パテント・トロールに示談金を払わずに完勝する方法、Cloudflareの先行技術調査戦術に学ぶ

“トロールに餌をやるな”、と教えられる。しかし企業向け多目的逆プロキシサービスとして今や著名なCloudflareは、彼らから儲けの源泉を取り上げることによって、トロールを餓死させようとしている。

テクノロジー企業に対する特許訴訟はほとんど日常化しているので、多くの企業は高価な法務費用(そして短くない法廷関与時間!)を負担するよりも、示談ですませてしまうことが多い。企業がそうやって早くケリをつけようとするので、特許訴訟は原告トロールにとって濡れ手で粟の金儲け手段になっている。トロールたちはテクノロジー関連の特許を1ドル程度の安値で買い、その特許をネタにお金持ちの企業から示談を引き出す。

しかし先月Blackbird Technologiesと名乗るトロール企業がCloudflare(そしてクラウドプラットホームのFastly)を、プロキシシステムのエラーメッセージに関する1998年の特許で訴えたとき、Cloudflareは反撃を決意した。このCDN企業はProject Jengoと名付けた懸賞プロジェクトを立ち上げて、Blackbirdが保有する70あまりの特許のすべてを無効にすることをねらった。

Project Jengoは、特許が“先行技術”(prior art)である証拠を見つけるために、総額5万ドルの資金を用意した。その特許が謳っている技術が、特許が申請される前に広く使われていたことを示す証拠だ。先行技術の証拠は、特許侵犯の主張を‘根拠なし’にする。そして5万ドルの資金のうち2万ドルは、CloudflareとFastlyの訴訟に関わっていた特許を無効化するために使われ、残る3万ドルは、Blackbirdのそのほかの特許の無効化に投じられる。

CloudflareのCEO Matthew Princeがブログに書いている: “Blackbirdは2014年の9月以来107件の訴訟を起し、今後も同社の特許を使ってそのほかの企業を訴訟していくだろう、と思われた。そこで、Blackbirdの特許に先行技術の有無を調べることが重要であり、それによって今後彼らが弊社やそのほかの企業を訴訟できないようにする必要があった”。

その調査の結果、Project Jengoの訴訟ではCloudflareの勝訴が確定し、一般的なパテントトロールの事案と違って同社は、示談(〜和解金支払い)を回避できた。

Cloudflareの法務部長Doug Kramerはこう語る: “迷惑行為に対しては、示談で済ませる企業が多い。しかし弊社は、いかなる点でも示談にするつもりはなかた。示談は、問題の劇症化に貢献するだけである。すべての企業が、立ち上がって戦う必要がある”。

CloudflareはProject Jengoでトロールの特許訴訟を無効にしただけでなく、Blackbirdのトップも訴追している。同社は弁護士たちが創り、テクノロジーとはまったく無縁の企業だ。パテントを買ってそれらに関する訴訟を起こすことが、彼らの“事業”である。それは非倫理的である、とCloudflareは主張し、Blackbirdの弁護士たちを訴えている。

今Blackbirdにコメントを求めているので、得られ次第この記事をアップデートしよう。

アップデート: “Blackbird Technologiesは弊社に対するCloudflareの申し立てを検討した。これらの申し立てには訴訟としての理非がまったくなく、したがって弊社としては強力に、それらから弊社を守りたい”、BlackbirdのCEO Wendy Verlanderは、本誌にこう語った。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Qualcomm、iPhoneの米国輸入禁止をITCに提訴へ

QualcommはAppleに予想外の強烈なパンチを見舞うかもしれない。 Bloombergによれば、Qualcommは国際貿易委員会(International Trade Commission) (不公正貿易を排除してアメリカ産業を保護するための独立機関)に対してiPhoneのアメリカへの輸入を差し止めるよう訴えることを検討しているという。これはQualcomm対Appleの法廷闘争に新しい段階をもたらすだろう。

Qualcommは裁判所や他の機関よりITCの審理が迅速なことに着目している。これはQualcommにとって見逃せない有利な点だ。iPhone、iPadは全数が中国で生産されており、Appleはこれらの製品をアメリカで販売するためには中国から輸入しなければならない。

QualcommもITCがAppleに対して輸入の全面禁止の裁決を出すとは期待していないだろうが、Qualcommは時間を稼ぐと同時にその主張をさらに多面的に展開するチャンスを得ることになる。

先週金曜にAppleは金額が不公正であるとしてQualcommに対してロイヤルティーを支払うことを中止した。 これはQualcommにとって四半期で数億ドルの金額となる。QualcommはもちろんAppleよりはるかに小さい企業だ。

Qualcommは世界のスマートフォン・メーカーにとって最重要のチップセット供給者だ。システムチップもLTEモデムもQualcommが多い。Appleは長年Qualcomm LTEチップをiPhoneに組み込んでいる。iPhone 7ではAppleはサプライチェーンのリスクを低減するためにはLTEチップセットの納入企業をIntelとQualcommに分散した。

しかしチップセットの製造はQualcommのビジネスの一部門に過ぎない。同社はワイヤレス・テクノロジーに関し重要特許を数多く保有しており、たとIntelのチップセットを購入する場合でもQualcommにライセンス収入がもたらされる。チップセット製造からの売上がライセンス収入の伸びを上回っているとはいえ、ライセンス料は依然としてiQualcommの売上の3位を占めている。

Appleは「われわれはQualcommに過大なライセンス料金を支払ってきた。QualcommはAppleに不必要な数の特許の使用を強い、iPhoneの売上の一部を抜き取っている」と主張している。Appleは訴訟で10億ドルの損害賠償を求めている。.

QualcommとAppleは互いに提訴と反訴を繰り返しているがこれは巨大企業間での特許訴訟では珍しくない。

両社は互いに相手を真っ向からねじ伏せようとしている。Appleはこの訴訟でライセンス料金を値下げさせようと試みている。逆に Qualcommは特許ビジネスを守らねばならない。もしAppleに対してライセンス料の値下げを認めれば他のメーカーも一斉に値下げを要求してくるのは明らかだからだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

AppleがQualcommへのロイヤルティ支払いを停止

AppleとQualcommが、ここ2、3ヶ月の間ロイヤルティの支払いに関して激しく戦ってきたことは特に秘密でもなんでもない。このたびAppleはQualcommに対し、争点となっているライセンス料の支払いを停止することを通告した。Qualcommはこの攻撃的な動きがあったことを認め、これにより収益が予想よりも下がることになると語った。

Appleは、支払いを再開するには裁判所の判断を待ちたいと回答した。もちろん同社は、決定後にはより少ないロイヤルティ額になることを期待している。

Qualcommの上級副社長兼相談役のDon Rosenbergは、その声明の中で「AppleはQualcommが長年ライセンシーとの間で締結してきた長期契約に対して不当に干渉している。これらの契約は今でも有効で強制力がある」と述べている。

もし最近のエピソードを見逃していたなら、一体両社の間に何があったのかと思うかも知れない。Qualcommは、世界中のスマートフォンメーカーの多くに対する、キーチップセットサプライヤーである。そうしたメーカーに対してデバイスで利用するSOC(システムオンチップ)やLTEモデムを製造している。しかしこれはQualcommのビジネスのほんの一部に過ぎない。

同社はまた、ワイヤレス技術に関連する数多くの特許を保有している。言い換えれば、もしスマートフォンを構築するなら、Qualcommからそれらの特許に対するライセンスを取得する必要がある。チップからの収益は、ライセンスの収益よりも急速に成長してはいるものの、それはまだ会社全体の収益の3分の1ほどに過ぎない。

しかし、Qualcommは少々やりすぎたのかもしれない。先の12月、韓国の反トラスト規制当局はQualcommに対し、韓国における同社の特許ロイヤルティ活動について、約8億5,000万ドル(1.03兆ウォン)の罰金刑を科した

規制当局によれば、Qualcommはあまりにも多数の特許をライセンスし、スマートフォンメーカーに対して、場合によっては不要かもしれない特許への高いロイヤルティを強制している。それに加えて、Qualcommはスマートフォンメーカーを脅迫し続けてきた。もしそうしたロイヤルティを支払わなければQualcommのチップセットを売らない(no license, no chips)、というわけだ。

FTC に続き、Appleは多かれ少なかれそのケースに似た内容の提訴を1月に行った。Appleのケースでは、Qualcommは他のスマートフォンメーカーよりもさらに高額のロイヤルティをAppleに対して支払うよう強制していた。なぜなら、Appleは競合他社のチップセットを使用しているからだ。AppleはQualcommに対して10億ドルの賠償金を求めている。

そしてもちろんこれで終わりではなかった。Qualcommは反訴し、Appleは別の訴訟を中国で行った。こうなるとAppleとQualcommの代表たちと一緒に夕食のテーブルは囲みたくはない。

今日のロイヤルティ支払い停止のニュースは、Appleが勝訴をほぼ確信しているということを示している。Qualcommは第3四半期の財務予測を調整する必要に迫られた。売上高は48億ドルから56億ドルの間となり、利益はより低くなる筈だ。これまで同社は、53億ドルから61億ドルの売上高を見込んでいた。

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(翻訳:Sako)

GoogleとIntertrustの共同事業PatentShieldはスタートアップを特許訴訟から守る

GoogleとIntertrustが今日(米国時間4/25)、スタートアップを特許をめぐる訴訟から守るプログラムPatentShieldのローンチを発表した。この事業の‘参加料’は、スタートアップ各社の所有権(株式など)の小部分だ。

その基本的な仕組みは、この事業に参加するスタートアップに、GoogleとIntertrustのポートフォリオにある一定のパテントの所有権を与えることだ。そしてそれを抑止力に利用して、既成勢力からの特許訴訟から自分を守る。Googleが同社の特許の一部を提供してこのプログラムの基礎を築き、メディアストリーミングやIoT、セキュリティなどの分野のパテントポートフォリオを持つIntertrustは、同社の特許の一部と同社知財チームの力をスタートアップに提供する。

スタートアップが訴訟されたら、PatentShieldのポートフォリオから特許を選び、原告を反訴して自分を守る。

Google法務部の特許担当次長Allen Loはこう説明する: “このプログラムは、些細でほとんど意味のない訴訟をテクノロジーの世界から減らすためにGoogleが開発した一連のイニシアチブの延長だ”。実際にGoogleは、かなり前から、特許訴訟からほかの企業を守ることにも、一定の関心を示してきた。たとえば同社のOpen Patent Non-Assertion Pledgeでは、サードパーティが作った無料またはオープンソースのソフトウェアが同社の一定のパテントに抵触しているおそれがあるときは彼らを訴訟しない、と確約した。ただしその特許集合は、2014年以降アップデートされていない。

Google, Microsoft, Facebook, IBMなど数社が昨年共同で、特許を売り買いするマーケットプレースを作った

でも、この事業のいちばんおもしろい部分は、参加企業がPatentShieldに株式(ないし企業所有権)のごく一部を付与することだ。Intertrustによると、その付与ぶんの大きさが“会社とその製品の成熟度や、彼らのマーケットにおける訴訟リスクを測る目安になる”、ということだ。

今Googleに、この事業における同社の役割と、同社自身もこれらの企業の持ち分を得ることになるのか、問い合わせている。答が得られたら、この記事をアップデートしたい。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

パテントをめぐるNokiaとの喧嘩が再燃したAppleはWithings(==Nokia)の製品をストアから一掃

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クリスマス休日はみんな比較的おとなしくしていたと思うが、AppleとNokiaだけは戦闘の用意をしていた。2011年に7億2000万ドルで決着したとされる、いくつかのパテントをめぐる戦争が、再び燃え上がるらしいのだ。

今週の初めAppleはカリフォルニア州で訴状を提出し、Nokiaはその契約から一部のパテントを取り去り、“過剰な使用料を強奪しようとした”、と申し立てた。その後の、本誌TechCrunch宛の声明では、かつてはスマートフォンのリーダーだった企業が“パテント・トロールの手口を使っている”、と非難した。

一方Nokia側はドイツの三つの都市と、パテント抗争のグラウンドゼロであるここアメリカ(テキサス東部地区地裁)で訴状を提出し、スマートフォンの多様なハードウェアとソフトウェアで使われている32のパテントに関し、権利を主張した。

すでにホリデー商戦は終幕だから、売上にもたらすダメージは大きくないと思うが、今回の大量の訴訟の結果として、Withingsの製品はAppleのオンラインストアから姿を消した

Withingsのスマート体重計とか血圧計などを買おうとすると、いやみなエラーメッセージが表示される: “何かお探しですか? そう感じました。でも、お探しの製品はもうapple.comにはございません”。

Appleの小売店舗からも、姿を消したようだ…同社の物理店舗にはネット上にないものの在庫はない。Appleには今コメントを求めているが、でもタイミングが奇妙だ。Nokiaはそのフランスの電子製品メーカーを、この夏買収したばかりなのに。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

CRISPR-Cas9の特許権を巡る口頭弁論、いよいよ来月開始

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驚異の遺伝子編集技術であるCRISPR-Cas9の特許権の所在を巡る、口頭弁論の始まる日程が決定した。

バークレーのJennifer Doudnaと彼女の同僚でマックス・プランク研究所のEmmanuelle Charpentierは12月6日に裁判所へ出廷、MITのFeng Zhangと対峙する。彼女たちは米国特許商標庁の3人の審査員の前で、なぜZhangではなく自分たちが特許権を持つにふさわしいか、その論拠を提示する予定だ。その特許は、すべての遺伝性疾患を根こそぎ根絶できる可能性を秘めている。

CRISPRに関しては幾つかの特許が存在しており、MITはそれらにおける最大のシェアを誇っている。しかし、DoudnaとCharpentierはそのうちの特定の特許に対してのクレジットを主張しており、それは彼女の示した、CRISPR Cas9システムを使えばバクテリアのDNAを編集できるという成果に基づいたものだ。

しかし、MITによると、Zhangはその一歩先を行き、ヒト細胞においてDNA編集が可能であることを示した。

Doudnaと彼女のチームによると、それは論理的な帰結であり、それ自体が彼女の仕事に基づいたもので、その特許の根拠となる彼女の思いついたアイディアから十分に異なっているとは言えない、と主張している。

これまで血なまぐさい争いが続いており、そこには何千万ドルもの費用がつぎ込まれてきたが、この抗争の決着がつくのには、まだ何年もかかるかもしれない。

しかし、この争いに関しては単に業績のクレジットがかかっているだけではない。 CRISPRは、産業界全体を変革させる可能性を秘めており、CRISPRを使うことで、ガン、糖尿病、パーキンソン病および他の多くの衰弱性疾患を、それが遺伝性疾患である限り、一掃できる可能性があるのだ 。そしてその技術のライセンス権を保有する人にとって、それは数十億ドルの価値があるのだ。

これらの訴訟を行う命令は4ページの手紙として11月5日付けで発表され、それについてはここで読むことができる。訴訟は一般に公開され、バージニア州・アレクサンドリアに拠点を置く審査員たち(訳注、アレクサンドリアは米国特許商標庁の所在地)がそれぞれの当事者を尋問し、主張の整合性を詳しくチェックすることになる。
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(翻訳:Tsubouchi)

大手薬局チェーンのWalgreens、血液検査スタートアップのTheranosに1.4億ドルの損害賠償訴訟

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アメリカ第2の規模の薬局チェーン、Walgreensは血液検査スタートアップのTheranosに対し、1億4000万ドルの訴訟を起こした。

WalgreensはかつてTheranosの最大のパートナーだった。TheranosはWalgreensのアリゾナの数店舗をビジネス運営のテストのために利用したことがある。しかし、Walgreensはこの6月、正式にTheranosとの提携を解消した。WalgreensはTheranosの検査結果多数が無効とされたこと、運営に対して連邦当局の調査が行われたことを理由としている。 提携解消は「直ちに有効となる」とされた。

この発表の際、Walgreensの一般ヘルスケア事業開発担当上級副社長、Brad FluegelはTechCrunchに対してこう説明している。「多数の血液検査結果が無効とされたこと、連邦政府のメディケア・メディケイド・サービスセンターがTheranosの運営改善計画を不十分として制裁措置を発動したこと、これらの事実に照らしてTheranosとの関係を解消することがWalgreesの顧客の利益を守るために必要であると判断されるに至った」。

訴状によると、WalgreensはTheranosが契約の条件として合意した秘密保持契約(NDA)に定めた条項を破っていくつかの情報を公開したとしている。

Theranosとファウンダーのエリザベス・ホームズに対する契約不履行や血液検査テクノロジーの欠陥を理由とする訴訟の数は増え続けているが、Walgreesの訴えはその最新のものだ。

WalgreensはTheranosに対して訴を起こしたことは確認したが、それ以上の詳細についてはコメントを避けた。 Wall Street JournalのJohn Carryrou(Theranosの虚偽に関して最初にレポートした記者)は「WalgreensはTheranosに対し、デラウェア州で1億4000万ドルの訴訟を起こした」とツイートしている。

われわれの問い合わせに対してTheranosは回答しなかった。

画像: Flickr UNDER A CC BY 2.0 LICENSE

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+