Instagramが「アクティビティ」の代わりに「ショップ」タブを配置するテストをグローバルで実施

米国時間7月7日、Instagramは5月に発表した「ショップ」タブに関する小規模なグローバルテスト(Facebookリリース)を開始した。「ショップ」はアプリのナビゲーションバーに配置される新しいタブで、Instagramユーザーはこのタブを見て、1回タップするだけで人気のブランドやクリエイターから買い物をすることができる。買い物をする際には、商品をカテゴリーで絞り込めるようになる。

Instagramは2020年5月に、新たに設計する「ショップ」は現在実装されている「検索」の中の「ショップ」とは異なるレイアウトになる予定であることも発表していたが、現時点ではその変更はテストされていない。今回のグローバルテストでは、米国のユーザーが「検索」内の「ショップ」ボタンをタップしてすでに利用できるようになっていたのと同じエクスペリエンスが利用されている。

主な違いは、Instagramのメインのナビゲーションに、ハートアイコン(アクティビティ)の代わりに「ショップ」アイコンが置かれることだ。

画像クレジット:Instagram

ありがたいことに、「アクティビティ」セクションは完全になくなってはいない。今回のテストでは、「アクティビティ」タブは自分のフィードの右上(ダイレクトメッセージを送信する紙飛行機のアイコンの隣)、または自分のプロフィール画面のハートアイコンからアクセスできる。

メインのナビゲーションバーからアクセスするこのバージョンの「ショップ」では、ユーザーはフォローしているブランドやカテゴリーで絞り込みをすることができる。カテゴリーにはビューティー、洋服とアクセサリー、ホーム、ジュエリーと時計、トラベルなどがある。また、このバージョンの「ショップ」では、表示されたすべての商品をInstagramの汎用のカートから直接購入できるわけではない。代わりに、ブランドによっては購入のためのタグを商品に付け、ユーザーを自社のウェブサイトに誘導して購入手続きをする。

企業がInstagramの購入手続き機能をテストする場合には、少額の販売手数料がかかる(Facebook for Businessヘルプ記事)。

今後登場するInstagramの「ショップ」エクスペリエンスは、少し異なるものになるようだ。5月にInstagramは、ユーザーが好きなブランドやクリエイターを選ぶだけでなく、「@shop」アカウントでコレクションを紹介することを発表していた。こうしたショッピングのオプションが、さらに購入意欲をそそるように表示される。画面上部にはこれまでより大きな画像があり、下へスクロールしていくとブランド、さらに「あなたにおすすめ」セクションにパーソナライズされたコンテンツが並ぶ。

この新しいエクスペリエンスは2020年中に登場するものと思われるが、日程はまだ明らかにされていない。

Instagramはすでに米国の一部のユーザーに対してこのテストを実施していた。今回、テストの範囲が拡大され、米国を含む世界中の一部のユーザーに対してこの変更が反映されている。

Instagramは、今回のテストの結果を基に「ショップ」機能をどのように広げていくかを判断するとしている。「ショップ」のトラフィックやコンバージョンが増えなければ、「アクティビティ」の代わりに「ショップ」を置くというアイデアを再検討するかもしれない。

「今回の小規模なグローバルテストは、5月に発表したInstagramの『ショップ』タブを試すものだ。我々は今回のテストで、この機能を今後どう展開するかを評価する予定だ」と同社の広報は述べている。

Instagramが「アクティビティ」タブをダウングレードするのは、これが初めてではない。2019年には、友達や同僚が「いいね!」した投稿を見る機能が排除された(Business Insider記事)。

画像クレジット:Instagram

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(翻訳:Kaori Koyama)

TikTok禁止のインドでフェイスブックがショートビデオのInstagram Reelsをテスト開始

インド政府がプライバシー上の懸念を理由にTikTokを始め数十種類の中国製アプリを禁止する中、Facebook(フェイスブック)グループのInstagramはショートビデオアプリのReelsをインドでテストすると発表した。ReelsはTikTokのライバルとなるショートビデオでフェイスブックはカバー地域拡大に乗り出していた。

なお、インドのTikTok禁止直後、フェイスブックは本体とは別のスタンドアローンのTikTokクローンであるLassoを7月10日に終了すると発表している(未訳記事)。

Instagram Reelsはまずブラジル、ついでフランスとドイツでテストが行われているが、Instagramの広報担当者はカバー地域をさらに拡大する可能性があると述べた。ただし詳細は明らかにしていない。

インド版のBusiness InsiderはInstagram Reelsが「匿名の情報源」によるものとしてインドにやって来る可能性を報じた。ただし正式公開ではなくあくまで「テスト」だという。

TechCrunchがインドへの拡大に関してInstagramに取材したところ、広報担当者は「Reelsをアップデートし、多数の国でスタートさせる計画はある。Reelsはクリエイティブな自己表現であり、眺めるだけでも楽しい優れたメディアだ」と述べた。

スタンドアローンアプリだったLassoとは違って、ReelsはInstagramの一部としてデザインされている。 このアプリはTikTokと非常によく似ており、音楽や音声つきで15秒のビデオを作成して投稿できる。またReelsにはカウントダウンタイマーやビデオの再生速度を調整するなど一連のツールが提供されるのもTikTok同様だ。これによってクリエイティブなコンテンツの提供が容易になる。しかしInstagram Reelsには全体と個人向けオススメの2つのタブをもち、スクロール可能なフィードはない。 Reelsではコンテンツ全体が表示される。

2019年にブラジルでReelsがリリースされた後、Instagramはユーザーフィードバックを取り入れて機能のアップデートを行った。例えばユーザーはお気に入りのビデオクリップをまとめたり、他のユーザーがまとめたお気に入りを見たりできたらいいと要望した。そこでReelsはInstagramのユーザープロフィールに専用スペースを割り当ててInstagramが公開アカウントである場合、他のユーザーが検索できるようにした。

これによりReelsユーザーのアカウントをフォローしていないInstagramユーザーでもReelsクリップが表示されることになり、バイラルに拡散される可能性を得た(当初ReelsはInstagramストーリーでしか利用できず、これが制限となっていた)。

Reelsがインドで公開されるのは非常にタイムリーだ。 フェイスブックは2020年6月にインドの大手音楽レーベルであるSaregamaと世界を対象とする契約を結んだことを発表している(未訳記事)。つまりユーザーはフェイスブック本体とInstagramの双方で動画その他の投稿にSaregamaのライセンスを得て音楽を使えるようになる。

フェイスブックはまたインドの他の有力レーベルであるYash Raj Films、Zee Music Company、T-Seriesなどと契約を結んでいる。またSaregamaは10万曲以上のインド音楽を持っているだけでなく、ボリウッドと呼ばれるインド映画のサウンドトラックに加えガザール、インディポップなど人気のコンテンツを幅広くカバーしている。こうした点を考えると、Saregamaとの契約はReelsがインドでメジャーな存在となる道を開いたに違いない。

いずれにせよTikTok禁止という政府の決定と同時にインドにやってきたのはReelsにとって絶妙のタイミングだった。

インドが中国アプリを禁止したことにより、TikTokは最大の海外市場を失った。InstagramにとってReelsによって急増したショートビデオのユーザーを獲得する絶好のチャンスが生まれたわけだ。禁止前TikTokはインドに2億人以上のユーザーを抱えていた。北京に本社を置くTikTokにとって大損失だ。

しかしInstagramに手強いライバルが現れている。Reutersの報道によれば、インドのビデオ共有アプリであるRoposo、Chingari、Mitronなどの人気も急上昇している。特にRoposoはインド政府がTikTokを禁止した後の2日間で2200万人のユーザーを獲得している。

Instagramは、Reelsが米国など世界の他の大市場をいつカバーするようになるか明らかにしていない。

アップデート(東部時間7月6日13:30) : インドにおけるReelsは正式公開ではなくテストのスタート

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

デートアプリS’Moreのビデオチャットは最初の2分間相手の顔をぼかして人柄をわかりやすくする

パンデミックはデートアプリS’Moreの足を引っ張っていない。少なくともCEOのAdam Cohen-Aslatei(アダム・コーエン・アスラテイ)氏はそう語っている。同氏によると3月のDAU(1日のアクティブユーザー)は倍増し、その後も減っていない。

「家で仕事をしていれば、人との関わりに費やす時間も多くなるからね」とコーエン・アスラテイ氏はいう。

S’Moreという名称は「Something More」の短縮形で、2019年秋にローンチしたこのアプリ(未訳記事)は、これまでに5万近いユーザーを集めた。「Something More(それ以上のもの)」という名称はアプリの目標を表現していて、それはその他多くのデートアプリのように相手のルックスだけを重視する薄っぺらさを止めようという意味だ。

コーエン・アスラテイ氏によると、チームは、人種の多様性と性的指向性の多様性の両方に対するマーケティングに相当な時間を費やすことによって、多様なユーザーを集めることができた。S’Moreでは相手を人種でフィルターすることができず、ユーザーの15%はLGBTQを名乗っている。

健康のリスクがあるときに初めての人とデートするのはかなり難しいものだが、同氏によるとS’Moreのユーザーはとてもクリエイティブで、例えばお互いに気に入っているレストランのテイクアウトを利用するリモートディナーというデートのやり方もある。そして一部の州では再び閉鎖が進んでいるが(未訳記事)、店舗などが再開したら「このバーチャルな関係をリアルなものにするのはどうすればいい?」と尋ねればいいのだ。

画像クレジット:S’More

S’Moreは最近ビデオ通話機能を追加し、ユーザーの対話方法を増やした。しかしコーエン・アスラテイ氏によると、女性は相手は良い感じかどうかわからなければ、その男性に会いたいとは思わないため、S’Moreのビデオ通話では最初の2分間、相手の顔などがボケた状態で表示される。最初はほとんど会話だけを交わし、相手がどのような人物なのかを把握できるようになっている。相手の容姿が確認できるのはその後になる。このやり方はNetflixのデート番組「Love is Blind」に似ている(未訳記事)。

さらにS’Moreは先週からボストン、ワシントンD.C.、ニューヨーク、シカゴに加えてロサンゼルスでも利用できるようになった。そして同社のビデオシリーズをInstagramのIGTV、S’More Happy Hourで見られるようになっている。そこではセレブたちがデートのアドバイスをしてくれる。

「デートアプリには、否定的な行為や偽の画像、なりすましといったネガティブな歴史がある。しかし我々はそろそろ、本人であることを軸とする新しい時代へ進むべきだ。S’Moreは、ユーザーをその方向へ誘う新しいデートアプリの1つだ」とコーエン・アスラテイ氏は語る。

関連記事:S’More is a new dating app that looks to suspend physical attraction for something more(未訳記事)

画像クレジット:PM Images / Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Instagramがストーリーズをまとめて1ページに表示する機能をテスト中

Instagram Stories(インスタグラム・ストーリーズ)は、Facebook史上最高の製品へと成長した。昨年末時点で、Instagramユーザーの約半数、すなわち5億人が毎日このストーリーズ機能を使っている。これは、最初にストーリーズ形式を広めたSnapchat(スナップチャット)のデイリーアクティブユーザー全員の2倍近い。そしてこのほど、Instagramはストーリーズ体験を拡張し、これをInsagramアプリの中心とするテストを行っているようだ。

テスト中の新機能は、Instagramユーザーが一度に見えるストーリーズの数を増やすもので、ホーム画面と新しいストーリー専用画面の両方で利用できる。

ユーザーがInstagramアプリを最初に開くと、ストーリーズが画面のトップに1つだけ表示される代わりに、2例に並んだ状態で始まる。拡大されたストーリーズエリアの下には「See All Stories」(すべてのストーリーズを見る)ボタンがある。

これを押すと、フルスクリーンですべてのストーリーズをスクロールして見られる新しい画面になる。

カリフォルニア在住でソーシャルメディア・マネージャーを務めるJulian Gamboa(ジュリアン・ガンボア)氏が最初にこの機能を見つけた(@JulianGumboの投稿)。

InstagramはTechCrunchに、これは現在少数のユーザーで行っているテストであることを認めた。それ以上詳しくは語らなかったが、テストは1カ月以上続いていると話した。

この機能の多大な人気と成長ぶりや、Facebookの広告主にとってストーリーズがますます重要になっていることを踏まえれば、Facebookがさらに多くのユーザーをストーリーズに留めるためのアイデアを試すのは当然だろう。

2019年第3四半期に、Facebookはストーリーズを最も成長している分野の1つだと認め、全広告主700万社のうち300万社がFacebook、Instagram、Messengerのストーリーズで広告を出していることを指摘した。第4四半期までにストーリーズ広告を使っている広告主の数は400万社に上った

画像クレジット:Julian Gamboa

広告主のニーズに答えるべく、昨年Facebookはカスタマイズ可能なテンプレートを導入し、企業が写真やビデオをアップロードして、レイアウトやカラーやテキストを選んで魅力あるストーリーズを作れるようにした。また、ストーリーズに参加しやすくするために、広告主がFacebook、Messenger、Instagramの広告をまとめて買えるようになった。

Facebookは2020年Q1の決算発表の際に、傘下サービスの総広告インプレッション数が39%伸びたことを報告した。同社はこの飛躍を、ニュースフィードとストーリーズ両方の利用時間が増えたためだと説明した。

しかしFacebookは、ストーリーズ広告の収益率はニュースフィードよりも低いと以前からよく言ってきた。ただしこれは、将来多くの広告主がストーリーズに移行すれば変わっていくと同社は信じているはずだ。

こうした状況を踏まえると、Instagramがフルスクリーンでスクロール可能なストーリーズ体験をアプリで提供したことは興味深い。もし正式に公開されれば、毎日利用するユーザーがさらに増え、ひいては広告主も増えるだろう。

「我々はユーザーコミュニティーのためにInstagram体験を改善する新しい方法を常にテストしている」とFacebookの広報担当者が今回のテストについて話した。

画像クレジット:Bryce Durbin

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

InstagramがTikTokクローン「Reels」を新市場へと拡大

Instagram(インスタグラム)は、昨年のブラジルでの開始に続き、「Reels」(リール)として知られるTikTok(ティクトック)のライバル(未訳記事)を、新しい市場へと拡大している。米国時間6月24日から、InstagramはフランスとドイツでのReelsの提供を始めた、これによってユーザーは15秒の短いビデオを録画し、音楽やその他の音を添えて、Instagramプラットフォーム上で共有してバイラルを狙うことができる。

Reelsの機能はTikTokに似ていて、クリエイティブなビデオを撮影することを容易にする編集ツールを各種提供している。たとえば、提供開始時にReelsは、カウントダウンタイマー、ビデオ速度を調整する機能、その他の効果を提供していた。

同社はブラジルで行った初期のテストから学び、それ以来Reels体験のキーとなる側面を再考してきた。

以前は、ReelsはInstagramのストーリー内のみで共有されることが意図されていた。しかし、Instagramコミュニティからは、より永続的な方法でReelsをフォロワーや友人と共有する機能が必要であり、必要に応じてその配布をより広く行なう機会も必要だとする反応が返された。

さらには、コミュニティからは簡単にReelsを編集たり他の人のReelsを見ることができたりする専用スペースが必要だという希望も寄せられている。

同社の広報担当者がTechCrunchに語ったところでは、ドイツとフランスでの拡大に伴い、InstagramはReelsをユーザープロフィールや検索ページ(後者は公開アカウント用)の専用スペースへと移動し たので、ユーザーは新しい視聴者と共有したり、Instagramフィード上で共有したりすることができる。

これらの変更により、Reelsがアプリの目的地の1つになるにつれて、Reelsとそのクリエイターたちにさらに多くの露出のチャンスが生み出されるだろう。例えば、現在のストーリーのように。

ところでReelsは、TikTokの人気の高まりに挑戦したFacebook(フェイスブック)の最初の試みではない。

Instagramの親会社であるFacebookは、以前に短い形式のビデオアプリLasso(ラッソー)を立ち上げていたが、これまでのところ大きな牽引力を発揮できていない。これに対して、Reelsでは、Instagramは既存のクリエイターベースを利用し、ユーザーのビデオ編集ツールへの慣れを活用することができる。

Reelsの課題は、Instagramユーザーが現在フィードへの投稿やストーリーで現在行っているものとは異なるタイプのコンテンツを、作成してもらうようにすることだ。そうしたビデオは、例えば誰かの日常のクリップやVlogのように、どうしてもより個人的なものになる傾向がある。その一方で、より専門的なクリエーターコンテンツはIGTVへと移動されてきた。

これに対してTikTokビデオでは、リハーサルや振り付けが行われる傾向がある。ユーザーたちはダンスを学び、トリックを実行し、ジョークを語り、曲やオーディオにリップシンクしたり、人気のミームを独自の方法で再現したりしている。こうしたビデオは通常、Instagramで見られるような即興的なものではない。こうしたコンテンツの作成を奨励するには、Reelsが現在提供しているものとは別の種類の編集ツールセットとワークフローが必要だ。

Instagramは、Reelsをグローバルに展開する予定の時期や、米国に持ち込む予定の時期は明らかにしなかったが、さらなる拡大によって、同社は既存の経験を基に引き続き製品を進化させることができると語っている。

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(翻訳:sako)

Instagramからテイクアウト注文・決済が可能に、Showcase Gigと連携

モバイルオーダーシステム「O:der」などを開発・提供しているShowcase Gigは6月24日、Instagramとの提携を明らかにした。

O:derのシステムをInstagramに繋ぎ込むことで、Instagram上の飲食店の公式アカウントなどからテイクアウトの事前注文・決済が可能になる。また、SNSマーケティングを得意とするgaabooとも連携し、Instagramのほか、TwitterやFacebook、LINE、TikTokなどSNS、Googleマイビジネスなどのコンシュマーチャネルからの注文について、設定や運用をサポートできる体制も構築していく。

利用者は、飲食店のプロフィールにあるアクションボタンやInstagramストーリーズで投稿するスタンプをタップすることで、O:derのサービスに遷移してテイクアウト商品を事前に注文・決済できる。もちろん各店舗の「お店を応援」スタンプを自分のInstagramアカウントでシェアすることも可能だ。

インスタのARフィルターがますますダイナミックに、音楽に視覚的に応答するなどユニーク

Instagram(インスタグラム)の拡張現実フィルターで、いくつかの新しいトリックが使えるようになった。FacebookのSpark ARプラットフォームの最新アップデートのおかげだ。

Spark ARは、昨年のInstagramの非公開ベータから抜け出して以降、デベロッパーが利用できるARフィルターの機能に関して順調にアップデートを続けている。米国時間の5月27日、FacebookはInstagram上のプラットフォームにいくつかの新機能を追加した。これによってクリエイターは、より複雑なフィルターを作成して、ユーザーの気を引くことができる。作成可能となったフィルターとしては、音楽に視覚的に応答するものや、ユーザーのカメラロールにあるメディアにエフェクトをかけることを可能にするものがある。こうした新機能に加えて、FacebookはAR Stickerと呼ぶテンプレートも提供する。クリエイターがARフィルターを簡単にカスタマイズできるようにするものだ。

新しいAR Music機能を使うと、デベロッパーは音楽に反応するフィルターを作ることができる。音楽としては、直接アップロードされたものだけでなく、Instagramの音楽選択ツールによって選択したものや、バックグラウンドで再生されているオーディオも利用可能だ。これはInstagramにとって、かなり有効なものとなるはずだ。イコライザーのようなスタイルの視覚効果をフィルターに組み込んだり、音楽とARをまとめてストーリーに取り入れることをユーザーに促すからだ。

ギャラリー選択ツールをInstagramのフィルターに導入したことで、ユーザーは既存の写真やビデオを選択して、そこに新たにAR効果を加えることも可能となった。Media Libraryを使えば、古い写真やビデオを利用して、その上にフィルターをかけることができる。一方、Gallery Pickerでは、ギャラリーのメディアに合わせて視覚的フィルターを変形できる。これによって、さまざまなカスタマイズが可能となり、1種類のフィルターでも、ユーザーごとに異なった使い方ができるようになる。

これらが、実際にどのように機能するものかは、今回のアップデートを発表したInstagramのブログで確認してほしい。

Facebookは、同社のすべてのプラットフォームにわたって、拡張現実の未来について大風呂敷を広げてきた。しかしこの数年間は、Facebookアプリ内で、カメラを意味のある機能として利用することにさえ苦労してきた。その方面の開発の成果は、もっぱらInstagramに注がれてきた。ただしそれらは、アプリ内のカメラ機能と視覚フィルターの両方に強く依存したからこそ実現できたものだった。今回のアップデートは、以前にも見たことがあるような気がするものながら、ARフィルター効果の有用性に関する根本的な問題に、部分的にでも対処している。その問題とは、何度も使いたくなるほどダイナミックなものではなかったということ。オーディオに連動するエフェクトの導入と、カスタマイズ機能の向上により、ユーザーの創造力しだいで、何度でも新しい命を生み出すようなフィルターを開発できる可能性を、デベロッパーは手にしたと言えるだろう。

今見てきたSpark AR Studioのアップデートは、すでに利用可能となっている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

事業者がFacebookページとInstagramプロフィールから通販が可能に、Shopifyなどとも連携可能に

5月19日から、事業者のFacebookページとInstagramのプロフィールから直接プロダクトをブラウズしたり、購入したりできるようになる。

Facebook(フェイスブック)、Instagram(インスタグラム)どちらもすでにeコマースをある程度サポートしている。例えば、FacebookはMarketplace(マーケットプレイス)を展開していて、暗号通貨Libra(リブラ)を通じてさらにあと押しすることは大いにあり得る。一方で、Instagramではユーザーが投稿や広告で取り上げられたプロダクトを購入できる。しかし今回の新たなツールはその上をいき、事業者がひととおりの機能がそろったFacebook Shopを立ち上げることができる。

新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックでは、これまで以上に消費者が地元のレストランや店の情報を調べるお気に入りのソースとしてFacebookとInstagramのプロフィールを活用することになった。もしお気に入りの店が営業時間を変えたり、オンラインデリバリーやカーブサイドピックアップにサービス提供方法を変更したら、その旨を店側はFacebookやInstagramに投稿する。だから、ページを訪れた人がFacebookやInstagramのアプリを離れることなく商品を購入できるようにしない手はない。

パンデミックによる経済停滞は、Facebookにページを持っていたり広告を出したりしていた多くの零細企業に打撃となり、倒産に至らせていることを心に留めておく必要もある。だからこそFacebookはできる限りの方法でそうした事業者が生き残れるようサポートしている。

5月19日のFacebook Liveセッションで、CEOのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は今回の取り組みを、新型コロナウイルスによって苦しんでいる事業者サポートするためのものと表現した。ただ「すべての経済ダメージを帳消しにする」ことにはならないと認めた。

ザッカーバーグ氏はまた、この機能の利便性はパンデミック後も失われないとも指摘した。「オンラインに頼る生活が今後も続き、事業もこれまで以上にオンラインで行われるようになると確信している」。

一方、Instagramのプロダクト担当副社長のVishal Shah(ヴィシャール・シャー)氏は「100万社近くの事業者がすでにサインアップしている大規模でグローバルの機能テストとなる」と筆者に語った。

サインアップしている事業者は無料でFacebook Shopを開くことができる。カタログをアップロードし、取り上げたいプロダクトを選び、それからカバー画像や色のアクセントでカスタマイズする。するとビジターは、プロダクトのブラウズや保存、購入ができる。

Facebookで広告担当副社長務めるDan Levy(ダン・レビー)氏は、購入ごとに「小額の手数料」を徴収するが、主には広告で収益を上げると話した。例えば、ショップは広告やストーリーズで特集されるようにすることもできる。

レビー氏はこれを「ビルド&レンダーのソリューション」と表現し、シャー氏は「ショップはFacebookあるいはInstagramいずれでもしっかり機能する」と付け加えた。消費者がどのようにショップを発見するかだけの違いであり「Facebook Marketplace経由なのか、Instagram上の写真にタグ付けされたプロダクトなのか」ということになる。

同社はまた、Instagram Shopという別のサービスを今夏にも立ち上げる計画だ。Instagram ShopではユーザーはInstagram Exploreから直接プロダクトをブラウズできる。ゆくゆくはアプリのメーンのナビゲーションタブから買い物機能に飛べるようになる。小売業者はFacebook Storeのライブビデオプロダクトで特集したりリンクをはったりでき、消費者はロイヤルティ・プログラムをFacebookアカウントにつなげたりできるようになる。

Facebookは今回の発表で、Shopify、BigCommerce、Woo、Channel Advisor、CedCommerce、Cafe24、Tienda Nube、そしてFeedonomicsと提携することも明らかにされた。

小売業者はFacebook ShopやShopに紐づいている広告の管理でこれらサードパーティのプラットフォームを使うことができる。例えば「Shopifyの小売業者がプロダクトや在庫、注文、配送をShopifyから直接管理しつつ、Facebook Shopsを使ってFacebookとInstagramの中で店のカスタマイズや販売をコントロールできるようになる」とShopifyは説明した。

画像クレジット: Facebook

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(翻訳:Mizoguchi

人気C向けアプリはいかにして初期ユーザー1000人を獲得したのか?

【編集部注】本稿は米国スタートアップやテクノロジー、ビジネスに関する話題を解説するポッドキャスト「Off Topic」が投稿したnote記事の転載だ。

こんにちは、宮武(@tmiyatake1)です。これまで日本のVCで米国を拠点にキャピタリストとして働いてきて、現在は、LAにあるスタートアップでCOOをしています。Off Topicでは、D2C企業の話や最新テックニュースの解説をしているポッドキャストもやってます。まだ購読されてない方はチェックしてみてください!

はじめに

元Airbnbのグロース担当のLenny Rachitskyさ(レニー・ラチツキー)さん「How the biggest consumer apps got their first 1,000 users」の記事を直接許可を頂き翻訳しました。レニーさんのコンテンツをもっと読みたい方はぜひ彼のメルマガにご登録ください!Lennyさんの「マーケットプレイスの作り方」の翻訳もしていますので、そちらも気になった方はご一読ください!

C向けサービスがいかにして最初の1000人を獲得するかしっかりまとまってる記事は意外とありませんでした。レニーさんの記事は、実際に創業者のヒアリングを行い、過去インタビューを遡り、Twitterで質問したりした事実に基づく濃密なレポートです。UberやTikTok、Tinder、最近話題のSuperhumanなどの著名スタートアップの学びをシェアしたいと思います。

サマリー

  1. C向けの初期グロースは7つの戦略に分けられる
  2. Product HuntやPinterestは複数使ったが、ほとんどのスタートアップは1つの戦略で成長する。3つ以上使って成功した事例は今のところ見てない
  3. 一番人気な戦略はオンラインでもオフラインでも直接ユーザーに行くこと。スケールしないことをやろう
  4. 戦略を実行するために、ターゲット層を狭く定義づけることが大事
  5. 最初の1000人の獲得と1万人までの獲得方法は変わる

初期ユーザー獲得戦略は以下の7つの戦略となる。

  1. オフラインで直接ユーザーと会う
  2. オンラインで直接ユーザーと会う
  3. 友達を招待する
  4. 取り残されることへの恐れ(FOMO)を作ること
  5. インフルエンサーを活用
  6. PR・メディアを活用
  7. コミュニティを作る

1. オフラインで直接ユーザーと会う

Key Question
初期ターゲットユーザーは誰で、どのオフラインの場所で集まっている?

■大学キャンパス
Tinder:創業メンバーのWhitney WolfeとJustin Mateenは南カリフォルニア大学で走り回ってフラタニティとソロリティでTinderを紹介してた。ほかの独身の人とつながれる、そして自分に興味があるかを知りたいニーズに合わせられたのでバイラルになった(Jeff Morris Jr.氏)。

DoorDash:初期バージョンはpaloaltodelivery.comと言うサイトでパロアルトのレストランメニューにPDFが載っていただけ。社長のTonyとDoorDashチームはチラシを印刷してスタンフォード大学でバラまいた。6ドルのデリバリーフィーで需要があるかを知りたかった。単純にPDFメニューのサイトとチラシで始まっただけ(Micah Moreau氏)。

■スタートアップのオフィス、駅や交通ハブ
Lyft:周りのスタートアップの各社にドアノックをして、無料でカップケーキやドーナッツと一緒にLyftの無料クーポンを渡していた(Emily Castor氏とBenjamin Lauzier氏)。
Uber:Streetチームをかなり使った。SF内の各Caltrain(カルトレイン、郊外向けの通勤列車)駅に行ってリファラルコードをばらまいていた。元CEOのTravisさん自身がTwitter本社に行ってリファラルコードを従業員にばらまいていたと。これが後ほどUberのグローバルアンバサダープログラムとなった(Andrew Chen氏)。

■ショッピングモール
Snapchat:CEOのEvanは一人ひとりに見せ始めて、使い方を教えたり、なぜ面白いかを説明した。アプリのダウンロードまで彼が代わりにやってあげていた。ユーザー獲得のために何でもやった。ショッピングモールに行ってSnapchatのチラシもばらまいてた。ショッピングモールで「消える写真を送ってみたいか?」と聞いて、よく断られてた(Billy Gallagher氏、How to Turn Down a Billion Dollars, The Snapchat Storyより)。

■近所のHOA(Home Owner Association、管理組合)
Nextdoor:当時は創業チームは近所のSNSのコンセプトを受けれて検証してくれる場所を探さないと意味がないとわかっていた。どの場所を選ぶかが重要だった。その場所はLorelei(ローレライ)だった。小さく親密なコミュニティであり、カリフォルニア州で最も古い管理組合がある場所だった。すでにコミュニティ内でコミュニケーションの取り合いをする方法があったのでNextdoorに合うと思った。管理組合の上層部に連絡したら話を聞いてくれた(Sarah Leary氏)。

■クラフトフェア
Etsy:米国中に開催されているクラフトフェアに行くことにした。そこで売り手を探しに行った。売り手は買い手をどうやってサイトに誘導させるのをわかっていたので、売り手を囲い込むのが大事だった(Thales Teixeria氏)。

■アップルストア
Pinterest:正直、かなりヤケクソなことをやってた。家の帰り道のアップルストアに入って置いてあったパソコンをPinterestページを表示するようにした。そしてその後にちょっと後ろのほうに行って「へーこのPinterestと言うサイトはバズっているんだなー」と他の人が聞こえるように言ってました(Ben Silbermann氏)。

2. オンラインで直接ユーザーと会う

Key Question
初期ターゲットユーザーは誰で、オンラインのどこで集まっている?

■Hacker News
Dropbox:CEOのDrewは簡単なプロダクトのデモ動画を2007年4月にHacker Newsに投稿した。そのタイトルは「My YC app: Dropbox – Throw away your USB drive」(僕のYCアプリDropbox:USBドライブを捨てよう)。その動画で初期ユーザーを集めた(John Popel氏)。

■アプリストア
TikTok(Musical.ly):当時はアプリストアに秘策があった。アプリ名をすごく長くできた。そしてアプリストアの検索エンジンはキーワードよりアプリ名にウェイトをかけるのを知ってた。なので、アプリ名を「make awesome music videos with all kinds of effects for Instagram, Facebook, Messenger」にしたら検索からの流入が入ってきた(Alex Zhu氏)。

ProductHunt:初期3000人はProductHunt初日とその1日、2日後で獲得できた。3000人から2万人ユーザーは初期ユーザーが入っている組織のエヴァンジェリストを探し、1対1の関係性を作った。そして2万人以降はPMのシステム(同僚を紹介するたびに5ドルのクレジット、50ドルぶんまで)で獲得(Shahed Khan氏)。

■既存のオンラインコミュニティ
Netflix:ユーザーとつながるためにCorey Bridgesをユーザー獲得するために採用した。彼はライターとしての才能があった。Coreyが気づいたのはDVDオーナーはネットのウェブフォーラムなどで集まっていたこと。そのコミュニティに入り込もうとした。CoreyはNetflix従業員とは名乗らず、映画好きな人として会話に参加したり、友達を作った。そこで、徐々にコミュニティ内のモデレーターや一番リスペクトされてたユーザーにNetflixと言う素晴らしいサイトを宣伝し始めた。ローンチ前から大きく種まきをしてくれてた(Marc Randolph氏、That Will Never Workより)。

Buffer:最初の9カ月はゲストブログ(自社ではないブログ)に書き続けただけで10万人を獲得できた。徐々に上がった感じだった。9カ月間で約150件投稿した。まったく流入しなかったものもあったし、徐々にしか改善されなかった。最適な投稿頻度を見つけるまで時間がかかった(Leo Widrich氏)。

3. 友達を招待する

Key Question
自分の友達は初期ターゲット層に当てはまるか?当てはまっていれば、サービスに招待したか?

Yelp:初期ユーザーは自分たちのネットワーク(ほぼ元PayPal同僚)を招待して獲得した。自分たちのネットワークに周りの友達を招待するようにお願いした。スタートアップを経験したメンバーが多かったので、お互い助け合うことに慣れてたのでいろいろ招待してくれた。そこだけで1000人ぐらいまで行った。一人のリファラルネットワークを侮らないことが大事で、招待させるインセンティブや方法を考えるのが大事(Russel Simmons氏)。

Lyft:ウェイトリスト制度を始める前には友達へメールにて招待状を送っていた(Emily Castor Warren氏)。

Facebook:Thefacebook.comは2004年2月4日にローンチした。普通の寮で過ごす夜だった。Mark Zuckerbergがサイトを完成させた時に数名の友達に共有した。その友達が学生寮「Kirkland House」に住んでいる300人が入っているオンラインメールリストに送ることをお勧めした。十数名が入って、その時にはすでにほかの寮にサイトの話が回ってた。夜の終わりには部屋にいた人たち全員が登録したユーザー数をひたすら見ていた。24時間以内で1200〜1500人が登録してくれた(Dustin Moskovitz氏、New Yorkerより)

Quora:Quoraは2010年1月にローンチした時のユーザーは主にAdam D’AngeloとCharlie Cheeverの高校・大学時代の友達が集まっていた。そのおかげで初期Quoraの情報を見ると、Cheeverが育ったペンシルベニア州のピッツバーグでのおいしいレストランなどの情報が多かった。サイトに他の人を招待できる機能を入れてユーザーを増やした(Wiredより)。

LinkedIn:LinkedInのCEOであるReid Hoffmanはプロダクトの初期は成功した友達やつながりに入ってもらった。憧れられるブランドを作るには初期ユーザーの質が重要だと理解してた。成功している会社や人ほど常に次の採用する人材を探しているので、成功した人たちを初期から入れてなければ会社は成功しなかった(Keith Rabois氏)。

Slack:ほかの会社で働いている友達に頼み込んで試してもらってフィードバックをもらった。最初の6社から10社はこう言うかたちで獲得した(Stewart Butterfield氏)。

Pinterest:アプリをローンチした時に友達全員にメールした。最初は誰もサービスの良さを理解しなかったが、ある小さいグループだけ使い続けてくれた。それはアーリーアダプターっぽくなく、一緒に育った友達や知り合いだった。彼らは人生の一環として使ってくれて、家や食べ物写真を上げてくれた(Ben Silbermann氏)。

4. 取り残されることへの恐れ(FOMO)を作ること</h2.

Key Question
・ユーザー生成コンテンツ「UGC」に頼るプロダクト?初期コミュニティはキュレーション型にすることを検討するべき
・強い企業価値があるか?その場合はウェイトリストを検討するべき
・ソーシャルなプロダクトか?その場合は既存ユーザーに新規ユーザーの招待させるように検討するべき

■初期コミュニティを制限、キュレーション
Clubhouse:プライベートテストフライトを見てると面白い(Todd Goldberg氏)。

  • キュレーション(クオリティー担保)
  • 制限・招待制(FOMO: Fear of Missing Out)
  • 早い改善とアップデート(アプリストアのレビュープロセスが必要ない)
  • 初期ユーザーは信頼できるネットワークからのリファラル

Instagram:プロトタイプと検証をしてたときにTwitterフォロワーが多い人に渡したのがよかった。しかもそれはある一定のコミュニティでのフォロワー数が重要だった。そのコミュニティはデザイナー、オンラインウェブデザインのコミュニティだった。我々がフォーカスしている写真やビジュアル要素がこのコミュニティに最もアピールすると思った。彼らがTwitterで共有してくれたおかげで、ほかの人たちは「これはいつローンチして、いつ使えるのか?」と聞き始めて、そのタイミングでローンチした(Kevin Systrom氏)。

Pinterest:最初は招待制のコミュニティだった。初期ユーザーはSilbermannが呼びかけたデザインブロガーだった。呼びかけた人たちにはユニークなアイデアとクリエイティブな人たちにしか招待するなと教えた。そうやって2012年まで招待ベースで伸び続けた(Entrepreneurより)。

■事前登録、ウェイトリスト
Mailbox:iPhone用のメール管理アプリのMailboxがリリースされた時にすでに70万人のユーザーがウェイトリストに登録していた。これはMailboxのサーバーに異常なる負担を与えないためと、需要をより増やすマーケティング戦略だ(Darrell Etherington氏)。

Superhuman:初年度は開発している最中にLP(ランディングページ)を公開した。Squarespaceで作った最小限のダメなLPを2時間だけかけて作り上げた。LPにはメールアドレスしか入れられないようにした。そしてメールアドレスを入れた際には2つの質問が自動送信された(Rahul Vohra氏)。

  1. どのメールブラウザーを使っている?
  2. メールの不満は何?

Robinhood:リリースした際には初期サイトがバズるとはまったく思ってなかった。そのためシンプルなコピーを入れて、登録するためのボタンを押して、メールアドレスを入力してもらってウェイトリストにジョインできるようにした。そしてウェイトリストの何人中、何番目かを表示するようにした。プレスを出すその前の金曜日の夜にウェイトリストの準備をしていた。その次の日の土曜日にGoogle Analyticsを開くと600人ぐらいの同時アクセスユーザー数を見かけた。何が起こったかを見たらほとんどのユーザーはHacker Newsから来ていた。Hacker Newsを見たら3番目にRobinhoodについて投稿されてた(Business Insiderより)。

■既存ユーザーからの招待制
Spotify:2008年にSpotifyがベータ版をローンチ。正式ローンチまでは招待制オンリーで進めていた。Spotifyの初期成長はこの招待制度が鍵だった。Spotifyのグロースをコントロールできたのと、よりバイラルな要素をサービスに与えた。ユーザーは最初に5人の友達に招待できるようにしてた(TNWより)。

5. インフルエンサーの活用

Key Question
ターケット層のインフルエンサーは誰で、どうやって自分のプロダクトについて話してもらえるか?

Twitter:以下図が初期ローンチのグラフだ。最初にインターネットでTwitterについてメンションがあったのは7月13日のEvan Williamのブログだったが、その前日に登録が結構入ってたのがわかる。そしてOm Malikの投稿で次の日には250人が登録。まだ600人ぐらいしかいなかったときだった。Evanの人気度とOmの推薦をもとに最初にバズるような状況を作れた(Pete Warden氏)。

Product Hunt:インフルエンサーを見つけた時に私かNathanが個人的にメールを送って、プレスでProduct Huntに言及していたPandoDailyやFast Companyの記事にリンクして我々のストーリーを説明した。マニュアルなプロセスだったが、いい寄稿者を採用するのにいい方法でよりフィードバックをもらえやすい状況を作っていた(Ryan Hoover氏)。

Instagram:創業者は初期ユーザーを慎重に選んでいた。良い写真家、特に高いTwitterフォロワー数のデザイナーを選んでた。その初期ユーザーが最初のトーン、良質なコンテンツを出した最初のInstagramをプロモーションするインフルエンサーキャンペーンと言えるだろう。Jack DorseyはInstagramの一番の営業マンだった。最初は彼の投資が(Instagramの前身のサービスである)Burbnではないアプリに行くことに対してショックだったが、すぐにInstagramをBurbn以上に好きになった。そしてInstagramが2010年10月6日にローンチした時に、Jack Dorseyが共有してくれたおかげですぐにバズった。アップルのアプリストアのカメラアプリの中でいちばんになった(Sarah Frier氏、No Filter: The Inside Story of Instagramより)。

6. PR・メディアの活用

Key Question
プレスやメディアにピッチできる新しく、面白く、そしてユニークなストーリーとは?

Superhuman:プレスをうまく使うのは時代精神的な瞬間に入り込むこと。我々の場合はMailboxがシャットダウンする時だった。私はかなり読まれたM&Aの生き残り方についての記事を書いたが、それはMailboxのシャットダウンと合わせて書いたもの。投稿はMediumで出したが、qz.comにも転載された。時代精神的な瞬間に入り込めた。その記事を書くのに3日間それだけに集中したのと、あと1日記事をいろんな人に共有するのに時間をかけたので、合計4日間フルフルかかった。でもその4日間で5000人の登録が入ってきた(Rahul Vohra氏)。

Product Hunt:FastCompany記事のようにゲスト投稿をテックメディアで書いて認知を得た。初期はプレス・メディアで登録を伸ばすのに効果的だった。TechCrunchを読む人はProduct Huntを見る人と同一だった。さらにProduct Huntでローンチしたいいプロダクトを知り合いの記者に情報を流すようにした。記者の興味に合わせてプロダクトを送り、それについて記事を書いてもらってProduct Huntにリンクしてもらった。しかもそれによってよりクリエイターやアーリーステージの会社に認知を与えてた(Ryan Hoover氏)。

Airbnb:ターニングポイントはコロラド州デンバーで行われた2008年の民主党全国委員会(DNC)だった。Airbnb創業メンバーはイベントのキャパの4倍以上の人が参加すると知っていて、その影響で部屋のレンタルの需要が高まると知ってた。部屋を譲ってもらうのは簡単だったが、知名度がなかったのでその部屋に宿泊してもらうことが難しかった。

それを解決するためにまずは小さいオーディエンスを持っているブロガーに当たった。直感に反するかもしれないが、小さいブロガーがAirbnbについて投稿することによって大きめのメディアが取り上げる必要があると感じた。それがどんどん加速して、最終的には全米に放映するNBCやCBSがAirbnbの創業者をインタビューしていた。

DNCはAirbnbにとってよかったが、結局1週間しか続かなかった。創業者がイベントからのインパクトを最大限に広げられないかとキッチンで座ってたときに、シリアルを売って黒字化するアイデアを思いついた。2人ともデザイナーで名門ロードアイランド・スクール・オブ・デザインの卒業生だった。嘘のシリアルの「Obama O’s, the Cereal of Change」と「Cap’n McCain’s, a Maverick in Every Box」を考えた。箱のアートは彼ら自身で考え、カリフォルニア大学バークレー校の生徒にお願いして安く箱を印刷してもらった。箱はフラットな長方形で印刷されたので、1つひとつ形を切り取って手作りした。
創業メンバーはいろんなテックブロガーに箱を送り、それについて記事を書いてもらった。その後に一箱40ドルで売った。Obama O’sが売れすぎて、Cap’n McCainを無償でつけるようになった(Pandoより)。

Slack:ベータ版をベータ版と呼ばなかったのは、そうするとサービスがあまりよくないと思われるからだった。チームの過去の経験を活用してプレス戦略を行った。それでSlackを使うリクエストが遅れるようにした。初日に8000人、2週間後に1万5000人まで上がった。ローンチ時のメディアの力は強い(Stewart Butterfield氏)。

Instagram:PR会社を使わずに直接プレスにコンタクトした。これは正しい戦略だったとKevin Systromが語る。いいプロダクトと熱い創業者からピッチするといい記事となる。プロダクトを好きになりそうな人に関しては躊躇なく連絡した。それがうまくいった。New York Timesとかに連絡する意味がないといろんな人から言われたが、NYTは話すだけではなく、直接会いにきてくれた。そして2010年10月にローンチした同日にプレスが出て、サーバーへの負担がハンパなかった(TNWより)。

7. ローンチ前にコミュニティを作る

Key Question
あとあと活用できるコミュニティを今作れるか?

Product Hunt:Linkydinkと言うメルマガツールを使ってメルマガとしてスタートした。Product Huntを開発している間にMVP版に貢献してくれる人たちやプロダクト関連の人にモックを共有してフィードバックをもらってた。これは顧客開発のためだけではなく、共有してた人たちにプロダクトに貢献してプロダクトの一部として感じてもらうようにしていた(実際に貢献してくれてた)。その5日後、MVPが完成した。Product HuntのURLをサポーターたちにメールして、周りに共有しないようにお願いした。サポーターたちは自分たちが開発に貢献した感情を抱いてたので、プロダクトにすぐに愛着が生まれた。それで最初の30人を獲得した。週の終わりには100人集まったので、公開できると思った(Ryan Hoover氏)。

Stack Overflow:創業メンバーのJoel SpolskyとJeff Atwoodは過去の経歴のおかげで大きなフォロワーコミュニティを持っていた。お互いのコミュニティに対してプライベートベータ版に招待した。コンテンツが最初からないと微妙に見えるので、招待する前に創業メンバー自らコンテンツを作っていた(Jon氏)。

おさらい

最初の1000人を獲得するには、以下7つの戦略が使われた。

  1. オフラインで直接ユーザーと会う
  2. オンラインで直接ユーザーと会う
  3. 友達を招待する
  4. 取り残されることへの恐れ(FOMO)を作ること
  5. インフルエンサーの活用
  6. PR・メディアの活用
  7. コミュニティを作る

どの戦略にフォーカスするべきか決めるために自分に聞くべき質問は以下のとおり。

  1. 初期ターゲットユーザーは誰で、どのオフラインの場所で集まっている?
  2. 初期ターゲットユーザーは誰で、オンラインのどこで集まっている?
  3. 自分の友達は初期ターゲット層に当てはまるか?当てはまっていれば、サービスに招待したか?
  4. ユーザー生成コンテンツ「UGC」に頼るプロダクト?初期コミュニティはキュレーション型にすることを検討するべき
  5. 強い企業価値があるか?その場合はウェイトリストを検討するべき
  6. ソーシャルなプロダクトか?その場合は既存ユーザーに新規ユーザーの招待させるように検討するべき
  7. ターケット層のインフルエンサーは誰で、どうやって自分のプロダクトについて話してもらえるか?
  8. プレスや¥メディアにピッチできる新しく、面白く、ユニークなストーリーとは?
  9. あとあと活用できるコミュニティを今作れるか?

フェイスブックがGIFアニメのGIPHYを430億円相当で買収

Axiosによると、Facebook(フェイスブック)は米国時間5月15日に、ウェブ上のアニメGIFの検索エンジンでプラットフォームプロバイダーであるGIPHYを約4億ドル(約428億円)で買収することを確認した。その具体的な条件は公表されていない。GIPHYは現在、共有可能でエンゲージメントの高いコンテンツの中心的な発信源に成長しており、そのアニメーション化されたGIFは、フェイスブックのプラットフォームだけでなくウェブ上のその他のソーシャルアプリやサービスで幅広く利用されている。

特にGIPHYはInstagramに検索機能とステッカー機能を提供しており、今後もその機能を維持していずれはInstagramのチームの一部になるものと思われる。そしてGIPHYは既に行われた統合と今後の統合により、フェイスブックのその他のアプリでも利用できるようになるだろう。人びとは引き続き自分のGIFをアップロードすることが可能で、フェイスブックはGIPHYを自社ブランドで運営し、外部のデベロッパーもGIPHYを利用できるようにするだろう。

フェイスブックによると、同社はGIPHYの技術開発にも追加投資し、コンテンツとエンドポイント開発者レベルの両方で新たな関係を構築していくという。また、GIPHYが受信するトラフィックの50%はInstagram、Messenger、フェイスブック本体、WhatsAppなどフェイスブックのアプリからのものとのことだ。

GIPHYは2013年に創業され、最初は単なるGIFの検索エンジンだった。このウェブサイトの最初の重要な拡張がフェイスブック経由の共有を可能にする機能で、この機能は同社の創業年の後半に導入された。そしてその後すぐに第2の統合としてTwitterでも共有が可能になった。Crunchbaseの最新データによると、GIPHYはこれまでに5回のラウンドで1億5090万ドル(約162億円)を調達している。投資家はDFJ Growth、Lightspeed、Betaworks、GV、Lerer Hippeauなどだ。

原文へ
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

新興市場向けInstagram Liteが公開終了、ただし再出発する模様

新興市場向けのInstagramアプリとして2年間公開されてきたInstagram Liteがひっそりと消えた。ケニア、メキシコ、ペルー、フィリピンなど、Instagram Liteアプリが公開されていた国で以前はGoogle Play Storeの上位にランクインしていたが、4月13日にはチャートから姿を消した。Instagram Liteアプリを使うと「Instagram Liteのサポートは終了しました」というメッセージが表示され、通常のInstagramアプリが案内される。

Android系ニュースサイトのAndroid Policeが、最初にInstagram Liteの終了を報じた。その後、TechCrunchではInstagramの親会社であるFacebookに詳細を確認していた。

Facebookの広報担当者は「我々はInstagram Liteアプリのテストを縮小している。Instagramの最新バージョンで、お気に入りの人々や物事とつながることができる」と述べた。

Instagram Liteは、2018年に特に発表などはされずにGoogle Play Storeに登場した。「Lite」と名乗るほかのアプリと同様に、Instagram Liteの目的はモバイルデバイスのストレージ容量をあまり消費しないようにアプリの容量を減らすことだった。これは特に、容量の懸念がある新興市場のユーザーへの配慮のためだ。Instagram Liteアプリの公開時の容量は573KBで、32MBのInstagramアプリのおよそ55分の1だった。

スリムなInstagram Liteアプリでは、Instagramと同じように写真を選んでフィードやストーリーに投稿したり、Exploreページでコンテンツを見たりすることができた。ただし、ビデオを投稿したり友達にダイレクトメッセージを送ったりする機能はなかった。

2018年6月28日に、Instagram Liteは初めてメキシコで配信された。メキシコが同アプリの全インストール数の62%と過半数を占めている。アプリ調査会社のSensor TowerがTechCrunchに共有したデータによると、これまでにメキシコでInstagram Liteはおよそ440万回ダウンロードされた。2番目に大きい市場はフィリピンで全インストール数の14%、さらにケニアが12.5%、ペルーが12%と続く。

これらの国では「Lite」アプリの需要が高いため、Instagram LiteはGoogle Play Storeの上位にランクインすることができた。ケニアではGoogle Play Storeの「ソーシャル」カテゴリーの8位、ペルーでは12位、メキシコでは15位、フィリピンでは22位になった。

4月15日までにInstagram Liteアプリはすべてのランキングから消え、同社はこれらの国でアプリを削除したことを認めた。

アップデートの計画があるときにアプリが完全に引き上げられることは珍しいが、FacebookはInstagram Liteを準備中であるとTechCrunchは見ている。

このアプリはずっと「テスト」と位置づけられていたが、同社はこれまでに学んだことを生かしてInstagram Liteの新バージョンを開発する計画だ。いつ公開されるかは不明だが、新バージョンは現在作成されている。

Facebookは、Instagram Liteのほかにも「Lite」アプリをいくつか提供している。2015年にはFacebook Lite、2016年にはMessenger Liteを公開した。Uber、Tinder、Spotify、Twitterなどの大手テック企業も新興市場向けに「Lite」版などと呼ばれるアプリを提供している。Googleは「Go」というブランドで展開している。

しかし多くの「Lite」アプリとは異なり、Instagram Liteはこのアプリのターゲットと考えられる規模の大きな新興市場にはまだ提供されていなかった。例えばインド、インドネシア、ブラジルなどだ。しかしこれは今後変更される可能性がある。

当面、LiteユーザーにはメインのInstagramアプリが案内される。あるいはスマートフォンからウェブでInstagramを利用することもできる。

[原文へ]

(翻訳:Kaori Koyama)

Instagramがネットいじめ対策機能を追加、タグやコメントの管理が可能に

Instagramは米国時間5月12日、いじめ対策の一環としてユーザーが肯定的なコメントを強調できるようにすることはもちろん、否定的なコメントをより適切に管理可能にすることを目的とした一連の新機能を発表した。Instagramで自分にタグ付けたり、メンションしたりできる人を管理するための機能も追加されている。とはいえこれらの新機能が、新たなオンラインいじめの原因となる可能性もある。

否定的なコメントを管理するための新機能の1つは、膨大なフォロワーを抱えるInstagramのアカウントを所有していたり運用を支援していたりするユーザーを対象としている。こうしたアカウントに対する否定的なコメントの急増を管理するのは難しい場合がある。特に、口コミで拡散されり、オンライントロールやボットからの協調攻撃を受けたりする場合などが該当する。

これまでInstagramは、アカウント所有者がコメントを一括で削除したり、否定的なコメントを投稿する複数のアカウントを制限できるようにしたりする新機能をテストしてきた。これらの機能は、否定的なコメントや悪質な発言を残すことを主な目的に、注目度の高いアカウントを定常的にストーキングする人々を、効果的に沈黙させることができる。同社によれば、テストから得られた初期のフィードバックが好意的なものだったので、この機能をモバイルInstagramユーザーに開放することにしたのだと言う。

iOS上では、コメントをタップしてから、右上隅にある「…」アイコンをタップし、その中の「コメントの管理」を選択する。これにより、一度に削除するコメントを25個まで選択できる。「その他のオプション」をタップすると、コメント投稿者のアカウントを一括でブロックまたは制限できる機能も見つかる。Androidでは、代わりにコメントを押し続けてから、吹き出しのアイコンをタップして、「ブロック」または「制限」を選べばいい。

別の新機能である「固定コメント」は、まもなくテストリリースされる。

ここでのアイデアは、Instagramユーザーに対して肯定的なコメントを拡散する方法を提供することだ。これによって、結果的にコミュニティの雰囲気を整え、より積極的な交流を促進することができる。機能が公開されたなら、ユーザーは複数のコメントを選択して、より簡単に目につくように、それらをコメントスレッドの上部にピン留めすることができる。

これらの機能により、アカウント所有者はコミュニティをより適切に制御できるようになるが、有用な批判や投稿者が単に好まないコメントも沈黙させてしまう効果もあるだろう。これとは対照的に、Twitterはユーザーに、嫌いな返信を非表示にする方法を提供しているが、プラットフォームから削除するわけではない。代わりにそうしたリプライは、クリックをすることで見ることができるようになっていて、どこを見ればいいかを知っている人は表示することができる。

Instagramはまた、コメント、キャプション、またはストーリーで自分に言及したり、タグ付けしたりできるユーザーを選択できるようにする、拡張されたコントロールのセットも公開を初めている。タグとメンションの両方について、「全員」「フォローしている人」「誰にも許可しない」から選べる。さらに、タグ付けを手動で承認する機能を提供するオプションの、オンとオフを切り替えもできるようになる。

これらの3つの新機能は、Facebookのコミュニティ基準施行報告書(Community Standards Enforcement Report)第5版の発表と同時となった。この報告書は、同社がアプリケーション群全体を横断して、どれくらいうまく運用方針を施行できたかを詳細に示すためのものだ。

コミュニティ基準施行報告書では、Instagram上でのいじめに対応した施行データを初めて報告している。それによれば、2019年の第4四半期と2020年の第1四半期の両方で、150万件のコンテンツに対して対応したことが記載されている。

また同報告書の中では、Instagramでより多くの自殺や自傷行為のコンテンツを見つけるために、テキストならびに画像のマッチング技術を改善したと書かれている。その結果、当該コンテンツに対するアクションが40%増加し、事前検出率が前回のレポートから12ポイント以上増加している。また子供のヌードや性的搾取的なコンテンツを見つけて削除するために使用されるテクノロジーは、FacebookとInstagramの両者で改善されているという。

画像クレジット: Stockcam (opens in a new window)/ Getty Images

原文へ]

(翻訳:sako)

【Instagram、TikTok編】米国SNSの最新事情とZ世代が新しい場所を求める理由(その2)

【編集部注】本稿は米国スタートアップやテクノロジー、ビジネスに関する話題を解説するポッドキャスト「Off Topic」が投稿したnote記事の転載だ。

この記事では、InstagramとTikTokの活用事例をチェックしていく。TwitterとSnapchatの最新事情についてはこちらの記事、注目の次世代SNSについてはこちらの記事を参照してほしい。

YouTubeの売上をも超えるInstagram

いまやInstagramは、どのプラットフォームよりも人気かもしれない。Instagramの2019年の売上は200億ドルだったとのこと(YouTubeの150億ドル越え)。Facebookの全体の25%以上の売上。Instagramの買収に10億ドル払ったFacebookからすると、18日に1倍の投資額が入ってくるレベルだ。

「インスタ映え」と言うコンセプトも一般化され、Instagramを起点として多くのビジネス、インフルエンサーが立ち上がった。ここではその中でも、新しいInstagramの使い方、お勧めの活用方法をまとめてみた。

活用事例1:インスタ小説
ニューヨーク公共図書館が絶妙なSNSプロモーションを出した。不思議の国のアリスなどのクラシックなストーリーをInstagram Storiesで公開。この「インスタ小説」の使い方は素晴らしい!

まずインスタ小説のローンチする動画もめっちゃいい。明確にメッセージングを伝えている。

こちらが不思議の国のアリスのインスタ小説をプロモーションする動画。テキストだけでもキャラクターの紹介、ストーリー内の話をちょい出しするやり方が素晴らしい。

インスタ小説の素晴らしい点は、

  • カバーのアートとアニメーションがいい
  • Thumb here(ここに親指を置く)ボタンで動画スピードを調整可能
  • Thumb hereのアイコンがページごとに進化する
  • アニメーションが入ったページがあるので飽きない

しかもInstagram Storiesで小説を読むのが難しいと思われる人のためにチュートリアルの動画まで準備している。さらにニューヨーク公共図書館のIG Stories Highlightsでアーカイブされるので、いつでも読み返せる。

活用事例2:Instagram Storiesフィルター
去年末から米国では大人気になったInstagram Storiesでのフィルター。

自分は何の、ディズニー、ポケモン、セレブ、動物、。ヒップホップアーティストなのかなどをランダムで出してくれるフィルターで、そのリアクション動画を撮れるようになっている。このフィルターによって新しいInstagramスターも生まれている。フィルター自体が見つけにくいので、Google(グーグル)で「Instagram filter」の検索する人が増えている。

実際にフランス人のClément Quennesson(クレメント・ケネソン)さんが作ったフィルターが2020年1月2日から1月10日までに100万回以上使われた。彼女は「Which Baby Animal」「Which Hip Hop Artist」「Which Sea Creature」などのフィルター作ったそうだ。Which Hip Hop Artistフィルターは4日間で3500万インプレッションがある。

クレメントさんはInstagramからボットだと思われ、一瞬アカウントがバンされたこともあった。バズった後に数社のブランドから連絡が来て、フィルターを作ってくれと依頼が来ている。このようにInstagramでのセルフィー文化をうまく取り入れてその上にバズりそうなフィルターなどを作ることによってブランド認知の向上にもつなげられる。

事例3:テキスト・プレゼンの新しい共有方法?
Instagramで写真や画像ではなくエッセイを投稿する動きも出てきている。今後、エッセイやパワーポイントなどのスライドをシェアする動きが増えるかもしれない。

1年を振り返るSpotify Wrappedもプレゼン風フォーマットをInstagram Storiesに落とし込んだもの。四季別で聞いたアーティストに分けてくれたり、誰を一番聞いてたかを簡単にまとめてくれる。

既にSpotify Wrappedが人気だったが、Spotifyの素晴らしいところはそれをInstagram Stories用のサイズに自動調整してシェアできるように設定しているところ。

こちらが2013年のSpotify Wrappedだ。

引用:Jack ApplebyのTwitter投稿から

事例4:映画予告のプロモーション
Instagram Storiesで映画や番組をうまくプロモーションする事例。まず「The Gentlemen」(日本では2020年秋公開予定)の映画トレーラーをInstagram広告用にフォーマットしたもの。俳優の映像からはじめるのがうまくて面白く、なおかつ早いカットを使い、メディアからのコメントもうまく使っている。

ディズニーは自社IP(知的財産)を使って見事にDisney+番組のプロモーションをした。ザ・シンプソンズが、マーベル系、スターウォーズ風、ディズニー風のパロディーをした映像をまとめて個々のIGTV動画として出した。

事例5:1年間のまとめ
食品宅配のPostmates(ポストメイツ)は2019年の振り返りインフォグラフィックをInstagramで公開。数字の切り出し方や見せ方がユーモアで、うまくプロモーションできている事例。一番おかしい数字を出してバズらせるのはいいプロモーションだ。

事例6:マイクロインフルエンサーの活用
スターウォーズがInstagram用にイラストレーターを採用して新しい映画公開のためにさまざまなオフィシャルポスターを作ってもらった。クリエイティブのクオリティーがすごい!

この作品は、有名なクリエイティブスタジオのPosterPosse(ポスターポッセ)とコラボした作品。さまざまアーティストをコンテンツクリエイターとして活用しているのは正しい戦略だ。12月のスターウォーズのInstagramアカウントで2番目にいいねされた投稿はアートポスター投稿(53万いいね)だった。唯一勝ったのはBaby Yodaのコンセプトアート投稿だけだ。

これにより、各アーティストは自分のチャネルでも投稿できた。自分のアカウントで投稿できることによって各アーティストのフォロワーにもプロモーションできる。これでうまくクリエイターをマイクロインフルエンサーに変えている。

https://twitter.com/tmiyatake1/status/1207542502078574593https://twitter.com/tmiyatake1/status/1207542502078574593

過去には、「Pacific Rim: Uprising」(パシフィック・リム:アップライジング)の公開時でも似ているプロモーションをしていた。ストリートアーティストをうまく活用するのは今後流行りそうだ。

このまま成長し続けるか?「TikTok」

Bytedance(バイトダンス)はどのSNSよりも早く10億MAUを突破。TikTokはインフルエンサーが主流になってから初めて流行しだしたSNSだ。ただ、その成長は本当なのか、それとも作られたものなのか?

10年前のYouTube、新しいVineとして有名になっているが実際は広告で伸びている。2018年だけで10億ドルの広告費を使い、Snap、Facebook、Instagramでのプロモーションをかなりやっていた。実際に2018年に一番Snap上で広告出したのはTikTokだった。さらに、米国ではMusica.lyを8億ドルで買収によりさらに成長し、最近はSnap、Twitter、Quoraにも買収の興味を持っているらしい。

もともとZ世代のプラットフォームとして知られていたが、ミレニアル世代もTikTokにハマり始めている。しかし、面白いのはミレニアル世代ですらTikTokコンテンツが何故人気なのかがわからない子が多いこと。ただ、実際にみんなTikTokに入り込んでいるのは明らかなので、今後もかなり成長は期待できる。

最近だとFacebookも危機感を感じているのか、Facebook Messengerの広告をTikTok内に出している。

TikTokでウケるコンテンツとは?

おもしろ系やダンス、ふざけた動画、メイク動画などが伸びるが、ほかだと政治や医療系の教育動画も増えている。Z世代はTikTokは単純に遊ぶ場だけではなく、学べる場としても考えている。

ブランドとしてTikTok上でコンテンツを出す際にはかなり慎重にやるべきだ。米国のTikTokユーザーは広告っぽいコンテンツを見た瞬間スキップするので、周りのTikTokコンテンツっぽいものを出さなければいけない。NBA、Chipotle、Washington Postなどはかなりうまくプラットフォームに合わせたコンテンツを出せている。

そしてインフルエンサーを使う際にも気を付けなければいけない。TikTokの強調的ポイントは知名度とは関係なくコンテンツが広がること。コンテンツが面白ければ面白いほど広がる傾向にある。なのでフォロワーが多い人だからバズる確信はまったくない。そのインフルエンサーとうまく、その人にあったコンテンツを作るのが大事。そのため、商品紹介とかの場合は30日間そのプロダクトを使い続けてもらってからインフルエンサーキャンペーンをやるべき、そして一発ではなく何回にも渡ってやるべき。

ただ、まだTikTokインフルエンサーを活用している企業が少ないため、かなりいいチャンスだと思っている。特にコスメ系の会社とかであれば低いCACでキャンペーンを実施した実績も過去にある。

TikTokはまだ新しいので、どんどん新しい活用法が出てくる中で、幾つか面白かった事例をまとめた。

活用事例1:誰もが知りたい非日常体験レポート
Makall Lauren(マカル・ローレン)さんはディズニーのインターンプログラムに参加した際に、あることに気づいた。それはインターンの内部情報をみんなが知りたいこと。マカル氏の最初のディズニー動画がバズったときに、過去のTikTok動画をすべてアーカイブしてディズニーに特化することを決めた。

引用:Makall LaurenさんのTikTokページ

マカルさんのプロフィールに行くと、すぐに何のコンテンツを提供するかがわかる。このような1つの目的があることが重要。彼女のプロフィールを見ると、ディズニーで働いていて、ディズニーについて語るチャネルとなっている。ディズニー好きな人だと、フォローする判断はすぐにできる。

引用:Makall LaurenさんのTikTokページ

彼女の特技は圧倒的な歌唱能力。インターンとしてディズニーの内部ストーリーを語るのだけではなく、それを歌に変えることができるのが素晴らしい。これはまさにTikTokに合ったスキルセット。歌えるかの証拠はこちらの動画で、すでに500万以上の再生回数となっている。

実際に彼女のフォロワー数の成長を見ると、

  • 初期ディズニー動画(2020年1月21日):900人
  • 歌える証拠動画(2020年1月24日):4.5万人
  • フォロー感謝動画1(2020年1月28日):15万人
  • フォロー感謝動画2(2020年2月5日):20万人
  • 現在:34万人超

歌える証拠動画のテキストの使い方がうまい。動画内にオーバーレイで「ディズニーで仕事している動画が人気になった」と入れるだけで、歌える証拠動画を見た後に次に視聴者がマカル氏のページを見てほかの動画をチェックするように誘導している。インターンのストーリーと歌声のフックを作った。

Makall LaurenさんのTikTokページ

Makall LaurenさんのTikTokページ

そして何回も見れらるコンテンツテンプレートを見つけた。引越日などの何かのイベントや瞬間とそのテーマに沿ったディズニーの曲、例えば「アナと雪の女王」の「生まれてはじめて」などをうまくつなげる。

通常のTikTokクリエイターはコンテンツのトレンドに沿って新しい動画を作る。米国だとダンスや曲のカバーをしている。ただ本当のクリエイティブの人たちは新しい、ユニークな体験をオファーする。TikTokでは次の動画を見たがる、「続きは次の動画で」などのいわゆる「クリフハンガー」をよくやる。マカル氏はそれが自然とできている。各投稿は彼女のインターンとしての生活を表しているので、何が起こるのかがみんな気になるのだ。

事例2:シェアしやすい動画のダウンロード機能
ほとんどのSNSプラットフォームがエコシステム内の動画や写真をダウンロードするのを難しくしている中、TikTokは簡単にして、なおかつTikTokロゴとクリエイター名をウォーターマークを自動にして共有しやすくしている。

事例3:TikTokからの新しいソーシャルコマース
去年話題になった「OK Boomer」だが、流行のきっかけは1本のTikTok動画。ミレニアル世代やZ世代はピーターパンみたいに大人になりたくないと批判しているおじさんに対して「OK Boomer」とコメントを返した動画。

@linzrinzz

mom can you pick me up the old art teacher is going at it again #foryoupage #genz #foryou

♬ original sound – old_school_is_not_so_bad

古い世代の考え方は世界で通用しておらず、逆に多大なる問題を作り上げたとすごく簡単にまとめている。環境問題の責任を負うのは若手世代なのに、環境問題を信じない大人がいる。「世界が変わっている中、我々のやり方で世界を救ってみせる」というメッセージ性もある。

OK Boomerがコメントやミームで流行っている中、マネタイズする人たちも出ている。19歳のShannon O’Connor(シャノン・オコナー)さんがOK BoomerのTシャツをTikTokでシェアしたところ、すぐに100万円以上のオーダーが入ってきた。

引用:Official page for @toasterpancakes ok boomer shirtsから

事例4:チャレンジ文化
過去だとIce Bucket Challengeな(アイス・バケツ・チャレンジ)どバズったチャレンジは多いが、TikTokはそのコンセプトをスケールさせた気がする。ダンスチャレンジとかではよく見るが、それ以外の方法も多くの企業が考えている。中でも人気だったのはChipotleのLidFlipチャレンジだ。

引用記事
Snapchat will launch Bitmoji TV, a personalized cartoon show(TechCrunch)
What’s trending: Experts decode Gen Z(DIGDAY)
NO. 330: GEN Z ARBITRAGE(2PM)
The Era of Participatory Social(Medium)
The Sound of Silence(Posthaven)
Snapchat launches privacy-safe Snap Kit, the un-Facebook platform(TechCrunch)
Snapchat preempts clones, syndicates Stories to other apps(TechCrunch)
To stop copycats, Snapchat shares itself(TechCrunch)
Clubhouse voice chat leads a wave of spontaneous social apps(TechCrunch)

大量の「いいね!」とコメントでインスタを欺く「ポッド」との戦い

ニューヨーク大学(NYU)の研究チームは、Instagramのアルゴリズムを操って露出を高めるために「いいね!」やコメントを組織的に交換するInstagramユーザーグループ(中にはメンバーが数千人になるものもある)を何百個も特定した。さらに同チームは、その研究の一環として、Instagramの投稿にこの手法が使われているかどうかを判断する機械学習モデルのトレーニングも行った。

「ポッド」と呼ばれるこの手法によるアクティビティは、厳密には本物のエンゲージメントとはいえないが、かといって偽のエンゲージメントとも断定できないため、検知や対抗措置の実施が難しい。また、以前は危険度が比較的低いと考えられていたが(偽アカウントやボット使用の問題と比べれば今でも確かに低い)、現在はその規模も影響力も拡大している。

インターネットで検索するとポッドは簡単に見つかる。誰でも参加可能なポッドもある。ポッドの結成場所として最も広く利用されているのはTelegramである。おおむね安全で、チャンネル加入人数に制限がないためだ。ポッド参加メンバーがInstagramに投稿してそのリンクをポッドで共有すると、同じポッドに参加する他のメンバーが「いいね!」やコメントを付ける。すると、その投稿がInstagramの「おすすめ」選定アルゴリズムによって拡散される可能性がはるかに高くなり、オーガニックなエンゲージメントが促進される、という仕組みだ。

互酬性のサービス化

グループのメンバーがお互いの投稿に「いいね!」を付け合う行為は、互酬性の乱用と呼ばれる。ソーシャルネットワークの運用会社もその存在を十分認識しており、この手のアクティビティを削除したことがある。しかし、NYUのTandon School of Engieeringの研究チームによると、この手法が研究されたり詳細に定義されたりしたことはないという。

今回の研究論文の主執筆者であるRachel Greenstadt(レイチェル・グリーンシュタット)氏は、「Instagramはこれまで、他者へのログイン情報提供などの自動化による脅威やボット被害に重点を置いていたのだと思う。我々がポッドを研究したのは、ポッド問題の深刻さが増しており、他の問題に比べて対抗措置を講じるのが難しいためだ」と説明している。

規模が小さければそれほど大きな問題にはならないように感じられるが、同チームの研究ではポッドによって操作された投稿が約200万件、ポッドに参加しているユーザーが10万人以上見つかった。さらに、これは公開されているデータを使って閲覧できる英語表示の投稿のみを調査した結果である。この研究論文はThe World Wide Web Conferenceの発表論文集に掲載された(ここから閲覧可能だ)。

重要なのは、このような互酬的な「いいね!」の付け合いには、形だけのエンゲージメントを増やす以上の効果があるという点である。ポッドに参加している投稿には多数の「いいね!」やコメントが付いたが、これは作為的なエンゲージメントだった。しかしその結果、Instagramのアルゴリズムがだまされてそのような投稿を優先表示するようになり、ポッドに参加していない投稿のエンゲージメントでさえも大幅に増加したのだ。

コメントを求められたInstagramは当初、このような行為は「Instagramのポリシーに違反しており、阻止するために数多くの措置を講じている」と回答し、今回の研究はNYUの研究チームとInstagramの共同研究ではないと述べた。

しかし実際のところ、NYUの研究チームは今回の研究プロジェクトの初期段階からInstagramの不正防止担当チームと接触していた。さらにこの研究結果を見る限り、Instagramがどのような措置を講じているにしろ、少なくともポッド問題に関しては思うような効果が出ていないことは明らかだ。筆者はInstagramの担当者に対してこの点を指摘した。何らかの回答があったら、この記事に追記する予定だ。

ポッド使用は「グレーゾーン」

とはいえ、ポッド禁止に向けてすぐに行動を起こせばよい、というわけでもない。ポッドによるアクティビティは多くの点で、友達同士あるいは興味が似ているユーザー同士がお互いの投稿にリアクションを返すという、Instagramが本来の使い方として意図しているアクティビティと同じだからだ。さらに、ポッド使用が不正行為であると簡単に決めつけられるわけでもない。

グリーンシュタット氏は次のように述べている。「ポッド使用はグレーゾーンで、判断が難しい。Instagramユーザーもそう考えていると思う。どこまでが許容範囲なのか。例えば記事を書いてソーシャルメディアに投稿し、そのリンクを友だちに送ると、その友だちが投稿に『いいね!』を付けてくれる。友だちが記事を書いて投稿したら、今度は自分が同じことをする。これはポッド行為になるのか。お互いに『いいね!』を付けることが問題であるとは必ずしもいえない。コンテンツの拡散・非拡散を判断する上でそのようなアクションをアルゴリズムがどう処理するべきか、ということが問題だ」。

そのような行為を何千人ものユーザーを使って組織的に行い、(一部のポッドグループで行われているように)ポッド参加メンバーに課金まですれば、明らかに不正行為になる。しかし、この線引きは簡単ではない。

それよりも肝心なのは、何をもってポッド行為とするかを定義しなければ線引きすらできない、という点である。今回の研究では、ポッド投稿と通常投稿の「いいね!」とコメントのパターンに見られる違いを精査することにより、ポッド行為の定義が行われた。

「ポッド投稿と通常投稿では、言葉の選択とタイミングのパターンに特徴の違いが見られる」と共同執筆者のJanith Weerasinghe(ジャニス・ウィーラシンゲ)氏は説明している。

容易に想像できることがだが、あまり興味のない投稿にコメントするよう強制されたユーザーは、内容に踏み込んだコメントはせず、「いい写真」とか「すごい」といった一般的な言葉でコメントする傾向がある。ヴィーラシンゲ氏によると、そのようなコメントを禁止しているポッドグループもあるにはあるが、多くはないとのことである。

ポッド投稿で使用される言葉の一覧を見ると、予想通り、フォロワーが多い投稿のコメント欄でよく目にする言葉ばかりだ。とはいえ、このことはInstagramのコメント欄では何といっても全般的に表現の幅が限られることを証明しているのかもしれない。

ポッドで多用される言葉

しかし、何千件ものポッド投稿と通常投稿を統計的に分析した結果、ポッド投稿では「一般的な表現を使った支持」コメントの割合が圧倒的に高く、しばしば予測可能なパターンで出現していることがわかった。

さらに、この分析データを基に機械学習モデルのトレーニングを行い、初見の投稿の中から最高90%の高精度でポッド投稿を特定することに成功した。この方法を使えば次々とポッドを発見できるかもしれないが、それらは氷山の一角にすぎないことを忘れてはならない。

グリーンシュタット氏は「今回の研究期間に、アクセスと発見が容易なポッドをかなりの数、特定できた。しかし今回、ポッド全体の大半を占め、小規模ながら高い利益を生み出してしているポッドを特定することができなかった。そのようなポッドには、ソーシャルメディアにおいて既にある程度の露出実績があるユーザー、つまりインフルエンサーでないと参加できないためだ。我々はインフルエンサーではないため、そのようなポッドに実際に参加して調査することはできなかった」と説明している。

ポッドと、ポッドによって操作された投稿の数はここ2年間で着実に増加している。2017年3月には7000件のポッド投稿が発見されたが、1年後には5万5000件近くまで急増した。2019年3月には10万件を超え、その数は今回の研究データの収集が終わる時点でも増え続けていた。現在、ポッドによる投稿は1日あたり4000回を超えているといっても過言ではなく、それぞれの投稿が、作為的にもオーガニックにも膨大な数のエンゲージメントを獲得している。現在、1つのポッドの参加メンバー数は平均900人で、中には1万人を超える参加メンバーを抱えるポッドもある。

「数人の研究者が、公開されているAPIとGoogleを使ってこのような発見をできたのであれば、なぜInstagramは今まで気づかなかったのか」と思う読者もいるかもしれない。

先ほども触れたが、Instagramは単にポッドを大きな脅威として認識していなかったために、それを阻止するポリシーやツールの開発を進めてこなかっただけなのかもしれない。「偽の『いいね!』、フォロー、コメントを生成するサードパーティ製のアプリやサービス」の使用を禁止するというInstagramのルールがこのようなポッドには適用されないことはほぼ確実だ。なぜならポッド行為は多くの点で、ユーザー間のまったく正当なやり取りと同じだからだ(ただし、Instagramはポッドがルール違反であると明言している)。また、偽アカウントやボットの方がはるかに大きい脅威であることも確かである。

さらに、ポッドが国家による意図的な虚偽情報拡散やその他の政治的な目的で利用される可能性もあることにはあるが、今回の研究中にその種のアクティビティは(それを具体的に探すことはしなかったが)発見されなかった。そのため、現在のところポッドの危険度は依然として比較的低いといえる。

とはいえ、ポッド行為の定義と検知に役立つデータをInstagramが持っていることは明らかであり、そのデータに基づいてポリシーやアルゴリズムを変更することも可能なはずだ。NYUの研究者たちは喜んで協力するだろう。

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Category:ネットサービス

Tags:Instagram 機械学習 SNS

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(翻訳:Dragonfly)