ヘリコプターのライドシェアサービス「CodeShare」がサービス開始、東京から成田は20分5万9800円

ライドシェア系のサービスと言えば車を浮かべるかも知れないが、今回紹介するAirXの「CodeShare(コードシェア)」は、ヘリコプターのライドシェアサービスだ。ヘリコプター運航会社の有休在庫を活用することで、安価にサービスを提供するという。AirXは10月11日、サービスを開始した。

CodeShareがまず提供するのは、東京と成田空港、初島、箱根を結ぶルート。サイトにもあるように定期便ではなく、1席以上の予約が確定したタイミングでフライトが決定する。チケットは無料会員登録後に購入できる。ヘリコプターといえばチャーターで予約するイメージがあると思うが、冒頭の通りCodeShareはライドシェアサービス。飛行機同様、席ごとにチケットを購入するかたちとなる。

1人あたりの料金は東京〜成田空港が5万9800円、東京〜箱根、東京〜と初島が6万9800円となる。通常通りのチャーターであれば数十万円かかってしまう(AirXの提供するチャーターサービス「AIROS」では、初島までの片道で26万6000円。これに離着陸場の利用費用などがかかる)。なお機体の都合上、1フライトあたりの最大乗員数は8人までとなっている。東京23区から東京ヘリポート(新木場)への無料タクシー送迎、箱根、初島、成田空港への無料荷物配送も行うため、フライト当日は荷物なしでの搭乗が可能だ。

「ヘリコプターは渋滞がなく、高速で移動できる。だがこれまではチャーターでの提供が一般的。渋滞がないとは言え。貸し切り料金でしか使えなかった。一方でヘリコプターの稼働率は15%ほど。今後は『空』の市場が一般化されていく。(移動時間を短縮することで)時間を作り出すサービスを作っていく」——AirX代表取締役の手塚究氏はそう語る。手塚氏と取締役の多田大輝氏はいずれもフリークアウトの出身。同社を退職後、移動領域、物流領域のビジネスを模索する中でCodeShareを提供するに至った。同社は2016年にANRIおよび個人投資家から数千万円の資金を調達している。

AirXではすでに複数のヘリコプター運航会社とパートナーシップを結んでいるが、今後はそれを拡大。発着陸場所も増やすことで、さらなる路線の提供をねらう。

AirXのメンバーら。中央左が代表取締役の手塚究氏、中央右が取締役の多田大輝氏

車のセキュリティを守るデバイスErnestがKickstarterでキャンペーンを開始、共有経済の時代における権利保護とは?

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Ernestは、説明が難しい。それはデバイスだけど、2台のデバイスで、アプリでもあるし、そしてファウンダーのArturs Pumpursによると、それは一種の仮想執事だ。ユーザーの車の安全を確保し、運転者に現在位置を教え、自動ドア方式のガレージのある人にはドアの開閉をする。これのKickstarterキャンペーンは、10月28日から12月7日までだ。

このプロジェクトは、Bluetoothを使って車を保護するデバイスとして構想された(Bluetooth 4.0)。ユーザーがインストールすることもできるが、たぶんインストールはプロがやることになるだろう。車にイモビライザー(盗難防止装置)がついてると、Ernestはオーナーを認識するまで燃料がエンジンに行かないようにする。ただしほかの人がその人のデバイスで自分の車を運転できるように、設定はできるし、その設定を無効にもできる。

ErnestにはGPSデバイスもあり、車の位置を教える(そんな車載アプリは今多いが)。スピードや走行距離なども教える。車をどこに置いたか思い出せなかったり、あるいはほかの人に貸してるとき、その所在が分かる。

自動開閉式の門やガレージにも、同様の、Bluetoothによる共有化ができる。ただし各ドアにはそれら専用のErnestが別途必要だ。スマートフォン上のアプリは、一つでよい。ドアの開閉権も、車と同様、共有化でき、共有の停止もできる。

Ernestは個人や家族のカーライフには便利だが、共有経済におけるセキュリティには問題がありそうだ。車とガレージをほかの人と共有した場合には、たとえば自分の休暇期間が終わったら共有も無効になる、といった設定ができるとよいだろう。また、どの人がどんだけ走ったかを、知りたいかもね。アプリで、現在の使用者を設定できるとよいかもしれない。

お値段はKickstarterで60ドルからだから、大量の車を抱えるタクシー会社など用には高すぎるかもしれない。日常の共有関係がそれほど複雑多様でないユーザーなら、無事に使えそうだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

「信頼」経済のこれから

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編集部注:本稿はW magazineのPRディレクターであり、メディア、カルチャー、テクノロジー分野での寄稿も多いAdriana Stanによるもの。

まったく知らない人の車に乗せてもらったり、会ったこともない人のベッドで眠ったり、あるいは地球の裏側にいる人にお金を貸したりするような行為が普通になりつつある。そんな時代の中で、これまでとは違った評価基準が生まれつつあるようだ。その基準とは「信頼」に根ざすものだ。

形成されつつあるシェアリング(共有)経済の中で、真に注目すべきはそれを可能としている技術ではないように思うのだ。技術の進化云々よりも、もっと大きな変化を社会にもたらしたように思う。コミュニティに新しい意味をもたせ、コラボレーションが増加し、人々の考え方も変化した。そしてあらゆる場面で「信頼」というものの価値が高まることとなったのだ。

「信頼」の重要性に気づかず、自らの信頼を高める努力をしていない人は時代に取り残されることともなろう。「信頼」は、全世界的にもっとも信用できる通貨として流通するようになりつつあるのだ。

「信頼」の評価技法として機能するシェアリング経済

「信頼」には少し前まで、ある意味で金次第の面もあった。たとえば銀行は「信頼」を得るために大理石でできた柱や豪華な装飾品を配した建物をたて、伝統などをアピールすることで信頼性の高さを訴えていた。「オフィスにこれだけ金をかけられる私たちを信頼してください」というニュアンスがあったわけだ。

言ってみれば、信頼はある種の浪費によってアピールするものであったとも言えるかもしれない。

銀行の大理石同様に、テレビコマーシャルを打つことで高品質をアピールすることができた。

外見を整えれば受け入れられるというのは、たとえば学歴などについても同様だった。高い学費を払ってアイビーリーグを卒業すれば、学業における成果を示すだけでなく社会的ポジションについてもある程度のことを示すと判断されていた。「浪費」し得る経済状況にあるとみなされ、そうした人たちで「エリート」集団を形成した。求職の際にも学歴が優位に働くこととなった。

ホスピタリティ業界においても「信頼」を求める金銭的投資が行われた。ホテルは広い範囲で一定の設備レベルや快適さを提供し、安全性にも十分配慮して信頼を築いてきた。広く安定したサービスを提供することで、伝統を築き信頼を得てきたのだ。

そうした一切のことが変化しつつあるように思う。宿泊にせよ自動車移動にせよ、まったく知らない人に身を任せるようなことをするようになった。知らない人に対する直感的な恐怖心というものは、急速に消えつつあるようなのだ。

これは、世の中で「人」を評価する基準が育ってきたからなのだろう。さまざまなシーンで、人の名前の後ろに、5つ星による評価が付けられているのを見るようになってきた。これにより、まったく知らない人をも「評価」できるようになったわけだ。そうした「評価」の仕組みの普及とともに私たちの生活も変化してきている。すなわちUberXを利用できるようになったし、Airbnbを使って見ず知らずの人の家に泊まれるようになった。あるいはハンドメイドのものをEtsyを通じて売り買いできるようにもなったし、個人間でお金の貸し借りをするようなプラットフォームも出てきた。仕事を頼むにはUpworkのようなプラットフォームがあるし、ハウスクリーニングなどならTaskRabbitで依頼するようにもなってきた。車を借りるのも大手のレンタカーサービスではなく、Turoを使ったりするようになった。

さらには、誰かが下した評価(インフルエンス)を信じて良いのかどうかについても、判定技法が成立してきている。LinkedInで繋がっている人からのプラス評価があれば、それが仕事に直結することもある。あるいはInstagramで人気を集めてメジャーどころにフォローされているような場合、Rayaの会員となってデート相手をゲットできる(かもしれない)ようになっている。ちなみにRayaはInstagramでの人気に基づいて、クリエイティビティを判定してメンバーに迎えるかどうかを判断して、クリエイティブな人同士を結びつけるのに役だとうとしているサービスだ。

人の「評判」というものも、いまや「システム」により判定されることになっているわけだ。従来は人がする評価やおすすめなどをどのように評価して良いのかわからなかった。しかし人同士の関係が「デジタル化」され、ソーシャルネットワークで繋がることが一般的となり、何事かを評価している人が周囲にどのように受け入れられているのかが直ちにわかるようになった。発話者の評価基準が明確化されつつあり、かつ簡単にわかるようになってきているのだ。

新しい「信頼」時代における「ブランド」

PRや広告はこれまで、すすめたい対象物の高品質をアピールすることにより成り立ってきた。信頼感を勝ち取り、それにより消費者からの支持を得るという方法がとられていた。

シェアリング(共有)経済の中で、真に注目すべきはそれを可能としている技術ではない。

消費者としての私たちは、高品質であるというアピールを通じて、ホテルやブランドを認知してきた。すなわち、そうしたアピールなしには商材を広く認知させる方法はなかったのだ。

実際のところ、デジタルエイジを迎える前は、ある意味「金の力」でブランドイメージを形成していた。銀行の高級建築と同様に、テレビコマーシャルも消費者に高級感を訴えるのに最適だった。テレビCMは費用もかかり、また限られた放送時間を買い取ってまで映像を流すからには品質も優れたものであると受け取られていたのだ。

現在では多様化が進み、あらゆる人が注目するメディアというものも存在しなくなってきている。これによって企業側の戦略も難しくなっている意味もある。ニュースを読むのも友人のお気に入りやシェアにより、また泊まるホテルもInstagram上で人気になっているホテルから選ぶようになってきた。このような時代に、ブランド自らが行うキャンペーンは従来型から変化せざるを得ない。

「ブランディング」の意味合いが急速に変化しつつある時代であるとも言えるだろう。

たとえば「ブランディング」に地域的制約がまったくなくなりつつある。金本位の時代から遠く離れて、いまや貨幣すら国境をまたぐバーチャルなビットコインに変貌しつつある。またWixでは誰でも29ドルにてEコマースサイトを立ち上げることができる。ソーシャルネットワーク上でうまく商材をアピールすることにより、地域にとらわれることなくものを売ることができるようになっている。

ウェブの普及により、「信頼」はユーザーインタフェースやサイトの使いやすさ、および適切なイメージ写真などにより醸成されるものとなった。そこから発展し、消費者からのレビューやレーティング、およびインフルエンサーによる評価が「信頼」に欠かせなくなっている。

「信頼度」ポイントの絶対的評価基準は生まれるか?

なにかものを消費するときばかりでなく、人と付き合う場合にも「信頼」という評価が用いられるようになってきている。人が商品をレビューして評価するだけでなく、人みずからが「信頼」の尺度で評価されるようになってきているのだ。

自身のもつ影響力やソーシャルネットワークや仕事上での繋がり方などを統合して「信頼度」の基準で測られるようになっている。その「信頼度」に応じて、たとえば飛行機に乗る際のアップグレードを提示されたり、優良顧客として迎え入れられたり、特別なサービスを提供されたりすることになる。

すなわち「信頼度」ポイントこそが唯一の評価手法として存在することになる。このポイントに基づいて人間関係が構築されていくことになるのだ。この「信頼度」スコアを適切に表現し得るポイントシステムの構築には、大きなビジネスチャンスもあるに違いない。

ビジネスにとっても、顧客からの信頼を勝ち得るために何をしているのかということこそが焦点となる。どのように宣伝するのかではなく、消費者の評価こそが商品の価値を決めるものとなる。マーケティングというものも、現在のスタイルからは大きく異なるものとなっていくはずだ。

原文へ

(翻訳:Maeda, H

クラシファイドサービス「メルカリ アッテ」、招待制を廃止して本格稼働

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先月突然App Storeに現れて僕らを驚かせたCraigslistライクなクラシファイドサービス(売ります・買います掲示板のような三行広告が並ぶサービスだ)「メルカリ アッテ」がいよいよ本格的にサービスを展開する。メルカリは3月17日にメルカリ アッテのサービスの招待制を廃止。誰もが利用できるように仕様を変更した。

メルカリ アッテは無料で利用できるクラシファイドサービス。アプリ(現在iOS版のみ。Android版も今後提供予定)をダウンロードし、メールアドレスとユーザー名を設定すれば、すぐにサービスを利用できる。インターフェースはメルカリに似ており、写真と商品、価格の一覧がフィードとして流れ、気に入ったアイテムに「いいね(ハートマーク)」を付けたり、コメントをつけたり、購入ならぬ「応募」をすることができる。投稿のカテゴリは「あげます・売ります」「ください・買います」「貸して・教えて・助けて」「貸します・教えます・助けます」「仲間募集・イベント」「求人」「賃貸・ルームシェア」の7つ。

特徴的なのは出品するユーザーの所在エリアがざっくりと表示されること。アッテでは手渡しでの商品の譲渡・売買を推奨しているためにこのような仕様になっているようだ。出品されるアイテムも「徒歩圏内」「自転車圏内」「バス圏内」という範囲で検索できるようになっている。

このサービス、App Store上ではメルカリのアカウントで配信されているが、2015年9月に立ち上がった同社の100%子会社であるソウゾウが開発・運営を行っている。ソウゾウ代表取締役である松本龍祐氏は、コミュニティファクトリーの創業者で同社をヤフーに売却した後に同社のモバイル部門に注力。その後、新規事業を立ち上げるためメルカリに参画した人物だ。

ソウゾウ代表取締役社長の松本龍祐氏

ソウゾウ代表取締役社長の松本龍祐氏

「メルカリの“次”を何にするかという難題をもらった」——メルカリ参画当時を振り返って松本氏はこう語る。

会社としてはCtoCやシェアリングエコノミーという文化にはこだわりたい。そう考える中で「TaskRabbit」を代表とするようなサービスCtoCを考えたが、メルカリも特化型ではなく「全方位」のサービスだ。そこで幅広いカテゴリをカバーする「アッテ」の原型が生まれた。

ドリコムが提供する「Clip」の記事でも書いたけれども、この領域はまだWeb1.0…どころか下手すると0.5の世界。そこで米国でも打倒Craigslistを掲げるサービスは続々登場しているそうだ。松本氏率いるソウゾウでは、「チャット形式のUI」でやりとりできるサービスとしてクラシファイドサービスの再構築を目指すとしている。

アッテの提供に先立ち、メルカリとソウゾウでは共通IDを開発。すでにメルカリのIDを持っていれば、アドレス登録だけでログインできるようにした。今後メルカリからの送客などでユーザー数の拡大を狙う。

メルカリからの送客と聞くと、ユーザーを食い合うのではないかという疑問も生まれる。松本氏は「社内でそんな議論はあった」としつつ、「だが市場は大きいので、取れるならば取っていくほうが早いと考えた。後は仕様的に近所(遠くても「バス圏内」だ)の出品しか見えないようにしている。競合するとしたら、『港区内の住人同士の売ります・買います』というものくらい」と考えているそうだ。

また、基本は「会って、手渡し」という世界観を目指しており、決済システムを用意する予定は直近ではないようだ。そうなると、売ります・買いますという相手の信頼性が気になるところだが、「メルカリでの評価情報を始めとして、信頼性をグループでどう作っていくかは課題。カスタマーサポートもメルカリチームと連携してやっていく.CtoCは信頼できるかが大事だと考えている」(松本氏)としている。

マネタイズについては当面は検討せず、まずはサービスの拡大に努める。「数百万ダウンロードを実現しないとプラットフォームにはならないので、まずは拡大に注力する。将来的には掲載順位課金などもできると思うが、アクティブなサービスになってから。メルカリも数百万ユーザーになってからマネタイズを始めた。遅くはない」(松本氏)

ドリコムは「物々交換」というアプローチでクラシファイドサービスに参入

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昨日メルカリがクラシファイドサービス「メルカリ アッテ」を準備中だと報じたが、今朝TechCrunch Japanの情報提供ページを通じて読者から届いた情報によると、ドリコムも同じようなアプローチを行うアプリにチャレンジしていたようだ。同社は2月15日付けでApp Store上に新アプリ「Clip」を公開している。

Clipは「物々交換」に特化したサービス。ユーザー登録後、ユーザー全体、もしくは友人や特定の趣味を持つ「グループ」、特定のキーワードに限定した「タグ」などのタイムラインを見つつ、自分が気になったアイテムを見付け、自分が登録したアイテムとの交換を行うというもの。アイテムの登録はスマートフォンで撮影した写真を投稿すればいい。また交換で手に入れたアイテムをもとに、他のアイテムに対して(Facebookの「いいね!」のように)「ほしい」を送ることができる。

会員登録時にSMSによる電話番号確認を行って不正を防ぐほか、実際の交換前には相手の詳しいプロフィールやこれまでに交換をした人からのレビューを確認できる。会員登録費や手数料などは無料。サービスについてドリコムに確認したところ、「現在はテスト運用の段階。今後サービスを改善していく」とのこと。正式リリースに関しては追って発表するとしている。

「Craigslistの次」を狙うサービス、海外では続々

クラシファイドサービスと言ったときにまず名前が挙がるのはCraigslist。個人の「ホームページ」かと思うようなUIだが、長い間ユーザーに愛されてきた。だが海外ではこの数年で「Craigslist Killer」とも呼ぶべきサービスが登場しているという。

5miles」はスマートフォンアプリのGPSを利用することで、文字通り5マイル(約8km)圏内のユーザー同士に限定した「売ります買います」を実現するアプリだ。Craigslistだって地域ごとにサービスを区分しているが、アプリだからこそGPSを使って簡単に「ご近所さん」とやりとりできるわけだ。また「listia」は、独自のポイントを使ったオークション形式で不要品を売ることができるサービス。ポイントは購入するだけでなく、サイト上でのアクションによっても獲得できるというものになっている(ローンチ時の記事はこちら)。

メルカリはリリース当初から「シェアリングエコノミー」の文脈のサービスだとうたっていたが、物々交換、クラシファイドサービスはまさにシェアリングそのもの。そういう意味でも同じ領域のサービスが立て続けに(かついずれもこっそりと)リリースされたことは興味深い。ちょっと気になるのはビジネスモデル。listiaは前述の通りでポイントを販売するなどちょっと特殊だが、クラシファイドの課金は、情報が多いカテゴリやエリアでの掲載課金(不動産や人材領域の有料化や、特定地域の情報を別サイトに送客するなど)、上位表示課金、アドネットワークといったものが中心だと聞く。Clip、アッテともに利用無料をうたっているが、どういったかたちでマネタイズしていくのだろうか。まずはいずれのサービスについても、正式ローンチを待ちたい。

 

駐車場シェアリングのakippaが6億円の資金調達——拠点数で業界第3位に、今後は時間貸しの試験運用も

 

akippa代表取締役社長の金谷元気氏

akippa代表取締役社長の金谷元気氏

駐車場のシェアリングサービス「akippa」を運営するakippa(2015年にギャラクシーエージェンシーより社名を変更)は1月29日、グロービス・キャピタル・パートナーズ(1月に発表された5号ファンドの1号案件)、トリドール(2015年4月設立の投資子会社「TDインベストメント」からの出資)、朝日放送(2015年12月に発表された投資子会社「ABCドリームベンチャーズ」のファンドの第1号案件)、ディー・エヌ・エー(追加出資)の4社を引受先とした総額約6億円の第三者割当増資を実施したことを明らかにした。調達した資金をもとに人材の採用を加速するほか、PRや駐車場獲得のための施策を進める。

2014年に大阪でサービスをスタートしたakippa。個人や法人が所有する駐車場の遊休スペースと、一時的に駐車場を探しているユーザーをマッチング。1日単位で駐車場をレンタルできるサービスだ。駐車場の所有者には、駐車料金の60%が入る仕組みとなっている。

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現在akippaが持つ駐車場は4410拠点。これは業界第1位のタイムズ(約1万5000拠点)、第2位の三井のリパーク(約1万拠点)に次ぐ数字になっている。akippaでは現在月に600拠点のペースで新規開拓を進めており、2017年内にも業界ナンバーワンの拠点数を目指す。駐車場のシェアは旅館業法などの絡む宿泊施設のシェアリングとは異なり、貸し主にとっても参加に心理的なハードルが低いのだとか。

東急電鉄や住友不動産、三菱地所、大阪市など、法人や自治体からの貸し出しも増えている。法人貸し出しは1社で大きく拠点数を増やせるためakippaにとってもメリットが大きいようだ。

拠点数の拡大に伴って売上高も増加している。具体的な金額は明らかにされなかったが、売上高は前年同月比で20倍以上になっている。予約のニーズが高いのは、スタジアムやイベント会場周辺や都心部など。具体的には東京の山手線圏内、大阪市内、名古屋はナゴヤドーム周辺などは稼働率が高い(40〜50%)。

当初は想定していなかった法人ニーズも見えてきた。例えばコンビニエンスストアなどは店舗ごとに1日7回程度配送トラックが訪れるわけだが、駐車場のない店舗では、そのトラックの路上駐車が問題になっていた。そういった課題を解決するため、akippaを利用しているのだという。現在大手コンビニ3社中2社がakippaを利用。今回出資したトリドールが運営する飲食店「丸亀製麺」なども、ロードサイド店舗の従業員用駐車スペースの確保のためにakippaを利用しているという。ただしあくまでもakippaは「遊休スペースのシェア・マッチング」を目的としたサービスであり、法人に特化して「駐車場獲得代行を目指しているわけでない」(akippa代表取締役社長の金谷元気氏)としている。

akippaが人材採用やPR、駐車場確保と並行して進めるのが、駐車場の時間貸しだ。これまで1日利用だったところを1〜3時間程度の短時間で貸し出すことで、回転率の向上を狙う。「1日3回転程度できるように、4月から試験運用を行う。駐車場は利用時間の超過なども起こるので、まずはオペレーションを作っていく」(金谷氏)

オンデマンドでメイクやネイル、マッサージの施術を受けられる「careL」、MOSO mafiaがサービス公開

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昨日もシェアリングエコノミー協会設立のニュースがあったが、人やモノ、スペースなどさまざまな遊休資産の貸し借りを行うプラットフォームは多数登場している。その市場規模は10年後には3350億ドルにも上るなんていう話も出ている。

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東京・恵比寿に拠点を置くスタートアップのMOSO mafiaもシェアリングエコノミーの文脈に沿ったサービスを手がける1社だ。同社は12月15日、ネイルやヘアメイク、エステなど美容・リラクゼーションのCtoC型のオンデマンド予約サービス「careL(ケアエル)」を公開した。当面はオープンベータ版サービスとして、東京都内の渋谷、恵比寿、表参道、代々木、六本木、麻布十番、赤坂周辺でサービスを展開する。

careLは、ドライマッサージ、ヘアセット、メイク、ネイルケアのリアルタイム予約サービスだ。サイト上では、ユーザーが現在いる場所をもとにして、最速・最短距離で予約できる施術者を探して、予約までを行うことができる。口コミやレビューの投稿も可能。決済は今後カードに対応する予定だが、現在は当事者間で現金を手渡しで支払う仕組み。店舗に行くだけでなく、出張サービスを受けることも可能だ。

料金はサービス内容によって統一しており、施術者に関わらず、ドライマッサージでは15分980円、ネイルケアではパーツ付け放題のプランで5800円いった設定をしている。

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サービスを支える施術者は、MOSO mafiaが独自にネットワークするヘアメイクアーティストやネイリストなど約50人。彼らの多くはフリーランサー、もしくは小規模の事務所で仕事を請け負っている。本業を持つかたわらで、隙間時間にcareLでのサービスを引き受ける。

代表を務める渡辺大介氏は、学生時代にアート作品に興味を持ち、それがきっかけでクリエイティブコモンズの存在を知り、ついには弁理士になったという人物。その後は弁理士事務所、ユニチャーム、コンサルティング会社のプライマルで務めた後、独立。本業と並行して、エステサロンを経営することになった。

「エステサロンはクオリティと場所、料金設定を調整できれば儲かるビジネス。しかし課題があった。どれだけ抑えても、1店舗出店するには2000万円以上の初期投資が必要になる。一方で年間の売上は3000万〜5000万円。これでは一気に店舗を増やすことは難しい。また広告を打つにしても店舗数が多くないとレバレッジが効かない」(渡辺氏)。そこで目を付けたのがシェアリングエコノミーの仕組みを使ったサービス提供だった。

ユーザーのニーズもまさにシェアリングの仕組みがマッチしたのだという。カットやパーマであれば店舗もスケジュールも決まっていることが多いが、ヘアメイクやマッサージ、ネイルなどは突然オーダーしたいニーズが高い。そのためリアルタイムに施術を受けたい個人と時間の空いている施術者を結び付けることが価値を生み出すと考えたという。米国には先行するオンデマンドメイクサービス「Glamsquad」などがある。同社は今年10月、700万ドルの資金を調達している。

ガイアックスやスペースマーケットがシェアリングエコノミー協会設立——ただし実態には不安も

シェアリングエコノミー協会の理事やアドバイザーら

ガイアックス、スペースマーケット、クラウドワークス、ココナラ、AsMama、エニタイムスの6社は12月14日、シェアリングエコノミーの普及や発展を目的に、一般社団法人「シェアリングエコノミー協会」を設立することを明らかにした。設立予定日は2016年1月4日、理事は上記6社で、本日から会員を募集。2016年内に100〜200社を集めることを目標にしている。

代表理事にはガイアックス代表執行役社長の上田祐司氏、スペースマーケット代表取締役の重松大輔氏の2人が就任。理事にはAsMama代表取締役の甲田恵子氏、エニタイムズ代表取締役の角田千佳氏、ココナラ代表取締役の南章行氏、クラウドワークス代表取締役社長 CEOの吉田浩一郎氏がそれぞれ就任する。またアドバイザーとしてNPO法人ETIC.理事の鈴木敦子氏、ITジャーナリストの佐々木俊尚氏が就任する。また衆議院議員で自民党IT戦略特命委員会の福田峰之氏が団体と連携する。

今後は(1)すべての人が様々なカタチで、経済行為に参加できる社会の実現、(2)新しい経済行為を活性化させ、日本経済全体の発展に寄与すること、(3)プラットフォーム事業者の健全なるビジネス環境と利用者保護体制の整備——を理念として、ユーザー活用事例や運営ノウハウの共有、事業者間やユーザー、専門家を招いた勉強会の実施、シェアリングエコノミーサービスの普及活動を進めるとしている。

ガイアックスでは11月にシェアリングエコノミーの普及をテーマにしたイベント「Share! Share! Share!」を開催している。今回の理事はそのイベントの主要メンバーでもある。上田氏はこのイベントで延べ3000人の集客を実現したことから、「利用者の中でムーブメントが起こっている」と説明。シェアリングエコノミーのさらなる普及に向けて協会を立ち上げたと説明する。「まずは情報を集める。このタイミングはあくまでスタート。今後半年後などにファクトブックなどを出していきたい」(上田氏)

「2週間前に声がけ」実態には不安も

座組みだけお伝えすると「事業者が官を巻き込んでシェアリングエコノミーの普及・発展を進める」というポジティブな話だと理解できるのだけれど、その実行力や実態にはちょっと不安な点もある。

代表理事を務める1社のガイアックスは、前述のイベント以外にも、11月にシェアリングエコノミー特化の投資ファンド「シェアリングエコノミー1号投資事業有限責任組合」を設立しているものの、自社では9月に買収した「notteco」を展開するのみ。国内シェアリングエコノミー系サービスの事業者としては後発な企業、しかもシェアリングエコノミー系サービスに投資を行うという企業が団体の旗を振っていることで、どうしても「色」が付いているように見えてしまう。

また、理事の中には「2週間前に声がかかった」なんて企業もあるようだし、政策提案している新経済連盟との連携に関しても「団体としては関係ないが、事例、知見、問題点を集めて、これを新経連なり政府なりに提供してもいい。別団体だが協力関係」(吉田氏)と前向きな発言はあったが、具体的な連携施策などはまだないようだ。省庁との連携に関しても同様だった。

僕もこの1年の取材を通して、シェアリングエコノミーの隆盛は目にしてきたし、例えば「民泊」なんかは、政府主導でも制度設計に向けた前向きな話し合いが進められているところなので、シェアリングエコノミー系サービスの発展は応援したいと思っている。だからこそ、同協会にも事業者交流や勉強会だけとは言わず、政府や官公庁、警察、果てには消費者団体までのロビイングや情報交換、提言などを進めて、シェアリングエコノミーの発展に向けたさまざまな活動を期待したい。

メルカリはすでに黒字化、数億円の利益を生んでいる

メルカリの山田進太郎氏

僕は現在、12月8〜9日に京都で開催されている招待制イベント「Infinity Ventures Summit 2015 Fall Kyoto」(IVS)に参加中だ。セッションの内容をはじめとして気になる話はあると思うが、注目集まるCtoCコマースサービスのメルカリについて新しい数字を聞いたのでここで紹介しておこう。

先日開催したイベント「TechCrunch Tokyo 2015」にも登壇してくれたメルカリ代表取締役の山田進太郎氏。登壇の際にも、日米で2500万ダウンロード(米国は500万DL以上)という数字や、世界展開について語ってくれた。今日山田氏に聞いた話によると、メルカリはこの数カ月で数億円規模の単月黒字体制になっているのだという。

ちなみにメルカリは11月24日に第3期の決算公告を出している。それによると売上高は42億3779万円、営業損失11億432万円、経常損失10億9996万円、当期純損失11億460万円。

ただし同社はこの数字以上の成長をしているのだそう。どういう意味かというと、同社の第3期というのは、2014年7月から2015年6月末まで。一方で同社がサービス手数料を取得するようになった、つまり売上が出るようになったのは2014年10月から。それまでに出品されていたアイテムに関しては手数料をかけていないのだという。メルカリの手数料は10%のため、同社の売上高が42億円であれば、プラットフォーム上での取引額はその10倍の420億円と単純計算できそうだが、手数料無料の商品も売れているわけで、その取引額は420億円以上(山田氏いわく、420億円の百数十パーセント程度)になるのだそうだ。

また海外(米国)事業だけを見ると目下グロース中で、赤字を掘り続けている状況。業界関係者から「海外事業がなければすぐにでも上場できる業績ではないか」なんていう話も聞いたのだが、山田氏もそれを否定することはなく、「海外戦略も含めた『エクイティストーリー』をどう描くかが課題」だと語っていた。米国では競合サービスである「Poshmark」が事業規模としては大きいそうだが、これも「来年にはゲームチェンジできるのではないか」(山田氏)としている。

ユーザーと配送業者をアプリでマッチング——ネット印刷のラクスルがシェアリング型の新サービス「ハコベル」

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印刷サービスの価格比較や見積もりからスタートし、印刷所の遊休資産を活用したネット印刷、そしてチラシを使った集客サービスを展開するラクスル。同社が新たに配送事業に参画する。同社は12月1日、新サービス「ハコベル」を公開した。

ラクスル代表取締役の松本恭攝氏

ラクスル代表取締役の松本恭攝氏

ハコベルはウェブサイトおよびスマートフォンアプリを使って、配送の予約が可能なサービス。ユーザーと、その周辺にいる配送業者のドライバーを直接マッチングする。集荷は最短1時間で、24時間365日予約申し込みが可能。GPSをもとに配送車両の位置情報を確認できるほか、5段階のドライバー評価制度といった機能を備える。

またラクスルが印刷会社の空き時間を利用して安価な印刷を実現しているように、配送会社の空き時間に配送をすることで安価な価格設定を実現した。一般的な運送サービスであれば最低価格で5000円程度だが、ハコベルは4500円からとなっている。また、GPS情報を利用して、明瞭な価格設定を実現しているのが特徴だ。サービスには冷蔵・冷凍便などのオプションも用意。当初のサービス提供エリアは東京、神奈川、埼玉、千葉、福岡。大手業者では集荷センターに荷物を集めて効率的な配送を行うため、段ボールのサイズや重さなどに規定があるが、ハコベルはいわばチャーター便。荷物のサイズ等はかなり融通がきくそうだ。

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配送を担当する車両は、一般貨物自動車運送事業の貨物自動車利用運送のためのもの——というとややこしいが、ようは認可を得た業者が保有する、黒字に黄色文字が入ったナンバープレートをつけた軽自動車だ。日本の運送業者は5万7440社。ただしトラック物流市場14兆円の50%は上位10社で占められている。ハコベルでは大手ではなく、中小・個人運営の業者とパートナーを組んでサービスを展開する。ちなみにこの仕組みは弁護士および国土交通省にサービスの適法性を確認しているという。

運転手には専用のアプリを提供。配送の依頼があるとアプリに通知が届き、内容を検討した上で仕事を引き受けることができる。逆にいうと、通知がきてもほかの配送をしている最中だったりして引き受けない場合は、依頼を断ることができる。なお、運転手に断られた依頼は、周辺にいるほかの運転手に通知される仕組みになっている。料率は今後調整していくが、ほかのシェアリングエコノミー系サービスと同様になる見込みだ(大体20〜30%程度と考えればいいのではないだろうか)。

同社では8月21日〜11月30日にかけて試験的にラクスルの既存顧客などに向けてサービスを提供していた。配送件数は433件、ドライバー173人で、もっとも多く運んだのは企業の「チラシ」。ラクスルの顧客は中小企業を中心とした20万社。このネットワークがすでにできあがっていることは、ハコベルを展開する上でも大きな力になる。もちろん個人利用も可能。これまでにソファーや自転車を配送するといったケースがあったそうだ。

海外にはGoGoVanなどの先行事例も

「○○版Uber」という表現は僕自身食傷気味なのだけれども、いわゆるシェアリングエコノミーの文脈のサービスという意味では「配送版Uber」なサービスだ。ただしそのUberもすでに香港では自動車をつかった「Uber Cargo」、ニューヨーク市では自転車を使った「Uber Rush」なる配送サービスをスタートさせている。

実はこの「配送×シェアリング」という領域、アジアでは「lalamove」「GoGoVan」といった先行者がいる状況だ。CrunchBaseにもあるが、2013年12月にローンチしたlalamoveは、これまでに2000万ドルを調達。香港のほか、中国やシンガポール、台湾(台北)、タイ(バンコク)でサービスを展開している。一方のGoGoVanは2013年6月のローンチ。これまでに2654万ドルを調達し、香港、台湾、シンガポール、中国、オーストラリア、韓国でサービスを展開している。

なお同社は本日発表会を開催している。TechCrunchではその様子とラクスル代表取締役の松本恭攝氏への個別取材もお届けする予定だ。

ホテル予約の大手、ExpediaがAirbnbのライバル、HomeAwayを39億ドルで買収

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今日(米国時間11/4)、ホテル予約の大手、Expedia Incはバケーションの部屋貸し仲介サービスで上場企業のHomeAwayを39億ドルで買収することで同社と合意したと発表したHomeAwayの組織とブランドは(VRBO.comを含む)は従来どおり維持される。支払いはキャッシュとExpediaの普通株で行われる。

HomeAwayはテキサス州オースティンに本拠を置き、 2005年に創立された。同社は5回のベンチャー・ラウンドで5億500万ドル弱を調達した後、2011年に株式を上場している。

Expediaは発行済のHomeAwayの株式を1株あたり10.15ドルの現金ないしExpedia普通株の0.2065株と交換に購入する。この取引は2016年の第1四半期には完了するものとみらている。

HomeAwayでは、同サイトには有料で借りられる休暇用物件が190ヵ国にわたって100万部屋以上リストアップされているとしている。同社は他にVRBO.comやVacationRental.com(これはアメリカの物件のみ)などのリスティング・サイトを傘下に所有している。またイギリス、ドイツ、フランス、スペイン、プラジル、オーストラリアにHomeAwayの同種のサイトがある。HomeAwaydではBedandBreakfast.comも運営している。

今日の発表でExpediaはHotels.com、Hotwire.com、Travelocity、Orbitz、VeneraなどAirbnbの直接のライバルとなる企業群を所有していることが明らかにされた。Airbnbは急成長を続けているが、Expediaは自前でサービスを拡大するよりHomeAwayのような大型サイトを買収することでAirbnbに対抗できる巨大組織を築いていくつもりのようだ。

ExpediaのCEO、Dara Khosrowshahiは今日、次のようなコメントを発表した。

われわれは以前からバケーションや出張などで利用できる部屋を仲介する1000億ドル規模の非伝統的ビジネスに注目しており、この分野で独自のサービスを作ろうとしてきた。今回、世界的なバケーション・レンタルのトップ企業であるHomeAwayの協力を得られたことで、われわれがこの分野において2年以内に世界のリーダー企業となる道が開けた。HomeAwayがExpedia Incグループに参加したことは世界的に認知され信頼されるExpediaのブランドをわれわれも利用できるようになったことを意味する。これはわれわれの次の段階への発展のために絶好の礎石となるだろう。.

Expediaの主要なライバルであるPriceline Groupは現在まだ「シェアリング・エコノミー」を代表するようなバケーションと旅行のブランドを持っていない。ただし傘下のBooking.com brandはゆっくりとだが、共有経済を実践する方向に動いている。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

DeNAが個人間カーシェア「Anyca」を開始、1日3000円の低料金も「痛車」もある

所有するクルマを個人間で貸し借りできるC2Cカーシェアリングサービス「Anyca」(エニカ)を今日、DeNAが開始した。すでにテストマーケティング的にサービス自体は2、3カ月前から開始していて、登録済みのクルマの台数は約200台。当面の注力エリアは東京ではあるものの、全国で利用可能だ。1台を1日借りると車種によって3000〜5000円となる。5人乗りのプリウスという乗用車で比べると、Anycaで5500円(うち保険料が1000円)のところ、レンタカーだと1万2000円、B2Cカーシェアだと8300円というのが1日の利用料の相場だ。タイムズカープラスなどのカーシェアは6時間という短時間で4000円とか夜間のみ2000円といった柔軟性もあるので単純な比較はできないものの、1日出かける、ということならAnycaはレンタカーやカーシェアよりも価格競争力を持ちそうだ。

もっとも料金はクルマを提供する所有者が決めることができ、高級車やスポーツカーだと7000円とか1万円というのもある。この料金にはドライバーがかける1日限定の保険料も含まれる。保険は東京海上日動とのシステム接続で実現していて、マッチングが成立した契約時に保険も同時購入となる。サービスを提供するDeNAは手数料10%を取り、残り90%をクルマの提供者であるオーナーが受け取る。

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実際の貸し借りはオーナーがクルマをサービスに登録し、それを借り手がカレンダーから予約。カギの受け渡しは対面で行うというもの。現在、物理的なカギの受け渡しを不要とするためにODB2ポート(クルマのメンテ用のデータ通信ポートでハンドル下部にあるのが一般的)経由で開錠・施錠コマンドを車載システムに発行して、スマートキーが実現できるデバイスを準備中という。

DeNAのAnyca責任者で立ち上げを担当するオートモーティブ事業部の大見周平氏(カーシェアリンググループグループマネージャー)によれば、今回のサービスは法的な分類上は道路運送法でいう「共同使用」となっていて、「有償貸渡業」と呼ばれるレンタカーの規制対象となるサービスではないそうだ。この共同使用という枠組みは2006年までは許可制だったが、2007年に撤廃されている。

中国やアメリカでも伸びるC2Cカーシェアサービス

法規制上は違う分類とはいえ、C2CカーシェアのAnycaはマーケットとしてはレンタカー、B2Cカーシェアリングなどと近い領域のサービスだ。東京や大阪といった都市部でクルマの保有率が下がるなか、これらの市場は近年大きく伸びていて、レンタカー市場は矢野経済研究所が8月末に発表した資料によれば2014年は前年比4.1%増の6350億円となっていて、まだ今後も同様のペースで伸びるとの予想だ。カーシェア市場も右肩上がりを続けていて、2011年に50億円規模だったものが2014年には約154億円規模に成長、2015年は200億円を突破するとしている。

DeNA自身の調査によれば、日本の自家用車の台数は6000万台。これは、レンタカーの28万台やB2Cカーシェアリングの1.5万台に比べて圧倒的に規模が大きい。そのうえ自家用車の稼働率は低く、DeNAによれば1年で10日間(約3%)というレベルだそうだ。

これは日本に限った話ではなく、海外でもC2Cカーシェアリングのサービスが立ち上がっている。米国ではRelayRidesGetaroundが、中国ではAtzuche.com、シンガポールからはiCarsclubというスタートアップが登場している。この辺の市場調査をした大見氏によれば、特に中国の立ち上がりの勢いが「意味が分からない」というレベルで、Atzuche.comは2014年5月に上海でローンチして1年で100万ユーザー、3万台の登録というハイペースでの普及を見せているという。

当初は尖ったクルマを集めて「乗ってみたい」出会える楽しさを

今日の正式サービススタート時点で、Anycaに登録されている200台のクルマのうち、約半分が一般車で、残り100台は「尖ったクルマ」だ。

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Anyca責任者のDeNA 大見周平氏

「始まりは(ユーザー規模が)小さいので、多種多様なクルマというのでサービスを尖らせています。C2Cサービスは、ある程度密度が高まらないとサービスの利便性が上がりません。最初のうちは近所の駅に登録されてるクルマは1台にしかならない。だから、2、3駅ぐらい出向いて取りに行っていいと思えるような、そういうクルマを集めています。クルマっていいよねという体験を提供していきたいですね」

確かに、アプリでクルマをブラウズすると、特にクルマ好きでもないぼくでも1度くらいは乗ってみたいと思うようなスポーツカーや、ネタとして借りてみたい「痛車」、パンダの顔のスクールバスみたいものが目に付く。以下のような感じだ。

これは古くはAirbnbが当初にインパクトのあるお城の写真やジャングルの中のツリーハウスの写真を掲載して「泊まってみたい」と思うようなアイテムを揃えたのと同じで、サービス初期の立ち上げ時にトラクションを作る方法の定石となってきた感もある。日本だとB2Bの場所貸しサービス「スペースマーケット」が球場やお寺などをトップページで見せているが、実際のビジネスのボリュームゾーンは退屈な空き会議室だろう。

同様に、Anycaも「乗ってみたい」を当初は強調するのだろうし、これはこれでまた違ったニーズとニッチ市場があるのは間違いない。軽自動車ばかりが売れ、クルマが経済合理性だけで選ばれる傾向が強まる一方で、クルマ好きのファンたちは個性派のクルマの維持費用を正当化できずに頭を抱えている。だから、大見氏らはこれまでAnycaでクルマ好きのコミュニティーに事前登録を依頼するようなことをしてきたのだという。

レンタカーやB2Cカーシェアサービスではコストダウンのために車種を絞る力が強く働く。大見氏によればレンタカーで稼働率が70%、カーシェアリングでも稼働率30%あたりがブレイクイーブンではないかといい、たとえ高級車などを一部に取り入れても、これを下回るようだと「銀色のプリウス」に置き換えざるを得ない事情がある。C2Cの場合は、すでに市中にあるクルマ好きの多種多様な車種を扱えるのが強みとなる。

普及した先にはC2C売買や横展開、新しい所有モデルの提供も

「初年度は一定地域で密度を高めて利便性を検証していく計画です。これが都内で2000台とか3000台になってくると、だいぶ密度が高くなってくる。23区で数千台、3年後に数万あるいは数十万というのが目標です」

「ある程度普及してCPAやLTVが見えてきたら、横展開していくことも考えています。所有とシェアは近づいてくるはずと考えているので、第二ステップとしては、例えば、新車を買うときにシェア前提で共同所有するオーナーたちのために新しいオートローンを作るというのもあり得ます」

サービス提供で集まってくるデータを使った事業の展開というのはDeNAのようなネット企業の得意とするところ。「例えば、われわれには車検がいつ切れるのが分かります。珍しいクルマを持っている人をディーラーに送客するとか、C2Cの売買を導入することも考えられます」

Wi-Fi・電源無料のスペースも1席1時間単位でレンタル可能な「eichiii」が間もなくローンチ

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スペースマーケットSHOPCOUNTER軒先ビジネスなど、空きスペースのオーナーと利用者をマッチングしてイベントやポップアップショップに利用するようなサービスが増えてきた。これらのサービスは建物だったりその1室だったりと、「ハコ」単位でのレンタルが中心だ。そのサービスはいわゆる「toB」のもの。会議や大規模なイベント、期間限定店舗などをはじめとして、数人から大人数の、おもに法人のニーズを満たすものが中心だ。

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今回紹介する「eichiii」は「toC」、つまり個人のためのスペースのマッチングサービスだ。スペースを「ハコ貸し」するのではなく、座席単位でのマッチングを実現する。現在サイトにてユーザーの先行登録を開始しており、間もなく正式にサービスをオープンする。

eichiiiでは、ウェブサイト上でスペースを検索して1席1時間単位でレンタルできる。スペースはコワーキングスペースや貸し会議室、営業時間外の飲食店やカラオケボックスなど。サービス開始までに都内を中心に200アドレス(1アドレスに3〜4席を確保)を目指し、今後もその数を拡大していく予定だ。

「当初はノマドワーカーをターゲットにしていたが、フリーランスや中小企業の打ち合わせ場所のニーズも多い」(エイチ代表取締役社長の伏見匡矩氏)とのことで、1室単位でレンタルできる個室スペースなども用意する。

金額はスペース側が設定できるが、1席1時間500円程度が中心。スペースによってはフリードリンクや電源・Wi-Fiの無料利用などの設備もあるという。スペースに着いたユーザーは予約画面を店舗に見せて金額を直接支払うという仕組みのため、システムの導入などは必要ない。eichiiiは金額の30%を手数料として取得する(そのうち5%はユーザーにポイントとして還元される)。

伏見氏はP&Gのマーケティング担当として活躍したのちに、社外からリクルート新規事業提案制度「New RING」でグランプリを受賞し、メディア事業を手がけるエモーチオの立ち上げに参加。その後に起業を志し、ベビー用品レンタルショップ「Babyrenta」を運営するココロイロを立ち上げた。

「循環型社会を作りたいという思いが根底にあり、それどんなビジネスができるか考えたのがベビー用品のレンタルだった。だがモノのレンタルは小規模な事業。世の中を変えられると思って始めたが、これを続けても売上100億円を狙うのが限界」(伏見氏)。

またレンタルビジネスをやって、例えば「キャンプ用品を借りたい」という人がいるのではなく、「キャンプをやりたい」という人がいて、その目的のためにキャンプ用品が必要なだけ——つまり商品のレンタルよりも、「スペースで何かを達成すること」を支援することのほうが重要——という考えに至ったのだそうだ。そんな思いからeichiiiの開発に取り組んだ。

伏見氏はeichiiiで「早期にユーザー数3万人を目指す」としている。なお資金調達等は現時点で検討していないという。

フリークアウト1号社員が立ち上げたのはポップアップショップのマッチングサービス「SHOPCOUNTER」

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ポップアップショップというものをご存じだろうか? 空き店舗や普段は何もないスペースに一定期間限定で出店する仮店舗のこと。今までになかった場所に店舗を出すことで、商品やサービスの認知を高めたり、ユーザーとより密な関係を作ったりできるというものだ。また店舗側としても、空きスペースから収益を得られるという側面もある。

そんなポップアップショップ開設のためのスペースを探すことができるオンラインマーケットプレイス「SHOPCOUNTER(ショップカウンター)」が正式サービスを開始した。

SHOPCOUNTERでは、展示や販売、プロモーションなどに最適なスペースの検索から問い合わせ、予約、決済までが可能。現在都内を中心に60以上のスペースを掲載している。来年3月までに都内300スペースを目指すという。

代表はフリークアウトの1号社員

サービスを手がけるCOUNTERWORKSは2014年10月の設立。代表取締役の三瓶直樹氏は、学生時代にマーケティング会社を立ち上げ、その後CAモバイルを経て、昨年上場したフリークアウトの1号社員として入社。その成長に貢献してきた人物。

COUNTERWORKS代表取締役の三瓶直樹氏

 

「日本で店舗を出そうとすると、その準備だけで500万円ほどかかるという話になる。もちろんそれで需給のバランスがうまく成り立っているのであればいいが、全国の空き店舗の割合は14%という数字もあり、決していい状況ではない。ただ一方でEC事業者などがプロモーションとして期間限定で出すというニーズはある」(三瓶氏)

スペースのマッチングからマーケティングの支援まで

三瓶氏によると、SHOPCOUNTERではスペースのマッチングにとどまらず、店舗のマーケティング支援に向けたサービスを手がけることを検討しているという。

「スペースブッキングは第1弾の展開だと考えている。お店を作るためにはスペースがないと始まらない。今後は『その次』として、繁盛させる仕組み、マーケティング支援のサービスを載せていく。例えばだけれども、すごく販売の上手な売り子をお店に送り込むということだっていい」(三瓶氏)

場所のマッチングサービスというくくりで言えば、僕も何度か取材した「スペースマーケット」なんかを思い浮かべるかも知れないが、彼らがターゲットとするのは社員総会だったり、会議議室だったり、イベントスペースというものが中心。SHOPCOUNTERに近いのは国内では軒先の「軒先ビジネス」あたりだろうか。海外では、ポップアップショップのスペースであることを全面に出している米国の「StoreFront」やイギリスの「appear」、フランスの「PopUpImmo」といったサービスも注目を集めている。

犬の飼い主と預かり先をマッチングするペット版Airbnb、CAV出資先のDogHuggyがサービス開始

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国内では法律上はグレーゾーンだと指摘されるAirbnbだが、検索してみると、すでに国内でも数多くの代行業者がいることは分かる。日本のホスト数は8000件以上だと聞くし、僕の周囲ではサービスを利用した、よく使っているなんて話を聞くことも増えた。

そんなAirbnbやUberなどが代表格に挙げられるシェアリングエコノミー関連の新しいサービスにチャレンジしているのが、ペット版Airbnbとも言える「DogHuggy」だ。同社は5月20日にサービスを正式公開した。

ペットの飼い主とホストをマッチング

DogHuggyは、旅行や外出などでペット(主に犬)を預けたい飼い主と、現在、もしくはこれまでに犬を飼うなどして飼育経験のあるホストをマッチングするサービスだ。

サービスを利用するにはまず、飼い主が住んでいる地域の近所にいるホストを検索。条件等を確認して予約。あとは当日ペットを預けに行けばいい。決済もサイト上で行う。

料金はホストが設定できるが、想定単価は1泊あたり5000〜6000円程度。その30%をDogHuggyが手数料として徴収する。ホストは収益をNPO寄付することもできる。

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2014年末から試験的にサービスを開始。現在のホストは首都圏を中心とした数十人。獣医やペット飼育経験者、さらにはペット関連の有資格者を中心に、面接などを行った上でホストとして認定しているという。ホストは1日数回ペットの写真を飼い主に送ることになっているため、状況の把握もできるという。また将来的には預けている最中のトラブルに対応するよう、保険の適用も検討中だそうだ。

ちなみにいわゆるペットシッターとしてホストが犬を預かるとなると、第一種動物取扱業の認可が必要になる。だが、DogHuggyでは動物取扱業の保管と貸出の免許を取得しており、まずDogHuggyが飼い主の犬を預かり(保管)、今度はDogHuggyがその犬をホストに預ける(貸出し)というかたちにすることで、法律上の課題をクリアしているという。

獣医を目指した高校生が起業

ペットの飼い主とペットシッターのマッチングサービスとしては、米国では「DogVacay」などが有名なのだそう。CrunchBaseにもあるが、同社は2014年11月に2500万ドルという大規模な資金調達を実施している(これまでの合計調達額は4700万ドル)。国内でも「inDog」など、サービスを準備しているスタートアップがあるようだ。矢野経済研究所の調査によると、国内のペット市場は2014年度で1兆4288億円。美容室や医療、保険、ホテルなどの各種サービスでは前年度比100.9%の7314億円となっている、大きな市場だ。

DogHuggy代表取締役の長塚翔吾氏

DogHuggy代表取締役の長塚翔吾氏

DogHuggy代表取締役の長塚翔吾氏は現在18歳。日本でも数少ない獣医学部のある麻布大学附属高等学校をこの春に卒業したばかり。もともとは獣医を目指していたそうだが、高校で動物保護について学んでいる中で、自らができることを模索した先にあったのがこのサービスでの起業だったのだという。

飼い主が長期で外出する際に利用するペットホテル。しかし狭いケージは犬にストレスを与え、価格も決して安くない。そんな環境に対して罪悪感を感じると答える飼い主もいたそうだが、他にソリューションがないというのが現状だ。

代々木公園などで実際にペットを散歩させていた飼い主などにも数多くヒアリングしたが同様の意見が出たという。そこで考えたのが、すでに適切な環境で犬を飼っているホストに犬を預けるという仕組みだった。

「目の前の困っている犬1匹を救うことも大事。だが、目先のことだけを考えるのではなく、飼い主にもっと動物保護とはどういうことか知ってもらって、人とペットの真の共存を実現していきたい」(長塚氏)

CAVからシードマネーを調達

DogHuggyは3月にサイバーエージェント・ベンチャーズ(CAV)のシード投資枠「Seed Generator Fund」からシードマネーを調達している。金額や出資比率は非公開。ただしシードの投資枠は3億円で、基本的には1社1000万円を上限にしているという話だから、数百万円というところだろう。

ちなみに、高校生だった長塚氏は、検索エンジン経由でCAVのシード投資について知り、その門戸を叩いたのだそうだ。そして親を説得した上、高校生だった2月に起業している。その後、東京大学獣医学科出身でサイバーエージェントの広告や開発を担当していた染谷洋平氏がCTOとして参画した(僕はこの染谷氏の経歴にも驚いたのだけれども)。

同社が目指すのは「動物後進国の日本を先進国にすること」。その第一歩となる目標は、DogHuggyのホスト500人までの拡大だという。

シェアリングエコノミーの本質はコミュニティにあり–TechCrunchイベントで識者が語る

「シェアリングエコノミー」と呼ばれるタイプのビジネスが、シリコンバレーを起点に世界中で成長中だ。ゆるやかな信頼をベースに、今余っているモノや人、リソースを今必要としている人に提供する事業の総称で、余っている部屋を貸し出す宿泊サービス「Airbnb」やカーシェアリングサービスの「Zipcar」などが代表例だ。

この波は、いま日本にも及んでいる。Airbnbや、タクシー・ハイヤーの配車サービス「Uber」が日本に上陸してサービスを開始したほか、遊休設備を生かして安価なオンライン印刷サービスを提供する「ラクスル」、駐車場を貸したい人と借りたい人をマッチングする「akippa」のように、  日本発のシェアリングエコノミー型サービスも生まれてきた。

2月19日にリクルートホールディングスが手がける東京・渋谷の会員制スペース「TECH LAB PAAK」で開催された「TechCrunch School Vol.6」では、そのシェアリングエコノミーに注目。「日本でも成長をはじめたシェアリングエコノミー」というテーマのもと、Uber Japan執行役員社長の高橋正巳氏、ラクスル代表取締役の松本恭攝氏、akippa代表取締役社長の金谷元気氏の3人に、それぞれが手がけるシェアリングエコノミー型ビジネスについて聞いた

むしろ規則の中でしっかりやりたい——Uber Japan

米国等での報道も含めて、TechCrunchでもおなじみのUber。スマートフォンからたった2タップするだけで、オンデマンドでハイヤーやタクシーを配車してくれるサービスで、「全世界54カ国、282都市強でサービスを提供しているが、毎週変わっているくらいのスピードで成長している」と高橋氏は言う。最近も22億ドルという規模の資金調達に成功したばかりだ。

日本市場で正式にハイヤーの配車サービスを開始したのは2014年3月で、8月からはタクシーも呼べるようになった。
「日本市場への参入構想は初期の頃からあった。電車や地下鉄、バスなどいろいろな選択肢がある中で、どれだけ需要があるのか、どうサービスを提供するのか検討した上でローンチしてみたが、いざローンチすると、ロンドンやロサンゼルスといった大都市に比べ2〜3倍の需要があった。特に東京は、高品質なサービスへの感度が高い」(高橋氏)。

一方で、既存の枠組との整合性には苦労した面もあるそうだ。現在Uber Japanは、「“超オンデマンド”な旅行代理店という考え方もできる」(高橋氏)ことから旅行業者の登録をして事業を展開している。世界54カ国の中で旅行業として登録しているのは「日本だけ」だそうだ。「われわれのビジネスは5年前、10年前には考えられなかったもの。一方で、それにまつわる法律や規則ができたのは何十年も前。そうした既存の規則や枠組みの中に、われわれのビジネスをどう当てはめていくかが難しい。この問題は日本のみならず、いろんなところで起きている」と高橋氏。「よく、『Uberは好き勝手にやっている』と言われているけれど、全然違う。われわれの会社のスタンスとしては、きちんと規則の中でやりたいと考えている」という。

高橋氏は、この状況を、インターネットオークションサイトが生まれたころになぞらえる。「インターネットオークションサイトが生まれた当時、ちゃんと落札者がお金を払ってくれるかなどいろいろな不安があったけれど、使ってみると便利なことも分かってきた。そこで、『どうしたら安心して使ってもらえるようになるか』という議論が始まり、いろいろな規則ができてきた。Uberについても同じように、どうやったら安心して使ってもらえるかという議論がアメリカで先行して始まっている」(同氏)。

泥臭いところに踏み込んでサービスを拡大—ラクスル

つい先日、総額40億円の資金調達が報じられたラクスルは、需要と供給がマッチングしにくい「印刷」にフォーカスしたサービスを提供している。印刷設備の非稼働時間と、ネットで全国から集めた受注とを適切にマッチングさせることで、安価な印刷を実現しているラクスル。元々は価格比較サイトから始まったが、「クオリティをコントロールする」ために、印刷生産性、効率向上のための手だてにも踏み込んでいるそうだ。

松本氏によると、「スマホから2タップ」のUberとは異なり、「ラクスルは、スマホに一応対応はしているもののウェブがベースで、90%強の注文がウェブから」なのだという。デザインという要素が密接に絡んでくるためにスマホでは十分なUXを提供するのが難しいという理由に加え、「われわれの顧客はほとんどが中小企業だが、中小企業の購買活動がスマホにシフトしているかというと、まだしていない。むしろ最近ネット化が始まったところで、スマホ化は5年先じゃないか」(松本氏)。

ネットとリアルをつなぐ上で、非常に泥臭い苦労もしてきたという。「印刷会社とのコミュニケーションでは、新しいことを始めようとしたときに理解を得づらいところがある。経済合理性で考えれば絶対に利益が出ると分かっているような枠組みを提供しても、『これまでやってこなかったし……』で片付けられることもあった」(松本氏)。ただ中には、強い変革意識を持った経営者がいて、思いに共感してくれることで関係を形作れるケースもあった。

今回調達した資金は、マーケティングや海外事業展開といった方向への投資はもちろんだが、「Uber X(海外で展開するUberのサービス。個人が所有する車に他のユーザーを乗せるというもの)のように、ユーザーに全く異なる体験、インターフェイスを提供できるサービスを開発していく」ことに加えて、「紙を共同購買したり、物流の交渉をまとめて行ったり、資材や物流など効率化を図ることで生産性が上がる部分のファイナンシャルなサポートにも取り組む」そうだ。

営業の会社からインターネットの会社へ—akippa

akippaは、法人や個人が所有する空き駐車スペースを登録しておくと、その周辺で駐車したい人が検索し、希望する時間に使用できるというサービスだ。シェアリングエコノミーを体現しているかのようなサービスだが、金谷氏によると「会社を立ち上げて6年になるが、そのうち5年は営業の会社だった」のだそうだ。

転機が訪れたのは2013年6月のことだったという。「毎月目標の売り上げを決めて、ホームページを作って営業して……とやっていたが、そのうち『これをいつまで続けるんだろう、何のために会社をやっているんだろう』と考えた」(金谷氏)。そこで、電気やガス、水道といった「なくてはならぬもの」を作ろうと、会社のメンバー全員で、今悩んでいること、困っていることを書き出してディスカッションしていた中に、駐車場の問題があったという。

早速このサービスをネットで展開しようと作り始め、とあるイベントで発表したところ、「家の空きスペースを貸すサービスなら『Airbnb』があるよ、と教えてもらった。それまでAirbnb自体知らなかった」そうだ。

その後、順調にサービスが成長してきたことから、思い切って社名もそれまでのギャラクシーエージェンシーからakippaに変更し、営業だけでなくエンジニアの数も増やした。「これでやっとインターネットの企業になれたかな、と感じる。今は営業もスーツを着ていない」(金谷氏)。

ただ、そのマインドを変えていくのが大変だったそうだ。「もともと営業の会社なので、営業担当のマインドを変えることが大変でした。赤字でも、ユーザー数を増やし、サービスを伸ばしていくためだからいいんだ、と言っても『売り上げゼロなんですけど、いいんですか?』と不安を抱かれることもありました」(金谷氏)。サービスを伸ばすために最初はお金を取らずにユーザーを増やす、そしてユーザー数が伸びれば売り上げも増えてくるというアイデアを、Gunosyなどを引き合いに出しながら説明して説得したそうだ。

シェアリングエコノミーはコミュニティか、ただのバズワードか

最後にモデレーターのTechCrunch Japanの岩本有平が「そもそもシェアリングエコノミーとは何か?」と問いかけた。

金谷氏は「昔からやってきたことをスマートフォンでつなぎ合わせたことだと思う」と語る。「akippaも、『隣の人に空いている駐車場を貸す』という昔からやってきたことをスマートフォンでやっているだけ」。そういう意味では、ライバルは、Airbnbなんかではなく、リアルに空きスペースを駐車場としてサービスを展開している「タイムズ」や「三井のリパーク」になるという。

松本氏は、「AIやビッグデータと同じバズワードの1つなんじゃないか」とした上で、「使われていないアセットをユーティライズしたということ以上に、スマートフォンやPCとつながって、ユーザー経験そのものが変わったことに大きな意味があるのではないか。この部分を生かすことでビジネスを伸ばすことができるのでは」と語る。

これらに対して高橋氏は、「ひとことで言うとコミュニティだ」とする。「共有という概念は、コミュニティがあってはじめて成り立つ。そのとき重要になるのはクオリティ。安心して共有してもらえるか、透明性が高いかということが問われてくる。Uberではフィードバックシステムを導入して、今まで乗った人の評価が全部見えるようにしているが、そこまでやって初めて安心感あるコミュニティが生まれると思う」とした。


小さな上場より赤字を掘ってでも大きく成長する–ネット印刷のラクスルが40億円の資金調達

先日メタップスが43億円という大型の資金調達を実施したのに驚いたが、またもや大型の資金調達があった。日本経済新聞でも報じているとおり、オンライン印刷サービス「ラクスル」を手がけるラクスルは2月17日、第三者割当増資により総額40億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

引き受け先は既存株主であるオプト、グローバル・ブレイン、WiL、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、ANRI、電通デジタル・ホールディングス、GMO Venture Partnersのほか、新たにリンクアンドモチベーション、グリーベンチャーズ、Global Catalyst Partnersが加わった。

業績は2013年12月から1年で10倍に

ラクスルは2009年9月の創業。当初はオンライン印刷の価格比較サービスからスタートし、その後オンライン印刷の一括見積もり事業を開始。現在では印刷会社をネットワーク化し、その非稼働時間を活用して安価な印刷を展開するオンライン印刷事業を展開している。

2014年2月には約14億5000万円の資金調達を実施し、テレビCMも放映したラクスル。会員数は現在約10万人、売上高は非公開ながら、「会員数とともに1年で5倍に成長している。2013年12月からの1年間で見れば約10倍に上る」(ラクスル代表取締役の松本恭攝氏)とのこと。

また今回の資金調達で印刷会社の買収でもするのかとも思ったがそういう訳ではないようだ。松本氏は「事業が立ち上がり、『投資をすれば拡大する』ということが見えてきた。ならば小さく上場するのではなく、もっと赤字を掘ってでもより大きく成長しようと考えた」と語る。

事業と組織の両輪で成長、マネジメントの目線を上げる

今回、リンクアンドモチベーションとグリーベンチャーズ、Global Catalyst Partnersが新たに株主となっている。松本氏は組織作りや海外進出といった面でのシナジーを求めたいと語る。

「事業と組織は両輪。両方が回って初めて会社がうまく回る。例えば(一度エグジットして)2社目の勝負をしている起業家は、組織がどんなことで転ぶか分かっている。だが私は転ぶようなことをことごとくやってきている。だからこそ今のうちに組織をしっかりと作りたい。またグリーは青柳さん(グリー取締役執行役員常務の青柳直樹氏)と話したことがきっかけだが、海外でのチャレンジ経験が豊富」(松本氏)。さらに米国のベンチャーキャピタルであるGlobal Catalyst Partnersについては、「日本のスタートアップとは違うマネジメント、非連続な成長を作るために目線を上げてくれる存在だ」(松本氏)と語った。

「チラシ印刷」にとどまらない中小企業の集客支援

同社のテレビCMを見たことがある読者の中には、大企業向けのチラシ・名刺印刷というイメージを持った人もいるかも知れないが、中心になっているのは、塾やフィットネスクラブ、接骨院に美容室など、商圏の限られている中小企業のチラシ印刷なのだそう(なお、名刺の取り扱いは全体の2割程度)。ちなみにサイトへの集客は「テレビCMは期待した効果が出ている」(松本氏)ということだが、何よりも口コミの効果が大きいのだそうだ。

今回の調達では、そんな中小企業向けのオフラインでの集客支援を実現するプラットフォームを構築していくのだという。「チラシを刷るというのは、つまりは集客の予算を預かっているということ。ネットでの集客、マーケティングは効率化が進んで新しいイノベーションが起きる一方、紙の市場ではほぼイノベーションが見られず、予算をかけられない中小企業がほとんど。そこにイノベーションを起こしたい」(松本氏)

すでにラクスルでは、チラシの印刷だけでなく、チラシのデザインや印刷したチラシのポスティングといった印刷の“前後”のニーズをカバーしつつあるのだが、こういった取り組みをより強化していく。最近ではウェブサイト上で簡単にチラシのデザインができるエディタも実装したし、今後はチラシのライティング講習なども試験的に手がけるという。

これまでは印刷会社の非稼働時間を使うことで「安価な印刷」をうたってきたラクスルが、どうして中小企業のオフラインでの集客支援というキーワードを掲げるのか? 松本氏はユーザーのニーズ、そして単なる価格競争からの脱却について語る。「ユーザーのニーズはほとんどがチラシの印刷であり、それはつまり集客に困っているということ。そして集客予算を預かっているのであれば、印刷は安い方がいい。だがそれだけ考えると、価値は結局値段に収束してしまう。安さを徹底的に追求して価値を作るということもあるが、安くても効果が出なければ意味がない。チラシという紙のメディアの価値を上げることを考えたとき、ほかにプレーヤーはいないと考えた」(松本氏)

印刷会社のサポートや海外展開も視野に

このほか、調達した資金をもとに、印刷会社のサポートを強化するという。例えば小さい印刷会社では、紙の仕入れなども(ボリュームディスカウントできずに)高価な場合がある。こういった材料の仕入れや機材のレンタルなども取り組む予定。すでに印刷機器メーカーのリョービMHI元代表取締役社長の堂本秀樹氏の参画も決まっている。

ラクスルではさらに、海外展開も視野に入れる。「海外は日本ほど価格競争が厳しくないし、『ネットの会社』として(印刷事業に)取り組んでいるところが少ない。APIの公開こそしていても、どっぷり印刷業につかっていて、それでいてネットの開発もできる、というところは少ない。そのあたりはラクスルが独自の価値を作れる」(松本氏)

同社では現在フルタイムの社員約30人(パートタイムのカスタマーサポートなどを含めると、日本とベトナムで合計約100人)を年内に2倍まで拡大する見込み。さらに、早期の会員数100万人を目指すとしている。


Uberが福岡市でライドシェアの「みんなのUber」をスタート

Uberといえば、東京ではハイヤーとタクシーの配車サービスとして、主にリッチな気分に浸れるという路線で開始しているけれど、本家米国では、非本業の運転手が自家用車でタクシー業務をやってしまう「uberX」や、複数の乗客で相乗りすることでコストを抑える「UberPool」などもある(uberXについては体験レポート「日本未上陸の白タクサービス「uberX」が安くて早くて快適だった」も参照してほしい)。

そのUberが、今日2月5日の午前10時から福岡市でライドシェアの検証プログラム「みんなのUber」を開始することが分かった。すでに詳細なブログが公開状態となっている。

ブログによれば、みんなのUberの利用方法は、これまで通りUberアプリをダウンロードして、アカウントを作成するだけ。登録にはクレジットカードが必要だが、みんなのUberは検証プログラム中は利用が無料だそうだ。

利用するには、まず乗車場所にピンを置き、車を依頼する。するとそのユーザーを乗せるドライバーが数分後にピックアップしに来てくれるという。利用可能エリアは、福岡市、春日市、志免町、糟屋町で、乗車時間が60分以内、1週間の乗車回数が5回以下というのが条件だそうだ。

今回の取り組みは、あくまでも検証プログラムとうたっているので本サービスへの移行があるのかどうかや、そのタイミングがいつになるのかといったことは不明。「検証できました」で終わってしまう良くある自治体の「色々やってますよポーズ」に終わらないことを祈りたい。今回の取り組みは産学連携機構九州とパートナーシップを組んでいて、研究機関などに交通ニーズのデータを提供し検証していくのだそうだ。


TechCrunch School第6回は2月19日開催-テーマは「シェアリングエコノミー」

今回の会場となる東京・渋谷の「TECH LAB PAAK」

2014年1月から不定期開催しているイベント「TechCrunch School」。これまで学生の起業、スタートアップのマーケティング、大企業からのスピンアウト、IoTなどのテーマでセッションを繰り広げてきた。前回の開催が2014年9月末だったので、少し間が空いてしまったが、2月19日午後7時から第6回を開催する。参加は無料。本日よりこちらで参加登録を受け付けている。

今回のテーマは「日本でも成長をはじめたシェアリングエコノミー」。モノやリソースを共有したり交換したりすることで成り立つ、共有型経済を指すシェアリングエコノミー。米国で立ち上がった配車サービスのUberや宿泊サービスのAirbnb、カーシェアリングサービスのZipcarなどが代表的なサービスとして挙げられることが多い。UberやAirbnbはすでに日本にも上陸してサービスを展開している。

一方で日本のスタートアップを見ても、印刷所の空きリソースをシェアして低価格で印刷を行うラクスルや駐車場をシェアするakippa、空きスペースをシェアするスペースマーケット、家事代行のAny+Timesなど、続々とサービスが生まれている状況だ。

ただ日本と米国では個人のライフスタイルや価値観、さらにはビジネスのルールなども違ったりする。シェアリングエコノミー関連サービスは続々登場しているが、はたして日本どういった成長を見せるのか。日本でサービスを展開するプレーヤーに聞いてみたい。

Uber Japan、ラクスル、akippaが登壇

イベントに登壇してくれるのはUber Japan執行役員社長の高橋正巳氏、ラクスル代表取締役の松本恭攝氏、akippa(2015年2月にギャラクシーエージェンシーから社名変更、サービス名も「あきっぱ!」から「akippa」に変更している)代表取締役社長の金谷元気氏の3人。オフラインイベントということもあり、ここだけ話もいろいろしてもらえると思う。

Uber Japanは米国サンフランシスコでスタートしたUberの日本法人。Uberはスマートフォンアプリ1つでタクシー・ハイヤーを配車してくれるサービスだ。米国では合計4.9億ドル超の型資金調達自動運転タクシーの研究といった取り組みが発表される一方、破壊的なイノベーションの代償かいくつかの課題も抱えるに至っている。日本ではサービス開始から約1年となるが、Uber Japanの高橋氏にはこれまでの手応えや日米でのサービスの差などについて聞いてみたい。

印刷の価格比較サービスとしてスタートしたラクスル。同社では現在、ユーザーの注文に応じてネットワーク化した印刷会社から最適な会社を選択、その印刷機の非稼働時間に印刷をすることで、安価に高品質な印刷物を提供している。ラクスルの松本氏には、サービス提供の経緯から印刷会社をネットワーク化するための仕組みやその苦労、さらには以前から語っている海外展開などについて聞いてみたい。

akippaは、駐車場を貸したい人と借りたい人をマッチングするサービス。あらかじめ駐車場を貸したい人が駐車場の情報や空き時間を登録しておけば、駐車場を検索して予約した上で、希望する時間に使用できるというもの。また、バレーパーキング(海外のホテルなどで駐車係にキーを渡すと、車を所定の駐車場に保管してくれ、また車が必要なときは車を持ってきてくれるサービス)を実現する「akippa plus」も展開している。akippaの金谷氏にもやはりサービス提供の経緯、そしてその手応えなどを聞いてみたいと思っている。

今回の会場は東京・渋谷の「TECH LAB PAAK」

なおこれまでのTechCrunch SchoolはTechCrunchのオフィスがある東京・末広町の3331 Arts Chiyodaで開催していたが、今回はリクルートホールディングスが東京・渋谷に開設したばかりの会員制スペース「TECH LAB PAAK」にて開催する。

こちらのTECH LAB PAAK、会員制であれば座席からWi-Fi、ドリンクまですべての設備を無料で利用できる。ただし会員になれるのは、「スペースを通じてみずからの持つスキルを深めたり、情報共有したりしたい」「技術やアルゴリズムの研究・開発に取り組んでおり、コラボレーションして発展させたい」といった思いを持つ個人やチームのみで、同社が定期的に開催する審査に通過する必要がある。リクルートホールディングスいわく「本気でテクノロジーで世界をよくしたいと思っている」「イノベーションを起こすスキルをもちながら、リソースが不足している」という人の応募を待っているとのこと。当日はそのあたりの話もRecruit Institute of Technology戦略統括室 室長の麻生要一氏から聞ける予定だ。

TechCrunch School #6
「日本でも成長をはじめたシェアリングエコノミー」
【開催日時】 2月19日(木) 18時半開場、19時開始
【会場】 東京・渋谷 TECH LAB PAAK地図
【定員】 80名程度
【参加費】 無料
【参加資格】 起業を志す、もしくはスタートアップに興味のある大〜中小企業の社員および、学生の方。スタートアップへの参画を希望する人材と出会いたいスタートアップの起業家、CxO、人事担当者
【ハッシュタグ】#tcschool
【主催】 AOLオンラインジャパン
【内容】
19:00〜19:05 TechCrunch Japan 挨拶
19:05〜20:05 パネルセッション「日本でも成長をはじめたシェアリングエコノミー」
パネリスト
髙橋正巳氏(Uber Japan 執行役員社長)
松本恭攝氏(ラクスル代表取締役)
金谷元気氏(akippa代表取締役)※2015年2月よりギャラクシーエージェンシーから社名変更
モデレーター
岩本有平(TechCrunch Japan編集記者)
20:05〜20:30 講演セッション「リクルートが考えるオープンイノベーションとその取り組みについて」
麻生要一氏(Recruit Institute of Technology戦略統括室 室長)
20:30〜22:00 懇親会(アルコール、軽食も出ます)
【申し込み】イベントページから事前登録必須
【事務局連絡先】tips@techcrunch.jp

イギリスでは政府が共有経済に関する調査研究事業に着手…共有経済企業のCEOが担当

今日(米国時間9/29)イギリス政府は、この国を“共有経済の全世界的なセンター”に育ててシリコンバレーに対抗していくために、AirbnbやZipcarなどが具現しているいわゆる共有経済を今後強力に支援育成していく、と発表した。そのためにまず、共有経済がイギリスでその持てる力を十分に発揮できる風土を作り出すために必要な、政策や規則等に関する、業界からも政府からも“独立の”調査研究事業を立ち上げる。

しかしおもしろいことに、この調査研究事業を率いるのは、なんと、Love Home SwapのCEO Debbie Wosskowだ。同社は休日に人びとがお互いに家を取り換える(スワップする)ためのスタートアップで、協力的消費(collaborative consumption)や共有経済(sharing economy)の分野で頑張っている代表格だ。だから、“独立の”調査事業にはふさわしくないのではないか、とも言える。とはいえ、この調査事業に関する政府からの発表声明自体がすでに、共有経済は“良い(善い)ものである”というトーンに傾いているので、誰が調査を仕切るかという問題は、それほど重要でないのかもしれない。

イギリス政府による今回の任命を擁護するなら、Wosskowは、共有経済のネットワークであり年四回のイベントを開催しているCollaborative Consumption Europe(ヨーロッパ協力的消費)の主宰者だ。この分野に関する彼女の知識経験の量は、単なる共有経済スタートアップのCEO域を超えた、大きくて深いものだろう。

しかも彼女はこの研究調査事業を無償で引き受けたそうだから、イギリスの納税者の負担は小さい。この種の事業は何らかのロビー集団によって行われることが通常は多いから、そうならないだけでも良いことだ。ロビーの作の典型が、最近ローンチしたUK startup manifestoだ。おっと、お話の脱線はやめよう。

調査研究の対象/内容としては、次のものが指示されている:

  • 共有経済の課題と概念定義
  • 共有経済がイギリスにもたらす利益と既成産業にもたらすリスク
  • 共有経済を担う企業が直面する問題、たとえばAirbnbにおける保険の問題など
  • 共有経済の企業に課せられるべき規制
  • デジタル企業にとっての信用障壁
  • イギリスにおいて共有経済が持つポテンシャルに到達する方法

しかしDavid MeyerがGigaOmで指摘しているように、労働者の権利のような難しい問題はなぜか含まれていない。でも、いずれにしても、このように政府が共有経済を肯定し支持するような動きは、今および今後の共有経済スタートアップにとって、明らかに朗報だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))