ブルーカラーに特化したHRテック企業のSenseにソフトバンク・ビジョン・ファンド2が出資

Sense(センス)は、世界最大級の人材派遣会社や人材紹介会社がタイムリーに人材を見つけて採用するための支援を行うHRテックのスタートアップ企業だ。同社が新たな資金調達ラウンドで評価額を5億ドル(約565億円)に拡大したと、関係者がTechCrunchに語った。

サンフランシスコに本社を置くこのスタートアップは、シリーズDの資金調達ラウンドで5000万ドル(約56億5000万円)を調達したという。SoftBank Vision Fund 2 (ソフトバンク・ビジョン・ファンド2)が主導したこのラウンドは、創立から5年半の間にSenseが調達した資金の総額を9000万ドル(約101億7000万円)に押し上げた。シリーズCラウンドを終了してからわずか6カ月で、同社の評価額が何倍にもなったことがTechCrunchの取材で明らかになった。

Senseは、ブルーカラーの労働者の要求に応えることに注力し、企業が人材のライフサイクル全体を管理することを支援する。

ナレッジワーカー(知識労働者)の採用には半年もかかることがあるが「倉庫の梱包作業者を雇用するような世界では、企業はその日中にその人を入社させる必要に迫られています」と、Senseの共同設立者であり最高経営責任者であるAnil Dharni(アンリ・ダルニ)氏はTechCrunchによるインタビューで説明した。同氏は、評価額についてはコメントを避けた。

現在、プロフェッショナルソーシャルネットワークなどの採用プラットフォームの大半は、知識労働者向けに設計されていると、ダルニ氏はいう。「しかし、Uber(ウーバー)のドライバーやAmazon(アマゾン)の倉庫作業員のような人々に、そのようなプラットフォームは関係ありません」と同氏は述べ、課題を表現した。

人材の適格審査に、自動化や人工知能、パーソナライゼーションを活用しているというこのスタートアップ企業は、600以上の企業を顧客に持ち、Amazon、Sears(シアーズ)、Vaco(バコ)、Kenny(ケニー)などの企業が、Senseプラットフォームを使って採用規模を拡大しているという。

Senseの顧客は同社のプラットフォームを利用することで、選考できる候補者の数が平均で263%増加し、採用にかかる時間が最大で81%短縮されたと、Senseは社内数値を引用して述べている。

「今回の資金調達は、今日の売り手市場の世界で、パーソナライズされた人材エンゲージメントの必要性を検証するというだけでなく、私たちが将来の仕事の形を変える手助けをするために、当社のプラットフォームをグローバルに加速させるものです」と、ダルニ氏は述べている。

Senseは、チャットボットをはじめとするさまざまなサービスを提供しており、企業が雇用慣行からバイアスを取り除くのに役立っていると、ダルニ氏は語る。

ダルニ氏によれば、この1年半の間に、同社のプラットフォームは医療従事者の雇用にも利用されるようになっているという。

ダルニ氏は前職の会社で人材採用の課題に直面したことがきっかけで、Senseを起ち上げる着想を得たという。同氏は以前、ゲーム会社のFunzio(ファンジオ)を共同設立している。この会社はGREE(グリー)に2億1000万ドル(約238億円)で買収された。

「人材が企業を左右することを実感しました。適切な人々を集めることができなければ、その会社は成功しないでしょう。TAM(獲得可能な最大市場規模)やビジネスモデルがどうであるかは関係ありません」と、ダルニ氏は語った。

「このような認識のもと、私たちが次に起ち上げるスタートアップは、人材確保のためのソリューションを提供するものにしようと決めました」。

ダルニ氏によると、Senseは2000億ドル(約22兆6000億円)規模の機会を狙っているが、そのほとんどがまだ未開拓だという。

Senseは過去1年間で売上高と従業員数を2倍以上に増大させた。今後は、西ヨーロッパを含むいくつかの市場で事業を拡大していく計画であると、ダルニ氏は述べている。

SoftBank Investment Advisers(ソフトバンク・インベストメント・アドバイザーズ)のマネージング・パートナーであるSumer Juneja(シュメール・ジュネジャ)氏は、声明の中で次のように述べている。「私たちは、顧客の企業が質の高い人材をより早く見つけて採用できるようにするために、Senseのプラットフォームが重要な役割を果たすことは明らかだと確信しています。それを国内およびグローバルに拡大していくとともに、企業がどうやって優れたチームを作り競争するかを、積極的に変革していく彼らの能力に疑いの余地はありません」。

画像クレジット:Sense

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(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

シフトワーカーと雇用主をマッチングするマーケットプレイスShiftsmartが107億円獲得

先に始まったホリデーショッピングシーズンの結果はいまひとつだったが、雇用主は依然として労働者を切望している。

The Great Resignation(大退職時代)」の影響もあり、労働市場が逼迫していることから、雇用可能な労働者と雇用主と結びつける、テクノロジーを駆使したツールの必要性が高まっている。

ニューヨークを拠点とする労務管理会社Shiftsmart(シフトスマート)は、投資家の関心をひき、シリーズBで9500万ドル(約107億円)を獲得した。同社は、さまざまな業種や仕事の時間給労働者を、空きがあるシフトとマッチングする労働力管理ソフトウェアを提供している。

2015年の創業以来、同社は50カ国以上で50万人以上の労働者のネットワークを築いてきた。労働者は、働く場所、働く量、給料を受け取るまでの期間を柔軟にコントロールでき、雇用者は、人材ニーズをカスタマイズして離職率を下げることができる。

「需要側にはすでにさまざまな要素が存在していましたが、供給側、つまり労働者にこそイノベーションがあると考えました」とShiftsmartの創業者でCEOのAakash Kumar(アーカシュ・クマール)氏はTechCrunchに話した。「私たちは、ソフトウェアを扱いやすくしました。ユーザーは、プロフィールの作成やアプリの起動ができますし、好きなときに作業できます。ギグエコノミーはポイント・ツー・ポイントの物流でした。私たちがこれから進めるのは、自分のスケジュールをコントロールできるようにすることです」。

今回の資金調達により、Shiftsmartの調達総額は1億1700万ドル(約132億円)となった。今回のラウンドは、D1 Capitalがリードし、Imaginary Ventures、Spieker Partners、Oakridge Management Group、S12Fの他、業界の経営幹部層や組織が参加した。

S12FのマネージングパートナーであるJeff Leventhal(ジェフ・レベンタール)氏は、労働者のエンパワーメントと待遇を信奉している。Shiftsmartのアプローチは、労働者の1日の中に柔軟性をもたらすだけでなく、さまざまな企業や役割で働く機会を与えてくれると考えている。

「『午後2時に出社しないとクビ』というようなシフトワークの日々は、もはや時代遅れの概念なのです」と同氏は話す。

「正しく対処するのが難しいことの1つに、ユーザーエクスペリエンスがあります。Shiftsmartは世の中の標準を設定します」と付け加えた。「この会社は独自の方法で正しく始めました。マーケットプレイスを構築し、機能させるのは難しいことですが、同社のテクノロジーは、雇用者と被雇用者の双方に柔軟性をもたらします」。

Shiftsmartの顧客リストには、Circle K、Humana、Deloitte、Airbnb、Small Business Administrationなどが名を連ねる。同社は約3年前にベンチャーキャピタルから資金を調達したが、売上高が毎年2〜3倍のペースで増加したため、新たな資金調達を検討する時期を迎えたとクマール氏は述べた。特に最近では、雇用者が労働力不足に直面していることもある。

「私たちは、雇用主に仕事をシフトレベルまで分解してもらい、市場全体の規模を拡大する手助けをしています」とクマール氏は付け加えた。「週40時間働いて2週間ごとに給料をもらう人を見つけるよりも、週に数回、3時間のシフトに入ってくれる人を見つける方が、はるかに確率は高いでしょう」。

今回の資金調達は、監査と契約、小売、国際物流などの新しい業種への拡大と、ヘルスケアなどの新しい業種への進出に充てられる。また、追加の採用も行う。現在の従業員数は60人で、1年前の約30人から増加した。

人材紹介のために開発されたテクノロジーの多くは、知識労働者を中心としたものだったが、Shiftsmartのように時間給労働者に焦点を当てる企業も、最近では投資家の注目を集めている。

例えば、11月には、シフト登録のためのメッセージングプラットフォームWhen I Workが2億ドル(226億円)という巨額のラウンドを完了した他、レストラン従業員向けツールのFountainSeasonedがそれぞれが8500万ドル(約96億円)と1870万ドル(約21億円)を獲得した。2021年の初めには、Homebaseが7100万ドル(約80億円)を調達し、ホームサービスのプロに特化したWorkizが1300万ドル(約15億円)を調達した。

こうした競合他社や、自社で時間給労働者を管理する企業がある中で、クマール氏は、Shiftsmartの差別化のポイントは、顧客との提携方法だと話す。顧客はShiftsmartの労働力と自社の労働力のいずれに関しても、このプラットフォームを利用することができる。

「今はこのビジネスにとってエキサイティングな時期です。世界的な労働力不足は危機的状況になっています」とクマール氏は付け加えた。「私たちの主な焦点は、需要をに応えるためにオペレーションをいかにスケールアップするか、そして労働者の行動をもっと学び、よりユニークな体験を生み出すことです」。

画像クレジット:picture alliance / Getty Images

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(文:Christine Hall、翻訳:Nariko Mizoguchi

正社員としての契約を与えることでフランスのフリーランサーに安定をもたらすJump

フランスのスタートアップJump(ジャンプ)は、アンブレラ型企業(一時的な契約業務に従事するエージェント契約者を雇用する会社のこと)の業界を破壊しようとしている。それら企業は、従来のフリーランスの仕事に新たに代わるものを提供している。彼らは労働者を正社員として雇用することで、労働力の安定性と正社員契約のメリットを得ることができる。しかし、労働者は独立性を保ち、複数のクライアントと仕事をしたり、自分で直接契約を交渉したりすることができる。

Jumpが従来のそれら企業と異なるのは、既存のサービスよりもはるかに低コストで、より自動化されている点だ。ユーザーは自動でアカウントを作成でき、最初の請求書も自動で送信されるため、Jumpのスタッフと話す必要もない。

登録すると、クライアントに自分への直接支払いではなく、Jumpへ支払いをするよう依頼し始めることができるようになる。ユーザーはいつでも未払いの請求書や、Jumpのアカウントにある金額を確認することが可能だ。

Jumpのユーザーは、給与明細書を作成し、給与を受け取ることができる。また、フランスの通常の正社員契約なので、国民健康保険制度に登録され、老後の生活資金を貯めることもできるのだ。顧客との関係がうまくいかない場合は、法定合意解約を申請し、失業手当を受ける権利を得られるようになる。

同社は、Index Ventures(インデックス・ベンチャーズ)を中心に450万ドル(約5億1200万円)のシードラウンドを実施した。Kima Ventures(キマ・ベンチャーズ)と16人のエンジェル投資家もこのラウンドに参加しており、Nicolas Brusson(ニコラス・ブルソン)氏、Hanno Renner(ハンノ・レナー)氏、Laurent Ritter(ローラン・リッター)氏、Thibaud Elziere(ティボー・エルジエ)氏などが名を連ねている。

従来のアンブレラ型企業は、年間売上高の一部を徴収する。価格はさまざまだが5%、7%、場合によっては10%になることもある。例えば、Jumpの共同設立者でありCEOのNicolas Fayon(ニコラス・フェイヨン)氏は、かつてITGに勤務していたが、ITGでは売上に対して6%から8%の手数料を徴収していた。また、ITGにさらに2%の追加料金を支払うことで、経費を管理し、給与を最適化することもできる。

Jumpは現在、月額79ユーロ(約1万円)の定額制でサービスを提供している。顧客は、Axa(アクサ)の社会人・個人向け生命保険、Alan(アラン)の健康保険、フリーランスマーケットプレイス(Malt、Talent.io、LeGratin)、その他いろいろなサービス(Simbel、Secret、HelloPrêt)など、サードパーティのサービスにもアクセスすることができるようになる。

これまでに、Jumpは何百人ものフリーランサーと仕事をしてきた。これまでの請求は300万ユーロ(約3億8400万円)にのぼる。開発者、不動産業者、ドライバーなど、多くのフリーランサーがこの製品の恩恵を受けることができるだろう。また、フランスに子会社を作りたくない外資系企業でリモートワークをしている人たちにとっても特に便利なため、アンブレラ型企業にとっては大きな市場機会があるだろう。

画像クレジット:Romain Dancre / Unsplash

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(文:Romain Dillet、翻訳:Akihito Mizukoshi)

クロスビット、シフト管理SaaS「らくしふ」内から特定曜日・時間帯の人材募集を直接かけられる新サービス「らくしふワーク」開始

シフト管理SaaS「らくしふ」運営のクロスビットが事業拡大を目的に2億円調達

シフト管理SaaS「らくしふ」運営のクロスビットは11月22日、シフト管理システムから特定の曜日と時間帯の人材募集を直接かけることができる新サービス「らくしふワーク」を開始したと発表した。これにより、シフト管理システムからワンストップで、費用や工数をかけることなくシフトが埋まりにくい曜日や時間帯の人材募集が可能になる。企業向けURL候補者向けURLが用意されている。

らくしふは、LINEを用いて「シフト管理の効率化」と「従業員の最適配置」で利益を最大化するというシフト管理ツール。2017年8月から提供開始。導入店舗数は1万2000店舗以上を突破している(2021年11月18日時点)。

らくしふワークは、業界初のシフトベース採用に特化したサービスで、曜日や時間帯などを細かく設定した採用募集が可能。らくしふ導入済み企業は、らくしふワークのアカウントをらくしふにおいて設定することで利用できるようになる。

システムで可視化された定常的な人員不足の枠を基に募集開始できるため、従業員採用後に希望の曜日・時間帯と合わなかったなどシフトのミスマッチを解消可能。応募・面接を経て、採用となった場合のみ1名あたり7700円(税込)の採用決定報酬が発生し、そのまま継続勤務となれば適正な人材獲得につながり採用の効率化やコスト削減も実現できる。

また非正規雇用・パート・アルバイトなどの被雇用者側は、常に空いているスキマ時間に合致するような長期で働ける企業を見つけられるとしている。自身の希望シフトで収入向上が図れるという。LINEのみでシフト提出・勤務予定などを管理できる(DX化が進んでいる働きやすい職場を探せる)ほか、複数の勤務先のシフトをらくしふで管理可能になる点もメリットとして挙げている。

ジョブシェアリングの人材をマッチングするマーケットプレイス「Roleshare」が約6300万円を調達

共同創業者、共同CEOのRoleshare – Dave Smallwood(ロールシェア・デイブ・スモールウッド)氏とソフィー・セターレ・スモールウッド)氏、CPOのPolly Howden(ポリー・ハウデン)氏、CTOのAhmad Mousavi(アフマド・ムーサビ)氏

現代の雇用動向や、パンデミックの影響もあり、従来のフルタイム雇用とフリーランスの間のギャップが大きくなっている。いわゆる「ジョブペアリング」は、フルタイムのポジションを2人で分割し、当事者のキャリアの継続性を犠牲にすることなく労働時間を短縮するというものだ。

Roleshare(ロールシェア)は、プロフェッショナル同士をマッチングする人材マーケットプレイスで、2人が1つのフルタイムの仕事に応募して共有することができる。Roleshareは、グローバルなロールシェアリング市場を構築するために、英国のスーパーエンジェル投資家を中心に55万ドル(約6300万円)以上のプレシード資金を調達しており、現在は「大規模な複数セクターの組織」との提携を開始することになった。

同社のアイデアは、企業が優秀な人材を維持すると同時に、新しい人材を獲得することができるというものだ。

Roleshareの共同創業者であり、共同CEOであるSophie Setareh Smallwood(ソフィー・セターレ・スモールウッド)氏は、電話で私にこう語ってくれた。「ジョブシェアリングは、以前から存在していました。女性が仕事に積極的に参加するようになった70年代に普及し始めました。民間企業ではこれまで、子育てとの両立など、限定的な目的で行われてきたことです」。

戦略的な役割を担う上級職は、実際には「パートタイムで働く」ことができないため、ジョブシェアリングが興味深い解決策になると彼女は話してくれた。

「しかし、簡単に解決できるものではありませんよね?2人の人間が一緒になって仕事の責任を分担するというのは、対人関係の要素がありますからね」。

Roleshareは、企業が自社の職務を「ジョブシェア」できるかどうかを調べ、候補者をマッチングすることで、これらを簡単に実現できるとしている。個人が自分の仕事を追加するのは無料(明らかに企業への「トロイの木馬」)だが、企業が追加するのは有料だ。つまり、一部の職務をジョブシェアにしようとしている企業にとって、人材の流動性を提供していることになる。

同社は、ワークライフバランスや仕事上のストレスを軽減することができるため、ジョブシェアをしている従業員はしていない従業員よりも30%生産性が高いという英国の研究結果を引用している。また、企業内の多様性やスキルを高め、ビジネスの継続性を高めることができるという。

「私たちのソリューションは、MIT Sloan Management Reviewで『第3の道』と評されました」とスモールウッド氏はメールで教えてくれた。

また「競合状況は幅広い(タレントマーケットプレイス / フレキシブルワーキング/ ナレッジワーカー+ギグエコノミー)」が「tandemploy(タンドゥエンプロイ)、duome(デュオーム)、jobpairingなどの一部のプレイヤーを除いて、直接的な競合企業はあまり多くありません」と付け加えた。

世界経済フォーラムによると、2027年には労働力の50%がフリーランスになると言われている。MIT Sloan Management Review/Deloitte(デロイト)の調査によると、経営者の約90%が外部の労働者を労働力の一部と考えているという。

また、セターレ・スモールウッド氏は「私たちをユニークにしているのは、私たちのチーム(元PayPal、Facebook、ebay)、そして私たちのストーリーです。Roleshareは、私が必要としていたときには存在していなかったので、それを構築するためにFacebookを辞めました。当社は、企業が社内外で特定の役割を担う人材をペアで調達できる唯一の人材マーケットプレイスであり、当社のプラットフォームは双方の人材をマッチングさせ、共同で応募して役割を共有します。また、人材が自分の既存の仕事をシェア可能な状態で掲載することで、ダイレクトソーシングの形をとることができるのもユニークな点です」。と付け加えた。

Roleshareは、Ian Hogarth(イアン・ホガース)氏、Azeem Azhar(アゼム・アジャール)氏、Gabbi Cahane(ギャビ・キャハーン)氏、Brendan Gill(ブレンダン・ギル)氏、Thish Nadessan(ティシュ・ナデサン)氏など、ヨーロッパの多くのエンジェル投資家が支援している。

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(文:Mike Butcher、翻訳:Akihito Mizukoshi)

ジョブシェアリングの人材をマッチングするマーケットプレイス「Roleshare」が約6300万円を調達

共同創業者、共同CEOのRoleshare – Dave Smallwood(ロールシェア・デイブ・スモールウッド)氏とソフィー・セターレ・スモールウッド)氏、CPOのPolly Howden(ポリー・ハウデン)氏、CTOのAhmad Mousavi(アフマド・ムーサビ)氏

現代の雇用動向や、パンデミックの影響もあり、従来のフルタイム雇用とフリーランスの間のギャップが大きくなっている。いわゆる「ジョブペアリング」は、フルタイムのポジションを2人で分割し、当事者のキャリアの継続性を犠牲にすることなく労働時間を短縮するというものだ。

Roleshare(ロールシェア)は、プロフェッショナル同士をマッチングする人材マーケットプレイスで、2人が1つのフルタイムの仕事に応募して共有することができる。Roleshareは、グローバルなロールシェアリング市場を構築するために、英国のスーパーエンジェル投資家を中心に55万ドル(約6300万円)以上のプレシード資金を調達しており、現在は「大規模な複数セクターの組織」との提携を開始することになった。

同社のアイデアは、企業が優秀な人材を維持すると同時に、新しい人材を獲得することができるというものだ。

Roleshareの共同創業者であり、共同CEOであるSophie Setareh Smallwood(ソフィー・セターレ・スモールウッド)氏は、電話で私にこう語ってくれた。「ジョブシェアリングは、以前から存在していました。女性が仕事に積極的に参加するようになった70年代に普及し始めました。民間企業ではこれまで、子育てとの両立など、限定的な目的で行われてきたことです」。

戦略的な役割を担う上級職は、実際には「パートタイムで働く」ことができないため、ジョブシェアリングが興味深い解決策になると彼女は話してくれた。

「しかし、簡単に解決できるものではありませんよね?2人の人間が一緒になって仕事の責任を分担するというのは、対人関係の要素がありますからね」。

Roleshareは、企業が自社の職務を「ジョブシェア」できるかどうかを調べ、候補者をマッチングすることで、これらを簡単に実現できるとしている。個人が自分の仕事を追加するのは無料(明らかに企業への「トロイの木馬」)だが、企業が追加するのは有料だ。つまり、一部の職務をジョブシェアにしようとしている企業にとって、人材の流動性を提供していることになる。

同社は、ワークライフバランスや仕事上のストレスを軽減することができるため、ジョブシェアをしている従業員はしていない従業員よりも30%生産性が高いという英国の研究結果を引用している。また、企業内の多様性やスキルを高め、ビジネスの継続性を高めることができるという。

「私たちのソリューションは、MIT Sloan Management Reviewで『第3の道』と評されました」とスモールウッド氏はメールで教えてくれた。

また「競合状況は幅広い(タレントマーケットプレイス / フレキシブルワーキング/ ナレッジワーカー+ギグエコノミー)」が「tandemploy(タンドゥエンプロイ)、duome(デュオーム)、jobpairingなどの一部のプレイヤーを除いて、直接的な競合企業はあまり多くありません」と付け加えた。

世界経済フォーラムによると、2027年には労働力の50%がフリーランスになると言われている。MIT Sloan Management Review/Deloitte(デロイト)の調査によると、経営者の約90%が外部の労働者を労働力の一部と考えているという。

また、セターレ・スモールウッド氏は「私たちをユニークにしているのは、私たちのチーム(元PayPal、Facebook、ebay)、そして私たちのストーリーです。Roleshareは、私が必要としていたときには存在していなかったので、それを構築するためにFacebookを辞めました。当社は、企業が社内外で特定の役割を担う人材をペアで調達できる唯一の人材マーケットプレイスであり、当社のプラットフォームは双方の人材をマッチングさせ、共同で応募して役割を共有します。また、人材が自分の既存の仕事をシェア可能な状態で掲載することで、ダイレクトソーシングの形をとることができるのもユニークな点です」。と付け加えた。

Roleshareは、Ian Hogarth(イアン・ホガース)氏、Azeem Azhar(アゼム・アジャール)氏、Gabbi Cahane(ギャビ・キャハーン)氏、Brendan Gill(ブレンダン・ギル)氏、Thish Nadessan(ティシュ・ナデサン)氏など、ヨーロッパの多くのエンジェル投資家が支援している。

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(文:Mike Butcher、翻訳:Akihito Mizukoshi)

780社以上が利用、企業の福利厚生で使えるAI恋愛ナビAill goenが全国版・九州版に続き関西エリアでもサービス開始

企業の福利厚生で使えるAI恋愛ナビAill goenが全国版・九州版に続き関西エリアでもサービス開始Aill(エール)は11月15日、企業の福利厚生サービスとして利用可能なAI縁結びナビゲーションアプリ「Aill goen」(旧Aill)の全国版九州版に加え、同日より関西版を開始することを発表した。これにより、これまでの関東、九州、東北に加えて対象地域が拡大する。

Aillは、ウェルビーイング(=心も身体も健康な状態)が浸透する社会を目指し、幸福度の高い「ワークライフシナジー」を実現する一助として、公的・私的承認が満たされる重要性に着目。公的承認は、仕事(ワーク)などの社会活動によって得られるものの、仕事をがんばることでプライベートの時間・出会いの機会が少なくなり、パートナーシップや家族との関り(ライフ)によって得られる私的承認が満たされにくいという状況が課題となっているという。

そこで同社は、勤務先企業を通じて審査を受けた安心・安全なユーザーが集まるコミュニティを形成し、AIが出会いとコミュニケーションに伴走することで、信頼をともに育むライフパートナーの縁結びを提供している。Aill goenにより、社外の良縁とAIのテクノロジーの力で先の課題を解決すると同時に、社員の幸福度向上をアシストするという。

Aill goenは、福利厚生サービスとしてAillと提携した企業の独身社員のみが利用可能。社員の「ワーク」だけでなく「ライフ」もサポートする福利厚生サービスとして、現在780社以上の企業に利用されている。Aill goenには、生活サイクルやキャリアプランを軸に価値観が近い相手をAIが探す「紹介ナビゲーション」、AIがチャットをアシストする「会話ナビゲーション」、相手の好感度をAIが可視化する「好感度ナビゲーション」の機能を搭載。無料のトライアルプランのほか、紹介人数とチャット人数が充実した有料のスタンダードプランが用意されている。企業の福利厚生で使えるAI恋愛ナビAill goenが全国版・九州版に続き関西エリアでもサービス開始

「AIでウェルビーイングな社会をつくる」をミッションに掲げるAillは、今回のサービス地域の拡大により、利用者のさらなる良縁サポートに貢献したいという。

 

従業員の福利厚生として学生ローンの返済に力を入れるGoodlyには追い風

写真はCEOのグレゴリー・プーリン氏(左)と、共同設立者でGoodlyのCTOであるヘマント・ヴァーマ(右)(画像クレジット:Goodly)

創業3年目のサンフランシスコに拠点を置くスタートアップGoodly(グッドリー)は、5人のチームと、2019年に確保した150万ドル(約1億7000万円)という限られた資金、最近では、長年人事を担当し、Airbnb(エアービーアンドビー)で従業員体験のグローバルヘッドを務めたBeth Axelrod(ベス・アクセルロッド)氏から得た非公開の資金で着実に事業を展開している。

企業が従業員の福利厚生として学生ローンの非課税返済を提供することをとにかく簡単にすることを目指している同スタートアップは、収益性が高い。同社は、保険会社のNFPや大手のWillis Towers Watson(ウィリス・タワーズ・ワトソン)など、数多くのブローカーと独占的な関係を築いている。しかし、企業がリモートワークや従業員のメンタルヘルスを維持することに必死になっていたパンデミックの間、同社の製品は必ずしも注目されてこなかった。

2022年が近づくにつれ、この状況が変わるかもしれない。それには2つの理由がある。1つは、2021年の統合歳出法に規定されているもので、従業員1人あたり年間最大5250ドル(約59万円)まで、学生の借金返済のために雇用者が拠出できるというものだ。会社からの拠出金は、雇用主にとっては税控除の対象となるが、従業員にとっては課税所得から除外されるため、企業にとっては拠出金を支給する金銭的なインセンティブがより大きくなるようだ。

2つ目に、何百万人もの学生ローンの借り手に対して20カ月以上にわたって一時的に学生ローンの支払いを猶予してきた学生ローン救済措置が1月31日に終了するため、2月からは連邦政府のローンの支払いが通常の(そして通常よりも厳しい)金利で再開されることになる。これは、しばらく棚上げにされていた問題が急に前面に出てくることを意味しており、競争の激しい雇用市場においては、企業は注意した方がいいかもしれない。

共同設立者でCTOのHemant Verma(ヘマント・ヴァーマ)氏とともに、Parker Conrad(パーカー・コンラッド)氏の会社Rippling(リッピング)の初期の従業員の一人であった、GoodlyのCEOであるGregory Poulin(グレゴリー・プーリン)氏は、彼らがさらに掘り下げることを決めた場合、説得力のある提案を持っている。今週初めにプーリン氏が私たちに語ってくれたように、5250ドル(約59万円)は大した額ではないように思えるかもしれないが、時間が経てば驚くほどの金額になる。

「私たちが担当している平均的な企業では、加入者1人あたり月に100ドル(約1万1300円)程度の拠出が最も一般的です」と1日あたりのコーヒー1杯分のコストに例えて語ってくれた。しかし、雇用者拠出金を学生ローンの元本に直接充当することで、問題となるローン期間中の複利の問題を解決することができる。

プーリン氏によると、一般的な返済期間は約10年だが、Goodlyは従業員のローン残高に応じて、その返済期間を3〜4年短縮することができるという。これは、我々が目にしているデータと完全に一致しているわけではなく、実際には返済期間は平均して20年近くになるが、Goodlyを利用することで1年でもローンの支払いを減らすことができれば、雇用主にとっては十分使える特典だ。

参考までに、このスタートアップの技術は非常に単純だ。Goodlyのユーザーにはそれぞれアカウントが与えられ、ダッシュボードで学生ローンを管理・追跡することができる。そこから従業員は、経済的な相談や、返済を最適化するための最良の戦略などのコンテンツにアクセスすることができるというものだ。

プーリン氏は、特に人気のある機能として、従業員が友人や家族を招待して、学生ローンのための寄付を行うことができることを挙げている。この機能は、クラウドファンディングと同様の機能で、親や祖父母が1回限りの寄付や定期的な寄付を行うことができるというものだ。「もちろん、その寄付者は、支払いが他のことに使われるのではなく、その学生ローンに向けられているという安心感を持つことができます」と彼は言う。

Goodlyは、2018年の立ち上げ直後にY Combinator(Yコンビネーター)を通過した。プーリン氏は、ダートマス大学在学中に実父が急死し、その後、8万ドル(約910万円)の学生ローンを借りなければならない状況に陥ったことが、この事業を立ち上げるきっかけになったという。

それから数年経った今でも、彼の支払いは月に900ドル(約10万円)以上になるそうだ。

残念ながら、ほかにも似た問題を抱える多くの仲間がいる。昨年の時点で、米国には4500万人の債務者がいて、その合計額は1兆6000億ドル(約182兆円)近くにのぼり、そのうちの多くの人にとって、学生ローンの返済は大きな負担となっている。「学生ローンを抱えている人は、多くの意味で二流の市民であるという二層構造の職場を作っているのです。なぜなら、30歳になると、学生ローンを抱えている人の退職金の額は、学生ローンを抱えていない人の半分程度になってしまうからです。」とプーリン氏は語る。これにより住宅購入や結婚、出産を遅らせる原因になっている。

Goodlyが展開を進め、2022年に学生ローンが再び注目を浴びるようになれば、より多くの企業がこの問題を認識し、従業員がこの悪循環を緩和できるよう、より多くの支援を行うようになると考えられる。

[原文へ]

(文:Connie Loizos、翻訳:Akihito Mizukoshi)

人材管理を自動化する中国のHRテックスタートアップMokaが約113億円を調達

人材管理をソフトウェアで容易にしたいと考えている、中国で6年目のスタートアップのMoka(モカ)は、米国時間11月2日、1億ドル(約113億円)のシリーズCラウンドを獲得したと発表した。

本スタートアップは、採用から既存の社員の維持まで、人材管理の全プロセスを自動化することを目指している。例えば、採用候補者からの面接後のフィードバックを自動的に収集し、その情報をデータベースに保存することができる。また、社員が履歴書に変更を加えると、新しい機会を検討していることを示唆する注意を雇用主側に知らせることができる。

今回の投資は、Tiger Global(タイガー・グローバル)が主導し、Blue Lake Capital(ブルー・レイク・キャピタル)、Hillhouse Capital(ヒルハウス・キャピタル)のアーリーステージ部門であるGL Ventures(GLベンチャーズ)、GSR Ventures(GSRベンチャーズ)、GGV Capital(GGVキャピタル)が参加した。

今回のラウンドは、MokaがシリーズBラウンドで4300万ドル(約48億8300万円)を調達してからちょうど1年後に行われた。同社は「ユニコーン」の地位を獲得したと述べているが、正確な評価額については公表していない。ゲームやショートビデオなどの消費者向けインターネットサービスが規制強化に直面する中、企業の生産性向上に貢献するスタートアップ企業への投資家の関心が高まっていることを反映しているのだろう。

Mokaは、Tencent(テンセント)、Xiaomi(シャオミ)、McDonald’s(マクドナルド)、Arm China(アーム・チャイナ)など、1500社以上の有料顧客を獲得しており、年間の継続率は110%を超えているという。スタンフォード大学の卒業生であるLi Guoxing(リー・グオクシン)CEOは、以前の講演で、Mokaの製品は中国のインターネット企業の間で特に人気があると主張していた。

画像クレジット:MokaのCEO、Li Guoxing

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(文:Rita Liao、翻訳:Akihito Mizukoshi)

【コラム】社員を逃さないよう壁で取り囲むことはできない ──離職率を下げる方法を考えてみた

私は15年間テック企業のCEOをしてきたのだが、人々がさまざまな理由で当社に入社したり退職したりするのを見てきた。しかしこの4カ月の退職者数が過去2年間の退職者数の合計を上回る事態となり、我社は50人の社員のうち20%近くを失ってしまった。このため残った社員たちには大きな負担がかかっている。

こうした事態を引き起こしている原因はなにか?昨今の労働力不足で、今多くの優秀な労働者に前例のないチャンスが到来している。彼らは他社へ移ることでより高い給料を得ることができるのだ。全国的に見て労働力が3500万人目減りしたのだが、これは1970年代以来初めてのことだ。雇用される側は、近年の中で一番と言ってよいほど強気の交渉をすることができる。

大手企業は全国規模で在宅勤務の社員を探している。彼らは、小規模な市場を主戦場とする小規模企業が従来支払ってきた給与の20~30%増しの給料をオファーすることもある。

我社では、テック業界では常である人材の引き抜きを避けるため、社風の醸成に力をいれ社員に手厚い投資をしてきた。パンデミック前でさえ、2016年に立ち上げられた社員持ち株制度を通して社員たちは会社の40%を所有していた。しかしパンデミックの期間中、私たちは給与や福利厚生が適切なものになるよう継続的にこれを調整してきた。

我社の主だった取り組みの1つは、従来社員育成のために取り置いてあった資金を、社員の学生ローンの返済に当てられるようにしたことだ。社員は今までほどには人材育成講座を取らなくなっており、多額の人材育成費が未使用のままになっていた。パンデミックが続くなか、人々は専門的な会議などに行く時間も意欲もなくし、またそもそもそういった会議も開催されていなかった。

この資金を別の用途に回すことができのは、あまり知られていない、新型コロナウイルス経済救済法 (CARES)の条項のおかげである。私たちは社員があるツイートを見たことがきっかけでこれを知ったのだが、雇用者は2020年から2025年までの間、社員の収入とはみなさない形で、一年に5,250ドル(約58万円)まで社員のために学生ローンの返済をすることができるのだ。

これが我社にとって適切なものであるかを確認するため、実施する前に社員調査を行ったところ、40~45人の社員のうち、20人がこの払い戻しプログラムで恩恵を受けることがわかった。これに自信を得て、私たちはプログラムの立ち上げに踏み切った。

まずは試験プログラムを開始し、毎年各社員に1200ドル(約13万円)を払い戻すことにした。これがうまくいったので、今度は1年間の支給額を2倍の2400ドル(約26万円)に引き上げた。このようにすることで、私たちは他の雇用者との差別化を図っている。米国人材管理協会によると、2019年時点でこうした学生ローン返済プランを実施している雇用主は全体の8%に過ぎないとのことである。

このようなプログラムを実施するにはある程度の準備が必要だ。内国歳入法の第127条に則った教育支援プログラム(EAP)を実施しなければならない。しかも、このプログラムは一握りの社員ではなく、社員全員を平等に利するものではければならない。学生ローンの無い社員が資金を利用できるようにするため、私たちは引き続き人材開発プログラムも同時に実施している。どの社員も同じ資金プールから人材開発にかかった費用の払い戻しを受けることができる。

幸いなことに、プログラムの立ち上げにはそれほど時間がかからなかった。調査を終えてから1カ月たたないうちに学生ローンに関する規則の草稿を作成し、公開して、社員に告知した。

プログラムを実施にあたっては、社員とのウィークリービデオ会議でそれを発表した。申請手続きもシンプルなものにし、社員は申請用紙1枚に記入すればよい。払い戻しを受けるには、ローンの支払い内容がわかる過去12カ月の学生ローンの請求書のコピーを提出する必要がある。その後、会社側で払い戻しの小切手を切る。

現在までのところ、このプログラムは大変好評である。私たちの業界の社員は多くが若手で、多額の学生ローンの支払いに苦労している。学生ローンの支払い免除は当社の社員が必要としているものなのだ。

このプログラムには他にも節税というメリットがある。社員は自らの連邦税と給与税の支払い分を節税でき、雇用者も給与税を節税し、提供した払い戻し額に等しい補償控除を受けることができる。

私たちは学生ローン払い戻しプログラムに大きな手応えを得ているが、これだけでは人材獲得競争に打ち勝つことはできないと思っている。社員が何を必要としているかを知るにはただ彼らの発言に耳を傾けるしかない。そこで、私たちはニーズの聞き取りに多大な時間を費やしている。

社員の生活費への懸念に応えるため、私たちは現在残留特別ボーナスと勤続10年ボーナスの支給を検討している。問題は、私たちのような小さな企業がこうしたボーナスを支払うための資金をどこから捻出するかである。当社の顧客のほとんどは1年または2年契約を結ぶので、このようなプログラムを追加するには、料金の値上げをしなければならない可能性がある。料金の値上げをしたとしても、私たちの予算にその値上げの効果が現れるまでにはしばし時間がかかるだろう。

そうではあっても、私たちはクリエイティブな解決法を模索したいと思っている。社員には、私たちが手厚い配慮をしていることを知ってもらいたい。そうした配慮をするのは、それが正しい行いだから、というだけでない。社員が出勤する際ガゾリン代が払えるだろうかと心を煩わすことなく、最大限我社のために能力を発揮できるようにするためでもある。

社員が我社に腰を落ち着けてくれたら、今度はお金や福利厚生とは関係ないもの、つまりパンデミックの間に多くの人にとってより重要になった帰属意識や目的意識といったもので最高の人材を惹きつけられるようになりたいと願っている。

ここでは仕事は、単なる仕事以上のものだ。当社のように小さな会社では、全社員が大切な役割を担う。そして当社がいるような小さな街では、すべての雇用者が地域にとって重要な存在である。優れた人材が集いアイディアを交換し、人間関係を楽しみ、きついプレッシャーのかかるシリコンバレーの外で違いを生み出せるような場所を提供することで、こうしたことを求めている人々を持続的に惹きつけられたら、と考えている。

当社の社員は他社にまさる福利厚生や給与を得るだろう。しかし最終的には、こうしたものは、私たちが会社の繁栄と成長を維持を目指してたくさんの知恵を注ぎ込んで作り上げようとしている総合的な環境の一部にすぎないのだ。

編集部注:本稿の執筆者Delcie Bean(デルシー・ビーン)氏はParagus IT.の創業者兼CEO。

画像クレジット:Tetiana5 / Getty Images

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(文:Delcie Bean、翻訳:Dragonfly)

契約書・発注・請求のやり取りを一括管理可能な副業・フリーランス管理クラウドLansmartが8000万円のプレシリーズA調達

複業マッチングプラットフォーム「Another works」が1.6億円調達、AI技術活用しプロダクトの機能拡充

副業・フリーランス管理クラウド「Lansmart」(ランスマート)を提供するCloudBrainsは10月26日、プレシリーズAラウンドにおいて総額8000万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、リード投資家のPKSHA SPARX アルゴリズムファンド、またSMBCベンチャーキャピタル。今回のラウンドも含めた累計調達額は約1億4000万円となった。

調達した資金により、さらなる機能開発や、販売体制の強化を目指す。Lansmartにおける副業・フリーランス管理をより省力化・自動化するための機能開発を強化する。現在予定している機能としては、ビジネスチャットツールやクラウド会計サービス連携、人材評価、ダッシュボードといった機能があり、開発を進めているという。

また販売体制も強化し、準委任契約での業務委託パートナーの活用を進める中小企業をターゲットに、初年度100社の導入を目標として掲げている。各種外部サービスとの連携も進め、業務プロセスのさらなる効率化を目指す。

2019年7月設立のCloudBrainsは、「テクノロジーの力で “はたらく” をもっとなめらかに。」をミッションに掲げ、「はたらく」にまつわる非効率や摩擦をテクノロジーの力によってなめらかにし、「はたらく」人の価値ある時間、経済的豊かさ、精神的豊かさを増やすことに貢献するとしている。

Lansmartは、副業・フリーランスとの契約書・発注書・請求書のやり取りをクラウド上でスマートに⼀元管理できるサービス。業務委託パートナーごとの契約条件などのステータス情報を一元管理し、毎月の業務報告から請求書の作成と提出、承認までを一気通貫で行うことで、作業工数を1/2~1/4に削減可能という。

「ワーキングプアをなくす」無料オンラインキャリア相談サービス「CHOICE!」のCompassが2億円のシリーズA調達

オンラインでのキャリア相談サービス「CHOICE!」を提供するCompassは10月18日、シリーズAラウンドにおいて、第三者割当増資による2億円の資金調達を発表した。引受先は、はたらくFUND、マネックスベンチャーズ、田中邦裕氏(さくらインターネット代表取締役社長)。

調達した資金は、AIマッチング機能などの開発体制の強化、営業マーケティングチームの強化にあてる。これらにより、市場開拓に向けた自治体との連携、企業開拓のフォロー体制を整えるともしている。

CHOICE!はより多くのキャリア相談の機会と、ミスマッチの少ない就業機会を作ることを目的とするオンラインサービス。近年はコロナ禍により就業と転職の機会が減少する一方で、CHOICE!でのキャリア相談が増加しているという。相談後には「相談データを活かした転職活動」を提案する「CHOICE!+転職エージェント」の提供も行っているそうだ。これらプロダクトの実績が評価された結果、神戸市や京都市といった自治体での就労支援をDX化する取り組みも広げている。

2017年設立のCompassは「日本からワーキングプアをなくす」ことをミッションに掲げ、LINEアプリを活用し求職者と求人会社のマッチングを行なうスタートアップ。CHOICE!のほか、キャリアアップと働き方に役立つウェブメディア「WORLD Compass」や、LINEを活用したキャリア相談機能を搭載したデジタル母子手帳「Mother Helper」などを運用している。

中小企業向けHRプラットフォームPersonioが約306億円調達、人事業務プロセスの自動化にも進出

この20カ月間でHRテクノロジーはスポットライトを浴びてきた。新型コロナウイルス(COVID-19)で私たちの働き方が変わったことで、仕事環境において人を管理する方法も変わらなければならなかったからだ。米国時間10月11日、中小企業に特化してこの問題に対処する方法を提供し大きなビジネスを構築してきた、ミュンヘンを拠点とするスタートアップ企業であるPersonio(ペルソニオ)が、同社のサービスに対する強い需要を受け、次のステップに向けて2億7000万ドル(約306億円)の資金調達を発表した。今回のシリーズEにより、Personioの評価額は63億ドル(約7140億円)に跳ね上がり、現在ヨーロッパで最も価値のある人事関連のスタートアップ企業の1つとなっている。

今回の資金調達は、Greenoaks Capital Partners(グリーンオークス・キャピタル・パートナーズ)が主導し、新たな投資家であるAltimeter Capital(アルティメット・キャピタル)とAlkeon(アルキオン)も参加している。このラウンドには、Index Ventures(インデックス・ベンチャーズ)、Accel(アクセル)、Meritech(メリテック)、Lightspeed(ライトスピード)、Northzone(ノースゾーン)、Global Founders Capital(グローバル・ファウンダーズ・キャピタル)など、以前からの支援者も参加している。IndexとMeritechは、2021年1月に行われたばかりの同社の前回のラウンドを主導した。当時のシリーズDラウンドの評価額は17億ドル(約1920億円)で、10カ月で3.7倍に成長したことになり、Personioの成長の速さを物語っている。

関連記事:中小企業にHRプラットフォームを提供する独Personioが約130億円調達

Personioは現在、ヨーロッパの中小企業(通常、従業員数10~2000人)を対象に、採用・入社手続き、給与計算、欠勤管理などの主要な人事機能をオールインワンのプラットフォームで提供している。1月の時点では3000社だった顧客数は、現在5000社に達している。Personioは、今後もさまざまなツールを拡充していく一方で、CEOのHanno Renner(ハンノ・レナー)氏が「ピープルワークフローオートメーション(人事業務プロセスの自動化)」と表現する分野にも進出していく予定だ。

基本的にこれは、Personio以外のアプリケーションで行う人事関連の作業において、人事情報を自動入力したり、それらのアプリケーション内でアクションを起こしたりすることで、手作業では時間がかかっていた作業をスピードアップすることを目的としている。例えば、雇用契約書の作成・発行や、入社や退職時に特定のアプリへのアクセス権を切り替えるといったことが可能だ。

Personioのプラットフォームが、企業が大規模で多面的なプラットフォームを用意するのと同じように、中小企業のニーズに合わせて連携する一連のHRツールであり「中小企業のためのWorkday」と捉えられるとすれば、同社が現在追加している自動化ツールは、中小企業向けのUiPath(ユーパス)やServiceNow(サービスナウ)に対する答えだと捉えられるかもしれない。つまり、機械学習やロボティック・プロセス・オートメーションなどの技術を使って、人事関連のタスクに関わる忙しい反復業務を取り除くことができる。

「12ヵ月間取り組んできましたが、今では5000人のお客様にプロダクトをそのまま使っていただいて、そこから学んでいます」とレナー氏はインタビューで答えている。この問題の核心は、異なる領域にあるソフトウェアをより迅速に連携させることにある。例えば、内定者に契約書を発行する必要があるときに、ここで時間をかけてその内定者が別の会社で契約するようなことにならないに、また、解雇された従業員が会社のITシステムに侵入できるようなことがないようにする必要がある。「人事プロセスは人事部だけではありません。人事プロセスは人事にとどまらず、他の機能や部門にも影響を与えます。遅延は時間を無駄にするだけでなく、有害な結果をもたらす可能性があるのです」。

Personioはこれまで、中小企業向けの製品を開発することで、中小企業という収益性の高い顧客層を開拓してきた新興企業グループの一員であることをアピールしてきた。中小企業は、ヨーロッパだけでも2500万社以上あり、全企業の99%以上を占めている。しかし、中小企業はさまざまな業種や関心事によって細分化されており、IT予算も非常に少なかったり、もしくはまったくなかったりするため、見過ごされがちだ。

人事の世界では、それがさらに深刻な状態だったとレナー氏はいう。ほとんどの中小企業は、人事関連のデータをエクセルのスプレッドシートや、ただの紙で管理していたりする。「私たちが日々目にするのは、中小企業の70%が何らかのHRソリューションを持っていないという状況です」と彼はいう。

しかし、デジタルトランスフォーメーションが中小企業を完全に見過ごしていたわけではなく、先進的な中小企業は販売、財務、CRMソフトウェアを徐々に導入していきている。そしてその流れが人事に関する考え方にも「波及」してきていると彼はいう。

Personioは、このことが顧客に自動化を売り込む際にも役立つと考えている。一般的な中小企業では、平均して約40種類のアプリを使用しており、その多くが人事システムからのデータを必要としていると同社は推定している。Personioは、これらのアプリケーションに連動性を提供することで、これらのアプリケーションの動作を高速化することができると考えている。

同社にはまだまだ多くの成長余地が残っている。Personioが対象としている中小企業(従業員数10〜2000人)の数は170万社であり、これはまだ市場のごく一部に過ぎないからだ。

つまり、新しい自動化製品が軌道に乗るかどうかにかかわらず、Personioにはまだ成長の可能性が高いということであり、同社が必要とする前に都合よく調達された今回の資金は役に立つだろう。新技術の導入により、将来的には人事部門以外の中小企業にも自動化サービスを提供できる可能性が出てきたため、今回の評価額の大幅な上昇は、中小企業に人事部門を進出させるための大きなチャンスであると同時に、その多様化にも関係していると考えられる。

「小規模企業は欧州経済を支える存在ですが、従来の企業では長い間、十分なサービスを受けられず、見過ごされてきました。Personioは、従業員のライフサイクル全体にわたって人事業務プロセスを簡素化し、大手企業がもっていた機能を広く普及させ、生産性を一段階向上させてくれました」とGreenoaks(グリーンオークス)の創業者兼マネージングパートナーであるNeil Mehta(ニール・メータ)氏は語っている。「私たちは、世界有数のプライベート・テクノロジー企業の多くとパートナー関係にあることを幸運に思っていますが、Personioのチームは、まだ彼らのミッションに着手したばかりだと確信しています。「人事業務プロセス自動化」のカテゴリーを立ち上げることで、ヨーロッパ中の企業にさらに多くの価値を提供することができるでしょう。私たちは、Personioのスリリングなステージに参加できることを誇りに思うとともに、今後も末永くパートナーであり続けたいと思っています」。

長期的には株式公開も視野に入れているが、ここで強調したいのは、その「長期的には」の部分だ。Personioは現在5億ドル(約560億円)の資金を調達しているが、レナー氏は次のステップを考えるのは少なくとも18〜24ヵ月後だと述べている。「公開を急いでいるわけではありません」と彼は語っている。

画像クレジット:metamorworks / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、Akihito Mizukoshi)

技術面接プラットフォーム「Byteboard」がGoogleの社内研究開発ラボArea 120からスピンアウト

企業の採用プロセスにおいて対面の前に行う技術面接を、ウェブベースのものに置き換えるサービスのByteboard(バイトボード)が、Google(グーグル)からスピンアウトすることがTechCrunchの取材で明らかになった。Byteboardは、Googleの社内研究開発ラボ「Area 120」で生まれ、CEOのSargun Kaur(サルグン・カー)氏が率いてきた。今回の動きにより、ByteboardはArea 120のプロジェクトとしては初めて、Googleの外に出て独立した会社となる。Googleによると、これは例外であり、ルールに基づくものではないという。

Googleは、今回のスピンアウトが、既存のArea 120チームやグループの将来の戦略に影響を与えることはないと話している。同社の研究開発部門は、自社のビジネスチャンスを広げる可能性が最も高いプロジェクトへの資金提供に引き続き注力するという。

今回のスピンアウトに加え、ByteboardはCowboy Venturesなどから、1000万〜1500万ドル(約11億〜16億5000万円)の範囲で新たに投資を受けた。だが、これは「バイアウト」ではないと思われる。Googleは新会社の株式を保持し、共同創業者のカー氏とNikke Hardson-Hurley(ニッケ・ハードソン-ハーリー)氏が引き続き指揮を執ることになるからだ。

「Byteboardが過去3年間、GoogleのArea 120の中で成長し、見せてきた進歩を目の当たりにして感激しています」とGoogleの広報担当はTechCrunchに対して語った。「Byteboardのソリューションは、優秀な技術者を評価・採用するために必要なツールを、高成長企業に効率的かつフェアに提供しています。我々はサルグン、ニッケ、そしてByteboardチームの他のメンバーと引き続き仕事をしていくことを楽しみにしています」と述べた。

2019年に発足したByteboardの構想は、技術面接を退屈なものにせず、より効果的にするツールを開発するというものだった。チームは当時、現在のソフトウェアエンジニア面接のプロセスは、その人が日々のエンジニアの仕事をどれだけうまくこなせるかを判断するという点で、あまり機能していないことに気づいた。面接では、スキルの実用性よりも暗記力が問われるため、準備に時間とリソースをかけられる人が有利になることが多い。

画像クレジット:Byteboard

Byteboardは、候補者に実際のコーディング環境を提供し、Java、Python、Ruby、C++、C#、JavaScript(node.js)、Go、PHPなどのサポートされている言語の中から選択できるようにした。

ウェブベースの面接はHTML、CSS、JavaScriptで行われ、モバイル面接はSwift(iOS)とKotlin(Android)で、データエンジニアリング面接はPythonとJavaで行われる。

同社のサービスには、面接プラットフォーム、20以上のソフトウェアエンジニアリングの必須スキルを網羅した質問集、そして事後評価が含まれる。経験豊富なエンジニアのグループが、面接の振り返りと評価を行う。評価過程から偏向を除外するため、評価は匿名で行われる。

2019年に始めてから、事業は軌道に乗った。新型コロナウイルスにともなうロックダウンの初期には一時的に低迷したが、企業が採用活動を再開した2020年第3四半期に勢いを取り戻した。Byteboardのウェブサイトによると、同社のサービスを利用しているのはLyft、Hulu、Figma、Imperfect Foods、PlayVS、Betterment、Robinhood、GoodRx、ETHOS、Ezoic、Glowforgeなどとなる。

面接プロセスを対面(新型コロナ時代の懸念の1つ)ではなくウェブで行うことによるメリット、データや評価の質、候補者にとってのストレスの少ない環境などに加え、企業のコスト削減にもつながる可能性がある。面接スタッフや結果を判断するエンジニアへの支払いが不要になるためだ。

だが、Byteboardの可能性は、Google傘下の製品のままでは限られていたかもしれない。

というのも、Google傘下のByteboardでは、エンジニアが人事評価の一部を担っていたため、Googleが他社の採用グループの一部となってしまっていたからだ。場合によっては、他社には直接競合する企業も含まれていた。これは明らかに、倫理的な問題を生む。一般的に、企業は自社の採用プロセスに競合他社を関与させないからだ。ByteboardがGoogleのプロジェクトではなく、独立したビジネスとして前に進もうとしているのは、そうした理由からだ。

関係者がTechCrunchに語ったところによると、Byteboardの総勢6名のチームメンバーのうち、数名は独立する会社に参画し、数名はGoogleに残って新たなプロジェクトに移ることを選択したという。Googleは、この取引の詳細については明らかにしていないが、Byteboardは今後も中核となる製品と業務に重点を置きながら拡大していくと述べており、今後数カ月の間にさらに詳細を発表する予定だ。

画像クレジット:Byteboard

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

社員主導型「スクラム採用」システムのHERPが9.5億円調達、HRテック領域の新規事業開発・人材採用に積極投資

社員主導型「スクラム採用」システムのHERPが9.5億円調達、HRテック領域の新規事業開発・人材採用に積極投資HERPは10月6日、シリーズBラウンドにおいて、第三者割当増資および融資による総額9億5000万円の資金調達を発表した。引受先は、リード投資家のDNX Ventures、またDCM Ventures、マネーフォワードら。借入先は日本政策金融公庫。累積資金調達額は約15億円となった。

調達した資金により、人材採用プラットフォーム「HERP Hire」、タレント管理プラットフォーム「HERP Nurture」β版への事業投資に加えて、HRTech領域における新規事業開発とそれに伴う人材採用に積極的に取り組む。

HERP Hireは、同社が提唱する社員主導型の採用方式「スクラム採用」を推進したい経営者や、人事責任者向けの採用プラットフォーム。2019年3月の正式リリースから約2年半で累計導入企業数は900社を突破したという。IT系企業が利用する20以上の求人媒体からの応募情報の自動連携、Slackなどとの連携による現場メンバーへのスピーディな情報共有により、社員それぞれが積極的に採用に参画できる状態の実現をサポートする。

HERP Nurture β版は、企業の採用活動における潜在的な候補人材(タレント)の選考意欲およびアプローチを可視化し、最適なコミュニケーションを実現するスクラム採用向けタレント管理プラットフォーム。HERP Hireと合わせて利用されており、年内での正式リリースを目指しているという。

また、タレントに関する情報を企業が一元管理・活用できるようデータベース化したものがタレントプールと呼ばれており、HERP Nurtureは、2020年1月よりβ版としてタレントプール機能を提供している。

リモートワーク可能な勤務特化の求人サイト・情報メディア「テレラボ」を展開するDraftyが4500万円の資金調達

リモートワーク可能な勤務特化の求人サイト・情報メディア「テレラボ」を展開するDraftyが4500万円の資金調達

リモートワーク特化の求人サイト・情報メディア「テレラボ」を展開するDrafty(ドラフティー)は9月27日、シードラウンドにおいて、第三者割当増資による総額4500万円の資金調達を発表した。引受先はEast Ventures、個人投資家5名。調達した資金は、さらなる顧客企業の獲得、カスタマーユーザビリティの向上、プロダクト開発のスピード化、マーケティングの推進などにあてる。

2020年6月設立のDraftyは、東京大学在学中の城戸一稀氏(同社CEO)と、東京工業大学在学中の沖村昂志氏(COO)を共同創業者とするスタートアップ。2020年11月リリースのテレラボでは、リモートワーク求人を中心に掲載し、リモートワークに関する情報の発信を行なっている。リリースから10カ月後には、求人掲載企業数が35社を超えたという。

Draftyによると、従来の求人サイトでは、リモートワークをしようと考えている求職者にとっては「リモートワークの詳細な条件で検索することが難しい」(リモート頻度、福利厚生、勤務可能地域など)、「リモートワークだからこそ気になる社内環境や社内文化、詳細な福利厚生などが不明瞭」、リモートワークに関する正しく正確な情報が手に入らない」点などが課題となっているという。

また、リモートワークを導入している企業の課題として「応募者と企業側のミスマッチ」「リモートワークを含む社内体制の発信が十分にできていない」「Afterコロナに寄り添った働き方としてリモートワークを導入することにより採用を拡大したい」があるとしている。

これら課題に対して同社のテレラボでは、以下の解決策により、「企業側・求職者側双方にとって満足のいくリモートワーク転職」を実現しているという。

  • 詳細なリモートワークの条件による検索機能
  • 社内インタビュー記事による社内文化や事業への取り組みの可視化
  • SEOに長けたコラム記事の公開による良質なリモートワーク情報の発信
  • 求職者のデータやリモートワーク適性を可視化することによる企業と求職者のミスマッチの軽減

【コラム】増えてきたTikTokきっかけの就職、そこに潜むバイアスに注意

ソーシャルメディアは、その登場以来、成功への足がかりとなってきた。自作のYouTube(ユーチューブ)動画が話題を呼び、レコード会社との契約に至ったというストーリーは、ソーシャルメディアプラットフォームの神話となっている。それ以来、ソーシャルメディアは、テキストベースのフォーマットから動画共有のようなビジュアルメディアへと一貫して推移してきた。

ほとんどの人にとっては、ソーシャルメディア上の動画がスターダムに上がるためのチケットになるわけではないが、ここ数カ月、TikTok(ティックトック)に投稿した動画がきっかけとなって職に就いたという話が増えてきている。LinkedIn(リンクトイン)でさえ、最近「Cover Story(カバーストーリー)」という機能を追加し、ユーザープロフィールに動画を取り込めるようにした。これにより求職者は自身のプロフィールを動画で補強できるようになった。

テクノロジーが進化し続けると、正規の履歴書がTikTokの動画だというような世界も来るのだろうか。もしそうなった場合、労働力に及ぼすマイナスの結果や影響として、どのようなことが想定されるだろうか。

なぜTikTokが求職分野に向かっているのか

ここ数カ月、米国の求人数は1010万人と史上最高を記録している。パンデミックが始まって以来、求人数が労働者数を上回ったのは初めてのことだ。雇用側は、空いたポジションに見合った優秀な候補者を集めるのに苦労している。その点から見れば、多くの採用担当者が人材を見つけるためにTikTokのようなソーシャルプラットフォームや動画の履歴書に頼っているのもうなずける。

しかし、労働者が不足しているからといって、その職務に適した人材を見つけることの重要性を疎かにしてよいわけではない。採用担当者にとって特に重要なことは、ビジネスの目標や戦略に合致したスキルを持つ候補者を見つけることだ。例えば、ビジネスを遂行するうえでデータ駆動型のアプローチを採用する企業が増えると、収集したデータの意味を理解するために、アナリティクスや機械学習のスキルを持つ人材がより多く求められる。

採用担当者は、このような新しい候補者を見つけるのに役立つイノベーションに前向きであることがわかっている。採用活動は、以前のように人事チームが紙の履歴書や正式なカバーレターの束をより分けて、適格な候補者を見つけ出すような手作業ではなくなった。また、LinkedInの台頭にともない、オンラインでのつながりを活用するようになり、GlassDoor(グラスドア)のようなサードパーティの求人サイトを利用して有望な求職者を引き寄せることもできるようになった。バックエンドでは、多くの採用担当者が高度なクラウドソフトウェアを使って、受け付けた履歴書を精査し、職務内容に最も適した候補者を見つけ出している。しかし、これらの方法はいずれも、依然として従来のテキストベースの履歴書やプロフィールをアプリケーションの中核としている。

ソーシャルメディア上の動画では、候補者の口頭でのコミュニケーション能力やプレゼンテーション能力など、書面では簡単に伝わらないソフトスキルをアピールすることができる。また、採用担当者が候補者の個性をより詳しく知り、自社の文化にどのように適合するか判断する手段にもなる。このようなことは多くの人にとって魅力的なことかもしれないが、その結果に対する準備はできているだろうか。

クローズアップに対する準備不足

採用活動におけるイノベーションは、仕事の未来にとって重要な位置を占めるが、TikTokや動画の履歴書による過剰なアピールは、採用環境を後退させる可能性がある。求職者が企業に自分を売り込むための新しい手段を提供する一方で、求職者、採用担当者、ビジネスリーダーが注意すべき潜在的な落とし穴があるのだ。

動画履歴書の可能性を広げる最大の要素は、同時に最大の問題点でもある。動画は、スキルや実績よりも人物そのものを必然的に強調してしまうのだ。採用担当者が候補者について最初の評価をまとめるとき、候補者が人種、障害、性別などに基づき保護されたクラスに属しているかどうかなど、通常であれば評価プロセスのかなり後にならないと目にすることのない情報に直面することになる。

ここ数年、雇用主が職場の多様性をどのように優先しているか、あるいは優先していないかに対する意識や監視の高まりとともに、多様性、公平性、インクルージョン(DEI)への関心が急速に高まってきている。

しかし、動画によって候補者を評価することは、無意識、あるいは意識的なバイアスがかかる機会を増やすことにつながり、これまでのDEIにおける成果を台無しにしてしまう可能性がある。慎重に対処しないと、企業イメージに傷をつけたり、差別訴訟のような深刻な事態を招いたりする可能性があり、企業にとっては危険な状況となる。

多様性に対する実績が乏しい企業では、候補者の動画を観たという事実が訴訟で不利に働く可能性がある。動画を見ている採用担当者は、候補者の人種や性別が自分の判断にどのような影響を与えているか気づいてさえいないかもしれない。そういった理由から、筆者が見てきた多くの企業では、採用フローに動画のオプションを導入しても、採用担当者は採用プロセスの後半まで動画を見ることはできない。

しかし、たとえ企業が保護されたクラスに対する偏見を管理しDEIの差し迫った問題に対処したとしても、採用活動に動画を利用することで、神経多様性や社会経済的地位など、十分に保護されていないクラスでは問題が残る。優れたスキルと豊富な実績を持つ候補者が、動画では自分をうまく表現できず、動画を観る採用担当者には頼りない印象を与えるかもしれない。その印象は、たとえ仕事とは関係なくても、採用担当者の意識に影響を及ぼす可能性がある。

また、裕福な環境にある候補者は、優れた機材やソフトウェアを利用して魅力的な動画履歴書の録画や編集ができるだろう。そのような環境にない他の候補者の動画は、採用担当者の目には、洗練されたプロフェッショナルなものとは映らないかもしれない。しかしそれでは、チャンスを得るうえで新たな障壁となってしまう。

職場でのDEIの対処について重要な岐路に立たされている今、雇用主と採用担当者は、候補者を見つけて採用するプロセスにおいて、バイアスを低減する方法を確立することが急務だ。業界を前進させるにはイノベーションが重要だが、最優先事項が損なわれてはいけない。

ボツにされないために

このような懸念にもかかわらず、ソーシャルメディア、特に動画ベースのプラットフォームは、ユーザーがパーソナルブランドを拡大し、雇用の可能性につながる新たな機会を生み出している。これらの新しいシステムは、求職者と雇用者の両方にメリットをもたらす可能性がある。

まず、採用活動で使う従来のテキストベースの履歴書やプロフィールを置いておく場所を常に確保する必要がある。たとえ採用担当者が候補者の能力に関する情報をすべて動画から得られたとしても、カメラに映らない方が自然と安心できる人もいる。採用プロセスでは、書面であれ、ビデオであれ、できるだけ良い印象を与えようとする気持ちが重要だ。それは、自分以外の力を借りても構わない。

その代わりに、候補者や企業は、過去の同僚や上司が候補者を推薦する場として動画を利用することを検討すべきだ。他者による推薦は、単に自分自身で長所をアピールするよりも、応募者の能力に信頼を置いている人がいることも示すため、応募において大きな効果がある。

企業が優秀な人材を獲得しようと躍起になっている昨今、動画の履歴書は、これまで以上に簡単に作成や共有できるため注目を集めている。しかし、この目新しい履歴書の共有方法に飛びつく前に、成功のための準備を確実に整えておく必要がある。

新しい採用活動のテクノロジーの目標は、新たな障壁を作ることなく、求職者が自分自身を輝かせる機会をより簡単に見つけられるようにすることだ。動画の履歴書がそれを実現するには、いくつかの対処すべき重大な懸念があり、雇用主は、今までのDEIへの取り組みの成果を損なう前に、動画履歴書の弊害について考慮することが重要だ。

編集部注:本稿の執筆者Nagaraj Nadendla(ナガラジ・ナデンドラ)氏は、Oracle Cloud HCMの開発担当SVPで、Oracle RecruitingやTaleoなどのクラウド採用ソリューションの開発を担当している。

画像クレジット:C.J. Burton / Getty Images

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(文:Nagaraj Nadendla、翻訳:Dragonfly)

Index Venturesが従業員のストックオプションを計算するウェブアプリを発表

スタートアップにとって、ストックオプションの提供は非常に重要だ。ストックオプションがあれば、すでに大企業となったテック企業が提示できるような高い給与を払えないスタートアップでも、優秀な人材を入社させることができる。

だが、競争力のあるストックオプションプランを開発するには複雑な計算が必要だ。幸いなことに、ロンドンに拠点を置くベンチャー企業のIndex Ventures(インデックス・ベンチャーズ)は現地時間9月15日、計算に使える手軽なウェブアプリと、欧州と米国のスタートアップが重要な従業員にどのような報酬を与えているかについて、新しい調査結果を発表した。

OptionPlan Seedは、シードステージの創業者がESOP(従業員自社株保有制度)を設計するためのウェブアプリだ。これは、Index Venturesが実施したシードステージ企業のオプション付与に関する分析がベースになっている。同社は1000社以上のスタートアップから得たデータを分析に使った。

このウェブアプリは、さまざまなポジションを網羅し、6段階の配分ベンチマークがあり、各チームメンバーの金銭的なアップサイド(税金を含む)を計算し、米国、カナダ、イスラエル、豪州、欧州20カ国の政策の枠組みに応じて調整を行う。

これは、Index Venturesが数年前に発表したシリーズA企業向けの「OptionPlan」をベースにしている。

Index Venturesによると、新ツールのための調査の結果、シードステージ企業の従業員のほぼ全員がストックオプションを受け取っていることがわかったという。だが、米国ではシードステージのスタートアップの技術系従業員の97%、技術系以外の若手の80%に達しているのに対し、欧州では技術系の75%しかオプションを受け取っておらず、技術系以外の若手では60%にとどまっている。

とはいえ、Index Venturesによると、ストックオプション付与の規模は拡大している。特に「技術的なDNAを多く持ち、ベイエリア志向」のスタートアップで増加している。一方、電子商取引やコンテンツなど、技術的要素が少ない分野では、付与額はあまり変化していない。一方、ここ数年でシードのバリエーションが上昇しているため、付与の規模は全体的として拡大し続けている。

Index Venturesは、シードステージの企業でESOPの割合が上昇していることを発見した。これは、採用のスピードが速く、従業員1人当たりの付与割合が大きくなっているためだ。同社は、シードステージでのESOPの割合を、従来の10%ではなく、12.5%または15%に設定することを推奨している。これは、スタッフの維持と誘致が目的だ。

また、今回の調査では、欧米でシード時の資金調達額が2倍になった一方、評価額は2.5倍になったことがわかった。

さらに、シードステージの給与は「劇的に上昇」しており、平均給与は60%以上も上昇した。米国のシードステージのスタートアップ企業におけるシニア技術職の給与は現在、平均18万5000ドル(約2035万円)で、3年間で68%増加した。22万ドル(約2420万円)を超える者もいる。だが欧州で給与の上昇が最も著しいのは、技術系・非技術系を問わず若手従業員だ。

しかし、Index Venturesの調査によると「欧州の技術系人材の間で、依然として報酬格差があり」、欧州のシードステージ企業の技術系社員の平均給与は、米国に比べ40〜50%低いという。同社の調べでは、この格差は2018年以降拡大しているという。「技術系以外のポジションでは格差が縮小しているにもかかわらず」だ。

また、欧州では、ロンドンのような高コストの拠点と、ブカレストやワルシャワのような低コストの都市があることから、給与のばらつきが「米国よりもはるかに大きい」ことがわかった。

人材獲得競争は今やグローバルなものだ。技術系人材の米国との給与格差は20〜25%に縮小している。

Index Venturesは「欧州の野心的なシードステージの創業者は、特に技術職において、採用する人材の水準を高めるべきだ」と結論づけている。また、給与面で競争力を高めるためには、より多くの資金を調達して、より経験豊富で高い能力を持った候補者を狙うべきだとしている。

画像クレジット:OptionPlan web app

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(文:Mike Butcher、翻訳:Nariko Mizoguchi

LinkedInが新ラーニングハブ、無料コース、ハイブリッドワーキングのための検索フィールドなどを導入

新型コロナウイルスのパンデミックを受け、雇用の世界に大きな変化が訪れた。仕事を探したり、ポジションを埋めてくれる人を見つけたり、あるいは単にプロとして成長したりすることは、今や私たちの多くにとって以前と同じものではない。そうした分野に対応するビジネスモデルを構築してきた企業も変化しているのは当然のことだ。9月9日、Microsoft(マイクロソフト)の社会人向けソーシャルネットワーキングプラットフォームであるLinkedIn(リンクトイン)は、時代の変化を先取りした一連のニュースを発表した。

LinkedInは、従業員にプロフェッショナルとしての能力開発などのトレーニングを提供する組織を対象とした、新しいラーニングハブを立ち上げる。また、LinkedInのメンバー向けに40のコースを無料で提供する。足元の変化に対応するためで、ハイブリッド・ワーキングへの適応方法、新しい時代においてより良いマネージャーになる方法、オフィスへの復帰方法、従業員がオフィスビルだけでなく自宅に分散している状況でのファシリティ管理の方法などのコースがある。さらに、労働環境の現状などを考慮に入れ、ユーザーが求人情報を掲載・検索する際に使う詳細な情報に調整を加え始めた。

ラーニングハブは、今年4月に初めてプレビューされ、限定的なベータ版として運用されてきた。9月9日、MicrosoftのCEOであるSatya Nadella(サティア・ナデラ)氏とLinkedIn社のCEOであるRyan Roslansky(ライアン・ロスランスキー)氏が主催する、仕事の世界の新しいトレンドについて議論する大きなイベントの一環として、このハブがより広く展開されることになった。

LinkedInは長年にわたって教育に取り組んできた。2015年にリモートラーニングプラットフォームのLynda(リンダ)を買収し、自社の教育戦略と専門能力開発のためのプラットフォームとしての戦略と地位を強化した。提携により大量のサードパーティーコンテンツを導入し(例えば、2018年にサードパーティー経由で約1万3000のコースを追加した)、スキル開発の概念を職業上のプロフィールと結びつけ、ユーザーのためにリサーチしたり、インタラクティブなツールを構築したりするなどしてきた。

本日発表した無料コース(10月9日まで無料)は、リモート環境からオフィス環境への移行を始める(あるいは考える)企業にとって役に立つ、時宜を得た動画群だが、より大きなプロダクトである「The Learning Hub」の発表は、その長い旅路の中で、単に誰かの役に立とういう試みではない。現在のLinkedIn Learning Proユーザーは、2022年7月まで、あるいはそれ以上の期間、無料で利用することができるという。これは、ビジネスに特化したサービスを提供し、企業の人事部を強く巻き込み、収益の柱の1つである採用関連を強化するという、同社の大きな取り組みにもつながっている。

学習体験プラットフォーム(LXP)として、LinkedInは独自のラーニングハブを再構築し、360Learning、Coursera for Business、Workday、Cornerstoneなど、数多くのプラットフォームと競争することになる。さまざまな組織が、自社やサードパーティーのプロフェッショナルトレーニングコンテンツを管理するために、そうしたプラットフォームを利用している。また、LinkedInは、雇用動向に関する自社のデータに加え、AIを活用し、組織やユーザー向けにコンテンツをパーソナライズするという。だが、企業の人事チームが求人情報を掲載したり、候補者を探したりするためのプラットフォームでもあるという事実が、このサービスをより安定したものにし、いろんなものが断片的になっている昨今、まとまりがあると感じられるかもしれない。

この点で、LinkedInが採用サービスに新領域を導入することも注目に値する。採用担当者は、仕事がリモート、ハイブリッド、オンサイトのいずれかを示すことができるようになり、近々、仕事を探している人も、新しい仕事に求める条件を示すことができるようになる。また、企業は、予防接種の必要性などに関して、自社の状況をより詳細に示すことができるようになり、物理的なオフィスが開いているかどうかを世界中(従業員、パートナー、顧客、関心のある人たち)に知らせることができるようになる。

こうした新しい領域は、小さなことのように聞こえるかもしれないし、少なくとも、私たちが今日生きていく上での関心事や状況にのみ関連しているように聞こえるかもしれない。だが筆者はそれ以上に注目すべきことだと思う。こうした領域は、LinkedInが考える(そして私たちの多くが感じている)、今日の私たちが仕事というものを捉える際に優先するものが何かを物語っている。このことは、LinkedInが、企業や個人のプロフィールにおける詳細な情報のうち何を、また、採用の際に利用できる詳細な情報というものを、考慮するのか、するとすればどのように、ということついて扉を開く。これは、LinkedInがすでに少し前から取り組んでいることで、6月にはプロフィールに代名詞を追加するオプションをユーザーに提供し始めた。こうしたことが重要なのは、もっと小さな企業が多く存在し、誰かがLinkedInを今の地位から引きずり下ろすよう求める声があるからだ。LinkedInが新しい形式に手を出したり、あるいは別の形式をやめたりするのは、同社がそうした状況に適応しようとしていることを示している。

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画像クレジットAli Balikci / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Nariko Mizoguchi

paizaが「正社員ITエンジニア向け採用サービス」カオスマップ公開、スキルチェック総受験回数1500万回突破記念

paizaが「正社員ITエンジニア向け採用サービス」カオスマップ公開、paizaスキルチェック総受験回数1500万回突破記念paizaは9月7日、ITエンジニア向け転職・就職・学習プラットフォーム「paiza」(パイザ)において提供している独自のプログラミングスキル評価システム「paizaスキルチェック」の総受験回数が1500万回を突破したと発表した。これを記念して、「スキルを可視化」し実力重視で企業とマッチングするITエンジニア向け転職サービス「paiza転職」の位置づけを伝えるため「正社員ITエンジニア向け採用サービス」のカオスマップを公開した。

paizaは、ITエンジニアに特化した転職・就職・学習サービスとして、 2013年にサービスを開始。2021年8月現在、paizaの登録者数は45万人となっている。属性別の内訳は、学生10万人、ITエンジニア経験者25万人、未経験者10万人。

同サービスのpaizaスキルチェックは、オンライン上で実際にコーディングテストを行い、受験者のプログラミングスキルを6段階(S~Eのpaizaランクを付与)で客観的に可視化する仕組みとなっている。スキルチェックでは提出コードが複数のテストケースにより採点され、結果画面で点数や取得ランク、レーティングなどが表示される。

提出題はすべてオリジナルの内容で、膨大な受験データをもとに絶えず精査しており、高いスキル判定精度を実現しているという。ユーザーはここで得た客観的なスキル評価を基に、自分にあった転職、就職、学習サービスを利用できるとしている。

また日本ではこれまで、ITエンジニアのプログラミングスキルを客観的に可視化できる場が少なく、ITエンジニア採用の難易度を上げるなど、ミスマッチの原因となってきた。その中で企業は、paizaスキルチェックを活用することで、自社が求める人材を採用できることから、現在までに2000社以上の企業が活用しているという。