米App Storeトップに華々しく登場、作られた完璧さが並ぶアンチInstagramを謳う新SNS「Poparazzi」

Instagram(インスタグラム)の写真タグ付け機能だけで1つのアプリにしたら、バイラルセンセーションを巻き起こした「Poparazzi(ポパラッチ)」が生まれ、今やApp Storeのナンバー1アプリにまで上り詰めた。この新しいソーシャルネットワークアプリはTTYL(ティーティーワイエル)に開発されたもので、友達だけが写真を投稿できるソーシャルプロフィールを作成することができる。つまり友達を自分の「パパラッチ」にすることができるのだ。この新しいアプリは、公開前のTikTok(ティックトック)での宣伝活動によるApp Storeでの予約の促進から、公開後の支持者による好意的なツイートをはじめとするソーシャルバズの活用まで、公開初日からの猛ダッシュを実現するために計画された一連のミッションを完璧に遂行した。しかし、ユーザーのプライバシーと引き換えにネットワーク効果を高め、トップチャートを狙う向きもあり、長く力を維持できるかという点ではリスクの高い手法ともいえる。

TTYLは、編集された写真、過剰な自撮り、そして「安直なうわべだけの完璧さ」に満ちた今日のソーシャルフィードに反発しており、Poparazziをある種のアンチInstagramと位置づけている。人々の現実の生活は、多くの完璧ではない瞬間で成り立っており、そういったものが撮影され共有される価値を持つ、と同社はブログ記事で説明している。

このマニフェストは、タイムリーにユーザーに受け入れられた。ユーザー、特に若いZ世代が、大手テクノロジー企業に踊らされていることに気づくにつれ、見世物要素の低いソーシャルメディアに対するユーザーの需要は、何年も前から着実に高まっている。多くのスタートアップが同じようなスローガンを掲げてInstagramからユーザーを引き抜こうとしている。例えば、Minutiae(マイニューシー)Vero(ベロー)Dayflash(デイフラッシュ)Oggl(オグル)、そして最近では、一時バズったこともあるDispo(ディスポ)や、あまり目立っていないHerd(ハード)などが挙げられる。

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Facebookでさえも、こういった消費者の要望に気づき、FacebookやInstagramのユーザーが自分の投稿やフィードから「いいね!」の数を削除できる新機能を展開する予定だ。

Poparazziの中核となるアイデアは、必ずしも革新的なものではない。写真にユーザーをタグ付けする機能は、何年も前からあったからだ。実際、Facebookの初期に導入された最初のバイラル効果の1つだった。

Poparazziは、確実なロケットスタートをともなう成長戦略を慎重に遂行することで、チャートのトップに立った。

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同社は、公開前からTikTokを使って需要を喚起し、話題を集めた。TikTokは、モバイルゲーム「High Heels(ハイヒールズ)」などのApp Storeでのヒット作の創出にもひと役買っている。TikTokは、その姉妹アプリである「CapCut(キャップカット)」eコマースアプリの「Shein(シェイン)」など、いくつかのモバイルビジネスでダウンロード数の引き上げに貢献しているが、TikTokがアプリをトップチャートに送り込む潜在能力はまだ過小評価されがちだ。

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Poparazziは、TikTokで需要を喚起するだけではなく、略歴のページにリンクを置き、ユーザーをApp Storeの予約ページに誘導することで、実際に需要を獲得した。公開日を迎える頃には、Poparazziを試してみたいというZ世代の一団が形成されていた。

アプリを起動すると、イントロビデオの再生中に携帯電話を振動させて触覚に訴える巧妙なオンボーディング画面が表示される。これは、ユーザーがPoparazziの「かっこよさ」を話したり、投稿したりするのに十分な目新しさがあり、口コミによる有機的成長を生み出す可能性があるもう1つの仕組みだ。

Poparazziは、ユーザーをワクワクさせた後、本格的にデータ収集へと進む。

まず、電話番号を使ってサインアップし、ユーザーを認証する。Apple(アップル)がApp Storeのポリシーとして、ユーザーが自分の身元を保護するために「Sign In with Apple(Appleでサインイン)」できることを必要としているにもかかわらず、Poparazziには、このプライバシーを守るためのオプションはない。「Appleでサインイン」では、電話番号やアドレス帳によるアクセス方法に比べて、Poparazziの成長の可能性が制限されてしまうからだろう。

続いて、カメラへのアクセス許可(当然必要だ)、連絡先へのアクセス許可(なぜ全部必要なのだろうか)、通知の表示の許可を求める画面が表示される。しかし、ここからが問題だ。このアプリは、かつてのClubhouse(クラブハウス)がそうだったように、アドレス帳の完全なアップロードを要求する。ソーシャルメディアで友達を追加するには、お互いのQRコードのスキャン、ユーザー名の直接入力、検索など、他にも多くの方法があるため、アプリの使い方を考えると、これは不要だ。

しかし、Poparazziにとっては、ユーザーの連絡先データベース全体にアクセスできることで、プライバシーを気にする人のための機能を組み入れる必要がなくなる。さらに、ユーザーが登録した電話番号と、Poparazziが保存している電話番号を照合するだけで、すぐにフレンドグラフを作成することができる。

個々の許可を完了すると、Poparazziは緑色のチェックマークをつけてくれる。実際には、求められた許可を拒否しても、緑色のチェックは表示される。これではユーザーは、誤ってアプリにアクセス許可を与えてしまったのではないかと混乱するかもしれない。

アドレス帳のアップロードは「拒否」でき、ポップアップメッセージの「チェッ」という音とともに、Poparazziはまるで友達に舌打ちしているかのように警告してくるが、自分の電話番号を携帯電話に保存している他のPoparazziユーザーに見つけられることは避けられない。

ユーザー登録が終わると、アプリはユーザーのアドレス帳とPoparazziに登録されている電話番号を照合し、あっという間にそのユーザーは、既存のユーザーをフォローすることになる。逆に、すでに登録している友人がいれば、最初にログインした時点ですぐにフォローされる。

言い換えれば、Poparazziでは「フレンドグラフ」を手動でキュレーションすることはない。つまり、ユーザーのアドレス帳がフレンドグラフであり、Poparazziはそれを複製しているに過ぎないということだ。

もちろん、これが実生活での関係を的確に表しているとは限らない。

多くの若者、特に女性は、携帯電話の「連絡先」に迷惑電話の加害者やストーカー、以前の恋人やパートナーの電話番号を保存している場合がある。そうすることで、携帯電話に組み込まれている機能により、迷惑な電話やメールをブロックすることができるからだ。しかし、Poparazziでは電話番号で自動的に照合されるため、悪用しようと思えば、嫌がらせなどで狙われる人のユーザープロファイルにすぐにアクセスできてしまう。

もちろん、これは極端な例だ。しかし、見過ごせることではない。

こういった問題はよく知られており、初期の成長段階にあったClubhouseが、アドレス帳すべてのアップロードを要求していたことでも物議を醸していた。これは、標準とするにはひどい戦略であり、Clubhouseが短期的にも持続する囲い込みに成功したようには見えない。また、これは新しい戦術でもない。10年近く前、モバイルSNSのPath(パス)がユーザーにアドレス帳のアップロードをさせようとしたが、当時、ほとんどの人がこのアイデアを批判していた

Poparazziのデザインは非常に丁寧であり、アイコンには信頼性を象徴する青色を使っている。しかし、同社は意図的に穴埋めを狙ったのかもしれない。Poparazziは、ユーザーのプライバシーや安全性の一部と引き換えに、即席のフレンドグラフから得られるネットワーク効果を優先しているのだ。

このアプリの残りの機能は、ユーザーがそのフレンドグラフをさらに拡大し、他のユーザーを巻き込むように働きかけることだ。ユーザー自身のプロフィールは、他の誰かに写真をアップロードしてもらわない限り、空っぽのままだ。SnapKit(スナップキット)との連携により、Snapchat(スナップチャット)でフォトタグをおねだりできる。また、写真にタグ付けしてくれる友人が少ないと思えば「承認した人」だけでなく「すべての人からのポップを許可する」という設定に惹かれるかもしれない。

ソーシャルメディアのプロフィールへの写真のアップロードを「すべての人」に許すことが、悪用につながらないほど甘い世界ではないが、Poparazziは明らかにここで賭けをしている。こういった手段がもたらす影響に対処するのは、もっと先のことになると考えているのだろう。つまり、Instagramに不満を持った何百万人ものユーザーで、Poparazziのネットワークが満たされた後の話だ。

他にも、友人を招待したくなるいくつもの機能から、親友がどんどん投稿を続けるためのインセンティブとなるスナップチャット的な「Top Poparazzi」セクションまで、何十ものグロースハックがアプリ内に散りばめられている。

巧妙なからくりだ。このアプリは、コメントやフォロワーの数を表示しないが、強い影響力を追い求めるところを見れば「アンチInstagram」というほどのものではない。連写モードで撮影した写真はループGIFとして投稿することもでき、Instagramの写真ほど加工されておらず、より「本物」になるかもしれない。しかし、Poparazziのユーザーは、さまざまな絵文字を使って投稿にリアクションすることができ、その数は公開される。

探索ページで紹介されているベータテスターの投稿についていえば、リアクションは数百から数千にもなり、ポップの影響力の基準は効果的に確立されている。

最後に、自分がフォローしているユーザーは、写真の投稿を許可されているが、そのユーザーを自分のPoparazzi隊から除隊させても、つまりフォローを解除しても、そのユーザーが、自分のプロフィールに投稿することは止められない。結局のところ、自分のPoparazzi隊は「ポップを許可するアカウント」という別の設定で管理する。これはトラブルにつながるかもしれない。せめて、フォローを解除する時に、解除するアカウントからのプロフィールへの投稿許可も解除するかどうか、アプリがユーザーに確認してくれるといいのだが。

全体として、楽しいアプリだ。特に、このアプリがターゲットとする若い気楽な世代であればなおさらだ。友達を中心とした、皮肉めいた反インスタ映え的なスタンスも期待できる。しかし、プライバシーコントロールの強化や、乱用防止を目的とした、より詳細なフレンドグラフのコントロールの元で参加できるようになれば、それは歓迎すべき追加機能となるだろう。

TechCrunchは、Poparazziチームに連絡を取り、アプリのデザインと成長戦略についての展望を問い合わせたが、回答は得られていない(当面は鳴りを潜めるつもりだろう)。SignalFire(シグナルファイア)のJosh Constine(ジョシュ・コンスチン)氏とTechCrunchの確認により、元TechCrunchの共同編集者Alexia Bonatsos(アレクシア・ボナトソス)氏のDream Machine(ドリームマシン)Weekend Fund(ウィークエンドファンド)とともに、Floodgate(フラッドゲート)がこのスタートアップに投資していると承知している。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:PoparazziSNSApp Store

画像クレジット:Poparazzi

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

アップルが過去10年の間、業界をリードした理由がわかる1通のメール

1通のメールが、Apple(アップル)のApp Store(アップ・ストア)を巡ってEpic Games(エピック・ゲームズ)が訴えた裁判に関連して公表された文書の一部として、インターネットに出回っている。私はこのメールをさまざまな理由で大いに気に入っている。少なくともそこからは、Appleが過去10年間この業界の活力源であり続けている理由を推定することができる。

その中心は、ソフトウェアエンジニアリングSVP(上級副社長)であるBertrand Serlet(バートランド・サーレイ)氏が、2007年10月に送ったメール、iPhoneが発売されてからわずか3カ月後のことだ。そのメールでサーレイ氏は、AppleのApp Storeの概要を事実上すべて説明している。2020年に推定640億ドル(約7兆120億円)をもたらしたビジネスだ。そして、さらに重要なのは、そこから無数の巨大インターネットスタートアップとビジネスが生まれ、iPhoneのネイティブアプリを活用していることだ。

このメールの45分後、Steve Jobs(スティーブ・ジョブズ)氏はサーレイ氏とiPhone責任者のScott Forstall(スコット・フォーストール)氏にiPhoneからメールを送った。「もちろん。ただし2008年1月15日のMacworld(マックワールド)で発表できること」。

Apple University(アップル・ユニバーシティ)はこのメールの専門コースを作るべきだ。

お気に入りのInternal Tech EmailsがTwitterでシェアしたメールがここにある。アカウントの持ち主は知らせて欲しい。差し支えなければ詳しく紹介したい。

1. ユーザーを保護します。そのために誰がアプリを配布できるかをコントロールする(登録システム、ポリシーなどが必要)
2. ネットワークを保護します。そのためにアプリが安全な状態で動作することを保証する(悪用していないことの確認)
3. 開発プラットフォームを提供しよう(Leopardの走っているMacで開発、デバッガー、シミュレーターなど)
4. APIを持続可能にします(プライベートとパブリックを区別する、クリーンアップ、ハードウェアの詳細を隠蔽、APIのドキュメントなど)

これを今すぐやりましょう、正しいやり方で。まともなサポートのない中途半端なストーリーではなく。SDKを最速で出荷することに集中するために、ソフトウェア・エンジニアリンググループに必要な人材をいくらでも集めます。

サーレイ氏の書いた概要にはApp Storeの基本理念が7つの文で書かれている。ユーザー保護、ネットワーク保護、独自のデベロッパープラットフォーム、持続可能なAPIアプローチ。人的資源を明確に要求している。最速で公開するために必要なソフトウェアエンジニアリングの人材だ。

最後でも、はっきりと尋ねている「このゴールに賛成してくれますか?」。

情報に通じた読者なら、カッコ内の説明を見て、業務範囲と人月を推測できるだろう。そしてサーレイ氏はこれらの選択について「一切」の「理由〉を書いていない。彼の頭の中では、iPhoneデベロッパーにSDKを提供するためには、すべてが明白で必要な枠組なのだ。

各項目に関する詳細な論拠もない。多くの場合、論拠は互いに事情がわかっている状況では不要であり、次の2つのどちらかの精神的負担を発信する役割を果たすだけだ。

  1. プロジェクト概要を伝える相手が何もわかっていないと思っている。
  2. 自分に自信がなく、今も自分を納得させようとしている。

どちらも、仕事の初期目標を伝えるのに賢い方法ではない。大きい枠組みの中で、小さな権力しか持たない人々に根拠を説明する時間はこれから先いくらでもある。

iPhoneソフトウェア開発の歴史に詳しい人なら、Nullriver(ナルリバー)というデベロッパーが公開したInstaller(インストーラー)を知っているだろう。iPhoneにネイティブアプリをインストールすることを可能にする2007年夏にリリースされたサードパーティ製インストーラーだ。2008年には、その後ずっと有名になるCydia(シディア)が続いた。そして8月、9月にすでにこのまったく非公式な方法でアプリを配布する実験を行っていたデベロッパーがいた。Craig Hockenberry(クレイグ・ハッケンベリー)氏の偉大なるTwitterific(ツイッタリフィック)やLucas Newman(ルーカス・ニューマン)氏とAdam Betts(アダム・ベッツ)氏のLights Off(ライツオフ)などだ。

スティーブ・ジョブズ氏がiPhone上のサードパーティアプリを許すことを躊躇していたことを示す証拠は山ほど出回っているが、このメールは、決断が下され時だけでなく、完成時期の公式タイムラインも示している。そしてその時期は、いつ電話がかけられたかに関する怪しげな情報よりもはるかに前だった。ハッキング好きのサードパーティの試みが初めてiPhoneにたどり着いたわずか数週間後、最初のiPhone jailbreak(ジェイルブレイク)ツール群 が出現してから2カ月足らずだった。

そこには、このフレームワークにスティーブが自ら手をくだす必要も意志もない。部下にあらゆる場面でフィードバックを返すよう求めるリーダーを私は何度も見てきた。そもそもなぜその人たちを雇ったのか?彼らのスキルと判断力のため?細部への気配り?ものごとを成功させようとする強い願望?

だったら、彼らに自分たちの仕事をさせればよい。

サーレイ氏のメールはよく練られていて、狙いが非常に正確だ。しかし、同じように重要なのが返信だ。どうみても短すぎる時間軸(App Storeは結局2008年に発表され、その年の7月に公開された)の要求によってハードルは上がり、合わせてこのプロジェクトに関わる全チームに対する緊急性が求められた。何をおいても早く作らなければならない。

良いものを作ることにかけて、Appleが秀でている理由はこの能力にある。常に優れているわけではないが、●常に100%のものなどなく、10年間に出したソフトウェアとハードウェアのヒット率は驚くほど高い。鮮明で無駄がなく甘えも曖昧さもないコミュニケーションと、自身の能力と自分が雇った人たちの能力を確信しているリーダーが組み合わされば、自らの関与を誇示するためにプロセスの動きを止める必要はない。

人間は1人では生きられない。明確でよく練られた提案書やプロジェクト概要書も、自信のない無能な幹部に送れば、縄張り争いや説明要求の無限ループを引き起こすだけだ。そして幹部がいかに効率的で、いかに社員が有能でも、思考の明確化が「歓迎され称賛される」環境がなければ、大胆で意図を明確にしたプロダクト開発は実現できない。

このメールのやりとりは、現在のアプリエコシステム時代全体とインターネット技術の爆発的成長フェーズを支える恐ろしく重要な歴史の一片だ。そしてそれは、これほど長い期間Appleを効果的で並外れて効率的な会社にしている環境の象徴でもある。

これは学んだり真似たりできるものだろうか?おそらく。ただし、関わっている全員が上に上げた重要項目を育むのに必要な環境を作ろうという意志があるのなら。10回中9回、あなたの幹部は瀕死状態にある。成功するために大胆な取り組みをしたり、いばらの道を進むことを妨げる環境だ。しかし、10回目には、魔法が手に入る。

そうだ、この機会に乗じて次のミーティングはメールでできるかもしれない。

バートランド・サーレイとスティーブ・ジョブズがメールで世界を変えられたなら、たぶんあのミーティングはいらないだろう。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:AppleApp Storeスティーブ・ジョブズiPhoneアプリ

画像クレジット:Matthew Panzarino

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(文:Matthew Panzarino、翻訳:Nob Takahashi / facebook

中国ByteDanceの動画編集アプリ「CapCut」が米App Storeランキング1位に

​CapCutのスクリーンショット

中国のアプリが、西洋諸国のGoogle PlayとApp Storeのランキングでトップに輝くのをときどき目にする。それはセルフィー画像加工やカジュアルなビデオゲームなど、世界にアピールしローカライゼーションの手間をそれほど伴わないユーティリティツールだったりする。しかし大半は取るに足らないものでありがちだ。

海外のチャートのトップに躍り出た最新の中国アプリはTikTokの運営会社ByteDance(バイトダンス)からのものだ。CapCutというビデオ編集アプリではユーザーはスティッカー、フィルター、エフェクトを加えられるだけでなく、Ken Burnsエフェクトのように作用するズーム機能の使いやすいグリーンスクリーンファンクション、その他にも多くの機能を搭載している。そのためいつでもアクセスできるFinal Cutのようなアプリになっている。

ユーザーは使用する音楽の代金を心配する必要はない。CapCutはライセンスを取得しているサウンドクリップのライブラリーを備えていて、ユーザーはコンテンツをおもしろくするのにそれらを使うことができる。TikTokは2020年ミュージシャンをスカウトしたり大手レーベルと契約を結んだりといった取り組みを通じて音楽ライブラリーの拡充を図ってきた。

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ByteDanceは最初にサービスを無料提供することでかなりのユーザーベースをひきつけ、そしてユーザーがプロダクトを頻繁に使用するようになった後に収益化モデルを模索するという手法に熟達している。CapCutでも同じアプローチを取っているようだ。

CapCutの中国における姉妹アプリJianyingはDouyin(TikTokの中国版)ユーザーの間ですでに成功している。そして現在、そのパターンが中国外で繰り返されている。TikTokユーザーは、何回かスマホをタップするだけでビデオをスムーズでプロの作品のようなものにすることができるCapCutを利用している。

調査会社SensorTowerによると、CapCutは米国時間5月21日以来、米国のApp Store無料アプリランキング第1位で、米国Google Playでは記事執筆時点で第9位だApp Annieによると、世界33カ国で無料iOSアプリランキング第1位となっている。

CapCutはApp StoreとGoogle Play合わせて世界で計2億5000万回超インストールされ、うち950万回近くが米国のアプリストアでのものだとSensorTowerは指摘する。

CapCutの人気ぶりは中国の写真編集アプリ「Meitu」を彷彿とさせる。Meituは中国ではセルフィー画像加工と同義語になったくらい人気で、しっかりとした忠実な国外ユーザーのベースも持っていた。CapCutとMeituの違いは、CapCutの人気が姉妹アプリTikTokのグローバルな優位性の上に築かれているのに対し、ユーザーの使用頻度を増やすための写真ツールソーシャルネットワークを展開しようというMeituの初期の試みは実現することはなかった。

CapCutはおそらく、クチコミで人気となるByteDanceの最後のアプリではない。TikTokの広大なコンテンツ帝国はビデオ編集、あるいはクリエイターが収益を上げるため、そしてユーザーがお気に入りのインフルエンサーおすすめのプロダクトを購入するeコマースサービスなど、さらに派生していくだろう。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:ByteDanceTikTok動画編集App Storeアプリ

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(文:Rita Liao、翻訳:Nariko Mizoguchi

ティム・クック氏はEpic Games対アップルの反トラスト裁判でしらを切る

Apple(アップル)CEOのTim Cook(ティム・クック)氏は米国時間5月21日、初めて証言台に立った。おそらくEpic Games(エピックゲームス)対Appleの反トラスト訴訟で最も期待されていた証言だ。しかし、クック氏はEpicの偽りや申し立てを激しく非難するのではなく、重要な質問の多くに対して答えなかったり答えられないとして、注意深く準備された穏やかな無知を装った。

この期待はずれの結果は派手な報道にはならないものの、AppleのApp Store(アップ・ストア)が独占に当たるとする少々疑わしいが危険な主張を無力化する効果はあるかもしれない。

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Appleの弁護人に呼ばれクック氏は証言台に立った、と法定に入ることを許されたメディア関係者2名のうちの1名であるLaw360のDorothy Atkins(ドロシー・アトキンス)氏が自身の詳細な証言ライブツイートで言った。クック氏からの引用は報じられたものであり逐語的ではないことに注意されたい。裁判所の速記録は後にまとめられて公開される予定だ。ちなみに、アトキンス氏による舞台装置の描写は魅力的かつ人間味あふれるものだが、EpicのCEOであるTim Sweeney(ティム・スウィーニー)氏は少々風変わりに見える。

スウィーニー氏はEpicの弁護人席に座り手元のペンを見つめている。弁護士のGary Bornsten(ゲリー・ボーンステン)氏が時折耳打ちしている。クック氏はリラックスした様子で脚を組んでいる。たった今隣に座っている人の方を向き、何かを言った後、笑った。

自社の弁護士によるクック氏に対する質問は穏やかで、AppleのApp Storeが優れていてiOSユーザーにとって十分である理由を繰り返す一方で、厳しい競争が存在していることも説明した。クック氏は少数のデベロッパーとの確執が存在していることを認め、優先度のち外や発見の改善が必要であることなどを挙げたが、デベロッパーとユーザーを維持するために会社は努力を続けていると語った。

うわべだけの無邪気な無知は、クック氏がAppleの研究開発費の数字(最近3年の年額が150~200億ドル[約1兆6330億〜2兆1770億円])を尋ねられたときに始まった。具体的には、Appleはその金額のうちどれだけがApp Storeに向けられたかを推定できない、なぜなら「当社はそういう割当て方をしていないから」だと同氏は言った。つまり、個々のプロダクトのための研究予算は、それ以外と区別されていない。

いやいやそれは納得できない、そうだろう?Appleのような会社は自社の製品や研究にいくら使っているかを1セント単位で把握している。仮に完全に分類できないとしても(MacOSコードの進展がApp Storeの一機能に取り入れられるなど)、会社は自社のリソースがどう割り振られ、どんな効果を得ているかをある程度知らないはずがない。App Storeの研究開発費の控えめな見積もりとリベラルな見積もりの違いは少なくない可能性がある。おそらく数億ドル(数百億円)単位で。しかも、そうした見積もりは間違いなく社内では行われている。そうでなければ企業として愚かである。

しかし、その数字は公表されず分類されていないため、そしてその数字はある程度曖昧であるに違いないため、クック氏は「App Storeの2019年の研究開発費は5億ドル(約540億円)である」というような具体的数字はない、と堂々と語ることができる。

確かな数字がないことはEpicの拠り所をなくす。数字はどちら向きにでも使うことができた。もし大きければ、会社は金の卵を生むガチョウを守っている(市場支配力を行使している)。もし小さければ、卵を集めている(市場支配力を通じて家賃を集めている)だけだ。Appleにとって唯一勝つ方法は何も演じないことなので、クック氏は沈黙を演じ、その結果Epicの主張は憶測のように見える(そして、Appleがいうように、作り話のように見える)。

次にクック氏は、利益に関する指摘の先手を打って、競争の激しさを訴える同様の戦略を展開した。彼は約2750億ドル(約29億9380億円)の純売上高と21%の利益率だけを挙げ、AppleはApp Storeの売上を独立事業として評価していないと語った。

たしかに、App Storeが大きなビジネス構造と非常に強固に結合された部門であるというのはわかる。しかし、独立事業として評価できないという考えはばかげている。Appleのあらゆる部門や製品ラインと同じく、App Storeの業績が社内で詳細に分析され報告されていることは間違いない。しかし、法的な目的においては「App Storeの売上と利益はこれこれである」と言えるほど単純でないこともまたたしかであり、結果的にEpicの前提はくずされる。

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しかし、これはEpicが独立した調査が必要だと考えたほど重要なことだった。そしてEpicの弁護士は、証人尋問の最初に、裁判の初期に専門家が証言したAppleのApp Storeの営業利益は約79%であるという供述を持ち出した。

こうした数字を認めることも否定することもAppleの利益にはならいので、クック氏はここでも無知を貫いた。ただし、わずかに本性が覗いたのは、Epicの弁護士がクック氏に対し、MacとiOS App Storeを合わせた機密の売上数値を分割するよう依頼した時だった。Appleがこれに反論し、それは部外秘であり非公開裁判でのみ公開できるとした一方で、クック氏はiOSの数字はMacの数字より「ずっと大きい」と発言した。

ここに見られるのは、もう1つの財務上の巧妙なごまかしだ。iOSとMacの売上を混ぜ合わせることで、Appleはそれぞれいくら金が使われいくら稼いだかを曖昧にしている。それらを分離しようとしたEpicの試みは成功しなかったが、裁判官の目は節穴ではない。彼女はEpicと同じものを見ている、ただしぼんやりと。Appleは曖昧で操作しているように思われるリスクを取ってでも、Epicの法的勝利を否定しようとしている。

これは、クック氏がAppleとGoogle(グーグル)と結んでいる検索エンジンをiOSのデフォルトにする契約について質問されたときにもあらわになった。クック氏は、具体的数字は覚えていないと語った。

世界最大のテック企業のCEOが、もう1つの世界最大級のテック企業との10年に渡る数十億ドルの契約の詳細を覚えていないと言ったら、あなたは信じるだろうか?

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それ以外の証言はほとんど何も明らかにしなかった。クック氏は、中国などの現地法が技術的、政治的な障害になる地域での経営の複雑さを述べ、Appleが30%の手数料をとっているアプリ内購入の範囲を拡大したことについての議論を最小化した。非公開法廷での証言がもう少し行われたが、機密情報に関わるため我々が知ることはないだろう。

裁判は終わりに近づき、そこに驚きはほとんどなかった。双方が最初に主張を展開し、そのほとんどは裁判長による事実の解釈に委ねられる。劇的な驚きも決定的な証拠もなかった。それは何が独占的行為を構成するかに関する新たな主張にすぎなかった。AppleはAndroidとの競争は存在し熾烈であり、ゲームの世界ではWindowsとゲーム専用機とも競争していると頑なに主張した。

判決がどちらに傾いたとしても、控訴されて上級裁判所に行くことはほぼ必然だが、判決は、Epicの主張(とAppleのぼやかし)がどこまで受け入れられたかを示す強力な指標になる。いずれにせよ、EpicやAppleのApp Store手数料(会社がどう隠そうとも莫大な利益を挙げている)を批判するその他の人々にとって、目的はすでに達成されている。Appleが最初の100万ドル(約1億1000万円)に対する手数料を15%に引き下げたことは、デベロッパーの騒動とマスコミの酷評に対する答えであることは明らかであり、今Appleはソーセージがどうやって作られているかを守る立場に立たされている。

Appleの陽極酸化アルミニウムの塔を曇らせることは、少なくとも目的の一部なので、勝っても負けてもEpicは、払った金に見合うものを手に入れた気分かもしれない。ヨーロッパでの再戦はまだこれからだ。

カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:AppleEpic Games反トラスト法裁判ティム・クックApp StoreFortnite

画像クレジット:Josh Edelson/AFP

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nob Takahashi / facebook

米上院は独禁法公聴会でアップルのApp Storeにおける不正防止の怠慢を非難

米国時間4月21日に米上院司法委員会の反トラスト法小委員会で開催されたヒアリングでApple(アップル)はApp Store における詐欺的行為についても追及を受けた。Appleはこれまで、App Storeにおける高額の手数料はAppleが詐欺、不正を防止し消費者を守るために必要だと主張していた。しかし最近デベロッパーコミュニティは「Appleは詐欺的であることが明白な有料・課金アプリに対して防止の努力を十分払わずこうしたアプリ全般に対する消費者の信頼損ねている。そのため合法的なサブスクリプション・ビジネスに対しても悪影響が出ている」と主張している。

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特にあるデベロッパーのKosta Eleftheriou(コスタス・エレフテリウ)氏はApp Storeにおける明白な不正を暴くことを自らの使命としている。エレフテリウ氏はいわば企業犯罪取締のワンマンアーミーとしてレビュー欄に大量のフェイク投稿を載せてユーザーを集めるなどの有害アプリをTwitter で告発し続けてきた。

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これまでに発見されたこうした詐欺行為の中でも特に目立つものは、あるユーザーの全財産であるビットコイン約60万ドル(6500万円)を騙し取った暗号資産ウォレットや、オンラインカジノを隠した子ども向けゲーム年間500万ドル(約5億4000万円)を騙し取ったVPNアプリなどがある。そもそもエレフテリウ氏をこの活動に向かわせる発端となった詐欺事件も詳しく報告している。同氏が開発したApple Watchアプリのライバルがマーケティング資料を盗み、アプリをコピーし、金を払って偽のレビューを投稿させたという。これによって詐欺アプリの方が優れた選択肢であるかのように見せかけて「ユーザーから年間200万ドル(約2億2000万円)をだまし取った」とエレフテリウ氏は主張する。

エレフテリウ氏のツイートは、アプリ開発者コミュニティで大きな注目を集めた。デベロッパーは自分が発見した詐欺の事例をエレフテリウ氏にメールで送るようになった。同氏は最近、さらに一歩を進め、App Store詐欺によって被った損害についてAppleを相手に訴訟を起こした

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上院の反トラスト法ヒアリングではエレフテリウ氏の名前は言及されなかったが同氏の努力が広く評価されていることは確実だ。

ヒアリングではJon Ossoff(ジョン・オソフ)上院議員(ジョージア州、民主党)がAppleの最高コンプライアンス責任者Kyle Andeer(カイル・アンディア)氏に対し「なぜアップルはこのような詐欺的アプリを摘発できないのか?」と質問した。オソフ上院議員は「これらが詐欺的アプリであるのは明白であり、そのようなものと判断するのは極めて容易なはずだ」と述べた。

上院議員は「なぜ我々は App Store における不正を発見するためにデベロッパー・コミュニティやジャーナリストからの情報に頼らねばならないのか?」と追求した。これはおそらくエレフテリウ氏の活動を念頭に置いたものだろう。

エレフテリウ氏自身は「(詐欺アプリの発見に)さして努力を払ったことはない」と述べている。「高い利益を上げているアプリについて不審なユーザーレビューがないか利用料金が高額ではないかチェックするだけです。その両方に当てはまるならおそらく詐欺です」という。

上院議員の質問に対しアンディア氏は「我々はApp Storeのセキュリティ強化と改善のために数千万ドル(数十億円)から数億ドル(数百億円)を投資しています」と述べて反論した。

アンディア氏は続けて「アプリストアにおけるセキュリティ強化と詐欺の防止はモグラ叩きです。このビジネスに携わっている全員がそう認めるでしょう。だからこそ、私たちは常に改善に取り組んでいます」と述べた。またAppleは不正行為者を発見するために膨大なリソースを新しいテクノロジーに投資していると主張した。同氏はApp Storeが消費者にリスクをもたらすアプリケーションを毎年何千も拒否していることを指摘した。

同氏はApp Store を運営しているのがApple でなかったら事態はさらに悪くなっていただろうとして次のように述べた。

誰しも完全な仕事はできません。しかし私たちは他社よりも優れた仕事をしていることを何度も証明してきたと思っています。App Store に登録されたアプリ以外のプログラムをサイドロードすることやサードパーティのアプリケストアにiPhoneを開放することはこの問題をますます悪化させるものと考えています。他のアプリストアや配信プラットフォームを観察すると、その状態は恐ろしいものです。

オソフ上院議員は、サイドローディングに関しては別途質問するとして詐欺アプリについて再度「Appleはこうした詐欺的アプリからも手数料を徴収していすね?」と質問した。

アンディア氏は「そういうことはないと考えてます。詐欺あるいは不正を発見すれば我々は直ちに是正措置を取ります。これは毎日行われています 」と答えた。

しかし、mAppleがApp Storeの詐欺からどの程度の利益を得ていたのかについては明確にならなかった。オソフ上院議員はAppleが詐欺による請求で得た収入の「全額」を被害者に返金したのかどうか、言い換えれば、これまでに契約したすべての顧客が、詐欺が確認されたときに返金を受けたのかを尋ねた。

アンディア氏の答えはいささか漠然としていたが、どうやら現行のシステムでは「詐欺を通報しまた苦情を申し立てた顧客については返金している」ことになっている受け取れた。同氏は、詐欺が発見された場合「顧客全員に返金している」とういう表現を避け「Appleは顧客が満足するよう取り計らっている」と慎重に答えた。アンディア氏はこう述べた。

もちろんAppleには毎日この作業を行っている専門チームがあります。私の理解によれば、チームは顧客の立場に立って懸命に働いています。顧客の満足が結局のところ私たちが最も重視する点です。もし顧客の信頼を失えば、Appleにとって痛手となります。

しかしエレフテリウ氏はこうした説明に満足していない。同氏は TechCrunchの取材に対して次のように述べた

昨日の公聴会でのオソフ上院議員の質問は的確なものでしたが、Appleは事実上回答から逃げました。デベロッパーコミュニティの全員はこれに対して怒りを感じています。App Storeでは何年も数百万ドル規模の詐欺行為がチェックされず見過ごされtえいています。しかしこれを発見するのは私のような個人でも簡単なのです。なぜAppleが見過ごしているのか、その理由についてAppleはまったく説明しませんでした。またApp Storeでの詐欺行為に対しAppleに責任があるのかどうかについても明確な回答をしませんでした。

Appleはこうした詐欺行為から利益を得ているように受け取れます。つまり後になって詐欺的と判明したアプリを削除しても、すべてのユーザーに被害金額を返金するのではないのです。私たちは10年以上にわたり、Appleの問題点を指摘し続けてきました。上院反トラスト法委員会には、こうした疑問の真相を究明するよう強く求めます。これには数年前にApp Storeでユーザーが疑わしいアプリに通報フラグを立てる機能を削除したAppleの不可解きわまる決定も含まれます

Appleにコメントを求めているがいまのところ回答がない。

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(文:Sarah Perez、翻訳:滑川海彦@Facebook

アップルとグーグルが上院の独禁法ヒアリングでサードパーティーアプリのデータ共有の詳細を問われる

米国時間4月21日、米上院で行われた反トラスト法に関するヒアリングでAppleとGoogleの代表がそれぞれのアプリストアで収集されたデータを不当に利用していないかどうか質問された。プラットフォームにアプリを登録しているサードパーティーの企業のデータを自社の製品開発に流用し、不当に競争力を得ることを防ぐために「厳しいファイアウォール」その他の内部ポリシーを設けているかどうかが焦点となった。Richard Blumenthal(リチャード・ブルーメンソール)上院議員(コネティカット州、民主党)はAppleに対して「sherlocking(シャーロッキング)」という慣行について質問した。同上院議員はAppleの開発者コミュニティでは他のアプリをコピーする行為が一般的になっており「シャーロッキング」というニックネームで呼ばれていると指摘した。

Sherlock(シャーロット)というソフトウェアはWikipediaに1項目を立てた記事が掲載されているが、2000年代初頭にAppleが開発した検索ツールだ。サードパーティーのデベロッパーであるKarelia SoftwareはSherlockのライバルとなるWatsonという検索ツールを開発した。この製品の成功に対し、AppleはWatsonと同一の機能を自社のSherlock検索ツールに追加したためWatsonは事実上ビジネスの継続が不可能となった。後に「Sherlock」ないし「sherlocking」という呼び名はAppleがサードパーティーのデベロッパーのアイデアをコピーし、ライバルを脅かしたり潰したりすることを意味するようになった。

以後、デベロッパーコミュニティはAppleは多年にわたって数多くのアプリを「Sherlock」してきたと主張してきた。例えばデスクトップ・ウィジェットのKonfabulator、ポッドキャストマネージャーのiPodderX、ウェブサイト作成アプリSandvox、Mac OS Xの通知システムGrowl、さらに近年では、画面のブルーライト軽減ツールF.lux、iPadをサブディスプレイにするアプリDuetとLunaに加えてさまざまなスクリーンタイム管理ツールなどがそうだという。今回、TileはAppleのAirTagは不当な方法で同社の市場を脅かすものだと主張している。

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ブルーメンソール上院議員がヒアリングで質問した相手はAppleのKyle Andeer(カイル・アンディア)最高コンプライアンス責任者とGoogleのWislon White(ウィルソン・ホワイト)公共政策および政府関係担当シニアディレクターだ。同上院議員はAppleのアプリストアとビジネス戦略立案の間に何らかの「ファイアウォール」を採用しているか尋ねた。

アンディア氏は「上院議員の質問を正しく理解しているなら、AppleではApp Storeを管理するチームと製品開発戦略に携わるチームは別個の存在しです」と述べ質問をかわそうとした。

これに対しブルメンソール議員は「ファイアウォール 」の意味を具体的に説明した。つまり、それぞれを担当するチームが存在するかどうかではなく、App StoreとAppleの他事業部の間でデータ共有を禁止する社内規定の有無を尋ねているのだと述べた。

アンディア氏は「私たちは適切な管理を行っています」と答えた。

これに続いて「過去12年間、Appleはごく少数のアプリとサービスを導入したのみです」と述べた。いずれの場合においてもApp Storeには「サードパーティーによる数十の選択肢があり、そうしたライバルのアプリがAppleの製品より人気があることも多々ありました」とした。

アンディア氏は「我々はコピーしませんし、敵を潰したりしません。私たちがしているのは新しい選択肢と新しいイノベーションを提供することだけです」と述べた。

この主張は、SpotifyとApple Music、NetflixとApple TV +、KindleとApple Booksなど強力なライバルとの競争の場合には当てはまるかもしれない。しかしAppleがiPadをサブディスプレイにすることができる機能であるSidecarを導入したときのようにAppleが限定された領域で改良を行う場合は別だ。DuetやLunaのようなアプリがサブディスプレイ接続のニーズがあることを証明したもののSidecarの導入でサードパーティーのアプリは行き場を失った。

もう1つの例は、AppleがiOSに視聴時間制限機能を組み込んだときだ。サードパーティーのスクリーンタイムアプリのデベロッパーにAPIを提供しなかったため消費者はサードパーティーのアプリからAppleのスクリーンタイム設定機能にアクセスすることが不可能となった。このためユーザーはサードパーティーの専用インターフェースや独自機能を利用できなかった。

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ブルーメンソール議員はファイアウォールの存在に関するアンディア氏の答えた「ノー」だと断定した。

同じ質問を受けたGoogleのホワイト氏は「Googleにはサードパーティーのサービスからのデータの使用方法に対するデータアクセスコントロールが実施されていると理解しています」と答えた。

上院議員はこれが前述の「ファイアウォール」であるかどうかを明確にするようさらに迫った。議員はサードパーティのデータへの別チームの「アクセスを禁止しているかどうか」に明確に答えるよう求めた。

「Google自身のサービスと直接競合するような仕方でサードパーティーのサービスを利用することは禁止されています。Googleにはそれを管理する内部規定があります」とホワイト氏は述べた。

この時点で時間切れとなったため、ブルーメンソール上院議員は「フォローアップ質問は書面で行う」と述べた。

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(文:Sarah Perez、翻訳:滑川海彦@Facebook

保守派お気に入りのソーシャルメディアアプリParlerが数カ月の禁止を経てアップルのApp Storeに復活へ

Apple(アップル)が米上院議員Mike Lee(マイク・リー)氏と下院議員Ken Buck(ケン・バック)氏に送った書簡によると、同社は数カ月にわたって禁止措置となっているParler(パーラー)をApp Storeに復活させる。書簡は米国時間4月19日朝にバック氏のTwitterへの投稿で公になった。TechCrunchも書簡を入手し、そしてAppleに直接確認した。リー氏とバック氏は3月31日に、保守派の人のかなりのお気に入りであるParlerがなぜApp Storeから削除されたのか、追加の情報を求めてAppleに書簡を送っていた。Appleは返事で、Parlerがどのように規則を破ったかについて説明しているが、アプリの削除以来、Parlerのチームとかなりやり取りしてきたと述べた。Appleはまた、Parlerが提案したアプリへのアップデート、コンテンツ、モデレーションのプラクティスによってApp Storeへの復活がすぐに承認されることになるだろう、とも述べている。

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米国会議事堂での暴動後、トランプ氏のサポーターや極右ユーザーが暴力を求め、議事堂乱入の計画を立てるのにいかにParlerが使われてきたかが明るみに出た後、AppleはParlerを禁止したプラットフォームの1つとなった。この暴動では5人が死亡し、警官140人超が負傷した。そして数百人が逮捕されることとなった。

Google(グーグル)とAmazon(アマゾン)も議事堂暴動後にすぐさま自社プラットフォームからParlerを排除した。

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Appleの場合、まずParlerにコンテンツモデレーション改善計画を提出しなければアプリが削除される、と通告した。しかしParlerの当時のCEOであるJohn Matze(ジョン・マッツェ)氏は自身のParlerアカウントにAppleの最後通牒には降参しないと投稿し、Appleの要件を満たさなかったParlerアプリは禁止となった。その数週間後にマッツェ氏は共和党後援者のRebekah Mercer(レベッカ・マーサー)氏が牛耳るParlerの役員会によってクビとなった

Parlerはアプリが削除されて以来、App Storeへの再登場に向けて取り組んできた。しかし依然として基準を満たさなかった。例えばBloombergは2021年3月、Parlerが2月に提出した新たなガイドラインは、違反コンテンツに関する問題でApp Storeのルールに十分に沿うものではなかった、と報じた。2021年2月25日にParlerのポリシー担当最高責任者に送られた書簡には「悪意に満ちた、人種差別的、不公平なコンテンツはApp Storeでは一切受け入れられません」とあった。

2021年4月19日に出された同社の新たな書簡によると、状況は変わった。Appleは4月14日付でParlerが提案したモデレーションプラクティスが復活要件を満たしていると伝えた。Appleの北米政府業務担当のシニアディレクターTimothy Powderly(ティモシー・パウダリー)氏の署名が入った書簡には次のように書かれている。

AppleがParlerアプリをApp Storeから排除して以来、AppleのアプリレビューチームはParlerアプリをガイドラインに則ったものにしてApp Storeに復活させようと、Parlerとかなりのやり取りをしてきました。その結果、Parlerはアプリのアップデートとコンテンツモデレーションプラクティスを提案し、アプリレビューチームは4月14日付で同社が提案したアップデートされたアプリのApp Storeへの復活を承認すると伝えました。アップデートされたParlerアプリがリリースされ次第すぐに利用できるようになると見込んでいます。

書簡はまた、Parler削除という判断についてGoogleやAmazonと相談しなかったとも書いている。この言及は、削除は保守派を黙らせるためのテック企業間の組織的な対応だったという嘘の主張を沈静化させることを意図している。

AppleはParlerがどういった変更に同意したのか詳細は明らかにしなかったが、2021年初めにはアプリはまだかぎ十字や白人主義の画像をユーザープロフィールで使用することを許すなど、Appleのガイドラインに沿っていなかった。Parlerは女性増悪的、同性愛嫌悪的、そして人種差別的なユーザーネームや投稿を認めていたからだ、とBloombergは当時報じた。

CNNが4月19日朝に最初に報じたAppleの書簡は、提出されればParlerがすぐに承認されることを示している。

Appleはまた、Parlerの再ローンチのタイムフレームはParlerの判断次第だとTechCrunchに述べたが、追加のコメントはなかった。

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タグ:ParlerAppleApp Storeアプリ

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

アップルとグーグルがアプリストアの競争に関する米上院公聴会に出席

姿を見せない思われていたApple(アップル)が、2021年4月末に行われる同社アプリストアの独占禁止をめぐる上院の聴聞会に代理人を送ることを約束した。

先に上院議員のAmy Klobuchar(エイミー・クロブシャー)氏(民主党・ミネソタ州)とMike Lee(マイク・リー)氏(共和党・ユタ州)はAppleに圧力をかけた。クロブシャー氏はこの小委員会の議長を務めており、テクノロジー業界で最も支配的な企業に対する独占禁止法上の懸念に焦点を当てている。

Google(グーグル)も出席するその聴聞会では、AppleとGoogleによる「消費者とアプリの開発者と競争に及ぼす、モバイルアプリケーションのコストと配布と可用性に関するコントロール」を徹底的に掘り下げられる。

アプリストアはテクノロジー業界において、二社による複占の嫌疑を最もかけられている部分だ。その疑いは、FortniteのメーカーであるEpic Gamesに対するAppleの高飛車な法定闘争で一層深まった。しかし一方ではテクノロジー大手に対する州レベルの規制もいくつか芽生えており、アリゾナでは、AppleとGoogleによるアプリストアの利益の簒奪から開発者を護る方策が模索されている

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先週の書簡で、クロブシャー氏と小委員会の有料メンバーであるリー氏は、Appleが4月21日に行われる公聴会に証人を送らないと決めたことを「唐突」に非難した。

「Appleが突然方針を変えて、4月に行われるアプリストアの競争の問題に関する小委員会で、証人の提供を拒否したことは、同社が他の公共の場では明らかにそれらの問題を議論する意思を示しているだけに、容認できない」と議員たちは述べている。

4月12日には、この圧力が効果を表したようで、Appleは公聴会への出席に合意した。この件に関して、Appleはコメントの求めに応じなかった。

議員たちはAppleの応諾を勝利に数えたが、同社CEOが出席するとは限らない。テクノロジー大手のCEOたちが議会に呼ばれる機会はここ数年増えているが、そこから得られる成果はむしろ減っているかもしれない。

テクノロジー企業のCEOたちは、AppleのTim Cook(ティム・クック)氏も含めて、議員から圧力を受けたときには実のあることを何も言わない術を学習している。CEOを引っ張り出すことは権力の誇示にはなるかもしれないが、テクノロジー業界の役員たちは一般的に、その長い証言の過程でほとんど何も明かさない。ヒアリングに本格的な取り調べが並行していない場合には、特にそうだ。

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)

アップルがApp Storeの反トラスト訴訟でEpicの秘密プロジェクトを告発、Epicは独占を批判

Epic Games(エピックゲームス)対Apple(アップル)の後者による独占的慣行を巡る裁判は2021年5月に始まり、4月8日に両者の主張が発表された。裁判所の意向により一部削除されている。基本的事実の合意を踏まえ、両者はそれぞれの解釈について争う、そのために両CEOが(バーチャル)証言台に立つ可能性は高い。

先にTechCrunchでも報じたように、Epicの主張の論旨は、Appleのアプリ市場支配と30%の手数料が反競争的行動であり、反トラスト法で規制されるべきだというものだ。同社は、自社のゲーム内通貨ストアを人気のゲーム「Fortnite(フォートナイト)」に忍び込ませてAppleの支払い方法を回避するという、不法行為とされる行動で反逆した。CEOのTim Sweeney(ティム・スウィーニー)氏は後日、うかつにもこれを悪法に抵抗する公民権運動になぞらえた。

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Appleは市場独占の訴えを否定し、同社が自身のApp Storeだけでなく、市場全体で膨大な競争に直面していることを主張した。そして手数料の割合に関しては、ある程度調整の余地はあるだろうが(Appleは2020年を通じて批判を浴びたあと、デベロッパーの最初に100万ダウンロードについて取り分を15%に引き下げた)違法である可能性は低い。

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一方Appleは、反トラストの申立て自体も、関連した言いがかりも、Epicの人目を引くための宣伝行動にすぎないと主張した。

実際Epicは、訴訟を提起した時点で広報戦略の準備をすべて整えており、訴状には「Project Liberty」 と呼ばれる長期的社内プログラムがあった(Appleは下落しているFortniteの売上を強化するため、としている)。EpicはPR会社に30万ドル(約3300万円)ほどを払い「アプリ公正性のための連合」を通じたAppleとGoogleに対する複数企業による告発キャンペーンを含む「2フェーズのコミュニケーション計画」を指示したと見られている。

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Project LibertyはAppleの訴状の中で1つの節全体を占めており、Epic Gamesとスウィーニー氏による「Googleを(おそらくAppleも)反トラストを巡る法廷闘争に引き込む」計画が詳しく述べられており、内部のメールによると、決済システムを回避してアプリストアから追放されることをきっかけにしようとしていた。EpicはProject Libertyにはわずか1段落でのみ言及し、プロジェクトを秘密にしていた理由を「Epicは、AppleにFortnite Version 13.40を拒否されることなく、これを公表することが不可能だった」ためだと説明した。つまりそれは違法な決済システムが組み込まれたバージョンだったという意味だ。およそ説得力のない反論だ。

果たしてAppleの手数料は高すぎるのか、また果たしてEpicはFortniteの儲かる期間を伸ばすためにこれをやっているのか。裁判は反トラスト法と方針に基づいて裁定されるが、その点でこの裁判はAppleにとってさほど恐ろしいものには思えない。

双方の法的議論と事実の概要は数百ページにわたるが、要点はEpic Gamesの訴状の最初の一文に十分要約されている。「本訴訟はAppleによる同社iOSエコシステム内の2つの市場における市場独占を告発するものである」。

具体的には、Appleが自ら作り当初から管理し、デジタル配信およびゲーム分野においてあらゆる競合相手から明確に非難されているそのエコシステムの上で、Appleが支配者であると言えるのかどうかを争う裁判だ。

しかし、一介の記者の意見などあまり役に立たない。だから裁判が行われるのであり、2021年5月に予定されている。示すべき根拠はたくさんある。Epic Gamesの主張の説明は、Appleの反論と同じくらい正確でなくてはならない。その意味でも、Apple CEOのTim Cook(ティム・クック)氏、Epic CEOのティム・スウィーニー氏、Appleの元マーケティング責任者でおなじみの顔Phil Schiller(フィル・シラー)氏らによるライブ証言が楽しみだ。

証言と質問のタイミングと内容は後日までわからないが、聞くに値する興味深いやり取りがあることは間違いない。裁判は5月3日に始まり、約3週間続く。

これに関連して他にもいくつか裁判が進行中であり、AppleがEpicを契約違反で訴えている対抗訴訟もその1つだ。多くの訴訟がこの主要な訴訟の結果に全面依存している。すなわち、もしAppleの契約条件が違法であれば、契約違反そのものが成立しない。そうでなければ、Epicが自ら規則違反を十分認めていることから裁判は事実上終わっている。

双方が提出した「事実認定案」の全文はこちらで読むことができる

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タグ:Epic GamesApple独占禁止法App StoreFortnite裁判

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nob Takahashi / facebook

米国のiPhoneユーザーは2020年に平均1万5200円をアプリに支出

アプリストア分析会社Sensor Towerが発表した新しいデータによると、米国の消費者は2020年、iPhoneアプリに前年比38%増の平均138ドル(約1万5200円)を使った。この増加は主にパンデミックの影響によるものだ。1年を通じて消費者は仕事、教育、エンターテインメント、ショッピングなどのためにiPhoneを使い、ユーザー1人あたりのアプリ支出額は前年比42%増と過去最多となり、年間成長率も2016年以来の高さとなった。

Sensor Towerは消費者支出の増加傾向が2021年も続くと予想し、米国でアクティブのiPhone1台あたりの消費者支出は平均180ドル(約1万9900円)に達する見通しだとTechCrunchに話した。こちらも、少なくとも部分的にはパンデミックによる増加で、特にパンデミックが焚き付けたモバイルゲームへの支出の増加が要因だ。

画像クレジット:Sensor Tower

2020年の米国におけるiPhoneアプリの支出増加は世界のトレンドを反映した。Sensor Towerによると消費者はiOSとAndroidアプリで過去最多の1110億ドル(約12兆2741億円)を、App Annieによると1430億ドル(約15兆8126億円)を使った。App Annieの分析には中国のサードパーティーAndroidアプリストアも含まれている。

関連記事:モバイルアプリが成長を続けた2020年、ダウンロード数は記録的な2180億件に、消費者支出は約1兆4900億円

2020年の米国のiPhone消費者支出が最も多かった部門は、もちろんゲームだ。

米国ではデバイス1台あたりのモバイルゲームへの支出は2019年の53.80ドル(約5950円)から2020年には76.80ドル(約8490円)へと43%増えた。これは、44ドル(約4865円)だった2018年から53.80ドル(約5950円)だった2019年にかけての成長率22%よりも20ポイント以上高い。

米国のユーザーは支出額の大半をCandy Crush SagaやGardenscapesといったパズルゲームに使った。こうしたゲームは人々がパンデミックやそれに関連するストレスを吹き飛ばすのに役立ったかもしれない。この部門の支出額はアクティブなiPhone1台あたり平均15.50ドル(約1710円)で、カジノゲームの平均13.10ドル(約1450円)がそれに続く。こちらはコロナ禍で実際のカジノ場の閉鎖が影響した。戦略ゲームの2020年支出額も急増し、iPhoneユーザーあたり平均12.30ドル(約1360円)となった。

画像クレジット:Sensor Tower

アプリ内支出でもう1つの大きなカテゴリーはエンターテインメントだった。劇場やコンサートホールが閉鎖され、かなりの数の消費者がストリーミングアプリに向かった。Disney+はパンデミックによる都市封鎖が始まるほんの数カ月前の2019年後半に続いてHBO Maxが2020年5月に提供を開始した。

この部門のデバイス1台あたりの平均支出は過去2番目に多い10.20ドル(約1130円)で、2019年の8.10ドル(約895円)から26%増だった。参考までに、2018年から2019年にかけての成長率はわずか1%だった。

デバイスあたりの支出額のトップ5位に入った他のカテゴリーとしては、写真・ビデオ(56%増の9.80ドル、約1080円)、ソーシャルネットワーキング(41%増の7.90ドル、870円)、ライフスタイル(14%増の6.50ドル、720円)がある。

こうした支出額の増加はTikTok、YouTube、Twitchといったアプリと結びついていた。特に、Twitchでの2020年支出額は米国のiPhoneで前年に比べ680%増加した。一方、TikTokは140%の成長だった。ライフスタイルの部門では、バーやクラブが封鎖される中、消費者が都市封鎖の間に他人とバーチャルにつながろうとしたことを受けて、デートアプリが大きな成長要因となった。

全体として、2020年を特徴的な年にしたのは必ずしもどのアプリを人々が使っていたかではなく、どのくらい頻繁にアプリを使い、そしていくら費やしたのかということだった。

App Annieは以前、パンデミックがモバイルの浸透を2〜3年分進めたと指摘した。パンデミック前は1年のうちに支出が緩やかになる時期があったが、Sensor Towerは今日、特定のタイプのアプリ、特に2020年のゲームの支出に関して「季節性」の要素はなかったと指摘している。2020年はいつでもアプリに支出する年だった。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

2021年第1四半期のアプリ支出額は過去最多の約3.5兆円

パンデミックのアプリ産業への顕著な影響は2021年も衰えていない。実際、消費者のアプリ支出は2021年第1四半期に過去最多を記録したとApp Annieの新レポートで示されている。2021年第1四半期に消費者はiOSとGoogle Playで320億ドル(約3兆5384億円)使った。前年同期比40%増で、過去最多だとApp Annieは指摘している。

2020年、新型コロナウイルスによるロックダウンで人々は仕事、教育、買い物、フィットネス、エンターテインメント、ゲームなどのアプリを急速に受け入れ、アプリのダウンロード数と消費者支出どちらも増加した。App Annieは以前、2020年の世界のアプリダウンロード数は2180億回、消費者支出額は1430億ドル(約15兆8126億円)といずれも過去最多となった、とのレポートを発表していた

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こうしたトレンドは2021年も続き、2021年第1四半期のモバイル消費者の支出額は前年同期より約90億ドル(約9952億円)多いようだ。2021年第1四半期の消費者支出額はiOSが210億ドル(約2兆3221億円)と、Androidの110億ドル(約1兆2163億円)より多かったが、いずれのストアも40%成長だった。

しかし支出につながったアプリのタイプは、2つのアプリストアでは若干異なる。

Google Playではゲーム、ソーシャル、エンターテインメントのアプリが支出額では前年同期比で最も成長し、一方iOSではゲーム、写真&ビデオ、エンターテインメントのアプリが最も成長した。

ダウンロード数においても両アプリストアでは様子が異なる。

Google Playでは、ソーシャル、ツール、ファイナンスのダウンロード数が最も成長したが、iOSではゲーム、ファイナンス、ソーシャルネットワーキングだった。また、Google Playではダウンロード数が成長した他のカテゴリーに天気(40%)、デート(35%)が含まれるが、iOSではヘルスとフィットネスのアプリのダウンロードが25%も成長した。おそらく、これは外出禁止措置に新年の抱負(減量)が組み合わさった「パーフェクトストーム」によるものだろう。外出禁止措置ではユーザーはジムに行くことなく健康を維持する新たな方法を見つけることを余儀なくされた。

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しかしながら第1四半期に上位にきたアプリはほぼいつもと同じ顔ぶれだ。ダウンロード数でTikTokがFacebookを上回り、次いでInstagram、Telegram、WhatsApp、Zoomと続く。ただ、消費者支出額ではTikTokは2位で、トップはYouTubeだった。そしてTinder、Disney+、Tencent Videoの順となっている(Netflixはアプリ内購入を通じてではなく、現在新規ユーザーを直接サインアップするように誘導しているためチャート入りしなかった)。

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Facebookのアプリはダウンロード数ではTikTokの後塵を拝したが、傘下のアプリFacebook、WhatsApp、Messenger、Instagramが月間アクティブユーザー(MAUs)数では大きな割合を占めている。一方のTikTokのMAUsは第8位だった。

第1四半期に健闘した新進気鋭アプリとしては、プライバシーに注力しているメッセージアプリSignalがある。ダウンロード数とMAUsの両方で最も成長した。そしてSignalに肉薄したのがTelegramだ。議事堂暴動後に主流のソーシャルメディアからユーザーが移ってきた。その他の「ヒットした」アプリはMX TakaTakで、インドでのTikTok禁止でショートビデオ部門にできたその穴を埋めている。

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一方、ゲームはいつものことながら第1四半期の消費者支出の大半を占め、220億ドル(約2兆4328億円)だった。内訳は、iOSで前年同期比30%増の130億ドル(約1兆4375億円)、Androidで同35%増の90億ドル(約9952億円)だ。ゲーマーたちは1週間あたり約10億のタイトルをダウンロードし、これは前年同期比15%増だった。

ダウンロード数ではAmong Us!が2位に順位を下げ、Join Clash 3Dがトップに躍り出た。一方、DOP 2:Delete One Partが順位を308位上げて3位に入った。

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消費者支出額ではRobloxがトップで、2位以降はGenshin Impact、Coin Master、Pokémon GOの順だった。Among Us!はダウンロード数では順位を下げたものの月間アクティブユーザー数では1位を維持した。次いでPUBG Mobile、Candy Crush Saga、Robloxの順だった。

パンデミックはまたモバイルゲーミングマーケットの成長を加速させ、2020年のダウンロード数の成長率はゲーム全体のダウンロード数の2.5倍だったとApp Annieは指摘している。そしてモバイルゲーミングの2021年の消費者支出額は1200億ドル(約13兆2728億円)と、他のフォーマットの合計の1.5倍になると予測している。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

Fleksyの共同創設者がApp Store詐欺による売上減でAppleを提訴

キーボードアプリFleksyの共同創設者であるKosta Eleftheriou(コスタ・エレフセリウ)氏(後にPinterestが買収契約で獲得)は、自身のアプリFlickTypeが詐欺の標的になったことを受け、偽レビュー、評価、サブスクリプション詐欺、悪質なクローンアプリなどのApple App Storeの問題に注意を呼びかけてきた。そしてこの開発者はApp Store改革の次の一歩を踏み出し、Appleを相手に訴訟を起こそうとしている。

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米国時間3月17日にサンタクララ郡のカリフォルニア州上級裁判所に提出された同氏の訴えでは、Appleは、安全で信頼できる場所であると宣言して、iOSアプリケーションを合法的に販売できる唯一の場所であるApp Storeのためのアプリケーションを作るよう開発者を促しながら、合法的なアプリ開発者が手にすべき利益を搾取する詐欺行為から開発者を保護していないと申し立てている。

さらに訴状によるところでは、詐欺師たちがサブスクリプションを利用して収益を生み出しており、そこにはAppleとの収益分配が含まれているため、Appleはそのような行為に対して無関心になっているとされている。

エレフセリウ氏は個人的にApp Store詐欺師の影響を受けてきた。同氏はPinterestでの高収入の仕事を辞め、Apple Watch用のスワイプ型キーボードの1つであるFlickTypeアプリの開発に努めてきた。ローンチ後、このアプリは模倣アプリ制作者たちの標的となった。彼らは、自分たちのアプリがFlickTypeと同じ機能セットを提供していると主張しながら、貧弱なデザインのソフトウェアを提供し、ユーザーに高価なサブスクリプションを押し付けている。さらに偽の評価やレビューを大量に表示することで、ユーザーがこの分野でアプリを探しているときにはるかに優れた選択肢であるように見せかけることも行っている。

一方、FlickTypeは3.5星の評価を受けており、開発者によるコントロールの及ばないApple Watchプラットフォームの問題や、ユーザーの関心を引きそうな機能が欠けていることなどがたびたび指摘されている。しかし、エレフセリウ氏は自身のアプリのユーザーと関わりを持っている。苦情に対応し、ユーザーが要求した機能が追加されたりバグが修正されたりしたことを知らせている。詐欺師たちは、アプリの総合的な評価を高く保つために5つ星のレビューを十分な数購入するだけだ。

言い換えれば、エレフセリウ氏がApple Watch用のスワイプ式キーボードのカテゴリを築くApp Storeの開発者として懸命に働いている間、潜在的な収入はApp Store上の偽アプリが横取りしているというわけだ。

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Appleは何年も前から、アプリの品質問題に真剣に取り組んできた。同社は、疑わしいサブスクリプションアプリを一掃し、定期的なスイープを通じてApp Storeからクローンやスパムを削除した。かつては、アプリの品質基準を高めるためにテンプレートを使って作られたアプリを禁止したこともあったが、これはより専門的なアプリを作るためのリソースや資金がない小規模事業者の怒りを買った。(Appleはその後、ポリシーをより公平なものに変更した。)

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しかし新たな訴訟では、Appleは開発者の不正行為から利益を得ているため、詐欺師のアプリを取り締まっていないと指摘されている。エレフセリウ氏はまた、自身の会社であるKPAW, LLCを通じてこれらの問題をAppleに提起しているが、Appleはこの問題を解決するために「ほとんど何もしなかった」と述べている。

だが、エレフセリウ氏のストーリーはさらに複雑だ。同氏のアプリは、Appleの特別プロジェクトマネージャーを務めるRandy Marsden(ランディ・マースデン)氏と買収の可能性について話し合った後、App Storeから何度も却下されているからだ。エレフセリウ氏はTechCrunchに対し、Appleと数字についても協議され、会議にはディレクターやバイスプレジデントなどが参加したと語っている。訴状によると、AppleはFlickTypeをApple Watchの機能にすることを検討していたという。

その直後、競合他社のアプリが承認されたにもかかわらず、FlickTypeはApp Store Reviewガイドライン違反でApp Storeから削除された。エレフセリウ氏はDeveloper Relationsを通じて抗議したが、今後同じ問題を防ぐ方法については何も指導を受けなかったという。

その後数カ月にわたって、FlickTypeはApp Store Reviewから拒絶され続けた。このアプリは多くのメディアの技術系ジャーナリストたちが称賛しており、Appleも購入を検討したことがあるにも関わらず、AppleのApp Store Reviewは「貧弱なユーザー体験」を提供するものだと伝えている。App Reviewは開発者に「フルキーボードアプリはApple Watchには適さない」とも伝えているが、競合他社によるキーボードアプリの公開は認めている。

AppleのApp Reviewチームは、FlickTypeの統合可能バージョンのキーボードを使っているサードパーティーアプリも問題なく承認した。その中には、RedditのNano、TwitterのChirp、WhatsAppのWatchChat、InstagramのLensなどのWatchアプリが含まれている。

Appleが2020年1月にFlickTypeを承認した後、常に拒否されていたわけではない競合他社のキーボードによって、FlickTypeの収益はすでに1年にわたって損なわれてきたと同社は主張している。それでもFlickTypeはApp Storeの有料アプリトップ10に名を連ね、最初の1カ月で13万ドル(約1400万円)を稼いでいる。その成功の結果、すぐに詐欺師たちの標的になり、彼らは水増しされたほとんど使い物にならない競合アプリをローンチし、FlickTypeの収益を減らしたのだ。FlickTypeの月間売上は2万ドル(約220万円)に落ち込んでいる。競合各社はまた、偽のレーティングを使って人気を保ち、疑いを持たないユーザーにアプリをインストールさせていた。

エレフセリウ氏のストーリーは、結果的に特殊なものではなかった。同氏はここ数カ月、App Storeにおける数百万ドル単位の詐欺行為記録してきたが、その中には同氏が直面したものだけでなく、同様の苦労を体験した開発者たちのケースも含まれている。ソーシャルメディアでの同氏の記述によると、Appleが何らかの対応をしたケースもあり、そうでないケースもある。また、詐欺アプリの1つを削除するだけで、同じ開発者アカウントの他のアプリが動作し続けることを許可しているようだ。

今回の新たな訴訟は、エレフセリウ氏が直面した問題についてAppleに責任を負わせることを目的としており、同氏が失った収益の回復と、裁判所が裁定したその他の損害賠償金の支払いをAppleに求めている。

Appleにコメントを求めたが、現時点で回答は得られていない。

訴状のコピーは以下の通り。検証のための公的記録検索にはまだ現れていない。この訴訟がオンラインで表示されるようになったら、状況に応じて更新する。

Kpaw, LLC対Apple, Inc、Scribdより、TechCrunch提供

カテゴリー:ネットサービス
タグ:AppleApp StoreアプリFleksy裁判

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

AppleとEpic Gamesの裁判の証人候補はいずれもほぼ役員リスト

AppleがゲームメーカーEpic Gamesとの裁判に向けて提出した証人リストには、まるで両社の役員リストのような顔ぶれになっている。この長期にわたる戦いは、モバイルアプリの決済にとって重要な分岐点になるかもしれない。

両者の対立は、Epic Gamesが「Fortnite(フォートナイト)」がAppleによる手数料徴収をバイパスするようデザインされたゲーム内支払いシステムを追加し、Appleがそのプロフィールをカットし、さらにApp Storeから追い出された2021年8月に始まった。

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Epic GamesはAppleに対して、モバイル決済に関する独占的慣行だと訴えている。一方、AppleはEpicが収益を上げるためにApp Storeの契約を破ったと主張している。

この文書は、Appleが2021年3月19日の夜遅くに提出したもので、両社のトップエグゼクティブの名が並んでいる。AppleはCEOのTim Cook(ティム・クック)氏、ソフトウェアエンジニアリング担当SVPのCraig Federighi(クレイグ・フェデリギ)氏、そしてAppleフェローのPhil Schiller(フィル・シラー)氏が、Epic GamesのほうにはTim Sweeney(ティム・スウィーニー)氏と副社長Mark Rein(マーク・レイン)氏、さらにMicrosoft、Facebook、NVIDIAの幹部の名前もある。

TechCrunchに提供された声明の中で、Appleは次のように述べている。

当社の上級幹部は、App Storeが過去12年間にわたって革新、世界の経済、顧客体験に与えてきた非常に好ましい影響を法廷で共有することを楽しみにしている。Epicが意図的に契約を破ったのは収益を上げるためだけだということが証明されると確信している。これによってEpicはApp Storeのセキュリティ機能を回避し、競争を減らし、消費者のプライバシーとデータセキュリティを大きなリスクにさらすことになった。

裁判は2021年5月3日に始まる予定だ。TechCrunchはEpic Gamesにコメントを求めている。

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タグ:AppleEpic GamesApp Store裁判

画像クレジット:Andrew Harrer/Bloomberg via Getty Images / Getty Images

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(文:Brian Heater、翻訳:Katsuyuki Yasui)

英競争当局がアップルのApp Store独禁法調査を開始

Apple(アップル)はiOS App Storeについて欧州で新たな独占禁止法の調査に直面している。

英国の競争・市場庁(CMA)は現地時間3月4日、デジタル部門での不平等な条件とその結果についてデベロッパーからの数多くの苦情を受けて調査を開始した、と発表した

「CMAの調査は、Appleが英国においてAppleデバイスでのアプリ配信で支配的な地位にあったかどうかを考慮します。もしそうであるなら、Appleが不公正あるいは反競争の条件をApp Storeを使っているデベロッパーに課し、結果的にユーザーが選択肢を失ったりアプリやアドオンに高い料金を払うことになったのかが焦点となります」とプレスリリースで述べられている。

「これは調査の始まりに過ぎず、Appleが違反しているかどうかまだ決定は下されていません」と付け加えた。

声明の中で、CMAのトップAndrea Coscelli(アンドリア・コシェリ)氏は次のように述べた。「何百万という人が天気をチェックしたり、ゲームしたりあるいは持ち帰りを注文したりと毎日アプリを利用しています。Appleが不公正だったり競争や選択を阻害するような条件を課すのに市場での地位を使っているという苦情について、これは結果として顧客がアプリを購入したり使ったるする際に不利益を被っているかもしれず、注意深く精査します」。

Appleの広報担当は、CMAの調査開始に対し次のような声明をTechCrunchに出している。

当社は顧客が好きなアプリをダウンロードできる、そしてデベロッパーがすばらしい事業機会を得られる、安全で信頼できる場所としてApp Storeを作りました。英国だけでもiOSアプリの経済は数十万人の雇用を支えており、すばらしいアイデアを持っているデベロッパーは世界中のAppleの顧客にリーチできます。

あらゆるすばらしいアイデアが溢れている、活気があり競争が展開されているマーケットを当社は信じています。App Storeはアプリデベロッパーにとって成功のエンジンであり続けました。これは部分的には顧客をマルウェアから守り、同意なしの顧客データ収集の横行を防ぐために当社が定めている厳格な基準によるものです。基準はすべてのデベロッパーに公正平等に適用されます。当社のプライバシー、セキュリティ、コンテンツに関するガイドラインがいかにApp Storeを消費者とデベロッパーの両方にとって信頼できるマーケットプレイスにしてきたかを説明するために、英国の競争・市場庁に協力することを楽しみにしております。

EUは音楽ストリーミングサービスSpotify(スポティファイ)による2019年の苦情申し立てを受けて、すでにAppleの事業の多くの要素について独禁法調査を行っている。EUは2020年夏にApp StoreとApple Payについての調査を発表していた。

米国の議員もまたテック大企業に対する主要な独禁法調査の一環としてAppleを問いただしてきた。アリゾナ州ではちょうど、AppleとGoogle(グーグル)にそれぞれのスマホストアでサードパーティの決済オプションを認めることを強制する目的の法案に進展があった

一方、EUのAppleに対する調査はまだ継続中だ。ビデオゲーム開発のEpic Games(エピックゲームズ)は、Appleがデベロッパーに課している不平等な「税」と呼ぶものについてAppleと激しい論争を展開してきたが、2020年2月に欧州委員会に苦情を申し立ててEUの調査に加わろうとした。

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Epicは以前、同様の苦情を英国でも申し立てた。なので同社はCMAが引用した不満のあるデベロッパーの1社だ。

英国はEUから離脱したことから、CMAは英国の当局として重要な役割を担うようだ。ブレグジット後、コミッションとして同じ問題を自由に調査できる(一方、EUの規則では各国の当局は重複を避けることが求められる)。

英国がEUの当局よりすばやく動くことができれば、テック大企業に適用する基準を形成する機会を得るかもしれない(CMAは3月4日「グローバルな懸念」と表現したものに取り組むためにEUや他の当局と「引き続き緊密に連携を取る」と述べた)。

また英国は2020年秋に、テック大企業のマーケット支配力に取り組むことを目的とする、競争促進の規制体制を確立する計画を発表した。これはCMAが実施したオンラインプラットフォームとデジタル広告についての主要な市場調査を受けてのものだ。CMAは2020年12月に規制体制の確立を政府に提言している

「現在の執行力を補うことになる提言についてCMAは政府と協業している一方で、こうした分野における競争を保護するために既存の力を引き続きフル活用します」とCMAは述べた。

「我々の継続中のデジタルマーケット調査ではすでに懸念すべきトレンドがいくつか見つかっています」とコシェリ氏は付け加えた。「もしテック大企業による反競争のプラクティスが野放しにされれば、事業者そして消費者が実害に苦しむことになります。だからこそ、我々は新たな機関Digital Markets Unitを設置し、必要に応じた新たな調査の立ち上げで前進しています」。

テック大企業を狙った最近の他の動きでは、CMAはGoogleのサードパーティ追跡のクッキーを廃止する計画について調査を開始した。またUberが予定している英国拠点のSaaSメーカーAutocabの買収についても調査を始めた。

関連記事:UberのAutocab買収を英国の競争監視当局が調査

CMAは2020年のオンライン広告マーケットについての最終レポートの中で、GoogleとFacebook(フェイスブック)のマーケット支配力はあまりにも大きく「広範で自己強化」の懸念と要約したものを解決するために、新しい規制アプローチと専従の監視機関が必要との結論を出した。間もなく立ち上がるDigital Markets Unitはテック大企業に対する英国の当局対応の主要部分を担う。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Appleイギリス独占禁止法App StoreEU

画像クレジット:Bryce Durbin

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

個人の位置情報をブローカーに売っていたX-Modeはアプリがストアから排除されてもユーザーの追跡を継続

これまでの発表よりもはるかに多い、何百ものAndroidアプリがユーザーの詳細な位置データをX-Mode(エックスモード)に送信していたことが判明した。X-Modeは位置データを米軍の請負業者に売ることで知られているデータブローカーである。

新たな調査によれば、そうしたアプリにはメッセージアプリ、無料の動画、ファイル変換ソフト、さまざまな出会い系サイト、宗教と礼拝用のアプリが含まれている。どれも、これまでに数千万回もダウンロードされているアプリである。

ExpressVPN Digital Security Labの主席調査員Sean O’Brien(ショーン・オブライエン)氏と、Defensive Lab Agency(ディフェンシブ・ラボ・エージェンシー)の共同創設者Esther Onfroy(エスター・オンフロイ)氏は、ここ数年のある期間にX-Modeのトラッキングコードが埋め込まれているAndroidアプリを200近く発見した。

一部のアプリは、つい2020年12月にAppleとGoogleがアプリからX-Modeを削除しないとアプリストアから排除することを開発者に通達した時点でも、まだ位置データをX-Modeに送信し続けていた。

しかし、排除が通達されてから数週間経っても、米国のある交通地図アプリは、依然として位置データをX-Modeに送信していたにも関わらずGoogle Playからダウンロード可能だった。このアプリは人気があり、すでに数十万回もインストールされている。

公開された新たな調査は、X-Modeと連携したアプリについて今までに行われた調査の中で最も大規模なものであると考えられている。通常の携帯電話用アプリから収集された位置データの利用権売買は数十億ドル(数千億円)規模の産業になっており、X-Modeはその産業で商売している数十社の企業の1つである。そうした位置データはたいていターゲティング広告を提供するために使用される。

先に米国諜報機関が商用の位置データの利用権を買い取り、米国人の過去の行動を、令状を取得する前に調査したことが報じられたばかりであるため、X-Modeには、政府の仕事との関係を疑う厳しい調査の目が向けられることになった。

X-Modeは、アプリ開発者にお金を払ってソフトウェア開発キット(SDK)と呼ばれる追跡用コードを使ってもらい、その代わりにユーザーの位置データの収集と引き渡しを請け負う。この追跡に関するユーザーのオプトインは、アプリの利用規約とプライバシーポリシーを承諾することにより成立する。ただし、位置データが最終的にデータブローカーの手に渡る可能性や軍の請負業者に販売される可能性があることを、X-Modeを使用しているすべてのアプリがユーザーに開示しているわけではない。

X-Modeが軍の請負業者(広い意味でとらえると米軍)と関係していることを最初に公表したのはMotherboard(マザーボード)だ。その報告では、世界中で9800万回以上ダウンロードされている有名な礼拝用アプリが詳細な活動データをX-Modeに送信したことが明らかになった。

2020年11月、Motherboardはさらに、これまで報告されていないイスラム教の礼拝用アプリQibla Compass(キブラ・コンパス)がX-Modeにデータを送信していたことを発見した。この発見はオブライエン氏の調査結果でも裏づけられており、さらにいくつものイスラム教徒向けのアプリにX-Modeが組み込まれていることが指摘された。Motherboardは、ネットワークトラフィックを分析することで、そうしたアプリの少なくとも3つはある期間にX-Modeに位置データを送信していたことを確認した。ただし、Google Playにある最新バージョンではすべて改善されている。Motherboardの記事全文はこちらで読むことができる

2020年、X-Modeの最高経営責任者Josh Anton(ジョシュ・アントン)氏は、CNNに対して、データブローカーは米国で2500万台のデバイスを追跡しており、Motherboardによって指摘されたSDKは約400のアプリで使用されていると説明した。

アントン氏はTechCrunchに次のように語っている。

X-Modeがほとんどの広告用SDKと同じようにモバイルアプリデータを収集していたことを考えると、X-ModeのSDKの排除はエコシステムに大きな影響を与えることになる。AppleとGoogleは、パブリッシャーの大部分が位置データの収集と使用に関する二次的同意を得ていたとしても、モバイルアプリデータの収集と使用に関するいち企業の能力をプラットフォームが決定できるという先例を作った。

最近、当社は、この問題に協力して解決する最善の方法を理解するためにAppleとGoogleに公式文書を送った。命を救うための位置データの使用と、位置データを活用した製品を開発するテックコミュニティの機能強化を両方とも継続して行うためである。当社は、AppleとGoogleが位置データの収集と使用に関して自分たちに当てはめている同じ基準をX-Modeにも適用することが重要であると考えている。

調査員は、X-ModeのSDKを使用しているアプリとの通信が行われたことが判明している新しいエンドポイントも公表した。オブライエン氏は、これが、ユーザーの位置データをX-Modeに送信しているアプリや送信履歴のあるアプリのさらなる発見に役立つことを期待している。

オブライエン氏は「私たちは、こうしたロケーショントラッカーのターゲットになっているかどうかを利用者が識別できるようになることを望んでいる。さらに重要なこととして、こうしたスパイのような行為を止めるよう強く求める。調査員は公共の利益のために調査結果を精査し、プライバシー、セキュリティ、権利への脅威を明らかにする必要がある」と語った。

TechCrunchは、調査結果に含まれていたアプリの中から、ダウンロード数の多い20数個のAndroidアプリを選び、そのネットワークトラフィックを分析した。既知のX-Modeのエンドポイントと通信していたアプリを探し、ある期間に位置データをX-Modeに送信していたアプリを確認するためである。

また、調査員によって特定されているエンドポイントを使用し、X-Modeと通信している可能性がある有名なアプリが他にもないか探すことにした。

その結果、Googleアプリストアの排除から抜け落ちているアプリを少なくとも1つ特定できた。

Googleによって削除される前にGoogle PlayにあったNew York Subway(画像クレジット:TechCrunch)

New York Subway(ニューヨーク・サブウェイ)はニューヨーク市の地下鉄網を案内する人気アプリで、これまでに25万回ダウンロードされ、Sensor Tower(センサー・タワー)によって提供されるデータを使用している。このアプリは、本記事の執筆時点でもまだGoogle Playに掲載されており、アプリストアが排除を通告してから更新されていないため、依然として位置データをX-Modeに送信していた。

アプリを読み込むと、広告、分析、市場調査のためにX-Modeへのデータ送信に同意するようユーザーを求めるスプラッシュスクリーンがすぐに表示されるが、アプリにはX-Modeの政府関係の活動については少しも説明されていなかった。

イスラエルに拠点を置くアプリメーカーDesoline(デソリン)に何度かコメントを求めたが、回答はなかった。ただ、問い合わせを行った少し後にこのメーカーはプライバシーポリシーからX-Modeに関する記載を削除した。本記事の執筆時点では、このアプリはGoogle Playから消えたままである。

Googleの広報担当者は、この会社がGoogle Playからアプリを削除したと説明している。

また、TechCrunchは、調査員が提供しているアプリの一覧を使用して、非常に人気のある2つのアプリMoco(モコ)とVideo MP3 Converterの旧バージョンを発見した。これまで累計1億1500万回以上ダウンロードされているが、いまだにユーザーの位置データをX-Modeに送信している。Google Play以外からAndroidアプリをインストールし、データをX-Modeに送信する古いアプリを実行しているユーザーにプライバシーリスクをもたらしている。

どちらのアプリメーカーにもコメントを求めたが回答はなかった。Googleは、同様の問題がある他のアプリが削除されたかどうかや、位置データをX-Modeに送信する古いバージョンのアプリを実行しているユーザーを保護するためにどんな対策を講じるかを、たとえその方法があるとしても説明しないだろう。

AppleのiOS用の対応するアプリや同じ名称のアプリについても調査したが、X-Modeのエンドポイントとの通信が検出されたものは1つもなかった。Appleに問い合わせたところ、排除を実施した後にいずれかのアプリをブロックしたかどうかについてのコメントは拒否された。

オブライエン氏は「スマートフォンのセンサーは、不当に利用すれば、私たちの活動、自由な表現、自主性を制限しかねない多くのデータを提供している。位置データの密かな収集は、人権に関わる重大な脅威をおよぼしている。生活の中で特にセンシティブな部分や、誰と一緒にいるかといったことを観察できるからだ」と語る。

最近公開された調査によって、一般的なスマートフォンアプリから何百万もの米国人の個人データが(ほとんどの場合、ユーザーの明示的な同意なく)収集・販売されている方法に関する新たな事実が明らかになる可能性がある。

米政府の監視機関は現在、事前に令状を取得することなくさまざまなデータブローカーから位置データを買い取って使用することに関して、米内国歳入庁(IRS)や米国土安全保障省(DHS)をはじめとするいくつかの連邦政府機関に対して捜査を行っている。先週、国防情報局の諜報分析官が米国人の位置データを保存している商用データベースの利用権を購入したことが明らかになった。

評論家は、政府が2018年の最高裁判決の抜け穴を使っていると指摘している。その判決は、法執行機関が令状なしで携帯通信会社から直接、携帯電話の位置データを取得することを禁止するものだった。

現在、政府は、ブローカーから直接購入できるものに対して令状が必要だとは考えていないという見解を示している。

厳しいプライバシー評論家として知られるRon Wyden(ロン・ワイデン)上院議員の事務所では以前、データブローカー産業について詳しく調べ、データブローカーを取り締まって罰金を科すために連邦取引委員会に新たな権限を付与する法律を過去に草案したことがある。

ワイデン氏は「米国人は位置データがクレジットカードと一緒にデータブローカーから誰かに売られている話にうんざりしている。業界の自主規制が機能していないのは明らかだ。連邦議会は、私が提出した『Mind Your Own Business Act』のような強力な法案を通して、データの販売を防ぐのに効果がある方法を利用者に提供し、米国人のプライバシーを侵害した企業に説明責任を求める権限を連邦取引委員会に与える必要がある」と語る。

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カテゴリー:セキュリティ
タグ:X-Mode位置情報アプリAppleGoogleApp StoreGoogle Play

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Zack Whittaker、翻訳:Dragonfly)

Appleは蔓延するアプリの評価詐欺を根絶するよう開発者に迫られている

Apple(アップル)は、偽のレビューや評価詐欺に対する取り締りを強化せよとの要求に直面している。ことの経緯は、App Storeでの詐欺行為がテクノロジー大手企業Appleによって根絶されなかった結果、ある開発者が、不正商慣習に立ち向かわざるを得ない状況をソーシャルメディアで明るみにしたことにある。

Fleksyキーボードアプリを開発するFleksy(フレクシー)社の創業者の1人であるKosta Eleftheriou(コスタ・エレフセリウ)氏(2016年にPinterestが獲得)は、2018年3月以来、オートコレクトアルゴリズムの専門知識を活用して、Apple Watchの小さなディスプレイでのタイピングを可能にするだけでなく、Forbes(フォーブス)のレビュアーが言うところの「シンプルで楽しく、非常に効果的」にタイピングできるようにしてきた。

エレフセリウ氏が開発したFlickType(フリックタイプ)は、アプリのレビュアーからも「驚くほど正確」「基本的な機能が優れたキーボード」とAppleがネイティブでサポートしている一字一字のフリーハンド方式よりも「かなり速い」と評されている。

ユーザーレビューには5つ星の非常に好意的な評価も多いが、多数の低スコアが平均を引き下げたため、ユーザーの総合評価は現在3.5だ。しかし時間をかけて調べてみると、フリックタイプの開発者は、低いスコアを残したユーザーから提起された問題に一貫して前向きに対応しているのがわかる。

ときとして、エレフセリウ氏がコントロールできないApple Watchのプラットフォームの問題について苦情が出ることもある(Appleはサードパーティーアプリによるテキスト入力へのアクセス方法を制限しているため)。機能の不足もよくある問題であり、エレフセリウ氏は、多くの回答の中で、ユーザーが求めていた設定(自動補正を無効にする機能など)を追加したと答えたり、「タイピングが簡単になる新しいルック&フィール」を紹介したりして、問題に対応している。また、バグを指摘してくれたユーザーに感謝し、修正完了を報告することもある。

それぞれの苦情が具体的にどのように対処されているかを知っている人なら、フリックタイプの開発者が顧客の期待を満たせるよう懸命に取り組んでいることを確信するだろう。総合評価では、他のApple Watchキーボードアプリの方が全体的に高いとしてもだ。

エレフセリウ氏にとっての問題は、模倣アプリメーカーが彼の大変な努力を搾取していることだ。模倣アプリメーカーは、App Storeの取り締まりが弱いことに付け込んで、同氏を踏み台にして不当に利益を得ることができる。

詐欺の手口はこうだ。フリックタイプと同じような洗練された機能を持っていると称するApple Watchキーボードアプリが多数公開され、ユーザーは目を見張るような高いサブスクリプション料金を支払うように仕向けられる。しかしその機能は、見劣りのする模倣品にすぎない。

模倣アプリに対して品質はApp Storeの最上位だという期待を持つかもしれない。しかしその裏では、模倣アプリに偽レビューや評価のスコアがつけられ、そのアプリに対して多くのユーザーから寄せられた本物の評価が締め出されている。

偽のレビューは本物のレビューよりも多い。時間をかけてじっくりコメントを読まなければ、偽物は見分けられない。

「購入する前にレビューを読めばよかった。自分のApple Watchでは動作しません」とコメントされているのは、エレフセリウ氏が抗議しているライバルアプリの1つWatchKey(ウォッチキー)の1つ星レビューである。それにもかかわらず、このアプリは5つ星レビューの割合が非常に高いため、彼のアプリよりも全体的な評価が高い。

ウォッチキーは1つ星レビューに対してたいてい「ご迷惑をおかけして申し訳ございません。できるだけ早くサポートできるように、メールで状況を詳しくお知らせください」と回答している。

別の1つ星レビューのコメントには「最悪だ」という言葉に続いて、次のように書かれている。「Apple WatchでT9を使うためにこのアプリを購入しましたが、T9は動きませんでした。また、アプリに記載されているカスタマーサービスにもメールを送りましたが返信がありません。別のアプリを探すことをお勧めします」。

ウォッチキーのソフトウェアに対する別の最低評価への回答を見てると、またまた決まり文句が並んでいる。「フィードバックをありがとうございます。残念ながら、お客様からのメールはまだ届いておりません。できるだけ早くサポートできるように、support@vulcanlabs.coまで状況を詳しくお知らせください」

このパターンは否定的なレビューで繰り返されている。5つ星レビューを書いた人の中にすら、「T9は無料では使えません。レビューを書くとT9が無料で使えるようになると思ったのに、料金を請求されました」と警告する人がいる。

レビューの操作には、Appleの定める最低限の要件を満たせるように、よくある決まり文句を投稿して本物のネガティブなレビューを締め出すという作業が含まれる。また、偽の5つ星レビューを大量に掲載して、アプリの全体的な評価を高く維持する必要がある。こうした作業が利益につながるのである。

エレフセリウ氏はTwitterのスレッドの中で「何百もの」偽の5つ星レビューからいくつかを紹介している。これらはApple Watchのユーザーに悪質な模倣アプリをダウンロードさせるために使われているとのことだ。偽のレビューでは、存在しない機能に注意を向ける言い回しや、他の種類のデバイスの機能に言及する言い回しが使用されている(これは偽のレビューが、別の媒体にある本物のレビューからコピー&ペーストされた可能性があることを示している)。

Google(グーグル)で「buy ios reviews(iOSのレビューを購入する)」と検索すると、6億4300万件という膨大な量の検索結果が表示される。これには「AppleのApp StoreやGoogle Play(グーグルプレイ)でアプリのランクを上げる最良の方法として、アプリのレビュー、インストール、評価を請け負うこと」を売り込んでいる企業の広告が含まれ、「100%本物のユーザーによる評価がついた高品質のiOSアプリレビューを2.5ドル(約263円)」で売り出しているものもある。

偽のレビューの販売が急成長のビジネスであることは明らかだ。これは実効的な取り締まりがまったく行われていないことを示している。

極めつけとして、エレフセリウ氏は、詐欺師まがいの競合開発者の1人が同氏のアプリのプロモーション動画(フリックタイプの機能のデモ)を盗用し、Facebook(フェイスブック)やInstagram(インスタグラム)でアプリユーザーをターゲットにした広告に使っていたことを発見した。

Facebookには第三者の著作権侵害に対するポリシーがあるが(広告ポリシーの第4項「禁止されているコンテンツ」に基づく)、広告テクノロジー大手企業の同社には積極的な取り締まりを求めた方が良いだろう。Facebookは著作権侵害の申し立てを受けた場合にのみ対応するため、エレフセリウ氏はマーケティング材料の不正使用を防ぐために、そうした材料を盗用する悪質な広告を多くの時間を費やして見つけ、報告しなければならない(「Facebookは、私が報告した広告を最終的に削除しました。しかし、わかりきっていることですが、これでずっと安心していられるわけではありません」と同氏はいう)。

ここまで読んで意外に思われるかもしれないが、言うまでもなくAppleの開発者向けルールは、不正なレビューを提出することは開発者プログラムのライセンス契約違反であると明確に規定している。

App Storeのレビューガイドラインでは、システムを欺こうとする(評価の操作など)開発者は、App Storeからアプリが削除されるだけでなく、Appleの開発者プログラムから完全に除名される可能性があると警告している。

丁寧な言い方をすれば、Apple独自の取り締まりがApp Storeの詐欺を根絶できないために、優れた専門知識と実績のある個人開発者が非常に多くのリソースを使って詐欺に対抗しなければならないのは、Appleにとっても望ましくない状況である。エレフセリウ氏は、組織的な取り締まりの失敗を浮き彫りにするために、ソーシャルメディア上で公に呼びかけることが唯一の対抗策だと感じている。

エレフセリウ氏がTechCrunchに語ったところによると、Apple公式の「アプリに関する申し立て」チャンネルに対応を求めたが、「気が滅入るような結果」しか得られなかったために、ソーシャルメディア上で苦情を提起することにしたということだ。

「Appleの対応は、問題を申し立てている開発者と申し立ての対象になっている開発者をつなげ、やり取りをモニタリングしながら当人同士で直接問題を解決してもらうというものです」とエレフセリウ氏は説明する。「私がアプリに関する申し立て用のチャンネルで苦情を述べた詐欺師は、Twitterのスレッドで言及した大物詐欺師には遠くおよびません。それでも私の苦情はほとんど解決されず、偽の評価やレビューの問題に関してAppleから回答はまったくありませんでした。Appleにとって問題の申し立て人からすぐに連絡がなければ、その問題は解決されたということなのです。その後、Appleに非公式に連絡を取りましたが返答はありませんでした」。

「私にとって最も印象的だったのは、Appleの法務チームの監視に対して、詐欺師が少しも脅威を感じていなかったことです。まるでAppleが何も対策を取らないであろうことを知っているかのようでした」と同氏は付け加える。「私の考えでは、Appleはこの分野に十分なリソースを投入していません」。

Twitterでこの問題を提起して以来、エレフセリウ氏は模倣アプリとの戦いに一部勝利したことを報告している。同氏が苦情を述べたアプリのいくつかはApp Storeから削除された(この記事の執筆時点で、Appleは何らかの対策を取ることを公式に発表していない)。

しかし、現時点で模倣アプリの開発者のアカウントは禁止されていないようだ。「このような詐欺をやってのけても開発者アカウントが取り消されないのには呆れてしまいます」とエレフセリウ氏は語る。「アカウントの禁止以上に有効な対策はありません」。

Appleにこの問題について問い合わせたところ、同社は、その他の該当する規定のうち、システムを欺く試み(レビュープロセスを巧妙に操る、ユーザーデータを盗む、他の開発者のアプリをコピーする、評価やApp Storeの内容を操作するなど)を禁止する開発者ポリシーに関する背景情報を提供してくれた。

またエレフセリウ氏が提起した問題を踏まえ、ポリシーの変更を検討しているかどうかもAppleに尋ねた。何らかの回答があればこの記事を更新する。

「私の考えでは、アプリの模倣が主な問題点なのではありません。模倣アプリの開発者が私の名前を勝手に使っていても、私と同じようなスクリーンショットを作っていても、それは気にするようなことではありませんでした。偽の評価とレビューを適切に防ぐシステムさえあれば、どうってことはありませんでした」とエレフセリウ氏は述べている。「1つ星のレビューがたくさん集まると、品質の低い製品は淘汰されていき、これはユーザーを守ることにつながります。しかし、製品レビューのシステムが不正操作されると、他の優れた製品まで排除されてしまいます」。

「もはや評価やレビューが信頼できる保証はありません。それが、消費者からの信頼が急激に失われる結果になっています」と同氏はつけ加える。「評価やレビューを販売している、件の『企業』がどんなものかGoogleで検索してみました。検索結果に現れたのは、サポートシステムを備えた本格的な企業であり、競合他社のようにAppleによって評価が削除されることはないと謳っています。私にとって、こうした業界が繁栄していることは衝撃でした」。

偽のレビューの問題は、確かにAppleのApp Storeに限った問題ではない。そして非常に陰湿な問題である。

ユーザーレビューのシステムを組み込んでいるプラットフォームの数を考えると、Amazon(アマゾン)で買い物をしようとしている場合でも、Tripadvisorで旅行先を探している場合でも、Google Mapsのレビューを見て地元の歯科医を探している場合でも、偽のレビューはインターネット上ならほぼどこにでもある(要するにレビューは信用しないほうがいい)。

しかし、この問題はAppleにとって特に大きな害をおよぼすように見える。

App Storeのセールスポイントの核心は、Appleのレビュープロセスは監視が不十分な他のマーケットプレイスよりも高品質で信頼できるという主張である。

したがって、レビュー詐欺や評価の操作に対抗するためにより多くの措置を講じなければ、Appleのブランドが失墜するリスクがある。

簡単に言えば、消費者はAppleに高い水準を期待している。だからこそ、その製品に高い代価を支払ってもいいと思っている。App Storeのチェックと取り締まりに対するリソースが不足している状況は不経済だ。このような状況が続くと一層、エレフセリウ氏のような質の高い開発者がApp Storeから離れていってしまうリスクがあるからだ。

これほどの経歴を持つ開発者が、App Storeで自分の製品を確実に売ることができないとしたら、Appleの「プレミアム」マーケットプレイスとは一体何なんだろう。

この問題は、今後数年のうちに消費者監視団体や規制当局の調査対象になる可能性が高い。たとえば欧州連合(EU)は、デジタルビジネスにおける公正さと説明責任を促進しようと取り組む中で、拘束力のある透明性要件と報告要件を次期プラットフォーム規制に組み込むことを計画している。

2020年初めに施行されたEUオムニバス指令は、加盟国がそれを導入するために2年の期限を設けており、強化された取り締まりと透明性要件を通じて消費者の権利を強化することを目的としている。その他の取り組みとして、レビューが本物であることを保証するために「合理的かつ相応の」措置を取ることをトレーダーに義務付けることによって、偽のレビューの問題に直接対処している。

EUのプラットフォームでは、偽のレビューの取り締まりの失敗について「十分な根拠を示す」ことが求められるようになるだろう。根拠を示すことができなければ、消費者保護法違反に対する「GDPRレベル」の厳しい罰金が課せられることになる。そのため、損失は現在のように風評被害ではすまないだろう。

一方、英国の競争市場庁は、ここ数年、特にFacebook、インスタグラム、eBay(イーベイ)をターゲットにした偽のレビューの売買を厳しく取り締まっている。現在EUから独立して活動している英国の監視団体も、この問題を一層注視しているようだ。

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

米議事堂暴動後、代替ソーシャルアプリと暗号化メッセンジャーがアプリストアの上位に躍進

MeWe(ミーウィ)、CloutHub(クラウトハブ)を始めとするテック巨人に取って代わろうとするソーシャルメディアがアプリストアの上位を占めている。最近トランプ大統領がFacebook(フェイスブック)やTwitter(ツイッター)などの主要ソーシャルプラットフォームから追放され、直近には保守系ソーシャルアプリのParler(パーラー)がApple(アップル)App StoreGoogle Playの両方から削除された結果だ。Parlerが削除されて以来 “free speech”(言論の自由)を謳うソーシャルネットワークが急速にダウンロード数を伸ばしている。

2012年5月にスタートした次世代ソーシャルネットワークのMeWeは、その中でも最大の新規インストール数増加を享受している。

このアプリは米国大統領選挙とそれを巡るFacebookやTwitterといった巨大プラットフォームによる誤情報管理が始まって以来、安定した成長を続けている。主要ソーシャルネットワークは自社のポリシーを強制し、 新たなルールを作ってまでトランプ氏とその支持者がシェアするコンテンツを制御しようとした。そこには、選挙に不正があったという、数十件の訴訟にも関わらず立証されていない彼らの根拠なき主張も含まれている。

現在までにMeWeは世界で1600万回インストールされていると、アプリ調査会社のApptopia(アップトピア)は報告している。しかし、先週水曜日(米国時間1月6日)以降だけみてもアプリは世界で20万回近くダウンロードされている。新規ダウンロードの大部分は米国ユーザーによるもので、14万3000回近くを数える。

そのユーザーの大半は、Parlerがアプリストアを追われた結果MeWeにやってきた人々だ。Appleは1月9日土曜日にPartlerを排除し、その結果MeWeのランクは急上昇した。土曜日と日曜日だけで、MeWeの米国における新規インストール数は11万200回に達した。

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同社が本誌に伝えたところによると、直近の72時間で100万人のメンバーが新規登録し、その後も1時間あたり2万人以上の新規メンバーが増えている。

アプリストアのトップチャートは、ダウンロード総数だけでなく新規インストールの速度も反映しているので、MeWeは最近のトレンドを受けて非常に早くトップ10に躍り出た。

1月10日時点で、MeWeは米国App Storeの無料アプリ部門で7位にランクされていた。今日11日にはすでにそれを上回っている。

これは、昨年10月にはApp Storeのトップチャートに名前すらなかった非主流のソーシャルアプリとして異例の伸びだ(ランク外というのは1500位以下で、事実上順位の追跡が不可能という意味だ)。ただしMeWeは、その期間にソーシャルネットワーク部門でチャート入りしたことはあった。

画像クレジット:App Storeのスクリーンショット

Parler禁止を含め最近の出来事の恩恵を受けているもうひとつのアプリが、比較的新参のCloutHubだ。

2019年1月にスタートしたこのアプリは、「社会・市民・政治ネットワーク」のための言論の自由を切り口としたソーシャルネットワークと自称している。同サービスのウェブ・サイトには、「誰もが自分の考えを主張できる場」を提供したいと書かれている。

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現在までのCloutHubの有効インストール数は25万5000回にすぎないが、先週、正確には6日水曜日以降だけで3万1000回以上増えている(CloutHubは新規ユーザーの急増に苦闘しているようで、新規登録やログインがしばしばタイムアウトになった)。アプリは米国App Storeで現在11位にランクされている。

画像クレジット:App Storeのスクリーンショット

トップチャートに入った次の2つのアプリは名前間違いによる。

Mashable(マッシャブル)の最新記事は、”Parlor”という名前のアプリが、,禁止された “Parler” と間違えられていると報じている。記事に引用されているSensor Towerのデータによると、”Parlor” は12月だけで4万回ダウンロードされている。

Apptopiaによると、このソーシャルチャットアプリは2011年5月に開業し、全世界のダウンロード数は860万回だ。しかし6日水曜日から日曜日までだけで、11万5846人の新規ユーザーを獲得した。その多くは”Parler”を探していたと思われる。そのうちの9万9220人以上が土曜日と日曜日に登録しており、Parlerの削除が始まった時期と一致する。AppleがParlerに対する措置を講じたのは土曜日の遅くだったが、スペリング違いで “Parlor” に遭遇したユーザーはたくさんいただろう。

10日日曜日時点で、”Parlor” は米国iOSアプリ全体トップチャートのナンバー4になっている。

一方、”Gab News”(ギャブニューズ)というアプリは、ワシントンDC、ジョージタウン地区専門のローカルニュースアプリであるにも関わらず、流行している。これは、以前のParlerユーザーが代替として推奨していた”Gab”というずっと前に禁止されたアプリと間違えたためだ。Appleは2016年にポルノコンテンツを理由にGabの配布を拒否し、後にヘイトスピーチを含むアプリの提供を禁止するポリシーのために再度拒否した。Gabは2017年にGoogle Playで公開することができたが、すぐに同じくヘイトスピーチを理由に削除された

しかし、”Gab News” は本稿執筆時点でApp Storeトップ無料アプリチャートの44位に入っている(ダウンロード数は入手できなかった)。

次はRumble(ランブル)という保守派のためのYouTube相当品だ。このアプリは2020年1月に公開して以来全世界で240万回インストールされたとApptopiaは推計している。6日水曜日以来、9万1916回の新規ダウンロードがあり、そのうち7万3700回以上が米国内だった。これも米国App Storeで78位となり、2020年12月19日の1484位から急上昇した。

ただし、一連の動きのきっかけになったのはParlerの禁止だけではないことを言っておかなければならないだろう。

画像クレジット:Google Playのスクリーンショット

大型テック企業に対する反発は常に存在しており、力が大きくなりすぎたと、党派を問わず多くの人たちが感じている。

政府は昨年来、Apple(アップル)、Google(グーグル)、Facebook(フェイスブック)などの企業について、ビジネスモデルや業務慣行を反トラストの視点から全世界の市場で調査している。FacebookとGoogleは、プライバシー方針についてユーザーからも監視の目を向けられている。特にAppleが、全アプリにユーザーデータの扱い方を開示するプライバシー・ラベルを付加することを各社に義務付けて以来、いっそう圧力が高まった。

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その結果、一部の人たちは自分が保守派であるからだけでなく、プライバシーを重視しているという理由で代替ネットワーキングアプリに目を向け始めた。その結果、Signal(シグナル)やTelegram(テレグラム)といった暗号化メッセージングアプリや、Googleに代わる検索エンジンであるDuckDuckGo(ダックダックゴー)が最近人気を呼んでいる。

これらのアプリもこの一週間に勢いを増した。Signalは現在米国App Storeの第1位であり、Telegramが2位、DuckDuckGoは8位だ。2020年10月中頃、それぞれの順位は618位、79位、715位だった。Apptopiaによる。DuckDuckGoは2019年から2020年にかけて前年比62%成長し、米国、英国、カナダ、オーストラリアで第2位の検索エンジンになったことも本誌に伝えた。

連邦議会議事堂の暴動を受け、FBIが反乱者の逮捕を始めたことで、プライベートメッセージング・プラットフォームを探しているユーザーがいることも注目に値する。Signalは7日木曜日以来32万5000人の新規インストールがあり、Telegramは33万600人以上だった。

代替ソーシャルネットワークや代替メッセージングアプリへの急速な転換は、今後アプリストアがポリシーを徹底させるのがいかに困難であるかの予兆だ。プラットフォームはヘイトスピーチを配信したり暴力の助長を許しているアプリに対して断固たる措置をとっているが、その動きは人々が次の代替アプリをダウンロードするよりも遅くなりがちだ。

同時に、人気の出たアプリはコンテンツの管理に苦労するかもしれない。たとえばすでにMeWeでは、行き過ぎたヘイトスピーチや暗殺要求が見られている。同社が公式声明でその種のコンテンツを調査、削除すると言っているにも関わらずだ。

これらの言論の自由を謳う代替アプリの将来はどうなるのか。Amazon(AWS)がホスティングを拒否し、つい最近トランプ陣営との繋がりを断ったStripe(ストライプ)のような決済サービスも将来オンライン支払いの処理を拒否する可能性があるなか、先行きは不透明だ。そうなったときは、民間資金を募って独自のインフラストラクチャーを構築したり、ユーザーに届けるための代替配信システムとしてウェブやサイドローディングを探し求めて生き残りを図るのかもしれない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

2020年クリスマスの週のApp Store売上高は約1855億円、元旦は過去最高に

Apple(アップル)は米国時間1月6日、App Storeの年末商戦の売上高について最新情報を発表した。App Storeのユーザーはクリスマスイブから大晦日にかけての週にApp Storeで18億ドル(約1855億円)使い、その主なものはゲームだった。そして元旦に5億4000万ドル(約556億円)超を使い、1日あたりの支出額としては過去最高を記録した。

パンデミックがどの程度2020年のアプリ支出額の増加に貢献したか、Appleは詳しく語らなかった。ただし、年間を通じたトップのアプリにはZoomやDisney+、そして人々が集えるRobloxやAmong Usといったゲームなど、誰かとつながったりエンターテインメントを楽しんだりするのに役立つものが含まれる、と述べている。

しかしながら、Appleは2020年にユーザーがアプリやゲームにいくら使ったか、詳細は明らかにしなかった。そのためそうした数字についてはサードパーティの推定を参考にしなければならない。Sensor Towerの年末レポートによると、App Storeでの世界の消費者支出は2020年に723億ドル(約7兆4500億円)に達し、この数字は前年の555億ドル(約5兆7200億円)から30.3%増加した。App Annieも年間レポートに先立つ初期予測で似たような数字を発表した。

一方、AppleはApp Storeのデベロッパーが2008年にApp Storeが始まって以来、これまでに2000億ドル(約20兆6000億円)超の収益をあげたと指摘した。昨年発表した1550億ドル(約15兆9700億円)から増えている。

Appleの2020年のホリデーウィークもアプリとゲームの支出額は前年比16%増の14億2000万ドル(約1460億円)と過去最高の記録を打ち立てた。2020年に消費者は18億ドル(約1855億円)使ったことから今回も記録を更新したようだ。しかしその点についてAppleがなぜ米国時間1月6日の発表で触れなかったのかは不明だ。

同社はまた、2020年要約で他のサービス事業に関する最新情報も明らかにした。それによると、Apple Musicにとっては「記録的な年」となった。具体的な数字は示さず、その代わりiOS 14のリスナーの90%が「今すぐ聴く」やアップデートされたSearch、パーソナルラジオステーション、Autoplayといった新機能を試したとだけ明らかにした。同社はまた、歌詞機能の利用が2020年は倍増したとも述べた。

また、Apple TV+アプリは現在100カ国超にあるデバイス10億台で利用でき、新作やクラシック映画、テレビ番組など10万超の作品を購入またはレンタルできると明らかにした。

一方、Apple Payは現在、米国のストアの90%超、英国のストアの85%、オーストラリアのストアの99%で利用できる。

Apple News、iCloudそして新しいサービスFitness+についても言及があったが、ユーザーの利用状況や成長に関する数字は示さなかった。

同社はまた、Apple Arcadeが取り扱うゲーム数が140作品に達し、Apple Booksは9000万人超の月間アクティブユーザーを抱え、Apple Podcastsは現在175カ国超で利用できると述べた。

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(翻訳:Mizoguchi

早ければ今週にもGoogleのiOSアプリにApp Storeのプライバシーラベルが追加される見込み

Google(グーグル)はApple(アップル)が最近発表したApp Storeのプライバシーラベルのポリシーに従いたくないと考え、それが理由でグーグルのiOS用アプリのアップデートが遅れていると一部で報じられた(Fast Company記事)が、そうではない。App Storeの新しいポリシーはアップルがプライバシー保護を推し進める大きな取り組みの一部で、開発者に対しApp Storeのユーザーからどのようなデータを収集し、追跡のためにデータがどのように使われるかを開示するよう求めている。TechCrunchは、グーグルがこのラベルに対抗する立場ではないことを確認した。実際には、グーグルは今週か来週にはかなりの数のiOS用アプリでプライバシーラベルを公開する準備をしている。

米国時間1月5日にFast Companyは、グーグルはユーザーから収集するデータに関する透明性の情報を提出できる状態になっていないため同社のiOS用アプリのアップデートが遅れているのではないかと推測した。これを受けて、TechCrunchはグーグルのアプリの状況を調べた。Fast Companyは、2020年12月7日以降グーグルのアプリは「1つも」アップデートされていないと述べている。2020年12月7日といえば偶然にもアップルの新しいプライバシーラベルの要件がApp Storeに適用される前日だ。

さらにFast Companyは、11月後半から12月初めにかけてグーグルのiOS用アプリが多数アップデートされたのは、グーグルがアプリにプライバシーラベルが適用される前に最後のアップデートを詰め込もうとしていたことを示すと述べている。

しかし、こうした推測にはいくつか疑問点がある。

まず、グーグルは実際にはプライバシーラベル適用以降に2つのアプリをアップデートしたことを指摘したい。ただしこのアップデートにはプライバシーラベルは含まれていない(これは、アプリが適用期日以前に承認されたものの保留になっていたことを示唆している)。

生産性向上の分野においてグーグルにとって重要なスライドプレゼンテーションアプリのGoogleスライドは、2020年12月14日にアップデートされた。教育カテゴリーの無料アプリで7位になっている宿題支援アプリのSocratic by Googleは、2020年12月15日にアップデートされた(このデータはSensor Towerの協力によりファクトチェックをした。何しろグーグルのiPhone用アプリは100個近くあるのだ!)。

グーグルはアップルの新しいルールを回避しているように見えるかもしれないが、アップデートのタイミングを深読みしすぎないように気をつけなくてはならない。通常はアプリが短い間隔でアップデートされているとしても、12月にアプリのアップデートが遅れるのはどう考えても珍しいことではない。また、アップルのApp Store自体が年末は動きが止まるため、年末年始の数週間前にアプリの変更が公開されるのも不思議なことではない。年末に動きが止まるのは毎年のことで、2020年のApp Storeは12月23日から12月27日まで止まっていた。

そしてグーグルなどの大企業は12月終わりから1月初めにコードフリーズをする。スタッフが対応できない年末年始に製品やサービスに大きな問題が起きないようにするためだ。

グーグルの主たるビジネスが広告であることを考えると、アプリのプライバシーラベルはもちろんグーグルにとって懸念材料だ。実際、グーグルは事態を深刻に受け止め、経営幹部は会議でこれに関して話し合っている。

しかしアプリのプライバシーラベルにすぐには対応できていない大手アプリ提供企業は、グーグルだけではないことを指摘しておく。たとえば本稿執筆時点でAmazon(アマゾン)の一部のアプリやPinterestはプライバシーラベルに対応したアップデートを行っていない。

こうした遅れは必ずしもその企業が新しいラベルの要件に対抗していることを意味するものではない。慎重に検討しているだけだろう。開示する情報が少ない企業よりもさらに慎重だと思われる(そしてデータの収集と広告が収益の重要な要因である企業に遅れが見られることには注意が必要だ)。

グーグルにコメントを求めたところ、同社の広報担当者はアプリ全般にプライバシーラベルを追加する予定であることを認めた。正確な日付は未定だが、今週か来週にできるだけ早くラベルの公開を開始する見込みであることも認めた。

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(翻訳:Kaori Koyama)

Apple、アプリのプライバシーラベルを全App Storeで公開

6月に開催された世界開発者会議(WWDC)でApple(アップル)は、App Storeのアプリの製品ページにプライバシーに関する情報を分かりやすく簡潔に表示する機能を新たに導入し、まもなく開発者にアプリのプライバシー方針を顧客へ開示するようを求めることを明らかにした。このアプリの新しいプライバシーラベルは、iOS、iPadOS、macOS、watchOS、tvOSを含むアップルのApp Storeすべてで米国時間12月15日より公開されている。

同社はすでに開発者に対して、新規アプリおよびアプリのアップデートを提出する際にプライバシー方針を提供する義務付けを始めていたが、今日までこの情報をApp Storeで公開していなかった。

新しいラベルは、アプリがどのような種類の情報を収集しているかをアップルの顧客が容易に確認できるようにすることを目的としたものだ。情報は「ユーザーのトラッキングに使用されるデータ」「ユーザーに関連付けられたデータ」「ユーザーに関連付けられないデータ」の3つのカテゴリーに分類されている。アップルの説明によれば、トラッキングとは、ターゲット広告や広告効果測定を目的としてアプリで収集したユーザーやデバイスに関するデータを他社のアプリ、Webサイト、またはオフラインのプロパティ(小売売上高を集計したデータのようなもの)から収集されたユーザーやデバイスに関するデータに関連付ける行為を指す。また、ユーザーやデバイスに関するデータをデータブローカーに共有することもトラッキングに該当するとしている。

この側面だけでも、サードパーティのアドテクやアナリティクスのSDK(ソフトウェア開発キット)が形成する業界が、基本的に開発者は外部ベンダーのコードをアプリに追加して収益を増加させていることが浮き彫りとなるだろう。

なお、「ユーザーに関連付けられたデータ」とは、アプリ上のユーザーアカウント、デバイス、その他の詳細情報を通じて、ユーザーのIDに関連付けられた個人情報である。

画像クレジット:Apple

アプリがユーザーから収集するデータの種類は多数あり、その内訳は「個人の連絡先情報(住所、Eメールアドレス、電話番号など)」「ヘルスケアとフィットネス情報(Clinical Health Records API、HealthKit API、MovementDisorderAPIからのデータ、人を対象とする健康に関する研究・調査からのデータなど)」「財務情報(支払い・クレジット情報など)」「位置情報(詳細な位置情報またはおおよその場所)」「連絡先」「ユーザーコンテンツ(Eメール、オーディオ、テキスト、ゲームプレイ、カスタマサポートなど)」「閲覧・検索履歴」「購入」「ユーザーIDやデバイスIDなどの識別子」「使用状況と診断情報」などだ。

開発者は、アプリが収集するデータだけでなく、それが最終的にどのように使われるかを把握することが求められる。

たとえば、アプリがサードパーティパートナーとユーザーデータを共有する場合、開発者はパートナーがどのデータをどのような目的で使用しているかを知る必要がある。アプリ内のターゲット広告の表示、データブローカーへの位置情報データやEメールリストの共有、他のアプリで同一ユーザーをリターゲティングする目的でのデータの使用、広告の効率測定などだ。ただし、開発者はアップルのフレームワークやサービスからデータを収集する際には公開する必要があるが、アップル自身が収集したデータを公開する責任は負わない。

新しい開示要件には、任意のフィードバックフォームやカスタマーサービスへのリクエストを通じて回収されるデータなど、いくつかの例外がある。しかし概して、アプリから収集するデータのほとんどを公開しなくてはならない。App Storeで提供されていないアップル独自のアプリでさえ、ウェブ上にプライバシーラベルが公開される。

また、アプリには一般に公開されているプライバシーポリシーへのリンクを含める必要がある。ユーザーがアプリのデータを管理したり、削除を要求したりできるページなど、プライバシーに関する選択肢をより詳細に説明するページへのリンクをオプションで含めることもできる。

プライバシー情報自体については、「ユーザーのトラッキングに使用されるデータ」から始まり、各カテゴリーでどのようなデータが収集されているかを読みやすく表示するタブが、アプリの製品一覧ページの画面上に表示される。

アップルは、このプライバシー情報が含まれていないアプリをApp Storeから削除しないとしているが、プライバシー情報が表示されるまでアプリのアップデートを許可しないことになった。つまり、最終的には、放棄されたアプリ以外、すべてのアプリにこうした詳細情報が含まれることになる。

アップルのプライバシーラベル導入の決定は、消費者のプライバシーにとって大きな進展であり、各種アプリストアがデータを開示する方法の新たな基準を確立する可能性がある。

しかし同時に、アップルがプライバシー先進企業としての存在を旗印に、独自のアドテク戦略を推し進めようとしているとも言える。アップルはアドテク業界に、識別子IDFAから自社のSKAdNetworkへの移行を強制しようとしている。これは同社がこの移行を2020年から2021年へ延ばすほど議論を呼んできた大刷新である。延期の決定は、同社が述べたように、収益性への相当の打撃に動揺するマーケターに適応する時間を与えるためだったかもしれない。しかしアップルは当然のことながら、App Storeがサードパーティーに対して反競争的に振る舞っていたかどうか規制当局が慎重に検討していたことを強く認識している。

その意識を反映する例がある。モバイルアプリ広告のインストールキャンペーンからパーソナライゼーションを排除する変更の結果、FacebookはiOS上のAudience Networkの収益が50%減少すると広告主に警告していた

一方アップルは、年間収益が100万ドル未満の開発者に対するApp Storeの手数料率を15%に削減し、規制当局の懸念を緩和している。

消費者のプライバシーに関するこれらすべての変更が進行する中、アップル自身もApp StoreやApple Newsなどの自社アプリで広告をパーソナライズするために顧客データの使用を続けている。デフォルトで有効になっているこれらの設定は、iPhoneの設定でオフに切り替えることができる。一方で、アプリのパブリッシャーはユーザーにトラッキングを許可するよう求めなければならなくなる。アップルは現在、将来的に広告を拡大する可能性のあるサービスを数多く扱っている。

新しいプライバシーラベルが公開されるにあたり、消費者がどう反応するか見るのは興味深い。大量のデータを収集しているアプリは、慎重なユーザーから避けられ、ダウンロードに影響が出るかもしれない。あるいは、消費者は新しいソフトウェアをインストールするときに「同意する」ような他のポリシーや利用規約と同様に、ラベルを無視することになるかもしれない。

アップルのプライバシー方針に関する詳細は本日、新しいウェブサイトApple.com/jp/privacyでも公開された。App Storeの変更だけでなく、同社が消費者のプライバシーを保護するその他すべての分野のリストも含まれている。

App Storeのアップデートは米国時間12月15日の、iOS 14.3、iPadOS 14.3およびmacOS Big Sur 11.1のリリースに合わせて配信された。新しいOSは、プライバシーラベルに加えて、Apple Fitness+、AirPods Max、新しいProRAWフォーマットなどに対応する。

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(翻訳:Dragonfly)