アップルが女性の健康調査の初期結果を発表、むくみやけいれん、吐き気が一般的

Apple(アップル)は先週、継続中の聴覚に関する調査の初期結果を発表した。ミシガン大学公衆衛生学部と共同で行なっているこの調査のデータは世界ヒアリングデーに合わせてリリースされた。そして今度は国際女性デーの翌日、同社が実施している女性の健康調査に関する結果を発表した

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聴覚の調査と同様、データはAppleが2019年に立ち上げたResearchアプリ経由で参加を選択した人から収集されている。これはユーザーの健康にこれまで以上に真剣に取り組もうという試みの一環であり、Apple WatchとiPhoneを通じて集められたデータが使用されている。

初期結果は、よく議論されているむくみやけいれんなどとともに、吐き気や睡眠の変化といった症状が一般的であることを示している。調査はまた、追跡された症状は広く議論されていないが、その多くが年代、人種、地理的要因にかかわらず一般的だと指摘した。この調査は部分的にはこうした類いの症状をめぐる議論を恥ずかしいものにしないためだとAppleは話す。

データは米国各地から参加した多様な年代と人種の女性1万人から収集された。データ収集の大半はまだ初期ステージにあるが、Appleとその研究パートナーのハーバード大学は、不妊や多嚢胞性卵巣症候群、閉経周辺期などを含むさまざまな健康状態と月経周期の関わりを調べようとしている。

「科学界の研究者や医師は月経周期について、そして月経周期と長期的な健康との関わり、周期の長さや特徴に影響するかもしれない環境的要因について知る必要があると考えています」とハーバード大学のShruthi Mahalingaiah(シュルティ・マハリンガイア)博士は声明で述べた。「我々はこのテーマでの大規模な基礎データセットをこの研究で構築します。これはゆくゆくは女性の健康の研究とケアにおけるさらなる発見とイノベーションにつながるでしょう」。

カテゴリー:ヘルステック
タグ:Apple

画像クレジット:Apple

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

Praava Healthはバングラデッシュの医療の質の向上に11.5億円を調達

遠隔医療と物理的な診療所とを組み合わせたPraava Health(プラーバ・ヘルス)を立ち上げる前、Sylvana Sinha(シルバーナ・シンハ)氏は、2008年の米国大統領選挙でバラク・オバマ氏の海外政策顧問として貢献したり、アフガニスタンの世界銀行に務めるなど、国際法の世界で成功を収めていた。しかし2011年、家族の結婚式に出席するためにバングラデッシュを訪れた際、最上級の私立病院で手術を受けた母が危篤状態に陥ったことで、シンハ氏は「ひらめきの瞬間」を迎えた。

「母の一件から、バングラデッシュではどんなにお金を積んでも質の高い医療が受けられないことを知りました」と彼女はTechCrunchに話した。

「バングラデッシュは高度に発展し、今や中流人口が4000万人にものぼるという現実があるにも関わらず、優れた医療を受けられる選択の幅が非常に狭いことに衝撃を受けました」と彼女は語る。「毎日、何千もの人たちが国外に出かけ、年間何百万ドルもの費用をかけて海外の優れた病院にかかっているいるのです」

アメリカで生まれ育ったシンハ氏は、Praava創設のため、2015年にバングラデッシュに移り住んだ。本日(米国時間3月8日)、同社はシリーズAプライム・ラウンドの調達を発表し、調達総額は1060万ドル(約11億5000万円)となった。Praavaでは、2018年にサービスを開始して以来、毎年3倍の成長を遂げ、現在は15万人の患者を診ているという。2020年には、7万5000件の新型コロナの検査を自社で行っている。

Praava Healthの患者向けポータルアプリ

Praavaの支援者には、シードラウンドにも参加した退役アメリカ陸軍大将、KKR Global Institute(DKRグローバル・インスティテュート)会長、米国中央情報局(CIA)の元局長のDavid H. Petraeus(デイビッド・H・ペトレイアス)氏、Wellville(ウェルビル)の幹部創設者Esther Dyson(エスタ−・ダイソン)氏、SBK Tech Ventures(SBKテック・ベンチャーズ)、シンガポール科学技術研究庁デジタル医療顧問のJeremy Lim(ジェレミー・リム)博士、Iora Health(アイオラ・ヘルス)の共同創設者でありCEOのRushika Fernandopoulle(ラシカ・ファーナンドプリ)博士、Oak Street Health(オーク・ストリート・ヘルス)の共同創設者であり最高執行責任者のGeoff Price(ジェフ・プライス)氏と、高名なエンジェル投資家が名を連ねている。

同社は、バングラデッシュの首都ダッカの主要医療センターであり、街中に点在する40の小さな診療所をネットワークしている。Praavaでは、さらに多くの診療所をダッカに開設し、後にバングラデッシュ第2の都市チッタゴンにも進出したいと考えている。

これは、オンライン診療を加えた「ブリック・アンド・クリック」モデルだ。国中の患者に対応できる。バーチャル医療は、遠隔医療とオンライン薬局を含むPraavaのサービスの40パーセントを占めている。

バングラデッシュは、世界でももっとも急速に経済成長している国だが、人口1億7000万人に対する医療従事者の数は危機的なまでに少ない。世界保健機関(WHO)の概算では、人口1万人に対して医師が3人、看護師が1人となっている。さらにそのほとんどが都市部で勤務している。ちなみにバングラデッシュの人口の70パーセントは農村部で暮らしているため、人々は1分間にも満たない診療のために長距離移動を強いられることがしばしばだ。

「遠隔医療の最大の利点と私たちが考えるのは、ダッカの外に住む人たちに、その長旅が本当に必要か否かを教えられることです」とシンハ氏は話す。

同社では、とくに初期診療の場合、患者の80パーセント以上がオンラインでの医療サービスで対処できることを突き止めた。残りの20パーセントの患者にのみ、幅広い外来診療、画像診断、検査、薬の処方が行えるPraavaの診療所に来るように伝えている。

新型コロナウイルスのパンデミックが始まると、Praavaの診察のおよそ9割がバーチャルになったが、診療所での診察はまた増え出した。Praavaの医師のほとんどは、フルタイムの従業員として給与が支払われている。目標は、予約診療時間を少なくとも15分以上持たせ、医療提供者と患者との深い人間関係を築くことにある。

「テクノロジーは医療の未来だと思っています。そこに疑いの余地はありません」とシンハ氏。「しかし、私たちが生きている間に必要となる医師との対面診察や直接的な医療全般を、テクノロジーで完全に置き換えることはできません」

現在、Praavaの患者は、そのほとんどが診察ごとに料金を支払っている。価格は、バングラデッシュの公共医療システムと、高価な私立病院の相場の中間だ。定額で無制限に医療サービスが受けられる会員プランもある。

シンハ氏によれば、主に入院費をカバーする医療保険に加入している人が1パーセントに過ぎないバングラデッシュでは、それは大変に新しいモデルだという。

「これは私たちにとって、この地域に価値に基づく医療の導入実験であり、この提案に大変に胸躍らせていますが、新商品なので、今後数年間かけて伸びて行くものと考えています」と彼女は話す。「昨年は大変な伸びを見せました。おそらく人々の健康意識の高まりと、企業が従業員の健康への投資を増やそうと考えるようになったためでしょう」

今回調達した資金で、Praavaは患者用の「スーパーアプリ」の開発に注力する。すべてのデジタルサービスを、ひとつのアプリに集約することが目的だ。また、ダッカでのさらに10軒の医療施設の開設と、チッタゴンへの進出も計画している。Praavaの「ブリック・アンド・クリック」モデルは、その他の新興市場にも応用が利くが、今後数年間はバングラデッシュに集中する予定だ。

「まず対処しなければならない人たちが1億7000万人います」とシンハ氏。「なので当面私たちは、この市場に全集中します」

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トップの写真:Praava Healthの創設者にして最高責任者のシルバーナ・シハ氏(左から3番目)。同社医療センターのひとつにて。

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(文:Catherine Shu、翻訳:金井哲夫)

医療現場の情報共有を促進する重症患者管理システム「iBSEN」開発のCROSS SYNCが1.5億円調達

医療現場の情報共有を促進する重症患者管理システム「iBSEN」開発のCROSS SYNCが1.5億円調達

横浜市立大学発のスタートアップCROSS SYNCは3月8日、第三者割当増資による総額約1億5000万円の資金調達を発表した。引受先は、ファインデックス、日本政策投資銀行、豊田通商、コニカミノルタら。

これまでCROSS SYNCは、同社設立前に横浜市立大学において研究開発を行った技術を基に、医療現場における経験や専門知識に依存しない情報共有を加速する重症患者管理システム「iBSEN」(イプセン)を開発してきた。逼迫する集中治療の医療体制を支援するサービスの開発および提供体制の拡充が急務として、調達した資金はiBSENの開発および採用・組織体制の強化にあてる予定。

今後はiBSENの医療現場への実導入を推進し、幅広い現場のニーズや課題に対応できる製品に発展させることや、リアルワールドデータを活用したAIモデルによるユースケースの拡大、他の先端研究機関との連携、海外でのサービス展開へ向けた検証などを実現していく。

これにより、欧米諸国のみでも約90万人にも及ぶ防ぎ得た患者の死亡事例をなくすとともに、医療現場におけるDXによる働き方改革を推進する。

iBSENは、AIを活用した画像解析などにより高度な患者モニタリングや情報共有を行うシステム。医療現場に散在する医療情報を集約・解析・可視化することで、医療従事者が経験や知識に依存せず患者に対して高品質な見守りと評価をいつでも、どこからでも、どんなデバイスからでも提供できるとしている。

医療資源が優先的に投下されるべき状態にある患者をいち早く判断できるようにすることで、防ぎ得た急変や死亡をを減らせるようにできるほか、重症系病床の効率的な稼働、また、医療従事者の労務軽減にも資するという。

CROSS SYNCは、「ICU Anywhere」をビジョンに掲げる「横浜市立大学発」のスタートアップ。2019年10月、横浜市立大学附属病院の集中治療部部長を務める集中治療専門医の髙木医師らが設立した。「防ぎ得た患者様の急変や死亡をなくしたい」という思いを端緒に、「テクノロジー力で、医療現場の専門性をアシストする」をミッションに掲げ、AIをコア技術とする重症患者管理システム「iBSEN」を開発・提供している。

医療現場にあふれる医療情報の利活用を促進し、経験や専門知識に依存しない医療現場での情報共有を可能にすることで、新興感染症の拡大に対応した新たな医療体制の構築や超高齢化に伴う医療の需給バランスの崩壊といった社会課題の解決に鋭意取り組んでいく。

※ CROSS SYNCが、Leapfrog GroupおよびJohns Hopkins Armstrong Institute for Patient Safety and Quality「Lives Lost, Lives Saved: An Updated Comparative Analysis of Avoidable Deaths at Hospitals Graded by The Leaffrog Group」、eurostat「Avoidable deaths in 2016 – For people under 75, two deaths out of three in the EU could have been avoided」より算出

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カテゴリー:ヘルステック
タグ:医療(用語)AI / 人工知能(用語)資金調達(用語)CROSS SYNC(企業)横浜市立大学(組織)日本(国・地域)

出産やメンタルヘルスなどデリケートな問題のケアを女性が受けやすくするバングラディシュのMayaが約2.3億円調達

Mayaは、妊娠と出産やメンタルヘルスのような特にデリケートな問題に関するヘルスケアを女性が利用しやすくなるよう尽力している。現在、バングラデシュを拠点とし、シンガポールで法人化したこのスタートアップは、新たな国々へと事業を拡大している。現地時間2月9日、Mayaは220万ドル(約2億3220万円)のシード資金調達をしたことを発表した。これはバングラデシュのヘルステック企業がこれまでに調達した最高額だといわれている。このラウンドは、アーリーステージファンドのAnchorless Bangladeshとアジア市場へのインパクト投資に特化する未公開株式投資会社のThe Osiris Groupが主導した。

この資金はMayaの遠隔医療プラットフォームへの新製品の導入および国際的な事業拡大に使用される。最近、Mayaはスリランカに参入し、インド、パキスタン、中近東の国々でのテストを開始した。また、東南アジアへの参入も計画している。

Mayaはデジタルアシスタントに自然言語処理と機械学習テクノロジーを使用しており、基礎的な健康に関する質問に答え、ユーザーが専門家に相談する必要があるかどうかを決める。約1000万人のユニークユーザーがおり、現在、プラットフォーム上には300人以上の有資格のヘルスケア提供者がいる。

設立者であり最高経営責任者のIvy Huq Russell(アイビー・ハク・ラッセル)氏は、大学進学のために英国に渡る前は、チッタゴンおよびダッカで育った。Mayaは2011年にヘルスケア情報のブログとして始まった。当時、ラッセル氏は金融業界で働いていた。彼女はちょうど第一子を出産したばかりだったが、彼女の母親が乳がんと診断されることが重なった。ラッセル氏は、バングラデシュで病院にかかるには経済的障壁、医療提供者不足、クリニックまでの長い移動時間など、多くの課題があることに気づいた、とTechCrunchに語った。

Mayaは信頼の置ける健康情報の提供を目指して始められたが、サイト訪問者がさらなる支援を必要としていることがすぐに判明した。性的虐待、レイプ、家庭内暴力の被害者など、多くの人々がWhatsApp、メール、あるいはサイトのチャットボックスを通じてメッセージを送ってきた。バングラデシュの非政府組織であるBRACから助成金を受けた後、Mayaのチームはユーザーを医療情報や専門家とつなぐアプリの開発を始めた。

Mayaのホームスクリーン

「2つの事柄に特に注力しました」とラッセル氏は述べた。「1つは、ユーザーの言語で、コミュニティ内で信頼をいかに築くかということです。快適に使用できる言語でコミュニケーションを取ることが非常に重要だからです。同時に、ものすごい数の質問を受け取り始めてすぐに、コンピューターで対応する専門家が50人だけでは対応しきれないことに気付きました」。

ベンガル語と地域の方言をサポートするために、Mayaは2年以上もの間、自然言語処理のテクノロジー開発に注力した。データサイエンティストや言語学者の協力のもと、Google Launchpadのアクセラレータプログラムに参加し、トークナイゼーションや機械学習アルゴリズムのトレーニングに取り組んだ。現在、Mayaは約95%の精度でベンガル語での50の基礎的な質問への自動応答が可能となっている、とラッセル氏は述べた。これまでにプラットフォームが処理した400万件の質問のうち、約半分は人工知能技術により回答されている。またウルドゥー語、ヒンディー語、アラビア語をサポートするための自然言語処理技術にも取り組んでいる。

質問の多くは性または妊娠と出産に関してであり、プラットフォームではメンタルヘルスに関する質問も増加している。これらはユーザーが直接相談するのをためらいがちなトピックだ。

「バングラデシュで育つと、最低限の性教育があるだけです。学校での授業はありません。また、ここ1,2年で、多くのメンタルヘルスに関する質問が見られるようになりました。これはメンタルヘルスについて話すよう働きかけたことの成果だと思います」とラッセル氏は述べた。「従来の医療制度では率直に質問できなかったことについて、私たちに聞いてくるのはごく自然なことです」と付け加えた。

現在、Mayaの約30%を占める男性ユーザーからの質問も増えてきている。その多くは避妊や家族計画、あるいはパートナーの医学的な問題への支援方法に関するの質問だ。ユーザーのプライバシーを守るため、相談はエンド・ツー・エンドで暗号化され、専門家には個人情報ではなく、ランダムに生成されたIDのみが表示される。

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専門家の対応が必要かどうかを見極めるために、Mayaのアルゴリズムは質問の長さ、複雑さ、および口調に基づいた緊急性を考慮する。例えば「お願いです、どうか、どうか助けてください」と書かれていたら自動的に専門家へと案内される。メンタルヘルスに関する質問の大半も専門家へと送られる。

Mayaは身体の健康と精神の健康に対して、別々の問題として取り扱うのではなく、全体的アプローチを取っている、とラッセル氏は述べた。

「質問は身体の健康問題についてだけではありません。『ヒジャブを着て走りに行きたいのですが、とても気まずく感じます』といった質問もあります」とラッセル氏は述べた。「ごく普通の質問に聞こえますが、含みのある質問です。こうしたことは日常的にメンタルヘルスに影響を与えているからです」。

目標の1つは、このアプリを使いやすくして、さらに気軽に支援を求められるようにすることだ。「ユーザーが赤ちゃんを産んだ際には、本当に、オフィスにお菓子が送られてきました」とラッセル氏は述べた。「Mayaは心身両方の健康状態を合わせて対応しているため、人間味を感じてもらえているのだと思います」。

現在、同社はさまざまな収益化モデルに取り組んでいる。1つは、Mayaをサービスとしてのソフトウェアとして位置づけ、雇用主が従業員に福利厚生として提供する企業間取引販売だ。縫製業はバングラデシュ最大の輸出産業の1つであり、従業員の多くはMayaの典型的なユーザープロファイルと一致する若い女性たちだ。同社はマークス&スペンサー、プライマーク、バングラデシュ縫製業・輸出業者協会(BGMEA)と連携してきた。

もう1つの企業間取引は、保険会社と提携してMayaを特典として提供することだ。消費者直接取引の面では、最近、Mayaはアプリ内でのオンライン診察や処方箋の送付などのプレミアムサービスを開始した。新型コロナウイルスの世界的流行で需要は急激に増加し、現在では10秒ごとに約1回の診察を行っている。ラッセル氏は世界的流行の収束後も多くのユーザーが遠隔医療を継続して使用することを期待している。

「ユーザーは目の前に医師がいることの利点を実感しています」とラッセル氏は述べた。「慢性疾患がある人にとっては、毎週どこかに通院しなくても良いので、便利になります。経過観察をして履歴が残されるので、定期的な利用者にも有益です」。

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タグ:Mayaバングラデシュ資金調達メンタルヘルス

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(文:Catherine Shu、翻訳:Dragonfly)

病気の診断向上を目指し検査とデータ統合を行うHalo Dxが約20億円調達

ヘルスケアは最も複雑な産業の1つだ。消費者サイドでは不満を募らせている一方で、ある意味、シンプルなメソッドで大きく改善する余地がある。Halo Diagnostics(ハロ・ダイアグノスティクス、略してDx)は、複数のテストの実施と改善したプロセスをプロバイダーが簡単に利用できるようにすることで、いくつかの深刻な病気の診断を向上させるべくシリーズAで1900万ドル(約20億6000万円)を調達した。同社はまた、それを達成するために必要となる医療施設を即金で購入するために8桁の信用供与を活用するという異例の措置を取った。

大きな健康問題に対処しなければならなかった人ならわかるだろうが、受けるケアは多くの要因によりプロバイダーごとに大きく異なる。あなたの保険のカバー範囲だけでなく、プロバイダーがすでに使っているメソッドが何かにもよる。

例えば前立腺がんの検査を受けに行く男性にとって、一般的な血液検査や直腸診は何年も変わっていない。そしてその検査は罹患の予測に関してはそれほどいいものではなく、不確実性、そして生検のような不必要な処置へとつながる。

もちろん、あなたが幸運ならあなたのプロバイダーは、問題を見つけることにかけてもっと優秀な項目の多いMRIを提供するかもしれない。そしてMRIと、遺伝子マーカーを調べる尿テストを組み合わせれば、がん検知の精度は実質的に絶対確実レベルに上がる。

しかしこれらのテストはより高価で、特別な施設と人員が必要でプロバイダーの既存のインフラに収まらないかもしれない。Haloはこの種のマルチ要因診断を可能にするために、医療データのストリームを改良することでそうしたインフラを提供することを目指している。

「基本的に医師や画像センターは最新レベルのケアを提供していません。もしあなたが幸運ならそうしたケアを受けられるかもしれませんが、地域の医療ではそうはならないでしょう」とHalo Dxの共同創業者でプロダクト最高責任者のBrian Axe(ブライン・アクス)氏は話した。「ひねくれて聞こえるかもしれませんが、ヘルスケア産業が最新の医学の進歩を受け入れるのに必要なものは、より良い結果に加えて良い財政です。問題は統合された診断ソリューションであり、どうやってそうしたオーダーを受け、市場開拓し、プライマリーケアのプロバイダーと話すかです」。

さらに障害となるのは、複数の手段のテストが、医療画像やテストのプロバイダーがそうしたものを行うよう決める種のものではないとうことだ。画像センターは、尿検査の信頼性が向上しているとは聞かないだろうし「隣の建物を買ってそれをやろう」とは思わないだろう。テスト施設を建てるのはコストがかかり複雑で、テストを行ってその結果を組み合わせるのに専門家を雇うのもさらなるハードルだ。

なのでHalo Dxは数千万ドル(数十億円)とともにパラシュートで降下し、画像とテストのセンター(これまでに4カ所)を購入し、そのオペレーションを引き継いで他のテストと組み合わせている。

若い企業がかなりの責任を負うのは愚かに見えるかもしれないが、これら画像センターがすでに強力な事業となっているのをサポートしている。放棄されておらず、費用の半分しか払われていないMRI装置が赤字運用されてもいない。

「画像の注文はすでに入ってきています。センターは利益を上げています。センターはいかにテクノロジーが自分たちをディスラプトするかを目の当たりにしているため、参加し始めています。そして彼らは変化を手伝いたいと考えています」とアクス氏は述べた。

前立腺がんと乳がんが最初のターゲットだ。しかしより多くの、そしてより良いデータによって、多発性硬化症やパーキンソン病、他の神経変性疾患などの病気にも向上した診断と治療が提供される。

1つの企業が画像やテスト施設の運営、結果の統合など複数の業務を行うことで、プロバイダーの利用は大いに見込める。そしてHalo Dxは、医療データ管理とコミュニケーションという歴史的に無視されてきた分野に関わるために、企業グレードのソフトウェア専門性を持ち込もうとしている。

この分野の危険にさらされていたそうした側面について、アクス氏は同社の最高医療責任者であるJohn Feller(ジョン・フェラー)博士に従った。

「フェラー博士はこの問題をかなり上手に描写します。『私はあなたの体内を見ることができる最先端のMRI装置を持っています。しかし取り込みからストレージセンターに至るまで細分化されたソリューションのために、私はドットコム時代前に生きているように感じていて、不自由です』と表現しました」とアクス氏は回想した。「あなたが記録や推奨された追加のテストを見たくても、ソフトウェアベンダーは互いに話をせず、統合もしません。互いに話して欲しい3つのプロバイダーをあなたは抱え、そうしたプロバイダー間には1ダースのシステムがあります」。

アクス氏はHalo DxのアプローチをOne Medicalのものと比較した。そのアプローチで効率を向上させ、消費者との関係をより軽快かつ簡単なものにすることでやり取りの増加につながっている。

1億近くの義務を負い、極めて複雑でかなり規制が厳しい業界に飛び込むというのはいくつかの点でリスクのある動きのようにみえる。しかしチームは熟練していて、出資者は注目に値し、成長する可能性はすぐそこにある。そしてOne Medicalなどのような成功が関係者全員を大胆にした。

Zola Global Investorsがラウンドをリードし、医療、テック分野からの出資者は以下のとおりだ。Anne Wojcicki(アン・ウォイッキ)氏、Fred Moll(フレッド・モール)氏、Stephen Pomeranz(スティーブン・ポメランツ)氏、Bob Reed(ボブ・リード)氏、Robert Ciardi(ロバート・チャルディ)氏、Jim Pallotta(ジム・パロッタ)氏、そして信じないかもしれないがNFL殿堂入りした49ersのRonnie Lott(ロニー・ロット)氏もいる。

上記の、そしてその他の投資家らはHalo Dxがケアを拡大・向上させるために取っているモデルと特異なアプローチの両方に大きな自信を示す力強い声明に名を連ねた。しかしながら、ここではあなたがそうしたサービスを利用する必要がないことを願う。

カテゴリー:ヘルステック
タグ:Halo Diagnostics資金調達

画像クレジット:Halo Dx

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nariko Mizoguchi

入退院調整をリアルタイムで可視化する医療機関・介護施設向け業務支援SaaSの3Sunnyが3.2億円調達

入退院調整をリアルタイムに可視化する医療機関・介護施設向け業務支援SaaSの3Sunnyが3.2億円調達

医療機関・介護施設向け業務支援SaaSを開発・提供する3Sunny(スリーサニー)は3月4日、第三者割当増資による総額約3億2000万円の資金調達を発表した。引受先は、メディカルノート、メディアスホールディングス、帝人、ANRI、ANOBAKA、個人投資家。これにより累積資金調達額は約4億円となった。

今後はプロダクト開発や人材採用を強化することで医療介護業界のデジタル推進に取り組む。また医療介護業界の業務のDXに貢献するべく、親和性の高い周辺領域で事業展開しているサービスとの連携を進める。

入退院調整をリアルタイムに可視化する医療機関・介護施設向け業務支援SaaSの3Sunnyが3.2億円調達

2016年7月操業の3Sunnyが手がける医療機関向け業務支援SaaS「Carebook」(ケアブック)は、リリースから約2年で都内を中心に大学病院や大規模医療グループなど全国で230超の医療機関に導入されているという。病院に所属する医療ソーシャルワーカー・退院調整看護師が日々行っている事務作業を効率化し、患者に向き合うことにフォーカスできる仕組みを提供している。

医療機関では治療後、高齢者など病院から退院しても継続的ケアが必要な患者に対して、病院所属の医療ソーシャルワーカー・退院調整看護師が次の退院先・転院先のサポートや調整業務を行っているという。

年間の入退院患者数がのべ約1500万人発生し今後も増加が見込まれる中、限られた病床数を有効活用するために、患者・家族の納得度を高度に保ちつつスムーズな入退院調整を行うことが求められている。

しかし病院や施設間で利用するシステムが異なるなどの理由で、コミュニケーション手法が電話やFAXに依存することが多く、常に受電に追われる・調整状況がリアルタイムに可視化されないなどの課題が起きているそうだ。

これらの課題の解決を目指すべく同社はCAREBOOKを開発・提供し、医療介護従事者が本来の専門領域に集中できる環境作りをサポートするとしている。

3Sunnyは、「医療介護のあらゆるシーンを、技術と仕組みで支え続ける」をミッションに掲げ、医療介護業界における「三方晴れやかな未来」を目指す。

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救急外来特化の患者情報記録・管理システム「NEXT Stage ER」提供のTXP Medicalが2.5億円調達
千葉大学医学部附属病院とTISが共同開発したクラウド型地域医療連携サービス「ヘルスケアパスポート」を公開
レーダー用いた高齢者見守りデバイスの米Tellusが7.3億円を調達、日本出荷とともに高齢者施設への普及目指す

カテゴリー:ヘルステック
タグ:医療(用語)介護(用語)資金調達(用語)3Sunny(企業)日本(国・地域)

医療インシュアテックのOscar Healthが1株当たり39ドルでIPO、企業価値は1兆円超に

米国時間3月2日夜、ITを活用した医療保険会社Oscar Health(オスカーヘルス)は、IPO価格を1株当たり39ドルに設定した。この最終価格は同社がIPOガイダンスで提示していたよりも1株当たり1ドル高い。当初Oscar HealthはIPO価格の目標を32~34ドルとしていた。

そして、3704万1026株が39ドルで売られ、うち3639万1946株は会社自身から提供された。引受会社のために予約されている株(詳しくはこちらを参照)を別にして、Oscar Healthは最低14億4000万ドル(約1541億8000万円)相当の株式を39ドルで売ったことになる。売却で得た金額の98%は同社の会計に組み込まれた。

出資しているThrive Capital、Founders Fund、Formation 8、CapitalG、Fidelty、Alphabet、Coatue、Tiger Globalらにとって、この日は金融クーデターだった。

しかし、会社の民間出資者にとってはどれほどよい結果だったのか?それを知るためには1株当たり39ドルで同社の価値がいくらになるかを計算する必要がある。OscarはSEC(証券取引委員会)提出したS-1/A書類で見込んでいたよりも多くの株式をIPOで売却したため、株数の確定が少々面倒だ。単純計算によるIPO価格に基づく同社の会社価値は79億2000万ドル(約8477億3000万円)強だ。しかしIPO投資グループのRenaissance Capitalは、行使されていないストックオプションなどを含む追加の株式を勘定に入れた完全希薄化後の会社価値を95億ドル(約1兆168億円)と推定している。

Oscar HealthのIPOはいくつかの意味で成功といえるだろう。資金調達の面では、最終IPO価格を初期の株価範囲と比べると、当初の計画よりも多くの金額を調達した。会社価値の面でも、知られている最後の私的評価価値である2018年のシリーズGで設定された32億ドル(約3425億2000万円)の数倍に相当する(PitchBook dataのデータよる)。そのラウンドと今回のIPOの間にも同社は民間資金を調達しているが、当時の会社価値の数字は入手できていない。

3月3日午前に始まるOscar Healthの取引は、インシュアテック、それも医療インシュアテックというサブニッチの試金石として注目に値する。同社のIPO価値に関するこれまでのTechCrunchの記事はさておき、投資家はOscar Healthに改めて価値を付け直した。本当の意味で株式市場に出た後、今後同社がどのように振る舞っていくのか見ていきたい。

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タグ:Oscar HealthIPO

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nob Takahashi / facebook

医療費が節約できる筋骨格のカリキュラムを提示する最新ヘルステックSpineZoneが12.8億円調達

SpineZone(スパインゾーン)は、個人に合わせた運動療法プログラムの制作と首と背中の痛みの治療法を提供するスタートアップだ。オンラインプラットフォームを通して面談による診療を行い、処方薬や注射や外科手術を必要としない治療を目指し、医療費が節約できるカリキュラムを提示する。Kian Raiszadeh(キアン・ライザデー)氏とKamshad Raiszadeh(カムシャド・ライザデー)氏の兄弟が共同創設したSpineZoneは、シリーズA投資金1200万ドル(約12億8000万円)の調達をTechCrunchに話してくれた。このラウンドはPolaris PartnersとProvidence Venturesが主導し、Martin Venturesが参加している。

基本的にSpineZoneは、対面診療で補強された仮想理学療法プラットフォームだ。同社では健康転帰を盛り込んだ動画リポジトリーを使用し、その患者の実生活面を支えている。そのため、対面診療は特に重要となる。

患者はスマートフォンかパソコンでサイトにログオンし、痛みや危険因子に関する質問に答える。すると、一連の運動療法を開始できるようになる。この運動は、筋骨格の健康状態に関する審査を通ったエビデンスに基づく論文をベースに、専門家の協力の下で作られる。

動画のデジタルアーカイブの他に、その運動を行うにあたって実際に専門家から指導が受けられるオプションもある。この戦略で同スタートアップは「100万人の生活を管理している」と主張する。

SpineZoneの価値提案は人を雇っている企業、クリニック、Cigna(シグナ)やAetna(エトナ)といった健康保険の利用者とサービス提供者の両方を支援し、患者が高価な外科手術を受けずに済むようにするというものだ。

痛みが深刻化する前に対処することで、現在のところ患者が手術を受ける比率は50パーセント低下しているとSpineZoneは話している(新型コロナで病院に行くリスクが高まった影響も加味すべきだが)。

非手術的処置を外注するほうが、実際に非手術的処置を行うよりもずっと安価であるため、パートナーたちは満足している。

病院では数百万ドル(数億円)単位の経費削減となる。例えばサンディエゴのシャープ・コミュニティ・メディカルグループは、SpineZoneと契約した2年間で340万ドル(約3億6000万円)の経費を節約した。

SpineZoneのビジネスモデルでは、典型的なSaaSの料金体系よりも、ほんの少しだけ複雑になっている。例えば1カ月に診療を利用する人数によって料金は異なる。また、損失の分担もある。SpineZoneが契約医院に経費を1500万ドル(約16億円)から1200万ドル(約12億8000万円)に低減できると約束した場合で、実際には1700万ドル(約18億2000万円)となってしまったときは、クリニックに対してその差額の一部をSpineZoneが負担する。反対に、クリニックの経費が1000万ドル(約10億7000万円)に抑えられたときは、節約分を双方で分配する。

SpineZoneの他にも、同類の筋骨格疾患系スタートアップはいくつかある。ベンチャー投資家の支援を受ける企業には、Peerwell(ピアウェル)、Force Therapeutics(フォース・セラピュティクス)、そしてこのほど企業価値30億ドル(約3200億円)の評価を受け、株式公開を計画しているHinge Health(ヒンジ・ヘルス)がある。

SpineZoneばかりでなく、多くのスタートアップが競争に勝ち残るには、診療ごとに料金を取る医療ではなく、価値に基づいた医療が必要となる。価値に基づく医療とは、患者を何度も医院に通わせる代わりに、結果に対して医師が報酬を受け取るという考え方だ。最終的な目標は、いち早い治療結果を金銭的インセンティブにつなげることだ。膝の治療で医師が3万ドル(約320万円)を得られるとするならば、診療予約が2回だろうが20回だろうが、治療を長引かせても、1回の診療を徹底的に行っても結果は同じことだ。もちろん、医師が報酬にこだわるあまり、質よりもスピードを重視してしまうという危惧もある。

当面、SpineZoneの人気は確かなようだが、医療エコシステムで価値に基づくモデルが主流になるまでには、まだ道のりは長い。キアン・ライザデー氏の見積もりでは、現在、病院の報酬のうち価値に基づく医療によるものは、全体の10〜20パーセントだ。SpineZoneでは、近い将来、それが50パーセントになると予測している。

「それが最大の改革であり、私たちが目指す最高の到達点です」と彼は話していた。

カテゴリー:ヘルステック
タグ:SpineZone資金調達

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:金井哲夫)

EUが安全な旅行を支援する新型コロナワクチン接種・検査状況を表示する「デジタルパス」を準備中

欧州委員会は、新型コロナウイルス時代に国境を超える旅行を促進することを目的とする「デジタルグリーンパス」というデジタル認証に関する立法計画を2021年3月下旬に示すと明らかにした。

欧州委員会委員長のUrsula von der Leyen(ウルズラ・フォン・デア・ライエン)氏は2021年3月1日、計画されているデジタルツールはワクチン接種の証明を提供することが目的だと述べた。しかしそれだけではない。「デジタルグリーンパス」は、たとえばまだワクチンを受けられない人のためのコロナテスト結果や「新型コロナからの回復」に関する情報も表示する。

「データ保護、セキュリティ、プライバシーを尊重します」とフォン・デア・ライエン氏はいくつかのツイートで付け加えた。

「デジタルグリーンパスは欧州人の生活を楽にします」とも述べた。「目的は、徐々に欧州人が仕事や旅行のためにEU内外を安全に移動できるようにすることです」。

ロイターによると、欧州委員会は2021年3月17日に立法計画の詳細を発表する。

EUの首脳は、加盟国同士が独自に2カ国間取り決めを行うなど単一マーケットの細分化を回避するために汎EUシステムの設置に熱心だ。あるいはサードパーティの商業システムが足がかりを得るのを回避するためだ(2021年初め、数多くのテック企業がワクチン接種ステータスのための「ユニバーサル」な基準を設けるために取り組んでいると発表した)。

関連記事:新型コロナワクチン接種のデジタル記録開発でテックとヘルスの企業がタッグ

欧州委員会は、ワクチンへのアクセスがまだかなり限られていることに基づく人々の自由の制限が醜い差別の材料となるとして、デジタルパスを「ワクチンパスポート」と呼ぶのを注意深く避けている。

と同時にEUの首脳は明らかに、経済的に外国人旅行客に大きく頼っているギリシャやスペインのような加盟国をサポートしなければならない重圧を感じている。2021年1月にEU幹部はワクチン書類提示の相互承認のための共通のアプローチが「最も重要」だと述べた。

ワクチンの接種と新型コロナテスト結果を表示するための汎EUデジタル認証はソリューションとなる。ただし、デジタルパスの使用を義務化することにはならないようだ。

欧州委員会は、筆者がコメントを求めて連絡をとった際、そして3月1日の報道機関との会見でデジタルパスの計画についての詳細を求められた際にさらなる情報の開示を却下した。

別の疑問は、計画しているデジタル認証システムがどれほど早く立ち上げられて運用されるかだ。数カ月後には夏のバケーションの到来が見込まれ、欧州委員会は迅速に進めなければならないというプレッシャーを受けることになる。と同時に、ロイターによると、欧州委員会はシステムがEU外でも機能するよう国際組織と協業したいと考えている。

Apple(アップル)は2021年2月、ワクチンパスに関するiOSレビューのプロセスを厳格化していると述べた。デベロッパーはそうしたアプリを提出する前に、公衆衛生当局や当局とつながっている企業に認証された組織と協業する必要がある、としている。Appleは「こうしたアプリが機密データを責任を持って扱い、信頼できる機能性を提供することを確かなものにするために」変更を加えた、とBBCは報じた。

2020年、多くの欧州のプライバシー専門家が、別の新型コロナ関連デジタルツールのための分散型プライバシー保護基準を考案するために結集した。このツールは、新型コロナにさらされたリスクを予測するBlutooth駆動の接触追跡アプリだ。AppleやGoogleが接触追跡のための分散型アプリのみをサポートすることを選んだにもかかわらず、(フランスのように)一部のEU加盟国は一元化されたシステムを選んだ。

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カテゴリー:ヘルステック
タグ:ヨーロッパワクチン新型コロナウイルス

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

Infinitusが医療企業を対象とした「新世代のロボコール」で22.6億円獲得

ロボット・プロセス・オートメーション(RPA)は、人がより複雑な作業に集中できるよう、AIやその他のテクノロジーを効果的に活用して反復的な作業を自動化することで企業のIT分野を支えてきた。Infinitusというスタートアップがこの概念を医療分野に適用し、分断された米国の医療業界における音声通信プロセスを高速化すべく、これまでの沈黙を破り忽然と姿を現した。

例えば、医療提供者や薬局が保険会社へ電話する場合、支払い承認や手続きの前に通常一般的な質問を相手側の人間に尋ねるが、Infinitusは「音声RPA」を用いて音声を機械で生成することでこのプロセスを代行するというサービスを提供している。これらの会話はその後Infinitusのプラットフォームに取り込まれ、関連情報を解析して適切なフィールドに入力され、必要なアクションへと繋げられる。

同スタートアップは「ステルスモード」から脱したところだが、実はすでに数年前から存在しており、医薬品卸大手のAmerisourceBergenなど多くの大手ヘルスケア企業と契約を結んでいる。また、現在のパンデミックをめぐる公衆衛生のための取り組みにもその技術を社会貢献として無償で提供しており、ある組織では現在、ワクチンの入手可能性についての情報を得て最も早くワクチンを必要としている層により早く接種できるようにするため、複数の州にまたがる大規模な通話システムを自動化すべくこの技術を活用している。

同社のシステムは2021年1月だけで1万2000の医療提供者に代わって7万5000件の電話をかけている。

Infinitusは大規模な資金調達とともに公に姿を表した。同社はビジネス構築のため、大物投資家グループからシリーズAの資金調達で2140万ドル(約22億6000万円)を得ている。

同ラウンドはKleiner PerkinsとCoatueが共同でリードしており、Gradient Ventures (Googleの初期AIファンド)、Quiet Capital、Firebolt Ventures、Tau Venturesの参加の他、Ian Goodfellow(イアン・グッドフェロー)氏、Gokul Rajaram(ゴクル・ラジャラム)氏、Aparna Chennapragada(アパルナ・チェンナプラガダ)氏、Qasar Younis(カサル・ユニス)氏などAIおよびビッグテック界で活躍するエグゼクティブからの個人投資も受けている。

CoatueはRPA分野において大規模な投資家になろうと目論んでおり、2月初めにはこの分野の有力企業であるUiPathへの最新の投資を共同で主導したことを明らかにしている。同社は前ラウンドにも参加している。

関連記事:業務自動化のUiPathが約790億円調達、IPOもまもなく

「InfinitusのシリーズAをリードすることができ大変光栄です。私たちは、RPAとエンタープライズオートメーションの変革力を大いに信じています。Infinitusの音声RPAソリューションは医療機関にとってコストのかかる手動の電話やファックス作業を自動化し、エンドツーエンドでのプロセス自動化のメリットを発揮してくれることでしょう」とCoatueのジェネラルパートナーYanda Erlich(ヤンダ・アーリック)氏は述べている。

Infinitusが取り組んでいる課題は、特に民営化が進んだ米国市場の医療分野でありがちな、わかりにくく時間がかかるお役所的な手続きの煩わしさである。そしてそのプロセスの中で最も煩わしいのが、エコシステム内の異なる段階での重要なコミュニケーションの基礎となる電話での通話にあることが多い。

電話は、重要な情報を入手したり書類や前回の会話を確認したり、データを渡したり支払いの手続きをしたりと、ほとんどのプロセスを始める際に使用されている。

米国ではこの種の通話が約9億件あり、1回の長さは平均35分となっている。こういった電話をかける必要のある事務職の医療従事者は、1日に平均して約4.5時間を電話に費やすことになる。

そしてこれが結果的に、サービス提供の遅れのみならず、米国の法外な医療コストや領収書上の謎の手数料の数々につながるわけだ(そして同社が取り組んでいるのは、こうした課題のほんの一部である)。

共同設立者兼CEOのAnkit Jain(アンキット・ジェイン)氏は、幾度となく起業家として活躍してきたGoogle出身者で、エンジニアリングの上級職や検索大手Gradientの創業パートナーを務めた経験を持つ。同氏はTechCrunchとのインタビューで、同氏がまだGradientにいた数年前にInfinitusのアイデアを初めて思いついたと教えてくれた。

「当時、テキストを音声に、音声をテキストにする音声通信技術に大きな改善が見られるようになっていました。機械が誰かと完全な会話を行えるような通話の自動化が、そのうち可能になると確信しました」。

実際、その頃にはGoogleがDuplexという同じ原理で作られたサービスを開始していたが、これは消費者を対象としたもので、レストランやその他さまざまなサービスなどの予約のために利用されることを目的としていた。

特殊な専門用語や特定のシナリオが多々ある医療業界のエンタープライズアプリケーションでは、人間のように自然な言葉を話せて理解できるかどうかだけが問題なのではないと同氏は判断した。

「医療分野のために誰かがこれを作るとしたら、医療業界は変わると思いました」と同氏。そして自身でそれを実行に移したのである。

ジェイン氏は、同氏が以前設立したQuettraの他、GoogleやSnapでも勤めた経験を持つShyam Rajagopalan(シャム・ラジャゴパラン)氏とともに同社を共同設立した。同氏によるとInfinitusはパブリッククラウドの音声テキスト化システムを利用しているが、会話から得た情報を格づけして利用するための自然言語処理やフローは社内で構築しているという。

コンテンツやインタラクションの特殊性も、同社が少なくとも今現在はRPA界の大手他社との競合をさほど気にしていない理由の1つだろう。

しかしジェイン氏はこのテクノロジーも競争と無縁ではないと述べている。つまり同社が医療以外の分野にも拡大していく可能性があるということを示唆するのと同時に、他の企業も同社の製品と戦えるようなものを作り出す可能性があるということだ。

まるで「人間のように」聞こえる、いわば新世代のロボコールともいえるこのようなサービスは、消費者向け製品が長らく目指してきたものだ。その試みはあまり順調ともいえないが、例えばDuplexは初期の頃、データを利用しながら回答を記録している機械と話しているということがユーザーには明らかではなかったため、優れた品質がむしろ詐欺的に聞こえると批判を受けていた。しかしInfinitusはロボットらしい声を意図的に選び、電話の受け手にその事実を明確にしているとジェイン氏は説明する。

これはまた「雑談を減らす」役割もあり、ユーザーが内容に集中できるようにするためでもあると同氏はいう。

同社のサービスも他社の音声RPAサービスと同じように動作し、会話が複雑になった場合には生身の人間が通話を引き継ぐことができるものの、実際にはあまり必要でないという。

「我々のシステムは十分に高い成功率を見せているので、人間が関わる必要はありません」と同氏は語る。

医療業界での電話による通話自体を廃止してしまえば良いのではとお考えの読者もいることだろう。通話の行為が時代遅れといわれるような、データ交換の新たな方法が他にいくらでもあるだろう。しかしジェイン氏によると、少なくとも今のところはこれがすぐに変わることはないという。

その理由の1つは、市場が断片化されているため、無数の保険金支払者、医療提供者、製薬グループ、請求書発行および回収組織などに対する新しい基準を全面的に導入することが困難であるということにある。

そして結局のところ、何百種類もの決済会社などを扱う事務職員にとっては、電話での通話が最も簡単な手段なのだ。

「認知的な負荷が高いため、電話をかけるのが結局は一番楽な方法なのです」とジェイン氏はいう。

Infinitusのような音声RPAの導入は、大規模なシステムのアップデートに向けた長期戦のほんの一部である。

「どちらか一方が自動化することで、もう片方の側にも自動化が可能だということを示すことができます。今はあまりにも多くの関係者がいるため同じ基準を採用するよう説得するのは大変な作業ですが、少しずつ成功させていく以外ありません。最終的な着地点は従来の音声による通話ではないはずです。そして大多数が何か別のものを基準とすることに合意できた場合、世界は前進するはずです」とジェイン氏は語る。

カテゴリー:ヘルステック
タグ:RPAInfinitus資金調達

画像クレジット:panda3800 / Shutterstock

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

AIによる頭髪診断・対策支援から専門家への相談まで可能な国内初のAGA・男性型脱毛症アプリHIXが4000万円調達

男性向けパーソナルケアのトップランナーを目指す、国内初のAGA・男性型脱毛症アプリHIXが4000万円調達

国内初のAGA(男性型脱毛症)管理アプリ「HIX」(ヒックス。Android版iOS版)の開発・運営を手がけるエムボックスは2月24日、シードラウンドにおいて、総額約4000万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、ジェネシア・ベンチャーズ、守屋実氏。

HIXは、スマホアプリで薄毛診断から対策までワンストップで完結するというサービス。調達した資金は、「HIXのさらなる機能開発」「マーケティングへの投資」「製品開発」の3点などにあてる。

HIXのさらなる機能開発では、まずアプリの新たな機能開発やUX/UIを改善するという。これにより、HIXが薄毛に悩むユーザーにとって、パーソナルケアの面で最も身近で頼りにできるサービスになることを目指す。

また、現在は画像判定後の診断は最終的に毛髪診断士の承認を経て行っており、これをAI診断による完全自動化を行いオペレーション効率を向上させるとしている。

マーケティング体制の強化では、新規顧客獲得を目的に、ウェブやSNS、動画投稿サイトを活用したインハウスマーケティングを行い、潜在顧客へ効率よくリーチできる体制を構築する。

またHIXでは、すでにアプリや公式サイトを通じてPB (プライベートブランド)医薬品である発毛剤や栄養補助サプリメントなどの提供を行っており、今後製品開発とブランディングをさらに強化するとしている。

男性向けパーソナルケアのトップランナーを目指す、国内初のAGA・男性型脱毛症アプリHIXが4000万円調達

PB (プライベートブランド)医薬品として、発毛剤や栄養補助サプリメント、マイクロスコープをすでに展開している。これをさらに拡充する

自宅で頭髪の状況を確認できるAGA管理アプリ「HIX」

HIXは、AI(人工知能)を用いた画像判定技術と、AGA専門医監修の対策支援アルゴリズムを搭載。自宅で薄毛診断ができ、この診断結果に基づいた信頼性の高いヘアケアを行えるというスマートフォンアプリ。

2020年7月にiOS用β版をリリースしており、この公開から約半年で累計ダウンロード数は約1000件、診断画像数は3000件超となったという。

男性向けパーソナルケアのトップランナーを目指す、国内初のAGA・男性型脱毛症アプリHIXが4000万円調達

ユーザーは、HIX(のカメラ機能)で髪と頭皮の画像を撮影・送信し問診に回答すると、薄毛・AGAの進行状態を診断し、各ユーザーに合った対策方法を提案する。この提案では、AGA専門医と連携し、普段の診察で行っている診断・治療方針決定などをアルゴリズムとして構築したという。

さらにHIXでは、アプリからカウンセラーにチャットで相談を行ったり、発毛剤(医薬品)などを購入したりも可能。自宅で手軽にヘアケアを行えるようにしている。

エムボックスによると、HIXユーザーからは、自分で行った対策を記録できることや効果の進捗をすぐ確認できる利便性が評価されているという。

薄毛に悩む方は、クリニックなどを受診しない限り、セルフチェックしか診断手段はなく、予防・治療方法はインターネットで検索し、非常に多くの情報の中から選択しなければならない状況にある。適切な情報や、自分にあった商品を選択するために多くの時間と労力を費やす必要があるという。

また一般的に、市販の育毛剤や発毛剤は毎月6000~7000円程度要すること、パッケージデザインも中高年向けであることから、ミレニアル世代にとっては敷居の高い商品となっているそうだ。

男性向けパーソナルケアのトップランナーを目指す、国内初のAGA・男性型脱毛症アプリHIXが4000万円調達

これら課題の解決として、HIXでは、「手軽さ」「不安の軽減」を提供するとしている。

HIXでは、スマホひとつで無料でいつでも本格的な薄毛診断ができ、自分にあった効果的な予防や対策法を把握可能としている。また、アプリから効果が実証された医薬品などのヘアケア商品をリーズナブルな価格で購入したり、AGAクリニックのオンライン診療の予約も行える。

またHIXでは、クリニックや専門機関へ通院しなくとも、薄毛の進行状態や原因を正しく把握でき、自分にあった予防や対策方法が明確になるとしている。

また、チャットでカウンセラーに薄毛の悩みや不安を相談できたり、対策の効果を確認したりできることから、漠然とした不安を軽減可能という。

男性向けパーソナルケアの先頭を切りたい

創業メンバーである代表取締役CEOの金澤大介氏と取締役COOの小西裕介氏は、クリニックや薬局の運営経験から、薄毛や多汗症、ニキビなどのパーソナルヘルス領域での治療や服薬支援に従事してきた。毛髪や肌の病気は見た目の悩みにつながるため、症状を抱えている人は気持ちの沈みが大きく、QOLが低下してしまいがちという。その中でも、特に悩みが深いのが男性のAGA(男性型脱毛症)としている。

日本国内には薄毛に悩む男性は、約1200万人(日本醫事新報)とされるものの、医療機関を受診する物理的・心理的ハードルが高く、適切な治療を受けている人が少ないという。結果的にインターネットの間違った情報を選択し、効果が期待しにくい商品に手を出してしまうケースが多くあるそうだ。こういった人に手軽に毛髪状態が診断でき、正しい知識と適切な対策(商品)を手に入れられる環境があれば、不安や悩みを軽減できると考え、サービスの立ち上げに至ったという。

金澤氏によると、アンチエイジングや美容、フェムテックはじめ、アメリカでは女性向けパーソナルケアがまず盛り上がりをみせ、男性対象のものが続く形だったという。同氏は、日本でも同じ軌跡をたどると考えており、男性のパーソナルヘルスケア領域、特に薄毛対策において、エムボックスがその先頭を切りたいと明かした。現状ではオープンに語りにくいもの、恥ずかしいものという意識があるため、HIXを通じて男性向けパーソナル領域を変えていきたいとしていた。

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遠隔医療従事者にオンデマンド在宅検査を提供するAxle Health

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック期間中に遠隔医療サービスの利用が急増しているが、診断検査のために医療従事者が近くにいなくてはならない場面もある。現在Y Combinatorに在籍しているAxle Healthは、遠隔医療会社と協力してバーチャルと対面のギャップを埋めようとしている。

「自宅に派遣する医療従事者は瀉血専門医、メディカルアシスタント(MA)、准看護師、および看護師です」とAxleの共同創業者であるConnor Hailey(コナー・ヘイリー)氏は語った。

悲しい現状を反映して、会社が受ける電話のほとんどが新型コロナ関連だとヘイリー氏はいう。

また、現在同社は健康保険を受けつけていないが、ヘイリー氏によると、同プラットフォーム上の多くの会社が、患者には自己負担分を請求し、その後保険会社から払い戻しを受けている。

「現金で支払っている患者はほとんどいません。私たちの在宅向けサービスは自己負担なのです」とヘイリー氏はいう。料金は訪問する医療従事者の免許資格によって変わる。

同社の最大のパートナーであるSameday Healthは、在宅PCR検査の料金は250ドル(約2万6300円)で、保険適用はなく自己負担だとヘイリー氏は言った。ヘイリー氏とSamedayは、近々保険適用の在宅PCR検査を100ドル(約1万500円)の往診料金でできるよう計画している。

Axle Healthは2021年1月末にこのサービスを開始し、治療の範囲を新型コロナウイルス感染症検査以外にも広げる考えだが、現在は市場の要求に答えているだけだという。

ヘイリー氏は、ZocDocで数年働き、Uberにしばらく在籍した後この会社を立ち上げた。ヘイリー氏と共同ファウンダーのAdam Stansell(アダム・スタンセル)氏を突き動かしたのは、同じようなコンセルジュサービスを幅広い患者に低価格で提供したいという思いだった。

「裕福な人々は在宅医療を利用できます。私たちはこれを低価格にして誰でも使えるようにします」

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タグ:Axle Health遠隔医療新型コロナウイルスY Combinator

画像クレジット:Bloomberg / Contributor / Getty Images

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Nob Takahashi / facebook

メンタルヘルスの維持・改善を自動で行うシステムなど手がけるWorld Life Mappingが資金調達

メンタルヘルスの維持・改善を自動で行うシステムなど手がけるWorld Life Mappingが資金調達

World Life Mapping(WLM。ワールドライフマッピング)は2月22日、シードラウンドにおいて、第三者割当増資による資金調達を発表した。調達額は非公開。引受先はCYBERDYNE(サイバーダイン)。業務提携もあわせて実施し、精神状態の維持・改善を自動で行うシステムなどの開発・展開を加速させる。

2019年7月設立のWLMは、AIなどの技術を活用して人の精神状態をより良く保つためのサービスやシステムを開発。調達した資金により、主たる事業である一人ひとりの精神状態の特徴を推定し、メンタルヘルスの維持・改善を自動で行うシステム、人と人とをつなげるシステムの研究開発および製品化を進めていく。これらプロダクトを通じて、職場や学校が働く人や学生にとって心理的安全性の高い状態を保てるようにすることで、メンタルヘルスの安定や向上を図っていくとしている。

メンタルヘルス悪化の原因となりうる考え方などが人格形成期である幼少期の出来事などに起因する場合があることから、子育て領域での研究も行う。

またWLMは、サイバーダインとともに脳科学や心理学、経済学、工学、医学など、異分野を融合複合させた新しい学術的知見を通して、人々のメンタルヘルスを支援するサービスやシステムの開発・展開を目指す。

2019年7月設立のWLMは、「孤独に悩む人をゼロにする」をビジョンに掲げ、人の脳のニューラルネットワークの構成にどのように影響を与えていくかという視点を持ち、脳科学や心理学、経済学、工学、医学といった領域の論文や先人の方々の知見、悩みを乗り越えた人の考え方などを基に、実用性に留意し、メンタルヘルスケアのシステム・サービスを開発していくとしている。

人と人をよりよくつなげるとともに、適切なタイミングで個々人にあった支援策を提供することなどを通じて、心理的安全性を保ち、より多くの人がより多くの時間を笑って暮らせる世界を目指すという。

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タグ:AI / 人工知能(用語)資金調達(用語)メンタルヘルス(用語)World Life Mapping日本(国・地域)

ユーザーを維持するのは人とのつながり、瞑想にソーシャル要素を加えるChorus

瞑想アプリのChorus(コーラス)は2020年3月16日にオンライン体験をローンチした。このタイミングは、運が良かったともいえる。それは奇しくも、地元カリフォルニア州で、7つの自治体の保健所が共同で屋内退避命令を出したのと同じ日だった。

数え切れないほどの他の企業と同様に、2020年は同社の計画どおりにはいかなかった。しかし、同社のサイトは、「体験的」ハイブリッドな対面クラスを完全にバーチャルなインターフェイスに転換するために奔走した。最終的にはそれがかえって良い結果を生んだかもしれない。

もちろん昨今、瞑想アプリの選択肢には事欠かない。CalmとHeadspaceがリストのトップに位置するが、ユーザーたちは、テクノロジーが直接の原因となっているストレスの一部を軽減するために(皮肉なことに)テクノロジーに注目しており、マインドフルネスのカテゴリーは非常に人気があることが証明されている。

しかし、瞑想は難しい。それを始めるのは難しいし、維持するのも難しい。アプリによっては、そのプロセスで他よりもうまくユーザーをガイドしてくれるものもあるが、それでも孤独な体験のように感じることが多い。これは人々が、効果を実感する前に習慣を投げ出してしまう原因の1つだ。

Chorusは初期の対面イベントですでに成功を収めていた。共同設立者兼CEOのAli Abramovitz(アリ・アブラモヴィッツ)氏はTechCrunchにこう語った。「最も没入感のある最初の体験を提供してくれるので、ほとんどのユーザーにとってはこれが第一歩でなくてはと考えていました。サンフランシスコで対面ポップアップを実施しました」。

同社はまた、約100万ドル(約1億円)のプレシードラウンドを調達することに成功した。さらに最近では、Y Combinatorの2021年冬バッチのスタートアップの一部として追加の出資を受けている。

公式アプリは近日発表の予定だ。今のところ、体験のサインアップはウェブポータルを通しており、実際のクラスはZoomを介してライブで行われ、オンデマンド視聴のためにアーカイブされている。これは多くのジムやパーソナルトレーナーがパンデミックの間に利用しているセットアップに似ている。最も洗練されたものではないが、アブラモヴィッツ氏によると、Chorusのユーザー数は現在「数千人」に達しており、実際の数字は明らかにしていないが、主に口コミによるものだという。

月額40ドル(約4200円)の料金を支払う数百人のユーザーのうち、約3分の2が「非常に熱心に参加している」と分類されており、これは平均して1日おきにクラスに参加していることを意味する(対して、約1050円でドロップイン参加もできる)。同社のサービスは、人気のある曲をベースにした呼吸法で人々を惹きつけ、他の多くの瞑想アプリと比べより共同の体験を提供することで、ユーザーの関心を保っている。

「当社が解決しようとしている問題には、2つの部分があります」とアブラモヴィッツ氏はいう。「もともと私たちは、特に瞑想が難しいと感じている人たちのために、新しい瞑想体験をデザインしていると考えていました。顧客がクラスの後に居残って語り合う姿を見た後、私たちが学んだことは、人々をまた戻って来させるものは、自分自身や他の人とつながるための新しい方法だということです」。

同社の体験は、対面式のクラスで得られる体験をバーチャルにしたもので、つまり、クラスの後に仲間の参加者と交流できるようになっている。社会的に孤立した時代にあって、ユーザーがこのような体験に特に興味を持つ理由は明らかだ。

パンデミック後の世界でこの体験がどのようなものになるかについては、同社は今後もユーザーのニーズに合わせて適応していく予定だという。

「当社は基本的に体験を提供する会社です」とアブラモヴィッツ氏は語る。「私たちは、従来の瞑想は取っつきにくいと感じていた人々のための瞑想体験の会社です。それが当社のコアです。当社はプラットフォームやチャネルを問わず、私たちのコミュニティにとって最高の体験を提供していきます。今はアプリがそれです。将来的にはコミュニティのために、VRのようなハードウェアデバイスを導入したり、Pelotonのような戦略的なスタジオになるかもしれません。しかし、今はデジタル体験に集中しています」。

関連記事:瞑想とマインドフルネスのアプリは新型コロナ禍で急成長中

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タグ:Chorus瞑想資金調達

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(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)

プレシジョンが一般向け医学情報サイト公開、診療所向けにAI診療支援システムも期間限定で無償提供

プレシジョンが一般向け医学情報サイト公開、診療所向けにAI診療支援システムも期間限定で無償提供

プレシジョンは2月17日、2000名の著名医師による医学情報データベースを活用し、一般向け医学情報サイト「お医者さんオンライン」として無償公開した。また診療所向けのAI診療支援システムについて、2022年3月末まで月額利用料を無償化し提供すると発表した。

医学情報サイト「お医者さんオンライン」

お医者さんオンラインは、気になる病気や検査・治療について調べられる資料集。体調に不安を感じても病院を受診しづらいコロナ禍において、専門医が監修する信頼度の高い情報が参考になればとサイトを開設したという。

プレシジョンが医療機関に提供している医学情報データベース「Current Decision Support」(CDS)の情報と同一の内容で、これまで診察後に説明資料として医師から患者に印刷して渡すなどの形で使用されていたものを活用している。

お医者さんオンラインの情報内容については、国を代表する著名医師7名からなる総合編集委員会を中心に、各診療科22領域23名の権威ある医師を監修者とし大学教授など信頼のおける約500名の医師を選定。約700の疾患についてイラスト付きで症状や原因・治療の流れなどの解説を閲覧できる。

例えば、新型コロナウイルス感染症に関する説明ページの著書は国立国際医療研究センター 国際感染症センター総合感染症科の忽那賢志先生で、監修は国立国際医療研究センター 国際感染症センター長の大曲貴夫先生が担当している。

プレシジョンが一般向け医学情報サイト公開、診療所向けにAI診療支援システムも期間限定で無償提供

医学情報データベース「Current Decision Support」とAI問診票「今日の問診票」

プレシジョンでは、CDSとAI問診票「今日の問診票」アプリを組み合わせ、国内初のAIを用いた本格診療支援システムを開発。東京大学工学院工学系研究科の松尾豊教授がAIアドバイザーを務めている。

また、2020年4月から提供を開始しており、これまで全国35の医療機関が導入を決めているそうだ。

CDSは、総合編集委員計14名、監修41名、2000名の著名医師が作成・更新。3000疾患700病状の所見、全処方薬情報を掲載する「次世代診療マニュアル」にあたり、国内最大級の情報量となっているという。

プレシジョンが一般向け医学情報サイト公開、診療所向けにAI診療支援システムも期間限定で無償提供

今日の問診票は、診療録作成から教科書検索までをサポートする、タブレットやスマートフォン用問診票アプリ。タブレット入力やお薬手帳のOCRで、初診カルテ作成にかかる時間を1/3に削減するという。

患者が診察を受ける前に今日の問診票アプリの約30の質問に答えると、AIが自然文で電子カルテの下書きおよび検索単語の候補を作成。その検索単語により、著名医師が記載する電子教科書の診療マニュアルを検索できる。また診療マニュアルには、著名医師が考える病気の候補と、検査例、処方例が記載されている。

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スーパーのキャッシュレス決済から栄養バランスが整う食材・レシピを提案する「SIRU+」アプリが5億円調達

スーパーのキャッシュレス決済から栄養バランスが整う食材・レシピを提案する「SIRU+」アプリが5億円調達

キャッシュレス決済連動の栄養管理アプリ「SIRU+」(シルタス。Android版iOS版)を運営するシルタスは2月18日、第三者割当増資による約5億円の資金調達を発表した。

引受先は、ギフティ、テックアクセル1号投資事業有限責任組合(合同会社テックアクセルベンチャーズ)、シティクリエイションホールディングス、インテージの計4社。

調達した資金により、SIRU+のサービス拡大、小売業へのDX支援サービス拡大にあて、以下の取り組みを推進する。

  • 連携スーパーの拡大:買い物客はひとつの店舗で買い物をするわけではないので、SIRU+が使えるスーパーやコンビニエンスストアを増やす必要がある。アプリ導入済みスーパーとの実証実験で得た知見をもとに、連携スーパーを拡大する
  • SIRU+ならびにSIRU+Bizの改善:SIRU+データを活用して、小売業や食品メーカー向けに買い物客の健康ニーズを分析するツール「SIRU+ Biz」を2020年11月にリリース。SIRU+ならびにSIRU+Bizの機能を改善し、利用者ならびに利用企業の増加を狙う
  • 外部サービスへの拡張:ECやサイネージ、スマートカートなどと連携することで、決済前に自分の栄養状態を見ながら買い物ができる環境を構築

スーパーのキャッシュレス決済から栄養バランスが整う食材・レシピを提案する「SIRU+」アプリが5億円調達

SIRU+はキャッシュレス決済と連動して買い物データを自動で栄養分析し、栄養バランスが整う食材やレシピを提案するスマホアプリ。日常生活の一部である買い物から健康的な食生活を目指す「頑張らないヘルスケアアプリ」という。

SIRU+を繰り返し利用すると、ユーザーの食の好みを機械学習し、個人の食生活に合わせて最適な買い物を提案するようになる。2020年4月に食材入力機能を追加しており、対象スーパー以外で購入した食品なども登録できるようになった。

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Notable Healthはインテリジェントな自動化で新型コロナワクチン管理の効率化を目指す

効率的かつコストパフォーマンスの高い新型コロナウイルスワクチンの配布は、2021年最大の課題の1つであり、Notable Healthは自動化プラットフォームを提供し、支援しようとしている。

2017年にスタートアップが創立された当初、Notable Healthは全米で年間2500億ドル(約26兆5000億円)にもなるヘルスケアの管理コストの削減を目指していた。ヘルスビジネスにおける管理部門には、時間のかかる反復的かつ単純なタスクが膨大に存在するため、自動化には大きなメリットがあった。しかしパンデミック以後、Notable Healthはワクチン接種プロセスの管理にこのテクノロジーを適用することを考え、2021年に1月に具体的計画を発表した。

Notable Healthの医療担当ディレクターであるMuthu Alagappan(ムトゥ・アラガパン)氏はTechCrunchのインタビューに対して「私は内科医として診療の現場を熟知していますが、新たな患者に治療を開始するには90ステップ程度の処理が必要です。我々はこれらの処理の大部分は自動化できると信じています」と述べた。

Notable Healthの核心となるテクノロジーは従来からあるRPA(ロボッティック・プロセス・オートメーション)、NLP(自然言語処理)と機械学習を組み合わせて新型コロナワクチンを接種すべき患者を発見できるプラットフォームだ。このプラットフォームは病院システムの電子カルテのデータと総合しワクチン接種を受ける資格がある患者を判別し、予約を受けつけることができる。またこの際、新型コロナウイルスに関する情報を提供し、各種の啓蒙的リソースに誘導する。

NotableHealthの戦略アドバイザーであり、バイデン大統領の新型コロナウイルス感染症関連政権移行チームのメンバーでもあるEzekiel Emanuel(エゼキエル・エマニュエル)博士は 「このプラットフォームは接種資格がある患者の判別、患者への周知、啓蒙に加え医療機関側のトリアージでもインテリジェント化、自動化を活用します。これにより医療システムを効率化し公平なワクチン接種のワークフローを実現できます」とプレスリリースで述べている。

ワクチン接種の予約は、特に高齢の人々にとって難しい作業だ。医療機関のウェブサイトをナビゲーションするのに苦労している人々が多いことが報告されている。アラガパン博士はこれをサイトのデザイン上の欠陥のせいだと考えている。「人々は悪いテクノロジーの実例に出会うことが多いため、テクノロジー全体が悪い印象を得てしまいがち」だという。

Notable Healthはシンプルで洗練されたアプローチを通じてユーザーと会話しようとしており、ユーザーに対しては「基本的かつ誰でも覚えているような情報」のみをテキストメッセージとして求める。博士は「ユーザーの使い勝手を念頭に置いたデザインであるため、高齢者ユーザーに対しても優れたエンゲージメント率を維持できていると思います」と述べた。

このプラットフォームの当面の効果は、病院や医療システムがワクチン接種の効率化を図るために役立つことだ。しかしRPAとNLPの適用は将来、医療システム全般における最適化を実現するのに役立つに違いない。他のビジネス分野ではオートメーション化テクノロジーによりすでに数十億ドル(数千億円)の評価額を得て投資家の強い関心を引き寄せているスタートアップがいくつも存在する。

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ヘルスケア分野でも今後数年間でAI(人工知能)は急成長すると予想されている。アラガパン博士はヘルスケア業務の大幅な改善には、利用しやすい既存のインテリジェント化テクノロジーとAIを組み合わせることが重要だと考えている。

我々がインテリジェント化、自動化というとき、実は2つの側面が含まれています。AIは『何をすべきか』を教え、ロボットプロセス自動化は『実行方法』を教えてくれます。この複合的アプローチによりNotable Healthはヘルスケア管理業務上の煩雑な手続きを回避し、システムに効率的かつ柔軟な方法でタスクを実行する具体的な指示を与えます。

Notable Healthはワクチン接種のロジスティクス、特に適格者の発見、選別と予約受付にプラットフォームを使用するためにすでに複数の州の病院システムと協力している。現在このプラットフォームは1日あたり数万人の適格者にワクチン接種を受けるよう連絡している。

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画像クレジット:Notable Health

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(文:Sophie Burkholder、翻訳:滑川海彦@Facebook

マインドフルネス入門に最適、コロナ禍の不安解消やClubhouse疲れにも有効な瞑想アプリ「Calm」をレビュー

TechCrunch Japan読者の皆さんの中には、コロナ過で日々が不安で眠れない、もしくは最近大流行のClubhouseにハマりすぎて睡眠不足という人も少なくないのではないだろうか。ストレス軽減方法はいくつかあるが、そんな中でも、「今この瞬間に意識を向ける」という概念であるマインドフルネスは、コロナ禍以前から女性を中心に人気であった。スピリチュアルなものに思われがちな瞑想という言葉だが、マサチューセッツ工科大学のJon Kabat-Zinn教授(ジョン・カバット・ジン教授)などが、医学的にもストレス軽減効果があると発表し始めたことで、瞑想やヨガは日常生活に取り入れられてきている。

今回は、そんな瞑想アプリの1つである「Calm」の日本語版がリリースされたので、その体験記をお届けする。

ASMRから内省ツールまで揃う

カリフォルニア発で、メンタルヘルス業界のユニコーンで資金調達も順調なCalmは、190カ国7カ国語で利用可能。日本語版は2020年12月にリリースされた(Android版iOS版)。利用料金は年間6500円だが、現在7日間の無料版でお試し可能だ。

アプリをインストールすると、最初に目的を聞かれ、これに沿った毎日の内省プログラムを提供してくれる。アカウントはメールアドレス、Facebook連携、Apple ID連携で作成可能だ。

トップ画面では、美しい自然風景とともに、早速ヒーリングミュージックが流れる。フッターメニューは5つで、左の画像はマイページのもの。お気に入りに入れた音楽や、本日の内省タスクが並ぶ。

睡眠メニューを選ぶと中央の画像が表示される。雨の音、火の音、電車の音、猫の声、扇風機や洗濯機の音など、YouTubeでもPVが伸びている聴覚や視覚から刺激を受けることで感じる心地よさを意味する「ASMR(Autonomous Sensory Meridian Response)」系の音が並ぶ。その他にも心が落ち着くインストゥルメンタル・ミュージックや、ナレーターが30分から60分程度のショートストーリーを読み聞かせしてくれるスリープストーリーという機能がある。英語版アプリでは俳優のMatthew McConaughey(マシュー・マコノヒー)やKate Winslet(ケイト・ウィンスレット)が寝かしつけてくれることが話題になったが、日本語版アプリでは日本語のストーリーが用意されており、映画の吹き替えを担当する声優やナレーターの語りとともに眠りにつくことができる。

各サウンドは、タイマーをつけて、寝付くまでの指定の時間の間流し続けるということもでき、これが睡眠導入として大変効果的だ。バックグラウンド再生も可能なので、スマートフォンをスリープ状態にしても問題ない。

実際に私はCalmを使った初日に音楽の1つを15分タイマーをかけてベッドに入ったが、最近寝付くまでに2時間程度かかっていたところが、音楽の停止もわからないほどあっさりと眠りにつくことができた。

スリープストーリーの機能でも、言語が入っていると、言葉を聴こうと意識してしまい逆に眠れないのではないかと思っていたが、意外と語りかけられる優しい口調に安堵してしまい、話を聞いていたいのに眠ってしまうという感覚になった。

瞑想メニューでは、最初に選んだ「Calmを使う目的」に沿って、抱える課題を解決するためのレクチャーを受けることができる。ストーリーテリング方式で、自然の音をBGMにしながら、講師が穏やかにストレス解消や不安緩和の方法を教えてくれる。こちらは睡眠導入というよりは、日中や寝る前の瞑想状態やヨガの際に用いるもの。一つ15分程度なので目を閉じてヨガやストレッチをしながら学ぶのにぴったりだ。

Calmの特徴は、何と言っても度々自分の状態を問いかけてくれるところにあるだろう。忙しい日々の中では、自分が疲れていることやどういう精神状態にあるかを振り返る機会もなかなかない。寝る前に、メディテーションミュージックをSpotifyを流すだけでは(ましてや広告に意識を遮られながらでは)ダメで、Calmを開く習慣そのものがマインドフルネスの習慣となっていくということが体験できた。

Clubhouseにそろそろ疲れてきたという読者のみなさんは、時には定番の寝落ちではなく、Calmで穏やかな睡眠についてみてはいかがだろうか。

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タグ:メンタルヘルス レビュー

 

環境アレルギーを滴剤で治療するWyndlyは2022年までに全米50州でのサービス提供を目指す

慢性のアレルギー患者は、説明されなくても季節性アレルギーや環境アレルギーの不快感をよく知っている。アレルギー注射についても、知っているかもしれない。それは、毎週または毎月診療所へ行って注射をしてもらう治療法だ。しかし、まだ知られていない治療法もある。あまり手間がかからないアレルギー滴剤だ。Y Combinatorの現在のコースを受講しているWyndlyは、アレルギー滴剤の普及を目指している。

耳鼻咽喉科の医師であるManan Shah(マナン・シャー)博士はパンデミック以前に、患者に診察を受けてもらい、アレルギーの誘因と戦う免疫システムを訓練するために、パーソナライズされたアレルギー滴剤を処方ししていた。新型コロナウイルス(COVID-19)が大流行して以降、シャー博士はアレルギーで悩む患者を遠隔医療で診療するようになった。それがうまくいったため、シャー博士と彼のいとこであるAakash Shah(アーカシュ・シャー)氏は、アイデアをY Combinatorに持ち込んだ。彼らのやり方がコロラド州デンバーで成功したことを話し、全国に広めたいと希望を述べた。

Wyndlyでは、シャー博士がアレルギーの検査と治療の両方を遠隔医療で行う。アレルギー滴剤は、アレルギー注射と違い自宅で施薬できる。Wyndlyが現在、猫や犬、チリダニ、花粉、木、芝生、雑草などが原因となる環境アレルギーの治療を対象としている。

「他の方法があることを知らない人がとても多い。ほとんどの人が、アレルギーの治療法として注射と、毎日、抗ヒスタミン剤を服用することしか知りません。うちではみんなにこんなにすばらしい、そして簡単便利な治療法があることを伝えています」とシャー博士はいう。

Wyndlyはまず、患者のアレルギーを評価する。患者は最近のアレルギー検査の結果をWyndlyに提出してもいいし、Wyndlyの患者が自宅でやる指さし検査を利用してもよい。その後、Wyndlyは患者のためそれぞれに合わせてアレルギー滴剤を作って患者の自宅に送る。滴剤は1日に1回、舌の下に5滴垂らす。シャー博士によると、滴剤を毎日6カ月間、滴下するとほとんどの患者の症状が軽くなるという。

Wyndlyの滴剤治療は1カ月99ドル(約1万400円)で、6カ月では合計594ドル(約6万2300円)になる。治療を受ければアレルギー検査は無料だが、Wyndlyの患者にならず、検査だけだと200ドル(約2万1000円)となる。

アレルギー滴剤治療は簡単だが、アレルギー注射と違い保険の対象にならない場合が多い。Wyndlyは、保険でカバーされた場合のアレルギー注射と関連治療での費用と同額程度にしたいという。

なお、このアレルギー滴剤はFDA(米食品医薬品局)の承認まだ下りていない。使っている薬剤はFDAがアレルギー注射で承認しているものと同様だが、それらの複合剤としての薬剤は未承認だという。

Wyndlyは将来的に、食べ物アレルギーも治療したいが、シャー博士によると、まだその安全性に関する十分なデータがないそうとのことだ。

「研究を進めて、食べ物アレルギーの分野でも安全性のコンセンサスに到達したいと考えています」とシャー博士はいう。

WyndlyはY Combinatorに在籍してから1カ月ほどで、現在、サービスを徐々に拡大している。医師とのパートナーシップを通じてWyndlyは全米38州でサービスを提供しているが、2022年末までに同社は50州すべてに進出したいと考えている。

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タグ:Wyndly遠隔医療アレルギー

画像クレジット:Wyndly

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(文:Megan Rose Dickey、翻訳:Hiroshi Iwatani)

腕に貼ったセンサーにスマホをかざすだけで血糖値を確認できる「FreeStyleリブレLink」アプリ

アボットジャパンが「FreeStyleリブレLink」アプリ(iOS版)の国内提供を開始しました。

「FreeStyleリブレLink」は、上腕に貼ることで最長14日間血糖値を計測する「FreeStyleリブレ」センサーと連携するスマホアプリです。センサーに服の上などからスマートフォンをかざすことで、現在のグルコース値や直近8時間の血糖変動を確認できます。

「FreeStyleリブレLink」に保存される最長90日間のデータは、クラウドベースの糖尿病管理システム「リブレView」と連携した場合、自動的にアップロードされ、医師と共有可能。指先穿刺によって得られるピンポイントでの値と比べ、詳細な血糖データや過去の履歴、傾向などが把握できるため、オンライン診療においても役立ちます。

アプリは現時点でiPhone(iPhone 7以上、iOS 13.2以上)に対応。Android版も近日公開されます、同アプリは海外ではすでに公開されていましたが、ようやくの国内提供となった形です。

腕に貼ったセンサーにスマホをかざすだけで血糖値を確認できる「FreeStyleリブレLink」アプリ

Engadget日本版より転載)

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