ロケット・ラボが2021年初のロケット打ち上げ完了、18回目のミッションを実施

Rocket Lab(ロケット・ラボ)はニュージーランド標準時1月20日午後8時26分(日本標準時1月20日午後5時26分)、18回目のミッションであり、2021年最初のミッションとしてロケットを打ち上げた。Another One Leaves The Crustミッションはニュージーランドのマヒア半島にある同社のLaunch Complex 1から離陸し、ヨーロッパを拠点としドイツ、スウェーデン、チェコ共和国に施設を持つ衛星メーカーOHB Groupに代わって、通信用超小型衛星を1機打ち上げた。

Rocket Labの打ち上げでは、複数の顧客からのペイロードがElectronロケットに搭載されていることが多いが、今回の専用ペイロードでの打ち上げは、小型ロケットの柔軟性が単一の小型衛星ミッションを望む顧客にも役立つことを示す例である。ロケットは離陸後、予定軌道にペイロードを投入した。

Rocket Labは、ロケットの一部を再利用するためのブースターステージの回収プロセスを開発・テストしているが、今回のミッションでは回収の試みは行われなかった。しかし同社はその開発プロセスで大きな成功を収めており、2020年には最初のブースターを回収している。そして2021年中には、戻ってきた第1段をヘリコプターを使って空中でキャッチしての回収を試みる予定だ。

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タグ:Rocket Lab

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

スペースXが2021年最初の打ち上げでStarlinkを60機投入、Falcon 9ロケットの再利用記録も更新

SpaceX(スペースX)は8回目の飛行となるFalcon 9ロケットを使用した、2021年の最初のミッションで17回目のStarlink衛星を打ち上げを行い、ロケットを着陸させその再利用プログラムの記録を更新した。これにより、Starlinkのコンステレーションは合計約1000基になった。同社はサービスのベータプログラムを英国とカナダに拡大し、カナダ・オンタリオ州の僻地にあるFirst Nationsコミュニティに最初のサービスを提供する。

打ち上げは東部標準時午前8時2分(太平洋標準時午前5時2分)にフロリダで実施され、打ち上げから約1時間後に予定通りに衛星が投入された。この打ち上げに使用されたブースターは、上述したように先に7回飛行している。これには、2020年月12月に衛星ラジオネットワークをサポートするために軌道上にSiriusXMを投入するのに使用されたものを含む。

今回の打ち上げは、海上に配置されたスペースXのドローン回収船が停泊していた着陸ゾーンの風が、同社が設定した安全値を超えていた「エンベロープ拡張」条件での着陸の試みだったことからも、注目された。

この成功により、スペースXはロケット回収を試みるための風速に対する許容範囲を広げることができるため、着陸ゾーンの気象条件による打ち上げのキャンセルが減ることになるだろう。

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

ヴァージン・オービットが改造747からロケットを宇宙へ発射する様子を公開

Virgin Orbit(ヴァージン・オービット)は米国時間1月17日日曜日に試験飛行を行い、宇宙と軌道に到達するという目標を達成しただけでなく、NASA向けのペイロードを搭載した初の商業ミッションも達成し、大きな成功を収めた。打ち上げはあらゆる面で成功を収め、同社は商用と防衛の両方の顧客に向けた小型ペイロードの打ち上げプロバイダーになる道を進んでいる。

動画では、LauncherOneロケットがCosmic Girlから切り離される瞬間を見ることができる。Cosmic Girlは旅客機のボーイング747を改造した機体で、通常の航空機の滑走路から離陸し、巡航高度まで上昇してロケットを発射し、その後、ロケットはエンジンに点火して宇宙へと飛行する。Virgin Orbitの発射モデルは従来の垂直離陸ロケットと比較して、軌道に小型ペイロードを運ぶ際の障壁を減らすように設計されており、今回の成功したテスト飛行はそのモデルがうまくいくことを証明している。

Virgin Orbitは実際に宇宙と軌道上に到達したことで、小規模ではあるが成長中の民間打ち上げ企業のグループに加わった。これはまだ供給よりも需要の方がはるかに多い小型衛星打ち上げ市場にとって、大きなニュースとなるはずだ。同社はまた、SpaceX(スペースX)のような既存の宇宙開発企業とはまったく異なるサービスを提供する。LauncherOneの設計は衛星通信事業者にとって、よりオンデマンドでレスポンスが高く、迅速な打上げサービスを提供することになる可能性がある。

関連記事:ヴァージン・オービットが輸送用航空機を利用する打ち上げでオービット(軌道)到達に初成功

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タグ:Virgin Orbitロケット

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翻訳:塚本直樹Twitter

通信衛星オペレーターの英OneWebがソフトバンクなどから約1450億円調達

破産を申請し、英国政府とBharti(バーティ)から救済の資金提供を受けるなど波乱の1年を乗り越え、2020年12月に一部の衛星打ち上げで再浮上したロンドン拠点のブロードバンド衛星オペレーターOneWeb(ワンウェブ)は米国時間1月15日、14億ドル(約1450億円)の資金調達をクローズしたと発表した。第1世代衛星648基の残りを打ち上げるのに十分な額だと同社は話している。

2020年12月にOneWebは新たに36基の衛星を打ち上げ、現在軌道にある衛星の数は110基になった。つまり、打ち上げる第1世代衛星はまだ500基超残っていることを意味する。

同社は野心を削ぎ落とし続けている。米国時間1月11日の週の初めOneWebは「コンステレーションを合理化」し、その結果米当局に出していたライセンスのリクエストを減らしたと発表した。元々同社は米連邦通信委員会にマーケットアクセスのために衛星4万7884基を申請していた。いまその数字は6372基に減っている。

SoftBank(ソフトバンク)グループとHughes Network Systems(ヒューズ・ネットワーク・システムズ)が資金を提供すると、OneWebは述べた。1カ月前にOneWebは3回目となる打ち上げで衛星36基を軌道に乗せた。当時、同社会長のSunil Bharti Mittal(スニル・バーティ・ミタル)氏は4億ドル(約415億円)調達に向け順調だと話していた。それが実現したようだ。

「OneWebのミッションはすべての人、すべての場所をつなぐことです。11月の連邦破産法11条から脱却して以来、我々は事業を再出発させるべく飛躍的に進歩を遂げました」と同社のCEOであるNeil Masterson(ニール・マスターソン)氏は声明文で述べた。「目標達成に向けて進歩していることの証拠としてのソフトバンクとHughesによる投資を、当社は歓迎します」。

OneWebは、バリュエーションを公開しないと広報担当は筆者に語った。今回のラウンドにより、同社の累計の調達額は約45億ドル(約4668億円)になったようだ。ただし、破産はかなりの資本増強と事業の再評価を意味し、そしてそうした数字にはリストラする前からの資金が含まれている。

ソフトバンクとHughesはどちらも過去にOneWebに投資し、パートナーでもあった。そのため今回の投資は以前の投資が完全に無駄にはなっていないことを確かめる保険証券のようなものだ(少なくともその一部は報道されている。ソフトバンクは数年前に部分的にOneWebへの投資のために240億ドル、約2兆5000億円という目を見張るような損失を計上した)。

一方のHughesは親会社EchoStar(エコースター)を通じて投資し、2017年にOneWebと同社の衛星と連携する地上インフラを建設する契約を結んだ。衛星テクノロジーの世界での建設と展開は何年もかかり、往々にして遅延に直面する。そのため3年間(あるいはそれ以上)契約から何も得られないというのはさほど驚くことではない。

OneWebは、投資家との長期の付き合いを受け入れ、地上ネットワークがまだHughesによって建設中であることを認めた。

「ソフトバンクとHughesから投資を受けることをうれしく思います。両社とも当社の事業に精通しており、未来に向けた当社のビジョンを共有しています。そして両社のコミットメントにより今後の急成長する機会に投資できます」とミタル氏は声明文で述べた。「両社の経験と能力から得るものがあり、当社は他に類を見ないLEO(地球低軌道)ネットワークを世界に提供します」。

Hughesは元々、最初のサービスを2019年に開始する計画だった。しかしそれはOneWebと同社のLEO衛星がまだかなり輝かしいアイデアで、ベンチャーファンディングで17億ドル(約1764億円)を集めたころのことだ。

最初のアイデアはいつでも素晴らしい。しかし、ムーンショット(壮大な挑戦)でもある。LEO衛星は他の手法ではリーチできない多くの遠隔地に地上波ネットワークがブロードバンド接続を提供するのを支え、有用なものであることがすでに証明されている。OneWebのアイデアはサービスを便利なものにし、400Mbpsという約束で地上のかなり多くのユーザーに使われるようにするというものだった。

その間にブロードバンド使用は爆発的に増えた一方で、OneWebがおそらく想定していなかったのは接続を提供するための非衛星システムの構築がネットワークの進歩において進むだろうということだった。あるいは、衛星を約束したタイムラインで打ち上げるためにどれくらいかかるのか、どのくらいの資金調達が必要なのかということだった。

高まる5Gユビキタス、IoT、接続生のニーズは全体的にまだOneWebのアプローチの力強いユースケースだと同社は話す。そこには「グローバル・ゲートウェー・ステーションのネットワークと、異なる顧客マーケットにリーズナブル価格で速く、広帯域、そして低遅延のコミュニケーションサービスを提供できる広範のユーザーターミナルが含まれます」と話す。

英ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)長官のKwasi Kwarteng(クワシ・クワーテング)氏は声明文で以下のように述べた。「OneWebへの我々の投資は英国の宇宙部門への継続的な取り組みの一環であり、最新の技術進歩の最先端に英国を押し出すものです。今日の投資によりOneWebはグローバルなブロードバンド接続を人々、事業者、政府に提供するというミッションの達成に一歩近づきます。その一方で英国においては新たな研究、開発、製造の機会を生み出すものになる可能性があります」。

ソフトバンクは今回のディールでOneWebに役員を1人送る。

「OneWebがキャパシティを増やし、商業化に向けて加速している中で、同社をサポートすることに興奮しています」とソフトバンクのCEOである孫正義氏は述べた。「世界中のインターネットアクセスを変革するというOneWebのミッションの達成をサポートするためにBharti、英国政府そしてHughesとの提携を継続することに胸躍らせています」。

Hughes社長のPradman Kaul(プラドマン・カウル)氏は次のように述べた。「OneWebは引き続き業界をインスパイアし、LEOコンステレーションの実現に向けてともに力を合わせるために業界におけるベストプレイヤーを引きつけています。Hughesとソフトバンクによる今日の投資は、世界中のブロードバンド需要に応え、そして加速させるという点において弊社の静止衛星サービスを補強する複数のトランスポートサービスでもって、企業、政府、モビリティの顧客をつなげるというOneWebのあらゆるポテンシャルの具現化をサポートします」。

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タグ:OneWebSoftbankHughes Network Systems資金調達

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(翻訳:Mizoguchi

ヴァージン・オービットが輸送用航空機を利用する打ち上げでオービット(軌道)到達に初成功

Virgin Orbit(ヴァージン・オービット)は米国時間1月17日、LauncherOne(ランチャーワン)ロケットを初めて軌道上に打ち上げることに成功。数機の人工衛星を搭載し、NASAに代わって地球低軌道へ運ぶための実証ミッションを達成させた。これは小型衛星の打ち上げを目的とする同社にとって重要なマイルストーンであり、初めて同社の輸送用航空機 / 小型ペイロード軌道輸送ロケットのハイブリッド空中打ち上げシステムが、意図した通りに機能することを示した。この成功により、同社の打ち上げシステムは間もなく商業運用を開始することになるはずだ。

これはヴァージン・オービット社にとって軌道到達を目指す2度目の挑戦だった。最初の軌道飛行テストは2020年5月下旬に行われたが、この時はLauncherOneロケットが「Cosmic Girl(コズミック・ガール)」(ボーイング747を改造したもので、ロケットを打ち上げ高度まで輸送する空母機)から切り離された直後にエンジンの自動安全停止装置が作動して終わった。その原因となったエラーの特定を含め、1度目のテストから多くのことを学んだ同社は、修正を施して今回のミッションに臨んだという。

ヴァージン・オービットのCosmic Girlは、東部標準時1月17日午後2時(日本時間1月18日午前4時)前に離陸し、午後2時40分頃にその翼からLauncherOneを放出。LauncherOneは意図した通りに「クリーンな分離」を行った後、自身のロケットエンジンに点火し、最大の空気力学的圧力(航空宇宙業界ではmax Q[最大動圧点]と呼ばれている)を受けるところまで急速に加速した。LauncherOneのメインエンジンは燃焼終了後に切断され、ペイロードステージが分離、カルマンラインを越えて、初めて宇宙空間に突入した。

東部標準時午後2時49分頃に軌道に到達した後、これから約30分で小型衛星のペイロードをリリースする予定だ。ミッションのこのあたりの結果については、後ほど記事を更新してお伝えするが、すでにこれはヴァージン・オービットのチームにとって重要なマイルストーンであり、大きな成果を上げたといえる。

小型衛星打ち上げ市場におけるヴァージン・オービットのユニークな価値提案は、輸送機から空中でロケットを発射するというアプローチを採用するため、従来の滑走路からの離着陸が可能であるということだ。これにより、打ち上げ場所の融通性が高まり、地理的条件や衛星を運ぶ目標位置の点で顧客のニーズに対応できるようになる。

2017年、ヴァージン・オービットはVirgin Galactic(ヴァージン・ギャラクティック)から分離独立し、小型ペイロードの軌道打ち上げに特化した。ヴァージン・ギャラクティックはその後、商業的な有人宇宙飛行を提供するという独自のミッションに完全に専念することになった。2021年初めには、ヴァージン・オービット自体が、VOX Space(ヴォックス・スペース)という独自の子会社を設立。これは米国の国家安全保障のために、LauncherOneを使って小型衛星を運ぶことを意図したものだ。

関連記事:Virgin Orbit初の軌道飛行テストは輸送機からの離脱直後に異常終了

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タグ:Virgin Orbitロケット

画像クレジット:Virgin Orbit

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(翻訳:TechCrunch Japan)

宇宙スタートアップIntuitive Machinesが2回目の月面着陸機ミッションでスペースXと契約

最初の商業月着陸船は早ければ2021年にも月への飛行を開始する予定だが、今回は別の着陸船の契約が確認された。Intuitive MachinesはSpaceX(スペースX)のFalcon 9で2機目の着陸機を送り込む予定で、打ち上げ時期は早くて2022年頃になると予想されている。同社はスペースXと最初の着陸船ミッションをすでに予約している。スペースXはNASAの商業月輸送サービス(CLPS)プログラムの下で月面着陸を目指している、他の民間企業のペイロードもホストしている。

Intuitive MachinesのNova-C着陸機は、最大100kg(約222ポンド)の荷物を月面に運び、ミッションの結果を地球に送信することができる。内部および外部の両方にペイロードを積載でき、NASAの商業パートナーシッププログラムを通じて、さまざまな顧客の科学実験装置を月面に運ぶ予定で、有人月面着陸であるアルテミス計画を含む将来のNASAのミッションをサポートすることも計画に含まれている。

Intuitive Machinesの最初の月着陸機ミッションでもNova-Cが使用される予定で、現在のスケジュールによれば2021年の第4四半期(10月〜12月)中に実施される予定だ。これには「月の表面から天の川銀河の中心の最初の画像撮影」を目指す月面撮影ミッションが含まれ、第2のミッションでは他のペイロードに加えて、NASAに代わってドリルによる月極地の資源採掘と、スペクトロメーターの月南極への輸送が含まれる。

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画像クレジット:Intuitive Machines

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

ブルーオリジンが2021年初ミッションで乗員カプセルの打ち上げと着陸に成功

民間宇宙航空企業のBlue Origin(ブルーオリジン)は、2021年の最初のミッションを開始し、西テキサスで「New Shepard(ニューシェパード)」ロケットを35万フィート(約106km)強の中高度まで打ち上げた。今回使用したブースターはこれが初飛行であり、ロケットに搭載されたカプセルに装備されている新しい乗員の安全性や制御、そして快適性のための各システムも、初めて飛行中にテストされた。また、「Mannequin Skywalker(マネキン・スカイウォーカー)」と呼ばれる実際の人間と同サイズのテスト用ダミーも搭乗しており、飛行中と着陸中の情報を記録していた。

ストリーミング動画と同社からのコメントによると、今回のテストは、打ち上げからブースター分離、着陸燃焼の制御、着陸、そして乗員カプセルがパラシュートを使って地球の大地に帰還するまで、すべて上手くいったようだ。このミッションでは実際に人間が搭乗していたわけではないが、代わりに世界中の子供たちから寄せられた5万枚の絵葉書が積まれていた。公式に(カーマン・ラインを超えて)宇宙に行ったこれらの絵葉書は、ブルーオリジンの非営利団体「Club for the Future(未来のためのクラブ)」を通じて子供たちに返却される。

今回のミッションは、実際にブルーオリジンが民間人を乗せた準軌道宇宙飛行の商用化を開始した際にどうなるかを示すためのものであり、それがいつ実現するかというタイムラインはまだ決まっていない。今回の打ち上げでは、乗員に重要なミッション中の情報を伝える警報システムや、無重力空間を飛行中に乗員を保護する新しい壁の内張、乗船中の快適性を高める騒音や振動の減衰などがテストされた。また、このカプセルには、飛行中にカプセル内の空気を乗員にとって安全に保つための、二酸化炭素吸収装置も搭載されていた。

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タグ:Blue Origin民間宇宙飛行ロケットNew Shepard

画像クレジット:Blue Origin

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Blue Originのロケット「New Shepard」が2021年初のミッションへ、日本時間1月15日午前0時45分打ち上げ

Blue Originは同社ロケットのNew Shepard(ニューシェパード)を米国中部標準時1月14日午前9時45分(日本時間1月15日午前0時45分)に打ち上げる。2021年最初のミッションだ。Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏が設立した宇宙企業にとって大きなミッションだ。ロケット先端のクルーカプセルには宇宙飛行士の体験を改善するための変更が加えられており、これは同社初の有人飛行ミッションに向けた準備段階といえる。

New Shepardはこれまでに13回飛行し、さまざまな積荷を準軌道宇宙に運んた後、地球に戻ってきた。この再利用可能な打ち上げロケットは、最終的に人間も宇宙に送ることを目的としている。起きる具体的に日程は明らかにされていないが、今回のミッションは有人飛行がそう遠くない未来に実行される可能性を強く示している。

有人飛行に焦点を当てたNew Shepardの打ち上げでは、音響および温度管理装置、搭乗者に情報を提供するディスプレイパネルおよびボタンを押して話せる会話システムが、クルーカプセルの6座席それぞれに設置されている。座席の1つには、人間そっくりの飛行用ダミー人形が置かれる。名前はMannequin Skywalker(マネキン・スカイウォーカー)。Blue Originはこれを使って様々な面からカプセルの性能を測定する。

Blue Originは同社が最終飛行システムに装備される安全アラートシステムのテストも行うほか、大きく異なる目的の貨物も搭載する。Blue Originの非営利団体Club for the Futureに全世界の子どもたちから贈られた5万枚のハガキだ。

ミッションはBlue OriginのウェブサイトおよびYouTubeチャンネルでライブ中継され、いつものようにストリーミングは発射約30分前、およそ東海岸時刻10時15分(日本時間1月15日午前0時15分)頃に放映を開始する予定となている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

英Skyroraが複数回のエンジン停止・再点火が可能で一度の打ち上げで様々な任務をこなすロケット「スペースタグ」をテスト

英国の宇宙技術スタートアップ企業であるSkyrora(スカイローラ)は、現在のところ英国内からロケットを打ち上げることができる唯一の民間企業だ。2020年のクリスマスイブには、スコットランドのFife(ファイフ)にある同社の試験施設で、新しいロケットに搭載されたエンジンの第3段階の静的燃焼テストが行われた。このロケットは最終的に衛星を目的の場所まで運ぶことになる。しかし、さらに興味深いのは、このロケットが軌道上で何度もエンジンを再噴射し、1度の飛行で複数のミッションを行うことができるということだ。これは「Space Tug(スペースタグ)」と呼ばれ、宇宙ゴミを撤去したり、すでに衛星が軌道上にある場合にはメンテナンスをするなど、宇宙空間で様々な任務を行うことができる。

Skyroraは、Seraphim Capital(セラフィム・キャピタル)による初期の「Space Camp(スペース・キャンプ)」促進プログラムの1つに参加していた。

スペースタグは、英国で開発された初の「ミッション・レディ」なロケットであり、軌道に乗れば自力で任意の場所まで航行でき、複数回の停止なども可能だ。

このスペースタグには、3Dプリントで作られた推力3.5kNのエンジンが搭載されており、打ち上げ時の第1段階では、廃プラスチックから作られた環境に優しい燃料(エコセン)を使用する。

Skyrora社のCEOであるVolodymyr Levykin(ウォロジミール・レヴィキン)氏は次のようにコメントしている。「Skyrora XLロケットのこの面に関しては、我々はわざと沈黙を守っていました。この段階に到達させるためには大きな技術的課題があり、すべてのテストで満足のいく結果が得られるようにしたかったからです。それが今、達成しました。良いニュースが本当に不足している現在の状況で、私たちはこのことを世界に伝えるべき時だと感じています。【略】我々の目標は、英国の大地から最も環境に優しい方法で効率的な打ち上げを行うだけでなく、一度の打ち上げで、これまで複数回の打ち上げが必要とされてきたレベルの作業を行うことができるようにすることです」。

宇宙飛行士のTim Peake(ティム・ピーク)卿は、次のようにコメントしている。「Skyroraのような企業が、英国を『打ち上げ国』にするという野心を持ち続けているのは素晴らしいことです。前進し、そのエンジニアリング能力への投資を継続的に行うことで、彼らは見事なマイルストーンを達成し、英国はその恩恵を受け続けています。衛星を精密な軌道に送り込む軌道上作業機としての機能を実現する第3段階の完全燃焼試験を実施したことで、Skyroraは打ち上げ準備に一歩近づきました。この機体はまた、衛星の除去、燃料補給、交換、軌道上からのデブリ除去などの重要な業務もできるようになる予定です」。

関連記事:3Dプリンタでロケットエンジンを作り廃プラ燃料で噴射に成功したSkyrora

カテゴリー:宇宙
タグ:Skyroraイギリスロケット

画像クレジット:Skyrora

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(翻訳:TechCrunch Japan)

飛行機から軌道上にロケットを打ち上げるVirgin Orbit2度目の挑戦は1月10日以降に

Virgin Orbitは2021年の新年を祝う暇もなく、フライトテストの再開に余念がない。軌道上実証飛行の次のデモンストレーション打ち上げの機会を得ており、それは米国時間1月10日から始まり、今月いっぱいまで続く。今回は2020年5月に行ったテストの続きだが、前回はLauncherOneロケットが軌道に到着する前、輸送機のCosmic Girlを離れた直後に終わった

このミッションは必ずしもVirgin Orbitが期待していたほどのものではなかったが、小さな衛星打ち上げ企業にとっては画期的な出来事であり、飛行中の機体性能に関する大量のデータ収集に役立った。LauncherOneは搭載されている安全装置が自動的に停止する前に、ロケットブースターに一時的に点火することができた。同社は2020年末までにこの2度目のテスト飛行を計画していたが、新型コロナウイルス(COVID-19)を含む問題のためにウェットドレスリハーサル(基本的には、燃料を満タンにした状態での飛行に至るまでのすべての過程を通したものだ)まで行うことができた。

次のミッションでは再び軌道上への打ち上げが試みられるが、今回はNASAという顧客のペイロードを実際に搭載するため、多少リスクが高くなります。搭載物にはいくつかの衛星に関する科学実験やデモを行うための小さな器具類が含まれており、特別にミッションプロフィール(打ち上げが失敗しても大きな損失にはならない)には選ばれているが、実際に目的地に到着すればみんなが幸せになるものでもある。

打ち上げ時期の性質上、Virgin Orbitはカリフォルニア州のモハーベ航空宇宙港から離陸する前に、可能な限り条件が良くなるのを待つことになるため、1月10日が最も可能性の高い打ち上げ時期であると考えていいだろう。成功すればVirgin Orbitは、これまで軌道上に到達した民間の小型打ち上げ機のエリートグループに仲間入りすることになる。そのため、Cosmic Girlが実際にLauncherOneを装着した離陸は、業界の注目を集めることになるだろう。

関連記事:Virgin Orbit初の軌道飛行テストは輸送機からの離脱直後に異常終了

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タグ:Virgin Orbit

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

NASAの有人月探査船ミッションのメンバーに選ばれたアン・マクレーン宇宙飛行士が次世代宇宙船の設計と操縦について語る

NASAは有人月探査プロジェクトであるアルテミス計画に参加する宇宙飛行士を発表した。ISS国際宇宙ステーションで203日間過ごし、船外活動を2回行ったAnne McClain(アン・マクレーン)氏もそのメンバーに選ばれた。宇宙ビジネスは10年前とは様変わりし、宇宙船のテクノロジーは一新されている。マクレーン氏は本人や他の飛行士の宇宙に関するビジョンを語ってくれた。

マクレーン陸軍中佐がISSに搭乗していたのは2018年12月から2019年6月までだ。スペースシャトルの退役後の時代だったため、軌道への打ち上げも降下もロシアのソユーズが利用された。しかしアルテミス計画では、米国製の新しいロケットと宇宙船が使用される。マクレーン氏はCrew Dragon宇宙船を操縦はしていないが、カプセルがISSにドッキングしたときに内部を実際にチェックしている。同氏は次のように述べた。

ソユーズに搭乗できたことはうれしい経験でした。ソユーズは簡素ですが非常に信頼性が高い宇宙船であり、歴史の一部を飛ばしているように感じました。もちろん将来は新しい宇宙船に搭乗できるはずだと知っていました。DM-1(Dragonカプセル)がISSにドッキングしたとき、私はISSにいたので実際に体験する機会がありました。(Drogaonの)船内を遊泳してタッチスクリーンのモニターなどのコントロールをチェックする機会がありました。テクノロジーが民間旅客機の機内なみに進歩したことに驚きました。

Dragonカプセルを軌道上で最初に操縦したのはDoug Hurley(ダグ・ハーリー)とBob Behnken(ボブ・ベンケン)の両宇宙飛行士だった。後に両氏は「(コントロール類が)まるきり違っている」と感想を述べている。実際、Dragonの主要なインターフェースはタッチスクリーンだった。マクレーン氏はソフトウェアがインターフェイスとなるにつれて、命を預けられる信頼性を確保するのが大事業となっていることを次のように強調した。

現在の宇宙船は大部分がソフトウェアでコントロールされており、インターフェイスはタッチスクリーンです。物理的なスイッチはあまりありません。リレーはほとんどソフト化されています。しかし、読者もよく知っていると思いますがソフトウェアの信頼性確保は難しく、非常に複雑なタスクとなります。システムを深く理解し、デザイナーが想定していない分野でさえシステムを使いこなせるようになりたいと考えています。

システムを深く理解し、デザイナーが想定していない分野でさえシステムを使いこなせるようになりたい

どんな場合に人間がシステムに介入する必要があり、どんな場合に自動化すべきなのか我々は常に注目しています。また自動化の場合、そのソフトウェアが有人宇宙飛行に十分な信頼性を備えていることをどのように知ることができるかという問題も重要です。ある時点で、「これこれの事態が発生したら人間がシステムに介入する」ということを決めておかねばなりません。ソフトウェアの信頼性テストの結果が出るのを10年間も漫然と待っているわけにはいきません。

マクレーン氏はパイロットとして当然意見を持っており、ハーリー、ベンケン両宇宙飛行士とともに早い段階からSpaceXと協力してきた。マクレーン氏は、宇宙船Orion宇宙船と宇宙船Starlinerが彼女のような専門家から同様の注目を受けたことを指摘している。

ボブ(・ベンケン)、ダグ(・ハーリー)と仕事をすることができて幸運でした。私はCrew Dragon宇宙船コックピットのコントロールについて非常に早い段階からSpaceXにアドバイスしてきました。

SpaceXのCrew Dragon宇宙船の歴史的成功を祝って拳を打ち合わせるボブ・ベンケン氏とダグ・ハーリー氏

会社の名前が宇宙船を作るわけではない。スペースシャトルやISS宇宙ステーションを作った人々は現在、宇宙ビジネス全体に広がっている

中でもシステムの柔軟性は最も重要だった。プログラムがわずかでも予期と違う動作をする場合、ツールが柔軟であり、人間の介入に対する制限とならないことが絶対に必要だ。

我々パイロットは 常に柔軟なオプションが欲しいと考えます。何か起きたときは対処のオプションが必要です。我々は地上でできるかぎりあらゆる状況を想定してシナリオを練り上げます。しかし現場では必ず予測されていない事態がおきる可能性があることを常に強く意識しています。そうなったら、オプションが必要です。システムを十分に理解し、設計者が直接想定していないような方法でもシステムを操作できるしたいと考えています。ソフトウェアが人間の選択肢を制限しないことが何より重要です。これが宇宙船のハードとソフトをまったく予想されていなかった方法で使用した(奇跡的に地球生還を果たした)アポロ13号のケースをNASAが重視している理由の1つです。

Jeffrey Bezos(ジェフ・ベゾス)氏のBlue Originのような新しい宇宙企業と仕事をするのはこれまでと違うのかと私が尋ねたところ、マクレーン氏は「違うのは名前だけです」と答えた。

Blue Originとロッキードによる月着陸船の予想画像(CG)

こうした企業と協力した経験は十分にあります。会社の名前が宇宙船を作るわけではありません。こうした会社にはこれまでに宇宙船を建造した人々が大勢います。スペースシャトルやISS宇宙ステーションを作った人々は現在、宇宙ビジネス全体に広がっています。これはまさにNASAが望んだことなのです。これが宇宙事業の核心となる人的資本です。もう1つ自信を持っていえるのは、NASAがこうした新しい宇宙企業と協力する方法です。NASAはテストと設計レビューを徹底的に行います。ですからロケットが発射台に乗ったときにはシステムが徹底的にチェックされていることに私は確信を持てます。

コミュニケーション・テクノロジーは乗員の精神の健全性を保つために不可欠。こうしたテクノロジーはいわば地球をまるごと宇宙船に持ち込む

つまりマクレーン氏によれば、新しい宇宙船には地上のノウハウと能力がすっかり搭載されており宇宙飛行士とともに宇宙に出るのだという。私は最後に、たとえばビデオチャットのような消費者向けテクノロジーの発達によって、宇宙で長期間過ごすことが楽になったかどうか尋ねた。マクレーン氏によれば答えはイエスだ。

まさにそのとおりです。ビデオチャットがなかったら、我々が陥っているパンデミックははるかに耐えがたいものになっていたでしょう。現在、大切な人と自由に会えずにいます。相手が地上にいても宇宙にいてもつ会えないのは同じです。たとえばビデオチャットで両親の顔を見て会話ができるのは本当にすばらしいこどです。これは士気高めるだけではありません。ミッションは6カ月、いや1年も続くかもしれません。その間コミュニケーションテクノロジーは乗員の精神の健全性を保つために不可欠です。こうしたテクノロジーはいわば地球をまるごと宇宙船に持ち込むのです。

マクレーン氏は アルテミス有人月面着陸ミッションに参加する18人の宇宙飛行士の1人に選ばれた。他の宇宙飛行士についてはこちらで知ることができる

関連記事:タッチで操縦する宇宙船Crew Dragon、僕らはまた一歩SF映画に近づいた

カテゴリー:宇宙
タグ:NASAアルテミス計画Crew DragonSpaceX

画像クレジット:NASA / Bill Ingalls

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

イーロン・マスク氏「SpaceXは発射台のアームでSuper Heavyブースターを回収する」

SpaceXはロケットブースターを回収、再利用するために現在と大幅に異なるアプローチを試みると創業者でCEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏は述べた。発射台のアームが打ち上げ前のロケットを支えて安定させている。マスク氏は開発中の大型ブースターをこのアームを利用してキャッチしようと考えている(Twitter投稿)。現在のFalcon 9ブースターはエンジンを逆噴射し、組み込みの脚を展開して着陸する。しかし極めて大きな次世代ロケットであるSuper Heavyでは脚を廃止するのが目標(Twitter投稿)だとマスク氏は述べた。

Super Heavyも減速のためにロケットを逆噴射するが、姿勢制御には本体上部に装備されているグリッドフィンを利用する。このフィンをブースターのキャッチに利用する。つまりブースターが着陸する寸前に発射台のアームをグリッドフィンに引っかけるわけだ。この方法では、非常に精密な姿勢制御が必要になる。Super Heavyから着陸脚を完全に省くことができればコストと重量の両方を大幅に節約できる。

マスク氏が指摘したもう1つの利点は、Super Heavyブースターがそのまま元の発射台に定置されることだ。ブースターの上段に新しいペイロードを搭載したStarship宇宙船をセットすれば「1時間以内(Twitter投稿)」に再飛行が可能になる(SpaceXは現在、Starship宇宙船の開発とテストを実施中)。

Starship宇宙船とSuper Heavyブースターの目標は、現在のFalcon 9(およびFalcon Heavy)と比べてさらに再利用を進めたシステムだ。Starshipをジェット旅客機のように定期的かつ頻繁に飛行させることをマスク氏は目標としている。地球上の2点間を結ぶ超高速飛行、地球軌道付近のミッション、月(や最終的には火星)への長距離ミッションなどだ。 火星に「維持可能な植民」を行うためにはこうした能力が必須となる。今回提案された新しい着陸方法はこうした目標を達成するためSuper Heavyで迅速な再飛行サイクルを確立するためのものだという。

Starshipのプロトタイプは現在、テキサス州ボカチカで建設およびテストされている。2019年、SpaceXはここでは試作宇宙船の飛行テストを繰り返してきた。同社はSuper Heavyブースターを開発中だが、マスク氏は同システムの各部分の飛行試験を数カ月以内に開始できるよう全力で取り組んでいると述べている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Skyrootがインド初の民間固体ロケット発射実験に成功

ロケット開発スタートアップのSkyrootは、Vikram-Iロケットの開発プログラムにおける重要なマイルストーンで2020年を締めくくった。同社はVikramの製造に使用されるのと同じ技術のデモンストレーションとして、固体ロケットのテスト発射に成功したのだ。インドの民間企業が固体ロケット全体を設計、製作、テストしたのは今回が初めてで、2020年初めに行われた上段ステージのプロトタイプのエンジン燃焼試験(未訳記事)に続くものだ。

Skyrootは、製造プロセスを完全に自動化した炭素複合材構造を使用して、固体ロケットを製作したと述べている。これにより、固体ロケットの推進剤を収納するために一般的に使用されるスチールに比べて、最大5倍の軽量化を実現できる。また、Vikram-Iの最終バージョンの製造にも同じプロセスを使用することを目標としている。Vikram-Iは可動部品がないため故障の可能性が低い比較的単純な固体ロケットの信頼性というメリットに加えて、コスト面でも大きなメリットを実現する。

最終的なVikram-1の第3段ロケットエンジンは、この実証機の4倍の大きさになる予定だ。またSkyrootは他にも4基のテスト用固体ロケットモータを製造中で、これらのモータは推力が調整でき、今後数年の間テストを続けていく予定だ。

Skyrootはインド宇宙研究機構(ISRO)の支援を受けており、Vikram-Iの最初の打ち上げを2021年12月までに実施することを目指している。同社はこれまでに430万ドル(約4億5000万円)を調達しており、現在は1500万ドル(約15億5000万円)の調達を2021年にむけて進めている。インドが2020年初めに民間によるロケット打ち上げ事業を開放したことにより、Skyrootはインドの民間企業としては初めてロケットを製造・運営することになる。

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

日本のHayabusa 2がRyuguから持ち帰った宇宙のサンプルを見よ

日本の二回目となる野心的小惑星持ち帰りミッション、Hayabusa 2は目的地である小惑星Ryugu(リュウグウ)から豊富なサンプルを収集した。天文学者を始めとする関心ある人々が早く観察したくてうずうずしていることは間違いない。一見したところ単なる木炭のかけらのようだが、それは間違いなく小惑星表面の物質であり、輝いてもいる。

Hayabusa 2は2014年に打ち上げられ、2018年、小惑星 Ryuguに到着したあと表面状態を検査するために2基の着陸船を送り出した。翌年、Hayabusa 2自身も着地し、表面の岩石だけでなくその下層の物質も採取するためにスペースガンで表面を爆破した。長い帰還の旅の後、Hayabusa 2はサンプルの入ったカプセルを地球に送り返し、12月5日にオーストラリアの砂漠で回収された。

すべては完璧に遂行されたが、本当に期待する標本を採取できたかどうか、本部の気密室でサンプルコンテナを開くまでチームは確信を持てなかった。内部の物質はいくつかのツイートで予告されていたが、日本時間12月25日、JAXA(Japan Aerospace Exploration Agency/宇宙航空研究開発機構)はサンプルの画像を公開し、新たな発見と説明を加えた。

まず、「サンプルキャッチャー」自身がRyuguの堆積物片を伴っていた。おそらく、この物質はコンテナ内部とは異なる環境に曝されていたため、分析すれば違いが明らかになるだろう。


また、サンプルコンテナ Cには「人工物」が入っているように見える! しかし喜んではいけない、「起源は調査中であるが、サンプル採取のための弾丸打ち出し機構に起因するアルミニウムが混入した可能性がある」とJAXAは言っている。
言い換えれば、おそらくそれは小惑星に弾丸を放って破壊するというあまり優しくないプロセスの際に脱落した探査機の一片だろうということだ。

しかし何よりも重要なのは、予定通り採取された岩石だ。スケールバーからわかるように、大きさは小石ほどだが、この形状と組成につながったあらゆる種類のプロセスの証拠を突き止めるのに十分な大きさだ。さらに、表面の下層から得た微細な土壌や粉末がたくさんあり、科学者らは有機物質と水というわれわれの知る生命の構成物質の兆候があることを期待している。

ミッションの成功は称賛に値する。そしてチームはRyuguから持ち帰った物質の研究をまだ初めたばかりだ。われわれは、JAXAがこの非常に貴重なサンプルを綿密に分析し、新たな情報を公開するのを待つばかりだ。Hayabusa 2 Twitterアカウントは、日々最新情報を知る最良の情報源だろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

イーロン・マスク氏が2021年Starship開発テストを倍増すると発言、深宇宙探査用ブースター初飛行は「数カ月後」

SpaceX(スペースX)は2021年に向けて、Starshipの開発プログラムを大幅に強化する予定だ。同社のCEOであり創設者でもあるElon Musk(イーロン・マスク)氏は米国時間12月24日、同社がテキサス州ボカチカにある開発施設の2つの発射台を利用してプロトタイプロケットを打ち上げ、Super Heavyの飛行テスト(低高度の「ホップ飛行」から始まる)を「数カ月後」に開始する予定だとツイートした。

スペースXは最近、メキシコ湾にあるテキサス州のテスト施設のPad Bに、Starship(シリーズの9番目)のプロトタイプことSN 9を設置した。SN 9はその前身であるSN 8が高度約4万フィート(約12.19km)までの飛行に成功し、量産バージョンの動力着陸に利用される重要なベリーフロップマニューバを実行した後に、より積極的なテストを実施する予定だ。SN 8は予想以上に強く接地し壊れてしまったが、スペースXによれば飛行中のすべてのテスト目標が達成されたという。

SN 9は今後、地上試験を受けた後に独自の飛行試験を行う予定だ。これによりチームはさらなるテストを行うための貴重なデータを得ることができ、最終的にはプロトタイプを軌道に乗せることを目指している。マスク氏のツイートによると、ボカチカの発射台となるPad AとPad Bの両方で2つのプロトタイプが並んで設置され、スペースXのロケット製造のスピードに合わせて打ち上げペースが加速する可能性があるという。

一方、Super Heavyがまもなくテストを開始するかもしれないというニュースは、2021年のスペースXとStarshipにとって楽しみなものだ。Super Heavyは同社が宇宙船を軌道に乗せて打ち上げ、最終的には火星を含む深宇宙探査への打ち上げに利用するためのブースターだ。Super Heavyは高さが約240フィート(約73.15メートル)で、28基のRaptorエンジンを搭載し、貨物を積んだStarshipを地球の重力から離脱させるのに必要な推進力を提供する。

関連記事:SpaceXのプロトタイプロケットが着陸時に大爆発、しかし飛行テストは成功

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

Voyager Space Holdingsが商用宇宙機器大手Nanoracksの過半数の株式を取得、宇宙サービスのポートフォリオ構築を進める

Voyager Space Holdingsは、Nanoracks(ナノラックス)の親会社であるX.O. Marketsの過半数の株式を取得し、戦略的な宇宙サービスのポートフォリオを構築し続けている。Nanoracksは長年にわたり商業宇宙サービスを提供しており、最近では国際宇宙ステーションに設置されたBishop Airlockを提供した。同装置は国際宇宙ステーション(ISS)に設置された初の商業用常設エアロックで、民間の小型衛星や研究用の軌道プラットフォームへのアクセスを提供するという点で、大幅な能力向上が期待される。

Voyagerによる大型買収は2020年で3度目で、以前には打ち上げを支援するサービスとハードウェアを提供し、Relativity、Firefly Aerospace、Virgin Orbit(ヴァージン・オービット)などと提携しているLaunch Companyの株式の過半数を取得している。Voyagerは2020年に推進、燃料、ラピッドラピッドプロトタイピングなどに取り組む研究開発会社であるPioneer Astronautics(未訳記事)を、そして2019年にAltius Space Machinesをそれぞれ買収している。Altiusは、軌道上の衛星サービス技術に取り組んでいるスタートアップだ。

Nanoracksは、軌道上の研究やプラットフォームからの小型衛星の打ち上げ、他の軌道上および深宇宙ミッションなど1000以上のISSプロジェクトに携わってきたことから、今回の買収はおそらく同社にとって最も注目度の高いものとなるだろう。NanoracksはISSの外部に商業宇宙試験プラットフォームを作り、2021年のSpaceX(スペースX)ミッションでは、ロケットの使用済み上段ステージを軌道上の商用小型宇宙ステーションに変換する技術を実証する予定だ。

Voyager Space Holdingsは戦略的に新しい宇宙関連企業の買収を続けており、個別の企業を合わせたよりもはるかに多くの 「フルサービス」 ソリューションを顧客に提供できるポートフォリオを構築している。これらの契約の商業的な詳細は共有されていないが、専門的な方法で大規模な商業宇宙事業に取り組んでいる小規模な企業にとって、解決策への1つの道を示すことが多くなっている。

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

ケネディ宇宙センターに商業打ち上げ客の利用を想定した新たな発射施設が完成

NASAは、フロリダにあるケネディ宇宙センターの新しい発射施設であるLaunch Complex 48(LC-48)の建設を完了した。この発射施設はSpaceX(スペースX)、SLS(スペース・ローンチ・システム)、ULAの打ち上げを実施しているLC-39A、B、またはSLC-41よりも小型のロケットで利用できる。また複数の事業者が利用できるように設計されており、恒久的な構造物がないため、使用する事業者に応じて柔軟な構成が可能だ。

KSCでシニアプロジェクトマネージャーを務めるKeith Britton(キース・ブリットン)氏がNASASpaceflight.comに語ったところによると、LC-48の目的は「非常に早いサイクルかつ低コストでの新しい打上げシステムへのニーズを満たす」ことにあるという。これは現在終了しているDARPAのコンペティションを想定し、小型ロケットを設計したAstraなどの企業によって開発およびテストされているモデルのいくつかと、非常によく似ている。

Virgin Orbit(ヴァージン・オービット)のような企業は、特殊な打ち上げ施設を不要とすることで、応答性と可搬性のある打ち上げ能力を実現することを目指しているが、垂直離陸の必要性を回避するという観点では、小規模な打ち上げのスタートアップとしては少数派だ。Astra、Firefly、Orbexそして新たに復活したVector Launchを含む多くの企業は、柔軟性と移動性を追加し現場で必要とされる人とインフラをスケールダウンできる小型ロケットに焦点を当てている。

LC-48では、まだ実際の打ち上げは予約されてない。NASAは多くの企業と協議中で、正式な顧客は獲得していない。しかし早ければ2021年には、新しい打ち上げ施設からいくつかのミッションが行われる可能性があると予想している。

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

日本の宇宙開発スタートアップAstroscaleがスペースデブリ除去実証衛星を2021年3月のミッションに向け輸送

日本の宇宙開発スタートアップであるAstroscale(アストロスケール)は、カザフスタンのバイコヌール宇宙基地にELSA-d宇宙船を輸送し、2021年3月の打ち上げ(未訳記事)に向けてソユーズロケットに搭載する予定だ。このミッションはアストロスケールにとって特に重要なものであり、同社が提案している宇宙持続可能性サービス事業の基礎となるスペースデブリの除去技術を、初めて宇宙空間で実証することになる。

アストロスケールによるELSA-dは、軌道上のスペースデブリ除去に関する同社のビジョンを可能にする2つの主要な技術を実証する小型衛星ミッションだ。1つ目はGPSやレーザー測位技術を含む測位センサーを使用し、スペースデブリの位置を特定してドッキングするというものとなる。今回はいわゆる「捕獲機(サービサー)」衛星が、デブリの代わりになる同時に打ち上げられた「ターゲット」衛星を見つけて接続する。

アストロスケールはミッションの最中に何度も「サービサー」による「ターゲット」とのドッキングとリリースを行い、宇宙空間を漂う物体を識別して捕捉し、制御軌道へと離脱する技術を示そうと考えている。これにより、同社のビジネスモデルにおける技術の実現可能性を証明し、将来の商業運用に向けての準備することになる。

アストロスケールは2020年10月に5100万ドル(約52億8000万円)を調達したと発表しており、これまでの調達額は1億9100万ドル(約197億8000万円)となっている。また6月にはEffective Space SolutionsのスタッフとIPを取得(未訳記事)しており、ELSA-d宇宙船が実証するLEO事業に加えて、静止衛星サービス部門を構築するために使用する予定だ。

関連記事:Astroscaleが約54億円を調達、静止衛星長寿命化や軌道上デブリ除去など業務を多様化

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

民間による商用有人宇宙活動は思いのほか早く実現する

「宇宙で働く」という話を聞いたとき、SFの話をしているのだと感じたとしても無理はない。だが、地球の大気圏外で実際に働く人の数は、また人生の多くの時間を宇宙で過ごす人の数も、加速度的な割合で増え始めている。今はまだ人数がとても少ないので増加速度はゆっくりに感じられるが、間もなく目に見えてくるはずだ。人数を急速に増やすための計画も準備が整っている。

近々、これを中心的に牽引することになる企業は、宇宙ステーションでの民間向けサービスを提供し、ゆくゆくはステーションの運営も行おうというAxiom Space(アクシオム・スペース)だ。Axiomは、国際宇宙ステーション(ISS)での経験や専門知識を持つ人たちによって設立され、経営されている。同社はすでに、民間クライアントのためにISS上でNASAの宇宙飛行士の手を借りた研究開発ミッションを実施している。2021年からは、民間宇宙飛行士のISSへの送り迎え全般を取り仕切る計画を立てており、新しい商用宇宙ステーションの建造計画もある。これは、いずれISSが引退した後に、その役割を引き継ぐことになっている。

Axiomの最高ビジネス責任者Amir Blachman(アミア・ブラックマン)氏は、先週開催されたTC Sessions:Spaceのパネルディスカッションに登壇した。このディスカッションには、他にもNASAの探査およびミッション計画責任者のNujoud Merancy(ニュジャウド・メランシー)氏、Sierra Nevada Corporation(シエラネバダ・コーポレーション)上級副社長であり元宇宙飛行士のJanet Kavandi(ジャネット・カバンディ)氏、Space Exploration Architecture(スペース・エクスプロレーション・アーキテクチャー、SEArch+)共同創設者Melodie Yashar(メロディー・ヤシャー)氏も登場した。ここでは、公共と民間の団体が、地球の外で、または遠く離れて、過ごす時間が長くなる(比較的近い)将来の準備がどれだけ進んでいるかが集中的に議論された。

「今です。もう数年前から今です」とブラックマン氏は、実際に宇宙で暮らす人の数がNASAの宇宙飛行士を超えるのはいつかという質問に答えた。「Axiomは、独自のミッションでISSにクルーを送り込みます。同時に新しい商用宇宙ステーションを建造し、ISSが引退した後にその役割を引き継ぐ予定です。私たちの最初の有人ミッションは、今から12カ月後に予定している4人の宇宙飛行士の打ち上げです。この4人はすでに身体検査を行い、宇宙服の採寸を済ませています。またすでに、打ち上げを行う企業との医療とトレーニングのチームを統合を行いました。この4人は2021年に、別のクルーを2022年に、2023年に2人、2024年には4人を打ち上げ、その後は数を増やしていきます」。

バックマン氏とメランシー氏は、Axiomの将来の商用ステーションにも、NASAの将来の月面基地や月の軌道を巡り月ミッションの足場となるルナゲートウェイにも、自動化とロボットシステムが重要になると話していた。

「ISSは、人が常駐することを基本としています」とメランシー氏。「無人ステーションになることは想定していません。地上の管制官たちが実際にたくさんのオペレーションを行っていますが、ステーションの維持管理は人間が行う仕組みになっています。月の構造物やゲートウェイを計画する際には、そのような贅沢はいえません。ゲートウェイは、人がいるときだけ稼働します。月面基地に人が滞在するのも、次第に長くなりますが、最初は1週間程度です。しかしながら、人がいない間も、有用な科学調査や有用な探索が行える状態を維持しておかなければなりません。そこで、テレロボティクスや地上からのコマンドによる維持管理能力を持たせ、クルーが到着したときに、ハッチを開けて中に入ればすぐに仕事にかかれる環境になっているというのが理想です」。

「火星での、またそれ以前に月面での、そうした住居や重要インフラの建設においては、できる限り自立的に行うべきであり、またそのように考えで進めるべきだという想定の下で、私たちは作業を進めてきました」とヤシャー氏は続けた。「そのため私たちは基本的に、人を送り込む前の予備的ミッションの段階から、建設、材料、採掘、原料加工に至るほぼすべてのシステムと、私たちが目指している他のすべてのシステムが、多かれ少なかれ、できる限り自律的に行われることを期待してデザインしています」。

カバンディ氏も、現代の有人宇宙システムには大幅な自動化を導入すべきという点で、他のパネリストの考えに共鳴していた。それによって複雑性が増さないかとの私の質問に、彼女はむしろ反対の結果をもたらすと答えた。皮肉なようだが、宇宙の有人活動への道を拓くには、人の手をできるだけ減らすことが重要になるということだ。宇宙のインフラの運用と管理においてはなおさらだ。

「技術の進歩は、物事をより単純化する場合もあります」とカバンディ氏。「長年かけて私たちが能力を高めてきた過程で、たとえばコンピューターは、どんどん難しくなるのではなく、より簡単に使えるようになりました。目標は、クルーの拘束時間やクルーの維持管理の手間を削減して、どのようなミッションにおいても、研究やその他宇宙で本来行うべき仕事に専念できるようにすることです。インターフェイスを単純化するほど、自動化率は高まります。クルーは何か問題が起きたときだけ介入すればよくなります。しかし通常は物事が滞りなく進行し、クルーは何もしないで済むというのが理想のかたちです。そうなれば、本来宇宙で行うべき仕事に集中できる自由な時間が増えるのです」。

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画像クレジット:Axiom Space

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(翻訳:金井哲夫)

ロケット打ち上げスタートアップAstraのロケットが宇宙へ

ロケット打ち上げスタートアップAstra(アストラ)は、周回軌道に実際に達したエリート企業の一員となった。これは予想よりも随分速い達成だ。同社のRocket 3.2テストロケット(そう、「ロケット」と呼ばれるロケットなのだ)は、今日のアラスカ州コディアックからの打ち上げで、カーマンラインを超えた。カーマンラインとは地球の大気圏と宇宙空間の境界とされる海抜高度100キロメートル(62マイル)地点である。

今回は、Astraの軌道飛行テストシリーズの第2回目となる。同社は9月にRocket 3.1テスト機を打ち上げている。同社の定義によるとその飛行で大量のデータが得られたため、テストは成功とされているが、ロケットは宇宙に達することも軌道に乗ることもなかった。Astraによれば、Rocket 3.1も3.2も、3回に及ぶ打ち上げ計画の一環であり、3回目の試みが終わるまでには、軌道高度に達する予定という。

Astraは、カリフォルニア州イーストベイでロケットを作っている小型衛星打ち上げスタートアップだ。同社の工場は、最終的にはランチャーを大量生産できるように設計されている。同社のモデルはSpaceX(スペースX)やRocket Lab(ロケットラボ)のような既存オプションよりも小さな機体を使用しているが、比較的安価に反応性が高く短いターンアラウンドの打ち上げサービスを提供することを目標としている。宇宙行きのリムジンではなく、バスといったところだろうか。同社はVirgin Orbit(バージンオービット)のような企業とより直接的な競合関係にある。ちなみにVirgin Orbitはまだ打ち上げロケットで宇宙には行っていない

AstraのRocket 3.2第2段から見た宇宙

 

これはAstraのロケットプログラムにとって非常に大きな勝利でありマイルストーンだ。問題のあった9月の打ち上げ(同社ではオンボードガイダンスシステムの問題と結論付けている)から比較的短い期間で立て直しを実現させたのだから尚更だ。3か月以内に問題を修正し、精力的に打ち上げを成功させたことは、技術的に大変に素晴らしい功績だ。これは平常時でも目覚ましいことであるのに、同社においては新型コロナという課題に直面しているなかでの達成である。

同社はここまでの達成を予想していなかったという。同社は開発プログラムで軌道飛行に達するまでの7段階を定義していたが、今日は第1にカウントとリフトオフ、第2にマックスQ(地球の大気圏内での飛行で ロケットの動圧が最大に達するポイント)に達すること、そして第3に第1段の主エンジンの分離を達成することを予想していた。今日の打ち上げが成功と判断されるのはここまでであったのだが、CEO兼創業者のChris Kemp(クリス・ケンプ)氏は打ち上げ後の電話で「ロケットはそのまま飛行し続けた」と語っていた。

Rocket 3.2は分離に成功し、第2段はカーマンラインを超えて大気圏外へ到達した。その後もさらに進み上段点火を達成したが、その6分後に上段エンジンが停止した。その後もロケットは目標軌道高度の390キロメートルに達した。だが速度は毎時7.2キロメートルで、起動速度に必要な7.68キロメートルにわずか0.5キロメートル足りなかった。

Astraは、この段階での推進剤の配合は宇宙での現場テストでしか見極めることができないと強調。残りの速度を達成するには、上段推進剤の混合比を調整するだけだと言及している。ケンプ氏は今後数か月以内でこれを実現させ、来年初めにはペイロードの再実験を開始できると自信を見せている。これにはハードウェアやソフトウェアの変更は不要で、変数を微調整するだけとのことだ。

画像クレジット:Astra担当John Kraus

 

ケンプ氏は、コスト削減のために膨大な量のオートメーションを採用することに焦点を当てた同社のアプローチが今回の成功の鍵だと付け加えている。

「私たちはまだ創業してから約4年の企業で、チームにはわずか100人程度しかいません」とケンプ氏。「このチームは、成功までの道のりで数多くの課題を克服してきました。コディアックに向かう際に、新型コロナに感染して隔離に入ったメンバーがいました。このためにチーム全員が隔離となり、代わりにバックアップチームがコディアックに向かいました」。これが実現できたのは、打ち上げチームがたった5名で構成されていたためだ。

「当社ではたった5人のチームで打ち上げサイト全体とロケットを準備し、ものの数日で打ち上げが可能です」とケンプ氏は言う。チームは文字通りたった5名で、ロケットの荷降ろしから組立まで、現場でのすべての作業がこの5人で行われる。残りはカリフォルニア州のミッションコントロールからクラウドを通してリモートで実施されるという。

ペイロードを搭載した最終軌道試験飛行を目前に、同社は現在カリフォルニア州に位置する同社工場にてRocket 3.3の調整を行っている。その後は設計と技術の急進的な進化を通じてコストを削減し、パフォーマンスを向上させることに重点を置いて、打ち上げたRocketの各バージョンを繰り返し適用し続けていく予定だ。

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(翻訳:Dragonfly)