荷降ろしロボットを手がけるMITのスピンオフPickleが約6200万円の資金を調達

この1年間がロボティクス業界にとって大きな分岐点となったことは間違いない。在宅勤務などの労働力不足が続く中、企業は事業を継続させる手段として、特に倉庫や物流の自動化を推し進めてきた。

MITのスピンオフ企業であるPickle(ピックル)は、新たにこの分野に参入したスタートアップ企業の1つだ。同社は限られた資金と小規模なチームで創業したが、最近はその片方を大きく変えた。ホットな投資のニュースが続く今週、同社は57万ドル(約6200万円)の資金を調達したと、TechCrunchに明かした。このシードラウンドは、Hyperplane(ハイパープレーン)が主導し、Third Kind Venture Capital(サード・カインド・ベンチャー・キャピタル)、Box Group(ボックス・グループ)、Version One Ventures(バージョン・ワン・ベンチャーズ)などの投資会社が参加した。

Pickleは、その「Dill」と名づけられた最初のロボット(明らかに狙ったネーミングに違いない)の性能について、かなり大きな主張をしている。同社によれば、このロボットは、トレーラーの荷台から1時間に1600個の荷物を拾い上げることができるという。この数字は「競合他社の2倍のスピード」にあたると、同社は謳っている。

CEOのAndrew Meyer(アンドリュー・マイヤー)氏によると、その鍵はロボットと人間の協業にあるという。「私たちは最初から人をシステムに組み込んで、特定の問題に焦点を当てました。それは、搬入口での荷物の処理です。私たちは、完全に無人で動作するシステムや、世の中にあるすべてのロボットの問題を解決できるシステムを作ろうという愚行には手を染めませんでした」。

トレーラーの荷降ろしを対象としたPickle最初の製品は、2021年6月に受注を開始し、2022年初頭の出荷を予定している。

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カーネギーメロン大学のヘビ型ロボが泳ぎをマスター

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画像クレジット:Pickle

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

カーネギーメロン大学のヘビ型ロボが泳ぎをマスター

カーネギーメロン大学(CMU)のロボット工学研究室では、ヘビ型ロボットがすっかり名物のようになっている。筆者が同校を訪れる度に、この生体模倣ロボットは新しいスキルを習得しているようだ。そして今週、その技に水泳が加わったことが、同校から発表された。

このヘビ型ロボットには、水中ナビゲーション用の新しいハウジングが取り付けられ、2021年3月には実際にCMUのプールでテストが開始された。このプロジェクトは2020年7月に始まったというが「これほど速く動かせるようになったことに驚いています」と、Howie Choset(ハウィー・チョセット)教授は、今回の発表に関連するリリースの中で述べている。「その秘密はモジュール化と、CMUでこの技術を研究している人々にあります」。

画像クレジット:CMU

このHUMRS(Hardened Underwater Modular Robot Snake、強化型水中モジュール式ヘビ型ロボット)は、ARM(先進ロボット工学製造)研究所の助成を受けて開発された。

陸上用のヘビ型ロボットは、他の一般的な構造によるロボットでは入れないような、パイプなどの狭い場所にも入ることができるという特長がある。水中でも同様の機能を発揮する。今回のプロジェクトでは、国防総省による使用が想定されており、特に潜水艦や戦艦、その他の船舶の損傷を検知する検査機能が期待されている。

画像クレジット:CMU

非軍事分野では、リグやタンク、水中のパイプなどの検査に使用される。

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画像クレジット:CMU

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

手術支援ロボットを手がけるMemicが約105億円の資金を調達

Memic(メミック)は、ロボット支援手術プラットフォームの開発を手がけ、最近、米国食品医薬品局から販売承認を取得したスタートアップ企業だ。同社は米国時間4月12日、9600万ドル(約105億円)を調達してシリーズD投資ラウンドを完了したと発表した。このラウンドはPeregrine Ventures(ペレグリン・ベンチャーズ)とCeros(セロス)が主導し、OurCrowd(アワークラウド)とAccelmed(アクセルメッド)が参加した。同社は今回の資金調達により、米国内でのプラットフォームの商業化と、米国外におけるマーケティングおよび販売活動の拡大を計画している。

Crunchbaseによると、同社は過去に総額3180万ドル(約34億8000万円)の資金を調達しており、そのうち約1250万ドル(約13億7000万円)はクラウドソーシングプラットフォームのOurCrowdを通じて調達している。

画像クレジット:Memic

同社が「Hominis(ホミニス)」と呼ぶプラットフォームは「良性子宮摘出術を含む単一部位の自然開口部経腟腹腔鏡下外科手術」への使用が認可されている。ただし、人間の介入なしにロボットが手術を行うわけではなく、外科医が中央のコンソールから装置とロボットアームを制御するということには留意しておくべきだろう。同社によると、この器具は外科医の腕の動きを再現するように設計されているという。現時点では、ある特定の種類の手術にしか認可されていないものの、このようなシステムが有益な他の手術にも幅広く使われることをMemicは目指している。

「Hominisシステムは、数十億ドル(数千億円)規模で成長を続けるロボット手術市場において、著しい進歩を象徴しています。今回の資金調達によって商業化への取り組みを加速させ、今後数カ月のうちに、Hominisを外科医と患者さんの両方のお役に立てていたくことができるようになります」と、Memicの共同設立者でCEOを務めるDvir Cohen(ドビル・コヘン)氏は述べている。

同じようなコンピュータ支援型の手術システムは、すでにさまざまな製品が販売されていることも記しておくべきだろう。例えば、2021年3月にはAsensus Surgical(アセンサス・サージカル)が、同社の腹腔鏡プラットフォームを一般外科手術に使用するためのFDA認可を取得した。一方、眼科手術用ロボットのスタートアップ企業であるForSight(フォーサイト)は最近、同社のプラットフォームのために1000万ドル(約11億円)のシード資金を調達している。

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しかし、MemicのHominisは、良性経膣手術に承認された最初のロボット機器であり、同社とその投資家は、これが将来的にさらなる使用例につながる最初の足がかりになると確信している。

「Hominisの幅広い可能性とMemicの強力な経営陣の組み合わせを考慮し、私たちは同社とその大胆なビジョンの実行を支援できることを誇りに思います」と、Peregrine VenturesのマネージングゼネラルパートナーであるEyal Lifschitz(エヤル・リフシッツ)氏は述べている。

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画像クレジット:Memic

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

全米ロボット週間の話題を振り返る、隠れたものを拾い上げる技術からSPACまで

ロボティクス週間おめでとう。とはいえ、2021年は愛する人と一緒に過ごせない人も多いはず。ということは、ロボットツリーも、ロボットエッグの入ったロボットバスケットも、緑のロボットビールもない。しかし、National Robotics Week(全米ロボット週間)組織は、4月3日から11日までの期間中、全米50州でたくさんのバーチャルイベントを開催した。

この1週間には、注目すべき財務関連のニュースもあった。米国時間4月6日火曜日にはSarcos(サーコス)がロボティクス系SPACの薄い空気に加わった。スタートアップの世界でこのような活動が盛んに行われていることは事実だが、ロボティクス企業では特別買収目的会社による合併を受け入れる動きが遅れている。すぐに思い浮かぶ会社は、Berkshire-Grey(バークシャー・グレイ)くらいだ。

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画像クレジット:Sarcos Robotics

Sarcosは、James Cameron (ジェームズ・キャメロン)監督の映画のためにデザインされたようなロボットやロボット外骨格を製造している企業だ。同社は、2020年9月に4000万ドル(約43億8000万円)を調達するなど、すでに多くの資金を調達しているが、多くの読者にとって最も注目に値するのは、同社が最近のデルタ航空によるハイテク推進の中心となっていることだろう。デルタ航空は、従業員が大きな荷物を持ち上げる作業を支援するために、同社の技術の一部を使用することを計画している。

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一方、サンフランシスコに拠点を置くRapid Robotics(ラピッド・ロボティクス)は、シリーズA投資ラウンドにおける1200万ドル(約13億1000万円)の調達を発表。大規模なシードラウンドに続く今回のシリーズAラウンドで、同社のこれまでの資金調達額は1750万ドル(約19億1000万円)となった。同社の目的は、ロボット製造のためのプラグ・アンド・プレイ・ソリューションを提供することであり、さまざまな産業分野における製造オートメーションの参入障壁を下げることにある。

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この分野に強い関心を持ち続けているSoftBank(ソフトバンク)は、AutoStore(オートストア)の株式の40%を28億ドル(約3063億円)で買収し、このノルウェーの会社の評価額は77億ドル(約8424億円)に達した。同社の技術はロボットを使って倉庫の活用を最大限に効率化し、従来の約4分の1のスペースに集約することができるとしている。AutoStoreはすでにかなりの規模で事業を展開しており、約600の施設に2万台のロボットを配備しているという。ソフトバンクの孫正義CEOは、次のように述べている。

AutoStoreは、世界中の企業のために迅速でコスト効率の高い物流を可能にする基盤技術であると、私たちは見ています。AutoStoreと協力して、エンドマーケットや地域を積極的に拡大していくことを楽しみにしています。

投資のニュースばかりになってしまうといけないので(そうすることもできるのだが、誰がそんなのを望むだろう?)、最後にMITのクールな研究をご紹介しよう。同校の研究者は、ハーバード大学やジョージア工科大学の研究者とともに、電波を使って隠れた物を感知するロボットを披露した。この「RF-Grasp」と呼ばれる技術は、覆われていたり、視界に入らないものも、目標物としてロボットが拾い上げることを可能にする。MITのFadel Adib(ファデル・アディブ)准教授は、これを「超人間的な知覚」と表現している。

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タグ:MITSarcos RoboticsRapid RoboticsソフトバンクグループAutoStoreBerkshire Grey

画像クレジット:AutoStore

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

新しいコンセプトのロボティクスに挑むRapid Roboticsが13.2億円調達

サンフランシスコのロボティクスのスタートアップであるRapid RoboticsはこのほどシリーズAラウンドで1200万ドル(約13億2000万円)の資金を調達したことを発表した。ロボティクスにおける同社の新しいコンセプトは2020年からTechCrunchでも報じてきたが、今回のラウンドはNEAがリードし、これまえの資金調達総額は1750万ドル(約19億2000万円)となった。2020年11月に発表されたシードラウンドは最近完了したばかりだ。Greycroft、Bee Partners、468 Capitalなどの既存投資家が今回のシリーズAにも参加している。

我々は繰り返し新型コロナウイルス(COVID-19)によるパンデミックがロボティクス分野に大きな影響を与えていることを指摘してきた。パンデミックにより「社会生活の維持に必須の要員」に認定されなかった多数の労働者の出社が不可能になったことで、さまざまな産業でオートメーションへの関心が強く掻き立てられたことは間違いない。製造業では多くの職がリモートワークに適さない。

Rapidによれば、そのテクノロジーは過去1年間に極めて広範囲な製造業で5000万点の部品生産を行ってきたという。トランプ大統領同様、バイデン大統領も製造業の雇用を米国に取り戻すための戦略を発表し始めている。どのような野心的な計画も結局の人間の職の創出とオートメーションの間で適切なバランスを取る必要があることは間違いない。

同社もロボットと人間のオペレーターの関係という長年の課題についてCEOのJordan Kretchmer(ジョーダン・クレッチマー)氏はプレスリリースに「簡単に要約すれば、この問題を解決しなければ米国の製造業はグローバル市場で競争力を持ち得ない」と書いている。

Rapidの最大の付加価値は「使いやすさ」だ。この会社はその社名のとおり、購入後だれでも即座に動かせるようなシステムを提供している。

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タグ:Rapid Roboticsサンフランシスコ資金調達製造業

画像クレジット:Rapid Robotics

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(文:Brian Heater、翻訳:滑川海彦@Facebook

遠隔地でも仮想空間でも釣りができる小型ロボット「TeleAngler」、ロボティクスのRe-alが2021年秋販売へ

TeleAnglerは2台利用。遠隔地にある1台を手元の1台で操作

近い将来、自宅から遠く離れた海や川にいる魚を釣ることができるようになるかもしれない。ロボティクススタートアップのRe-alは2021年秋に、小型の遠隔 / 仮想釣りロボット「TeleAngler(テレアングラー)」を販売する予定だ。現在も開発が進められているこのTeleAnglerには、リアルハプティクス(力触覚技術)を応用している。

リアルハプティクスは人間が生み出す力の加減といった「力触覚」をロボットで再現できる技術だ。遠隔地にある対象物の触覚情報などをデジタルデータ化し、それを遠隔地側と操作側の双方向にリアルタイムで伝送する。

TeleAnglerの場合、このリアルハプティクスにより遠隔地で釣り針にかかった魚の動きが手元にあるTeleAnglerを通してユーザーに伝わる。さらに魚との駆け引きに合わせて竿を上げたり、引いたりするといったユーザーの複雑な動きを、遠隔地にあるTeleAnglerが再現。これにより、まるで現地にいるかのように釣りを楽しむことができる。さらに身体が不自由な人や高齢者といった釣り場に足を運ぶことが難しい人でも、気軽に釣りができるようになる。

遠隔 / 仮想釣りロボットTeleAngler

ユーザーはTeleAnglerの取っ手部分を握って操作する

TeleAnglerの本体は横幅が約30cm、奥行きが約25cmとなっている。竿を取り付ける取っ手部分を含めた高さは約30cm。これまでRe-alが開発してきた釣りロボットよりも小型化や低コスト化を果たしている。TeleAnglerによる遠隔釣りは、小ぶりな淡水魚(300~600グラム程度)を対象としている。

直近では、Re-alが事務所を置く神奈川県川崎市から東京都奥多摩町で遠隔釣りの実証実験を行った。TeleAnglerの電源は釣り堀の建屋から延長コードを伸ばして共有し、現地の映像と音声を伝送する装置は市販のものを用いた。

実証実験の遠隔釣りは、TeleAnglerの取っ手の先に竿を固定し、スタッフが餌を付けて釣り堀に糸を垂らしてスタート。有線の光ケーブルで繋いだインターネット介して、もう1台のTeleAnglerからモニター越しにマスを釣り上げることができた。なお、釣り上げた魚をスタッフがその都度外すようにしている。

多くの人が気になるのは、遠隔釣りが実用レベルで遊べるかということだろう。Re-alの新明脩平代表は「日本国内であれば、TeleAnglerを使った遠隔釣りを問題なく遊べるはずです。我々はこれまで東京都から大分県までの約1000km離れた距離で、魚を釣った実績があります。その距離でも操作する人と魚がかかった反応のラグは、人間が感じ取ることのほうが難しいレベルです」と説明した。デジタルデータ化された力触覚の情報量は、映像よりも小さいため、映像より先に手元へ力が伝わるほどだという。

仮想空間で魚の引きを再現

さらにRe-alは、TeleAnglerによる仮想釣りの実装も進めている。Re-alはすでに過去に人が魚を釣った時のデータを保存し、TeleAnglerで再生するシステムの開発が進んでいる。完成すれば仮想空間で24時間365日、釣りが楽しめるようになる。

Re-alは、TeleAnglerをゲームセンターなどの施設に販売していく。本体価格は現段階で、50~60万円ほどを想定している。今後、実証実験を踏まえて価格などを調整していくが、ゲームセンターなどでは1プレイ500~600円ほどで約15分間遊べるイメージだという。

また将来的にRe-alは、TeleAnglerを家庭用ゲーム機としてアップデートし、自宅で遠隔釣りも仮想釣りもできるようにしていく考えだ。さらに新明氏は「遠隔地で釣った魚を、ユーザーに宅配するサービスも視野に入れて動いています」と話した。

リアルハプティクスによるロボティックス領域の展開

TeleAnglerに応用されているリアルハプティクスを開発したのは、慶応義塾大学の大西公平教授で、その特許は同大学が所持している。

リアルハプティクスは現状、産業界に一般提供されている技術ではない。慶應義塾大学ハプティクス研究センターは、リアルハプティクスの実用化や市場流通を念頭に、リアルハプティクス技術協議会を設立した。同センターでは共同研究企業を募集し、この中で民間企業と新たなビジネスの創出などに向けたリアルハプティクスの研究を進めている。Re-alも同協会の会員だ。

また、リアルハプティクスをロボットに実装するために必要なキーデバイスとなるICチップ「ABC-CORE」は、同大学発のスタートアップとなるモーションリブが製品化し、リアルハプティクス技術協議会の加盟企業に先行提供している。今後、リアルハプティクスに関する共同研究が進んでいけば、ロボティクス領域は大きく発展していくはずだ。

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タグ:Re-alTeleAnglerリアルハプティクス触覚技術日本釣り

屋内農業のAppHarvestが農業ロボット企業Root AIを買収

屋内農業企業のAppHarvestは今週、Root AIを買収したと発表した。買収額は約6000万ドル(約66億円)で、1000万ドル(約11億円)は現金、残りはAppHarvestの株式で賄われる。

Root AIはボストンを拠点とするロボット関連のスタートアップで、その使命は将来の親会社とほぼ一致している。TechCrunchはこのスタートアップを何度か取り上げており、2020年8月のシードラウンドでは720万ドル(約7億9000万円)を調達していた。今回のパンデミックではロボット工学が注目されているが、中でも農業と食品製造は組織がプロセスを自動化する方法を模索しているため、特に注目されている。

前述のシードラウンドを含め、Rootはこれまでに950万ドル(約10億円)を調達しており、同社のVirgo収穫システムへの関心が高まっている。この買収が承認されれば、創業者兼CEOのJosh Lessing(ジョシュ・レッシング)氏がAppHarvestのCTOに就任する。このスタートアップはまだかなり小規模で、19人のフルタイム従業員を抱えている。

両社のコメントによると、ロボットが収集した収穫量のデータが、今回の買収の重要な部分だという。

AppHarvestの創設者で最高経営責任者を務めるJonathan Webb(ジョナサン・ウェッブ)氏は「私たちが知っている農業は異常気象、干ばつ、火事、動物による汚染など、食料システムを不安定にする要素が増えているために破綻しています」と述べた。「屋内農業はこれらの課題の多くを解決し、収集されたデータは作物の品質と収量を予測し管理するのに役立つ、より多くの洞察を指数関数的に提供することができます」。

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タグ:AppHarvestRoot AI農業買収

画像クレジット:Root AI

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(文:Brian Heater、翻訳:塚本直樹 / Twitter

「目についたら異常」などあいまいな官能検査も対応、ロビットが工業製品向け汎用型AI外観検査ロボを提供開始

「目についたら異常」などあいまいな官能検査も対応、ロビットが工業製品向け汎用型AI外観検査ロボを提供開始

AI技術をロボティクスに実装し社会課題の解決を進めるロビット(ROBIT)は4月7日、自動車内装・外装部品をはじめ様々な工業製品における外観検査工程の自動化が可能な汎用型AI外観検査ロボット「TESRAY S」シリーズを開発し、提供を開始したと発表した。

すでに大手自動車部品メーカーの本番ラインに初号機を導入しており、外観検査工程の自動化を実現しているという。導入事例に関しては後日リリース予定。

様々な工業製品を対象に外観検査の自動化が可能

樹脂・金属・繊維などの素材、射出成形・プレス・メッキ・塗装などの製法/加工といった様々な工業製品を対象に外観検査の自動化が可能。ラメ加工など製品ごとに異なる模様、光の乱反射の影響をうける透明部品においても多数の実績を持つという。

高さ・厚みがある部品や窪みやR部にも対応

6軸(最大12軸)の検査ロボットによって、3次元形状のワーク(対象物)に対応し、高さ・厚みがある部品や窪みやR部にも対応。外観検査に最適化したロボットを独自開発しているため、特異点やケーブルの取り回しによる可動領域制限が存在しない。また、ワークに最適化するために、ロボットの軸を追加する等の検査範囲のカスタマイズ対応も可能。一般的に検査の見逃しが発生しやすいリブ・R部・意匠部上の異常に関しても安定した検出精度を実現する。

自動車部品メーカーの検査品質に対応したAIアルゴリズムを実装

「TESRAY S」シリーズは、極小サイズの異常や、寸法ではない「目についたら異常」といった曖昧な官能検査基準にも対応。

「目についたら異常」などあいまいな官能検査も対応、ロビットが工業製品向け汎用型AI外観検査ロボを提供開始

AIアルゴリズムによる異常検出時(操作画面)

多品種小ロットの生産品にも対応

独自開発のロボットティーチング機能により、多品種小ロットの生産品にも対応。直感的なGUIによって、どなたでも簡単にワークのティーチング操作を行える。

前後工程とのスムーズなつぎ込みにも対応

「TESRAY S」シリーズは、工場内の既存の生産設備との連動、前後工程とのスムーズなつぎ込みのためのカスタマイズ開発にも対応可能としている。

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:ロビット(企業)日本(国・地域)

米海軍やデルタ航空の「着るロボット」を作る外骨格パワードスーツのSarcosがSPAC合併計画を発表

VCの世界がこのところSPACにとりつかれているのは周知の事実だが、Berkshire-Greyのような特筆すべき例外を除いて、ロボティクスにおいてはこの逆合併手法はこれまで大きな推進力にはなっていなかった。しかし米国時間4月6日朝、ユタ州に本拠を置くSarcos Robotics(サーコス・ロボティクス)は、Rotor Acquisition Corp.との合併によりSPACの時流に飛び乗る計画を発表した。

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この取引により、ロボットエクソスケルトン(外骨格)メーカーと白紙小切手会社の合計企業価値は13億ドル(約1427億円)になる可能性があり、さらに2億8100万ドル(約308億5000万円)のアーンアウトが見込まれる。Sarcosはもちろん、現在、ロボット外骨格のカテゴリーを開拓している数多くの企業の1つだ。James Cameron(ジェームズ・キャメロン)風のヘビーデューティーなデザイン言語以外に、この会社が他社と一線を画している理由は何だろうか?

パートナーシップは常に大きなモチベーションになる。Sarcosは2020年のCESで、かなり大きな提携パートナーを確保していた。Sarcosは同イベントで、デルタ航空の大規模な技術プッシュの中心にあった。

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デルタ航空のCEOであるEd Bastian(エド・バスティアン)氏は、6日の発表の中で次のように述べた。「デルタ航空の従業員は、我々の成功を支える重要な要素です。当社は、より健康で安全なチームのために、労働災害を減らすだけでなく、従業員の多様性を促進し、寿命を向上させることに尽力しています。Sarcosの可能性に対する私の熱意は、(2020年に提携を結んで)以来高まるばかりです。当社はSarcosと緊密に協力して、日常のヒーローをスーパーヒーローに変え、彼らの仕事をこれまで以上に安全で簡単なものにしていきます」。

2020年当時、デルタはSarcosと提携してこのエクソスケルトンをスタッフの間で試験的に導入すると発表した。その際Sarcosは、この技術を使うことにより200ポンド(約90kg)の荷物を最長8時間、着用者を疲れさせることなく持ち上げられると述べている。これは、ウェアラブルロボットに対するSarcosのより産業的なアプローチに沿ったものだ。

2020年末、同社は「Guardian XO」の商品化に向けて4000万ドル(約44億円)の資金調達を発表した。本日のリリースによれば、2022年半ばの時点で同システムを納入し、その次には遠隔操作型の「Guardian XT」を発売する予定だという。

軍事資金がロボット産業の大きな原動力であり続ける中、2020年10月、Sarcosは米海軍から補助金を受け、XOシステムの遠隔操作版を製造することになった。

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タグ:Sarcos外骨格SPAC米海軍デルタ航空

画像クレジット:Sarcos Robotics

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(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)

倉庫から歩道まで、Amazonに対抗するロジスティックス実用ロボットの最新動向

先回りしておくと、ロボティクスの分野には注目すべき動きや製品が多数ある。しかし現在、全員が熱中しているのは倉庫でのフルフィルメントをはじめとする物資移動業務だ。これはAmazon対大勢という構図になっており、多くの面でAmazonが一歩先を行っている。労働者の管理、処遇に関する問題はまったく別の話となる(それはそれで別に議論したい)。

フルフィルメントロボットのトップ企業の幹部を取材すると、概ね話は共通していることがわかる。「どうすればAmazonとの競争に負けずにいられるか?」だ。これはビジネスの存在を賭けた真剣さを含んでいたのでので単なるロボット関連記事にまとめてしまうのはためらわれる。しかし、とりあえず簡単な答えを出しておくなら「自動化の提供」だろう。

ともあれBoston Dynamicsの最新ロボットが倉庫用であるのは理由がある。2021年夏に登場する予定のSpotは同社にとって2番目の市販ロボットだが、多くの意味で同社として最初初の特定目的型ロボットだ。SpotはBoston Dynamicsが創業以来取り組んできた四足歩行ロボットを拡張したものだ。同社はSpotをプラットフォームと表現してきたがその用途は当然極めて広範囲なものとなる。

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画像クレジット:Boston Dynamics

StretchはHandleから進化し、HandleはAtlasから進化した。このシリーズのロボットは「箱を運ぶ」という非常に限定された目的を果たすためにデザインされた。もちろん倉庫作業にはさまざまな側面があり、Boston Dynamicsは将来、多様な作業に対応していくだろう。しかし今のところはトラックからの荷降ろしやパレット上に注文された品々がはいった箱を積み上げることに集中している。これは明らかに巨大な成長市場であり、Boston Dynamicsのような組織がどのように規模を拡大していくのか注目していきたい。この点でHyundaiからの大口の引き合いが実現するかどうかが重要だ。

このカテゴリでは、いくつかの注目すべき発表があった。我々は中国がフルフィルメントロボットの分野でも注目されていることを報じているが、さきごろ北京を拠点とするForwardX Roboticsが6300万ドル(約69億5000万円)を調達して話題となった。CDH、Eastern Bell、Dohold CapitalがリードしたシリーズBでは地元中国に加えて米国、日本、英国、ドイツを含む国際市場への拡大を目指している。

ファウンダーでCEOのNicolas Chee(ニコラス・チー)氏はこのラウンドについて次のように書いている。

当社にやってくる倉庫や製造に携わるユーザーは業務を改革し、これまで達成できなかった新しいレベルの効率性を引き出すことが目的だ。ForwardX Roboticsの柔軟な自動化プラットフォームは、サプライチェーンで働く労働者のパフォーマンスを向上させ、増大する人件費の圧力を軽減し、市場の変化に迅速かつ効果的に適応することを可能にする。

画像クレジット:Ambi Robotics

このブームを機にステルスからの脱却を図っているAmbi Roboticsにもそれなりの規模の資金資金調達ラウンドを実施している。カリフォルニア大学バークレー校の教授であり、TechCrunch主催のロボティクスのセッションのゲストににもなったKen Goldberg(ケン・ゴールドバーグ)氏が設立したこの会社は610万ドル(約6億7000万円)の資金を調達したことを発表した。この会社は、いわゆるピック&プレース型のロボットに特化しており、AmbiSortとAmbiKitという2台のマシンでスタートを切っている。この分野ではゴールドバーグ氏には熱心な支持者がいる。これは間違いなく注目すべき企業だ。

画像クレジット:Skycatch

TechCrunchは最近、Skycatchが2500万ドル(約27億6000万円)を調達したというニュースを報じた。我々はこのドローンを提供するスタートアップについて何度も取り上げてきた。現在、多数の企業が実用ドローンのビジネス化のために多大な努力を払っている。その中でもSkycatchはコンセプトの現実化で一歩先を行くグループに属する。同社の3Dイメージング用ドローンはすでに世界中の何千もの現場で活躍中だ。

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画像クレジット:REEF Technologies

もちろんロボットテクノロジー人間の配送要員に全面的に取って代わるような自体は当分ありえない。しかし多くの企業や都市が積極的にテストに取り組んでいる。そのスタートアップの1つがCartkenだ。ファウンダーは元Googleのエンジニアでマイアミでテストを開始している。この都市の宣伝文句は数えきれない。マイアミを推薦するWill Smith(ウィル・スミス)の歌さえある。

関連記事:元Googleのエンジニアによる自動運転ロボットがマイアミで料理配達業務を開始

画像クレジット:Toyota

一方Nuroは新たな投資家からの激励がなくても盛り上がりに欠けることはない。同社は2020年11月に5億ドル(約551億2000万円)のシリーズCを発表した。またトヨタ自動車が出資するWoven Capitalがこのラウンドに参加したことを発表し、詳細が明らかになった。Woven Capitaの投資・買収担当責任者であるGeorge Kellerman(ジョージ・ケラーマン)氏はTechCrunchに次のように語っている。

Nuroは我々の出発点として好適です。我々は乗客を運べる自動走行車の開発に焦点を当てているので、Nuroは地域におけるグッズの配送に焦点を絞り込んでいるので同社との提携は我々が多くのことを学ぶための第一歩となります。Nueoから学ぶべきことは多く、将来的には同社の世界的展開を支援することも可能性となります。

関連記事:トヨタの投資ファンドWoven Capitalが自動配送ロボティクスNuroに出資

カテゴリー:ロボティクス
タグ:フルフィルメント物流倉庫Boston DynamicsForwardX RoboticsAmbi RoboticsCartkenToyotaフードデリバリー

画像クレジット:Boston Dynamics

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(文:Brian Heater、翻訳:滑川海彦@Facebook

元Googleのエンジニアによる自動運転ロボットがマイアミで料理配達業務を開始

自動運転とロボット工学のスタートアップ企業Cartken(カートケン)は、駐車場やコミュニティセンターを運営するスタートアップ企業のREEF Technology(リーフ・テクノロジー)と提携し、マイアミのダウンタウンの街路に自動運転の配達ロボットを導入すると発表した。

今回の発表により、Cartkenは正式にステルスモードから脱却した。Googleで日の目を見なかったBookbot(ブックボット)の開発に携わっていたエンジニア達が2019年に設立したこの会社は、自動運転とAIを搭載したロボットや、それを使った配送業務などに関して、市場で通用する技術の開発に取り組んでいたが、これまで事業内容は伏せられていた。Cartkenの歩道用自動運転ロボットが大規模に展開されるのは、これが初めてのこととなる。

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このCartkenが開発したREEFブランドの電動ロボットは、数カ月のテスト期間を経た後、現在はマイアミのダウンタウンにおける半径3/4マイル(約1.2キロメートル)の地域に住む人々に、デリバリー専用キッチンから料理のオーダーを届けている。スパゲッティなど温かい料理の熱を逃がさないように断熱された荷室を備えたこのロボットは、あらかじめ設定された物流拠点に配置されており、料理の準備が完了すると指示を受けて配達に向かう。

「私たちは、いかにマイアミが未来に向けて先行しているかを示したいと思っています」と、REEFの最高技術責任者であるMatt Lindenberger(マット・リンデンバーガー)氏は、TechCrunchに語った。「これは技術の可能性を示す絶好のチャンスです。当社がマイアミで大きな存在感を示していることに加え、新型コロナウイルス感染流行の沈静化にともなう路上の混雑が相まって、この技術がどのように機能するかを示すことができる非常に良い環境が整っています」。

リンデンバーガー氏によると、マイアミはスタート地点として最適な場所だが、これはほんの始まりに過ぎず、REEFの他のラストマイルデリバリー事業にも、Cartkenのロボットは利用できる可能性があるという。現在、マイアミで稼働しているのは2台のレストラン料理配達ロボットだけだが、今後は同地区の内外で採用を拡げ、フォートローダーデールや、さらにはダラス、アトランタ、ロサンゼルス、最終的にはニューヨークなど、同社が事業を展開する他の大都市にも拡大する計画だという。

街中にロボットが存在することが、いわゆる「フォース・マルチプライヤー」の役割を果たし、サービスの質を維持しながら、コスト面の効率に優れた方法で、規模を拡大していけることを、リンデンバーガー氏は期待している。

「ポストコロナの世界では現在、配達が爆発的に増加しており、今後もそれが続くと予想されます。そのため、このような非接触・ゼロエミッションの自動化技術は、非常に重要です」と、リンデンバーガー氏は述べている。

Cartkenのロボットは、機械学習とルールベースのプログラミングを組み合わせ、起こりうるあらゆる状況に対応するという。それは単に、安全に停止して助けを求めるということも含まれると、CartkenのCEOであるChristian Bersch(クリスチャン・バーシュ)氏はTechCrunchに語った。REEFでは、必要に応じてロボットを遠隔操作するために管理者を現場に配置しているが、これは2017年にフロリダ州で自動運転の配送ロボットの運用を認めた法律に盛り込まれている注意事項である。

「結局のところ、この技術は自動運転車と非常によく似ています」と、バーシュ氏はいう。「ロボットは環境を見て、歩行者や街灯のような障害物を回避する計画を立てます。もし未知の状況が発生したら、ロボットは急に止まることができるので、安全にその状況からロボットを助け出すことが可能です。しかし、重要なのは、誰かが急にロボットの前に飛び出したような事態が発生した場合、遠隔操作では不可能なほど一瞬で反応できるレベルの自律性をロボットに持たせることです」。

REEFは地図上でロボットの活動エリアを特定し、Cartkenはロボットが必要とする特定の状況を考慮ながら、都市に合わせて設定を調整する。これにより、ロボットは配達先の住所を指定されると、人間の配達員と同じように動き、業務を遂行することができる。このロボットにはLTE回線が搭載されており、常に位置情報を更新しているので、REEFは配達部隊のマネジメント機能に組み込むことができる。

将来的には、Postmates(ポストメイツ)、UberEats(ウーバーイーツ)、DoorDash(ドアダッシュ)、GrubHub(グラブハブ)など、REEFが提携している主要なフードデリバリープラットフォームでも、ロボットによる配達を顧客が選択できるようにしたいと、リンデンバーガー氏は語る。顧客はロボットが到着するとテキストメッセージを受信し、家の外に出てロボットと会うことができる……ようになる予定だが、現在はまだこの技術は完成していない。

現状では、ロボットは道路までしか行くことができないため、人間の配達員が料理を受け取って、直接ドアまで運ぶというサービスを、多くの顧客が希望する。

また、集合住宅に住んでいる場合は、ロボットが建物の中に入って注文主の部屋まで辿り着くことは難しい。まだ多くの顧客が直接ロボットと対面できる準備は整っていない。

「これは暫定的なステップです。しかし、我々にとって、他に制限を設けることなく、技術を迅速に現実に移すための道筋でした」と、リンデンバーガー氏は語る。「どんな新しい技術でもそうですが、段階を踏んで進めていくことが大事です。今、私たちが踏み出して成功させた非常に重要なステップは、一定の半径内にロボットを派遣し、そこにちゃんと到着できると分かることです。これは開発の過程において、それだけでも非常に大きなステップであり、最終段階に向けてどのような課題があるかを知ることができます。そうすれば、私たちはCartkenと協力し、最後の課題の解決に向けた取り組みを始めることができます。このような自動化が可能になっただけでも、大きな一歩です」。

カテゴリー:ロボティクス
タグ:Cartkenマイアミロボット配達フードデリバリー自動運転 / 自律運転

画像クレジット:REEF Technologies

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ヤマハがボーカロイド技術・自動作曲技術活用の歌って会話する歌ロボ「Charlie」を5月13日発売

ヤマハがボーカロイド技術・自動作曲技術活用の歌って会話する歌ロボ「Charlie」を5月13日発売

ヤマハは、言葉をメロディーにのせて会話するコミュニケーションロボット「Charlie(チャーリー)」を5月13日に発売します。すでに公式Webサイトでの先行予約受付を開始しています。本体価格は2万4800円(税込、以下同)で、別途、月額使用料の490円がかかります。

最大の特徴は、同社のボーカロイド技術や自動作曲技術などを活用し、ユーザーが話しかけるとメロディーにのせて返答できること。具体的には、約30種類の音楽ジャンルに対応し、気分に応じて曲調を変えたり、メロディーに合わせて頭や足を動かしながら会話します。

また、人感センサーを搭載し、自発的に話したり、独り言をつぶやいたりするほか、天気や占い結果なども教えてくれます。時折見せるちょっとした口の悪さも魅力で、会話を重ねることで歌が上達するとのことです。

ちなみに同社が2020年12月に実施した Charlie プロトタイプのモニターアンケートでは、92%の人がCharlieのキャラクター性を気に入り、「ユーザーに気づいて挨拶をしてくれた」「くすっと、笑えるようなことを言ってくれる」などの声が寄せられたそうです。

ヤマハがボーカロイド技術・自動作曲技術活用の歌って会話する歌ロボ「Charlie」を5月13日発売

昨今、新型コロナウィルス感染拡大の防止を目的に、外出自粛やテレワークを促す動きが増えている一方で、巣ごもりによるストレスも急増しているという調査データもあります。Charlie のようなロボットがカウンセラーの役割を担うサービスの登場に期待したいところです。

  • 本体サイズ:105x163x135(幅x高さx奥行き)
  • 重さ:400g
  • 無線LAN規格:IEEE 802.11 b/g/n
  • 周波数:2.4GHz
  • 対応セキュリティ:WEP、 WPA2-PSK (AES)、 Mixed Mode
  • 付属品:ACアダプター、クイックマニュアル、安全上のご注意、「Charlieプラン」登録のご案内

ミクシィ、会話AI搭載ロボを一般販売 「数千万件の言語データ学習」

(Source:ヤマハ、Via:外出自粛によるストレス増(BIGLOBE)Engadget日本版より転載)

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:ガジェット(用語)ヤマハ(企業)日本(国・地域)

小さな銀粉がソフトロボティクスの伝導性を向上させるとカーネギーメロン大学

ソフトロボティクスは長い間、新興技術の中でも最もエキサイティングな分野の1つだった。もちろん他の新技術と同様に、この分野にも従来のモデルに比べていくつかの欠点がある。柔らかい素材で作られたロボットは硬い素材のロボットに比べて、柔軟性や耐久性に優れているが、電気的な接続性に問題がある場合が多い。そして多くの場合、水や空気で満たされたブラダーが動きを助けるために使用される。

カーネギーメロン大学の新しい研究によると、ハイドロゲルのような柔らかい素材ではその即応性を損なうことなく、導電率を高めることができるという。

直近の科学ジャーナルで取り上げられたこの方法は、スクリーン印刷に似た方法で、マイクロメートルサイズの銀粉を混合物に加える。材料が部分的に脱水されると、銀粉は電荷を送達するための接続を形成し始める。研究チームはこの粉末を「皮膚上の第2層の神経組織」 に似ていると説明している。

機械工学を専門とするCarmel Majidi(カーメルマジディ)教授は「高い導電性と高い即応性、つまり『しなやかさ』を備えたこの新しい複合材料は、バイオエレクトロニクスやその他の分野でさまざまな応用が可能です」と述べている。「例としては、信号処理用のセンサーを備えた脳ステッカー、電子機器に電力を供給するウェアラブルなエネルギー生成デバイス、伸縮可能なディスプレイなどがあります」。

ソフトロボティクスでは多くの用途が考えられるが、医療分野は最も魅力的な分野の1つだ。脳卒中患者やパーキンソン病の症状に苦しむ患者への支援など、運動障害や筋疾患の治療が注目されている。

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:カーネギーメロン大学

画像クレジット:Carnegie Mellon University

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(文:Brian Heater、翻訳:塚本直樹 / Twitter

MSCHFがSpotにリモコン式ペイントボール銃搭載、ボストン・ダイナミクスは嫌な顔

筆者はSpotをさまざまな設定で操作したことがある。数年前に開催されたTechCrunchのロボティクスイベントで初めてSpotを操る機会があり、Boston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)本社の障害物コースでSpotを走り回らせた。つい最近は、新しいリモートインターフェイスのテストとして、ウェブブラウザでSpotを操作した。

しかし最近実施されたテスト走行はこれとは話が違う。ボストン・ダイナミクスから正式に認可を受けたものではなかったことが、1つの理由として挙げられる。もちろん、この高度に洗練された四足歩行ロボットはしばらく前から市場に出回っており、一部の進歩的な企業がサンフランシスコの通りでSpotのリモート歩行体験の提供を始めている。

MSCHFの最新プロジェクトがそうしたものでないことは、もちろん驚くには当たらない。ブルックリンを拠点とするこの企業はそれほど単純でないからだ。MSCHFといえば「海賊放送」のストリーミングサービスAll The Streams.FMや、あのおもしろいAmazon Echoの超音波ジャマーを提供した企業である。何よりも同社のイベントは、プライバシーや消費者主義に対する批評や、今回のケースでは、ロボット工学がどうなるかという一種の陰鬱な伏線を示すものとなっている。

世間と同様、MSCHFはボストン・ダイナミクスがSpotを売り出したとき、非常に興味を持った。しかし私たちの大半と異なったのは、7万5000ドル(約818万円)を集めて実際にSpotを購入したことだ。

そして、その背中にペイントボール銃を搭載した。

画像クレジット:MSCHF

米国時間2月24日から、ユーザーはMSCHFのサイトからSpotを操縦し、閉鎖された環境でペイントボール銃を発射することができるようになる。同社はこれを「Spot’s Rampage(Spotの大暴れ)」と呼んでいる。

MSCHFのDaniel Greenberg(ダニエル・グリーンバーグ)氏は「2月24日の午後1時(東部標準時)に配信を開始します。4台のカメラでライブ配信を行います。スマートフォンでサイトに接続している間は、Spotを操作できるチャンスが均等にあり、操縦者は2分ごとに交代します。配信は数時間続く予定です」とTechCrunchに話した。

Spotのウェブポータル立ち上げに先立ち、同社はSpotのSDKとSpotの背中に搭載されたペイントボール銃の両方をリモート操作するAPIを構築した。ボストン・ダイナミクスがこの設定にとりわけ不快感を示すのも無理はない。Black Mirror(ブラックミラー)のような警鐘を鳴らすSF小説が伝える負の結末に長年取り組んできた企業にとって、サードパーティーによって銃が搭載されるということは、たとえ塗料を噴射するものであっても、理想的とはいえない。

ボストン・ダイナミクスの担当者によれば、同社は早い段階でMSCHFとの連携に興味を持っていたという。

「MSCHFは、Spotを使って創造的なプロジェクトを行うというアイデアを持ちかけてきました。MSCHFは、多くの創造的なことを手がけてきたクリエイティブ集団です。私たちは話し合いの中で、MSCHFが私たちと連携する場合は、人に危害を加えるような仕方でSpotを使用しないことを明確にしておきたいことを伝えました」。

ボストン・ダイナミクスはペイントボール銃が話題に上ると難色を示し、2月19日にTwitterを通じて以下の声明を発表した。

本日当社は、あるアートグループが当社の産業用ロボットSpotの挑発的な使い方に注目を集めるイベントを計画しているという情報を入手しました。誤解のないように申し上げますが、当社は、暴力や危害、脅迫を助長するような方法で当社の技術を表現することを非難します。当社の使命は、社会に刺激と喜び、プラスの影響を与える、非常に高性能なロボットを創造し、提供することです。当社は、お客様が当社のロボットを合法的に使用する意思があることを確認することに細心の注意を払っています。また、販売を許可する前に、すべての購入依頼を米国政府の取引禁止対象者リストと照合しています。

さらに、購入者は当社の販売条件に同意する必要があります。販売条件には、当社の製品を法律に準拠したかたちで使用する必要があること、人や動物に危害を加えたり脅したりするために使用できないことが明記されています。販売条件に違反すると、製品保証が自動的に無効になり、ロボットの更新、保守、修理、交換ができなくなります。挑発的なアートは、私たちの日常生活におけるテクノロジーの役割について有益な対話を促すものとなる一方で、このアートは、Spotと私たちの日常生活におけるそのメリットを根本的に誤って伝えるものです。

この声明は、Spotを使って違法なことをしたり、人を脅迫したり傷つけたりすることを禁止するSpotの契約書の文言と一致している。ボストン・ダイナミクスによれば、同社は見込み客に対して経歴調査などの「デューデリジェンス」を行っているようだ。

画像クレジット:MSCHF

ボストン・ダイナミクスにとって、この妥当性はいくぶん判断しにくい領域にある。同社はMSCHFにアイデアを持ちかけられたのだが、そのアイデアが四足歩行ロボットの使命に沿ったものではないと考え、難色を示した。Spot’s Rampageの公式サイトには以下の記載がある。

当社はボストン・ダイナミクスと話し合いましたが、当社のアイデアは極めて受け入れ難いものとされました。銃を搭載しなければSpotを無料であと2台提供することを提案されたことで、銃を搭載しようという当社の意思はさらに強まりました。もし当社のSpotが動かなくなれば、この小さなロボットの1つ1つに秘密の無効化機能が仕込まれていたということになります。

ボストン・ダイナミクスによれば、MSCHFの「このやり取りに関する理解」は「間違っている」という。

そしてこう付け加えた。「当社には、すばらしい魅力的な体験を創出するマーケティングチャンスが常に舞い込んできます。1台のロボットを販売することにそれほどおもしろさはありませんが、インタラクティブな優れた体験を創出することは非常に魅力的です。MSCHFが当社に提案したものの1つはインタラクティブなアイデアでした。Spotは高価なロボットですが、MSCHFはSpotを誰もが操作できるインタラクティブな体験を作り出したいと考えていました。当社はその考えが非常にかっこよく魅力的なものだと感じました」。

ボストン・ダイナミクスによると、MSCHFは、ペイントボール銃ではなく、Spotのロボットアームを使って、物理的空間にブラシで絵を描くというアイデアを提案した。同社は、ストリーミング配信中にロボットを保守する技術者を現場に派遣し、いくつかのモデルをバックアップとして提供することも提案した。

MSCHFがペイントボール銃を搭載したのは、結局のところ、キャンバスに絵を描くためだけではない。銃を搭載したロボットのイメージは、たとえ塗料を発射するだけであっても脅威的である。これがポイントなのだ。

「こうしたロボットが踊ったりはしゃぎまわったりするのを見ると、ある程度の知性を持つ、かわいい小さな友達だと思います」とグリーンバーグ氏は言い、こう続ける。「失敗して転ぶ姿が親しみやすさを感じます。私たちは、『おっちょこちょい』というシナリオを作り上げて、Spotのシナリオに虚飾を張りました。しかし、Spotの大型版(大型犬)は明らかに軍用の小型車両であり、市当局や法執行機関によって配置されることが多いということは、覚えておく価値があります。結局のところSpotは陸上版の無人航空機なのです。このロボットを操縦して引き金を引くスリルを体験する人は、アドレナリンが急上昇しますが、数分後には独特の寒気を感じて欲しいと願っています。正しい心を持つ人なら誰もが、この小さなかわいいロボットが遅かれ早かれ人を殺すことになることに気づくことでしょう」。

実際、ボストン・ダイナミクスの初期のロボットは、輸送用車両として使用するためにDARPAから資金提供を受けていたのだが、同社はほんのわずかな不気味なイメージさえも即座に遠ざける。ボストン・ダイナミクスは、TechCrunchのロボットイベントで行われたマサチューセッツ州警察の訓練でSpotが使われている映像を公開した後、ACLUから批判を受けた。

画像クレジット:MSCHF

同社はこのとき、TechCrunchに次のように語った。

現在当社は、自ら連携するパートナーを選定し、そのパートナーが同様の展望を持ち、人を物理的に傷つけたり威嚇したりするような用途でロボットを使用しないなど、ロボットの用途に対する同様のビジョンを持っていることを確認できる規模にあります。ただしロボットができることと、してはいけないことに対して、現実的な見方も持っています。

MSCHFはイベントの準備を進めているが、この考えには同意している。

ボストン・ダイナミクスはTechCrunchにこう話す。「当社はお化け屋敷にSpotを使いたいというお客様をお断りました。当社のテクノロジーを使って人を怖がらせるという意味で、その用途は当社の使用条件に合っていませんでしたし、当社が描く、人のためになるものではなかったので販売をお断りしたのです。MSCHFとの初めての販売会議においてこのコンセプトが提示されていたら、当社は『Arduinoの四足歩行ロボットならご希望の機能を簡単に搭載できるので、そちらを使ってはどうですか。ご提示になった機能は、当社が示すテクノロジーの使用方法とは異なります』と言ったでしょう」。

画像クレジット:MSCHF

しかし、ライセンスを取り消せるかどうかという問題が残っている。利用規約に違反した場合、同社はライセンスを更新しないことを選択できる。それにより、次回ファームウェアの更新時にはライセンスが事実上無効になる。その他のケースにおいては、実質的に保証を無効にすることができる。つまり、保守を提供しないという選択肢もある。

閉鎖された空間で発射されるペイントボール銃は、危害や脅迫、違法行為に該当しないと思われる。したがって、ボストン・ダイナミクスがこの件に関して直接的な行動方針を持っているかどうかは完全にはわからない。

ボストン・ダイナミクスは「現在、この特定のユースケースについて評価中です。当社にはロボットを危険な状態にする改造に関して、他にも利用規約があります。私たちはどのような影響があるのかを確認しようとしています」と話す。

ボストン・ダイナミクス(同社の現代自動車への売却は2021年6月に完了予定)は、危険な場所での日常点検から、最近の口コミ動画での複雑なダンスの動きまで、ロボットができるさまざまなタスクを紹介することに多くの時間を費やしてきた。MSCHFの主な(そして実際には唯一の)用途はインタラクティブなアート作品である。

グリーンバーグ氏は「正直なところ、ロボットに関してはこれ以上の計画はありません。ボストン・ダイナミクスと連携することはもうないでしょう。私たちは同じことは繰り返しません。真の創造力を発揮する必要があります。次に作るのは携帯用カップホルダーかもしれません」と話した。

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:SpotBoston DynamicsMSCHF

画像クレジット:MSCHF

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(文:Brian Heater、翻訳:Dragonfly)

フォードとロボットの関わりについて責任者に聞く、最近のロボット関連ニュースまとめ

Ford(フォード)は米国時間3月16日、7500万ドル(約81億7000万円)を投じてミシガン大学アナーバー校に新設した施設に、約100人の研究者やエンジニアを配置すると発表した。この件に関して、まだどこにも掲載していないインタビューをお届けしたいと思う。

フォードはTechCrunchに対し、この施設はインキュベーターではなく「当社のグローバルな研究と高度なエンジニアリングネットワークの延長線上にある」と述べた。同社はここで、自動運転の研究のみならず、Boston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)のSpot(スポット)や、Agility Robotics(アジリティ・ロボティクス)のDigit(ディジット)のようなサードパーティ製ロボットをどのように利用するかについても、多くの研究を行う予定だ。フォードは数年前からAgilityと提携し、共同で研究やテストを行っていることが、2020年のCESで発表されている。

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現在、フォードは2台のDigitロボットを所有している。Agilityが最初に市販した2台だ。両社の提携がどのように展開するかによって、Agilityはおそらく、より積極的にロボット工学の業界に関わろうとする企業にとって、有力な買収対象となる可能性がある。

発表イベント終了後、フォードのテクニカルエキスパートであるMario Santillo(マリオ・サンティロ)氏から電話で話を聞いた。同氏はこの新たなロボット開発事業の責任者だ。その要点は以下の通り。

フォードはスタートアップ企業のAgility Roboticsと提携し、二足歩行ロボット「Digit」の研究とテストを行っている(画像クレジット:Ford/Agility Robotics)

フォードは自動運転以外に、ロボット分野でどのような取り組みをしているのですか?

フォードは実際にロボット工学のすべての分野を見据えています。私のチームでは、製造現場から消費者寄りの用途まで、あらゆる分野に注力しています。後者は例えば、Digitが配達車両から降りて、あなたの家の玄関先まで荷物を届けるというようなものですね。ミシガン大学は我々と協力することで、より良いユースケースの提供を目指しています。私たちは、必ずしもロボットを開発する必要はありませんが、DigitやSpotのようなロボットを使い、それらの精度を高め、フォードが本当に大切にしているものを届けられるようにして、最終的には人類のために役立てたいと考えています。

Agilityのチームとは、実際にどのくらい緊密に連携しているのですか?

非常に緊密に仕事をしています。ほぼ毎日のように起ち上げ、すべてを稼動させています。ほんの数カ月前に、ディアボーン(フォードの本拠)にDigitを導入したばかりですが、パロアルト(フォードの研究開発拠点)にもDigitがありますので、実際の使用例を得るという意味では、彼らの方が少し先を行っています。Agility Roboticsとは非常によく連携しています。どちらにも隠し事はありません。ミシガン大学と同じように、パートナーシップを組んで、より良いもの、便利なもの、そして安全なものを作るために協力したいと思っています。

実際の研究において、ミシガン大学はどのような役割を果たすのでしょうか?

大学は次世代のロボット工学者に教えることから始めているので、大きな役割を担っています。大学が行っている研究は、空、陸、海、宇宙など、実にロボット工学のあらゆる分野におよび、それらが相互に関連していることに驚かされます。ウォーキングラボでは、特にリハビリテーションロボットの研究に力を入れており、それはDigitの不整地を歩く能力を高めることに直接つながります。

今のところ、Digitが中心となっているのですね。

Digitは確かに、直接関わっています。しかし、フォードには多くの車輪付きロボットがあり、ミシガン大学で行われている研究に基づき、これらのロボットをどのように活用するかについて、多くの研究が行われています。

フォードは、ロボット分野のスタートアップ企業や技術の買収を積極的に検討していますか?

フォードは常に新しいニーズや企業を評価することに興味を持っていると思います。必ずしも「ノー」とは言いません。

画像クレジット:University of Waterloo

大学によるロボット工学のすばらしい研究の一例を挙げると、カナダのウォータールー大学では、ウェアラブルカメラと機械学習を利用して、ロボットの外骨格や義足がユーザーとより自然に相互作用できるようにする研究が行われている。研究者の1人は「私たちの開発している制御方法は、必ずしも人間の思考を必要としません。自律的に運転を行う自動走行車のように、私たちはそれ自体が自動的に歩行する自律型外骨格を設計しています」と語る。

関連記事:外骨格と義肢の環境適応をカメラとAIで支援する研究

現在、多くの企業がモビリティやリハビリテーションを目的とした外骨格を製造している。ウォータールー大学の取り組みは、スマートフォンのアプリや外部からの制御が不要になるという点で、重要なステップとなるだろう。

画像クレジット:HAI Robotics

ロボット関連の資金調達のニュースとしては、Hai Robotics(ハイ・ロボッティクス)が、2020年末に発表したシリーズBに加え、1500万ドル(約16億3000万円)「近い」額のシリーズB+を完了した。「HAIPICK」自動倉庫システムを開発したこの深圳を拠点とする会社は、中国の物流ロボット製造会社の中でも、注目すべきメーカーの1つだ。同社のシステムは、細い支柱で組まれた背の高いロボットが、一度に最大8個のコンテナを動かすことができる。

Hai Roboticsによれば、同社のシステムは倉庫の作業効率を最大で4倍に向上させることができるという。このカテゴリーに参入した多くの企業と同様、新型コロナウイルスの感染流行が大きな好機となることが証明された。より多くの人々がeコマースを利用するようになり、企業は不要な操業停止を避けるために自動化に目を向けているからだ。

画像クレジット:Surfacide

私が野球のシーズン開幕に興奮しているからというわけでもないが、Red Sox(ボストン・レッドソックス)は2021年、Fenway Park(フェンウェイ・パーク)に紫外線消毒ロボットを配備すると発表した。現時点では、球団はSurfacide(サーフェサイド)から3台のロボットを購入しただけのようだが、このロボットは「チームのクラブハウスやトレーニングルームなどの密になる場所、スイートルームやトイレなどのファンの出入りが多い場所を消毒する」ことに注力する、より大規模な取り組みのごく一部であると思われる。

ちなみにロボット審判員のMLBデビューは、もう少し先になりそうだ

カテゴリー:ロボティクス
タグ:Fordロボットミシガン大学

画像クレジット:Courtesy of Ford/Photo Tim LaBarge 2019

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ロボット安全ソフトやサイバーセキュリティ対策に力を入れるFortが14.2億円を調達

米国時間3月18日、Fort Robotics(フォート・ロボティクス)は1300万ドル(約14億2000万円)の資金調達を発表した。リードしたのはPrime Movers Labで、他にPrologis Ventures、Quiet Capital、Lomnos Labs、Creative Ventures、Ahoy Capital、Compound、FundersClub、およびMark Cuban(マーク・キューバン)氏が出資した。

ペンシルベニア州フィラデルフィア拠点の同社は2018年、以前Humanistic Roboticsを率いていたSamuel Reeves(サミュエル・リーブス)氏が設立した。同じペンシルベニア州のHumanistic Roboticsは、地雷およびIED(即席爆発装置)除去のリモート制御ロボティクスシステムに焦点を当てていた。

新しい会社は、協働ロボットやその他の自律システムの安全ソフトウェアに力を入れている。他に同社が取り組んでいるのは、こうした作業現場ロボティクスのサイバーセキュリティ脆弱性だ。広範囲なシステム障害や潜在的人的エラーも対象にしている。

現在、同社には倉庫内梱包から製造、配送、輸送までさまざまなカテゴリーにわたる100社以上の顧客がいる。

「世界はモバイルオートメーションにおける新たな産業革命を間近に控えています」とリーブス氏はリリース文で語る。「今回の追加投資とさまざまな支援を受けることで、私たちは急速に会社を拡大し、トレンドと機会の交わりを活かして、ロボティックシステムがあらゆる業界で安全に使われるよう尽力します」。

過去1年間で、ロボティクスを巡ってちょっとした投資ブームが起こった。パンデミック下でオートメーションへの関心が高まったためだ。ロボティクスの中でもかなり広い範囲の分野をターゲットとするソリューションを提供するFortは、良い位置につけている。

カテゴリー:ロボティクス
タグ:Fort Robotics資金調達

画像クレジット:Getty Images

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(文:Brian Heater、翻訳:Nob Takahashi / facebook

人機一体、JR西日本、日本信号が汎用人型重機「空間重作業人機​」開発プロジェクト開始

人機一体、JR西日本、日本信号が汎用人型重機「空間重作業人機​」開発プロジェクト開始立命館大学発ベンチャーの人機一体西日本旅客鉄道(JR西日本)、日本信号の3社は3月18日、人機一体社のビジネスモデル「人機プラットフォーム」のひとつ「空間重作業人機社会実装プラットフォーム」において、先端ロボット工学技術に基づく高所重作業対応の汎用人型重機「空間重作業人機」の社会実装に向けた開発プロジェクトを4月より開始すると発表した。

同プロジェクトに先立ち人機社は、3月18~19日開催の「ロボテス EXPO 2021」(福島県・福島ロボットテストフィールド)において、高所重作業対応汎用人型重機「空間重作業人機」のPoC試作機「零式人機(れいしきじんき) ver.1.0」を初公開した。これをキックオフとし、人機社はJR西日本、日本信号とともに空間重作業人機の早期の製品化を目指した開発プロジェクトを開始する。

人機一体 代表取締役社長の金岡博士氏は、立命館大学ロボティクス学科の教員時代から20年近くにわたり独自の先端ロボット工学技術を蓄積。これらの先端ロボット工学技術の社会実装を目指して設立した人機一体では、独自ビジネスモデル「人機プラットフォーム」を構築し、社会実装への準備を進めている。

JR西日本グループは、中期経営計画2022において「メンテナンスのシステムチェンジ」を掲げ、安全な鉄道・交通サービスの持続的な提供に向けて新しいメンテナンス手法への転換に挑戦。同グループは、人機一体と「機械化・身体能力拡張」という軸でのメンテナンスの高度化も進めるとしており、身体能力拡張によるメンテナンス手法の革新が実現すれば作業効率と安全性が高まるだけでなく、人の労働価値の向上にもつながるとしている。

また日本信号は、すでにJR西日本と資本業務提携契約を締結しており、鉄道の安全性のさらなる向上、工事・オペレーション・メンテナンスの効率化およびシステムの全体最適化を図ることを目指している。

この3社の連携により、人機一体の保有する革新的技術、日本信号のメカトロニクス技術と製品化のためのリソース、JR西日本のメンテナンスの課題、それぞれがつながり新規市場が形成され、3社のビジネスを加速することが期待されるとしている。

独自ビジネスモデル「人機プラットフォーム」

テック系ベンチャー・スタートアップのほとんどは、独自の研究開発によって自社製品を世に送り出すビジネススタイルだが、人機一体は違うスタイルを採用しているという。同社は、在庫や生産ラインを抱えない、ファブレスメーカーでもない、先端ロボット工学技術の新しいビジネスモデルとして「人機プラットフォーム」を構築するとしている。

リソースのない人機一体が無理にメーカーとなってロボットを製造販売するのではなく、先端ロボット技術の知的財産権を武器に、従来技術では解決困難な課題を抱える企業様と連携し、課題解決に向けた枠組(プラットフォーム)を提供するビジネススタイルを標榜している。

  1. 人機一体、JR西日本、日本信号が汎用人型重機「空間重作業人機​」開発プロジェクト開始

    人機プラットフォームの概要

空間重作業人機 社会実装プラットフォーム

空間重作業人機 社会実装プラットフォームは、人機プラットフォームの中でも、特に空間重作業・高所での重作業を機械化することを目指し、組成されるプラットフォームとしている。人機一体独自の力制御技術およびパワー増幅バイラテラル制御技術により、操作者は自分が空間を自由に飛び回っているかのような感覚で、高所重作業ができるという。

また同プラットフォームでは、JR西日本がユーザー企業、日本信号が活用企業を担うことで人機プラットフォームが成立した。

人機一体の独自技術を用いて、日本信号がメーカーとして独占的に高所重作業対応汎用人型重機「空間重作業人機​」を開発・製造・販売し、JR西日本は課題解決を実現する製品を独占して購入する権利を得るという。

人機一体、JR西日本、日本信号が汎用人型重機「空間重作業人機​」開発プロジェクト開始

空間重作業人機の社会実装コンセプト

また人機一体は、znug design(ツナグデザイン)クリエイティブコミュニケーター / デザイナーの根津孝太氏とともに、汎用人型重機、またその上位の「人機一体」トータルブランドデザインを行なうプロジェクトを開始している。

人機一体、JR西日本、日本信号が汎用人型重機「空間重作業人機​」開発プロジェクト開始

znug design 未来の「働く」を創る。作業機編イメージ

人機一体、JR西日本、日本信号が汎用人型重機「空間重作業人機​」開発プロジェクト開始

znug design 未来の「働く」を創る。操作者編イメージ

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:JR西日本 / 西日本旅客鉄道(企業)人機一体(企業)日本信号(企業)立命館大学(組織)日本(国・地域)

フォードがロボティクス研究でミシガン大学に研究者やエンジニアら100人を配置

Ford Motor Company(フォード・モーター)はミシガン大学アナーバーキャンパスのロボティクスとモビリティのための7500万ドル(約81億7400万円)の新施設に研究者とエンジニア100人を配置する。

Fordと同大学のコラボはこれが初めてではない。Fordはミシガン大学にとって最大の法人献金者であり、両者は以前もUM Ford Center for Autonomous Vehicles(ミシガン大学自動運転車Fordセンター)の開所でタッグを組んだ。しかし、Fordが大学のキャンパスにチームを配置するのは今回が初めてだ。

FordはTechCrunchに対し、配置はインキュベーターではなく「グローバル研究と高度エンジニアリングネットワークの拡張」だと明確に述べている。

この人員配置によりFordは、広さ13万4000平方フィート(約1万2500平方メートル)の4階建てビルの最上階から、ロボティクス研究と学生へアクセスできるようになる。その逆も然りだ。Fordはまた、自動運転車をテストするための4つのハイベイガレージと歩行ロボットラボを含む、他のビルにある研究ラボへもアクセスできるようになる。

周辺では同社は実世界の環境で車両をテストするためにメインストリートを模したMcityテスト施設で車両を走行させることもできる。同社は2015年にMcityで自動運転車をテストした初の自動車メーカーだった。

Fordの研究エリアは自動運転テクノロジーに限定されない。

「ロボティクス全域は車両を超えたアプリケーションを持ち、当社はそれをはっきりと認識しています」とFordのCTOであるKen Washington(ケン・ワシントン)氏は米国時間3月16日に述べた。「当社は車両に応用するためにロボティクスの能力を創造するとかなり前に決定しましたが、製造を含め、当社の商用車両でどのようにマーケットに登場するか再考し、幅広い潜在的応用や航空ロボットのような他の可能性のあるソリューションも持つことにしました」。

2020年1月にAgility Roboticsへの最初の注文がFordから入った。人間の仕事を行うためにセンサーを搭載している人型ロボットDigitだ。Fordは新しいビルで、知らない道でも移動できるBoston Dynamicsの有名な四つ足ロボットSpotとともにDigitを実験する。同社はこれらのロボットのモデルの実験をミシガン大学の新しい施設で行う。

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一般的なロボティクスとエンジニアリングの研究はMario Santillo(マリオ・サンティージョ)氏が率い、自動運転車部門は同社の自動運転車研究のテクニカルマネジャーTony Lockwood(トニー・ロックウッド)氏が率いる。

声明によると、提携の一環として同社とミシガン大学は「教育を十分に受けられていない学生にさらに多くの機会を提供するために」包括的カリキュラムを作る。新しいロボティクス研究所はこの分野をさらに公正なものにすることを目的としている、と同大学のエンジニアリング部長Alec Gallimore(アレック・ガリモア)氏は述べた。その目的のために、ジョージア州アトランタにある歴史的黒人学校の学生はロボティクス101コースを遠隔から受講できる。この授業は上級コースを提供していなかったハイスクールの学生のために「条件を平等にすべく」微積分を必須としていない。

カテゴリー:ロボティクス
タグ:Ford自動運転ミシガン大学

画像クレジット:David Becker / Getty Images

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

外骨格と義肢の環境適応をカメラとAIで支援する研究

カナダのWaterloo(ウォータールー)大学の研究者たちは、カメラとAI(人工知能)を活用して、より自然な人間の動きを実現する義肢と外骨格の研究を紹介している。ExoNetプロジェクトでは、ウェアラブルカメラで撮影した映像をディープラーニングAIで処理することで、人間が環境に適応して動きを調整する能力を模倣する。

このプロジェクトは、現在のスマートフォンのアプリやその他の外部コントローラを備えたシステムでは提供できないより自然な動きをその場で実現しようとする試みだ。

「それは不便で認知的に難しいケースがあります。新しい運動をしたいときには停止してスマートフォンを取り出し、希望のモードを選択しなければなりません」と、ウォータールー大学の号取得者であるBrocoslaw Laschowski(ブロコスロー・ラショフスキー)博士は研究に関連したリリースで述べている。

今回の研究では、主にロボットの外骨格に焦点を当てている。ロボット外骨格は、運動機能が低下した人を支援するためにさまざまな企業が開発している。ExoNetのシステムはより自然な運動を実現するために、最終的には装着者による外部制御の必要性を排除することが期待されている。

もちろん、まだやるべきことはたくさんある。当然のことながら、システムは平坦な地形でのナビゲーションは容易だ。次のステップでは階段や障害物など、移動が制限されている環境に適応する。システムの最終バージョンはそのような環境を予測し、適応できるシステムにしたいと考えている。

「私たちの制御アプローチは、必ずしも人間の思考を必要としません」とラショフスキー氏は付け加えた。「自律走行車のように、私たちは自力で歩く自律外骨格を設計しています」。

課題は他にもある。1つはバッテリーの問題だ。研究チームは、装着者の動きにより充電できるシステムを実験することで、駆動時間の向上を目指している。

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:外骨格ディープラーニング

画像クレジット:Bloomberg/ Getty Images

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(文:Brian Heater、翻訳:塚本直樹 / Twitter

外科手術とフードデリバリー、海図作成そして帰ってきた愛すべき友、ロボティクスの近況

この2021年3月第2週に起きた一連のロボティクス投資は実に多様だ。つまり今週の調達ラウンドはあらゆる分野にわたっているということであり、ロボティクス投資全体にとって健康の証だ。VC(ベンチャーキャピタル)はさまざまな分野にわたるオートメーションに関してかなり強気のようだ。

医療は引き続き巨大だ。手術ロボットのすごいところは、実用に提供されてきた期間の長さだ。1980年代の整形外科手術にさかのぼる。より主流の用途ではIntuitive(インテュイティヴ)のda Vinci(ダビンチ)は20年以上使われており、現在、全世界に5000台近くが出回っている。

画像クレジット:ForSight Robotics

Intuitiveの共同ファウンダーであるFrederic Moll(フレデリック・モール)氏が、ForSight Robotics(フォアサイト・ロボティクス)のアドバイザーに就任した。イスラエルのスタートアップは、同社の眼科手術プラットフォームのための自称「メガ・シード・ラウンド」で1000万ドル(約10億9000万円)を調達したばかりだ。眼科的処理は、明白な理由によって、ほとんどの手術よりも許容される誤差が小さい。

同社は、この技術を使えば地理的条件を超えて困難な処置を「民主化」できる、述べている。専門家が身近にいない地域では特に。British Journal of Ophthalmologyによると、途上国における資格を持つ外科医の数は人口100万人あたり約3.7人だという。このような機械をもっと多くの医療施設が導入することで、少しでも平等な環境ができることが彼らの願いだ。

RaniPill(赤で囲まれている)が胃から腸に移動しているところ。2019年2月に薬品を用いなかった成功事例より

Rani Therapeuticsに関する興味深い記事がある。ロボティクス・ピルは研究者の間で(中でもMITは非常に進んでいる)長い間、扱われている興味深いアイデアだが、そのコンセプトが商品化に向かっているのはすばらしいことだ。具体的に同社の製品は小腸に皮下注射を行う。

関連記事:Rani Therapeuticsのロボットカプセルは皮下注射治療をどう変えるか

コンセプトの実用化といえば、Nimble Roboticsで実に興味深いのが、リアル世界に持ち込むまでのスピードだ。この会社はその名を冠し(nimble、機敏な)、当然ながら5000万ドル(約54億5000万円)のシリーズAを完了している。しかも同社はFei-Fei Li(李飛飛)氏とSebastian Thrun(セバスチアン・スラン)氏というビッグネーム2名をアドバイザーに迎えている。会社は模倣学習コンセプトに基づいて適応型ピック&プレース・フルフィルメント・ロボットを開発している。

関連記事:倉庫業務の自動化を手がけるNimble Roboticsが約54.6億円調達

「私たちは最初のロボティクス・ピック&プレース会社ではありません。非常に早く成長して多くのロボットを生産現場に提供しています」とCEOが私に話した。「多くの人が倉庫の隅にロボットを眠らせています。私たちが出荷した数多くのロボットは各地に設置されていて、会社は急成長しています。そのロボットは実際に稼働して顧客のために毎日何万もの注文をさばいているのです」。

画像クレジット:Bedrock

Bedrock Ocean Explorationの800万ドル(約8億7000万円)の資金調達は他と比べると巨額とはいえないが、大きな成長の可能性がある。それには理由がある。Shellが海中探査コンペティションであるXPrizeを主催したのはそれほど前のことではない。Nautilus Labsの共同ファウンダーであるAnthony DiMare(アンソニー・ディマレ)氏が立ち上げた同社は、海底探査用の先進的水中ロボットを、風力発電所から大陸間海底ケーブル敷設まで、さまざまな応用のために提供している。

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画像クレジット:Refraction

今週はラストマイル配達ロボティクス企業もいくつか紹介しなくてはならない。私が記事を書いたRefraction.AIは、数年前に本誌のMobilityイベントの壇上でデビューした。この会社は自転車フレーム上でロボットを作った。自転車レーンを走るのに最適なフォームファクターだ。ミシガン州アナーバーのスタートアップはつい最近420万ドル(約4億6000万円)調達したばかりで、さらに市場進出する計画だ。

関連記事:自転車レーンや車道を走行し高速移動が可能なラストマイル配達ロボットのRefraction AIが約4.6億円を調達

画像クレジット:Tortoise/Albertsons

一方、サンフランシスコ・ベイエリアのスタートアップであるTortoise(トータス)はAlbertsons(アルバートソンズ)から強力な支援を受けている。食料品のメガコングロマリットはTortoiseのロボットを傘下Safewayの複数店舗でパイロットテストする予定だ。結果が良ければ、デリバリーロボットは西海岸に他店舗にも広がるだろう。

関連記事:遠隔操作ロボでの商品配達テストをグローサリー大手Albertsonsが開始、店舗から約4.8km以内の顧客が対象

フードチェーンの反対側にいるのがStrawbot(ストローボット)だ。数ある農業テックロボティクス会社の中で最近目立ってきたスタートアップだ。同社はイチゴ摘み取り作業者を追いかけることで、農家の労働コストを最大3分の1を節約できるという。Traptic(とラプティック)の提供するイチゴ摘み取りロボットとは異なるアプローチだ。摘み取り自体はやらないが、役に立つことは間違いない。

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最後にAnki(アンキ)……ではなくDigital Dream Labs(デジタル・ドリーム・ラボ)についてもひと言紹介しておきたい。ペンシルベニア州ピッツバーグ拠点の教育テック会社は、Ankiの知的財産権を買い取った。この資金豊富のスタートアップが崩壊した後のことだ。Digital Dream Labsは、人気のロボティクス玩具、Cozmo(コズモ)とVector(ベクター)を 再発売する計画を発表した。記事は次のように述べている。

彼らを生むために大量のリソースを投じており、その中にはPixarとDreamWorksの元スタッフたちもいる。ロボットを本当に生きてるような感じにするために、彼らが起用された。またロボットに個性を持たせるためにも工夫が施され、Vectorの一部のオーナーはそのロボットをオープンソースにしている。一方Cozmoは、発売後に同社のアプリでプログラマブルな機能を持つ予定だ。

というわけで、懐かしい友よ、またよろしく。

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:ロボット

画像クレジット:Veanne Cao

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(文:Brian Heater、翻訳:Nob Takahashi / facebook