グリーンニューディールは、多くの民主党議員が推し進めている気候関連イニシアチブの広範な決議案である。しかしそれがなくとも、Joe Biden(ジョー・バイデン)次期大統領には、インフラや景気刺激策の一環として、意欲的なエネルギー転換計画を進める多くの機会があるだろう。
専門家、投資家、次期大統領のアドバイザーによると、共和党が上院の支配を維持することができたとしても、議会が初仕事として取り組むことになるインフラや景気刺激策の法案に、気候に優しい政策を組み入れるチャンスはいくらかあるようだ。
これは、地球規模の気候変動の原因となる温室効果ガスの排出量を削減する技術に注力している既存企業や相次ぐスタートアップにとっては朗報だ。そして、Mitt Romney(ミット・ロムニー)氏のような穏健派の共和党員でさえ頑なな態度を示す気候問題にも関わらず、前述のような変化が起きる可能性がある。
11月、ロムニー氏は報道番組「Meet the Press(ミート・ザ・プレス)」で、「多くの人が、保守的な原則が依然として我が国の世論の大部分を占めていると言っていることは知っています」と述べ、「私は、皆さんがグリーンニューディール政策の可決を望んでいるとは思いません。また、皆さんが石炭、石油、ガスの撤廃を望んでいるとは思っていませんし、すべての人へのメディケアや増税など、経済を減速させる政策には興味がないと思っています」と続けた。
既に、現在の市況により、石油、ガス、エネルギーの大手企業の中には、再生可能エネルギーへの移行を余儀なくされている企業もある。これらの企業が米国内の製油所の閉鎖を始めると、これらの雇用に対する代替案の整備へのプレッシャーを議会はますます強く感じることになるだろう。
例えば、11月初めにShell(シェル)はルイジアナ州にあるプラントを閉鎖し、約650人の従業員を解雇すると発表した。閉鎖は主に新型コロナウイルス感染症のパンデミックによってもたらされた石油需要の減少によるものだが、オランダに本社を置くシェルも、英国に本社を置く同業のBPも、化石燃料の消費は2019年にピークを迎え、長期的な減少に向かうと考えている。
米大手の石油・ガス企業といえども、新型コロナウイルス感染症の経済的影響や世界規模の化石燃料離れに対する免疫を持ち合わせてはいなかった。Chevron(シェブロン)とExxonMobil(エクソンモービル)の大手2社の株価は、石油業界の需要の急激な減少と他の下げ要因が考慮され、この1年で下落している。
一方、米国の大手電力会社の中には、化石燃料を使用した発電の段階的な廃止に取り組んでいるところもある。
再生可能エネルギーへの移行は、少なくともここ米国では、政府の指導があまりなくても、すでに市場が後押しする形で進行している。このような背景から、問題は、政府が再生可能エネルギーへの移行を支援すべきかどうかではなく、米国の雇用を救うためにどれだけ早く刺激策を実行できるかということである。
次期大統領のアドバイザーも、「[近いうちに]出てくるであろう本当に重要な気候関連の政策の多くは、実際には再生可能エネルギーに関連するものではないだろう」と語っている。
では、景気刺激策はどのようなものになるのだろうか。どのように配分され、何を財源とするのだろうか。
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景気刺激、新型コロナウイルス感染症、そして気候変動
バイデン次期大統領は、次期政権の最初の優先事項をすでに詳しく述べている。既に23万8000人(記事執筆時点)を超える米国人が死亡した新型コロナウイルス感染症パンデミックの対策が何よりも優先されるが、パンデミックへの対応によって引き起こされた景気低迷への対応もすぐに後に続くだろう。
アナリストやアドバイザーによると、気候に優しいイニシアチブは、その取り組みの過程で大きな存在感を示し、化石燃料ビジネスの老舗企業だけでなく、新しいテクノロジー企業にも恩恵をもたらす可能性があるという。
今年の初め、バイデン陣営のアドバイザーは「問題を再燃させることなく私たちが確実に前に進む絶好の機会となる計画に資金を投入していく」と語っている。
手にした何兆ドルもの資金がどのように使われるのかを推測するには、短期、中期、長期の目標について考えると良いだろう。
短期的には、できるだけ早く始められる「shovel-ready(ショベル・レディ)な」プロジェクトに力が注がれるだろう。例えば、環境のための改築や建物の改修、水道設備や電力網の修理とアップグレード、電気自動車の製造に対するインセンティブを増やすこと、環境修復や埋め戻しプロジェクトのための資金を増やす計画などのイニシアチブだ。
これらの支出は、いくつかの試算によると総額7500億ドル(約78兆円)に達する可能性があり、国内経済に長期的な利益をもたらす可能性のある産業や製造業を中心に米国人の雇用を回復させるのに役立つだろう。低所得者の農山村部や都市部のコミュニティを支援するために全米各地に設けられた政府指定のオポチュニティ・ゾーンを対象とした支出については特にそう言える。
これらの取り組みにオポチュニティ・ゾーンを組み込めば、資金をさらに迅速に活用する機会となる。また、テック要素を含むインフラプロジェクトの優先順位を高く定める方法があれば、技術的なリスクを克服してきたスタートアップにとって、より望ましい環境が整う。
「政策、特に連邦政府の政策を立案するときはいつでも、達成したい目標に適したインセンティブを設けなければならない」とバイデン氏のアドバイザーは述べる。
中長期的な目標は、より新しいテクノロジーに依存する場合があるため、計画や開発に時間がかかる可能性が高く、また、連邦政府の資金を受けて建設を開始する以前に、自治体や州のレベルで計画手続きを踏まなければならない。
さまざまな業種の労働市場に向けた労働力を準備するために、これらのプロジェクトには、開発、および労働者の訓練や再教育のための資金として、さらに600億ドル(約6兆2000億円)が費やされると予想される。
義務ではなくインセンティブによる促進
バイデン政権の気候政策が直面する最大のリスクの1つは、トランプ政権下で任命された、ますます保守層に共感的になる司法から法的な異議申し立て受ける可能性があることだ。
そのような異議申し立てにより、バイデンチームは、規制の鞭よりもビジネスに優しい飴を採用することの経済的利益を強調せざるを得なくなるかもしれない。
次期大統領のアドバイザーは、「可能な限り、市場が自ら解決策を見いだし、いつでもまず、義務化ではなくインセンティブに委ねるのが望ましい」と述べた。
今週のニュースで報じられたように、Pfizer(ファイザー)が新型コロナウイルス感染症のワクチンについて良好な結果を得たことから、現政権下で進行中のワクチン開発計画の中に有望なモデルがいくつかあることが判明した。
ファイザーは保健福祉省の「ワープ・スピード作戦」には参加していないが、同社は、ワクチンの市場を保証する20億ドル(約2100億円)の契約を政府と結んだ。
コネチカット州のクリス・マーフィー上院議員が言及しているような官民パートナーシップは、特に石炭からの脱却によって最も打撃を受けるであろう地域を中心に、気候変動の分野でも採用される可能性がある。
特にダコタ州、モンタナ州、ウェストバージニア州、ワイオミング州など、化石燃料からの転換によって最も打撃を受けるであろう地域では、その支出保証の一部は、放棄された天然ガスの井戸や石炭採掘事業の環境修復という形で提供されるかもしれない。その中には、過去数十年間にエンジニアリング会社や石油会社が培ってきたものと同様のスキルを要する、新しい地熱エンジニアリングプロジェクトの開発によるものもあるだろう。
また、水素をベースとした経済にも明るい兆しがある。水素をベースとした経済は、国内にある石油やガスのインフラや専門知識を活用して、よりクリーンなエネルギーの未来へと移行することができる(注:必ずしもクリーンなエネルギーの未来とは限らないが、以前よりもクリーンになることは確かだ)。
既に日本のような国では、石油を水素燃料に置き換えるための基盤の構築が進められており、このようなインセンティブに基づいたプログラムや官民パートナーシップは、いくつかの業界のスタートアップにとっても大きな後押しとなるだろう。
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富を分かち合う(農山村部編)
バイデン政権が制定する政策は、経済的機会に広く取り組む必要があり、選挙キャンペーン中に提案された計画の多くは、その必要を満たすものだった。政権移行に向けたウェブサイトによると、なかでも重要な提案の一つは、「取り残された地域社会の優良な組合員や中産階級の雇用を創出し、汚染の影響を受ける地域社会の過ちを正し、農山村部、都市部、部族など、私たちの偉大な国家全体から最高のアイデアを打ち出す」というものであった。
電力網や公益事業のインフラに早期に重点を置くことで、米国全土に雇用創出の大きな機会が生まれ、テクノロジー企業にとっても後押しとなる可能性がある。
エネルギーと気候に焦点を当てたベンチャーキャピタル、Congruent Ventures(コングレント・ベンチャーズ)の共同設立者であるAbe Yokell(エイブ・ヨーケル)氏は、「この国の電力インフラは古く、老朽化しており、安全ではない。インフラの観点から見ると、送配電は切実にアップグレードを必要としているのに、長い間、十分な資金が投入されてこなかった。そしてそれは、再生可能エネルギーを米国全土に普及させることと、あらゆるものの電化を実現することに直結している」と述べている。
電気インフラの再生と、電力や水道の新しいブロードバンド機能や監視技術を組み合わせることは、Verizon(ベライゾン、TechCrunchの親会社)や他のネットワーク企業に大きな利益をもたらすだろう。さらに、公益事業会社にとってはありがたいことに、料金を調整する方法が整備されることになる。
インフラをアップグレードするこのようなプロジェクトは、コストがかさんでますます使い物にならなくなっている石炭関連資産を再利用する方法を見つけるのにも役立つ。
ヨーケル氏は次のように語る。「石炭を燃やす意味はもうない。資金がないにもかかわらず、発電所は責務上の理由から石炭を燃やし続けているが、現役の炭鉱でさえも閉鎖したいとみんな思っている」。
ヨーケル氏によると、これらの炭鉱を廃止し、エネルギー貯蔵を使用して分散型エネルギーグリッドのノードとして再利用することができれば、石炭プラントが以前行っていたように、電気容量の平滑化を行うことができ「大勝利」となる。エネルギー貯蔵の導入は、かつてはコストの問題だった。しかし「今では立地の問題だ」と同氏は言う。
より新しい効率的なテクノロジーを使って古い水力発電資産で再発電することは、「ショベル・レディ」プロジェクトで再生事業を大きく進展させるもう一つの方法であり、スタートアップがこの動きの恩恵を受けることができる分野でもある。それはまた、農山村部のコミュニティに雇用をもたらすことにもつながる。
インフラへの投資は、都市部でも農山村部でも有望だが、刺激策の効果はそれだけでは終らない。
農山村地域には、バイデン政権移行チームが指摘するように「気候に配慮した農業や、放棄された油田や天然ガス田を埋め戻したり、放棄された石炭、石材、およびウランの鉱山を再生利用したりする25万人分の雇用を含む回復と保護の分野」でビジネスチャンスがある。また、石油産業の労働者にとっては、新しく成長しているテクノロジーを駆使した地熱エネルギー産業で職を得る大きなチャンスがある。
トランプ政権下で急増した農業助成金は、気候により一層の焦点を当てた形で継続される可能性がある。トランプ政権が2020年の間に農家に配る予定の460億ドル(約4兆8000億円)と同程度の補助金が、単にそのまま農家に支給されるのではなく、「カーボンファーミング(炭素貯留農法)」への補助金という形で支払われると予測される。炭素貯留農法への補助金を約束して農場の票を取り込むことは、炭素価格(政府関係者の間ではほとんど失敗している)をめぐる議論を再開するきっかけになるかもしれない。炭素貯留農法以外にも、生体材料、コーティング、さらには食品などに利用される合成生物学の急速な技術革新により、米国中西部の大規模なバイオ燃料発酵槽や原材料を活用する新たなバイオ製造業が誕生する可能性がある。
さらに、水圧破砕法の本格化や石油価格の高騰に後押しされて鉄道インフラが拡大すれば、全米への鉄道輸送が可能な他の分野の製造業を発展させる機会と可能性が広がる。
Volkswagen(フォルクスワーゲン)は、2019年11月13日水曜日、電気自動車計画の北米拠点となるテネシー州で、8億ドル(約830億円)規模の工場拡張に着工した。画像クレジット:Volkswagen
富を分かち合う(都市編)
地方経済活性化に有効な支出策は、米国の大都市にも同様に適用できる。電気自動車を中心としたインセンティブや、車両のアップグレードを義務付ける連邦政府の指令を通じて自動車産業を活性化させる動きは、自動車メーカーと関連OEMメーカーにとって絶大な効果があるだろう。
都市インフラのための官民パートナーシップは、まずアップグレードの計画と管理のために確保された資金から支援を受けることができる。そうすることで、全米のスタートアップによる新技術の採用が促進されると同時に、その実装の過程で相当数の新たな雇用が創出される可能性がある。
都市経済の再活性化と気候政策が交錯しうる大きな分野の1つは、耐気候構造化、エネルギー効率の高い電化製品の設置、建物の改修といった、比較的地味な分野だ。
不動産管理会社Jonathan Rose Companies(ジョナサン・ローズ・カンパニーズ)の環境影響担当ディレクター、Lauren Zullo(ローレン・ズーロ)氏は次のように述べている。「どの地方自治体も、グリーン経済や低炭素経済への移行に高い関心を寄せており、都市は民間の不動産部門と提携する方法を本気で模索している。建築物がグリーン経済とは無関係ではいられないことが分かっているためだ。そして、地元の建物を改修するあらゆる仕事は、そのまま地元の経済活動になる」。
グリーンレトロフィット(既存の建築物を環境への配慮に基づいて改修すること)や分散型再生可能エネルギーの導入に資金を投入することは、地域経済、特に気候変動の最前線にいるコミュニティを優先的に支援する地域経済にとって、大きな追い風となる。
ズーロ氏は、オバマ政権の第1期に可決された2009年の米国復興・再投資法(American Recovery and Reinvestment Act of 2009)に言及し、次のように語った。「多くの投資が復興法に基づいてこのような形で行われてきた。多くの[資金]は、低所得者向けの住宅や手頃な価格の住宅に割り当てられた低所得者向けの耐気候構造化を中心に支出された。[これらの]資金により、エネルギー消費量を30%から50%削減することができ、光熱費の節約が達成できたことは、対象のコミュニティに変革をもたらした」。
これらのプログラムの重要性について、ズーロ氏は、さらに次のように説明した。「低所得者は、公共料金やエネルギーコストの負担が不釣り合いに大きい。低所得者層のコミュニティに割り当てる、または彼らを対象にする形で提供できる、あらゆる種類の省エネの機会は、単に二酸化炭素排出量だけでなく、それらの低所得者層のコミュニティの生活や成功にも影響を与える」。
財源の確保
このように控えめな法案でさえ、景気刺激策の財源は何か、どのように配分されるのかという質問にバイデン政権が答えることができなければ、議会を通過させることはできないだろう。
ツイートの中で、政治評論家のMatthew Yglesias(マシュー・イグレシアス)氏は、国には「アイスクリームパーティーを開く余裕がある」、つまり、共和党は減税を続け、それと同時に政府は景気刺激策への支出を続けることができる、と述べた。
「[金利]は非常に低いのです。国は、我々はいくつかの有望な事業に投資し、減税で『相殺』するアイスクリームのオプションを買う余裕があります」とイグレシアス氏はツイートしている。
バイデンのアジェンダには「この有望な事業に投資し、富裕層への課税によってそれを回収しよう」というようなもので溢れています。
しかし、金利は非常に低いのです。国は、我々はいくつかの有望な事業に投資し、減税で「相殺」するアイスクリームのオプションを買う余裕があります。
-Matthew Yglesias (@mattyglesias)2020年11月10日
大恐慌の初頭にHerbert Hoover(ハーバート・フーバー)政権が設立した復興金融公社(Reconstruction Finance Corporation、RFC)のように、議会は、資金を分配するための組織を設置することもできるだろう。復興金融公社は、Franklin Delano Roosevelt(フランクリン・デラノ・ルーズベルト)政権下で拡大され、破綻の危機にある金融機関や農場、企業などに資金を分配することができるようになった。
この制度自体が成功だったかどうかは定かではないが、RFCは、連邦預金保険公社や関連する商品金融公社(RFCとは異なり、現存する)とともに、1940年代に米国が大恐慌から脱却し、世界が戦争に巻き込まれる中で製造業を促進するための基礎を築いた。
現在まで長年にわたり存続している商品金融公社は、政府が設立したいと考えているインフラストラクチャ金融公社のモデルになるかもしれない。
一部の投資家はこのアイデアを支持している。インフラ分野のある投資家はこう語る。「これは、州、地方自治体、または民間企業に資金を渡し、地方債や通行料で賄うことができる近代的なインフラプロジェクトを提案している事業体への多額の補助金付き融資を、州、地方自治体、または民間企業レベルで引き受けられるようにするということだ。これにより、インフラへの投資を希望し、関連する技術的な要件を有する可能性があるどの事業でも融資が受けられる環境が整う」。
一部の投資家は、インフラ銀行を通じた融資から得られる資金を産業のリショアリング(海外に移した生産拠点を自国内に戻すこと)に充て、企業からの潜在的な税収で融資コストの一部を相殺することを提案した。このような施策の中には、融資が地元の金融機関を通じて行われるようになれば、さらなる経済的恩恵をもたらすものもあるだろう。
都市インフラを中心に投資するベンチャーキャピタルファンドUrban.us(アーバン・ドット・アス)のマネージングパートナーであるMark Paris(マーク・パリス)氏は、「これらの資金を提供するための手段をどうするか。実は、既存のアーキテクチャが使える。それは地方債市場だ」。
インフラの答え
バイデン政権は、トランプ政権の気候変動政策の流れを反転させるための手段には事欠かないが、これらの連邦政策の変更の多くは法廷論争に発展する可能性が高い。
David Roberts(デヴィッド・ロバーツ)氏はVox(ヴォックス)の記事の中で、バイデン氏が米国経済の脱炭素化に向けた道筋に沿って取ることができる直接的な政策のいくつかについて、非常にわかりやすく説明している。それらには、トランプ大統領が取り消しまたは縮小した125を超える気候・環境規制を復元すること、環境保護庁と協力してオバマ時代のクリーンパワープラン(電力事業者向けの二酸化炭素排出削減に関する政策)の拡大版を新しく策定すること、運輸省による新しい燃費基準の開発を推進すること、そしてカリフォルニア州独自の非常に積極的な車両基準を支持することが含まれる。
また、バイデン氏は、投資のための金融モデルに気候リスクを織り込むよう金融市場を促すことにより、気候に優しいビジネスへの投資や化石燃料からの撤退をさらに促進できる、とロバーツ氏は指摘する。
米国最大の金融サービス機関のいくつかは、すでにそのような取り組みを行っており、石油・ガス会社は、新型コロナウイルス感染症のパンデミックの影響で株価が下落し、需要が急落する中、再生可能燃料や無公害燃料への移行の必要性と格闘している。
昨年Mother Jones(マザー・ジョーンズ)氏が示唆したように、トランプ政権が移民を国家安全保障上の緊急事態と宣言したのと同様に、バイデン政権が気候変動を国家安全保障上の緊急事態と宣言することもあり得る。そうなれば、バイデン氏は経済を再構築し、産業政策に直接影響を与える広範な権限を持つことになる。
国家気候緊急事態を宣言すれば、バイデン氏は次期大統領のエネルギー計画を構成するインフラ構想の多くを実現するために必要な権限を手にすることになるが、それを支持する国民の信認が得られるとは限らない。
その一歩を踏み出す前に、バイデン氏は、まず立法面で手を尽くそうとするかもしれない。ねじれ状態にある議会では、それはインフラ、雇用、産業インセンティブに焦点を当てることを意味する。
バイデン氏は9月の演説で「気候変動の影響は選択できません。それは党派的な現象ではないからです。それは科学です。私たちの対応も同じでなければなりません。科学に基づいて、共に行動する。全員で取り組むことが必要です」と述べた。
そして次のように続けた。「これらは雇用を創出し、気候変動を緩和し、遅くとも2050年までの排出実質ゼロを軌道に乗せるための具体的で実行可能な政策です。インフラに投資して、それをより強く、より回復力のあるものにすると同時に、気候変動の根本原因に取り組むことができます」。
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(翻訳:Dragonfly)