【インタビュー】アップル幹部がM1搭載の2021年版iPad Proに寄せる思い、Macとの統合と新しい統合プロセッサー戦略

Apple(アップル)が開催した2021年1発目の製品イベント。開始後3分にしてすでに3つの発表がなされた頃には、発表づくしのイベントになることを確信した。Appleは今週、わずか1時間もの間にAirTag(エアタグ)、新しいApple Card(アップルカード)のファミリーシェアリング、新しいApple TV(アップルティービー)、カラフルなiMacの新シリーズ、そして新色パープルのiPhone 12など、数多くの新製品を発表したのだ。

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Appleが新たに発表したデバイスの中でも、市場ポジションの面で最も目を引くのは新しい12.9インチのiPad Proだ。

今週、筆者はAppleのワールドワイドマーケティング担当上級副社長Greg Joswiak(グレッグ・ジョズウィアック)氏とハードウェアエンジニアリング担当上級副社長John Ternus(ジョン・ターナス)氏とともに、最新版のiPad Proと、コンピューティング関連の仕事を扱う業界でのその立ち位置について話す機会を得た。

さまざまな面で、新しいiPad Proは、最終ラップにダントツ1位で突入しているのに、アフターバーナーを点火して後ろの集団をさらに引き離すスプリンターのようだ。2020年のモデルはいまだに最高レベルのコンピューターであり、強力なコンピューティングツールのほか、バッテリー性能、ポータビリティがすべて備わっていた。それなのに2021年のモデルには、さらにM1プロセッサー、RAM、ストレージ速度、Thunderbolt(サンダーボルト)接続、5Gラジオ、新しい超広角前面カメラ、さらにはLiquid Retina XDRディスプレイ搭載といった数々のアップグレードがなされている。

市場ではまだ2020年のiPad Proが席巻しているが、これほどの飛躍は驚きだ。その中心にあるのは、ディスプレイである。

Appleは、5000ドル(日本では税込58万2780円)の超高性能Pro Display XDRにわずかな機能改善を加え、それを12.9インチのタッチ版に移植した。とはいえ、その仕様ははっきり言って最高だ。1000ニトの輝度はHDRではピーク時に1600ニトに達し、フルアレイのローカルディミングゾーンは2500個にのぼる。Pro Display XDRの576個と比べるとケタ違いだ。

2021年最初のApple製品発表はオンラインで行われたため、やはりメディアはiPad Proを含め、新作デバイスをその場で入手できていない。つまり、筆者自身もまだこの目でXDRディスプレイを見ていないというわけだ。残念ながら、スペックが本当に高いためスクリーンを見ずにそのルックを推測しようとするのは、頭の中で「1兆個」をイメージしようとするようなものだ。理論的には可能だが、あまり役に立つものではない。

このスクリーンは市場に出ているどのMacデバイスやiOSデバイスよりも明るく、仕事でHDRの動画や写真を扱う人にとっては大きな決定打になるだろう。しかしそれでも、市場にあるどのディスプレイよりも高密度かつ高輝度のマイクロLEDディスプレイを何百万個あるいは何千万個もの単位で搭載するには、大々的な投資が必要だ。

そこで筆者は、すでに史上最高の携帯ディスプレイ、ないしはディスプレイ全体で見ても史上最高の1つとされるものがありながら、この性能強化に踏み切った理由についてお2人に伺った。

「私たちは常に最高のディスプレイを追求してきました」ターナス氏は続ける。「最高のディスプレイをすべてのデバイスに搭載し、それをさらに良くしていくこと。それが私たちの仕事であり、私たちが毎日職場に来て、大きなことを成し遂げるために働きたいと思う理由です」。

「覚えていらっしゃるかもしれませんが、Pro Display XDRについて私たちが話したことの1つは、このディスプレイと性能を仕事環境にもっと取り入れることでした。今までの仕事の流れでは、プロジェクトの最終段階になってやっと、非常に高価なリファレンスモニターを1つだけ目にするのが普通でした。ですがこのディスプレイがあれば、もうスタジオに足を運ぶ必要はありません。外出先へどこでも持って行って、同じ性能で使えるため、クリエイティブな仕事をする人にとっては非常に大きな価値になるはずです」。

筆者自身がPro Displayを使う中で、また専門職のユーザーとPro Displayについて話す中で共通して感じたことは、作業段階のさまざまなポイントで色彩と画像を仕様に合わせて正確に処理できるようになったことで、全体的なワークロードが削減されたという点だ。一般的なシステムでは制作ステージのかなり遅い段階でリファレンスモニターが登場するため、多くの場合、高コストで時間のかかるリレンダリングや新色のパスが必要となる。Liquid Retina XDRディスプレイを非常に低価格で作業環境に組み込めば、制作ライン上の数多くのポイントを格段に速く通過できるようになるはずだ。

「なぜ強気でスペックを高めるのか」という質問の主な回答は今回の話し合いの後半で登場するが、この流れで少し触れておきたい。ジョズウィアック氏は、頭上スペース、つまりユーザーにとっての頭上スペースとデベロッパーにとっての頭上スペースを確保することがポイントだというのだ。

「ジョン(ターナス氏)が話したように、iPad Proが実現したことの1つは限界に挑んだことです。さらなる高みを追求したことで、デベロッパー側に頭上スペースが生まれ、彼らのクリエイティビティを試せるようになりました。最初にiPad Proを生み出したときは、Photoshop(フォトショップ)もなかったんですよ」ジョズウィアック氏は次のように続ける。「すぐに使えるようなクリエイティブ向けのアプリがなかったんです。それが今では数えきれないほどの種類になりました。それらを生み出すためのキャパシティーや性能を私たちが確保したからこそ、そしてたくさん売りさばいたからこそ、デベロッパーがこのツールを活用できたというわけです。十分な顧客がいて、十分なパフォーマンスがある。じゃあ、これを活用しようじゃないか、というようにね。どの世代も、このように新しいものが生まれていきます。私たちがパフォーマンスの頭上スペースをもっと確保すれば、デベロッパーは自然とその活用方法を考えるものです」。

「自分が買おうとしているものに頭上スペースがあれば、顧客にとってはこの上なしです。実際、デベロッパーにとても気に入ってもらっています」。

今回のiPad ProにはM1チップが搭載されており、Aシリーズのネーミングからは手を引いた格好だ。このプロセッサー部分は、今週発表されたiMac、そして2021年の初めに発売されたMacBookに搭載されたものと同一(メモリー構成が類似)となっている。

「同じM1の部品ですからね」ターナス氏はこう述べる。「iPad Proには常に、Appleが持つ最高のシリコンを搭載してきましたから」。

「デスクトップに入っているチップをそのままiPadに入れられるなんて、すごいですよね」ジョズウィアック氏は話す。「これほどの電力効率でこのレベルのパフォーマンスを発揮できるなんて、ものすごいことです。しかも、それに加えてテクノロジーもそろってる。ニューラルエンジン、ISP、サンダーボルト、他にも数多くのテクノロジーが搭載されていますから、他のどの会社よりも圧倒的な技術です」。

M1の本格展開が始まり、筆者自身でテストを実施するようになると、エネルギー消費効率が圧倒的な点を実感した。これこそが、M1の一番の差別化要因だ。何十年にもわたり、ノートパソコンのユーザーは電力消費を抑えるために、膨大で負荷の大きいワークロードはパソコンをコンセントにつなぐまで後回しにすることが習慣になっていた。そんなノートパソコンに対する期待値を、M1はデスクトップクラスのプロセッサーを使うことで引き上げようとしている。事実、Appleは最も強力なCPUを提供するだけでなく、市場で最も電力効率の良いCPUを提供しているのだ。このCPUは、700ドル(約7万6000円)のMac Miniの他、同時に1700ドル(約18万5000円)のiMac、そして1100ドル(約12万円)のiPad Proにも搭載される。かなり大胆な動きではあるが、10年以上にわたって独自のアーキテクチャとシリコンを築いてきた製品だからこそ実現できることだ。

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「バッテリー寿命は、バッテリー容量とシステム効率によって変わりますよね。だから私たちはシステム効率の向上に力を入れて、チームがお分かりのとおりすばらしいパフォーマンスのM1を生み出してくれたわけです。ですが、ディスプレイも忘れてはいけません。私たちはこのディスプレイ用に、効率と、名前のとおりパッケージサイズに注力した新しいミニLEDを設計し、iPadの使い勝手に合った、そしてバッテリー寿命の長いディスプレイを実現しました」。

「この点だけは、妥協したくなかったのでね」ターナス氏は付け加える。

新しいiPad Proの大きな目玉機能は、Center Stage(センターステージ)機能搭載の、12MPの超広角カメラだ。自動センタリング機能やビデオのトリミング機能により、文字通り人間中心のFaceTime(フェイスタイム)が可能になる。フレーム内で人を検知すると自動的に顔が画面の中心に映されるよう調整し、その人が動いたり立ち上がったり、ストレッチをしたり、左右に傾いたりしても、フレームの中心から外れないように調整してくれるのだ。また、別の人が12MPの超広角前面カメラの枠内に入ると、その人にも自動でフレーム調整が適用される。この機能は、フェイスタイムだけでなくZoom(ズーム)やWebex(ウェベックス)にも対応しており、この機能のAPIも提供されるという。

筆者は実際の動きをもう少し詳しく見ることができたため、それを踏まえてこれが業界の被写体フォーカス機能の標準実装になると断言できる。トリミング機能はスマートに作られており、突然どアップのカットに飛ぶのではなく、安定した手でスムーズに拡大縮小をしているカメラマンを思わせた。まさに、目に見えない機械学習エンジンが監督を務めるテレビ番組を見ているような感覚だ。

「私たちが大好きな仕事の良い例が、この機能ですね。ハードウェアとソフトウェアをうまく融合することです」ターナス氏は続ける。「もちろん主役はカメラですが、人の検知やパン、拡大などを実現しているのは、その周りにあるSOCとアルゴリズムです。これにはセンスがいりますよね。動きが速すぎてもいけないし、遅すぎてもいけない、心地よい感覚を生み出すわけですから。Appleには、Appleらしい製品を作るためにセンスにあふれたクリエイティブなメンバーがたくさん集まっているんです」。

この機能は、Magic Keyboard(マジックキーボード)を使ってiPad Proを操作する際の、カメラが不自然に天井を映してしまう問題の解決にも大いに役立つ。このご時世、ビデオ会議に参加することが非常に増えたが、今まではこの問題のせいでiPad Proを外出先でのビデオ会議用に使えずにいた。そこで筆者は、センターステージがこの角度を修正するために設計されたのかターナス氏に伺った。

「iPadはどの角度でも使えますよね。そこで、使い方によってその使い心地も変わります。ですがこの機能のすごいところは、常にフレームを修正できるところです。ビデオ会議に1日中参加していると、立ち上がって足を伸ばしたくなります。カメラを消さなくても、立ち上がってストレッチをしたり、部屋の中を歩き回ったりできる。今までにない圧倒的に新しい技術で、本当にすばらしいことです」。

確かに、Portal(ポータル)などの他のビデオチャット用デバイスに加え、Teams(チームズ)などのビデオソフトウェアがすでにトリミング形式の模倣機能を提供していることは事実だが、一度に何百万ものユーザーにこのようなソフトウェアを提供する際には、ユーザーエクスペリエンスがすべてだ。実際に市場に展開したセンターステージ機能がどのように競合と戦うか楽しみだ。

さて、機能の面でiPad ProとMacがどのように一体化するかについて延々と議論が続いていることを受け、筆者はiPad ProとMacBookそれぞれの購入者にどのような違いがあるかお2人に伺った。この質問にいち早く答えたのは、ジョズウィアック氏だ。

「とてもいい質問ですね。世の中にはiPadとMacが互いに戦争していて、どちらかが倒れるまで戦い続けると考えている人がいる。その一方で、『いや、Appleはこの2つを一体化しようとしているんだ、2つとも1つのプラットフォームに強制的にまとめようとたくらんでいるんだ』という人もいます」ジョズウィアック氏は続ける。

「この2つの声は真逆の思考から生まれていて、実際にはこのどちらも正解ではありません。私たちはそれぞれの分野で最高の製品を作ろうと本当に一生懸命努力していることを誇りに思っています。Macははっきり言って最高のパソコンです。顧客満足度を見れば、長期的にこれが実証されていることが分かります」。

ジョズウィアック氏は、パソコン分野全体が成長していることに触れ、それをうれしく思うと話す一方で、Macはパソコンという概念をはるかに上回る製品で「売れ行きも上々だ」と付け加えている。また、iPadのビジネスも依然として(iPadをタブレット扱いすることは拒否しながらも)タブレット分野を逸脱していると述べる。

「それに、iPadとMacの『どちらか』という考えも間違っています。Macを購入されるユーザーの大半がiPadを持っています。うれしいことですね。Macの代わりに使っているのではなく、適切なときに適切なツールを使っているのです」。

「彼(ターナス氏)とそのチームがiPad Proで実現したすごいところは、一番満足してもらうのが難しい、クリエイティブな仕事をする人にも引き続き喜んでもらえる製品を作ったことです。Macを使って、自宅でも同じように専門的な作業をしながら、iPad Proも活用できる。今までも、何世代にもわたってこのような使い方がクリエイティブのワークフローの一部になってきました」ジョズウィアック氏はこう続ける。「この分析を見ているとワクワクします。どちらか一方ではなく、どちらもクリエイティブ職の人にとって役割があるのです」。

持ち歩き用のコンピューターをiPad Proのみに絞って以来、筆者はよくマルチモーダルの観点から専門的な仕事について考えるようになった。Appleもまた、2018年にProワークフローチームの立ち上げを行っている。ワークフローはここ10年で大幅に変わっており、そこには、いうまでもなくiPhoneやiPadがダイレクト操作の実例を普及させたことが大きく関係している。今の社会では「この新しいものは何だ」とか「すごいね、これが当たり前になったんだ」などという感覚さえ昔のものと化し「これは自分には不可欠だと思う、自分に必要だろう」と思うようになっているのだ。

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「一部の人の考えとは違って、私たちはMacの領域を侵害しないようにiPadで何をすべきでないか考えたり、その逆をMacで考えたりすることはありません」ターナス氏はこう述べる。「私たちが重視しているのは、何が最高のやり方かということです。私たちが作れる最高のiPadとは何だろう、最高のMacとは何だろう、というようにね。iPadとMacを両方使う人もいれば、自分のニーズに合わせてそのどちらかを好む人もいる。どちらも良いと思うんです」。

ここまで読んでいただいた読者のみなさまは、Appleが断固としてiPad対Macの議論をしようとしないことがお分かりだろう。そのうえ、AppleはiPadを市場で対抗者のいない独自のポジションに据えようとしていることも見て取れる。ジョズウィアック氏はよく、タブレットという言葉を使うことさえ嫌だと話している。

「iPadとタブレットは別物です。タブレットはいま1つですが、iPadは最高です」ジョズウィアック氏はこう続ける。「私たちは常にiPad Proで限界を押し上げています。リーダーにはそうあって欲しいと思いますよね。リーダーは限界を突破する存在で、リーダーこそ、XDRディスプレイのように今まで見たことがない世界へ連れていってくれる存在です。私たち以外に、この役割を担える人はいません。そして、一度新しいものを目にして、使ってみれば、疑う気持ちは晴れるでしょう。作ってくれてよかったと思うはずです」。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:AppleインタビューApple M1iPad

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(文:Matthew Panzarino、翻訳:Dragonfly)

アップルがM1チップ搭載iPad Proを5月後半発売、12.9インチが12万9800円から、11インチは9万4800円から

アップルがM1搭載iPad Proを5月後半発売、12.9インチが税込12万9800円から11インチは税込9万4800円から

Apple(アップル)は米国時間4月20日、Apple M1チップ搭載iPad Proを発表した。直販価格は、11インチ・Wi-Fiモデルが税込9万4800円から、12.9インチ・Wi-Fiモデルが税込12万9800円から。4月30日から注文可能となり、5月後半に販売を開始する。

アップルがM1搭載iPad Proを5月後半発売、12.9インチが税込12万9800円から11インチは税込9万4800円から

  • 11インチ・Wi-Fi:128GB版9万4800円(税込)、256GB版10万6800円、512GB版13万800円、1TB版17万8800円、2TB版22万6800円
  • 11インチ・Wi-Fi+Cellular:128GB版11万2800円(税込)、256GB版12万4800円、512GB版14万8800円、1TB版19万6800円、2TB版24万4800円
  • 12.9インチ・Wi-Fi:128GB版12万9800円(税込)、256GB版14万1800円、512GB版16万5800円、1TB版21万3800円、2TB版26万1800円
  • 12.9インチ・Wi-Fi+Cellular:128GB版14万7800円(税込)、256GB版15万9800円、512GB版18万3800円、1TB版23万1800円、2TB版27万9800円

12.9インチモデル

新しいiPad Proは、8コアCPU・8コアGPU・16コアNeural EngineのApple M1チップを採用。従来のiPad Proと比べCPUは最大50%パフォーマンスが向上、GPUは最大40%向上しているという。メモリーは、128/256/512GBストレージ搭載モデルが8GB、1/2TBストレージ搭載モデルが16GBとなっている。

アップルがM1搭載iPad Proを5月後半発売、12.9インチが税込12万9800円から11インチは税込9万4800円から

ディスプレイとしては、最大解像度2732×2048ピクセル(264ppi)のLiquid Retina XDRディスプレイを採用。色域はDCI-P3準拠。コンテンツの動きに合わせて自動調整を行うProMotionテクノロジーによりリフレッシュレート最大120Hzに対応。最大輝度600nit(フルスクリーンの最大輝度1000nit、ピーク輝度1600nit)。周囲の光環境に合わせてディスプレイのホワイトバランスを動的に調整するTrue Toneもサポート。

1万個以上のミニLEDを利用したバックライトにより100万:1のコントラスト比を実現したという。2596のローカルディミングゾーンに画面を分割し、表示コンテンツに応じて各ゾーンの輝度を正確に調整しているそうだ。

アップルがM1搭載iPad Proを5月後半発売、12.9インチが税込12万9800円から11インチは税込9万4800円から

背面カメラとしては、1200万画素および絞り値f1.8の広角カメラ、1000万画素および絞り値f2.4・視野角125度の超広角カメラを搭載。前面には、TrueDepthカメラとして、1000万画素および絞り値f2.4、視野角122度の超広角カメラを採用している。カメラ類は、すべてスマートHDR 3をサポートしている。

TrueDepthカメラでは、センターフレーム機能により、被写体がフレームの中心から外れないように自動で水平方向に調整(パン)する。またビデオ通話時などに他の人がフレーム内に入ると、自動ズームイン・ズームアウトを行うとしている。

無線機能は、Wi-Fi 6(11ax)対応。またWi-Fi+Cellularモデルは5G通信に対応しており、nano SIM(Apple SIM対応)とeSIMを利用できる。センサーは、Face ID、LiDARスキャナー、3軸ジャイロ、加速度、気圧計、環境光を採用。

接続端子としては、DisplayPort、Thunderbolt 3およびUSB 4対応のUSB Type-Cコネクターを採用。本体カバーにもなる薄型キーボード「Smart Keyboard」および「Smart Keyboard Folio」を利用可能。このほかBluetooth 5.0をサポートしている。また、Apple Pencil(第2世代)を利用できる。

アップルがM1搭載iPad Proを5月後半発売、12.9インチが税込12万9800円から11インチは税込9万4800円から

サイズは280.6×214.9×6.4mm。重量はWi-Fiモデルが682g、Wi-Fi+Cellularは684g。バッテリー駆動時間は、最大10時間(Wi-Fiでのインターネット利用、ビデオ再生)。またWi-Fi+Cellularモデルの場合、携帯電話データネットワークでのインターネット利用時は最大9時間としている。

11インチモデル

11インチモデルは、最大解像度2388×1688ピクセル(264ppi)のLiquid Retinaディスプレイ採用。最大輝度は600nit。ProMotionテクノロジー、True Toneなどをサポート。色域はDCI-P3準拠。

サイズは247.6×178.5×5.9mm。重量はWi-Fiモデルが466g、Wi-Fi+Cellularは468g。バッテリー駆動時間は、最大10時間(Wi-Fiでのインターネット利用、ビデオ再生)。またWi-Fi+Cellularモデルの場合、携帯電話データネットワークでのインターネット利用時は最大9時間としている。

この他の仕様は、12.9インチモデルと共通。

画像クレジット:Apple

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:Apple / アップル(企業)APPLE SPRING HARDWARE EVENT 2021Apple M1iPad(製品・サービス)

アップルが「Spring Loaded」で発表した新製品まとめ、新iMac、iPad Pro、AirTagなど

Apple(アップル)のイベントの日だ。

Apple Cardの改良から新しいiMacやiPadまで、Appleは1時間のイベントでたくさんのニュースを発表した。しかし、すべての発表に目を通している時間がない方のために、それぞれのポイントをまとめてご紹介しよう。

Apple Card

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Appleはまず「Apple Card」の仕組みの変化について、簡単だが重要な説明を行った。「Apple Card Family」では、13歳以上の家族なら誰とでもカードを共有でき、追加ユーザーごとに利用限度額をカスタマイズできる。また、Appleカードを他の大人と「共同所有」することもできるようになり、両方の所有者が等しくクレジットを蓄積できるようになる。

Appleはまず、Apple Cardの仕組みの変更について、簡単に、しかし重要な説明を行った。「Apple Card Family」では、13歳以上の家族であれば誰でもカードを共有することができ、追加ユーザーごとに利用限度額をカスタマイズできる。また、他の大人とApple Cardを「共同所有」することも可能になり、2人の所有者が同じようにクレジットを貯めることができるようになる。

Apple Podcasts

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Appleは、Podcastアプリのデザインを一新し、それぞれのPodcastを有料購読(月額または年額)できるオプションを提供する。

パープルのiPhone

画像クレジット:Apple

今回、新しいiPhoneは発表されなかったが(iPhoneは通常、年内に発売される)、既存のiPhone 12とiPhone 12 miniに新色「パープル」が加わった。彼らはWilly Wonka(ウィリー・ウォンカ)の歌が使われたが……、まぁそれはパープルだからだろう。

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AirTag

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Appleはついに、ソファーで紛失したさまざまなAppleデバイスを探すのにときと同じく「Find My」アプリを使って、鍵やお財布、バッグなどを追跡するためのアクセサリーを正式に発表した。

AirTag」(不思議なことに「AirTags」ではない)と名づけられたこのアクセサリーは、1個29ドル(日本では税込3800円)、4個入りで99ドル(日本では税込1万2800円)、4月30日に発売される予定だ。バッテリーはユーザーが自分で交換できるが、奇妙なことにアタッチメントループは付属しない。キーホルダーなどに取り付けたい場合は、ケースを追加する必要がある。もちろん、Appleはそれを作り、販売する。

AirTagにはそれぞれスピーカーが内蔵されており、紛失したアイテムを見つけるのに役立つ。オンラインで購入すると、テキストや選択した絵文字を無料で刻印することができる。

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次世代Apple TV 4 K

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Appleは、2017年に初めて発売した「Apple TV 4K」を大幅に刷新する。その内訳は以下のとおりだ。

  • AppleのA 12 Bionicチップ搭載。
  • iPhoneを使って映像のキャリブレーションが行える。キャリブレーションプロセスを開始し、iPhoneの前面カメラをテレビに近づけると、Apple TV 4Kはそれに応じて自らのカラー / コントラスト出力を自動的に最適化する。
  • リモコンのデザインも一新。これまでのタッチパッド付きのリモコンから、iPodのようなスクロールホイールを備えた5方向のクリックパッド付きのリモコンに変更された。ボタンを押す代わりにテレビに話しかけたくなったときのために、側面にはSiriボタンが付いている。このリモコンは、前世代
  • Siri RemoはApple TV 4KおよびApple TV HD用として59ドル(日本では税込6500円)で別売りされる。
  • 32GBモデルが179ドル(日本では税込2万1800円)、64 GBモデルが199ドル(日本では税込2万3800円)。

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新しいiMac

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iMacがM1にシフトするときが来た!Appleは、iMacの新ラインナップを発表した。往年のiMacを彷彿とさせる、ファンシーなカラーバリエーションが特徴だ。その概要は以下のとおりだ。

  • Appleが2020年にノートPCに初導入した驚異的に高速な「M1」チップセットを搭載。
    24インチの「4.5K」ディスプレイ。
  • ついに、まともなウェブカメラが登場!新iMacには1080pのFaceTimeカメラが搭載される。
    予約注文は4月20日から始まり、出荷は5月下旬。
  • 1299ドル(日本では税込15万4800円)で8コアCPU / 7コアGPU、1499ドル(日本では税込17万7800円)で8コアCPU / 8コアGPUにアップグレードできる。
  • カラーはグリーン、イエロー、ピンク、オレンジ、ブルー、パープル、シルバーの7色。一部の色は、より高額なモデルでのみ提供される。
  • どちらのモデルも256GBのSSDとThunderboltポートが2つ備えている。1499ドルのモデルでは、USB 3ポートが2つ追加される。
  • Appleは、Touch ID指紋認証センサーを搭載したBluetooth Magic Keyboardの新バージョンも発表。高額なモデルに同梱される。

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新しいiPad Pro

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iPad ProもM1を搭載する!Appleによると、この移行により従来のiPad Proと比べてパフォーマンスが50%向上したという。新機能は以下のとおりだ。

  • 8コアGPU / 8コアCPU。
  • 11インチモデルは799ドル(日本では税込9万4800円)から、12.9インチモデルは1099ドル(日本では税込12万9800円)から。
  • セルラーモデルは5Gをサポート。
  • USB-Cポートを介してThunderboltおよびUSB 4をサポート。
  • 12.9インチモデルは「Liquid Retina XDR」ディスプレイを搭載。Appleによるとフルスクリーン輝度は1000ニト、ピーク輝度は1600ニトとのこと。
  • Appleが「Center Stage」と呼ぶ機能は、FaceTime通話中に、部屋の中を動き回っても自動的に自分の顔をフレームの中央に保つ。
  • 最大2TBの内蔵ストレージと16GBのRAMを搭載。

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タグ:AppleAPPLE SPRING HARDWARE EVENT 2021Apple CardクレジットカードポッドキャストiPhoneAirTagトラッカーApple TVSiriiMacApple M1iPad

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(文:Greg Kumparak、翻訳:Katsuyuki Yasui)

新iPad ProもApple M1チップ搭載

予想されたとおり、米国4月20日にあったApple(アップル)のSpring Loadedイベントでのビッグニュースは、ハイエンドなタブレットの新バージョンだ。新しいiPad Proは、同社のMacラインナップに導入されたM1チップを搭載した初の製品となる。新しいチップは8コアCPUを搭載し、前世代に使用されているA12Z Bionicよりパフォーマンスは最大50%速くなる。またグラフィック性能が最大40%高速になる8コアGPUも搭載する。RAMは最大16GB、ストレージは2TBだ。

新iPad Proは同社のタブレットとデスクトップの境界をさらに曖昧なものにし、バッテリーは「1日中」持つよう改善された。またUSB-CにThunderboltのサポートを追加し、これにより外部ディスプレイサポートや有線での最大40Gbpsでのデータトランスファーを含む数多くの新機能が利用できるようになる。

画像クレジット:Apple

新iPad Proは5Gに対応しているiPhoneのラインナップの仲間入りも果たした。新iMacのように、新iPad ProはAppleシリコンに搭載した新たなISPのおかげでイメージングが向上した。これは新しいウルトラワイドカメラと一体となっている。120度の視野角、新しい「センターステージ」機能などにより、電話会議能力の改善が図られるはずだ。「センターステージ」はユーザーを追いかけるというもので、一部のスマートディスプレイで見られるテックと似ている。Appleはそのエクスペリエンスを次のように表している。

ユーザーが動き回るとセンターステージはユーザーがショットに収まるよう自動でパンを調整します。他の人が加わると、カメラはそれを感知してみんながショットに入るようスムーズにズームアウトして、みんなが会話に参加できるようにします。ですので、同僚とホワイトボードを使っていると、あるいはバーチャルの家族の集まりに参加しているとき、つながる体験はこれまでよりもさらに没頭できるものになります。

Dolby Atmos(ドルビーアトモス)再生にも対応する4つのスピーカーを搭載している。

Appleのマーケティングチームによると、新しいiPad Pro(さしあたって12.9インチのみ)はグレードアップしたディスプレイLiquid Retina XDRを搭載する。これによりハイダイナミックレンジがかなり向上している。ディスプレイの光源は1万個のマイクロLEDで、バッテリー駆動時間を損なうことなくコントラスト比の大幅改善と輝度1000ニトを実現している。

11インチバージョンは799ドルから、Liquid Retinaディスプレイを搭載した12.9インチバージョンは1099ドルからだ(編集部注:日本では11インチが税込9万4800円から、12.9インチは税込12万9800円から)。本日発表された他のプロダクトとともに、プレオーダーの受け付けは4月30日に開始し、出荷は5月後半に始まる。

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

アップルが「Apple TV+HomePodのハイブリッド製品」と「iPad風スマートディスプレイ」を開発か

Bloomberg(ブルームバーグ)によると、Apple(アップル)はApple TVとスマートスピーカーの融合や、ビデオチャット用に統合されたカメラなど、スマートホーム分野への新たな参入に向けたいくつかの新しいオプションに取り組んでいるという。また同社は、HomePodとiPadを組み合わせ、Amazon(アマゾン)のEcho ShowやGoogle(グーグル)のNest Hubに似た機能を提供するスマートスピーカーにも取り組んでいるという。

Apple TVとHomePodのハイブリッド製品はテレビに接続して映像を出力し、現在のApple TVと同様に動画配信やゲームサービスが利用でき、スピーカーは音声出力、音楽再生、Siriとの統合に利用される。また、テレビでビデオ会議アプリを利用するためのカメラも内蔵されるという。

第2のデバイスは市販されているスマートディスプレイに似ており、iPadのようなスクリーンで統合されたビジュアルを提供する。ブルームバーグによると、このプロジェクトではiPadをロボットアームに接続し、動き回るユーザーに合わせてiPadを移動させ、ビデオチャット中もフレーム内に収めることができるという。

ブルームバーグはこれらの製品のリリース時期を明示しておらず、まだ開発段階のようだ。つまりアップルの決断次第では、これらの計画が簡単に断念されるかもしれない。アップルは最近、2018年に発売した300ドル(約3万3000円)のスマートスピーカーHomePodの販売を終了した。

関連記事:Appleが初代HomePodの販売を終了、好評のminiに注力

Apple TVが2021年中に刷新されるという噂が飛び交っており、これではプロセッサーが高速化されリモコンもアップデートされるはずだ。最新のテレビで利用可能な120Hzの高速なリフレッシュレートのサポートなど、他のハードウェアの改善の可能性もある。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:AppleApple TViPadスマートディスプレイスマートスピーカーHomePod

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(文:Darrell Etherington、翻訳:塚本直樹 / Twitter

ノンデスクワーカーの現場から紙をなくす「カミナシ」が約11億円を調達

「これからの5年間は、ノンデスクワーカー(ブルーカラー)向けの『デスクレスSaaS』の時代が来ると思っています」と意気込むのは、カミナシCEOの諸岡裕人氏だ。同社は2020年12月、インフィニティ・ベンチャーズ主催の「ローンチパッドSaaS」にて優勝している。

2021年3月4日、カミナシはシリーズAラウンドでALL STAR SAAS FUNDCoral Capitalなどを引受先とする第三者割当増資を実施し、総額約11億円の資金調達を行ったと発表した。

点検作業をiPadアプリで完結させる

「現場から紙をなくす」ためのプラットフォームであるカミナシは、ブルーカラー(現場で働く従業員)を対象とした業務効率化ツールだ。従来、紙やExcelで行われていた点検記録や作業記録などをiPadのアプリで完結できるようにする。

約300台の機械がある食品工場を例にしてみよう。現場の担当スタッフは、毎日すべての機械を1台ずつ点検しながら、手書きで用紙に記録していく。その後、管理者は提出された書類を1枚ずつ確認して押印する。驚くことに、スタッフが行う点検回数は1日1000回以上、管理者が承認する書類は1日100枚以上に及ぶこともあるという。

カミナシCEOの諸岡氏は「このような書類での点検作業は、非効率なだけなく、ケアレスミスや形骸化にもつながっています。年間数百万円から数千万円の膨大な費用をかけているにもかかわらず、そのデータが必ずしも信用できないというのは、あまりにもったいないと感じていました」と話す。

これを解決するのが、カミナシの役割だ。上記のような現場の「点検リスト」などをクラウド上でノーコードで作成でき、スタッフは作業中にiPadのアプリを通じて記録することが可能になる。管理サイドはリアルタイムに報告内容を確認でき、これまで数時間かけていた承認作業も数クリックで完結できる。カミナシを導入すれば、現場から「紙」は瞬く間に姿を消すというわけだ。

画像クレジット:カミナシ

エンジニアが現場に足を運ぶ

しかし、実際にブルーカラーの現場をデジタル化することは、言うほど簡単ではない。従業員のなかには高齢者や、ITリテラシーが低い人も当然いる。現場で多忙な実務をこなすスタッフにとって、ツールは本当に使いやすいものでなければならない。

「ひと言でいうと大変です」と諸岡氏。とにかく現場に足を運ばなければ話が始まらない。同社はセールスだけでなく、エンジニアやデザイナーまでもが実際にクライアントの現場まで足を運び、従業員と対話を重ね、「現場の痛みを知る」ことに重きを置いている。

そんな「現場ドリブン」を徹底するカミナシのアプローチは功を奏した。プロダクトローンチからわずか8カ月で導入社数は70社を超え、食品から航空、ホテルまで14の業界に導入されるまでに成長。現在アウトバウンドセールスは行っていないものの、ウェブ経由からの流入で月間問い合わせ件数は150を超えるという。

「負け続けた3年間」があった

ここまでの道のりは決して平坦ではなかった。 父親が経営する食品工場などで働きながら、地道に経験を積んできた諸岡氏。2016年に起業し、食品工場向けのソフトウェアを開発したものの、3年間は鳴かず飛ばずの状態が続いたという。

この苦しい期間を経て、2019年12月にピボットを決断しカミナシが誕生する。「これまで僕は、ずっと自信がなかったんです。『まだ結果が出ていないから、前に出るべきじゃない』と思っていた。でも、2019年にピボットを決意した時『もう、恥も外聞もなくやってやろう』と思ったんです」と当時の心境を語る。 これが大きな転機となった。

諸岡氏は自身のnoteにて、過去の赤裸々な失敗談を含めたカミナシの理念や、メリットを積極的に発信。すると、自然に「熱い想い」を持った仲間達がカミナシに集まったという。

悪戦苦闘した3年間も決して無駄ではなく、カミナシ誕生の糧となった。諸岡氏は「僕自身、3年間で300以上の現場を見てきた。1000人以上の話を聞いた。もう二度とごめんだ、と思えるくらいにはやってきた。その時に蓄積したデータや知見があるからこそ、当時より10倍も20倍も良いプロダクトを完成させられた」という。

2020年6月のリリース以降、ローンチパッドSaaSでの優勝、シリーズAの資金調達と、順調に階段を駆け上がってきたカミナシだが、「現場から紙をなくした」先にある将来も見据える。今回の調達資金の一部は、工場などが最先端のIoTやAIを導入するためのシステム作りに投入する予定だという。「現在人間が行っている点検作業を、IoTセンサーが自動的に行い、データをカミナシに送信。それをAIが分析して報告書を作成する」などの活用を想定する。

「ノンデスクワーカーのDX」。誰もが理屈ではわかるものの、本当の意味で現場の課題を理解し、ユーザーに寄り添ったプロダクトを作ることができる企業はそう多くないだろう。父親の会社で働く時代から、「現場」をその目に焼き付けてきた諸岡氏が率いるカミナシは、数少ないその内の1社かもしれない。

関連記事:現場作業員の業務効率化アプリ「カミナシ」が9言語で利用できる「多言語翻訳機能」提供、WOVN.appと連携

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:カミナシiPadアプリDX資金調達日本

iOS版Microsoft OfficeアプリがiPadに対応、ワード・エクセル・パワポが1アプリで利用可能に

iOS版Microsoft OfficeアプリにiPad対応、ワード・エクセル・パワポが1アプリで利用可能に

Microsoftは2月16日(現地時間)、iOS版のMicrosoft Officeアプリをアップデートし、iPadに対応させました。Microsoft OfficeはWord、Excel、PowerPointを1つのアプリで利用できるようにするもので、iPhoneとAndroid向けには2019年11月からプレビューを開始、2020年2月に正式リリースしていました。

スマートフォン向け「Office」アプリのプレビュー版公開。iOS版は登録終了、Android版は利用可能

これまでもiPadにインストールは可能でしたが、iPad向けに最適化されておらず、iPhone向けの小さな画面で表示される状態でした。しかしアップデート後は、iPadに最適化されたフルスクリーンで利用できます。また、新しい機能として、日付、図形、画像、メモを PDF に簡単に挿入できるようになりました。

なお、これまで通り、WordやExcel、PowerPointを個別にインストールもできます。こちらでは、マウスやトラックパッドのサポートも追加されています。

注意点として、10.1インチ以上のiPadでMicrosoft Officeを利用する場合、ドキュメントの新規作成や編集にはMicrosoft 365サブスクリプションが必要です。9.7インチのiPad / iPad Proと7.9インチのiPad miniは無料で新規作成・編集が可能ですが、全機能を利用するにはやはりサブスクリプションが必要となります。

(Source:App StoreEngadget日本版より転載)

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Chromebookの2020年出荷数がコロナ禍の需要増により前年比2倍以上に

Chromebookの2020年出荷数がコロナ禍の需要増により前年比2倍以上に

2020年の春は、パンデミックにより在宅勤務や自宅学習が一般化するのに伴いPCの需要が急造。日本でもノートPCが品薄になるなどの影響が出ていました。これは世界的なものだったようで、とくにChromebookの需要が急増し、2019年から倍増するほどの勢いだったことが市場調査の結果から明らかになりました。

市場調査会社のCanalysによると、2020年の全世界でのChromebook出荷台数は3060万台で、2019年の1470万台から倍以上に急増したとのこと。もっとも出荷を伸ばしたのはSamsungで、その数は実に前年比の4倍です。ただし、数値自体は190万台とこちらは控えめです。このほか、Lenovoも2.8倍となる680万台と、好調でした。

いずれのメーカーも、出荷台数を大幅に伸ばしたのは第4四半期。この期間に限れば、Lenovoの出荷台数は前年同期比で1766%と驚異的な数値になっています。

これは、パンデミックの第2波により、多くの国や地域で遠隔学習が余儀なくされた結果だとCanalysでは分析しています。Chromebookは米国や欧州で教育向けデバイスとして人気が高く、また、多くの政府が、学生1人に対して1台になるよう目指しているとのことで、2021年もChromebookの需要は続くだろうと予想しています。

なお、タブレットもChromebookほどではないものの需要が増加。こちらも第4四半期に急増しており、iPadの出荷台数は1920万台に。これは2014年第4四半期以来の高水準だったとのこと。

こちらはSamsungやLenovoも第4四半期に順調に出荷台数を伸ばしていますが、トップ5では唯一、Huaweiのみが出荷台数を減らしています。

2020年全体では、タブレットの出荷台数は1億6060万台。市場が大きく、成長率こそ低くなっているもののその数はChromebookの約5倍で、身近なデジタルデバイスとしてはまだまだタブレット人気が強い様子がうかがえます。

Engadget日本版より転載)

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タグ:iPad(製品・サービス)Chromebook(製品・サービス)Samsung / サムスン(企業)新型コロナウイルス(用語)Huawei / ファーウェイ(企業)Lenovo / レノボ(企業)

iPad版Microsoft Officeがマウスとトラックパッドをサポート

予告どおり、Microsoft(マイクロソフト)がMicrosoft 360のiPadOSバージョンでトラックパッドとマウスをサポートしたことを発表した。WordとExcelとPowerPointもその対象に含まれており、タブレットとデスクトップの差を減らそうとするApple(アップル)の長年の努力に、また重要な一歩が加わることになった。これでiPadはさらに充実した生産性マシンになる。

アップルがそのための基盤を作ったのは、2020年3月のiPadOS 13.4のリリースのときだ。iPad Proの最新バージョンと合わせて、トラックパッドとマウスのサポート、そしてそれによる画面上のカーソルのサポートが発表された。TechCrunchではのRomain その詳細をまとめている。新しいタブレットとオペレーティングシステムのアップグレードとともに、トラックパッドを採用した高価なキーボードが紹介された。

画像クレジット:Microsoft

本日発表されたアップグレードはそれの実装であり、最新のiPadやiPad Pro、iPad Airでマイクロソフト製の生産性ツールを使うとき、デスクトップ版に近い使い方ができる。Officeの標準機能であるテキストの高輝度表示やExcelにおける一定範囲のセルのセレクト、グラフィクのサイズ変更などができる。以前からあったものばかりだが、これまでノートやデスクトップパソコンの上でそれらを使い慣れていた人には、ありがたいだろう。

アップデートでは他にも、より明快なインターフェイスや新しいメニュー編成などいくつかの追加がある。マイクロソフトによると、これらのエンドユーザーへの展開は「2週間後」になるとのことだ。

関連記事:アップルが新しいiPad Proを発表、iPadOSでマウスカーソルが利用可能に

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:MicrosoftAppleiPad

画像クレジット: Microsoft

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

iPad Airレビュー、Appleの個人利用のポータブルコンピュータで一番オススメなデバイス

2020年の最新iPad Airは、Apple(アップル)のリリースサイクルの中では興味深いタイミングでやってきた。iPad Proはスペックの観点からはまだ強力だが、技術的にみるとCPUでは半世代ほど遅れている。新しいProモデルは(理論的には)あと数カ月間は登場しないだろう。

つまり、Airで手に入るのはiPad Proのデザイン哲学を共有し、その最高の機能を継承しながら、同時に基礎となる計算能力では先を行くデバイスなのだ。これによってAirは、アップルのあらゆるコンピューティングデバイスの中で、総合的にみたときに優れた価値を提供するものの1つになる。実際、MacBookを含むアップルのラインナップ全体から、カジュアルでポータブルコンピュータとして私が一番お勧めしたいのがこの製品なのだ。

クリーンな新しいデザインは、薄くて、好ましい色あいのシンプルさを持っている。新しいiPhone 12の美的思想にもよくマッチしている。スムーズに丸みをおびたコーナーと、くすんだピーニング仕上げが、これまでのiPadの中でもより見栄えの良いものにしている。何年もの間、アップルはiPad側面の枠部分を狭くして消そうと努力してきた。今回の新しいデザインは、オリジナルの持っていた率直なシンプルさと、新しいiPad Proの方向性のバランスを上手くとったものだ。シャープなエッジが少し減り、ぴしりとした外見でありながらも「フレンドリー」なものとなっている。

私がAirを愛してやまないのは、それがその名前に恥じず、1ポンド(約450グラム)ぴったりというその重さが、アップルの歴代ポータブルデバイスの中でも最も軽量だからだ。これに、Magic Keyboard(マジックキーボード)を加えれば、素晴らしい極めつけのポータブルライティングマシンの出来上がりとなる。

アップルはデバイス上のカメラ位置を修正しなかった。これはiPad Proの場合には不満の種になっている、なぜならFace IDを使用してロックを解除する必要があるのだが、横向き位置では手が常に邪魔になってしまう。その代わりAirでは、True DepthカメラとFace IDを完全に捨て去り、Touch IDを電源ボタンに組み込んだ。

指紋をセットアップするための最初のスキャンプロセスは、ホームボタンで行っていたものよりは、やや手間どる感じだった。私はホームボタンが楕円形であることや、指紋センサーの配置の仕方に関係があるのではないかと考えている。とはいえ一度スキャンして取り込んでしまえば、それはiPhoneのホームボタンのバージョンよりも優れてはいないにしても、遜色なく動作したことは読者にお伝えすることができる。私は横向き(ランドスケープ)モードでのみiPadを使用するので、左手の指をセットした。しかし、読者がキーボード派ではなく、たくさん読書をする人物なら右手での設定の方が適切だろう。

スワイプしようとして自分の手が邪魔になっていることに気がついて、その手をどけてカメラを覗き込むことになるよりも、私はこのやり方の方がはるかに自然なジェスチャーだと感じている。まあiPad Proでも、カメラが水平エッジに沿って置かれているか、あるいはコーナーに配置されていれば、私も違った気持ちになるかもしれない。しかし、アップルがこのユニットにTrue Depthカメラを出荷する必要がないようにするために行った妥協は、十分うまく動作している。

Touch ID ボタンの表面は、不透明のサファイアクリスタルのカバーで覆われている。このカバーは枠とよく調和しつつ、指紋を読み取ることができる。

一度iPad Airのロックを解除したら、それはすぐに「iPhone X」で導入されたスタイルのナビゲーションシステムとなる。スワイプすることで開いたり、移動などを行うことができる。アップルのデバイスラインナップ(iPhone SEを除いたもの)全体で、ほぼ同等のナビゲーションがもたらされることは素晴らしい。

カメラは問題ない。iPadで写真を撮影するだろうか?えっ本当にするって?へー、それはおもしろい。おそらく、その場合は完全な LiDARセンサーと、広角ならびに超広角レンズを搭載するiPad Proを購入た方が良いだろう。それならば作品作り、スキャン作業、レファレンス作業などに最適だ。iPad Airのカメラは、そこそこではあるもののお約束として付いているものだといえるだろう。それはどんな目的にも使えるし、品質も劣ってはいないが、そこにある理由は、単に「そこになければならない」からだ。

iPadとiPhoneを持って旅行する人なら、iPad AirのUSB-CポートからiPhoneを充電できることを知ればうれしいはずだ。そしてもちろん、USB-Cハブやカードリーダーもうまく動作する。

iPad Pro 2020のRAMは6GBだが、iPad AirのRAMは4GBだ。またLiquid Retina(リキッドレティナ)ディスプレイを採用しているが、ProMotion(プロモーション)の120Hzのリフレッシュレートではない。ProMotionが搭載されなかったのは残念だが、理解はできる。そのためには、かなり高価なディスプレイ技術のレイヤーをまるごと導入する必要がある。だが慣れてしまったいまでは、このような大きな画面でのProMotionの欠如は、11インチのProモデルにグレードアップするためにさらに150〜200ドル(約1万5700〜2万1000円)を費やすための、最良の言い訳だといえるだろう。それは本当に素晴らしいのだ。まあそれを持ったことがないのなら、そのことを惜しむ可能性は低いのだが。

だが、iPad Pro 2020モデルがまだApple A12Zを搭載しているのに対して、AirはA14 Bionicチップを搭載している。この「Z」は、グラフィックスコアの数が拡張されている(8コアCPU / 8コアGPU)という事実に関連しているので、パフォーマンスのギャップは想像されるほど大きくはない。

iPad Airはシングルコア性能ではiPad Proを上回るが、マルチコアの数は基本的に同等だ。これは、iPad Proが画像とビデオを処理するために、並行するスレッドで複数のプロセスを処理するように調整されていることの証だ。iPadでPhotoshop(フォトショップ)やPremiere Rush(プレミア・ラッシュ)、LumaFusion(ルマフュージョン)を実行するならProが欲しくなる。他のほとんどの用途に対しては、Airで十分だろう。

私は最低価格である599ドル(日本価格6万2800円・税別)のAirが64GBではなく、128GBだったら良かったのにと思わずにはいられない。アップルはついに、iPhoneラインナップ全体の最低限のストレージを、最適なもの(128G)にした。iPad Airもそれにマッチすればよかったのにと思う。もし大量のストレージが重要な場合には、最大では1TBを提供するiPad Proと違い、iPad Airでは256GBを超えるものを手に入れることはできないことに注意しなければならない。

iPad Airの2つのスピーカーシステムは、これまでよりもはるかに優れた水平配列が行われているが、その数はiPad Proの半分であり、その結果もそれを反映したものとなっている。全体的な音量は少し小さくなるものの、実際にはトップボリュームは一般的なiPadの視聴距離では必要以上の大きさではある。

私が1万マイル(約1万6000キロ)を超える旅行にアップルのiPad Proをともなって書いたことの多くが、ここでも直接当てはまる。それは一旦、自分のワークフローに上手く取り込めたらなら、どんなノートPCにも負けないくらい強力なものになるという、素晴らしい体験のことだ。このレビュー以降、iOS 14に加えられた機能は、iPadを真剣な作業のためのより良いプラットフォームにする一方だ。

そしていまや、Proのラインナップ外のiPadでも第2世代のペンと素晴らしいMagic Keyboard(マジックキーボード)を手に入れることができるようになり、本当に大きな利便性が加わった。

私のアドバイスはこうだ。持ち歩くか持ち歩かないかにかかわらず、MacBookやデスクトップパソコンと一緒に使うためにiPad Proを買いたいと思っているなら、iPad Airを買おう。唯一のコンピュータとしてiPad Proが必要な場合は、大きな方のiPad Proを手に入れよう、だがおそらくあと数カ月で行われるアップデートを待つべきだ。

関連記事:最新iPad Proは旧モデルから乗り換えるほどではないが、マウスとキーボードは快適で便利 

カテゴリー:ハードウェア
タグ:AppleiPadレビュー

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(翻訳:sako)

AdobeがiPad用IllustratorとiPhone用Frescoをリリース

Adobe(アドビ)は米国時間10月20日、ベクトルグラフィックアプリであるIllustratorのiPad用のパブリックバージョンを公開した。すでに予約受付とプライベートベータが開始されていたことを考えればこれは驚くことではないが、Illustratorユーザーの多くはこの日を楽しみにしていた。

さらにアドビは同日、ドロー&ペイントアプリのFrescoがiPhoneでも利用できるようになったと発表した。これまで同アプリを利用するには、WindowsマシンかiPadのどちらかが必要だった。

iPad用IllustratorはApple Pencilをサポートしていおり、既存ユーザーなら直感的に利用できるはずだ。Photoshopと同様に、アドビのチームはユーザーインターフェースをより小さな画面に適応させ、より洗練されたエクスペリエンスを約束している。

画像クレジット:Adobe

「アプリは一見シンプルに見えるかもしれませんが、作業をしていくうちにより多くの機能があることに気づきます。そしてしばらくすると、アプリが背景に溶け込むような自然なリズムが生まれ、創造性を表現できるようになります」とアドビは述べている。

アドビは今後、iPad用を含むすべてのIllustratorでより多くのエフェクト、ブラシ、AIを活用した機能を搭載していく予定だ。

画像クレジット:Adobe

Frescoについては、小さな画面でユーザー体験がどのようになるかを見るのは興味深い。FrescoはCreative Cloudライブラリを使用しているため、iPhoneでスケッチを開始してから、別のプラットフォームに移動して作業を完了することができる。iPhone用が他のプラットフォームと同じインターフェイス、ブラシ、機能を備えていることは注目に値する。

さらにアドビは同日、新しいSmudge BrushやAdobe Captureのパーソナライズブラシのサポートなどを追加したFrescoのバージョン2.0を発表した。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:AdobeAdobe IllustratorAdobe FrescoiPadiPhone

画像クレジット:Adobe

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(翻訳:塚本直樹)

第8世代iPadはカジュアルユーザーに最適、頻繁な文字入力にSmart Keyboardは力不足か

これは誰にでも起こり得ることだ。iPadに新しくて派手なモデルが登場し、自分が持っているモデルはもはや最新で最高の新しいものではなくなってしまった。しかし、今回のiPadにはこれまでそれなりの実績がある。10年前、このデバイスはタブレット端末とは何かを再定義し、無数の競合他社が脱落した中で、 カテゴリのトップで支配的な場所を維持してきた。そしてアップルは最近、iPadを累計5億台超を販売したことを発表している。

一方、最近はデバイスは自社ブランドの中で存在感が薄くなっている。標準的なiPadは、iPad ProやiPad Airと比較すると、普通のiPadになってしまった。今回発表された第8世代のiPadは、アップルが提供するタブレットのエントリーレベルの製品だ。最近開催されたアップルのハードウェアイベントでは、iPad Airが中心的な役割を果たしたが、iPadにも少しだけ愛が注がれていたように思う。

第8世代のiPadは、画面サイズが9.7インチから10.2インチに拡大したほか、アクセサリーを取り付けるためのデバイス側面のスマートコネクターなど、最近の世代でおなじみのデザインを踏襲している。なお、本体サイズはiPad Airとあまり変わっていない。

また第8世代iPadは、Lightningポートを搭載する残り少ないiPadシリーズだ。Lightning規格はいまとなっては時代遅れになりつつあるが、第8世代iPadは古いアクセサリーとの互換性を維持できるぶん、余計な追加出費を節約できるというメリットもある。なお、充電器は前モデルの12W仕様よりも大容量の18W仕様のものが付属する。

今回の最大のアップデートは、当然のことながら内部構造の刷新だ。第8世代iPadは、Apple A12 Bionicプロセッサーを搭載した、2年ぶりのアップデートなる。A12は2018年に登場したiPhone XSシリーズなどが採用するSoCだ。ちょっとややこしくなるが、iPad Airは昨年にA12を搭載し、今回登場した新モデルでA14 Bionicににアップグレードされた。つまり第8世代iPadは、iPad Air よりも1世代前のSoCを搭載する製品なのだ。

一方、iPad Proは現在A12の強化版にあたるA12Z Bionicを搭載している。混乱してきたと思うが、ここで知っておくべき重要なことはiPadがエントリーレベルのモデルでありながら、A12を搭載しているという点だ。

ディスプレイは他のモデルよりも小さく、iPad Proが備える120Hzのリフレッシュレートや明るいディスプレイではない。True Toneディスプレイ技術やFace IDも搭載されておらず、ホームボタン兼用の伝統的なTouch IDが採用されている。スピーカーは2基を内蔵しており、iPad Proに搭載されているクアッドスピーカーに比べて音量は不足しており、特に横向きでタブレットで映画を見ているときに若干の不満を感じる。

バッテリーでの連続稼働時間は公称10時間となっており、他のデバイスとあまり変わりはない。実際に充電なしで1日中使ってみたが、娯楽目的のために1日数時間だけ使うようなユーザーにとっては、数日ごとに充電するぐらいで十分だ。

iPadは標準のSmart Keyboardや第1世代のApple Pencilには対応しているが、新しいMagic Keyboardは使えない。PCの代わりになるものを真剣に探しているのであれば、iPad Proの購入をじっくり検討したほうがいいかもしれない。iPad+Smart Keyboardはメールの送信などには便利だが、文字入力を頻繁に行うなど、それ以上に頻繁に文字入力が必要な用途では力不足かもしれない。

iPadは、このラインの中でもプライスパフォーマンスに優れた働き者だ。32GBのWi-Fiモデルがで税別3万4800円からと、iPadの中では最も安価なモデルとなる。iPad Airの10.9インチで64GBのWi-Fiモデルが税別6万2800円、iPad Proの11インチで128GBのWi-Fiモデルが税別8万4800円からだ。さらにはホリデーシーズンに向けて、セール価格での販売も確実視されている。実際にこれを書いているいま、米国のアマゾンではエントリーレベルの32GBのWi-Fiモデルが299ドル(約3万1500円)まで値下げされていた。

実際のところ、ほとんどのユーザーにとって第8世代iPadは、ほとんどのアプリを使うためには十分以上の性能を備える。前述のように、電子メールをチェックするためのデバイスを探している人には最適だ。また、いくつかのウェブサイトを訪問する、モバイルゲームをプレイする、Netflixを見るというった用途にも満足のいく使用感を得られるだろう。第8世代iPadは、かつてのアップルタブレットの中のメインストリームではなくなったが、立派なデバイスであることに変わりない。

画像クレジット:Brian Heater

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Gillmor Gang:テーブルステークス

Magic Keyboardを搭載した11インチのiPad Proがかなり気に入っている。毎日が土曜日のようなパンデミック禍の世界では、タブレットが王様だ。生活の混沌とした流れの中で確実なものがなくなり、方向性の規準は、どのような形でも価値がある。適切な環境作りは任意とはいえ必須だ。大局的な戦略はナイアガラの滝だが、筆者はゆっくりと、一歩一歩、少しずつ方向を変えた。どういうことか?

まず、タブレットは他のデバイスと一線を画している。ラップトップとスマートフォンの中間に位置しているため、何らかの妥協が必要だろうか。そうではない。ワークフローにステップを追加するたびに、一貫性のある全体として再構成される。次の通知が支配的な世界では、コンテキストスイッチが切り替えを行い、ハンドオフはない。ほんの1分程度でiPadは簡易媒体となる。電話が鳴る。Apple Watchで取り急ぎ応答し、iPadで左上にある電話アイコンをクリックして電話として使う。

説明も議論もするまでもないかもしれないが、このプラットフォームの反復的な改善を積み重ねることで、実質的な生産性をある程度達成できる。企業向けのものでも、メディアハッカー向けのものでもないが、この新しいデジタル世界の中で環境を形作る上での明らかな進歩を実感している。筆者は徐々に、しかし確実にプロセスをiPad Proに移してきた。Gillmor Gangのプロダクション、より正確には、編集、ミキシング、レンダリング、投稿、注釈付け、テスト、すべてが単一のデバイス上で行われるようになった。

初めの段階で、Macでしか動かないという理由から、編集プラットフォームとしてFinal Cut Proは使わないことにした。LumaFusionよりパワフルだが、iPadにソフトウェアを接続するとiOS 13とFilesアプリの新機能が光る。Magic KeyboardにはUSBコネクタが搭載されており、外付けドライブを接続できるが、OS/10と同じように使うには少し手間がかかる。内蔵カメラがあるMacならZoomからすぐにファイルを移動可能だ。

ランドスケープモードのディスプレイの側面にカメラを設置するような形で、Appleがこうした機能上の支障の解決方法を提供するのではないかと考えていたが、Magic KeyboardはiPadをポートレートモードにすることはできず、16:9のZoomも機能しない。とはいえ、これまでのキーボートとは異なり、Magic Keyboardはバックライトキーを採用している。わずかにパワー不足のキーボードではあるが、今ではiPad Proがメインのライティングツールになり、MacBook Airを上回っている。Magic Keyboardは300ドル(3万1800円)と高価だが、Appleの細部へのこだわりがあり、プラットフォームの進化に信頼性を感じている。

Magic Keyboardに搭載されているトラックパッドも同じように、実用面で特異的な要素がある。画面のタッチプラットフォームとMacのテキスト編集精度を載せた天秤は揺れ動く。しかし、この2つの世界の間をナビゲートする方法をすぐに学ぶことができ、将来的には機能的なハイブリッドの要素に基づいて実装が構築されるだろうと直感する。筆者はMac OSとiOSの将来についてマスコミの意見を追ってきたが、今ではパワーシフトが終わったという観測に落ち着いてきている。IntelからAppleの社内チップに移行することによるプライスパフォーマンスが見込まれるからだ。

あるいは、モジュール化されたアプリやサービスのプロセスフローを保持したい気持ちからくるモメンタムが問題を処置している感覚もあるかもしれない。筆者はQuipを使って記事を書いているが、iPad版にはMac版のような文字数カウント機能がない。そこでAppleに標準搭載されているPagesアプリの機能を模索し、解決策を得た。これらの共通サービスはすぐにテーブルステークスになると予想している。

iPadには、技術的な表層の下に方向性を持った進化の力が見える。全体的な視点でとらえると、バックライト付きキーボードは取るに足らないもののように思えるが、Appleはこのプラットフォーム上で何が支障となっているかを十分に認識しており、Work From Anywhere(働く場所を自由に選べるデジタルワークプレイス)の局面で必要となる将来の拡張機能を見据えている。大きなアイデアだけでなく小さなアイデアを着実に採用することで、予期せぬ変動やわずかな障害も封じ込める変革の巨匠へと成長していく。自身のコンピューティング体験を仮想化するためにツールと方策の統合に多くの時間を費やしたが、今のこの時節、こうした些細な積み重ねが重要な意味を持つのだ。

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Gillmor Gang出演者:Frank Radice(フランク・ラディス)、Michael Markman(マイケル・マークマン)、Keith Teare(キース・ティアー)、Denis Pombriant(デニス・ポンブリアント)、Brent Leary(ブレント・レアリ―)、Steve Gillmor(スティーブ・ギルモア)。2020年9月4日(金)にライブ撮影。

制作・監督:Tina Chase Gillmor(ティナ・チェース・ギルモア)@tinagillmor

@fradice、@mickeleh、@denispombriant、@kteare、@brentleary、@stevegillmor、@gillmorgang

詳しくは、Gillmor Gangニュースレターを購読するか、こちらからTelegramのグループに参加して通知フィードを受け取ってください。

Gillmor GangのFacebookに加え、Gillmor Gangの姉妹番組G3のFacebookも是非。

関連記事:Gillmor Gang:プラットフォーム

カテゴリー:ハードウェア

タグ:Apple Apple Watch iPad

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(翻訳:Dragonfly)

Appleが5nmプロセスの超高速A14チップ発表、新iPad Air搭載で来月出荷へ

Appleのイベントでは新しいiPhoneは発表されなかったが、新しいスマートフォンを含むAppleの次世代ハードウェアすべてで使われる新しいチップが発表された。このA14 Bionicは最初にiPad Airに搭載されアップル最速のタブレットとなる。

A14はCPU、GPUの軍拡競争における画期的な製品だ。 Appleによれば、同社として初の5ナノメートルプロセスによるチップだという。極めて小さな基板上に118億個のトランジスタを集積した強力なアーキテクチャで前世代の7ナノメートルチップに比べて40%能力が向上しているという。毎秒11兆回の演算能力がある。

新しいiPad Airは、価格が魅力的なために若い層にもヒットしそうだが、このチップの採用によりゲーマーやアナリストなどのパワーユーザーにも適した製品となる。写真編集だけでなくさまざまなデータ分析も高速になる。このチップは16コアのニューラルエンジンを搭載しているためAIの中心的テクノロジーの一つである機械学習の分野で大きな威力を発揮する。

また A14は全体として極めて効率的な製品に仕上がっている。強力なパワーに対して消費電力が少なく、16コアの採用によってさらに多数のプロセスが並列的に処理できる。Appleによれば、新しいiPad Airは一般的なWindowsノートと比べて最大2倍、最速のAndroid タブレットの3倍、最速のChromebookの6倍のスピードで作動するという。残念ながら Apple は具体的な製品名は挙げなかった。

個別製品名は別として、Appleが消費者向けエレクトロニクス製品のライバルと比べて新しいチップのスピードを強調したことには理由がある。

激しい競争をくりひろげているコンシューマー向けエレクトロニクス製品市場においてチップは文字通りデバイスの心臓部だ。次世代チップの能力はそのまま次世代デバイスの競争力となる。先週、Nvidiaが長年AppleにチップデザインをライセンスしてきたARMを4.2兆円で買収する計画を発表している。

これまでARMはいわばCPU メーカーのスイスだった。つまり多数のメーカーと等距離を保ちつつ求めるものに新しいチップデザインを提供してきた。A14はARMデザインをベースとしてAppleが独自に設計したチップで台湾のTSMCが製造する。

さらに取材中。

画像:Apple

【Japan編集部追記】 Appleサイトによれば、新iPad AirはWiFiモデルが6万2800円(税別)からなどと発表されている。

原文へ

滑川海彦@Facebook

アップルが5nmプロセスSoC「Apple A14 Bionic」採用のiPad Airを発表

アップルが5nmプロセスSoC「Apple A14 Bionic」採用のiPad Airを発表

アップルは9月16日、iPadシリーズのラインアップをアップデートし、10.9インチのiPad Airと10.2インチのiPadをリリースした。iPad Airが10月発売で、iPadは9月18日発売。

10.9インチiPad Air Wi-Fiモデルの税別価格は、64GB版が6万2800円から、256GB版が7万9800円から。Wi-Fi+Cellularモデルは、64GB版が7万7800円から、256GB版が9万4800円から。カラーバリエーションは、スペースグレイ、シルバー、ローズゴールド、グリーン、スカイブルーの6色。第2世代Apple Pencilに対応。

  • Wi-Fiモデル税別価格: 64GB版が6万2800円から、256GB版が7万9800円から
  • Wi-Fi+Cellularモデル税別価格: 64GB版が7万7800円から、256GB版が9万4800円から

10.2インチiPad Wi-Fiモデルの税別価格は、32GB版が3万4800円から、128GB版が4万4800円から。Wi-Fi+Cellularモデルは、32GB版が4万9800円から、128GB版が5万9800円から。カラーバリエーションは、スペースグレイ、シルバー、ゴールドの3色。第1世代Apple Pencilに対応。

  • Wi-Fiモデル税別価格: 32GB版が3万4800円から、128GB版が4万4800円から
  • Wi-Fi+Cellularモデル税別価格: 32GB版が4万9800円から、128GB版が5万9800円から

10.9インチ「iPad Air」は、5nmプロセスのApple A14 Bionicチップを採用

iPad Airは、プロセッサー(SoC)として、5nmプロセスで製造されたApple A14 Bionicチップを採用。1世代前のモデルと比較して、6コア設計のCPUによる40%高速化、4コアのグラフィックス(GPU)機能による30%の高速化を実現した。16コアのNeural Engine機能を搭載しており機械学習が70%高速化している。GPU、Neural Engine機能、またCPUに搭載の第2世代機械学習アクセラレーターにより、画像認識、自然言語学習、モーション分析におけるパフォーマンスが向上するという。

アップルが5nmプロセスSoC「Apple A14 Bionic」採用のiPad Airを発表

指紋認証センサー「Touch ID」はトップボタンに内蔵。カメラは、前面のFaceTimeカメラが700万画素および絞り値f2.0、背面が1200万画素および絞り値f1.8。アニ文字とミー文字は非対応。

10.9インチ「iPad Air」は、5nmプロセスのApple A14 Bionicチップを初採用

またiPad Airは、接続端子としてUSB‑Cコネクターを採用した。Smart Connectorを利用し、本体カバーにもなる薄型キーボード「Smart Keyboard」および「Smart Keyboard Folio」を利用可能。このほかBluetooth 5.0をサポートしている。

10.9インチiPad Airの画面解像度は2360×1640ピクセル(264ppi)で、True Toneをサポート。サイズは247.6×178.5×6.1mm。重量は、Wi-Fiモデルが458gで、Wi-Fi+Cellularが460g。

従来同様、Wi-FiモデルとWi-Fi+Cellularモデルを用意しており、Wi-Fi 6(IEEE802.11ax)に対応した。またWi-Fi+Cellularモデルは、nano SIM(Apple SIM対応)とeSIMを利用できる。

バッテリー駆動時間は、Wi-Fiでのインターネット利用時・ビデオ再生時は最大10時間。Wi-Fi+Cellularモデルの場合は、携帯電話データネットワークでのインターネット利用時最大9時間となっている。

10.2インチ「iPad」

iPadは、プロセッサー(SoC)としてApple A12 Bionicチップを採用。画面解像度は2160×1620ピクセル(264ppi)。

画面解像度は2160×1620ピクセル(264ppi)。カメラは、前面のFaceTimeカメラが1200万画素および絞り値f2.4、背面が800万画素および絞り値f2.4。アニ文字とミー文字は非対応。

接続端子は従来通りLightningコネクター。Smart Connectorを利用し、本体カバーにもなる薄型キーボード「Smart Keyboard」を利用可能。Bluetooth 4.2対応。

サイズは250.6×174.1×7.5mm。重量は、Wi-Fiモデルが490gで、Wi-Fi+Cellularが495g。

Wi-FiモデルとWi-Fi+Cellularモデルを用意。Wi-Fi機能は、IEEE802.11acまでの対応となっている。Wi-Fi+Cellularモデルは、nano SIM(Apple SIM対応)とeSIMを利用できる。

バッテリー駆動時間は、Wi-Fiでのインターネット利用時・ビデオ再生時は最大10時間。Wi-Fi+Cellularモデルの場合は、携帯電話データネットワークでのインターネット利用時最大9時間。

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Apple(アップル)は米国時間9月15日のバーチャルハードウェア・イベントで、大きくデザイン変更されて細いベゼルと一新された外観になったiPad Air(アイパッドエア)を発表した。そしてほかのアップル製品の前兆ともいえる新しい動きとしてTouch IDが復活した。ただしタブレット上部の電源ボタンの中に。

発売10周年を迎えたiPadにとって、新しい第4世代のAirはここ最近で最も大きい変更だ。「今年はiPadにとって大きな年になる」とCEOのTim Cook(ティム・クック)氏は、iPad製品ラインのProではない新型タブレットを紹介する前に言った。「そして今日、私たちは完全にデザイン変更された新しいiPad Airを紹介できることを大いに楽しみにしている」。

最大の変更点は、電源ボタンに組み込まれた次世代Touch ID(指紋認証)センサーだ。これが「ホーム」ボタンのセンサーより便利かどうかはまだわからないが、指紋ベースのロック解除方法に対する需要の高まりをアップルが認識していることは明白だ。

新しいTouch ID電源ボタンはiPhone 12、少なくとも次のiPad Proに採用されるのだろうか? 可能性は高い。なぜならFace IDの信頼性は高くなっているものの、指先を使った方法を好む人たちもいるからだ。

外観はiPad Airシリーズとしては新しいが、フラットな側面、画面の角の丸み、はっきりしたカメラの突起など基本的にProに似ている。鮮やかな新色もたくさん登場した。

ディスプレイも新しくなり、2360 x 1640ピクセルと前の世代より少し解像度が高くなった。並べてみないと違いはわからないだろうが、アップルは常に自社デバイスには最高品質のスクリーンを搭載することにこだわっていて、新型Airも例外ではない。

コネクターは兄貴分のiPad Pro同様、Lightningを卒業してUSB-Cに変わったので、またまたケーブルを捨てなくてはならなくなるが、新しいケーブルはアップル謹製の専用品ではないので5ドルの汎用品を使うこともできる。

フロントカメラが改善され、バックカメラはiPad Proの1200万画素、4K対応になった。ただし残念ながらLidar(ライダー)は備わっていない。スピーカーも改良され横位置でステレオになる。

新しいiPad Airは10月発売で価格はもっとも安い機種(Wi-Fiのみ、最少ストレージ 64GB)が税別6万2800円から。

第8世代になった無印のiPadもApple A12シリーズのチップのコンピューティングパワーを手にしたが、デザインに大きな変更はない。これまでに5億台のiPadが販売され、伝統的デザインが十分よかったことが証明された。発売は同じく10月で価格は3万4800円から。

画像クレジット:Apple

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

日本時間9月16日午前2時開催のアップルのハードウェアイベントに期待すること

2020年が普通の年だったら、今ごろはiPhoneのイベントが開催されていただろう。しかし今年はさまざまな点で普通ではない。米国太平洋夏時間9月15日午前10時(日本時間9月16日午前2時)にアップルのハードウェアイベントが開催されることになっているが、そこでiPhone 12を目にすることはおそらくないだろう。

アップルは長らく待ち望まれていた5G端末の発売について、少なくとも部分的にはサプライチェーンの問題のために数カ月も遅れていることをかなり率直に認めている。ということは、同社はそれほど遠くない将来に別のイベントを計画していることになる。

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我々はこれまでのサムスンのイベントで見てきたように、各社は新型コロナウイルスの感染蔓延で各種イベントをバーチャルに移行したことで、より多くのイベントを開催することについて少し大胆になっているようだ。

そういった状況を踏まえると、今回のイベントでの発表が期待できるのは、Apple WatchやiPadなど、iPhone以外でアップルの屋台骨を支える製品のアップデートだろう。ほかには、サブクスリプションのバンドルサービスやAirPodsシリーズのラインアップ追加などの可能性もある。

まずは、その中でも最も有力なものから紹介していこう。

Apple Watch

画像クレジット:Brian Heater

「Time Flies」(タイムフライ)という今回のイベントのスローガンは、我々が次期Apple Watchのいくつかの情報を得ていることを前提としているかもしれない。watchOSの最新バージョンの新機能のいくつかをうまく組み合わせることで、我々が待ち望んでいるものをかなり明確に描き出すことができる。

Apple Watch Series 6は、今回のイベントの目玉になりそうだ。新モデルの最大のニュースの1つは、実はある機能がなくなることだ。Series 6では、すでに公開されているwatchOS 7の機能で明らかになっているように、フォースタッチ(感圧タッチ)がなくなる確率が高い。もちろんこれには理由があり、フォースタッチ機構をなくせば時計をスリム化するのに役立つ可能性がある。もしくはそのぶん、バッテリー容量を増やすことができる。

watchOS 7には睡眠計測機能が追加されているため、ユーザーが就寝時にもApple Watchをバッテリー切れの心配なく装着できるように、アップルはデバイスを長持ちさせる方法を見つける必要がある。ユーザーが眠っている間の省電力機能は既にいくつか搭載されているが、より大きなバッテリーを搭載することで大きな違いを生み出し、アップルが他社との競争力を維持するのに役立つだろう。

また、アップルは健康管理の改善に注力し続けるだろう。それは長らくApple Watchの成功のカギとなっている。今回期待される機能としては、SpO2(動脈血酸素飽和度)トラッキングが挙げられる。いわゆるパスルオキシメーターのように血液中の酸素レベルを追跡するスマートウォッチはすでに存在しているが、自宅で健康状態を記録することがますます重要になってくる現在、Apple Watchがこの機能を搭載してもおかしくはない。

ほかにも廉価版モデルが登場する噂もある。具体的には、199ドル前後で販売されているSeries 3を置き換えるたモデルになるようだ。この製品は、新型コロナウイルスの感染蔓延でユーザーが手ごろな価格でヘルストラッキングを始めている現在の需要にかなり応えるものになるだろう。とはいえ、廉価版となる新モデルはデザイン的にも機能的にもそれほど洗練されてはいないだろう。

iPad

画像クレジット:Apple

イベントでは新しいiPadも登場するようだ。最有力候補はiPad Airで、現行モデルは2019年3月に登場している。噂では、次期モデルのiPad Air 4は、ベゼルが大幅に縮小され、Touch IDが搭載された電源ボタンがデバイスの上部に移動するらしい。そのほかの機能としては、10.8インチディスプレイや、LightningポートからUSB-Cへの切り替えなどが考えられる。

その他

WWDCで発表されたすべてのOS、すなわちiOS、macOS、watchOS、tvOSは今週中にベータ版がリリースされるはずで、これらもイベントで紹介されるかもしれない。とはいえ、iPhoneのイベントが別途開催される可能性もあるので、なんともいえない。

またアップルは「Apple One」を発表するかもしれない。これは、Apple TV+やApple Musicなどの同社の主要なサブスクリプションサービスのいくつかをセットにした製品だ。バンドルサービスには、Apple ArcadeやApple News+のほか、iCloudストレージが追加される可能性もある。

長年噂されている「探す」アプリと相性のいい、忘れ物防止タグの「Tile」のようなデバイストラッカー「AirTags」も発表も考えられる。このハードウェアを使えば、「探す」アプリでiPhoneなどと同様に、AirTagsを装着したカギや財布などを簡単に見つけられるようになる。さらには、AirPods 3やAirPods Pro 2、そして待望のオーバーイヤーヘッドフォンのAirPods Studioが発表される可能性もある。

アップルハードウェアイベント

画像クレジット:Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

iPadOS 14ではアプリの操作性がmacOSのようになる

Apple(アップル)はiPadOSに加えるタブレット特有の新たなアップデートを発表した。iPadをラップトップの代替として使えるようにするソフトウェアを渇望しているユーザーの声に応えるものだ。

AppleのiPadアップデートは今年はかなり控えめだ。大きな変更は同社が展開するアプリがサイドバーやドロップダウンメニューを考慮してデザインされていることだ。つまらないように聞こえるが、明らかにより複雑でmacOS風のデザインをiPadにもたらし、スクリーンをこれまでよりもフル活用できるようになる。特に写真やファイル、カレンダーのアプリのデザインアップデートに注力した。

デザインの変更は、iPad操作に関してよく耳にする不満の1つを解決する。その不満とは、アプリがまだiPhone仕様になっているためにユーザーがiPadのパワーを存分に活用できないというものだ。新しいMagic Keyboardのトラックパッドのようなマルチタッチ外部入力をサポートするようになり、Appleのデザインニーズはシングルスクリーンに合う生産性を念頭に置いたインターフェースに向かっている。デベロッパーがこうした新テンプレートを使ってiPadデザインにどのように手を加えるかは今後明らかになる。

画面の操作性に関しては、iPadのホームスクリーンで使えるウィジェットが増える。現在ウィジェットは主にiPhoneで展開されていて、今後さらに多くのデベロッパーがサポートするようになることが予想される。

AppleはiPadOS発表のほとんどの時間をApple Pencilの新機能「Scribble」に費やした。ユーザーはApple Pencilでスクリーンのテキストボックスに走り書きができ、手書きの文字をすぐさまプレーンテキストに変換することもできる。つまり、ユーザーはSafari検索バーに直接書き込み、キーボードに触れることなく素早く検索できる。この機能でユーザーはよりフレキシブルに選択した入力モードを活用できる。

iPadOSは今秋リリースされる予定だ。

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カテゴリー:ソフトウェア

タグ:Apple WWDC iPad

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(翻訳:Mizoguchi)