リモートワークが世界中に広がる中、分散型ワークフォース向け人事プラットフォームのOysterが約21億円調達

物理的なオフィス、または1つの国といった枠をはるかに超えてリモートワークが拡大し、こうした労働力を管理していく必要性が生まれる中、企業の人材管理支援に使用される人事テクノロジーにスポットライトが当てられている。急成長を遂げるHRスタートアップの1つが米国時間2月2日、事業を大きく拡大するための資金調達ラウンドを発表した。

Oysterは、人事サービスを提供するスタートアップで、「知識労働」分野の請負業者やフルタイムの従業員の雇用、新人研修、そして給与計算、福利厚生、給与管理といったプロセスを支援するプラットフォームを提供している。このOysterがシリーズAラウンドで2000万ドル(約21億円)を調達した。
同社はすでに100カ国で事業を展開しており、CEOのTony Jamous(トニー・ジャマウス)氏はインタビューで、市場を拡大するとともに、特に新興市場での人材採用に対処するための新サービスを導入する計画だと語った。ジャマウス氏はJack Mardack(ジャック・マーダック)氏と同社を共同設立している。

現在Oysterは、候補者の調達や面接、評価のプロセスをカバーしていない。それらは同社が独自の技術を構築したりパートナーと提携し、ワンストップサービスの一環として提供し得る分野と考えられる。同社は開拓可能な潜在要素として、バーチャルジョブフェアの開催を試みている。

「今後10年間で15億人の知識労働者が労働人口に加わりますが、そのほとんどは新興経済圏からの人々です。一方、先進国では約9000万人分の雇用が満たされない状態になります」とジャマウス氏はいう。「グローバルに分散した雇用形態をとることで強力な人材力を得ることができますが、その場合人事や給与システムに大きな課題を抱えることになります」。

資金調達を主導したのはB2BベンチャーキャピタルのEmergence Capitalで、同社はZoom、Salesforce、Bill.com、以前TechCrunchの姉妹メディアであったCrunchbaseなどを支援している。Slackの戦略的投資機関であるSlack Fundと、シードラウンドで同社を支援したロンドンのConnect Venturesも参加している。この投資はOysterの急成長を加速させ、人々がどこからでも仕事ができるようにするという同社の使命を支えるものとなるだろう。

Oysterの評価額は公表されていない。同社はこれまでに約2400万ドル(約25億円)を調達している。
世界的なパンデミックのため、旅行をはじめ地域活動までもが大幅に制限され、多くの人々が自宅での日常生活を余儀なくされていることで私たちの世界が縮小している一方、雇用の機会と組織の活動範囲が大幅に拡大しているのは皮肉なことである。

公衆衛生の危機から導入されたリモートワークは、企業が従業員をオフィスから切り離すことにつながり、その結果、場所を問わず最高の人材を発掘して活用する道が開かれた。

こうした傾向は2020年になって顕著になったと言えるかもしれないが、クラウドコンピューティングとグローバル化のトレンドの後押しを受けて、実はここ数年で徐々に注目を集めつつあった。ジャマウス氏は、Oysterのアイデアは何年も前から考えていたものだったが、同氏がその前に在籍していたスタートアップNexmo(2016年にVonageに約243億円で買収されたクラウドコミュニケーションプロバイダー)での経験の中でそれがより明確なものになったと語った。

「Nexmoでは優れた地域雇用者になることを目指していました。私たちは2つの国に拠点を置いていましたが、あらゆる場所で人材を必要としていました」 と同氏は続けた。「そのために何百万ドル(何億円)も費やして雇用インフラを構築し、フランスや韓国など各国の法律に関する知識を深めました」 。同氏はすぐにこれが極めて非効率的な仕事のやり方であることに気づいた。「私たちは複雑で多様な問題が発生することを想定していませんでした」。

Nexmoを去り、エンジェル投資(分散型の巨大企業Hopinなどを支援)を行った後、同氏は次のベンチャー事業として労働力の課題に取り組むことを選択した。

それは2019年半ば、パンデミック以前のことであった。あらゆる企業が分散型労働力の課題に対処する方法を模索するようになった現在、同氏の判断は時機を得たものとなった。

新興市場へのフォーカスはジャマウス氏の個人的背景と無関係ではない。同氏は17歳のときにレバノンからフランスに留学し、それ以来、基本的に海外で生活してきた。しかし先進国から新興市場に参入する多くの人々と同様、彼は母国の技術を持った人材はその国の住民や国自身が自らの生活を向上させるために活用し、発展させる価値があるものであることを認識していた。同氏はテクノロジーを活用することでそこに貢献できると考えていた。

このより広範な社会的ミッションを背景に、Oysterは現在B-Corporationとしての認定を受けようと申請中である。

個人的な経験に基づいて人材管理会社を設立したのはジャマウス氏だけではない。Turingの創業者たちはインドで育ち、遠く離れた場所の人々と働いていた自分自身のバックグラウンドをTuring設立の動機の一部として挙げている。Remoteの創業者はヨーロッパ出身だが、世界中にいる人材を活用するという同様の前提の下にGitLab(ここで彼は製品責任者を務めていた)を設立した。

実際、この事業に取り組んでいるのはOysterだけではない。分散型ワークの領域でADP社のような存在になることを目指しているHRスタートアップのリストにはDeelRemoteHibobPapaya GlobalPersonioFactorialLatticeTuringRipplingが名を連ねている。これらは2020年資金を調達したHRスタートアップのほんの一部であり、他にも数多くのスタートアップが存在する。

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Oysterの魅力は、サービスの提供方法がシンプルな点にあるように思われる。請負業者とフルタイム従業員に対するオプションがあり、また海外における人材配置の本格的な大規模展開も可能だ。必要に応じて従業員の福利厚生も追加できる。さらに、より大きな予算の中で雇用がどのように適合するかを見極めるためのツールや、各地域の市場での報酬についての指標を提供するツールも備えている。料金は請負業者を対象とする場合は1人あたり月額29ドル(約3千円)から、全従業員を対象とする場合は399ドル(約4万2千円)、より大規模な導入向けには他のパッケージも用意されている。

Oysterはローカルパートナーと協力してこれらのサービスの一部を提供しているが、プロセスをシームレスにするための技術を構築した。他のサービスと同様、同社は基本的に現地のプロバイダーとして顧客の代わりに雇用と給与を処理するが、企業自身のポリシーと現地の管轄区域のポリシー(休暇、解雇条件、産休などの領域で互いに大きく異なる場合がある)の整合性を確保した契約条件の適用が可能となっている。

「資金力のある競合企業もいくつか存在します。資金力があるということは大抵は適切なシグナルです」とOysterの投資を主導したEmergenceでパートナーを務めるJason Green(ジェイソン·グリーン)氏は語っている。「ですが、競争をリードする企業に賭けたいと思うなら、実行力に着目すべきです。今、私たちは実行力を発揮した実績のある企業に投資しています。ジャマウス氏は会社を設立し、それを売却した経験のある起業家です。彼は収益を生み出した実績があり、ビジネスを構築する方法に精通しています。しかしそれ以上に大切なのは、彼の仕事は使命感に支えられていることです。それはこの事業分野において、そして従業員にとって大きな意味を持つでしょう」。

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画像クレジット: Tara Schmidt / Flickr under a CC BY 2.0 license.

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

人事と現場を結び、新入社メンバーの定着を支援するオンボーディングサービス「Onn」がリリース

人事と現場を結び、新入社メンバーの定着を支援するオンボーディングサービス「Onn」がリリース

ワークサイドは2月15日、従業員体験を向上させるオンボーディングプラットフォーム「Onn」(オン)のリリースを発表した。

ワークサイド代表取締役の秋山貫太氏は、「オンボーディングという入社後のケアを企業としてしっかり行うことで、従業員の方々が仕事をする、働き続ける中で、会社に対してポジティブな印象を持つ、あるいはエンゲージメントを高めることに寄与するサービスを提供したい」という。

「オンボーディング」とは、新たに入社したメンバーがいち早く組織になじみ、活躍できるように、周囲がサポートする取り組みやプロセスを指す。Onnは、この「オンボーディング」を仕組み化し、組織全体で効果的に実施できるよう支援するクラウドサービスだ。

入社者に関する情報の一元管理、人事や現場など複数の部門の連携を促進するアクティビティ機能などを提供することで、オンボーディングに関わる部門の情報格差をなくすという。またOnnでは、入社者へのアンケートを実施することで日々の仕事の充実度や入社後の満足度を数値化し、コンディションを可視化できるようにしている。

人事と現場を結び、新入社メンバーの定着を支援するオンボーディングサービス「Onn」がリリース

 

入社直後から半年が重要な期間

これまで秋山氏は、リクルートはじめ「人材領域」(HD)および「プロダクト」を中心とするキャリアに重ねてきたという。人材採用領域中心だったのだが、今後10年は採用「以降」、就職「後」をテーマとして良いサービスを手がけるため、2018年9月に起業した。

人事と現場を結び、新入社メンバーの定着を支援するオンボーディングサービス「Onn」がリリース

秋山氏が、自らのテーマを採用「以降」とした理由は、100社を超える企業経営者や人事担当者へのヒアリングを通じて得られた悩みがきっかけと明かす。昨今は採用がそもそも難しくなっており、だからこそ採用後の定着や活躍に力を入れたいとしているものの、この点で課題を抱えている企業は少なくない。秋山氏によると、採用については様々なサービスが出揃いつつある一方、入社後のオンボーディングには有効な手立てがないという声が多かったそうだ。

また秋山氏は、「入社直後から半年間」が重要な期間としており、この期間で約8割の方が長く勤めるかどうか決めていると紹介。さらに、オンボーディングが重要視される理由として、早期離職による損失が大きい点を指摘。採用費、人件費、教育費など金銭的な損失だけでなく、事業進捗や採用計画、チームコンディションなど様々な面に影響が及ぶと指摘した。

オンボーディングを仕組み化し、支援する「Onn」

ただし秋山氏によると、一般に新入社員のオンボーディングは、複数の部門が関わること、部門また時間軸により担当者が変わることから構造的に分断されているという。採用から入社までは採用部門、研修は人材開発部門、現場配属後の受け入れは現場の上司やメンターが担当するなど、多くは分業体制を採用している。

人事と現場を結び、新入社メンバーの定着を支援するオンボーディングサービス「Onn」がリリース

そのため、採用担当者による新入社メンバーの情報が現場担当者に共有されない、人事部門と研修担当者および新入社メンバー間でやり取りに手間取ったりなどが起きがちだとした。人事と現場のプログラムに一貫性がない、入社者の悩みをキャッチしづらいなどの課題も見逃せない。

これらの課題に対して、ワークサイドのOnnでは「オンボーディング特化アンケート」「オンボーディングログの一元管理」「アクティビティ機能」により支援を行う。

人事と現場を結び、新入社メンバーの定着を支援するオンボーディングサービス「Onn」がリリース

オンボーディング特化アンケートでは、入社前後のコンディションをリアルタイムで把握可能なよう、自動配信アンケート機能を採用。週次などでのアンケートが可能で、「会社の経営理念、ビジョン・ミッションに共感できたか?」「上司や同僚との関係は良好か?」「各種申請や手続きなどの社内ルールは理解できたか?」など、多岐にわたる質問を行える。また、新入社メンバーの回答結果の蓄積し、閲覧できるようにしている。

またアンケートおよび回答結果などに関しては、Slackとの連携も可能。例えば新入社メンバーが「仕事の役割の明確さ」「仕事の進捗」を改善点としている場合などにアラートマークなどが表示されるという。

人事と現場を結び、新入社メンバーの定着を支援するオンボーディングサービス「Onn」がリリース

オンボーディングログの一元管理では、入社メンバーとの面談メモやコミュニケーションメモなどの散らばりやすい情報について、採用部門、人材開発部門、現場の上司やメンターが共有可能。複数部門で連携しやすいようにしたという。

アクティビティ機能は、入社者に関する情報をタイムリーに全員で共有し、人事と現場間の連携を行えるようにしたもの。直接Onn上で関係者同士がコミュニケーションを取れるようにしており、人事と現場の分断を防げるようにしている。また現場の上司やメンター側からの情報を人事に共有できる点をメリットとして挙げていた。

今後は、新入社メンバーの情報について、採用管理ツールなどと連携したりなども考えているとした。

コロナ禍におけるオンボーディング

また昨今、コロナ禍におけるテレワーク・リモートワーク推進により、オンラインでのオンボーディングが増え、入社メンバーの状態の把握がさらに難しくなってきているという。

秋山氏によると、「問い合わせの質が変わってきた」そうだ。最も多いのは、従業員の働いている様子が見えにくいというもので、特に新たに入社した者の表情、働きぶりが見えず、可視化ツールや解決手段としてOnnを必要とする声が増えているそうだ。

秋山氏は、これまでのようなアンケートツールだけではなく、その先にある人事と現場の連携を価値として提供していくとしていた。

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カテゴリー:HRテック
タグ:オンボーディングワークサイド日本(国・地域)

miiveが食事・アプリ・書籍補助などリモートでも利用できるプリペイドカード型福利厚生サービス

miiveがオフィスとリモート問わず利用できるプリペイドカード型福利厚生サービスを4月下旬提供開始

miiveは2月10日、リモート環境にも適した福利厚生サービス「miive」(ミーブ)を2021年4月下旬よりリリースすると発表した。miiveは、オフィスとリモートのどちらでも利用できる様々なコンテンツを、福利厚生としてポイント精算できるプリペイドカード。福利厚生にかかる運用業務もトータルで支援するオールインワンの福利厚生サービスとしている。

miive利用料金は、1ユーザーあたり月額800円(税別)。初回カード発行費用1枚800円(税別)だが、2021年3月末までの発行分は無料。2021年4月下旬のサービス開始予定に先立ち、事前登録を受け付けている。

リモートワーク導入後、出社人数がばらつくために、オフィス内での福利厚生を見直す企業は少なくないという。国税庁が定めた要件を守りながら柔軟な働き方に適した福利厚生を充実させることは難しいものの、miiveの場合デリバリーランチやコンビニにも利用できるため、オフィスとリモートのどちらでも従業員が働きやすい環境を提供できるとしている。

miiveカードは、企業において、毎月定額のポイントを従業員の福利厚生として支給できる仕組みを採用。ポイント利用先として様々なVisa加盟店を用意しており、企業が自社の方針に合わせて利用先をカスタマイズし、福利厚生として精算することが可能。

また、決済履歴をデータ化しており、毎日の食事補助などだけでなく、都度生じる部活手当やアプリ・書籍補助など独自手当の精算を1タップで完了できる機能も用意。予算と用途をカスタマイズしながら立替精算にも使うことで、従業員の働き方や働く場所に合わせた福利厚生を構築・運用できるという。miiveでは支給額や支給条件を最初に定めるだけでよく、申請や領収書の取り扱いの手間といった運用コストを削減できるとしている。

miiveがオフィスとリモート問わず利用できるプリペイドカード型福利厚生サービスを4月下旬提供開始

miiveの特徴は、「miiveカード1枚で支払い」「福利厚生管理の簡素化」「税務コストの最適化」の3点にあるという。

miiveカードはすべてのVisa加盟店で利用できるため、支払いの際はVisaと伝えてかざすだけで済む。miiveカードを使うことで、従業員は事前申請や書面での請求の手間なく、福利厚生を利用可能。また、決済金額の1%が利用者に還元するため、使うたびにお得になるとしている。

福利厚生の管理については、システム上で利用履歴データを確認できるようにしており、人事・経理担当者は書面でのチェックや承認の手間なく運用・構築できる。

福利厚生は、企業と従業員それぞれの税務コストを削減する勘定科目ではあるものの、細かな要件を満たす必要があったり、支給額に限りがあったりなど、管理が難しいという。一方miiveなら、そうした管理の必要なく、税務コストを最適化できるそうだ。

miiveがオフィスとリモート問わず利用できるプリペイドカード型福利厚生サービスを4月下旬提供開始

2020年7月設立のmiiveは、「より良い生活を支える意味のある福利厚生を」という思いから生まれたという。社名・サービス名のmiiveの由来は、「活気あふれる場所」という意味を持つ「hive」と、「価値を生み出す」という意味の「mint」を組み合わせたもの。miiveは働きたいと思えるような活気あふれる場所を、世界中の企業が構築できるよう支援するとしている。

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カテゴリー:HRテック
タグ:福利厚生miive日本(国・地域)

大企業が現場の労働者を見つけ維持するのを支援するWorkStepがシリーズAで約11.1億円の資金を調達

現場で働く作業員を見つけ、維持することは、この新型コロナウイルス流行の時代において、これまでになく重要な課題になっている。

そこでWorkStepの出番だ。このスタートアップは、大規模なサプライチェーンの雇用主を支援することを使命として4年前に設立された。この完全分散型企業は米国時間2月3日、1050万ドル(約11億1000万円)のシリーズAラウンドを完了したと発表した。これは株式と転換社債を含む未発表だった670万ドル(約7億700万円)のシードファンディングに次ぐものだ。

今回のシリーズAの資金調達は、FirstMark Capital(ファーストマーク・キャピタル)が主導し、前回の投資家で戦略的パートナーであるPrologis Ventures(プロロジス・ベンチャーズ)も参加した。

同社の従業員ライフサイクル管理(ELM)ソフトウェアプラットフォームは、大規模サプライチェーンの雇用主が新たな現場の労働者を獲得するのを支援するだけでなく、労働者がより長く働き続けられるように訓練し、より幸福でいられることを目的に設計された、とWorkStepの共同創業者兼CEOであるDan Johnston(ダン・ジョンストン)氏は述べている。ジョンストン氏は10年以上前にオレゴン州ポートランドで倉庫を管理していたときに、いくつかの課題を直に経験した。

新型コロナウイルスの感染拡大は、食品の提供から荷物の配達まで、現場の労働者が行う仕事の重要性を浮き彫りにした。しかし、サプライチェーンの労働力への依存度が高まるにともない、記録的な離職率となり、多くの企業が人員不足に陥り、残った労働力は手薄になっていると、ジョンストン氏は指摘している。

WorkStepは人事、採用、組織のリーダーに、従業員のライフサイクル全体にわたる「完全な透明性」を提供することで、企業が離職を最小限に抑られるように支援すると主張している。同社は以前、クラウドベースの「Hire」と呼ばれるサービスを構築し、2020年秋には「Retain」という製品を発表した。

「新型コロナウイルスの影響で、あらゆる規模の企業が、現場で働くチームの健康、安全、満足度を優先することを余儀なくされています」と、ジョンストン氏は述べている。

同社の顧客には、地域の3PL(サードパーティロジスティクス企業)や物流センターから、フォーチュン500に入る16社まで、北米全域にわたる数百社の産業、物流、輸送、倉庫業の企業が並んでおり、その中には食料品チェーンのKroger(クローガー)、Alpine Food Distributin(アルパイン・フード・ディストリビューション)、TransPak(トランスパック)などが含まれている。

これまでに同社は50万人のサプライチェーン労働者に「リーチした」という。

WorkStepの主張によると、事例研究を行ったフォーチュン100のある食品・飲料会社では、同社がRetainを提供したことにより、離職率が最大29%減少したという。これによって企業は、コストが膨らむ可能性のある人員の入れ替えや再教育にかかる費用を節約することができる。

ジョンストン氏によると、2020年秋にRetainを立ち上げたことで、WorkStepの事業は2020年下半期に2倍以上に増えたという。このことによって、同社はその年の最後の2カ月間に収益が経費を上回ったことを意味する「ボトムライン・プロフィット」として年末を迎えることになった。

WorkStepは必ずしも新たな資金を調達する必要はなかったものの、事業を倍増させる機会を得たことで、規模を拡大し続けることができると、ジョンストン氏は述べている。

「これは絶好の機会に乗じたラウンドでした」とジョンストン氏はTechCrunchに語った。「このセグメントの離職率は中核的な問題になっています」。

WorkStepは今回の新たな資金調達により、エンジニアリング、製品、販売、カスタマーサクセス部門にまたがる既存のチームで働く14人の従業員を、2021年中に2倍以上に増やし、さらに2022年度末までに3倍にする計画だ。

FirstMark CapitalのAdam Nelson(アダム・ネルソン)氏は、最初のホワイトボードセッションに同席し、WorkStepが「大規模な」好機に取り組んでいるところだと確信している。

「WorkStepと既存のソリューションとの間における真の差異は、WorkStepが派遣社員や一時雇用をソリューションとして捉えていないことだと我々は考えています」と、ネルソン氏はTechCrunchに語った。「彼らはそれを、雇用主が適切な人材を見つけ、訓練し、維持することができないために発生する、数千億ドル(数十兆円)規模の死重損失の症状として捉えています」。

WorkStepは、従業員のライフサイクル全体に対処し、データを活用して「現場の労働者に声を届けると同時に、雇用主をより賢く、より積極的にする」と、同氏は付け加えた。

カテゴリー:HRテック
タグ:WorkStep労働資金調達

画像クレジット:Kmatta / Getty Images

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

中小企業の従業員にもパーソナライズされた福利厚生を届けるBenが約2.6億円調達

ロンドンを拠点とする従業員向け福利厚生・リワードプラットフォーム「Ben」が、250万ドル(約2億6000万円)の資金調達を行った。今回のシードラウンドは、Cherry VenturesとSeedcampが主導した。

また、フィンテックやHRテックのバックグラウンドを持つエンジェル投資家も多数参加している。Paul Forster氏(Indeedの創業者)、Taavet Hinrikus氏(TransferWiseの創業者)、Carlos Gonzalez-Cadenas氏(以前はGoCardlessの幹部だったが、現在はIndex Venturesのパートナー)、Philip Reynolds氏(Workdayのエンジニアリング担当副社長)、Matt Robinson氏(Nestedの創業者)などだ。

その半分はフィンテック、半分はHRの役割を果たすBenは、中小企業が従業員によりパーソナライズされた柔軟な福利厚生を提供できるようにするための福利厚生プラットフォームを構築した。同社は、福利厚生マーケットプレイスを含む福利厚生管理のためのSaaSと、Mastercardを利用した従業員ごとのデビットカードを組み合わせてこれを実現している。

このアイデアは、従業員がどの福利厚生を選択するかについて、より個人的な選択ができるようにすると同時に、追加のプロバイダーを簡単に導入できるようにすることを目的としている。プロバイダーの導入は、マーケットプレイスを介して、または雇用主が発行したマスターカードを介して加盟店や業者カテゴリーをホワイトリストに登録することで可能になる。

「ほとんどの企業が、チームメンバーを惹きつけ、エンゲージメントを高め、最終的には生産性を向上させるために福利厚生を提供していますが、大部分のソリューションは期待通りの成果をもたらしていません」と、Benの共同創業者兼CEOであるSebastian Fallert(セバスチャン・ファラート)氏は語る。「インパクトを与えるためには、提供される内容は個々の従業員にとって役立つものである必要があります。つまり、何かが40代半ばの在宅勤務者には有益な『ベネフィット』であっても、20代の新入社員にはほとんど役に立たないかもしれないということです」。

ファラート氏によると、ほとんどの中小企業にとって、必要なレベルの個人別ベネフィットを提供することは、パーソナライズされたプログラムの作成と管理に「高いコストと複雑さ」があるため、従来不可能であったという。そのため、従業員が様々な選択肢から選択できる柔軟な福利厚生プログラムを提供できるのは大企業に限られていた。Benはこの問題を解決することを目指しているという。

「Benのソフトウェア・プラットフォームを利用することで、企業は資金を投入し、その使用方法について個別の支出ルールを設定することができます」とファラート氏は説明する。「従業員は、民間の医療保険、メンタルヘルスサービス、デンタルプランなどのグループベネフィットから選択することができますが、さらに従業員ごとの実際のマスターカードは、幅広い商品やサービスの利用を可能にしつつも、節税効果が高くコンプライアンスに準拠した方法です」。

その結果、「ウィンウィン」が実現する、と同氏はいう。「従業員はカスタマイズされた福利厚生を得られ、企業は使用された分だけを支払い、管理を合理化しながら免税や優先的な価格設定を利用することができます」。

Benのプラットフォームは現在、中小企業、特にチームが分散している企業で利用されている。「特にこれらの企業では、より多様化し、遠隔勤務や分散化が進む従業員に対応するために、プログラムの複雑化に対応しなければなりません」とファラート氏は語る。

一方、Benには3つの収益源がある。SaaS料金、カードが使用されるたびに発生するインターチェンジ収入、そしてもちろん、マーケットプレイスからのアフィリエイト収入だ。

ファラート氏は次のように付け加えた。「当社サービスのコアとなる仮説の1つは、借金整理や不妊治療など、多くの場合すべての従業員には関係がないことでも、企業には浸透していない素晴らしいサービスがたくさんあるということです。Benを使うことで、これらのサービスは標準的な商業条件で簡単に配布され、企業は追加支出なしにより多くのベネフィットを提供することができます」。

関連記事:シフトワーカーやギグワーカーを管理するプラットフォームSirenumが2.8億円シリーズAを調達

カテゴリー:HRテック
タグ:資金調達

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(文:Steve O’Hear、翻訳:Nakazato)

クラウドネイティブの企業事務サービスWorkdayが社員フィードバックのプラットホームPeakonを買収

人事、財務、給与計算など企業の基幹事務をクラウドから提供しているWorkday(日本法人あり)が今日(米国時間1/29)、ちょっとしたビッグニュースで金曜日のワークデイ(仕事をする日、非休日)を開始した。同社は、社員のためのフィードバックプラットホームPeakonをキャッシュ7億ドルで買収している。

パンデミックから学んだことのひとつは、企業や団体が従業員とのもっと強力な結びつきを作るための、新しい方法を必要としていることだ。それをまさに、Peakonが提供する。Workdayの共同創業者でCEOのAneel Bhusri氏は、声明でこう述べている: 「PeakonをWorkdayの家族にお迎えしたことは、私たちの顧客にとても好評だ。とりわけ今年は、異常だった昨年に続く年であり、それは、従業員の感情のコンスタントな脈動を常時把握してエンゲージメントと生産性を維持することの重要性が、増幅された年だった」。

社員と顔を合わせるミーティングがなくなると管理職たちは昨年一貫して、新型コロナウイルスや在宅勤務などその年のすべての試練と困苦が労働者たちにもたらした影響を知るのに苦労した。

でも従業員の感情の起伏を知ることは、危機の年に限らず重要だ。大企業の管理職は、企業が大きくなればなるほど、会社で起きていることの理解が困難であることをよく知っている。毎週のアンケートで会社の内外の問題を知ろうとしている企業もある。彼らにとってそれは、重要なデータ収集の一環であり、とくに顧客は、6年前に発足したこのプラットホームを利用して、累計1億5300万以上の質問を投げかけている。

PeakonのCEOで共同創業者のPhil Chambers氏は、Workdayを論理的にしっくり来るパートナーと見なしている。彼はWorkdayのブログで買収を発表し、次のように述べている: 「Workdayは、顧客が自分たちのデータを有効に利用できるよう、たいへん上手に導いている。同社と共に私たちは、顧客の生産性と人材開発と社員定着率の向上を支援していけるだろう。そして、従業員が自分の会社との対話を維持して、一体感を持てるようにできるはずだ」。

Peakonはコペンハーゲンで2014年に創業し、Crunchbaseのデータによると、その後6800万ドルを調達した。最近のラウンドは2019年3月の3500万ドルのシリーズBだ。この取引は現四半期の終わりまでには、規制当局の検査を経て完了するものと予想されている。

関連記事: Employee retention platform Peakon raises further $35M in a new round led by Atomico(未訳)

(文:Ron Miller、翻訳:Hiroshi Iwatani)

画像クレジット: Workday

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

シフトワーカーやギグワーカーを管理するプラットフォームSirenumが2.8億円シリーズAを調達

鉄道、航空、建設、ギグエコノミーなどの業界でシフト制の労働力をリモート管理するプラットフォームを提供するSirenumは、William Currie Groupとともに元TescoのCEOであるTerry Leahy(テリー・レイフィー)卿を含む新規投資家から、270万ドル(約2億8000万円)のシリーズA資金調達ラウンドを調達した。

Sirenumによると、同社のサブスクリプションモデルプラットフォームはスケジュールの登録と管理、スタッフの監視と雇用、給与計算を含む主要な財務プロセスの処理など、シフト勤務者の管理プロセスを簡素化するという。同社のクライアントにはRandstad、Impellam、Manpower、GI Groupのほか、TESのような専門機関が含まれる。

シフトワーカーの問題は、適切な時間に適切な場所において、適切な金額を支払わなければならないことだ。Sirenumによると、スタッフはモバイルアプリからいつでもシフトの受入れや拒否をして自分の時間を管理したり、給与計算をチェックしたりすることができるという。同プラットフォームはシフト管理、給与計算、コンプライアンス、スケジューリングを行う。またアプリは英国のHealth and Safetyガイドラインに基づいて労働者の疲労を追跡し、雇用主は従業員の健康状態を追跡し、コンプライアンスを遵守することができる。

本製品は、Sirenumの創業者であるBenjamin Rubin(ベンジャミン・ルービン)氏がロンドンで人材派遣会社を経営していた時に生まれた。彼は妻との新婚旅行中に、従業員の1人が電車にはねられたという連絡を受けた。

幸いなことにその従業員は無事だったが、ルービン氏は同じ状況に陥らないために、複数の拠点で従業員を安全に管理できるツールが必要だと考えた。彼は自身のエージェント向けのソリューションとしてSirenum製品を開発し、2012年にはオリンピックスタジアムのスタッフを担当する契約を獲得した。そして2014年、Sirenumは独立した製品となった。現在、40万人近くの労働者がこのプラットフォームを利用しているという。

Sirenumの競合他社には、empBuddy(Bullhornが所有)、Shiftboard、WorkNなどがある。Shiftboardはこれまでに1690万ドル(約17億7000万円)を調達している。

関連記事:米証券取引委員会がギグワーカーに報酬として株式を提供する際のルールを発表

カテゴリー:HRテック
タグ:Sirenum資金調達

画像クレジット:Sirenum

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(文:Mike Butcher、翻訳:塚本直樹 / Twitter

求職者にありのままの姿を、ビズリーチ創業者ファンドが2人目の支援者に伝える「採用の意識改革」

転職サイト「ビズリーチ」など人材サービスを展開するビジョナルは1月27日、スタートアップを資金面と採用面からサポートする独自のファンド「ビズリーチ創業者ファンド」の投資第2号案件を発表した。ビジョナルが投資先として選んだのは、アート作品のストレージサービスを展開するbetween the artsだ。ビジョナルからの出資額は未公開だが、between the artsが今回実施したシードラウンドの合計調達額は5500万円だという。

写真左より、between the arts代表の大城崇聡氏、ビジョナル代表の南壮一郎氏。Visionalの渋谷オフィスのエントランスにある「Visional Collection」にて、感染対策を実施し撮影(撮影時のみマスクを外した)。

ビズリーチ創業者ファンドは、2018年10月に設立されたビジョナル独自のスタートアップ支援ファンドだ。同ファンドでは、スタートアップへの資金提供はもちろん、ビジョナルが展開するビズリーチやキャリトレといった採用系サービスの無償提供、ビジョナル経営陣が持つ採用面でのノウハウの提供などを通し、創業期のスタートアップの支援を行っている。

設立時に発表された第1号投資案件は、TechCrunch Japanが毎年開催する「スタートアップバトル」の2019年王者RevComm(レブコム)だった。ビズリーチ創業者ファンドによる支援を受け、同社は創業期の6カ月で4人のエンジニア採用に成功。その後も従業員数は順調に増え、創業5年目の現在では83人が在籍している

今回、ビズリーチ創業者ファンドが第2号の支援先として発表したのは、アート作品のストレージサービスを提供するbetween the artsだ。同社はアートコレクターなどのユーザー向けに、空調が管理された自社倉庫でのアート作品預かりサービスを提供している。利用料金は作品の大きさによって500~5000円の間で設定されており、平均単価は1000円ほどだという。

コロナ禍でリモートワークが増え、ビデオチャットの背景におしゃれな絵を飾りたいなど、アートに対する需要も加速してきた。一方で、アート作品が増えるにつれて課題になるのが保管場所の確保や管理だ。between the artsが目指すのは、そういったユーザー向けに簡単に利用できるアートの管理方法を提供することで、「アートを購入して楽しむ」という市場自体を創出することだ。

「日本におけるアートの購入額は年間400円程度であるのに対して、米国では年間1万円ほど。その差は25倍にもなる。一方で、美術館を訪れる人の数を見ると、その差は3倍でしかない。アートを買う楽しさを伝えられるようなサービスを作ることができれば、その25倍という差が縮まっていき、大きな市場が生まれるのではないかと考えている」と、between the arts代表の大城崇聡氏は話す。

採用サービスと人材が増えた今、重要なのは経営者の意識改革

特に創業期のスタートアップにとって、最も大きな課題となるのは人材採用だ。2020年版の中小企業白書を見ても、依然としてスタートアップ業界に人材の需給ギャップが存在することは明らかだ。

ただ、例えばビズリーチが設立された2007年と今を比べると、人材データベースの数も増え、スタートアップも簡単にそこへアクセスできるという時代になった。それでもスタートアップ業界の人材不足が発生してしまうのは「経営者側にも責任がある」と語るのはビジョナル代表の南壮一郎氏だ。

「スタートアップ業界に流入する有能な人材は著しく増えている。ただ、それに応じて人材の見極めも難しくなっている。昔は、スタートアップで働きたいという強い信念を持ち、かつ心理的なバリアを超えてくる人材の絶対数が少なかったが、現在はより多くの人材とより多くのスタートアップがマッチングする時代になり、人材の見極めが以前よりも難しくなっている。『成長痛』みたいなものだ。そのような状況で重要なのは、自分たちのありのままの姿をいかに求職者に伝えられるかだと思っている。華々しく見えるスタートアップだが、もちろん大半の仕事はつらいものだ。そういった部分も含めて求職者に対して正直に向き合うことでミスマッチが減り、離職者も減る」(南氏)。

人材採用に利用できる各種サービスが整い、スタートアップで働きたいと思う人材も増えてきたが、そんなときにこそ重要なのが、経営者自身の意識改革なのかもしれない。それを学ぶためには単に採用サービスを利用するだけでは不十分であり、経営者同士の横のつながりや先輩経営者からの教えが必要になる。ビズリーチ創業者ファンドでは、ビジョナル経営陣や投資先の経営者とともにある種のコミュニティを構築し、今後も採用に関するノウハウを伝えていくという。

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カテゴリー:HRテック
タグ:ビズリーチ人材採用between the arts資金調達日本

世界中からリモートワーカーを見つけるOmnipresentがシリーズAで16.4億円を調達

Omnipresent(オムニプレゼント)は世界中から地域のリモートワークチームを集めて雇用する企業のためのサービスだ。このほどシリーズAラウンドで1580万ドル(約16億4000万円)を調達した。ラウンドをリードしたのは匿名の投資家で、ほかに既存出資者のEpisode 1、Playfair Capital、Tuesiht Venturesが参加した。2020年7月の200万ドル(約2億1000万円)のシードラウンドの5カ月後にこのラウンドを完了したと同社は話した。

共同ファウンダーのMatthew Wilson(マシュー・ウィルソン)氏とGuenther Eisinger(グエンター・アイジンガー)氏は、2019年に人材投資グループであるEntrepreneur Firstの支援で会社を立ち上げた。

Omnipresentは、同社のプラットフォームで150カ国から社員を見つけることで、リモート雇用のコストを会社自身が行う何分の一かに抑えるられるとしている。同社は社員に対して、現地向けの契約書、税申告に加えて健康保険、年金、ストックオプションなどの現地および国際的な特典の支援を行う。

共同CEOのグエンター・アイジンガー氏とマシュー・ウィルソン氏は共同表明で次のように語った。「パンデミック以前から、私たちは国際雇用における法律や管理の障壁を打ち破る革命的可能性を認識していました。私たちは元ビジネスオーナーとして、国際的チーム構築の複雑さや官僚制度との戦いの厄介さを肌で感じてきました。パンデミックの襲来とともに世界的なリモートワークへの転換が起きている今、私たちの方向が間違っていなかったことが確認できました」。

「たとえばカナダには当社のカナダ支部があり、当社クライアントに代わってカナダの人との雇用関係を結ぶので、クライアントはカナダにおける法的インフラを作る必要がありません。これは当社が運営する149カ国すべてにいえることです。その後の雇用に関わる管理業務は人材、福祉、医療にいたるまですべて私たちが管理します」とウィルソン氏はインタビューでこう私に述べた。

同社は、Remote.comやBoundless HQらと競合する。

Episode 1 VenturesのゼネラルパートナーであるCarina Namih(カリーナ・ナミ)氏は次のようにコメントしている。「人材は全世界に均等に分散しているのに、あまりにも長い間、雇用機会はそうなっていません。私は国際的雇用の難しさを直接体験してきました。すでにOmnipresentは、異なる国々を横断して働くグローバルチームのインフラストラクチャーに不可欠な存在です」。

Playfair CapitalのゼネラルパートナーであるJoe Thornton(ジョー・ソーントン)氏も次のように語った。「リモートワークは近代的労働形態の未来系であることはまちがいありません。企業は早く取り入れるほど世界に分散する労働力に関わる競争で大きくリードするしょう。労働力の生産性と満足度を高め、より大きく多様な人材の中から採用することができます。

Ominipresentが行った経営者アンケートによると、85%の会社が2021年にリモートあるいは海外社員を雇用する予定だと答えている。

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カテゴリー:HRテック
タグ:Omnipresentリモートワーカー資金調達

画像クレジット:Omnipresent / AP

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

リモート採用を支えるリファレンスチェック自動化のHiPeopleが3.1億円を獲得

ベルリンに拠点を置き、リファレンスチェックのプロセスを自動化したいと考えるHRテックスタートアップのHiPeople(ハイピープル)は、シードで300万ドル(約3億1000万円)を調達した。

ラウンドをリードしたのはMattias Ljungman(マシアス・ユンマン)氏のファンドであるMoonfireで、Capnamic VenturesとCherry Venturesが参加した。2019年後半の110万ドル(約1億1000万円)のプレシードに続くラウンドだ。特筆すべきは、シードラウンドが対面の会議なしで完全にリモートで完了したことだ。「HiPeopleのクライアントの採用プロセスと同じように」と、創業者のJakob Gillmann(ジェイコブ・ギルマン)氏とSebastian Schüller(セバスチャン・シュラー)氏はメールで筆者に語った。

HiPeopleは今回の資金を成長のために使用し、より多くの採用担当者が自動化されたリファレンスチェックによりリモートで採用ができるようにすると述べた。長期的に同社は、候補者分析プラットフォームを開発し、各候補者に関する豊富なデータと洞察を提供し、「データ主導」の採用を可能にする予定だ。

「抽象的にいえば、HiPeopleはタレントインサイトビジネスに携わっています」とギルマン氏とシュラー氏はいう。「当社のミッションは、人材データを自動で収集・分析し、豊富な洞察を提供することで、より良い採用を可能にすることです。HiPeopleは現在、リクエストから収集、分析に至る候補者のリファレンスチェックを自動化することでこれを解決しています。これにより企業は、追加の手作業なしで候補者に関する情報を充実させることができます」。

HiPeopleのSoftware-as-a-Service(SaaS)の背後にある考え方は、同社のアプローチにより採用担当者にシームレスなユーザーエクスペリエンスが提供され、「検証済みで信頼できる詳細なリファレンスチェック」が作成されるというものだ。その結果、ユーザーが平均して候補者の2倍の量のリファレンスを50%の時間で収集できると同社は主張している。「従来、リファレンスチェックは手作業のプロセスに偏り十分に活用されておらず、多くの場合、経営幹部の採用にのみ使用されていました。HiPeopleはリファレンスチェックの無駄な部分を取り払い、プロセスを再考することにより、人材に関する洞察を豊富に提供します」とHiPeopleの創業者はいう。

HiPeopleの顧客は、急成長しているスタートアップから成長中のテック企業や確立された中堅企業にまでおよぶ。たとえば過去12カ月で従業員を倍増させ、世界全体で1200人にまで増やしたプロセスマイニング会社のCelonisは、HiPeopleを利用してサンフランシスコ、ミュンヘン、東京でのポジションの採用の質を向上させた。「企業はプログラムに従ってリファレンスチェックを実施することにより、改善、スキル、チームワークスタイル、仕事の価値などのトピックに関する検証済みの洞察に基づいて人材を採用できます」とHiPeopleは説明する。

Moonfireのマシアス・ユンマン氏は次のように述べた。「反復するプロセスのワークフローの自動化や、職務経歴書の制約を超える候補者に関する洞察は、採用において誰にとっても明らかな苦痛です。新型コロナウイルス(COVID-19)の影響を受けたリモートワークの現実、つまりリモート採用の慣行により、適切な人材を見つけることの複雑さが増しています。HiPeopleは、プロセスを改善し、採用のスピードを上げながら、採用に携わるすべての人がより良い意思決定を行う方法を開発しました」。

ギルマン氏とシュラー氏によると、HiPeopleの欧州における競争相手は、主に採用担当者が手作業でリファレンスチェックを行うときに使う既存のインフラやプロセスだ。米国では、リファレンスチェックの自動化に関してXrefやCrosschqのような企業がより直接的な競争相手だ。

カテゴリー:HRテック
タグ:HiPeople資金調達

画像クレジット:HiPeople

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(翻訳:Mizoguchi

Salesforce主導でインドのHRプラットフォームDarwinboxが15.6億円調達、アフリカ進出も検討

クラウドベースの人材管理プラットフォームを運営するインドのスタートアップDarwinboxは、インドと東南アジア市場でのさらなる拡大を目指して、新たな資金調達ラウンドで1500万ドル(約15億6000万円)を調達した。

インド南部のハイデラバードに本社を置くこのスタートアップの新しいラウンド(シリーズC)は、米国セールスフォース・ドットコムの投資部門であるSalesforce Ventures(セールスフォース・ベンチャーズ)が主導した。これは、Salesforce Venturesのインドでの数少ない投資の一つだ。Lightspeed IndiaやSequoia Capital Indiaなどの既存の投資家もこのラウンドに参加しており、設立して5年の同社のこれまでの資金調達額は約3500万ドル(約36億3000万円)となる。

Tokopedia、Indorama、JG Summit Group、Zilingo、Zalora、Fave、Adani、Mahindra、Kotak、TVS、National Stock Exchange、Ujjivan Small Finance Bank、Dr.Reddy’s、Nivea、Puma、Swiggy、Bigbasketなど、500社以上の企業がDarwinboxのHRプラットフォームを使用して、60カ国で100万人以上の従業員にさまざまな機能を提供していると、Darwinboxの共同創業者であるChaitanya Peddi(チャイターニャ・ペディ)氏はTechCrunchの取材に対し述べた。これは2019年末にサービスを提供していた50カ国・約200社からの増加だという。

ペディ氏は、同社は常にSalesforceからインスピレーションを得てきたと語り、この巨大企業からの投資は「父親からお墨付きをもらった子供のようなもの」と述べている。

今回の資金調達により、新型コロナウイルスがアジア諸国に広がり不透明感に包まれていた過去一年は、同社にとって最も成功した年となった。その顧客が世界的なパンデミックをナビゲートするために混乱した中で、当初打撃を受けたが、最後の2四半期はこれまでで最高の業績となった、とペディ氏は語った。

全体として、同社の収益は、最後に資金調達を行った2019年9月から300%増加している、とペディ氏は述べている。「HRテックとSaaSの領域では、インドで収益の面ではSAPとOracle(オラクル)にしか後れを取りません」と同氏は語った。

同社の初期バッカーであるLightspeed IndiaのパートナーであるDev Khare(デヴ・カーレ)氏は、Darwinboxは、デジタルトランスフォーメーションを目の当たりにしているアジアのコングロマリット、政府機関、高成長企業やアジアで事業を展開する多国籍企業に好まれる人材管理ソリューションになっていると述べた。

Image Credits: Darwinbox

Darwinboxのプラットフォームは、従業員の「採用から退職まで(hiring to retiring)」のサイクル全体のニーズに対応するように構築されている。Darwinboxは新規採用者のオンボーディングを処理し、彼らのパフォーマンスを把握し、離職率を監視し、継続的なフィードバックループを提供している。

また、従業員同士のつながりを維持するためのソーシャルネットワークや、電話からの素早い音声コマンドで休暇の申請や会議の設定ができるAIアシスタントを顧客に提供している。

ペディ氏によると、同社はこの新たな資本を投入して、中東アジアやアフリカなどの新興市場を中心に、さらに数カ国に進出し、サービスを拡大していく予定だという。「我々は、当社のプラットフォームの力を活用して、さらに多くのことに挑んでいきます。当社は製品主導の企業であり、焦点はこの分野でのイノベーションであることに変わりありません」と彼は語った。また同社は、無機的成長のために小規模な企業を買収する機会を模索することにもオープンである、と同氏は述べている。

「インドは世界で最も若い人口を抱えており、2050年には世界の労働年齢人口の18%以上を占めると予想されています」とSalesforce Indiaの会長兼CEOであるArundhati Bhattacharya(アルンダハティ・バタチャリヤ)氏は声明で述べている。「このため、ワークフォースに焦点を当てたDarwinboxのようなテクノロジープラットフォームが非常に重要になります。Darwinboxがこの分野で成長と革新を続ける中で、Salesforceが彼らの旅路をサポートしていることを誇りに思います」。

Salesforce Venturesのパートナーで国際部門の責任者であるAlex Kayyal(アレックス・カヤル)氏は、TechCrunchのインタビューで、Salesforceはパートナーシップを組んだスタートアップ企業をSalesforceの顧客、経営幹部、ネットワークに紹介したりして、さまざまな方法でスタートアップの事業拡大を支援していると語っている。

「当社には、クラウドソリューションやデジタルトランスフォーメーションを求める、最も革新的で破壊的な顧客基盤があります。ですから、Darwinboxのような企業を当社の顧客基盤に紹介する機会を得られることは、我々にとって非常に嬉しいことです」とカヤル氏は語った。Salesforce Venturesは、インドでのさらなる投資機会を模索している、と同氏は述べている。

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カテゴリー:HRテック
タグ:インド 資金調達 セールスフォース

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(翻訳:Dragonfly)

中小企業にHRプラットフォームを提供する独Personioが約130億円調達

2020年はどのように(そしてどこで)働くかが大きく変わり、組織はいかにうまく従業員を管理し、そのためにどのようなツールを使うか再考し始めた。米国時間1月18日、こうした難題を解決するテクノロジーを構築しているスタートアップの1つが、これまでの牽引力を強調する大きな資金調達ラウンドを発表した。

ドイツのスタートアップPersonio(ペルソニオ)は中小の事業所(従業員数10〜2000人)向けに、人材採用や従業員の教育・育成、給与支払い、勤怠管理、その他人事の主な機能をカバーするオールインワンのHRプラットフォームを展開している。同社は17億ドル(約1760億円)というポストマネーバリュエーションで1億2500万ドル(約130億円)の資金を獲得した。

シリーズDラウンドはIndex VenturesとMeritechが共同でリードし、既存投資家のAccel、Lightspeed Venture Partners、Northzone、Global Founders Capital、Picusが参加する。

17億ドルというバリュエーションは1年前の5億ドル(約519億円)から大きな飛躍だ。前年に同社は売上高を倍増させ、前回調達した資金がまだ銀行口座に残っていることから新たな資金調達は考えていなかった。

Personioは現在、欧州に3000もの中小企業の顧客を抱える。

インタビューの中で、共同創業者でCEOのHanno Renner(ハノ・レナー)氏は引き続きプロダクトの構築に調達した資金を使うと述べた。同社のプロダクトはWorkdayに少し似ているが、より小さな組織向けだ。Personioはまた、欧州での事業拡大にも資金を使う。

中小企業は相手するのに難しいセクターかもしれないが、レナー氏は新しい機会が生まれたと話した。新たな考え方を持つ中小企業セクターの人々がモダンで統合されたHRプラットフォームを持つことの価値を認識し始めた。

「我々はミッドマーケット企業のための先最端のHRプラットフォームになるべく、2016年にPersonioを立ち上げました。素晴らしい会社になることはわかっていましたが、HRが真に意味するものを把握するのは難しいかもしれないと認識しています」と同氏は話した。「しかしこれまでに当社の事業を動かしてきたものは、HRが単に重要な部分ではなく、あらゆる事業において最も重要な部分であるということの悟りだったと私は考えます」。

(1つの例として)採用、契約書のサイン、リモートによる新規従業員の教育・育成のためのツールを提供することで、ユーザーを変える魔法になる場合があります、と同氏は話した。それでも同氏は、ミッドマーケット、特にテクノロジー中心になっていない企業の多くはいまだにエクセルのスプレッドシートで、さらに驚くことにはペンと紙で作業をしていて「何年も遅れている」ことを認識している。「より効率的な方法でそうした企業のデジタル化をサポートすることで当社の事業は成長してきました」。

どのように働くかという点での変化が、HRツールの新たな購買欲につながることを望んでいるスタートアップは、Personioだけではない。Hibob(ヒボブ)のようなスタートアップも事業を大きく成長させていて、より積極的にチャンスをつかもうと資金も調達した。

Hibobはさらなるトレーニングツールを構築しようとしていて、これはPersonioも負けずについていかなければならない機能開拓レースだ。

しかし欧州マーケットには2500万社超とかなりの中小企業があり、EUの調査によると全企業の99%を占める。そうした中小企業の多くがまだHRプラットフォームをまったく導入していないという事実からして、この分野で多くのプレイヤーが大きく成長する余地はある。

「中小企業は欧州中で1億人を雇用して欧州経済を支えていますが、主に大企業にフォーカスしていたソフトウェア企業に無視されてきたセクターでもあります」とPersonioの役員を務めるIndexのパートナー、Martin Mignot(マーティン・ミグノット)氏は声明文で述べた。「Personioは中小企業のニーズを解決するテーラーメードのパワフルなツールを作り、そうした状況を変えます」。

「世界で最も成功しているSaaS企業と協業する楽しさがありました。過去5年間のPersonioの成功とマーケットの膨大なポテンシャルを考えたとき、我々はPersonioの成功して影響力を持つ事業を構築する能力をかたく信じています」とMeritech CapitalのゼネラルパートナーAlex Clayton(アレックス・クレイトン)氏は声明文で付け加えた。「ここ数年間、(CEOの)ハノ(・レナー)と数多くの素晴らしい議論を交わし、我々は今、Personioの旅に加わることに興奮しています」。クレイトン氏はまた、資金調達ラウンドの一環としてPersonioの役員メンバーに加わる。

関連記事:人事プラットフォーム開発のHibobがHRへの新たな取り組みに向け約73億円を調達

カテゴリー:HRテック
タグ:Personio資金調達

画像クレジット:Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

会社説明会など採用活動イベントのオンライン開催ツールを展開するBiziblが4300万円調達

会社説明会など採用活動イベントのオンライン開催ツールを展開するBiziblが4300万円調達

採用イベントのオンライン開催ツール「Bizibl」(ビジブル)を提供するBizibl Technologiesは1月19日、第三者割当増資による総額4300万円の資金調達を発表した。引受先は、プライマルキャピタル、インキュベイトファンド、 F Ventures LLP、鈴木悠人氏を含む複数の個人投資家。

会社説明会など採用活動イベントのオンライン開催ツールを展開するBiziblが4300万円調達

同社では、オンライン開催に適した体験設計や既存業務フローとの連携を進めることで、採用イベントを「真に」場所から解放し、企業と候補者がよりシームレスに出会える社会の実現を目指す。調達した資金は、その根幹となるプロダクトの開発体制強化にあてる。「選考説明会」といった複合型の開催形式にも対応するなど、採用イベントのオンライン開催体験を磨き込むとともに、効率的な採用業務をサポートするためのATS連携にも取り組んでいく予定。また、合同イベントを主催する企業・自治体向けの管理機能なども実装予定としている。

Biziblは、オンライン開催に最適化された環境で、会社説明会/座談会/グループディスカッションなどを開催できる採用ツール。準備や当日の開催、ふり返りや候補者管理がワンストップで可能なブラウザー完結のサービスとなっている。現在β版としてトライアル利用を受け付け中で、春頃リリース予定だ。

会社説明会など採用活動イベントのオンライン開催ツールを展開するBiziblが4300万円調達

代表取締役CEOの花谷燿平氏によると、現在の著名ビデオ会議ツールは参加者が対等な関係という前提でのサービス設計になっており、会社説明会や座談会、グループディスカッションといった採用活動イベントで利用するには課題が多いという。

これら採用活動には「採用担当者」と「候補者」という明確な線引き(非対称性)が存在する上、さらに各候補者のプライバシー情報を保護する必要があるが、従来ビデオ会議ツールではこれは難しい。

誰が進行役(採用担当者)なのかや、発言タイミングなどの進行も把握しにくい点が課題となる。顔や氏名、やりとりの内容といったプライバシー情報が候補者間で見えてしまう環境も、候補者側の参加ハードルといえる。その結果、候補者体験が落ちて志望度が醸成されず、選考フローから離脱してしまうといった採用課題にも直結していると指摘した。

一方Biziblでは、採用イベントにおける属性・形式などの「非対称性」に応じて、開催画面やコミュニケーション機能・プライバシー環境をオンデマンドに設定可能な点がまず大きく違うとした。例えば、参加者間での顔/氏名の表示設定やセッション情報などの共有設定なども柔軟に設定できるという。

グループディスカッションは現在開発中

グループディスカッションは現在開発中

またCEOの花谷氏は、採用活動は、多岐に渡る業務が同時並行で進むような複雑かつ超多忙なものであり、その中で候補者情報という非常にナイーブな情報を管理する必要があると説明。ビデオ会議ツールやスプレッドシート、アンケートフォームなど、独立したツールを複合的に利用する運用方法は、業務の煩雑化だけでなく、候補者情報の取得・管理の効率を下げる原因にもなっているという。

これに対してBiziblでは、企業の業務フローにフィットする形でのサービス設計を目指しており、告知ページ作成などの準備や、開催後の分析や候補者情報のデータベース管理などの運用の効率化を提供。細やかな準備や運用工数を削減し、より重要な採用業務に集中できるとした。

会社説明会など採用活動イベントのオンライン開催ツールを展開するBiziblが4300万円調達

また、開催画面内で記入できるアンケート機能などを活用することで、動機づけや就活状況把握に利用できる情報を、早期から回収率高く収集するが可能という。CEOの花谷氏は、これまでのような紙を利用したアンケートや、単独のアンケートフォームのみでは答えてもらえることが少ないため、候補者が開催画面で記入しやすいよう配慮していると明かした。

今後のサービス展望としては、現在の機能のブラッシュアップに加えて、説明選考会や座談会イベントなど複合型の開催形式への対応、複数企業が参加する合同イベント・合同説明会の主催に合わせた管理画面の展開を計画しているそうだ。

人材企業や地方自治体による合同説明会では、例えば主催者の地方自治体の下に参加する複数企業が連なる形になるが、これまでのビデオ会議ツールやウェブサイト(上のリンク)を組み合わせて活用する体裁が多く効率的といえず、候補者情報の取得・管理が行いにくい。花谷氏は、Biziblによりこれを解決するという。

Bizibl Technologiesは、2018年10月に設立。CEOの花谷氏は、大阪大学大学院工学研究科 博士前期課程 修了。工学がバックグラウンドであり、バイオテクノロジーを専攻していたという異色の経歴の持ち主だ。大学在学中進路に迷っている頃参加したシリコンバレー研修を機にスタートアップ事業に興味を持ち、研究や学内プログラムを通してものづくりや事業構築を経験。大学院進学後の2018年に創業した。

当初は他領域事業や転職系メディアを手がけていたものの、転職フェアなどに市場調査に行く中で、「なぜ、いまだにこんなに非効率なことをしているのか」と疑問に感じたのがきっかけでピボットしたと、花谷氏は明かす。大阪の大学生として就活をしていた頃、東京・大阪間を何度も往復するなど体力面・金銭面で苦労した経験もあり、より「自分ごと」として捉えられるBiziblで効率化を目指すこととした。

花谷氏は、採用イベントは対面で行うのが従来常識とされてきた一方で、企業と候補者間に存在する地理的距離が情報格差や雇用格差を生む大きな原因となっていると指摘。Biziblを提供することで、付け焼き刃的な運用ではない、採用活動のオンライン化および効率化を推し進めたいとしている。

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カテゴリー:HRテック
タグ:資金調達(用語)ビデオチャット(用語)日本(国・地域)

新卒・中途を一元管理できる採用管理システム「SONAR ATS」のThinkingsが9.5億円調達

新卒・中途を一元管理できる採用管理システム「SONAR ATS」のThinkingsが9.5億円調達

新卒・中途採用の一元管理が可能な採用管理システム「SONAR ATS」を提供するThinkingsは1月18日、シリーズAラウンドとして、第三者割当増資および金融機関からの借入による総額9.5億円の資金調達を発表した。引受先はインキュベイトファンド、XTech Ventures、i-nest capital、みずほキャピタルの4社。

調達した資金は、SONAR ATSのサービス強化、SONAR ATSと連携しているHRサービスを掲載するマーケットプレイス「SONAR Marketplace」実現に向けた機能開発および人材採用などに充てる予定。

また2月1日より、インフォデックスとイグナイトアイはThinkingsへ合併することを明らかにした。

Thinkingsは、企業が最適なHRサービスを選択・活用し、より自社とマッチした人材をストレスなく採用できるよう、2013年からSONAR ATSを中心にHRTech事業を展開。各就職ナビやイベントなど、全ての応募経路からのデータを一元管理し、直感的なユーザーインターフェースにより、応募者へのLINE連絡や状況の分析、さらに応募者への効果的な動機形成を図ることが可能。通年採用化に伴う、年度に縛られない採用管理にも活用できるそうだ。現在SONAR ATSは、業界・業種・採用規模などを問わず約800社(2021年1月時点)の幅広い企業に導入されているという。

また今回Thinkingsは、採用の「解像度」を上げ、真のマッチングを実現するという新たなビジョンを定めたとしている。候補者それぞれにピントを合わせ共感を構築する採用活動や、各企業ごとの最適な採用戦略など、採用活動の「解像度」を上げていくことで、「採用管理」にとどまらず、候補者と企業の双方が幸せになる真のマッチングを生み出していくとしている。

採用管理システム「SONAR ATS」の事業拡大

これまでSONAR ATSでは、採用管理システムとして高い柔軟性と効率性を追求し、あらゆる採用の管理を可能にしてきたという。また、現在22のSaaSとAPI連携しており、スムーズな情報連携が可能としている。今後、機能改善に加えてさらに連携サービスを増やし、SONAR ATSと様々なHRサービスを組み合わせてシームレスな採用管理が行えるよう、利便性を向上させる。

またこれにより、多様な採用課題に対応できる採用管理システムとして、2023年度(2024年7月)中に2000社の企業への導入、2021年度(2022年7月)までに100のHRサービスとのAPI連携を目指す。

HRサービス提供ベンダーがサービスを販売・提供、採用担当者が相談・購入できるマーケットプレイスを目指す「SONAR Marketplace」

Thinkingsは新たにSONAR Marketplaceサイトを開設し、採用管理システムで培った知見を元に、HRサービス活用ノウハウやSONAR ATSと連携しているHRサービスを掲載。採用管理システム事業専業で展開してきたからこそ、様々なHRサービスを中立的な立場でユーザーに提案できる「マーケットプレイス」を創ることが可能と考えているという。

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同社は、このSONAR Marketplace事業によって企業のHRサービス購買プロセスの最適化を目指すという。SONAR Marketplaceを通して、企業は自社の目的や課題に合った最適なHRサービスを選定し、活用方法を理解し、購入まで完結することが可能となるよう、システム開発を推進する。

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また現在「SONAR Marketplaceで購入可能なサービスの増加」、「購買システム開発」の2点を進めているそうだ。

  • SONAR Marketplaceで購入可能なサービスの増加:現在SONAR ATSとHRサービスとのAPI連携を推進。将来、SONAR Marketplace内で採用担当者が様々なHRサービスを購入可能とするため、ThinkingsはHRサービス提供ベンダー各社との連携を強化していく。各HRサービスベンダーはSONAR Marketplaceに参画することで、業界を問わず様々な企業との接点を持ち、自社サービスを企業に販売・提供できる市場を得ることが可能になる
  • 「SONAR Maketplace」サイト・オンライン購買システムの開発:現在SONAR Marketplaceにおいて、採用担当者は、Thinkingsに対し掲載サービスに関する購入や導入に関する相談が可能。将来的には、SONAR Marketplace内で、各HRサービスの単体購入や、企業の採用課題に合わせ最適なHRサービスを組み合わせたパッケージも購入できるよう、設計・開発を進めている。SONAR MarketplaceはSONAR ATSユーザーに限らず利用が可能で、誰でも「0から採用を始める」ことができる場を作る

今後SONAR Marketplaceにより、次々と生まれる多様なHRサービスを迷わず導入することを可能とし、企業ごとに最適な採用戦略を構築できるようにすることで、採用の「解像度」を上げていくことを目指す。また、2021年度中にHR領域の新規事業立ち上げを予定している。

カテゴリー:HRテック
タグ:資金調達(用語)ThinkingsSONAR ATSSONAR Marketplace日本(国・地域)

paizaがジャフコなどVC7社と提携、投資先スタートアップ向け特別プランでIT人材不足解消を支援

paizaがジャフコなどVC7社と提携、投資先スタートアップ向け特別プランでIT人材不足解消を支援

ITエンジニア向け転職・就職・学習プラットフォーム「paiza」(パイザ)を運営するpaizaは1月8日、計7社のベンチャーキャピタル(VC)との提携とともに、各VC投資先のスタートアップ向け「VC投資先スタートアップ向け割引プラン」の提供開始を発表した。

提携VCの7社は、ジャフコグループ(JAFCO)、Coral Capital、インキュベイトファンド、東大IPC(東京大学協創プラットフォーム開発)、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ(ITV)、Bonds Investment Group、東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC)。

登録者数38万人(2020年7月時点)のpaizaユーザーとマッチングを図ることで、スタートアップで慢性的な課題となっているITエンジニアを中心とするIT人材不足解消を支援する。

同社は、VC7社が投資するスタートアップ企業向けに、報酬料を最大50%引きしてIT人材の紹介を実施。paiza登録者は、大手VC投資先である優良スタートアップ企業の求人情報を入手でき、スタートアップ側はpaiza登録済みIT人材に自社の採用情報を届けることができる。

paiza登録者の特徴は、「プログラミングスキルチェック」によって6段階のpaizaランクを獲得している点にあるという。専門知識のある人事担当者がいない、もしくはあまり採用に時間をかけられないスタートアップにおいても、求職者のスキルを簡単かつ的確に見極めて採用可能としている。

またpaizaでは、転職・就職・学習プラットフォーム「paiza」から将来的に日本発のグローバルIT企業が生まれることを目指しており、今後も国内全体のIT人材不足解消に向けてサービスを強化していくとした。

paizaがジャフコなどVC7社と提携、投資先スタートアップ向け特別プランでIT人材不足解消を支援

スタートアップは、事業そのものの不確実性が高いことから、経験豊富なIT人材の就業先として選択されにくいのが実情という。DXの流れから各産業でIT人材のニーズは高まり続けており、スタートアップが優秀なIT人材を採用することは極めてハードルが高い状況にあるとしている。

paizaは、高い成長が予測される未上場のスタートアップを見極めて投資を行うVCの中でも、特にIT領域に強みのある7社と提携。「paiza」に登録する38万人のIT人材に対して、VC投資先スタートアップの求人情報を提供し、両者のマッチングを促進する。これによりスタートアップの成長のボトルネックにもなっているIT人材不足解消を支援する。

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Bambeeの提案:雇用主だけでなく、中小企業の従業員が信頼できる人事サービス

Allan Jones(アラン・ジョーンズ)氏の最初のスタートアップは、サンタモニカを拠点とするスタートアップスタジオ・アクセラレーターのScienceが支援した、Trunk Clubのようなバーチャル・パーソナルショッパーサービス、Fourth and Grandだった。

その事業は成功しなかったが、おかげで駆け出しの若い起業家(そして大学中退者)だった彼は、ロサンゼルスを拠点とするスタートアップBambeeを立ち上げる道に進んだ。同社は、小企業でも大企業と同じような人事サービスを従業員に提供することを可能にする会社だ。

BambeeがZenefitsなど人事サービスを提供しようとしている他の企業と異なる点は、雇用主だけでなく従業員のニーズにも焦点を当てているところだ。多くのツールは、雇用主の視点から採用、人材管理、福利厚生管理に重点を置いている。Bambeeは、それを取り巻くビジネスプロセスではなく、人事のソフトでヒューマンな側面を扱っていると自負している。

ジョーンズ氏は、カリフォルニア州アップランドで地元のミニマーケットを経営していた父親が、恨みを持った従業員から不当解雇訴訟を起こされ対処せねばならなかった経験から、このビジネスのインスピレーションを得たという。

「(アメリカ)全国すべての中小企業は、人事の専門家にアクセスできるべきです」とジョーンズ氏は語る。「子供の頃、私の父は小さなミニマーケットを所有していましたが、不当解雇で訴えられ、彼は、私の大学のために貯めた教育資金に手をつけざるを得ませんでした」。

DocstocやZipRecruiterを含むLAのスタートアップと仕事をする中で、ジョーンズ氏は父親の雇用主としての状況で目の当たりにした不安定さが、従業員にも及んでいることに気づいた。「脆弱性は双方に存在していました」とジョーンズ氏は言う。

WeWork、Uber、Zenefits、あるいはAwayのようなスタートアップの従業員の状況を見れば、企業の存在の初期段階での人事管理の不足が、後になってより大きな問題に雪だるま式に発展する可能性があるのは一目瞭然だ。

「これは560万社の企業に蔓延している問題です。一旦そのことに… そして(既存の)解決策がないことに気がついたら… 正気のさたじゃないとしか思えませんでした」とジョーンズ氏は語った。

ジョーンズ氏によれば、Bambeeなら、フルタイムの人事の専門家が提供するサービスの80%をはるかに小さなコストで提供できるという。

Bambeeは月額99ドル(約1万300円)で、クライアントに専任の人事マネージャーを提供し、適切な人事ポリシーの作成と実施、アプリでの電子署名の収集、複雑なコンプライアンスの規制の世界をナビゲートすることができると同社は述べている。これらのマネージャーは、社内調査、採用、新人研修、一時解雇、職場復帰手続きの実施などを指揮できるとのこと。

人事の専門家は、管理職の不祥事が全社的な問題に発展しないようにするだけでなく、情報の源泉となることもある。また、従業員を一時解雇する方法、スタッフを再雇用する方法、両方の状況に対応する方法などの情報も提供できる。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックへの対応では、これらの情報は非常に重要になった。

そのため、Stojo Projects、Knife Aid、Hank’s Bagelsなどの企業が同社のサービスを利用している。Bambeeは全国に彼らと同じような顧客を約1万社抱えており、現在までに3200万ドル(約33.2億円)を調達している。10月には、QED Investorsが主導する1500万ドル(約15.5億円)のラウンドを終了し、AlphaEdisonを含む以前の投資家も参加している。

ジョーンズ氏は、成長の余地はたくさんあると考えている。いったん同社が実際に人材を管理するソフトサービスを導入すれば、従業員の福利厚生管理や給与など、よりコモディティ化されたツールも簡単に導入できるようになる。他の金融商品も、バックエンドから提供できるようになるかもしれません、とジョーンズ氏は語った。

「私が実現したいことの一つは、雇用主と雇用者の関係をより公平にすることです」とジョーン氏は言う。「基本的なことから始めて、関係をより良く定義する必要があります。蔓延する問題として、雇用主と従業員の世界で、両者の関係がいかに定義されておらず、軽視されているかを目の当たりにしてきました。信頼関係が構築される人事サービスの要素… これらの企業ができることを、どれだけ拡げることができるでしょうか?」。

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タグ:人事

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(翻訳:Nakazato)

AI利用の動画ベース求人プラットフォームmyInterviewがシード資金5.2億円調達に成功

履歴書の処理は求職者にとっても、採用企業にとっても面倒な仕事だ。特に現在の採用環境では困難が大きい。ソーシャルメディアにはすでに動画は無数にあるが、求人分野でまだほとんど使われていない。しかし動画なら、テキストベースでは十分に表現できない応募者の個性がはっきりわかる。オーストラリアのシドニーを拠点とするmyInterviewは、動画をリクルートビジネスの必須な部分に変えたいと考えており、ユーザーが質問に回答していくだけでいわばバーチャル面接ができるようなプラットフォームを開発した。採用担当者はオプションとしてmyInterview Intelligenceも利用できる。これは機械学習ベースのツールで多数の応募者から最終候補リストを自動的に作成する。

myInterviewはイスラエルとオーストラリアにオフィスを置くスタートアップで、イスラエルのアーリーステージベンチャーキャピタルであるAlephがリードしたシードラウンドで500万ドル(約5億2000万円)を調達した。今回のラウンドには既存投資家のEntrée Capital、SeedIL Venturesも参加した。myInterviewはこの2社とLinkedInの東南アジア、オーストラリア、ニュージーランド事業の元トップだったCliff Rosenberg(クリフ・ローゼンバーグ)氏から160万ドル(約1億7000万円)のプレシード資金を調達している。

myInterviewはすでに米国と英国を中心にオンラインスーパーマーケットのOcado、小売業のB&M、P&OFerriesなどを含め2000社以上で利用されている。またFacebook(フェイスブック)のCareer Connectionsとも連携し、英国最大の求人検索サイトであるreed.co.ukと戦略的パートナーシップを結んでいいる。これまでに200万人以上の求職者がmyInterviewを使用しているが、同社の目標は数千万人規模だという。

今回の資金はプロダクト、セールス、開発チームの拡大するために利用されるという。

Guy Abelsohn(ガイ・アベルソン)氏とBen Gillman(ベン・ギルマン)氏は就職活動をしている際に、履歴書を目立たせることが非常に難しいことに気づいた。これがきったけとなって両氏は2016年にMyInterviewを創立した。当初、myInterviewは、企業の既存の採用システムに統合できる各種ツールを提供していたが、2019年初めに独自の動画履歴書プラットフォームを立ち上げた。これは新型コロナウイルスによってパンデミックが発生するかなり前のことだった。ギルマン氏はTechCrunchの取材に対してこう述べている。

すでに2019年から2020年の初めにかけてすでに好調にユーザーを集めていたので、我々成功は新型コロナが主たる原因ではないと考えます。しかし採用側企業にはパンデミックは大きな影響がありました。我々のユーザー企業には新しいテクノロジーを利用して採用プロセスの効率化を図る必要が生じました。myInterviewは、多数の応募者に対してソーシャルディスタンスを保ちながら効果的、効率的な面接を行うために動画を全面的に取り入れました。

ギルマン氏によればmyInterviewの動画プラットフォームはどんな職種の採用にも適しているというが、数百人から数千人も応募者が殺到する初級職の募集で利用されることが多い。

myInterviewを使用するために、企業はプラットフォーム上にポータルを設定する。ここには求職者に動画で回答を求める質問のリストと応募にあたっての諸注意を記述する。求職者は、動画履歴書の送信する前に、応答を再生し、気に入らなければ再度撮影することができる。送信されるたファイルには採用担当者が各種の基準でソート可能なタグが自動的付与される。

採用プロセスに動画の統合を試みているスタートアップで最近資金を調達した会社にはVCV.AIJobUFOWilloがある。

myInterviewがライバルと競争する上での武器の1つはmyInterview Intelligenceだ。採用担当者はmyInterview Intelligenceを使用してキーワードとフレーズで検索ができる。また応募者の応答動画の音声から口調の分析も可能だ。

スクリーンショット:myInterview Intelligence

MyInterviewのAIツールは、パーソナリティの研究で広く利用されている「ビッグ5」というフレームワークに基づいている。「ビッグ5」ないし「性格の五因子モデル」は採用プロセスで長年使われてきた。myInterviewは検査様式に回答を記入させる代わりに、動画を解析したスクリプトに基づいてプロセスを自動化する。

myInterviewによれば、職場文化との適合性に重点を置いた機械学習により最終候補者リストを自動的に作成することで、採用担当者は時間的余裕を得ることができ、従来の方法では見落とされがちだった適格者を発見するのに役立つという。ギルマン氏によると、同社のプラットフォームは、行動心理学者と協力し、多様な動画データセットを使用してアルゴリズムをトレーニングすることで採用プロセスに混入しがちなバイアスを最小化させようとしている (AIを使用して採用における各種のバイアスを克服する試みとしては、最近資金調達に成功させたRippleMatchなどがある)。

あらゆる関係についていえるが、特定の企業文化に適合する性格がどんなものであるか明確に定義するのは難しい場合が多い。myInterviewのデベロッパーにはプログラマーだけでなく行動心理学者、機械学習エンジニアが含まれており、優れたチームを構成する要素がなんであるか解読しようとしているという。ギルマン氏はこう説明する。

複雑な階層構造を持つ大企業に向いた求職者もいれば、家族的な自由な空気の小規模な企業でうまくいく求職者もいます。これらははっきりした結果をもたらす要素です。我々は求職者と雇用企業の双方にメリットのあるプラットフォームの実現を目指しています。

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カテゴリー:HRテック
タグ:myInterview人材採用機械学習

画像クレジット:FreshSplash / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Hibob、ヒューマンリソースへの新たな取り組みに7000万ドルを調達

生産性ソフトウェアは今年大きな見直しが図られており、従業員の雇用、解雇、支払い、管理に使用されるヒューマンリソースプラットフォームも例外ではない。次世代のHRシステムの構想と形成に取り組むスタートアップの1つが本日、大規模な資金調達を発表し、同社の成長とこの分野への注力を表明した。

人事プラットフォームのスタートアップHibob(ハイボブ、「Hi, Bob!」の発音)が、7000万ドル(約73億円)の資金を調達した。同社に近い信頼できる情報筋によると、評価額は5億ドル(約520億円)前後だという。

「HRテクノロジーを近代化することをミッションとしています」HibobのCEOで、Israel David(イスラエル・デヴィッド)氏と共に同社を設立したRonni Zehavi(ロニー・ツェハヴィ)氏は語る。「当社は、今日の人々の働き方を管理するプラットフォームです。リモートまたは物理的な協働のいずれの場合でも、顧客は作業に関する課題に直面します。将来のHRプラットフォームは、ぎこちないシステムや煩わしい巨大なプラットフォームではない、そうあるべきではないと考えています。当社が手がけるのは、記録というよりエンゲージメントのシステムです」。

シリーズBを主導しているのはSEEKとIsrael Growth Partnersで、ほかにはBessemer Venture Partners、Battery Ventures、Eight Roads Ventures、Arbor Ventures、Presidio Ventures、Entree Capital、Cerca Partners、Perpetual Partnersが参加している。2019年の前回のラウンド(シリーズAの拡張)でHibobを支援したのと同じグループだ。これまでの累計調達額は1億2400万ドル(約129億円)に達している。

同社のルーツはイスラエルにあるが、最近では本社をロンドンとニューヨークに置き、資金調達は複数の市場での力強い成長を背景にしている。ツェハヴィ氏はインタビューの中で、Hibobはミッドマーケットの顧客に特化しており、Monzo、Revolut、Happy Socks、ironSource、Receipt Bank、Fiverr、Gong、VaynerMediaを始め、米国、欧州、アジアで1000以上の顧客を確保していると述べている。昨年には前年比で3桁の成長を遂げたという(その数字が何であるかは特定していない)。

ヒューマンリソースが会社の仕組みの中でこれほど注目されたことはかつてなく、時には軽視される存在でさえあった。ところが2020年、HRは新たなスポットライトを浴びることになる。今年はデスクワークを中心にする企業も、よりインタラクティブでアクティブな環境にある企業も、すべての企業がその仕組みを変えなければならない年となった。

これには、全従業員を在宅勤務に移行し、寝室や台所の隅の自宅オフィスからサインインできるようにすることを始め、従業員の働く場所、時間、交流形態という点で従来とはまったく異なる設定の構築が必要とされた。しかし、どのような実装であっても、すべての従業員が連携・管理されている意識を持ちながら協働するチームに属していた。またそうした中で、臨時雇用、一時帰休、解雇が行われた。

この点に注目すると、一部のレガシーシステムの機能様態における問題が明らかになってくる。古いシステムでは、従業員のID番号を作成し、給与計算などの目的でトラッキングする程度のことしか想定されていなかった。

Hibob(ちなみにツェハヴィ氏は売りに出されていた「bob.com」のドメインにちなんで社名を選んだそうだが、実際の製品に名付けられた「bob」も気に入っているという)は、従業員が何をしているかに応じて異なるソフトウェアやアプリをバランスよく配置し、統合することでそれらを連携させるというゼロからのアプローチを取っている。これにはSlack、Microsoft Teams、MercerなどのHR部門で普及しているパッケージが含まれている。

給与、追加報酬、オンボーディング、休暇の管理、福利厚生など、必要なHRベースのすべてをカバーしているが、さらにパフォーマンスや文化など、ユーザーのより大きなプロファイルを構築するのに役立つさまざまな機能が盛り込まれている。同僚、マネージャー、そして従業員自身がフィードバックを提供して、会社との関わりを強化し、会社が組織にどのように適合しているか、将来的に何に注意を払う必要があるかを把握できるようにする。

これらがより大きな組織図や概念図にリンクされ、強力なパフォーマンスを発揮する人々、離職リスクのある人々、リーダーとなる人々などが浮き彫りになる。これらの機能の一部をカバーするスタンドアロンアプリは、HRの領域に他にも多く存在するが(たとえば15fiveは、目標の設定とフィードバックの提供を容易にするプラットフォームの価値を先駆けて捉えた)、ここで注目すべきは、それらが1つのシステムに集約されていることだ。

ここまでの印象としては、HR担当者にとってより有益で使いやすく、意味の通ったよりインタラクティブでグラフィックなインターフェースのように思われる。

投資家にとって重要なのは、製品とスタートアップが可能性や機会を特定し、エンゲージメントをもたらすだけでなく、必要不可欠な機能も備えた強力なソフトウェアを提供しているということだ。

「Workdayとは明らかに異なります」とBessemer Venture Partnersでパートナーを務めるAdam Fisher(アダム・フィッシャー)氏はインタビューで語っている。「私たちの包括的な論点は、HRの重要性が増しているにすぎない、ということです。エンゲージメントはとても重要ですが、その機会だけでは市場を創出するには不十分です」。

目指すところは、今後さらに多くの機能を導入していくことのできるプラットフォームだ。たとえば、企業やB2Bソフトウェアの世界で注目を集めているもう1つの大きな分野に従業員のトレーニングがある。具体的に言えば、企業の学習システムは、人々が仕事の重要な側面を理解できるようにするだけでなく、つながりが逼迫しているときにも参加できるようにするための新たな方法を生み出しつつある。

「SuccessFactorsのようなスタイルのトレーニングは、間違いなく当社のロードマップに含まれています」とツェハヴィ氏は述べ、継続的に新機能を追加していくことを強調した。最近では、能力向上サイクルと称される報酬制度が導入されている。「これは非常に複雑なシステムで、財務とCFOオフィスとより密接に統合する必要がありますが、当社はこれを合理化して使いやすくしました。2か月前にこれをローンチして以来、かなりの手応えを感じています。学習と能力開発の後、さらに数々のモジュールを生成していく計画です」。

関連記事:ウォンテッドリーが新プロフィールページを全ユーザーに公開、ビジネスポートフォリオとして利用可能

カテゴリー:HRテック
タグ:資金調達

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(翻訳:Dragonfly)

ウォンテッドリーが新プロフィールページを全ユーザーに公開、ビジネスポートフォリオとして利用可能

ウォンテッドリーが新プロフィールページを全ユーザーに公開、ビジネスポートフォリオとして利用可能

ビジネスSNS「Wantedly」運営のウォンテッドリーは12月14日、Wantedlyのプロフィールページを一新し、全ユーザーに対しリリースしたと発表した。新プロフィールは、「wantedly.com/profile_v2/welcome_1」より開始できる。

また今回リニューアルしたプロフィールを通じてビジネスパーソン同士の「つながり方」をアップデートさせるべく、「#つながり方改革」プロジェクトを始動したと明らかにした。

新プロフィールでは、職務経歴書に記載するような肩書きや経歴といった情報に加え、仕事に対する「想い」や、それに対する具体的な「行動」を画像や動画、テキストなどを元にカード形式でリッチに表現することで、その人の魅力やパーソナリティを描き出せる。

クリエイティブ系の職種の方だけでなく、行動を画像や動画などで表現することが難しい営業系や管理系を含む、あらゆる職種のビジネスパーソンにとって、自身の魅力を豊かに表すビジネスポートフォリオとなるよう、プロフィールのユーザー体験、ユーザーインターフェースを一新した。

ウォンテッドリーが新プロフィールページを全ユーザーに公開、ビジネスポートフォリオとして利用可能

ウォンテッドリーが新プロフィールページを全ユーザーに公開、ビジネスポートフォリオとして利用可能

なお、Wantedlyの各種サービス利用状況により、自動でプロフィールにアップデートが加わらない場合は、PCで「www.wantedly.com/profile_v2/apply-beta-tester」にアクセスすることで新プロフィールに切り替えられる。

また想いや価値観など、肩書や経歴に囚われない魅力を可視化することでビジネス上のつながり方を進化させ、コラボレーションや新たな出会いの可能性を拡げていくプロジェクト「#つながり方改革」を始動。

オンラインのビジネスコミュニケーションが当たり前になり、人とのつながりを深めることが難しくなっている時代において、新しいWantedlyのプロフィールによって、経歴や肩書き、学歴などのスペック的情報にとらわれず、価値観、個性など「その人の魅力」をオンライン上で可視化するという。

ウォンテッドリーは、「シゴトでココロオドルひとをふやす」ために、はたらくすべての人が共感を通じて「であい」「つながり」「つながりを深める」ためのビジネスSNS「Wantedly」を提供。2012年2月のサービス公式リリースから現在までに、登録会社数3万6000社、個人ユーザー数270万人を突破した。

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カテゴリー:HRテック
タグ:Wantedly / ウォンテッドリー(企業)日本(国・地域)

フリーランス・副業向けのオンラインリファレンスチェック「Parame」が数千万円規模の資金調達

フリーランス・副業向けのオンラインリファレンスチェック「Parame」が数千万円規模の資金調達

リファレンスチェック特化型ビジネスSNS「Parame」(パラミー)を運営するParameは12月15日、第三者割当増資による数千万円規模の資金調達を発表した。引受先は、F Ventures、インキュベイトファンド、大島礼頌氏(インフラトップ 代表取締役)、岩崎翔太氏(終活ねっと 創業者)、児玉昇司氏(ラクサス・テクノロジーズ 代表取締役)、天野和哉氏(経営コンサルタント)、佐名木亮平氏(経営コンサルタント)など。

調達した資金は、さらなる事業拡大へ向け、セールス・マーケティング面に投資予定。

Parameは、企業がフリーランスや副業人材へ業務を発注する際に、前職の上司や顧客などその候補者をよく知る人物から面接だけでは知れない候補者の性格や業務中のエピソードを、オンラインで質問でき、人材ミスマッチリスクを低減できるリファレンスチェック(第三者からの推薦状取得)サービス。

岡野亮義 代表取締役は、Parameはこのリファラル情報を重点にしており、他社のビジネスSNSとはコンセプトが異なると指摘。同様の機能を他サービスが実装する可能性あるものの、Parameではリファラル情報を基に信用スコアのような仕組みを5~10年かけて作りたいという。最終的な目標のひとつは、人材募集や転職支援ではなく、リファラル情報に基づいた信用スコアを他サービスと結びつけることにあるとした。その具体例としては、資金借入枠の拡大などだ。

フリーランス・副業向けのオンラインリファレンスチェック「Parame」が数千万円規模の資金調達

同社では、個人向けサービス「Parame」、法人の採用担当者向けサービス「Parame Recruit」を展開。

オンラインリファレンスチェックの「Parame Recruit」はビジネスSNS「Parame」と連動しており、リファレンスチェック時に候補者が受け取った推薦状の一部は、候補者のParameアカウントへ蓄積される。

これにより、従来のリファレンスチェックでは1度限りの利用となっていた推薦状のデータが候補者のParameアカウントに蓄積され、候補者にとっての信用補完として再活用が可能という。

企業が業務発注案件の募集を掲載すると、Parameアカウントを持つユーザーがこれに応募。企業は応募した候補者に対してリファレンスチェックを実施でき、候補者をよく知る人物からの推薦状を事前に取得した上で発注判断が行える。

フリーランス・副業向けのオンラインリファレンスチェック「Parame」が数千万円規模の資金調達
企業は、Parame内の掲載案件から応募が来た候補者に限らず、他社媒体や自社サイトなどから応募が来たParameアカウントを持っていない候補者へのリファレンスチェックの実施も可能。

企業側で取得できる推薦状のサンプルイメージ

企業側で取得できる推薦状のサンプルイメージ

Parameアカウント内のチャットを通じて、推薦状取得後に企業から推薦状の記載者へ追加で質問も可能

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