新Google Pixel、Chromecastの発表は米国時間9月30日

新ハードウェアのシーズンがやってきた。明日、米国時間9月15日(日本時間9月16日午前2時)はApple(アップル)のビッグイベントがある。Samsung(サムスン)は3回目となるGalaxy Unpackedを米国時間9月23日(日本時間9月24日午前0時)に予定している。このハードウェア発表シーズンにGoogle(グーグル)も加わる。2020年初めのI/Oを皮切りにグーグルはイベントをバーチャル化して開催することを決めているが、2020年9月末に予定されているハードウェアイベントも同様だと確認した。

米国時間9月30日にグーグルはPixel、Chromecastに加えてスマートスピーカーのアップデートも発表する予定だ。同社は2020年夏に手頃な価格の普及機としてPixel 4aを発表しているが、グーグルは5GをサポートするPixel 5と4aの5G対応モデルを2020年中に発表することを認めた、予定されているイベントにこのモデルが登場するのは間違いないだろう。売れ行きがぱっとしないスマートフォン事業に対して裏で改革を行ってきたが、今回のPixel 5がその結果であるかどうかは不明だ。

2020年8月のグーグルのイベントで予定されているもう1つの大きな柱は、テレビにコンテンツをストリーミングするデバイスであるChromecastとスマートスピーカーのアップデートだ。Google Home/ Nest Homeグループのデバイスはもうそろそろアップデートされてもいい頃だ。特にオリジナルのGoogle HomeとHome Maxのスピーカーはそうだ。最近のグーグルのHome Maxに対する態度はやや微妙なものだ。それでも私は依然としてファンなので、バージョンアップに期待している。Nest Hubもリフレッシュされていい時期だろう。

TechCrunchでもバーチャル取材を行い、最新ニュースをお届けする予定だ。

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カテゴリー:ハードウェア

タグ:Google Google Pixel

画像:Veanna Cao

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

グーグルが検索のオートコンプリートから政党や候補者に関わるワードを除外

米国大統領選挙に先立ち、グーグルは同社のさまざまな検索およびニュース製品で強調する情報の質を向上させるためにいくつかの対策を講じたことを発表した

グーグル幹部は本日のオンライン・プレスイベントで一連の変更について概要を説明したほかブログ記事も書いた。最大の変更はオートコンプリートに関するポリシーだろう。ユーザーがタイプした文字に応じて同社が検索ワードの候補を表示する機能だ。

同社は、候補者または政党を支持あるいはそれに反対するとみなされる語句、および投票または選挙のプロセスに関する主張とみなされる語句をオートコンプリートの予測から除外する。これは、「you can vote by phone」(投票は電話でもできます)、「you can’t vote by phone」(投票は電話ではできません)、あるいは政党や候補者への寄付を示唆するフレーズを予測候補から外すことを意味している。

同時に、これがオートコンプリートにのみ適用されることも強調した。今後もユーザーは投票や候補者に関する情報を検索できる。検索ワードが自動的に表示されなくなるだけど。これで候補者や政党は、オートコンプリートを利用して都合のよい検索をさせることがずっと難しくなる。

グーグルのグローバルポリシー・標準担当シニアディレクターであるDavid Graff(デビッド・グラフ)氏は、これは同社の既存のポリシーを拡張しただけであり、「まったく新しいポリシーや思想的アプローチではない」と語った。

同氏はさらに、「今回の選挙では新型コロナウイルスの影響下で人々が強い意見を持っていることを痛感しており、選挙に関する情報やパンデミック下でどのように選挙が行われるかについての質問が数多く見られる」と語った。

またグラフ氏はこれを「保守的」アプローチであり、選挙にまつわる誤情報が紛れ込むリスクを避けるために、無害な候補がいくつか排除されることもおそらくあるだろうと説明した。

グーグルの検索品質チームを率いるPandu Nayak(パンドゥ・ナヤック)氏は、このポリシーは大多数のオートコンプリート候補に「全く影響を与えない」と語った。

「選挙に関しては膨大な検索が行われるだろうが、実際にはオートコンプリートのごくわずかな部分にすぎない」と同氏は言った。

ほかにも同社はいくつかの変更と進捗状態を発表した。ニュースを監視して「脅威を与える可能性のある情報」を見つけ出すアナリストのチーム、Intelligence Deskを発足させたこと、数年前は40分かかっていた最新ニュースの識別を今は数分のうちに行っていること、Wikipedia(ウィキペディア)上の荒らし行為が検索結果のナレッジグラフパネルに入りこむのを防ぐ新たなプログラムのこと、およびGoogle画像検索のファクトチェックなどだ。

画像クレジット:Drew Angerer / Getty Images

関連記事:Twitterが選挙の誤情報に対抗するための取り組みを強化

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

3年前に消えたGoogleマップがApple Watchに復活

Googleマップと Apple Watchの関係は長年、あまり円満ではなかった。グーグルがApple Watch対応のGoogleマップを出したのは2015年の9月で、Apple Watchが発売されてからわずか数カ月後だった。しかし2017年には、同社はApple WatchをサポートするGoogleマップを引っ込めて、いずれ復帰するというメッセージだけを残した(9to5 Google記事)。同社は、引っ込めた理由について多くを語らず、いつ復帰するのかもわらなかった。

しかし、その答えは3年だった。米国時間9月9日、9to5GoogleがApple Watchに戻っているGoogleマップを見つけた(9to5 Google記事)。

GoogleマップがApple Watchに戻ってくるという話が最初にあったのは8月で、CarPlayとの統合がより本格的になるという発表と一緒だった。そのときのグーグルの説明では「数週間後」だった。

そのときの記事では「これで二度目だけが、Googleマップのヘビーユーザーが期待するほど機能豊富ではないだろう」と言われていた。とはいえ、自宅や職場ぐらいならナビゲートしてくれるかもしれない。でも新しい場所なら、まずスマートフォンの地図アプリを立ち上げる必要があるだろう。

GoogleマップがiPhone上にすでにあるユーザーは、アプリをアップデートすればあなたの腕にもそれは戻ってくる。

画像クレジット: Greg Kumparak

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

iCloud、Google Drive、Dropboxがイタリアで不公平な契約条項について調査

イタリアの競争当局はApple(アップル)、Dropbox、Google(グーグル)が運営するクラウドストレージサービスについて、不公正な商行為を疑う多数の苦情を受けて調査を開始した。

調査に関するプレスリリースによると、AGCMは全部で6件の調査を開始したという。対象となるサービスは、グーグルのDrive、アップルのiCloud、そしてDropboxのクラウドストレージサービスだ。

また不公正な商行為の申し立てだけでなく、イタリアの消費者権利指令への違反の申し立ても調査していると当局は述べている。

さらに、これらの契約には煩わしい条項が含まれているとの申し立てもある。

米TechCrunchは3社にコメントを求めている。

プレスリリースによると、3社のクラウドストレージサービスはいずれも、適切な情報の欠如や商用データ収集に対する有効な同意の欠如など、商用目的でのユーザーデータ収集に関連する不正行為に関する苦情について調査を受けている。

またDropboxは契約解除や再考の権利行使の手順など、契約条件を明確に伝えていなかったことでも告発されている。裁判外の紛争解決メカニズムへのアクセスも、規制当局によって検討されている。

不公正性の懸念により調査されているその他の契約条件には、運営会社がサービスを停止・中断する権利を持つ条項、ユーザーのクラウドスペースに保存されているドキュメントを紛失した場合での免責条項、一方的な契約条件の変更の可能性、イタリア語版よりも英語版の契約書のほうが優れていることなどがある。

近年欧州委員会はソーシャルメディア企業に対し、自社の契約条項を明確にするよう全EUに働きかけている。その結果フェイスブックは昨年、より平易な言葉で書かれた契約条項に同意したほか、一方的に契約を修正する権限を修正するなどの追加の調整を行った。

画像クレジット:Jaap Arriens/NurPhoto via Getty Images / Getty Images

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Google CloudがAPI管理とノーコードを駆使したビジネスアプリプラットフォームを公開

一部の競合とは異なり、Google Cloudは最近、さまざまなサービスを幅広くそろえ、サービスを組み合わせてビジネスによくある問題を解決できると強調するようになっている。Google(グーグル)は個々のサービスを販売するのではなく、ソリューションやビジネスアプリケーションプラットフォームと呼ぶ最新の取り組みに力を入れている。このビジネスアプリケーションプラットフォームは、ApigeeのAPI管理機能と、グーグルが2020年1月に買収したAppSheetのノーコードアプリケーション開発プラットフォームを組み合わせて利用するものだ。

こうした展開の一環として、グーグルは米国時間9月8日、ApigeeとAppSheetの新機能を多数公開した。そのひとつが、オープンソースのEnvoyプロジェクト上で構築された新しいAPI Gatewayのベータ版だ。これはグーグルのクラウドコンピューティングサービス全般、そしてCloud FunctionsやCloud Runといったサーバーレスのサービスで開発者が簡単にAPIのセキュリティを守り管理するためのフルマネージドサービスだ。新しいゲートウェイは当面はアルファ版ではあるが認証や鍵の検証、レート制限など、期待される標準的な機能はすべて用意されている。

ノーコードサービスのAppSheetに関しては、サービスのデータソースとしてApigeeのGA版を利用できるようになったため、サードパーティのアプリケーションからデータを簡単に取り込める。AppSheetはこれまでにMySQL、Salesforce、G Suiteなどの標準的なソースに対応していたが、今回の新機能でこれまでよりもずっと柔軟にサービスを使えるようになる。

扱うデータが増えれば複雑になる。そのためAppSheetは、AppSheet Automationの早期アクセスを公開し、サービス内のプロセスを自動化する新しいツールも利用できるようにした。AppSheet全体がそうだが、自動化についても開発者はコードを書く必要がなくなる。グーグルによれば、AppSheet Automationは「自然言語入力からコンテクストに応じた提案をする」ビジュアルなインターフェイスを提供する。

グーグルは発表の中で「我々はビジネスアプリケーションプラットフォームの新しいカテゴリーに自信を持っている。アプリケーションの作成や拡張、ワークフローの構築と自動化、アプリケーションの接続とモダナイズに必要な機能があり、テック系の開発者にとっても事業部門の開発者にとっても役に立つ」と記している。確かにAppSheetのノーコード環境とApigeeのパワーを組み合わせるのは、スマートな方法だと思われる。

関連記事:Googleによるノーコード開発のAppSheet買収でプログラマー不在でもアプリ開発が容易に

カテゴリー:ネットサービス

タグ:Google Google Cloud ノーコード

画像クレジット:Fernando Trabanco Fotografía / Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

GoogleがAndroid 11を公開、メッセージ、プライバシー関連を中心に強化、改善

Google(グーグル)は長めの公開プレビューの後で、モバイルOSの最新バージョン、Android 11を公開した。順次インストールできるようになるは2以降のPixel、OnePlus、Xiaomi、OPPOのハンドセットのユーザーだ。他のデバイスのユーザーは、それぞれのアップデートが利用可能になるまで数カ月待つ可能性がある。

11はここ数年のAndroidの延長であり根本的な部分での変化はない。しかしユーザー側からみていくつか興味深い新機能が搭載されている。メッセージ、プライバシー関連を中心にデバイスの使い勝手の改善が主となっている。

メッセージとコミュニケーションのアップデートの中心は、通知機能の改善だ。メッセージアプリが改良され、ホーム画面を下にスワイプしたときに専用の広いスペースが表示される。新しいBubbles APIを使った「吹き出し式」の会話がAndroidのメッセージ体験の中心となる。

もう1つグーグルがコミュニケーション分野で追加した機能が、スクリーン記録だ。これは内蔵マイクも含めてデバイスで何が行われたかを記録、再生できる。これまでこの機能を使うためにはAZスクリーンレコーダーといったサードパーティーのアプリが必要だった。ただしライブストリーミングなど。さらに高度な機能を利用するためにはまだこれらのアプリが必要となる。

画像クレジット:Google

また電源ボタンを長押しするだけで、スマートスピーカーなどの接続されたスマートデバイスのコントロールメニューが表示されるようになった(機能としてはGoogle Homeアプリに似ているが、デザインは異なる)。支払い方法や航空機の搭乗券などの重要情報も表示される。電源オフ、再起動など従来の電源ボタンとしての機能はトップに表示される。

メディアのコントロールも再設計された。通知領域とは別にからは外されクイック設定バーからオーディオ、ビデオの操作ができる。

最近数年、グーグルのAndroid開発チームはプライバシー保護の新機能多数を追加してきた。しかしこの分野では「これで完成」とはならず、次々に新しい機能が必要となる。今回のアップデートでも、グーグルはアプリの権限設定に力を入れており、マイクやカメラ、位置情報などの利用に「今回のみ」で1回かぎりの許可を与えることが簡単になっている。ユーザーが一定期間アプリを利用していないと、システムは権限を初期状態に戻すのでユーザーは許可を再度設定する必要がある。

エンタープライズ分野ではグーグルはユーザーがパーソナル利用のアプリと仕事に使うアプリを区別しパーソナルアプリに保存されたプロフィールやプライバシーデータが企業のIT部門の管理を受けないようにする機能を追加している。

画像クレジット:Fernando Trabanco Fotografía / Getty Images

【Japan編集部追記】訳者の環境ではPixel 3デバイスにAndroid 11インストールずみ。画面上端から下スワイプでデバイスのクイック設定と通知が表示されるが、クイック設定領域をさらに下スワイプすると表示が拡大され、下右端に設定に移動できるアイコンが表示される(ただし記事中スクリーンショットのクイック設定バーは未確認)。

関連記事:グーグルがAndroid 11の最終ベータ発表、製品版リリース近づく

カテゴリー:ソフトウェア

タグ:Google Android

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

米国のGoogleポッドキャストに機械学習でニュースをカスタマイズする機能が登場

2019年にGoogle(グーグル)は、Googleアシスタントでオーディオニュースをカスタマイズする「Your News Update」というプレイリストをリリースした(未訳記事)。機械学習の技術を活用してニュースコンテンツを理解し、そのコンテンツがリスナーの好みや関心とどう関連するかを判断する機能だ。米国時間9月2日、グーグルはオーディオのカスタマイズをGoogleポッドキャストに広げ、米国の数百万人のポッドキャストリスナーに提供すると発表した(Googleブログ)。

Your News Updateを購読するには、Googleポッドキャストアプリを起動し、Exploreタブでいくつかのストーリーを購読して聴く。これにより、関心や地域、履歴、設定が反映されるようになる。

画像クレジット:Google

Your News UpdateはAlexaで人気のFlash Briefingをさらに賢くした機能として設計された。現在、Alexaユーザーは1万種類を超えるFlash Briefingのスキルからニュース提供元やコンテンツを追加して自分のFlash Briefingをカスタマイズすることができる。しかしこの作業はユーザーがやらなくてはならない。

Your News Updateは、グーグルがユーザーの関心を理解することで、この面倒な作業をアルゴリズムに任せる。

カスタマイズではユーザーがGoogleに対して明示的に提供しているデータが考慮される。フォローして関心を示したトピック、ニュース提供元、地域などだ。これに加えグーグルは、ユーザーのグーグル製品利用状況から収集したデータ(Googleアカウントの設定)を利用し、ユーザーの関心に応じてニュースをさらにカスタマイズする。ただしユーザーは自分のアカウント設定のページでカスタマイズをオフにすることができる。

Your News Updateの下にあるGoogleアシスタントのリンクから、ニュースのアルゴリズムの仕組みを詳しく説明したウェブサイトにアクセスできる。グーグルは、ニュースのアルゴリズムではユーザーの政治的信条や属性に基づくカスタマイズはしないと説明している(Googleの説明ページ)。

とはいえ、GoogleニュースやDiscoverで特定のパブリッシャーをフォローしたり非表示にしたりする、あるトピックをフォローする、似た記事をもっと多くまたは少なく表示するように指定するといったアクティビティから、グーグルは知り、学んでいく。

つまりグーグルはYour News Updateを組み立てるために、ユーザーに関して知っている豊富な情報と、ユーザーが好みに合わせてニュースをカスタマイズした行動についての知識を組み合わせる。

これが有効に働く場合もある。例えば好きなスポーツチームや地元の最新ニュースを受け取ることができる。ユーザーを左派寄りあるいは右派寄りのニュース提供元に誘導しようという意図はないだろうが、カスタマイズ技術の仕組みとグーグルのパブリッシャーのラインナップに基づいて結果としてそうなることはあり得る。グーグルのラインアップには左派寄りと右派寄りの両方のニュース提供元(ad fontes mediaサイト)がある。

画像クレジット:Google

さらにグーグルはサービス開始にあたって、ユーザーの使い方から学ぶのでGoogleアシスタントの機能を使えば使うほど適切にカスタマイズされるようになると述べている。

ポッドキャストのアップデートとあわせて、グーグルはGoogleアシスタントで地元の話題を簡単に聴けるようにする。「Hey Google, play local news(ローカルニュースを再生して)」「Hey Google, play news about [your city]((街の名前)のニュースを再生して)」と話しかければ、ネイティブ音声とテキスト読み上げのローカルニュースのミックスを聴くことができる。この機能を利用すると、Your News Updateの選択にも反映されるようになる。

画像クレジット:Google

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(翻訳:Kaori Koyama)

アップルが新型コロナ接触追跡の新ツールをiOS 13.7でリリース

Apple(アップル)とGoogle(グーグル)は新型コロナウイルスの接触追跡の取り組みを支援するため、計画していた接触通知技術の普及に引き続き力を入れている。両社は、公衆衛生当局が独自のアプリを開発・維持しなくても、デジタルの接触通知をより容易に導入できる新しいツールを発表した。アップルは9月1日のiOS 13.7システムアップデートから利用できるようにするが、グーグルはAndroid 6.0で自動生成されるアプリケーションから今月後半に導入する予定だ。グーグルのほうはシステムサービスとOSのアップデートを管理する方法が非常に異なるため、対応策が必要となっている。

テクノロジーの仕組みの変更により、ユーザーは管轄の公衆衛生当局(Public Health Authority、PHA)が作成した専用アプリを実際にダウンロード、インストールする必要がなくなる。代わりに地域の公衆衛生当局から、接触通知システムとその機能に関する通知が届く。ユーザーはそこでオプトインを選択できる。iOSではプロビジョニングプロファイル(App Store以外からiOS端末にアプリを配信するためのバイナリファイル)をインストールすることになるが、Androidでは地域のPHA用に自動生成されたアプリが作成され、Google Playストアからインストールされる。アップルとグーグルは、Exposure Notification Express(接触通知エクスプレス)が既存の専用PHAアプリを置き換えるものではなく、共存するものであることを明確にした。

Exposure Notifications Expressを利用するPHAはアップルとグーグルに対し、連絡先情報、ケアに関するガイダンス、注意事項、次のステップに関する推奨事項を伝える。PHAは、その名前、ロゴ、接触通知が発信される基準のほか、テクノロジーに詳しくない人でも簡単にシステムが利用できるよう接触が起きた場合の通知内容を提示する。

地域の保健当局は、ユーザーが受け取るテキストメッセージを自らカスタマイズする必要があるが、アップルとグーグル双方の技術に基づくデジタル接触通知システムを使って接触追跡のために独自のアプリケーションを開発・配布する必要はない。保健当局は接触リスクの計算方法決定にも責任も持つ。専用アプリなら備えていた機能だ。これは大きい。なぜなら、アップルとグーグルによると、世界で20カ国がすでにAPIに基づくアプリを導入し、そして米国の25の州がシステムの利用を「検討」しており、これまでに6つの州がアプリをリリースしたからだ。こうした現状から、今回のシステムは開発者や医療当局が採用する際の技術的参入障壁は低くなっており、普及を早めるのに役立つはずだ。

アップルとグーグルは、まずワシントンDC、メリーランド州、ネバダ州、バージニア州がExposure Notification Expressを導入し、他の州もそれに続くと予想していると述べた。両社はまた、U.S. Association of Public Health Laboratories(米国公衆衛生試験所協会)と全米の主要サーバーに関して協業しており、ユーザーが地元の医療当局の管轄外に移動する場合であっても州境を越えて効果的に接触追跡ができるよう取り組んでいると述べた。

接触追跡が有効に機能するためには60%以上の採用が必要だという誤った情報が広まっている。これは、今年初めに発表されたオックスフォードの研究が誤解されたことによる。研究に携わった研究者たちはその後、実際にはデジタル接触追跡をサポートするアプリによるあらゆるレベルの接触追跡が、新型コロナ拡散軽減とそれがもたらす死亡数の減少にプラスの効果がある(MIT Technotogy Preview記事)と明らかにした。

このシステムには、アップルとグーグルがこれまで提供してきたものと同じようにプライバシー保護が含まれている。つまり、個人の位置情報が収集されたり、接触通知と紐付けられることはない。代わりに、技術者はランダムに生成されたキーを使用して、あるデバイスがソフトウェアを利用する他のデバイスのBluetoothの検出範囲に入った時間と場所を追跡する。システムはランダムな識別子のログを保持し、確認・報告された診断結果(完全に匿名化されている)と照合して接触リスクの有無を判断する。その判断は、各地域を管轄する公衆衛生当局時間と距離に関してが定める接触の定義に基づき行われる。

【Japan編集部追記】iOS 13.7であっても日本で新型コロナウイルス感染者と濃厚したかどうかを確認するには「新型コロナウイルス接触確認アプリ」のインストールが必要だ。

画像クレジット:Apple / Google

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(翻訳:Mizoguchi

GoogleがAIを利用した洪水警報システムをインド全土とバングラデシュの一部で展開

世界で2番目に人口の多い国であるインドは、世界の洪水関連死者の20%以上を占めている。毎年氾濫した川が数万の家を押し流す(ロイター記事)ことが原因だ。2年前、Google(グーグル)は支援を申し出た。

2018年に同社は、インドのパトナで洪水予測パイロットプロジェクトを開始した(Googleブログ)。パトナは歴史的に最も洪水に襲われやすかったビハール州の州都で、毎年100人を超える死者を出してきた。このプロジェクトは同地域に住む人たちに向けて正確なリアルタイム洪水予測情報を提供する。

同社のAIモデルは、世界のさまざまな河川流域から収集された、過去の洪水データを分析して、あらゆる河川流域に対する正確な予測を行う。

このプロジェクトにおいて、グーグルは単独で働いているわけではない。インドの中央水道委員会、イスラエル工科大学、バーイラン大学と協力している。またインド政府と協力して、ニューデリーの水位データ収集方法の改善も行っている。彼らは自動的にデータを水道当局に送信する新しい電子センサーを設置した。

当時得られた最初の結果は感銘を与え、同社の洪水予測イニシアチブは現在、インド全土をカバーしている、とグーグルは米国時間9月1日に発表した(Googleブログ)。

グーグルはまた、世界のどこよりも洪水が多いバングラデシュの水開発委員会と提携して、その取り組みをインドの隣接国であるバングラデシュの一部へと拡大していると語っている。グーグルが洪水予測イニシアチブをインド外に導入するのはこれが初めてだ。

洪水予測アラート

このイニシアチブの目的の1つは、生活を変容させてしまうかもしれない情報を、人々に届けることだ。インドでは、洪水の被害を受ける地域に対して、これまでに3000万通を超える通知を送信したとグーグルは語っている。また同社によれば、このイニシアチブは、25万平方キロメートル以上のエリアに広がる、2億人以上の人達のより良い保護に役立つと述べている。バングラデシュでは、グーグルのモデルは4000万人以上をカバーすることが可能で、同社はこの取り組みを全土に拡大するために取り組んでいる。

「私たちはどれくらいの規模の洪水になるかの情報を提供しています。つまり、いつどれくらいの規模の水位上昇があるかという予測です。また、氾濫原全体に洪水深度マップを作成できる地域では、ユーザーの村または地域での洪水深度に関する情報を共有しています」と書いている(Googleブログ)のは、グーグルのエンジニアリング担当副社長で危機対応責任者のYossi Matias(ヨッシ・マティアス)氏だ。

この過程で、同社はイェール大学と協力(イェール大学リリース)を行っており、さらに改善の余地があることが発見されている。

2020年にグーグルは、アラートのデザインと機能を見直し、より使いやすいものとした。またヒンディー語、ベンガル語、およびその他の7つのローカル言語のサポートが追加され、アラートのメッセージングがさらにカスタマイズされた。また、多くのアラートの警告通知時間を2倍早める新しい予測モデルも導入した。

また同社は今後、慈善部門であるGoogle.orgが、国際赤十字ならびに赤新月社連盟との協力を開始して、ローカルネットワークを構築して、スマートフォンのアラートを直接受信できない人にアラートを配信すると発表した。

「被害を受けやすい非常に多くの人たちが頼りにしているシステムを強化し、洪水被害地域のより多くの人たちに届けるための拡大を行うには、今後さらに多くの作業が必要です。私たちは、世界中のパートナーとともに、ミュニティの保護と人命救助に役立つテクノロジーとデジタルツールの開発、維持、改善を継続していきます」とマティアス氏は書いている。

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ

タグ:インド Google

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(翻訳:sako)

GoogleがAndroidタブレット向けキッズモード「Google Kids Space」を公開

ストリーミングサービスに子供用のプロフィールあるなら、端末にもあってよいはずだ。Google(グーグル)は米国時間8月31日に子供たちがテクノロジーと付き合うもっとよい方法を望む親たちの声に応えて、「Google Kids Space(グーグル・キッズ・スペース)」を新たに公開した。これはAndroidタブレット用の子供専用モードで、子供が遊んだり学んだりするためのアプリや本、ビデオなどを揃えている。まずはLenovo(レノボ)のSmart Tab M10 HD Gen 2向けに提供されるが、グーグルはKids Spaceをさらに多くのデバイスに展開していく計画だ。

コンセプトは、Amazon(アマゾン)のFreeTime(フリータイム)にやや似ている。FreeTimeはペアレンタルコントロールと子供向けに選ばれたアプリやメディアをアクセスできるアマゾン製のよくできたシステムだ。しかしグーグルの場合は、同社が子供のいる家族向けにこれまで開発してきた、より安全でコントロールされたAndroid体験をベースに作っている。

たとえばFamily Link(ファミリー・リンク)は、現在Android OSに組み込まれている一連のペアレンタルコントロール機能だ。Family Linkには、スクリータイムの制限やコンテンツのセーフサーチ、プライバシー設定などを親が設定する仕組みが既にある。グーグルはこれをキッズアプリのコレクションへと拡張し、Google PlayにKidsタブを新設して、「先生が承認」したモバイルアプリやゲームを掲示できるようにしている。

画像クレジット:Google

新しく提供されるKids Spaceでは、これまでにAndroidアプリを評価してきたグーグルの取り組みを「Play」タブに活かし、その他の高品質コンテンツを加えてコレクションを拡張した。例えばグーグルは出版社と協力して人気の児童書を無料でKids Spaceで公開し、サービス開始と同時に400冊以上書籍を米国ユーザー向けに「Read」タブで提供する。

Kids Spaceの「Watch」と「Make」タブには、グーグルがYouTube Kidsから集めたオフスクリーン・アクティビティを促すクリエイティブなコンテンツを導入している。

画像クレジット:Google

究極の目的は、この機能をAndroid端末のセールスポイントとして家族をGoogleエコシステムに囲い込むことだ。ここがアマゾンのFreeTimeと異なるところで、アマゾンの目的はその一部にすぎない。FreeTimeは主としてサブスクリプション機能の一環として提供されるものであり、FireタブレットやスマートスピーカーのEchoといったアマゾンデバイスだけでなく、iOSやAndroidデバイスなど広くプラットフォームを横断して利用できる。それに対してグーグルのKids SpaceはAndroidのためだけに作られている。

Google Kids Spaceは、Lenovo Tab M10 HD Gen 2向けにまず提供される。グーグルは、Lenovoと協力して親の設定作業を簡単にして、Kids Spaceをプレインストール機能とすることを約束したという。近いうちにKids Spaceを他のAndroidタブレットにも提供するつもりだと同社は語った。

カテゴリー:ソフトウェア

タグ:Google Lenovo

画像クレジット:Google

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Google Pixel BudsはAndroid用完全ワイヤレスイヤフォンのスタンダードになり得るか?

グーグルの純正ワイヤレスイヤフォンの第2世代「Google Pixel Buds」が8月20日より販売開始された。日本未発売の第1世代は左右一体型だったが、第2世代は完全ワイヤレスイヤフォンとして登場した。競争の激しいこの市場にグーグルがどのような製品を投入してきたのか紹介していこう。

第2世代の「Google Pixel Buds」は税別価格2万800円。カラーは、クリアリーホワイト、オルモストブラック、キュートミントの3色を用意

基本機能はiPhone、iPad、Windows搭載PCでも利用可能

Google Pixel Budsは、Bluetooth 4.0以降に対応したデバイス用の完全ワイヤレスイヤフォン。全機能を利用するためにはGoogleアカウント、Googleアシスタントに対応したAndroid 6.0以降のスマートフォンが必要だが、基本機能はiPhone、iPad、Windows搭載PCなどでも利用できる。ただしBluetoothのオーディオコーデックはAACとSBCのみの対応。より高音質なaptX HDやaptX Adaptiveなどは利用できない点は留意が必要だ。

充電ケースはズボンの前ポケットに入るコンパクトサイズ

イヤフォンには専用の12mmダイナミックスピーカードライバーを内蔵。静電容量方式のタッチセンサーが内蔵されており、タップ、長押し、スワイプ操作が可能。デュアルビームフォーミングマイクによる音声入力にももちろん対応している。

サイズはイヤフォンが幅19.5×高さ20.5×厚さ18.2 mm(左右それぞれ、イヤーチップと固定用アーチを除く)、重さは約5.3g(左右それぞれ)、ワイヤレス充電ケースが幅47×高さ63×厚さ25mmで66.7g(イヤフォンを含む)。カナル型のイヤーピースを備えた完全ワイヤレスイヤフォンとしては、ワイヤレス充電ケースはコンパクトに作られている。なおイヤフォン本体はIPX4の防滴仕様となっている。

内容物はイヤフォン、ワイヤレス充電ケース、イヤーチップ(S/M/L)、USB-C to USB-A充電ケーブル、クイックスタートガイド

今回試用したのはクリアリーホワイト。ちなみにほかのカラーを選んでも、充電ケースは同じだ

Androidスマートフォン以外と接続する場合には、ケースを開き、イヤフォンを入れたままで背面の「ペア設定ボタン」を長押しする

ワイヤレス充電ケースはQi規格に対応。対応充電パッドに置くだけで充電できる

固定用アーチは取り外せない

左上からIR近接センサー、充電用金属接点、周囲音ベント、マイク

左がマイク、中央が周囲音ベント、下がIR近接センサー

写真に向かって左上から、Google Pixel Buds、アップルのAirPodとAirPods Pro、ソニーのWF-1000XM3。Google Pixel Budsのワイヤレス充電ケースはAirPodsよりひと回り大きい程度だ

ハンズフリーで音声アシスタントを呼び出せるのはやはり便利

Googleアカウント、Googleアシスタントに対応したAndroid 6.0以降のスマートフォンであれば、OK Googleをウェイクワードにした「Googleアシスタント」、Google Pixel Buds経由で会話できる「リアルタイム翻訳」、周囲の音に合わせて音量を最適化する「アダプティブサウンド」、イヤフォンから着信音を鳴らす「デバイスを探す」機能を利用可能。

AirPods、AirPods Proと同様にハンズフリーで音声アシスタントを呼び出せるのはやはり便利だ。なおサードパーティー製Androidスマートフォンは「Google Pixel Buds」アプリをインストールする必要があるが、Pixelシリーズは「設定」メニューに組み込まれている。

リアルタイム翻訳機能は、翻訳アプリの会話モードに入っても、音声を入力するたびにイヤフォンを長押しなければならない。また相手にしゃべってもらう前に言語アイコンをタップする必要がある。ハンズフリーで会話できるようにアップグレードしてほしい

ライトなリスニング環境としては十分な音質

ノイズキャンセリング機能が搭載されていない点は残念だが、カナル型イヤフォンという時点である程度の遮音性が確保されている。また、aptX HDやLDACなどの高音質コーデックで聴くのと比較すれば差はあるが、そこまで音にこだわる方はそもそも有線イヤフォンを使うのではないだろうか? ライトなリスニング環境としてはGoogle Pixel Budsは十分な音質だと思う。

Google Pixle Budsの音作りはニュートラル。ストリーミング音楽を聴くのなら不満はない。個人的には8月20日にファームウェアアップデートで提供が開始された「バスブースト」(低音ブースト)も不要だ

ソフトウェア的にはまだまだ伸びしろはあるはず

Google Pixel Buds にはAirPods Proのようにノイズキャンセリング機能は搭載されていないが、そのぶん安価な完全ワイヤレスイヤフォンだ。グーグル純正だけにAndroidスマートフォンとの親和性は現時点でも高いが、ソフトウェア的にはまだまだ伸びしろはある。OS自体の進化に合わせて、Google Pixel Budsにも新機能を追加していけば、完全ワイヤレスイヤフォンのスタンダードになりうるはずだ。AirPodsシリーズの強力なライバルとなり、完全ワイヤレスイヤフォン市場をさらに盛り上げることに期待したい。

最新Chromeはタブのグループ化、QRコード生成に加えてパフォーマンスも大きく改善

Google(グーグル)はウェブブラウザであるChromeのアップデート(v.85)を順次公開している。新しいChromeは生産性が向上し、読み込みなどパフォーマンスも高速化されているという。グーグルは、特にChromeの使い勝手の向上としてタブ周りの強化に力を入れており、そのタブをグループ化する新機能は使い勝手を大きく改善する。目に見えない部分での強化では、ページの読み込みが最大10%速くなっている。またバックグラウンドタブがアイドル状態になった場合のリソースを再配分して影響を最小限に止めるよう改良も行われている。

全体として、今回のアップデートはChromeを仕事などで定期的に利用しかつ大量のタブを開くパワーユーザーをターゲットにしたようだ。グーグルは2020年5月に、ユーザーが開いたタブをグループ化し名前をつけられる機能をまずベータ版としてリリースしていた。ユーザーはタブのグループ化機能を利用して繰り返し開くタブにまとめてラベルを付けておくことができる。同様に特定のアプリで開いたタブ、オンライン検索の結果などをグループするのにも使える。今回のアップデートでタブびグループ化機能が一般ユーザーに公開される。ベータテスターからのフィードバックをベースにグーグルは様々な調整を行った模様だ。

また新しいChromeでは、ユーザーはタブをグループ化するだけでなく、作成したタブグループをまとめて開いたり閉じたりできる。つまり現在の作業に必要なタブだけを表示しておくことができるわけだ。グーグルによれば、これがベータテスターから最も多く要望があった機能だという。また2 in 1のノートパソコンなどのデバイスをタブレットモードで利用する際、タッチでタブを操作する機能も加わった。これはまずChromebookから利用できる。これは多数のタブを開いている場合、指を滑らせて素早くページを切り替えることができる。

画像クレジット:Google

Android版Chromeではアドレスバーにページをタイプし始めた際、そのページがすでに開かれていれば移動先候補として表示される。Android版では、コピーないし他のユーザーとの共有を容易にするために短縮URLが提供される。

画像クレジット:Google

さらに、ページをプリントアウトすることもできる。ダウンロードしたりページを開いたりするためのQRコードも生成できる。

QRコードの生成機能はデスクトップ版のChromeにも近く導入される。ChromeのアドレスバーにQRコードのアイコンが表示されるのでそこからアクセスできる。

画像クレジット:Google

今回のアップデートでユーザーに大歓迎されそうなのはChrome内から直接PDF書式に記入して保存できる機能だ。ユーザーは保存したPDFを開き前回中断したところから作業を再開できる。ただし、全ユーザーがこの機能を利用できるようになるには多少時間が必要だ。グーグルによれば数週間かかるという。

なお、Chromeベータ版には開いたタブの上にマウスを乗せると、内容がサムネイル表示される機能が追加された。これはGoogleドキュメントを使っている場合など同一ドメインで多数のファイルを開いている場合に、便利なはずだ。

今回のアップデートでは、タブを多数開くような使い方が非常に快適にできるようになっている。1つはプロフィールを利用したコンパイル最適化で、パフォーマンスに最も重要な影響を与えるコードを高速で実行できるようになった。グーグルによれば頻繁に利用されるタスクに高い優先順位を与えることによりページの読み込みが最大10%速くなったという。この最適化はWindows版、Mac版ともChrome(バージョンM85)で搭載される(この機能は実はWindows版ではChromeの以前の開発環境でMicrosoft Visual C++が利用できたためM53から搭載されていた。今回はClangが使えるようになったためMac版、Windows版ともにアップデートされた)。

Chromeのベータでグーグルは「タブ・スロットリング」というテクノロジーを導入している。これは、現在使用しているタブにリソースを割り当てるという機能で、長い間バックグラウンドにあるタブのリソースをユーザーが現在開いているタブに割り当てる。これにより読み込み速度だけでなくバッテリー消費やメモリー消費なども抑えられるという。

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ChromeのMac版はこれまで重い、リソースを食い過ぎる遅いといった批判を浴びてきた(Cult of Mac記事)。こうした問題には。非常に複雑な原因があるのが普通だが、ユーザーはOSよりまずソフトウェアの問題だと考えがちだ。そこでグーグルも、今回のようなテクニカルな最適化に注力してパフォーマンスの向上を図らざるを得ない。パフォーマンスアップがどの程度実現してるのかは、アップデートが行き渡ってからサードパーティによる公平なテストが必要だろう。

関連記事:Google Chromeにタブ整理に役立つラベル・カラーコード機能が加わる、絵文字での分類も可能に

カテゴリー:ソフトウェア

タグ:Google Google Chrome

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

キヤノンのWi-F搭載カメラ多数がGoogleフォトと連動、写真が自動的にバックアップされる

キヤノンとGoogleはソフトウェアでの提携を発表した。多数のキャノンのカメラで撮影された写真が自動的にGoogleフォト にバックアップされる。サポートされるカメラのリストはこちらだが、同社が近年リリースしたレンズ交換式カメラはほぼ全て含まれる。Wi-Fi 機能を内蔵するカメラの大部分がサポートされると考えてよいだろう。

自動バックアップ機能はキヤノンのAndroidとiOSのモバイルアプリを通じて動作する。アプリは最新版に更新されていることが必要だ。アプリに手持ちのカメラを登録し、撮影した写真がオリジナル画質のままGoogle フォトにアップロードされるよう設定する。カメラがWi-Fiでスマートフォンと接続したときに転送が実行される。つまり撮影した後、手動でカメラをスマートフォンやデスクトップに接続して物理的メモリーカードからGoogle フォトへの転送するという手間が必要がなくなる。

ただし利用にあたって注意すべき点がある。この機能が使えるのは有料でGoogleドライブを利用しているGoogle Oneのメンバーだけだ。この経済的負担を和らげるために(もちろんGoogle Oneは写真をバックアップできるクラウドストレージとしてもっともコストパフォーマンスが良いサービスのひとつだが)、キヤノンは1ヶ月無料で100GBのストレージをGoogle Oneに提供するとしている。

私の経験からいうとスマホ以外のいわゆる「本物のカメラ」で撮影した写真の大半はカメラのメモリや各種バックアップデバイスの中、さらにはそこらに放り出したままの無数のSDカードの中に眠ったままになってしまう。自動バックアップ機能は撮影した写真を見直す機会を増やしてくれるのは間違いない。気に入った写真を発見すればプリントアウトしたりソーシャルメディアにアップロードするなどして大切な人と思い出を共有することになるかもしれない。他のカメラメーカーもキヤノンの例にならってくれるといいと思う。.

画像:Google

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滑川海彦@Facebook

グーグルはより多くのホテルにカメラ非搭載のNest Hub導入を推進、自動チェックアウトやアメニティの依頼などを代行

ここ数年、私が宿泊した部屋の中には、古い30ピンアダプターのiPodの目覚まし時計が付いている部屋が何室があったが、ほとんどのホテルでは新しいテクノロジーの更新は優先順位の高いものではないのは確かのように思える。テレビセットとUSBポート1~2つだけではなく、ちょっとした技術的なおもてなしを提供したいと考えているホテルには、GoogleがNest Hubを提供している。

今週同社は、より多くのホテルの客室にスマートスクリーンを普及させることを目的としたホテル業界向けのサービスを発表した。ホテル向けに用意されたアップデートは、モーニングコールのようなホテルの主要な機能に焦点を当てている。天気予報や周辺情報、地元の企業の情報の提供。そして、チェックアウト、コンシェルジュにタオルを頼むなど。従来はホテル室内の電話で「0」をダイヤルするで利用できたサービスも多い。

正直なところ、Nest Hubの導入はホテルの体験をアップグレードしたいと考えているなら、何の問題もないように思える。そして、重要なことに、Nest HubはHub Maxとは異なりカメラを内蔵していない。カメラ非搭載のスマートスクリーンは、ホテルの部屋のようにプライベートな場所に設置するのにふさわしいことをグーグルは理解していたのだろう。また、ホテルに設置するNest Hubはゲストがデバイスにサインインできないため、個人情報は共有されない。音声もデバイスに保存されず、ゲストがチェックアウトするとそれまでの使用履歴は消去される。

Hubはすでに米国内の数軒のブティックホテルと英国内の1軒で提供されています。画像クレジット:

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Google検索とGoolgeマップが緊急警報ツールを導入、北カリフォルニアの激しい山火事に対応

北カリフォルニアでは落雷と大型熱波で山火事が猛威をふるっている。当地域の行政によると、最新の数字としては、72時間でおよそ1万1000回の落雷により数百カ所で火災が起き、そのうち26件は大火だ。消失面積はおよそ12万4000エーカー(ほぼ500平方km)で、2万5000棟の建物が被害に遭っている。

グーグルは今週、同社がこれまで作っていた被害地域の情報がわかるツールを発表(グーグルブログ)した。そのツールはGoogle検索やGoogleマップから、特定地域の関連情報を提供する。

画像クレジット: Google

その中核的機能はデジタルのポリゴン(多角形)で、赤い線が今燃えている区域を大まかに囲む。この描画に使われているのが、米海洋大気庁(NOAA)の静止衛星サーバーシステム(GOES(未訳記事)が集めたデータだ。情報の収集と処理の過程を、グーグルの開発チームはMediumの記事で詳しく述べている。興味のある読者はチェックすることをお勧めするが、かなり技術的な記事だ。

我々が知るべきことは、その情報がGoogle検索で提示されることだ。場所を検索したりGoogleマップで指定すると、フローティング通知もポップアップ表示される。火事の場所と地名が出るだけでなく、同社が提供するSOS警報により、各地の緊急サービスからの関連ニュース記事や情報も表示される。

この情報サービスの前身である2019年のパイロット事業で同社は、カリフォルニア州知事の緊急サービスオフィス(Cal OES)やコロラド州ボールダーの緊急時管理オフィスと協力して、緊急時に最も必要とされる情報を収集した。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

テクノロジー企業と法執行機関との協力の停止を訴える「テクノロジーは中立ではない」キャンペーン

法執行機関と協力したり、彼らに技術を提供している企業は少なくない。Amazonのドアベルカメラ企業Ringは1300以上の警察とパートナーしているし、Amazon Web Services(AWS)はそのプロダクトを移民税関取締局(ICE)に売っている。また、GoogleはG Suiteツールを警察に売り、Microsoft(マイクロソフト)にはシアトルの警察との契約があって、同社のGitHubにはICEとの契約がある。そしてNextdoorは、そのAgenciesアプリで警察とパートナーしている。

このようなパートナーシップを警戒する人びとによって、Tech Is Not Neutral(テクノロジーは中立でない)と名乗るキャンペーンが生まれた。創始者はチャリティNPOのKairos Fellowshipで、これにThe Movement for Black LivesやMedia Justiceなどの団体がパートナーしている。

Kairos FellowshipのキャンペーンマネージャーJelani Drew-Davi氏は、TechCrunchに次のように語った: 「Black Lives Matterのような黒人解放運動が起きると、テクノロジー企業とそのCEOたちは一応賛意を示すが、しかしテクノロジー企業は実際には、人の命や民主主義ともっと深く関わっている。テクノロジー企業の製品は人びとに現実的な結果をもたらし、それが良くない結果であるときには黒人などの有色人種がいちばん被害を受ける。このキャンペーンは、テクノロジーのこのような不公平をなくすことが目的だ」。

このキャンペーンは7月初めに立ち上がり、まず大手テクノロジー企業のCEOらに公開書簡を送った。その書簡の宛先は、AmazonやMicrosoft、Nextdoor、およびGoogleのトップで、Black Livesのためのアクションを要求している。しかしDrew-Davi氏によると、キャンペーンの現在のフォーカスはNextdoorとMicrosoftだ。6月にはNextdoorが、情報を警察に送る機能を無効にしたが、Tech Is Not Neutralキャンペーンの人たちは、ほかにもやるべきことがある、と言っている。

Drew-Davi氏はこう言う: 「Nextdoorは近隣社会の何千人もの人びとを結びつけるが、その人種差別問題は何年も前から詳しくドキュメントされている。それは、警察とのパートナーシップにより人びとが一方的に黒人を悪人として通報できることだ。それが、問題なのだ。Nextdoorはモデレーターを教育訓練すると言うが、警察との関係を断つとは言わない。彼らのプラットホームの上で黒人を保護するために、第一番にやるべきことがそれなのに」。

Microsoftの場合は、シアトル警察との契約に加えて、同社は米国防総省との100億ドルの契約を他社と競っている。またMicrosoftには2016年以来、国防総省やそのほかの法執行機関との5000件を超える下請け契約がある

Drew-Davi氏は曰く、「Microsoftには、国と州の両方のレベルで政府との深く絡み合った関係があり、それに関する情報の公開はない。われわれも、あの記事を読むまでは知らなかったのだ。Microsoftは、監視を要する重要な企業だ。Microsoftに光を当てれば当てるほど、このおなじみの名前の企業が私たちに害を与えていることが、分かってくる」。

Kairos Fellowshipのこのキャンペーンの直近のステップは、これらの企業との会話と、具体的な要望の提出、そして要望に彼らが同意しなければこれらの行為を一層強化していくことだ。Kairos Fellowshipの常務取締役Mariana Ruiz Firmat氏は、TechCrunchにそう語った。

Firmat氏は曰く、「これまでは、テクノロジーは中立であるという主張を隠れ蓑にして、テクノロジー企業は人種差別を許容し、権威主義を広め民主主義を破壊するやり方で彼らの技術が使われてきた。私たちがとても重要と感じているこの戦いは長期戦になると思うが、これまでテクノロジー企業に対して漠然と想定してきた中立的という見方を一掃して、実際には偏向があることを私たちは認めるべきだ」。

Microsoft(マイクロソフト)は、この記事に対するコメントを拒否した。そしてNextdoorとGoogleとAmazonは、本誌のコメントの求めを無視した。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

グーグルが非熟練労働の求職を支援するKormoアプリをインドで立ち上げ、リモート面接も可能に

グーグルは米国時間8月19日、「求職アプリのKormo Jobsをインド向けに拡張し、非熟練労働者向けの仕事を探している数百万の人々を支援する」と発表した。これによって同社は、世界で2番目に大きなインターネット市場であるインドでの、マイクロソフト傘下のLinkedInの影響力を下げようとしている。

グーグルはKormo Jobsを2018年にバングラデシュで立ち上げた。昨年にはインドネシアへ拡張し、Google Play上で求職アプリ「Spot」として入手できるようにした。

同社によると、仕事がSpotで見つけられるようになってから、グルメサイトサービスを展開するZomatoやグーグルが投資しているバンガロール拠点の配達サービスのDunzoなど数多くの企業が、同プラットホーム上に200万以上の検査済み求人案件をポストした。

そしてグーグルによると本日、Google Play上のJobs SpotをインドでKormo Jobsに改名し、またそのスタンドアロンのアプリを重要な海外市場でも利用できるようにした。

Kormo Jobsでは、ユーザーが非熟練労働の人種、宗教などを問わないオープンコール(の求人を見つけられるだけでなく、新しいスキルを学んだり、容易に履歴書を作れたりする。

Kormo Jobsの地区マネージャーでオペレーション担当のBickey Russell(ビッキー・ラッセル)氏によると、このアプリには今後も投資を続け、新しい機能や求人を増やしていく。

ラッセル氏は、ブログに以下のように説明している。

パンデミックによって求人の様相も変わり、これまでとは違うスキルや経験を要する新しいサービスに需要がシフトしている。企業は規模を問わず、ニューノーマルのチャレンジに直面しており、求職者はこの変化に早く対応しなければならなくなっている。私たちは求職と求人を結びつけ、重要な機能を提供して、みなさまの生活の改善にお役に立てていることを、嬉しく思っている。たとえば今年の初めからはリモート面接を導入して、ソーシャルディスタンスをより確実にしている。

インドなどではグーグルの検索を利用した求人行為が少なくないので、同社はそんなニーズに専用アプリで応えようとしている。同社は米国で2017年に求職の便宜を充実させた検索エンジンを立ち上げ、その後対象地域を広げた。そして今月初めには、インドで仮想名刺機能を開始した。

グーグルが求人機能を充実させるのは、LinkedInに対抗するためだ。しかし後者は、新興市場に強くない。例えばインドでは、LinkedInのAndroid上の7月の月間アクティブユーザーは2400万人で、前年同期比では2200万人に増えている。これに対し、グーグルのインドのユーザーは約4億人だ。

しかしインドのような人口が膨大に多い国では、求職がやりやすいことが極めて重要だ。求職を助けるアプリは大歓迎である。しかもグローバルなパンデミックのおかげで、いまは失業率も記録的な高さになっている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Googleマップで衛星画像をコンピュータビジョンで彩色強化、一部都市では表示詳細化も

Googleマップに大型アップデートが実施される。一層詳細な情報が付け加えられ視覚的にもわかりやすくなる。改良は自然の地形や生態系からストリートレベルの表示までにおよぶ広汎なものだ。グーグルによれば、衛星写真をコンピュータビジョンで分析し地形や植生などに鮮明な色彩を適用する。人工物についても、ニューヨーク、サンフランシスコ、ロンドンなど一部の都市でストリートレベルの情報をさらに詳細化。これには、横断歩道の位置や歩道、歩行者用アイランドの位置形状などが含まれる。

こうしたアップデートはユーザーが徒歩や自転車、キックスクーターのような軽快な方法で移動するときのナビゲーションを容易にする。これらオルタナティブな移動手段はパンデミックによって人気が高まっている(Googleブログ)という。サポートされる都市ではその場の状況を実感しやすくするために道路の幅や歩道の形状などが沿道の建物と同一の縮尺で精密に表示される。

向かって左が更新前、右が更新後(画像クレジット: Google)

グーグルによれば、今回のアップデートでは歩道の段差、車道への切り下げなどの詳細情報は付加されないものの、横断歩道の位置が示されるようになったことはアクセシビリティの改善になっているという。また現在でもGoogleマップは車椅子で通行可能なルート、利用できる交通機関、また店舗レストランなどのビジネスにおける車椅子の利用の可否などを表示している。

同社ではニューヨーク、サンフランシスコ、ロンドンの詳細地図は今後数カ月の間に順次公開されるとしている。つまり都市マップのアップデートは今すぐは利用可能になるわけではないようだ。アップデートのスケジュールがやや漠然としているのは理由がある。Googleマップのように世界に数十億人ものユーザーがいる(Googleブログ)巨大アプリの場合、何段階にも分けてアップデートを行うのが普通だ。そのため全ユーザーに新機能が行き渡るまでには相当の時間がかかる。

同社によれば最初の3都市への詳細マップ導入が完了した後、この機能を米国以外の都市にも追加していく予定だという。

これと別に世界のユーザーは都市以外の地表の状態をさらに正確にわかりやすく表示するマップ機能を利用できるようになる。

グーグルは地形のカラーマッピングを保有している衛星画像の解析から得るが、特に荒地、寒冷地、森林、山間部などの地形に有効だという。分析によって得られた結果には色相、彩度、明度によるHSV色空間の特定の色彩が割り当てられる。例えば、密林は濃い緑色、 疎林は薄い緑色で表示されるなどだ。ユーザーは砂浜と植物で被覆されているいる地帯を一見して区別できる。またどこが砂漠であるかも判別できし、氷で覆われた極地の氷冠も表示される。雪が積もった山頂や国立公園の境界などもこれまでよりはっきり認識できる。

新しいカラーマッピングはGoogleマップサポートする全世界、220の国と地域の大小の都市、農地、原野など1億平方キロメートルをカバーする。

これまでGoogle マップはオンライン地図で他を大きく引き離したトップとみられていたが、最近アップルがiOSとMacの純正マップで急追を始めている。今回のアップデートはこうした状況で実施される。2018年にリニューアルされたアップルのマップ(未訳記事)は、さほど印象的ではなかったが、その後アップデートを重ねることによって無視できないライバルに成長してきた。

アップル特に大都市ユーザーをターゲットとして、Googleストリートビューより精細度が高い3DのLook Aroundを搭載した。最近ではiPhoneで地平線を撮影するだけで自分の位置が正確にわかるという巧妙な仕組みを導入した。またアップルはパートナーの手助けによる拡張とモデレーションをサポートした探索と発見のガイドを通じてGoogleマップに戦いを挑んでいる。こうした挑戦を受けてグーグルも従来のリードを保つために新機能の導入に踏み切ったものだろう。

グーグルによれば、マップのアップデートはAndroid、iOS デバイスとデスクトップを対象として今後数カ月かけて順次実施されていくという。

画像:Google, TechCrunch

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

EUのウェブサイトにおけるGoogleアナリティクスとFacebook Connectの使用禁止を求め集団訴訟が発生

欧州のプライバシーキャンペーングループであるnoybは、欧州連合司法裁判所(CJEU、EU最高裁)が「EUと米国の間の主要データの転送協定を安全ではない」として却下してから1カ月後、GoogleアナリティクスおよびFacebook Connectを介して米国にデータを送信していることを特定した101サイトのウェブサイト運営者を対象に訴えを起こした。

訴状に記載されているのは、Eコマース企業、出版社、放送局、通信事業者、ISP、銀行、大学などだ。具体的には、Airbnb Ireland、Allied Irish Banks、Danske Bank、Fastweb、MTV Internet、Sky Deutschland、Takeaway.com、Tele2などが含まれている。

noybはウェブサイト上で「EUの主要ウェブページのHTMLソースコードを分析すると、多くの企業がEU最高裁による重要な判決から1カ月が経過した今でも、GoogleアナリティクスやFacebook Connectを使用していることがわかります。これらのツールは米国の外国情報監視法であるFISA 702などに明確に該当するものです」(noybプレスリリース)と記載している。

「両社は、データ転送についての法的根拠を持っていないようだ。グーグルは『Privacy Shield』(EU-US Privacy Shield、EUと米国間で商用目的での個人データの交換を規制するためのフレームワーク)が無効になってから1カ月経ったいまでもPrivacy Shieldに頼っていると主張している。Facebook(フェイスブック)は米国の監視法がEUの基本的権利の本質に違反していると裁判所が認めたにもかかわらず『SCCs』(Standard Contractual Clauses、標準契約条項)を使い続けている」とある。

TechCrunchでは、EUと米国間でのデータ転送における両社の法的根拠について質問した。フェイスブックの広報担当者は「フェイスブックは個別のケースについてコメントしていない」と述べたが、米国時間8月17日に投稿されたの同社ブログ記事で「広告や計測製品のデータ転送メカニズムとしてPrivacy Shieldに依存している」ことを明らかにした。同社は「EU最高裁の判決を受けて、当社はこれらの製品のSCCへの移行を進めています。これを反映させるためにそれぞれの条件を更新し、より多くの情報を提供していきます」とコメントした。

プライバシー問題に詳しい人なら、noybの創設者であるMax Schrems(マックス・シュレムス)氏が、2015年にEUと米国のデータ協定であるSafe Harbor(米欧間の越境データ移転に関する二者間協定)の破棄(未訳記事)を実現した最初の訴訟の責任者だった(未訳記事)ことを知っているだろう。そして同氏の最新の訴状により、EUと米国間のPrivacy Shieldも却下された。同氏は実際にはフェイスブックによる別のデータ転送メカニズム(SCC)の利用をターゲットにしており、データ管理者であるアイルランドのDPC(Data Protection Commission、データ保護機関)に介入して同ツールの利用を停止するよう促している。

規制当局は裁判所に出廷することを選択したため、EU-US間のデータ転送協定の合法性に対する懸念が広がった。その結果、EU最高裁は欧州委員会が米国にいわゆる 「妥当性合意」 を与えるべきではなかったと判定し、Privacy Shield下での活動を禁止したわけだ。

この判決は、米国がEUユーザーの情報を処理するための特別な取り決めを持たないまま、データ保護の観点から「第三国」とみなされるようになったことを意味している。

さらにEU裁判所の判決では、EUのデータ監視機関はEUの人々のデータがSCCを介して第三国に転送されることにリスクがあると疑われる場合、介入する責任があることも明確になっている。

欧州のデータ監視当局は、違法となったPrivacy Shieldにいまだに依存している企業には猶予期間がないことを速やかに警告(未訳記事)した。

この件に関連するnoybの最新の訴えは「前述の101サイトのいずれも、各サイトに埋め込まれたGoogleアナリティクスやFacebook Connectを通じてウェブサイト訪問者のデータを米国に転送し続ける有効な法的根拠を持っていない」というものだ。

シュレムス氏は声明で「我々は、各EU加盟国の主要なウェブサイトのフェイスブックとグーグルのコードを検索しました。これらのコードスニペットは、各訪問者のデータをグーグルやフェイスブックに転送しています。両社とも、処理のためにヨーロッパに住む人々のデータを米国に転送していることを認めています。そして、これらの企業には、NSA(米国家安全保障局)のような米国政府機関がデータを利用できるようにする法的義務も負っています。GoogleアナリティクスもFacebook Connectもウェブサイト運営に必要不可欠なツールではありまえん。しかし、両ツールは置き換えられるか、少なくとも無効化できるサービスでもなかった」と述べている。

EU最高裁のいわゆる「Schrems II」裁定以来、実際にはセーフハーバー協定が頓挫して以来、米商務省と欧州委員会は難局に直面している。無効になったPrivacy Shieldを置き換えるために、新たなデータ協定をまとめなければならない(未訳記事)のだ。

しかし、米国の監視法の抜本的な改革がなければ、米国の国家安全保障上の優先事項とEUのプライバシー権との法的な対立を議論するそれぞれの議員による3回目の発議も、同様に失敗する運命にある。

この件に関する高等テクニックとして「データの流れを維持して『通常通りのビジネス』を継続するために、実際には時間を稼ぐことを目的としているだけだ」と皮肉な見方をする人もいるかもしれない。

しかし、現在では、米国の監視法が存在しないかのように振る舞う戦略には、大きな法的リスクが伴う。

これもまたシュレムス氏の発言だが「フェイスブックとグーグルがEUの顧客にデータ責任について積極的に警告しない場合、法的責任の枠内に入る可能性があります」と先月のEU最高裁の判決について指摘している。「裁判所は、米国側のデータ受信者がこれらの集団監視法に該当する場合、SCCを使えないことを明確にしました。米国企業はまだEUの顧客にその逆の論理で説得しようとしているようですが、これは誤っています。SCCの下では、米国でのデータ受信者はEUからのデータ送信者にこれらの法律を通知・警告しなければなりません。これを怠ると、該当する米国企業は実際に金銭的な損害を被った場合に責任を負うことになります」と説明する。

noybのプレスリリースにもあるように、GDPRの罰則制度はEU側のデータ送信者と米国側の受信者の世界的な売上高の4%にもおよぶ可能性がある。

クラウドファンディングで資金を募ったnoybは、EUの規制当局に行動を起こすよう圧力をかけ続けることを約束し、EUのデータ処理業者に米国のデータ転送の取り決めを見直すよう求め、「EU最高裁による明確な判決に適応する」ことを要求している。

ほかのタイプの法的措置も、GDPRの枠組みを利用し始めている。今月初めにオラクルとセールスフォースのトラッキングCookie使用に対する2つの集団訴訟が起こった。この集団訴訟に資金が集まったことに注目だ。TechCrunchがGDPRが2018年に発効されたときに記事にした(未訳記事)ように、訴訟が現実のものになりつつある。

米国の監視法とGDPRでEU最高裁による明確な判決が存在することで、データ処理の面ではすべて問題ないかのように見せかけたいと考えている米国の大手IT企業の利益は減少しそうだ。

なおnoybは、EUの諸機関が迅速な法的秩序の下でデータ処理を行えるようにするためのガイドラインやなども無料で提供(noybプレスリリース)している。

シュレムス氏は最新の訴えについて「我々は、いくつかのことを再調整するために時間が必要であるのは理解していますが、一部の企業が単にEUの最高裁判所の判決を無視しているように見えることは容認できません」とコメントを付け加えた。「この無視しているという事実は、ルールを遵守している企業に対しても不公平です。我々は、GDPRに違反した管理者および処理者、そして休眠状態ともいえるアイルランドのDPCように裁判所の判決を執行しない規制当局に対して、徐々に措置を講じていくつもりです」と続けた。

TechCrunchでは、アイルランドに拠点を置く法人が運営している思われるウェブサイトを対象とした最新のnoybの訴えに対してどのような措置を取るかを尋ねるため、アイルランドのDPCに連絡を取った。

フェイスブックのSCCの使用に対するシュレム氏の2013年の最初の訴えもまた、アイルランドで起こされた。米国のテック企業大手は同国にEU本部を設置することが多い。同氏がDPCにフェイスブックのSCC使用停止を命じるよう求めた要求は、約7年が経過しているほか5件の苦情が出ているにもかかわらず、いまだに実現していない。フェイスブックやグーグルのようなテック大手に対する国境を越えたGDPRの訴えが増加していることを考えると、当局は依然として何もしていないという非難に直面している。

アイルランドのDPCは、これらの主要なGDPRの訴えに対して、いまだに最終的な決定を下していない。しかし、規制当局が怠ってきたことを問い正す集団訴訟が準備されていることからも、DPCとすべてのEU規制当局がGDPRに準拠することを求める法的圧力は高まるばかりだ。

今夏の初め、欧州委員会はGDPRの運用開始から2年間のレビューの中で、GDPRの施行が一様に「積極的」に行われていないことを認めた(未訳記事)。

「欧州データ保護委員会(EDPB)とデータ保護当局は、より首尾一貫した、より実践的なガイダンスを提供することで、真の意味で共通の欧州文化を創造するための作業を強化しなければならない」と欧州委員会の価値観・透明性担当副会長であるVěra Jourová(ヴィエラ・ジョウロヴァ)氏は述べ、GDPRが機能しているかどうかについて、欧州委員会として初めて公開評価を実施した。

TechCrunchは、フランスの個人情報規制当局であるCNILにも連絡を取り、noybの訴えを受けてどのような行動を取るのかを尋ねた。

7月の判決を受けて、フランス当局はEDPBとともに「正確な分析を行っている」(CNILプレスリリース)と述べ、「判決がEUから米国へのデータ転送におよぼす影響について、できるだけ早く結論を出す」ことを目指していると述べた。

その後、EDPBのガイダンスが発表された。明らかなのはPrivacy Shieldに基づくデータ転送は「違法である」こと。そして、EU最高裁の判決はSCCの使用を無効にするものではないが、その裁定は、使用を継続するための非常に適切な許可を与えたにすぎない。

Techcrunchが先月報告したように、SCCを使用してデータを米国に転送できるかどうかは、データ管理者が「米国の法律が転送されたデータの適切な保護レベルに影響を与えない」という法的保証を提供できるかどうかにかかっている(未訳記事)。

「SCCに基づいて個人データを移転できるかどうかは、移転の状況を考慮した評価の結果、および実施することができる補足的な措置に依存する」とEDPBは付け加えた。

画像クレジット:Artur Debat / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Google Cloud Platformがアマゾンを抜きオンライン小売業におけるクラウドインフラストラクチャのトッププロバイダーに

Google Cloud Platform(グーグル・クラウド・プラットフォーム、GCP)は、昨年来勢いを増しているものの、クラウドインフラストラクチャ市場では、AmazonとMicrosoftに大きく引き離された第3位(未訳記事)の地位にまだ留まっている。しかしGoogle(グーグル)にとって喜ばしいことに、調査会社Canalysが米国時間8月17日に公開したレポートによれば、GCPが小売業界におけるクラウドプラットフォームプロバイダーとして、トップの座についたという。

Canalysは具体的な数値を提供していないが、そのレポートによれば、小売セクター全体の市場での順位は、Microsoft(マイクロソフト)が2位、Amazon(アマゾン)が3位、そしてAlibaba(アリババ)とIBMがそれぞれ4位と5位と報告されている。

画像クレジット:Canalys

グーグルが小売に注力したのはおそらく偶然ではない。そもそもAmazon.comが小売業者たちと直接競合するため、多くの小売業者はAWSにクラウドの主力を置くことを望んでいない。CRM Essentialsの創業者で主任アナリストであるBrent Leary(ブレント・リアリー)氏は、このレポートは彼を驚かせるものではないと語っている。

「小売業者はアマゾンと競争する必要があります。AWSを使うことで、最終的には彼らの敵となりかねないアマゾンの新しい動きや実験に資金を提供することは、小売業者が最も避けたいことだと思います」とリアリー氏はTechCrunchにいう。さらに彼は、多くの小売業者は自分の顧客データをアマゾンのサービス上から除外しておきたいだろうとも語った。

CanalysのシニアディレクターであるAlex Smith(アレックス・スミス)氏は、このアマゾン効果がパンデミックやその他の技術的要因と組み合わされて、少なくとも小売業界においてはグーグルに有利に働いていると述べている。「これまで以上に小売業者は、特にアマゾンがオンラインで優勢な中で、オムニチャネル世界での勝利をつかむために独自のデジタル戦略を必要としているのです。デジタルは顧客体験からコスト最適化に至るまで、あらゆるところに適用されています。小売業者にとって、自身の全体的な技術的能力がその成功を左右するのです」と彼は語る。

新型コロナウィルス(COVID-19)により、多くの小売業者が長期間にわたる店舗を閉鎖を余儀なくされてきた。これが店舗を再開しても店内に入ることに消極的である人びとと組み合わさることで、これまでオンラインに注力していなかった小売業者は、eコマースを短期集中で立ち上げる必要に迫られることになったのだ。

Canalysは、グーグルが純粋なインフラストラクチャ製品だけでなく、広告や検索機能で顧客を魅了し、他の強みも利用してこの市場セグメントを拡大しているのだと指摘している。

こうした状況を認識したグーグルが、Salesforce(セールスフォース)との大規模なパートナーシップや、2019年のGoogle Cloud Nextで発表された特定の製品などで、小売業界を強力にプッシュを行ってきたのだ。私たちはその小売業向けの製品について次のように書いている

そのためにグーグルは、オンラインのリテイラー専用のサービスeCommerce Hostingを提供する。この特別プログラムでリテイラーは、技術的なレビューやピーク時のオペレーションのサポートなど、行き届いた世話をしてもらえるという。つまり小売企業のサイトが需要増でダウンしたときでも、損失の大きい惨憺たる結果が出ないようにする。

さらにCanalysは、Google Cloudは人材採用も積極的に行い、大手システムインテグレーターとのパートナーシップを構築して小売ビジネスの成長を支援していると報告している。そうした小売顧客には、Home Depot(ホーム・デポ)、Kohl’s(コールズ)、Costco(コストコ)、Best Buy(ベスト・バイ)などが含まれる。

関連記事:Even as cloud infrastructure growth slows, revenue rises over $30B for quarter(未訳記事)

カテゴリー:ネットサービス

タグ:Google Google Cloud

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(翻訳:sako)