人事労務freeeがSlackと連携、勤怠管理・年末調整をよりスムーズに

バックオフィス業務効率化のソリューションを提供しているfreeeは11月6日、同社のクラウド型人事労務ソフト「人事労務freee」がビジネスコラボレーションツール「Slack」との連携を開始したことを発表した。

人事労務freeeは10万事業所以上が利用する、給与計算や労務管理を大幅に効率化するHRプラットフォーム。給与明細作成や年末調整、入社手続きから勤怠管理まで対応している。同社はこれまでにも「クラウド会計ソフトfreee」とSlackの連携を発表していたが、今回発表された人事労務freeeとの連携によりさらなる「人事労務領域での利便性向上」が実現されるという。

人事労務freeeとSlackの連携で可能になることは以下のとおりだ。

  • Slackで勤怠打刻を行い、人事労務freeeに反映させる
  • 人事労務freee上の月次勤怠情報をSlackで参照する
  • 給与明細の発行通知をSlackで受け取る
  • 年末調整に関連した人事労務freee上の入力ステータスに応じてSlackで通知を送る

多くの労務担当者は給与計算前に従業員に勤怠を入力してもらうことに時間がかかると頭を抱えていた。だが今回の連携により日本でも多くの従業員が使っているであろうSlackから「出勤」や「退勤」「休憩開始・終了」などの勤怠打刻を簡単に行うことができるようになるため、入力漏れの防止につながることが見込める。それにより、労務担当者は僕みたいに(笑)勤怠打刻を失念する従業員に対して入力をリマインドする頻度が少なからず減るため、「締め日に間に合うように給与計算できる」など業務の軽減や効率化につながる。

また、連携では勤怠管理だけでなく年末調整の情報管理も効率化。年末調整では労務担当者が全従業員の情報を一斉に集める必要があるし、何せ“年に一度のイベント”のため、従業員から不明点などに関する問い合わせが殺到することも想定できるだろう。ミスや勘違いを防ぐためにも“密なコミュニケーションが”必要となってくるわけだ。今回の連携により必要情報の入力依頼などの通知をSlackで送ることが可能となるので、労務担当者はよりスムーズに年末調整作業を終えることができる。

freeeは今回の発表に際し、「今後も“オープンプラットフォーム戦略”のもと、APIを活用した外部サービスとの連携を強化していく」とコメントしている。

Slackの日本語版がリリースされたのは2017年の11月17日。その日に開催されていた「TechCrunch Tokyo 2017」に同社CTOのCal Henderson氏が登壇し、ローンチを発表した。報道によると2018年6月の時点で日本におけるSlackのDAU数は50万以上で世界2位。外部との連携などを通じて日本でもより“必要不可欠”なツールになっていくであろうSlackから今後も目が離せない。

TechCrunch Tokyo 2018スタートアップバトル、グループA出場企業を発表

11月15日、16日の2日間にかけて開催される「TechCrunch Tokyo 2018」。そのなかでも特に注目なのは、創業3年未満のスタートアップによるピッチイベント「スタートアップバトル」だ。今年も100社を超えるスタートアップから応募があり、厳正なる書類審査の結果、イベント当日にピッチを披露する20社が決定した。

15日午前10時30分から行われるグループAの出場企業は、KURASERU、inaho、Yper、電脳交通、BrainCatの5社。それぞれ、以下に簡単な企業紹介をしておくので、当日までの参考としてほしい。

KURASERU

KURASERUは、要介護者を受け入れる介護施設と、退院後に要介護者を送り出す病院とをマッチングする「KURASERU」を提供する。テクノロジーにより病院と介護施設とのあいだに存在する情報格差をなくし、誰もが暮らしたい場所で“クラセル”世の中を作ることが彼らのミッションだ。2018年6月には500 Startups Japanなどから5000万円を調達している。2017年10月創業。

inaho

inahoは、画像処理とロボットアームの技術をベースにした農作物の自動収穫ロボットを開発するハードウェアスタートアップ。農作物のなかには、農家が目視で収穫可能か(収穫に適しているサイズか)どうかを判断する必要があるものもある。そこでinahoは、これまでは人の手でしか収穫できなかった野菜類でも自動収穫可能なロボットを開発。それをRaaS(Robot as a Searvice)として提供する。2017年1月創業。

Yper

Yperは再配達問題の解決とラストワンマイル物流の効率化に挑戦するスタートアップだ。玄関口に吊り下げるだけで宅配物を受け取れるアプリ連動型バッグ「OKIPPA(おきっぱ)」などを開発している。2018年5月にはニッセイ・キャピタルから5000万円を調達、東京海上日動とともに「置き配保険」なども開発する。2017年8月創業。

電脳交通

電脳交通は、タクシーの配車業務を効率化するバックオフィスシステムの開発、配車業務を代行するコールセンターを運用するスタートアップ。アプリで位置を指定するだけでタクシーを呼べる配車システムは近年増えている。だが、特に地方ではいまだに電話による配車依頼も多い。そうした電話を介する配車業務はアナログで無駄も多いが、それをテクノロジーのちからで効率化する。2018年6月には1億5000万円を調達。徳島県に拠点を置く地方スタートアップの1つだ。2015年12月創業。

BrainCat

日本には古くから、互助会という概念が存在する。メンバーがお金を持ち寄り、何らかの目的を達成するためのコミュニティだ。BrainCatはそうしたコミュニティをアプリで実現する「Gojo(ゴジョ)」を提供している。2017年11月にはメルカリ、GMO Venture Partnersなどから5000万円を調達している。2016年6月創業。

TechCrunch Tokyo当日まで、これから随時スタートアップバトル出場企業を紹介していく。1日目のファーストラウンドに出場する全20社のうち、勝ち上がった6社が2日目のファイナルラウンドでピッチを披露する。会場で彼らの勇姿をぜひご覧頂きたい。

チケット購入はこちらから

医療・健康分野でITソリューションを提供するメンタルヘルステクノロジーズが2.5億円を調達

医学会や医師向けのITソリューション、企業の健康経営に関するサービスなどを提供するメンタルヘルステクノロジーズは11月5日、第三者割当増資と金融機関からの融資により、総額約2.5億円の資金調達を実施したことを明らかにした。第三者割当増資の引受先は、INTAGE Open Innovation Fund、ファストトラックイニシアティブが運営するファンド、マネックスベンチャーズエボラブルアジアの各社・各ファンド。借入を行ったのは、みずほ銀行、三井住友銀行、きらぼし銀行の各行だ。

なおメンタルヘルステクノロジーズは今回の発表と同時に、2018年2月から4月にかけ、既存株主であったサムライインキュベート2号ファンドの持分全株とユビキタスAIコーポレーションの持分一部が譲渡され、オーケストラインベストメントベクトルが株主となっていることも明らかにしている。

メンタルヘルステクノロジーズは2011年3月、株式会社Miewとして創業。当初はコミュニケーションサービスや電子ドキュメントのプラットフォームアプリなどを開発・提供していた。かつてはサンフランシスコで開催されるTechCrunch DISRUPT SFのハッカソンにエンジニアが参加していたこともあるが、その後、医療・健康分野のソリューションやサービスに注力するようになる。

これまでに複数回の資金調達を行っている同社だが、2017年7月には、今回も出資に参加したファストトラックイニシアティブが運営するファンドから1.6億円を調達。2018年8月には社名をメンタルヘルステクノロジーズへ変更し、メンタルヘルス分野に事業ドメインを集中させた。

2018年10月には、企業の健康経営を促進するためのメンタルヘルスサービスの新ブランドとして「ELPIS(エルピス)」をスタート。シリーズ第1弾サービスとして、職場におけるメンタルヘルス・ハラスメントを学ぶ研修動画サービスをリリースしている。

同社は資金調達により、メンタルヘルスに関するAI開発や事業基盤・体制をさらに強化し、サービス利用事業所数を2019年6月までに2000事業所と、現在の900事業所から約2倍強とすることを目指す。同社のグループ会社で産業医紹介などを事業とするAvenirとも協力しながら、AIによるアラート通知やメール・チャットによる相談サービスなど、従業員のメンタルヘルスケアに関わるシステムやサービスを提供していく。

TC Tokyo:日本人創業の東南アジア決済企業、Omise CEO長谷川氏の登壇決定

TechCrunch Tokyo開催まで残り9日というところだが、まだまだ皆さんに紹介できていないことは沢山ある。Omise CEOの長谷川潤氏の登壇決定もその1つだ。

長谷川氏率いるOmiseは、タイのバンコクを拠点とする決済領域のスタートアップだ。Omiseが手がけるのは米Stripeのようなオンライン決済システム。ECサイトなどに同社のシステムを導入することで、簡単にクレジットカード決済に対応させることができる。多通貨決済やコンビニ決済、デジタル・ウォレット決済(Alipay)なども対応しているほか、ここ数年で急激に増えているサブスクリプション型サービスに対応した決済方法も提供している。この「定期振込」機能では、振込請求の頻度や金額だけ最初に指定すれば、あとは毎月自動的にユーザーへの請求作業が行われる。Omiseは現在、タイ、日本、シンガポールの3ヶ国で決済事業を展開している。

創業者の長谷川氏は、Omise設立以前にも複数のスタートアップを創業したシリアルアントレプレナーでもある。長谷川氏が立ち上げたスタートアップとして、ライフログサービスのLIFEmee、位置情報クーポンサービスの4Treasure、写真共有クーポンサービスの5Outなどがある。

長谷川氏は旅先で知り合ったタイ人のEzra Harinsut現COOとともに2013年にOmiseを設立。2014年のシードラウンドで30万ドル、翌年のシリーズAでは260万ドル、そしてOmiseにとって日本上陸の年にもなった2016年のシリーズBでは1750万ドルを調達している。また、2017年にはブロックチェーン企業のOmiseGOを設立し、ブロックチェーン技術を活用したオープンでボーダーレスな金融インフラの構築に取り組んでいる。

TechCrunch Tokyoの壇上では、長谷川氏に東南アジアでの起業ストーリーや、日本と東南アジアを含むアジア市場における決済事業の未来、そしてブロックチェーンを活用したOmiseGoの今後などについて聞きたいと思う。チケットの購入は当日まで可能なので、ぜひ検討いただきたい。

チケット購入はこちらから

AI活用で途上国医療に新しい仕組み提供へ、東大発医療AIスタートアップのmiupが約1億円を調達

医療AI技術の研究開発や検査センタービジネスを手がける東大発スタートアップのmiup。同社は11月5日、Beyond Next Venturesを引受先とした第三者割当増資により約1億円を調達したことを明らかにした。

調達した資金を活用し、現在同社が研究開発や事業を展開するバングラデシュで検査センターの拡大、医療機関向けデータ管理システムの開発を加速させる計画。まずは同国内でAIベースの効率的な医療の仕組みの確立を目指していく。

テクノロジーを用いた途上国医療の新しいエコシステム

miupは2015年9月の設立。学生時代から途上国開発の研究に携わっていた代表取締役CEOの酒匂真理氏、AIの研究者であり現在は東京大学医科学研究所で助教も務める長谷川嵩矩氏、CTOの山田智之氏が集まって立ち上げたスタートアップだ。

もともと酒匂氏と長谷川氏は大学時代の同級生。酒匂氏は外資系消費材メーカーを経てバングラデシュへ渡り、現地のコンサルティング会社に勤務するなど経験を積んだ。一方の長谷川氏も自身の研究を進め、博士課程卒業後には大学の助教に就任。お互いが各々の分野で腕を磨く中で、かつて話していた「途上国医療分野でテクノロジーを活用した新しい仕組みを作るアイデア」を実現すべく、miupを立ち上げることを決めた。

その後すぐにゲノム情報解析サービスや医療システムインテグレーションを手がけるGenomediaの創業者である山田氏がCTOとして参画。現在は医療現場を知る医師や、バングラデシュで事業経験のあるメンバーも加わっている。

そんなmiupが取り組んでいるのは、AIやICTを活用した医療技術の研究開発だ。酒匂氏がmiupを通じて実現したいと話すのが「健康に関するデータを用いた、効率のいい医療のエコシステム」を作ること。具体的な症状が出る前に利用できる検診サービスや、症状が出た後に用いる問診AIシステム、遠隔での医療を実現するビデオチャットなどの開発・研究に取り組んできた。

当初から基礎研究を進めている問診AIについては、バングラデシュの農村部エリアでJICAやコニカミノルタ、現地の病院などと共に実証実験を実施している。このシステムは「3日前から腹痛が続いている」などの症状を問診すると、可能性の高い疾患や適切な薬剤を示唆するというものだ。

特に同国の農村部では1万5000人の住民に対して医師が1人しかいないと言われるほど、その数にギャップがある。一方でジェネリック医薬品を多く生産していることもあり、薬自体は安価に手に入れられる環境。そのため多くの人が近くの薬店で処方箋なしに薬を購入しているのが実態で、結果的に間違った薬が販売されたり、抗生物質が過剰になるなどの課題を引き起こしてしまっているという。

この課題に対して専門知識を持った人材を育てるだけではコストもかかりカバーしきれない。そこでAIやICTを使ったシステムを活用し、個々人に合った医療をより効率的に提供できないか、というのがmiupのアイデアだ。ただしこれを実用化していくには「実証実験を重ねたり論文を執筆したりすることを通じて、ある程度オーソライズされた状態を作らないと難しい」そう。そのため現状では研究開発という形で実績を積んでいる。

農村部とは異なる、都市部における医療ニーズ

その反面、検診や遠隔医療については一部すでに事業化をしているものもある。こちらは農村部ではなく、都心部のミドル層以上の人々に対して「遠隔医療とデリバリー式の検診を組み合わせたようなサービス」をローンチ済みだ。

同サービスでは看護師のように注射をしたり、ラボでの業務を担当したりできる資格を持った技師をユーザーの自宅や会社に派遣。血液の採取やX線撮影などを実施する。その結果を別途医師がチェックし、後日メールなどで共有するほか、ユーザーが希望すればビデオチャットや電話を通じて遠隔で医師と話すことも可能だ。

酒匂氏によると都市部では渋滞がすごいため「フードデリバリーが1番人気のあるサービス」なのだそう。ミドル層以上にとっても医者という存在は遠く、自分の健康状態を気軽に知れる手段も確立されていないので、デリバリー式の検診サービスはニーズがあるのだという。

検査センターの立ち上げと医療機関向けシステムの開発を加速

もちろんmiupではこれらの事業や研究開発プロジェクトに引き続き力を入れていくのだけれど、今回調達した資金は主に検査センターの拡大と医療機関向けのデータ管理システムの開発に用いる計画。この2つは上述した「データを基にした医療のエコシステム」を実現する上では不可欠な要素だ。

「自社で検査用のラボを開設し仕組みを整えたところ、他の医療機関からもラボを作って欲しいという依頼が来るようになった。これは実データをしっかりと蓄積していくという観点でも重要。検査センターの検査手順がいい加減だと、有用なデータを集められない。(ラボを自分たちで拡大していくことで)AIに本質的なデータを学習させるための環境を作ることができる」(酒匂氏)

また現地の医療機関では電子カルテなどもまだほとんど普及していない状況で、患者のデータをしっかりと管理する仕組みにもニーズがあるそう。そのためのデータ管理システムを合わせて開発・提供していくことで、医療機関側の要望に応えながらデータを集めていくことができるというわけだ。

「症状が出る前の検査や、症状が出た後の問診についてはすでに取り組んできたが、実際に『病院でどんな診察や手術をされたのか』というデータは抑えられていない。ここを抑えることで日々の健康状態から病院での診断データまでを収集・解析し、より個人個人に最適化した医療の仕組みを実現していきたい」(酒匂氏)

蓄積したデータや、それを活用したシステムは他国へ展開できる可能性もあるだろう。それも見据えて、まずはバングラデシュにおいて「医療データおよび医療ネットワークリーチNo. 1の存在を目指す」という。

ウェブ制作経験者が人力で最適な紹介を——B2Bマッチング「Web幹事」シード資金5700万円を調達

ウェブ制作会社と制作依頼企業とのマッチングに特化した、BtoBのマッチングプラットフォーム「Web幹事」が今日11月5日、リリースされた。運営するのは2015年4月設立のユーティル。ユーティルは同日、シードラウンドでエンジェル投資家などからの投資や金融機関からの融資を合わせ、総額約5700万円の資金調達を実施したことも明らかにしている。

ユーティルを設立した代表の岩田真氏はジャフコ出身。新卒入社から3年間、投資部に所属し、数億円単位のベンチャー投資に携わっていた人物だ。ユーティル創業から3年間は、ウェブ制作会社として50社以上のウェブを制作してきた。

ビジネスマッチングの仕組み・サービスは既にいろいろ存在していて、アイミツ発注ナビ比較ビズといったマッチングサイトや比較サイト、個人のフリーランスを対象にしたクラウドソーシングサービスなどもある。そうした中で、岩田氏はWeb幹事の特徴を「ウェブ制作に特化しており、制作会社の経験を仲介に生かしている点」と話す。

Web幹事では「制作経験のないカスタマーサポートの担当者が右から左へつなぐ、というのではなく、ウェブ制作の背景や相場観を持った担当者が、適切なマッチングを人力で行っている」という。岩田氏は「一括請求などの仕組みの場合、制作会社のリストがダーッと送られてきて、電話もたくさんかかってくるが、結局ユーザーに制作に関する知識がなく、どこへ発注するか選べない、ということも多い。我々は、1社から2社の最適な制作会社を紹介するので、ユーザーは結果として手間が減ることになる」とWeb幹事の特性について説明する。

ユーザー企業の要件がはっきりせず、そのままでは制作依頼に結びつかないと思われる場合は、「制作会社へつなぐ前に、僕らのところで防いでいる」とのこと。これを完全に人力で行うのは大変ではないか、と聞いたところ、岩田氏は「1時間あれば、大体のクライアントからのヒアリングは完了する」という。ユーティルでは、ユーザー企業からは費用を取らないが、案件成約時に制作会社から10%の報酬を手数料として受け取れるため、十分ビジネスとして成り立つ、という仮説でスタートしたと岩田氏は述べている。

Web幹事は2018年5月より、ステルスでサイトを公開し、サービスインした現在、掲載されているウェブ制作会社は3600社。「ランディングページ制作に強い」「不動産業界に強い」など、さまざまな切り口で制作会社を検索できるようになっている。

利用のトラフィックが増えれば、将来的には制作会社を評価できるよう、口コミなどの機能も取り入れる予定だ、と岩田氏。今回の調達資金は、それらも含めた機能改善や新機能追加のための開発費に充てるという。また、同社が提供する、ウェブ発注に関するユーザー向けコンテンツの充実・強化にも使う、とのことだ。

個人とアーティストをつなぐ新サービスThe Chain Museum、スマイルズとPARTYが共同出資

スマイルズの遠山正道社長(左)とPARTYの伊藤直樹CCO(右)

食べるスープの専門店「Soup Stock Tokyo」やネクタイ専門店「giraffe」などを手がけるスマイルズと、成田空港第3ターミナルの空間デザインやサンスターと共同開発した歯みがき IoT「G•U• M PLAY」などで知られるクリエイター集団PARTYが、共同出資で新会社The Chain Museumを設立。アーティストの活動を支援する新サービスを立ち上げた。

実は、国内で展覧会などに作品を展示しても、入場料収入は会場やスタッフに支払う必要経費でほどんど残らず、アーティスト本人に還元される額は少ない。それでも絵画の場合は、オリジナル作品そのもの売買やコピーの販売などでアーティストを支援できるが、インスタレーションや屋外に設置したアート作品などに個人が支援する手段は用意されていないのが現状だ。スマイルズの遠山正道社長によると「欧米とは異なり企業などからの寄付も少ないため、少子化が進む日本の芸術の発展に危機感を覚えている」とのこと。

The Chain Museumは、こういった現状を打開すべく個人がアーティストと簡単につながれるサービス。気に入ったアート作品を見つけたら手軽に気軽な金額を寄付できるのが特徴だ。

アートに触れる場を「ミュージアム」として再定義し、青森県・十和田市のラファエル・ローゼンダール「haiku」や東京・南青山での「ドクダム by Co.山田うん」など、アーティストとともに「プロジェクト」を立ち上げていくという。具体的には、アーティストの制作活動を同社がプロジェクトとして定義し、アーティスト個人ではなかなか難しいスポンサー探しなどをチームとして進めていく。空間や施設に合わせたアート作品のキュレーションやコンサルティングなども実施していく予定とのこと。

気になるサービスの内容についてPARTYの創業者でCCOを務める伊藤直樹氏は「これまで絵画などのアート作品は個人が購入するとその人のものになっていました。しかし最近のアート作品にはインスタレーションなども増えており、売買以外の方法でアーティストを支援する仕組みが必要だと感じていました。The Chain Museumでは、アート作品がある場所に行くことで、QRコードを利用して気に入った作品にその場で数百円から寄付できるようにする予定です」とのこと。アプリを開くと近くにあるアート作品を教えてくれるような仕組みも取り入れるそうだ。

「アート作品はこれまで、専門家や実際に作品を購入する資金力のある人の評価しか得られませんでしたが、The Chain Museumによってアーティストは一般の人からの寄付を伴った評価を受けられるようになります」と遠山氏。ユーザー同士の情報交換も可能になる予定で、遠山氏によると「例えば、遠山コレクションとして私が自分が好きなアート作品をリストにまとめておくと、他のユーザーがそれを見て『この人はこういう作品が好きなんだ』といったコミュニケーションが生まれるかもしれない。FacebookやInstagramとは異なる、アート作品を評価する新しいSNSのように育てたい」とのこと。

The Chain Museumが広がることで、街中に展示されたアート作品を個人が気軽に評価、支援できるようになる。そんな未来は楽しい。

  1. TCM02

    ラファエル・ローゼンタール「RR Haiku 061」(2014、十和田美術館)
  2. TCM03

    須田悦弘「風車の上の雑草」(2018、唐津市湊風力発電所)
  3. TCM04

    山田うん「ドクダム by Co.山田うん」(2018,Restaurant 8ablish)
  4. TCM05

    Smiles「檸檬ホテル(レモンホテル)」(2014、香川県・豊島唐櫃岡地区)

TechCrunch Tokyo 2018プログラム一部変更のお知らせ

TechCrunch Japanが11月15日、16日に開催する「TechCrunch Tokyo 2018」。先週に全プログラムを発表したが、来場予定の皆さんに早々にお詫びしなければならないことを心苦しく思う。TC Tokyo 2018で真っ先に登壇情報を告知した、GitHubのチーフ・ストラテジー・オフィサー兼ジェネラル・カウンセルのJulio Avalos(フリオ・アバロス)氏のセッションが中止となってしまったからだ。

同社はソースコードをホスティングするソフトウェア開発プラットフォームを運営しており、今年6月に米マイクロソフト社が買収を発表。その後、規制当局の承認が予想よりも早く下り、10月26日に買収が完了した。この影響でアバロス氏が多忙となり、来日を見送る旨の連絡があったのだ。

アバロス氏の講演を楽しみにしていた来場者のために、TechCrunch Japanでは本日から2018年11月9日(金)の17時59分59秒まで、購入済みチケットのキャンセルを特別に受け付ける。キャンセルを希望する場合は運営事務局(info@tc-tokyo.jp)まで、購入者氏名やチケット番号、申込番号を添えて連絡してほしい。各種手数料などを除いた全額を払い戻しする。

※各種手数料
コンビニ/ATM決済で決済完了後のキャンセルについては、決済システム利用料と振込手数料を差し引いた金額のご返金となります。
・決済システム利用料:チケット代金の8%
・銀行振込手数料:振込金額3万円以上の場合は250円、振込金額3万円未満の場合は160円

QR決済・無料送金アプリの「pring」が12.8億円を調達——“お金のコミュニケーション”軸に独自路線で拡大へ

「自分たちとしてはそこまでQRコード決済アプリなどを意識しているわけではなく『お金コミュニケーションアプリ』として新しい市場を作る挑戦だと考えている。もちろん加盟店の開拓なども進めていくが、今後注力したいのはユーザーを増やし、お金のコミュニケーションを活発にしていくこと」

そう話すのは無料送金アプリ「pring(プリン)」を運営するpring代表取締役CEOの荻原充彦氏だ。

QRコード決済機能を備えるため、最近はモバイル決済サービスのひとつとして取り上げられることも多いpring。この領域はメガベンチャーや通信大手企業が続々と参入し、かなり競争が激しくなってきているけれど、あくまで「お金コミュニケーションアプリ」という独自のコンセプトに沿って拡大を目指す方針は変わらないという。

そんなpringは11月5日、プロダクトを拡大するための軍資金として、日本瓦斯、SBIインベストメント、ユニー・ファミリーマートホールディングス子会社のUFI FUTECH、伊藤忠商事、SMBCベンチャーキャピタルなどから12.8億円を調達したことを明らかにした。

今回の資金調達によりpringはメタップスの連結子会社から持分法適用会社へと変わり(設立の背景は後述)、単体でのIPOを視野に入れながら事業に取り組む。

お金の通りみちの摩擦をゼロにする

pringはユーザー間の送金や実店舗での決済に対応した、お金のやりとりをスムーズにするサービスだ。銀行口座と直接繋がっているのが特徴で、ユーザーは無料で送金・QR決済ができるほか、やりとりしたお金を銀行口座に戻して現金化することもできる。

クレジットカードではなく銀行口座と直接紐づけていることは、加盟店側にとっても手数料が低いというメリットがある。今はPayPayやLINE Payが、特定の条件を満たせば加盟店の決済手数料が一定期間無料になる取り組みをやっているので少し特殊な状況だけれど、pringの手数料は0.95%と業界の中でもかなり低い(QR決済は手数料3~4%が多い)。

pringの始まりは2016年の10月にメタップスとみずほFG、みずほ銀行、VCのWiLがスタートした、新たな決済サービスを作るプロジェクト。アイデアの検討を重ねた後、2017年5月に原型となる新会社を設立している。

この新会社を率いることになったのが、当時メタップスのグループ会社で、決済サービス「SPIKE」を運営するSPIKEの代表を務めていた荻原氏だ。萩原氏はメタップス入社前にDeNAで新規事業などを担当。それ以前には大和総研に在籍し、新規事業として大和ネクスト銀行の立ち上げにも携わった経験もある。

萩原氏いわく、2017年5月の時点から決めていたのが「(チャージ方法を)クレジットカードやコンビニなどではなく銀行口座でやる、そしてローンチ時から資金移動業者としてサービスを運営すること」だったそう。同年10月17日にpringのベータ版をリリースするまでの期間は、プロダクトの開発と並行して資金移動業を取得するために奮闘していたという(10月11日に資金移動業を取得)。

「根本にあるのは『お金の通りみちの摩擦をゼロにする』こと。たとえば家族にお金を送るのにいちいち手数料がかかったりするのをなくしたい、そんな思いから始まっている。SPIKEの経験でそれを実現するにはクレカでは難しいと思っていたので、銀行口座と直接繋がることにこだわった」(萩原氏)

ATMでお金を降ろす時の手数料、振込時の手数料、クレカで支払いが遅れた時の遅延料、カードの年会費。普段お金を送ったり、払ったりする際に発生する“摩擦”をなくし、その分を消費者が使えるようにする。萩原氏は「小銭を消費者に取り戻す」という表現もしていたけれど、pringの背景にはそんな思想があるという。

ローンチ時にはすでに決済や送金に関するアプリが複数ある状況だったけれど、普段のちょっとしたお金のやりとりを、よりなめらかに、よりスマートにするべく、いろんな層のユーザーが親しみやすいように使い勝手や画面設計にはこだわった。

一例をあげると“言葉を動詞にする”ことだ。pringでは「送金」「入金」「支払い」といった言葉の代わりに「お金をおくる」「お金をもらう」「お金をはらう」という表現が使われている。これはかつて金融業界を経験している萩原氏が、金融業界と消費者の間に感じたギャップを感じたことが理由。「金融業界では難しい言葉を使いがち」だからこそ、よりわかりやすい言葉に変えたという。

またお金のコミュニケーションを作るアプリということで、初期よりもさらに人をベースにしたUIにアップデートした。たとえばpringはトップ画面にユーザーのアイコンが表示されているけれど、これも「お金のコミュニケーションをしようと思った時に『いくら』とか『送金』ではなく、まず『誰に』が最初にくる」ためだ。

左が旧デザイン、右がアップデート後のデザイン。アップデート後は言葉が動詞になった他、画面上部のアイコンをタップすることで、すぐに他のユーザーに対してアクションを取れる仕様になっている

B2Cの送金サービスに活路

このような流れの中で、2018年3月に正式版のローンチを迎えたpring。現在は福島や北九州でキャッシュレス構想の実証実験に採用されるなど、少しずつ利用のシーンを広げている。

今回の資金調達もpringの成長をさらに加速させるためのもの。組織体制の強化や、さまざまなキャンペーンなどマーケティング面の強化を進める。現時点で明確な取り決めがあるわけではないが、ファミリーマートでの導入や伊藤忠商事のネットワーク・サービス内での利用など、調達先との事業連携も見据えているようだ。

ただ冒頭でも触れた通り「ユーザーを増やしてお金のコミュニケーションをより密にしていくことにフォーカスしたい」というのが萩原氏の考え。その具体的な施策のひとつが先日正式にスタートしたB2Cの送金サービスだ。

これは法人から個人ユーザーへ送金が簡単に行える仕組みで、従業員の経費精算や報酬支払い、もしくは顧客に対する返金やキャッシュバック時にpringを活用するというもの。ユーザーは受け取った報酬を他のユーザーに送ったり、店舗での決済に用いたり、銀行口座へ出金したりできる。

同サービスはすでに日本瓦斯(ニチガス)のグループ会社で導入済み。日本瓦斯運輸整備、日本瓦斯工事の委託業者約350名を対象に、pringの送金サービスを利用した報酬支払いの運用を開始しているほか、年明けを目処にニチガスの検針員への報酬支払いにも導入する予定だ。

実は以前ある新聞配達所の協力で、配達員30人の報酬の一部をpringで受け取れる仕組みを試してもらったそう。その際にpring決済に対応した簡易的なオフィスコンビニのような環境を作ってみたところ、1ヵ月で400件の決済が発生した。加えて全員がpringをインストールしている状態のため、個人間の送金も活発に行われたのだという。

「みんなが使えるようになった時に、ものすごい量の決済と送金が始まるということが見えた。もともと大和ネクスト銀行を作った際も、銀行員は自行の口座で給与を受け取っているので、飲み会の精算も銀行振込だった。これと同じことで、みんなが同じプラットフォームを使っていたら、そこでお金を送り合う。『pringの財布にお金が入っていて、知り合いと繋がっている状態』を作ることが重要で、その観点で相性がいいのはB(法人)の領域だ」(萩原氏)

このようにpringでは今後お金×コミュニケーションというコンセプトに合わせた形で拡大を目指していく計画だ。ただそうは言ってもスマホ決済サービス周りは多額の資金やマンパワー、強力なキャンペーンを踏まえて一気に市場を取ろうという大手の動きも目立つ。この状況を萩原氏はどう考えているのだろうか。

そんな質問をしてみたところ「現金を減らす、QRコードで支払うといった習慣を作っていく上では、マーケットが大きくなるのは大歓迎。ただ単なるQRコード決済サービスにおいては、スイッチングコスト自体は高くない」という萩原氏の見解が聞けた。

「(SNSなどと違い)決済は単体なので、クレジットカードと同じように今以上に自分に合ったものや気に入ったサービスを見つけた際に、新しいものを使うハードルが低い。スピード勝負とよく言われるが、自分自身は勝負を決めるのはクリエイティブだと思っている。まずは認知度をあげて実際に体験してもうらうところがスタートになるが、pringならではの使い勝手や面白さを軸に勝負をしていきたい」(萩原氏)

pring代表取締役CEOの荻原充彦氏

“インフルエンサー”よりも“生の声”、米プライベート・ソーシャルメディアRelolaがTC Tokyoに登壇!

RelolaのCEO、Heather Sittig氏

今年は11月15日(木)と11月16日(金)に渋谷ヒカリエで開催される日本最大級規模のスタートアップ・テクノロジーの祭典「TechCrunch Tokyo 2018」。開催までいよいよ約2週間と迫ってきたが、新たに登壇者が決定したので発表したい。2日目の16日にアメリカのスタートアップRelolaのCEO、Heather Sittig氏にご登壇いただくことが決定した。

2015年に設立されたRelolaはプライベート・ソーシャルメディア「Relola」を企業や団体向けに提供する。企業・団体がはマップ式のUIを採用したRelolaのプラットフォーム上で独自のチャンネルを用意し、ファンやサポーターに写真や動画などのコンテンツを投稿してもらう。投稿は地図上に配置され、ユーザー同士で投稿されたコンテンツを見たりして楽しむ。

FacebookやTwitter、LinkedInなどと連携が可能で、ユーザーが選んだ他のプラットフォームにも投稿が反映される。投稿に製品の販売ページをリンクすることも可能だ。Relola上では同じ製品のユーザー同士でのインタラクションが期待でき、FBなど他のSNSから見込み客を引っ張ってくることもできる。

Relolaは「Relola上にサポーターが1000人いるということは1000人のソーシャルメディア・マネージャーが“オーガニック・コンテンツ”を配信し続けているようなもの」と説明している。アメリカの特にミレニアル世代ではインフルエンサーを信用していない割合が多く、バイアスのかかっていないオーガニックな“生のコンテンツ”はエンゲージメントを稼げるので需要が高まっているのだとか。同社の説明によると、Relolaを導入することでサイトへのエンゲージメントは平均で130パーセントほどブーストするそうだ。

TechCrunch TokyoではSittig氏にRelolaの詳しい説明や開発にいたった背景について聞きたいと思う。導入事例やどのようなフィードバックが得られているのかなども非常に気になるところ。これまでに40ヵ国以上でおよそ5万ものRelolaマップが作られてきたという。日本参入が視野にあるかは不明だが、Sittig氏から当日、何らかのアナウンスメントがあることを期待したい。

TechCrunch TokyoにはSittig氏の他にもTwitterプロダクトリードのKayvon Beykpour氏、TOYOTA AI VenturesマネージングディレクターのJim Adler氏、メルカリ 取締役社長兼COOの小泉文明氏など国内外から多くの著名ゲストに登壇していただくことが決定している。現在もチケットを発売しているので、ぜひ参加を検討していただきたい。

チケット購入はこちらから

TC Tokyo 2018で使えるネットワーキングツールEventHubを公開

日本最大級のスタートアップの祭典「TechCrunch Tokyo」。今年は11月15日(木)、16日(金)の2日間、東京・渋谷ヒカリエでの開催となる。11月1日から一般チケット(4万円)の販売がスタート。そのほか、5人以上の一括申し込みが条件の「団体チケット」(2万円)、創業3年未満(2015年10月以降に創業)のスタートアップ企業に向けた「スタートアップチケット」(1万8000円)、学生向けの「学割チケット」(1万8000円)も販売中だ。

TechCrunch Tokyo 2018のチケットを購入すると、当日会場で来場者同士やスタートアップ企業の経営者などと直接会って話せる「EventHub」と呼ばれるビジネスマッチングサイトを利用できる。開催期間中は渋谷ヒカリエに専用のミーティングエリアが用意されており、EventHubのサービス上で予約できる。

チケット購入者には本日から順次、個別のURLをメールで送付するので、メール内に記載されたリンクをクリックしてぜひ活用してほしい。

  1. eventhub_17

    1. チケット購入時に登録したメールアドレスに招待メールが届く
  2. eventhub_01

    メール内のリンクをクリックするとEventHubにログインfできる
  3. eventhub_02

    3.EventHubに登録しているユーザーを条件で絞り込める。もちろん社名や名字などでの検索も可能だ
  4. eventhub_03

    4.指定した複数の条件に対してマッチ率の高い候補者から順に表示される
  5. eventhub_04

    5.候補者をクリックすると、そのユーザーのプロフィールなどを参照できる
  6. eventhub_05

    6.会いたいユーザーにはメッセージを送信できる
  7. eventhub_06

    7.メッセージが届いたユーザーはメッセージに答えるまでマッチングしない
  8. eventhub_08

    8.メッセージを開くと相手のプロフィールなどが表示される
  9. eventhub_09

    9.メッセージに返信する際に当日の面会場所を選ぶことができる
  10. eventhub_10

    10.「会場で会う」を選ぶと空いている時間帯が一覧表示される
  11. eventhub_11

    11.どのテーブルで面会するかも選べる
  12. eventhub_12

    12.EventHubエリア以外で待ち合わせることも可能だ
  13. eventhub_13

    13..「送信」ボタンを押すとリクエストしたユーザーにメッセージが飛ぶ
  14. eventhub_14

    14..マッチング後はメッセージ機能でやり取りすることも可能だ
  15. eventhub15

    15. メッセージが届くと登録したメールアドレスにも通知が届く

チケット購入はこちらから

本やCD特化の「メルカリ カウル」終了へ、メルカリ本体へ一本化

メルカリのグループ会社であるソウゾウは11月2日、本やCDなどの取引に特化したフリマアプリ「メルカリ カウル」の提供を終了することを発表した。終了時期は2018年12月17日の予定だ。

メルカリ カウルは2017年5月にローンチされたジャンル特化型のフリマアプリ。本・CD・DVD/ブルーレイ・ゲームといったメルカリの「エンタメ・ホビー」カテゴリに該当する商品の出品、購入体験を向上させるための姉妹アプリという位置付けだ。

出品した商品のバーコードを読み取ることで商品情報(タイトルや著者/アーティスト名、定価)を自動で入力できるほか、過去の取引傾向から売れやすい価格を自動で提案する「バーコード出品」機能が特徴。ユーザーからの反応も良かったため、2018年6月にはメルカリ本体にも同様の機能を取り入れている。

今回バーコード出品や新刊の販売など、メルカリ カウルが備える機能の大部分がメルカリにも追加されたこともあり、メルカリ カウルの提供を終了しメルカリに一本化することになったという。なお、メルカリ カウルで出品された商品については、同サービス終了後もメルカリに連携出品される。

メルカリでは2018年に入って5月に地域コミュニティアプリ「メルカリ アッテ」を、8月には「メルカリNOW」「teacha」「メルカリ メゾンズ」を終了。各サービス終了の背景は以前ソウゾウ代表取締役の原田大作氏に聞いているのでそちらを見て頂ければと思うけれど、今回はメゾンズの時と同様“メルカリに機能を追加していくことで、よりレバレッジを効かせていく” 狙いがありそうだ。

ファッション企業のAI活用を一気通貫で支援するLiaroが6000万円を調達

アパレル業界向けにAIソリューションを提供するLiaro(リアロ)。同社は11月2日、ディープコアとDEEP30(東​京大学松尾豊研究室からスピンアウトして設立されたVC)より総額6000万円の資金調達を実施したことを明らかにした。

調達した資金を活用してエンジニアを中心とする人材採用やR&Dを進める計画。より多くのアパレル企業へのサービス展開を目指す。

Liaroは学生時代から機械学習分野の研究に取り組んできた代表取締役CEOの花田賢人氏を中心に、AIエンジニアが集まるチームだ。現在はファッションテックの領域に注力して、アパレル業界向けの事業を展開している。

最近は必要とされるソリューションをSaaSのようにパッケージ化してまるっと提供するスタートアップも増えているけれど、今のところLiaroは「受託に近い」スタイル。画像認識技術を用いた商品の自動タグ付けシステムや類似商品のレコメンドエンジン、商品の紹介テキストを自動生成するシステムなど、アパレルECを中心に各社の課題に合わせて必要な機能を提供する。

たとえば商品のタグ付けに関して課題を感じているECは多い。「ユーザー側にはタグを使って商品を細かく絞り込んで検索したいニーズがあるが、それに対応するには相応のマンパワーがかかる上、ケアレスミスの問題もある」(花田氏)からだ。

リソースをかけてタグを付けたはいいものの、それが不正確だと使いづらくなってしまいかねない。Liaroの技術に興味を示す企業としては、人的なコストの削減や業務効率化はもちろん、タグのミスをなくしたいというニーズがあるという。

そもそも花田氏が事業ドメインをファッション業界でのAIテクノロジー活用に決めた背景には、アパレル業界の大きな課題でもある「在庫問題」があった。

国内だけでも9兆円もあるとされるこの市場では、約50%の商品が売れ残る前提で販売されているため、在庫だけで数兆円規模に及ぶ。花田氏が原因のひとつにあげるのが「消費者に届くまでの商流が長い」こと。作った商品が消費者にどのように消費されているのか、細かいデータが上流工程の人に伝わっていないためにテクノロジーを活かしきれていないという考えだ。

近年アパレル業界ではこの課題を解決すべく、AIを用いた取り組みが増えてきている。ただしAIを有効活用するためには、リアルタイムに大量のデータを使っていけるデータ基盤が整備されていることが前提。ここがIT企業以外にとってはかなり大きなハードルになるという。

「アルゴリズムももちろん重要ではあるが、それ以上にポイントになるのが土台となるデータ基盤を整備できるかどうか。ファッション企業がAIを活用できるように、アルゴリズムの実装からデータ基盤の開発までを一気通貫で支援していくというのが今取り組んでいる事業だ」(花田氏)

Liaroでもこれまで約1年半に渡るR&Dを通して、この“データの整備”に取り組んできた。具体的には1000万枚以上の画像を集めて、それらにきれいなタグデータを付与する作業に時間を費やしたという。

「クローリングするだけだとどうしても教師データがなかったり、あっても雑だったりする。Liaroではタグ付のためのシステムを作り、『どういう所でモデルが作りにくくなるのか』『ファッションアイテムではどのようなタグの付け方をするのが良いか』を試行錯誤しながら、現場で使えるデータを整えてきた。きれいなデータを大量に持っていることが、自分たちの特徴だと考えている」(花田氏)

写真中央がLiaro代表取締役CEOの花田賢人氏

この辺りは花田氏自身のバックグラウンドも影響しているようだ。冒頭でも触れた通り学生時代から機械学習分野の研究に取り組みながら、チームラボのレコメンドチームでエンジニアのアルバイトも経験。大規模なインフラの開発にも携わった。起業した当初はコンシューマー向けのサービスを作っていたので、当時の経験も活きているという。

今後は調達した資金も活用してエンジニアの採用やR&Dに取り組むと共に、まずはアパレルEC向けのAIソリューション展開を加速させながら成功事例を作っていく方針。ゆくゆくはAIを活用した商品の需給予測やMDのアシストにも取り組む計画だ。

「『そもそもどこで何がどれくらい売れているのか』という傾向を細かく把握できるデータ基盤を作ることで、販売機会の損失を減らしたり、配置を最適化できるような環境を提供することから始める。僕たちとしては基本的に意思決定をするのは人間だと考えているので、データを十分に活用しきれていない部分にAIを挟みこむことによって、より科学的な意思決定ができるように支援していきたい」(花田氏)

Liaroは2014年の設立。ドリコムの学生向けインキュベーションプログラムがきっかけで生まれたスタートアップだ。当初はC向けのサービスを展開するも、途中でB向けに方向転換。多くのデータが眠り、インパクトも大きいファッション業界での事業展開を決め、現在に至る。

同社ではこれまでにもイーストベンチャーズやスカイランドベンチャーズから資金調達をしている。

KDDIと楽天が決済や物流面でタッグ、19年には「au PAY」リリースも

KDDI、沖縄セルラー電話と楽天は11月1日、決済、物流、通信ネットワーク分野において双方の保有するアセットを相互利用し、それぞれの事業強化に向けた取り組みを推進することに合意したと明かした。

決済サービス分野に関しては楽天が保有する基盤をKDDIに提供する。楽天ではこれまでクレジットカードや電子マネーなどさまざまな決済手段を展開。現在注目を集めているQRコード決済サービス分野でも「楽天ペイ」を運営してきた。

今回の提携により、この楽天ペイをはじめとした決済プラットフォームや加盟店網をKDDIにもシェアする。KDDでは発行枚数2420万枚の「au WALLET」や「auかんたん決済」などを通じて決済領域の強化を進めてきたが、2019年4月より新たなスマホ決済サービス「au PAY」をリリースする予定だ。

同サービスはバーコードやQRコードを用いた決済サービス。楽天グループが直接契約している全国約120万箇所の加盟店などを活かして、キャッシュレス社会の実現に向けた取り組みを加速させる。

物流サービス分野においても同様だ。楽天が「楽天市場」などの運営を通じて築いてきた物流サービスを、KDDIの総合ショッピングモール「Wowma!(ワウマ)」に提供する。

これまで楽天では、楽天市場において商品の注文から配送までの仕組みを一気通貫で管理する物流サービス「ワンデリバリー」構想を掲げ、「楽天スーパーロジスティクス」や「Rakuten EXPRESS」などの取り組みを行ってきた。両社ではこのワンデリバリー構想を共に進めていくことで、効率的な物流サービスを実現し、国内EC市場の健全な持続的発展を目指すという。

一方で通信ネットワーク分野においては、KDDIが自社のアセットを提供する。楽天が2019年10 月より開始予定の第4世代移動通信サービス(LTE通信サービス)に対して、KDDIの通信ネットワークを提供するローミング協定を締結。これによって楽天はサービス開始時より、日本全国でLTE通信サービスを提供することができるようになる。

この協定の提供期間は2026年3月末まで。楽天ではその期間内に自前の全国ネットワーク建設を進める計画。完成した地域から順次、自前ネットワークへ切り替えていくという。

名刺管理「Wantedly People」で紙の年賀状を無料で送れる新サービス

ビジネスSNSを手がけるウォンテッドリーの名刺管理アプリ「Wantedly People」に新機能が登場した。読み込んだ名刺情報から紙の年賀状を無料で遅れるサービス「Wantedly 年賀状」だ。同社はこのサービスの運営にあたり日本郵便と連携する。

サービスの利用方法は簡単で、Wantedly Peopleを起動して年賀状作成アイコンをタップ。合計18種類用意されたテンプレートを選び、名刺情報の中から年賀状の受取人を選ぶだけだ。受取人には前もって住所確認メールが送られるため、希望すれば会社宛ではなく自宅宛に受け取り住所を指定することもできる。

ウォンテッドリーはこのサービスをWantedly Peopleのマーケティング施策として行う。そのため、ユーザーは無料でこのサービスを利用できるというわけだ。先述した住所確認フローでは、受取人側に「あなたもWantedly Peopleで年賀状を送ってみませんか」といったリコメンドが表示され、それによりユーザー拡大を目指すという。

Wantedly年賀状で選べるデザイン

Wantedly Peopleとの連携について、日本郵便デジタルビジネス戦略部長の西村哲氏は「法人の利用については従来の挨拶目的の利用だけでなく、販促目的の利用といったニーズも高まっている。名刺管理ツールとの連携により、手軽に紙の年賀状が差し出すことが可能になり、年賀状自体が新しいビジネスツールになるものと期待している」と話す。

Wantedly Peopleは2016年11月のリリース。これまでに300万人のユーザーを獲得している。年賀状の作成期間は2018年11月1日から2019年1月11日までで、2018年12月22日中に作成を行えば元日に届けることが可能だという。

写真左よりWantedly CEOの仲暁子氏、日本郵便執行役員の小池信也氏

楽天トラベル元代表が創業したCocoliveが1億円を調達、不動産会社向けMAツールでデジタルマーケを支援

不動産会社向けのマーケティングオートメーション(MA)サービス「KASIKA」を開発するCocoliveは11月1日、XTech Ventures、みずほキャピタルおよび自社の役員や従業員を引受先とした第三者割当増資により総額1億円を調達したことを明らかにした。

Cocoliveの代表取締役である山本考伸氏は楽天トラベルの元代表取締役。それ以前にもエクスペディア在籍時にプロダクト責任者として、トリップアドバイザー在籍時に代表取締役としてそれぞれの会社で日本語サービスの立ち上げに携わるなど、IT業界での事業経験が豊富な人物だ。

そんな山本氏が2017年に創業したのがCocolive。同社では不動産会社に特化したMAツールという切り口から、工務店や不動産デベロッパーをサポートする。

KASIKAのひとつの特徴が、自社のサイトを閲覧している顧客の行動履歴を基に興味の度合いを“色”で判断できること。これによって営業経験が浅い担当者でも「どの顧客に営業をすればいいのか」の判断がスピーディーにできるようになり、確度の低い不要な営業電話を削減することにも繋がる。

同サービスでは顧客ごとに自動で「顧客カルテ」が作成。そこに各顧客がいつ、どんなメールを読んだ・クリックしたのか、サイト上のどんな情報に関心を持っているのかといったデータが蓄積される。

担当者はその情報を基に顧客にあった提案をすることで、アポ数や来場数のアップが見込めるという。同社によると導入企業の営業担当者1人あたりのアポ数平均増加率は、15~25%を記録しているそうだ。

その他KASIKAでは顧客育成のためのステップメール機能やポップアップを手軽に実装できる機能などを通じて、マーケティングや営業に関する業務をサポート。ツールの提供に加えて読まれやすいメルマガの内容やデザインに関するアドバイスなども提供している。

Cocoliveでは今回の資金調達を踏まえ、KASIKAの改良を図りつつ、工務店や戸建て分譲会社、不動産仲介会社、新築分譲マンション販売会社へのサービス提供を加速させる計画だ。

なお同社は2017年5月にもエボラブルアジア、ベンチャーリパブリック、その他個人投資家から総額5100万円を調達している。

3ステップで簡単に“ズボラデート”、次世代デーティングアプリ「dately」が正式リリース

モバイルアプリの企画・開発を手掛けるSTRACTは11月1日、デーティングアプリ「dately」を正式リリースしたと発表した。今回のリリースはiOS版アプリのみだが、Android版とWeb版も追って発表されるそう。現在対応する地域は東京のみ。今後は東京以外の関東、関西圏でのサービススタートも予定している。

Pairsなどを筆頭に日本でも多くのマッチングアプリやデーティングアプリが誕生してきたが、STRACTはdatelyを“次世代デーティングアプリ”と謳っている。一体何が“次世代”なのだろう。同社の代表取締役、伊藤輝氏に話を聞いた。

datelyの利用料は女性は無料で男性は月額4300円(税込)。大きな特徴は3ステップで簡単にデートができるところ。伊藤氏は同サービスを“ズボラデート”アプリと表現していた。

datelyでは1日のリコメンドをあえて絞ることにより、深く相手を知ることができるようにしている。1日に最大で5人までリコメンドする。これには「一人一人をちゃんと見て欲しい」といった気持ちが込められているそう。既存のサービスでは「大量のユーザーが表示されるため、本当の相性ではなく容姿の好みだけでお互いに評価をしてしまっている」と同社は指摘している。同社はこのリコメンドについてかなり自信があるみたいで、伊藤氏は「様々な指標にそれぞれ点数がついていて、その点数に合うユーザーのみをリコメンドしている」と話した。

伊藤氏によると、海外ではマッチングアプリのことをデーティングアプリと呼ぶが、国内では言い分けられているケースが多いという。同氏いわく、日本においてマッチングアプリとはTinderやPairsのようにマッチングした後にメッセージのやりとりを交わすもの、datelyのようなデーティングアプリはデート直結型でマッチングしたら比較的すぐにデートができるもの、といった具合に分類されるそう。datelyにいたっては、デートが決定するまでメッセージができない。これは既存のサービスにはない機能だという。

datelyではメッセージのやりとりの代わりに「質問カード」と呼ばれた機能が用意されている。マッチングアプリでは「メッセージが面倒」「お互いをよく知らないから会話が続かない」といったことが原因でメッセージのやりとりだけが続き、結局連絡が途切れてしまうことも多い。そんな課題を解決し「会うまでのやりとりを必要最小限にする」ことを目的に誕生したのが質問カードだ。

datelyのユーザーはメッセージのやりとりの代わりにこの質問カードを3つほどマッチングした相手に送り、それを回答する。テンプレートも用意されており、コミュニケーション能力がそれほど高くなくても円滑にファースト・コンタクトを取れるのがその魅力だ。「好きな料理は?」とか「最近見た映画は?」などの質問を考えるのは簡単だし、答えるのも楽しい。テストユーザー30人に一番ウケが良かったのも質問カードの機能だったそうだ。

質問カードへの回答が届くと男性はデートをするためのボタンが押せるようになる。可能な日程を選択し、ランチもしくはディナーを選ぶ。その後、エリアや雰囲気、値段を選択。最後に確認しボタンを押すと女性にデートプランが届く。女性は48時間以内に可能な日時や店を選び、デートは決定。大体1、2分ほどで予約が完了する。この後はメッセージで細かい調整などができる。

予約できるお店は同社が用意したデートにオススメのお店。厳選されたお店のみ掲載していて、かつ予約などでサービスと連携している。このようにお店に強いこだわりがあるからこそ、datelyの正式リリースは東京でのスタートとなったのだろう。

デート後、ユーザーは「デートはどうだったか」「相手はどうだったか」「2回目のデートをしたいと思うか」などのフィードバックを求められる。それによりリコメンドのアルゴリズムが更新されるという。

datelyはUIにもとてもこだわっていて、たとえば同社が「カルテ」と呼んでいるユーザーの特徴などの情報の登録もポチポチとボタンを押すだけで簡単に行うことができる。現在質問数は15問程度だが、これから30問ほどに増やす予定だ。テキスト入力が必要なく、簡単かつ直感的なので、テストユーザーからのウケも良かったという。

STRACT代表取締役、伊藤輝氏

伊藤氏はdatelyに関して「僕らの狙いとしては、とにかくデートをたくさんしてほしい。そこをひたすら追求している」と話した。そのために「UIに徹底的にこだわった」(伊藤氏)

「うちの会社はUIを強みにしている。これまでもUIの最適化で仕事をしてきたというのもあるし、既存事業も勝っている要因としてはUIが大きい。既存のアプリと機能面でさほど変わらなくても圧倒的に使いやすいことで継続率が高い。アプリが落ちたり動作が重いと、その人の時間を奪ってしまう。かつ、スマホやアプリに対する印象も悪くなってしまい、たとえば『ガラケーに戻そう』と考えてしまう人も出てきてしまうのでは。サービスを提供する側はユーザーに寄り添うことがすごく大事だと考えている」(伊藤氏)

同社はdatelyを“誰でも使えて素敵なデートができる”サービスだと説明しているが、それを可能にしているのはやはりUI面での強さだろう。これまでマッチングアプリやデーティングアプリを使ったことのない初心者ユーザーにとっても、質問カードやお店の自動予約機能によってとても使いやすい仕様になっていると強く感じた。

伊藤氏は14歳で月間200万PVのメディアを立ち上げた経歴を持つ。2017年7月に設立されたSTRACTのエンタメアプリは累計で300万ダウンロードを突破している。そんな同氏は「既存のデーティングアプリをディスラプトする新しいソリューションを提供したい」という想いのもとdatelyを開発した。

「オンラインデーティング市場はすごく伸びていて、今後も伸びるのは確実だ。現在はおよそ270億だが、あと3年くらいで倍になるのでは。僕たちはその10パーセントの獲得、10人に一人が使うアプリを目指している」(伊藤氏)

一般チケット販売開始!TechCrunch Tokyo 2018の全プログラム発表

TechCrunch Japanは、11月15日、16日に日本最大級のスタートアップイベント「TechCrunch Tokyo 2018」を東京・渋谷ヒカリエで開催する。一部調整中だが、内容とタイムスケジュールがほぼ確定したのでお知らせしたい。

TechCrunch Tokyo 2018 11月15日(木)

9:00-9:10 TechCrunch Japanご挨拶
9:10-9:40 Fireside Chat

TOYOTAの投資ブレーンに聞くモビリティの未来
Jim Adler氏(Toyota AI Venturesマネージングディレクター)

9:40-10:10 Fireside Chat

タイトル調整中
川島優志氏(Nianticアジア統括本部長)

10:30-11:00 Startup Battleファーストラウンド・グループA(5社)

審査員
西條晋一氏(XTech代表取締役/CEO)
五嶋一人氏(iSGS Investment Works代表取締役)
山岸広太郎氏(慶応イノベーション・イニシアティブ代表取締役社長)
深澤優壽氏(Eight Roads Ventures Japanプリンシパル)

11:10-11:40 Startup Battleファーストラウンド・グループB(5社)

審査員
西條晋一氏(XTech代表取締役/CEO)
五嶋一人氏(iSGS Investment Works代表取締役)
山岸広太郎氏(慶応イノベーション・イニシアティブ代表取締役社長)
深澤優壽氏(Eight Roads Ventures Japanプリンシパル)

11:50-12:20 Fireside Chat

空飛ぶクルマをどう実現するか、日米のキーパーソンに聞く
Long Phan博士(Top Flight Technologies共同創業者/CEO)
向井秀明氏(楽天AirMap代表取締役/CEO)

12:40-13:20 Product Update

猪瀬雅寛氏(ecbo執行役員)
大塚裕太氏(助太刀社長室室長)
島田寛基氏(Scouty代表取締役CEO)
緒方憲太郎氏(Voicy代表取締役CEO)

13:40-14:10 Fireside Chat

スポーツ系スタートアップを支援する「SPORTS TECH TOKYO」が始動
宮田拓弥氏(Scrum Ventures創業者/ジェネラルパートナー)
西内 啓氏(データビークル代表取締役/Jリーグアドバイザー)
山下大悟氏(元早稲田大学ラグビー蹴球部部監督)

14:30-15:00 Fireside Chat

ソフトバンク傘下のARMが6億ドルで買収、日本人によるアメリカ起業家
芳川裕誠氏(Arm IoTサービスグループ データビジネス担当バイスプレジデント/ジェネラルマネージャー)

15:20-16:00 Panel Discussion

今年もあと少し、スタートアップ投資業界のトレンドを知ろう
仁木勝雅氏(ディープコア代表取締役社長)
村田祐介氏(インキュベイトファンド代表パートナー)
千葉功太郎氏(Drone Fund創業者/代表パートナー)

16:20-16:50 Startup Battleファーストラウンド・グループC(5社)

審査員
堤 達生氏(GREE Venturesパートナー)
堀 新一郎氏(YJ Capital代表取締役社長)
松本真尚氏(WiLジェネラル・パートナー)
宮田拓弥氏(Scrum Venturesジェネラル・パートナー)

17:00-17:30 Startup Battleファーストラウンド・グループD(5社)

審査員
堤 達生氏(GREE Venturesパートナー)
堀 新一郎氏(YJ Capital代表取締役社長)
松本真尚氏(WiLジェネラル・パートナー)
宮田拓弥氏(Scrum Venturesジェネラル・パートナー)

18:00-18:40 Fireside Chat

上場を果たしたメルカリ、これから目指すもの
小泉文明氏(メルカリ取締役社長/COO)

18:40-19:00 Startup Battleファイナルラウンド通過発表

TechCrunch Tokyo 2018 11月16日(金)

9:00-9:10 TechCrunch Japanご挨拶
9:10-9:40 Fireside Chat

モバイル決済界の“大型ルーキー”誕生、後発組のPayPayが考える勝機とは?
中山一郎氏(PayPay代表取締役社長/CEO)
Harinder Takhar氏(PayPay取締役副社長/CTO)

9:40-10:10 Fireside Chat

インフルエンサーよりも“生のコンテンツ”、ソーシャルメディアRelolaとは?
Heather Sittig氏(Relola CEO)

10:30-11:00 Fireside Chat

なぜユーザーはTikTokに熱狂するのか?
西田真樹氏(Bytedance副社長)

11:00-11:30 Fireside Chat

買収後のGitHub、Microsoftと共に歩む新たな道のり
Julio Avalo氏(GitHub CSO/ジェネラルカウンシル)

11:50-12:20 Fireside Chat

充電不要、洗濯可能ーーAppleも認めるスゴいヘルスタグ
Jonathan Palley氏(Spire CEO)

12:40-13:20 Product Update

渡辺良太氏(justInCase商品開発部)
西尾夏樹氏(リフカム営業部ゼネラルマネージャー)
松村大貴氏(空CEO)
藤原健真氏(ハカルス代表取締役)

13:40-14:20 Panel Discussion

2018年は新型旅行サービス元年だったのか、旅領域のキーパーソンに聞く
有川鴻哉氏(Hotspring代表取締役)
光本勇介氏(バンク代表取締役/CEO)
岩本有平氏(プレジデント社プレジデントオンライン編集部)

14:40-15:10 Fireside Chat

スタートアップの経営で学んだ教訓と“これから“
堀江裕介氏(dely代表取締役/CEO)

15:30-16:00 Fireside Chat

氷河期の創業、今年の上場、そしてこれから——将棋AIのHEROZが語る“次の一手”
林 隆弘氏(HEROZ代表取締役/CEO)

16:20-17:20 Startup Battleファイナルラウンド

審査員
赤坂優氏(エウレカ創業者)
川田尚吾氏(ディー・エヌ・エー顧問)
松本大氏(マネックスグループ取締役会長)
千葉功太郎氏(Drone Fundジェネラル・パートナー)

17:40-18:10 Fireside Chat

Periscope創業者が描くTwitterの新たな未来像
Kayvon Beykpour氏(Twitterプロダクトリード/Periscope共同創業者)

18:10-18:40 Startup Battle授賞式
18:50-19:50 Meetup

 

本日から一般チケット(4万円)の販売がスタート。そのほか、5人以上の一括申し込みが条件の「団体チケット」(2万円)、創業3年未満(2015年10月以降に創業)のスタートアップ企業に向けた「スタートアップチケット」(1万8000円)、創業3年未満のスタートアップ企業を対象とした2日間のデモブース出展の権利と2名ぶんの参加チケットがセットになった「スタートアップデモブース券」(3万5000円)、学生向けの「学割チケット」(1万8000円)も販売中だ。スタートアップデモブース券は先着順で売り切れ次第販売終了となる。

チケット購入はこちらから

TC Tokyo 2017バトル優勝「ホテル番付」、ベストウェスタンホテル系列10施設に導入

ホテル業界向けの市場分析サービス「ホテル番付」を提供するは11月1日、ベストウェスタンホテル系列の10施設へのホテル番付導入決定を発表した。

ホテル番付は、周辺ホテル・施設の客室価格や販売室数などをユーザーの代わりに自動で調査・分析。必要なタイミングで報告・提案してくれる、ホテルの客室価格決定のための市場分析サービスだ。

今回、ホテル番付を導入するのは、世界110の国と地域に広がるベストウェスタンブランドのホテルを、日本で展開する価値開発。同社が運営する以下の10施設にホテル番付の導入が決定している。

  • ベストウェスタン札幌大通公園
  • ベストウェスタンプラスホテルフィーノ千歳
  • ベストウェスタン山形エアポート
  • ベストウェスタンthe japonais米沢
  • ベストウェスタンホテルフィーノ東京秋葉原
  • ベストウェスタンホテル名古屋
  • ベストウェスタンホテルフィーノ大阪心斎橋
  • ベストウェスタン大阪塚本
  • ベストウェスタン沖縄恩納ビーチ
  • ベストウェスタン沖縄幸喜ビーチ

ベストウェスタンでは運営ホテル数が増加する中で、担当者が複数ホテルのプライシングを担当しており、負担が大きくなっていたという。適正価格の設定は職人技的な部分もあって、人材育成も難しい業務。価値開発は、ホテル番付について「マーケットの動きを素早く可視化でき、時間短縮・売り上げ改善チャンスの発見に役立っている。各施設でホテル番付の無料体験をし、現場のスタッフも活用してくれたので、全面的に導入を決めた」とコメントしている。

空はホテル番付を2017年8月にリリースする前に、客室料金設定を効率化する「MagicPrice」をリリースしている。市場分析のみ行うホテル番付と、プライシングまでできるMagicPriceの2つの製品をラインアップする形だ。だが、最近ではホテル番付を優先してプロダクトアップデートを進めてきた。

先月もホテルニューオータニ系列施設での導入が決まるなど、続々と宿泊施設への導入が進むホテル番付。そんな中、クライアントからは「ホテル番付の持つ市場分析機能と、MagicPriceが持つプライシング機能を一貫してサポートするようなサービスがほしい」との声も上がっているそうだ。

ホテル番付のプロダクトアップデートが一段落し、軌道に乗り始めたこともあって、空では年内にもホテルのレベニューマネジメント業務を一貫して支援するような、上位サービスのローンチを予定しているという。

ホテル番付は、昨年開催されたTechCrunch Tokyo 2017 スタートアップバトルで最優秀賞を受賞したプロダクト。今年のTechCrunch Tokyo 2018では、空 代表取締役の松村大貴氏が、受賞以降のプロダクトアップデートやこの1年の事業の成長について紹介してくれる予定だ。

コンビニの“ビニ傘”を代替、1日70円の傘シェアリング「アイカサ」が12月に公開へ

いきなりだけど、僕はコンビニのビニール傘(ビニ傘)のヘビーユーザーだ。

ズボラな性格のため天気予報をきちんと見ることもなく「今降ってないし多分大丈夫だろう」と傘を持たずに外出。結果的に雨が降ってきて、出先のコンビニで傘を買うことが頻繁にある(そもそも、もし雨が降ったらコンビニで買えばいいやと思っているからなのだけど)。

そんなことを繰り返していると玄関には傘が溜まっていくばかり。処分するのは面倒だし、どこかもったいない気もする。だから今回「アイカサ」の構想を聞いた時、1度は試してみたいなと思った。

1日70円で使い放題の傘シェアサービス

アイカサは12月に渋谷を中心とした都心部でリリースを予定している、“傘”のシェアリングサービスだ。

ユーザーはLINEでアイカサアカウントを友達追加し、盗難防止機能の付いたオリジナルの傘が置かれているアイカサスポットを検索。設置されている傘のQRコードを読み取り、ロックを解除してから利用する。アイカサスポットは店舗やオフィスビルなどの遊休スペースがメインで、ローンチ時点では40〜50箇所が登録される予定だという。

返却する際には傘立てにある返却用QRコードを読み込めばOK。返却場所はアイカサスポットであれば、どこでも好きな所を選べる仕組みだ。料金は1日70円で、24時間以内であれば違う傘を何度でもレンタルすることが可能。1ヶ月の上限金額も420円に設定されているので、月の利用回数が7日を超えた場合は追加料金なく使い放題となる。

1日70円という価格設定もそうだけど“複数の傘を何度でも使えて、好きな場所で返せる”というのがポイント。たとえば電車に濡れた傘を持って入りたくないので駅近辺のスポットで一度返却し、次の駅に到着したら今度は別の傘を利用することもできる。

目的地の近くに傘が余っているスポットがあればの話にはなるけれど、買い物の最中や映画館で映画を見ているだけ手荷物になる傘を手放す、といった使い方もありだろう。この点については、アイカサを運営するNature Innovation Groupを立ち上げた2人の話が興味深い。

「携帯電話は小さくなり、スマホの普及によってキャッシュレスなど色々なことが便利になっていっている。一方で傘はいまだに形もそこまで変わらず、ずっと持ち歩かないといけない。傘を手放せる方法を考えたのが最初のきっかけ。多くの人が当たり前に感じている不便を解決したい」(共同創業者の黒須健氏)

「もともとミニマリスト的な思考があり、買いたくもないものを買うのが嫌だった。急な雨のためにビニール傘を買う人の多くは、傘を買いたいわけではなく、濡れない体験を買いたいのではないか。そう考えた時により安く、より快適な形で濡れない体験を提供できれば面白いと思った」(共同創業者で代表取締役を務める丸川照司氏)

年間で約8000万本のビニール傘が消費される日本

2人の話では日本では年間で約8000万本のビニール傘が消費されているそう。「1本500円で換算すると400億円が使われていることになる。ここをリプレイスできれば、それだけでもビジネスとしては成立する」(丸川氏)という考えだ。

製造費は傘に広告を入れることによる広告収入で賄い、傘の利用料を軸に複数の収入源を見込む。たとえば傘に加えてアプリや傘立てに広告を入れることもできるほか、ユーザーの利用データが貯まればそれを活用したマネタイズプランも検討しているとのこと。傘の利用料に関しても、雨傘だけでなく日傘の展開もあるうるという。

どちらにせよそれらのプランが成り立つためには、一定数のユーザーの生活に根付いたサービスに育てる必要がある。そんな背景もあり、ユーザーの使い勝手を考えた上でモバイルアプリではなくLINE上で動くアプリとして開発。「(LINEアカウントを保有して入れば)アプリのダウンロードや新規登録などの手間もない。急に雨が降ってきた時でもすぐに使える」(丸川氏)ことにこだわった。

3月には渋谷エリアで150本のビニール傘を使ったβテストも実施。当時はテストということもあり、10分ごとに1円という料金で提供したところ、100人程度が傘のシェアリングを体験したそう。ある程度ニーズがある実感を得たため、アップデートを加えたものを正式版としてリリースすることになった。

カギはアイカサスポット、雨の日のインフラ目指す

アイカサを開発するNature Innovation Groupの共同創業者。左が代表取締役を務める丸川照司氏、右が黒須健氏

アイカサの使い勝手を決める要素としては、もうひとつ重要なものがある。実際に傘を借りたり返したりするためのアイカサスポットだ。黒須氏も「スポットの開拓がアイカサのUXに1番影響を与える部分」だと話していて、今後はスポットがどれだけ充実していくかがポイントとなりそうだ。

遊休スペースをアイカサスポットとして提供する提携店にとっては、使ってない場所を有効活用することで副収入を得られるほか(アイカサ利用料の一部をレベニューシェア)、既存顧客の満足度向上やこれまで接点のない顧客と新たな関係性を築くためのツールにもなりえるという。お店のページにクーポンを表示できるような機能も考えているようだ。

集客ツールとしても機能しうる点などは荷物の一時預かりサービス「ecbo cloak」などと近しい部分もあるけれど、傘の場合は店舗側のスタッフにほとんど余計なオペレーションが発生しない部分はひとつの特徴と言えるかもしれない。

昨今は様々な企業がSDGs(持続可能な開発目標)への取り組みを活発化させているけれど、アイカサでもシェアリングの仕組みを通じて継続可能な傘の在り方を推進していく計画。軍資金として8月にはIncubate Fundと他1社から資金調達も実施した。

今後はアイカサスポットの拡大に向けた企業や行政との連携も強化しながら、2020年には東京を中心とした全国で3万本の傘が流通するサービスを目指す。

「新しい『雨の日のインフラ』を作っていきたい。これまでしょうがなく買っていたビニール傘を買わずに済んだり、長時間雨宿りしていたようなことがなくなったり。大きい目標ではあるが、10年とか15年経った頃に『昔は雨が降った時にビニール傘を買っていたんだよ』という会話が生まれるような世界観を目指して取り組んでいく」(丸川氏)