Airbnbがロシアとベラルーシでの全業務を停止

Airbnb(エアビーアンドビー)は、ロシアとベラルーシにおけるすべての事業を停止すると、同社のCEO兼共同創業者のBrian Chesky(ブライアン・チェスキー)氏がTwitter(ツイッター)で発表した。ロシアがウクライナに侵攻する中、多くの企業がロシアでの事業を撤退する中、Airbnbの決断は行われた。

Airbnbの広報担当者は電子メールでTechCrunchに語った。「この決定は追って通知があるまで、両国でカレンダーが新しい予約を受け入れるのをブロックすることを意味します。また、ベラルーシとロシアのユーザーがゲストとして新しい予約をすることも制限します」。

Airbnbは、ここ数日でロシアでの事業を撤退した企業のリストに加わる。Apple(アップル)はロシアでの製品販売を停止したと発表した。Appleはまた、App StoreからSputnik(スプートニク)とRT (旧ロシア・トゥデイ)を引き上げ、同国でのApple Payサービスの一部を無効にした。さらに、The New York Timesの報道によると、Google(グーグル)はロシアでの広告を停止した。同社もAppleに続き、RTとSputnikのアプリをモバイルアプリストアから削除した

Airbnbの発表は、同社がウクライナから逃れてきた最大10万人の難民に無料で一時的な住居を提供すると発表した数日後に行われた。同社は、Airbnbのホストからの援助と、危機的状況にある人々に緊急住宅を提供するAirbnb.orgへの寄付によって、宿泊費をまかなう予定だ。

「この目標を達成するためには、助けが必要です」と、チェスキー氏は米国時間2月28日にツイートしている。「最も必要なのはポーランド、ドイツ、ハンガリー、ルーマニアなどの近隣諸国で家を提供できる人を増やすことです」。

チェスキー氏はまた、世界中の一部の人々が、ウクライナのホストに経済的支援を送るために、宿泊するつもりがなくても、Airbnbを予約していると述べている。

Airbnbは過去数年にわたり、困っている人たちに無料で住居を提供してきた経緯があり、今回の無料提供の動きはその一環だ。2021年9月には、8月に発表した当初の目標である2万人の倍となる4万人のアフガン難民に住居を提供する予定であると発表している。Airbnbによると、先週時点で2万1300人のアフガニスタン難民に住居を提供し、さらにアフガニスタン、アフリカ、中東、中南米などの難民2万人に住居を提供することを新たな目標に掲げている。ウクライナから逃れてきた最大10万人の難民に住宅を提供する計画は、この幅広い取り組みの一部だ。

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2017年、同社はDonald Trump(ドナルド・トランプ)前大統領の難民を制限する大統領令の影響を受けた難民、学生、グリーンカード保持者に無料で住居を提供した。最近では、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックの中、Airbnbは10万人の医療従事者に無料または補助金付きの住居を提供した。

同社によると、過去5年間で、AirbnbとAirbnb.orgはシリア、ベネズエラ、アフガニスタンからの難民を含む5万4000人以上に仮住まいを提供してきたという。

画像クレジット:Thomas Trutschel / Photothek / Getty Images

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(文:Aisha Malik、翻訳:Yuta Kaminishi)

Airbnbはホスト保護を強化し、新型保険など多様な新機能を追加

Airbnb(エアビーアンドビー)のCEOであるBrian Chesky(ブライアン・チェスキー)氏は、Twitter(ツイッター)で同社のデータから見えてきたことを伝えた。大まかな内容は、パンデミックの影響で仕事に柔軟性が出てきたことで、より多くの人が平日に旅行をしたり、さらには数カ月間旅行をしたりして、効果的にAirbnbで生活しているというものだった。

このような行動の変化に対応するため、Airbnbは米国時間11月9日、プラットフォームに多様な新機能をリリースする。

その内容を詳しくみてみよう。

旅行への新たな関心とともに、どこでもいいから長期間旅行したり住んだりしたいと思うようになったことの、おそらく最大の課題の1つは、供給が需要を満たさなければならないことだ。Airbnbは、カスタマーの需要の変化に対応できるだけの十分な数のホストを確保したいと考え、ホストの体験をより良いものにするための投資を行っている。ホストの保護を強化するために、AirbnbはAirCover(エアカバー)を導入する。

AirCoverは、家の上から下までをカバーするもので、現在、プラットフォーム上のすべてのホストに無料で提供されている。最大で100万ドル(約1億1290万円)の損害補償と100万ドル(約1億1290万円)の賠償責任補償がついている。また、所得損失保護、ペット損害保護、ディープクリーニング保護も含まれている。

この補償商品は、14日間の申請窓口を設けており、請求を行ったホストにはより迅速な払い戻しを約束し、スーパーホストにはさらに迅速な対応を行う。

Airbnbのホストプロテクションプランは、以前から、損害保護と賠償責任の両方で最大100万ドル(約1億1290万円)の補償を提供してきたが、その補償内容には多くのギャップがあった。例えば、プラットフォームを休む必要があるスーパーホストや、修理のために予約をキャンセルしたりする場合の収入減は補償されなかった。また、ペットによる損害も補償の対象外だった。

ペットによる損害の補償は、ホストにとってもゲストにとっても大きな変化になるだろう。パンデミックの影響で、多くの人々が毛で覆われた友人を手に入れ、今度はその人々が旅行をしたいと思うようになった。しかし、ホストは、ペットの持ち込みにはあまり積極的ではなく、需要と供給の間に大きなギャップが生じている。

ペットの損害補償は、自然とそのバランスが調整するはずだ。

AirCoverは、家の構造はカバーするが家の中の物はカバーしないというホストプロテクションを超えて、非常に大きな意味を持っている。AirCoverは、美術品、通貨、自動車、ボートやジェット機などの乗り物、武器、セキュリティカメラ、貴金属や宝石などのいくつかの除外項目を除き、家の中のほとんどの品物をカバーする。これらの除外項目があっても、家具の損傷や物品の盗難などをカバーしていなかったオリジナルの保険からは、大きな進歩が見られる。

除外項目の詳細はここで確認できる。

細かい詳細について言えば、AirbnbのAirCoverは、ほとんどの地域でZurich Insurance plc(チューリッヒ保険)が発行する保険で提供されている。Airbnbによると、規制により現地で発行された保険が必要な一部の地域では、Zurich Insurance plcのパートナー企業が補償を提供する場合がある。

画像クレジット:Airbnb

AirCoverに加えて、AirbnbはTranslation Engine(翻訳エンジン)を導入する。このエンジンは60以上の言語に対応しており、物件の説明やレビューをユーザーの選択した言語に自動的に翻訳することで「クリックして翻訳」ボタンを削除する。Translation Engineは、クリックして翻訳する必要性をなくすだけでなく、実際により良い翻訳をするとのことだ。

画像クレジット:Airbnb

Accessibility Review(アクセシビリティ・レビュー)とVerified Wifi(ヴェリファイドWiFi)は、正確さを追求した2つの新機能だ。リスティングでは、アクセシビリティの要件を満たしているや、超高速Wi-Fiを完備しているなどと書かれていても、実際には期待を裏切られることがよくある。

Accessibility Reviewでは、ホストがアクセシビリティ機能の写真を提出すると、実際の人間のチームが手動で審査する。このチームはこれまでに、世界中の2万5000軒の住宅で10万件のアクセシビリティ機能をレビューし、その正確性を確認してきた。

Verified Wifiでは、ホストがAirbnb自身から物件の接続をテストし、その速度を検証することができるため、そこで遊ぶだけでなく、仕事をするために訪れるゲストは、その接続を信頼することができる。

これらの新機能は、Airbnbが今回発表する最大のもののうちのいくつかだが、Airbnbはまた、非常に人気のあった製品をさらに強化している。

例えば「I’m Flexible(柔軟な検索)」は、2021年2月に公開されて以来、5億回以上も利用されている。柔軟な検索は、ゲストが行きたい場所や旅行の日程、さらには滞在したい住居のタイプなどを柔軟に選択することができる。

この柔軟な検索コンセプトに人々が惹かれたため、Airbnbは日付の範囲を拡大し、6カ月から12カ月先までの柔軟な検索を使用できるようになった。また、同社は「人里離れた暮らし」「スキーイン・スキーアウト」「Luxe」「風変わりな家」など、4つの独特なカテゴリーも追加した。

サービスの細かな調整に関しては、AirbnbはMy Tripsタブのデザインを一新し、予約のカウントダウンタイマー、チェックインの詳細、今後の予約リスト、パーソナライズされた経験の提案など、必要な情報を一か所にまとめた。

数時間後にチェスキー氏と話す機会があり、今回のニュースや、彼が見ている旅行分野のトレンドに基づいた会社の長期的なビジョンについて話を伺う予定だ。

画像クレジット:Phillip Faraone / Stringer / Getty Images

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(文:Jordan Crook、翻訳:Yuta Kaminishi)

Airbnb登録ホスト以外の人もアフガン難民に宿泊を提供できるように

Airbnb(エアビーアンドビー)は現地時間8月26日、貸し出せるスペースを持っている人なら誰でもアフガニスタン難民への宿泊提供を登録できるようにすると発表した。この取り組みは、アフガン難民2万人に一時的な住まいを無料で提供するという同社の最初の発表に続くものだ。

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既存のAirbnbホスト、そしてその他の人も専用の緊急宿泊提供ウェブサイトを通じて登録し、無料あるいは割引価格で宿泊をアフガン難民に提供できる、と同社は話す。難民の宿泊に関する手数料はすべて免除される、とも説明している。住まいを提供することはできなくても何かしらサポートしたいという人はアフガン難民の住まいをサポートするために寄付することができる、と同社は語る。

同社は8月24日にアフガン難民2万人に宿泊を提供するという最初の約束を発表し、同社の非営利組織Airbnb.orgへの寄付による基金、同部門が設立した難民基金、同社CEOであるBrian Chesky(ブライアン・チェスキー)氏の個人的な寄付などを使って宿泊にかかる費用をすべて負担すると述べた。

「発表以来、アフガン難民に宿泊を提供するというAirbnbとAirbnb.orgの取り組みをサポートする方法を模索しているAirbnbコミュニティ内外の人たちから多大な関心が寄せられました。その多くが、自身が所有する住まいを無料で提供したいという申し出です」と同社は声明文で述べた。「反応は我々の予想をはるかに上回り、アフガニスタンから逃れてくる人々のために、一時的な緊急宿泊に対する前代未聞のニーズに対応する取り組みの拡大をどうやってサポートできるのか、さらに詳細な情報を共有します」。

Airbnb.orgとAirbnbはまた、連邦政府ならびに必要に応じて宿泊を提供するために難民を受け入れることに関心を示した州や市も支援する。

同社の宿泊提供の取り組みは、何万もの人々がアフガンから逃れようとしている中でのものだ。危機の真っ只中にあり、企業や政府はアフガンを脱出する難民の支援という増大しつつあるプレッシャーに直面している。国連難民高等弁務官事務所によると、現在250万人近くが難民として登録されている。

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画像クレジット:NurPhoto / Getty Images

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(文:Aisha Malik、翻訳:Nariko Mizoguchi

Airbnbに触発されテレヘルスのHims & Hersはアフガン避難民に1万回の無料医療訪問を提供

米国時間8月26日、Hims & Hersの共同創業者でCEOのAndrew Dudum(アンドリュー・デュダム)氏は、同社が故国を脱出したアフガン難民のために1万回のプライマリーケアとメンタルヘルスのための診察を提供すると発表した。

2017年にサンフランシスコで創業したHims & Hersは、消費者と医師などの専門家を結びつける複数科目のテレヘルスプラットフォームを構築した。

デュダム氏はブログで、Hims & Hersは「緊急に対応すべき道徳的責任を感じた」と述べている。

「現在、世界中の目と心が当然ならアフガニスタンとその大量の避難民に注がれている。これらの人たちが求めているのは、人間として最低限の要求だ」とデュダム氏はいう。

デュダム氏によると、Hims & Hersは、厳選されたNGOや非営利団体、翻訳者やプラットフォーム上のプロバイダーなどの関連パートナーと協力して、「難民がこれらのサービスを認識し、必要な緊急支援を受けられるようにする」ことを計画している。難民の人たちには、すぐに診察を受けることができるようにする。

医療費はHims & Hersが負担するが、医師などの専門家からの、サービスの無償提供にも期待しているとCEOは述べている。

デュダム氏はTwitter上で、AirbnbのCEOであるBrian Chesky(ブライアン・チェスキー)氏による、アフガニスタンでタリバンが権力を握ろうとしている間、世界中で生まれるアフガン難民の内およそ2万名に仮住居を提供する計画についての最近の発表がヒントになったという。

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画像クレジット:Twitter

同社がこの計画を展開しようとしている間、何万人もの人びとがアフガニスタンを脱出しようとしている。そして各国の企業や政府はこの危機の中、国を逃れてきた難民の支援という圧力の高まりを感じている。国連難民高等弁務官によると、アフガニスタンからの登録難民は現在250万近くになる。2021年8月半ば以来、首都カブールから同国を脱出した人たちは今週初めの時点でおよそ5万8700名にのぼる。

WhileHims & Hersは現在、テレヘルスのプラットフォームに成長したが、今でもそのルーツであるミレニアル世代のための性のウェルネスといった健康サービスは続けている。同社はブランクチェック企業Oaktree Acquisition Corpとの逆(さか)さ合弁を完了し、1月にニューヨーク証券取引所に上場している

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画像クレジット:Hims & Hers

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Airbnbがアフガン難民2万人に仮住まいを提供へ、費用を全額負担

Airbnb(エアビーアンドビー)のCEOであるBrian Chesky(ブライアン・チェスキー)氏は米国8月24日、アフガニスタンでタリバンが権力を握りつつあるなか、世界中で最大2万人のアフガニスタン難民に仮住まいを提供する計画だと述べた。

チェスキー氏は、非営利団体Airbnb.orgへの寄付金と同部門が設立した特定の難民基金からの資金、そしてチェスキー氏の個人的な寄付を使ってAirbnbが住まい提供の費用をカバーする、と話している。Airbnbはまた、危機に直面している人々に緊急用の住宅を提供するのに、Airbnb.orgを通じて非政府組織(NGO)とも協力する。

「米国やその他の国へのアフガン難民の避難と再定住は、現代における最大の人道危機の1つです。我々はさらに取り組む責任があります」とチェスキー氏はツイートしている

続くツイートでは、住まいを進んで提供するAirbnbホストは間もなく、アフガンを逃れてくる難民家族を受け入れるための登録ができるようになる、と説明した。同社はこの取り組みをホストや幅広いコミュニティがどのようにサポートできるのか、詳細を共有する計画だ。同社の取り組みが他のビジネスリーダーたちに同様の動きを促すことを期待している、ともチェスキー氏は述べた。

Airbnbはすでに、パートナーと協業して先週末米国にたどり着いた難民165人を安全な住宅に案内した、と明らかにした。同社は取り組みの促進と必要に応じたサポート提供で再定住機関と協業する。

同社の取り組みは、何万もの人がアフガンから逃れようとしている中でのものだ。危機の真っ只中にあって、企業や政府は同国から逃れる難民を支援するというますます高まっている圧力に直面している。国連難民高等弁務官事務所によると、現在250万人近くが難民として登録されている。8月15日以降、各国はアフガンの首都カブールから約5万8700人を避難させた

「何万ものアフガン難民が世界中で再定住し、滞在する場所が新しい生活の第1章になります。2万人の難民が休んで生活を再始動させる安全な場所をAirbnbコミュニティが提供するだけでなく、難民を暖かく迎えることが私の願いです」とチェスキー氏は声明で述べた。

Airbnbがここ数年、困っている人々に無料で宿泊を提供してきたことは記すに値する。2017年に同社は行き場のない難民、学生、そして前Donald Trump(ドナルド・トランプ)大統領の難民を制限する大統領令の影響を受けたグリーンカード保持者に無料で宿泊を提供した。直近では、新型コロナウイルス感染症パンデミックの最中にヘルスケアワーカー10万人に無料あるいは割引価格で宿泊を提供した。過去4年で難民約2万5000人を仮住まいを提供した、と同社は話している。

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画像クレジット:Thomas Trutschel/Photothek / Getty Images

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(文:Aisha Malik、翻訳:Nariko Mizoguchi

AirbnbとDoorDashの株価が決算発表後に下落、新型コロナの実体経済への影響が重しに

民泊大手のAirbnbとオンデマンド配達のDoorDashが米国8月12日の取引開始直後に四半期決算を発表した。

両社とも新型コロナウイルス感染症のかなりの影響を受けた。Airbnbの2020年の売上高は初期のロックダウンで崩壊し、同社はかなりの資金を調達して難局に備えることになった。その後復活し、同社は新規上場を果たした。

それとは対照的にDoorDashは、人々が家に閉じこもり、配達を利用したために2020年の業績は目を見張るものだった。ちょうど2社の四半期決算が同じ日に発表されたので、新型コロナが業績にどのよな影響を及ぼしたのか分析してみよう。

Airbnbの第2四半期

Airbnbの第2四半期の売上高は13億ドル(約1425億円)で、前年同期の3億3500万ドル(約370億円)、2019年同期の12億1000万ドル(約1325億円)を上回った。成長率をみると、前年同期から299%、2019年同期からは10%の成長となった。

アナリストは2021年第2四半期の売上高を12億3000万ドル(約1350億円)と予想していた。

2021年第2四半期の損益では、諸経費を含めて6800万ドル(約75億円)の損失を計上した。かなり修正されている利益、調整後EBITDAは2億1700万ドル(約240億円)、営業利益は7億9100万ドル(約870億円)だった。今後の展望として、Airbnbは収益見通しについて次のように述べた。

2021年第3四半期の売上高は過去最高のものになり、調整後EBITDAと粗利益も最多となると予想しています。

調整後利益を増やして純損失を抑制し、巨額の現金を生み出した予想を上回るAirbnbの成長、そして第3四半期の売上高予想を市場はどのようにとらえたのだろうか。Airbnbの株価は時間外取引で4.5%ほど下げた。

困惑したかもしれない。投資家は同社が決算書のガイダンス部分に盛り込んだ以下の指摘について心配しているのだろう。

短期的には、新型コロナの影響とデルタ株を含むウイルスの新たな変異株の発生・拡散が、宿泊予約とキャンセルの頻度や時期を含め、旅行に関する全体的な動向に引き続き影響を及ぼします。その結果、宿泊や体験プログラム、グロスブッキングの前年との比較は今後も変動が大きく、安定しません。

Airbnbにとって2021年第3四半期は有望である一方で、将来の成長は現在も続くパンデミックのおかげでアップダウンがあったり、後ろ倒しになったりする可能性がありそうだ。旅行率の低下を指摘する指数があり、これはAirbnbに影響を及ぼすかもしれない。

同社の第2四半期決算結果と第3四半期の予想は、1年前に比べると素晴らしいものだ。しかし、それは新型コロナという危機から完全に脱したことを意味しない。

DoorDashの第2四半期

2021年第2四半期に新型コロナによる業界への追い風は全般的に少なかったにもかかわらず、DoorDashは注文数、注文代金で過去最多を記録した。6月30日までの3カ月で、オンデマンドフードデリバリーの同社の注文価格(マーケットプレイスGOV)は104億6000万ドル(約1兆1460億円)で、売上高は12億4000万ドル(約1360億円)となった。マーケットプレイスGOVの値は前年同期比70%増、売上高は同83%増だった。

投資家は売上高10億8000万ドル(約1180億円)を見込んでいたため、DoorDashはあっさりと予想を上回った。

DoorDashの収益性はどうだったのか。同社は1億200万ドル(約110億円)の純損失を計上し、全体として赤字だった。調整後EBITDAでは、1億1300万ドル(約120億円)の黒字だった。Uberがフードデリバリー事業で黒字を確保できなかったことを考えると、さほど悪くない。DoorDashの当期純利益は前年同期より減少したが、調整後EBITDAでは改善した。

DoorDashの株価は時間外取引で3.5%ほど下げた。

なぜか。はっきりとはわからない。DoorDashは「第3四半期のマーケットプレイスGOVは93億ドル〜98億ドル(約1兆190億円〜1兆740億)、調整後EBITDAは最大1億ドル(約110億円)」と予想している、と述べた。たしかに第2四半期のGOVからわずかに減少しているが、投資家らは第3四半期の売上高が前期よりも少なくなるのではと懸念している。読者のみなさんはGOV予想が控えめなのではと思うかもしれない。

原因は新型コロナだろうか。同社の決算資料での新型コロナへの言及は、新型コロナのその後の影響、そして注文やデリバリーで同社を使っているレストランに救援金を提供するためのこれまでの取り組みに終始している。従って、そこから絞り出せる要素は多くはない。ただ、同社は決算報告の終わりに以下のように述べた。

オムニチャネルのローカルコマースに向けた幅広い世間のシフトが出現しようとしていると確信しています。しかしながら、ローカルコマースの規模や断片化は、解決すべき問題がより難しくなり、内部と外部の関係者間の調整がこれまで以上に複雑なものになり、競争上の脅威が増すことをうかがわせています。と同時に、消費者行動のペースはここ数四半期の並外れたものに比べて緩やかなものになると想定しています。

より簡単に言うと、こうだ。DoorDashは将来、緩やかな成長、これまでよりも複雑な事業環境、新規マーケット参入に伴う競争の激化を予想している。これは投資家を興奮させるような要因のミックスではなく、我々もそうだとは思わない。

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画像クレジット: TechCrunch

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nariko Mizoguchi

パリ裁判所がAirbnbに違法掲載で10.7億円の罰金

パリの裁判所が、民泊のマーケットプレイスとして人気の高いAirbnbに罰金を科した。裁判所によると、そのテクノロジー企業は同社のプラットフォームにアパートを載せるにあたってパリ市の規制に違反した。Airbnbはパリ市に960万ドル(約10億7000万円)を払わなければならない。

判決は確定までに数年を要している。世界中の大都市の多くと同じく、Airbnbはパリの住宅市場に何らかの影響力を及ぼしている。多くのアパートが住宅市場から姿を消し、Airbnbの常設のアパートになり、賃料が上がっている。

2017年には、パリの住民は自分の家をAirbnbに載せることがやや困難になってきた。たとえばアパートは、年間120泊以上貸すことができない。そこで家主たちは、常住のテナントからAirbnbの顧客に切り替えることを、ためらうようになった。

民泊プラットフォームは複数あるため、パリ市は登録方式を採用した。自分のアパートをAirbnbに載せたい人は、まず登録をする。するとAirbnbのようなプラットフォームは、登録番号を確認してから、1年で120泊位内までのキャパシティを載せる(市による泊数の管理ができる)。

当初市は、およそ1000件の不正登録のアパートを摘発し、それらの掲載中止を求めた。

2019年にパリ市は、今度はAirbnbを同じ理由で訴訟を起こした。規制はやや変更され、責任をホストとプラットフォームが共有することになり、本日の罰金につながる。

パリ市のIan Brossat(イアン・ブロサット)副市長は声明で「フランスで自治体がテクノロジー大手に勝訴したのはこれが初めてのことになります。ついにプラットフォームが有罪になりました。パリ市民にとってすばらしい勝利です」。

AirbnbはAFPの取材に対して、パリの2020年の掲載物件の95%は、120泊以下の予約だったと述べている。5%の物件が予約泊数の5%を超えていた。

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画像クレジット:Nelson Minar / Flickr under a CC BY-SA 2.0 license.

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(文:Romain Dillet、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Airbnbの宿泊検索がよりフレキシブルに、ホスト増に向け登録プロセスも一部自動化

夏のバケーションシーズンに向かうにつれ、旅行が2020年の低調から復活しつつある。そしてAirbnb(エアビーアンドビー)は旅行が新型コロナウイルス前の時代とは異なる様相になると確信している。

ホームシェアリングプラットフォームのAirbnbは、宿泊客にフレキシビリティを、そしてホストに簡潔さを提供することにフォーカスした大きな変更をさまざまな機能に加えた。同社の宿泊客エクスペリエンス責任者Sam Shank(サム・シャンク)氏によると、最終目標はオペレーション供給側のボリュームと多様性を拡大させることだ。

まず、同社はホストになるプロセスを合理化し、リストに掲載されるまでに経なければならないステップを最小限にした。機械学習アルゴリズムが宿泊客にアピールする写真を自動的にアレンジし、ホストはリスティングのための最適な見出しや概要についてAirbnbから提案を受ける。

画像クレジット:Airbnb

同社はまた、システムに新たなデータのレイヤーを加え、公表されている不動産データを統合している。ホストはただ住所を入力し、寝室やトイレの数などの情報は自動的に埋められるようなっている。

ホスト側のエクスペリエンスに関する他の改善点には「ようこそホスティングへ」ハブの再設計、それからホストが新しいメッセージやタスクを管理するのをサポートするTodayタブが含まれる。

宿泊客の側では、フレキシビリティに関する機能に力を入れている。

たとえば2021年2月に同社はフレキシブルな日付検索の機能を導入した。人々が特定の日付ではなく旅行のタイプに基づいて物件を検索できるものだ。ユーザーは長い週末や1週間あるいは1カ月単位の旅行のための検索もできる。

Airbnbは米国時間5月24日「フレキシブルマッチング」と「フレキシブルデスティネーション(目的地)」で検索プロダクトにより柔軟性をもたせると発表した。

フレキシブルマッチングは本質的に、具体的な検索にさらに検討の余地を加える。例えばユーザーが1晩250ドル(約2万7000円)以下の物件を探しているのなら、他のすべての条件を満たしているもののその価格帯からわずかに外れている物件も示す。あるいは、ユーザーが特定のアメニティ一式がそろっている物件を探しているのなら、アメニティの1つが欠けている物件も表示する。

フレキシブルデスティネーションではユーザーはロケーションに関係なく特定のタイプの物件が検索できる。ツリーハウス、海辺の物件といったものだ。

画像クレジット:Airbnb

こうした種のフレキシブルな検索では、ユーザーにさらに幅広い物件を提示でき、アップデートされたホストフローによりこれまであまり開拓されていなかった目的地の供給を増やすのにつながると期待されている。

「ブライアン(チェスキー)は、当社がこの夏適切なボリュームのホストを抱えているが、何百万ものホストを加える余地もあると話しました」とシャンク氏は述べ、人々の物件の探し方を変えることで、より多様な供給の中で検索できるようになると説明した。

「もしあなたが1つの大きなテーマに絞っていたら、当社がより多様でユニークな物件を用意し、より多くの人々がホストになるのをサポートすることができ、その恩恵を目の当たりにします」とシャンク氏は話した。「財政上の恩恵、そして世界中の人に会うチャンスもあります」。

フレキシブルな検索のアップデート、改善が図られたホストフローとともに、Airbnbはコミュニティサポート部門でもアップデートを図っていて、電話で利用できるサポートエージェントの数を今夏倍増させ、対応言語も11言語から42言語に拡大する。同社はまたヘルプセンターも再設計してホスト、宿泊客どちらにとってもわかりやすいようにした。

今回の発表では、全部で100以上のアップデートがプロダクトに加わった。

その大半は同社の2021年トレンドレポートで指摘されていたもので、レポートでは家族が2020年夏にドライブで移動して旅行を多様化したと指摘した。家族旅行が世界の予約件数に占める割合は2020年夏の27%から2021年夏には33%へと増えると予想している。家族旅行で予約された宿泊の42%が田舎の物件で、2019年夏に比べ10ポイント増だ。

Airbnbの物件リストを拡大する取り組みは、いまや同社が上場企業であることを考えると驚くことではない。四半期ベースでさほど寛容ではない投資家に取り組みを示す必要がある。部分的には自己隔離で長期滞在したユーザーのおかげで、同社は一部の人の予想よりもうまく新型コロナウイルスパンデミックをしのいだ。しかし同社はいま、マーケットポジションを守るだけでなく、よく知られたブランドになるのに役立つ高成長率を得るために、コロナ後の世界に向かっている業界をリードする必要がある。

もちろん、これまでよりも自動化されたツールの提供で多くのホストをリストに載せることには質のリスクがともなう。ユーザーが多くの供給、そしてコンピューターがサポートした供給にどう反応するのかみてみよう。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Airbnb旅行

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(文:Jordan Crook、翻訳:Nariko Mizoguchi

「今はイノベーションの黄金期」シリコンバレーの投資家イラッド・ギル氏とのインタビュー[後編]

シリコンバレーの起業家で投資家のElad Gil(イラッド・ギル)氏

爆速成長マネジメント」の著者でシリコンバレーの投資家で起業家でもあるElad Gil(イラッド・ギル)氏とのインタビュー後編。前編では初めての起業家が陥りやすい落とし穴とその回避策について、後編では新型コロナウイルスがスタートアップ業界に与えている影響と展望について話を聞いた。

前編:「スケールするために経営陣が必要」シリコンバレーの投資家イラッド・ギル氏に聞くスタートアップアドバイス[前編]

パンデミックがスタートアップに与えた影響

2020年は新型コロナウイルスの影響でスタートアップを取り巻く環境は大きく変わりました。どういった点がスタートアップにとってより難しくなったと思いますか。例えば、対面で話すことが減ったので、企業文化を作るのは難しくなっているかと思います。

ギル氏:企業文化を作ることについては、間違いなく以前より難しくなっています。企業文化は人が集まり、交流することで作られるものですから。社員がリモートワークしている会社からは、すでに出来上がっている仕組みに関してはそのまま維持して回せるけれど、何かイノベーティブなことをしたり、新しいことをしたりするのは難しくなったという話を聞きます。

2つ目は、いくつかの業界では事業を継続するのが非常に難しくなりました。例えば、私が知っているほぼすべての旅行系スタートアップは昨年から壊滅状態です。レイターステージだと、例外的な会社にTripActions(トリップアクションズ)が生き残っていますが、アーリーステージの会社のほとんどは事業を続けられませんでした。

3つ目は、新型コロナウイルスの影響で、多くの人は生き方を変えざるをえなかったことと関係します。在宅で子供を見なければならなくなったり、鬱や気分の落ち込みを経験したり。会社は社員のこうした問題に対処し、社員が新しく増えたストレスに対抗しながらも仕事を続けられる環境を整えなければなりません。

こうした課題にうまく対応しているスタートアップはありますか?

ギル氏:ビジネス面で急成長したところは多くあります。Stripe(ストライプ)、Instacart(インスタカート)、Zoom(ズーム)は、世界がオンライン化する中で急成長した企業の一例です。

企業文化の面でいうと、新型コロナウイルスが蔓延する中でも社員が交流できるよう、例えば、広い公園でマスクをつけて参加するミートアップを開催しているような会社があります。

会社によってはオンボーディングが難しくなったものの、採用はしやすくなったという変化もあります。採用しやすくなった理由としては時間や場所にかかわらず面接できるようになったからです。面接のためにオフィスを訪ねたり、仕事を休んだりする必要がなくなりました。ズームで話せばいいのですから。

オンボーディングが難しくなったのにはいくつか理由があります。GitLab(ギットラボ)は早くから社員のリモートワークに注力してきた会社で、彼らは社員のオンボーディングを3つのカテゴリーに分けています。コンピューターやメールの設定といった技術面でのオンボーディング。業務や役割、目標の設定といった組織面でのオンボーディング。最後に文化面でのオンボーディング。ですが、この3つはどれもリモートで行うのが難しいのです。

コロナ後の世界はどうなると思いますか?

ギル氏:2つの相反する力が世界に働いているように思います。現在のインターネットは、10年前と比べると10倍以上の規模になっていて、この拡大規模は10年前の人たちの想像を遥かに超えているでしょう。インターネットで過ごす時間が増え、たくさんのモバイル端末があり、仕事関連のアプリも大量に出現し、仕事でインターネットを使う時間も増えました。なので、今日設立したどの事業にも、5年、10年前と比べると、10倍規模になる可能性があるということです。つまり、10年前に1000万ドル(約10億円)の売上があった事業は、今やれば1億ドル(約107億円)規模の事業になる可能性があるということです。そして世界中のどこからでも、大規模な会社が作れるようになりました。

これは「分散化」のトレンドですが、一方で「集中化」のトレンドも同時に起きています。

特定の都市に特定の業界の人が集まっているのが、もう1つの重要なトレンドです。業界別に見ると、1つか2つの都市にその業界の物理的な拠点があるのが分かります。例えば、映画業界で仕事をしたいという人に向かって、「どこに住んでもいい」とアドバイスする人はいません。米国なら「ロサンゼルスに住まないとダメだ」と言うはずです。脚本はどこにいても書けるし、撮影も、映像編集も、音楽制作もどこにいてもできますが、それでも最終的に全員、ロサンゼルスに集まります。

世界の都市は業界ごとにまとまるようになってきています。金融だったら、資金調達をするのも、トレード戦略を考えるのもどこにいてもできますが、米国のヘッジファンドのほとんどはニューヨーク州とコネチカット州に集中しています。その理由は、サービスプロバイダーが重要で、経営陣が重要で、人と人のネットワークが重要だからです。新型コロナウイルスで世界の状況は変わりましたが、それでもなお、人は特定の場所に集まって活動を続けるでしょう。スタートアップをする人たちは特定の地域に集まって会社を立ち上げるといった傾向が続くと思います。

新たにスタートアップを立ち上げるとしたら、どのような分野に可能性があると思いますか?

ギル氏:家の地下室で仕事をしている私より、外でいろいろと動き回っている起業家たちの方が良いアイデアを持っているのは間違いないでしょう(笑)。新しいことを始めようとしている起業家集団の方が、どんな個人よりも素晴らしいアイデアを持っているものです。とはいえ、いくつか興味のある分野があるのでお話したいと思います。

1つ目は、バーティカルのコラボレーションSaaSです。例えば、Figma(フィグマ)によってデザインチームがオンラインで協力しながら仕事を進められるようになったのと同じように、財務チームが協力して財務計画を立案したり、データチームが協力して分析やアナリティクスをしたり、BI(ビジネスインテリジェンス)チームが協力して事業に関わるデータの分析ができたりするようなツールです。社内の特定の部署に特化したバーティカルのコラボレーションツールには可能性があるのではないかと思っています。

2つ目は、コンシューマー向けソーシャルアプリです。世界にはまだ、新しいソーシャルな行動が生まれ、広まる余地があると思っています。その理由は、世代間の違いがあるからです。若い人たちは新しいソーシャルネットワークを求めています。Clubhouse(クラブハウス)で人々が突然音声の魅力に気づいたのと同じように、他にも人々の行動を変えるような新しい形のソーシャルネットワークやリアルタイムコミュニケーションが登場するのではないかと思っています。

現在、膨大な量のイノベーションが起きています。例えば、AngelList(エンジェルリスト)を見ると5年前に比べて、スタートアップの数は5倍、10倍に増えています。これは新しく設立したスタートアップの実数ベースの話です。半導体や機械学習、さまざまなSaaS、防衛技術、不動産など、あらゆる分野でイノベーションが同時進行に起きていて、今はイノベーションの黄金期と言えるのではないでしょうか。

2021年4月14日にCoinbase(コインベース)が上場しています(ギル氏はコインベースの初期からの投資家)。暗号資産(仮想通貨)の領域はどう見ていますか。

ギル氏:暗号資産の領域はとても楽しみにしています。コインベースのIPOは、Netscape(ネットスケープ)がIPOした時のように捉えられるようになるのではないかと思っています。かつてネットスケープの上場で、インターネットがメインストリームの存在になると世間の人々が気づいたように、コインベースの上場は、ウォール街や既存の金融業界に対し、暗号資産が世界にとって重要であることを知らせる大きな契機になるのではないかと思っています。

関連記事:「スケールするために経営陣が必要」シリコンバレーの投資家イラッド・ギル氏に聞くスタートアップアドバイス[前編]

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タグ:CEO経営インタビューシリコンバレーAirbnbCoinbasePinterestSquareStripe新型コロナウイルス

「スケールするために経営陣が必要」シリコンバレーの投資家イラッド・ギル氏に聞くスタートアップアドバイス[前編]

シリコンバレーの起業家で投資家のElad Gil(イラッド・ギル)氏

2021年3月18日、シリコンバレーの起業家で投資家であるElad Gil(イラッド・ギル)氏の著書「High Growth Handbook」の日本語版である「爆速成長マネジメント」(日経BP)が発売となった。

著者のギル氏は投資家やアドバイザーとして、Airbnb(エアビーアンドビー)、Coinbase(コインベース)、Pinterest(ピンタレスト)、Square(スクエア)、Stripe(ストライプ)など世界でも有数のテック企業に関わっている。起業家としての経験も豊富だ。2013年から2016年12月までColor Genomics(カラージェノミクス)の共同創業者兼CEOを務め、現在は会長に就任。カラージェノミクスの創業前はTwitter(ツイッター)でコーポレート戦略バイスプレジデントやM&A 、事業開発チームの担当を務めた。ツイッターに参画したのは、共同創業者兼CEOを務めていたMixer Labs(ミキサーラボ)がツイッターに買収されたことがきっかけだった。それ以前は、グーグルに在籍し、モバイルチームの立ち上げなどに関わった。

「爆速成長マネジメント」はギル氏の知見と、シリコンバレーで活躍する投資家、起業家たちとのインタビューを多数収録し、レイターステージのスタートアップが直面する資金調達やマネジメントの課題に対する具体的な対応策が学べる1冊となっている。

今回、私は本書の翻訳に関わった縁で、ギル氏をインタビューする機会を得た。インタビューは2021年4月15日にClubhouse(クラブハウス)上で行い、本書を共訳した翻訳者で連続起業家の浅枝大志氏と日経BPの担当編集者である中川ヒロミ氏も参加した(各人から記事化の了承を得ている)。今回のインタビュー記事は前編と後編に分け、前編は数多くのスタートアップと関わってきたギル氏が指摘するスタートアップが陥りやすい落とし穴とその回避策について、後編は今後のスタートアップ業界の動向についてまとめている。記事はギル氏の発言通りに翻訳しているが、分かりやすさと簡潔さのために多少編集を加えている。

起業家へのアドバイス

はじめに、本書を書くことになったきっかけについて教えてください。

ギル氏:アーリーステージファウンダー向けのアドバイスはたくさんありますが、急激に成長しているスタートアップ向けのものはあまりありません。その理由は、スタートアップの多くは急激な成長する段階まで到達しないからです。ほとんどのスタートアップは失敗します。なので、レイターステージのスタートアップやファウンダーからよくある質問に対する答えと、スタートアップがスケールするための戦術をまとめようとしたのが始まりです。

もともと本ではなくブログ記事をまとめたスタンドアローンのウェブサイトを作る予定でした。けれど、サイトをローンチする数日前に、ストライプの創業者の1人であるJohn Collison(ジョン・コリソン)に見せたところ、「本として出版した方がいいんじゃないか」と言われ、Stripe Press(ストラププレス)(注釈:ストライプの出版事業)から出すことになりました。

本書には起業家向けのアドバイスが多く載っていますが、初めて起業する人は特に何に注意すべきでしょうか?

ギル氏:アーリーステージの会社はレイターステージの会社とは状況が大きく異なるので、ステージごとに気をつけたい点は違います。アーリーステージの優先事項の1つは、プロダクトマーケットフィットに到達することで、これを達成するのは非常に難しいでしょう。2つ目は、共同創業者と喧嘩しないで会社をうまく回すことです。これも非常に難しい場合があります。この2つを達成できれば、第一歩が踏み出せるはずです。

レイターステージに入ると、より多くのことを達成するためにどのように組織を作ってスケールさせるか、ユーザーのニーズにどう対応するか、海外展開、M&Aなど、注力すべき点が変わっていきます。これらを突き詰めると、やるべきことは、社員全員に明確な方向性を示すこと、その方向性を追求するために必要な資金を確保すること、磐石な経営陣を揃えることの3つであると言えます。経営陣が揃えば、会社が小さかった頃には着手できなかったことができるようになります。

CEOが間違えやすい、ミスしやすいのはどういうところでしょうか?

ギル氏:これはCEOの過去の経験によると思います。例えば、初めて起業したCEOと2回目のCEOを比べると、つまり事業をスケールさせたことがある人とない人という意味ですが、2回目のCEOはかなり早い段階から強力な経営陣を揃え始めます。けれど、初めての起業家はそれを疑問に思うでしょう。なぜ上層部ばかり強化するのか、なぜそんなに多くのVP(バイスプレジデント)が必要なのかと。しかし、一度急激なスケールを経験していると、経営陣を揃えることがいかに重要かが分かります。これが1つ目です。

初めての起業家がよく間違える2つ目のポイントは、最初のプロダクトをマーケットに投入した後のイノベーションの頻度についてです。一般的に、早くから2つ目のプロダクトを開発してノベーションを起こせる会社は、その後も継続してイノベーションが起こせます。一方でイノベーションが遅い会社は、2回目のイノベーションがなかなか起こせません。具体例として、ストライプは決済やローンに関わるプロダクトを次々と出しているのに対して、eBay(イーベイ)はいまだに2つ目のプロダクトを出せていません。

3つ目はSaaSやB2Bの分野に特化した話にはなりますが、プロダクトやエンジニアリングを重視するファウンダーは、営業チームを作ることを後回しにしてしまいがちという点です。ボトムアップのグロースや顧客獲得にばかり注力してしまうと、より大きな法人契約を獲得するチャンスを逃してしまいます。例えば、slack(スラック)は法人営業のチームを早くから追加してこなかったため、Microsoft(マイクロソフト)のような会社との戦いで苦戦を強いられています。

「経営陣の構築」「イノベーションの頻度」「営業の採用」と初めての起業家が間違えやすい点を3つ指摘していましたが、これらを回避するにはどうすればいいでしょうか。

ギル氏:経営陣を採用するところに関しては「スケールするために経営陣が必要」というマインドセットに変える必要があります。

営業チームについては、営業を採用することに対しての恐怖心を脇に置くことです。先日、営業を雇うのに抵抗を感じる理由についてのブログ記事を読んだのですが、その理由はたいてい、企業文化に合わないのではないかとか、営業チームを整える準備ができていなのではないかとかいう不安やボトムアップでの顧客獲得しかしたくないという感情的な理由がほとんどであると指摘していました。これに関しては率直に言って、そうした感情を振り切り、実行するしかありません。慣れないことをやるということですが、慣れないことをやるのが大抵の場合、最良の施策なのです。

「イノベーションの頻度」についてはどうでしょうか?

ギル氏:これにはいくつかポイントがあると思っています。会社の初期の段階では事業に注力し、コアプロダクトの再現性があるかしっかり確かめなければなりません。それはつまり、1000万ドル(約11億円)から3000万ドル(約32億円)ほどの収益があり、SaaS企業ならマーケットアプローチの方法を確立していて、コアビジネスをスケールさせるために社内にマネジメント層の基盤ができているか確認するということです。まずはコアビジネスがうまく回っている状態にすることが先決です。

2つ目は、新規事業のためにいくらか独立したリソースを用意することです。新規事業にはリーダーとなる人材やエンジニア、その他社内のリソースが必要になります。また全社員に「この新規事業は会社にとって重要で注力する価値がある」と納得してもらわねばなりません。なぜなら、社内のコアビジネスに携わる人は、リソースがあるなら自分たちのところに投入してほしいと考えるからです。彼らはコアビジネスをスケールさせる中で手薄になっている部分があると感じているでしょう。そのため彼らは会社が新しい事業を始めるのに対して疑問を持ちます。優先順位と組織内での線引きを明確にし、新規事業を作ることが会社にとって重要であると社員に分かってもらうようにしなければなりません。

CEOとして成長する方法

CEOはさまざまな問題に対処しなければなりませんが、CEOとして成長するためにはどのようなことができますか。CEO仲間を作ること、VCからアドバイスをもらうことなどが考えられますが、何が一番有効でしょうか。

ギル氏:私の知っている中で、うまくファウンダーとして、あるいはCEOとして活躍している人は、いくつかのことをしています。

1つは、CEOのネットワークを作っています。同じステージの会社のCEO、あるいは自分の会社より2年先を進んでいる会社のCEOとのネットワークを作っています。2年先の相手は、自分たちの抱える問題に共感でき、タイムリーで今の状況に合った良いアドバイスができます。5年、10年離れていると、劇的に状況が変わっていることがあるのです。

2つ目は、自分の会社とはまったく違うビジネスをしている人と話をしています。例えば、大規模な売上のある非上場のファミリービジネスのCEOの話を聞きに行くようなことです。何十億ドル(何千億円)規模の売上のある会社に話を聞きに行き、どうやって会社を運営しているのか、どうような報酬体系を採用しているのか、問題が発生した時はどのように対処しているのかなどを聞いています。優秀なCEOは成功の原則を普段とは違う場所で探し、自分のビジネスにも適用できそうなアイデアを学んだり、抽出したりしようとしています。

自分と近い分野で動いているCEO仲間から学ぶことに加え、まったく違う分野だけれど、とてもすばらしい成果を出している人から学ぶこと。この2つを組み合わせるのが良いのでしょう。

アドバイスという点でVCに期待できることはありますか。

ギル氏:VCは役に立つことはありますが、そのVCによります。その人が誰で、どんな経験を持っているのか、その人から何を学びたいのかによるということです。例えば、会社の上場に関わってきた経験が多いVCの取締役がいれば、その人から会社を上場させる方法について優れたアドバイスが聞けるでしょう。一方で、会社のオペレーションに関わったことのないVCもいます。その人は経営の戦術的なところでいくらか助けになってくれるかもしれませんが、毎日のオペレーションで役立つアドバイスはあまり期待できないかもしれません。

VCは基本的にアドバイス、ガバナンス、資金の3つを提供するものと考えています。お金は比較的どこからでも調達できます。ガバナンスに関しては、経験があって信用できる人を探すのがいいでしょう。アドバイスは、会社のステージとどんな事業をしているのかによります。アーリーステージでは的確なアドバイスができる人でも、レイターステージの会社には良いアドバイスができない人もいるということです。会社が成功するまでには10年くらいかかるので、その間に経営陣をどう進化させていくかをしっかり考えるべきでしょう。

【編集部】後編は4月21日午前9時に公開予定

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アムステルダム裁判所がAirbnbレンタル全面禁止措置は「法的根拠なし」と覆す

旅行者に人気の都市、オランダ・アムステルダムの3つの中央地区で住宅所有者が不動産をバケーションレンタル用に貸し出すことを禁止した当局による措置は、裁判所が法的根拠がないと裁定して覆された。

アムステルダム当局はAirbnbのような観光客プラットフォームが住民の生活の質に及ぼす影響にかかる懸念に対応していた。

アムステルダム市ウェブサイトのアップデートでは、現地時間3月16日から不動産所有者はバケーションレンタルが2020年7月1日から完全に禁止されていた3つの地区でホリデーレンタル認可を申し込むことができるとある。

市当局は、裁判所の裁定を精査中であり「明らかになり次第なるべく早く」ページを更新する、と述べている。

アムステルダムの当局は2020年夏、協議プロセス後に住民からの幅広い支持を得て、ブルグワレン・アウデ・ゼイデ地区、ブルグワレン=ニーウェ・ゼイデ地区、グラハテンゴルデル=ザイト地区のバケーションレンタルを禁止する措置を取った。

観光客向けのレンタルの急成長が住民の生活の質に影響を及ぼしていると当局は述べた。

当局は以前、市内の他の地区でバケーションレンタルを管理するための認可システムも導入した。このシステムでは、レンタルの上限を年間30日、1つのレンタルにつき最大4人まで、と制限している。

そして認可には「宿泊客は迷惑を一切起こさない」という条件も付いている。

裁判所の裁定を受け、3つの地区にも認可システムが適用される。

アムステルダム市中央地区でのバケーションレンタル禁止に対し、Airbnbや他のプラットフォームを通じて不動産を貸し出していた住宅所有者の利害を代表する組織(Amsterdam Gastvrij)は訴訟を起こした。原告者たちは住宅法2014条にはホリデーレンタル禁止の法的根拠がないと主張した。

アムステルダム裁判所はこの訴えに同意し「認可システムは完全な禁止を含むことはできない」と判決で述べている

「認可の条件に合う人は誰でも、原則として認可を申し込むことができます。完全な禁止は不動産の権利とサービスの自由な移動の大きな侵害であり、かなり特別な事情でのみ正当化される手段とみなされます」と強調した。

Airbnbの広報担当は、禁止に対する訴訟に同社は関与していなかったが、結果を注視しているとTechCrunchに語った。

ただ、裁判所の裁定は市当局が「生活の質」の考慮を含められる認可システムへの新たな条件の追加を法改正で可能にする余地を残している。

裁判所はまた、生活の質を管理するために認可システムを活用する別の手段として、既存の法律の下に導入されている宿泊提供できる日数の基準をともなう割り当て制度の可能性を提案している。さらには、市当局に地区制で不動産に(観光ではなく)居住目的を強制できるかもしれない、とも提言した。Airbnbなどでの活動を制限するための政策ツールとしてアムステルダム当局がさらに検討できる選択肢があるということになる。

同時に裁判所の裁定は、住宅供給(そして住宅価格)と居住者の幅広い生活の質が、オーバーツーリズム(もちろん新型コロナウイルスパンデミックに関係する継続中の旅行制限で現在は問題となっていない)と対立しているようなエリアへのレンタルプラットフォームの影響を規制しようという試みおいて欧州の都市が直面している問題も明らかに示している。

近年、欧州の主要観光都市の多くが、バケーションレンタルプラットフォームをめぐる不満を公にしてきた。2019年には「登録制度、そしてプラットフォームに載せている不動産ごとのレンタルデータの提供で当局に協力するよう、プラットフォームに対する強力な法的義務」を求めて公開書簡を欧州委員会に出した。

「都市は公共の利益を守り、さまざまな方法で短期ホリデーレンタルの悪影響を排除しなければなりません。多くの迷惑、不安感、近所の『観光地化』は住民が欲するものではありません。ゆえに、当局は地域の状況に応じた独自の規制を導入する可能性を持っているべきです」とも書き、EUの議員に規制の再考を支持するよう促している。

その後欧州委員会は主要バケーションレンタルプラットフォームと限定的なデータ共有の取り決めを発表し、その際「バランスの取れた」P2Pレンタルの開発を促したいと述べた。

2020年オランダ政府はバケーションレンタルプラットフォームへのデータアクセスに関してさらに行動をとるよう欧州委員会に圧力をかけた。オランダ政府は、Digital Services Act (DSA、デジタルサービス法)として知られるデジタルサービスを包括する汎EU規則の予定されてい大幅なアップデートで対策を含むよう求めている。

現在、EUの共同立法過程にあるDSA案は不法な商品やサービスを取り締まるためのプロセスの標準化を広く対象としている。つまり、バケーションプラットフォームを、不法なバケーションレンタル(例えば不動産が必要な認可なしに宣伝されているなど)に関連するデータ共有のような分野に含ませることもできる。

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画像クレジット:Aleksandar Nakic / Getty Images

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

新型コロナ後を想定しAirbnbは特定の日付設定なしでの宿泊検索が可能に

上場以来、Airbnb(エアビーアンドビー)のニュースの大半は規則に関するものだった。しかし米国時間2月24日、同社はプロダクトに関する発表を行った。

パンデミックがあらゆる行動を変え、新たな行動の多くが永遠に続くことをみんなが認識する中で、Airbnbは人々とともに変化しようとしている。

同社は、プラットフォーム上でユーザーが宿泊予約をする際に正確な日付を入力することなく行えるFlexible Searchを導入する。ユーザーは週末旅行や、1週間あるいは1カ月単位のバケーションを特定の日付を設定することなく検索できる。

これはブラウズするときにより多くの選択肢をユーザーに提示するだけでなく、ホスト側からすると露出を増やすことになる。

画像クレジット:Airbnb

Airbnbは、米国人の4分の1が閑散期に旅行する事を検討し、2021年はこれまでのところAirbnbで検索する人の3分の1が旅行日程や行き先に関してフレキシブルであることが新たな旅行トレンド調査で明らかになっている、と話す。

Airbnbのブログ投稿では次のように述べられている。「新型コロナウイルスは引き続き我々の旅行の仕方を変えています。周辺の宿泊や長期滞在を簡単に見つけて予約できるよう2020年プラットフォームを再デザインしたのに加え、新しいFlexible Dates機能は人々が将来どのように旅するかという点における広範なシフトに沿うものです。従来の旅行産業は決められた目的地、日付で成り立っていましたが、そうしたモデルはもはや今日の旅行者のニーズに合うものではありません」。

旅行、特に飛行機を使ったものは2020年、パンデミックのために壊滅的だった。緩やかな回復の兆しが徐々に見え始めているが、リモートワークへの移行(結果的に大幅に出張が少なくなる)は旅行業界の不況がいましばらく続く事を意味する。とはいえ、Airbnbの旅行トレンド調査によると、人々の大半(54%)は旅行を恋しく思い、次のバケーションを計画している。

Flexible Searchでは、はっきりとした日付が決まっていない旅行をユーザーは思い描くことができる。これは世界中の国の新型コロナ陽性率がシフトし続けている中で特に重要だろう。

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画像クレジット:Phillip Faraone / Stringer / Getty Images

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(文:Jordan Crook、翻訳:Nariko Mizoguchi

Airbnbが米大統領就任式週のワシントンD.C.における宿泊予約をすべてキャンセルに

Airbnb(エアビーアンドビー)は大統領就任式がある週にワシントンD.C.で誰にも宿泊を提供しない。同社が声明文で明らかにした。

CEOのBrian Chesky(ブライン・チェスキー)氏は米国1月13日、米議会がDonald Trump(ドナルド・トランプ)大統領に対して2度目となる弾劾訴追を行うための歴史的な決議案採決を行う中、Twitter(ツイッター)で同社の対応を発表している。

大統領就任式を控えてD.C.内とその周辺のAirbnbの宿泊を全面的に禁止するという動きは、米国時間1月6日の議会議事堂での暴動に関係した人が大統領就任式までの間にD.C.に戻ってくるのに同社のサービスを使わないようにしようと、宿泊予約のレビューを約束したことを受けてのものだ。

「D.C.、州、連邦当局がワシントンD.C.に移動しないよう人々に呼びかけていることへの対応として、当社は本日、就任式の週のワシントンD.C.地区の予約をキャンセルすることを発表します」と同社は声明文で述べた。「加えて、その期間のワシントンD.C.エリアの新規予約の受け付けも停止します」。

宿泊予約がキャンセルされた客は全額返金を受ける。そしてキャンセルされた宿泊で得るはずだった代金をホスト側に弁済すると同社は述べた。また同社はHotelTonightの予約も同様にキャンセルされると話した。

「当社の該当地域のホストコミュニティ、ワシントンD.C.当局、コロンビア特別区首都警察、議員からのも今週を通して情報を得ています。特にMuriel Bowser(ミューリエル・バウザー)D.C.市長、Larry Hogan(ラリー・ホーガン)メリーランド州知事、Ralph Northam(ラルフ・ノーサム)バージニア州知事は、就任式のためにワシントンD.C.を訪れるべきではないと明確にしています」と同社は述べた。「加えて、就任式を妨害するために移動しようとしている武装民兵や有名なヘイトグループに関する1月12日午後の報道を当社は確認しています」。

Airbnbはまた、先週議事堂で何が起きたのか取り調べている法執行機関に協力してきた。

「1月6日の議事堂での暴力的な犯罪行為に関わったことが確認された個人の名前をメディアや法執行機関ソースを通じて入手し、そうした個人がAirbnbにアカウントを持っていたかどうか調査しました。その結果、当社は有名なヘイトグループまたは議事堂での犯罪行為に関わった数多くの個人を確認し、そうした個人はAirbnbのプラットフォームから排除されました」と述べている。

関連記事:大統領就任式を控えAirbnbが議会議事堂での暴動参加者排除に関する追加措置

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タグ:Airbnbアメリカ

画像クレジット:Bloomberg / Contributor / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

大統領就任式を控えAirbnbが議会議事堂での暴動参加者排除に関する追加措置

2017年のシャーロッツビル暴動後に導入した規約に基づき、Airbnb(エアビーアンドビー)は大統領就任式を控え、ワシントンD.C.のコミュニティ保護を強化するためにさらに踏み込んだ措置を取ると明らかにした

Airbnbによると、同社はすでに特別なイベントの前には暴力的なヘイトグループと関係のある人をプラットフォームから排除している。

そして大統領就任式を控え、ワシントンD.C.地区が白人至上主義者やネオナチ、狂信的な愛国主義者で溢れかえることがないようにするため7ステップ計画を展開すると明らかにした。

Airbnbは先週の暴動で議事堂周辺での犯罪行為に関わったと特定された個人の利用を禁止すると話した。「1月6日の米国議事堂での暴力的犯罪行為に関わったと確認された個人の名前をメディアや法執行機関を通じて入手し、その人物がAirbnbにアカウントを持っているかどうか調査します」と同社は述べた。「ここにはコロンビア特別区首都警察の1月6日の逮捕記録との相互参照も含みます。記録に名前のある個人がAirbnbにアカウントを持っている場合、当社はAirbnbの利用を禁止するなどの措置を取ります」。

ヘイトグループに関連する人物が調査網から漏れることがないよう、就任式までの間に議会議事堂周辺ですでに入っている予約を確かめる追加の措置だ。

同社はまた追加のID確認や、バックグラウンドチェックを最新のものにするために他のセキュリティチェックも導入するなど予約要件も厳しくする。

最後のステップとして、もしヘイトグループに関係する人をともなうとAirbnbは法的措置を取ると予約客に伝える、と同社は述べた。ホスト側にも、管理する物件に滞在している客に不審な点があれば、社のUrgent Safety Line(緊急安全ホットライン)に連絡するよう案内している。

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(翻訳:Mizoguchi

Airbnbが2025年末までに社員の20%をマイノリティにする目標を発表

このほど上場して1000億ドル(約10兆円)企業になった、ホームシェアリングと体験の事業を展開するAirbnb(エアビーアンドビー)が、社内の多様性を向上させるための目標を設定した。その理由について「現状は満足するに程遠い」からだ、と同社はブログ投稿に書いている

2025年末までに、Airbnbは米国の社員の20%を過小評価されているマイノリティの人にする目標だ。ここには米国先住民、アラスカ先住民、黒人、アフリカン・アメリカン、ヒスパニックあるいはラテン系、ハワイ先住民、太平洋諸島の住民が含まれる。現在、同社における過小評価されているマイノリティ社員の割合は12%にすぎない。

2つめの目標は2025年末までに女性の割合を50%にまで増やすことだ。現状では、グローバルで46.9%だとAirbnbは話す。だが、同社は2018年の数字を非公開とした2019年以来、ダイバーシティフルレポートを発表していないことは記すに値する。

これらの目標を打ち出す前の2020年6月、同社は2021年末までに役員会や経営陣の20%を有色人種にすると約束していた。現在、Airbnbの役員会には黒人のKenneth Chenault(ケネス・シェノールト)氏が、経営陣には黒人でグローバルダイバーシティの責任者Melissa Thomas-Hunt(メッリッサ・トーマス-ハント)氏がいる。

Airbnbが目標を設定したのは今回が初めてではない。2016年に同社は過小評価されているグループの従業員の割合を2017年までに9.64%から11%に上げると約束した。そして同社はその目標を達成した。これはDEI(Diversity・equity・inclusion、多様性・平等・インクルージョン)を高めるのに目標設定が有効との主張を裏付けている。

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画像クレジット:Stefanie Keenan / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

AirbnbのIPO価格は67〜68ドルに、パンデミック初期の低迷から一転

WSJの報道によると、AirbnbのIPO価格は1株当たり67ドル(約6985円)から68ドル(約7089円)になる予想されている。同社は今週初め、IPO価格の目標(未訳記事)を44ドル(約4587円)から50ドル(約5213円)、そして56ドル(約5838円)から60ドル(約6255円)へと引き上げた。

まだ正式な価格は発表されていないが、AirbnbのIPO価格は上値予想と、直近のS-1 / A申請時の株式数6億244万8251株から計算すると、410億ドル(約4兆2743億円)の価値があるという。この数字は、既得権のある従業員オプションの行使により追加される可能性のある5000万株以上を含めると、大幅に上昇する。同社のIPO価格での完全希薄化後評価額は470億ドル(約4兆8993億円)になると計算されている。

Axiosによると、Airbnbは完全希薄化後の評価額で35億ドル(約3648億円)を調達したという。

会社をどのように評価するかにかかわらず、Airbnbの価値はパンデミック初期に底だった180億ドル(約1兆8763億円)から急上昇している。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が同社の事業に直撃した後、同社はスタッフをレイオフし外部資本を受け入れた。

第1四半期末から第2四半期初頭にAirbnbは復調(未訳記事)し、株式公開を申請し、これまでで最高の評価額を達成している。

同社の価格設定は、DoorDashとC 3.aiがそれぞれの値上げ幅を超え(未訳記事)、初日の取引で株価が急騰した後に行われた。したがって、いくらかの熱狂は予想外ではなかった。

Airbnbは米国時間12月10日の朝から取引を開始する。

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter)

コロナ感染者数が急増する中でAirbnbが業績を回復している理由をデータから読み解く

DoorDash(ドアダッシュ)が金曜日に株式上場を申請し、今年中にIPOを行うユニコーンがまた1社増えた。同社に関する主な数字については、筆者がこの記事にまとめた。さらに、TechCrunchのDanny Crichton(ダニー・クライトン)がこのIPOから利益を得る関係者について書き、筆者は別の記事で、新型コロナウイルス感染症が同社のビジネスに与える影響について考察した

この話を持ち出したのは、新型コロナウイルス感染症の影響を受けながらも、まもなくIPOが予定されているもう1つのユニコーンがあるからだ。それはAirbnb(エアビーアンドビー)である。

エアビーアンドビーが8月に株式上場を申請したとき、それは確固たる計画のように見えた。同社は新型コロナウイルス感染症を原因とする不況から回復基調にあると広く報じられていたし公開市場は成長株とハイテク株に沸いていた。さらに米国における新型コロナウイルス感染症の新規感染者数が夏の最高値から減少していた。同社は第3四半期を無事に乗り切り、最新の数字でS-1上場申請を行い、世界的なパンデミックや旅行業界の不況も同社の勢いを止められなかったことを投資家に示してからは、もうかり過ぎて笑いが止まらなかった。これは本当にすごいことだ。

しかし現在、米国でも世界全体でも新規感染者が過去最高を記録しており、TechCrunchが同社のS-1申請書を入手する直前に消費者支出が悪化した。同社の11月の業績は8月や9月ほど楽観視できない。それでも上場するなら(うわさでは来週)それに備えよう。第3四半期までの数字を見るだけでよい。

Cardify(カーディファイ)のスタッフが筆者に送ってくれたのも実質的に第3四半期の数字だったので、筆者はそれを詳しく調べてみた。リアルタイムの消費者支出データを追跡するカーディファイのデータによると、エアビーアンドビーがパンデミックによる最初の宿泊不況から回復したスピードが、宿泊業界全体よりも速かったことがわかる。

実に驚異的な回復だ。しかし残念なことに、残念なことに、6月下旬から7月にかけての最初の需要ブームは、時間の経過とともに先細りした。

少し拡大してみよう。ここでは、2020年7月から第4四半期の最初の月である10月末までのエアビーアンドビーへの支払額を、前年同期と比較している。

減少しているとはいえ、同社にとっては励みになるデータである。筆者はエアビーアンドビーへの(ご存知のとおり第三者からの)支払額がこれほど好調だとは予想していなかった。

上記グラフに基づいてエアビーアンドビーの収益を試算してみると、1か月家を借りるというトレンドはいくぶん弱まっているようだ。カーディファイがTechCrunchに語ったことによると、平均的な予約数は今年3月から4月にかけて70%増加したが、「現在、増加ペースは正常化し、YTDベースでおよそ30%増」とのことだ。

グラフが示すように10月は消費支出が減少しているが、2019年の線を見る限り、少なくとも一部は季節的なもののように見えるため、すべてが新型コロナウイルス感染者数の増加が原因だとは考えたくない。しかし、SimilarWeb(シミラーウェブ)のデータもThe Exchange(ザ・エクスチェンジ)のデータも同様の垂下線を示している。このデータセットは、エアビーアンドビーを含む多数の旅行サービスにおける、世界中の宿泊予約数に関するものである。同社の米国市場におけるデータによると、9月までに予約状況は回復し、3月の予約数の低下をある程度カバーしたものの、10月の落ち込みにより回復が妨げられた。欧州の予約数の回復は7月にピークに達し、その後減少を続けている。アジアの予約数は増加しているが、以前の水準からは大幅に減少している。

状況は複雑だが、カーディファイによると、エアビーアンドビーは宿泊業界全体に比べて好調だ。そのため、業界全体の数字を見ると、必要以上に悲観的になってしまうかもしれない。実際の数字はまもなく発表されるが、筆者は待ちきれなかったため、手元にあるデータから読み解いたものをここで紹介した。S-1の公表が待ち遠しい。

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(翻訳:Dragonfly)

Airbnbが上場申請、第3四半期の回復は驚異的

10億ドル超スタートアップ、いわゆるユニコーン企業の代表、Airbnbは11月16日にアメリカ証券取引委員会にS-1書式を提出し、株式上場を申請した。これで同社は公開企業にまた一歩近づいた。

公開された財務諸表は同社の打撃からの回復を示しているが、企業規模は縮小している。これはパンデミックが旅行業界のユニコーンにいかに深刻な打撃を与えたかを物語っている。Airbnbの企業価値を見極めるには、急速な成長カーブが中断された打撃と、そこから回復しては再び利益を上げていることの間でバランスを取る必要がある。

ここまでの経緯

宿泊施設共有のスタートアップにとって2020年は多難な時期となった。COVID-19によるパンデミックはAirbnbは第1四半期、第2四半期の業績に大きな打撃を与えたが、その後地域内旅行の増大によって回復した。

Airbnbの上場申請は、ユニコーン仲間のDoorDash、C3.aiの申請のほんの数日後に行われ、高価値スタートアップのちょっとした上場ラッシュとなっている。

Airbnbが証券取引委員会S-1書式を提出するのは先週の予定だったが大統領選挙による影響を理由に延期されていた(実のところTechCrunchのスタッフはこの説明に完全に納得していたわけではない)。

われわれは以前からAirbnbの財務状況についてはなんども記事にまとめてきた。しかし今回のS-1申請書は文字通り宝の山だった。以下、重要な数値を吟味し、財務と株主について掘り下げてみる。

判明した財務状況

まず知りたいのはパンデミックがAirbnbのビジネスにどのように影響したかだ。今年に入ってからの全期間と四半期ごとの傾向からどういうトレンドが読み取れるだろうか?

AirbnbのS-1申請書の最初のグラフはこのサービスを通じて行われた予約を示す月単位グラフだ。つまりこれがAirbnbがわれわれに積極的に公表したい数字らしい。以下トレンドを見てみよう。

当然だがAirbnbは3月に大打撃を受けた。 しかし、5月までにビジネスは成長軌道に戻りそれを維持した。

しかし6月以降は予約数の増加はごくわずかだ。数か月たった現在、予約数は減少している。さらに悪いことに、キャンセルを除外した後の正味予約数は対前年比で減少している(当初の記事で表を読み間違えている部分があったのでアップデートした)。

では伝統的な財務諸表ではどういう結果になったのか?  Airbnbが報告した損益計算書は次のとおりだ。

 

残念ながらAirbnbは今年驚異的な成長をとげていない。われわの読み方が正しければ同社の規模は2018年とほぼ同一だ。

2020年の最初の3四半期と前年同期を比較すると、収入に対するコストの減少(収入が減ればそれに対するコストも減る)を別にすれば、費用の大幅な減少がもっとも注目される。Airbnbはセールスおよびマーケティング支出を2019年の最初の3四半期の11.8億ドルから、2020年の同時期にはわずか5億4550万ドルに減らしている。

 

2020年3月31日を終期とする四半期までAirbnbの成長は続いたがこの第1四半期は対前年比で実質的に横ばいだった。COVID-19の打撃がなければもっと大きく成長していたに違いない。その後、2020年6月30日を終期とする四半期では、Airbnbの売上は前年同期の12億ドルからわずか3億3480万ドルへというショッキングな売上減少が起きた。ここで実際の被害が計上された。

しかし第3四半期には大きな回復が見られる。なるほど今年の第3四半期は昨年同期より会社規模が縮小している。売上は2019年は16.5億ドルだったが、今年は3億4000万ドルにすぎなかった。しかし直前の四半期からみると売上をほぼ4倍に伸ばした。同社が今年の第4四半期にさ第3四半期なみの売上を確保できれば2018年の売上より数億ドル増える計算だ。

重要なことに、Airbnbは、長く続いた赤字四半期の後、今年の第3四半期に黒字に転換することに成功した(2019年も第三第3四半期は黒字だった)。しかし第3四半期にGAAP純利益2億1930万ドルを計上したものの、それ以前の巨大な赤字にくらべるとさほど印象的ではない。同社が2020年にブレークイーブンに達することはない。

ではAirbnbの財政状況は2020年末にはどうなっているのか? 四半期ごとの結果を確認すると以下のとおりだ。

Airbnbは調整後の利益指標も発表した。EBITDAの調整は次のとおりに行われている。

EBITDAは、純利益または純損失に以下の費目を加えたものとして計算しています
(i)法人税引当金
(ii)受取利息、支払利息、およびその他の収入(費用)
(iii)減価償却
(iv)株式に基づく報酬費用
(v)宿泊税の徴収および納付について、ホストと連帯して責任を負う可能性のある宿泊税準備引当金
(vi)リストラ費用

Costanoa Venturesの投資家、Amy Cheetham(エイミー・チーサム)氏は、リストラ費用を撤廃するという決定は眉をひそめ、「リストラ費用を含めるは少し行き過ぎでないでしょうか」と述べた。この点についてはわれわれも同感だ。 運用コストの削減など良い方向への努力は反映できる一方、その結果を得るために必要なリストラなどのコストを除外しているのはいささか都合が良すぎるとわれわれも感じた。よく「ケーキを持っていることと食べてしまうことは両立しない」というが、「ケーキを食べてしまった上にカロリーを勘定に入れない」ようなものだ。

TechCrunchは知り得た情報はなんであれ読者と共有するのが信条だ。そこでAirbnbが発表した強く調整されたEBITDAは次のとおりだ。

 

同社の財務はあれこれのコストを削減してもまだ健全な水準にならない。キャッシュバーンはさらに悪い。その赤字は、Airbnbが今年初めに巨額の資金を調達する必要があった理由を説明するものだ。

今回のS-1申請書を断定的に評価するのは困難だ。ここには投資家の期待に応えるグッドニュースも含まれている。しかし2020年第3四半期の収入が対前年比で減少していることと、直前の2020年第2四半期と比較すれば急速な回復を遂げたことの間の比較が企業価値の推定にあたって重要な点となるだろう。 全体としてみればAirbnbはどん底から立ち直るという離れ技をなしとげた。

しかし株式上場に向かって進み始めた以上、この回復を「グッドジョブ!」と賞賛しているだけではすまない。Airbnbは企業価値の最大化、取引の活発化を図らねばならない。投資家が進んで株式を買う気になるのはどれくらいの価格だろうか? 株式公開に当たっての株の値付範囲に強い注目が集まっている。

画像:OSHIFUMI KITAMURA / Contributor / Getty Images

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滑川海彦@Facebook

Airbnbが全世界で「パーティー」を全面禁止、最大収容人数は16名に制限

Airbnb(エアビーアンドビー)は同プラットフォーム経由で登録した未承認のパーティー開催を制限する規約を準備していたが、米国時間8月20日の決定は最大限に厳しいものだった。全世界であらゆるパーティーやイベントが禁止される。これには、最大収容人数16名という制限も加えられ、新ルールは「直ちに発効し、別途通知するまで永久に有効」であると同社は説明している。

Airbnbは、これまでも「未承認のパーティー」は常にルール違反だったことを指摘した。ただしこれまでは家の大きさや近隣の状況に応じて、ホストが自身の判断でAirbnb経由で小規模なパーティーを開くことは許されていた。

Airbnbは規約変更を伝えるブログ記事で、新型コロナウイルスによる世界的パンデミックとソーシャルディスタンスの必要性が、グループの集まりに関わるルール変更に至った理由の一つであり、パーティー会場としての利用を推奨するフラグを検索機能から削除したことを説明した。同時に、ホスト宿泊者ともに、新型コロナウイルス予防のための地域保険機関によるガイドラインに従うことを要求するポリシーも追加された。ガイドラインは、「実質的にパーティーやイベントを禁止するのにちょうどよかった」と同社は言った。

Airbnbによると、責任ある安全な行動を推奨することで十分であると当時は考えられていたが、地域のガイドライン変更によって、同プラットフォーム上の一部の人々が、掲載リストをバーやクラブもどきに利用していることがわかった。このため新たな全世界でのパーティー禁止に至った。これは「地域住民の健康にとって最善の利益」を優先するものだ」。

具体的には、ガイドラインは今後の予約でパーティーを明示的に禁止するとともに、16名の収容人数制限を加えた。Airbnbは、同プラットフォームを利用して予約を受け付けているブティックホテルや類似の施設のために、何らかの例外措置を検討している。また、宿泊ユーザーに対しては、パーティールールの説明と、規則に違反した場合に法的措置をとる可能性があることついて通知する準備を進めている。

Airbnbは最近同プラットフォームを通じて予約された施設で起きた殺人事件については言及していない。2月にカナダ・トロントで3名が殺害(Global News記事)され、昨年のハロウィンに起きたカリフォルニアの銃撃事件では5人が死亡(USA Today記事)した。2019年10月のその事件がきっかけで当時Airbnbは「パーティーハウス」禁止を実行し、2月の事件がさらなる措置の要求を呼び起こしていた。

関連記事:Airbnbが非公開で株式上場を申請、Q3かQ4に直接上場ではなく新規株式公開か

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Airbnbが非公開で株式上場を申請、Q3かQ4に直接上場ではなく新規株式公開か

多難な状況が続く中、宿泊・民泊仲介大手のAirbnbは新規上場を申請したと発表(Airbndプレスリリース)した。ただし申請書は非公開だ。

同社の上場申請は予想よりも早く進められた。同社が今月中に上場を申請を行うことを準備しているというWall Street Journal(WSJ)の報道の直後だった。WSJ記事によれば同社は今年中に上場するという。

つまり今年の第3四半期ないし第4四半期に上場する確率は極めて高い。

Airbnbは新型コロナウイルスの感染蔓延によって旅行業界全体が受けた打撃(未訳記事)から立ち直るべく努力を続けてきた。同社の収入も大きく低下したため、同社は2000人近い社員をレイオフし、外部から調達コストの高い資金を導入している。

同社は2019年に2020年に上場する計画を発表(New York Times記事)していたが、今年の前半には上場は到底果たせない約束ではないかと見られていた。しかしAirbnbはビジネスの各方面で活発に努力してニュースを作ってきた。同社は息を吹き返してきたようだが、そのビジネスはユーザーの旅行、バケーションのパターンが大きく変化した影響を受けている。

Airbnbが上場申請したのであれば、これまでに重ねてきた努力が成果を挙げたのだろうと考えざるを得ない。そうでないならいま上場を申請する必要はない。あとで申請すればいいはずだ。そこで現在注目すべきなのは発表済みの第2四半期の決算が上場のために十分と考えているのか、あるいは第3四半期の決算によってS-1申請書を改定すると同時に公開して復活ぶりをさらに強く印象づけるのかという点だろう。

もちろんこのようなスケジュールだと上場時期が米国における大統領選挙にあまりにも近づくというリスクがある。

こうした点には今後も注目しなければならないが、Airbnbの上場が差し迫ったものとなってきたことは間違いない。 もう1つ注目すべき点は、上場が伝統的な新株発行によるのか、あるいは既存の株式を公開する直接上場となるのかだ。同社の発表では前者を考えているようだが(Axios記者のツイート)、直接上場の可能性は残っている。TechCrunchとしては、やはり伝統的上場の確率が高いと考えるが、今はなんでもありの2020年だ。何が起こるかは最後まで予断を許さない。

画像:Phillip Faraone / Stringer / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook