WordPress.comが社内コミュニケーションツールのP2をリリース

Automatticの1部門であるWordPress.comが「P2」という新しいプロダクトをリリースした。これは非公開グループの内部コミュニケーションを向上させることを目的としたプロダクトだ。リモートで業務をしているAutomatticは、何年にもわたって社内でP2を使って非同期でコミュニケーションをとってきた。P2は長期間共有する投稿やオンボーディング用のドキュメントなどずっと利用される重要な書類を置いておく場所だ。

P2はWordPress上に構築されている。チームメンバー間で考えを共有するというコンセプトに基づいて大幅にカスタマイズされた、チーム向けWordPressのように思える。今や多くの企業が複数の社内コミュニケーションツールを利用している。P2はそうしたツールの一部を置き換えるものになるかもしれないが、コミュニケーションツールを完全に刷新することを目指しているわけではない。

例えばP2はSlackの競合ではない。リアルタイムのチャットには利用できないからだ。しかしP2を重要な通知の共有に使うことはできる。イントラネットのポータルに置いておくような通知のことだ。

画像クレジット:WordPress.com

P2は長期にわたるプロジェクトにも使うことができる。またチーム専用のP2を作ることもできる。この場合、P2はFacebookのWorkplaceやMicrosoftのYammerの直接の競合になる。非同期コミュニケーションの効果を上げるために、P2にはシンプルなWordPressのブログより便利な機能がいくつかある。

例えば、同僚に「@」付きのメンションで通知を送ったり、投稿をフォローして最新情報を受け取ったりすることができる。チェックリストの作成、PDF書類の埋め込み、重要なポストをホームページの最上部に固定、自分が離れていた間の情報のフォローといった機能もある。新規の投稿やコメント、自分宛のメンションを見るための専用メニューもある。

理論的には従来のWordPressのバックエンドにもアクセスできるものの、P2を離れなくても新規投稿を書いたり既存の投稿を編集したりコメントを付けたりすることができる。新しいブロックエディタで見出しやリスト、埋め込みのビデオやメディアを追加して視覚的に編集することができるようになっている。SquarespaceのエディタやNotionにちょっと似ているもので、参照している、あるいはコメントを付けようとしているコンテンツのすぐ横にある新しいエディタを活用するのは大いに理にかなっている。

常に参照できるコンテンツとして、特定の公開日を設けずコメントを付けられないドキュメントを作成する機能もある。このようなドキュメントはカテゴリーで整理され、全社で簡単に共有できる。社内のポリシーやガイドライン、重要な連絡先情報などのドキュメントに利用できるものだ。この種のドキュメントの管理にはGoogleドキュメントやGoogle Driveの共有フォルダを利用している企業が多い。P2はそうした共有フォルダの代替として情報の主要なリポジトリになる可能性がある。

デフォルトではP2のサイトは非公開だが、自社プロダクトの最新情報をクライアントと共有したい場合や、P2を公開イベントに利用したい場合は、サイトを公開することができる。

WordPressのエコシステムをよく知っている人なら、P2というWordPressのテーマをご存じかもしれない。米国時間8月6日に発表されたP2は新しいプロダクトで、以前のP2のアイデアをさらに推し進めたものだ。Automatticはこのコンセプトをイテレーションし、同社の1300人の従業員で912個もの社内P2サイトを利用してきた。

WordPress.comはP2インスタンスをホストして提供する。誰でもP2を無料で作成し、他の人を招待できる。WordPress.comは将来的には有料サブスクリプションで高度な機能を提供する計画だ。つまり、P2をSaaSプロダクトにしようとしている。その一方で、セルフホスティング可能なオープンソース版も引き続き提供される予定だ。

筆者はP2インスタンスをいくつか立てて使ってみた。デフォルトではWordPressの複雑さが隠されていて良いというのが全体の印象だ。目的が明確なすっきりとしたプロダクトで、全社的なメールとSlackの中で行方不明になりがちな通知の間を埋める存在として特に有効だろう。

画像クレジット:WordPress.com

画像クレジット:Dylan Gillis / Unsplash

[原文へ]

(翻訳:Kaori Koyama)

完全リモートワークの「Automattic」は異なる地域で暮らす社員の給料をどう決めているのか

ますます多くのテック企業が、パンデミックの後も、どこで仕事をしてもよいと社員に伝えている。しかし、大きな問題は、どうやってそれを実施するかだ。

先週、Facebook(フェイスブック)のCEOであるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)は、サンフランシスコ湾岸地域を離れ、物価の安い地域に移動すれば給与を上げると社員に伝えた。しかし、独自のリモートワーク戦略を探っている会社は、Automattic( オートマティック)にも注目したほうがいいかもしれない。豊富なベンチャー資金を持つこの会社は、ブログプラットフォームのWordPress(ワードプレス)や長文コンテンツのプラットフォームであるLongread(ロングリード)、コメントフィルターサービスであるAkismentなどの親会社であり、2019年からはかつてのソーシャルメディア巨人のTumblr(タンブラー)も傘下に置いている。

Automatticは現在1000名を超える従業員を抱え、設立当時からほぼ分散化していたが、2017年にサンフランシスコ事務所を閉鎖して、社員に好きなところで働いてよいと伝えて、完全分散化を達成した。ファウンダーでCEOのMatt Mullenweg(マット・マレンウェッグ)氏はQuartzに、ほとんどの社員は同社が用意したコワーキングスペースを使っていなかったので、お金は別のところで使うことにした、と語った。

Automatticは自社のリモートワーク戦略について、社員にホームオフィス構築の費用や旅費を支払っていることなど、常に誇りを持って話しているため、どのように給与を決めているのかが気になって仕方がなく、現在分散化を進めている会社にとっても学ぶべきことかあるのではないかと考えた。週末にマレンウェッグ氏がTechCrunchの質問にメールで答えてくれた内容を以下に記す。

もちろん最大の疑問は、Automatticが社員の地域や物価に基づいて給与を支払っているかどうかだ。マレンウェッグ氏は、明確なイエス・ノーは答えず、Automatticでは「同じ仕事に対しては、地域によらず同じ報酬を支払うことを目指している。現在、Automatticの社員は75カ国以上に散らばっている。ときには、その地域の相場より高いことも低いこともある」と語った。

実際問題、簡単なことではないと同氏はいう。中でも給与を一致させる上で最大の障害は現地通貨で支払うことであり、為替レートの「振れ幅が大きく不均衡か生じる」とのこと。またAutomatticでは、「通常、給料は上げることしかないので、為替が有利に働けば世界標準より高い状態が1~2年続くこともある」という。

多くの企業が「どこででも勤務」を推奨し、少なくとも認めるようになると「直ちに給与を標準化」することは困難だろうと彼はいう。Automatticがその方向に進み始めたとき「人々のギャップを埋めるのに数年かかった」とのことで、現在でも「完全ではない、常に目指しているにもかかわらず」という。

我々は地域に応じた報酬を支払っている会社について、世界中の労働規則を学んだマレンウェッグ氏がどう考えているかにも興味があった。テック企業が同じ仕事に対して異なる支払いをすることが、法的あるいはその他の問題になるのかどうか知りたかった。

「長期的には市場の力と人材の移動力が、地域によらない仕事に対して雇用者が地域差別することをやめさせるだろうと思う」とマレンウェッグ氏はいう。さらに、少なくとも米国では、給与差別に関して免除が認められている地域を知らないが、「道徳的、競争性の理由から、企業は世界的にどこででもできる仕事に対して公正な報酬を与える方向に向かっていく」と同氏は考えている。

実際マレンウェッグ氏は、これまで地元の市場原理に基づいて給与を払ってきた会社は、いつまでもそれを続けていられない、例え「今すぐ変えることか難しくても」、そして「世界市場標準以下の社員については、何年かのうちにもっと頻繁な、あるいは大幅な賃上げをして」調整が必要になるだろう、という(一方、同氏は「もし標準よりずっと給料の高い社員がいたとき、それは会社の犯した間違いなので減給するのはフェアではない。かといって全員をその高い水準に引き上げるのも維持できるやり方ではない」と付け加えた)。

事実、この新しい未来に向けて進んでいる会社が知っておくべきなのは、まず時間がかかることを認識し、社員が地理的に均質な場合には起こり得ない要因が数多くのしかかると理解することだ。「通貨の問題、地政学、保護主義、機密問題、さらには友だちや家族の5倍も10倍もの給与を得ている人の与える影響まで」考えなくてはならないとマレンウェッグ氏は語った。

やる価値はある、とマレンウェッグ氏はいう。ザッカーバーグ氏が先週社員に対して発言したように、労働力の分散化は「国全体、さらには世界中の経済機会を増やす可能性がある」。そして「その機会が広く行き渡れば、社会的政治的にもっと安定した状況が得られるかもしれない」。マレンウェッグ氏は、リモートワークを増やすことを均衡化の一手段と考えているようだ。

同氏が我々に伝えたように、分散化によって「大きな富や世界の人材を入手する機会が得られるだけでなく、経済機会をこれまで以上に広めることで、世界にプラスの影響を与えることができる」。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ウェブをスマートスピーカーの読み上げに対応させるSoundcheck

ゆっくりと、しかし確かにスマートスピーカーは勢力を伸ばしている。AmazonはAlexaを小さな時計から電子レンジまであらゆるものに組み込み、Googleアシスタントはできそうなことを何でも取り込んでいる。この分だと、どんな空間にも声で操作する何らかのデバイスがある日は遠くなさそうに思える。

しかし人々も企業も、自分たちが発信するコンテンツをスマートスピーカーで再生できるようにすることについては、まだいい考えがないようだ。これを可能にすることを目指すSoundcheckが、米国時間11月1日にその扉を開いた。Soundcheckは、コンテンツをスマートスピーカーや音声アシスタントデバイスにとって理解しやすい形にパッケージ化する。

Soundcheckは手始めとしてWordPressを利用しているサイトに的を絞っている。インターネットの30%以上はWordPressを使っているのでターゲットとしては小さくない。Soundcheckは、WordPressで作られたサイトの情報を取得し、1回か2回タップすればその情報の最も重要な部分をGoogleの「読み上げに適した」データフォーマットにまとめられるプラグインを開発した。これは、蛍光ペンでマークをつけて、音声対応スピーカーとそれを動かしている検索アルゴリズムに対して「この情報は君たちのためのもので、こういうトピックに関する質問の答えだよ」と教えるようなものだ。

データをこのような形式にまとめるには、通常、ページごとのトピックに応じたマークアップを書く必要があるが、これはみんなにできることではない(例えば小さな企業の経営者の多くは、ページの見た目を整えるためにWordPressを使っている)。Soundcheckはこのプロセスをボタンを押すだけでできるように集約し、データを検証して、音声アシスタントがコンテンツをどのように読み上げるかのプレビューを提供する。

Soundcheckの基本的なプラグインは、WordPressの最新の50件の投稿まで無料で利用できる。それより多くの投稿に対応させたい場合や、カスタムのAPIと統合したりAmazon AlexaまたはGoogleアシスタントの個別のアプリと関連付けるといった便利な機能を使いたい場合は、月に20〜79ドル(約2200〜8500円)かかる。データがどのように音声でアクセスされたかをサイト運営者が知るための分析ツールも開発しているという。また今後、WordPress以外のコンテンツプラットフォームにも対応する計画だ。

Soundcheckを創業したのはDaniel Tyreus(ダニエル・ティレウス)氏とNarendra Rocherolle(
ナレンドラ・ロシュロール)氏で、ロシュロール氏はWebshotsの共同創業者でもある。Webshotsは超簡単な写真共有サイトで、1999年にExcite@Homeに8250万ドル(約89億円)で売却された。Soundcheckの創業者の2人はもともと2016年からPeckというサービスを開発していた。これは情報を取り出して簡潔な形でパッケージするサービスだ。2人は、この処理の最も難しい部分を利用してデータをパッケージ化し、AlexaやGoogle Homeなどのスマートスピーカーに対応させることができると気づき、こちらに方針転換した。

Soundcheckはこれまでに150万ドル(約1億6000万円)を調達している。支援しているのは、True Ventures、Resolute Ventures、Twitter共同創業者のBiz Stone(ビズ・ストーン)氏、Flickr共同創業者のCaterina Fake(カテリーナ・フェイク)氏で、まさにWordPressを運営しているAutomatticも支援に加わっている。

[原文へ]

(翻訳:Kaori Koyama)

VerizonがTumblrをWordPressの親会社Automatticに売却

6年前に米YahooはTumblr(タンブラー)を11億ドル(約1160億円)で買収した。いっときはマイクロブログのマーケットを支配したサービスだったが、Yahooの親会社であるVerizonがTumblrを売却することが明らかになった。引き受け手はWordPressオーナーのAutomatticだ。売却の条件など詳細は明らかにされていないが、Wall Street Journalの記事によれば「当初の価格に比べれば捨て値」だという。

AxiosはTumblrの売値は「2000万ドルをかなり下回る」という。それなら2013年の価格の2%以下にしかならない。

Tumblrのマイクロブログが大人気だった時代もあったのだが、Yahoo買収後の道どりは困難なものになった。ソーシャルネットワーク分野にFacebook、Instagram、Twitter、Redditが君臨するようになるとTumblreは路傍に取り残された。

ことにポルノを禁止するという最近の決定がビジネスに大打撃を与えたようだ。Sensor Towerの調査によれば、Tumblrのモバイルアプリをダウンロードするユーザーの数は対前年比で33%減少した。

そういう背景を考えれば今回のニュースもさほど意外ではない。Yahooの買収によってTumblrのオーナーになったVerizonはこの5月に買い手を探していると伝えられた。Tumblrは当時Yahoo最大の買い物でCEOだったマリッサ・メイヤーは「絶対に上手くやってみせる」と声明で述べていた。

しかしTumblrはYahooにとって良い買い物ではなく、Verizonとの適合性はさらに悪かった。Verizonは、Tumblrを短命に終わったがOath事業部に統合、さらにVerizon Media Group (TechCrunchの上部組織でもある)に移管した。Automatticは(少なくとも一見したところ)ビジネス上の適合性はVerizonよりずっと高そうだ。AutomatticのWordPressはインターネット最大のパブリッシングプラットフォームであり、プラグインのJetpackやノートアプリのSimplenoteも人気が高い。AutomatticはTumblrの200人の社員も引き受けるという。Tumblrはブログ記事にこう書いている。

同様の目的を持つ2社が力を合わせることになったのは最高だ。よく知られているように、WordPress.comはAutomatticのフラグシップだ。WordPress.comとTumblrは共にブログプラットフォームのパイオニアだった。Automatticには関心を共有することによって活動的なコミュニティを作るというビジョンがある。情報のパブリッシングを民主化し、誰もが自分が興味を持つ物語を共有できるようにしたいと考えている。特にその声がか細く、十分にコミュニティを作れていないならなおさらだ。

画像:Bryce Durbin / TechCrunch

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

Automatticがサブスクリプション支払いソリューションのProspressを買収

WordPress.com、WooCommerce、Longreads、Simplenoteなど多くのクールなサービスを公開しているAutomatticが、Prospressという小さなスタートアップを買収する。Prospressは、WooCommerce専用の定期支払いソリューション、WooCommerce Subscriptionsを開発している。

物理的な、あるいはデジタルのサブスクリプションがeコマースの重要な部分を占めていることから、AutomatticがWooCommerce Subscriptionsを自社のものにしたいと考えたことには納得がいく。顧客に対する定期的な課金は、支払いに関して最も面倒なことのひとつだ。

Prospressは、カートの中に商品が入れっぱなしになっていることを顧客に知らせたり、フォローアップしたり、クロスセルを促したりするマーケティングオートメーションツールにも取り組んでいる。さらに同社には、リリース前のチェックアウト機能をテストするツールもある。買収後、Prospressのチームは引き続きこれまでのプロダクトを手がけ、WooCommerceチームに加わる。

これはきわめて戦略的な買収だ。Prospressの従業員は約20人なので、900人いるAutomatticのチームは表面的には変わらないだろう。しかしAutomatticが(eコマースに関する)多くの積み重ねを手に入れられるという意味で、大きな動きだ。

WooCommerceの競合であるShopifyは、すぐに利用できるサブスクリプションを提供していない。BoldReChargeなどの他社製品を使う必要がある。

WordPressと同様にWooCommerceはオープンソースプロジェクトで、WordPressと直接統合できる。誰でもWooCommerceをダウンロードして自分のサーバーでホストできるということだ。そしてWooCommerceのエコシステムは、ほかのわかりにくいeコマースのソリューションと比べると大きな利点のひとつだ。

WooCommerceのユーザーの多くはおそらくWordPress.com上でeコマースのウェブサイトをホストしているだろう。しかしAutomatticが支払いのモジュールを提供して主導権を持つことになれば、WooCommerceのユーザーが支払いソリューションとしてWooCommerce Subscriptionsを使う場合に、同社はある程度の収益を上げることもできる。

[原文へ]

(翻訳:Kaori Koyama)

WordPress開発元が生産性ツールのスイート「Happy Tools」をリリース、まずはカレンダーから

WordPress.com、WooCommerce、Jetpackなどのサービスを提供するAutomatticが未来的な生産性ツールのスイートとしてHappy Toolsをリリースする。 Automatticはリモートワークを積極的に取り入れている企業で、世界68カ国に850人の社員がいる。そのため社員のコミュニケーションやスケジュールの調整のために各種のツールを開発して社内で利用してきた。

Happy ToolsはAutomatticが内部で利用してきた一連の生産性ツールをサービスとして提供しようとするものだ。最初のツールはHappy Scheduleといい、名前のとおり、リモートワーカーのスケジュールを調整する。Automatticによればカスタマーサポートは24時間年中無休だという。Happy Toolsの責任者、Matat Wondra氏は私のインタビューに答えてこう述べた。

Automatticの部内ツールをプロダクトとして公開するというアイデアは何年も前からあった。問題はまずどのツールからスタートすべきか、最適なタイミングはいつかを見極める点にあった。我々は1年前に自分たち必要性に迫られてHappy Schedule の開発を始めたが、一般の労働力管理ツールのパズルにも欠けているピースであることに気づいた。

つまり外部で提供されている生産アプリをいくら探しても、柔軟性、使いやすさの点で我々が開発しているツールに及ぶものはなかった。特にAutomatticは世界中に展開しており、こうした広く分散したチームにスケジュールを簡単に管理できるアプリは存在しなかった。グリーンフィールドで、つまりまっさらな状態でゼロからプロジェクトを立ち上げることができた。一般公開という点からいっても長年にわたって親しんできた分野、つまりカスタマーサポートの一環としてHappy Toolsを提供するのは理にかなった戦略だった。

Happy ScheduleはGoogleカレンダーのような現代的なウェブサービスであり、SAPなどが提供するソフトのようなクローズドなアプリではない。たとえば、ドラッグ&ドロップでただちにイベントを作成できる。いちいちフォームに開始日時、終了日時などを入力する必要はない。

しかこれはほんの手始め。Automatticはこの生産性ツールのシリーズをさらに拡充してく計画だ。 将来さらにリモートワーカーのチームの効率化を進めるツールがリリースされるはずだ。同社は典型的なSaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)のアプローチを採用しており、Happy Toolsの利用プランは1ユーザーあたり月額わずか5ドル。

Automatticはサービスのスタート当初から、これは一連の生産性ツールのスイートとなることを予告しているのは興味深い。Happy Toolsのサブスクリプションをすれば、バラバラのサービスではなく、相互に補完しあう統合的な生産性ツールにアクセスすることが可能になるわけだ。これはGoogleのG SuiteやMicrosoftのOffice 365がメール、ワープロ、表計算、データベースなどを総合した生産性ツールのパッケージであるのと似ている。これはユーザーのエンゲージメント、忠実度を高めるために効果のあるアプローチだろう。

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

WordPressのAutomatticがニュース企業のためのWebサイトプラットホームNewspackをローンチ

WordPress.comの母胎企業Automatticが、新製品Newspack発表した。詳しい情報はまだだが、それはニュース企業がコンテンツの発行と収益化を行なうためのオールインワンのソリューションだ。

オープンソースのプロジェクトであるWordPressを使って、誰でもWordPress.comでWebサイトを作れる。それは完成度の高いコンテンツ管理システムだ。本誌TchCrunchもWordPress上にある。しかし、サブスクリプション(有料会員制)とか従量的料金制、ユーザーアカウントなどを駆使してコンテンツを収益化しようとすると、そう簡単ではない。WordPress本体には、そのための機能がない。

そこでAutomatticは、ニュース企業のためのプラットホーム、ニュース企業のためのWordPressを考えた。具体的にねらっているのは、地方や地域のニュース企業だ。そういう企業は、デベロッパーを抱えていないところが多いから、サイトの自作も難しい。

ニュース等のコンテンツを自分では作らない、いわゆるメディア企業も、このプラットホームを利用できる。料金は、まだ開発途上の現在は無料だが、最終的には月額1000-2000ドルを予定している。

AutomatticとSpirited Media、そしてNews Revenue Hubが、このプロジェクトのために240万ドルを調達した。Googleのジャーナリズム育成事業Google News Initiativeが120万ドルを出している。そのほか、Lenfest Institute for JournalismやブロックチェーンのConsenSys, Civil Media, The John S., James L. Knight Foundationなどがこのプロジェクトに投資している。

Mediumもオンラインコンテンツの収益化を目指したが、まだいくつかの問題がある。また既存大手のニュース企業はNewspackを使う必要がないだろう。しかし、収益化機能のあるWebサイトプラットホームを求めているローカルな、あるいなマイナーなニュース企業が、欲しがっていたプラットホームではないだろうか、これは。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

WordPress.comがAtavistの買収で支払い決済や有料購読制をサポートか

本誌TechCrunchのベースシステムであるブログプラットホームWordPressを作り、そのほかにもWooCommerce, Longreads, Simplenoteなどのプロダクトを提供しているAutomatticが、ブルックリンのスタートアップAtavistを買収する。

Atavistは、主に個人のブロガーやライターのための、コンテンツ管理システム(CMS)を提供している。AtavistのWebサイトから、誰もが簡単に、画像やビデオや地図など多様なメディアを含むストーリーを書いて公開できる。

そうやって自分のWebサイトを作るのなら、そもそもWordPress.com(AutomatticがホストするWordPress)でよいではないか。SquarespaceのようなWebサイトビルダーもある。でも、Atavistを使うとペイウォール(paywall, 支払い決済システム)を作れるし、購読などの有料会員制(サブスクリプション, subscriptions)のセットアップもできる。

多くのライターが、Webサイトの技術的な細部を自分で扱いたくない、と思っているから、そんな人たちのためにAtavistは便利なツールを用意し、ユーザーが自分のストーリーに集中できるようにしている。

Atavist自身にも、Atavist Magazineという刊行物がある。これ自身もやはり、Automatticの傘下になる。Longreadsの一部になるのか、独自性を維持するのか、それはまだ分からない。

AtavistのCMS本体はそのままではなく、WordPressに統合される、とAutomatticは言っている。これが、この買収ドラマのおもしろい部分だ。

CMSとしてはWordPressの方がたぶんAtavistより相当にしっかりしているが、Automatticはさらに、サブスクリプションとペイウォールの提供を開始したいのかもしれない。月額のサブスクリプションをネイティブで(本体機能として)提供するWordPress.comのWebサイトを想像できる。

今や、全Webサイトの30%がWordPress上だ、と言われる。自分のサーバーの上でオープンソースのWordPressを動かしているところもあるし、本誌TechCrunchのように、Automatticがホストし動かしているWordPress CMS、すなわちWordPress.comの上にブログなどを構築提供するところも少なくない。

このWordPress.comでサブスクリプションができるようになると、それはWebにとって良いニュースだ。Mediumはそのサブスクリプションプログラムを唐突にやめてしまい、個人の出版者の多くが途方に暮れた。購読の有料制を導入したい個人ライターは、もうMediumを信ずる気にならないだろう。

AutomatticはAtavistをベースに、複数の出版サイトのサブスクリプションを管理するシームレスなポータルを作れる。そして、広告のない優れたコンテンツが増えるだろう。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

GoogleドキュメントからWordPress.comに記事を投稿できるようになった

WordPress.comはGoogleドキュメントと競争するのではなく連携する道を選んだようだ。ChromeブラウザのGoogleドキュメントで記事を書き、人気のウェブ・エディター、WordPress.comで保存、公開できるようになった。WordPressでGoogleドキュメントが使えるのはたいへん便利だ。他の人々と共同で記事を編集するのが非常に簡単になった。

ウェブの4分の1はWordPressだ。つまりWordPressのadminインターフェイスには何百万人ものユーザーがいて、毎日ブログを書いている。そもそもTechCrunch自体がWordPress.com VIPのユーザーだ。われわれの同僚は仕事中、長時間にわたって下のような画面をにらんでいる。

もちろんこのadminインターフェイスはシンプルかつカスタマイズ可能だが、ドラフトを別のアプリやサービスで書くユーザーも多い。われわれの同僚にはMicrosoft
Wordを使うものも Googleドキュメントを使うものもいる。私はUlyssesを愛用している。

重要な点はWordPress.comではリアルタイムで共有ができないことだ。つまりチームでの共同編集はできない。 もし記事の公開前に誰かがレビューする場合は、オリジナルのライターはいったんWordPressを閉じる必要がある。 Googleドキュメントは共有に関してはるかに強力で、複数のユーザーが同一のドキュメントを開き、同時に編集することが可能だ。

しかし毎日記事を書いている場合には、Googleドキュメントで書いた原稿をコピー&ペーストでWordPressに移すのは余計な手間に感じられる。また画像を利用するには、改めてWordPressアップロードしてフォーマットを変換する必要がある。WordPress.comは強力なREST APIを公開しているのでサードパーティーのサービスをWordPress.comに統合するのが簡単になった。

今日(米国時間3/7)発表された新機能を利用すれば、Googleドキュメントで記事の原稿を書き、WordPress.comに送ることができる。レイアウトや画像は原稿に正しく適用される。Googleドキュメントから記事のアップデートもできる。

この機能を利用するにはまずGoogle Docsのアドオンをインストールする必要がある(これ自身もちろんオープンソースだ)。Googleドキュメントのメニューから「アドオン」を開くとWordPress.com for Google Docsというオプションが表示される。このアドオンは最初に開いたときに自分が投稿しようとするWordPress.comサイトに関連付ける手続きが必要だ。これが終われば、あとは普通にGoogleドキュメントで文書を作成すればよい。リンクや画像を追加するのも普段どおりだ。原稿を書き終わったら右サイドバーのSave DraftアイコンをクリックすれWordPress.comに下書きとして送信される。

このアドオンはユーザーのGoogleドライブのすべてのファイルにアクセスできるわけではない。ユーザーがWordPress.comに連携させた文書だけを閲覧、編集できる。アドオンはすべてのWordPress.comサイトまたはWordPress site with Jetpackに連携できる。

非常に便利なのは、いったん投稿した記事を再び開いたとき、WordPressエディター側で編集されていた場合は、そのことを警告してくれる点だ。またGoogleドキュメント内から何回でも繰り返し記事のアップデートができる。TechCrunchの同僚はここ数週間テストを続けてきたが、これまでのところ信頼性は極めて高い。

WordPressのバックエンドにはなんら変更はない。これはあくまでWordPress.comで公開する記事の下書きを作成する新たなオプションだ。WordPressを提供しているAutomatticは数年前にSimplenoteを買収し、Simperiumを提供している。こうしたことからして私は将来WordPress自体でリアルタイムの共同作業ができるようになるのではないかと期待している。

画像Shutterstock

〔日本版〕「アドオン」は原文ではextension。Chrome自体の拡張期機能と混同するおそれがあるのでGoogleドキュメントの表示どおり「アドオン」とした。なおWordPressアドオンはGoogleドキュメントの「アドオン」メニューから「アドオンを取得」を選んでも取得できる。Chromeブラウザの「拡張機能」ではないので注意。なおこのアドオンはChromeだけでなくOperaブラウザでも作動、表示されるが他ブラウザでの信頼性等は確かめていない。
このアドオンを実際に使ってみたが、利用法は簡単で日本語も特に問題なく表示された。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

新しいトップレベルドメイン(TLD)、.blogはAutomatticサイトで予約受付中

2016-08-24-dotblog-social

新しく作られるトップレベルドメイン名で実際に意味がありそうなものは少ない。.blogはその一つだ。TechCrunchも利用しているWordPressを作っている他に、ウェブアプリ多数を持っているAutomatticが.blogのドメインを所有している。このドメインを利用したいユーザーはget.blogおよび(紛らわしいが) dotblog.wordpress.comから予約ができる。

Automatticは従来のドメイン登録の慣例どおり、数日前からいわゆるSunrise(サンライズ期間)を開始していた。商標の所有企業は商標に続くドメイン名をこの期間内に早期予約できる。つまりApple.blog,、TechCrunch.blog、Trump.blog、などというドメイン名だ。

blagblog

この期間中の取得費用の総額は250ドルになる。登録料が220ドルで、最初の1年のドメイン利用料金が30ドルだ。複数のユーザーが同一のドメインを要求した場合はオクタゴンで戦って決着をつける―わけではなくて、オークションになる。

11月2日に.blogドメイン名のLandrush(ランドラッシュ)期間が始まる。これは一般的に意味のある単語のドメイン名が新設される場合、sunrise期間と一般受付期間の中間に設けられる期間で、一定の資格を満たした者の登録の受付が可能だ。他のTLDと同様、「価値の高いドメイン名には一定のプレミアムが加算される」という。つまり人気のありそうなドット・ブログ・ドメイン名を二束三文で取得し、高額で転売して大儲けするというような不心得者の出現を防ぐためだ。

われわれのような登録商標に縁のない一般ユーザーが自分の名前や趣味名に続く .blogのドメイン名を登録できるのはランドラッシュの終了後、11月21日からとなる。

画像:: Automattic

〔日本版〕WordPress日本語版のサイトに.blogドメイン名の説明と予約に関するページが設けられている。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

WordPress.comが傘下のすべてのWebサイトをHTTPSで暗号化へ

lock-e1459872159904

WordPress.comが、そのすべてのブログにHTTPSをサポートする。あなたのWordPressブログがカスタムドメインであっても、あるいはwordpress.comドメイン(たとえば:bestcrabrestaurantsinportland.wordpress.com)であっても、同じ扱いになる。

FacebookやTwitterのようなソーシャルサービスは、その多くがかなり前からHTTPSをサポートしているが、WordPress.comはカスタムドメインに関しては遅れていた。

2014年から、WordPress.comのサブドメインはHTTPSをサポートしたが、ほかはまだだった。しかし何かのスイッチを入れるように簡単にカスタムドメインに切り替えることはできない。証明が必要だから。

しかしLet’s Encryptプロジェクトのおかげで、WebのどこでもHTTPSを実装することが安く簡単にできるようになった。WordPress.comも、これを利用しようとしている。これからは各WebサイトがSSLの証明を持ち、URL欄にはグリーンの鍵が表示されるようになる。〔この鍵をクリックするとSSL認証に関連したいろんな情報が表示される。〕

嬉しい副作用として、GoogleはHTTPだけのWebサイトよりもをHTTPSをサポートしているサイトの方を優遇する。WordPress.comのWebサイトも、Googleの検索結果でランクが上がるだろう。

今、あなたの頭の中には、でっかいクエスチョンマークがあるだろう。HTTPSを有効にするには、何をする必要があるのか? 昼間の主婦向けトーク番組ふうに言えば、WordPress.comがすべてのWebサイトでHTTPSを有効にするから、あなたは何もしないでよい。あなたはSSLの証明をもらう! 誰もがSSLの証明をもらうのだ!

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

WordPress.comがオープンソース化して過去最大のアップデート―Macアプリも公開

2015-11-25-wordpress

昨日米国時間11/23)、WordPressのウェブホスト版のWordPress.comが過去最大のアップデートを受けた。親会社のAutomatticがCalypsoと名付けた今回のアップデートで、WordPress.comは事実上、ゼロから作り直された。まず最大の変化から紹介していこう。

第一に、 WordPress.comは、WordPressコアから完全に独立した。 WordPress.comはウェブサイトの管理者向けインターフェイスとなり、WordPressコアだけでなく、他のサードパーティのアプリのウェブサービスやアプリもコントロールできるようになった。WordPress.comは投稿の取得、新規投稿、写真のアップロード、その他あらゆる処理をREST APIを通じて処理する。

第二に、WordPress.comチームはまったく新しい開発環境に乗り換えた。これまではPHPとMySQLを使っていたが、新しいスタックは全面的にJavaScriptとAPI呼び出しが採用された。つまりユーザーがウェブサイトを訪問すると、サーバーは即座に大部分がブラウザ内で作動するWordPressクライアントを割り当ててくれる。

新しいWordPress.comはシングルページ・アプリケーションだ。このインターフェイスにはローディングしなければならないスクリーンがほんのわずかしかない。したがってパソコンだけでなく画面の小さいスマートフォンや非力なタブレットでも十分軽快に作動する。もし現在、ユーザーがWordPressの管理者バックエンドを使っているなら、これからも直接そのバックエンドにアクセスできる。しかし同時に、WordPress.comを使うことも可能になった。WordPress.com、ジェットパック・プラグインを使ったセルフサービス・ブログ、またはWordPressのVIPサイト(TechCrunchはこれだ)のいずれかを使っているならこのオプションが利用できる。

最後に、新しいサイトは完全にオープンソース化され、 ソースコードはGitHubから手に入ることを付け加えおく必要がある。ユーザーはソースコードを調べて必要に応じてフォークさせ、再利用することができる(当然だがGNU GPL v2に示された条件を守る必要がある)。

開発チームはさらに、WordPress.comにアクセスするための新しいMacアプリも提供している。いろいろな意味でこのMacアプリはSlackのデスクトップ・アプリに似ている。最新のウェブ・テクノロジーとデスクトップのいいことを合わせ持っており、WordPress.comのウェブサイトでできることはほぼ全部できる上に通知など付加機能もある。Windows版、Linux版のアプリは開発中だ。

私はMacアプリをダンロードして短時間だが試してみた。WordPress.comに馴染みがあれば、アプリを開いただけで操作方法はすっかり分かってしまうだろう。実際そっくりなインターフェイスだ。それでもMacのドックにアプリのアイコンが表示されるのは安心感をさそうものがある。

WordPress.comの親会社であるAutomatticがこれほど膨大な手間のかかる作業に取り組むことにした理由は使ってみればわかる。新しいWordPress.comはローカルで作動する最新のウェブ・アプリのように感じる。つまり新興のライバルであるMediumのように軽快なのだ。

私はTechCrunchの一部のライターのような WordPressのパワーユーザーではないが、それでも新しいWordPress.comがクリーンで効率的な記事執筆のプラットフォームだということは見てとれた。インターフェイスは現在ウェブ上で記事を書いている人々の大部分に魅力的だろう。

現在、世界のウェブサイトの25%はWordPressで動いているという。これは決してささいな数ではない。 WordPressはもはや最近生まれた元気いっぱいのスタートアップではなく、ウェブの巨人だ。しかし今日のアップデートでAutomatticは依然として環境の変化とライバルの動向に敏感であることを示した。WordPressの将来にとってこれはよいことだ。

  1. screen-shot-2015-11-23-at-19-49-04.png

  2. screen-shot-2015-11-23-at-19-49-44.png

  3. screen-shot-2015-11-23-at-19-49-561.png

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

AutomatticがWooCommerceを買収―WordPressサイトが簡単にオンラインショップになる人気プラグイン

2015-05-20-automattic

WordPressでオンラインショップを作りたいなら、選択肢は事実上一つ、WooCommerceだろう。 750万ダウンロードを誇るWooCommerceはすべてのWordPressプラグインの中でもトップ10に入っている。先ほど発表されたニュースによると、WooCommerceは正式にWordPressファミリーに入った。WordPress.comの運営会社、AutomatticはWooCommerceを買収したことを明らかにした。

Automatticは買収価格を発表していないが、私の取材に対して「これまでの当社の買収の中でも群を抜いて最大」だと明かした。われわれはさらに取材を続けるつもりだ。Automatticが大金を投じてeコマース・プラグインを買収した理由は、それがまさにWordPressユーザーの要望だったからだ。

WordPressのファウンダー、Matt Mullenwegは 買収を発表したYouTubeビデオで「(数年前、あるWordPressカンファレンスの) Q&Aセッションで私は『ウェブサイトを作って公開するのと同じくらい簡単にオンラインストアを作って公開できるようになるのはいつなのか?』と尋ねられた。すると聴衆から自然と喝采が沸き起こった。みんなこのアイディアが気に入ったのだね」と語っている。

WordPressがeコマース分野への参入を狙っていることが今回の買収ではっきりした。eコマースの世界には一大衝撃が走っただろう。 WooCommerceはすでにWordPressベースで60万のオンラインストアを稼働させている。

ではWooCommerceというのはどういうプラグインなのか? 簡単にいえばWordPressをオンラインストアにする仕組だ。開発チームはもともとWordPressのテーマを専門にしていただけあって、WordPressとの一体感が優れている。

商品を追加するのは新しい記事を投稿するのと同じ感覚で簡単にできる。支払は?  デフォールトでPayPalがサポートされている。StripeやAmazon Paymentsなどの支払方法を追加したければそれも簡単だ。エクステンションを追加するだけでよい。クーポンの発行、管理機能も用意されている。配送ロジスティクス、在庫管理、ビジネス・アナリティクスなどもある。要するにオンラインストア運営に必要な機能はすべて揃っている。

こちらのビデオに主要機能が詳しく説明されている。

AutomatticがWordPressプラグインの会社を買収したのはこれが初めてではない。1年前にはWordPressのセキュリティー・プラグイン、BruteProtectを買収している。

私の取材に対してAutomatticは「買収手続きはら来月完了する」と語った。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

AutomatticのCEO Matt MullenwegがWordPressのバックエンドとインタフェイスの近未来の大改造をほのめかす

AutomatticのCEO Matt Mullenwegが今日(米国時間5/7)のDisrupt NYのステージに登場して、本誌TechCrunchの副編集長Alexia Tsotsisのインタビューに応じた。その話題は、最近の同社の資金調達からWordPressの未来のインタフェイスなど、多岐にわたった。

今週初めに発表されたWordPressの1億6000万ドルの資金調達についてMullenwegは、たかだかオープンソースのソフトウェアなのに、こんだけの大金を何に使ったらよいのか、自分にもわからない、と言った*。投資家に用途を質問されても、答えられないだろう、と。しかしただ一つわかっているのは、今後WordPressがWebのこれまでよりもさらに大きな部分を動かしているようにしたい、ということだ。〔*: 原文のコメントの冒頭でMatt自身が、この発言はジョークだよ、と言っている。〕

“まだWeb全体の70%が(WPの未開拓市場として)残っている”、と彼は言う*。“市場を広げるためにはソフトウェアをもっと良くしなければだめだ”、と彼は認めた。とくに今ではますます多くのユーザがタッチに移行しているから、WordPressはタッチのインタフェイスをもっと良くする必要がある、と彼はとくに力を入れて語った。〔*: 同じく原文コメントで、未着手市場は78%と訂正。〕

Mullenwegは、Automatticの大半を所有しているのに、今でも1998年型のChevy Lumina*に乗ってサンフランシスコをドライブしている。今回も、彼が億万長者になる云々の質問は、すべてはぐらかした。“それは、人が関心を向けるべきことではないね”、と彼は言った。‘人’には彼自身も含まれるのだろう。〔*: Chevy Lumina, 前輪駆動の量産型大衆車。〕

投資家としての自分についてMullenwegは、投資について何かの理論を持っているわけではない、自分自身が使うものや、オープンソースのアプリケーション、マーケットプレイスなどに投資している、と言った。eコマースにも強い関心があるようで、今の時代にビジネスを始めるとしたら(WPのような)コンテンツ主体のものではなく、オープンソースのeコマースプラットホームを作っていたかも、と言う。

〔ここにスライドが表示されない場合は原文を見てください。〕

最近人気を集めているMedium日本語記事)は、WordPressにとって脅威だろうか? Mullenwegは他社のことをあまり気にしていないようで、“あのエディタのインタフェイスはいいね*、でもうちならあれの次のバージョンを作れるよ”、とかわす。今では多くの出版企業が独自のCMSを作っているが、でも彼らはあくまでもコンテンツ企業だから、どうすればもっと良いCMSになるかを一日中考えてはいない、とも言う。“うちでは、コンテンツのことはユーザが考える。うち自身が毎日一日中考えているのは、コンテンツではなくソフトウェアとしてのWordPressをますます良くしていくことだ”、彼はこの言葉を、対談者ではなくオーディエンスの方に顔を向けて言った。“つねに、今よりも高いところを目指して、奮闘している”。〔*: 余計な訳注: というか今のWPの編集インタフェイスはあまりにもお粗末、使い物にならない。〕

WordPressの次の取り組みについて具体的には言わなかったが、彼は”new dash“というプロジェクトの名を挙げた。それはWordPressのバックエンドとインタフェイスの大規模な改作だ。また、iOS 8向けのエディティングツールによって、モバイルのインタフェイスが“ずっとずっと良くなる”、とも言った。モバイル以外では、Jetpackへの注力がある。これはクラウドからホストされるブログサービスWordPress.comにある機能を、自分でホストするWordPressソフトウェアに持ち込むプロジェクトだ。

というよりも、今ではクラウド(PaaS, IaaS)プロバイダの多様化高度化良質化が進んでいるから、自分でWordPressをホストするユーザが増えつつある。そこで彼の信念としては、今はWordPressサイトの50%をWordPress.comがホストしているが、数年後にはその比率が5%程度に落ちる、というのだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Automatticがファイル共有サービスCloudupを買収, WordPressに共同編集機能が加わる

【抄訳】

WordPress.comの親会社Automatticが、6月にベータでローンチしたファイル共有サービスCloudupを買収した。これによりWordPressには、ビデオや画像などをアップロードするためのメディアライブラリと、複数のユーザが一つの記事を同時にエディットできる機能が加わることになる。

Cloudupは、2010年に創業された教育サービスLearnBoostの派生プロダクトで、だから両者はチームも投資家も同じだ。LearnBoostの協同ファウンダでCTOのGuillermo Rauchによると、元々の教室管理サービスもAutomatticのプロダクトとして存続する。

今後Cloudupのチームは、投稿エディタの改良と、WordPress.comのメディアライブラリをCloudupのもので置き換える作業に取りかかる。AutomatticのファウンダMatt Mullenwegによると、それはWordPress.comの現在のメディアアップローダに比べるとずっと高度で、エレガントで、使いやすいそうだ。“それに比べるとうちのは、メディアライブラリとは呼べないね”、と彼は言う。

それは、控えめな言い方だ。Cloudupの技術では、一つの記事を複数の人が同時にエディットでき、ライターがテキストを書いてる間に写真家が画像をその同じ記事用にアップロードしたりできる。ということは、記事の最終アップロード前でも複数の者がファイルを共有できるのだ。

Mullenwegによると、共同編集機能が加わった近未来のWordpressは、同じ共同編集といっても、Google Docsなどとは違うサービスになる。Google Docsではドキュメントは単にドキュメントだが、Wordpressの記事やページは、ビデオや画像やギャラリーなどを含むリッチなマルチメディアだ。その近未来がいつになるかは未定だが、できるだけ早期にCloudupの統合を終えたい、と彼は言っている。

【中略】

Mullenwegは前に、インターネット上のサイトの大多数がWordPressで動いているようにしたい、と言っていた。今現在のマーケットシェアは20%強だが、その目標のためにはWordPress.comをより高度なプラットホームに仕立てることが重要だ。Cloudupも、その一助となる。本誌TechCrunchもWPで動いているサイトだから、共同編集や写真の高速アップロードなどの機能が加われば、仕事の流れがずっとスムースになるだろう。

【後略】

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))