人気C向けアプリはいかにして初期ユーザー1000人を獲得したのか?

【編集部注】本稿は米国スタートアップやテクノロジー、ビジネスに関する話題を解説するポッドキャスト「Off Topic」が投稿したnote記事の転載だ。

こんにちは、宮武(@tmiyatake1)です。これまで日本のVCで米国を拠点にキャピタリストとして働いてきて、現在は、LAにあるスタートアップでCOOをしています。Off Topicでは、D2C企業の話や最新テックニュースの解説をしているポッドキャストもやってます。まだ購読されてない方はチェックしてみてください!

はじめに

元Airbnbのグロース担当のLenny Rachitskyさ(レニー・ラチツキー)さん「How the biggest consumer apps got their first 1,000 users」の記事を直接許可を頂き翻訳しました。レニーさんのコンテンツをもっと読みたい方はぜひ彼のメルマガにご登録ください!Lennyさんの「マーケットプレイスの作り方」の翻訳もしていますので、そちらも気になった方はご一読ください!

C向けサービスがいかにして最初の1000人を獲得するかしっかりまとまってる記事は意外とありませんでした。レニーさんの記事は、実際に創業者のヒアリングを行い、過去インタビューを遡り、Twitterで質問したりした事実に基づく濃密なレポートです。UberやTikTok、Tinder、最近話題のSuperhumanなどの著名スタートアップの学びをシェアしたいと思います。

サマリー

  1. C向けの初期グロースは7つの戦略に分けられる
  2. Product HuntやPinterestは複数使ったが、ほとんどのスタートアップは1つの戦略で成長する。3つ以上使って成功した事例は今のところ見てない
  3. 一番人気な戦略はオンラインでもオフラインでも直接ユーザーに行くこと。スケールしないことをやろう
  4. 戦略を実行するために、ターゲット層を狭く定義づけることが大事
  5. 最初の1000人の獲得と1万人までの獲得方法は変わる

初期ユーザー獲得戦略は以下の7つの戦略となる。

  1. オフラインで直接ユーザーと会う
  2. オンラインで直接ユーザーと会う
  3. 友達を招待する
  4. 取り残されることへの恐れ(FOMO)を作ること
  5. インフルエンサーを活用
  6. PR・メディアを活用
  7. コミュニティを作る

1. オフラインで直接ユーザーと会う

Key Question
初期ターゲットユーザーは誰で、どのオフラインの場所で集まっている?

■大学キャンパス
Tinder:創業メンバーのWhitney WolfeとJustin Mateenは南カリフォルニア大学で走り回ってフラタニティとソロリティでTinderを紹介してた。ほかの独身の人とつながれる、そして自分に興味があるかを知りたいニーズに合わせられたのでバイラルになった(Jeff Morris Jr.氏)。

DoorDash:初期バージョンはpaloaltodelivery.comと言うサイトでパロアルトのレストランメニューにPDFが載っていただけ。社長のTonyとDoorDashチームはチラシを印刷してスタンフォード大学でバラまいた。6ドルのデリバリーフィーで需要があるかを知りたかった。単純にPDFメニューのサイトとチラシで始まっただけ(Micah Moreau氏)。

■スタートアップのオフィス、駅や交通ハブ
Lyft:周りのスタートアップの各社にドアノックをして、無料でカップケーキやドーナッツと一緒にLyftの無料クーポンを渡していた(Emily Castor氏とBenjamin Lauzier氏)。
Uber:Streetチームをかなり使った。SF内の各Caltrain(カルトレイン、郊外向けの通勤列車)駅に行ってリファラルコードをばらまいていた。元CEOのTravisさん自身がTwitter本社に行ってリファラルコードを従業員にばらまいていたと。これが後ほどUberのグローバルアンバサダープログラムとなった(Andrew Chen氏)。

■ショッピングモール
Snapchat:CEOのEvanは一人ひとりに見せ始めて、使い方を教えたり、なぜ面白いかを説明した。アプリのダウンロードまで彼が代わりにやってあげていた。ユーザー獲得のために何でもやった。ショッピングモールに行ってSnapchatのチラシもばらまいてた。ショッピングモールで「消える写真を送ってみたいか?」と聞いて、よく断られてた(Billy Gallagher氏、How to Turn Down a Billion Dollars, The Snapchat Storyより)。

■近所のHOA(Home Owner Association、管理組合)
Nextdoor:当時は創業チームは近所のSNSのコンセプトを受けれて検証してくれる場所を探さないと意味がないとわかっていた。どの場所を選ぶかが重要だった。その場所はLorelei(ローレライ)だった。小さく親密なコミュニティであり、カリフォルニア州で最も古い管理組合がある場所だった。すでにコミュニティ内でコミュニケーションの取り合いをする方法があったのでNextdoorに合うと思った。管理組合の上層部に連絡したら話を聞いてくれた(Sarah Leary氏)。

■クラフトフェア
Etsy:米国中に開催されているクラフトフェアに行くことにした。そこで売り手を探しに行った。売り手は買い手をどうやってサイトに誘導させるのをわかっていたので、売り手を囲い込むのが大事だった(Thales Teixeria氏)。

■アップルストア
Pinterest:正直、かなりヤケクソなことをやってた。家の帰り道のアップルストアに入って置いてあったパソコンをPinterestページを表示するようにした。そしてその後にちょっと後ろのほうに行って「へーこのPinterestと言うサイトはバズっているんだなー」と他の人が聞こえるように言ってました(Ben Silbermann氏)。

2. オンラインで直接ユーザーと会う

Key Question
初期ターゲットユーザーは誰で、オンラインのどこで集まっている?

■Hacker News
Dropbox:CEOのDrewは簡単なプロダクトのデモ動画を2007年4月にHacker Newsに投稿した。そのタイトルは「My YC app: Dropbox – Throw away your USB drive」(僕のYCアプリDropbox:USBドライブを捨てよう)。その動画で初期ユーザーを集めた(John Popel氏)。

■アプリストア
TikTok(Musical.ly):当時はアプリストアに秘策があった。アプリ名をすごく長くできた。そしてアプリストアの検索エンジンはキーワードよりアプリ名にウェイトをかけるのを知ってた。なので、アプリ名を「make awesome music videos with all kinds of effects for Instagram, Facebook, Messenger」にしたら検索からの流入が入ってきた(Alex Zhu氏)。

ProductHunt:初期3000人はProductHunt初日とその1日、2日後で獲得できた。3000人から2万人ユーザーは初期ユーザーが入っている組織のエヴァンジェリストを探し、1対1の関係性を作った。そして2万人以降はPMのシステム(同僚を紹介するたびに5ドルのクレジット、50ドルぶんまで)で獲得(Shahed Khan氏)。

■既存のオンラインコミュニティ
Netflix:ユーザーとつながるためにCorey Bridgesをユーザー獲得するために採用した。彼はライターとしての才能があった。Coreyが気づいたのはDVDオーナーはネットのウェブフォーラムなどで集まっていたこと。そのコミュニティに入り込もうとした。CoreyはNetflix従業員とは名乗らず、映画好きな人として会話に参加したり、友達を作った。そこで、徐々にコミュニティ内のモデレーターや一番リスペクトされてたユーザーにNetflixと言う素晴らしいサイトを宣伝し始めた。ローンチ前から大きく種まきをしてくれてた(Marc Randolph氏、That Will Never Workより)。

Buffer:最初の9カ月はゲストブログ(自社ではないブログ)に書き続けただけで10万人を獲得できた。徐々に上がった感じだった。9カ月間で約150件投稿した。まったく流入しなかったものもあったし、徐々にしか改善されなかった。最適な投稿頻度を見つけるまで時間がかかった(Leo Widrich氏)。

3. 友達を招待する

Key Question
自分の友達は初期ターゲット層に当てはまるか?当てはまっていれば、サービスに招待したか?

Yelp:初期ユーザーは自分たちのネットワーク(ほぼ元PayPal同僚)を招待して獲得した。自分たちのネットワークに周りの友達を招待するようにお願いした。スタートアップを経験したメンバーが多かったので、お互い助け合うことに慣れてたのでいろいろ招待してくれた。そこだけで1000人ぐらいまで行った。一人のリファラルネットワークを侮らないことが大事で、招待させるインセンティブや方法を考えるのが大事(Russel Simmons氏)。

Lyft:ウェイトリスト制度を始める前には友達へメールにて招待状を送っていた(Emily Castor Warren氏)。

Facebook:Thefacebook.comは2004年2月4日にローンチした。普通の寮で過ごす夜だった。Mark Zuckerbergがサイトを完成させた時に数名の友達に共有した。その友達が学生寮「Kirkland House」に住んでいる300人が入っているオンラインメールリストに送ることをお勧めした。十数名が入って、その時にはすでにほかの寮にサイトの話が回ってた。夜の終わりには部屋にいた人たち全員が登録したユーザー数をひたすら見ていた。24時間以内で1200〜1500人が登録してくれた(Dustin Moskovitz氏、New Yorkerより)

Quora:Quoraは2010年1月にローンチした時のユーザーは主にAdam D’AngeloとCharlie Cheeverの高校・大学時代の友達が集まっていた。そのおかげで初期Quoraの情報を見ると、Cheeverが育ったペンシルベニア州のピッツバーグでのおいしいレストランなどの情報が多かった。サイトに他の人を招待できる機能を入れてユーザーを増やした(Wiredより)。

LinkedIn:LinkedInのCEOであるReid Hoffmanはプロダクトの初期は成功した友達やつながりに入ってもらった。憧れられるブランドを作るには初期ユーザーの質が重要だと理解してた。成功している会社や人ほど常に次の採用する人材を探しているので、成功した人たちを初期から入れてなければ会社は成功しなかった(Keith Rabois氏)。

Slack:ほかの会社で働いている友達に頼み込んで試してもらってフィードバックをもらった。最初の6社から10社はこう言うかたちで獲得した(Stewart Butterfield氏)。

Pinterest:アプリをローンチした時に友達全員にメールした。最初は誰もサービスの良さを理解しなかったが、ある小さいグループだけ使い続けてくれた。それはアーリーアダプターっぽくなく、一緒に育った友達や知り合いだった。彼らは人生の一環として使ってくれて、家や食べ物写真を上げてくれた(Ben Silbermann氏)。

4. 取り残されることへの恐れ(FOMO)を作ること</h2.

Key Question
・ユーザー生成コンテンツ「UGC」に頼るプロダクト?初期コミュニティはキュレーション型にすることを検討するべき
・強い企業価値があるか?その場合はウェイトリストを検討するべき
・ソーシャルなプロダクトか?その場合は既存ユーザーに新規ユーザーの招待させるように検討するべき

■初期コミュニティを制限、キュレーション
Clubhouse:プライベートテストフライトを見てると面白い(Todd Goldberg氏)。

  • キュレーション(クオリティー担保)
  • 制限・招待制(FOMO: Fear of Missing Out)
  • 早い改善とアップデート(アプリストアのレビュープロセスが必要ない)
  • 初期ユーザーは信頼できるネットワークからのリファラル

Instagram:プロトタイプと検証をしてたときにTwitterフォロワーが多い人に渡したのがよかった。しかもそれはある一定のコミュニティでのフォロワー数が重要だった。そのコミュニティはデザイナー、オンラインウェブデザインのコミュニティだった。我々がフォーカスしている写真やビジュアル要素がこのコミュニティに最もアピールすると思った。彼らがTwitterで共有してくれたおかげで、ほかの人たちは「これはいつローンチして、いつ使えるのか?」と聞き始めて、そのタイミングでローンチした(Kevin Systrom氏)。

Pinterest:最初は招待制のコミュニティだった。初期ユーザーはSilbermannが呼びかけたデザインブロガーだった。呼びかけた人たちにはユニークなアイデアとクリエイティブな人たちにしか招待するなと教えた。そうやって2012年まで招待ベースで伸び続けた(Entrepreneurより)。

■事前登録、ウェイトリスト
Mailbox:iPhone用のメール管理アプリのMailboxがリリースされた時にすでに70万人のユーザーがウェイトリストに登録していた。これはMailboxのサーバーに異常なる負担を与えないためと、需要をより増やすマーケティング戦略だ(Darrell Etherington氏)。

Superhuman:初年度は開発している最中にLP(ランディングページ)を公開した。Squarespaceで作った最小限のダメなLPを2時間だけかけて作り上げた。LPにはメールアドレスしか入れられないようにした。そしてメールアドレスを入れた際には2つの質問が自動送信された(Rahul Vohra氏)。

  1. どのメールブラウザーを使っている?
  2. メールの不満は何?

Robinhood:リリースした際には初期サイトがバズるとはまったく思ってなかった。そのためシンプルなコピーを入れて、登録するためのボタンを押して、メールアドレスを入力してもらってウェイトリストにジョインできるようにした。そしてウェイトリストの何人中、何番目かを表示するようにした。プレスを出すその前の金曜日の夜にウェイトリストの準備をしていた。その次の日の土曜日にGoogle Analyticsを開くと600人ぐらいの同時アクセスユーザー数を見かけた。何が起こったかを見たらほとんどのユーザーはHacker Newsから来ていた。Hacker Newsを見たら3番目にRobinhoodについて投稿されてた(Business Insiderより)。

■既存ユーザーからの招待制
Spotify:2008年にSpotifyがベータ版をローンチ。正式ローンチまでは招待制オンリーで進めていた。Spotifyの初期成長はこの招待制度が鍵だった。Spotifyのグロースをコントロールできたのと、よりバイラルな要素をサービスに与えた。ユーザーは最初に5人の友達に招待できるようにしてた(TNWより)。

5. インフルエンサーの活用

Key Question
ターケット層のインフルエンサーは誰で、どうやって自分のプロダクトについて話してもらえるか?

Twitter:以下図が初期ローンチのグラフだ。最初にインターネットでTwitterについてメンションがあったのは7月13日のEvan Williamのブログだったが、その前日に登録が結構入ってたのがわかる。そしてOm Malikの投稿で次の日には250人が登録。まだ600人ぐらいしかいなかったときだった。Evanの人気度とOmの推薦をもとに最初にバズるような状況を作れた(Pete Warden氏)。

Product Hunt:インフルエンサーを見つけた時に私かNathanが個人的にメールを送って、プレスでProduct Huntに言及していたPandoDailyやFast Companyの記事にリンクして我々のストーリーを説明した。マニュアルなプロセスだったが、いい寄稿者を採用するのにいい方法でよりフィードバックをもらえやすい状況を作っていた(Ryan Hoover氏)。

Instagram:創業者は初期ユーザーを慎重に選んでいた。良い写真家、特に高いTwitterフォロワー数のデザイナーを選んでた。その初期ユーザーが最初のトーン、良質なコンテンツを出した最初のInstagramをプロモーションするインフルエンサーキャンペーンと言えるだろう。Jack DorseyはInstagramの一番の営業マンだった。最初は彼の投資が(Instagramの前身のサービスである)Burbnではないアプリに行くことに対してショックだったが、すぐにInstagramをBurbn以上に好きになった。そしてInstagramが2010年10月6日にローンチした時に、Jack Dorseyが共有してくれたおかげですぐにバズった。アップルのアプリストアのカメラアプリの中でいちばんになった(Sarah Frier氏、No Filter: The Inside Story of Instagramより)。

6. PR・メディアの活用

Key Question
プレスやメディアにピッチできる新しく、面白く、そしてユニークなストーリーとは?

Superhuman:プレスをうまく使うのは時代精神的な瞬間に入り込むこと。我々の場合はMailboxがシャットダウンする時だった。私はかなり読まれたM&Aの生き残り方についての記事を書いたが、それはMailboxのシャットダウンと合わせて書いたもの。投稿はMediumで出したが、qz.comにも転載された。時代精神的な瞬間に入り込めた。その記事を書くのに3日間それだけに集中したのと、あと1日記事をいろんな人に共有するのに時間をかけたので、合計4日間フルフルかかった。でもその4日間で5000人の登録が入ってきた(Rahul Vohra氏)。

Product Hunt:FastCompany記事のようにゲスト投稿をテックメディアで書いて認知を得た。初期はプレス・メディアで登録を伸ばすのに効果的だった。TechCrunchを読む人はProduct Huntを見る人と同一だった。さらにProduct Huntでローンチしたいいプロダクトを知り合いの記者に情報を流すようにした。記者の興味に合わせてプロダクトを送り、それについて記事を書いてもらってProduct Huntにリンクしてもらった。しかもそれによってよりクリエイターやアーリーステージの会社に認知を与えてた(Ryan Hoover氏)。

Airbnb:ターニングポイントはコロラド州デンバーで行われた2008年の民主党全国委員会(DNC)だった。Airbnb創業メンバーはイベントのキャパの4倍以上の人が参加すると知っていて、その影響で部屋のレンタルの需要が高まると知ってた。部屋を譲ってもらうのは簡単だったが、知名度がなかったのでその部屋に宿泊してもらうことが難しかった。

それを解決するためにまずは小さいオーディエンスを持っているブロガーに当たった。直感に反するかもしれないが、小さいブロガーがAirbnbについて投稿することによって大きめのメディアが取り上げる必要があると感じた。それがどんどん加速して、最終的には全米に放映するNBCやCBSがAirbnbの創業者をインタビューしていた。

DNCはAirbnbにとってよかったが、結局1週間しか続かなかった。創業者がイベントからのインパクトを最大限に広げられないかとキッチンで座ってたときに、シリアルを売って黒字化するアイデアを思いついた。2人ともデザイナーで名門ロードアイランド・スクール・オブ・デザインの卒業生だった。嘘のシリアルの「Obama O’s, the Cereal of Change」と「Cap’n McCain’s, a Maverick in Every Box」を考えた。箱のアートは彼ら自身で考え、カリフォルニア大学バークレー校の生徒にお願いして安く箱を印刷してもらった。箱はフラットな長方形で印刷されたので、1つひとつ形を切り取って手作りした。
創業メンバーはいろんなテックブロガーに箱を送り、それについて記事を書いてもらった。その後に一箱40ドルで売った。Obama O’sが売れすぎて、Cap’n McCainを無償でつけるようになった(Pandoより)。

Slack:ベータ版をベータ版と呼ばなかったのは、そうするとサービスがあまりよくないと思われるからだった。チームの過去の経験を活用してプレス戦略を行った。それでSlackを使うリクエストが遅れるようにした。初日に8000人、2週間後に1万5000人まで上がった。ローンチ時のメディアの力は強い(Stewart Butterfield氏)。

Instagram:PR会社を使わずに直接プレスにコンタクトした。これは正しい戦略だったとKevin Systromが語る。いいプロダクトと熱い創業者からピッチするといい記事となる。プロダクトを好きになりそうな人に関しては躊躇なく連絡した。それがうまくいった。New York Timesとかに連絡する意味がないといろんな人から言われたが、NYTは話すだけではなく、直接会いにきてくれた。そして2010年10月にローンチした同日にプレスが出て、サーバーへの負担がハンパなかった(TNWより)。

7. ローンチ前にコミュニティを作る

Key Question
あとあと活用できるコミュニティを今作れるか?

Product Hunt:Linkydinkと言うメルマガツールを使ってメルマガとしてスタートした。Product Huntを開発している間にMVP版に貢献してくれる人たちやプロダクト関連の人にモックを共有してフィードバックをもらってた。これは顧客開発のためだけではなく、共有してた人たちにプロダクトに貢献してプロダクトの一部として感じてもらうようにしていた(実際に貢献してくれてた)。その5日後、MVPが完成した。Product HuntのURLをサポーターたちにメールして、周りに共有しないようにお願いした。サポーターたちは自分たちが開発に貢献した感情を抱いてたので、プロダクトにすぐに愛着が生まれた。それで最初の30人を獲得した。週の終わりには100人集まったので、公開できると思った(Ryan Hoover氏)。

Stack Overflow:創業メンバーのJoel SpolskyとJeff Atwoodは過去の経歴のおかげで大きなフォロワーコミュニティを持っていた。お互いのコミュニティに対してプライベートベータ版に招待した。コンテンツが最初からないと微妙に見えるので、招待する前に創業メンバー自らコンテンツを作っていた(Jon氏)。

おさらい

最初の1000人を獲得するには、以下7つの戦略が使われた。

  1. オフラインで直接ユーザーと会う
  2. オンラインで直接ユーザーと会う
  3. 友達を招待する
  4. 取り残されることへの恐れ(FOMO)を作ること
  5. インフルエンサーの活用
  6. PR・メディアの活用
  7. コミュニティを作る

どの戦略にフォーカスするべきか決めるために自分に聞くべき質問は以下のとおり。

  1. 初期ターゲットユーザーは誰で、どのオフラインの場所で集まっている?
  2. 初期ターゲットユーザーは誰で、オンラインのどこで集まっている?
  3. 自分の友達は初期ターゲット層に当てはまるか?当てはまっていれば、サービスに招待したか?
  4. ユーザー生成コンテンツ「UGC」に頼るプロダクト?初期コミュニティはキュレーション型にすることを検討するべき
  5. 強い企業価値があるか?その場合はウェイトリストを検討するべき
  6. ソーシャルなプロダクトか?その場合は既存ユーザーに新規ユーザーの招待させるように検討するべき
  7. ターケット層のインフルエンサーは誰で、どうやって自分のプロダクトについて話してもらえるか?
  8. プレスや¥メディアにピッチできる新しく、面白く、ユニークなストーリーとは?
  9. あとあと活用できるコミュニティを今作れるか?

シリコンバレーに「横並び(年功)給与システム」復活の兆し―男女格差撤廃にも効果

2015-05-26-lockstepsalaries

60年代の終わりと共に消えたものが復活しつつある。

シリコンバレーにはTechCrunch TVでも紹介しているとおり、無料ランチやヨガのクラスを提供するなどユニークな職場が多い。同時にシリコンバレーは東海岸の大企業の固定的な給与体系を捨て、市場競争と交渉による給与決定システムを取り入れている。この仕組が理想的に働くなら、各人はその生産性の市場価値に見合った給与を受け取ることになるはずだ。しかしこの個別交渉による給与決定システムは、破綻したわけではないものの、近年厳しい批判にさらされている。

特に問題となっているのは、広汎な調査によってテクノロジー労働者における男女の賃金格差がはっきり裏付けられたことだ。 MicrosoftのCEO、サティヤ・ナデラは「女性は適正な給与を受けていると会社を信頼する必要がある」と発言して厳しく批判された。

テクノロジー業界における給与システムの振り子は逆方向に振れ始めている。一人一人の従業員に市場競争による価値を見出して給与を決定する方式から横並び(lockstep)給与方式への転換だ。一部の従業員はこうした画一的な方式に不満を感じているが、企業経営者、人事専門家は横並び賃金がもつ非常に重要なメリットに目を向ける必要があるだろう。

横並び(Lockstep)給与

横並び給与の考え方は単純だ。同一職種、同一職位の従業員には同一の給料表を適用し、経験年数に応じて昇給させる。大学新卒採用の社員は全社を通じて同一の給与を受け、すべての副社長も同一の給与を受ける。昇給には上位の職位に昇進するか、会社にとどまって在職年数を増やすしかない。

このシステムは現在のアメリカでも広く採用されている。政府、自治体のの職員はほとんど全員がこのシステムだ。職種、職位、在職年数ごとに受ける給与が厳密に決まっている。エリートの専門職の場合も横並び給与が多く見られる。特に法律事務所ではアソシエートは全員が在職年数だけで決まる同一賃金を受けるのが普通だ。

横並び給与体系には非常に大きなメリットがある。その第一は、昇給がゼロサム・ゲームではなくなるため、社内の協調性を大きく高めることだ。特にスタック・ランキングによる業績評価を行っている会社とは著しい差が出る〔スタック・ランキングは従業員の実績を相対評価によって分類し、最低分類の社員を解雇する人事管理方式。Microsoftの社内に協調性が欠けている最大の原因と批判されてきた。スタック・ランキングは2013年にバルマーのCEO退任を機に廃止された〕。

横並び給与方式については、当然ながら「パフォーマンスがどうであれ来年の給与が決まっているなら社員のモチベーションが下がり、真剣に働かなくなるのではないか?」という懸念が起きるだろう。

しかしこの問題を回避する方法はいろいろある。その一つは「昇進しなければメリットがない」という法律事務所のモデルだ。法律事務所で働く弁護士の目標は給与制のアソシエートから事務所の利益の配分を受けるパートナーに昇進することだ。しかしパートナーに昇進できるのはアソシエートのごく一部しかない。そのため給料はほぼ同一でもアソシエート間で激しい競争が起きる。

Pしかし、さらに重要なのは目先の昇給より良心的な仕事をすることを優先するような気風を生む企業文化かもしれない。プロフェッショナルの世界では給与が横並び方式で決められていてもパフォーマンスで競争する文化をもつ組織が珍しくない。

1対1の給与交渉なしの透明な職場環境

横並び給与方式には社内の「共食い文化」をなくす以外にも、2つの大きなメリットがある。横並び方式であれば個別給与交渉が必要なくなり、職場の透明性が大きく改善される。まず第一に効果的に昇給交渉ができる人間は少ない。優秀だが給与交渉が下手な社員はいくらでもいる。また企業幹部は常に昇給交渉に対応しているから経験が豊富であり、個別の社員は多くの場合交渉で太刀打ちできない。

その結果、まったく同程度の実績で同内容の仕事をしている社員間で驚くほどの給与の差が往々にして生まれる。

実際この点がシリコンバレーだけでなくアメリカ全体で非常に大きな問題となっている。女性は男性に比べて昇給交渉をしない傾向があることが数多くの調査で明らかになっている。女性が昇給交渉で消極的な原因にはいろいろな要素が影響しているだろうが、これが男女の賃金格差の重要な原因になっていることは間違いない。

昇給を個別交渉で決めるシステムは女性に不利益をもたらすだけでなく、労使関係にも悪影響を与える。新しい会社に入るときに、まず給与交渉をしなければならないというのは気まずい経験だ。これから一緒に働くパートナーとなる相手と、まだ気心もしれないうちに、給料にあと何ドルが上乗せするよう議論しなければならない。横並び給与方式ならこういう圧力はずっと少なくなる。

給与交渉の廃止は、組織内の透明性を高めるという効果もある。これは社内政治を抑制するのに効果的だ。一部のスタートアップ、たとえばBufferでは全社員のサラリーを公開しているが、多くの人はこれはやり過ぎだと居心地悪く感じるだろう。

一方、横並び給与方式であれば、同一職位で同一在職年数の社員の給与は同一だ。これは同僚を出し抜いて有利な昇給給与を勝ち取ろうとする社内政治の原因を取り除き、仕事そのものへの集中度を高めるだろう。

シリコンバレーでの動向

シリコンバレーでも横並び給与方式は新しいものではない。多くの大企業はなんらかのかたちで職種、職位、経験年数によって給与が決められる横並び方式を採用している。こうした大企業でも個別の給与交渉の余地がなくはないが、多くの場合、急成長が期待されるプロジェクトに転じて職位そのものの昇進を狙ったほうが効果的だろう。

さらに重要な変化はスタートアップの場合だ。近年、スタートアップは優秀なエンジニアを獲得するため、ありとあらゆる有利な条件を提示して激しい競争を繰り広げてきた。しかし現在ファウンダーたちの間で、こうしたアプローチに伴う好ましくない副作用が認識されている。

たとえば、Marc Loreが創業したeコマースのスタートアップ、Jetでは横並び給与モデルが採用されている。Loreは「われわれのところでは同レベルの仕事をしている社員は同一の給与を受ける。それを全員が知っている」と説明する。Loreは女性の賃金格差に対処することにも意欲的だ。「女性は男性ほど積極的に昇給交渉をしない傾向のために不利益な立場にある。これはまったく不公正だ。わが社ではいったんある職位に就けば決まった給与を受け取る。交渉によって昇給することはない」という。

交渉によって給与を決めることを信奉している一部のスタートアップのファウンダーたちには悪夢かもしれないが、こうした交渉による給与決定システムが現在どんなパフォーマンスを示しているのか冷静に検討すべき時期だ。横並び給与(Lockstep)方式はマッドメン の時代の遺物ではない。現代のテクノロジー・スタートアップが公正かつ透明な職場環境を求めるなら、極めて有効な給与システムとなり得るはずだ。

画像: Tax Credits/Flickr UNDER A CC BY 2.0 LICENSE

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ソーシャルネットワークへの投稿をスケジューリングするBuffer、β段階から好調のBuffer for Businessを正式リリース

サンフランシスコに拠点をおくBufferがBuffer for Businessを正式にリリースした。BufferはFacebook、Twitter、その他のソーシャルチャネルへの投稿をスケジューリングすることのできるサービスだ。ソーシャルメディアへのプレゼンスをコントロールしようとする多くのブランドが利用している。今回正式リリースとなったBuffer for Businessは、これまでの数ヶ月間の間、小規模なプライベートベータとしてテストを行っていたものだ。記したように、これまでもブランドにとっては便利なサービスだったわけだが、ビジネス版では詳細な分析機能、チームでの利用を考えたコラボレーション機能、データを再利用するためのエクポート機能などが備えられている。

これまでがクローズドなベータ版運用であったにも関わらず、Buffer for Businessは既に経営面で無視できない存在となりつつあるそうだ。共同ファウンダーのLeo Widrichによると、ベータ期間中だけで400社が有料利用を開始しており、1ヵ月の売上げに換算すれば2万3000ドルになるのだそうだ。これは全売上げの10%を占める数値になるとのこと。個人利用者と比べてより大きな予算を持つ企業を相手にすることにより、Buffer for Businessは売上面でかなり貢献してくれそうな見込みが感じられる。

ちなみにBufferは、昨年から個人利用者にとっての使い勝手の向上も行ってきていた。そうしてプロダクトの魅力を高めることで、FeedlyやEchofonなどとの提携を行うようにもなっている。これもBufferにとってはそれなりの成果をもたらしているのだが(かなりの利用者獲得に成功している)、企業ユーザー獲得による収益ベースの確立についても力を注いでいこうという狙いなのだろう。

Buffer for Businessで使えるツール群も7月より提供されている。アクセス状況を見て投稿のスケジューリングが行えるのはもちろん、エンゲージメント、リツイート、お気に入り登録、1日あたりの投稿数による各種データの推移などについて詳細に分析することのできる各種ツール類が利用可能となっている。こうしたツール群はすべて各利用者毎に準備されたダッシュボードから操作することができる。データはもちろん見やすい表やグラフなどで表示され、いろいろなケースを比較表示するようなこともできる。

利用開始にあたっては無料のトライアルも用意されている。正式な利用にあたっては5名までのチームで利用する場合は月額50ドルからとなっており、利用するサービスなどに応じて最高で月額250ドルとなっている。各種サービスメニューを整えることによって、Bufferの訴求範囲は大きくなっていくことになる。しかし企業向けということになれば、Hootsuiteのような大規模プロダクトが地盤を築いているところでもあり、Bufferの今後についてはさらに様子を見ていく必要があるだろう。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


Buffer、Twitter利用時の利便性を高めるべく、Echofonと連携

ソーシャルネットワークに投稿する際に、投稿するタイミングをスケジューリングするサービスを展開しているBufferが、Echofonと連携していくことを発表した。Echofonは1000万以上が利用するTwitterクライアントだ。両者が提携することで、よりスマートで効果的なTwitterエクスペリエンスを提供していくことが目的だ。

たとえばBuffer利用者は、Echofonの画面からBuffer機能が利用できるようになる。すなわちツイートのスケジューリングや、クリック数などの統計データを見ることができるのだ。パワーユーザーや、数多くツイートする人にとって、両者のパートナーシップは嬉しい情報ではないだろうか。

Echofon上でツイートないしリツイートのスケジューリングを行おうとすると、投稿内容はすぐにBufferに送られ、実際にはそこでスケジューリングされることとなる。蓄積されたツイートなどは、Bufferでのスケジューリングに則って発信され、そして分析ツールによって、フォロワーによる反応を確認することができる。

多くの方がBufferを利用するきっかけとして挙げてくださり、そしてまた私自身も深く同意するのは、とにかく「興味深いツイートが多すぎる」ということなのです。

Bufferの共同ファウンダーであるがブログに投稿している。

Twitter上で面白い人々を数多くフォローしています。ですから、そこでの発言をぜひ再共有したいと思ってしまうのです。但し、いくつものツイートを立て続けにリツイートすると、せっかくの面白い発言が埋もれてしまうことになります。リツイートする意味がなくなってしまうのです。しかし今後は、Echofonからリツイートする場合、「retweet with Buffer」(Bufferを使ってリツイート)アイコンをクリックすることにより、タイミングをずらしてリツイートすることができるようになるのです。

4月のアナウンスによると、Bufferには60万以上の利用者がいて、月々の売り上げも6桁(USドル)単位であるとのこと。今回提携したEchofon以外にも、40ものアプリケーションと連動して利用することができる。ブラウザーエクステンションも用意されている。

原文へ

(翻訳:Maeda, H)


ソーシャルネットワークにスケジュール投稿を行うBuffer、月刊売り上げが10万ドルとなり、利用者数60万を達成

ソーシャルネットワークへの投稿をスケジューリングするBufferの成長が止まらない。毎月10万ドルを売り上げ、年間で100万ドルに達する勢いとなっている。今月段階での利用者数は60万人で、有料利用者数は1万人超を数える。2012年12月時点での利用者数は40万で、Bufferを利用した当時の投稿数は現在の3分の1という規模だった。

スケジュールに従った投稿が簡単に行える点が人気の秘密となっている。TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアが、ブランドにとって非常に重要なツールとなっているので尚更のことだ。ソーシャルメディアを利用する人の層はどんどん広がっており、利用者とコミュニケートするためのツールとして、なくてはならないものとなっているのだ。Bufferの共同ファウンダーのLeo Widrichと話をする機会を得た。ちなみにBufferのチームは昨年、ビザ関連のトラブルがあって一時的にオーストリアに戻らざるを得なくなっていたが、今はまたサンフランシスコで活動を続けている。尋ねてみたのはBufferの利用者層の変化についてだ。

Widrich曰く利用者数は増加の一途を辿っており、またソーシャルメディア上で活動をしたいと考える企業も増え続けているとのことだ。そうした中、Bufferのスケジュール投稿機能は大いに人気を集めているのだ。また最近はFeedlyとの連携機能も提供している。集めたRSSフィードの標準共有ツールのひとつとしてFeedlyで利用されるようになっているのだ。FeedlyがGoogle Readerの代替サービスとして評判を集める中、もちろんBufferにも多くの注目が集まることとなった。これにより新たな利用者もどんどん増えている様子。

ところで最近、ボストン・マラソンの事件の際に、TwitterやFacebookにブランド発の宣伝系メッセージが流れて、悪い意味で注目を集めてしまうというようなことがあった。そうした発言は予め定められたスケジュールに則って投稿されたものだった。もちろん大事件のおりに投稿されるスケジュール投稿は的外れで無神経なものとなってしまうことが多い。Buffer側もそうした状況に対して何らかの対策を練るべきだと考えているようだ。

「全予定実行停止スイッチのようなものを実装すべきかもしれないと考えているのです」とWidrichは述べている。「システム的な対応はともかく、まずは利用者の方々にスケジュールの実行を停止する方法について連絡をしています。おかげで不適切な投稿をせずに済んだとおっしゃる方も多いようです。しかしより包括的な対策をとるべきだろうと考えてはいます」とのこと。

そのようなわけで、簡単にスケジュール投稿を停止する機能は実現に向けて作業中だ。但しWidrich曰く、周囲の状況に適さない投稿を行なってしまった際に効果的なのは、ともかく自らの作業範囲の中で発生した不適切な事象に付き謝罪することだとのこと。何かおかしなことをしてしまった場合、責任者が適切な説明を行うことで、利用者からの理解が得られることが多いのだそうだ。

直近の状況としてはそういう新機能の実現に向けて忙しく動いているところだ。もう少し長いスパンで見ると、Bufferの状況は「非常にうまくいっている」ということになるらしい。2011年におけるシードラウンドでの調達額は40万ドルと比較的少額であったが、Widrichによれば、ほとんどが銀行に残っているのだとのこと。十分な売り上げを得て、現在のところはさらなる資金調達も必要でなく、なかなか理想的な環境で業務を進めているところなのだそうだ。

原文へ

(翻訳:Maeda, H)