーグル)のAIを対象とするファンドGradient Venturesがリードするシードラウンドで540万ドル(約5億7000万円)を調達したことを発表した。Fika VenturesとIterativelyの初期の投資家であるPSL Venturesもこの投資に参加し、Gradient VenturesのパートナーZach Bratun-Glennon(ザック・ブラトン-グレノン)氏が同社取締役会に加わった。

Iterativelyの共同創業者でCEOのPatrick Thompson(パトリック・トンプソン)氏は、ちょうど2年前にIterativelyを立ち上げたが、以前はAtlassianやSyncplicityで後の共同創業者となるOndrej Hrebicek(オンドレイ・ヘレビチェク)氏と出会った。Iterativelyの創業後、チームは6カ月間を顧客探しに費やし、その過程で同社は自分たちが捕捉するデータを信頼していない、という基本テーマにたどり着いた。

「内部的なソリューションを作ってこの問題を解決しようとしている多くの企業にインタビューしました。実は私たちもAtlassianでそのようなものを開発したことがあるため、彼らの悩みを理解することができました。そこで私たち、データの信頼性という問題を解決するプロダクトを作って市場に出そうと決意したのです」とトンプソン氏は語る。

画像クレジット:Iteratively

多くの企業で、データのプロデューサーとデータのコンシューマーは対話をしていない。対話をするとしてもそれは、スプレッドシートやWiki上だ。Iteratively(何度も繰り返す、段階的に進歩する)の狙いは、コラボレーション環境を作って異なるグループを合わせて、すべての利害関係者にとって真で唯一のソースを作ることだ。それに対してトンプソン氏は「通常、JIRAのチケットでも、Confluenceのページやスプレッドシートでも手渡しの工程があり、さまざまな要件をリレー競争のバトンのように渡渡していきますが、一般的にその工程は決して正しく実装されていません。だからこそ、作業の下流へ行くほど厄介な問題になるのです」という。

現在、Iterativelyは、プロダクトとマーケティングの分析のためのイベントのストリーミングデータにフォーカスしている。通常それらは、プロダクト分析のMixpanelやAmplitudeやSegmentなどに流れていくものだ。しかしIteratively自身はデータをその原点、たとえばアプリで捉え、データを検査し、それを企業が利用しているサードパーティのソリューションへ渡す。つまりこのツールは、データの発生箇所で関所を務めるため、データがIterativelyのサーバーから出てこないこともありえる。

画像クレジット:Iteratively

「実際に個々のデータを詳しく見るわけではありません。Iterativelyは、データセットの整形などをするプロセッサーではない。むしろIterativelyはユーザー独自のデータ分析パイプラインやユーザー独自のサードパーティSaaSツールの上に位置するラッパーだ。Iterativelyは、そんなシステムのペイロードがクライアント上で私たちのSDKを通っていくときに検査します」とトンプソン氏は強調する。

しかし今後、Iteratively自身が何らかのデータ処理をすることもあるだろうが、それはメタデータと観察可能性が対象だろう、とトンプソン氏はいう。

現在、Iteratively自身がデータ処理をすることはないため、料金計算はユーザー数がベースとなっている。パイプラインを流れていくイベントの数は問わない。しかし上記のように、一部のデータ処理を行うようになったら、それも変わるかもしれない。

現在、Iterativelyは社員が約10名で、年内に20名にする予定だ。研究開発と営業、マーケティングを中心に雇用していくという。

Gradientのブラトン-グレノン氏に、投資家としての見解を聞いてみると、次のように答えた。「Iterativelyのソフトはユニークなやり方で全社的なコラボレーションを可能にし、データのクオリティを維持する。今後は必ず、インテリジェントなデータ分析とデータドリブンな意思決定が、企業の成功と製品の品質を左右するだろう。Iterativelyのミッションとプロダクトとチームには、彼らの顧客のそれぞれに対して、そのような能力を与える力がある」。

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タグ:Iteratively資金調達

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Google Cloudが次世代API管理プラットフォーム「Apigee X」を発表

Google(グーグル)は米国時間2月4日、2016年に買収したAPI管理プラットフォーム「Apgiee(アピジー)」の次期メジャーリリースとなる「Apigee X」を発表した。

「現在、私たちの周りに起きていることを見てみると、特に2020年3月に新型コロナウイルス感染流行が始まって以来、あらゆる種類の業界でデジタル活動の量が増え、あらゆる種類の活用事例が出てきています。そして、私たちが目にしていることの1つは、本当に高性能で信頼性の高い、グローバルなデジタルトランスフォーメーションプラットフォームの必要性です」と、Google Cloud(グーグルクラウド)のプラットフォーム責任者であるAmit Zavery(アミット・ザヴェリー)氏は筆者に語った。

同氏は、APIコール数が2020年より47%増加したことや、プラットフォームが年間約2.2兆件のAPIコールを処理するようになったことを指摘している。

今回のアップデートの核となるのは、Google CloudのAI、セキュリティ、ネットワーキングツールとのより深い統合だ。実際には、これによってApigeeのユーザーは、Google Cloudの24のリージョンにAPIをデプロイすることなどが可能になる。また、100以上のエッジロケーションで、Googleのキャッシングサービスを利用できるようになることを意味する。

画像クレジット:Google

さらにApigee Xは、GoogleのCloud ArmorファイアウォールおよびCloud Identity Access Managementプラットフォームと統合された。つまり、これによってApigeeのユーザーは、ファイアウォールやアイデンティティ管理のニーズに対し、サードパーティ製のツールを使用する必要がなくなるということだ。

「私たちはAI / MLベースの異常検知と運用管理を数多く行っています」と、ザヴェリー氏は説明する。「当社のAPIプラットフォームに多くの洞察を埋め込むことで、悪意のある意図や、APIコールやトラフィックに発生する可能性がある、あらゆる種類のものを予測することができます。私はこれを大きな改善だと考えています。特に運用管理、セキュリティ管理、脆弱性管理などの新機能を中核機能として提供することで、ビジネスとしてこれらすべてのことを心配する必要がなくなります。これはコア機能に付随するもので、デジタルフロントエンドのフロントドアが本当に輝く場所であり、顧客はそれに集中することができます」。

また、このプラットフォームは、GoogleのAI機能を活用して、ユーザーが異常を特定したり、ピークシーズンのトラフィックを予測したりするのに役立つようにもなる。ここでのアイデアは、顧客が標準の自動タスクの多くを自動化するのを支援し、もちろん、同時にセキュリティを向上させることである。

ザヴェリー氏が強調したように、API管理は今やアプリケーション間のトラフィックを管理するだけのものではない。Apigeeチームは、顧客のデジタルトランスフォーメーションプロジェクトの管理を支援するだけでなく、「デジタルエクセレンス」と呼ばれるものについても考えている。「これは、単に『フロントエンドを持てる』ということだけでなく、顧客がやりたいと思っているすべての優れたことと、それをどうやって実現するかということを考えているということです」とザヴェリー氏は述べている。

「このような不確実な時代に、世界中の企業はAPI戦略を倍増させ、どこでも操作し、プロセスを自動化し、新しいデジタル体験を迅速かつ安全に提供するようになっています」と、Pitney Bowes(ピツニーボウズ)のチーフイノベーションオフィサーであるJames Fairweather(ジェームズ・フェアウェザー)氏は語る。「Apigee Xは、reCAPTCHA Enterprise、Cloud Armor(WAF)、Cloud CDNのような新しい機能でAPIを強化することで、我々のような企業がデジタルイニシアティブを拡張し、顧客、従業員、パートナーに革新的な体験を提供することを容易にしてくれるのです」。

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

セールスフォースへのデータ入力をシンプルにするScratchpadがシリーズAで13.7億円獲得

Scratchpad(スクラッチパッド)は、Salesforce(セールスフォース)上にノーテーションのレイヤーを配置し、営業担当者がSalesforceに情報を簡単に入力できるようにするアーリーステージのスタートアップだ。米国時間2月3日、Accelが参加し、Craft Venturesが主導した1300万ドル(約13億7000万円)のシリーズAを発表した。

ScratchpadはTechCrunchが2020年10月に報じた360万ドル(約3億8000億円)のシードラウンドを含め、これまでに合計1660万ドル(約17億5000万円)を調達した。共同創業者でCEOのPouyan Salehi(プーヤン・サレイ)氏は資本を増やすつもりはなかったと述べているが、投資家は同氏のビジョンと資金が製品ロードマップの加速に役立つことを理解していた。

「正直なところ、再び資金調達することは本当に私たちのレーダーには入っていませんでした。実質的にシードと考えていたラウンドから時間が経っていませんでした。ランウェイはまだ大分残っていましたが、ボトムアップでユーザーの増加が見られ始めました。このボトムアップの動きが本当に定着し始めました」とサレイ氏は筆者に語った。

同氏は、リードインベスターのDavid Sacks(デイビッド・サックス)氏はやろうと考えていたことを本当に成し遂げ、取引はかなり簡単にまとまったと語った。サックス氏は複数のスタートアップを自ら成功に導いた。実際、ScratchpadがCraftの目を引いたのは、ポートフォリオ企業からScratchpadについて聞いたためだ。

ボトムアップアプローチは確かに開発者ツールやナレッジワーカー向けのソフトウェアで見られる。だが企業が営業担当者に特定のツールを直接利用させるのではなく、営業マネージャーを通じて販売を目指すことはよくある。エンドユーザーを早めに関与させるこのアプローチにより、エンドユーザーは有料バージョンについて管理職にアプローチする前に営業チームのメンバーとの関係を築くことができる。

通常、営業チームは自分たちに押しつけられたツールを好まない。そうしたツールは本質的にはデータベースであり、視覚的なインターフェイスを備えていても実際の仕事の進め方とは一致しない。Scratchpadは、営業チームがワークフローをうまくこなすためにいつも使っているスプレッドシートやメモアプリケーションのようなインターフェイスを提供するが、Salesforceに直接接続する。

有料で提供するのは、すべてのデータをまとめ営業チームで起こっていることの全体像を把握する方法だ。ScratchpadのデータはSalesforceデータベースに自動的にリンクするため、ユーザーは確実にSalesforceを使用することができる。

同社は、個々の営業担当者のワークスペースを構築する最初の作業を完了した。次のフェーズで、また今回の資本によって一部カバーされるのは、チームのワークスペースを構築すること、およびデータが個人からチームビューにどのように流せば、管理職が個々の担当者の仕事についてより多くの洞察を得ることができるかを検討することだ。これにはメモが含まれる。メモは通常Salesforceには含まれていないが、顧客とのやり取りに関する多くの情報を提供する。

これが何千人ものユーザーの共感を呼んでいる(ただし、サレイ氏はまだ正確な顧客数を共有したくないようだ)。顧客にはAutodesk、Brex、Lacework、Snowflake、Twilioが含まれる。

サックス氏は、プロダクトがウイルスのように広がっていく様子が好きだという。「営業担当者がScratchpadを使い始めると2つのことが起こるようになります。毎日の習慣になり、チームメートと共有するようになります。この『ウイルス拡散現象』は珍しいものであり、製品と市場の適合性が非常に高いことを示しています」と同氏は声明で述べている。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Scratchpad資金調達Salesforce

画像クレジット:sanjeri / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi

ワークロードとレイテンシーを最適化するソフトウェアGranulateが31.5億円調達

ビデオストリーミング、ゲーム、メディア集約型広告、マーケティング技術などのサービスは、2020年からオンライントラフィックの急増により、これまで以上に帯域幅とバックエンドのレイテンシー(待ち時間)に負荷がかかっている。しかし現在のクラウドの世界では、ほとんどの組織にとって、その問題を解決するということは、計算機パワーに膨大なコストをかけるか、独自のレイテンシー解消技術に大々的な投資を行うことを意味する。

このような状況が、スタートアップに最適化ツールを開発する機会を与えた。米国時間2月3日、Granulate(グラニュレート)という企業が、資金調達ラウンドを発表した。同社は組織がそうした負荷をよりインテリジェントかつコスト効率よく処理できるソフトウェアを開発している会社で、過去10カ月間に顧客が360%、収益が570%増加している。

テルアビブを拠点とするこのスタートアップは、Red Dot Capital Partnersが主導するシリーズBで3000万ドル(約31億5000万円)を調達した。さらに以前の出資者であるInsight Partners、TLV Partners、Hetz Ventures、そして新しい出資者のDawn Capitalが参加している。

このタイミングのシリーズBは、現在の市場における需要を物語っている。Granulateは2020年4月に1200万ドル(約12億6000万円)のシリーズAを行ったばかりなのだ。投資家たちの間では、こんなにすぐに再調達が行われたのは、その事業の成長が後押ししたからだといわれている。

「Granulateのユニークな技術と前回の調達以降のすばらしい成長は、彼らの画期的な最適化ソリューションに対する、成長する市場の需要を反映しています」と声明で語るのは、Red Dot Capital PartnersのマネージングパートナーであるYaniv Stern(ヤニブ・スターン)氏だ。「インフラコストの上昇に直面している企業や、運用コストの削減に注力している企業にとって、Granulateはすでに導入している他のソリューションに関係なく、さらなる改善を促進できるソリューションを提供するのです」。

Granulate はこの最新ラウンドにおける評価額を開示していないが、スタートアップの調達総額はこれで4500万ドル(約47億3000万円)となる。

Granulateがターゲットとしている市場の機会増加は、メディアを多用するコンテンツや、eコマースのようにサイトやアプリ上での効率的な応答性を確保することでショッピングカートを放棄しないようにさせるサービスが増えていることに対応している。

しかし、企業はより質の高いサービスで顧客に満足度を与えようとしている一方で、同時に利益にも目配りをしている、そのためインフラやコンピューティングのコストを低く抑えようとしているのだ。

Granulateのソリューションは、クラウドもしくはオンプレミスのいずれかのサーバー層に設置されたソフトウェアである。それは顧客が重要と指定したワークロードをAIを使用して検出し、優先順位を上げてより効率的に動作するようにする。Granulateによれば、同社のソフトウェアは、レスポンスタイムを最大40%向上させ、スループットを最大5倍に引き上げながら、最大60%のコスト削減が可能だという。現在同社はAmazon(アマゾン)のAWSやMicrosoft(マイクロソフト)のAzureとパートナーシップを結んでおり、Google Cloud Platform(グーグルクラウドプラットフォーム)との協議が「初期段階」に入っているという。

通常、Netflix(ネットフリックス)、Google、Amazonなどの大手テック企業は、独自の最適化技術を構築するために巨額の投資を行っている。しかし小規模な組織には同じ手法をとりにくい領域のものだ(たとえGoogleなどよりも小さな組織だったとして、投資額は巨額になり得る)。

「私たちが開発したようなものと似たものが、Netflixの内部にも存在していることに私たちは気がついています」とGranulateの共同創業者でCEOのAsaf Ezra(アサフ・エズラ)氏はインタビューで語っている。「しかし私たちから見れば、それはこの問題に対処するためにはどれだけの規模が必要なのか、そして低レベルの問題に対処するためにどれだけ人材を雇う必要があるかの証拠なのです」。

同社の顧客には、少なくとも1つの大手小売店(名前は非公開)、AppsFlyer(アプスフライヤー)、Period(ピリオド)、PicsArt(ピクスアート)などがある。

興味深いのは、5Gの成長が大きな問題にどのように影響を与えるかということだ。エズラ氏が指摘するように、フロントエンドのレイテンシーは間違いなく改善されるだろう。

「5GとGranulateは共食いの関係にはありません」と彼はいう。「実際には、5Gが標準になればデータの往復時間は短縮されますが、フロントエンドに割かれる時間の割合が少なくなる一方で、バックエンドのレイテンシーが一層問題になることでしょう。5Gが解決するのはサーバーへのアクセスだけで、サーバー自身のレイテンシーは解決しないでしょう」。

エズラ氏は、長期的にGranulateは、レイテンシーのためにすでに提供しているものを中心に、より多くの最適化および管理ソリューションを追加していくことになるだろうと述べている。競合他社の中には統合されたものもある、2020年6月にNetApp(ネットアップ)に買収されたSpot(スポット)がその例だ。より幅広いプラットフォームに対応できることがこの先顧客の興味を維持するための重要な手段だ。

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:sako)

Microsoftがリモートワークが当然になった時代の新しい社内イントラネット「Viva」を発表

米国時間2月4日、Microsoft(マイクロソフト)は新しい「従業員エクスペリエンスプラットフォーム」、マーケティング用語を使わずにいうなら多くの大企業が従業員に提供しているイントラネットサイトの後継となるVivaを発表した。VivaはSharePointやYammerといったMicrosoftのツールの統合をベースに設計され、社内コミュニケーションへのアクセスなど標準的な機能を備えている。Vivaでチームの分析をしたり、LinkedInラーニングなどのトレーニングコンテンツプロバイダ(SAP SuccessFactorsのようなもの)と統合することもできる。MicrosoftがViva Topicsと名づけた、社内でナレッジを共有する機能もある。

企業が社内コミュニケーションやそのためのイントラネットの提供に多額の費用をかけていることをご存じだろう。そして従業員は実務をこなすためにそれをすぐに無視してしまう。しかしMicrosoftは時代が変わりつつあると主張する。多くの企業でリモートワークが継続され、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大が終息しても(そう願いたい)それは続くからだ。一部の従業員だけがリモートワークを続けたり出社とリモートのハイブリッドを選んだりするとしても、このような従業員が適切なツールにアクセスでき、自分が会社の一員であると感じられるようにする必要はある。

画像クレジット:Microsoft

MicrosoftのCEOであるSatya Nadella(サティア・ナデラ)氏は事前に収録されたビデオの中で「我々は世界がこれまで見てきた中で最大規模のリモートワークの実験に参加し、従業員のエクスペリエンスに劇的な影響がありました。世界が元に戻っても、後戻りすることはありません。働く時間、場所、方法が柔軟であることが重要です」と語った。

ナデラ氏は、どんな組織にも社内のオンボーディングのプロセスから同僚との共同作業、教育の継続を通じて従業員をサポートする、統一された従業員エクスペリエンスプラットフォームが必要になると説明する。従業員がリモートで仕事をしているため、企業は社内文化を維持し従業員間のコミュニティを育むのに苦戦している。Vivaはこうした状況を改善することを目指している。

当然のことながら、VivaはMicrosoft 365やそれに付随するツールと連携し、主力コラボレーションサービスのMicrosoft Teamsや、2012年に買収しサポートが継続されている従業員コミュニケーションツールのYammerとも統合されている。

Vivaは複数のサービスから構成されている。Viva Connectionsは社内のお知らせやポリシー、福利厚生、社内コミュニティにアクセスするためのサービスで、Yammerを利用する。Viva Learningはその名のとおり学習リソースを利用するためのサービス、Viva Topicsは社内全体でナレッジを共有するサービスだ。いずれもモダンなイントラネットであれば、スタートアップが提供するものであってもJiveのような定評のある企業が提供するものであっても、標準で備えているサービスだ。

Viva Insightsは異質なもののように感じられる。少し前にMicrosoft Productivity Scoreが議論になったことを考えればなおさらだ。Viva Insightsはたとえば管理職が、チームが(個々のチームメンバーではなく)燃え尽き症候群の危機に瀕していないかといったことに関する洞察を得て、通知をオフにしたり日々の優先順位を設定したりするように促そうとするものだ(良いマネージャーなら分析がなくてもそのようにしてほしいが、2021年はこれが必要だ)。Viva Insightsは企業のリーダーが「組織の仕事のパターンと傾向に目を向けて、複雑な課題を解決し変化に対応する」のにも役立つように作られている。なるほど。

2021年のMicrosoftだけあって、今回の発表には従業員の健康に関する話も多い。大半の従業員にとって健康とは、会議が少なく、集中する時間が長く、仕事が終わったら通知をオフにすることだ。こうしたことを支援するテクニカルなツールはもちろんあり、これはまさに企業文化とマネジメントの問題だ。そのためにLinkedInのソリューションであるGlintと統合して分析する必要があるのかどうか筆者にはわからないが、こうしたこともできるようになった。

Microsoft 365のコーポレートバイスプレジデントであるJared Spataro(ジャレッド・スパタロウ)氏は次のように語った。「仕事を取り巻く世界が変化する中で、創造性とエンゲージメント、健康を重視することでイノベーションの次の展望が得られます。その結果、組織はレジリエンスと創意工夫の文化を築くことができます。我々のビジョンは、組織が積極的な従業員と成長を促すリーダーの協力で繁栄する文化を創造できるよう支援するための従業員エクスペリエンスプラットフォームを提供することです」。

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Kaori Koyama)