絶滅危惧種の動物とその保護を扱うARゲーム「Wildeverse」がローンチ

ケニアの拡張現実ゲーム開発会社Internet of Elephants(インターネットオブエレファンツ)は米国時間4月3日、Borneo Nature Foundation、Goualougo Triangle Ape Foundation、Zoo Atlanta、Chester Zooの保護科学の専門家と提携して、最新のゲームをローンチした。

Wildeverse」という名前のこの新しいゲームは、ARを使って仮想の森を作り、そこでプレイヤーは特定の動物を探したり、動物の居場所を知る手がかりを探したりすることができる。

本来は屋外でのプレイを想定していたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響から、方向転換を行い、ゲーム内の操作で仮想的に移動したり、より狭い場所で歩き回ったりできるオプションを開発した。

ゲームは、まずチャット形式でゲームプレイを紹介し、プレイヤーが探索する仮想環境をセットアップするところから始まる。そのグラフィックは没入型のジャングル環境を完全に再現することには焦点を当てていないが、プレイヤーが探索するための理想化された木々に覆われた森が生成される。例えば特定の動物の識別や、彼らの存在の痕跡を探すミッションを、ARで作られた森の中で行い、プレイヤーがどのくらい時間がかかったかが計測される。

ミッションが完了した後は、プレーヤーは、実際の自然保護活動家による解説を読むことができる。その保護活動家はInternet of Elephantsのゲーム開発者たちにゲームのコンセプト作りで協力し、調査を助け、そして実際にゲームの中に登場する実際の動物に関するサポートを提供した。

画像提供: Internet of Elephants

ゲームは、ARKitまたはARCoreをサポートするiOSまたはAndroidデバイスでプレイできる。

ゲーム内で与えられるミッションは、動物自身やその足跡、食べ残しや糞を探すことから、違法な人間の活動や、実在のオランウータン、チンパンジー、ゴリラ、テナガザルの生息地への脅威を探すことまで、多岐にわたっている。

このゲームを作るために、創業者Gautam Shah(ゴータム・シャー)氏が率いるInternet of Elephantsの開発者たちは、実際にボルネオとコンゴのジャングルに行き、保護活動家とその仕事についての話を聞いたり、ゲームの中で使用するための野生動物のスカウトを行った、という。ゲーム開発者は複数のサルの家族を追跡した。

「類人猿の人口は世界中で減少しています。野生生物の保護は、十分な数の人々が関心を持って初めて、世界的な優先事項になるのです。世界の保護活動家たちは、ほんのひと握りの人びとの支援だけで困難な戦いを繰り広げています」とシャー氏は声明で述べている。「私たちには、今日世界でゲームをプレイしている20億人を、野生生物愛好家かつ保護活動の支援者に変える使命があるのです」。

シャー氏にとって、Internet of Elephantsの最新製品の立ち上げは、同社の使命を堅持するものだ。その使命は、アメリカ生まれのシャー氏がARベースのゲーム会社を立ち上げるためにコンサルティングのキャリアを投げ捨てた2015年に始まった。Internet of Elephantsチームの他のメンバーたちも、同様に興味深いストーリーを持っている。Aardman Animationsのクリエイティブディレクターとして6年を過ごした製品責任者のJake Manion(ジェイク・マニオン)氏もその1人だ(Aardman Animationsは「ウォレスとグルミット」や「ひつじのショーン」を作成したアカデミー賞受賞スタジオである)。

関連記事:Internet of Elephants uses AR to get up close to endangered species, turns their migrations into a game(Internet of ElephantsはARを使用して絶滅危惧種に近づき、その移動をゲームに変える、未訳)

シャー氏は、Wildeverseゲームの中に3つの大事な保護要素を見ている。第1に、それはゲームプレイヤーと、会社が協力する保護活動団体の間に絆を生み出す。なぜならゲームが保護団体の実際の活動を理解させる役割を果たすからだ。またこのゲームでは森林火災、違法伐採、密猟などの問題や、開発や人間の消費によって、動物たちが住むジャングルの構成が変化してしまい悪化する保護活動を取り巻く課題に、プレイヤーは立ち向かうことになる。最後に、ゲームは教育的な要素を持つ。

「本当に本当に興味深いことをたくさん学びます、そして私たちは専門的になることをためらいません」とシャー氏は言う。「これらを総合することで、セントルイスで座っているあなたと、オランウータンを研究している誰かとのつながりを生み出すことができるのです」。

本来このゲームは完全に楽しむためには屋外の半径30メートルのエリアを使ってプレイすることを想定していたが、ローンチ前にチームが修正を加えたことによって、ロサンゼルスの小さなワンルームマンションでも十分にプレイできるようになった。

ゲームのテキスト部分は有益な情報を含み、プレイヤーはオランウータンの食べ物や、彼らの生息地、そしてジャングルにおける彼らの生活について学ぶ機会を得られる。解説は少しぎこちないが、退屈すなものではなく、異なる森で働いている実際の自然保護活動家との会話に基づいている。

最終的にシャー氏は、生息地の数とゲームの幅を拡大して、プレイヤーがさまざまな地域を探索し、すべての大陸の絶滅危惧種について学ぶことができるようにしたいと考えている。

ゲームにはまだ収益化手段がなく、この先も無料でプレイできる予定だが、マルチプレイヤー機能の開発とともに、何らかの収益要素を付け加えたいとシャー氏は語った。

最終的には、このゲームは、最新のテクノロジーとゲームプレイを通じて、新しい世代の人たちに自然保護のすばらしさを伝え、教育することを目的としている。

「私たちは野生動物を、現在保護活動とは無縁の大勢の人びとにとって、日常会話の中のポジティブでエキサイティングな話題にしたいと思っているのです。私たちは、ゲームに登場する実在の類人猿たちであるFio(フィオ)、Buka(ブカ)、Chilli(チリ)、Aida(アイーダ)を、Kim Kardashian(キム・カーダシアン)、Messi(メッシ)、Donald Trump(ドナルド・トランプ)に並ぶくらい有名にしたいと思っています」とシャー氏は言う。「人びとの注目を集めることは、とても重要です」。

原文へ

(翻訳:sako)

アップル製品の将来を占う新しいアプリ開発環境

開発ツールに関しては、デベロッパー向けのメディア以外で大きく扱われることはあまりない。しかし、Apple(アップル)がWWDCで発表した開発ツール類は、今後のアップル製品向けのアプリの数と質の両方に、多大な影響を与える可能性が高い。それはiPhoneだけに限らない。macOS、watchOS、tvOS、そして新たに加わったiPadOSを搭載する製品にすべて関わってくる。

今回のイベントの主役ではなかったが、デベロッパーがさかんに話題にしていたのはSwiftUIだった。

5年前、アップルはプログラミング言語Swiftを発表して、アプリ開発をできるだけ容易なものしようとする動きを見せた。そして今回のWWDCでは、SwiftUIと呼ばれるまったく新しいユーザーインターフェースのフレームワークを発表し、そのビジョンをさらに押し進めた。SwiftUIを利用することで、スムーズなアニメーションの付いたフル機能のユーザーインターフェースを、シンプルな宣言的コードによって実現できる。

デベロッパーにとっては、これは大幅な時間の節約につながる。SwiftUIが備える自動化の機能によって、アプリの設計を洗練されたものにできるだけでなく、バグを減らすことになるからだ。また、アップルがデベロッパーに説明したところによれば、「単にコードの量を減らせるだけでなく、より良いコードにできる」ということだ。

シンプルであることを目指したのは、そうでなければどうしても避けられない、さまざま種類の誤りの発生を防ぐことを意図したもの。SwiftUIのコードは、まるで他の人からユーザーインターフェースについて説明を受けているかのように読みやすい。さらに、デベロッパーは異なるプラットフォーム間で、より多くのコードを再利用できるようにもなる。

それによって、開発サイクルの大幅な短縮にもつながる。デベロッパーが、アプリのユーザーインターフェースの一部だけを変更したくなった場合でも、素早く、しかも簡単に変更できる。

SwiftUIのフレームワークは、インターフェースのレイアウトをはじめとして、さまざまな面に効果を発揮する。たとえば、iOS 13が装備するダークモードへの対応、アクセシビリティ、右から左へ向かって書く言語への対応を含む国際化などだ。しかもSwiftUIは、同じAPIをiOS、iPadOS、macOS、watchOS、さらにtvOSという複数のOSに共通のものとすることで、アップルのアプリのエコシステム全域にまたがって使えることも重要なポイントだ。

このような特徴によって、これまでiOSだけに注力していたデベロッパーも、既存のアプリをSwiftUIに対応させさえすれば、クロスプラットフォームの開発に着手しやすくなる。

もちろん、アプリの性格によって、どこまでSwiftUIに対応できるかの程度は異なるだろう。しかしSwiftUIは、新規のデベロッパーにとっても魅力的なだけでなく、初めてアプリ開発に取り組むような初心者をも惹きつけるものがある。

SwiftUIは、Xcodeの新バージョンとともに発表された。このXcode 11には、新しいグラフィカルなUIデザインツールが含まれている。それによってデベロッパーは、コードを書くことなく、SwiftUIを使ったユーザーインターフェースの開発が可能となる。

視覚的なデザインツール上でUIが変更されると、そのつど新たなSwiftコードが自動的に生成される。さらに、そのアプリがどのような表示になり、どのように動作するのか、iPhone、iPad、iPod Touch、Apple Watch、Apple TVなど、接続されたデバイス上のリアルタイムのプレビューで確認できる。

これによりデベロッパーは、各プラットフォームでコードがどのように機能するかをテストできる。たとえば、マルチタッチに対してどのように応答するか、カメラやセンサー類の動作はどうかなど、開発プロセスの中で確認できるのだ。

Watchアプリ

watchOSに関しては、SwiftUIによって、Watchアプリならではのアニメーションとエフェクトの開発の複雑さを解消することができる。これまでは、その難しさのせいで、Watchアプリに手を出すのを躊躇するデベロッパーもいた。

SwiftUIは、スワイプして削除、リストアイテムの並べ替え、カルーセルのスライド、デジタルクラウンへの直接アクセス、といった機能を備えたWatchアプリの開発をサポートする。

またApple Watchは、デバイスから直接App Storeに接続できるようになり、ペアとなるiOSデバイスやiPhoneがなくても、スタンドアローンのアプリをインストールできるようにもなった。

このスタンドアローンのWatchアプリは、iOSから独立して動作させることができるだけでなく、Apple Watchを独立したプッシュ通知のターゲットに設定することも可能となる。つまり、そのユーザーがログインしているすべてのデバイスにではなく、Watchにだけ通知を送信することができる。

Watchアプリは、CloudKitのサブスクリプションをサポートできるようになり、プッシュ通知をコンプリケーションとして表示することで、ユーザーに最新情報を伝える。Watchアプリは、対応するiPhoneアプリを使っていないユーザーをもターゲットにできるようになったので、ユーザー名とパスワードを入力するテキストフィールドを表示するようになった。そこに入力してサインアップするか、今回発表された「Sign in with Apple」ボタンを使うこともできる。状況によってはアップルでサインインが必須の場合もある。

Watchアプリは、オーディオのストリーミング再生もできるようになった。これにより、これまで可能だったものとは異なるタイプのアプリへの道が開かれる。デモで見たように、Pandoraのようなインターネットベースのストリーミングサービスを利用して、スポーツ中継や音楽をストリーミング再生するアプリを想像するのも難しいことではなくなった。

さらに、watchOSの新しい拡張ランタイムは、ユーザーが手首を下げた状態でも動き続ける、新たな種類のWatchアプリの開発を促すことにもなるだろう。

たとえば、セルフケア、マインドフルネス、理学療法、スマートアラーム、健康状態のモニタリング、といった分野のアプリは、このランタイムを利用することで、Apple Watchのユーザーにとって新たな体験を創出することができるだろう。

これまでのWatchアプリのエコシステムが停滞したのは、アプリ開発の複雑さによるものだけでなく、ユーザーが手首を持ち上げている状態でしか動作しないというような制限をデベロッパーに課してきたことにもよる。ユーザーの手首の上で何ができるかを考えることを止めても、たとえばセンサーやストリーミングオーディオを利用することで、デベロッパーは単純に普通のiOSアプリを移植することも可能となる。

驚くべきことではないが、これまでそうしたアプリの多くは失敗し、やがて削除されることになった。アップルは、Watchアプリのエコシステムの再起動を狙っている。

macOSアプリ

今回のWWDCで発表された新しい開発ツールは、iOSのデベロッパーが、1億人のアクティブなMacユーザーにアピールする機会を生むことになる。

アップルによれば、いくつかの純正iPadアプリは、Mac上でも十分通用するものであることを認識しているという。しかし、一般のデベロッパーは、macOSのAppKitを使ってiPadアプリを移植する時間的な余裕がない。そこで今年のWWDCでは、デベロッパーにとって「最小限」の労力でiPadOSアプリをMac用に移植できるような技術を発表した。

現在、iPad用には100万本を超えるアプリのエコシステムがあり、その多くはMac上で動かしても意味のあるものだと考えられるということだ。

この取り組みの一環として、アップルはiOSからMacに40個ものフレームワークを移植した。その結果、わずかな例外を除いて、ほぼすべてのiOSのAPIの移植が完了した。これは、UIKitをネイティブなフレームワークとして採用し、次期macOSのリリース、Catalinaに直接組み込むことによって実現した、とAppleは述べている。

さらにアップルは、iPadアプリをMacに移植するための3段階のプロセスを用意した。

その最初のステップは、Xcodeのプロジェクト設定で「Mac」と書かれたチェックボックスをオンにすること。

するとXcodeでは、ソースに変更を加えるたびに、iOS、iPadOS、そしてmacOS用のすべてのアプリが自動的に更新されるようになる。

またiPadアプリを優れたものにすることは、ベストプラクティスをサポートするところから始まるという考えに沿って、デベロッパーはMac用にカスタマイズすべき部分を示唆される。つまり、状況に応じてメニューバー、タッチバー、マウスホバーのイベントなどをサポートすべきことが示される。

チェックボックスをオンにするだけで優れたMacアプリが開発できるわけではないが、それによって作業量は軽減される。

ただし、アップルが(優れた」iPadアプリの条件として、どの程度のものを要求するかについては疑問も残る。アップルは最大の効果を得るためには、デベロッパーはiPadのベストプラクティスを採用すべきだとしている。たとえば、外部キーボードをサポートしたり、Metalのようなキーとなる技術を採用することなどだ。

とは言え、もしアップルが本当にMac App Storeの品揃えを充実させたいなら、そしてもっと利益を生み出すアプリを増やしたいと考えているなら、Macに移植されるiPadアプリに、それほど多くを強いることはないかもしれない。

アップルでは、WWDCで発表する前に、すでに10社程度のデベロッパーとこの移植プロセスを試している。その中には、アメリカン航空、Crew、DCユニバース、Post-It、ツイッター、Tripit、フェンダー、アスファルト9、Juraなどが含まれる。

iPadOS

ところで、iPad上で動作するiOSには、iPadOSという新たなブランディングが施されることになった。

これまでのiPadは、発売当初からずっとiOSを搭載してきた。しかし時が経つにつれ、iPadの大きな画面を活かすための独自の機能も実現してきた。たとえば、スライドオーバー、スプリットビュー、ドラッグ&ドロップや、Apple Pencilのサポートなどが挙げられる。

まずはじめに、iPadOSでは、ホーム画面のアイコンのグリッド間隔は狭くなる。これは、サードパーティアプリが使えるホーム画面のスペースが広くなることを意味する。また、ウィジェットはホーム画面に固定できるようになる。これも、iPadアプリがホーム画面に占めるスペースを確保することになり、それだけユーザーの注意を引くことになるだろう。

しかし、iPadが本当に優れているのは、ノートパソコンの代わりに使えること。生産性も高くなり、スケッチやデジタルアートなど、クリエイティブな使い方も可能なのだ。

仕事効率化アプリのデベロッパーにとっては、1つのアプリから独立した別ウィンドウを開けるようになるのは、パソコン的な使い方を可能にする便利な機能だ。さらにアプリExposeや、3本指によってコピー、カット、ペースト、取り消しを可能にするジェスチャーも使えるようになる。

デベロッパー向けのツールについては、PencilKitというAPIが新たに加わり、サードパーティのアプリでも、純正アプリと同様に新しいApple Pencilにアクセスすることが可能になる。

それでも、実際にiPadアプリの開発を促進するのは、iPadアプリを簡単にMacに移植できるようになることかもしれない。言い換えれば、iPadアプリを開発しようというデベロッパーのモチベーションを本当に高めるのは、以前よりもずっと少ない労力で、同じアプリをMacでも動かせるようになること、なのかもしれない。

tvOS

Apple TV用のtvOSは、SwiftUIとiPadアプリのMacへの移植の話題に比べると、ほとんど注目されなかった。それにはアップルは、Apple TVとそのストリーミングサービス、つまりApple TV+に関しての熱意を示すイベントを開催したばかりだったということもある。

とは言え、SwiftUIはここでも活躍する。tvOSアプリでも、コードの再利用が可能になるからだ。

拡張現実と機械学習

アップルが今回のWWDCで発表したのは、作業をシンプルにして開発を促進することを狙ったものばかりではない。他の技術としては、まずARKitをさらにアップデートしたARKit 3が挙げられる。これは、モーションキャプチャー機能を備え、フレームの中の人物も認識できるようになった。それによって、人物をARオブジェクトの後ろに配置したり、前に出したりすることなどが可能となる。

これもアップデートされたCore ML 3を使えば、デベロッパーが機械学習の専門知識を持っていなくても、自分のアプリで機械学習を構築し、学習させ、その結果を利用できるようになる。

他にも、MetalやCreateMLのような重要な技術に進化が見られる。そうした技術を利用することで、デベロッパーは、それぞれの領域で、より品質の高いアプリを開発できるようになるだろう。

それでも、もっとワクワクさせ、興味を引きつける部分は、やはりアップルが現在最も人気のあるアプリプラットフォームであるiOSにテコ入れして、アプリのエコシステム全体に活を入れようとしていることだろう。今回のWWDCで発表されたツールによって、アップルは開発とデザインを合理化し、よりシンプルなものにしようとしている。それにより、より多くの人にプログラミングに参加してもらい、アプリのデベロッパーのコミュニティがiPhoneを超えて発想してくれるよう促しているのだ。

原文へ

(翻訳:Fumihiko Shibata)

アップルは新しいツールでAR機能を増強

拡張現実(Augmented Reality、AR)は、iOSの消費者が恋焦がれている機能ではないかもしれない。しかし、Apple(アップル)の最新のツールを見ると、同社の長年の夢であるARの偏在性(どこにでもARがあること)を、デベロッパーにとってより取っ付き易いものにしているようだ。

同社はARKitの最新バージョンでおもしろいアップデートをいくつか行ったし、またデベロッパーのための新しいプラットホームとしてRealityKitを導入した。

アップルはRealityKitで、現在UnityやUnrealのテリトリーである領域を攻略したいようだ。UnityやUnrealはデベロッパーが3Dのコンテンツを作るためのツールだが、最初からゼロからARを作ることは当然ながら狙っていない。そのため、現実世界の機能性との統合が難しくなることもあるが、RealityKitとRealityComposerはこの関係をより円滑にする。

これらのツールを使うと、シーンの設定や3Dのアセットと音源のインポートができて、それらとユーザーの入力やその環境との対話を詳しく定義できる。極めてiOS専用の設計になっているので、デベロッパーはARのシーンをiPhoneやiPadでテストでき、最終製品の感覚を早い段階で得ることができる。

ARKit 3では、コンピュータービジョンの超難問であるリアルタイムのオクルージョン(Occlusion)をサポートしたことがビッグニュースだ。それは、人間の姿形がどこからどこまでであるかをシステムが常時正しく認識して、自分の目の前にいる人の動きに正しく対応できる能力のことだ。

これは、アップルがこれまで挑戦してきた問題の中でも最高難度の難問かもしれないが、デモを見たかぎりではまだ完璧とは言えず、また環境オブジェクトのオクルージョンは今回のアップデートではサポートされていない。

さらにもうひとつ、ARKitには全身のモーションキャプチャーが加わった。たぶんそれは、オクルージョンと同じ基本技術を低レベルでは使っているのだろう。InstagramやSnapchatのセルフィー・フィルター(自撮りフィルター)が顔だけでなく全身対応になるのかもしれない。

RealityKitは現在ベータ、そしてARKit 3はiOS 13に含まれる。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ARKitネイティブアプリが1300万回以上ダウンロードされた、その半分近くがゲームだ

2017年9月19日にiOS 11がリリースされて以来、AppleのARKitを使用して開発された拡張現実感(AR)アプリケーションたちが、1300万回以上ダウンロードされてきた。これはアプリ情報会社Sensor Towerからの新しいデータによるものだ。それはARアプリのエコシステムを調査したもので、いまやしっかりと根付きつつあるようだ。その調査によれば、アプリの世界における新しい開発に一般に見られるように、ARKitの適用という点でもゲームが牽引力を発揮していることが明らかになった。

最初の6ヶ月間に世界中でダウンロードされたARKitネイティブアプリケーション(ARKitを最初から使って開発されたアプリ)のうち、半分近く(47%)がゲームで、もっとも大きな割合を占めている。

iOS 11がリリースされてから1ヵ月後には、ARKitネイティブアプリは300万ダウンロードを超え、そのうちの35%がゲームだった。そして6ヵ月後、ARKitネイティブアプリのダウンロード数は1300万にのぼり、ゲームの割合は47%に増加した。

もちろん、ゲームはARKitの発表以前でも、拡張現実を普及させるのに役立っていた。PokémonGoの世界的な流行のおかげで、モバイルユーザーたちは、ゲームを強化してくれるARの可能性に親むことができた。そこではスマートフォンカメラのビューファインダーを通してしか見ることのできない現実世界で、動くポケモンを捕まえることができたのだ。

無料で最も多くダウンロードされているのが、仮想ペットシミュレーターのAR Dragon(オーストラリアのPlaySide Studio製)である。有料で最も人気が高いARKitネイティブアプリは、Tasmanic Editionの有料ARメジャーアプリのCamToPlan Proだ。

トップアプリがPokémon Goになっていないのか疑問かもしれないが、Sensor Towerの分析はARKitネイティブアプリケーションに焦点を当てたもので、ここ半年のうちに何らかのAR機能を追加したARKit 互換アプリケーションではないからだ。Pokémon Goは後者のグループに属する。

しかし、Sensor Towerによれば、ARKitネイティブアプリと、ARKitがリリースされた後で新しいAR機能を追加したアプリをすべて合わせると、現在2000以上のARアプリがApp Storeにはあるという。これはAppleが正式にリリースした数字とも一致している。

他の人気のあるARKitネイティブアプリカテゴリには、ユーティリティ(ARメジャーテープ適切な大きさの発送ボックスを見つけるeBayのツール)、エンターテイメント(AR子供本であるMy Very Hungry Caterpillarなど)、ライフスタイルアプリ(家具を買おうとする消費者がアイテムをARを使って部屋の中に置いてみることを助ける沢山のアプリ)、Holoのような写真やビデオアプリ、そして教育用アプリなどがある。

ゲームに加えて、ARKitネイティブのライフスタイルアプリもダウンロード数が大いに増加している。IKEAHouzzWayfairその他のリリースに続いて、インストールされるARアプリの比率は5から11%に倍増している。なお、ユーティリティソフト全体のダウンロードシェアは19%から15%に低下している。

ARKitネイティブのゲームチャートは6ヶ月前とほぼ同じだが、Fruit NinjaとJetpack Joyrideを制作したゲームスタジオHalfbrickがリリースしたShadows Remainなどが登場している。その他の新顔にはAR Smash Tanks!Playground AROrbuなどが含まれるが、これはAppleのプロモーションの恩恵を受けている。

AR Dragonは何ヵ月もの間、無料ゲームチャートのトップに立っているが、The Machinesが有料ダウンロード数ならびに収益(Grossing)でトップを占めている。

ゲーム以外では、子供が親しみやすいARKitアプリが主流だ。無料アプリのナンバーワンはLEGO AR Studioである。その後に、Dr. Panda AR Christmas Tree(3位)、Meow!(4位)、Math Ninja AR(9位)、そしてFollow Me Dragon(10位)が続く。

その他のトップアプリにはIKEA Place(2位)とGIPHY World(5位)などがある。これに対して、有料アプリや、収益アプリのチャートトップは、定規やメジャーといったユーティリティが散らばっている。

Appleは、ARKitの採用を推進する上で大きな役割を果たしてきた。それはステージ上のデモからApp Storeでの特集にも及んでいるが、最近では子供向けのAppleのコード学習アプリケーション、Swift Playgroundsへの統合さえ行われている。

しかし、ARアプリケーション業界はまだ黎明期にあり、ARKit自体が発展するにつれて、より多くの種類のARアプリケーションが出現する余地もある。

1月に開発者にベータ版が公開されたARKit 1.5における興味深いアップグレードの1つは、壁検出のサポートの追加である。この機能によって、ARKitは垂直面を認識し、その面にオブジェクトを配置できるようになった。またこのARKitは、水平プロット、1080pビデオ、コンピュータビジョンベースの画像認識性能が向上している、すなわち今やARKitアプリケーションは壁面のポスターや壁画などの2Dオブジェクトなどを「見る」ことが可能になり、関連するオブジェクトを近くに配置できるようになったということだ。

ARアプリケーションを推進するのは、Appleだけではない。Googleも今年初めに、ARKitへの回答として、ARCoreを発表した。それから数ヶ月を経て、多くのARKitネイティブアプリが、Android版ARCore互換となるように改修を急いでいる。先週Googleは、既にPlayストアには60以上のARCoreアプリがあり、その多くはゲームだと語った。

[ 原文へ ]
(翻訳:sako)

SketchfabのアプリがARKitを体験するのに最高かも

iOS 11の大きな約束の1つだったのがARKitである。この新しいフレームワークは、拡張現実を利用して、現実世界に置かれた仮想オブジェクトを簡単に見ることができるようにするものだ。これまでSketchfabは、3DモデルのためのYouTubeと呼ぶことができる世界最大の3Dモデル共有プラットホームを構築してきた。それが本日(米国時間26日)行われたiOSアップデートで、Sketchfabが完全な拡張現実アプリに変わった理由だ。

今回の実装は、現実世界上のウェブビューを利用しているため、まだ完璧ではない。これが多少の遅れが生じる原因だ。ともあれまずはiOS 11をインストールする必要がある。

しかしSketchfab内にある膨大なライブラリの中の、任意のオブジェクトを選べるということで、アプリで素晴らしい驚きを味わえる。同社は現在、200万もの3Dオブジェクトを提供しているので、さまざまなものを試すことができる。

アプリでモデルをブラウズすると、画面上部にARボタンが表示される。このボタンはカメラを起動する。このあと、iPhoneやiPadなどを平らな面に向けて、画面をタップする必要がある。すると3Dモデルが現実の世界の真中に現れる。

画面をピンチすることで、オブジェクトを拡大したり縮小したりすることができる。将来のバージョンでは、デフォルトの大きさをコンテンツクリエイターたちが指定できるようになるので、居間が巨大で恐ろしい蟹で埋まることもなくなる。オブジェクトを指で回転させることも可能だ。

モデルの配置が完了したら、オブジェクトの周りを移動しながら、近寄って詳細を見ることができる。あたかもモデルが、現実の部屋の中に置かれているように感じることができる。

Googleもまた、ARKitへ対抗するARCoreを発表した。Sketchfabによれば、Androidアプリでも同様に、ARCoreをサポートする予定だということだ。

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)

iOS11ですぐに試せるARKitアプリ6選

AppleがiOS 11を公開した。大きな特徴の1つは、開発者たちがすばらしい拡張現実アプリケーションを簡単に作成できる、SDKのARKitだ。

Appleが数ヵ月前にARKitを発表していたにも関わらず、電話機の上でARを試してみるためのオプションはそれほど多くはない。とはいえ、私たちは、拡張現実とARKitの可能性をチラ見せしてくれる、幾つかの良いアプリを見つけた。

iPad Pro、Phone 6s/6s Plus、iPhone 7/7 Plus、iPhone SE、またはiPhone 8/8 Plusを使っているのならiOS11を今すぐダウンロードしてAppStoreからこれらのアプリをダウンロードしてみよう。

以下に拡張現実を使う幾つかのアプリケーションをスクリーンショットと簡単な説明と共に紹介した。2D画像を見るだけでその雰囲気を感じるのはとても難しいので、是非自分でダウンロードして試して欲しい。

1/6 :World Brush

WorldBrushは、現実世界に3Dの図形やデザインを描くことができる。GoogleのTilt Brush VRアプリによく似ている。とってもクールな点はあなたが描き込んだものがそのまま(意図的に削除しない限り)そこに留まり続けるということだ。なのであなたが公共の場所に描いたものを別の人たちがそれぞれの電話機から見ることができる。

2/6 :Edmonds

車の調査と購入アプリのEdmondsは、目の前に実物大の車を置く機能を持っている。Edmondsによれば、あなたが買いたいと思っている車がガレージに入るかどうかをみるために使えると言っている。何千種類もの車を選ぶことができるが、変わるのはボディの形と大きさだけだ。そして現段階ではAR車は本物のようには塗装されていない。、

3/6 :Stack AR

Stack ARは、目の前にブロックを積み重ねるシンプルなゲームだ。とてもシンプルだが、もし友人がARとはどんなもの?と聞いてきたときにはすぐに試して貰える楽しいゲームだ。

4/6 :Thomas and Friends(ミニミニサイズのThomasと仲間たち)

Thomas and Friends MINISは、今日Appleが米国App Storeでフィーチャーしている唯一のARアプリだ。トーマスが走るための線路をデザインすることができる。そしてARをオンにすれば、作った世界を床などの平面の上に出現させることができる。かなりシンプルなゲームだが、子供たちにARの可能性を示す良いやりかただ。

5/6 :Housecraft

Housecraftは、家のどこにでも実物大の家具を置くことができる。Techcrunch Disrupt SFの会場の外に置かれたこのベッドの写真を見て欲しい。アプリは様々な種類の大量の家具のカタログを内蔵している。そしてARKitをまだ見たことがない人に対して説明をするときに、私が使うお気に入りの方法だ。多くの家具会社たちが、この先とても似通った機能を提供してくるだろう。例えばWayfairのARアプリIkeaのもうすぐリリースされるアプリなどだ。

6/6 :AR MeasureKit

AR MeasureKit(ARメジャーキット)はその名が示す通りものだ。ARKitを使って身の回りの現実世界の寸法を測ることができる、多目的測定ツールだ。これもまた友人向けの素晴らしいデモだ。他に物差しを持ってきて、それがどれほど正確なものかを友人たちに見せてみよう。

[ 原文へ ]

(翻訳:Sako)

CurioPetsはARを駆使した世界探索型ペット育成ゲームだ

Appleが拡張現実を組み込んだiOS 11をリリースすれば、スタートアップCurioPetsはポケモンGOとたまごっちを合体させたようなゲームの出荷が可能になる。

CurioPets(curious pet「好奇心が強いペット」の略)は、マルチプレイヤー対応の拡張現実ペットシミュレーターだ。AppleのARKitで開発され、その目的は現実世界の探究を促すというものだ。これはポケモンGOに似ている。そして仔犬もしくは仔猫を連れて世話をしながら歩き回る。こちらはたまごっちやネオペットに似ている。

CurioPetsの創業者であるNathan Kongは、世界中のすべてが好奇心のエネルギーだと語った。ゲーム全体を通して、ゲーム内の通貨であるCuriosを収集するために、美術館、アートギャラリー、文化的関連性を持つ他の場所などの、現実世界での様々な場所に移動する。Curiosを使用して、あなたの仮想ペット用の衣服、家具、食品、その他のものを購入することができる。

ゲームには2つの世界がある。最初のものはあなたのペットが暮らす仮想世界だ。ペットは浮遊する島の木の中に隠れている。ペットは、あなたがそこで遊び、住まいを飾り、服を着せることを待っている。

もう1つのARの世界は、あなたのペットがCuriosを集める場所だ。Curiosを収集するには、ARモードに入り、文化的なものに関連するスポットに行って、Curios球を探す。あなたのペットを幸せで健康的な状態に保つためには、十分に餌を与え、沢山愛情を与え、世界で経験を積むようにしなければならない。

Appleが、先週末の段階でARアプリをTestFlight(Appleの提供するiOS用のβテストプラットフォーム)で開発者が公開することを許諾していなかったので、Kongはその代わりに私に予告編ビデオを送ってきた。

あなたがどうかは知らないが、私はこれを試してみたくて仕方ない。正直に白状すると、私は非常にハマりやい性格なので、このゲームが私の生活を奪ってしまうかもしれないことに恐怖を覚えている。ちょうど数年前にCandy Crush Sagaにハマったときのように。 なので、もし最近私の消息を聞かないなあと思ったら、その理由は推して知るべし。

CurioPetsは、Sequoia Capitalの夏期プログラムへ参加したことによる助成金、そしてAmino Capitalの両者から30万ドル以上の資金を調達した。同社はまだプレシードの段階だが、Kongは近いうちにシードラウンドを行なうことを望むと話している。

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)

AppleのARkitベースのARアプリをプレビューしてきた――iOS 11公開で一挙巨大市場に

私はこの数週間、デベロッパーと投資家に混じって、急成長中のARKitの世界を体験してきたところだ。関係者がAR時代の到来に興奮する理由はいくつもあるが、その一つがスケールの可能性であることは確かだ。潜在的なARのユーザー数は巨大だ。来月公開されるiOS 11の場合、インストールされた瞬間から誰もが拡張現実を利用できるようになる。今年中にARを使うようになるユーザーは数億人に達するはずだ。これはARの可能性を示すうえできわめて説得力ある数字だろう。

巨大企業も1人か2人のエンジニアのチームもともにクールなARアプリの開発に全力を挙げている。

昨日のデモ・イベントでは多数のARアプリをテストしそのデベロッパーに話を聞いた。近い将来のARアプリについて私なりのイメージを抱くことができたように思う。以下に紹介するのはコンシューマー向けアプリだが、ご覧のようにこのテクノロジーの間口はきわめて広い。デモ・アプリはiOSのARKitでどんなことができるのか興味を抱いているデベロッパー、投資家の参考になると思う。

まずデモビデオを見ていただきたい。最後にいくつか感想を述べる。

Ikea

家具AR: カタログから選んだIKEAのソファーを実物大で現実の場所に置くことができる。 カタログに搭載されたアイテムは2000種類。

Food Network

キッチンAR:家庭のキッチンで手持ちの皿にリアルなカップケーキなどのデザートを載せてみることができる。デザートが気に入った場合、アプリからレシピにアクセスがが可能。

GIPHY World

現実ビデオとGIFによるソーシャルAR: ユーザーはビデオを撮影し、GIF画像を配置して共有することができる。デモでは両親がベビーシッター向けに朝食用食材、与えてよいおやつ、与えてはいけない食材などをGIFで説明している。ファイルを受け取ったユーザーはさらに素材の追加、リミックス、再共有などが可能。

Arise

ARゲーム:: Climax Studiosが開発したゲームでは居間のテーブル(でも何でもよい)の上にリアルな3Dの廃墟を出現させ、その上を主人公のキャラクタ^が進んでいく。ユーザーは通常のゲームコントロールでキャラクターをなるべく遠くまで進ませるよう試みる。

Very Hungry Caterpillar

AR絵本: 記録的なベストセラー絵本、『はらぺこあおむし』 をAR化している。現実の庭にりんごの木などが配置され、りんごを地面に落としてあおむしを誘導する〔この点については後述〕。あおむしはエサを食べると次第に大きくなり最後に美しいチョウになって飛び立つ。絵がキュートである上にターゲットとする子供の発達段階に合わせてコントロールが簡単であり、優れたARアプリだと感じた。

Walking Dead: Our World

AR版ゾンビシューティング: 現実空間にゾンビが登場し、プレイヤーは一人称視点で射撃して倒す。ゾンビの描写はリアルで精細度も高い。プレイヤーはゾンビの攻撃をかわすために素早く向きを変えるなど体を動かす必要がある。iPadでのデモの動きはスムーズだった。

以下は私が興味を感じた点だ。

スキャン:. ARアプリはまず最初に周囲の現実をスキャンして置かれている環境を認識する必要がある。私が見たデモでは、ARKitに環境を認識させるためのスキャニングはアプリごとに独自の手法を用いていた。ただし多くのアプリでは現実世界にARオブジェクトを配置することができる平たい表面を見つける必要があった。アプリが適当な表面を見つけるまでユーザーはカメラをあちこちに向けてみる必要がある。別に難しい動作ではなく、普通は数秒しかかからないはずだ。

ただしユーザーはARアプリのこの特性を知っていたほうがいいだろう。Ikeaのアプリは対話性が高く、ユーザーにまず「部屋をスキャンしてください」と要請する。ゾンビゲームのWalking DeadFood Network のデザート・アプリでも同様だ。ARKiがオブジェクトを配置できるよう、ユーザーにカメラを動かしてもらうために各アプリともプロンプトやバッジなどを利用し、知恵を絞っていた。

コントロール:ユーザーが選んだ位置にオブジェクトを配置するアプリ以外は画面内にコントロールを配置していない。たとえばAriseゲームの場合はユーザーがカメラを向ける方向を変えることがコントロールの役目を果たす。ユーザーはカメラのアングルを変えることでキャラクターを所望の方向に進ませることができる。画面内にはボタンなどのコントロールはいっさい表示されない。

一方、Very Hungry Caterpillar 〔はらぺこあおむしAR〕のコントロールは視線だ。ユーザーが木の枝のりんごを長く見つめていると、りんごは地面に落ち、あおむしが食べることができる。木の切り株を見つめるとあおむしはその上によじ登って眠る。他のアプリもコントロールはせいぜい1回タップする程度だ。この「コントロール・フリー」ないし「ライト・コントロール」というパラダイムはARアプリのトレンドのようだ。アプリをARに移植したいと考えているデベロッパーはこうした新しいコントロール方式を研究しておく必要がある。

開発期間: いろいろ考え合わせると、非常に短いといっていい。私がテストしたアプリの多くはARKit上で製作ないし移植されるのに 7週間から10週間程度しかかかっていない。ゲームなどアセットが重いアプリはも開発にさらに時間がかかるが、もしすでに非AR版でキャラクターなどのアセットを持っているなら移植はかなりやさしい。たとえばGIPHY Worldアプリには現実空間に3Dで浮かばせることができるGIFファイルが多数用意されているが、ユーザーは何千万も作られている既存のGIFをドロップすることもできる。

「はらぺこあおむし」のAR版を開発したTouch Pressでは既存の「あおむし」のグラフィックスを大きくアップグレードする必要があった。これは子どもたちはARであおむしをあらゆる角度から、かつ至近距離で眺めることになるためだった。同様の理由でIKEAも家具のグラフィックスの精細度、テクスチャーなどをアップする必要があった。しかしARアプリの開発、移植の期間は月というより週や日の単位で計れそうだった。つまり9月月にARKitをサポートするiOS 11が一般公開されると同時に多数のARアプリが登場するはずだ。そしてその後にもっと大量のARアプリの大波が続くことになるだろう。

〔日本版〕デモアプリの作動のメカニズム紹介は原文を参照。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Apple、拡張現実(AR)を使った徒歩ナビを計画か?

ARKitは、iOS 11で最大の変化の1つだ。舞台裏でAppleは、iPhoneを非常に有能な拡張現実(AR)装置に変えようとしている。Felix Lapalme‏は、マップアプリのソースコードを見て、Appleがturn-by-turn[曲がり角ごと]ナビゲーションにARを利用するのではないかと探ってきた。

そして7月22日、iOS 11のベータ版を掘り返していたLapalmeは、マップアプリの中でこの謎めいた3D矢印を発見した。

従来のナビゲーションアプリのように、Appleはこの矢印をマップの経路案内に使うのだろうと思う人もいるかもしれない。しかし、コードの中には、徒歩ナビゲーションを利用中、顔の前で端末を傾けるよう指示する部分がある。

それに加えて、マップアプリはiPhoneのカメラを使うことになるらしい。これはiPhone 8が内蔵する可能性のある機能に関する大きなヒントだ。そして、そこにヒントがあるとき、Appleは隠そうとする。

[うーむ、これに関連するコードは全部消えているようだが、3D矢印だけは残っている]

GoogleのProject Tangoを覚えているだろうか。その中でGoogleは、美術館やショッピングモールなどの室内ナビにARを利用することを約束した。

すでにAppleは、空港やモールの詳細マップをiOS 11に組み込む計画があることを公表している。iOS 11と次期iPhoneは9月に公開される。だからもしAppleが、空港内を歩き回ったり、近くのコーヒー店を見つけるのにARを利用すると発表しても驚くにはあたらない。ARKitフレームワークを試しているAndrew Hartというデベロッパーが作ったアプリを下に貼ってあるが、これと似たようなものになるのだろうか。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

The VR FundがAR業界の最新カオスマップを公開――四半期でARアプリが6割増

シリコンバレーでVR、AR、MRを手がけるスタートアップに特化したVCのThe Venture Reality Fund(以下、The VR Fund)。同社は現地時間7月20日、最新のAR業界の動向をまとめたカオスマップを公開した(2017年Q2版)。

このカオスマップの作成のため、The VR Fundは2000社以上の企業を調査。その中から、資金調達額や収益力などをもとに150社をピックアップして掲載している。同社によれば、「ARアプリケーションを手がける企業数はQ1と比べて60%増加した」そうだ。

The VR Fundはプレスリリースのなかで、「Q2において最も活発だったエリアは、デバイスとSDKツール開発だった。これは業界全体がいまだ前進を続けていることを表している」とコメントしている。

「Q1では、FacebookやAppleといったビックプレイヤーたちによる大きな動きがあった。それにより、開発者たちの活動は活発化し、マーケットがカバーする領域も拡大した」(The VR Fund)。

日本では、2017年5月にGoogle Tangoに対応したASUSの「ZenFone AR」が発売したこともあり、ARを身近に感じる機会が増えてきた。

The VR Fundは、「開発キットはまだ未熟ではあるものの、Microsoft HololensとGoogle Tangoによって、ARがもつ可能性が広く知られることとなった。近い将来、AppleのARKitに対応する形でこれらのプラットフォームがさらに進化することが期待される」と、Q2でARプラットフォームが果たした役割を評価している。

しかし、その一方で「現在のAndroidエコシステム内の分断は、開発スピードとTangoの普及スピードを鈍化させることになるだろう」とも加えた。

「FacebookのカメラプラットフォームとAppleのARKitの登場により、AR業界はさらに活発化。この業界に対する注目度も上がった。これはコンシューマー向けアプリケーションの分野で特に顕著だ。現時点での開発者からの反応を見る限り、Appleはこの“ARプラットフォーム戦争”で強大な勢力になるだろう」(The VR Fund)。

Apple ARKitの可能性を感じさせるGIF動画13選

Appleの最新OSは、まだ開発者向けベータ版でしか提供していないが、すでに多くの開発者がiOSの拡張現実プラットフォーム「ARKit」を使ってアプリを開発している。

ARKitの開発者ツールは、ロケーション・マッピングという大変な処理を肩代わりするため、クリエイターは物理世界とデジタルの世界をどのように組み合わせたらもっとも自然な作品になるかという部分に注力できる。

開発者はこの新しい媒体を使って実験を始めたばかりだ。今後、AppleはさらにARを開拓していくことが期待される。Twitterアカウント@MadeWithARKitでは、ARKitで制作されたプロジェクトを見ることができ、この記事ではいくつか注目プロジェクトをGIFで紹介する。

ここで紹介するプロジェクトの中には、例えば、Microsoft HoloLensで見たようなデモと類似しているものもある。こうしたアプリで実現する機能は近いうちに何万台のiOS端末に届くことになるだろう。開発者は多くのオーディエンスにリーチでき、それはARKitで実験するインセンティブにもなっている。また、次世代のiPhoneにはディープセンシングが可能なARに特化したカメラセンサーモジュールを搭載するという噂だ。今後ARプラットフォームはますます面白くなるだろう。

確かにこれらのアプリはまだぎこちなく、「すごい、面白いね!」というフェーズだ。Zippoのライターアプリを初めてiPhoneにダウンロードして、友達に見せていた頃と同じだ。これらのユースケースからさらに発展したアプリが近い将来登場するだろう。その時、Appleのモバイルプラットフォームにおける拡張現実の発展が進むことになるだろう。

Appleがモバイル端末ベースのSLAM(ローカライズとマッピングの同期)において、技術的に洗練されたシステムを構築できたことを明らかだ。そしてこれは他のSnapやFacebook、Googleが提供するARプラットフォームより短期間で自社エコシステムに開発者を惹きつける理由になるかもしれない。

踊る登場人物
ARKitは視聴者にとって馴染みのある場所で物語を展開することができる。視聴者と物語との関わりを強めることができるだろう。

Source: Tomás Garcia

 

どこでも測ろう

デモの中でも実用的なアプリ。ARKitのツールで巻尺を作る。測定もかなり正確なようだ。

Source: Laan Labs

 

メニュー紹介

レストランがメニューに乗っている料理を全部3Dスキャンするのは難しいかもしれない。けれど、頼む前にメニューが見えるようになれば、注文の取り消しは随分と減らせそうだ。

Source: Alper Guler

 

仮想世界への入り口

このデモでは、ARKitでVRの世界をモバイルに取り込める可能性を示している。洗練されたトラッキング技術のおかげだ。

Source: Nedd

 

机の上でバスケの試合

ボリュメトリック(大容量での)キャプチャーは簡単にできることではないが、適切な機材とスタジオがあれば、お気に入りのアスリートやセレブを自宅で再現することもできる。

Source: 应高选

 

SpaceXロケットの着陸

すべてが正しい位置にある時、物理世界とデジタルのインタラクションが最も映える。

Source: Tomás Garcia

 

ARで塗り絵

Googleが発表したVRのTilt Brushは画期的だ。ユーザーは仮想空間内で色を塗ることができる。このデモでは、それと似た体験をスマホ端末ベースのARで再現している。

Source: Laan Labs

 

いつでもMinecraft

MinecraftはVRを含め、様々なプラットフォームで利用できる。このデモは、この人気シリーズをARの世界でも再現している。

Source: Matthew Hallberg

 

オフィスでスペースインベーダー・バトル

いつもと同じオフィス。AppleのARKitを通してみるとこうも変わる。

Source: Daniel Rodriguez

 

3Dモデルを見る

Sketchfabの開発者らは3Dオブジェクトの巨大なライブラリを作成した。ARKitを使うと、彼らのオブジェクトをAR空間で簡単に見ることができる。

Source: Sketchfab

 

ゴッホの世界

ARを通してみることで、私たちがどのように絵画を鑑賞するかが変わるかもしれない。

Source: Mark Dawson

ラクロワ三昧

説明は要らないよね。

訳注:ラクロワはアメリカで人気の炭酸水飲料。

Source: Aaron Ng

 

太陽系を見てみよう

ARKitを教育現場でも使える一例。現在、K-12(幼稚園から高校まで)で利用されているiPadの数を考えると、ARが教育に与える影響は少なくないだろう。

Source: @krutosh

[原文へ]

(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter