Surface RTが値下げ―こういうニッチ・ハードウェアは成功しそうにない

私はSurface Proの大ファンだ。今まで使ったなかで最高のWindowsマシンだと思うし、持ち歩いて使うのが非常に楽しい。一方でSurfaceRTはダメ製品の典型だと思う。

今回、RTはすこし安いダメ製品になった。

この日曜日、Nvidia Tegra 3O搭載のRTが150ドル値下げされて349ドルになった。Windows 8で走るソフトのごく一部しかRTでは走らないのでそのリストは短い。Surface Proは900ドルから1000ドルの価格帯で変わりなし。

RTには今後QualcommのCPUが搭載され、LTE接続もサポートされるようだ。しかし価格の推移を見る限り、Proのセールスは好調だがRTは苦闘しているようだ。

ニッチのハードウェアにもチャンスはある。OS XはiOSと、AndroidはChrome OSと共存できる。これらのOSの間には明確な役割分担があるからだ。しかしRTというのはWindowsの機能制限版、いわばWindows Liteで、ほとんどのユーザーにとって受け入れがたい製品だ。

Windows PhoneベースのタブレットならWindows 8と共存することは可能だろう。しかしRTはそのブランド戦略と機能、ことにWindows 8との互換性の欠如という問題のせいで多くの消費者に受け入れにくいものとなっていると思う。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Microsoftの学生コンペImagine Cup 2013, 優勝者決まる(本選には世界71か国から参加)

ロシアのサンクトペテルブルグで行われたMicrosoft主催の学生テクノロジコンペImagine Cup 2013はさきほど、Dr. WhoのMatt Smithがホストを努める元気活発な授賞式で幕を閉じた。今年は、「世界市民」、「ゲーム」、「イノベーション」という三つのカテゴリーでそれぞれ優勝者が決まり、賞金5万ドルずつが贈られた。優勝チームの国籍は、イギリス、ポルトガル、そしてオーストリアである。各カテゴリーの二位三位はそれぞれ、1万ドルと5千ドルを勝ち取った。

「世界市民(World Citizenship)」賞は、患者の血液型を迅速安価に調べられるシステムを作ったポルトガルのAna Ferrazがもらった。台湾のOmni-Hearing Solutionが二位、オーストラリアのConfufish Royaleが三位だった。

「ゲーム」のカテゴリーでは、オーストリアのZeppelin Studioが、パズルのプラットホームScheinで優勝した。インドネシアのSolite Studiosが二位、フランスのBanzai Lightningが三位になった。

「イノベーション」部門ではイギリスのColinkedが、BluetoothやWi-Fiで即席にソーシャルネットワークを作れる携帯アプリSoundSYNKで優勝した。スロベニアのDORAが二位、タイのMYRAが三位だった。

さらに、Microsoftの技術に絞った三つの特別賞があり、まずWindows Phone Challenge賞はWindows Phone用の音声によるリマインダーを作ったシンガポールのvSoft Studioが獲得した。さらに Windows Azure Challenge賞(とMail.ru賞)はインドのY-Notsへ、Windows 8 App Challenge賞はイタリアのTeamNameExceptionへ行った。

また女性の権利と保護のために国連が設けたUN Women Award賞は、携帯を補聴器として使う台湾のOmni-Hearing Solutionと、マラリア検査技術を開発したウガンダのCode 8が取得した。

主催者Microsoftと協賛のKFC、Samsung、Facebook、Mail.ruを合わせると今年の賞金総額は100万ドルを超えた。各地の予選には25000名あまりの学生が参加し、71か国87チーム309名の学生がロシアで行われる本選に招かれた。このコンペは、今年で11回目である。来年のImagine Cupは、ワシントン州レドモンドのMicrosoft本社で本選が行われる。

昨年までのこのイベントでは、「世界市民」と「ゲーム」に力点が置かれていた。しかし今年は「イノベーション」部門が加わり、参加者や作品の幅が広がった。作品は、必ずしも“人類社会の改善向上”に寄与するものでなくても、よくなったのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Microsoft、過去最大の組織再編―セクショナリズムを一掃し、ハードウェアとクラウド・サービスに集中へ

今日(米国時間7/11)、Microsoftは過去最大の組織再編を実施した。CEOのスティーブ・バルマーが発表した人事異動では、事業部門の長が全員、新しい職に就くこととなった。また相当の規模の研究組織のトップもOS、エンタテインメント、モバイル事業の強化のためにそれらの部門に異動を命じられた。

Windows Phone事業部の責任、テリー・マイヤーソンはOS部門の長に異動。Windows部門の共同責任者で次期CEOの有力候補と目されるジュリー・ラーソン-グリーンはエンタテインメント事業部へ、Bing始め各種オンライン・サービスの担当だったチー・ルーはアプリケーションとサービス・エンジニアリング担当にそれぞれ異動となった。

これほどの大規模な組織再編はMicrosoftの歴史上かつて例がないものの、意外ではない。

バルマーがOSの天才でSurfaceの開発を成功させたスティーブ・シノフスキーを切ったことは、近く大きな動きがありそうだと予想させた。シノフスキーはWindows事業部に絶対的に君臨しており、他の事業部との合併を拒否したのだという。シノフスキーの辞職後、バルマーは「全社的意思統一と事業部間の協力が必要とされている」という長文のメモを社内に回した。

Microsoftでチーフ・ソフトウェア・アーキテクトを務めたレイ・オジーは在職当時、プロダクトを統合するアプローチを強く主張したがバルマーはWindows部門の独立を主張するシノフスキーにに軍配を上げた、オジーは世界はポストPC時代に向かっていると考え、クラウド・サービスを主唱、Microsoftの主要なクラウド・サービス、Windows Azureの開発を強力に推進した。AzureはポストPC時代のMicrosoftの生き残りのカギを握る存在になっている。今や主要な対立は「パソコン対それ以外」ではなく「パソコン対クラウド」になっている。

MicrosoftはモバイルではAppleとSamsungに脅かされ、クラウド・アプリとOSではGoogleの後塵を拝している。今回の組織再編は、エンタテインメント分野などでの今までの強みを生かしながらクラウド分野での競争力を抜本的に強化する必要があることを認識したものだろう。またユーザーのオンライン化が進むにつれてMS Officeの売上が減少する可能性に対処しなければならない。

Microsoftはこうした主要な事業部門に惜しみなく人材を投入することとした。たとえば研究部門の責任者、Rick Rashidは古巣のOS部門に戻され、Windowsのイノベーションの推進を求められている。

Microsoftは近年、多くの戦略的分野でライバルに水をあけられてきたが、やっと巻き返しに出ることになったもようだ。モバイル戦略の失敗からiOSとAndroidの独走を許し、Windows 8の人気もいま一つ盛り上がらない。コンピューティング環境がデスクトップからモバイルにますます移行していくトレンドを考えると、Microsoftの将来にとってはWindows OSよりむしろWindows Phoneのほうが影響が大きいかもしれない。ところがIDCの統計によると、今年の第1四半期のスマートフォン市場におけるシェアはAndroidが75%、iOSが17.3%であるのに対してWindows Phoneは3.2%と一桁台に留まった。

MicrosoftのOSのモバイル化はそれでなくても遅れて2010年になってWindows Phone 7として登場したが、2012年の秋にはカーネルを一新してWindowsPhone 8としたため、初期のユーザーはアップデートできないプラットフォームに取り残される破目になった。

こうした過去の混乱をふまえてバルマーは社内向けメモで「われわれは事業部の寄せ集めであってはならない。われわれはワン・カンパニーの元に結集しなければならない」と檄を飛ばした。

バルマーはこれに続けて「一連のデバイスのファミリー、サービスのファミリーを構築する戦略が求められている。…ゲームから業務までユーザーの一日の生活をすべてまかなえるような決定的に有効なデバイス・ファミリーの提供に成功したテクノロジー企業はまだどこにも存在しない。ここにはソフトウェア、ハードウェア、サービスのすべてにわたって膨大なイノベーションの余地とチャンスがある」と述べている。

バルマーが特に名指したデバイスの「ファミリー」は、「スマートフォン、タブレット、パソコン、〔タブレットとクラムシェルの双方に使えるウルトラブック〕2-in-1、テレビのセットトップボックス」などだ。このうちではMicrosoftはSurfaceタブレットの開発には成功しているものの、スマートフォンではOEM(主としてNokia)に頼っている。Surface同様にスマートフォンを始めとするデバイスを独自に開発、販売する必要性がますます高まっている。

ここでMicrosoftの新組織とその責任者をリストアップしておこう。

  • Terry Myers:すべてのデバイスのOS
  • Qi-Lu:アプリケーションとサービス
  • Julie Larson-Green:Xboxをはじめとするコンシューマ・デバイス
  • Satya Nadella:クラウド・サービス
  • Kirill Tatarinov:ダイナミクス、新テクノロジー
  • Eric Rudder:調査研究
  • Tami Reller:マーケティング
  • COO:Kevin Turner
  • Tony Bates:事業開発(M&A)

Microsoftは企業内官僚制と事業部間のライバル意識の強さで有名だ。バルマーは「ワン・マイクロソフト」を合言葉にこの長年の欠陥の一掃についに乗り出したようだ。「ワン・マイクロソフト」はこれまでのような単なるスローガンから組織再編の原理に高められることになった。今日の発表はおそらく第一歩であり、ここ数ヶ月さらに改革が続くものと思われる。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


養蜂家にクラウドとWebから巣箱の状況データを提供するBeezinga

養蜂業はテクノロジと無縁なようだが、でもそれは合衆国だけでも年商3億ドル近いビッグビジネスであり、また世界の養蜂業には今、テクノロジが徐々に浸透しつつある。Microsoftの学生テクノロジコンペImagine Cupにスロベニアから出場してファイナリストに残ったBeezingaは、標準的な巣箱のためのセンサシステムを作った(養蜂用のミツバチの巣箱には世界標準がある)。そのシステムは巣箱の中の温度や湿度を計り、蜜の生産量を(重量で)調べ、また巣箱の入り口に設置したビデオカメラにより蜂たちの活動をモニタする。

概算の設置費用は巣箱一箱あたり40ドルだ。この値段なら養蜂企業が喜んで払う額だろう、とBeezingaは考えている。システムは目下ベータテスト中だが、本番では会費制を考えている。

巣箱のデータは一定の時間間隔でBeezingaのクラウドに送られ、養蜂家たちはWeb上で蜂たちの状況を知る。また、異状が検出されたらリアルタイムでアラートが行く。遠隔地の養蜂家には携帯電話のデータ接続を使ってデータを送る(一台の携帯で複数の巣箱に対応)。また電話などを使わずに、巣箱から直接、無線でデータが送られる方式も、検討中だ。

Beezingaがクールなのは、データの分析をするだけでなく、巣箱がほかの蜂から攻撃された時の防御ができることだ。システムは音声を分析することによって攻撃を感知し、巣箱の前面に水を噴霧して敵を撃退する。たいていの場合、それぐらいで十分だそうだ。

蜂たちの集団崩壊という異常事に関してBeezingaは、世界中の養蜂家からデータを集めて大きなデータベースを作り、研究者たちに蜂の生態に関する資料として提供したい、と言っている。

Imagine Cupのファイナルは今サンクトペテルブルグで行われている。すでにプレゼンは昨日(米国時間7/11)までの2日間で完了し、明日の発表を待つのみだ。今年の優勝/入賞者は、どこの国の学生たちだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Microsoftはタッチに賭けている。デスクトップは付け足し

Windows 8.1プレビュー版が公開されてから1週間以上が過ぎた。このアップデートの呼び物の一つがスタートボタン(スタートメニューではない)の復活だった。そして、新バージョンをしばらく使ってみた結果、そんな妥協はしたものの、古きデスクトップは帰ってこないことが明らかになった。Windows 8.1に新しく加わったお楽しみは、すべてタッチスクリーン端末向けで、オペレーティングシステムのMetro/Windows 8側で起きている。今やデスクトップはMicrosoftにとって付け足しである。

ビジネスユーザーのためには、MicrosoftはWindows 8.1に主としてデスクトップに関連する新たなセキュリティー機能を追加したが、それ以外にデスクトップにかかわる新しいツールで面白そうなものは一つもない。新しい検索ツールは非常によくできているが、Windows 8モードで動作する。Xbox Musicには新しくラジオモードが加わったが、Metroスタイルのアプリでのみ利用できる。同じことは、Kinect風ハンズフリーモードの付いたレシピアプリや、SkyDrive、リーディングリスト、改善されたメールアプリ、さらにはタッチベースのWindows 8モードではUIが多少変更されたが、デスクトップでは変わらないInternet Explorer 11にもあてはまる。加えて、待ち望まれたマルチスクリーン設定はすべてWindows 8アプリを動かしているユーザーのためだ。

実際、Windows 8.1を使えば使うほど、私はタブレットOSにデスクトップが押し込まれたように感じる。最初のバージョンでは、逆に感じていた。今やWindows 8アプリは好きなようにリサイズして複数のアプリを同時に使える。Windows 8はフル装備のタブレットOSとして、アプリが揃えばAppleやGoogleと戦えるところまで来ている。

例えば、メールのリンクをクリックした時に、メールとブラウザーが並んで表示されるのは理にかなっており、何度か試すと自然に感じられる。Skype等一部のアプリは、この新しいモードに対応するアップデートがなされていないが、8.1が正式公開されるまでにアップデートされるはずだ。

また、Microsoftは近々Windows 8用のOfficeアプリも公開予定なので、多くのビジネスユーザーにとってデスクトップへの切り替えは不要になるだろう。

タブレットモードの一つの問題は、例えば、左右にすばやくスワイプするとバックグラウンドで動作中のアプリ一覧が出てくるなど、ジェスチャーの多くが直感的でないことだ(しかも、これは2つのアプリを並べて表示する唯一の方法でもある)。しかし、慣れてしまえば、Windows 8を近代的タブレットOSのように感じられるようになる。

そして時折デスクトップに来ると、今やこれはレガシーモードなのだと思い知る。まるでMicrosoftにとってデスクトップは付け足しで、今後数年のうちにわれわれ全員がタッチスクリーンに移行することに賭けているかのようだ。スタートボタンを除き、Windows 8.1で事実上デスクトップは手を加えられていない。以前は何か意味のあることをするたびにデスクトップセッションに切り替わっていた設定メニューさえ、今はWindows 8アプリだ。Microsoftは当分デスクトップのサポートを続けなければならない。しかし今後益々、われわれの付き合うオペレーティングシステムは二重人格ではなくなり、一方が非常に優位な側に立ち、他方が便乗させてもらうものになりそうだ。

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(翻訳:Nob Takahashi)


BingがプラットホームになるとMicrosoftはGoogleと互角にデベロッパの取り合いができるかも

Microsoftはプラットホームの作り方を知っているから、同社が新しいのを発表したときには、見てみる価値がある。先週までMicrosoftは、BingはGoogleと競合する検索エンジンだ、と人びとに思わせてきたが、しかし今年のデベロッパカンファレンスBuildでは、Bingは今やデベロッパプラットホームでもある、という驚きの発表を行った。そしてMicrosoftは今、BingのEntity API、音声認識、OCR、翻訳、などなどの機能やツールをサードパーティアプリケーションのデベロッパに公開している。既存のMaps APIも、それらの一環として含まれるようになる。

Microsoftはこれらのサービスを説明するとき、“インテリジェントなファブリック(fabric, 構造物)”である、という言い方をする。それを使って構築したプロダクトは、“人びとが世界の知識や彼らを取り巻く環境と、より人間的なやり方で対話することを助ける”、のだそうだ。これらの能力の一部はすでにMicrosoftが内部で利用してきたものだが、これからは外部にも公開されるのだ。

Entity APIが、Bingのサービスのハイライトだ。Microsoftがうまくやれば、このAPIの存在によってBingは、自分のアプリケーションが現実世界に関する情報に容易にアクセスできるようにしたい、と考えているデベロッパが、必ず利用するプラットホームになる。Bingの先進的なSatori Entityエンジン…GoogleのKnowledge Graph(知識グラフ)に相当…のすべてがEntity APIから利用できるわけではないが(Entity APIのローンチの日程も未発表)、同社によればこのAPIによってデベロッパは(自分のアプリケーションを通じ)、“世界の発見や世界との対話をこれまでよりも高速かつ容易にできるようにユーザの能力を高める”、というのだ。

Microsoftの検索担当部長Stefan Weitzによると、これらのデベロッパツールの一般公開については内部で議論があった。でも一般公開派がその議論に勝ったことは、たいへん良い兆候である、と。

ただし、今のところの制約は、Bingの各サービスが特定のクライアント環境に依存していることだ…それは、Windows 8,と8.1とXbox Oneである。短期的にはこれは、Windows 8向けの良いアプリケーション(Metroなアプリケーション)を増やす、という効果があるかもしれない。でも本格的に広くデベロッパコミュニティに使ってもらいたいのなら、なるべく早く特定クライアント環境依存から卒業すべきだ。

Microsoft自身も、デベロッパプラットホームではGoogleなどとの競争が厳しいことを、よく知っている。Googleはなにしろ、デベロッパ向けのサービスがすごく豊富だ。MicrosoftにはAzure、Visual Studio、Team Foundationなどとそれらのまわりのエコシステムがあるが、でも地図や音声認識や検索ツールなどのAPIサービスを求めるデベロッパのほとんどが、今のところMicrosoftへは歩を向けない。

でも、Bingのプラットホームとしての育成にMicrosoftが今後ますます本気を見せてきたら、それがデベロッパの心の中で他と互角な選択肢の一つとして位置付く機会が、そのうち訪れるかもしれない。

〔関連記事。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Windows Azureにもやっとオートスケール機能–‘エラスティック’になれるかな

Microsoftは今日(米国時間6/27)、同社のデベロッパカンファレンスBuildで、クラウドコンピューティングプラットホームAzureにオートスケーリングを導入する、と発表した。これは、Azure上のサーバの容量を、必要に応じて自動的にスケールする機能だ。ただしユーザはあらかじめ、サーバの最少数と最大数を決めておく。

この機能を有効にするには、Azureの管理コンソールで数か所クリックし、またサーバに関しては台数のほかに、各サーバのCPUの負荷を指定できる。すると、アプリケーションが大きなCPUパワーを必要とするようになったり、ストレージのキューがとても長くなった場合には、新たなサーバが立ち上がる。

オートスケーリングはアプリケーションの応答性を良くするだけでなく、費用節減効果もある。つまり、最初から多めのサーバ容量を契約しなくてもすむのだ。この機能を有効にすると、その場合のおおまかな節約額をAzureは教えてくれる。

このAutoscale for Windows Azure機能は目下プレビュー段階で、一定期間無料で利用できる。

ただし忘れてならないのは、Amazon Web ServicesのコンピューティングプラットホームEC2(エラスティックコンピュートクラウド)*には相当前からオートスケール機能があることだ。だからクラウドコンピューティングに遅れて参入したMicrosoftにとってこれは、追いつくための努力の一環である。〔* Amazon Elastic Compute Cloud…最後に’C'が“2つ”ある。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Bingの検索APIだけでなく汎用アプリケーションフレームワーク的APIもデベロッパに公開

【抄訳】

今日(米国時間6/26)行われたMicrosoftのデベロッパカンファレンスBuildで、 同社は、Bingの先進的な機能のかなりの部分をデベロッパに公開する、と発表した。Microsoftの企業担当VP Gurdeep Singh Pallによると、もちろんデベロッパたちはすでにBingのAPIを使っているが、しかしこれからは、Bingのエンティティ(データ本体)、知識、ナチュラルなユーザインタフェイス、光学文字認識3D化地図と俯瞰的視覚化、などの高度な(そして検索に限定されない一般的な)機能も利用できる。

Singh Pallによると、これらの高度機能はもちろん前からすでにBing内部では使われている。しかし、“うちだけでもこれだけのことができるのだから、これらをサードパーティの手に渡したらすごいものが生まれるだろう”、ということだ。

彼によると、Bingは優れた検索エンジンであるだけでなく、そこに込められた個々の能力がすばらしい。今のBingはユーザの意図や、Web上の無構造なコンテンツ、デベロッパがその処理をゼロから実装するのは困難なクェリやデータタイプなども理解できる。

彼らはかねてから、Bingの高度機能を使えば、検索以外の多様なアプリケーションにおいても、価値ある仕事ができる、と信じていた。これらの機能を使えばすばらしい体験を作り出せる、と彼らは長年感じていたのだ。

たとえばBingが持つWebインデクス(インデクシングの結果)や、レレバンスエンジン(relevance engine, 関係性・適切性判断エンジン)、知識ベース、エンティティの理解能力、などなどにデベロッパはアクセスできる。また、音声認識をはじめとする、ナチュラルなユーザインタフェイスという概念および技術にもBingのチームは取り組んできた。このインタフェイスも、これからはデベロッパが自分のアプリケーションに利用できるのだ。

以下は、これからデベロッパが利用できる機能の完全なリストだ:

【後略(ドキュメンテーション丸写しなので)】

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


残念―Windows 8.1のスタートボタンは本当のスタートボタンではなかった

今日(米国時間6/26)の報道には「MicrosoftがWindows 8にスタートボタンを戻した!」という 大見出しが踊っている。ジャジャーン! バンザイ! しかしうっかり信じてはいけない。

Windows 8.1のスタートボタンはわれわれのよく知る以前のスタートボタンではない。 新しいスタートボタンは複数階層をサポートするフル機能のアプリケーション・ランチャーではないのだ。Windows 8.1のスタートボタンは小さいカラフルなアイコンが並ぶ画面、つまりスタートメニューへのショートカットに過ぎない。

新スタートボタンを右クリックするとアプリケーションのリスト・メニューが表示される。これには電源管理、イベント・ビュー、ディスク管理Windowsシェルなどの管理ツールが並ぶ。カスタマイズはできない。

要するにMicrosoftはスタートメニューへのショートカットをスタートボタンと呼んでいる。これではWindows 8の本質的な欠陥の改善にはなっていない。

Windows 8でMicrosoftはユーザー・インタフェースを劇的に変更した。スタートボタンの代わりにアイコンをフルスクリーンに並べたスタートメニューが用意された。これは間違いなく生産性を低下させる改悪だった。新しいアプリを起動するために、いちいち現在の画面を離れてフルスクリーンのメニューを開かねばならない。ノートパソコンでは特に苛立たしいUIだ。

Microsoftは対象となるデバイスとしてタブレットに重心を移そうとしている。 たしかにMetroベースのアプリをタブレットで動作させるならWindows8のUIは適切だ。

しかしわれわれ情報を生産するユーザーにはクラシックなデスクトップが決定的に重要だ。デスクトップでアプリの起動のたびにフルスクリーンのスタートメニューを開かねばならないのはまったくの時間の無駄だ。スタートメニューのショートカットを作ったぐらいではたいした改良になっていない。

私はWindows 8.1でMicrosoftがスタートボタンを復活させるというニュースを聞いてからずっと以前のスタートボタンが復活するものと楽しみにしていた。 Windows 8はよくできたOSでWindows 7よりあらゆる面で機能がはっきり向上している。しかし使い始めてから6ヶ月になるが、仕事の中心はやはりデスクトップだ。そしてスタートスクリーンを見るたびに苛々している。

Windows 8のスタートスクリーンのカスタマイズ・アプリを開発するスタートアップが現れないものだろうか。以前のWindowsのスタートボタンの機能のすべてを魔法のように実現するプラグインならなおよい。私自身で開発を試みたがすぐに飛んでもなく手間を食う作業と分かって諦めた。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Microsoft、Bing For Schoolsをアナウンス。より安全かつ効果的な検索環境提供を目指す

Bingは、学校生徒世代に対するアピール力を高めようとしているようだ。発表されたのは、K-12を対象とするオプトインプログラムで、名前をBing For Schoolsという。年内にもスタートさせる予定となっている。Bingを学校向けに特化したもので、検索結果に広告は一切表示されず、プライバシー面での強化がなされており、そしてアダルトコンテンツのフィルタリングをより厳格にしたSafeSearchを提供する。

繰り返しになるが、Bing For Schoolsは学校側からの申込みによってオプトインにより適用される。つまり都合に応じて標準の、学校用に調整されていないBingを利用することもできるわけだ。オプトインに申し込むことにより、当該学校のネットワークを利用してBing.comにアクセスすると、生徒たちの利用に適した形に調整されたBingにアクセスするようになる。申し込むことにより、無料で利用することができる。

このBing For Schoolsプログラムで他にどのような内容が提供されるのかについて、まだ詳細は明らかになっていない(詳細は現在詰めているところであるようだ)。しかし学業目的でコンピューターを触っているときに、広告で気を逸らしてしまったり、あるいは情報を勝手に渡されてしまったりすることを防ぐことも主目的のひとつとしている。SafeSearch機能も厳格化し、利用に際して簡単に設定を変えたりできないようにもする。もちろん、既存サービスの「制限」を持ち込むことのみがプログラムの目的であるわけではない。クリティカルシンキングのための、デジタルリテラシーについての教材なども提供していこうと考えているそうだ。

プログラムは無料で提供され、何かしらの見返りを予定するものではない。ただ、このプログラムを利用してもらえれば、アメリカの教育機関におけるBingの利用率が高まることに繋がる可能性もあるわけだ。生徒たちをBingに親しませることにより、プログラムから離れてもBing等、マイクロソフトの提供する環境を使い続けるようになる可能性もある。つまり、このBing For Schoolsは、未来を担う子供たちへの投資となるという意味だけでなく、Bingを運営するMicrosoftにとっての投資となる意味もあるわけだ。

BingのライバルであるGoogleも、「Search Education」や「Google Scholar」など、さまざまな教育関連ツールを提供している。しかし今回発表されたMicrosoftの取り組みは、より早い段階からの学生取り込みに寄与することができるかもしれない。

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(翻訳:Maeda, H)


Bingのソーシャル検索機能がますます人間化–各分野の専門家チームが独自の結果リストを提示

Microsoftが今日(米国時間6/1)、検索エンジンBingの新しい実験を発表した。それは、いつもの、Bingがよくやる、ソーシャル検索やアルゴリズムのアップデートではなく、Bing Boards〔仮訳: Bing評議会(複数形)〕と呼ばれるその取り組みは、特定の検索に対して人が選別校閲した結果(curated results)を返すことがねらいだ。その結果リストは、Microsoftによれば、“画像やビデオやリンクのヴィジュアルな集まりであり、ひとつのユニークな視点からのストーリーを語る”。

今Microsoftは、食品とライフスタイル関連のブロガーやエキスパートや社会的な影響力のあるカリスマ的な人たちを少人数集めて、この評議会を構成している。実験がうまくいけば、ほかのトピックにも広げていく。しかし今のところMicrosoftは、その校閲者たちがどうやって結果のリストを作るのかに関しては沈黙している。

下の検索例では、右のサイドバーにBing Boardが出ている。


〔証明用写真を撮るときに使う背景、というクェリに対して、エキスパートのおばちゃんがアイデアを提供している。〕

ぼくは最初ソーシャル検索とは無関係と感じたが、でもBingのチームは、この実験はこれまでやってきたソーシャル検索の延長だ、と言っている。“これまでも友だちや有名なエキスパートからの知識を導入してきたが、今度のやり方では、その分野の熱心な人たちが高度に専門的なコンテンツを検索のために作ってくれる”、Bing Experiences Program Manager(Bing体験事業部長)のChen Fangが、こう書いている。

Fangによれば、専門家たちが作る検索結果はBingの通常のWeb検索の結果に対する、あくまでも補完であり、今後はBingの中央カラムに表示される。

Microsoftは今後も、Bingに対し、いろいろなソーシャル的コミュニティ的実験をやっていくという。Googleはソーシャル検索を軽視しているようだが、Bingは今なお、検索のソーシャルな側面に力を入れている。競合サービスとは完全に異なる特性を確立するための努力の一環として、今やますます、この方面に大きな賭け金を積んでいるようだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


グッドジョブ、Microsoft!―Xbox Oneの我慢ならないDRMの大部分を撤回

Xbox One発表の反響Microsoftの期待どおりではなかった。ゲーマーは新システム自体は気に入ったが、新たに課せられた数々の不愉快な制限に強く反発した。しかしMicrosoftはその声に耳を傾けることにしたようだ。Microsoftは今日、もっとも馬鹿げた制限のいくつかを撤回した。MSにとってもゲーマーにとっても非常に良いことだ。

さすがにゲーマーの激しい怒りは無視できなかったようだ。根深い怒りはあらゆるところに渦巻いていた。全国ネットの朝のニュースショーでさえXbox Oneの奇妙なDRMが話題になったくらいだ。

今回の改定で、毎日のインターネット接続チェックは無くなった。非常に狭い区域を指定するリージョン・ロックも無くなった。従来どおり、ゲームの貸し借り、売買もできるようになった。良かれ悪しかれ、条件はほぼ元通りになった。

この措置でSonyとNintendoに足元を掘り崩される(事実それは始まっていた)危険を防ぐことができるだろう。Sonyが「PS4にはXbox Oneのような常時インターネット接続やその他のDRM制限を課していない」と指摘し続けるのはMicrosoftにとって最悪のシナリオだった。

とはいえ、Microsoftはこれまでユーザーの声に耳を傾けないことで有名だったからこの柔軟な反応は意外だ。Windows 8でもindows VistaでもXbox LiveでもMSは「ユーザーがどう言おうと知ったことではない」という態度を取ってきた。いかに馬鹿馬鹿しいDRM制限が課されようと、一般の消費者はやはりXboxOneを買っただろう。「ゲーマーのフォーラムやTwitterはいかに騒々しかろうとXbox Oneのターゲットのごく一部を代表するに過ぎない、クリスマス商戦に入ればDRMに関する議論も鎮静する」と考えることもできたはずだ。

Xbox Oneは依然としてKinectについては常時インターネット接続が必要だ。また今日の撤回でいくつかの新機能も同時に失われた。しかしMicrosoftが素早くユーザーの声に対応する姿勢を見せたことは高く評価できる。これは新しいトレンドになるのだろうか? ゲーマーはXbox Oneそのものは大いに気に入っていたが、Microsoftが気に入ることをわざわざ不可能にする制限を課していた。しかし今回の決定で状況はかなり好転したと思う。

[画像 Flickr/dalvenjah]

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


MicrosoftはNokia買収の一歩手前まで行っていた(WSJ報道)

MicrosoftとNokiaはここ数年かなり親密で、フィンランド企業がスマートフォンのOSにWindows Phoneを選んだことを発表をした時点で、多くの人々がこれを買収の前兆だろうと憶測した。そして、Wall Street Journalによると、実際その方向に話は進んでいたようだが、その後交渉は決裂した。

WSJによると、交渉は今月に入るまで行われれていたが、もはや復活が不可能な段階まで関係は破綻しているという。つまり、MicrokiaもNokrosoftも当分ないという意味だ。それまでの交渉は非常に順調だったが、両社が直面する財務的問題のために結局物別れに終った。

Microsoftが求愛をやめたと記事は伝えている。Nokiaは苦戦を続けており、Windows Phone計画も同社の継続的損失を建て直すには至らなかった。Nokiaは前四半期にアナリスト予測に届かず、経常損失も出したが、1年前よりはずっと小さかった。しかし、同社の端末売上は前期、前年同期いずれからも減少していた。

基本的にMicrosoftとNokiaの交際期間は長かったため、Microsoftにはこの結婚が両者いずれにも幸運をもたらさないであろうことを知る十分な時間があった。実際、ここ数年のNokiaの業績とモバイルプラットフォームとしてのWindows Phoneの実態を知る者にとっては、合併が検討されていたことも、それが破談になったことも、どちらも驚くに値しないだろう。

残るはMicrosoftがスマートフォンで次に何をするかだ。果たしてSurface方式に自社独自のプロジェクトを立ち上げて活生化させるのか、それともモバイルOSに火をつけてくれそうなNokia以外の誰かを見つけるのだろうか。

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(翻訳:Nob Takahashi)


E3の勝者は誰だったか?

とにかく、ビッグスリーの姿勢は分かった。Nintendoは、あくまでもWii Uで行くつもりだ。Microsoftは499ドルの常時接続ボックスを発表した。Sonyはユーザがゲームを共有したり売ることもできる399ドルの製品で、ゲーマーの歓心を買おうとした。どれもHDで、マルチプレーヤーで、それにしかも、ゲーム専用機の時代は終わったと感じさせる。今回の専用機はどれも、ハイエンドPCの延長のような製品で、しかもその寿命は、4Kの普及が始まるまでの約7年だ。

これぞまさに、Lion Kingの言うcircle of lifeであります。

でも残念ながら、昔からのゲーマーたちはついに、専用機陣営の策略を見破りつつあるのではないか。たしかに、どのメーカーのどの機種も数百万台は売れる。11月にXbox OneやPS4が発売されたら、全国のBest Buyに行列ができる。Nintendoの人気上位ゲームはすべて売り切れになり、ちょっとがっかりなWii Uも、ゲームの世界に入ったばかりの子どもたちと、昔を懐かしむ大人たちに売れるだろう。…という意味ではE3は、特定の勝者が決まる場ではなかった。伝説が何を言おうとも

では、何が次世代のゲームか? それが、Ouyaのような“カジュアルゲーム機”や、一過性の流行で終わるZynga流のゲームでないことは、明らかだ。だったら、何がゲームの未来を担うのか?

ゲームはモバイルへ?

携帯電話はある時点で手持ち型のゲーム機を駆逐し、家庭用ゲーム機と横並びで競合するだろう。モバイルゲームは人をやみつきにさせるが、集中力と強力なコントロールを要するゲームが持つ、深さや複雑さはない。RPGのようないわゆる“深い”ゲームは、キーボードやコントローラがないとこれからも無理だろう。メディアはメッセージだ、とは言えない世界だ。Kingdom RushやAngry Birdsのようなゲームはデバイスに依存し、ある意味ではデバイスと一体化している。もっと複雑なゲームはパッシブなスクリーンと一体化し、人はそれを手の動きでコントロールする。だから、ゲームの上で生じている動きと、プレーヤーの人体の動きが、互いに無関係だ。

モバイルのゲームでリッチな世界を作りだすことはできない、と言うつもりはないけど、相当難しいことは確かだ。モバイルゲーマーの注意力を長時間掴むことは、Civilization Revolutionなどが証明しているように、できないことではない。でも、携帯電話というインタフェイスそのものが、OblivionやBioshockなどに代表されるような、複雑な長編アドベンチャーには向いていない。しかしハードウェアとソフトウェアが今後もっと進化したら、十分な能力を持つインタフェイスが得られるかもしれない。専用機メーカーもその点を無視してはいないと思うが、でも自分でモバイルのプラットホーム…Nintendoスマホ?…を開発するぐらいの根性がなければ、モバイルという大きな機会をつかみ取れないだろう。

Oculus Rift?

Oculus Riftのようなプロダクトは、ゲームにおける本当のイノベーションの例だ。開発キットはまだ未完成で、装着してもしっくりしないが、たしかにイマーシブ(immersive, 没入型)の未来を予兆している。かつてのKinectのようなギミックではあるけれども、ゲームの体験をものすごく拡大する。この製品にかぎらず一般的に、ヘッドセットはとても大きな、新しいゲーム世界をもたらすだろう。

でも、ヘッドセットや足踏み装置そのものが未来ではない。未来は、強力なコンテンツが多くのファンの心を掴むところから生まれる。超大作主義のゲームメーカーたちも、そんな新しいタイプのゲームには挑戦していない。LEGO City UndercoverBioshock Infiniteは、そんな今のゲームメーカーたちの、ベストとワーストの典型例だ。LEGO…はPixarの子ども向け映画の楽しさと、(ちょっとわざとらしいが)強力なストーリーがペアになっている。Bioshock Infiniteにも、良質な映画のような魅力と、Hudson River Schoolの絵画のような壮麗さがある。どちらにもそれなりの欠点はあるが、しかし別の意味では、そのジャンルの完璧な作例だ。Oculus Riftの助けを借りなくても、それ自身で輝いている。

ゲーム専用機メーカはどうなる?

上で、大物たちは誰一人としてE3の勝者ではないと示唆したが、少なくともSonyとNintendoは、世界の人びとの関心を集めた。つまり両社は、物理的なメディアプレーヤーとしてのゲーム専用機が持つべき価値を、理解していた。どういうことか。

Steam(やもしかしてOnLive)のようなゲームサービスが、専用機の対極にいる。彼らの理解ではゲームとは、プレーヤーとモニタが一対一で向かい合う孤独な営みだ。Microsoftは、このような体験をそのまま専用機で実現できる、と考えた。しかしそれは違う。ゲーム専用機では、いくつかの理由により、物理メディアが重要だ。物理メディアは徐々に影が薄くなりつつあるとはいえ、まだまだ全世界的に健在だ。

第一に、物理メディアは、安定したインターネット接続がなくてもゲームができるから人気がある。友だち間の売り買いや、中古の販売もある。海賊行為も、ある程度できる。これらすべて、良いことも悪いこともひっくるめて、リビングルームのゲーム機の重要な要素だ。海賊行為も、物理メディアでないと意味のない国や地域がまだ多い。インターネットがなければ、ゲームのダウンロードはできない。純正品は高価すぎて手が出ない、という人びとが、全世界的にはとても多いのだ。ここは、海賊行為をほめるのではなく、物理メディアの重要な特質を理解してもらうために書いている。

ダウンロードされるコンテンツは孤独な成熟したゲーム向け、そしてその対極に、価格が重要な要素となる物理メディアがある。成功するゲームやその提供形式は、この両方に正しく対応しなければならない。Microsoftは、戦略を手直しして全世界的なマスマーケットにも対応するだろうか? それとも、批判や怒りの声を無視して、成熟した、価格をあまり意識しないゲーマーだけを対象にし続けるのだろうか? その層は、自分のディスクを友だちの家へ持っていって一緒に遊ぶ、という遊び方はしない。

ゲーム専用機は、ゲーマーでない人たちの生活にも影響を与える。家庭にDVDが普及したのは部分的にはPS2のおかげだし、Blu-rayはPS3からだ。ストリーミングビデオやチャットなども、ゲーム機がきっかけという家庭が多いだろう。テレビ受像機の買い換えの動機も。ゲームは、ビジネス以前に一大産業であり、その動向に全世界の何百万人もの人びとの生活の形が従う。

という意味で、ゲームは偉大だ。ゲームで遊ぶ大衆は今なお、すばらしいゲーム作品に時間とエネルギーを注ぎ込み、そしてゲームはますます、没入型で、エキサイティングで、そしてアートみたいになっていく。だから、特定の一機種をE3の勝者と呼ぶことは、より対話性を増し、映画に代わる支配的(そして対話的)大衆娯楽になるかもしれない未来のゲームに対し、目を閉ざすことになる。ゲーマーは不平を言うことが好きだが、でも、画面の予約ボタンを点灯させたり、GameStopの店頭の列に並ぶときには、心の中は期待と興奮でいっぱいだ。E3の巨人たちも、そのことを暗黙裡に知っており、ゲームの輝かしい未来を示唆する技術や製品は、今すでに十分たくさんある。

[Oculus Riftの写真は: hortontより。]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Microsoft、Windows 8/RT向けにカメラを利用できる拡張現実翻訳アプリを発表―日本語など40ヶ国語をサポート

今日(米国時間6/6)、MicrosoftはBing Translator app for Windowsリリースした(Windows 8/RT)。MicrosoftがWindows Phone向け翻訳アプリをカメラ入力まで含めて完全にデスクトップに移植したのは称賛されるべきだろう。Bing TranslatorはWindowsのモダンUI/Metroモードのみ対応している。対象言語は40ヶ国語で、オフラインで使えるよう個別の言語パックをダウンロードすることが可能だ。

ただし能力としては現在の翻訳アプリとしては標準的レベルだろう。GoogleのTranslate for Androidアプリはこうしたツールをすべて備え70言語をサポートしている。

言語の内訳は以下のとおり。

  • カメラ入力言語は、中国語(簡体字)、英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語、ポルトガル語の7言語。
  • 翻訳やブルガリア語アラビア語、カタロニア語、中国語(簡体字)、中国語(繁体字)、チェコ語、デンマーク語、オランダ語、英語、エストニア語、フィンランド語、フランス語、ドイツ語、ギリシャ語ハイチクレオール語、ヘブライ語、ヒンディー語、モン族アウン、ハンガリー語、インドネシア語、日本語イタリア語、クリンゴン語、韓国語、ラトビア語、リトアニア語、ノルウェー語、ペルシャ語、ベトナム語、ウクライナ語、トルコ語、タイ語、スウェーデン語、スペイン語、スロベニア語、ポーランド語、ポルトガル語、ルーマニア語、ロシア語、スロバキア語。

カメラベースの拡張現実翻訳機能はMicrosoftの実装がGoogleをやや上回っているかもしれない。掲示などを写真に撮るとその上に翻訳がスーパーインポーズされ、タップすると保存も可能だ。GoogleTranslateは画像中の翻訳させたい文をタップする必要がある。それが特に難しい操作だというわけではないが、Microsoftの方式はWord Lensと同じなのでiPhoneユーザーには馴染みがある。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Internet Explorer 10の消費電力はChromeやFirefoxより18%低い, とMicrosoftは主張

Microsoftが行った委託研究によると、合衆国のChromeとFirefoxユーザの全員がブラウザをWindows 8上のInternet Explorer 10に換えたら、合衆国の1万世帯ぶんの電力を節約できる。Microsoftによるとその理由は、同社はIEの高速化に力を入れてきたしまた、IEはネイティブのグラフィクスカードなど現代的なPCのハードウェアの能力を有効活用して、レンダリングのパフォーマンスを向上させているからだ。

しかし率直に言って、ブラウザについて考えるときその電力消費を気にする人はあまりいない。研究のテーマとしてもかなり異例だと言えるが、でもたしかに、Webの閲覧に費やされる時間は最近とみに多いから、研究が言うようにIEの電力消費がCやFよりも18%少ないなら、それはIEの無視できないメリットには違いない。

Microsoftによると、IEに切り換えると1億2000万キロワットアワー(kWh)の電力が節約され、また220万本の木を苗木から10年育てた期間に相当する二酸化炭素の除去量が達成される。

Microsoftは2011年にも同種の委託研究を行い、IE9はFirefoxやChrome、Safari、Operaなどよりも優れている、とした。今回の研究では、人気上位のWebサイトを対象にベンチマークが行われた。また、FlashやHTML5によるビデオも、多数再生された。

しかし研究とその結果はまともなものだとは思うが、省エネを動機としてChromeやFirefoxからIEに切り換えるユーザは、あまりいないだろう。でも、今MicrosoftはIEのイメージアップとシェア奪還に躍起になっているから、そのためのマーケティングキャンペーンのネタとしては、とりあえず理解できるけどね。


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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Microsoft、Windows RTのライセンスを値下げか? ―妥協だらけのプラットフォームを救うのは何をしても難しい

今朝(米国時間6/3)のBloombergの記事によれば、MicrosoftはWindows RTのライセンス価格を値下げするという。MicrosoftはRTの低調なセールスにテコ入れするのに懸命なようだ。

Windows RTはiPadに対するMicrosoftの回答という触れ込みで登場した。MicrosoftはWindows 8デスクトップ版OSから多くの機能を低消費電力のデバイスに移植し、iPadよりはるかに安定性の高いシステムを構築することを狙った。しかしその過程でMicrosofはOSの別バージョンを作ってしまい、デベロッパーはIntelベースのWindowsとARMベースのWindowsRT(Windows Phone 8、Xboxも同様)という2つのOSに対処しなければならないことになった。

Windows RTがリリースされてから8ヶ月たつが、メインストリームのWindows RTデバイスはほとんど存在しない。他方、Windows 8搭載デバイスは急速にWindows RTと同じ価格帯まで値下がりしてきた。

MicrosoftはiPadないしAndroidタブレットではなくてWindow RTを買うべき説得力のある理由をユーザーに与えることに失敗したといえる。Windows RTで喜んだのはもっぱらMicrosoft Officeを使う旅回りのセールスマンぐらいなものだろう。

値下げは多少の効果があるだろう。

Androidタブレットも初期の頃、価格設定で悩んだことがある。当時Androidタブレットは高価すぎたために存在意義が疑われていた(HTC Jetstreamなど)。そこに250ドルのB&N Nook Color、Amazon Kindle Fire、そしてNexus 7が登場した。200ドル台の低価格のおかげで、Androidタブレットは突如存在意義を復活させることができた。さらにSamsung他のメーカーが続いて、大型タブレットの価格も低下し、Androidタブレットは意味のある市場シェアを獲得した。

しかしWindows RTの場合、たとえ200ドルにまで値下げしても復活できるかどうか疑わしい。

主要メーカーは続々とWindows RTのサポートを打ち切っている。HPは最初期にRTのサポートを中止した。Samsungもすぐそれに続いた。HTCも最近RTタブレットの開発を中止した。

現行製品ではDell XPS 10、Surface RT、Asus VivoTab RTがWindows RTのロゴを表示している製品だ。BloombergによればDellはRTの新製品を開発中だという。しかしLenovoもRT搭載のIdeaPad Yoga 11の製造を早々に中止している。これら以外は問題とするに足りないような製品しかない。

Acerは最近ComputexでIconia W3を発表した。この8インチWindowsタブレットは今月中に379ユーロで発売開始されるようだ。このデバイスは720pディスプレイ、デュアルコアAtom Z2760 CPU、32または64GBのメモリ、microSD expansionスロットを備えている。しかしこのタブレットはWindows RTではなくWindows 8を搭載している。Acerの会長はWSJのインビューに対して、「Windows RTが今後大きな影響力を持つことはないだろう。フル機能のWindows 8が持っているソフトウェアの互換性を欠いているという大きな欠点をWindows RTが克服するのは難しい」と述べた。

Windows RTはそもそもの構想からして間違いだった。「バッテリーの長持ちか、それとも使い勝手か」という選択を消費者に強いたのは愚かだった。もちろん消費者は両方が備わっていることを望む―iPadがその例だ。

Microsoftは値下げの後、販売奨励金さえ出すことなるかもしれない。しかし消費者は、というよりもっと直接にメーカーが、はっきりと態度を表明している。消費者もメーカーもWindows RTが金を出すに値するプロダクトとは見ていない。当初から指摘されていたとおり、Surface RTはあまりにも妥協が多すぎるプラットフォームだった。

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Windows 8.1の詳細明らかに―スタートボタンは復活するが、メニューはなし

Windows 8.1はプレビュー版が6月26日からダウンロード可能になる。このアップデートではデスクトップ・モードでスタートボタンが復活した。モダンUI(Metro)が嫌いなユーザーは直接デスクトップ・モードで起動できるようになった。スタートボタンの復活は相当前から噂されていたが、Windowsプログラム管理担当コーポレート副社長のAntoine Leblondが、今朝(米国時間5/30)、 公式ブログの記事でこのことを正式発表した。

スタートボタンを廃止したことでMicrosoftに向けられた轟々たる非難を考えればスタートボタンが復活したのは意外ではない。Microsoftはタッチスクリーンが今頃はメインストリームになっていると考えてスタートボタンを廃止したのだろう。Leblondはタッチスクリーンを備えていないデバイスが「依然としてかなり多い」ことを認めた。これは控え目に過ぎる表現であることは言うまでもない。現在ほとんどのWindowsPCはタッチスクリーンではない。

そこでスタートボタンの復活に加えて、Microsoftはマウスとキーボードを利用するユーザーのためにいくつかの新機能を提供することにした。これらの機能はデフォールトで有効になっているが、必要がないと思うユーザーは無効にすることができる。

Leblondのブログ記事には記載がなかったが、われわれが取材したところ、Microsoftの担当者はいくつかの点を確認した。まずフルスクリーンのスタートメニューを経由せず、直接デスクトップを起動することができる。逆にモダンUIを直接起動することもできる。この場合はアプリのリストビューがデフォールトとなる。

スタートボタンは復活、ただしメニューはなし

多くのユーザーが知りたがっていたのは、スタートボタンが実際どういう機能を持っているかだった。この点ではおそらく失望の声が出るだろう。というのはスタートボタンをクリックすると通常のスタート画面が表示されるだけだからだ。Windows7以前のようなポップアップ・メニューは表示されない。

ユーザーはスタート画面をカスタマイズして(これもWindows 8.1の新しい機能だが)、通常のタイル・ビューの代わりにアプリ・リストビューを表示させるようにできる。このリストビューから全てのアプリをワンクリックで起動できる。

マウスを画面左下隅に動かすと現れるスタートチップも、現在のモダンUIのスタート画面のデザインから通常のWindowsロゴに変更された。

スナップ・ビューとマルチスクリーン・サポートの改良

Microsoftがユーザーに譲歩した点は他にもある。ひとつは複数のMetro/Windowsストア・アプリの動作方法だ。現在は2種類のアプリしか同時に作動させることができない。一方のアプリがメインとなって画面の5分の4を占め、もう一方は5分の1の面積に小さく表示される。これがWindows8.1では2つのアプリの表示割合を自由に変えられるようになった。またひとつのスクリーンで同時に表示できるアプリの数も2から3に増えた。

またマルチスクリーンの使い勝手も改善される。現在はマルチスクリーンを装備したシステムでも、 Windowsストア・アプリを実行できるのはたった一つのスクリーンに限られているが、この制限も緩められるようだ。

検索チャームにBingとSkyDriveの検索結果が含まれる

もう一つMicrosoftが改善したのが検索だ。LeblondによるとWindows 8.1の検索チャームではBing、アプリ、ローカル・ファイル、SkyDriveのファイルの横断検索結果が表示される。ウェブの検索結果に例えばWikipediaのリンクが含まれていた場合、Windowsに記事を読み上げさせることができるという。また検索結果画面から音楽を直接再生できる。検索分野ではこれ以外にも未発表の新機能があるらしい。

IE11

Windows 8.1ではInternet Explorerが11にアップデートされる。Leblondによればタッチ機能が改良されページ読み込みも高速化されているとい。また開いているタブを複数のWindows 8.1デバイス間で同期できるようになった。

その他新機能:SkyDriveへの保存、スマート・ロック画面、カスタマイズの多様化

Windows 8.1には現在まだ秘密されているサプライズを含めてさまざまな新機能が提供される。中でも別途アプリをインストール必要なしにSkyDriveにファイルを保存できる機能はセールスポイントだろう。

この他にも数多くのマイナーな改良が加えられている。たとえばロックスクリーンからログインせずに直接Skypeの着信に応答することができるようになった。またスタート画面の背景画像をユーザーが自由に選べるようになった。

方向は正しい

全体として今回のWindows 8.1アップデートでMicrosoftは正しい方向に一歩進んだといえるだろう。いろいろな面で使いやすさが向上している。また当初のあからさまなデザイン上の欠点が修正されているのも好ましい。

Leblondは「Microsoftはユーザーの声に耳を傾ける」としながらも、タッチスクリーンを第一とする方針に変更はないと強調した。だが現実にはWindows8.1のユーザーの多くはMicrosoftのこのビジョンを共有するには至っていないと思う。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Windows 8.1でスタートボタン復活へ。これがないとWindowsは使えないから

朗報! Microsoftのスーパーブロガー、Paul Thurrottが、Windows 8.1のスタートボタン復活について詳しく書いている。ブート後直接デスクトップを表示する機能が加わり、Metro/スマートタイル/スタートページ等を事実上消滅させ、Windows 8の最悪部分を回避できる。何よりも嬉しいことに、Microsoftはこの修正に関して料金を徴収しない。

クラシックに勝るものはない!

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(翻訳:Nob Takahashi)


Microsoft、〈レガシー問題〉対策にクラウドを利用

Microsoftは、同社のボットネット対策グループをクラウドに移し、既知のマルウェア侵略に関する情報を準リアルタイムに提供する。Microsoftはこの新しいプログラムをインターネット事業者(ISP)や、組織内でマルウェア等の脅威を監視する任務を果たしているコンピューター緊急対応チーム(CERT)等にも利用できるようにする。

新設のサイバー脅威情報プログラム(C-TIP)は、2010年に立ち上げられたプロジェクトMARS(Microsoft Active Response for Security)を置き換える。プロジェクトMARSは、ISPやCERT向けに最新情報を定期的にメール配信していた。C-TIPでは、データとその異常を監視し、ボットネットがばらまいたマルウェアによる脅威を未然に防ぐ。

さて、Microsoftは、パソコンを犯罪者が操り悪事を働くボットへと変える攻撃者からソフトウェアを保護することを、重大事ととらえている。Microsoftデジタル犯罪対策課(テレビの犯罪ドラマで聞くような響き)のTJ Campana課長は、悪意ある攻撃はソフトウェアをアップデートしない人々にとって問題になることが非常に多い、と語った。

ソフトウェアをアップデートしない・・・うーむ・・・それはクラウドの利点だよね?

これは、新しいクラウドインフラを使って旧システムを安全に保つというニュースだ。レガシー問題が、クラウドのもたらす強大なデータコンピューティングと分析能力によって対応されている。

しかし本当のより現代的問題はデスクトップパソコンが攻撃されることではない。問題はモバイル端末であり、どうやってこれをサイバー犯罪者が繰り出す脅威から守るかだ。

何千万何億という人々がMicrosoftのソフトウェアを使っている。従来セキュリティーは、企業の周囲に塀を張りめぐらして、ソフトウェアやコンピューターを安全に保つことだった。

今人々に必要なのは、自分たちのデータを守るための健全な習慣と予防措置である。この努力が集団を保護するために役立つ。しかし新しい戦いはデスクトップ上にはない。それはデータが流れるクラウドや何十億台ものデバイスの中で起きている。

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(翻訳:Nob Takahashi)