Arm共同創業者が4.2兆円でのNVIDIAからの買収に反対、独立性確保のため「Save Arm」キャンペーンを開始

英国拠点の半導体企業Arm Holdings(アーム・ホールディングス)は、週末にNVIDIA(エヌビディア)がソフトバンクグループから400億ドル(約4兆2000億円)のArmの全株式を買収すると発表したことで、英国内最大のテック企業のイグジットという、二度目の歴史を本日作った。もちろん一度目は、ソフトバンクグループがArmを320億ドル(約3兆4000億円)で買収すると発表したときだ。

しかし、高度に縮小された命令セット・コンピューティング・マシンと言う前に、この取引は些細なヒッチを直撃している。アーム社の共同創業者の一人が、英国にこの取引に干渉してもらうか、そうでなければ取引を中止し、政府の支援を受けた株式公開を選ぶことと推奨するキャンペーンを始めたのだ。

1990年にAcorn Computers(エイコーン・コンピューターズ)のスピンアウトとしてほかの多くのホストとともに同社を立ち上げたHermann Hauser(ヘルマン・ハウザー)氏は、英国のBoris Johnson(ボリス・ジョンソン)首相に公開書簡を書き、今回の取引と、この取引が国内の雇用にどのような影響を与えるか、Armのビジネスモデルと、米国の利害関係から独立した国の経済主権の将来について「非常に懸念している」と訴えている。

ハウザー氏はまた、今回の取引の自らの意見について国民の支持を集めるサイト「savearm.co.uk」を作り、財界人などからの署名集めも始めている。

彼は政府が介入するか、または少なくとも法的拘束力のある条項を作成するには、雇用を保証するために取引を渡すことに関連付けられている、NVIDIA は他のライセンシーよりも優遇措置を取得していないを強制する方法を作成し、CFIUS 規制からの免除を確保するために呼び出している “英国の企業が私たち自身のマイクロプロセッサ技術への自由なアクセスが保証されるように”

彼は、政府が介入するか、少なくとも雇用を保証する契約の成立に関連した法的拘束力のある条項を作ること、ほかのライセンシーよりNVIDIAが優先的な扱いを受けない方法を作ること、そして「英国企業は、当社のマイクロプロセッサ技術への自由なアクセスが保証される」というCFIUS(対米外国投資委員会)規制の免除を要求している。

米国時間9月13日夜のArm買収のニュースを受けて出てきた前述の書簡と一般的な反発の動きは、英国のテクノロジーに関する興味深い、そして長期的にはもっと大きなテーマを強調しているかもしれない。もしくは、米国や中国以外のテクノロジーの巨人を作ることを強調しているのかもしれない。

要するに、なぜArmは独立した会社として自分自身で存続し続けることができないのか、なぜ最初にソフトバンクグループの買収を選択したのか、そしてなぜ英国は自国で成長している技術大手の存続をサポートしないのか、といった疑問が提起されているのだ。

これらの質問に対する回答は難しい。ハウザー氏は「Armが米国の事業体が買収されることはArmが将来的に行う販売も米国の輸出規制の対象となるということだが、Armの取引相手の多くは中国企業であり、その取引のすべてでCFIUS規制を遵守する必要が出てくる」と書いている。また「このため英国は、ARMの売却先を決定するのは英国政府ではなく米国政府であるとの立場をとっている。主権はかつては主に地理的な問題だったが、今では経済的な主権も同様に重要になっている。英国の最も強力な貿易製品を米国に引き渡すことは、英国を米国の属国にしてしまう」と主張している。

NVIDIAのCEOであり共同創業者であるJen-Hsun Huang(ジェン・スン・ファン)氏とArmのCEOであるSimon Segars(サイモン・シーガース)氏は、米国時間9月14日に記者会見を開き、Armのビジネスモデルと独立性を維持することを約束した。

「今回の買収は、両社の顧客のためにイノベーションを推進することになる」とファンは述べ、NVIDIAは「Armのオープンなライセンスモデルと顧客の中立性を維持する。我々はArmのビジネスモデルを愛している。実際、我々はNVIDIAの技術を利用してArmのライセンスポートフォリオを拡大していくつもりだ。この組み合わせにより、私たちのエコシステムは両方とも豊かになるでしょう」と述べた。

ハウザー氏の反応はというと「法的拘束力のない発言は信じない」とのこと。

ハウザー氏の書簡には「Armは何千人もの従業員を雇用しており、パートナーのエコシステムは本社があるケンブリッジ、マンチェスター、ベルファスト、グラスゴー、シェフィールド、ワーウィックにまたがっているという。本社が米国に移転すると、必然的に英国での雇用と影響力が失われることになるだろう」と書いている。

一方、Arm氏のビジネスモデルは、同社が半導体業界の「スイス」になるというコンセプトの基に構築されており、多くのライセンシーにリファレンスデザインを供給している。彼は、NVIDIAに会社の支配権を与えることで、これらのビジネス関係は必然的に維持できなくなると考えているのだ。しかし最大の問題に話を戻すと、少なくとも英国政府にアピールするには、米国の利益から独立した企業としてのArmの立場が最大の関心事となる。

ハウザー氏が指摘するところによれば、Armは携帯電話の分野で圧倒的な地位を持つ唯一の英国のテクノロジー企業であり、同社のマイクロプロセッサは膨大な数のデバイスに搭載されており、約95%の市場シェアを占めている。このことが、Facebook(フェイスブック)、Apple(アップル)、Amazon(アマゾン)、Netflix(ネットフリックス)、Google(グーグル)といった巨大企業の「FAANG」グループとは一線を画している。実際のところ、Armはそれらと競合しているわけではないし、必ずしもすべての企業と提携しているわけでもない。

「米国の大統領が中国との貿易戦争でテクノロジーの優位性を武器にしてきたように、英国も独自の貿易武器を持って交渉しない限り、巻き添えになるだろう。ARMは、アップル、サムスン、ソニー、ファーウェイ、そして世界のほぼすべてのほかのブランドのスマートフォンにチップを供給しており、従ってそれらすべてに影響力を行使することができる」とハウザー氏。

ハウザー氏が、創業者がArmの事業がどのようにして最初の買い手に投げ出され、次に別の買い手に投げ出されたかについて批判したのは、これが初めてではない。

ソフトバンクグループの悲惨な決算をきっかけに、NVIDIAがArmに関心を寄せているという噂が最初に表面化し始めた8月には、もう一人の共同創業者で元社長のTudor Brown(チューダー・ブラウン)氏が、ソフトバンクグループの扱いと、それに対する「解決策」としてNVIDIAに買収させることに内在する問題点について発言していた。

ソフトバンクグループの買収時に書いたように、ソフトバンクグループはArmの買収によって、IoT技術への大きな動きの先頭に立ちたいと考えていた。本質的には、ARMのビジネスモデルとハードウェアメーカーとの関係を利用して、AIや自動システムへの実装など、プロセッサの需要が「ホット」になっている分野を倍増させるのではなく、コネクテッドデバイス向けの半導体周辺のIPへの新しい投資の波を確保する計画だった。

なぜなら、IoTは誰もが思っていたほど大きなビジネスチャンスではなく、少なくともIoTビジネスは人々が予測していたようなタイムスケールや軌道では発展していないからだ。

Armのもう一人の創業者であるブラウン氏のNVIDIAに対する見解もハウザー氏とよく似ている。自社の顧客と本質的に競合する相手に会社を売却することは、独立性を主張し、すべての人に平等な製品へのアクセスを与えることを保証することを、不可能ではないにしても、非常に困難にする。

もちろん、NVIDIAが400億ドルでArmを買収したのは、会社を潰すためではないと主張することもできるだろう。しかし、この買収が株式市場で成立し、NVIDIAが長期戦を繰り広げていることを考えると最終的にはどちらが勝利するのだろうか?

我々はNVIDIAに「Save Arm」への回答を求めたので、詳細がわかり次第、記事を更新する予定だ。

画像クレジット:Ratcliffe/Bloomberg via Getty Images / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

ソフトバンクは評価額約4.2兆円のArm株売却で利益確保か、売却先のNVIDIAはCPU/GPUの超ビッグプレーヤーに

ここ数週間、TechCrunchが追いかけてきた大きな取引はTikTokだったが、実は交渉中の別の大規模な契約があった。

スマートフォンやその他の分野でプロセッサチップの最も重要な設計者であるArm Holdings(アームホールディングス)は、ソフトバンクグループが投資の回収に取り組む中で売却の対象になっている。ソフトバンクグループは、Elliott Management(エリオットマネジメント)などの活動的な投資家を黙らせるために追加の資金を調達も進めている。なお、ソフトバンクグループは、2016年にArmを320億ドル(約3兆4000億円)で買収した。

これらの協議は結論に向かっているようだ。Wall Street Journalは、ソフトバンクグループがNVIDIA(エヌビディア)に現金と株式でArm株を売却することで、同社の価値が400億ドル(約4兆2460億円)になると最初に報じた。 Financial Times紙は米国時間9月12日の午後、さらに取引の概要を確認し、早ければ9月14日の月曜日にも発表される可能性があると伝えた。

NVIDIA、Arm、ソフトバンクグループからの正式な確認を待つ間、いくつかの考えがある。

第1にArmは、現在では年間数十億個もの新しいチップがライセンスの下に製造され、大成功を収めているチップ設計の転換を模索している。5月にTechCrunchが報じたように、同社は新たな成長市場に積極的に参入しており、有名なブランドの成功例をいくつか挙げている。その中にはアップルがMacのラインアップにArmプロセッサーを取り入れると発表したことも含まれている。

ソフトバンクグループは2016年に同社を買収して勢いを取り戻した。前述の400億ドルがArmの現在の実際の価値だとすれば、約4年間で25%の利益を得たことになる。ソフトバンクグループの最近の芳しくない投資実績を考えるとかなりの利益に思えるが、もちろんこのような高価な資産を購入する際には莫大な費用がかかっている。なお、ソフトバンク・ビジョン・ファンドが公開株を購入したNIVIDIAは、AIやブロックチェーン・アプリケーションによって株価が16倍以上に急上昇している。

第2に取引が成立したとしても、Armにとってはやや静かな決着となる。ケンブリッジに拠点を置き、英国を代表する大学と深いつながりを持つ同社は、 Alan Turing(アラン・チューリング)氏が計算可能性の開発に重要な役割を果たしたコンピュータサイエンスの最前線で、英国の長い遺産の象徴として見られてきた。

Armの売却は、英国政府が欧州連合(EU)との産業政策、特にArmが開発していたチップ技術へのより資金提供を巡って議論する準備をしているタイミングで行われた。もちろん、Armが従業員を移動させることはないが、米国の半導体大手と日本の持ち株会社が同社の株を所有することで、同社の比較的独立した事業は終了することになるかもしれない。

第3として最後に、今回の買収によりNVIDIAは半導体市場で圧倒的な地位を得ることになり、同社の強みであるグラフィックスやAI処理のワークフローとArmのチップ設計を融合させられることになる。おそらく完全な垂直統合にはならないが、この組み合わせにより同社が主要チップメーカー1つとしての地位を強化することになるだろう。

それはまた、Intel(インテル)が、かつては小さかったNVIDIAにどれほどの遅れをとってしまったががわかる。インテルの時価総額は約2100億ドル(約22兆3000億円)で、NVIDIAの3000億ドル(31兆8400億円)よりも少ない。過去数年のNVIDIAの急成長に比べて、インテルの株価は実質的に一直線であり、このニュースはインテルにはあまり歓迎されそうにない。

国際政治が絡み、Armの置かれている微妙な立場を考えると、どのような契約であっても、複数の国で独占禁止法に関する慣習的な審査を受けなければならず、英国では国家安全保障に関する審査を受ける可能性がある。

ソフトバンクグループにとってこれは巨額損失に直面した同社の資産整理の新たな動きだ。そして少なくとも現時点では、同社は勝利を手にしそうだ。

画像クレジット:Kiyoshi Ota / Bloomberg/ Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

ソフトバンクがリード出資した破産フィンテック企業Wirecardの英国事業をVisa出資のRailsbankが買収へ

Wirecard(ワイヤーカード)に新たな一章が開かれたようだ。ドイツの不名誉なフィンテック企業は巨額の会計スキャンダルに直面し、その後15億ドル(約1580億円)の借入金の支払いが滞り今年初めに破産した。

APIを通じて金融・銀行サービスを提供する英国のスタートアップであり、Visa(ビザ)などが投資する(未訳記事)しているRailsbank(レイルズバンク)はWirecard Card Solutions(ワイヤーカードソリューションズ)の買収で合意した。英国事業にはカードテクノロジーと関連資産、既存のクライアントビジネスと従業員が含まれる。

取引条件は明らかにされていないが、Wirecardの広報担当者によると、取引は11月に完了する予定で、Wiredcardの事業の重要な部分を占めると語った。

Wirecardはドイツで上場しており、ソフトバンクなどが主導した資金調達ラウンド後に190億ドル(約2兆円)もの金額で評価(未訳記事)された。同社の衰退の物語は、「演技」が終わりを迎え数カ月経った後でも、詳細とともに注目(Financial Times記事)された。

Wirecard Card Solutions自体の事業規模も巨大であり、欧州のフィンテック業界と強いつながりがある。そのサービスには、カスタマイズされたカードプロダクト、デビットカード、プリペイドカード、クレジットカードが含まれる。欧州最大のプリペイド発行会社の1つであり、Monzo、FairFX、Revolut、Transferwise、Uaccount、Soldo、Pockitにもサービスを提供している。

興味深いことに、資料で見る限りRailsbankの方が事業規模は随分小さいようだ。Nigel Verdon(ナイジェル・バードン)氏とClive Mitchell(クリブ・ミッチェル)氏が共同で創業した同社は、PitchBookのデータによると、これまで約1700万ドル(約18億円)を調達(Pictbookデータ)し、穏当なバリュエーションを保っている。以上から推察するに、Wirecard Card Solutionsの買収対価はキャッシュではなく株式だったのではないだろうか。

注目すべきは、Wirecard Acquiring&Issuing GmbHと、ドイツの親会社であるWirecard AGグループの一部が、Wirecard Card Solutionsの一部の株式を引き続き保有する点だ。

「会社の将来を計画する上での重要な優先事項の1つは、大切な顧客が可能な限り最高の結果を得ることだ。Railsbankへの資産売却の提案を含むソルベント・ワインドダウン(リストラ計画)の実効により優先事項の主要部分を達成できると思う」とWirecard Card SolutionsのマネージングディレクターであるTom Jennings(トム・ジェニングス)氏は声明で述べた。

「プログラムマネージャーが我々の提案をサポートしてくれた。すべての関係者のためにポジティブに前進できれば良い。この移行を可能な限りシームレスに行えるように支援してくれた顧客と、MastercardとVisaの継続的なサポートに感謝する」

RailsbankのCEOであるバードン氏は声明で、「Wirecard Card Solutionsと合意に至ったことを喜んでいる。取引の過程で積極的に協力してくれたチームにも感謝する」と述べた。「結局のところ、顧客とチームの要望に応えることが我々の優先事項だ。Railsbankチームは、顧客、プログラムマネージャー、チームメンバーが新しい家にシームレスに移動できるように誠実に取り組んでいく」

Wirecardのディストレストアセット(再生企業の株式や資産)の取得にRailsbankが関心を持っていることが初めて報じられたのは先週だ(sifted記事)。その後、同社は転落するWirecardの後援者候補として浮上した。手数料なしで現地通貨で決済できるカードをユーザーに提供する「仮想通貨フレンドリー」なWirex(ワイレックス)は今週初め、カード発行サービスをWirecardからRailsbankへ切り替えると発表した

Railsbankは、すでに英国、EU、米国、シンガポールで約50種類のカードプログラムを運営しており、Wirecardの事業引き継ぎに向けたインフラは整っていると述べた。

Railsbankがこの点を強調することに驚きはない。移行のタイミングは契約の中で重要な部分だ。今回の買収はWirecardの将来に関するこの数カ月の憶測を締めくくる。Wirecardがどん底に至る前には、フィンテックの顧客やパートナーに加え、オリンパス、Getty Images、Orange、KLMといった法人顧客を抱えていた。

しかし、WirecardにはAdyen、FirstData、WorldPay、Stripe、Railscardなど同じ分野で法人向け決済、カード発行、銀行・金融サービスを提供する多くの強力な競争相手がおり、顧客が逃げる前にどこかに買収・統合してもらうことができるかが大きな課題だった。

画像クレジット:Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

培養肉開発のMemphis Meatsがソフトバンクなどから176億円超を調達

動物細胞から肉、シーフード、鶏肉を人工的に製造する技術を開発しているMemphis Meatsは、ソフトバンクグループ、Norwest、さらにシンガポール政府が支援するTemasekといった投資家から、新たな資金1億6100万ドル(約176億5400万円)を調達した。

今回の投資を受け、同社の総資金は1億8000万ドル(約197億3700万円)となった。これまでの投資は、Richard Branson(リチャード・ブランソン)氏、Bill Gates(ビル・ゲイツ)氏、Threshold Ventures、Cargill、Tyson Foods、Finistere、Future Ventures、Kimbal Musk(キンバル・マスク)氏、Fifty Years、CPT Capitalなど、個人および機関投資家から受けていた。

Memphis Meats以外にも、Future Meat Technologies、Aleph Farms、Higher Steaks、Mosa Meat、Meatableといった企業が、培養した細胞から肉を作る技術を探求している。それによって、世界中の森林破壊と気候変動を増長している畜産業を代替することを目指している。

計算生物学、バイオエンジニアリング、材料科学といった領域での革新によって、企業は従来の農業を置き換えることが可能な技術を商業化する機会を得ようとしている。それにより、食品を生産するための二酸化炭素排出量を大きく削減し、非常に豊かな時代をもたらすことができると、投資家たちは期待している。

「誰が最初に製品を市場に供給できるか」という競争は始まっている。

「業界全体にとって、このような規模の投資は、このテクノロジーが、遠い将来の努力目標ではなく、今ここにあるのだという自信を強めてくれるものです。培養肉が、リーズナブルな価格で市販される、という『概念実証』ができれば、さらに関心を集め、この業界への投資も加速するはずです」と、Good Food Instituteの専務取締役であるBruce Friedrich(ブルース・フリードリック)氏は、電子メールで表明している。「これは、まだ非常に新しい業界であり、注意深く見守ることが重要です。培養肉というアイデア自体は、すでに1世紀近く言われてきましたが、最初のプロトタイプが作られたのは、わずか6年前のことなのです」。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

ソフトバンクグループCOOでWeWork新会長のクラウレ氏が全力支援を確約

米国時間10月24日、WeWorkの社員集会で不安気な聴衆の前にソフトバンクグループのCOO(最高業務責任者)であるMarcelo Claure(マルセロ・クラウレ)新会長が登壇し「もう心配はいらない」と断言したという。Recodeのスクープによれば同ブログはリークされた録音を入手できた。

ソフトバンクグループの投資額を合計するのを忘れていたら、あるいは同社の株式を持っていたら発言の内容にショックを受けたかもしれない。録音によれば、クラウレ氏はこう語った。

「ソフトバンクはこれまでもWeWorkの将来を保証してきた。しかし一番重要なことは、今や我々は将来を直接この手に取り戻すしたという点だ。金策に駆け回る日々は終わった。投資家に対し、 WeWorkは素晴らしい将来性があるビジネスだと懸命に納得させようとしなくてもいい。ソフトバンクのWeWorkに対するコミットメントは総額185億ドル(約2兆円)だ。わかりやすくいえば、私の母国であるボリビアのGDPより大きい。ちなみにボリビアの人口は 1100万人だ」。

危機に陥っていたコワーキングスペースの最大手WeWorkをソフトバンクグループが救済する一環として、ボリビア出身のクラウレ氏が会長に任命された。クラウレ氏は過去5年間ソフトバンクグループのトップの一員だった。現在はソフトバンクグループのCOOに加えてソフトバンク・インターナショナル、ソフトバンク・ラテンアメリカのCEO(最高業務責任者)を務めている。

クラウレ氏によれば、ソフトバンク創業者の孫正義氏と初めて会ったのは 2013年に自身のスタートアップであるBrightstar(ブライトスター)の57%をソフトバンクに売却したときだったという。同社は米国で携帯電話を再販しており、会社評価額は22億ドルだった。その後ソフトバンクは低価格帯のスマートフォンの再販業に見切りをつけ同社を10億ドルで売りに出した。

クラウレ氏は2014年にはソフトバンクが買収した米国キャリアであるSprint(スプリント)のCEOに任命された。その間株価が大きく下がったことで批判されたものの、Sprintの株価はクラウレ氏が指揮を取り始める前から下がり始めており、昨年T-MobileとSprintの合併が合意されてやっと止まった。

TechchCrunchが報じたように、この合併は司法省に加えて連邦通信委員会の承認を受けた。しかしいくつかの州の司法省長官は「消費者の利益を損なう」として取引の実現をブロックしようと試みている。

WeWorkの社員集会でクラウレ氏は自分の経歴についても. 「マサ(孫正義氏)は私にキミは素晴らしい起業家だと言ってくれた。ゼロから会社を作り上げて成功させ、Sprint問題も解決した」と強気の発言をしたという。

不安を鎮めようと、クラウレ氏はこれまでソフトバンクが困難なチャレンジに打ち勝ってきたと繰り返し述べた。クラウレ氏によれば、「マサと私はWeWorkについて次に何をなすべきか数えきれないほど眠れぬ夜を過ごしてきた。正直に言えば、外からの助言の99%までは損切りして逃げろというものだった。しかしマサはWeWorkのビジョンと使命に絶対の確信を抱いていた」という。

「『なぜそうまで確信を持てたのか』という疑問が湧くだろう。実際、逃げるほうがはるかに簡単だ。我々はこうした巨額の投資を強制されたわけではない。そういった義務は一切なかった。しかし我々はソフトバンクの将来、ソフトバンクの評判を賭けた。WeWorkが成功するという結末に我々はすべてを賭けているのだ。我々に今必要なのはこの決断が失敗ではないと考える人々だ。この決断は天才的なものだ。マサと私は何夜にもわたって議論をし尽くした。WeWorkのビジネスについて深く考えれば考えるほど好きになった。会社のマネージャーたちにも会った。そして知るほどにこの事業がさらに好きになった」。

クラウレ氏によれば、WeWorkを救うために何をすべきなのか、それはまだ明確ではないという。

「次の30日の私の任務はアーティー(・ミンソン氏)、セバスチャン(・ガニンガム氏)をはじめとする素晴らしい経営陣に加わり、具体的なプランを策定することだ。このプランは非常に具体的なものとなる。我々は全員が何をなすべきかをはっきり認識するだろう。空約束のたぐいではない。達成すべき数値目標を決めるつもりだ。そして実行にあたっての責任も明確化させる」。

クラウレ氏が触れなかった問題点の1つは対米外国投資委員会(Committee on Foreign Investment in the U.S.)の動向だ。Bloomberg(ブルームバーグ)が10月23日夜報じたところではソフトバンクはCFIUSからWeWork取得についての承認を得ようとしているという。同委員会は過去に安全保障上の理由から米国におけるソフトバンクの事業をブロックしたことがある。

過去にCFIUSはソフトバンクのSprint支配に条件を課した。また2017年にはソフトバンクが子会社化したFortress Investment Groupの投資業務を運営することを制限した。Bloombergによれば数十億ドルをUberに投じたにもかかわらず、ソフトバンクは同社に2人の取締役を送り込むことをCFIUSに禁じられた。NYSEへの上場後、Uberはソフトバンクに対する義務のいくつかを解除することに成功しているという。

画像:Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

DiDiとPayPayが還元上限2000円のタク代半額キャンペーン、対応タクシーはゼンリンナビ搭載へ

タクシー配車サービスを展開しているソフトバンク系のDiDiモビリティジャパンは9月25日、「PayPayならDiDiのタクシーが半額で乗れちゃうキャンペーン!」を開催することを発表した。実施期間は9月27日〜10月31日の約1カ月間。還元上限2000円で、タクシー料金をPayPayで決済すると半額になるという内容だ。PayPayもソフトバンク系なので、グループのシナジーを生かしたキャンペーンといえる。

具体的には、スマートフォン用のDiDiアプリにクーポンコード「PAYPAY」を入力し、「DiDi」アプリでの注文時にPayPay残額での支払いを選択することで、タクシー代がその場で半額になる。半額ぶんのPayPayボーナスの付与ではなく、即時の割引であるのがポイント。前述のように割引上限2000円で、利用回数は1日1回のみ。なお、DiDiの車種選択機能を利用した場合はキャンペーンの対象外だ。タクシー会社によっては、別途迎車料金がかかることもあるが、首都圏などでは迎車料金はいまのところ無料だ。

対応エリアは、北海道、青森、宮城、東京、愛知、大阪、京都、兵庫、広島、山口、福岡、沖縄の計12カ所の営業エリアで、詳細は同社のウェブサイトで確認できる。なお、同社は2019年内に13都市での展開を予定していたが、これを20都市に上方修正。10月9日には13都市目となる新潟でのサービスインを控えており、そのほか7都市で新たにサービスを開始する予定だ。

キャンペーンに合わせ、ゼンリンとゼンリンデータコムとの業務提携も発表。第一弾の取り組みとして「DiDi」のタクシー乗務員向けアプリに、ゼンリンデータコムのナビゲーションアプリ「Z-NAV」(ゼットナブ)が順次導入される。これまでDiDiに対応するタクシーの車内にはiPad miniが設置され、アップル純正の「マップ」アプリなどを利用してナビゲーションを実現していた。しかし、通常のタクシーのルートとは異なる行き方が提示されるなど混乱もあったが、定評のあるゼンリンのナビゲーションシステムを利用できることで、より最適なルートを利用した移動が可能になるはずだ。

そのほかDiDiモビリティジャパンでは、ドライバー用アプリ「DiDiドライバー」に「需要予測ヒートマップ」(仮称)機能を2019年中に展開することも明らかになった。これは、タクシーの需要と供給のバランスを可視化するため、タクシー乗務員はひと目で需要の高いエリアがわかり、収益を最大化することができるというもの。同機能は中国ライドシェア大手Didi Chuxing(滴滴出行)の技術をベースとしており、Didi Chuxingでは中国で15分後の予測で85%以上の正解率をはじき出すAI需要予測を実現しているという。

PayPayが第三者割当増資で460億円調達、グループ一丸でキャッシュレス推進へ

QRコード決済サービスを提供しているPayPayは5月8日、第三者割当増資の実施を発表した。2019年5月以降に、ソフトバンクグループから460億円の出資を受け入れる。今回の増資により、PayPayの資本金は920億円(資本準備金を含む)となる。

同社は、ソフトバンクとヤフーの共同出資会社だが、両社の親会社(持株会社)であるソフトバンクグループが追加出資を決めたことで、グループ全体でさらに重要な位置を占めることになる。

PayPayは現在「第2弾100億円キャンペーン」などを実施中だが、今後は「ワクワクペイペイ」として1カ月ごとに店舗を絞った還元キャンペーンを実施する予定だ。6月はドラッグストアを対象に最大20%還元となる。今回の第三者割当増資で潤沢な資金を獲得したことにより、ソフトバンク全体でキャッシュレス決済を強力に推し進めていくと考えられる。

ソフトバンクがラテンアメリカで50億ドル規模のファンドを設立

ソフトバンクグループ(以下SBG)は3月7日、ラテンアメリカ市場に特化したテクノロジーファンド設立したと発表。規模は50億ドルで、SBGは20億ドルを拠出する予定だ。

「ソフトバンク・イノベーション・ファンド(仮称)」と命名されたこのファンドでは、アルゼンチンやブラジル、チリ、コロンビア、メキシコなどラテンアメリカ全域で、Eコマース、デジタルファイナンスサービス、ヘルスケア、運輸業、保険業といった領域のスタートアップに投資する。

SBGは同日、「ソフトバンク・ラテンアメリカ・ローカル・ハブ(仮称)」を設立することも併せて発表している。このグループでは、ソフトバンクのポートフォリオ企業のラテンアメリカへの進出を支援し、事業展開地域の拡大をサポートするのだという。

「ラテンアメリカで育った私は、人々がもたらす創造性と情熱を直に見てきました。数多くの革新と創造がこの地域で起きており、ビジネス機運はかつてないほど高まっています。ソフトバンク・イノベーション・ファンドは、産業を再定義し、多くの人々に新たな経済機会を創出しようとしているラテンアメリカ企業へ投資していきます」

そうコメントしているのは、新たなファンドの投資、運営の全体統括の責務を担うSoftBank Latin AmericaのCEOに就任したマルセロ・クラウレ氏。同氏は、現任のSBG取締役副社長 COO、SoftBank Group InternationalのCEO、Sprint CorporationのExecutive Chairmanのポジションも継続して務めることとなる。

SBGいわく、ラテンアメリカ市場の特異性と急速な経済発展は、世界の10%を占める人口と世界全体の8%(インドの2倍、中国の2分の1)に相当するGDPに伴うものだという。

ラテンアメリカには3億7500万人のインターネットユーザー、そして2億5000万人のスマホユーザーが存在する。また、Eコマースの売上高が、2015年の298億ドルから2018年には540億ドルに増加するなど、消費者行動がオンラインショッピングに大きくシフトしているという。

加えて、“その地域に足りていないもの”に関してもSBGにチャンスをもたらすだろう。銀行業務はオンラインが主流となりつつある一方、ラテンアメリカでは人口のおよそ7割である約4億人が銀行口座を開設していない。

ソフトバンクはこれまで、ラテンアメリカでは、ブラジルの配車サービス会社99(結局はソフトバンクも支援しているDiDi(滴滴出行)に買収されたが)や、同じくブラジルの配送アプリLoggiなどに投資してきた。