MapReduceのオープンソース実装を特許訴訟の対象にしないとGoogleが公式に誓約

Googleが今日(米国時間3/28)、同社のMapReduceプログラミングモデルのオープンソースバージョンを実装したユーザやディストリビュータやデベロッパを、それらの実装が本質的にはGoogleのパテントを侵害しているものであるにもかかわらず、訴訟はしないと公式に誓約した。たとえばApacheのHadoopはおそらく、Googleがこの技術に関して保有している10件のパテントを侵害している。同社法務部でパテント関連を担当しているDuane Valzは今日の発表声明の中で。“これをこの業界における範例としたい。弊社以外の特許保有者にも、誓約やそれ相当の自発的行動をとるよう、おすすめしたい”、と言っている。

今回の誓約の対象はGoogleが保有する特許のごく一部にすぎないが、しかしGoogleは誓約の対象範囲を長期的に拡大していくものと予想している。ただし、最初にGoogleの方が攻撃された場合には、公然と特許権を振りかざして相手と戦う、としている。

残念なことにパテントをめぐる抗争はソフトウェア業界で日常化しており、そのため、GoogleやRed Hat、Sony、IBMなどが支援する団体Open Invention Networkは、オープンソース製品の開発をパテントに関する懸念から解放しようと努力している。

Googleは今回の”Open Patent Non-Assertion Pledge” (特許公開非主張誓約, OPN誓約)が、業界の今後のモデルになると考えている。同社のパートナーや競合企業が同様の誓約をすることによって、この過程(特許公開非主張の過程)関し長年待望されていた透明性と、幅の広さとセキュリティが導入される、と同社は期待している:

  • 透明性: 特許保有者は誓約の対象となる特許と関連技術を正確に同定し、デベロッパと一般社会に対し特許権をめぐる透明性を提供する。
  • 幅広さ: OPN誓約による保護の対象は特定のプロジェクトやオープンソースの著作権ライセンスに限定されない(Googleはその種のライセンスの下に大量のコードを寄与貢献している。それらはApacheGNU GPLなどのライセンスであるが、特許からの保護に関してそれらは非力である)。それとは対照的にOPN誓約は、過去現在未来を問わず、誓約下のパテントに依存しているかもしれないいかなるオープンソースソフトウェアに対しても適用される。
  • 守勢の保護: Googleの製品やサービスに対して特許訴訟が起こされ、それらの特許がOPN誓約の対象であったときには、そのときにかぎり、攻勢の保護を行うために、非主張誓約は破棄される(==特許権を主張して公然と戦う)。
  • 永続性: 誓約は対象特許の寿命期間中有効であり、権利が他に移行された場合にも、有効である。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


珍しく初期段階で却下された特許訴訟: 数学的アルゴリズムは特許を取れないと

連邦判事がRackspaceに対する特許侵害訴訟を却下し、数学的アルゴリズムは特許の対象にならない、と裁定した。東部地区(Eastern Disrict)におけるこの裁定は、2012年にUniloc USAが行った告訴に対するもので、その訴えは、Linuxオペレーティングシステムによる浮動小数点数の処理は特許の侵犯であると主張していた。

首席判事Leonard Davisはこの裁定の根拠を、数学的アルゴリズムの特許取得を禁じている合衆国最高裁の判例法としている。Rackspaceによれば、これは、テキサス州の東部地区連邦地裁が、特許を取得できないものへの特許を主張しているとして、裁判の初期段階で告訴を却下した例としては、報告されているかぎりにおいて初めてのものである。

LinuxをRackspaceに供給しているRed Hatは、Rackspaceの弁護費用を負担した。Red Hatは、同社のOpen Source Assurance事業に基づいて、顧客を擁護することをポリシーとしている。

Red Hat法務部の知財担当次長Rob Tillerは、次のように述べている:

“不実施主体(NPE)訴訟は慢性化しており、テクノロジ業界にとって深刻な問題になっている。この種の訴訟は認められてはならない特許に基づいていることが多いが、その弁護費用は通常、数百万ドルにも達する。これらの訴訟は、イノベーションと経済成長と雇用機会の創出を妨げる疫病である。法廷は、初期段階において特許の有効性を判定して、適切な処置をすることにより、この問題に対応できる。今回の事案においては、判事Davisがまさにそれを為し、未来の案件に対する優れた例を設定した。”

特許訴訟は合衆国の古めかしい特許制度につけ込む悪質な行為となっている。今回のような却下はまれであり、特許訴訟において法廷が特許の種類を区別することもまれである。

Unilocにコメントを求めたが、無応答である。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


アプリ内購入による売上が過去最高に。米国iPhoneアプリ売上の76%、アジアでは90%

今やモバイルアプリの多くがアプリ内購入で収益を上げていることはよく知られているが、今日(米国時間3/28)発表されたレポートは、この収益メカニズムがいかに強力になってきたかを見せつけている。2012年1月時点で、米国iPhone App Storeの売上に占めるアプリ内購入は約半分(53%)だったが、先月にはこれが過去最高の76%まで増えている。

しかしながらこの数字は地域によって異なる。例えばドイツでは、2月のアプリ内購入の割合は61%と低い。一方、アジア市場の数字は爆発的だ。香港、日本、中国、および韓国では、全アプリ売上の90%以上がアプリ内購入によるものだ。

これらの結果はDistimoによるApp Store分析の最新レポートが示しているもので、今月は特に詳細な分析がなされている。同レポートは特に米国におけるトレンドを調べ、iPhoneのアプリ内購入を利用しているアプリ販売社のビジネスモデルに注目した。

当然ながら、Distimoの調査によると、米国では大半(71%)のアプリが「フリーミアム」アプリで、アプリ自体は無料だがiPhoneにインストールされた後、バーチャルグッズ、特別なレベル、サービス、アップグレードなどを有料で提供する。5%はアプリ内購入を利用している有料アプリで、残り24%がアプリ購入を伴わない純粋な有料アプリだった。

現在80万本以上のiOSアプリがひしめくApp Storeで、デベロッパーは自分のアプリを見つけもらうことが益々困難になりつつあり、インストールされるとなるとなおさらだ。アプリ自身に値札を付けることが、今や物見高い気軽なユーザーにとって障壁となっている。AppleのApp Storeには「お試し」のしくみがないことも一因だ。AndroidのマーケットプレイスであるGoogle Playには簡単に返品するしくみやコンテンツのトライアル購読がある。時として(子供向けアプリでは間違いなく)適切な告知をせず、不誠実さらには詐欺的だとまで言われながらも、稀少なホーム画面の場所を争うデベロッパーたちはこのビジネスモデルの採用を余儀なくされている。

かくしてアプリ内購入(IAP)ベースのフリーミアムアプリの増加傾向は依然として続いている。上に書いたように、わずか1年前と比べてもこの方法で収益を上げているアプリが急増している。2013年2月のトップ10売上スアプリは、2012年1月以降にリリースされたものでその〈全部〉がフリーミアムアプリだ。

Distimoは先月、トップセールスアプリのトップ250も調査しており、ARPD(1ダウロード当たり平均売上)として知られているApp Storeでの指標を求めるためにダウンロード数と売上を推定した。こうして得られたARPDを見ると、どのパブリッシャーもこのビジネスモデルに引き寄せられてはいるが、ダウンロード当たりの実績には大きな開きがあることがわかった。トップ10のARPDは、最低が0.37ドル、最高は7.04ドルだった。

どのビジネスモデルが全体としてうまくいっているかを確かめるべく、Distimoはトップセールスアプリのベスト250を調べた。内170本が無料+IAP、53本が有料+IAP、27本が有料のみだった。(ビジネスモデルを変更したアプリは分析から除外した。広告収益も含めていない)。全iPhoneアプリの平均ARPDは0.99ドルだった。

全有料アプリの平均ARPDは2.25ドル、無料アプリでは0.93ドルだった。IAPを利用している有料アプリのARPDは2.45ドルだった。

上記はiPhone App Storeに絞ったものだが、DistimoはiPadアプリも分析しており似た傾向が見られた。ただし平均販売価格は高めだ。2013年2月のストア全体の平均価格は、4.45ドル、一方iPhoneは3.19ドルだった。

IAPなし有料アプリのARPDは4.04ドルで、iPhoneのほぼ2倍。IAP付き有料アプリでは3.72ドルだった。フリーミアムアプリは2.26ドルで、これもiPhoneより高い。

全体では、有料アプリにおける1ダウンロード当たり平均アプリ内購入売上は、iPhoneで0.98ドル、iPadで1.26とDistimoは言っている。

同レポートは米国以外にも目を向け特に日本のARPDが高いことを指摘している。同国のトップ10セールスアプリのARPDは12ドル以上だ。Distimoは、「パズル&ドラゴンズ」をこのゲームにデータが引っぱられることを防ぐために分析から外しているが、もし含めていればARPDはさらに高くなっていた。

レポート全文はこちら

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(翻訳:Nob Takahashi)


Amazon、ユーザー1600万人のソーシャル読書サービスのGoodreadsを買収―Kindleとの統合で圧倒的優位を狙う

今日(米国時間3/28)、Amazonは有力なソーシャル読書サービス、Goodreadsを買収したと発表した。金額などの詳細は不明。買収手続きは第2四半期に完了する。

Goodreadsは2007年1月のスタート以来、True Ventures他から275万ドルの資金を調達している。 去年8月にわれわれが取材した際には、ユーザーは1000万人以上、 投稿された本は3億6000万冊以上で、毎月2200万冊が新たに投稿されているということだった。現在GoodReadsではユーザーは1600万人だと発表している。

この種のソーシャル・サービスを傘下に持つことは、Amazonにきわめて大きな比較優位性を与えることになる。たとえばオンライン電子書籍販売でのライバル、Appleはソーシャルな要素をまったくといってよいほど持っていない。もっぱら本についての情報を共有し、活発に議論をするソーシャル・サービスがAmazonの一部となるというのはまったく理にかなったことだ。

Amazonは当面Goodreadsのユーザーに対して特別割引などの優待キャンペーンができる。しかしそれ以上に、Amazon自身のソーシャル読書ネットワークとして本体への緊密な統合を図ることができるだろう。

下は昨年8月時点での毎月の登録書籍刷数の推移を表すグラフだ。Kindleと連携することでこの数はさらに飛躍しそうだ。

AmazonのKindleコンテンツ担当副社長Russ GrandinettiはAmazonのeブック事業にとってこの買収がきわめて重要であるとして次のように述べている。

AmazonとGoodreadsは読書体験の再構築に向けて情熱を共有している。Goodreadsは読者が新しい本を発見し、それについての意見を交換する新しい枠組みを作った。一方、AmazonはKindleで世界中、いついかなる場所でも本が読めるように読書体験を拡張した。さらにAmazonとGoodreadsは何千人も著者に新たな読者を紹介し、著作によって生活ができる道を開いてきた。われわれ両社が力を合わせることにより、読者と著者の双方に新たな喜びを与える方法がいろいろ発見できるものと期待している。

一方、Goodread’sの共同ファウンダー、CEOのOtis ChandlerはAmazonの買収によって開かられた新たな展望について次のように述べた。

本とその中に表現された物語や思想は、われわれの社会を織りなす重要な糸のひとつだ。人々は読んだ本について語り、その体験を共有するのが好きだ。私はAmazonとKindleと提携する機会を与えられたことにこの上なく興奮している。われわれは今やGoodreadsのソーシャル読書体験を今までにないスピードで世界中の何百万という読者に広めていくことができるようになった。

Goodreadsは公式ブログの記事でもう少し詳しくAmazonへの参加の意義や、Kindleとの統合が最優先課題であることなどを説明している。Chandlerによれば、

Amazonへの参加には以下の3つのメリットがある。

1. Amazonのユーザーと資源をもってすればGoodreadsの活発な読書家のコミュニティーをさらに多くの新たなユーザーに対して紹介し、また既存のユーザーの体験を改善することができる。

2. Goodreadsのユーザーは以前からeリーダー上でGoodreadsを作動させるよう要望してきた。今やGoodreadsは世界最大のeリーダー・プラットフォーム、Kindle上での展開を視野に入れることができるようになった。

3. AmazonはGoodreadsの独立性を尊重し、われわれがこのブランドと独特の文化を維持したまま活動を続けてよいと約束してくれた。

ソーシャル機能に加えてGoodreadsは長年の間に高度な本の推薦テクノロジーを確立している。これもAmazonにとっては喉から手が出るほど欲しかった資産だろう。

一方で、ライバルのAppleが手がけたデジタル・コンテンツ販売に関連するソーシャル機能といえば音楽ソーシャルネットワークを目指したPingくらいのものだ。しかしPingは人気を得ることができず、昨年10月に閉鎖された。Amazonがデジタル・コンテンツの各分野でGoodreadsに相当するような有力ソーシャル・サービスの買収に成功するならその分野での優位性は動かぬものとなり、当然売上にも反映されるだろう。とにかくGoodreadsが保有している膨大なユーザー・データの価値を考えただけでもこの買収は見事なスラムダンクだ。

また最近Amazonは著者自身による出版ビジネスにも参入して予想以上に売上を伸ばしているが、これもGoodreadsとの相乗効果が期待できる分野だ。

Goodreadsは興味ある数字を発表している。

過去90日間にGoodreadsのメンバーは毎秒4冊以上を『読みたい本』として登録している。

こうした数字がAmazonによる買収の決め手となかったのかもしれない。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Google、 サンフランシスコ周辺でオンライン通販のShopping Expressをテスト開始―Target、 Toys”R”Usなどと提携、無料即日配達

今日(米国時間3/28)、GoogleがついにGoogle Shopping Expressサービスの公開テストを開始した。対象はサンフランシスコ周辺とサンマテオからサンノゼにかけて一部の住民だ。参加している小売業者はわれわれが以前に報じたとおり、Target、Walgreens、Staples、American Eagle、Toys“R”Us/Babies“R”Us、Office Depot、SanFranciscoのBlue Bottle Coffee、RaleyのNob Hill Foods、Palo Alto Toy & Sportだ。

われわれの当初の記事では、Amazonのプライムサービスと競争できる料金、すなわち年会費が69ドルから64ドル程度になるだろうと予想していた。しかしGoogleは現時点では料金を決定しておらず、テストによって得られるデータを検討した上で改めて料金を設定するということだ。テストに参加するユーザーは今後6ヶ月間無料で即日配達サービスが受けられる。商品の価格は店頭と同額だ。

私はBlue Bottleのファンなので、好きなときに熱い淹れたてコーヒーが届くのだったら嬉しいが、実際には豆だけの販売かもしれない。しかし私にはお呼びがかかっていない。Googleがどうやって最初のテスト参加者を選んだのかは謎だ。(ただしこちらから参加申し込みをすることができる。小売業者の申し込みはこちら)

ともかく消費者としては便利になる。「ちょっとした買い物のために町の向こう側まで行く必要がなくなるようにしたい」とShopping Expressのプロダクト・ディレクターのTomFallowsがブログ記事に書いている。

まだ料金やロジスティクスの詳細が不明だとはいえ、Google Shopping Expressは小売業者にとっても大きな魅力がある。複数の店で買い物をしてそれが即日無料で同時に届くというのは消費者にとって大きなメリットだから既存、新規を問わず購入は伸びるだろう。また見込み顧客の発見にもつながる。

Googleがいよいよこの分野に参入してきたことは既存のeコマース業者には脅威となるだろう。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Google、Gmailのメール編集画面を新しいものに統一

Googleは昨年10月以来、新しい形のメール編集ウィンドウをオプションとして提供開始していた。そして本日より、この新しいものを標準として採用し始めている。新たな編集ウィンドウとは、画面右の方にポップアップ形式で表示されるものだ。Googleは、これまでよりも簡単かつ迅速に作業を行え、また他の作業と並行しての利用もしやすくなったと自賛している。但し、アンダーライン、インデント、番号付きないし番号なしリストの作成等の文字フォーマットオプションについては、従来よりも目立たないところに配置されることとなった(キーボードショートカットは以前と同じものが利用できる)。

編集画面が新しくなることにより、画面右のサイドバー上に情報を表示していたRapportive(最近LinkedInにより買収された)などとの共存関係は崩れてしまうことになるのかもしれない。新しい編集画面には、そもそもサイドバーが存在しないのだ(広告も表示されないことになる)。これまでサイドバーを使っていたツール群がどのような対応をするのかは興味深いところだ。

これまで利用していたツールが使えなくなるかもしれないが、しかし他の作業との同時進行がしやすくなるのはプラスだろう。編集画面を複数開くこともできるようになっている。但し、2つ以上開くと少々混乱することになるかもしれない(新デザインを使っている人は試してみていただきたい)。尚、Google Driveとの連携もできるようになっていて、Drive内のデータを簡単に添付することができるようになっている。

新しい編集画面は、数日のうちに全ての利用者に対して提供し始める予定となっている。いったん新しい編集画面になれば、元に戻ることはできくなる。

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(翻訳:Maeda, H)


エジプト当局、アレクサンドリア沖で海底ケーブルを切断しようとした3名を逮捕

エジプト当局が、アレクサンドリア沖合で海底インターネットケーブルを切断しようとしていた3人の男を逮捕した。切断されたケーブルは地中海に敷設されているもので、東南アジアおよび中東、そして西ヨーロッパを繋ぐものだ。アレクサンドリアを含めて39のランディングポイントがある。

ケーブルの運用を行なっているSeacomによると、切断行為の影響でエジプトでのネットワークに遅延が発生したとのこと。ケーブルはTelecom Egyptの所有になるものだ。

「軍が海底ケーブル切断中の3人を逮捕して、計画の完遂を防いだ」と、エジプト当局のスポークスマンは述べている。

ちなみにエジプト沿岸のケーブルは何度か切断されたことがある。被害が甚大だったのは2008年で、3本のケーブルが船舶の錨によって切断されたとアナウンスされた事件だ。「SEACOMは、3月27日06:20にSMW4ケーブルシステムがエジプト沖で切断されたことを確認しました。SEACOMは午前中のうちにSMW4およびIMEWEケーブルシステムの復旧を完了しております」とのアナウンスが流されている。詳細はSEACOMのページをご覧頂きたい。

エジプト当局は拘束した容疑者に尋問中であるが、この容疑者の身元などについてはまだ明らかになっていない。

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(翻訳:Maeda, H)


DeNAが音楽サービスGroovyをリリース–楽曲購入にはチケット制を採用

dena groovy

今年初めにロゴ変更の発表と同時にアナウンスされていた、DeNAの新しい音楽サービスGroovyが本日リリースされた。DeNAはユナイテッドと業務提携し、彼らが提供していたDiscodeerを譲り受けている。Discodeerは再生している音楽の歌詞を表示したり、同じ曲を聴いているユーザーが分かるといった機能を持つアプリで2011年12月にリリース後、150万ダウンロードされた。

GroovyはDiscodeerをさらにバージョンアップした音楽プレーヤー・SNSのアプリだ。好きな音楽を聴いていると好みに合った曲がどんどん集まる仕組みだ。アーティストのファン(Facebookのファンと同じイメージ)になったり、他のユーザーをフォローする。すると、フィード上にフォローしたユーザーが聴いている音楽やアーティストの情報が流れてくる。

フィードに流れてきた音楽にはコメントやいいね!といった今時のSNS機能が付いており、コミュニケーションを取れる。好みの似たユーザーをフォローすることで自分好みの音楽を発見しやすくなるこの繋がりをDeNAは「ミュージック・インタレストグラフ」と呼んでおり、これが充実することで音楽の楽しみ方が大きく広がり、楽曲提供側にはヒット曲やスターを産み出す基盤になるのではないかとDeNAソーシャルプラットフォーム事業部島田智行氏は語る。

さて、音楽サービスでは楽曲の購入方法が気になるところだが、Groovyはユニークなチケットを採用している。アプリ内での音楽再生は、無料で45秒を試聴、99円でチケット(17枚セット)を購入しストリーミングで1回フル再生につき1枚を消費、1曲分購入で高品質ダウンロードといった3つの方法が用意されている。

フィードに流れてくる楽曲は再生ボタンをタップし、すぐに無料試聴を45秒できる。気になれば「プレイチケット」を99円で購入することで17回までフル再生可能となる。このプレイチケットはサービス登録時や友達招待の特典としても多少提供されるようだ。楽曲が気に入れば、その曲を購入しダウンロードすることで、いつでもフル再生できるようになる。

米国のSpotifyなどはプレムアムユーザーに対し、月額課金で聴き放題としているが、Groovyは聴いても聴かなくても料金を徴収されるより都度課金の方がユーザーの満足度が高いという調査結果もあるので、こちらを採用したという。

iTunesは楽曲単位での購入、Spotifyは月額課金、そしてGroovyはチケット制と差別化の一要因になるのかもしれない。

Groovyは本日からAndroid版のみ利用でき、iOS版は遅れてのリリースとなる。なお、すでに楽曲数は100万曲以上、39社のレコード会社・音源提供会社が参画している。


ダンスミュージックオンリーで24/7, (人が選曲する)MOXで世界中がディスコになる

“10年前までは、ロックはダンス音楽だった。それは、親たちへの‘ファックユー!’だった”。

“ソファに背をもたれてインターネットをTV的に体験する。それが、テレビの未来だ”。

MOX.tvは上記の二つの哲学を抱えて今日ステルス(お忍びモード)で立ち上がったWeb TVのチャンネルだ。VJたちが24時間休みなくダンス音楽のビデオやコンサートとニュースを‘放送’する。MOX.tvを開くだけで、ただちにお楽しみが始まる。クリックは不要だ。

マウスを捨てよう

MOXの人気の源泉は、その単純さだ。今のインターネットは疲れる。しょっちゅう、次はどこへ行くかを決めなければならない。そのために、いわゆる“意思決定疲労”が生ずる。いろんなオプションを秤にかけて迷うのはもうたくさん。飽き飽きした。上の二つの哲学を述べたファウンダのCarter Larenは曰く、“必要なものや欲しいものが事前にはっきり分かっていれば今のインターネットは実にグッドだ。でも人間は、何を見たいのか聞きたいのか事前に分かっていないことの方が、多いのだ”。

MOXでは、選曲を人間がやるので、ユーザは完全におまかせでよい。単純に、彼または彼女のDJ、おっとVJを楽しめばよい。Webは、あなたが自主的に閲覧しなければならないが、MOXは完全に受け身の電子ダンス音楽(electronic dance music, EDM)のラジオだ。一つのビデオが終われば、すぐに次が始まる。試してみたい人はMOX.tvへ行くか、または下の短いサンプルを見てみよう:

しかしMOXは、テレビやFM放送にないインターネットの強み、対話性を忘れてはいない。ビデオのチャンネルを下へスクロールすると、今どこかで‘放送’中のアーチストやフェスティバルなどが分かる。放送をカスタマイズしたい人は、左のボタンを使って、VJによるニュースストリーム、Bass(dubstep…ベースとバスドラ強調)、Chill(スローテンポ)、Dance(アップテンポ)などから選ぶ。

要らないものを削り落としてMOXへ

LarenがMOXをやり始めたのは18か月前で、それまではCryptography Research、さらにその前はブルーレイの技術でささやかな出口を達成、またサンフランシスコのダンスクラブMonarchなど数社に投資もした。今はMOXの唯一の投資家だが、来月はシード資金のラウンドがある。またhttp://cull.tvを買収し、そのファウンダが今のMOXのCTOだ。

MOXは、最初の構想ではライブ専門だったが、1年前に音楽ビデオの24時間Webテレビに変わった。主なターゲットである16〜24歳の層でテストしたところ、彼らは24/7(1日24時間週に7日)のビデオストリームは大好きだが、構成オプションが多すぎるのはだめだ。最初は途中をスキップできるためのタイムラインがあったが、それをあえて捨てた。

MOXのダンス音楽への特化も、ガキどもに気に入られた。Vevoの”MTV for the Web”のような単なる音楽ビデオサイトは、つまらないらしい。Vevo.tvへ行くと、Nicki MinajやTaylorのような疲れたポップスが平気で登場するからね。電子ダンス音楽(EDM)専門は、意外と穴場だった。またMOXはビデオ専門で、Turntable.FMの協同ファウンダが作ったDJZみたいに、同じくダンスファンをねらっているけどテキストがやたら多いサイトとは違うので、その点も子どもたちに好まれた。

Larenによれば、MOXはまだまだベータで、9人のチームにはやるべきことがいっぱいある。“今のニュースはひどいね”、と彼は認める。DJのインタビューはいい加減だし、コンサート情報も充実していない。今後は、ユーザ自身がビデオストリームをホストできるためのツールを埋め込むことを、考えている。そして聞きたい曲をプレイするための検索ボックスも。

幸いにも、収益化をあせる必要はない。音楽ビデオは主にマーケティング用のメディアだから、レコード会社はロイヤリティなしで使わせてくれる。PandoraやSpotifyのように巨費を払う必要はない。

広告もすでにやっている。スウェーデンの音楽ビデオHouse Mafiaとの乗り合いでAbsolutのコマーシャルなど。Larenは、広告の内容をもっと凝ったものにしたい、と考えている。「コンテンツこそがマーケティングなり」で行きたい。ただし、ユーザに嫌がられない広告に徹したい。たとえば検索は、ユーザが結果に広告などが出ることを了解している。コンサートの有料ストリーミングも、将来の課題だ。

一つの世代にシンク(sync,同期化)

正直に言うと、ぼく自身がMOXをとても楽しんでいる。パッシブ(受け身)とアクティブ(能動的)のバランスが良く、ぼくのWeb閲覧パターンに合っている。サイトを開いて、少し見て、それから、仕事をしながらBGMとして聞く。ダンス音楽だけだから、ビートが終始安定している。「あれっ?これは誰?」と気になるのがあったら、そのときはMOXのウィンドウを最大化して画面を見る。MOXはラジオとしても、オンデマンドのストリーミングとしても、ブログとしても、Turntable.fm的としても、そしてそのほかのいろんな音楽体験としても楽しめる。

人間が選曲していること(その人間を想像する)、そして今同じものを多くの人が聞いて/見ているという意識、これがかすかにコミュニティの感覚を与える。そもそも、ダンス音楽が鳴る場は人がいっぱいである。たくさんの人たちが、全員、音にシンクしている。人の孤独が氷のように溶けて、より大きなものへの帰属意識が育つ。それが、ディスコという場だ。MOXが、そうやってわれわれをターンオンしてくれるのなら、一日中、部屋のステレオが鳴りっぱなしでもいいよね。

〔余計な訳注: “10年前までは”、ということはないと思う。Grace Potterの昨年夏のコンサート(完全収録)。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


オンライン有権者登録システムがラテンアメリカ人に力を与え、共和党を不利に導く理由(グラフ有)

次期選挙では、オンライン有権者登録方式が共和党に不幸をもたらすかもしれない。カリフォルニア州有権者登録システムの初期調査報告によると、「35歳以下のラテンアメリカ系男女は、白人またはアジア系アメリカ人よりもオンライン登録の割合が多い」ことがわかった[PDF]。2012年の民主党勝利に貢献したと広く認められているこの有権者層は、デジタル民主主義と相性が良いようだ。

この予備調査結果で驚かされるのは、型通りにはテクノロジーによる恩恵は、裕福でiPadを持っている白人アメリカ人に偏って与えられると考えられているからだ。「オンライン登録に支持者は、これによって有権者登録手順がより広い層の有権者に対して開かれると言う。われわれの分析結果はその点いおて改革が成功であったことを示している」とLatino Policy Researchバークレー・センターのLisa García BedollaとVerónica N. Vélezが書いている。

1. ラテン系の民主党支持は急上昇している

2. ラテン系女性、特に民主党支持者のオンライン登録率が高い

ただしこれらの統計データには眉に唾を付けてかかる必要がある。オンライン有権者登録が有意な効果を生んだかどうかはこれだけではわからない。オンライン登録者のうち一定の割合は、いずれにせよ投票していたはずだ。

カリフォルニア大学デービス校のレポートによると、オンライン登録者の投票率は高いが [PDF]、この数字は表面的なもので統計的な対照条件が満たされていないため、オンライン登録の有無にかかわらず投票に行っていたかどうかを知る術はない。

いずれにせよ次期選挙ではオンラインシステムが拡大していくことは間違いなく、これは共和党にとってよくない兆候だ。

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(翻訳:Nob Takahashi)


Googleストリートビュー、福島原発付近の町並を公開

東日本大震災から2年、Googleは福島県浪江町の立入禁止区域のストリートビュー画像を公開した。対象にはチェルノブイリ以来最大の放射能事故現場である福島第一原子力発電所も含まれる。360度のパノラマ画像には、無人の街並みと廃虚と化した建物が写し出され、不気味さとともに悲痛を感じる。

浪江町は、2011年3月11日に住民2万1000人が避難して以来無人状態だ。Googleは、浪江町の馬場有(たもつ)町長の招待を受け、今月に入って撮影を開始した。Googleのデジタルアーカイブ・プロジェクト「福島の記憶」の一環として制作された。

「多くの町民から、ふるさとの状況を見たいという声があります。また、世界的にも原発事故の悲惨な状況を映像で見たいという方がたくさんいらっしゃると思います」と馬場町長がGoogle Japanのブログ[日本語]で語った。

「震災後も、世界は未来へと進んでいます。日本も、東日本大震災を教訓にしながら復興へ歩み始めています。しかし、浪江町は震災から時が止まったまま、原子力災害のため 2 年が経過しても応急的な処置しかできません。町の現状をご覧いただき、その重さを感じていただければ幸いです」

東北地方の陸前高田市をはじめ津波の被害にあった他の地域も同プロジェクトの一環として写真に収められている。Googleは、震災数ヵ月後から津波と地震による被害を画像に残してきた。プロジェクトは徐々に復旧する地域もある中で津波の規模を示す証となるべく立ち上げられた。また、震災後のGoogleの取り組みは、未だにYahoo! Japanが検索エンジンのトップを占め、プライバシーに敏感な日本において、ストリートビューに対する当初の否定的反応を含めいつくかの文化的行き違いがあった同社に好印象を与える結果にもなった。

今月Googleは、日本で災害情報サービスを開始した。これは米国では昨年から利用されている警報用プラットホームで、非常時にユーザーがGoogle検索、Googleマップ、およびGoogle Nowで、「地震」「津波」などのキーワードを検索すると、警報・注意報等の情報が表示される。

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(翻訳:Nob Takahashi)


Google、Maps Engine Liteベータ版をリリース―高度なカスタム・マップが簡単に作れる

Googleは何年も前からユーザーが手持ちの地理空間データを利用してカスタム地図が作成できるプラットフォームとしてGoogle Maps Engineを提供してきた。

今日(米国時間3/27)、GoogleはMaps Engineの簡易版、Google Maps Engine Lite(ベータ)を発表した。これによって誰でも簡単にカスタム地図が作れるようになるという。Googleでは「企業にかぎらず、熱心な地図ファンも高機能で安定したカスタム地図を製作して広く共有できるようになる」としている。

Maps Engine Liteは小さいスプレッドシート・ファイルをアップロードすることで、その情報を地図上に表示できる。同一地図に対して3セットのカスタマイズ情報を付加して比較することもできる。ただしLiteの利用は非商用目的に限られる。

これらのカスタム地図には複数のレイヤーを設定することが可能だ。またスプレッドシート・ファイルではなく、手作業で線を描いたり、地域に色を塗ったり、地点にマーカーをセットしたりすることもできる。Googleはベースとなる地図を9種類提供する。これには衛星画像、行政境界表示地図、政治地図、高速道路地図などが含まれる。MapsEngine Liteでは150種類の地図アイコンが利用可能だ。

初心者向けにGoogleはチュートリアルを公開し、カスタム地図を作る過程をステップ・バイ・ステップで見せている。

Googleでは初期版のカスタム地図ツール、My Mapsのサポートも当面続けるとしている。ただしMy Mapsのユーザーはそのデータを新しいMaps Engine Liteにエクスポートすることができる。Googleのマップ・プロダクトのマネージャー、BethLiebertは今日の発表で「将来My MapsはGoogle Maps Engine Liteに統合される」と書いている。”

当面Maps Engine Liteはベータ版として扱われ、言語は英語のみのサポートとなる。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Android版Google翻訳がオフライン・モードに対応、日中韓の縦書文字認識、サポート言語は50ヶ国語に

Google翻訳は外国を旅行するときたいへん便利なツールだが、残念ながら1つ大きな欠点があった。外国を旅行しているときには往々にしてインターネット接続が確保できない。もちろん翻訳ツールは他に無数に出ているが、Android版の最新のGoogle翻訳(2.3+)50ヶ国語のオフライン言語パッケージをダウンロードできる機能が付加されたのはAndroid携帯とGoogle翻訳のユーザーにとって朗報だろう。

ユーザーはアプリのメニューから[オフラインの言語] を開き、サポートされている言語から翻訳元と翻訳先の言語をそれぞれタップしてダウンロードする。Googleによればオフライン版はオンライン版に比べていくらか簡略化されているというが、それでもオフラインでは使えないよりずっとましだ。

GoogleはiOS版の翻訳アプリも提供しているが、オフライン・モードが今後サポートされるのかどうかは明らかにされていない。

今回のアップデートの目玉はオフライン機能だが、それ以外にもこのバージョンだは日本語、中国語、韓国語の縦書のカメラによる文字認識がサポートされた。Googleは昨年8月にカメラによる文字認識のサポートを開始し、昨年12月には日本語、中国語、韓国語の横書きの認識ができるようになった。

翻訳は近く製造が開始されるGoogle Glassにとってキラー・アプリの1つになる可能性がある。Google翻訳チームは間違いなくすでにGlass対応の準備を進めていることだろう。Google翻訳チームのJosh EstelleはGlassユーザーで、GoogleのGlassプロモーション・ビデオに一瞬写る

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


OUYAのAndroidゲーム機の筐体をMakerBotでユーザーが3Dプリントできるようになった

今日(米国時間3/27)、3Dプリンター・メーカーのMakerBotとオープンソースAndroidゲーム機のOUYAは提携を発表した。これにより、OUYAゲーム機のユーザーはMakerbotの3Dプリンタでカスタムメイドの筐体を家庭でプリントすることができるようになる。OUYAが3Dデザイン・ファイルをMakerBotの3Dデザイン・レポジトリであるThingiverse.comに提供する。ユーザーはこのファイルをMakerBotReplicator 2 Desktop 3Dプリンタに読み込ませる。

The OUYAのゲーム・コンソール筐体には蓋、スプリング式の開閉ボタンなどが付属する。MakerBot Replicator 2X Experimental 3Dプリンタを利用すれば、素材にバイオプラスチックのPLAではなくABS樹脂を利用することができる。

OUYAはすでにオープンソースのSDKを発表しているが、MakerBotとの提携によってユーザーがカスタム・デザインの筐体を簡単に入手できる道が開かれた。ハードウェアを3Dプリントできるようになれば、たとえばゲームデザイナーがゲームの内容に合わせてカスタマイズした筐体のデザイン・ファイルを提供するなども可能になる。

MakerBotは自社サイトで、OUYAコンソール筐体のデザインについて触れ、ユーザー自身も3Dプリント・ファイルをカスタマイズできるだろうと述べている。Yves Beharデザインの角を面取りした立方体がこれからどのようにカスタマイズされていくのか楽しみだ。

〔日本版:OUYAゲーム・コンソールはAndroidをOSとしTegra 3プロセッサを利用したオープンソースの低価格ゲーム専用機で近く発売が予定されている。〕

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Webだけでここまでやれる, 思わず息をのむForecastの美麗さ

ぼくがいちばん最近、“うわぁ! このWebアプリはものすごきれー!”と言ったのはいつか、おぼえている人いる? ぼく自身は、おぼえていないんだ。

今朝(米国時間3/26)Forecastを見たときは、思わずそう言ってしまったけど、それの前が思い出せない。

“なんだよ。TechCrunchが天気予報アプリのことを書くなんて。もう明日(あした)から見ないぞ”、なんて言う前にちょっと待った。Forecastはたしかに天気予報アプリだけど、ほんとに、ほんとに、ほんとにきれーな天気予報アプリなんだ。

これを作ったのは、Dark Skyを作った人たちだ。Dark Skyは、Webじゃなくてネイティブの天気予報アプリとしては、これまたいちばんきれーな部類だ。一方Forecastは、Webアプリケーションでも頑張ればここまでやれる、という見本のような作品だ(モバイルと大画面の両方で)。スクリプトの上手な使い方、しっかりとしたデザイン、その最高のお手本だろう(開発の経緯についてはここに述べられている)。

まず、ご自分のコンピュータのブラウザで見てみよう。クリックしてナビゲートしてみよう。地球の下にある小さな[Play]ボタンを押してみよう。ピンをドラッグしてみよう。Time Machineに乗って、過去の気象データを見てみよう。誰が見ても、圧倒されると思う。

今度はAndroid携帯やiPhoneで見てみよう。スライド式の引き出しが、すばらしい。同じくスライド式のナビゲーションバーも、良くできてる。ここまで見て圧倒されなかった人は、Webで何かを作る苦労を経験してない人だ。それとも、自分の現状に完全に満足している人。

ちょっと感動しすぎかな、とも思ったけど、でもTwitterの上でぼくがフォローしているデベロッパの人たち全員が、この2時間ぐらい、Forecastをほめちぎっている。ふだん口の悪いHacker Newsの連中にも、ネガティブなコメントは一つもない。モバイルでは、そのWebアプリをホーム画面に載せないと使えないのは、ちょっとわずらわしいけど、天気予報アプリはいざ必要なときにすぐ見つかってすぐ立ち上がってほしいものだから、ホーム画面の義務化は、まあ許せるかな。

しかも、毎日一日中、仕事でWebアプリケーションばかり見ている人も、感動している。それはぼくの友だちのLisa Brewsterだけど、彼女は今は亡きPalmでWebアプリのデザイナーだったが、今ではMozillaから今度出るFirefox OSのためにWebアプリケーションとWebアプリケーションのスタンダードのための仕事をしている:

バーが、新しい高さにセットされたね。ぼくのホーム画面にようこそ、Forecastくん。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Google、#ifihadglassキャンペーンの当選通知を送付開始。いよいよGoogle Glass関連の動きが加速か?!

Googleは数日のうちに#ifihadglass campaignの当選者に対する案内を開始することになったとアナウンスしている。キャンペーンでは、Google+やTwitter経由で数多くのアイデアが集まった様子。この中でGoogleにより選ばれた人たちは1500ドルでGoogle Glassを購入できることになる。そしてサンフランシスコ、ニューヨーク、およびロサンゼルスなどで年内に開催が予定されているイベントの中で、当選者たちのGoogle Glassの使い方などが紹介される予定になっている。今のところ、詳細な出荷予定日などはまだわからない。

ちなみに昨年のI/Oで、GoogleはGlassに対するプレオーダーの受け付けを行なっていた。しかしそれについての新たな動きは伝えられていなかった。今回#ifihadglassプログラムについての新たな動きが出てきたことで(また、次のI/Oも数週間後に迫っていることもあり)、いよいよプレオーダー済みの人びとにとっても新しい動きが出てくるものと思われる。

ところで、もしかすると組織として#ifihadglassキャンペーンに申し込んだ人もいるかもしれない。残念ながらそうした人びとは選外となる。「企業の方々からも、面白そうな内容のご応募をいただきました。しかし今回のプログラムは個人の方のみを対象としたものです。ビジネス系の方とは、また別の試みを行いたいと考えております」とのことだ。

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(翻訳:Maeda, H)


Flipboardが初のメージャーアップデート―ユーザーが独自に雑誌を編集できる機能が追加

2010年の年末に登場して以来、ブログやオンラインのメディアをタブレット上で雑誌風に見せるFlipboardの人気は衰えを知らないようだ。昨年8月にマンスリーアクティブユーザーが2,000万だったのが、いまでは5,000万まで増えているのだという。そしていよいよこのプロダクトが初のメジャーアップデートとなるFlipboard 2.0をリリースした。

今回のアップデートの目玉はFlipboardで表示されている記事の1つ1つをユーザーが独自に集めて編集することで、ユーザー独自のマガジンとしてシェアできるところだろう。いわゆるいまどきの「キュレーション」機能が備わったわけだ。

たとえば、ガジェットが好きならばガジェットに関する話題ばかりを集めて1つのマガジンにすることもできるし、靴好きだったら靴に関する記事を集めてマガジンとしてシェアできる。特にFlipboardは画面のデザインにこだわっているので、マガジンの表紙なども写真や画像を配慮した見せ方になっている。

これまでFlipboardでできるインタラクションといえば、見ている記事をシェアするだけだったが、今回のバージョンから、キュレートした記事にはユーザーが独自にコメントを付けられるようになった。また、FlipboardはPCでの利用はできなかったが、ブラウザーのbookmarkletによってPCのブラウザーから自分のマガジンに記事を追加することができるようにもなった(ただし、作成されたマガジンの閲覧はできない)。

Flipboardは表示される情報を読むだけのものだったが、編集して独自の雑誌を編む楽しみが加わるることで、相対的にコンテンツの数は増えることになるのだろう。そうなれば、閲覧するユーザーの機会も増えるかもしれない。NaverまとめやTogetterなどのキュレーションメディアは編集を楽しむユーザーは限られているが、アクセスを集めているのは大量の情報が垂れ流されるよりも人間の手で編集されたコンテンツのほうが価値が高いことを証明している。このことからもFlipboardの中から人気のマガジンを作るユーザーが現れてくることは間違いないだろう。

なお、今回、このメジャーアップと同時に日本ではFlipboardの利用を促進するためのFlipboard naviが開設されている。


Yコンビネーターのデモ・デーを終えたポール・グレアム、「今期から選択を厳しくした。できの悪いスタートアップはほとんどない」と断言

今日(米国時間3/26)、Y Combinatorのデモ・デーが開催された。スタートアップのデモにに先立って、ファウンダーでパートナーのポール・グレアムが挨拶し「今期は今までより選抜基準をずっと厳しくした」と述べた。その言葉どおり、前期の75チームに対して、今回デモを行ったのは47チームと4割近く減っている。

「今回のスタートアップに出来の悪いチームはほとんどない」とグレアムは断言した。

「ここに集まっている投資家にとっては過去のデモ・デーにくらべて投資先を選ぶy決断がそれだけ難しいことになる」とグレアムは述べた。Yコンビネーターにかぎらず多数のスタートアップに同時に投資するというスタイルのベンチャーの場合、デモ・デーで投資先を決めるのが難しいという苦情はいつも出ている(特にYCの場合はスタートアップの数が多いためプレゼンは数分ずつしか行われない)。しかしグレアムは「決断が難しいのはプレゼンの時間が短いせいではない。難しく思えるのはそれが実際に難しいからだ。プレゼンは単なる顔見せだ。投資家は後でファウンダーたちに直接面談してから最終的に決断してもらいたい」という。

スピーチの前にわれわれはグレアムに短時間だがインタビューし、スタートアップの選定プロセスについて話を聞くことができた。それによると今回のYCのスタートアップ選定では「成功要因だけでなく、失敗要因も考慮に入れることにした」のだという。「たとえば、あるスタートアップの場合、ファウンダーたちは非常に優秀だったので、以前の成功要因だけの基準だったら選んでいただろう。しかしファウンダーたちがお互いに仲が悪かった。これは大きな失敗要因なのでこのチームは落とした」という。

「できの悪いチームがほとんどない」点についてはこう説明した。グレアムはいつも全部のスタートアップを順位付けする。そうして次第に下位に下がっていくと、「どう考えてもこのチームはデモ・デーでたいした注目を集めそうにない」というレベルに達する。「今回はそのレベル以下のスタートアップがわずか4、5チームしかなかった。これは今までになかったことだ」とグレアムは語った。

Grahamによれば、YCがスタートアップの数を減らしたのはこれが最初ではないという。グレアムとYCのパートナーでグレアムの妻のジェシカ・リビングストンとの間に子供ができたときにもクラスのサイズを減らした。しかし、たまたまそのクラスから大成功を収めたAirbnbが誕生している。選定基準を厳しくしても成功したわけだ。しかしGrahamは「これほど大幅にサイズを縮小したのは今回が初めてだ」と語った。

〔デモ・デーの全スタートアップの紹介はこちら(第1部)〕

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Googleドライブのパワーユーザー向け高機能デスクトップクライアントのInsyncがいよいよ製品版を公開

Insyncは高機能なGoogleドライブのデスクトップ・クライアントだが、今日(米国時間3/26)、ベータを脱してMac版とWindows版の製品版をリリースした。

アップデートされたクライアントには多数の新機能(もちろんオリジナルのGoogleドライブにもない機能)が追加されている。その中には複数のGoogleアカウントのサポート、フォルダやファイルの選択同期、デスクトップへの通知、Googleドライブ以外のネットワーク・ドライブのサポート、柔軟な共有オプションなどが含まれている。

Insyncはシンガポールとフィリピンに本拠を置くスタートアップだが、当初はGoogleユーザー向けのDropboxに似たサービスを目指していた。当時GoogleドライブはGoogleドキュメントと呼ばれており、まだ本格的なクラウド・ストレージ機能を備えていなかった。しかしその後Googleはドライブにデスクトップクライアントを用意してDropbox風のサービスを自ら提供するようになった。そこでInsyncは方向を変えてGoogleのクライアントにまだない機能を開発し始めた。

「開発中にわれわれは非常に多くの人々がこういう機能を望んでいることに気づいた」と共同ファウンダー、CEOのTerence Puaは語る。 2008年にInsyncを創業するまでPuaはフィリピンのFriendsterを運営していた。

ユーザーのターゲットはGoogleドライブのパワーユーザーで、右クリックでフォルダやファイルの共有を開始できる機能も備えられている。その他フォルダやファイルの選択的同期などパワーユーザーが必要とする機能が多数ある。さらにギークな機能としてこの1.0にはシンボリック・リンクやエイリアス機能が含まれている。Puaは「これによってユーザーはInsyncのフォルダにいちいちドラッグアンドドロップでファイルやフォルダを移動することなくフォルダ階層を保ったままで利用できる」と説明する。

今回発表されたv1.0はMac版とWindows版で、Linux版はまだv0.9だという。しかしこれも近くリリースされる予定だ。Insyncは現在各プラットフォーム合計で数十万人のベータ・ユーザーがおり、その40%はGoogleAppsを利用しているビジネス・ユーザーだという。

今回の製品版のリリースにともなって料金も発表された。すべての機能が利用できるプロ・プランは9.99ドルの1回払い、数週間後に発表予定のビジネス・プランには企業のIT部門が利用状況をひと目で把握でき、社員別のアクセス管理ができるダッシュボードや優先サポート、 高度な検索などの機能が付加される。

Puaは「われわれの目的は単にGoogleドライブのクライアントを開発することではない。高度なクラウド・ストレージ・サービスの構築にある。ドライブのクライアントは第一歩にすぎない」と語る。

Insyncは2011年1月に80万ドルのエンジェル資金を得た。2009年にはad Reid Hoffman(LinkedInのファウンダー、CEO)、Tovio Annus (Skypeの共同ファウンダー)、Joi Ito(ネオテニーのファウンダー)、Santosh Jayaram(Twitterの元ビジネス運営担当副社長)らの投資家から30万ドルの.シード投資を受けている。

共同ファウンダーのMarte Solizaを含めてInsyncの社員は現在9人 で人材を募集中だ。

Insync 1.0はこちらからダウンロードできる

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日本版SquareのCoineyの経営にサイバーエージェントの西條晋一氏が参画

Coineyは日本版Squareとして注目を集めるスタートアップである。昨年秋には試験的にサービスをスタートさせていて、一部店舗がCoineyのサービスを利用して決済をしているという。そして、この2月にはイーストベンチャーズ、サイバーエージェント・ベンチャーズ、エンジェル投資家となったアトランティスの木村新司氏から1億円の資金調達をしている。

このCoineyにサイバーエージェントの元専務取締役でまもなく同社を去る西條晋一氏が取締役として経営に参画する。

確かにこれまでもスタートアップ企業に、大手企業の経営者や経営に携わってきた人物が取締役として就任するケースはたくさんあったが、それは、非常勤の経営を監視するための取締役としてである。今回、西條氏は自身の起業がスタートする以前に、Coineyのビジネスを加速させる役割として加わっている。Coineyには若い世代が集まっているので、事業経験が豊富な西條氏は大手企業との提携などがメインの仕事となるようだ。

西條氏は大学卒業後、伊藤忠に入社し、その後2000年にサイバーエージェントに入社。ベンチャーキャピタル事業のシーエー・キャピタル(現サイバーエージェント・ベンチャーズ)やゲーム事業のジークレスト、FX事業のサイバーエージェントFXといった事業の立ち上げを行い、それぞれの企業の代表取締役として活躍している。サイバーエージェントの収益面で大きな功績を残している。同社の専務取締役就任後も、米国事業を立ち上げて責任者としてサンフランシスコでその時間の多くを過ごしていた。

専務取締役退任時には、サイバーエージェントのFX事業をおよそ200億円でヤフーに売却して大きなキャッシュをもたらしている。

Coineyの目下の課題は提携先の拡充だろう。現在は複数のクレジットカード会社と組んでビザとマスターのクレジットカードに対応しているが、今後は他のクレジットカードサービスや電子マネーなどにも対応していきたいと考えている。そしてサービスが正式にスタートした際には加盟店の拡充が成功の鍵となる。西條氏がCoineyの事業に集中して関われる時間は限られているだろうが、そこまでにある程度の結果が出てくるものと予想される。