トップクリエイターから学べる動画プラットフォーム「your school」を手がけるTranSeが1億円調達

トップクリエイターから学べる動画プラットフォーム「your school」を手がけるTranSeが1億円調達

TranSeは2月15日、プレシリーズAラウンドにおいて、第三者割当増資による総額1億円の資金調達を発表した。引受先は、PKSHA SPARXアルゴリズム1号、W ventures、Skyland Ventures、岩崎翔太氏、大島礼頌氏。トップクリエイターから学べる動画プラットフォーム「your school」(ユアスクール)への事業投資および積極的な採用活動に取り組む。

your schoolは、エデュテインメント(Edutainment)領域の動画プラットフォームとして、TranSeが2020年10月に立ち上げた新規事業。各分野で活躍するトップクリエイターのストーリー・スキル・価値観を通した、高い体験価値の学びと選択肢の広がりを提供するという。

今後は事業投資および積極的な採用活動に取り組み、ビジョン「『動画』で個を拡張する」の実現を目指すとともに、動画という手段を起点とした個のエンパワーメントに引き続き取り組んでいく。

2018年4月設立のTranSeは、累計会員数1600名を超える国内最大級の動画コミュニティを主軸としたスタートアップ。同社取締役CSOおよびYouTubeクリエイターの大川優介氏を起点としたコミュニティ「TranSe Salon」事業、動画制作のパーソナルトレーニング「OneSe Personal」事業に加えて、your schoolを運営している。

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カテゴリー:EdTech
タグ:オンライン学習 / eラーニング / オンラインレッスン(用語)資金調達(用語)TranSe日本(国・地域)

良質な情報のひと口サイズの「知識ハック」をそろえるUptime

自らを「知識ハッキング」アプリと称するのUptimeは、2021年1月にiOSで公式にローンチし、そのあと1600万ドル(約16億8000万円)のシード資金を調達した。

「マイクロラーニング」のプラットフォームとして位置づけられるUptimeは、書籍や学習コースやドキュメンタリーなどから5分間の「知識ハック」を提供する。そのアイデアは、ユーザーが貴重な時間をあまり使わずに「信頼できる著者やインストラクター、クリエイターなどからアイデアや知見をすばやくつかみ取る」というものだ。コンテンツ作者はその見返りとして、新たな作品の購入者になるかもしれないオーディエンスにリーチできる新たな道を見つけることができる。作者はThe New York Timesのベストセラーで紹介されている人や、興味深い学習コースの提供者、アカデミー賞を獲得したドキュメンタリー映画の作者など、さまざまだ。

このアプリは、コンテンツアグリゲータであり、コンテンツ発見サービスであり、コンテンツの作者にとっては見込み客生成システムでもある。集中する時間が短いミレニアル世代やZ世代をターゲットにしていると、同社は述べている。

「個々の知識ハックはユニークなビジュアルストーリーであり、ユーザーにインスピレーションを与え、効果的で楽しく参加することができ、共有することができる形式で提供されます。そのことを専門家のチームも確認しています。ハックの終わりには、本を買ったり、ドキュメンタリーの全編を見たり、学習コースに登録したりするといったオプションが提供される」という。

画像クレジット:Uptime

シード資金の投資者はUptimeの創業者たち、連続起業家のJamie True(ジェイミー・トゥルー)氏とJack Bekhor(ジャック・ベコール)氏となる。彼らは以前、2018年に3億2500万ドル(約341億円)で買収されたLifeWoksを創業している。また、YouTubeとFacebookの元役員であるPatrick Walker(パトリック・ウォーカー)氏や、David Alliance(デビッド・アライアンス)卿、Tescoの元CEOであるTerry Leahy(テリー・レイフィー)卿、そしてFederal Street SPVなどが投資に参加している。

「世界のEdTech市場の規模はおよそ890億ドル(約9兆3400億円)と推定されています。多くの人がオンラインのコースに数百ドル(数万円)を投じてソフトスキルを磨いたり、ドキュメンタリーを視聴したりしています。それは教育コンテンツの作者にとって大きな商機ですが、消費者は過剰な情報に悩まされ、飽和したマーケットの中で良質なコンテンツがなかなか見つけることができず、途方に暮れています」とUptimeの創業者の1人、パトリック・ウォーカー氏は述べている。

「Uptimeで作りたかったのは、知識のワンストップショップのようなものです。ベストセラーのリストや、無数のデジタルコースやドキュメンタリーのビデオプラットフォームの中から最適なコンテンツを見つけるのは、今や個人にとって至難の業。Uptimeは、信頼できる専門家や組織やソースから厳選した最良のコンテンツを紹介することができます。ユーザーは興味あるトピックを選び、ひと口サイズの見やすいコンテンツから、必要な知識の要点にアクセスできるのです」。

Uptimeの創業者によると、同プラットフォームは勉強の意欲はあるが十分な時間やエネルギーといったリソースがない人向けのものだ。「Z世代やミレニアル世代の人たち、それに親たちにとって理想的なものです。勉強してキャリアアップをしたい人、建設的で元気が出るコンテンツを得たい人にも向いています」とウォーカー氏はいう。

人の仕事で稼ぐ、寄生虫的なアグリゲーターがまた1つ増えただけだという批判ももちろんあるだろう。しかし創業者たちは、このアプリはコンテンツの作者に新しいオーディエンスをもたらす「味見」サービスだ、と主張している。

「どの知識ハックも、最後に本を買ったり、コースを受講できたりするためのリンクがあります。そこから、新しいオーディエンスが得られるはずです。私たちが打診した著者やクリエイターはほぼ全員、作品がUptimeで紹介されることを喜んでいます。Lily Cole(リリー・コール)氏やOobah Butler(ウーババトラー)氏、Tara Swart(タラ・スワート)博士などが、私たちをサポートしてくれています。Uptimeはユーザーとコンテンツクリエイターの両方に利益をもたらすのです」とウォーカー氏はいう。

カテゴリー:EdTech
タグ:Uptime資金調達

画像クレジット:Uptime

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(文:Steve O’Hear、翻訳:Hiroshi Iwatani)

バーチャル理科実験プラットフォームを世界中で販売するLabsterが新たに約63億円調達

165億ドル(約1兆7260億円)の運用資産を持つベンチャーキャピタル企業のAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)は、バーチャルなSTEM(科学、技術、工学、数学)実験シミュレーションを教育機関向けに販売するEdTechスタートアップに数百万ドル(数億円)を投じた。

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コペンハーゲンに拠点を置くLabster(ラブスター)は、学校向けにバーチャル理科実験プラットフォームを販売している。同社は米国時間2月10日、著名なシリコンバレーの企業が主導するシリーズCラウンドで6000万ドル(約63億円)の資金調達を行ったと発表した。このラウンドには、これまでも同社に投資していたGGV Capital(GGVキャピタル)、Owl Ventures(オウルベンチャーズ)、Balderton Capital(バルデントン・キャピタル)も参加。Labsterはこれまでに総額1億ドル(約105億円)を調達したことが知られている。

Labsterは、多くのEdTech企業と同様、新型コロナウイルス流行の影響でリモートワークの必要性が強調される中、自分たちの有効性を見出してきた。2020年4月には、210万人以上の学生が所属するCalifornia Community College(カリフォルニア・コミュニティ・カレッジ)のネットワーク全体にサービスを提供する契約に署名。その数カ月後には、GGVのJenny Lee(ジェニー・リー)氏を取締役会に迎え、アジアでの事業を拡大するために、900万ドル(約9億4500万円)の株式発行による資金調達を行った。

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「A16z(Andreessen Horowitz)は、大きな影響力を持ち、大規模な世界的成功を収める可能性のあるテクノロジー企業への投資に非常に興奮しています」と、Labsterの共同設立者でCEOのMichael Bodekaer Jensen(マイケル・ボデカー・ジェンセン)氏は述べている。「Labsterが大規模に学習を革新するプラットフォームであるという事実が、彼らを惹きつけたのです」。

今回の新たな資金調達により、Labsterはスタッフの増員、ラテンアメリカやアフリカを含む新たな地域に向けた成長、教師をより良くサポートする新製品の開発に、投資を行うことになる。

ジェンセン氏は、Labsterがこれまでない巨額の増資を行ったことにより、同社の評価額が「劇的に上昇した」と述べている。とはいえ、まだ10億ドル(約1050億円)の大台に乗っていないことを同氏は認めており、黒字化を達成したかどうかについてもコメントしなかった。

しかしジェンセン氏は、新たな資金調達によって、このスタートアップ企業が2つの大きな目標に一歩近づいたと考えていると語った。その1つ目は、今後数年で1億人の学生にサービスを提供すること。そして2つ目は、世界中の誰もが自分でシミュレーションをカスタマイズして構築できるプラットフォームを目指すということだ。

「私たちはコンテンツ企業ではありません」と共同創設者はいう。「私たちは没入型学習のためのプラットフォームです」。

Labsterは現在、対面式の授業をサポートして強化するためのeラーニングソリューションを販売している。

教育機関が選択したサブスクリプションに基づいて、参加者の学生はさまざまな段階の仮想実験室にアクセスできる。細菌の増殖や分離の理解から、太陽系外惑星の生物多様性の探求まで、多彩な実験が想定されており、各種シミュレーションのほか、特定の概念を描いた3Dアニメーション、シミュレーションのリプレイ、クイズ問題、バーチャル学習アシスタントなどが用意されている。

画像クレジット:Labster

ジェンセン氏は、最終的にLabsterが、あらかじめ決められた学習トラックを超えて、カスタマイズ可能な没入型学習の世界に移行する可能性を示唆している。Inspirit(インスピリット)など他のスタートアップもまた、Minecraft(マインクラフト)やRoblox(ロブロックス)のようなゲーム形式による創造性を、世界中の学生たちの日々の学習にもたらすことを目指している。

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Labsterはそのプラットフォームの目標に合わせ、現在はバーチャルリアリティへの取り組みを停止している。大規模な数のヘッドセットを用意する必要があるからだ。

「VRは学習には適していますが、我々は教育機関がすでに持っているハードウェアを理解し、それに対応したサービスやソリューションを提供する必要があります」と、ジェンセン氏は語る。多くの教育機関は全学生分のヘッドセットを購入する余裕がないことをつけ加えた。

Labsterがバーチャルリアリティから離れ、没入型の学習環境を構築する方向に向いているという事実は、単なるブランディングのための決定ではなく、拡張性の高いEdTechの未来が、ゴーグルのようなものではなく、カスタマイズ可能なウェブページのようになるかもしれないということを示唆している。

「設立当初の頃は、それを構築すればすぐにすべての教師がやって来るだろうという、ちょっとナイーブな起業家精神が間違いなくありました」と、ジェンセン氏は語った。「VRは、私たちが飛びついて思ったほど革命的なものではありませんでした」。

新たな投資の一環であるLabster Portalは、教師が没入型シミュレーションを個々の生徒がどのように使用しているか、どのような授業を一緒に組み込むのが適切かを理解するためのダッシュボードだ。同社はまた、国全体や州または地域レベルで教育機関と提携することにも力を入れている。ジェンセン氏によると、契約規模が大きくなればなるほど、導入費用を節約できるため、割引額も大きくなるとのこと。Labsterは最近、デンマーク全土にその技術を導入する契約を締結した。

Labsterは現在、2000以上の総合大学、専門大学、高校にプラットフォームを提供している。

「新型コロナウイルスが収まった後、成長は鈍化するでしょう」とジェンセン氏はいう。「教育機関との会話では、ポストコロナの時代にLabsterをさらに新しく革新的な方法で活用していくにはどうすればいいかという話が増えています」。

カテゴリー:EdTech
タグ:Labster資金調達eラーニングVR

画像クレジット:MR.Cole_Photographer / Getty Images

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ゲームで遊びながら算数や読解を学ぶEdTechプラットフォームSplashLearnが18.8億円調達

SplashLearnはゲームをベースにしたカリキュラムで子供たちにレッスンを教える、米国に本社を置く10年の歴史を持つEdTechのスタートアップだ。同社はより多くの市場への進出を目指し、新たな資金調達ラウンドで1800万ドル(約18億8000万円)を獲得した。

今回のSplashLearnのシリーズCラウンドはサンフランシスコを拠点とする教育専門のファンドOwl Venturesがリードし、以前に同社のシリーズBに700万ドル(約7億3000万円)を投資していたAccelも新ラウンドに参加した。

TechCrunchの取材に対し、SplashLearnの共同創業者兼CEOであるArpit Jain(アルピット・ジェイン)氏は、今日の教育システムが直面している最大のハードルの1つは、子供たちが学びたいと思わないことであり、それゆえに、彼らが魅力的だと思う方法で話題を提供する必要があると語った。

同氏が立ち上げたこのスタートアップは、未就園児から小学5年生までの生徒向けに数学と読解のコースを提供している。教師やその他の専門家の指導を元に、4000以上のゲームやその他のインタラクティブな活動を開発し、子供たちにさまざまな概念を説明しているという。

デモとしてジェイン氏は、ハードルの高いアドベンチャーゲームを披露した。子供がゲームを進めるためには、足し算の概念を視覚的に適用する必要がある。「子供たちが夢中になると、学習の成果が向上します」とジェイン氏はいう。

SplashLearnのプラットフォームでは、さらに、毎日15分から20分のパーソナライズされた学習体験を各生徒に提供していると同氏は語った。

同社は、そのサービスのために保護者に月12ドル(約1250円)を請求している。また、学校では無料で利用することができる。現在、米国では3校に1校がSplashLearnを利用しているとジェイン氏は述べた。

「当社の目標の1つは、質の高い教育を無料で生徒達に提供することでした。我々のビジネスモデルは、それに取り組むことを可能にしてくれました」と同氏はいう。SplashLearnは自ら学校にアクセスし、売り込むことはしないとも。教師たちがプラットフォームを使用して、同社が提供しているものを気に入った場合は、より広く採用するために彼らが学校に働きかける、とジェイン氏はいう。同氏は他の3人の共同創業者と同様に、インド工科大学カラグプール校の卒業生である。

画像クレジット:SplashLearn

チームが最初に開発したのは、過去10年間でCourseraが進化して到達したのと同じようなEdTechプラットフォームだった。しかし彼らの以前のベンチャー企業は、当時インターネットユーザーが5000万人に満たなかったインド市場では受け入れる準備ができていなかったために、市場けん引力を得ることができませんでした、とジェイン氏は語った。

SplashLearnは今日、そのプラットフォーム上で4000万人以上の登録生徒にサービスを提供しているが、そのうちの1000万人は2020年、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で世界中の学校が閉鎖されたために新たに参加したという。また、75万人以上の教師も同プラットフォームに加入した。

同社は現在、主に米国の生徒たちにサービスを提供しており、その市場が収益の80%を占めている。しかし現在では英国、オーストラリア、カナダ、インドを含む150以上の市場の生徒達もプラットフォームを利用している。

Owl VenturesのマネージングディレクターであるAmit A. Patel(アミット・パテル)氏は声明でこう述べている。「SplashLearnは、科学的に設計されたカリキュラムと、世界に通用する教育学的手法を独自にブレンドしたもので、デジタル学習の世界に明確な変化をもたらす態勢にあります。SplashLearnは、EdTech分野における革新的な企業を支援するという当社の目的に合致しており、教育の提供方法のパラダイムシフトを促進し、規模を拡大しています」。パテル氏は、AccelのパートナーであるAbhinav Chaturvedi(アビナブ・チャトゥルヴェディ)とともにSplashLearnの取締役会に加わる。

カテゴリー:EdTech
タグ:SplashLearn資金調達eラーニング

画像クレジット:SplashLearn

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

競技プログラミングの「AtCoder」がSOMPOホールディングスSOMPO Digital Lab主催コンテストを発表

競技プログラミングの「AtCoder」がSOMPOホールディングスSOMPO Digital Lab主催コンテストを発表

日本最大の競技プログラミング(競プロ)コンテストサイト「AtCoder」を運営するAtCoderは2月6日、SOMPOホールディングスのイノベーション部門SOMPO Digital Lab主催の「SOMPO HD プログラミングコンテスト2021(AtCoder Beginner Contest 192)」の開催を発表した。総合順位1位の者には10万円分のAmazon ギフトカードなど、順位ごとの賞品が用意されている。参加登録は後日開始する。

同コンテストは、開催時間中(100分間)に出題されるプログラミング問題に対するソースコードを提出し、獲得した得点を競うというもの。誤答を提出するたびにペナルティが加算される(同コンテストの場合は5分間)。順位は総合得点で決定される(同点の場合は提出時間の早い者が上の順位になる)。

SOMPO Digital Labは、AIやIoT技術などの先端技術に関する内製開発にもチャレンジしており、論理的思考力を持ち、手を動かしながら問題解決を行えるAtcoderユーザーに、世の中を一緒に良くしていく取り組みの仲間になって欲しいと考えてコンテストを開催するとしている。

SOMPO Digital Labは、損保ジャパンを中核とするSOMPOグループ全体のDXを推進。各グループ事業会社のR&Dを支援して顧客体験価値を向上させる商品・サービスの開発、新たなテクノロジーを活用した業務効率化、既存事業領域とは一線を画した新たなビジネスモデルの構築などに取り組んでいるという。

また、グループ内への技術展開の際には、必要に応じて社内エンジニアによるアプリケーションの内製開発や、データサイエンティストによるデータ解析も行っている。介護事業における品質・生産性向上や保険事業における既存業務効率化などの課題解決などでは、エンジニアとデータサイエンティストが協調してプロジェクトを推進しているそうだ。

AtCoderは、日本最大の競技プログラミングコンテストサイト「AtCoder」を運営。20万名超(うち日本人は11万名以上)が参加登録し、毎週開催される定期コンテストには約1万名以上が挑戦するという。

その他にも、高度IT人材採用・育成事業として、コンテスト参加者の成績を8段階にランク付けした「AtCoderランク」を利用する転職・求職支援サービス「AtCoderJobs」や、IT人材のプログラミングスキルを可視化できる検定「アルゴリズム実技検定・PAST」といったサービスを展開している。

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カテゴリー:EdTech
タグ:AtCoderオンライン学習 / eラーニング / オンラインレッスン(用語)エンジニア(用語)教育 / EdTech / エドテック(用語)競技プログラミング / 競プロプログラミング(用語)日本(国・地域)

生徒が泳ぐ姿を4K撮影、水泳上達につなげるスイミングスクール向けスマートレッスンシステム

ソニーネットワークコミュニケーションズとフィットネスクラブ大手のルネサンスは、ルネサンスが運営するジュニアスイミングスクールに向けた「スマートスイミングレッスンシステム」を共同開発しました。

スマートスイミングレッスンシステムとは、生徒の泳ぎを4Kカメラで撮影し、レッスン中に動画で自分の泳ぎを確認することでビジュアルによる気づきや学びにつなげようというもの。

具体的な仕組みとしては、複数台の4Kカメラで生徒の泳ぎを撮影し、それらの映像の中から水面の揺れや光の反射の影響を受けずに人が泳いでいるところをAIが検出、複数のアングルを組み合わせた1本の動画を自動的に作成します。

出来上がった動画にコーチからのコメントやテストの結果を加え、専用ページに配信することで保護者が手持ちのスマートフォンやタブレットなどで閲覧することもできます。

レッスン中にプールサイドのタブレットで自分の泳ぎを確認できる(画像=左) コーチは進級テスト結果記録や配信が可能(画像=右)

レッスン中にプールサイドのタブレットで自分の泳ぎを確認できる(画像=左) コーチは進級テスト結果記録や配信が可能(画像=右)

提供価格は検討中で、6月から全国約80店舗で順次取り入れる予定とのこと。現時点ではルネサンスのジュニアスイミングスクールに向けたシステムですが、要望があれば他社のスイミングスクールにも導入していきたいとしています。

ルネサンス代表取締役社長執行役員の岡本利治氏は2月8日の記者会見で、『本サービスを導入することで、スクールの価値をさらに高めていきたい』と意気込みを語ったうえで、『当社のみならず、スイミングスクール業界の発展にも大きく寄与することを期待している』と述べました。

ルネサンス代表取締役社長執行役員の岡本利治氏

ルネサンス代表取締役社長執行役員の岡本利治氏

システムの導入理由について、ソニーネットワークコミュニケーションズ法人サービス事業部スポーツエンタテインメント部の中村美奈子氏は、『子どものスポーツシーンの1つである“習いごと市場”に着目した。コロナ禍で保護者が子どもの習い事の様子を見守ることが難しくなっている、この状況を少しでも解決できれば、という思いも重なり、習い事として一番選ばれているスイミングに展開することを決めた』と話しました。

ソニーネットワークコミュニケーションズ法人サービス事業部スポーツエンタテインメント部の中村美奈子氏

ソニーネットワークコミュニケーションズ法人サービス事業部スポーツエンタテインメント部の中村美奈子氏

ルネサンス営業企画部スイミング企画チーム課長の勝部久代氏は、『従来の指導に加え、映像で上達を実感できるシステムや「マイカルテ」を活用し、予習、復習を行う機会を実現。さらに進級テスト結果と同時にテスト時の動画を配信することで、子どもと保護者が一緒に楽しみながら成果を実感できる』と自信を見せました。

ルネサンス営業企画部スイミング企画チーム課長の勝部久代氏

ルネサンス営業企画部スイミング企画チーム課長の勝部久代氏

ちなみに、ルネサンスは2017年にもソニーネットワークコミュニケーションズ共同で、スマートテニスレッスンを提供しています。こちらはテニスラケットに装着したセンサーを用いて、打ったボールの速さや打点を解析し、指導に役立てようというものです。

Engadget日本版より転載)

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カテゴリー:EdTech
タグ:AI / 人工知能(用語)カメラ(用語)スポーツ(用語)日本(国・地域)

Zoomアドオンのオンライン教育ソリューションを開発するClassが約31.7億円を調達

Blackboardの共同創業者であるMichael Chasen(マイケル・チェイスン)氏起業してからまだ1年に満たないClassは、柔軟にカスタマイズして生徒と教員が授業に利用できるZoomのアドオンを開発している。同社の初の製品となるClass for Zoomには管理ツールと指導用ツールがあり、ビデオ会議のエクスペリエンスを向上させる。

以前はClassEDUという名前だった同社は米国時間2月4日、3000万ドル(約31億7000万円)を調達し、調達金額の合計が4600万ドル(約48億6000万円)となったことを発表した。製品の公開前にこれほどの金額を調達したため、同社には製品を調整して改善する余裕があり検証もできる。Zoomにとって初めての小切手を書いたBill Tai(ビル・タイ)氏やEmergence Capitalなど、Zoomを早い時期に支援した多くの投資家がClassに投資している。

Classは調達した資金で現在60人の従業員を100人に増やす。また各国の需要に合うように製品を開発する。米国、ドバイ、日本、ヨーロッパの6000以上の教育機関がClassのウェイティングリストに名を連ねている。

教員はClass for Zoomの指導用ツールを使ってその場で課題やクイズ、テストを出し、リアルタイムで生徒たちに答えさせることができる。管理面では出席管理から生徒がアクティビティに参加した時間の把握まで、さまざまなツールがある。現在ClassEDUは有料のプライベートベータで、60校あまりが利用している。

画像クレジット:Class

現時点ではClassのソフトウェアはMacのみで動作するが、ベータ版は近々iPhone、Windows、Androidでも使えるようになる。今四半期末に公開の予定だ。

Classは完全にZoomプラットフォーム上で構築されているが、他のZoom用アプリのようなサードパーティ製品の統合ではなく独立した機能として動作する。Classはバックエンドのオーディオとビデオの機能には無料のZoom SDKを使い、フロントエンドのインターフェイスとエクスペリエンスは独自に開発している。他社に依存するアーリーステージのスタートアップはいずれもそうだが、プラットフォームのリスクには注意が必要だ。

一方で、リスクには価値がともなう。Zoomはなじみのある名前なので、Classを学校に販売する際のハードルは驚くほど下がるとチェイスン氏はいう。学校は2020年から使っているテクノロジーを置き換えることなく、Classを使うことで簡単により良いものにすることができると同氏は説明する。

チェイスン氏は「学校にはZoomの安定性とスケーラビリティがあり、その上に授業のツールを構築して大規模に展開していくつもりです」と述べる。同氏によれば12万5000校以上の学校がすでにZoomを使っており、十分大きいビジネスになる。Classは今のところTeamsやWebexとの統合は計画していない。

Udemyの新社長が数日前に述べた意見と同様に、ClassもEdTechの動向の変化が販売の違いに現れると見ている。

LMS(学習管理システム)の仕事に15年間携わってきたチェイスン氏は「Blackboardのセールスサイクルは6〜9カ月で、eラーニングとは何かを説明しなくてはなりませんでした。(Classでは)ピッチをする必要がありません。1カ月で商談がまとまります。セールスサイクルは製品を紹介している時間のみです」と語る。

Class、そしてeラーニングのソリューションを教育機関に販売するスタートアップにとっての高いハードルは、新型コロナ収束後の実用性だ。教育機関は昔から形式主義でソフトウェアの採用に時間がかかるが、チェイスン氏によればClassの顧客は高等教育でもK-12でも積極的に予算を取っているという。Classの価格は年間1万ドル〜6万5000ドル(約105万円〜680万円)で、クラスの人数により異なる。

チェイスン氏は「予算の問題にぶつかったことは一度もありません。高等教育機関はすでにオンライン学習への第一歩を踏み出して次に歩を進めようとしていますが、K-12は第一歩を踏み出しつつあるところです」と述べた。

関連記事:学校向けのZoomアドオンに数億円を賭けるZoom創生期の投資家たち

カテゴリー:EdTech
タグ:ClassZoom資金調達eラーニング

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Kaori Koyama)

言語学習サービス大手のBabbelがライブクラスや学習ゲームなどを追加

米国時間2月2日、ベルリンの言語学習プラットフォームBabbelは同社のコアビジネスであるアプリによる学習を大きく拡張し、ライブクラスなどの新機能を導入することを発表した。

Babbelでは、参加者を6人までに限定したクラスで会話ベースで外国語を学習できる。これまで同社が開発してきたメソッドを用い、認定した講師が担当する。Babbelのプランをすでにサブスクリプションしている場合、5クラス月額110ドル(約1万1600円)からの追加料金で利用できる。スタンドアロンで直接クラスに登録することもできる。この場合、サブスクリプション期間中は通常のBabbelアプリにもアクセスできる。

新機能はこれにとどまらず、アプリには言語学習ゲームも導入された。また学習者が新しいボキャブラリーを実際に使用できるようにするショートストーリー、異なる文化に関する楽しいトリビア、さまざまな場所や言語に関する新しい動画も加わった。

画像クレジット:Babbel

今回の大幅機能拡張は、この1年がBabbelにとって記念すべき達成の年だったことを受けてのものだ。Babbelの米国CEOのJulie Hansen(ジュリー・ハンセン)氏は取材に対して「売上は2019年に1億5000万ドル(約157億5000万円)を達成し、さらに大幅な上昇を続けています。市場全体でも成長を続けましたが、特に米国での拡大は力強く、売上、加入者数とも100%増加しました」と述べている(Babbelはまだ2020年の決算を公表していない)。ハンセン氏はまたこう述べた。

画像クレジット:Babbel

米国では語学を学ぶ理由を尋ねると、「外国旅行」という答えが一番多かったのです。3月中旬には私たちのビジネスは(パンデミックのために)ゼロになってしまうのではないかとパニック状態になりました。誰も旅行などできません。ところが実際はちょうど正反対のことが起きました。人々はサイクリングしたり、サワードーブレッドを焼いたりするのと同じように、言語学習を創造的な活動、自己改善、自分に対する価値ある投資と考えたのです。

Babbelはライブクラスをスタートさせたばかりであり、利用可能な言語の数はまだ限られている。今のところ英語話者ならスペイン語とドイツ語のクラスに、ドイツ語話者は英語とスペイン語のクラスに申し込むことができる。ただし年内に言語ペアはさらに追加される予定だ。

ハンセン氏によれば、Babbelの総合的な目標は、ビデオやポッドキャスト、今回のライブレッスンなどを通じて幅広い分野で言語学習者のニーズに応えることにあるという。「ユーザーの言語学習体験をより総合的に把握し、その観点から多数の側面でニーズを満たしていこうとしています」とハンセン氏は述べた。

またハンセン氏はライブ体験を提供することは、多くの点で品質管理にもメリットがあると指摘した。「私たちは講師の採用、訓練、評価に多大のリソースを割いてきました。新機能は教師が成功するためのツールとしても役立つでしょう。単に『そこにアプリがあるから使い方を学べ』というのでは不十分なのです。私達はすべてのレッスンのために教材と指導の要領を作成しています」という。

現在、Babbelはライブクラス向けに約100人の講師を採用しており、ベータ版のロールアウトでは特にキャンペーンを行なっていないが、すでに毎週何千人もの生徒を迎えている。Babbelの広報責任者であるChristian Hillemeyer(クリスチャン・ヒレメイヤー)氏は「2021年のライブクラスの最終目標は、毎週数百人の講師を採用し、数万人の生徒の新規参加というレベルになるでしょう」と述べた。

ライブレッスンを行う言語学習アプリは多数あるが、Babbelのような業界大手が乗り出したのはこれが最初かもしれない。追加されたのはライブクラスだけではない。Babbel は言語学習というコアビジネスを超えて、ポッドキャスト、ショートストーリー、文化トリビアをアプリに追加し、さらに重要な点だが、YouTube やその他の場所に無料で配信されるビデオやポッドキャストなどのコンテンツ制作にも力を入れている。

新機能に加えて、Babbelでは既存のレッスンの改良にも努力している。2020年は、ユーザーフィードバックに基づいてコースの内容をわかりやすく簡潔にして全レッスン時間を短縮化することに多くのリソースを費やした。また、学習者が適切なレベルでアプリの使用を開始できるようにレベル分けのプレースメントテストを改善するなど、導入フローのスムーズ化も行っている。

関連記事:ベルリン拠点のオンライン語学学習のBabbelがサブスク加入者1000万人達成と発表

カテゴリー:EdTech
タグ:Babbel語学学習オンライン学習

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:滑川海彦@Facebook

英語学習アプリのELSAが約15.7億円を調達、日本などのアジア諸国やラテンアメリカでの事業拡大を目指す

新しい言語のスピーキングを学ぶのは難しい。定期的に練習する相手がいない場合は、特にそうだ。ELSAは音声認識技術を活用して発音を良くするのに役立つアプリだ。米国時間1月31日、サンフランシスコとホーチミンに拠点を置くELSAは、VI(Vietnam Investments)グループとSIGが主導するシリーズBで1500万ドル(約15億7000万円)を調達したと発表した。これまでにも投資していたGoogle(グーグル)のAIに特化したファンドであるGradient Ventures、SOSV、Monk’s Hill Venturesのほか、Endeavor CatalystとGlobant Venturesも参加した。

調達した資金はラテンアメリカ事業の拡大と、企業や教育機関がこのアプリのサービスを従業員や学生に提供するスケーラブルなB2Bプラットフォームの構築に使われる。ELSAは2015年に設立された。社名は「English Language Speech Assistant」の頭文字をとったものだ。同社は利用者が1300万人を超えていると公表している。前回の資金調達は2019年に発表されたシリーズAで700万ドル(約7億3000万円)だった。

ELSAはラテンアメリカ以外に、2020年に需要が多かったベトナムやインド、日本にも事業を拡大しようとしている。同社は最近、IELTS試験を運営しているIDPおよびBritish Councilと提携し、IDPとBritish CouncilIがELTSの試験対策としてELSAを推奨するようになった。ELSAはIMAPやSpeak Upなどのベトナムの語学スクール、オンライン学習プラットフォームのYOLA、Kimberly ClarkやIntel、ATADといった法人顧客とも提携している。

ELSAの共同創業者でCEOのVu Van(ヴ・ヴァン)氏はTechCrunchに対し、就職に生かし収入を増やすチャンスを得るために英語のスピーキングを上達させたいと思っている人は多いと語った。ベトナムやインド、ブラジルでは英語のスピーキングが上手な人は同僚に比べ2〜3倍の給与を得られると同氏はいう。

ヴァン氏は「このような動機があるため、ベトナムやインド、ブラジルで我々に対する英語学習者の需要が高まっています。新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が広がってからは、ラテンアメリカからも大きな関心が寄せられるようになりました」と付け加えた。

ELSAの英語の発音に関するフィードバック

ヴァン氏の出身国であるベトナムでは、英語学習者はオンラインやオフラインでの英語のトレーニングに可処分所得の多くを払っている。「しかし英語学習者の大半はスピーキングのスキルがなかなか上達しません。他人に通じなかったり、話す勇気がなかったりするのです」とヴァン氏はいう。ELSAは発音を学び、自信を持って英語を話せるようになるための利用しやすいリソースを提供することを目的に開発された。

英語の発音に特化したアプリには、ほかにFluentUやSay Itなどがある。ヴァン氏によれば、ELSAの強みは自社の音声認識AI技術だという。

同氏は次のように説明する。「我々のAI独自の特徴は、多くのユーザーからさまざまな発音の英語の音声データを大量に集め、このデータを使って数年にわたってAIモデルをトレーニングしてきたことです。これにより、世界中の非ネイティブの人が話す英語を高精度で認識し、理解できます。ほかの音声認識技術ではネイティブの人の英語は理解できても、非ネイティブで発音に癖のある学習者の英語はなかなか理解できません」。

ELSAでは単語ごとにフィードバックを返すだけでなく響きに関しても指摘することができ、発音を良くするための詳細な情報がユーザーに提供される。「イントネーション、リズム、流暢さといった極めて高度なスピーキングの韻律的な特徴に関して情報を提供できるので、ユーザーはもっと自然な英語を話せるようになります。これは競合他社では提供していないことです」とヴァン氏は述べた。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:ELSA語学学習資金調達ベトナム

画像クレジット:ELSA

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(文:Catherine Shu、翻訳:Kaori Koyama)

個別指導サービスのEdTechスタートアップNerdyがSPACを介して上場へ

ギグエコノミーで駆動している消費者EdTechプラットフォームがニューヨーク証券取引所に向かう。

人気の個別指導事業Varsity Tutorsを所有するEdTechスタートアップのNerdy(ナーディ)は特別買収目的会社(SPAC)を通じて上場する予定だ。

Nerdyは、2015年に公開したSPAC、TPG Pace Tech Opportunities(NYSE:PACE)と合併する。取引は2021年第2四半期にクローズする見込みだ。

この取引でNerdyのバリュエーションは17億ドル(約1780億円)となる。合併を通じてNerdyは現金で7億5000万ドル(約785億円)を調達する計画だ。ここにはFranklin Templeton、Healthcare of Ontario Pension Plan、Koch Industries、Learn CapitalからのPIPE(私募増資)での1億5000万ドル(約157億円)が含まれる。

Nerdyの基幹ビジネスであるVarsity Tutorsは指導者と学生を大規模、小規模、1:1でマッチングする両面性を持つマーケットプレイスだ。学習プラットフォームは3000以上のテーマをカバーしている。他のEdTech企業と同様、Varsity Tutorsはより良いマッチングになるよう人工知能とデータ分析を使っている。加えて、2020年8月にVarsity Tutorsは従来の学校に代わるものとしてホームスクーリングのサービスを立ち上げた。公立学校やチャータースクールで以前働いていた120人のフルタイム教育者を競争力のある給料で引き抜いた。

財務実績

TechCrunchはNerdyのSPAC投資家プレゼンをレビューした。

Nerdyは、新型コロナウイルスパンデミックによるリモート学習の需要によって急成長してチャンスをつかんだ消費者EdTech企業の1つだ。2020年下期に同社は年換算売上高は1億2000万ドル(約125億円)を超えた。2020年第4四半期に同社のオンライン売上高は前年同期から87%成長し、オンライン有料アクティブ学習者の数は前年同期比59%増、有料オンラインセッションの数は同169%増だった、としている。

好ましいものになりがちな年換算業績ではなく2020年第3四半期から第4四半期にかけての実際の業績を掘り下げてみると、Nerdyは2020年の予想収益は1億600万ドル(約110億円)で、これは2019年の収益から16%増だ。

その成長レートは2019年の26%成長を下回り、2021年に予想している31%成長のおおよそ半分だ。しかしNerdyの2022年の予想はさらに強気だ。売上高は2021年予想1億3800万ドル(約144億円)から43%増の1億9800万ドル(約207億円)を見込んでいる。

同社がその目標を達成できるかどうかは今後明らかになる。SPAC主導のデビューにより同社は従来のIPO手法を踏んだ企業よりも関心を集めることになる。

Nerdyの成長は損失を食い止めてはいない。同社はまだ赤字だ。2020年に予想される純損失は2300万ドル(約24億円)で、2019年の損失よりも大きいが、2018年の赤字よりは少ない。2020年の成長をベースに考えると、同社の2021年の純損失は800万ドル(約8億4000万円)に抑えられ、2023年までに黒字化を達成する。

Nerdyは売上高が増える中で、2020年になぜ損失を減らせなかったのだろうか。セールスやマーケティング費用とは別に、同社のコストが控えめな損益につながった。特定領域の費用は2019年の3800万ドル(約40億円)から2020年の4400万ドル(約46億円)予想に増えた。

それとは対照的に、Nerdyの純損失は2020年にほぼ変動がなく、純差益は2019年のマイナス24%から2020年の予想マイナス22%に改善した。黒字を達成する方法もあるが、純利益を計上するのはわずか数年先のことだと同社が考えていることを財務は示している。

黒字化を達成するために、同社は2023年の売上高2億6700万ドル(約279億円)が必要だと予想している。これは2022年から35%成長で、粗利益率は2020年に達成した67%よりも5ポイント高い。

同社の事業をよく見ると、SPACブームで見られる共通の疑問が湧く。逆さ合併は、そうでもしなければ上場が果たせなかった短期の成長見通しが芳しくない企業を上場させるために使われているのだろうか。これまでのところSkillsoft、Meten International、そして今Nerdyと、数多くのEdTechスタートアップがSPACの手法を取っている

EdTechにとって2020年は力強い年となった。この分野のスタートアップの年間経常収支1億ドル(約105億円)を超えるにつれ、今後より多くのエグジットが予想される、とこの部門の投資家は話す。GSVのマネジングパートナーのDeborah Quazzo(デボラ・クアゾ)氏は2020年12月、「キャピタルマーケットの清算がEdTechで起こっています」とTechCrunchに語っている。「未公開企業と公開企業の間を流動的に動けることが厚みのある資本市場をともなうEdTech部門の特徴で、これはエグジットの選択肢がかなり限られていたかつてのEdTechと大きく異なる点です」。

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カテゴリー:EdTech
タグ:NerdySPAC

画像クレジット:creatarka / Getty Images

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(文:Natasha Mascarenhas、Alex Wilhelm、翻訳:Nariko Mizoguchi)

生物の授業にマインクラフトの創造性をもたらす仮想科学プラットフォームInspirit

Inspirit(インスピリット)の創設者Aditya Vishwanath(アディティヤ・ビシュワナート)氏は、Minecraft(マインクラフト)が持つ創造性を、世界の子どもたちの日々の学業に取り入れたいと考えた。

「生徒たちはTikTok(ティックトック)で育ち、高度にインタラクティブで、とてもおもしろいRoblox(ロブロックス)のゲームで遊んでいます」と彼は話す。「そんな彼らが教室に入ると、人による20分間の授業を聞くことになります」。こうした陳腐化を打開しようと、彼とその共同創設者Amrutha Vasan(アムルタ・バサン)氏はソリューションを組み立てた。

彼らの仮想科学プラットフォームでは、学生と教師が、DNAの複製から放物運動実験まで、STEM(科学、技術、工学、数学教育)のシミュレーションを構築し体験できる。プレイヤーに自分だけの世界を建設したいと意欲を搔き立てるMinecraftにならって、Inspiritも、自分専用の科学実験や学習の世界をローコードを使って作り出すよう背中を押す。この3Dプラットフォームのコア技術は、ゲームの編集やインタラクティブなコンテンツの制作に使われるゲームエンジンUnity(ユニティー)上に構築されている。

同スタートアップは、どうしたらユーザーが特定の素材に自然に惹きつけられるようになるかを探ろうと、制作を完全にコントロールするところから始めた。現在は、教師が月や真核細胞の探求といった既存のコースを土台にして授業を組み立てることができる。またそこには解説、簡単なテスト、ナレーションも追加できる。

同社は、当初からマイクロレッスンのアプローチを採用しているが、ビシュワナート氏は教育版Minecraft構築に大きな可能性を見ている。Inspiritの原動力となっているのは、人は人生のさまざまなステージにおいて、自分で管理できて心惹かれる学習方法で、学校で習ったことを補習したいと望む、という基本的な信念だ。

 

このツールは、実際にはまだ仮想現実(VR)技術を採り入れておらず、まずはハードウェアに依存しないシステムでプロダクトマーケットフィットを探り、最大のユーザーベースを築くことに注力している。現在はOculus Quest(オキュラス・クエスト)の統合を実験しているが、一般ユーザーが試せるオプションはまだない。

Inspiritは2020年9月に予約受付を開始し、現在はプライベートベータテストにK-12(幼稚園から高校卒業まで)のユーザー5万人が登録している。

ゲーム形式でVRを活用したアプローチは、学習をもっと魅力的に楽しいものにしようと、ずいぶん前からEdTech分野では用いられてきた。そのためまだ公式ローンチ前のInspiritには、数多くのライバルがある。潤沢な資金を有するコペンハーゲンのスタートアップLabster(ラブスター)は、2011年に創設され、理科の授業に代わる研究室シミュレーションを提供している。最近になってこのスタートアップはプラットフォームの利用が急増し、その研究室ソフトウェアをアジアに拡大した。ビシュワナート氏は、子どもたちをユーザーではなくクリエイターになるよう促す点でInspiritはLabsterとは違うと考えている。

EdTechとVRが融合したもう1つの最近の例に、従業員のスキルアップのために1200万ドル(約12億5000万円)を調達したTransfr(トランスファー)がある。TransfrはInspiritが展開している市場はまったく異なり、労働者をターゲットとしているのだが、やはりこの会社も、モジュールのライブラリー構築に予算を振り向け、カリキュラムの拡大を急いでいる。

Inspiritの最大の試練は、Mincraftのような自発性や魔法を本当に再現できるかだ。生徒たちは本当にそのプラットフォームで創造的な気持ちを搔き立てられるのか、さらに重要なこととして、生徒たちは何度も繰り返し戻ってくるのかだ。ここで考慮すべきは、学校教育の補習というInspiritの動態だ。現在はカリキュラムベースの教育に大きく重点を置いている。もし生徒がInspiritを学校の復習に使おうとするなら、可能性は完全に無限とはいえなくなる。それどころか義務教育の規則に足かせをはめられてしまう。

そこが、ゲームとインタラクティブなシミュレーションとを分ける一線だ。

「たとえ初歩の理科においてさえ、Inspiritを推進するのは教師ではないと信じる強い思いと理由が、私にはあります」とビシュワナート氏はいう。ある12歳の生徒がInspiritの既存のモジュールを使って「量子ファンネル」を作った例を、彼は挙げていた。

Inspirit共同創設者アムルタ・バサン氏とアディティヤ・ビシュワナート氏(画像クレジット: Inspirit)

さらに同スタートアップは、その効果や能率性を証明しなければ、倫理上、エンドユーザーに販売するわけにはいかない。難しい問題をわかりやすくするという点で、仮想現実に大きな可能性があるのは明白だ。しかし、その技術をときどきつまみ食いする程度では、効果は得られない。

長期的には、EdTechは単に消費するものから、創造するものへシフトしていくとビシュワナート氏は考えている。そのビジョンで、彼はすでに多くの投資家を説得してきた。米国時間1月28日、その高い目標に向けたシード投資ラウンドによる資金の調達を発表した。360万ドル(約3億8000万円)というこのラウンドを主導したのはSierra Ventures。その他にもUnshackled Ventures、AME Cloud Ventures、January Ventures、Edovate Capital、Redhouse Education、Roble Venturesが参加している。

この資金は、ビジネスモデルと収益化プランの構築、そして人材確保に使われる予定だ。EdTechとゲームを混ぜ合わせることで、「急成長したものの、どうやってお金を稼ぐかを知らず葬られる教育系企業」になるのを防げると、ビシュワナート氏は考えている。

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カテゴリー:EdTech
タグ:InspiritMinecraftVR資金調達

画像クレジット:gorodenkoff / Getty Images

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:金井哲夫)

コーチング習得プログラム「CoachEd」が1億円超を調達、システム開発・マーケティング体制強化

コーチング習得プログラム「CoachEd」が1億円超を調達、システム開発・マーケティング体制強化

コーチング習得プログラム「CoachEd」(コーチェット)を手がけるコーチェットは1月29日、既存株主を中心とした第三者割当増資および借り入れによる、総額1億円超の資金調達を発表した。また、新経営体制として、COO兼プロダクト責任者として吉田健吾氏、CCO兼マーケティング・社内コミュニケーション設計責任者に立山早氏が就任したと明らかにした。

今後は、システム開発体制およびマーケティング体制を強化し、より多くのリーダーが「人を生かし育てる」リーダーになるためにコーチェットのサービスを届けるべく、積極的な投資を行っていく。

CoachEdは、人を生かし育てるリーダーになるための、コーチング習得プログラム。プロのコーチからコーチングを受けて自己認識を深めながら、同時に人を生かし育てるコーチングスキルを身に付けられる、3カ月間のマンツーマンプログラムという。

集合研修型ではなく、マンツーマンで専属トレーナーが寄り添いながら、一人ひとりの目標や成長課題に合わせてカリキュラムをパーソナライズするため、確実な変化を期待できるとしている。

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カテゴリー:EdTech
タグ:コーチェットコーチング(用語)資金調達(用語)日本(国・地域)

アフリカの教育テクノロジー系スタートアップ企業uLessonがシリーズAで7.8億円調達

ナイジェリアに拠点を置くEdTech(教育+テクノロジー)系スタートアップで、SDカードで学生にデジタルカリキュラムを販売するuLesson(ユーレッスン)が、シリーズAの資金調達で750万ドル(約7億8000万円)を調達した。このラウンドを主導しているのは、わずか数カ月前に5億ドル(約520億円)を超える新規投資を締結したOwl Ventures(オウル・ベンチャーズ)だ。他にもLocalGlobe(ローカルグローブ)や、TLcom Capital(ティーエルコム・キャピタル)、Founder Collective(ファウンダー・コレクティブ)などの既存の投資家が参加している。

今回の資金調達は、uLessonが2019年11月に310万ドル(約3億2000万円)のシードラウンドをクローズしてから1年あまり経っているが、当時と現在の最大の違いは、単に銀行に数百万ドル(数億円)の資金があるかどうかではなく、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が、このスタートアップの価値提案全体に大きな影響を与えたことだ。

uLessonは、世界保健機関(WHO)が新型コロナウイルスの世界的大流行を宣言する数週間前に市場に参入した。Dカードの送付によるコンテンツの配信から始まったこのスタートアップ企業は、学生がリモート学習に適応し、アフリカ全土の家庭にスマートデバイスの波が押し寄せた時期と適合した。

「これまで見たことのないようなかたちで地面が濡れてきました」と、uLesson創業者兼CEOのSim Shagaya(シム・シャガヤ)氏は語った。「オフラインだけでは不可能だった、私たちがEdTechの世界でやりたいと思っていた本当に素晴らしいことが、すべて実現できるようになりました」と、創業者は付け加えた。

uLessonは他の多くのEdTech系スタートアップと同様に、一夜にしてリモート教育が普及したことの恩恵を受けてきた。補助的な教育ツールとしての位置づけが、前月比70%の成長を達成するのに役立ったと、シャガヤ氏は述べている。同氏によると、デジタルインフラが整ったことにより、「2021年の第2四半期までに完全オンライン化」が可能になるという。

uLessonの年会費は50ドル(約5200円)で、アプリのダウンロード数は100万回を超えている。

シャガヤ氏は、uLessonがSDカードの送付を利用したオフラインの非同期コンテンツから、ライブのオンラインプラットフォームへと進化していくことで、新たな需要があると見ている。このスタートアップはすでにライブ個別指導の実験を行っており、事前に録画された教材を見ながら学生が質問できる機能をテストしている。このスタートアップには毎日3000以上の質問が寄せられ、需要が高すぎてテスト機能を一時停止せざるを得なかった。

「ユーザーがボタンを押すだけで、自分が勉強していることを基本的にマスターしている大陸のどこかの大学生から、瞬時にサポートが受けられるようにしたいと考えています」と、シャガヤ氏はいう。Chegg(チェグ)、Quizlet(クイズレット)、Brainly(ブレインリー)などの企業を見てもわかるとおり、コンテンツに特化したスタートアップがライブ個別指導のレイヤーを追加する傾向は続いているようだ。

巨大なチャンス

新型コロナウイルスの影響で、eラーニングのスタートアップ業界は活況を呈している。これによって、家庭教師のマーケットプレイスや、学生にサービスを提供するコンテンツが続々流入しつつある。EdTechで最も価値のあるスタートアップの1つは、オンライン学習サービスを提供し、学生にテスト対策を行うByju’s(バイジューズ)だ。

しかし、シャガヤ氏は、他のどんなライバル企業も、Byju’sでさえアフリカ市場に向けてデジタルな方法でこれを行うことについて、困難を乗り越えたとは思っていない。南アフリカやケニアには家庭教師の人材紹介会社があり、学生の自宅に人材を派遣するオフラインの家庭教師市場はあるが、デジタルカリキュラムの観点で明確なリーダーはいない。

「アフリカは大きなチャンスだと誰もが思っています」と、シャガヤ氏は語る。「しかし、それを成し遂げるためには、現地のチームが必要だということも誰もが知っています」。

シャガヤ氏は、アフリカのEdTechには巨大なチャンスがあると考えているが、その理由は2つある。若い人口と、私立学校へ進む学生の深い洞察力だ。これらの事実が組み合わさることで、経済力があって補習教育にお金を払う意思のある学生の宝庫が生まれる可能性がある。

uLessonにとって、そして新型コロナウイルスの恩恵を受けたすべてのEdTech系スタートアップにとって、最大のハードルは流通と成果だ。uLessonは有効性と成果に関するデータは公表していないが、現在、ジョージア大学と共同で熟達度を把握するための研究を進めている最中だという。

「コンテンツへの取り組みと製品は、流通という聖壇で生きるか死ぬかのどちらかになります」とシャガヤ氏はいう。この創業者は、たとえばインドでは、社会的なニュアンスや文化から、事前に録画された動画がうまく機能していると指摘する。uLessonは、アフリカ周辺の市場で動画に最適なソースを見つけ、それを製品に組み込んでいこうとしている。

カテゴリー:EdTech
タグ:uLessonアフリカ資金調達

画像クレジット:uLesson

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(翻訳:TechCrunch Japan)

コーディングブートキャンプのIronhackが21億円調達、プログラマー需要が後押し

ヨーロッパと南北アメリカでプログラミングブートキャンプを提供しているIronhackは、最新の資金調達ラウンドで2000万ドル(約21億円)を調達した。

アムステルダム、バルセロナ、ベルリン、リスボン、マドリード、メキシコシティ、マイアミ、パリ、サンパウロにも拠点を置くマイアミベースのIronhackは、この資金を使って同社のキャンパスを補完し、より多くのバーチャルなサービスを構築すると述べた。

Ironhackの共同設立者であるAriel Quiñones(アリエル・キニョネス)氏によると、今後5年間で米国のテック産業に1300万人の雇用が追加されるという。これに加えてEUのテクノロジー部門の成長により、さらに2000万人の雇用が増えると同氏は予想している。

この成長から恩恵を受けるブートキャンプはIronhackだけではない。2020年にLambda Schoolは、コーディング教育プログラムのために7400万ドル(約77億円)を調達している。

Ironhackの最新ラウンドはEndeavor Catalystから資金を調達した。Endeavor Catalystは新興市場や十分なサービスを受けていない市場の起業家に投資するファンドである。同社は教育テクノロジーの長い歴史を持つ投資家によって設立されたLumos Capitalや、スペインのインパクト投資会社のCreas Capital、ヨーロッパのエデュテック企業のBrighteyeに投資している。

Ironhackのクラスの価格は国によって異なる。米国では同社のブートキャンプは1万2000ドル(約120万円)だが、メキシコシティでは3000ドル(約31万円)だ。

声明によると、同社はウェブ開発からUX / UIデザイン、データ分析、サイバーセキュリティに至るまで、さまざまなテーマの授業を提供している。

Ironhackの共同創設者であるキニョネス氏は「実践的なスキルトレーニング、支援的なグローバルコミュニティ、キャリア開発プログラムがあれば、学歴や職歴に関係なく、誰もがテクノロジーを使って自分の物語を書くことができます」と述べた。

2013年の設立以来、Ironhackは8000人以上の卒業生を送り出して、2020年7月時点のデータによれば就職率は89%に達している。プログラムの卒業生を採用した企業にはCapgemini、Siemens、Santanderなどがあると、同社は述べている。

関連記事:授業料は就職してからの出世払い、バーチャルコーディングスクールのLambda Schoolが約78億円を調達

カテゴリー:EdTech
タグ:Ironhack資金調達

画像クレジット:enot-poloskun / Getty Images

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

リモート試験の監視システムには「さらなる透明性が必要」と米上院議員が指摘

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行のために遠隔試験を受けざるを得ない学生たちから、公正さに問題があるという主張が続く中、試験監督システムを手がける大手3社は、透明性の向上が求められている。

試験監督システムは、学生たちが自宅からリモートで試験を受けることを可能にする。学生たちは大学が選択した試験監督ソフトウェアをインストールするように指示される。これによってシステムはウェブカメラやマイクを含む学生のコンピュータに深くアクセスし、不正行為の可能性を発見するために学生の行動を監視することができる。

しかし、試験監視システムを提供するProctorio(プロクトリオ)、ExamSoft(エグザムソフト)、ProctorU(プロクターユー)のような企業は、その試験監視技術が公正さに欠けるなどの問題に満ちているという学生からの批判の嵐を受けている。

苦情の中でも特に多いのは、試験監視ソフトウェアが、肌の色が濃い人や宗教的なかぶり物をしている人の顔を認識できないこと、インターネットの通信速度が受験技術の基準を満たすことができない低所得地域の学生や障害を持つ学生を差別しているといったことだ。

米国民主党の上院議員数名は、2020年12月にProctorio、ExamSoft、ProctorUの3社に書簡を送り、各社に技術やポリシーをもっと詳しく説明するように求めた。TechCrunchが確認したその回答によると、各社は差別の主張を否定し、生徒がカンニングをしたかどうかを判断するのは教師であって、これらの企業自身ではないと述べている。

しかし、議員たちは企業の透明性が十分ではないと考えており、教師たちが学生の行動について、技術が伝える以上のことに基づいて判断しているのではないかと危惧している。

「Proctorio、ExamSoft、ProctorUは不公正の問題はないと主張していますが、学生からの憂慮すべき報告は違うことを物語っています」と、民主党のRichard Blumenthal(リチャード・ブルメンソール)上院議員(コネチカット州選出)は、TechCrunchに語った。「企業からのこれらの回答は、彼らがシステムをどのように運用しているのか、詳しく知るための最初のステップに過ぎません。しかし、学生の不正行為を告発する力を持つそのシステムには、はるかに多くの透明性が必要とされています。私は学生たちが確実に守られるように、必要なあらゆる修正に取り組むつもりです」。

全米の学生たちはすでに、プライバシーとセキュリティのリスクを理由に、学校に対して試験監督ソフトウェアの使用をやめるよう呼びかけている

我々は各社にいくつかの質問を送った。ProctorUの最高経営責任者Scott McFarland(スコット・マクファーランド)氏は、週末の休日を理由にコメントを拒否した。ProctorioとExamSoftは回答しなかった。

カテゴリー:EdTech
タグ:差別プライバシー

画像クレジット:Alain Jocard / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Swiftも学習可能、掃除ロボ「ルンバ」のiRobotがプログラミングロボ「Root」で教育市場参入

Swiftでも学習可能、掃除ロボ「ルンバ」のiRobotがプログラミングロボ「Root」で教育市場参入

アイロボットジャパン合同会社は1月19日、ロボット掃除機ルンバをモチーフとしたプログラミングロボット「Root」(ルート)発表した。発売は2月19日予定。iRobot(アイロボット)公式オンラインストア価格は税込2万9800円。同社公式オンラインストアまたはiRobot Education認定販売代理店で購入できる。

また同社は、「みんなでRoot! プロジェクト」参加校の募集をRoot専用サイト「iRobot Education」上で開始した(申し込みページ)。全国の小学校を対象にRootを配布するもので、1校につき6台、合計1000台のロボットを無償提供する(応募期間は2月28日まで。先着順となっており、既定数量に達し次第終了)。参加校には自作のカリキュラムや作品を発表するイベントなどインタラクティブな展開も視野に入れており、2022年に「Rootサミット」の開催を予定している。

Swiftでも学習可能、掃除ロボ「ルンバ」のiRobotがプログラミングロボ「Root」で教育市場参入

iRobotは、2009年よりSTEM(科学、技術、工学、数学)教育に取り組んでおり、日本でも2017年からルンバの実機を使ったプログラミング教室を開催してきた。その中で、Rootを導入し「iRobot Education」という教育に特化したプログラムを誕生させたという。すでに日本の小学校でのパイロット授業を実施済みで、iRobot Educationでは、すでに教育指導案なども公開している。

Swiftでも学習可能、掃除ロボ「ルンバ」のiRobotがプログラミングロボ「Root」で教育市場参入Swiftでも学習可能、掃除ロボ「ルンバ」のiRobotがプログラミングロボ「Root」で教育市場参入Rootは、ルンバのようなバンパーや段差センサーに加えて、カラーセンサー、光センサーなどを内蔵。中央部に付属ペンを挿すと絵を描けるほか、全8音階と音符の種類を設定することで音楽を奏でられる。7色の色も発光可能だ。また、Root底面のマグネットにより、ホワイトボード上で垂直走行させることもできる。

Swiftでも学習可能、掃除ロボ「ルンバ」のiRobotがプログラミングロボ「Root」で教育市場参入Swiftでも学習可能、掃除ロボ「ルンバ」のiRobotがプログラミングロボ「Root」で教育市場参入Swiftでも学習可能、掃除ロボ「ルンバ」のiRobotがプログラミングロボ「Root」で教育市場参入本体サイズは幅13.4×奥行き14.9×高さ4.5cmで、重量は約0.49kg。バッテリー駆動時間は最大稼働時間5時間で、バッテリー充電時間が3時間。インターフェイスとしてUSB Type-Cを採用しており、拡張可能としている。

またRootは、無料でダウンロード・利用できる専用アプリ「iRobot Coding」でプログラミングを行うことで、走る・光る・描く・音を奏でるといったことが可能。PCの場合は、ウェブブラウザー(Chrome、Edge)で「iRobot Education」にアクセスすることで利用可能。Android版iOS版アプリも用意されている。それぞれすでに公開済みで、Root実機がない状態でもiRobot Coding内のシミュレーターを使ってプログラミング後の動作を確認できるよう配慮されている。

言語設定を日本語にすることで、ひらがなによる表示になる

言語設定を日本語にすることで、ひらがなによる表示になる

iRobot Codingは、学習者の習熟度に合わせて3レベルを用意しており、それぞれ「グラフィック・ブロック」、「ハイブリッド・ブロック」、「フル・テキスト・ブロック」でプログラミングを行える。

レベル1では、Rootの動きを表すイラストが描かれたグラフィック・ブロックをドラッグ&ドロップしながら、コーディングの基礎となる論理的スキルを学べる。レベル2は、グラフィック・ブロックとテキストで書かれたコーディングスクリプトを組み合わせる(ハイブリッド・ブロック)形で、コーディングの流れを習得可能。

レベル1では、Rootの動きを表すイラストが描かれたグラフィック・ブロックをドラッグ&ドロップしていく

レベル1では、Rootの動きを表すイラストが描かれたグラフィック・ブロックをドラッグ&ドロップしていく

レベル2。グラフィック・ブロックとテキストで書かれたコーディングスクリプトを組み合わせる

レベル2。グラフィック・ブロックとテキストで書かれたコーディングスクリプトを組み合わせる

レベル3は、一般的なプログラミングに該当するモードで、本格的にコマンドや構文を入力していく(フル・テキスト・ブロック)。プログラミング言語としてはSwift(スウィフト)を採用しているという。PythonとJavaScriptを扱うことも検討しているようだ。

レベル3は、一般的なプログラミングに該当するモード。プログラミング言語Swift(スウィフト)を採用

レベル3は、一般的なプログラミングに該当するモード。プログラミング言語Swift(スウィフト)を採用

iRobot Codingで作成したデータは、クラウド上にアップロードしておくことが可能。学校で作ったデータを自宅でダウンロードして、さらにプログラミングするといったことも行える。またこの際、友人などとシェアするためのコードが発行され、お互いに見せ合うこともできるようになっている。

掃除ロボ「ルンバ」のiRobotがプログラミングロボ「Root」で教育市場参入

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ビジネス書の要約サービスflierが2億円調達、法人向けSaaS強化と2022年の累計会員数120万人目指す

ビジネス書の要約サービスflierが2億円調達、法人向けSaaS強化と2022年の累計会員数120万人目指す

ビジネス書の要約サービス「flier」(フライヤー)を手がけるフライヤーは1月18日、第三者割当増資による総額2億円の資金調達を発表した。引受先は、マイナビ、VOYAGE VENTURES(ボヤージュベンチャーズ)、社会人向け研修サービス大手のインソース(東京・千代田)の3社。累積資金調達額は約4億7000万円となった。

調達した資金は、法人向けSaaSビジネスを強化するため人材確保やサービス開発、広告宣伝にあてる。また、目標に掲げる2022年内の会員数120万人達成に向けてアクセルを踏むとともに、事業提携を進める。累計契約社数は200社超まで伸びており、今後は法人営業部隊を増員しながら、2022年に同契約社数を500社まで引き上げるという目標も掲げている。

また今後、引受先との間で人材育成領域やデジタルマーケティング領域などにおける事業提携を進め、事業基盤をより強固かつ柔軟なものに進化させる。今回の資金調達ラウンドで事業拡大に弾みをつけたい考えで、以降もさらなる資金調達を検討しているとした。

2300冊(2020年12月時点)のビジネス書の要約が読めるflierは、これまでの一般利用に加えて、企業の人事部や教育研修部から「人材育成に役立つ」との評価を得ており、需要が拡大しているという。個人と法人を含む累計会員数は75万人(2020年12月時点)を突破、法人プランの契約社数は2年前の3倍強の増加率となっており、急成長しているそうだ。

flier法人版」は、SaaSの事業モデルを採用した月額の継続課金サービス。調達した資金は主に、flier法人版の新サービス開発と、それに伴うエンジニアの確保、CMなど広告宣伝にあてるという。またサービスでは、各企業や個人に最適な学習を提供するための、書籍のレコメンド機能を開発し、学びを効率化する。

人事とテクノロジーを掛け合わせたHRテック領域において今後、一層高まるであろうオンラインかつ個人に最適化した学習・研修ニーズに応えられるようサービス強化を図るとしている。

同社は、好調の背景に、人材育成の「非対面化」があると指摘。テレワークが浸透する中、対面での職場内訓練(OJT)が難しくなり、各社の人事部や教育研修部は対応を迫られているという。本質的な人材育成につながる読書をネット上で提供できる手段として、企業からの関心が高まっているとした。また導入企業の傾向として、メガバンクを含む金融系や生命保険大手からの引き合いが特に強く、大口契約が増えているという。

2013年6月設立のフライヤーは、flierを運営するITベンチャー。2016年11月に電子書籍取次大手メディアドゥの子会社になり、経営基盤を固めて事業を拡大してきた。

flierには、新刊(掲載書籍の9割)を中心に、毎日1冊の要約文をアップ。要約記事は自社の編集者に加えて、経験豊富な外部ライター約50人が作成している。要約の文字量は4000字ほどで、10分程度で読めるよう工夫しているという。

flierの特徴は「書評」(レビュー)ではなく「要約」である点という。書き手の主観が入る書評とは異なり、著者の主張や論理(重要ポイントや全体像)を忠実にまとめ、読者に伝えるとしている。また書評でないため、出版社と著者から要約の許可を得る必要があり、要約した原稿にも目を通してもらうことで、高品質なサービスを提供しているとした。

AIの音声読み上げ機能や、ユーザー同士で要約から得た学びを情報交換(シェア)するSNSサービスなども実施しているという。

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カテゴリー:EdTech
タグ:資金調達(用語)オンライン学習 / eラーニング / オンラインレッスン(用語)読書 / 本(用語)フライヤー日本(国・地域)

Thimbleはロボティクス・キットとZoom授業による自宅学習で子どもたちにSTEMスキルを教える

パンデミックの間、自宅学習に縛り付けられている子ども持つ親たちは、バーチャル授業で失われた手を動かす実践学習を行う新たな活動を探さなければならなかった。ニューヨークを拠点とするエドテックのスタートアップThimble(シンブル)は、STEM(科学、技術、工学、数学)学習が行えるキットをサブスクリプションで提供し、この問題に対処している。これに参加した子どもたちは、送られてくるロボットや電子回路などのプロジェクト実習用キットを使って学べるほか、ライブのオンライン授業を受けることができる。

Thimbleは2016年、Kickstarter(キックスターター)のプロジェクトとして始まった。そのとき、STEM教育向けロボティクスとプログラミングのキットは45日間で30万ドル(約3100万円)の資金調達に成功している。翌年、そのキットの販売が、おもにニューヨークの学校に向けて開始され、授業や放課後の課外活動で使われるようになった。それから数年が経過し、Thimbleは顧客ベースを、ニュヨーク、ペンシルベニア、カリフォルニアのおよそ250の学校に拡大し、キットの販売と、教師向けトレーニングを提供してきた。

しかし、COID-19(新型コロナウイルス)のパンデミックにより、Thimbleの事業の方向性が一変した。

「多くの学校がパニックモードでした。何が起きているかもよくわからず、そのため予算もしばらく凍結されていました」と、Thimbleの共同創設者でCEOのOscar Pedroso(オスカー・ペドロソ)氏は話す。彼は教育畑の出身だ。「私たちがトップの顧客と見なしているところでも、『いや、今はそれどころじゃない。学校を閉鎖することになりそうだ』と言うのです」

ペドロソ氏は、学校ではなく子どもの保護者に直販するよう、すぐに方向転換すべきだと悟った。

写真クレジット:Thimble

4月ごろに、同社は切り替えを断行した。実質的に、初めてB2C市場に参入したことになる。

現在同社は、サブスクリプション型のサービスを保護者に提供している。それには、15種類のSTEMプロジェクト学習用キットと、教育者によるライブ授業などのカリキュラムが含まれる。ひとつのキットは3カ月かけて送られてくるが、もっと早く手に入る迅速なプログラムもある。

最初のキットは、たとえばドアベル、キッチンタイマー、作曲ツールといった単純な電子回路の作り方を子どもたちに教えるエレクトロニクスの基礎編。キットは、子どもたちの興味と、もっとやりたいという気持ちを持続させるために、「即座に成功」を体験できるようデザインされている。それが、Wi-Fiロボット、小型ドローン、光るLEDコンパス
、自分でDJ遊びができるシンセサイザーといった将来の高度なキットにつながってゆく。

写真クレジット:Thimble

子どもたちのエレクトロニクスやロボティクスの実践学習を支援するこれらのキットは、どの家庭でも使えるが、サブスクリプション登録者のおよそ70パーセントは、すでにロボットや電子回路の工作に慣れている子どもを持つ家庭だとペドロソ氏は話す。残りの30パーセントは、これを使ってロボティクスやエレクトロニクスの概念を子どもに教え、興味を示すかどうかを確かめたいと考えている家庭だ。また利用者の約40パーセントが女の子だという。

個別にDIY工作を行うのに比べて、月額59.99ドル(約6200円)というサブスクリプションは高価だが(1年契約なら月あたり47.99ドル:約5000円)、毎週1時間のZoomを使ったライブ授業が含まれているためでもある。Thimbleには、プロジェクトの教え方の専門家というだけでなく、情熱的でエネルギッシュで、子どもが問題を抱えていたりイライラしているとわかればすぐに手を差し伸べる、子どもたちを惹きつける授業が行えるパートタイムの講師が揃っている。5人いる講師のうち2人が女性。2カ国語を操り、スペイン語で授業できる講師も1人いる。

授業中は、1人の講師がプロジェクトの進め方を教える間、別の講師がチャットルームを担当し、授業に関する子どもたちからの個別の質問に応じる体制になっている。

ひとつのライブ授業は15〜20人の子どもを対象にしているが、もっと少人数のグループのためのパッケージも用意されている。これは、ホームスクーリングの「ポッド」などのグループで利用されている。

写真クレジット:Thimble

「私たちは、ポッドから、そしてマイクロスクールから意見を聞くようになりました」とペドロソ氏は話す。「そこでは、つながりを持った保護者たちが、同じクラスで子どもたちを学ばせたいと望んでいます。そうしたグループでは、概してもっと親密な授業やカスタマイズが求められます」と彼は言う。

これに対応したサブスクリプションは月額270ドル(約2万8000円)と高くなるが、グループの保護者たちで折半できるため、家庭ごとの費用は安くなる。顧客ベースのほとんどが個別の家庭だが、全体のおよそ10パーセントがこのプランを利用している。

Thimbleはまた、子どもへの資金援助でサブスクリプション費用をさらに安くできるよう、一部の市場のコミュニティーや非営利団体とも協力している。こうした機会は、利用が可能になったときに、学校、ニュースレター、その他の販促方法を通じて知らされる。

サブスクリプションに方向転換してから、Thimbleは顧客ベースの再構築を行い、現在は有料顧客数が1110件を数える。だが一部には初期の価格設定のまま継続されているものもあるため、Thimbleは事業規模を拡大する必要がある。

Kickstarterの他にも、その年Thimbleは資金調達を行い、ボストンのLearnLaunch、ワシントンD.C.のHalcyon、コロラドのTelluride Venture Acceleratorなど複数のアクセラレーターの協力を得て事業を進めている。

ピッツバーグのJoel Cilli(ジョエル・チリ)氏と共同創設したこのスタートアップは、現在、100万ドル(約1億300万円)のシードラウンドで60パーセントほどの調達を行っているが、現時点の詳細は明らかにされていない。

画像クレジット:Thimble

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(翻訳:金井哲夫)

YCの支援を受けるTikTokのような英語教材ショート動画のBlaBlaが1.6億円を調達

短くて、さくっと見ることができる楽しい動画が、若者が情報を受け取るための当たり前の手段として、広がり続けている。ならば英語をTikTok的な動画で学んでもいいだろう。それがAngelo Huang(アンジェロ・ホアン)氏がBlaBla(ブラブラ)を立ち上げるきっかけとなった。

台湾出身のホアン氏は、10年以上シリコンバレーで働いた後、2019年に上海に移住し、Blablaを立ち上げた。1年後、BlablaはY Combinatorの2020年夏クラスに選ばれた。その当時、米国では新型コロナウイルス(COVID-19)が流行し始め、何百万人もの人が自宅に閉じこめられ、遠隔学習への関心が復活していた。

「YCに応募するのは8回目でした」。BlaBlaの前に2つの会社を設立したホワン氏は、インタビューの中でTechCrunchにそう語った。

今週BlaBlaはAmino Capital、Starling Ventures、Y Combinator、スペインの通信大手Telefónica(テレフォニカ)のイノベーション部門であるWayra X(ワイラX)が主導するシードラウンドで154万ドル(約1億6000万円)を調達したことを発表した。最大の英語学習市場の1つである中国におけるBlaBlaの拡大に対して、Y Combinatorに特に支援してもらえたわけではないが、有名なアクセラレーターの名前は、若い会社に投資家を紹介する上で大きな助けになった、と創業者は述べている。

BlaBlaアプリは、世界中の英語学習者に合わせた短くて魅力的な動画を作成する英語のネイティブスピーカーに、時給ベースでの支払いを行う。コンテンツ制作者は、シーンを認識してタグづけできるBlaBla独自のソフトウェアや、動画に字幕を付けることができるサードパーティ製の翻訳ツールを利用している。生徒たちはサブスクリプション料金を払い、習熟度に応じてパーソナライズされたおすすめ動画を視聴することができる。彼らは、アプリに内蔵されている音声認識を使い、スピーキングコンテストやポップクイズのようなコンテンツを通して練習することができる。

BlaBlaのビデオクリエイター向けチュートリアル動画

同社の挑戦する分野は競争相手がとても多い。中国では、オンライン英語学習市場は、Tencent(テンセント)とSequoia Capital(セコイアキャピタル)が支援する、VIPKIDのような実績ある企業によって占められている。VIPKIDのマンツーマンの家庭教師モデルと比較すると、BlaBlaの開始価格は月39元(約600円)でお手頃だとホアン氏はいう。

「(メインストリームの英語学習アプリを利用している)生徒は、教師と有意義な会話ができるようになるまでには、数千元(数万円)を費やす必要があるかもしれません。私たちはその代わりに動画をリサイクルすることで、はるかに安い価格でレッスンを提供することができます」。

現在、このアプリの週間ユーザー数は約1万1000人、有料ユーザー数は300〜400人だ。全体の80〜90%が中国のユーザーで、2021年の目標は生徒数30万人に到達することだ。今回の資金調達により、BlaBlaは東南アジアとラテンアメリカでの事業拡大が可能となり、さらにWayra Xが全世界で3億4000万人のTelefónicaユーザーへの拡大に貢献できる可能性もある。またアプリはTikTokやYoutubeのようにインフルエンサーとのブランド取引を模索することになるだろう。また新資本により、BlaBlaに対して、言語学習者の興味やプロフィールに基づいてペアリングを行うなどの新機能を追加することが可能になる。

Blablaは英語を教えることだけに限定せず、他言語の教師たちを呼び込むことにも意欲を持っている。「私たちは、グローバルな知識のためのオンライン支払いプラットフォームになりたいと考えています」とホワン氏は語っている。

カテゴリー:EdTech
タグ:Blabla語学学習資金調達

画像クレジット:Blabla

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(翻訳:sako)

VCのSuperChargerがEdTechのバーチャルアクセラレーター開始

パンデミック以前は総合ベンチャーキャピタルはEdTechに興味を示さなかった。教育分野をターゲットとするスタートアップはベンチャー資金をあまり調達できない状態が数十年続いた。新型コロナウイルス(COVID-19)の流行が始まってから1年以上経った今、この分野には才能ある人材が殺到し、スタートアップは損益分岐点達成からユニコーンへ、さらに株式上場の可能性まで視野に入るようになっている。

こうした勢いを背景に、アジアを中心に国際的ネットワークを持つベンチャーキャピタルであるSuperCharger Venturesは、アーリーステージのEdTech向けアクセラレーターを立ち上げた。米国時間1月11日にオンラインでスタートする12週間のプログラムには6つのスタートアップチームが参加している。

SuperChargerがアクセラレーターを開催するのは、これが初めてではない。同社は過去にフィンテックのアクセラレーターを3回実施している。SuperCharger Venturesの共同ファウンダーJanos Barberis(ヤノス・バルベリス)氏はこのピボットの理由は非常に単純だと語った。つまり銀行だという。

バルベリス氏によれば、新型コロナにより多くの銀行が支店の営業を続けることが困難になっており、フィンテックサービスの需要が激減したという。同氏は「現在、銀行にはイノベーションに取り組むための余裕がありません。こういうときに真っ先に削減されるのはイノベーションです」と語った。

こうした状況で同社はEdTechにピボット(未訳記事)したが、フィンテックのアクセラレーターを運営した経験から重要な教訓を得ている。つまり継続的な収入源を得るためのB2B(企業向け事業)の重要性だ。

バルベリス氏は「B2B事業は収益を得る上での安定性、健全性があるので重視しています。つまり健全な収入源です。現在、投資家が投資を決める要因は健全な収入の有無だと思います」と語った。

たしかにバルベリス氏の主張に異議を唱えるのは難しい。しかしQuizletCourse HeroApplyBoardといった現在のEdTechユニコーンの多くはコンシューマ向け、つまりB2Cだ。教育機関は多数ありしかも非常に細分化されているため、エンドユーザーをターゲットとするほうがマーケティング上有利になるためだ。少なくとも米国ではそうだ。

しかし理論的にはB2BビジネスはB2Cより容易に多数のユーザーを獲得する可能性を秘めており、新型コロナの蔓延はB2B移行というトレンドを加速している。バルベリス氏は「国際的に知名度を高めることも重要です。また(国際市場では)教育機関の細分化が米国より少ない場合があります」と述べた。

アクセラレーターに参加しているスタートアップは、B2B市場の開拓だけでなく、アジアとヨーロッパ市場への拡大にも焦点を当てることが求められている。

バルベリス氏は、ヨーロッパと(中国を除く)アジア市場はどちらもEdTech分野に需要と供給のギャップがあり、十分にビジネスチャンスがあると考えている。ヨーロッパでは企業は大学によるデジタル学習を求めている。アジアでは、中国外の市場が有力であることを投資家に実証する必要があると考えている。ヨーロッパにはすでに需要があり、アジアには需要を生み出すチャンスがあるわけだ。

同氏は当面、米国と中国をターゲットから外している。両国にはすでに多数のスタートアップが存在し市場が飽和状態にあると考えているためだ。

SuperChargerのEdTechのクラスは、通常のアクセラレーターモデルに準じている。ただし教育機関との提携や短期間で実効を上げる(B2BのEdTech事業の需要は夏季に集中的に発生する)方法など、教育事業の特性に合わせた内容が含まれている。

SuperChargerは資金を提供しない。サービスの対価はスタートアップの株式の1〜2%だ。これは会社評価額として7万5000ドル(約780万円)から10万ドル(約1040万円)程度と見積もられている。アクセラレーターはデモデーでクライマックスを迎える。この際、総額1500万ドル(約15億6000万円)から2000万ドル(約20億8000万円)程度のベンチャー資金を調達できると考えている。

TechCrunchでも報じたNextView Venturesをはじめ、アクセラレータープログラムを開催してビジネスの成長支援し、パンデミック下でもシード分野の活気を維持しようとするベンチャーキャピタルは多い。

上記しているようにSuperCharger Venturesはフィンテックに焦点を当てたアクセラレーターを3回実行し、49社が卒業している。フィンテックは過去に十分活況を呈しているセクターだったが「この分野は飽和したため(EdTechに)ピボットした」とバルベリス氏は述べた。

最初のクラスには208チームの応募から以下の6チームが選ばれている

  • Axon Park:ファウンダーはTaylor Freeman(テイラー・フリーマン)氏ら。仮想現実を利用して医療専門家にパンデミック下の個人防護具使用手順等の職業訓練を行う。ターゲットは企業、政府、大学。
  • BSD Education:共同創業者はChristopher Geary(クリストファー・ギアリー)氏、Nickey Khemchandani(ニッキー・ケムチャンダニ)氏。8歳から18歳までの生徒向けのテクノロジー学習カリキュラム。このスタートアップはカリキュラムの提供以外に、教師向けの専門的トレーニングとオンライン学習のプラットフォームを提供する。
  • Dijital KolejZeynep Dereli(ゼイネップ・デレリ)氏とFerruh Gürtaş(フェルー・ギュルタシュ)氏が創立。自由な時間に再生できる非同期学習と特定時間に実施される同期学習のハイブリッドによるオンライン教育モデルの構築。
  • NewcampusWill Fan(ウィルファン)氏、Fei Yao(フェイ・ヤオ)氏の創立。ジム(会員性運動クラブ)の学習版と位置づけている。企業におけるリーダーシップ育成に焦点を当てた生涯学習のプラットフォーム。
  • Ringbeller:ファウンダーはCJ Casciotta(CJ・カシオッタ)氏。インタラクティブなビデオレッスンを利用して子供たちにソフトスキル(創造性、親切心など)を教える。
  • RoybiElnaz Sarraf(エルナズ・サラフ)氏、Ron Cheng(ロン・チェン)氏が創立。STEM(科学、テクノロジー、エンジニアリング、数学)分野で子供向けテーマを教えるAIロボットの構築。

関連記事:NextView Venturesがスタートアップ向けリモートアクセラレーターを開始

カテゴリー:EdTech
タグ:VCアクセラレータープログラム

画像クレジット:Bryce Durbin

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(翻訳:滑川海彦@Facebook