24時間信頼できるAIの構築を目指しAI品質保守の自動化ツールを提供するCitadel AIが1億円調達

24時間信頼できるAIの構築を目指しAI品質保守の自動化ツールを提供するCitadel AIが1億円調達

「24時間信頼できるAIをあなたに」をビジョンに、AIの品質保守の自動化ツールを提供するCitadel AIは10月4日、シードラウンドにおいて合計1億円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、東京大学協創プラットフォーム開発(東大IPC)、ANRIがそれぞれ運営するファンド。現在創業期ソフトウェアエンジニアの募集を進めており、調達した資金をベースにエンジニアリングチームを拡充し、2022年の商用化サービスに向け開発を加速化する。

2020年12月設立のCitadel AIは、米Google Brainの元AIインフラ構築責任者が開発をリードするスタートアップ。東京を拠点としつつ、インターナショナルなチームを構築しており、グローバルな市場を狙っているという。

同社提供の「Citadel Radar」(β版)は、顧客のAIの品質を自動モニタリングし、AIの入出力の異常を自動検知・ブロックの上、人間が理解できる形で可視化する機能を搭載したシステム。現在大手製造メーカー、システムインテグレータやAIベンチャー企業など10社以上で試験利用を開始しているそうだ。24時間信頼できるAIの構築を目指しAI品質保守の自動化ツールを提供するCitadel AIが1億円調達24時間信頼できるAIの構築を目指しAI品質保守の自動化ツールを提供するCitadel AIが1億円調達24時間信頼できるAIの構築を目指しAI品質保守の自動化ツールを提供するCitadel AIが1億円調達

従来のソフトウェアの場合、そのロジックが外部環境の影響を受けて変化することはなく、システムの性能や品質を監視するさまざまなツールも提供されている。一方AIの場合、外部環境の影響を受けやすい特性があるにも関わらず、AI固有のリスクから顧客を守る仕組みが確立されていない。

Citadel AIは「24時間信頼できるAIをあなたに」をビジョンに、開発時から運用時まで、自動化を通じてこの課題をエンドツーエンドで効率的に解決するソリューションを提供することで、企業や社会をこうしたリスクから守るとしている。

Citadel AIは、AIが誤認識・誤判断し、ビジネス上の損失やコンプライアンス問題として顕在化する前に、異常を自動検知しAIの品質を保つことは、今後のビジネスにとって非常に重要と指摘。AIの社会実装が進む中、同社システムは、これからの社会・企業経営にとって必須としている。

モバイルSuicaで障害、iPhone・Apple Watch向け「Apple PayのSuica」でチャージなど不可に

モバイルSuicaで障害、iPhone・Apple Watch向け「Apple PayのSuica」でチャージなど不可にJR東日本は10月5日未明、モバイルSuicaサービスのうち、iPhone / Apple Watch向けに提供している『Apple PayのSuica』でチャージや定期券、グリーン券の購入が行えない不具合が発生していると発表しました。

同社は『現在復旧を急いでいる』としたうえで、チャージは店舗・駅の券売機等で、定期券・グリーン券の購入は駅の券売機で行うよう案内しています。

また、『Apple PayのPASMO』ユーザーからも「チャージできない」との報告が上がっています。

(Source:JR東日本Engadget日本版より転載)

【インタビュー】Misoca創業者が農業×ロボットにかける想い「有機農業を劇的に加速させすべての人に安心・安全な食環境を」

業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)を政府が推し進めている。とはいえ、エッセンシャルワークと呼ばれる職種、つまり人々が日常生活を送る上で必要不可欠とされている医療・福祉や保育、小売業、運輸・物流などに関しては、重要度が高いのにDXが進まないというジレンマが生じている。

エッセンシャルワークの主な7つの職種の中に含まれていないとはいえ、農業も生活基盤に不可欠な仕事であることは疑念の余地がない。にもかかわらず、農業は最もDXが進んでいない分野の1つだ。

農業をロボットで変えようと起業した人がいる。トクイテン代表取締役豊吉隆一郎氏と共同創業者で取締役の森裕紀氏だ。高専時代にロボット研究に携わり、2011年にクラウド請求管理サービス「Misoca」を立ち上げた豊吉氏が、なぜ農業という分野を選んだのか、考える農業の未来などについて、豊吉氏と森裕紀氏に話を聞いた。

わずかなITツールで大きなインパクトを与えられる農業というフィールド

豊吉氏は、工業高等専門学校卒業後、Webシステム開発で独立し、2011年には後に20万事業者以上が登録するクラウド請求管理サービス「Misoca」を立ち上げた。

会社を売却した後もしばらくは同社内にとどまっていたが2018年11月に代表を退任し、2021年8月にロボット開発の知識を活かした有機農業を事業とする「トクイテン」を森氏と共同創業した。

ここで、疑問が生じる。なぜオフィスのバックヤード業務の効率化を進めるMisocaから農業へとシフトしたのだろうか。

実は、豊吉氏の実家は兼業農家。農業に幼い頃から親しんでいたという背景がある。農業に興味を持っており、家庭菜園まで行っていたところ、知り合いの農家の灌漑(かんがい、水やりのこと)システム開発に携わる機会を得たという。

「スマホから遠隔操作で畑に水やりをするシステムを作りました」と豊吉氏。「わずか数万円という費用に、自分の得意なプログラミング技術を使っただけなのに、『これで旅行にも行きやすくなる』ととても喜んでもらえた」と振り返る。

「これだけのことで、ここまでインパクトがあるのか」と、農業にITを持ち込むことの影響力の大きさに驚いた瞬間だった。

これほどまでに感動をもって受け入れられた理由を「農業分野ではDXが遅れているという現状がある」と豊吉氏は分析する。

「製造業なら、24時間、休まず人間以上のスピードでロボットが働けば、時間ごとの生産性は上がる。ソフトウェアなら、やはり人間が行う以上のスピードで正確に計算し続けられる。

しかし、農作物の成長スピードは、ロボットが入っても変わらない。そのため、コストをかけても無駄、という考え方があるのだろう」と豊吉氏はいう。

灌漑システム開発で、何度もその農家を訪れるうちに、成長していく作物を情を持って見つめるようになり、農業について真剣に学ぶため県の農業大学校1年コースに入学し、農業者育成支援検研修を修了。農業の素晴らしさと大変さを身をもって感じたという。

「20種類ほどの農作物を育てて収穫したが、在籍していた2020年の夏は特に暑かったため、熱中症で倒れてしまう人も出るほど過酷な状況だった。また、有機野菜は管理が大変で、そのぶん価格も高いのが現状。これを自動化できれば、大変な思いをすることなく農業を行え、有機野菜も一般化するのでは……との思いが強まった」。

そこで、高専時代の同級生であり、現在は早稲田大学次世代ロボット研究機構で主任研究員・研究院准教授となっている森氏と共同でトクイテンを立ち上げたのだ。

社名に込められているもの

それにしても、農業のスタートアップ企業名に「トクイテン」を選んだのはなぜだろうか。一体何の「特異点」なのだろう。

「それには3つの意味が込められている」というのは森氏だ。「ロボットの勉強会をしたときに、通常とは異なる(特異な)取り扱いをしなければならない場合のことを特異点というよね、という数学的な話が出た。自分たちがこれから挑む農業は、今までとは違うやり方で行うことが決まっていたという意味が1つ」と解説する。

続けて「宇宙論やロボット工学ではある種の状態が特異点に近づくと劇的に加速し変化することがあります。わたしたちの技術が浸透することで農業が劇的に変わるという意味の特異点。それから、人工知能も含め、新しい技術が出てきて加速度的に指数関数で物事が進んでいき、ある瞬間に世の中が劇的に変わるのも技術的特異点(シンギュラリティ)と呼ばれており、その意味も含んでいる」と森氏は説明してくれた。

「これまでの農業では、人が介入することで収穫(人が摂取するエネルギー)を得られたが、それを人間なしにまかなえるようにすることが、トクイテンの目指す農業。それは後から振り返ると、文明が変わってしまうほどの特異点になるのではないか。また、そういう特異点と呼ばれるような存在になりたい、という想いで、この社名を選んだ」(森氏)

農地法に守られているからこそ難しかった農地の取得

あくまでも、農業を事業の柱とするのがトクイテンなので、作物を植える土地が必要になる。しかし、その取得には苦労があったという。

それは、農地が農地法によって守られているからだ。この農地法では、地域の農業委員会から許可を得た農家または農業従事者以外に農地を売却してはならないと定められている。また、売却先の管理者が管理を怠り、害虫を発生させる、耕作を放棄して荒れ地にするといったことを防ぐため、信用を得ていることも重要になる。

「農地売却は二束三文にしかならないうえ、信用できない人に売ってしまうことで回りからつまはじきにされるなど、デメリットが多いため、売りたくてもそれをためらう農家が多い」と豊吉氏は解説する。

ここで活きてきたのが、農業大学校を修了したことや、地元の農業法人の土地を間借りし、有機トマトを苗から育てて出荷したという豊吉氏の実績だ。「この人たちなら、きちんと活用してくれる、というお墨付きをもらえた」と豊吉氏は振り返る。

「ようやく30a(アール)程度の農地売却の許可を得られそうというところまでこぎつけた。ビニールハウスを建て、来年の春から本格的に生産を開始したい」と豊吉氏は語る。

それでも国内で始めることのメリット

農地取得が難しいことに加え、国土の狭さ、台風が毎年来襲することも日本で農業のDXを進めることの難しいところだが、それでも日本だからこそのメリットがあると豊吉氏は考える。1つは水資源の豊富さ、そしてもう1つはロボティクスの強さだ。

「農業という業種で高齢化が進んでいることがDXを阻む1つの要因になっているが、高齢化が進んでおり、人手不足だからこそ、ロボットが活きてくる」と豊吉氏は説明する。

「まず、わたしたちはできあいの産業用ロボットに手を加えてすばやく現場投入し、実地経験を積みながら改善していくことを考えている。いちから作ると、1つの作業に特化したものができてしまい、年に数時間しか使わないようないくつものロボットで倉庫が満杯になってしまうこともあるからだ。

ただし、工業用ロボットは、人が近づかないところで作業するよう設計されているので、Co-ROBOT(人と一緒に作業できるロボット)という点ではまだまだ改善が必要。収穫作業や、人があまりやりたがらない運搬作業、農薬散布など、さまざまな作業を行える汎用性の高いロボットを目指したい」(森氏)

手間のかかる有機農業を劇的に加速させたい

2022年春に本格始動を予定しているトクイテン。まずはロボット×有機農業で作ったミニトマトを販売して収入を得るビジネスモデルを確立したいと考えている。

ミニトマトを最初の作物に選んだのは「ミニトマトが好きだったから」と豊吉氏。「嫌いな野菜だと、おいしくできたのかそうでないのかがわからないし、愛着もわかない。しかも、ミニトマトは、野菜の中で産出額が高く市場が大きい。また、最初のロボットは雨が当たらないビニールハウスの中で作業するものを作りたかったことと、品種によって、そこまで育て方に違いがないことも、選んだ理由」だと教えてくれた。

海外のベンチャー企業150社程度を調査し、有機農業を広げようとするところもあれば、作ったロボットの販売を事業の柱にしようとしているところもあったという。

豊吉氏は「ロボットを開発するが、それを単体で売るようなことは考えていない。あくまでも農業が主体で、農作物を売っていきたい」と語る。「ただ、蓄積されたノウハウを売って欲しいという要望が出たら、ロボットを使った有機農業の方法も含めたシステムという形で販売することもあるかもしれない」と展望を述べた。

「今は、有機野菜を作るのに手間がかかるため、一般的な野菜の2〜3割、場合によっては5割ほど高く販売されていて、なかなか手が出せない状況にある。でも、出始めは高くて手が出せなかった電気自動車を一般の人が買えるまでになっているのと同じように、ロボティクスによって、有機野菜が一般化するようになるとわたしたちは考えている。

今はまだ会社のメンバーが少なく、エンジニアをしている段階だが、農業分野の拡大や、有機野菜の一般化などにより、農業の特異点となれるよう邁進していきたい」と豊吉氏は語る。

画像クレジット:トクイテン

最大287万通りのカスタムサラダを自動供給する調理ロボをCRISPとTechMagicが共同開発、2022年7月末の店舗導入目指す

最大287万通りのカスタムサラダを自動供給する調理ロボをCRISPとTechMagicが共同開発、2022年7月末の店舗導入を目指す

カスタムサラダレストランCRISP SALAD WORKSを展開するCRISPは10月4日、食産業向けのロボットやソフトウェアを提供するTechMagicと共同で、最大287万通りのカスタムサラダを作る調理ロボットの開発と実装を目指した契約の締結を発表した。現在は、すでに開発に必要な初期技術検証を完了しており、2022年7月末の店舗導入を目指している。

このロボットは、TechMagicが開発し、CRISPの店舗でサラダ調理工程を「1人単位で自動化」するというもの。このロボットがもたらすのは次の3つ。

  • モバイルオーダーとの連携:モバイルオーダーアプリや、店頭に置かれたキャッシュレス・セルフレジ「CRISP KIOSK」と連動して最大287万通りのカスタムサラダを調理する
  • トッピングの計量と供給の自動化
    レメインレタス・チキン・ナッツ・チーズなど、27種類の不定型なトッピングを自動計量し、サラダボウルの準備から盛り付けまで、ベルトコンベア上で作業を行う。サラダボウルをパートナー(スタッフ)が受け取るまでの一連の動作を自動化
  • 安定した品質とスピード:2022年7月末の導入時には、CRISP SALAD WORKS麻布鳥居坂店にて、1時間あたり60食の提供スピードを目標にしている

最大287万通りのカスタムサラダを自動供給する調理ロボをCRISPとTechMagicが共同開発、2022年7月末の店舗導入を目指すこうした自動化により、スタッフをより創造性の高いLTV(顧客生涯価値)を高める接客に振り向け、そこに「時間と意識を集中」させるとしている。これは、CRISPの目指す「新しいレストラン体験」に通ずるものだ。また、深刻な人手不足に悩む食産業での、単純作業の自動化により貴重な人材を有効活用し、新たな食インフラを創造するというTechMagicの理念にも通じるものとなる。最大287万通りのカスタムサラダを自動供給する調理ロボをCRISPとTechMagicが共同開発、2022年7月末の店舗導入を目指す

TechMagicは、「テクノロジーによる持続可能な食インフラを創る」をミッションとして、2018年2月に設立。食を取り巻く企業が直面する人手不足を解消し、生産性の高い社会を実現するために、ハードウェアとソフトウェア両方の技術を高度に融合した各種プロダクトの企画、設計、製造、販売、保守を行っている。

2014年7月設立のCRISPは「レストラン体験を再定義することで、あらゆる場所でリアルなつながりをつくる」をビジョンに掲げ、CRISP SALAD WORKSの展開を通じて、テクノロジーで顧客体験を最大化し、非連続な成長と高い収益率を実現する新しい外食企業「コネクティッド・レストラン」を作ることを目指している。

スポーツ×地域マーケで地域活性化を目指す北海道発「スポーツネーション」が9000万円のシード調達

スポーツ×地域マーケで地域活性化を目指す北海道発「スポーツネーション」が9000万円のシード調達

「応援する力を経済に還元しよう」をミッションに掲げる北海道発のスポーツ領域スタートアップ「スポーツネーション」は10月1日、シードラウンドにおいて、総額9000万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、banker、INCLUSIVE、個人投資家。調達した資金は、スポーツチーム支援のための現地人材採用、サブスクスポンサーへの提供サービスに向けたシステム開発、幹部人材の採用にあてる。

これまでスポーツネーションは、同社代表取締役の三木智弘氏が同時に経営する札幌市の男子プロバレーボールチーム「サフィルヴァ北海道」において、スポーツチームの新しいビジネスモデルの検証を行ってきたという。現在同氏は、東京大学を休学しサフィルヴァ北海道を経営をしており、その中で「知名度」「資金力」「人材」がないスポーツチームがいかに世の中に価値を提供し、ひいてはスポーツ界全体の課題を解決していけるのかを考える中で、スポーツネーションが生まれたとしている。

また、コロナ禍でスポーツビジネスのスポンサーモデルの脆弱性が露呈し、興行中止などで業界全体が苦しんでいることを当事者として感じる中で、全国各地のスポーツチームをサポートしたいという思いから、全国展開に向けたプロダクト開発チームと営業人材の強化の必要性を感じ、今回の調達にいたったという。

チームとステークホルダーのデジタルでのつながりを創出するとともに、スポーツを応援する力を地域経済の活性化につなげ、次世代の社会を創っていくことを全国各地で挑戦するという。

現場に「使える」AI・アルゴリズムを提供するALGO ARTISがシリーズAエクステンション完了、合計調達額5.28億円に

現場に「使える」AI・アルゴリズムを提供するALGO ARTISがシリーズAエクステンション完了、合計調達額5.28億円に

AI(アルゴリズム)のコンサルティングおよびソリューションを提供するALGO ARTISは9月30日、2021年7月に続くシリーズAエクステンションラウンドにおいて、第三者割当増資による資金調達を2021年9月に完了したと発表した。新たな引受先は、東京大学エッジキャピタルパートナーズをリードインベスター、K4 Ventures、みやこキャピタル。シリーズAラウンドにおける合計調達額は5億2800万円となった。調達した資金は、エンジニアといった人材の獲得費用にあて、プロダクト開発を促進し主要事業の成長をさらに加速させる。

ALGO ARTISは「社会基盤の最適化」というミッションを掲げ、コンサルティング・デザイン・システムの力を活用して優れた最適化AI(アルゴリズム)を現場に導入し、継続的に価値を提供することを目指す事業を展開している。

プラントやロジスティクスのスケジュール管理をはじめとする幅広い社会基盤の管理業務を対象としており、現場で継続的に利用されるよう、入念なヒアリングとコンサルティングを経てアルゴリズム・デザイン・機能を設計・実装している。また、実装の過程ではプロトタイプを提供し実際に利用してもらうことで、机上では把握できない課題を抽出し、改善を繰り返すことでスムーズな現場への導入を実現しているとのこと。

3Dプリント義足事業を展開し日本発のグローバルスタートアップを目指すインスタリムが2.4億円のシリーズA調達

3Dプリント義足事業を展開し日本発のグローバルスタートアップを目指すインスタリムが総額2.4億円のシリーズA調達

3Dプリンティングおよび機械学習(AI)技術を活用し3Dプリント義足を海外で製造販売しているインスタリムは9月30日、シリーズAラウンドにおいて、第三者割当増資による総額2億4000万円の資金調達を完了したと発表した。引受先はインクルージョン・ジャパン、Mistletoe Japan、慶應イノベーション・イニシアティブ、三菱UFJキャピタル、ディープコア。

インスタリムは、低価格・短納期の3Dプリント義足をフィリピンで製造販売する日本発のスタートアップ。単なる試供品の提供ではなく、事業化の前提となる「カスタム量産体制」(マス・カスタマイゼーション)が構築された3Dプリンター・CAD義足事業として世界初(同社調べ)としている。このカスタム量産体制とは、ユーザー個人のニーズに応じたカスタマイズと、大量生産並みの低コストな供給を両立する生産システムを指すという。義足の提供には患者ごとの断端(切断部)の形状に合わせた製造が不可欠であるため、世界的な普及には、低コストな大量生産とパーソナライズされた受注生産を兼ね備えた提供が不可欠としている。

同社は、今回の資金調達に加えて、経済産業省による事業再構築補助金、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による課題解決型福祉用具実用化開発支援事業などの支援を得ている。

これらにより、現在のフィリピンの首都圏に限られている販売網を地方都市にも複数拠点化し全国展開する。現地製造販売体制の強化やマーケティング施策を通じたグロースの実現も図る。また、より多くの層の人々が義足を購入し就業できるよう、初期出費を抑えたサブスクリプション販売形式を新たに構築するという。

さらに、次なる展開国としてインド(予定)での事業展開を目指す。アフターコロナの情勢に対応した、測定・試着・製品提供までを完全リモートによる非対面での義足製造販売システムの開発も進めるとのこと。

従来義足は、医学知識を持った義肢装具士がユーザーごとの体に合わせ医学的に最適な形状のものを手作りしていることから、価格30~100万円と高価で、また1カ月程度の納期を要しているという。このため、障害者への社会的支援が不十分な開発途上国においては、義足を購入できない方は仕事に就くなどの社会参画が困難となっており、深刻な社会課題となっているという。

そこでインスタリムは、3DプリンティングとAI技術により約1/10の水準の価格と納期を実現し、2019年よりフィリピンで製造販売を行なっている。コロナ禍による移動制限や経済状態の悪化が続いている中でもすでに400人以上のユーザーがおり、1600人以上(2021年8月現在。同社の義足が欲しいが、現在購入できないために引き続き情報提供を希望するという切断患者を掲載したウェイティングリストの患者数)が同社の義足提供を待っている状態という。

同社は、「必要とするすべての人が、義肢装具を手に入れられる世界をつくる」というビジョンの実現に向けて、日本発のグローバルスタートアップ、SDGsスタートアップとして社会課題の解決を目指すとしている。

 

【スタートアップバトル】過去の出場企業紹介 3:Crezit

TechCrunch Tokyo 2021は、12月2、3日にオンラインで行う。そのメインとなる「スタートアップバトル」はもちろん2021年も開催する。

新進気鋭のスタートアップがステージ上で熱いピッチを繰り広げるピッチイベント「スタートアップバトル」には、例年数多くの企業が参加、熱戦が繰り広げられている。投資家や大企業の新規事業担当者も多く参加、スタートアップバトルをきっかけに出資が決まったり、優秀な人材の採用につながることも少なくなく、日本スタートアップ業界における登竜門ともいえる存在だ。

ここで紹介するのは、2020年のスタートアップバトルでファイナルラウンドに進出したCrezitだ。

同社は「Optimize Credit, Unleash Potential. / 信用を最適化して、人の可能性を解き放つ。」というミッションのもと、個人向けのモバイルクレジットサービス「CREZIT」を提供、さらにCredit as a Service「X Crezit」構想の実現に向けたプロダクトの開発を進めている。

このX Crezit構想とは、消費者信用事業(貸金・割賦販売など)に参入したいあらゆる企業に対して、金融サービス構築に必要なシステム基盤やオペレーションをサービスとして提供するというものだ。

スタートアップバトルに出場したCrezitのその後の軌跡は、以下の記事から確認できる。また、スタートアップバトルへの本登録は記事末のリンクで行える。出場登録締め切りは2021年10月11日(月)だ。

2021年2月
個人向けモバイルクレジットのCrezitがプレシリーズAで3500万円を追加資金調達

応募条件(詳しくはバトル応募ページに記載)

  • 未ローンチまたは2020年10月以降にローンチしたデモが可能なプロダクトを持つスタートアップ企業であること。
  • 法人設立3年未満(2018年10月以降に設立)で上場企業の子会社でないこと。

スタートアップバトルの応募はこちらから

牛群管理クラウドや牛向けウェアラブル機器など手がけるファームノートHDが14.4億円調達、累計調達額が約44億円に

牛群管理クラウドや牛向けウェアラブル機器など手がけるファームノートHDが14.4億円調達、累計調達額が約44億円に

ファームノートホールディングス(ファームノートHD)は9月29日、第三者割当増資による総額14億4000万円の資金調達を発表した。引受先は未来創生2号ファンド、マイナビ、丸紅、前田工繊キャピタル、千葉道場2号投資事業有限責任組合、中部飼料、SMBCベンチャーキャピタル6号投資事業有限責任組合、KOBASHI HOLDINGS、萩原建設工業、イノベーション・エンジンPOC第2号投資事業有限責任組合、個人・事業会社など。累計資金調達額は約44億円となった。

ファームノートHDは、ファームノートとファームノートデーリィプラットフォーム(ファームノートDP)の2社を保有する、2016年設立の純粋持ち株会社。

同社は、ファームノートを通じクラウド牛群管理システム「Farmnote Cloud」と牛向けウェアラブルデバイス「Farmnote Color」を提供している。Farmnote製品の有償ユーザー数は約1600生産者、契約頭数約32万頭(2021年8月時点、参考:日本の飼養頭数380万頭)まで成長したという。

またファームノートDPは、2020年8月に自社牧場による生乳生産を開始。牛舎設計やロボット搾乳といったリアル技術とFarmnote製品などのデジタル技術を統合し、労働生産性は国内平均の2倍以上を実現したという。設立8カ月でEBITDA黒字を達成したそうだ。

調達した資金は、酪農DXを実現するための製品群強化と拡大に向けたシステム開発投資をはじめ、顧客基盤拡大と既存顧客の継続課金収入(ARR)の増加を狙った営業体制強化とマーケティングへの投資、酪農生産事業の拡大と酪農DXプラットフォーム構築(設備・開発投資)にあてる予定。

酪農DXは、ファームノートホールディングスが保有する2社を通して推進している事業。内容としては、牧場におけるIoTやAIソリューションの活用、牛舎の設計から搾乳などの自動化技術・牛の遺伝改良技術・疾病予防技術といった酪農生産技術を高いレベルで両立・パッケージングしたものという。

広告詐欺などアドフラウドの対策ツール「Spider AF」を提供するSpider Labsが約5.5億円のシリーズB調達

広告詐欺などアドフラウドの対策ツール「Spider AF」を提供するSpider Labsが約5.5億円のシリーズB調達

広告詐欺・不正広告といったアドフラウドへの対策ツール「Spider AF」(スパイダーエーエフ)を提供するSpider Labs(スパイダーラボズ。旧Phybbit)は9月29日、総額約5億5000万円となる第三者割当増資をシリーズBラウンドにおいて実施したと発表した。引受先はHeadline Asia、三菱UFJキャピタル、Darwin Venture Management、Golden Asia Fund。調達した資金によりSpider AFの事業拡大を行ない、インターネット上における不正を撲滅し社会課題の解決を目指すとしている。

Spider Labsは2011年に設立された日本発のサイバーセキュリティカンパニー。Spider AFをメインサービスとしており、信頼性の高いアドフラウド対策を提供している。デジタル広告業界の信頼性を高める世界最高水準の認証機関「Trustworthy Accountability Group」(TAG)の不正防止部門から、日本およびAPACで初めて認証を取得している。

SpiderAFは、不正な手法によって広告のインプレッションやクリック、コンバージョンを水増しして広告報酬を詐取するアドフラウド(広告詐欺)の対策ツール。誰にでも手軽にアドフラウド対策が行なえるよう、自動化と非属人化に特化しているという。無駄な広告トラフィックを排除する機能を持っており、2018年12年には複数事業者でブラックリストを共有する「SHARED BLACKLIST」(シェアードブラックリスト)を日本で初めて提供を開始したとのこと。

スタートアップ・中小企業を対象とする補助金・助成金の受給支援サービス「補助金way」が累計2億円の支援完了を発表

スタートアップ・中小企業を対象とする補助金・助成金の受給支援サービス「補助金way」が累計2億円の支援完了を発表

スタートアップや観光業の中小企業などを対象に、国・地方自治体が提供する補助金の受給をサポートする「補助金way」運営のStayway(ステイウェイ)は9月30日、2021年度上半期において資金調達支援額が累計2億円を超えたこと(採択日時点)を発表した。

補助金wayは、国や地方自治体提供の多種多様な補助金制度の中からそれぞれの事業者に合った制度を選定。事業計画の策定や補助金受給のための各種申請書の作成もサポートする。

経営革新等支援機関であるStaywayは、地域のソーシャルコマース事業や観光業界のプロモーション支援も手がけており「中小企業のお金の悩みを解決する」ことをミッションに掲げている。補助金獲得の認知度向上を通じ、スタートアップに第3の資金調達の形を提供し、スタートアップの「資金調達」の選択肢の拡大に貢献していきたいとしている。

【スタートアップバトル】過去の出場企業紹介 2:クイッキン

TechCrunch Tokyo 2021は、12月2、3日にオンラインで行うこととなった。そのメインとなる「スタートアップバトル」はもちろん2021年も開催する。

新進気鋭のスタートアップがステージ上で熱いピッチを繰り広げるピッチイベント「スタートアップバトル」には、例年数多くの企業が参加、熱戦が繰り広げられている。投資家や大企業の新規事業担当者も多く参加、スタートアップバトルをきっかけに出資が決まったり、優秀な人材の採用につながることも少なくなく、日本スタートアップ業界における登竜門ともいえる存在となっている。

ここで紹介するのは、そのスタートアップバトルにおいて、2020年にファイナルラウンドに進出したCUICIN(クイッキン)だ。

同社は、非接触型のスマートチェックイン機能をベースに、HotelStyle OSとして宿泊施設のDX化を支援するスマートオペレーションサービス「aiPass」(アイパス)を提供している。またaiPassでは、顧客分析・混雑予測・スマートキーなど、宿泊業の「マーケティング」「ホスピタリティー」「業務効率化」に関する作業のデジタル化をプラグイン(有償)の形で提供しており、導入業者は自由に組み合わせて使える。

スマートチェックイン機能は、宿泊施設の基幹システム(PMS)の入れ替えなどが必要ないため、施設側からすれば導入ハードルが非常に低い。チェックイン機能の導入後、PMSとして使うのであれば、施設に合ったプラグインを提案できる。既存システムからリプレイスを段階的に促すことで、宿泊施設が抱える課題の解決を図っていけるのだ。

スタートアップバトルに出場したCUICINのその後の軌跡は、以下の記事から確認できる。また、スタートアップバトルへの本登録は記事末のリンクで行える。出場登録締め切りは2021年10月11日(月)。

2021年1月
スマホ利用の非接触型チェックインが可能な宿泊施設向けシステムを提供するCUICINが6000万円調達

2021年2月
スマホ見せればチェックイン、宿泊業界のDXに新たな風をもたらすクイッキン

2021年5月
スマホ利用の非接触チェックインが可能な宿泊施設向けaiPassでオンライン決済可能に、VeriTrans 4Gとの連携で実現

応募条件(詳しくはバトル応募ページに記載)

  • 未ローンチまたは2020年10月以降にローンチしたデモが可能なプロダクトを持つスタートアップ企業であること。
  • 法人設立3年未満(2018年10月以降に設立)で上場企業の子会社でないこと。

スタートアップバトルの応募はこちらから

AI創薬のSyntheticGestaltが約12億円を調達、機械学習モデルの拡張・自社パイプライン拡充に向けウェット試験実施

AI創薬事業を手がけるSyntheticGestaltが約12億円を調達、機械学習モデルの拡張・自社パイプライン拡充に向けウェット試験実施

AIによる創薬事業を展開するSyntheticGestalt(シンセティックゲシュタルト)は9月29日、シリーズAラウンドにおいて、1100万ドル(約12億円、このうち400万ドルが株式、700万ドルが転換社債)の資金調達を発表した。引受先は英国政府系ファンドFuture Fundをはじめ、インキュベイトファンド、三井住友海上キャピタル、ほか2社。累計調達額は1400万ドル (約15億円)となった。

ロンドンと東京に拠点を持つSyntheticGestaltは、AI創薬事業を展開するスタートアップ。新薬候補物質を製薬企業に提供する「自社創薬」と、創薬システムを基軸としたケイパビリティをライフサイエンス系企業との協業にいかす「共同研究」の2つの事業を主軸としている。今回調達した資金は、機械学習モデルの拡張および自社パイプライン拡充のための各種ウェット試験にあてる方針。

SyntheticGestaltの創薬システムは、より多くの新薬候補物質を機械学習を用いて発見するために開発された。数十億の化合物から新薬候補物質をスピーディーに発見し、創薬における研究期間を大幅に短縮することが期待されている。また、従来の機械学習を用いた創薬と異なり、創薬標的タンパク質の構造情報を必要としないため、これまで治療薬の創出が困難であった標的も創薬の対象にできるという。

動画クリエイターとクライアントをつなげる動画制作プラットフォームVideoWorksを手がけるCrevoが5億円調達

動画クリエイターとクライアントをつなげる動画制作プラットフォームVideoWorksを手がけるCrevoが約5億円調達

動画クリエイターとクライアントを直接つなげる動画制作プラットフォーム「VideoWorks」(ビデオワークス)などを手がけるCrevo(クレボ)が9月29日、第三者割当増資による約5億円の資金調達を実施したと発表した。引受先はインキュベイトファンド、三井住友海上キャピタル、あいざわアセットマネジメント、Axiom Asia Private Capital。これにより累計調達額が約13億円となった。

調達した資金により、VideoWorksの機能充実化と開発、顧客企業のサポート体制拡大に向けた人材採用、市場拡大に向けた販促・促進活動の強化を行う。サービス開発面では、特にスマホ上での使いやすさの向上に注力することを考えているという。その一環としてアプリ開発にも着手し、本格的な5G時代突入により加速するユーザーのスマホファーストのニーズに対応する。これに伴い、開発体制の人員を現状の倍以上に拡大予定としている。

またサービスの数値的な目標としては、登録クリエイター数を現状の1万人から、3年後には10万人の登録を目指す。その実現のために、2年後までにVideoWorksを依頼総額で累計50億円規模のマーケットへと成長させ、クリエイター経済圏の創造に向けて、マーケティングやプロモーションの強化も同時に行う。

2012年設立のCrevoは、動画制作および動画制作サービスの運営を活動の中心とした総合クリエイティブカンパニー。「動画新時代のクリエイター経済圏をつくる」というミッションの下、クリエイティブの価値が最大限に発揮されるインフラ構築を目指している。またVideoWorksに加えて、制作管理ツール「VideoWorksクラウド」といったサービスの提供も行なっている。

VideoWorksには、国内外約1万人のプロクリエイターが所属しているという。「低価格重視」「クオリティにこだわりたい」「短納期で依頼したい」といった様々な要望に対して、最適なクリエイターとマッチングしてもらうことが可能とのこと。

【スタートアップバトル】過去の出場企業を紹介(1):ログラス

TechCrunch Tokyo 2021は、12月2、3日にオンラインで行うこととなった。そのメインとなる「スタートアップバトル」はもちろん2021年も開催する。

新進気鋭のスタートアップがステージ上で熱いピッチを繰り広げるピッチイベント「スタートアップバトル」には、例年数多くの企業が参加、熱戦が繰り広げられている。投資家や大企業の新規事業担当者も多く参加、スタートアップバトルをきっかけに出資が決まったり、優秀な人材の採用につながることも少なくなく、日本スタートアップ業界における登竜門ともいえる存在となっている。

出場登録締め切りは2021年10月11日(月)。スタートアップバトルへの本登録は記事末のリンクで行うことができる。

ここでは、2020年にファイナルラウンド進出した経営管理クラウドサービスを提供する「ログラス」のその後ご紹介しよう。

2021年1月
次世代型経営管理クラウド「Loglass」を提供するログラスが、大企業向け「多段階配賦機能」を正式リリース

2021年2月
【ログラス】エル・ティー・エスとバックオフィスDX推進事業で業務提携を開始

2021年3月
経営データの収集・一元管理・分析を一気通貫で実現する「Loglass」、「経営ダッシュボード機能」を提供開始

2021年4月
ログラスと三谷産業、経営管理領域のDX支援で業務提携

2021年6月
ログラスとM&Aクラウド、“M&A成約後の経営管理支援”で業務提携

2021年8月
全国47店舗の飲食チェーンを展開するイーストン、次世代型プランニング・クラウド「Loglass」導入で店舗型データ経営を加速

応募条件(詳しくはバトル応募ページに記載)

  • 未ローンチまたは2020年10月以降にローンチしたデモが可能なプロダクトを持つスタートアップ企業であること。
  • 法人設立3年未満(2018年10月以降に設立)で上場企業の子会社でないこと。

スタートアップバトルの応募はこちらから

不動産取引プラットフォーム「カナリー」運営のBluAgeが12億円調達、人材採用・プロダクトマーケティング・新規事業強化

不動産取引プラットフォーム「カナリー」を運営するBluAgeが約12億円調達

不動産情報検索アプリ「カナリー」(Android版iOS版)を開発・運営するBluAgeは9月29日、シリーズBラウンドで総額約12億円の資金調達を発表した。引受先は、リード投資家のAngel Bridge、新規投資家のNTTファイナンスおよびABCドリームベンチャーズ、ほか複数投資家。

調達した資金は、開発・営業・管理を含む人材採用やプロダクトマーケティング、新規事業に充当。カナリーの運営の強化、不動産仲介会社向けSaaSの展開など、不動産領域の「デジタルなインフラとして産業の発展に貢献する」ミッションの実現を目指す。

カナリーは、2019年6月にリリースされ累計ダウンロード数は100万件を達成。全国の不動産の賃貸・売買に対応しており、同アプリ経由での問い合わせも可能。掲載情報は管理会社や不動産業者向けのデータベースとも連携しているため最新情報が網羅されている。

不動産取引プラットフォーム「カナリー」を運営するBluAgeが約12億円調達

ニュース速報アプリ「NewsDigest」など運営するJX通信社が資金調達、シリーズC総調達額が約22億円に

ニュース速報アプリ「NewsDigest」など運営するJX通信社が資金調達、シリーズC総調達額が約22億円に

データインテリジェンスを駆使しニュース速報アプリ「NewsDigest」(Android版iOS版)などを運営するJX通信社が9月28日、第三者割当増資を実施しシリーズCラウンドにおける総調達額が約22億円になったと発表した。引受先は、富士フイルムシステムサービス。今後は両社が協業してビッグデータを活用することにより、自治体や企業の防災と減災力を向上させる取り組みを進めていく。

2008年設立のJX通信社は、報道とデータインテリジェンスの組み合わせを領域とするテックベンチャー。報道価値の高いニュースをAIで判別し通知するニュース速報アプリ「NewsDigest」、SNSなどのビッグデータからリスク情報を検知・配信する「FASTALERT」を主事業としている。

FASTALERTは2016年9月のリリース後7カ月で、NHKとすべての民放キー局が採用しニュース番組における視聴者提供の動画を定着させる原動力になったという。国内の多くの報道機関に採用されており取材活動の一環として利用されている。防災やBCP、障害監視やサプライチェーンのリスク管理といった観点から「防災テック」サービスとして、政府・自治体やインフラ企業においても導入されたという。

NewsDigestにおいては、一般的なニュース速報に加え地震・災害速報、鉄道情報まで網羅した情報を配信している。総ダウンロード数は約500万件を達成。月間アクティブユーザー数は前年比で4倍の成長を見せているとのこと。

児童向けオンラインスポーツ事業「へやすぽ」を展開するPAPAMOが5600万円調達、コンテンツやマーケティング強化

児童向けオンラインスポーツ事業「へやすぽ」を展開するPAPAMOが5600万円調達、コンテンツやマーケティング強化し事業展開加速

児童向けのオンラインスポーツ事業「へやすぽ」を展開するPAPAMOは9月27日、シードラウンドにおいて、第三者割当増資および金融機関からの融資による総額5600万円の資金調達を発表した。引受先は、リード投資家のW ventures、また三井住友海上キャピタル(MSIVC2020V投資事業有限責任組合)、個人投資家複数名。

調達した資金は、コンテンツ強化やマーケティング強化、「youtube時間を運動時間に」をコンセプトとする運動動画見放題の新サービス「へやすぽTV」(月額980円)の開発にあてる。今後は、年齢・ステップに応じたクラスの新設や、種目特化ニーズに応じたコースの拡充を行うとともに、児童たちがよりのめり込んで参加できるサービスに仕立てるという。

2021年4月設立のPAPAMOは、「運動との出会いを最高にする」をミッションに、へやすぽを提供している。へやすぽは、週に1回30分の児童向けオンライン運動教室という。鉄棒や球技など児童がつまずきやすい種目の基礎力や運動感覚を、おうちにいながらゲーム感覚で育めるとしている。

へやすぽでは、「運動神経」を分解し、誰でも「できた!」を味わえる300種類以上の豊富なメニューと、キャラクターからのミッションをクリアするとストーリーが前に進むゲーミフィケーションが組み込まれたレッスンで、成功体験を積みながら、運動能力を育むという。また、親子で参加することで、親子関係の構築騒音にも配慮しており、マンションの方も安心して参加できるとしている。児童向けオンラインスポーツ事業「へやすぽ」を展開するPAPAMOが5600万円調達、コンテンツやマーケティング強化し事業展開加速

幼少期の運動体験は、生涯の運動習慣・健康に影響することから、へやすぽとへやすぽTVは、どんな児童も運動習慣をつけられ、運動が好きになれる、そんな運動との出会いを届けるという。

農業DXプラットフォームにより産地とともに持続可能な農業を作るAGRI SMILEが1.7億円調達

産地とともに持続可能な農業を作るDXプラットフォームを提供するAGRI SMILEが1.7億円調達

「耕作することが産業である続ける世界。」というビジョンの下、DXプラットフォームにより産地とともに持続可能な農業を作るAGRI SMILEは9月27日、第三者割当増資による総額約1億7000万円の資金調達を発表した。引受先は、個人投資家の梅田裕真氏(メディカルノート代表取締役CEO)、鈴木達哉氏(ギフティ代表取締役)、既存投資家のマネックスベンチャーズ、THE SEED。調達した資金は、農業DXプラットフォームの展開加速と組織拡大に投資する。累計調達額は2億1000万円となった。

持続可能な農業の実現に向け、AGRI SMILEでは技術の伝承・共有・向上をサポートするDXプラットフォームを展開している。「産地」にフォーカスする理由は、R&Dと連携して技術を向上させるための大規模なデータ集積が可能な点が挙げられるという。

例えば、近しい気象条件で集積された多圃場の栽培管理データから栽培管理方法による差異のメカニズムを実験室レベルで明らかにし、得られた知見を産地へフィードバックする。これに基づき栽培管理を改善し、新たなデータを集積していくことで、科学的根拠に立脚したPDCAサイクルを生み出す。同様に、活用を見据えた形式でマスデータを蓄積し、栽培領域のデータと科学的知見を結びつけることで、大きな価値を産地へもたらせると考えているという。産地とともに持続可能な農業を作るDXプラットフォームを提供するAGRI SMILEが1.7億円調達産地とともに持続可能な農業を作るDXプラットフォームを提供するAGRI SMILEが1.7億円調達

糖尿病患者・予備軍向けに低侵襲・低コストで簡便に利用可能なIoT血糖管理サービスを目指すProvigateが9.1億円調達

糖尿病患者・予備軍向けに低侵襲・低コストで簡便に利用可能なIoT血糖管理サービスを目指すProvigateが9.1億円調達

糖尿病患者・予備群向けに、低侵襲・低コスト・簡便に週次GA(糖化アルブミンによる週次平均血糖)を在宅測定できるIoT血糖モニタリングサービス「GlucoReview」を開発するProvigateは、総額9億1000万円の資金調達を発表した。引受先はSparx Group、ANRI、Coral Capital。

調達した資金により、GAセンサーの量産化開発、臨床研究、製造販売承認の準備を進める。まずはクリニックや薬局向けの血液GA測定システムの製造販売承認を目指し、並行して家庭向けの開発も加速する。人材採用や、生産パートナー・販売パートナーなど業務提携・資本提携先の探索も進めているという。

2015年3月設立のProvigateは、糖尿病の発症・重症化予防のためのバイオセンサーとアプリの開発を進めるスタートアップ。東京大学病院との連携のもと、週次GA測定×アプリによる血糖モニタリングの社会実装・世界標準化の実現を目指している。低侵襲・低コスト・簡便に週次GAを在宅測定できる本体・使い捨てカートリッジ・アプリを提供することで、1~3カ月の通院間隔中の在宅自己血糖管理を力強くサポートするサービスを提供するという。

Provigateによると、糖尿病の発症・重症化予防の重要な要素の1つは、日常的な血糖モニタリングという。しかし、ほとんど重症患者にしか使われていないそうだ。これは、現在の自己血糖モニタリングデバイスが「痛い」「高い」「難しい」という課題を抱えていることに加え、大半の糖尿病患者に対して保険適用外であることも要因の1つとしている。国によって割合は異なるものの、例えば日本では1000万人の糖尿病患者の9割程度は自己血糖測定が保険適用ではないと推察できるそうだ。

つまり、糖尿病患者の大半は1~3カ月に1度の通院時にしか血糖を測定しておらず、日々変動する血糖を測定することなく血糖管理をしようとしているのが、今日の糖尿病患者の大半ともいえるという。

そこでProvigateでは、糖尿病患者・予備群の方に、低侵襲・低コスト・簡便に使える在宅血糖測定の手段を提供する事を目指しているとした。糖尿病患者・予備軍向けに低侵襲・低コストで簡便に利用可能なIoT血糖管理サービスを目指すProvigateが9.1億円調達

Provigateが注目するのは、血糖の管理指標の1つであるグリコアルブミン(糖化アルブミン、GA)。GAは日本で開発され普及したバイオマーカーであり、直近1~2週間の平均血糖や食後高血糖の変化をよく反映することが知られているそうだ(Endocrine Journal 2010, 57 (9), 751-762)。主に病院や献血時検査で使われ、年間に約1200万回(うち約300万回は献血時GA検査)ほど測定されていると推定されるという(臨床病理 2018(66):37-48、臨床検査 2019(63):1406-1413)。糖尿病患者・予備軍向けに低侵襲・低コストで簡便に利用可能なIoT血糖管理サービスを目指すProvigateが9.1億円調達

現在、GAはマイナーなバイオマーカーであり、平均血糖指標のスタンダードであるHbA1c(糖化ヘモグロビン)の補助的な診断指標との位置付けという。今日の糖尿病診療では通院間隔が1~3カ月であることもあって、糖尿病の長期的な状況を診断するにはHbA1cが優れており、レスポンスが早いGAは、例えば治療の開始時や治療薬を変えた時など、短期的な血糖の改善を見たい場合や、透析患者等HbA1cが安定しない症例に限られているそうだ。

しかしGAは、数日~1週間程度の血糖改善にレスポンス良く応答するため、週次で測定したときに初めてその真価を発揮するはずとしている。Provigate・東京大学医学部附属病院・陣内会陣内病院の研究チームは、このGAの本質的な特徴から週次平均血糖指標としての可能性に改めて着目し、GAをHbA1cの代替診断指標ではなく、家庭での「行動変容指標」として再定義した。

GAを用いれば、一般的な血糖計(SMBG)のように数時間おきに指先から採血をする必要はないとしている。近年急速に普及してきた連続血糖計(CGM)のようにセンサー針を皮下に留置する必要や、数カ月に1度通院してHbA1cなどの血液検査を受けるのを待つ必要もないという。

Provigateによると、GAであれば、週に1度の在宅測定で週次血糖変動をモニタリングし、過去1週間の生活習慣を振り返るだけでよいとしている。測定頻度が週1で良く、直近数時間の血糖値で大きく上下することなく、直近1週間の行動変容を反映して数値が滑らかかつ鋭敏に変化するので、低侵襲・低コスト・簡便な血糖測定の手段となることが期待されるそうだ。HbA1cが病院で測定する「期末テスト」であれば、GAは家庭で週次の生活習慣の努力成果を計測する「小テスト」のような役割を持つとしている。糖尿病患者・予備軍向けに低侵襲・低コストで簡便に利用可能なIoT血糖管理サービスを目指すProvigateが9.1億円調達糖尿病患者・予備軍向けに低侵襲・低コストで簡便に利用可能なIoT血糖管理サービスを目指すProvigateが9.1億円調達