BitcoinマイニングのNiceHash、ハッキングで数千万ドルを失う

Bitcoinは初めて1万4000ドルを超え、さらに空高く舞い上がっている。 しかしbitcoinマイニングを容易にしようとするあるプロジェクトはハッキング被害により少なくとも6000万ドルを失ったようだ。

NiceHashはコンピューター能力に空き時間があるオーナーと新たなbitcoinを「採掘」するマイナーを仲介するマーケットプレイスだ。同社がFacebookページで確認したところによると、ハッカーによって多額のbitcoinが持ち去られたという。

NiceHashはオペレーションを24時間停止して正確にどんなことが起きたのか、どれほどの被害を受けたのか調査中だ。Coindeskの記事によると、ユーザーが利用していた同社のウォレットには4,736.42BTCが含まれ、これは6000万ドル以上の価値があるとされる。

NiceHashではこのハッキングの後、NiceHashまたそれ以外のウォレットへのパスワードを変更することをことをユーザーに勧めている。

最近暗号通貨に関連するセキュリティー問題ではbitcoinよりEthereumが話題になっていた。11月にParity Technologiesのウォレットに発見された脆弱性で1億5000万ドル相当のETHが凍結されることとなった。Parityの脆弱性は7月にも150,000 ETHが盗まれる(当時の価値で3000万ドル)という問題を起こしていた。

画像: Bryce Durbin/TechCrunch

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Bitcoin Bubble Burstは、bitcoinドリームの崩壊を予言するアプリ

あなたがbitcoin信者であっても、自分のバブル予測が的中するのを待っているハゲワシであっても、いつおきても不思議ではないと誰もが思っている崩壊を予想しながら変動チャートを見つめていることだろう。今日(米国時間12/3)Disrupt Berlinハッカソンで発表されたBitcoin Bubble Burst(BBB)は、価格の変動や価格に影響を与えるできごとをリアルタイムで教えてくれる以外にも目を向けさせる。

Bitoinの取引量や価格が大きく変わったときに警告を与えるアプリは山ほどあるが、BBBの作者いわく、何かが〈起こりそう〉なときに適切な警告を与えるものはない。そこで彼らは(当然)機械学習を利用してbitcoinの価格変動にかかわるデータを教え込んだ。

取引のパターンや重要なニュース項目 —— 国によるbitcoinの禁止、あるいは暗号化通貨収入に対する課税の提案等々 —— をシステムが検知し、一定の重要度に達するとメールが送られてくる。警告の根拠となるロジックも書かれている —— 単に「売りだ!売り!」というわけではない。

通常の近況通知の例はこちら。緊急時のアラートとは見た目が異なるかもしれない。

これまでのところシステムはかなり正確で、数ドル程度の変化を予知していると作者らは言っている —— 時間とともにデータが増えればもっと正確になる。別の警告方法(SMSなど)の追加や、通知を受ける危険レベルの設定なども計画している。

もちろん、暗号化通貨の世界は基本的に予測不能なので、何事にも眉につばをつけてかからなくてはならない。それでも、じっと観察してbitcoin が大変なことになりそうなことを警告してくれるエージェント、というアイデアを私は気に入っている。たとえ間違っていたとしたも。

Bitcoin Bubble Burstをつくったのは、Claudio Weck、Saad El Hajjaji、Kathick Perumの3人。アプリのGithubページでサインアップできる(下の方に60秒のプレゼンのビデオもある)。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Bitcoinが9000ドルを超えた

ついに9000ドルを超えた。

あなたが感謝祭のディナーで家族にBitcoinの説明をしようとしたときの敗北感から立ち直ろうとしているあいだにも、暗号化通貨の価値は恐ろしい速さで上昇している。これを書いている時点で、1 Bitcoinの価格は9143ドルを超え、過去24時間に6%近く上がっている。

この種の価格が大台を超えたニュースというのは、いずれ陳腐化するものだが、Bitcoinの上昇速度と史上最高値を突破する勢いを踏まえると、少なくとも1万ドル突破の歴史を記録することには意味があるだろう。

Bitcoinの時価総額は現在1520億ドルを超えている。

via coinmarketcap.com

同僚のFitz Tepperが、Bitcoinが年内に10,000ドルを超える可能性はかなり高いと書いたのは、わずか6日前で8000ドルを超えた時だった。この様子だと、むしろ2017年中にどこまで1万5000ドルに近づくかに注目すべきなのかもしれない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

暗号通貨100種類をリストアップ――4語以内で解説してみた

〔編集部:この記事の筆者、Nate Murrayはプログラマー、ミュージシャン、養蜂家。IFTTTに勤務中。20009年からテラバイト級の巨大データを処理してきた。〕

以下は各種暗号通貨を1位から100位まで概観したリスト。

それぞれ4語以内で解説を試みた。現在非常に多数の暗号通貨が存在する。

一部は新時代を開くものだが、中にはインチキもある。

何らかの参考になることを期待する。

Name            | Sym.  | Description                              
----------------|-------|------------------------------------------
Bitcoin         | BTC   | デジタル版黄金                             
Ethereum        | ETH   | プログラム可能な契約と資金         
Bitcoin Cash    | BCH   | Bitcoin クローン                            
Ripple          | XRP   | エンタープライズ向け支払処理ネットワーク    
Litecoin        | LTC   | 高速なBitcoin                           
Dash            | DASH  | プライバシー強化版Bitcoin クローン            
NEO             | NEO   | 中国市場のEthereum                  
NEM             | XEM   | 手間なしデジタル資産        
Monero          | XMR   | プライベート・デジタル・キャッシュ                     
Ethereum Classic| ETC   | Ethereum クローン                           
IOTA            | MIOTA | IoT支払              
Qtum            | QTUM  | BitcoinでのEthereum契約             
OmiseGO         | OMG   | 銀行業務、送金、交換所        
Zcash           | ZEC   | プライベート デジタル キャッシュ                     
BitConnect      | BCC   | ネズミ講式投資ファンド              
Lisk            | LSK   | JavaScriptによる分散的アプリケーション
Cardano         | ADA   | 多層の通貨と契約           
Tether          | USDT  | Price = 1 USD                            
Stellar Lumens  | XLM   | デジタル IOUs                             
EOS             | EOS   | WebAssembly上の分散的アプリケーション
Hshare          | HSR   | ブロックチェーンの電話交換機 
Waves           | WAVES | 分散的交換所とクラウドファンディング  
Stratis         | STRAT | C#の分散的アプリケーション
Komodo          | KMD   | 分散的 ICO 
Ark             | ARK   | ブロックチェーンの電話交換機  
Electroneum     | ETN   | Moneroクローン                             
Bytecoin        | BCN   | プライバシー強化型暗号通貨   
Steem           | STEEM | Reddit式投票付き暗号通貨    
Ardor           | ARDR  | ブロックチェーンを分岐させるブロックチェーン   
Binance Coin    | BNB   | Pay Binance 交換所 fees                
Augur           | REP   | 分散的予測マーケット          
Populous        | PPT   | 米国債先物取引 
Decred          | DCR   | 異なる運営のBitcoin    
TenX            | PAY   | 暗号通貨クレジットカード    
MaidSafeCoin    | MAID  | 暗号通貨向けディスク容量貸出
BitcoinDark     | BTCD  | Zcoinクローン                              
BitShares       | BTS   | 分散的交換所                   
Golem           | GNT   | 他人のコンピューターを貸出     
PIVX            | PIVX  | インフレ版Dashクローン                  
Gas             | GAS   | Neoで手数料支払い                     
TRON            | TRX   | アプリ内課金                         
Vertcoin        | VTC   | Bitcoinクローン                            
MonaCoin        | MONA  | 日本の Dogecoin   
Factom          | FCT   | 分散的記録管理    
Basic Attention | BAT   | 分散的広告ネットワーク                 
SALT            | SALT  | 暗号通貨利用ローン
Kyber Network   | KNC   | 分散的交換所                   
Dogecoin        | DOGE  | 本格的Degeミームのbitcoinクローン               
DigixDAO        | DGD   | トークン化された金処理組織      
Veritaseum      | VERI  | ベーパーウェア                                
Walton          | WTC   | IoT ブロックチェーン                           
SingularDTV     | SNGLS | 分散的Netflix                    
Bytom           | BTM   | 物理的資産のトークン                
Byteball Bytes  | GBYTE | 分散的データベースと通貨      
GameCredits     | GAME  | ビデオゲーム通貨                      
Metaverse ETP   | ETP   | 中国のEthereumプrス身元確認           
GXShares        | GXS   | 分散的中国版Equifax            
Syscoin         | SYS   | 分散的マーケットプレイス                
Siacoin         | SC    | Rディスクスペースのレンタル
Status          | SNT   | 分散的アプリケーション・ブラウザ
0x              | ZRX   | 分散的交換所                   
Verge           | XVG   | プライバシー重点のDogecoin
Lykke           | LKK   | デジタル資産交換所                   
Civic           | CVC   | 身元確認と認証のアプリ
Blocknet        | BLOCK | 分散的交換所
Metal           | MTL   | ボーナス付支払プログラム
Iconomi         | ICN   | デジタル資産投資ファンド
Aeternity       | AE    | 分散的アプリ(プロトタイプ)
DigiByte        | DGB   | 高速なBitcoin   
Bancor          | BNT   | トークン・インデックス・ファンド                        
Ripio Credit    | RCN   | 複数書名による暗号通貨ローン
ATMChain        | ATM   | 広告 ネットワーク                      
Gnosis          | GNO   | 分散的予測マーケット          
VeChain         | VEN   | サプライチェーン・アイテムと製品ID管理
Pura            | PURA  | 暗号通貨 
Particl         | PART  | プライバシー強化マーケットプレイスとチャット
KuCoin Shares   | KCS   | 利益共有型手数料交換所             
Bitquence       | BQX   | 暗号通貨の投資のMint  
FunFair         | FUN   | 分散的カジノ
ChainLink       | LINK  | 契約のための外部データ              
Power Ledger    | POWR  | 電力のAirbnb
Nxt             | NXT   | 暗号通貨とマーケットプレイス           
Monaco          | MCO   | 暗号通貨クレジットカード
Cryptonex       | CNX   | Zerocoinクローン
MCAP            | MCAP  | マイニング投資ファンド
Storj           | STORJ | ディスクスペース・レンタル
Zencash         | ZEN   | プライバシー強化型Bitcoinクローン
Nexus           | NXS   | Bitcoinクローン                            
Neblio          | NEBL  | 分散的アプリケーション・プラットフォーム       
Zeusshield      | ZSC   | 分散的保険
Streamr DATAcoin| DATA  | リアルタイム・データ・マーケットプレイス               
ZCoin           | XZC   | プライベート・デジタル・キャッシュ
NAV Coin        | NAV   | プライベート取引可能Bitcoin     
AdEx            | ADX   | 広告交換所                     
Open Trading    | OTN   | 分散的交換所                   
SmartCash       | SMART | ボーナス付Zcoin クローン                 
Bitdeal         | BDL   | Bitcoin クローン                            
Loopring        | LRC   | 分散的 交換所                   
Edgeless        | EDG   | 分散的 casino                     
FairCoin        | FAIR  |  ボーナス付貯金用Bitcoin 

暗号通貨のランキングはcoinmarketcap.comのデータによった。

この記事はGreg Wilsonに触発されたもの。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

BitTorrentの発明者が(ビットコインとは違って)環境に優しい仮想通貨Chiaを発表

ビットコインの1トランザクションには、今やアメリカの家庭の1週間分の電力が浪費されている。伝説のプログラマー、ブラム・コーエンが狙うのは、それをなんとかすることだ。そして、彼が広く用いられているBitTorrentピアツーピアファイル転送プロトコルの発明者であることを思えば、その動きは真剣に受け止める必要があるだろう。

コーエンは、Chia Networkという新しい会社を立ち上げたばかりだ。ビットコインの採用する電力浪費型のproofs of work方式ではなく、proofs of timeとproofs of storageという手法に基く仮想通貨を始めるためだ。本質的に、Chiaはハードドライブ上の安価で豊富な未使用のストレージスペースを利用して、ブロックチェーンを検証する。

「より良いビットコインを作り、中央集権化の問題を解決することが目標なんだ」とコーエンは私に語った。彼がビットコインで問題だと思っている2つの点は、地球環境への影響と、安価な電力にアクセスできる少数のマイナー(採掘者)たちが持つ巨大な影響力から生じる、不安定性である。

Chiaはこの両者を解決することを目指している。

BITCOINCHIAネットワークの動作原理
・全ての履歴とペンディング中のトランザクションの全てを保存しているノードたちが、ネットワーク上にある。それらのノードは自分の知る中で最も重い1つの3つの履歴を自分のピアに送信する。
・新しいブロックが生まれたときには、それは素早く全てのノードに送られて、マイナーたちファーマーたちは、それを使って計算を始める。1人のマイナーがファーマーが新しいブロックを発見したら、それをネットワークにパブリッシュする。ファーマーたちは彼らのもつ最高のproof of spaceを発見する。3つの最高のproofs of spaceが素早く全てのネットワークに送り出され、proofs of timeサーバーたちが、それらを用いて計算を始める。1つのproof of timeサーバーがproof of spaceのためのproof of timeを完了すると、それら全てを完全に検証済のブロックとしてネットワーク上にパブリッシュする。

ビットコインはブロックチェーンを検証するためにproofs of workという手法を用いる。これは、本物と同様の計算を行って、ニセのブロックチェーンを作成するのは非現実的なほど高価につくからだ。しかし、それは時間が経つにつれて、低コストの電力が手に入る場所や、マイニング装置を自然に冷やせる場所でビットコインをマイニングする者たちに、大きな優位性を与えることになった。

Chiaはその代わりに、人びとが多くの場合既に持っていて、追加費用なしで使うことができる、ファイルストレージを用いたproofs of spaceを利用する。そしてこれをproofs of timeと組み合わせる(こうすることで、proofs of spaceが受けやすい様々な攻撃を無効にするのだ)。

「私はこのアイデアを思いついた初めての人間ではないけどね」とコーエンは言う。しかし実際に実装するには彼が専門とするような先進的コンピューターサイエンスが必要とされるのだ。

2000年代初頭にtorrentの基礎を発明し、ValveのSteam(ゲームプラットフォーム)を暫く開発したあと、コーエンはライブビデオ配信のための新しいピアツーピアプロトコルの本格的開発のために、BitTorrentを設立した。しかし、ビジネス面での管理の失敗が会社を崩壊させた 。現在同社は非常に弱りきった状態であり、コーエンは「会社は私を毎日必要とはしない」と言うようになった。そこで、彼はまだ取締役会の一員ではあるものの、8月の初めに同社を去り、Chia Networkを始めたのだ。

Chia Networkの共同創業者ブラム・コーエン

コーエンは、ビットコインの初期からの交換所であるTradehillのCOOであるRyan Singerとチームを組み、Chiaの立ち上げと雇用のためのシードラウンドを行った。コーエンは、シードでの調達金額を明かさなかったが、笑いながら「現在いくら必要と言うべきかは良くわからないね、でもまあとてもホットなラウンドだったよ」と語った。目標は、2018年の第2四半期までにChiaの早期販売を開始して、2018年末までには仮想通貨として完全に立ち上げることだ。

コーエンは素晴らしい技術者だが、ビットコインからChiaへの切り替えを人びとに納得させるためには、それ以上のものが必要だ。彼は私にChiaでは「新規まき直しをするのだから、法的な位置付けをよりスマートなものにして、かつ膨大な技術的修正を行なう」計画だと語った。

これがどういうものであるかを推測するのは時期尚早だが、少なくとも、ただ不平を言うのではなく、仮想通貨の生態系への影響に対してアプローチしようとしている者が居るということは言える。コーエンは興奮しているように見えた。「これは技術的にとても野心的なことで、やるべきことがたくさんあるんだ。既に十分な資金は調達したし、人も雇った。後は実際にやるるだけさ」。

[画像クレジット:Michael O’Donnell]

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(翻訳:Sako)

Bitcoin、5000ドルを超える

今日(米国時間10/12)午前、bitcoinが5000ドルを超え、5300ドル前後を行き来している ―― 前日より10%近い高値だ。

同暗号化通貨が安定して5000ドルを超えたのはこれが初めてだ。9月に一部の取引所で5000ドルを一時的に超えたケースはあったが10分ほどしか続かなかったため、今日は初めて安定してこの歴史的節目を超えた日となった。

YTD chart of bitcoin

今日のbitcoinの高値をほかの暗号化通貨が追随しているわけではないのは興味深い。リーダー格が価格変動を起こすと暗号化通貨市場全体がついてくるのが普通だ。しかし今回、Ethereumがわずか2%高、Rippleは2%安だった。Litecoinは唯一bitocoinの動きを真似た通貨で、本日同じく10%近く上昇した。

この節目はbitcoinが4000ドルを超えた後ちょうど2か月後にあたる。これはbitcoinの回復力を示す証拠だ。先月中国がICOおよび暗号化通貨取引所を全面的に禁止した後、一時的に値を下げていたことを踏まえるといっそう顕著だ。

何が価格変動を引き起こしているかを正確に知ることは常に困難だが、機関投資家が主役を演じていると多くの人が考えている。最近ウォール街の多くの銀行がこの暗号化通貨に関心(または無関心)を示しており、CNBC始め主要金融メディアは従来型有価証券と同様にbitcoinを取り上げている。

皮肉なことに、今日の午前JP MorganのCEO Jamie Dimonは決算報告会見で、「今後bitcoinの話はしない」と語った。ひと月前、同氏はbitcoinは「詐欺だ」と話し、その結果bitcoin価格は5%下がった。

さて次はbitoinに何が起きるのか? 同通貨は11月末に再度の「ハードフォーク」が実施される予定で、一部のデベロッパーはSegWit2Xというプロトコル変更を提唱している。どれほどの採掘者がこのプロトコル変更を支持するのかは未だに不明だが、Bitcoin Cashのようなbitcoinスピンオフが再び現れる可能性はある。

いずれにせよ、価格はどちらの方向にも極めて変動しやすく、来月スケーリングの議論が願わくば解決するまで続くだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

暗号化通貨は先週末の暴落からすでに立ち直っている

数日前に暗号化通貨市場が20%暴落したとき、私は「1日2日もすれば、これが一時的な現象か次の大変革の始まりかがわかるだろう」と 書いた

さて、その1、2日がすぎた。そしてあの一時的急落は一過性であったらしいことがわかった。今日(米国時間9/6)、暗号化通貨全体の時価総額は、昨日の1350億ドルから16%アップの1620億ドルになった。

Bitcoinも再び4600ドルを超え、前日より13%上がった。Ethereumは333ドル前後で取引されていて、今週初めの底値から16%アップだ。

下のチャートを見ると、全般的によく似た傾向であることがわかる。ほとんどの通貨がこの24時間に2桁値上がりし、週末の暴落前にほぼ戻っている。

例外が1つある。中国拠点のICO/暗号化通貨のNEOは、先週の39%ダウンから復活していない。しかしこれは理にかなっている。暴落の原因は中国のICO全面禁止で、その影響を直接被ったのがNEOだからだ。

もちろん、極端な乱高下は暗号化通貨の世界では当たり前だ ―― BitcoinやEthereumなどの主要通貨では2桁の変動も珍しくない。しかし、先週末のようにあらゆるデジタル通貨が影響を受ける市場全体規模の暴落は、ほぼ間違いなく外部からの影響の兆候であり、日々の変動ではない。今回のケースでは中国のICO禁止が原因だ。

今日の回復は、暗号化通貨市場(および付随する評価額)は、一部の人が思うよりも復元力が強いことを示している。

これは暗号化通貨投資家が公には認めたがらないことだが、過去数か月の急騰はバブル崩壊の前兆だと多くの人が思っている。一方その同じ投資家の中に、上昇を続ける評価額が少し下がることを期待する人もいる。市場全体が一息つく時間が欲しいからだ。

結局のところこの復調は、暗号化通貨市場が政府の規制によるショックに耐えるだけの回復力を持っていることを示すものであり、これは安定した価値の上昇が続くことを意味している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

暗号通貨、2日で20%急落――踊り場か調整局面か注目

暗号通貨は調整局面に入ったのかもしれない。

過去数ヶ月、前例のない値上がりを続けてきた暗号通貨のほとんどすべてはこの48時間で2桁の値下がりに直撃された。coinmarketcap.comによる上の表をざっと眺めただけで、事態が深刻なのが分かる。最大の暗号通貨であるBitcoinはここ数日で16.5%ダウンした。Ethereumは23.5%のダウンだ。

土曜には1800億ドルだった時価総額が1420億ドルへと縮小し、暗号通貨市場全体がたった2日で20%の価値を失った。この急落は暗号通貨の時価総額の歴史にはっきりした傷跡を残すほど大きい。つまり簡単に忘れられような軽易な出来事ではない。

もちろんこれまでの経緯を見ておくことは必要だ。「暴落」したとはいえ、 Bitcoinの価値は4ヶ月前と比べてさえ2倍だ。しかし今回の値動きは暗号通貨への投資には並々ならぬ度胸がいることを改めて示した。

何ヶ月も暗号通貨の値動きを研究し、価格が2倍になったのを見て48時間前に大金を投資したとしよう。それが今や2割の損失を出している。愉快ではあるまい。アメリカの株式市場でいえば、20%の下落は数年分の利益に相当する。最近暗号通貨に投資したとすると、その額がこの週末で消し飛んだわけだ。

ではこの暴落が起きた原因は何だったのか? いくつか考えられる。

今朝(米国時間9/4)、中国政府は暗号通貨によるクラウドファンディングを「経済および金融の秩序を著しく乱す活動」と非難し、ICOを禁止した。政府の規制措置が実施されるたびにbitcoinその他の暗号通貨は打撃を被ってきたが、今回は特にアメリカのSEC〔証券取引委員会〕がICOの合法性に関して強い警告を発した直後だっただけに影響は一層深刻になったのだろう。

中国政府がすべてのICOについて調達した資金を投資家に返却するよう命じたことは有力暗号通貨であるBitcoinやEthereum自身の価格に対する不透明さを増すこととなった。つまりICOで購入されたトークンは再び通常の通貨に戻さねばならない。たとえば中国のICO/暗号通貨、NEO(以前のAntShares)はここ数日で50%も値下がりした。

暗号通貨の急落の原因としてもう一つの可能性は、要するに市場が過熱していたというものだ。急落はBitcoinが5000ドル弱という新高値をつけた時期に起きた。つまり自然の調整局面に入ったという考え方だ。Bitcoinの値動きを歴史的に追うと、急上昇の後に急降下することを繰り返している。通常の株式市場の値動きのパターンと同じだ。

向こう数日のうちに今回の下落が一時的な踊り場なのか本格的な調整局面に入ったことを意味するのかはっきりするはずだ。今のところ誰にも予測はできない。答えを出すのは市場だ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

中国、ICOを全面禁止――「金融詐欺、ネズミ講」と強く非難

ICO(Initial Coin Offering)に対する風向きが変わった。少なくとも中国ではそうだ。アメリカでもSEC〔証券取引委員会〕がICOのリスクを公式に警告しているが、最近急増してきた暗号通貨によるクラドファンディングを中国の当局は法規を改正して全面的に排除すると決めたようだ。

今日(米国時間9/4)、中国人民銀行を筆頭とする省庁を横断する委員会は次のように公告した[中国語原文]。これによればICOによる資金調達は「経済および金融の秩序を著しく乱す活動」として直ちに禁止された。

中国における金融ニュースメディア、Caixin〔財新〕 [中国語版]の記事によれば、同委員会は60箇所の暗号通貨取引所のリストを作っており、これらの証券取引所に対して監督当局は調査を行うと同時にその報告の提出が求められているという。これと同時に中国では新規のICOは凍結された。

ICOは新たな暗号通貨トークンを生成し投資家に売却することにより資金調達を行う手法で、多くの場合Ethereumが利用されている。効果として現実の株式を発行することに類似するため、金融監督当局がこのような活動を規制するかどうかに注目が集まっていた。

中国の委員会はICOの大部分は「金融詐欺であり、ネズミ講(pyramid scheme)である」と警告していた。このような見解はシンガポールのMAS〔シンガポール金融管理局〕も取っていたところだ。

「ICOは匿名取引を本質とするため、資金洗浄、テロリストの資金調達に利用されるリスクが高い。これによって巨額の資金が短期間に調達されている」とシンガポールの国営銀行であるMASは8月1日の声明で述べている。

ICOに関与している点で調査の対象となるか暗号通貨取引所がどことどこになるか、正確にはまだ不明だが。 ICOageICO.infoという中国の2大ICOトークンの取引所はサービスを中止した。また新規のICOの受付も停止している。両取引所ともこの運営停止は「自発的なもの」としている。

今年に入ってICOは世界各地で飛躍的に増加した。ゴールドマン・サックスのレポートによれば、2017年上半期に暗号トークンの売却により調達された総額は伝統的なベンチャーキャピタルによるアーリーステージの投資額を上回ったという。

今年のICOによる資金調達は16億ドルを超えたとされる。2017年にはいって、2社のbitcoinによる時価総額が10億ドル以上となっている。ただしその両社とも現在市場になんらのプロダクトも提供していないため、時価総額の意義は不明だ。

中国は世界でもっとも活発なbitcoinコミュニティーを擁しており、ICOブームでも資金調達側、投資家側の双方で中心的な役割を果たしてきた。

国営通信の新華社は7月に「中国企業は2017年上半期に10万5000人の投資家から3億8300万ドルを調達した」と報じている。

SEC〔アメリカ証券取引委員会〕はICOに対して声明を発表しているものの、まだ決定的な行動を取っていない。そこで世界の関心は中国に集まることになる。ICOを規制、監督するメカニズムはどのようなものがあり得るか、そもそも多様なICOを規制下に置くことが可能なのかが注目される。また暗号通貨市場における中国の重要な位置に照らして、この取締によりICO対し、また暗号通貨市場全般に対してどんな影響が生まれるのかもも興味ある点だ。

ベテランの暗号通貨専門家は今回の取締を2013年に中国当局が暗号通貨取引を禁じた事件と比較している。これにより元を通貨として暗号通貨を売買することが不可能になり、暗号通貨は大幅に下落した。しかしその後、元による預け入れが復活し、bitcoinは新高値を記録した。一部の取引所では5000ドルにも達しているという。

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BitcoinウォレットのBlockchainがEthereumにも対応

Blockchainは世界で一番人気の高いbitcoinウォレットだ。そして今日からBlockchainユーザーは、Ethereumウォレットを作ってetherを保管できるようになった。

Blockchainは、CoinbaseやKrakenのような中央集権型取引所ではない。単なるウォレットでありユーザーは自分の所有する暗号化通貨を安全に保管できる。多くのサービスと比べてBlockchainは堅牢でハックされにくい。

ウェブまたはモバイルアプリを使ってBlockchainのウォレットを作る。ただし運営会社はユーザーの残高や取引内容を見ることができない。ウォレットのバックアップはBlockchainのサーバーに置かれるが、ウォレットの鍵はユーザーが自分で管理する。

この方法はかなり人気が高く、現在1400万件のBlockchainウォレットが作られている。また同スタートアップは、最近4000万ドルの資金調達を完了した。

bitcoinやetherを買いたいときは、Blockchainがいくつかの取引所と提携しているので、スムーズに手続きができる。米ドル、ユーロなどあらゆる通貨を送金して、bitcoinを受け取りBlockchainウォレットの中にいれることができる。

新たに加わったEthereumウォレットは、bitcoinウォレットとまったく同じように使えるようだ。同社は ShapeShiftと提携しており、Blockchainユーザーはbitcoinとetherを相互に両替できる。

これまでbitcoinウォレットに特化してきたBlockchainが、Ethereumを採用したのは興味深い動きだ。世界唯一の暗号化通貨などないことの証しとも言える。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

チケット売買もビットコインで——コインチェックがチケットキャンプに対応

8月12日に単位価格が4000ドルを超えたビットコイン。そのビットコインを決済に使える場面が、また増える。ビットコイン決済サービス「Coincheck Payment」を提供するコインチェックは8月17日、ミクシィグループのフンザが運営する「チケットキャンプ」にCoincheck Paymentを導入。ライブやイベントなどのチケットを、ビットコイン決済で購入することができるようになった。日本のチケット業界では初のビットコイン決済対応となる。

チケットキャンプは利用者数500万人を超える、チケット売買のサービス。チケットキャンプでのビットコイン決済は全世界のビットコインウォレットに対応し、PCブラウザ、スマートフォンブラウザで利用できる。チケットキャンプのiOS/Androidアプリにも、今後対応していく予定だという。コインチェックが提供する「Coincheckウォレット」ではシステム上から直接決済が可能。またCoincheckウォレット以外のウォレットを利用する場合は、支払い時に表示されるQRコードを読み込むことで決済ができる。

コインチェックでは、これまでにもCoincheck Paymentを国内外へ提供してきた。現在、Coincheck Paymentで決済可能なサービスには、DMM.comの各サービスや、寄付金の受付電気料金の支払いなどがある。7月にはAirレジ向け決済サービス「モバイル決済 for Airレジ」にも導入され、メガネスーパーなどでビットコイン決済対応を開始している。

コインチェックは2012年の設立。2014年8月から仮想通貨取引所「Coincheck」の運営を行ってきた。8月10日には、Fintechスタートアップへの投資育成プログラム「Coincheck investment program」を開始。ブロックチェーンや仮想通貨、Fintech事業を開発・運営する法人・個人を支援していくと発表している。

ビットコイン、4000ドルを超える

Bitcoinが急騰している。24時間前には3700ドル以下だった。1時間前に4000ドルを超え、止まる気配がない。現在4135ドルで取引されている。参考のために書くと、一週間前、Bitcoinは初めて3000ドルを超え史上最高値を記録したばかりだ。
[日本語版注:日本時間8/15 10:00現在4400ドル]

過去24時間の推移をグラフで見て欲しい。

そこで百万ドルビットコインの質問は…なぜ今か?

難しい分析はともかく、明日のランチタイムに友達に話せる理由をいくつか挙げてみた。

2週間前、Bitcoinはハードフォークを実行し、事実上無傷で切り抜けた。たしかにBitcoin Cashなるbitcoinクローンが誕生したが、多くの人たちが予想したほど注目を得ていない。数日後、BitcoinはSegWitを有効化した。スケーラビリティー問題を修復し、ブロックを開放して取引可能回数を増やすためのコード変更だ。

コードに関連したこの2つの動きが、Bitcoinの未来への期待を高めた。

別の理由 ―― ICO騒動だ。最近のICO(Initial Coin Offering)によって調達された金額は、(少なくとも一時的には)早期段階ベンチャーキャピタルで調達された金額を超えた。先週、Filecoinは1億8000万ドルを数時間で調達した。ICOに参加した投資家のほとんどは、法定通貨をbitcoinなどの暗号化通貨に換金する必要があったため、それが価格を釣り上げた可能性がある(そして一部の投資家が初めてbitcoinを味わった)。

もう一つの理由 ―― ウォール街の新たな熱中対象はbitcoinだ。CNBCテレビを5分間見ていてトレーダーやアナリストが自分の意見を言うのを聞かずにいられることはない ―― ほとんどが「今年最大の成果を上げる投資になるだろう」といった正気とは思えない強気の発言だ。良くも悪くも、こうした発言はテクノロジーに弱い投資家にbitcoinへの興味を持たせる。初めてコインを買う人たちも間違いなくいる。

では次に何が起きるのか? 誰にもわからない。bitcoinは、明日50%暴落して2000ドルになるかもしれないし、5000ドルに跳ね上がるかもしれない ―― そして事情を知る人たちはどちらになっても驚かない。誰もが違う意見を持っている ―― バブルは膨らみすぎで数か月前に弾けるべきだった、と言う人もいれば、今のbitcoinは将来取引される価値の数分の一に過ぎないと言う一つもいる。

あなたがどちらの一派にいるとしても、友達として言っておきたいことはこれだ:なくしても困らない金額以上を投資しないこと ―― なぜなら、この暗号化通貨と数か月以上付き合った人ならだれでも、これはジェットコースターだと言う。

[日本語版:日本時間8月15日午前9時時点での価格]

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仮想通貨取引所のコインチェック、Fintechスタートアップへの投資を開始

仮想通貨取引所のコインチェックが「Coincheck investment program」と名付けた取り組みで、スタートアップへの投資を開始する。投資事業有限責任組合を使ったファンドの組成ではなく、コインチェックからの直接投資となる。

コインチェックは2012年8月設立のスタートアップ企業。なぜスタートアップがスタートアップ投資? という疑問符が頭に浮かぶ読者も多いだろう。コインチェック取締役COOの大塚雄介氏はTechCrunch Japanの取材に対して、仮想通貨・ブロックチェーンのユースケースを増やす目的があると語る。仮想通貨のユースケースが増えることが、取引所としてのコインチェックの事業拡大に繋がるからだ。

コインチェック取締役COOの大塚雄介氏

「自社だけでやるより他社を巻き込んだほうが速く仮想通貨市場全体が広がると考えています。ただ、これまでにも『ICOがやりたい』、『ブロックチェーンがやりたい』と言って起業しようという人たちが私のもとに相談に来ているのですが、法律面はどうなってるかと聞くと、特に若い人たちは『いや、とりあえず出してみようと思っています』という回答が多かったりするのが現実です」

「われわれも金融出身ではないので、初めのうちは苦労しました。だから分かるのですが、Fintechは技術に加えて金融や法律の知識も必要で、学習コストが高い。初期のスタートアップに対してそこを支援するのが狙いで、ファンド金額や投資額がどうというよりもハンズオンが重要だと思っています」

例えば、いきなり問題のあるICOプラットフォームを世に出して潰されてしまようなことがあると、当人たちにとっても社会的にも損失となる可能性がある、という。

投資はコインチェック本体から直接行い、期間や総額は決めていないものの、投資1件あたり数百万円から5000万円程度までを考えているという。特に2〜3人のスモールチームで、どういった法的懸念があり、誰に相談すれば良いのか知らないような、走り出したばかりのチームを想定しているという。

ちなみにコインチェック自体は7月の月間取引高がビットコインだけで2326億円(日本全体では4673億円)。売買手数料、レバレッジ、スプレッド、決済時の1%の手数料の4つの収益源で、すでに事業は黒字化しているという。コインチェックの決済はメガネスーパーやエアレジ導入店舗などで使える。

コインチェックは2012年の創業時にはレジュプレスという社名で、履歴書関連サービスを提供。後にビリギャルを生んだプラットフォーム「STORYS.JP」を運営していたが、仮想通貨サービス「coincheck」を2014年8月に開始。先日、2017年8月2日にはSTORYS.JP事業を1010株式会社へ事業譲渡して、今は仮想通貨サービスに注力している。今回の枠組みで、さまざまなアイデアに投資することを考えているものの、coincheck自体は今後も取引サービスを主幹業務としていく。法人需要の掘り起こしも検討しているそうだ。

Bitcoin、3000ドル超えで史上最高値を更新

Bitcoinの価値が過去最高の1 coin当たり3000ドルに達し、待望の分裂に始まった激動の一週間を終えた。

CoinbaseKrakenといった人気の取引所の何か所かで1 bitcoinの価値が3000ドルを超え、一カ月前より485ドルの高値となった。今年5月、Bitcoinは急騰して初めて2000ドルを超え、6月には3000ドル近くまで上がったが、後に暴落した

過去12時間、分裂によって30%下げていたbitcoinの価値は10%以上跳ね上がった。中国のOkCoinなどいくつかの取引所は、1 bitcoin当たり3200ドル以上の値を付けている。

結局、この急騰によってbitcoinの時価総額は500億ドルを超えた ―― Coinmarketcap.comによると本稿執筆時点で $51,737,289,581。

bitcoinの価値が1 coin当たり3000ドルを超えた時のグラフ

この通貨の主たる不安要素は、分裂の可能性を巡る不確定さだ。bitcoinコミュニティーの一部が、bitcoinの処理速度低下を防止するための変更を要請した。その結果がBitcoin Cash(BCH)と呼ばれる分裂で、8月1日に起きた。

BCHは従来のbitcoinブロックチェーンを踏襲する、すなわちBTCを持っている人は誰でもBCHを利用できる。しかし、当初は分裂後の通貨に対応していない取引所もあり、 Coinbaseもその一つだ。顧客らはCoinbaseからcoinを引き出し、法的行動をとるという脅しもあったため、Coinbaseは方針を変更し、1月1日までにBCHの引き出しを可能にすると約束した。ただし現時点で取引きが可能になるかどうかは不明だ。

BCHは最初の一週間、bitcoin基準からみてもかなり激しく変動した。

新通貨は555ドル前後で誕生し、水曜日には727ドルでピークを迎えた。その後現行価格の220ドルへと下落し、対照的にbitcoinは3000ドルの大台を超えた。

Bitcoin Cash、一週目の取引状況(via Coinmarketcap.com)

専門家はBCHの長期的未来に対して懐疑的だ。それは現時点では不安定な価値をつける以外に何もできることがないからだ。将来十分な数の企業やデベロッパーを引き寄せることができれば変わる可能性もあるが、BCHの採掘がbitcoinと比べて困難であることは多くのマイナー(採掘者)にとって理にかなっていない。それも将来調整される可能性はあるとCoindeskの最新記事が示唆しているが、現時点ではまだbitcoinの方が実入りの良い選択だ。

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明日のBitcoin分裂を前に、やるべきことはこれだ

8月1日を目前に控え、あのBitocoin「ハードフォーク」が、暗号化通貨のカジュアルユーザーの間にちょっとした混乱を呼んでいる。知っておくべきことはこれだ。

簡単に言って、Bitcoinキャッシュ対応を明確に表明している取引所を使っている人や、自身のプライベートキーを管理できている人は問題ない。Coinbaseのような、Bitcoin Cashに対応していない取引所にbitcoinを預けている人は、Bitcoin Cashで取引きするつもりがないのでない限り、今すぐbitcoinを移動すべきだ。いずれにせよプライベートキーを自分で管理しておくのは良い考えで、そうすれば過去に利用したことのあるどの取引所からでもbitcoinを引き出すことができる。

もっと詳しく知りたい人は、Coindeskに行けば、最新情報がある。

ウォレットはどれを使う?

どんな場合も要点は単純:キーは自分で管理しなければならない。

私が使っているのはTrezor hardware walletElectrumで、持っているわずかばかりのBTCをそこで管理している。人によって結果は違うので特定の製品をを積極的に推すことはしない。私の心に潜む皮肉屋はどのツールも取引所も信用していない。

以下に、パソコン上にElectrumウォレットを作り、そこに手持ちのBTCを入れるやり方を示す。十分注意してほしい。全額を送り込む前に必ず少額でテストすること。

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それでも私は怖い

無理もない。それは、難解で、不安・疑念・不信(FUD)につけこむ積極的キャンペーンを特徴とするテクノロジーに対する、健全な態度と言える。もしあなたが、老後の蓄えをBitcoinにつぎ込んでいるのなら、フォーク前日の一本の記事以上にこの件を調べていることと願っている。いくらかでも持っているひとは、手持ちのBitcoinをパソコン上のローカルウォレットに移して、なりゆきを見守っていてほしい。

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Blockchainという「会社」がシリーズBで4000万ドルを調達

つい先ほどBlockchain(社名)は、4000万ドルのシリーズB調達ラウンドをLakestarのリードで完了した。Blockchainは、世界でいちばん人気のあるbitcoinウォレットを運用している会社だ。ウォレットは同社のウェブサイトまたはモバイルアプリで利用できる。

今日の調達ラウンドには、GV、Nokota Management、Digital Currency Group、およびすでに投資しているLightspeed Venture Partners、Mosaic Venture Partners、Prudence Holdings、Virgin、およびSir Richard Bransonも参加した。

これは、暗号通貨スタートアップとしてはかなり大きい調達ラウンドだ。Blockchainは、bitcoin、ether、litecoin、initial coinなどを巡るブームの波に乗っている。ほかの暗号通貨スタートアップも現在さらに資金を調達しているに違いない。

現在Blockchainは1400万個以上のウォレットを管理していると発表している。前回3000万ドルの調達ラウンドを発表したときは、bitcoinウォレット230万個を管理しているだけだった。

Coinbaseを始めとする多くの人気bitcoinサービスは、ウォレットの管理とともに取引の運用も行っている。つまり、アカウントを開いた同じプラットフォームでbitcoinの購入もできる。

Blockchainのアプローチはそれとは異なり、同社が利用者の残高や取引を見ることはできない。利用者はウォレットをBlockchainのサーバーにバックアップできるが、ウォレットの鍵は自分で管理する。

Blockchainは複数の交換取引所と提携しているので、プラットフォーム上で直接bitcoinを購入できる。もちろん、なじみの取引所でbitcoinを買ってからBlockchainのウォレットに送金しても構わない。

BlockchainはBlockchain.infoという人気のbitcoinブロック・エクスプローラーも運用している。Blockchain.infoには、月間1000万ページビューを生む数多くの視聴者がいるため、同サイトに掲載されているバナー広告はかなりの収入を生み出している。

Blockchainは今日のラウンドで得た資金を利用して、人員を増やし、サービスをローカライズし、デジタル通貨商品を増やす計画だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ビットコイン、ブロックチェーンって何? 仕組みから理解するための解説記事3選

以前にも増して話題を集めている仮想通貨のビットコイン。いまやテック系メディアだけでなく、新聞やテレビの情報番組でもその名を見かけるようになったが、その露出に合わせて価格も高騰。直近には、過去最高値となる「1ビットコイン=30万円」の大台も一時突破した。

ところでそのビットコイン、仮想通貨ということで「モノ」がなく、その実態をまだよく理解できていないという人もいるのではないだろうか。そこで、これまでにTechCrunchで紹介してきたビットコインやそのビットコインを支える技術であるブロックチェーンについて紹介した過去の記事を紹介しておく。

ソーシャルメディアを見ると、ビットコインをはじめとした仮想通貨の購入を煽るような投稿も散見される。そんな今だからこそ、仮想通貨とは何か、ビットコインとは何か、ブロックチェーンとは何かについて、理解を深めて欲しいと思う。

これを読めば分かるビットコインの仕組みと可能性

こちらはブロックチェーン(と呼ぶ分散型の台帳)技術を使ったプロダクトを手がけるテックビューロ代表取締役を務める朝山貴生氏による寄稿。解説自体は非常に長いものだが、既存の貨幣や銀行の仕組みと比較してビットコインがどういうモノなのかを細かに理解できるようになっている。2年前の記事ということで状況の変化はあるし、ボリュームもあって読み切るのは大変かも知れないが、基礎からその仕組みを学ぶには最適な内容になっている。

ブロックチェーンの正体

こちらも同じく2年前の記事。森・濱田松本法律事務所のパートナーである、弁護士の増島雅和氏によるコラムだ。冒頭にあるように、仮想通貨であるビットコインは、ブロックチェーンと呼ばれる分散型の台帳技術によって支えられている。だがそのブロックチェーンは何もビットコインのためだけに使われるものではない、このコラムでは、そんなブロックチェーンの可能性について紹介している。

ビットコイン分裂騒動は「レイヤー2」への反動か

最後は今月掲載したばかりのライター・星暁雄氏による記事。世の中はもっぱら投機目的でのビットコインの話題が中心だが、実はその基盤のスケーラビリティのために新たな仕様を取り入れるか否か、またそのためのハードフォーク(互換性がないアップデート)の是非などが話題になっており、これに対して3月には世界18の取引所が声明を出すまでに至っている。この記事ではそんなビットコインの「分裂騒動」や、高速で少額決済を実現するビットコインの新技術などの最新事情を伝えている。

photo by
BTC Keychain

Bitcoin、初の2000ドル台に――流通総額329億ドル

世界最大の暗号通貨、bitcoinが単位あたり2000ドルを記録した。 これはCoinbaseやKrakenなどいくつかの大規模な交換所を通じての記録だ。この価格をベースに流通しているbitcoinの総額を計算すると、329.2億ドルとなる。

Coindeskのグラフでも明らかなように、今年に入ってbitcoinは強い上げ調子だった。

Bitcoinが1000ドル台を最初に付けたのははるか以前、2013年だった。しかしあれこれの事情――当時最大のbitcoin交換所だったMount Goxの破綻などなど―により価格は低迷した。しかし金融機関がbitcoinやブロックチェーン・テクノロジーを試験的に採用したこと、中国で電子通貨に対する規制が実施されて状況が安定したこと、などにより、bitcoin価格は昨年末に1000ドル台に復帰した。2017年に入ると価格はさらに一本調子に上がった。

われわれがbitcoinとethereumが史上最高値を付けたことを書いたのは4月末だったが、その時点では1343ドルだった。たった3週間でbitcoinの価格50%もアップしたわけだ。先週だけでも価格は12%アップした。

しかし価格を上げている暗号通貨はbitcoinだけではない。有力金融機関向け決済プロトコルとなることを目指している中央集権的通貨、Rippleも1ヶ月で10倍の値上がりで今やbitcoinに次いで市場価値(流通総額)2番目の暗号通貨となっている。

同様にデベロッパー向けブロックチェーン・ベースの通貨プラットフォーム、ethereumも1コインあたり130ドルで市場総額も120億ドルに近い。先月の値上がりは2倍以上だった。

このためbitcoinはもはや市場総額の大半を占めていない。現在のbitcoinは市場総額の47%を占めている。数ヶ月以前は常に80%前後だった。

では他の暗号通貨がbitcoin以上に好調であった理由は何だろうか? 。bitcoinにはスケール拡大に問題があったという意見もある。bitcoinは急速にスケールを拡大したため取引の確認に遅延が生じた。この問題を避けるため高額の手数料を支払って小規模な取引所を利用するユーザーも出た。SegWitやBitcoin Unlimitedが提唱するテクノロジーを用いればこの問題を避けられるはずだったが、bitcoinのコードベースを事実上支配している有力なマイナー(採掘者)間で新しいソリューションを採用することに関してコンセンサスが得られなかった。【略】

2000ドルという値をつけたbitcoinは海図のない海に入ったといえる。一部の専門家は真の価値は1万ドル(かそれ以上)だと主張している。この価格を実現するにはbitcoinコミュニティーはスケール拡張に伴う問題を解決する必要があるだろう。そうなれば投資家もbitcoinのインフラはスケール拡大に対応できると納得するに違いない。

画像: Mike Lewinski/Flickr UNDER A CC BY 2.0 LICENSE

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〔日本版〕”bitcoin”の表記には諸説あるが、原文記事は文頭あるいは大文字表記の団体以外、一律小文字表記なので日本語版もこれに従った。

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ビットコイン取引所「Coincheck」でサービス障害、現在は復旧済み

ここ数日で価格が高騰している仮想通貨。代表格のビットコインは、5月9日午後時点で1ビットコイン=20万円台にまで上昇している。

そんな中、コインチェックが手がけるビットコイン取引所「Coincheck」で5月9日午前、サービス障害が発生。入出金や売買などの取引を停止したと発表した。

コインチェックによると、5月9日午前11時台から正常はでない価格が表示されるという障害が発生したため、取引を停止。アプリやウェブサービスへアクセス・ログインできない状況が続いた。その後、障害が起きた5月9日午前11時25分へのロールバックを実施。

午後4時30分には全機能を復旧させ、Twitterアカウントでもアナウンスをしている。なお、取引再開時点でのレート前後の金額の注文はキャンセルになり、障害発生前の時点で対象となったロスカットが実行されている。

同社では、この障害がハッキングなど外部からの攻撃によるものではないと説明。ユーザーの個人情報や資産流失はないと説明している。原因や再発防止施策については、Twitterアカウントやブログ等を通じて逐次報告する予定だ。

ビットコイン分裂騒動は「レイヤー2」への反動か

ビットコインをめぐって良いニュースと悪いニュースがある。あなたはどちらから聞きたいだろうか?

まず良いニュースから始めよう。ビットコインの「レイヤー2」をめぐる動きが始まっている。1秒に1回、1000分の1円を送るような少額高頻度の摩擦なきマイクロペイメントを実現する技術群だ。この技術から導き出されるアイデアは無数にあり、ビットコインの利用スタイルを大きく広げるだろう。

ビットコインの新たなる希望、レイヤー2

「レイヤー2」はビットコインの新たなる希望だ。ビットコインを機能させているブロックチェーンをインフラ(レイヤー1)とみなし、その上(レイヤー2)に、少額で高頻度な決済を実施できるスケーラブルなP2P型決済ネットワークを構築する。最も注目されている技術はLightning Networkで、その実装はすでにビットコインの開発者向けネットワーク(テストネット)では動き始めている。

日本国内でもレイヤー2への取り組みが動き始めている。ビットバンクは、開発者が手軽にLightning Networkを試せるサービスtestnet faucetを立ち上げた。「Lightning Networkは本命視している。ビットコインを意識しないで利用できるサービスに応用することも可能だ。今のビットコインとは比較にならないほどユーザー数が増える可能性がある」とビットバンク代表取締役CEOの廣末紀之氏は話す。

福岡市に本拠を置くスタートアップ企業Nayutaは、レイヤー2技術であるマイクロペイメントチャネルの実装に成功した。創業したばかりのスタートアップであるユナイテッド・ビットコイナーズはLightning NetworkやTumbleBit(後述のSegWitなしに機能する)などレイヤー2技術の事業化を検討中だ。「レイヤー2により、M2M(マシン対マシン)マイクロペイメントを含めた巨大な自由市場が誕生するかもしれない」と、同社共同創設者CEOの本間善實氏は話す。

最近、中国の大手取引所でマイニングプール大手のBTCCのCOOとして知られていたSamson Mow氏がカナダBlockstream社のCSO(Chief Strategy Officer)に就任した。Blockstreamが推進するSidechainはビットコインのブロックチェーンの「支流」を作る技術であり、レイヤー2の流れの中に位置づけることができる。つまりビットコインのレイヤー1で活動していた著名人が、レイヤー2の企業に移った格好といえる。「Blockstream社のプロダクトも、Lightning Networkに適合させていく方向になるだろう」とMow氏は話す。

大手マイニングプールのスキャンダルが相次ぐ

悪いニュースを聞きたがる人もいるだろう。少し長くて複雑な話になるができる限り短く説明しよう。話は4段階から成る。

第1段階はスケーラビリティ問題だ。ビットコインのネットワークの慢性的な混雑が続いていて、なんらかの方法で解決が必要だ。これをスケーラビリティ問題と呼ぶ。レイヤー2の本格化がスケーラビリティ問題の本質的な解決になると考える人は多い。

第2段階は、ビットコインのソフトウェア開発者と、マイニング設備を運用するマイナーたちの対立が生まれていること。そして、この対立のせいで、ビットコインの新仕様SegWitがリリースされたにも関わらず有効化されていない状態が続いていることだ。

SegWitには大きな意味がある。まず、Lightning Networkの現状の実装はSegWitを前提としている。つまりSegWitはレイヤー2の本格化のために必要なピースなのだ。SegWitを前提としないLightning Network実装は理論的には可能だが、開発者にとって「やりたくない仕事」なのだそうだ。

もう一つの意味として、SegWitそれ自体にスケーラビリティ問題を緩和する作用がある。ブロックチェーンに記録する電子署名をまとめ、より多くの取引をブロックチェーンに記録できるようになる。

第3段階は、SegWitへの対抗馬として登場した新仕様Bitcoin Unlimited(ブロックサイズを動的に変更してスケーラビリティ問題に対処する)がハードフォークしてビットコインが分裂する懸念が生まれたことだ。

大手マイニングプールAntpoolとその運営元Bitmain社は、実力行使でBitcoin Unlimitedを「ハードフォーク」する可能性をほのめかした。この動きへの事実上の反対活動となったのは、各国の仮想通貨取引所が連名で出した共同声明だ(日本からはbitbank、Coincheck、Zaifの3取引所が署名している)。共同声明では、ハードフォークを強行した場合、Bitcoin Unlimitedはビットコインとは別の仮想通貨BTUとして扱うと明言した。これはBitcoin Unlimitedを認めているようでいて、実はその意図を無効化してしまう。ビットコインとは別の仮想通貨(オルトコイン)扱いになればビットコインの価値のごく一部しか引き継げない。それではわざわざハードフォークする意味がない。

また日本の取引所bitFlyerはBitcoin Unlimitedのハードフォークに反対する声明を出し、そこで技術的な問題を指摘した。Bitcoin Unlimitedのプトロコルでは現状のビットコインに比べて決済確定までの時間が大幅に長くなる見込みだとしている。事実上のダメ出しだ。

こうした活動により、今ではハードフォーク懸念は後退しているといっていい。Bitcoin Unlimitedがハードフォークしても価値が引き継げず、技術的な批判にも十分に応えられていない状況だからだ。

第4段階は、Bitmain社のスキャンダルだ。最初はASICBoost。Bitmain社がマイナーたちに販売しているマイニング用ハードウェアに搭載するASICのアルゴリズムに不正が発見された。内容は、ビットコインのマイニングに必要なハッシュ計算を一部ショートカットしてマイニングの成功率を高めるというもの。これはビットコインのソフトウェアのバグを突いたハックなのだが、新仕様SegWitによってASICBoostアルゴリズムが使えなくなってしまう。Bitmain社はSegWitの有効化に反対していた理由はASICBoostが無効になることだったのではないか、との疑惑が一挙に表面化した。Bitmain社はASICBoostのアルゴリズムが実装されていることは認めたが、実際のマイニングでは使っていないと主張している。

BlockstreamのCSOに就任したSamson Mow氏。帽子の「UASF」ロゴに注目。Mow氏は「個人としてUASFを強力に支持する」と話す

その次のスキャンダルはもっとひどい。Bitmain社が販売するマイニング用ハードウェアにバックドアが見つかった。Bitmain社は、その気になれば同社のマイニング用ハードウェアを無効化できる。さらにバックドアそのものが重大なセキュリティホールだ。Bitmain社はバックドアは「バグ」だと説明している。

この2件のスキャンダルで、Bitmain社は多くの開発者の信頼を失ってしまったように見える。ただし、同社はいぜん挑戦的な態度を崩していない。

この先何が起こるかはまだ不透明だ。一つの有力なシナリオはUASF(User Activated Soft-Fork)である。ビットコインのノードを立てたユーザーの多数派が賛成すればSegWitを有効化できる手段だ。今のビットコインのネットワークはハッシュパワーが強力すぎ(世界最速スーパーコンピューター500台を束ねても勝てない)、マイニングに参加するにはASIC搭載のマイニング用ハードウェアが必須となっている。だがマイニングに参加しないノード(検証ノード)を立てることは誰でもできる。マイナーではなく、ユーザーの総意で決めようという訳だ。前出のSamson Mow氏も「個人的にUASFを支持している」と話す。ただし、マイナーたちはUASFには反発している。

レイヤー1とレイヤー2の対立は、新エコノミーへの成長痛か

良いニュースと悪いニュースは、実は同じものの違う側面を見ているのかもしれない。

マイナーたちが、開発者が提案した新仕様SegWitを認めずレイヤー2の立ち上がりを事実上妨害していることについて、テックビューロ代表取締役社長の朝山貴生氏は「これはレイヤー2をめぐる成長痛だ」と語る。「ビットコイン経済圏が、マイナー主体の経済圏から、マイナー+自由市場の経済圏に変わる成長痛だ」(朝山氏)。

マイナーの収入は大きく2つある。マイニング報酬は総額が一定だ。マイニング報酬は約10分間で12.5BTC、年間では65万7000BTC。記事執筆時点のビットコインの価格14万8900円/BTCで換算すると年間978億円の規模だ。なおかつ約4年に1回ビットコイン建て報酬額は半減する。マイナーにとって、マイニング報酬とは決まったサイズのパイをどれだけ多く取るかのゼロサムゲームなのだ。

マイナーのもう一つの収入源が送金手数料だ。Blockchain.infoのデータによれば過去1年の送金手数料は総額で約3万8000BTC(時価換算で約56億円)。マイニング報酬に比べれば規模が小さいが、ビットコインのブロックチェーンは慢性的な混雑状態にあるので手数料は上昇傾向にある。2016年4月末には手数料総額は1日あたり約45BTCだったが、1年たった2017年4月末には1日あたり約220BTCと5倍近く上昇した。

ビットコインのネットワークでSegWitが有効になり、レイヤー2の新市場が本格化した場合はどうなるのか。マイニング報酬は変わらない。ただし、もしASICBoostを使っていたマイナーがいたとすればマイニングの成功率は減り、マイニング報酬も減る。

マイナーが得ていた送金手数料収入は短期的には減る可能性がある。Lightning Networkや、その他のマイクロペイメントチャネルでは決済のチャネルを開くときには手数料が発生するが、いったんチャネルを開いた後はブロックチェーンには取引は流れないからだ。

こう見ると、マイナーにとって短期的には収入が減る可能性が大きいが、得るものは特にない。これがマイナーがレイヤー2に反対する理由だと考えると、今までの複雑な経緯のつじつまが合う。

ただし中長期的に考えると事情は違ってくる。レイヤー2の経済活動が盛んになり、Lightning Networkやその他のマイクロペイメントチャネルの新しいチャネルが多数作られるようになると、マイナーの手数料収入はむしろ増える可能性がある。チャネル開設のたびに手数料が入るからだ。

ビットコインの未来をめぐるレイヤー1とレイヤー2の利益相反がどのような形で決着するか、現時点ではまだ見えない。

一つ面白い材料がある。ビットコインとは異なる仮想通貨(オルトコイン)のMonacoinが(意外にも)SegWit有効化を達成し、続いてLitecoinが(記事執筆時点では)間もなくSegWit有効化を達成しそうだ。ビットコインではなくLitecoinでLightning Networkに取り組もうというアイデアも出てきている。

では本命のビットコインのレイヤー2はどうなるのか。取材で話を聞いた人々は、SegWitが有効化されずLightning Networkが使えない問題は、短期的なものだと考えている。どのような形で決着するかは不透明だが、いずれビットコインのレイヤー2は立ち上がるだろう。私たちは今から未来の衝撃に備えておいた方がいい。